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1948-11-26 第3回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十六日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小川原政信君    理事 冨田  照君 理事 福田 繁芳君   理事 唐木田藤五郎君       植原悦二郎君    辻  寛一君       加藤 勘十君    山中日露史君       小坂善太郎君    田中源三郎君       田中 健吉君    黒田 寿男君       北  二郎君  出席國務大臣         逓 信 大 臣 降旗 徳弥君  出席政府委員         逓 信 次 官 鈴木 恭一君         逓信事務官   山下知二郎君         逓信事務官   浦島喜久衞君         逓信事務官   小笠原光壽君         逓信事務官   岡井彌三郎君         逓信事務官   鳥居  博君         逓信事務官   小池 行政君  委員外出席者         参  考  人         (時事新報編集         局長)     有竹 修二君         参  考  人         (元逓信省管理         局長)     景山 準吉君         参  考  人         (全逓組合委員         長)      土橋 一吉君         参  考  人         (時事通信社         長)      長谷川才次君         参  考  人         (東洋経済編集         局長)     綿野 脩三君         專  門  員 亀掛川 浩君 十一月二十六日  委員片島港君辞任につき、その補欠として勝間  田清一君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十五日  治山、林道両事業建設省移管反対及び砂防行  政を林野行政に統合の請願(小林運美君外一名  紹介)(第六〇八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  道路運送行政機構改革に関する陳情書  (第三八三号)  砂防行政林野行政との統一に関する陳情書  (第三八七  号)  地方自治省設置陳情書  (第四三六号)  中央出先機関廃止に関する陳情書  (第四四〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  郵政省設置法案内閣提出第二五号)  電氣通信省設置法案内閣提出第二七号)     ―――――――――――――
  2. 小川原政信

    小川原委員長 ただいまより会議を開きます。  郵政省設置法案及び電氣通信省設置法案一括議題といたします。本日は学識経験を有せられる方々をこの委員会にお招きいたしまして、その意見を承り、その意見等を十分にしんしやくしまして、われわれの審査を慎重にいたしたいと思うのであります。この意味におきまして、本日は御多忙中のところおいでをいただきました方々に対しまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。  それでは参考人方々を御紹介申し上げます。時事新報編集局長有竹修二君、藤化成株式会社専務取締役景山準吉君、全逓組合委員長土橋一吉君、時事通信社長谷川才次君、東洋経済編集局長綿野脩三君。  それではこれより参考人方々の御意見を承ることといたします。有竹君。
  3. 有竹修二

    ○有竹参考人 突然参考人という御指名を受けまして、昨日この資料をいただきまして、はなはだ知識がまとまつておりませんので、從つてほんの思いつきということになるのであります。  逓信省二つに割つて郵政省電氣通信の二省に分つということ、これは実は一般にはその趣旨がわからないのではないかと思うのですが、よく伺つてみると、今まで通信省でやつておられた通信事務の中で、いわゆる有線無線電氣通信とその他の郵便貯金保險とは全然質的に異つた仕事であつて、この二つの異つた仕事一つ役所でやることは間違つておる。これは別に官廳、別の機構のもとにまとめて行つた方がいいというきつい関係方面の意向によつて、この問題が発生したのであります。まことにその通りであろうと思うのであります。そこでわれわれ現在の通信省、今度の電氣通信省及び郵政省という新しき二省の機構を見ますと、この両省とも國務大臣、その下に政務次官、次官という普通の一省としてのかつこうが整つておる。われわれ電氣通信並びに郵務、この從來通信省仕事が、非常に重要な仕事であるということは重々理解するものでありますが、その省に属する政治というものはあまりなかつたのであります。これを一省として一人の國務大臣をいただく必要は、ほかの省ほどなかつたのではないかという感じを持つて見ておつた。すなわち今から十年ほど前には、行政整理という意味行政機構改革案を論ずる場合には、たいてい鉄道逓信あわせて、交通省とか運輸通信省とかする考え方が非常に一般的であつた仕事ボリユームは非常にあり、また仕事性質も非常にりつぱな大事な仕事でありますが、それほど政治を必要としないという意味で、國務大臣鉄道逓信をあわせて一大臣の所管でまとめ得るのではないかという点が多かつた。それと同じように、農林省と商工省とあわせて産業省とすべしという意見が、たいてい行政整理の論ぜらる場合にはあつたのでありますが、近年の農林、商工両省仕事は、仕事ボリユームも殖えて、政治的にはこの両省を一省にまとむべきものであるが、その仕事ボリユームが非常に大きいために、一省にまとめるのはむりであるというのが、当時の行政機構改革論における常識であつたというわけで、要するに逓信鉄道あわせて一つ大臣でいいという感じのものであつた。それで通信省は非常に大事な仕事をやるところであつて、その仕事本質は非常に國家的に枢要なものであるが、それほど政治を必要としない役所である。こういう考え方でわれわれは見ておつたのであります。從つて、この逓信省二つわけて、それぞれにまた國務大臣をいただくことの必要ありや否やということをまず感ずるわけであります。ことに今日の逓信省は、電氣管船航空という大きな監督事業がなくなつた航空事業はなくなつておるから、從つて從來航空局の仕事はなくなつておる。電氣は別の役所へ行つたし、管船もなくなつた。そういう電氣管船航空という三大監督事業がなくなつて一つ國営事業である通信事業をたばねる役所としての逓信省でしかない。それを今日郵政省電氣通信省二つわける。その場合にそれぞれの國務大臣の必要ありやということをまず感ずるわけであります。しかも郵政省の中に人事局というものがある。人事局というのは昔は官房の人事課というもので片づけていたはずのものであろうと思うのであります。それが今後はりつぱな一局になつておる。これは図を見て非常に異様に感ずるわけであります。しかしこれをよく考えてみると、從來逓信省の中の労務局仕事人事局に入つておる。すなわち労働行政とそれから厚生事務、これがたばねられて今度の人事局の中に入る。こういうことで一局たる性格を持つ。こういうふうに了解されます。中を読んでいないのでわかりませんが、おそらくそうだろうと思います。そういうような意味人事局は認められるわけでありますが、とにかくそういうふうに、全体の構えが非常にぎようぎようしく大きな仕組みになつておる。しかしこの人事局には労務行政というものが入つているのであつて、これは現在のいわゆる全逓という組合中心とするところの労務問題、これが非常な大きな問題であつて逓信大臣の大きな仕事がこの労務行政をどうさばくかという点に非常に幅があるということであれば、この人事局というものは非常に重要な部局になつてくる。しかしこれは本來の郵政事務というものから言えば、こんな厖大部局がこの新しき一省に必要がないのじやないかと思います。だから、全逓中心とする從業員組合との関係、この労働行政がもつとスムースに行くならば、この人事局というものはもつと簡単なものにしていいのじやないかと思われます。以上が今度できる機構上に関する私の感想でございます。  それから、問題の重点は、二つわけたというよりも、電氣通信省というものを独立させたというところに今度の処置の重点があるやに考えられます。要するに、アメリカの方では、この電氣通信というものを非常に重要視して、電氣通信こそ一國の政治経済文化、あらゆるものの基礎をなすものである。これをしつかりやつておかなければならぬという考え方にすべてが発足しているように思います。その意味において非常にけつこうでありますが、アメリカでは四人に一人の人が電話を持つている。そうしてサンフランシスコとニユーヨークの間が三分間ぐらいで樂々と通話ができる。アメリカの全國どこの何人とも三分間ぐらいで意見交換ができる。それと比べると、わが日本現状は、こういう電氣通信省というりつぱな電氣通信に関する新しい一省をいただくには、あまりにも日本電氣通信事業というものの現状が貧弱なのを痛感するわけであります。この現状をもつてして、はたしてこの新しくいただいた機構に沿うだけの実質をあげるのはいつの日やら、実に心もとないと思うのであります。ことに最近の通信料金の値上げは非常なもので、これがビジネスに影響するところ非常なものであります。たとえば大阪と東京専用電話一日の料金というものは万をもつて數えるという金額でありまして、山一、野村というような証券を扱う店の話を聞いてみますと、これだけの電話料金を拂うと、株の動きがよほどさやがなくては商賣にならないという話を聞くのであります。本來これは、私この前にも申し上げたと思いますが、郵便料金通信料金というものはだんだん安くなつていくべきはずのものだと思うのであります。ちようど交通機関として道路というものがある。道路に対してぜにを拂わない。われわれは道路をただで闊歩する。橋というものがある。橋も交通機関である。昔は橋銭というものを拂つたが、今は橋銭を拂つて渡る橋はほとんどないのであります。こういうふうに、だんだん昔有料であつたものがただになつておる。從つて通信料金電話料金郵便料金というものは、文化の進むとともに安くなつてしかるべきでありますが、これがだんだん高くなつておる。その上り方たるやべらぼうに高くなつておる。これは経済文化というものの推進を妨げることおびただしいと思うのであります。それやこれや考えますと、これは根本的に考えなければならぬ問題じやないかと思います。そういうことから考えまして、この電氣通信省という一省を独立しただけの趣旨にかなうだけの通信事業実質を備えて行くということは、一体いつのことやら、五箇年計画というものは立つておりますが、これの裏づけになる物質はどうなつていますやら、よく私は伺つておりませんし、この参考資料を全部読んでおりませんのでわかりませんが、実に心もとないと思います。  以上が私のこの書類を拜見いたしまして得た感想でございます。まことに雜駁なものでありますが、以上で終ります。
  4. 小川原政信

