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1948-11-27 第3回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十七日(土曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 山口 好一君    理事 小暮藤三郎君 理事 矢尾喜三郎君    理事 坂口 主税君 理事 小枝 一雄君    理事 門司  亮君 理事 大石ヨシエ君       千賀 康治君    武藤 嘉一君       竹谷源太郎君    坂東幸太郎君       川橋豊治郎君    木村  榮君  出席國務大臣         國 務 大 臣 岩本 信行君  出席政府委員         総理廳事務官  荻田  保君         運輸事務官   大久保武雄君  委員外出席者         運輸事務官   赤木  渉君         運輸事務官   相原 光雄君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 十一月二十五日  委員石神啓吾君辞任につき、その補欠として正  木清君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十七日       大石ヨシエ君    坂田 道太君       門司  亮君    高岡 忠弘君  が理事追加選任された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  地方財政委員会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号) 同月二十五日  地方起債現金化に関する請願上林山榮吉君紹  介)(第四二七号)  市町村に対する配付税確立に関する請願上林  山榮吉紹介)(第四三二号)  市町村における國又は縣に関する経費財源確  立に関する請願上林山榮吉紹介)(第四三  三号)  自治体警察費に対する配付税増額請願上林  山榮吉紹介)(第四三四号)  國税及び縣税の公正化に関する請願上林山榮  吉君紹介)(第四三五号)  自治体警察費増額に関する請願海野三朗君紹  介)(第四四七号)  廣島縣の公共土木事業起債認可に関する請願  (平川篤雄紹介)(第四七四号)  全國町村会議長会議法制化に関する請願(坂  口主税紹介)(第五八三号)  地方自治法の一部を改正する請願山口好一君  紹介)(第六二三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  選挙関係法規改正に関する陳情書  (第三七〇号)  自治体警察緊急経費全額國庫負担陳情書  (第三八〇号)  衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書外  一件(第三  八四号)  衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書  (第三八九号)  地方起債範囲拡大に関する陳情書  (第四三三号)  衆議院議員選挙法の一部改正に関する陳情書外  二件(第四三  四号)  寒冷地帶に対する配付税増額陳情書  (第四三九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事追加選任  地方財政委員会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)  鉄道及び海上警察活動状況に関する説明聽取     ―――――――――――――
  2. 山口好一

    山口委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入りまする前に御報告いたしておきたいことがあります。去る十一月二十五日委員石神啓吾君が委員を辞任せられ、その補欠として同日正木清君が委員に選任せられました。  また去る十一月十六日の第三回の委員会において御報告いたしておきました長橋茂男君がこのほど正式に專門員に発令がありまして、本地方行政委員会づきになられましたので、御紹介いたしておきます。
  3. 長橋茂男

    長橋專門員 どうぞよろしく。     —————————————
  4. 山口好一

    山口委員長 なお前國会の閉会中において帝銀事件搜査に関する努力に対し、その労をねぎらうために、警視廳を訪問いたしましたことに対して、今度礼状が委員会一同あてに参つておりますので、ここで朗読いたして、皆さんにお傳えいたしておきたいと思います。   謹啓時下晩秋の候彌々御清穆之段大慶の至りと存じ上げます陳者今春管下に於て発生せる犯罪史上にその類例を見ざる帝銀毒殺事件搜査につきましては小職非才え為長期間に互り御迷惑をお掛け致しましたることは深く御詫び申上げる次第で御座います。   幸に貴下の御理解ある御激励と御指導とにより係員の涙ぐましい搜査活助となり遂に犯人を逮捕し起訴の運びとなりましたことは感激これに過ぐるものは御座いません予て搜査本部に賜りました全員は去る十月二十九日当廳に於て搜査打上げ式挙行の席上本廳並に各警察署員中の関係功労者に対し夫々御貴台の御厚志を添えて賞與致しました各員この感激と御厚志の程を深く胆に銘じ愈々首都治安完璧を期する覚悟を更に堅く致しました何卒此上共指導協力を賜るやう御願い申上げまして寸楮を以て御厚礼に代える次第で御座います。             敬 具  十一月二十二日    帝銀毒殺事件特別搜査本部長     警視廳刑事部長 藤田 次郎   衆議院治安委員一同殿     —————————————
  5. 山口好一

    山口委員長 それではこれより本日の日程に入ります。日程第一の理事追加選任の件はあとまわしにいたしまして、まず第一に地方財政委員会法の一部を改正する法律案議題に供します。  それではまず提案理由説明を聽取いたします。國務大臣岩本信行君。
  6. 岩本信行

    岩本國務大臣 ただいま議題となりました地方財政委員会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の大略につきまして簡單に御説明申し上げます。  本法案は、本年十二月六日をもつて満了いたしまする地方財政委員会存続期限を一應明年三月三十一日まで延長せんとするものであります。御承知のごとく地方財政委員会は、地方自治確立方針に即應する自主的地方税財政制度企画立案機関として本年一月七日発足以來、着々その効果をあげて参つたのではありますが、その存続期間法律公布の日から一年間とされているため、本年十二月六日をもつてその存続期間が満了するのであります。しかしながら自主的の地方税財政制度確立は、経済その他諸般情勢上いまだ完了するに至つておらず、さらに大改革を断行する要切なるものがあるのみならず、根本的に地方行政財政全般にわたつて自治擁護並びにその振興をはかり、また中央地方との連絡を密にするため、中央に民主的で地方行政財政を総合的に所管する機関設置することは政府もその必要を痛感しておりますし、かつはまた地方公共團体の側からの熱烈な要望もあつて政府地方財政委員会存続期間の満了を機会に、現在の地方財政委員会総理廳官房自治課とを総合して、地方自治委員会設置すべく準備しつつあつたのでありますが、諸般情勢により、かつはまた会期の関係もありまして、遺憾ながら本國会提案する運びに至りませんので、とりあえず現存する地方財政委員会存続期限來年三月末まで延長することとし、地方自治擁護ないしは振興をはかる機関設置については、明年三月三十一日までにさらに根本的な檢討を加えた上で決定いたすことといたした次第であります。  何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを、お願いいたす次第であります。  なおこの機会御礼を申し上げておきます。地方自治委員会法を何とかこの機会に提出したいということで、政府においても盡力中でありましたが、特にこの委員会においてその重要性を御考慮くださいまして、いろいろと御配慮になりましたことを厚く御礼を申し上げておきます。
  7. 山口好一

    山口委員長 御質疑はございませんか。
  8. 坂東幸太郎

    坂東委員 この際参考ちよつとお伺いしますが、聞くとろによりますと、第二國会地方が酒の税金百分の五をとることをきめましたことにつきまして、あるいは大藏省がそれを國家に回收するというような企てがあることを聞きましたが、それにつきまして地方財政委員会で聞いておりますか、お伺いいたします。
  9. 岩本信行

    岩本國務大臣 ただいま坂東さんから御質疑のあつた点は、いわゆる酒の消費税の問題であろうと存ずるのでありますが、あの件は前國会において坂東さん初め非常に御盡力の結果、地方財政を潤すためにとれたのでありまして、そんなような計画があることも聞いておりませんし、万一そうして事実が起つたといたしましても、前会以來の御盡力を無にしないように、地方財政委員会としては極力あれを確保するという考え方でございます。
  10. 坂東幸太郎

    坂東委員 この点につきましては、委員会前身である治安及び地方制度委員会で満場一致をもつてきめたのでありますから、絶対に大藏省に返すことは相ならぬと思うのであります。十分御檢討を願います。
  11. 岩本信行

    岩本國務大臣 ただいまの坂東さんの御趣旨に沿うべく全力を注ぐつもりであります。
  12. 木村榮

    木村(榮)委員 この地方財政委員会法を延長することに対しては別に反対ではありませんが、しかしながら來月の六日まで大体期間があつて、まだ通常國会にも相当期間があるわけなのですが、地方自治委員会法案そのものは、どうしてもそれまでに私たちがもらつた原案に基いて、少々いろいろな点で書き改めるとか何とかいうことは別個といたしまして、やる見込みがないという結論に達したためにこれが出たわけですね。
  13. 岩本信行