    小川原委員長 皆様にお諮りしますが、今のお話に対して御質問願いますが、また皆さんお話くださいましたあとに、一括して御質問申し上げた方がいいでしようか、どちらがいいでしようか。
  5. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 参考人方々が御供述くださいますことに対しては、私ども非常に参考になると思うのでありまして、つつしんで拜聴いたしたいと思いますが、この問題は、案の重要性にかんがみて、公聽会を開いてもらうように社会党からはすでに委員長に申し込んであるはずであります。きよう参考人として御出席くださいました方を見ると、直接に利害関係者としては、もちろん間接には通信新聞等をやつておいでになる方が、重大な利害関係をお持ちになるのでありますけれども、案そのものに対する直接の利害関係方々としては、しいて言えば景山さんと土橋さんと二人だと思うのです。今度二つの省に分離されるについては、今有竹さんがお述べになりましたように、電氣通信関係が非常に重要性を持つております。二つの省にわけられた根本義もそこにあるのじやないかと思うのですが、これらの問題についての参考の御意見を、直接の技術的な面からお伺いすることが非常に少いと思います。從つて社会党としては、現在といえども今日は参考人として御出席願いましたので、皆さんの御意見をつつしんでお伺いすることにしましても、改めて私はやはり公聽会を開いて、もつと廣範利害関係者から御意見をお伺いする、こういう段取りをぜひとつていただきたいと思います。あるいは委員長においては、審議の時間的な関係から、そういう余裕がない、こうおつしやるかもわかりませんけれども、すでに鉄道専賣公社等については、いずれも公聽会を開いて、相当廣い範囲利害関係者の御意見を聞いておるわけなんです。それと一連の関係を持つこの逓信省分離案についても、当然私は廣い範囲について、利害関係者の御意見をお伺いすることが当然だと思います。それから審議の時間的な余裕がないとあるいはおつしやるかもわからぬけれども、いずれにしても、これは今会期中に審議を完了すれば十分であるのであります。必ずしも何日までにこれをあげなければならぬという性質のものではないのであります。中心公務員法改正の問題もまだ審議たけなわな状態である。私はそれと関連して、ぜひもつと廣い範囲から御意見をお伺いするように、公聽会をぜひ開いていただきたい。これは私ども社会党の全委員の希望でありまするし、党もそういう方針をきめておるわけですから、ぜひ私はそういうぐあいにお運びを願いたいと思う。ただいまの有竹さんの御供述に対しては、のちに御意見をお伺いする点があればお伺いいたしたいと思いますし、また他の方々の御意見については、今日せつかく御出席くださいましたので、これをお伺いすることはさしつかえありませんが、公聽会を開くには時間的にという点がありますれば、私はきよう準備すれば、明後日はできると思うのです。いずれ遠いところから來ていただくのでなく、東京におられる方をお願いするのですから、私はそれはやろうと思えばできると思いますから、ぜひそういうようにひとつおとりはからいを願います。
  6. 小川原政信

    小川原委員長 その問題につきましては、時間の関係あとから申し上げることにいたしまして、きようの参考人の方の御質問については、あとの方がよろしうございますか、今やりましようか。
  7. 田中健吉

    田中(健)委員 議事進行に関連する発言になると思いますが、ただいま加藤委員から公聽会を開いた方がいいという御意見が出たが、私もそう思います。実は私ここ二日ばかり小菅刑務所不当財産委員が派遣されて参つていたものだから、この委員会で発言する機会もなかつたのですが、最初から出ておれば、私はそういうことをとうに発言するつもりであつた。これはぜひともやつてもらいたい。時間の関係というけれども、これは慎重審議しなければならぬ問題であつて、ことに厖大從業員をかかえておる仕事でありますから、慎重にやらなければならぬ。影響するところは大きい。だからもし公聽会を開いたり何かして、今國会に十分に審議することができないというような段階にかりにあつても、第四國会というものは当然あるのであるから、法案を出し直して、またがつて残余の分をやつても一向さしつかえないと思う。政府が撤回したところの前の逓信省設置法案は、閉会中といえども継続審議しておつた。なぜそういうことをしたかというと、法案重大性にかんがみてそういうことをやつた逓信省設置法案は五月に提出になつて、しかも継続審議されて、長い時間かかつております。それを撤回して、今度は法案を出し直して、それを一週間か十日の間にやれと言つたとてできるものでない。最初からできない相談で、これを押切られるということは不満である。  それから参考資料が出ていない。この設置法案に重大な関連を持つところの、しかも國家行政組織法にきまつておる定員の問題、これについては法律で別に定めるというようなことになつておるが、これは当然委員長が、こういう参考資料を整えるべく準備しなければならないはずである。専門員もおることでありますから、専門員がそれを調査するか、さもなければ委員長がみずから資料として出させるか、そういうことをやらなければならぬ。大体これを審議するには、それだけの資料がそろわなければならぬと思う。そうして公聽会を開いて、あるいは参考人意見を聞くというふうにならなければならない。それを資料も十分に必要なものを整えないで、ただ一週間かそこらの間に上げるということはむりである。この点について時間を急ぐ急ぐと言うけれども、私はその眞意那辺にあるかということを疑わざるを得ない。この点を明確に委員長から所見を承りたいと思う。そうでなければこういう状態では審議できません。あなたのお考えによつて、またわれわれ委員としても審議のしようもありますから、明確に御所見をお伺いしたい。
  8. 小川原政信

    小川原委員長 今の問題はよくわかりましたから、前にも申し上げた通り、今参考人方々お話を聞いておるのでありまして、ただいまのお話は後程理事会を開いて御相談申し上げます。それでは質疑はあとにすることにいたしまして、藤化成株式会社専務取締役景山準吉君にお願いいたします。
  9. 景山準吉