    岩本國務大臣 ただいまの木村さんの御質疑の点でありますが、率直に申し上げます。関係筋へずつと折衝中でありまして、しかも大体ほとんどの了解を得ておりましたが、どうしてもここに提案することができなくなりました理由は、地方財政の問題は非常に重大だ、從つて関係筋としても眞劍にこれに取組んで研究してあげたいということで、アメリカへ地方財政権威者を十数人現に呼びに行つており、それがもう到着するほどの段階に來ておるのでありますから、その人々意見日本政府考えておるところとをよく総合して、誤りない確立を遂げたいということで、要するに向うが心配してくれるあまり專門家を呼びに行つた、その人々が最近到着される見込みだ、こういう話でありまして、まことにこちらも感激する問題でありますが、どうもこの臨時國会中には向うからも到着にならず、打合せもできませんので、とりあえず十二月六日で切れますから、來年の三月まで延期いたしておいて、その間には必ず到着されますので、その御意見等も承つて、根本的な確立方策を立てたい、こういうことになつておりますから、どうぞその点御了承願いたいと思います。
  14. 木村榮

    木村(榮)委員 向うの專門の方々助言といつたようなことは、むろんわれわれとしても別に否定はいたしませんが、こういつた地方財政の問題は、そう一々向うさんの御檢討を願わなくとも、一番よく知つておる、日本で生活しておるわれわれが最もこういうような問題に取組んで研究をしなければならないし、またその任務を持つており、同時に果しておると思うのであります。從つて今の國務大臣お話だと、向うさんの研究の結果がおもで、それに従うようなお話のように聞きましたが、私はそうじやなくて、この地方行政委員会のわれわれの方が徹底的にこの問題を檢討いたしまして、向うさんの助言参考として聞くという程度のものであつて、この地方自治委員会法案が不完全なものということになれば、あらためてもつと完全なものに研究するという建前に、委員会自体が動くことが正しいのではないかと思います。ただ單に向う助言ということでやつて行くという行き方でなしに、こつちが主体であつて向う助言参考にするという方向で、これでは不完全だから正しいものにこしらえ直そうという考えで、その時間的余裕がないから、とりあえず今までの地方財政委員会法を延長しておこうというのなら納得ができますが、そうでなくて、向うさんにこしらえてもらうのに時間が間に合わないから延ばすというのでは、どうも私は賛成しかねます。
  15. 岩本信行

    岩本國務大臣 ただいまの木村さんのようなお考え方も一應ごもつともだと存じます。しこうしてまたお話の筋のようにわれわれも考えたのでありますが、関係筋では、これはちようど大修正を加える時期が來ておるので、それがために強力な助言もしてみたいということで、わざわざ專門家を呼びに行つておるのだ、それも遠からず到着する予定であるのであるから、一應日本側考えているところ、向う專門家考えておるところを照し合せてりつぱなものをつくり上げることがよいと思うので、法案そのものには決して反対ではないけれども、その間ひとつ待つことが至当ではあるまいか、こういうことなのでありまして、せつかく向うの御好意もありますから、今の木村さんのお話のようなことももちろん考えられますけれども、とりあえずはこういうふうに御延期を願つたような次第でありますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  16. 木村榮

    木村(榮)委員 そこで小委員会が三つか四つできておるはずなのでありますが、あのどこかの小委員会に入ると思いますが、そうした小委員会で、この地方自治委員会法といつたようなものの檢討をさつそくやることを條件にしないと、あとはもうかいもく見当がつかない、まあしかたがないから地方財政委員会を延長しておくだけだというような、消極的なきわめて能力のないような委員会の性格でこれを延長することはきわめて不合理だ、だから委員会でも小委員でもよいのですが、とにかくこの問題はさつそく完璧なものをこしらえることを開始する、これは決議でなくてもよいのですが、そういつたようなことを念頭に置いて、それを條件として、とりあえずその間地方財政委員会法延期しておくのだということだと思うのでありますが、さよう解釈してさしつかえありませんか。
  17. 岩本信行

    岩本國務大臣 地方財政委員会というこの制度のあります委員会の方でも、もちろん愼重に、延期なつたからそのままということでなくて、研究を続けて参ります。しこうしてこの委員会の方にも御苦労なさつた委員会ができておることを承知いたしておりますので、そのお方々にも御熱心に御研究を遂げていただきまして、向う助言助言として、こちらとして自主的につくることを目標に考えますから、どうぞただいま御説のありましたような趣旨で、お骨折りを特にお願い申し上げる次第であります。
  18. 坂東幸太郎