    景山参考人 私参考人参つたのでありますが、元逓信省役人としてでなしに、会社の経営者の立場から申し上げたいと思う。  拜見いたしました資料につきまして申し上げたいと思います。先ほど有竹君も申されましたが、現在の逓信省二つわけて、その上にミニスターというものを置く必要があるかどうかということであります。私は現在の逓信省二つにおわけになることには賛成します。そうしておわけになる以上は、やはり各省というものをお置きにならなければいけないと思います。もし省というものを置くことができないでおわけになるなら、まだ現在のままの方がましだと思う。と申しますのは、かつて運輸通信省というものがありまして、そのときに逓信院という外局があつたように記憶しております。また逓信院内閣に属しておつたときもあります。その間におきまして、通信事業経営者がどのくらい苦労したか、これは少しく役人をやられた方はみなおわかりだと思いますが、大臣のない事業というものくらい事業の運行を妨げるものはないのであります。ですから私がいただいたものにありますように、二つわけてそれが郵政省電氣通信省になるものとして御賛成するわけであります。  なぜこれを二つわけることに私が賛成するかと申しますと、現在郵政だけの方から考えてみましても、二十万以上の從業員を持つておる一万數千郵便局がある。それからこの調書によりますと、約一億の保險加入者を持つておる。それから一億數千郵便貯金加入者がある。こういうような仕事が一体それだけでも省としてやつて行けるのかどうか。民間の者としては、とてもそんなものでは民間ではやつて行けない。郵政省だけでもむずかしい、半身不随になるおそれがある。これはだれでも事業を経営した者はそう思う。しかも頂載いたしました通信復興五箇年計画というものを拜見いたしますと、この二ページのところに郵便のことが書いてあるのですが、昭和九年度における状況目標にして、それを昭和二十七年度に大体二割増でやつて行こう。その昭和九年に対する目標ができ上るのはこれから四年あとです。昭和九年という年はどういう年であるかと申しますと、逓信省としては、おそらく大正に第一次欧州戰爭直後から十數年來一番悪い通信事業状態つたのであります。ですから通信事業特別会計をこしらえて何とか打開しなければならない。昭和九年の通信事業現状というものは、おそらく大正の末期からかけて最も悪い時代であつたと思う。その昭和九年の状況目標にして、それがかろうじて昭和二十七年にしかできない。そういうふうなことでは非常に困るのであります。先ほど有竹君が言いましたように、通信料金はだんだん上るばかりで、サービスはだんだん落ちる、とてもたまつたものではないのであります。その意味から考えまして、せめて郵政だけでもわけて、昭和九年とは言いません。昭和十三、四年程度までに持つて行くように努力してもらわなければ、わけてやつて行くより方法はなかろう、こういう意味で賛成するわけであります。  それから大体今度の問題の要点が電氣通信省というところにあるのであります。もともと郵政電氣通信というものは一緒にあるのがどうかと思われる。と申しますのは、古い沿革から言つてもそうですが、郵政というのは駅逓寮から來ておる。それから電信というのは工部省のものです。それを一緒にして通信省をこしらえた。郵政の方は人間がやつて行く仕事です。そうして世界的に赤字が出る、これは國家が補償するものであります。人間を非常にたくさん使う、赤字が出る。これは一般の最低の意思疎通機関ですから、これに対して赤字が出て、國が補償する。これは世界中各國ほとんど同じです。ところが電氣通信郵便と違いまして、郵便のように片一方だけに意思を傳達するのではなくして、同時にお互いの意思交換をする。しかも同時に交換するために、日本のような長いところでは、いろいろな機械なり局なり、そういうものが同時に完全に連絡しなければできない。言葉をかえて申しますと、非常に多くの設備がいるわけであります。一度にたくさんの設備資金を入れなければならない。その設備資金というものは、これは民間でも同じですが、金を借りてやつて行けるものであります。そうしてその設備によつてあがつて來料金その他によつて改良をして行くとか、借金を拂つて行く。非常にたくさんの設備資金がいる。しかしながらその設備資金に対する借金の支拂はもちろん、從業員の給料のごときものも、これは赤字ではやれるものではない。当然自給自足でやるべきものであつて、平素一時にたくさんいらぬが、常にたくさんの人間使つて行つて赤字でやつて行かざるを得ない。本質郵政と、同じものでやるのは間違いであると思う。おわけになるのがしかるべきであると思う。ことに電氣通信ですが、ここに私の昔の友達がおられてはなはだ恐縮ですが、とにかく困つたことなんです。拜見いたしますと、この三年の間に戰災をこうむつたものは直つていない。私はけさ百五十人乗のトレーラーバスに乗つて來たんですが、民間トレーラーバスは、戰前になかつた百五十人乗の堂々たるバスができておる。ところが電話の方はどうかというと、まだ戰爭中のものは直つていない。現在われわれのうちに電話をつけていただいておりますが、こちらで電話で話すときは向うが通じない。向うが話をするときはこちらが通じない。かりに日本橋から銀座にかけると、銀座の五十七年番にかけるとお話中です。向うでは話をしていない、こつちも話をしていない。ただその間を結ぶ線が足りないためにお話中だ。三べんかけるとよくて二度、大体二回に一度は話中です。それから悪くなつたときに直してくださるかというと、最近は非常によく直してくださるが、直してもらつたものがすぐ悪くなる、これが現状なんです。そうしてこれを拜見しますと、あと何年間のうちに約九十万をおこしらえになるという。私は昭和十一年に外國から帰つて来ましたが、アメリカなり、イギリス、フランス、ドイツあたりで生活して來た者から考えますと、日本電話というようなものは何と言つていいのか、不便のはなはだしいものです。そのために一般産業界がどれくらい不便をしておるか、電話はかからない、でかけなければならぬ。でかけて行つても間に合わない。ほんとうを言えば、机の上で一時間で全部話することができるのを、一日も二日もかかる。こういうのが現在の電話状態です。從つてここに頂載したものに書いてありますように、五箇年間に約九十万とかおこしらえになる、これもけつこうですが、これどころの騒ぎではなしに、戰爭でいたんだもので現在通じておるものが、ほんとうにスムーズに話ができるようにするには、なみたいていのことではない。とてもあの通信省ではやつて行けない。電氣通信省でもできれば、少しはその方に一生懸命になるのでよくなるのではないか。この意味からいつて、ぜひわけてもらつてよくしてもらいたい。有竹君が言いましたように、いつになつたらこれができるだろうというようなことでは困るのですが、まあ組織からこしらえて行かなければならぬのですから、そういうふうに直していただきたいと思います。  それから私個々の問題について二点ばかり考えておる点があるのです。一つ電氣通信省の案を拜見いたしまして、機構の図を拜見いたのですが、これには郵政省と違いまして総務長官というものができておるのであります。今日國民が一番困つているのは何かというと、税金が高いことであります。それから会社の給料を上げられない。首切ることはしませんが、やめたあとは絶対に入れないで、そうして給料でも何とか拂つて行こうということになる。役人をふやすということはよほど考えものです。しかしながら自分が会社を経営しておる立場から言いまして、この制度は置かれた方がいい。この制度はちよつと面白いと思う。と申しますのは、民間でもたとえば毎日の仕事というものは、われわれの方では全部専務なり常務なりがやつておるわけであります。そうして私としましてはどういうぐあいに会社を導いて行くかという点、つまり外部の情勢がどうなつておるか、あるいは資材その他産業の状態がどういうぐあいに進んで行くだろうか。それから日本の財政なり金融なりがとういうぐあいになつて行くだろうかというようなことを、國内的にあるいは國際的に考えて行く。そうして平素の仕事は全部常務にまかして行くというやり方であります。おそらく電氣通信省では、需要省の動向とか、一般の必要な資材に対する産業状況、資金の調達、その他いろいろな点につきまして、これは大蔵省の関係があるでしようが、こういうものについてはやはり次官がやるべきでありまして、また法案を見ますと次官は電波廳と航空保安廳を直接に監督して行くことになつているが、こういうことになりますと、どうしても平素の業務を調整して、総合して行くのには、一人の専門家を置かなければいけないと思うのであります。もつと卑近な例で申しますと、たとえば私の会社の関係している仕事につきましては、ずいぶん新聞、雜誌がたくさんあります。ところがそういう新聞、雜誌を丁寧に読むのは常務であります。そうしてここだけ必要だというところにマルをつけてまわして來る。私はそういうものよりむしろ外部の新聞を読まなければならない。外部の会合に出なければならない。そうしてどういうぐあいにこの仕事を持つて行くかという、一年先なり半期先なりのことを考えて指導して行かなければならない。それには今までみたいに、指導すべき次官が朝から晩まで、いつ行つてもお客さんがあり、年がら年中遅くまで殘つているのではばかになるばかりで、決していい考えは出ない。やはり外へ出て外部の人に十分接触して、ゆつくり考える時間を持たなければだめだと思います。これは新聞、雜誌に対する例ですが、例えば工場のことでもそうです。工場における常務というものは、工場の内部を全部地面を歩いて見ております。ところが私たちは決して工場内部を見て歩かない。むしろ高いところから自分の工場を見る。よその工場を見に行くにしても、われわれは同業者の方は見に行かない。それよりほかの工場を見に行く。それによつて参考になる点を探す。ことに電氣通信関係が現在のような悪い状態から抜け出て、何とかもう少しほんとうに國のためになるようにやつてもらうためには、これくらいの人を置いていいと思うのであります。おそらく総務長官とかスタツフといつても、それに要する金はせいぜい知れたもので、一年間に幾ら使つたつて數百万円は使いきれないと思うのであります。ところがもしもこの総務長官がよく仕事を調整し、総合して行つて、そうしてみんなが能率よく働けるようにしていただけば、かりに電氣通信の方に二十万の從業員がおつて、その一割なら一割の能率が上れば、おそらく一年間に十億、二十億の金が浮くと思うのです。スタツフの方に使う金のごときは、もしもそのスタツフがほんとうに、ここに企図しておられるようにやつてさえいただけば、それによつてあげる利益の何百分の一あるいは何千分の一にすぎない。その意味において私は賛成しますが、どうかスタツフの方は十分に総合調整して、人が働きやすいように、効果のあるように働かすようにしてあげていただきたいと思います。  それから私は電氣通信省のことについて、もう一点考えておりますのは、この案に賛成でないので困るのですが、この電氣通信省設置法案郵政省設置法案と、両方ざつと目を通したのですが、そうしますと、郵政省設置法案の三十三ページの第二十六條では、「郵政業務の監察を行わせるため、郵政省郵政監察官七百人以内を置く。」ということになつております。そうしてこの図解を拜見いたしますと、郵政省には監察局という一つの局があり、その下に三部ある。しかも地方においても大体これと同じようにやつて行くような趣旨になつております。ところが電氣通信省設置法案の方を見ますと、十六ページの第九條、第十條でありますが、第九條に「大臣官房においては」「監察を行うこと(総務長官官房において行うものを除く。)」第十條に「総務長官官房においては、総務長官の職責に属する事項に関し、左に掲げる事務をつかさどる。」として「監察を行うこと。」ということを書いてあります。電氣通信省の方では監察を非常に軽く見ているのであります。それにつきまして「通信省における郵政業務の機構改正について」というのをちようだいしたのですが、その第四ページを読んでみますと、一〇というところに「現在の監察組織では左の諸点に対する最低限度の要求すらも之を充たす事が出來ない。イ、郵便物の窃盗、抜取その他從業員による犯罪に対する責任の帰属を明にする事。ロ、人事行政に対し効果的な統制を加える事。ハ、中間における運営乃至行政機構の制肘を受けない方法で業務の実情及び欠陥をありの儘に通信大臣の耳に入れる事。」こういうことができないと書いてありまして、この「ロ」の「人事行政に対し効果的な統制を加える事。」と「ハ」の「中間における」云々を「大臣の耳に入れる事。」これは郵政つて電政だつて同じだと思います。なるほど郵便局の數は一万何千もあつて、電政に比べてずいぶん多いと思います。また保險、貯金など金銭を扱うこともずいぶんあると思うのですが、しかし電話料金というものも相当大きな額であります。ことに今日のように自働でがちやがちややるときに、はたしてそれだけの料金を拂わなければならぬのかどうか。私たちの友人で日本橋あたりに住んでおる者がしよつ中、通話よりたくさん料金がかかることがあるというようなことを言つているのでありますが、そういう料金の点とか、また電話を新たに設備したり、それを移轉したり、修繕したりする場合、そういう場合におきましても、悲しいことですが、これは從業員ではないと思いますけれども、いろいろなことを聞くわけであります。またこれは最近あつたことで、新聞にもでかでかと出ておりましたから、当然言うていいと思うのですが、東京中央電信局において電信による為替の詐欺があつたということであります。そういたしますと、電氣通信の方におきましても、料金関係なり、電話の新たな架設とか、移轉とか、あるいは電信為替の詐欺の問題とか、またここで買いまする資材は莫大なもので、郵政におきましては紙と布があればいいと思うのですが、こちらはそうは行かない、いろいろな器具機械を、たとえば日本電機とか東芝あるいは住友、いろいろな会社からずいぶんのものを買つているのであります。そういう物資調達ということもあるので、こういう方面のことを考えまして、かりにここに書いてある料金電話の架設、移轉、その他電信為替の詐欺、詐欺ということはいけないかもしれませんが、それから資材器具等の調達に関する責任の帰属を明らかにするために、相当監察の必要があるじやないかと思うのであります。郵政の方の監察は、なるほど多いし、金銭も取扱いますから一局、その下に三部置き、地方にも堂々たるものをお持ちになるのもいいでしようが、それに比べて電政の方があまりに少な過ぎる。電政における監察というものを、あまりに軽く見過ぎてはいはしないかと私は思つております。その点につきましては、やはり利用者といたしましては、公正な取扱いを受けさしていただきたい。その意味におきまして、監察制度というものを電政におきましてももう少し働かしてもらつて、官房の一課なんかでやつていないで、少くとも一部か一局くらいおこしらえになつたらどうか、こう思つているわけであります。  それからもう一つ有竹さんのちよつとお触れになつた人事局の問題です。あの書簡によりまして今度全逓に対して、これはその他一般労働の問題がありますが、どういうぐあいにこれから組合が認められて行くか存じませんが、今までの状態でありますと、政府の方として非常にたくさんやるべき仕事があります。要求されない場合に、逆にどんどん從業員のためにやつてやらなければならぬのではないか、こう思うのであります。  それから民間のことばかり申し上げて恐縮ですが、民間の方から行きますと、人事行政労務行政を扱うのは大概各社でも専門に近い——専門と言いませんでも、それに専心し得る業務地位を與えている。その意味人事局があつてもいいのではないか。ことに労働組合の行き方がいろいろかわつて來て、政府の方で從業員の福祉のために大いにやらなければならぬことが多いから、人事局があつていいのではないかと思います。  もう一つ最後に申し上げておきたいのは、これに附随して出ているのかどうか、私参考人でありますから存じませんが、特別会計法を直さなければならぬのではないかと思います。もし今國会に特別会計法が出て來ないといたしますれば、これは法のほかにいろいろこまかな手続がいるのでありましようから、できるだけ早い期間に國会におかけになつて、法規をおきめになりませんと、間に合いかねると思います。今度出ておれば仕合せでありますが、出ていなければ、できるだけ早くお出しにならぬと困ると思います。これは蛇足でありますけれどもつけ加えておきます。私の意見はこれだけであります。
  10. 小川原政信