    坂東委員 ただいまの木村君の御説に私も同感ですが、実はこの委員会前身治安及び地方制度委員会におきましても、ただいまの岩国國務大臣の御発言のようなことを、地方財政委員会法案の中に入れるつもりであつたのであります。つまり地方自治体を國家がある意味——監督とまで行かなくとも、監督し得べきような連絡を保つというような意味を入れようとしてのでありますが、関係方面のある政策上、それは不可能になつたのであります。從つて今後われわれ委員会研究するとしても、國家地方團体を監督するような点はむずかしいかもしれませんが、地方財政完璧をはかるという意味におきましては、われわれ委員会は十分研究しなければならぬ、こう思つておるわけであります。
  19. 小暮藤三郎

    小暮委員 本法律案はさきに本委員会で十分檢討いたしましたけれども、ただいま政府当局からもお話がありましたような経緯のもとに、いずれ次の機会にまつというようなことになつておりますために、ここに本法律案を急に國会において議決をしたい、從つて委員会に付託されておるのでございますから、この場合お諮りいたしますが、本法律案は即決可決するようにお運びを願いたいと思うのであります。なおただいま委員長からお話もございましたが、この場合に希望意見を付しておきたいと考えるのであります。その希望意見としましては、かように考えておりますのです。現行の中央における地方自治所管行政機関は微弱無力にして、民主政治確立の基礎たる地方自治の強力な進展を期することはとうてい困難である。よつて本院は國と地方公共團体との緊密な連絡をはかるとともに、地方自治行政及び財政を統一的に所轄し、國家公益地方自治権との調和をはかるべく、強力かつ民主的な地方自治総合連絡調整機関の急速な設置を期す。かような希望意見を附帶して本法律案を通過させたいと思います。よろしく御賛成を願います。
  20. 山口好一

    山口委員長 ただいま小暮君より、質疑はこの程度に打切りまして、討論を省略して、即決いたしてはとの動議が提出いたされました。なおそれに希望條件といたしまして、ただいま申されました條件を附帶しまして即決いたしたいとの御動議でありますが、御異議ございませんか。
  21. 木村榮

    木村(榮)委員 その問題は私は何も異議を申し上げはいたしませんが、しかしながら大体いくら簡單法律案であつても、法律を一應こしらえるわけなのですから、きようはしかたがないとしても、もう少しある程度の人間が出てやらないと、決定はこれでは困ると思うのです。この間内閣委員会では、國家行政組織法の一部を改正する法律案で、ちようどこれと同じことであつて來年の一月一日から発足するものを四月一日に改めるという問題だけの法律案でございますけれども定員がなかつたというので今問題になつているわけです。これは社会革新党田中健吉君がその問題を出しておりますが、なぜかと申しますと、この國家行政組織法は、この前の國会決算委員会において、私も田中君とやつたのですが、約一箇月半にわたつて相当愼重審議討論いたしまして、そのときに期限の問題も、最初は七月三十一日というのを諸般情勢上一月一日というところまで改めて、その日附の問題も相当大きな討論題目になつてきまつた法律案であります。だから田中君としては、責任上一月一日が四月一日になるような簡單なことであつても、その当時の考えは相当堅持しなければならぬという建前もあつたのに、わずか三名か四名でやつてしまうのは不合理であるというので、あとから問題になつたわけであります。この問題はあとから問題になるようなことはないと思いますし、また私も問題にしようとは思いませんけれども、そういうことがあとから起つて來ると、だれも困るわけなんです。だからそういう点をひとつ御考慮になつて、少くとも法律の一部改正案であつても、通る場合は定員くらい、会議が成立するくらいの者がおらぬと非常に都合が惡いということを特に申し上げておきます。
  22. 山口好一

    山口委員長 ただいま木村君の御注意もありましたし、あとから來た方もありますので、もう一應はつきりと申し上げて採決をいたしたいと思います。ただいま議題に上りました地方財政委員会法の一部を改正する法律案につきましては、討論を省略して採決をいたします。御賛成の方の御起立を求めます。     〔総員起立
  23. 山口好一

    山口委員長 起立総員。よつて本案原案の通り可決されました。     —————————————
  24. 山口好一

    山口委員長 では次に日程理事追加選任の件を議題に供します。本委員会理事は現在民自、社、民及び小会派より各一名ずつ出ておりますが、委員会運営に鑑みまして、民自、社、民及び小会派より各一名ずつ理事追加選任いたすことにいたしたいと存じますが、いかがでしようか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  25. 山口好一