    小川原委員長 それでは次に全逓組合委員長の土橋君にお願いいたします。
  11. 土橋一吉

    土橋参考人 全逓土橋であります。本日衆議院の内閣委員会でわれわれ労働組合の代表を參考人としてお呼びくださいましたことについては、非常な感謝の意を表するものであります。ただ私は該法案が非常に多宿多様にわたつておりまするので、單に參考人としてわれわれ數名の者が呼ばれて、そして數名の者がいろいろな御意見を申し上げて本案の審議について種々參考の資料を提供するというようなことで、本法案國会を通過せられるのであるなら、これは非常に戒しむべきことであろうと考えておるのであります。  まずその根本的な理由を申し上げますと、七月二十二日マツカーサー元帥から発せられました書簡に基いて政府が原案をつくつているということは、五十余條のこの原案の最後の提案理由になつておるのであります。この点は委員各位も十分おわかりになつたと思うのでありますが、理由としてここにも書いてあるように、「二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基き、電氣通信省を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」こういう理由でこの法案國会に上程されておりますが、この書簡の内容を見ますると、これは國家公務員の制度に関してこの書簡が発せられたのであります。そうするならば、この電氣通信業務を担当する逓信從業員の能率をよくするというような理由によつてこの法案國会に上程しているかというと、そうでない。この法案はもつと根本的な理由をもつて國会に上程されたのであります。そこで政府はマツカーサー元帥書簡によつてこの法案國会に上程しているというようなことを申しておりまするが、本質從業員の能率をよくする、業務の運営を適切にするというような從業員側の立場においてこの法案國会に上程されておるかというと、そうでない。ここに本法案提出しております政府の根本的な態度が第一点において誤つているのであります。從つてこの法案はマツカーサー元帥が仰せになつている内容を一つもおつしやつていない。「さらにまた、能率増進のために、逓信省の完全な再編成が実施されることが望ましいと信ずる。」これだけしか書いていない。ところが政府は二十三年の法律第百二十号による行政組織法に基いて本法案提出する、こういうことを言つておる。そうするならば、まず提案の理由が根本的に政府は誤つておるという点が第一点であります。そういう誤つた理由によつてこの法案提出されておるという点は、われわれ一般市民といたしましても、労働組合としても、政府の信念を疑わざるを得ないのであります。  第二点、この法案関係するところは、從業員諸君の能率増進のために、この法案をつくつてあるというならば、從業員の業務能率に関する問題を、逓信省は別に法律をつくつてやるべきである。ところがこの法案によりますと、行政組織法に基いてと言つておりますので、繰返して申し上げますが、この点は根本的に誤つておるということを指摘したい。  第三点は、この法案関係するところ、多岐多様であります。われわれ労働組合におきましては、電氣通信業務の運営に関しましては、これは廣く一般市民の諸君の公益のために、普遍妥当にこの公器を國民が利用してくださるようにお願いしたいというのがわれわれの態度であります。ところがこの法案の内容を見ますると、そういうことも十分考えてはおるでありましようが、單に業務の能率運営、從業員の業務に関する作業能率の運営というような点をうたつておるのであります。そうしますると、この法案は第三の点においては、結論的に電氣通信業務は、國家がこれを管掌して、國家が全市民に普遍妥当にこれを利用してもらう。しかもその内容は低廉でなければならぬという本質を忘れてしまつて、單に業務の運営がうまく行けばよろしい、從業員の能率が向上すればよろしい、業務の採算がとれて、黒字が出て、さらに拡張すればいいというような、きわめて営利性を蔕びてこの法案がつくられておりまして、公共企業性の電氣通信省と称しながら、きわめて私企業的な傾向をもつてつくられておるところに、われわれは不審を抱かざるを得ないのであります。  第四点は、御承知のように、この法案の第五條を見ましても、必要な設備なり、たとえば業務用資材、研究用資材、さらに事務用資材を調達することについては、電氣通信省にその契約なり、運営については任せるというような條項を置いております。これは現在日本における重要企業形体に諸君が、この業務の運用のために資材なり、あるいは必要な貨材貨物を逓信省に購入せしめておりまするが、そういうことは関係方面の意向も十分聞なければならぬという点も考えられるのであります。それよりも大切なことは、一般國民がこの電氣通信業務の利用についてはどういう考えを持つておるか、どういうような希望を持つておるか、いかように政府に対してこの運営方を要請しておるかという点を、この電氣通信省の設置にあたつてはまず第一に聞く必要があると思うのであります。そういう点を何ら國民に知らすことなく、ほとんどよらしむべし、知らしむべからずという態度でこの法案をつくつておるのであります。こういう態度は少くとも民主國家において、われわれの大切な公器が國民の利用の前に置かれなければならぬという態度から見るならば、明らかに相背馳する。憲法にも書いてある。憲法の前文には、「専制と隷從、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」ということをうたつておりますが、この法案は、まつたく偏狭と圧迫と専制の立場からつくられておるのであります。從つて私はそういう憲法の基本的な態度をはずしてつくろうとしておるこの電氣通信省設置法案に対しては、まつこうから反対します。でありますから、内閣委員会皆さんが御要望になつておるこの五十余箇條の條文について、われわれがどういうふうに考えておるかということをきよう御説明申し上げることができないのは、非常に私は遺憾であります。從つて委員会におかれましては、速やかにこの問題に対する國民の意識を高め、國民各層から選ばれた、特に使用者側に立つておられますところの一般市民の代表を入れまして、そうしてこの電氣通信業務に関する運営についてはいかようにあるべきかということがまず討議せられべきである。同時にこれは一般勤労階級にも、特に全逓その他この業務に参画する機関産業の労働者諸君にも、また至大なる影響を持つておるのであります。從つてそういう諸君の十分なる意見を聞き、皆さんの御参考に供せられるような態度を、國会がとつてしかるべきではないか、かように存ずるのであります。でありますから私は本法案の内容の説明というようなことは本日はいたしませんので、委員長の御要望にも副わないと思いますが、私は本質的に政府に一大覚醒を促しまして、かような法案の上程については、今申し上げましたような精神をくまれまして、十分事前に各界各層の意見を徴することによつて、眞に電氣通信業務が民主的に一元化せられ、運用せられるような方式を御採用あらんことを切望するのであります。  また話を元に返しますが、ややもすると政府はただいまのような不心得な態度で、しかもこの法案を速急に審議せよというような態度を持つておるようでありますが、この問題は特に外國資本の導入にも関係いたしまして、わが國の基本的な産業が將來いかようにあるべきかというような、重大なる問題に関係すると思うのであります。でありまするから、金融関係方面におかれましても、また政府の財政方面におかれましても、また逓信省の会計方面におかれましても、この問題を慎重に考慮せられないと、たとえばここに書いてありますように、所管事項の内容として電氣通信業務に関する一切の内容のほかに、電波の管理業務を担当しており、さらに航空保安に関する業務を担当しておるのでありますが、私は詳しいことは存じませんけれども、少くとも國家が電波統制を行うという場合には、將來つくられるであろうところの放送法案というものにもただちに関係して來る。放送法案関係すれば、一般ラジオの聽取者というような問題にもすぐ問題は触れなければならないし、同時にその業務に携わる一般の業者の諸君の意見も聞かなければならぬという点が完全に了解されて、初めて電波行政に関する管理業務の運営ができるということも考えなければならぬ。航空保安業務に関しましても、常識から考えましても、將來わが國が平和條約を締結し、あるいは現在においても航空権の確保ということは少くともわが國將來の独立を獲得する面においては、領海權と同様に航空權については、至大の影響をわれわれは考えなければならぬ。そういうような重大な問題を單にこの法案では簡單に片づけておりますが、そういうことではこの法案をつくる精神から申しましても、私は非常に遺憾であろうと思います。また電氣通信業務の有線、無線の関係から見ましても、これは現在の電話局の関係もありましよう。また逓信省が全國に有しておりまする一万三千有余の局舎にも関係する。從つてそれはただちに大藏省の予算にも関係する。あるいはそれができない場合には地方公共團体のいろいろな関係にも影響する。特に特定局の問題についてはそういう点が至大な影響を持つのであります。從つて、こういうように單にただこの五人の公述人あるいは参考人意見によつて、この法案がまつたく父なし子のようにやみからやみに通過らしめられるような態度については、私は全面的に反対意見を表明いたします。本日の参考人としての務めには副わなかつたと思いますが、ぜひとも公廳会を開催せられて國民諸君が十分この法案趣旨について納得できるようにしていただきたい。政府の考えている考え他が、この二十二日に出されたマツカーサー書簡の内容の精神から見ても、根本的な間違つた考えでこの法案をつくつておりますので、かような点をこの法案の御審議の上に十分考えていただきたいということを申し上げます。
  12. 小川原政信

    小川原委員長 それでは次は時事通信社社長の長谷川君にお願いいたします。
  13. 長谷川才次

    ○長谷川参考人 私、素人でありますが、感じたことを二、三簡單に申し述べます。  第一に郵政省電氣通信省とができますが、今度の法案では頭だけが二つになつてつて、末端の現業部門では一本になつているようでありますが、この監督と申しますか、連蔕業務をどうするかという点、実際にはこれはなかなかやつかいではないかという氣がいたします。その点が一つと、それから電氣通信省に管理機構があります。これはどうもこれで見ますと四段になつているようであります。これはちよつと実際事務をおとりになる上でややこしくはないか。日本の官業の役所としては、最後の管理所はない方が実際の運営に都合がよくはないかということを考えます。  それから次に人材の養成機関をもつと制度の上にはつきりされたらよかろう。現在もあると思いますが、逓信省吏養成所というのがありまして、私ども通信社の仕事の同僚、先輩でりつぱな人が、この養成所から出て、非常に助けになつております。それが今度の制度ではあまりはつきり出ておりませんので、この点もお考え願つた方がよくはないか。一般の学校で、実際は役に立つような教育をしないのが日本の教育の大きな欠陥であると私は思います。それを補つてつた逓信官吏養成所というようなものがなくなるのですから、これはお考え直し願つた方がよくはないかと思います。  それから、先ほどから、ちよつと急ぎ過ぎるという御意見がいろいろ出ておりますが、まことにごもつともで、これは非常に大事なことでありますから、もし関係方面でいろいろ言われるのでなかつたならば、ないしは言われましても、とくと事情を話して、十分御詮議願つた方がよくはないか。それから関係の、たとえば電氣通信事業法とか放送事業法、ただいま土橋さんのお話もありましたが、そのほか何と申しますか、電波法というようなものもできるでありましようが、それと一緒に、一括して審議するのでなければちよつとむりだ。形式的な議論はいくらでもできるでしようが、実際に関連した法案一緒に考えるべきではないかという点であります。  それから民間の声を聞けという御意見が再三出ました。これもまことにごもつともであります。公廳会けつこうでありますが、そのほかに逓信行政関係の前の方とか、あるいは民間関係事業の連中を集めて、調査会でもつくつて、とくと案をお練りになつたらいかがであろうか。大体私から申し上げるのはそういうことでございます。
  14. 小川原政信

    小川原委員長 それでは次に東洋経済編輯局長綿野君にお願いいたします。
  15. 綿野脩三

    綿野参考人 こういう問題については全然しろうとでございまして、こまかい問題については別に意見は持つておりません。ただ資料を拜見しまして大きな問題が二つあると思います。  一つは先ほどから参考人の皆様からお話になりました、省を二つに分離するという問題。これがいいか悪いかという問題であります。これはその結果役人の數をふやすということになると、非常にやつかいな問題ですが、事業性質として郵政電氣通信は全然別個のものであるという問題からしまして二つわけていい。むしろ分離する方がいいんじやなかろうかと思います。  第二の問題は、二つに分離したものが、依然としてこの法案によりますと、政府事業を原則として行くという案になつているのですが、これがはたしていいか悪いかという問題になると、相当深く檢討を要する問題でなかろうかと思います。郵政事務の方は私見としましては政府事業でおやりになる方が最もいいんじやなかろうかというふうに思います。現在郵政省の中に入れようとしておいでになる郵便事務、あるいは郵便貯金、ないし保險年金事業、こういうふうな事業は治安の問題とか、あるいは衛生の問題とかいうのとよく似ておつて、これは一般の民衆に非常に密接不可分な関係を持つた性質仕事であろうと思います。信書を配達するとか、あるいは零細な預金を扱うとか、こういうふうな事務は國が当然やつてしかるべき問題である。從つて引続いてこれは政府事業としておやりになるのが最も合理的であろうと思います。  しかし問題は電氣通信事業なのであります。電氣通信事業はもちろん非常に公益に縁の深い事業ではございますが、一面にまた民間事業と非常に似た部面が多い。これからは大いに復旧あるいは発達をして行く必要がある。從つてそこで創意もくふうも大いに発揮しなければならぬ。また資金も大いに必要とする。こういうふうな事業を、はたして從來政府事業の形態のままでやつて行つていいかどうかという点については、大きな疑問を実は持つておるのであります。電氣通信省を設置するというこの中の案を見ますと、從來の弊を矯正して非常に能率を増進するような機構にするというふうになつております。実際これを運用するとどういうことになるかしりませんが、おそらく現在よりは能率が上つて行くであろうと思うのであります。しかし一つ重要な問題は、依然として政府事業でやつて行く以上は、やはり政府事業に通有の弊害から、どんなに能率をよく運営しましてもどうしても脱却することができないという一つのリミツトがあるというふうに実は思うております。その問題はいろいろそのリミツトがあると思うのですが、まず第一に資金の調達の問題、これから何十億、何百億の資金が必要と想像するのでございますが、一体そういうふうな資金が今のような政府事業、つまり予算に拘束されたこの制度のもとにおいて、はたして円滑に調達し得るかどうか。もちろん普通一般の歳入によつて調弁しなくてもこれは非常に生産性を持つた事業であり、収益がこれに随伴するから、公債を発行していいとは思うのでありますが、しかし幾ら生産公債と言いましてもこれは無限に発行することはできない。やはりその面から申しますと、これは民営事業に移して行つた方がいいではないか、これが第一点。  それから第二点、從來政府事業というものを通観してみますと、敏速な商工為がなかなかできない、事業を進めて行く必要から見ますと、ある場合には半年、あるいは一年の原料資材を、いい時期に調達する必要が往々にして発生して参ります。そういう際に、はたして政府の予算というものに拘束せられた事業が、敏活にそういう資材の購入がし得られるかどうかという点が非常に大きな問題になつてくるであろうと思うのであります。今申しました第二点はかつて八幡製鉄所がほかの製鉄事業と合同して、今の日本製鉄という民営事業に変形した際にいろいろ議論せられて、やはり敏速な商行為、あるいは資金の調達、こういう面から見て民営が一番いいというので、昭和九年に日本製鉄というものが発生した次第でありますが、この経緯をとくともう一ぺん反省する必要があるのではないか、かように実は思つております。  それから第三点は、長期計画、この参考資料を拜見しまして、この電氣通信事業というものが一年や二年の計画ではぐあいが悪い。五年くらいの長期の計画をもつて、一貫性を持つた事業としてだんだん大きくして行くのでなければ円滑な発展はできない。こういうふうに必要を力説しておるようでございますが、しかしながら政府事業の場合に、はたして五年、十年というような長期事業が遂行し得るかどうかという点に、また大きな問題があると思うのであります。継続費という制度があつて、これが五年、十年の事業をやつて行くように從來から仕組みになつておると思うのですが、しかしながら從來の実際を反省してみますと、なかなか政府がちよいちよいとかわつて行く。その間に財政方針が変更せられて、從來の継続費がちよん切られるという例が非常に多かつたように思うのであります。こういうような状況のもとに、はたして通信事業の発達というものが十分にできるかどうかということが、非常に疑問であろうと思います。  第四点、これは最も重要な問題であろうと思うのでありますが、一体現在の政府事業というものは信賞必罰といいますか、こういう制度が非常に不十分であります。職階制があり、非常に有能な能力を持つておる人でも、これをすぐに相当の地位につけることはむずかしい。また非常にいい発明をしたとかいう人に賞與を與える、褒賞を與えるということが非常にやつかいでありました。これはほかの役人とのバランスの問題もなかなかやつかいなことで、実際將來大いに改めると申しましても、実行はなかなか不可能であろうと思うのであります。これが民営事業であると、そういうふうな規則などに縁なく、敏速に有能な人をどんどん抜擢する、また非常に成績の上つた人には増俸する、賞與を與える。こういうような奬励法が自由自在にできる。そのほか種々の問題があろうと想像しますが、いずれにしましてもこれはやはり民営に持つて行くのが一番いいんじやないか。もちろん民営と言いましても、これは純粹な紡績事業であるとか、セメント事業であるとか、あるいは製粉事業であるとかいうようなもののように、純粹な営利事業というようにはなかなか行きにくい。その間やはり政府の方で監督をするとか、あるいは使用者の任免に制限を付すとか、いろいろの制約は必要であろうと思います。從つてどういうふうな形式の民営事業がいいかということは問題でありましようが、いずれにしましても現在のような、この法案に入つているような政府事業從來政府事業をそのまま継続して行くというふうな形態では、非常に不都合ではなかろうかと実は想像するのであります。  はなはだ大まかな話でございますが、これをもつて終ります。
  16. 小川原政信

    小川原委員長 ありがとうございました。ただいまの参考人の方の御意見に対しまして御質疑はございませんか——御質疑がなければ参考人方々意見の聽取はこの程度にいたしまして、時間の関係もありますから、暫時休憩いたしたいと思います。参考人方々どうもありがとうございました。  ではこれにて暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩     —————————————     午後四時十一分開議
  17. 小川原政信