    山口委員長 それでは御異議ないようですから、さようとりはからうことにいたします。理事追加選任方法はいかがとりはからいましようか。
  26. 坂東幸太郎

    坂東委員 委員長において御指名あらんことを望みます。
  27. 山口好一

    山口委員長 ただいまの坂東君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 山口好一

    山口委員長 御異議がなければ坂田道太君、門司亮君、高岡忠弘君、大石ヨシエ君を理事に加選任いたします。     —————————————
  29. 山口好一

    山口委員長 それでは次の日程鉄道及び海上警察活動状況に関する説明聽取をいたします。まず海上保安廳の長官の大久保君が出席いたしておりますので、大久保君より御説明を願います。
  30. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安廳の成立につきましては、皆樣にたいへんお世話になりまして、おかげさまをもつて海上保安廳発足以來約半歳を経過した次第であります。この機会海上保安廳のその後の経過を皆樣にごひろう申し上げたいと思います。  海上保安廳は五月一日海上保安廳法に基きまして発足いたしたのでございます。現在海上保安廳には恒久定員約五千人、臨時定員約三千人、合計八千人をもつて職務の遂行をいたしております。船舶巡視船二十九隻、掃海船五十三隻、港内艇百三隻、燈台補給船五十二隻、測量船二十隻、集船二十三隻、合計二百八十隻の船遂を所在いたしております。この中で海上保安治安業務に專属いたしております巡視船は二十九隻でございます。約百トン足らずの木船をもつて現在まで海上治安維持に当つておるような次第でございます。海上保安廳裝備に関しましては、ただいま申しました船舶性能を向上して行くという点と、法律に許されておりますところの武器の携帶という問題があるわけでございます。船舶性能の向上につきましては、現在の船舶がおおむね非常に古い木船主体としておりまして、これをもつて一万海里になんなんとする日本近海治安任ずるということは、非常に困難でもございまするし、また性能上不適当な点もございますので、一日も早く船の裝備を完全にすることにつきましては、私ども多大の関心を持つておりますような次第であります。この点につきましては、現在各地方行政機関に所属しておりまする船の中で、相当優秀な船を海上保安廳にこれを引継ぐという点に関する関係方面との打合せが進行いたしておりまして、警察船その他各府縣所有船でありまして、性能もよく、相当大きな船はこれを海上保安廳において引継ぎをいたして、一元的に回船をいたして海上治安の全きを期する方法に目下打合せを進行いたしております。そのほか船舶運営会が所有しておりました鉄船の大きな百トンないし数百トン程度の船につきましては、これまた海上保安廳にこれを引継ぐことを適当と認めまして、これまた運営会との間に引継ぎを折衝いたしておるような次第でありまして、遠からず巡視船に充当する船を若干強化することができるものと存じておる次第でございます。人の武裝に関しまして、海上保安廳治安任務の性質上、また最近における海面における諸般治安状況事態からいたしまして、一日も早くこれを整備いたしたいと考えておる次第であります。この点は諸般の事情からいたしまして、まだはなはだ不十分で、ほとんど武裝らしい武裝をいたしていないといつたような次第であります。この点は私ども常に心を碎いておる次第であります。一日も早く適当な武裝をするということにつきましては、万全の努力と、関係方面の御了解を得るように努めたい、かように存じておる次第でございます。  次に警察機関との連絡調整の問題でございます。海上保安廳発足にあたりましても、皆樣方からいろいろ御好意ある御心配をいただいておりまして、私どももこの点に関しましては常に留意をいたして、警察当局連絡緊密化をはかりつつ今日に至つておる次第でございます。從來の諸般檢挙件数の中におきまして、陸海の警察協力をいたして取押えました事件も相当あるのでございます、全体の連絡方針といたしましても、常に陸上警察より依頼がありました場合におきましては、優先的に船を出し、またこれに対して協力をするという態勢に向つて訓練もし、またそういう行動をとらしておるような次第でございます。また当分といたしましても、武裝その他の関係からいたしまして、当方の勢力のみでは不完全であると考えた場合におきましては、常に陸上警察協力依頼をいたしまして、必要なる要員の派遣をお願いしておるような次第でございます。