    小川原委員長 これより再開いたします。  午前に引続きまして、郵政省設置法案電氣通信省設置法案に対する質疑を続行いたします。
  18. 田中健吉

    田中(健)委員 ただいま上程されておりまする郵政省設置法案並びに電氣通信省設置法案について、まず通信大臣にお尋ねいたしたいと思います。審議を非常に急いでもらいたいという御意向のようですが、その急がれる理由、これをまず詳細に承りたい。その急がれる理由は各般の事情からだと思いますが、その各般の事情についてお伺いいたしたいと思います。
  19. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 田中委員にお答えいたします。なぜこの二法案を今期國会において通過するようにしなければならぬか、このことにつきましては、実は御存じのように、國家行政組織法に基きまして、各省の設置法案提出することになつておるのであります。そしてそれは來年の四月一日をもつて発足するということでありますが、他の省と通信省との事情はすこぶる異なつておるのであります。いわば他の省は看板の塗りかえでよいのでありますけれども、通信省におきましては、郵政の事務と電氣通信の事務とを現実にわけていかなければならぬ。すなわち一つの世蔕を二つわけるということは、なかなかなまやさしい仕事でないのであります。そこで御存じのように、今日國会の情勢もなかなか複雜をきわめておる状況から申しますと、來年四月一日に郵政省並びに電氣通信省をりつぱに発足せしむるためには、どうしても今期國会におきましてこの二省設置の根本方針を確立していただかなければ、私どもは管内におりまして、非常に不便を感ずるのであります。もとより通信事業は、國利民福に影響するところが非常に大きいのでありまするから、このことを一たび誤りまして國民に迷惑をかけるようなことが起るならば、私どもはまことに申訳ない。從つてそういう通信省独特の立場を御了察くださいまして、こいねがわくば今期國会において御承認を願つて、そうしてその根本方針に基いて、來年の四月一日にはりつぱに発足したい。こういう念願から特にお願いしておる次第であります。
  20. 田中健吉

    田中(健)委員 お急ぎになる理由としてのただいまのお話は、あまり簡單過ぎて私はとうてい納得できないのです。もつと重大な理由があるのじやないですか。たとえば解散問題とか、あるいは政府都内の官僚と官僚の折合いがつかないとか、あるいは関係方面と何か話合いがつかないでいるとか、何とかいうようないろいろな点があるのじやないですか。話を逆に聞くような形ですが、その点はどうなのですか。
  21. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 この法案の末尾に理由が書いてあります。この理由にありまする通りに、私どもは郵政省並びに電氣通信省を設置する必要を十分に認めまして、その立場から今申し上げたような必要に迫られているわけであります。從つて今御質問になりまするように、省内においていろいろのトラブルがあるのではないかというようなことは決してないのでありまして、むしろ今日逓信省内におきましては、明春四月、さくらの開くころに堂々としてこの二省を発足せしむるために、万遺憾なからしむるようにやつて行きたい。そのためには今日この根本方針を國会において御承認あずかることが最も必要だと感じておるわけでありまして、逓信省内におきましても内閣におきましても、その意味だけでもぜひ今期國会に御承認願いたいと考えるものであります。
  22. 田中健吉

    田中(健)委員 お急ぎになるとすれば、もつと早く出せばよいのであつて、遅く出して來て、日にちもないのに急がれるということはたいへんむりである。それからもう一つの問題は、四月一日というと非常に日にちがありますから、そんなに急がなくても、通常國会でも開いたときで十分間に合うはずのものである。四月一日というのはどういう根拠で四月一日になるのか。この行政組織法が四月一日に発足するのはおかしいと思う。國家行政組織法は一月一日です。それをあなたは四月一日ときまつていると言う。きまつてゐるということは、これは法律を無視してかかつている。もつとも改正法律案は出ておりますが、これはまだどうなるかわからぬ。あなたがおつしやる通り、まことに複雜ですから、その複雜な事情もくまないで四月一日に発足する、発足すると言つても、國家行政組織法がもし改正にならなかつたら一月一日でしよう。そういう観点に立つて急ぐというなら議論になりますが、その点を別にして、どういうわけで急ぐのかわからぬのです。どういうわけで急ぐのか、もつと重大な急ぐ理由があると思いますが、いかがですか。
  23. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 一月一日から発足するということになりますと、私どもの方も二省分離のために非常に困難を來すわけであります。そこでたまたま各省が足並をそろえて一月一日に発足すべきものを四月一日にしよう。こういう政府の立場でありますから、逓信省においてもそれと同じに四月一日から発足する。御承知の通り会計年度の初めでありますから、そういう意味から申しますと、私どもの方もその点につきまして、かえつて仕事がスムースに行くのではないかと思つております。ただ別に何か重大なる原因があつてということは、なるほど今日の國会の情勢からみますと、私どもは逓信省を預つている立場からいつて、氣が氣でないものがあります。しかし四月一日から発足するというためには、どうしても今の國会において通していただいておく方が、手順万端ぬかりなくやることができるのでありまして、これが今期國会で通過しないということになりますと、非常な困難を感ずるわけです。その点について、おそらく田中委員は解散問題その他のことについて、私にそれとなく御質問なさつていることと思いますが、しかしながらこれは私ども逓信大臣がどうすることもできない問題でありまして、その辺はしかるべくお含みの上、御批判願いたいと思います。
  24. 田中健吉

    田中(健)委員 どうもしかるべく、しかるべくと言われても、まことにわれわれも困つておるのでありますが、まず第一に四月一日からやるということになれば、最初國家行政組織法の成行を見なくてはならない。それは四月一日まで施行期日が延期されるかどうかという点を見きわめた上に、本法が提案されなければならないのが順序だと私は思う。他の法令がどうなるかわからぬものを、何もかも一緒にもつて來られて、それやれそれやれと言われてみても、われわれとしてはそういうちぐはぐなことはやれませんので、皆さんのように、とにかく早く出すものを出して、強引に通すものを通させて、そして解散なり何なりやつてしまおう、そういう簡單なことであればいいけれども、われわれはそうそう國会というものを簡單に考えておらないのです。その点委員とは大分意見が違うのではないかと考えますが、それはそれとしても、お急ぎになる理由をあなたと何遍ここで質疑應答してみても、私はまだお急ぎになる明確な理由というものは、ここに発見できないのです。われわれの方としては、これを急いで通してくれと言われても急がれない、ゆつくり慎重に審議して、もしこの法案が重大な法案であつて、慎重審議してなお時日がないとするならば、これは第四國会にあらためて持ち出して、そして殘つている部分を討論するとか何とかいうことをしなければならない。それでもなおかつ時間がかかるとすれば、その場合初めて國家行政組織法の施行期日を延期しなければならない、これが順序だと思います。ところが皆さんの方はそうじやない、最初から四月一日に國家行政組織法の施行期日を延ばすというふうに、前國会においてきめたことを、ただ政府の一方的な理由によつて、自分たちの方でやるだけのことをやらないで、これを國会に押しつけようとしても、それは通らないことであります。それは民自党が絶対多數をもつているならば通るでしようけれども、少數の現在においては通ることはないと私は思いますが、そういう点もお考えになつて、信念に基いてやつたことと思いますが、その信念のほどをこの際ひとつ承りたいと思います。
  25. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 田中委員の御質問は、内閣が一月一日に発足すべき國家行政組織法を、今期國会に四月一日に改めたということと関連して、この二省設置法案の時期の問題について御質問であります。しかしこれは先般私が冒頭において述べましたごとくに、前内閣の閣議において、すでに四月一日に発足するということに確定しております。ですから政府國家行政組織法の施行を、一月一日であつたものを四月一日にしたから、私どもの方がその四月一日にことさらに馬を合せたということではないのでありまして、前内閣の決定に基いて、私どもは四月一日に発足するようにした事情であることを御了承願つておきたいと思います。  さらにこの二省設置の問題につきましては、申し上げるまでもなく、私が冒頭において申しましたようにこれはきのう、きよう思いついて出したものでないのでありまして、長い間の研究調査に基いて、わが國の逓信事業はかくのごとき姿でなければならぬと考えて出したのです。前國会に提案されました逓信省設置法案につきましても、この二省設置の根本理念が流れておるのでありまして、これはきのう、きよう考えてやつたことではないのでありますから、どうかその辺御了承願いたいと思います。
  26. 田中健吉

    田中(健)委員 長い間かかつたと言うけれども、それは関係方面政府との間で長い間かかつたので、われわれは長い間かかつたのではない、この間わかつた話であります。しかし逓信省設置法案はわれわれも長くかかつた、だからよく知つている、この中に二省設置の根本理念が流れていると言うけれども、それはそう流れておりません。それは議論してみてもいいが、議論になるからやめますが、われわれは長い間かかつてつたのです。しかし二省設置の問題は、おれたちは長い間研究してやつたのだ、こう言われてみても、この委員会ではこの間出た問題であつて、自分の方で長い間かかつたからというようなことで押し切られてみても、われわれの方の審議というものはこの間から始まつたことである。皆さんの方ではさだめし時間がかかつて非常に御苦心になつたこれは苦心の作だろうと思います。提案されたわれわれの側からみると、これはこの間出た問題であつて皆さんが三箇月も四箇月もかかつてつたものを、國会だけが一週間にやれというようなことは、これはどだい無理じやないですか。それならばもつとゆとりのある通常國会に出すべきはずのものだと私は思います。私らは元來これについては専門家じやない。ところが専門家の皆さんが數箇月かかつてつたことを、いわばわれわれしろうとのところにもつて來て一週間でやれと言つても、これはとうてい困難なことであります。こういう点から考えてみても、政府の言う急げ急げということは相当むりなことではないかと私は思います。政府並びに関係方面において長い間かかつたものを、國会においてはどういう根拠に基いて短期間にやらなければならぬか、その点お伺いしたい。あなた方さえその位長い期間相当御勉強なさつてつたことを、頭のよくない私らがそう短期間にやれるわけがない。
  27. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 田中委員の御意見に対しては別に反対するものではありません。私どもは國会意思を尊重しなければなりませんし、國会の御審議は十分していただくということについては、私はこれを否定する理由を持ちません。從つて私どもはできるだけ努力して御趣旨に副うために質疑を続けたい、こう思つておりますから、先ほど申しましたように相なるべくならば今期國会において無事通過できますように御協力願いたい。これを特にお願いするよりほかないわけであります。
  28. 田中健吉

    田中(健)委員 どう考えてもこれはむりな話で、これは降旗さんから押しつけられているような感じがいたしますが、何か政府の方には御名案がないですか。三十日までが今期國会で、先の方をぴたつと止められている、十二月からは第四回になつてつて間がない。もし十日ぐらい間があれば、ちよつと延期してやるという方法もあるのですが、何しろみな出口を塞がれてしまつたような形になつておるから…。しかしこれはわれわれがやつたことじやない、皆さんの方でやつたのだから、これは自繩自縛で、これだけは何ともしようがなくなつております。もし通常國会が十二月十一日から召集されておるとすれば、その間十日会期を延長して、そしてこの法案は非常にりつぱな法案となつて通過しておつたのではないかと思う。それなら私らも勉強しながら、慎重に審議することができたのである。そうすれば四月一日などと言わなくても、二月末ぐらいには十分間に合つたかもしれない。もしわれわれの審議に時間がかかるとすれば、これはわれわれの責任じやない、政府のやり方がまずかつたのではないかと思うのですが、その点はどうですか。まずかつたらまずかつたと率直に認めてくださらないのですか。それともどこまでも短期間にやれということなんですか。どう考えてみてもわれわれにはわからない。
  29. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 どうもそう田中委員から御質問を受けると、私もはつきり答弁するのにはどうしたらいいかと惑わざるを得ないのであります。もとより私どもも田中委員のおつしやるように、委員会審議を徹底的にやるということについては、先ほど申しましたように何ら反対を表するものではありません。ですからおつしやるように期間を延ばすことも私は何も不賛成を表するものではないのでありますけれども、しかしながら今日國会の情勢はどうなるかということにつきましては、これは私も田中委員も必ずしもはつきり見通しがつくところではない。そこで私どもこの國家逓信事業をあずかつている立場から申しますと、万が一この法案が通過せざるときに國会が解散になつたようなことがあつたならば、これは私どもが両省を分離せしめて発足することに非常に障害が起ることは目に見えているのです。これは省内の人々と相談した結果、この法案が今期國会で通らなかつたならば、二省分離の問題に非常な難関を生ずるということを私はつくづく聞いておりますから、そこで私はこの解散問題ということは、これは私の今の頭では、ひとつ頭の中から除外して、できるだけ迅速に御審議つて、相なるべくならば、今期國会のうちに皆さん方の御協力と御支援によつて無事通過をはかりたい。こう思うのでありますから、どうぞ御了承願いたい。
  30. 田中健吉

    田中(健)委員 たいへん重大なお話を承りましたが、万が一通過しなかつたら困ると言われるが、私の方はちつとも困らない。困るのは政府です。吉田内閣はやめなければならぬかもしれない。何となれば行政組織法も一月一日からやらなければならぬ。おそらくこれと相関連する問題ですから、そうするとこれをこのまま通過ならないということになれば、どうしても一月一日までに仕上げなければならぬことになつている。それをやらないとすれば、一月一日からは政務次官もいなくなつて、法律によらない各省におるようなかつこうになるから、そんなことはできない話で、困るのは政府の方が困るのであつて、私の方はちつとも困らない。ですから、あなたの方ではいろいろな思惑をやめて、通常國会に出してくださるならば、われわれの方で一月一日から施行できるようにちやんと仕上げてやるわけです。われわれの方で仕上げないということになれば、その場合にはそれを四月一日なり三月なり二月なりに行政組織法を延ばせばよい。これが成立しないとすれば、結局一月一日から逓信省あるいはこの省が発足できないことになるでしよう。そうすると法律によらない國家行政機構というものがそこに存在するということになつて、これは重大な問題で、困るのは吉田内閣が困るのであつて、われわれ野党はちつとも困らないのです。その点はいかがですか。私は困ると言われたからお伺いするのだが、われわれはちつとも困らない。
  31. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 法案が通らなければ困るのは吉田内閣だ、——まさに吉田内閣も困ると思います。しかし私の逓信大臣としてさらに考えなければならぬことは、今申しましたように、逓信事業というものは國民の生活安寧に非常な関係をもつたものでありまするから、そういう意味において所管の大臣としてぜひこれを一日も早く根本方針を確定していただいて、そうして前内閣以來マツカーサー元帥の書簡に基いて進んで來た道を、來年四月一日予定通りにりつぱに発足して行きたい。こういう氣持でございます。ですからおつしやる通りに吉田内閣も困るかもしれませんけれども、私はそれだからと言うて今のことを申し上げたわけではなくて、天下の逓信事業のために、ぜひお願いしたいわけなのですから、どうぞ御了承願います。
  32. 田中健吉

    田中(健)委員 マツカーサー元帥の書簡の話が出ましたが、マツカーサー元帥はいついつかまでにやれと言つて來ているのですか。何か書簡の中に十一月三十一日までにこれを上げなければならぬというふうに書いてあるのですか。もしマツカーサー元帥の書簡に書いてあるとすれば、その点をお伺いしたいと思う。それからまた吉田さんがマツカーサー元帥のところに始終おいでになるようですが、何かマツカーサー元帥からこの問題について必ず十一月三十日までに上げるようにという話があつたのですか。
  33. 降旗徳弥

    ○降旗國務大臣 私は政府としては、やはり最善の道を取ることが必要だと思います。そのためには本法案を成立せしむる上から申しましても、この理由書にありますように、マツカーサー元帥の書簡に基いて発足しておるのでありますから、これは政府がこの両省を設置する上において、各方面のいろいろの情勢、いろいろの知識、いろいろの指導というものを受ける必要があるということは当然だと思います。そこでこのことにつきましては、政府におきましてあらゆる方面の事情を了承いたしまして、四月一日に始めることが最もよいことである。こういうことによつてつておるわけであります。從つて今おつしやつたようなことについて、逓信大臣からはつきり答弁せよとおつしやるかもしれませんけれども、私の今申し上げたことによつて大体御了承願えたいと思います。
  34. 田中健吉

    田中(健)委員 マツカーサー元帥のことは私はここに出そうと思わなかつたのです。ただあなたの方で言われたことがマツカーサー元帥から書簡が來たから今月中にやらなければならぬというふうに受取れるのですが、これは私の取り方が悪かつたのでしよう。そうすると、何も元帥から十一月三十日までに上げなければならぬというようなことを、あなたにも吉田さんにも言われているわけではないでしよう。その点はどうなんですか。非常に重大だと思う。
  35. 小川原政信

    小川原委員長 ちよつと速記をとめて…。     〔速記中止〕
  36. 小川原政信

    小川原委員長 速記を始めてください。
  37. 唐木田藤五郎

    ○唐木田委員 本日はこれにて散会し、明日午後一時から委員会を開催されんことを希望いたします。     〔「賛成」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  38. 小川原政信

    小川原委員長 それではこの程度で散会いたします。     午後四時五十分散会