なおまた警察機関と私どもの方との職域の調整につきましては、國家警察範囲水上警察は、全面的に海上保安廳引継ぎをいたしまして、自治体警察水上につきましては、これはやはり自治体の職能からいたしまして、自治体に当然付随しておりますところの岸に近接した海面におきましては、ある程度自治体がこの水面について責任を負われるということも、また必要な事態もあるわけでございまして、この点については自治体との間に完全なる協力をいたしまして、自治体においても一定の範囲の取締りをやつていただくということの点につきましては、私どももこれを認めまして、相互協力関係を設定しておるような次第でございます。但し現在の状況におきまして、船舶を保有し、これを警察任務に充てるということは非常に莫大の経費を要する次第であります。かようなわけでありまして、中小都市におかれましては、これを海上保安廳の方に引継ぎをいたしたいという御希望もあるのであります。その例といたしましては、御承知の九州の洞海湾地帶においては、三つの大きな都会が接続いたしておりまして、あの盲腸のような洞海湾をめぐつて非常に犯罪の多い地帶でございます。この点は三つの自治体がわかれて警察行政を遂行するということは、非常に権限の分配その他からいたしまして複雜でございまして、これを組合警察をもつて一体としてやるという案もございますけれども、なお完全ではない。そこでこれを海上保安廳によつて一元的に遂行してもらいたいということを、三市の市長、市会並びに関係國会議員の方からも御熱心なる御陳情を受けた次第でございます。この点については関係当局とも折衝いたしまして、現場において調整をして、洞海湾の水上はこれを海上保安廳において実施するということにいたしたような次第でございます。なおまた瀬戸内海一帶の水上につきましては非常に島々が錯綜いたしておりまして、これまた諸般警察事犯が起る海域でございます。これもなるべく分割しないで、海上保安廳一本でやつたら適当ではないかということを、廣島管理区の本部の方からも御依頼がございまして、これまた関係方面とともに現場に参りまして、陸上警察海上警察が相互打合せの上、目下船舶引継ぎ並びに警察職員の海上保安廳への引継ぎに関しての打合せを取進めておるような次第でございます。かような次第でございまして、陸海の警察は常に緊密なる協力関係におきまして、いまだ十分とは申されませんけれども、皆樣の御期待に沿うべく、全幅の努力をいたしておりますような次第でございます。  海上保安廳が五月に成立いたしましてから、海上保安廳船舶において檢挙いたしました件数も、四月以前とは雲泥の差がございまして、五月以降急激なるカーブをもつて檢挙件数等も上昇いたしております。すなわち巡視船のみが檢挙いたしました件数も、五月三十九件、六月二十三件、四月二十九件、八月二十六件といつたような次第でございまして、昨年の五月以來今年の四月までで、巡視船海上保安廳設立前やつておりました檢挙件数のすでに数百パーセントに達しておるというような次第であります。またその中で私どもの方の最も多い犯罪は、何と申しましても不法入國並びに密貿易に関する事犯でございます。この点は法律にも規定してございますように、私ども相当力を注ぎまして、この点の取締りに当つておる次第でございます。かような意味からいたしまして、目下私ども船舶勢力の約半数をさきまして、これを九州方面の海域に配備をいたしておる次第でございます。そこで密入國、密貿易関係の事犯におきましては、全犯罪の檢挙人員五月五百五人、六月五百十九人、七月五百二十七人、八月八百三十八人というふうに増加いたしております。その檢挙人員の内訳を申しますと、五月は五百五人のうち日本人は百十五人、その他は日本人以外であります。六月の五百十九人のうち日本人が百四十一人、その他は日本人以外、七月の五百二十七人のうち日本人は百九十六人、あとの約三百三十人は日本人以外、八月の八百三十一人のうち日本人は百二十六人、あとの約七百十人は日本人以外であります。かような次第でございまして、私どもの仕事は日本人以外の方面に対する関係が非常に多いのでありまして、この点は私どもの仕事の一つの特色であるのであります。かような次第でございまして、九州に大部分の勢力を配備いたしておりますが、九州におきましては、対馬、五島並びに関門海峡、ここに最大の力点をおいております。そこで最近はこの辺の取締りが相当効果を発生したものと考えられます。自然犯罪並びに犯罪船舶の移動が九州の南方面、天草から鹿兒島、さらに日本海方面は鳥取方面から舞鶴方面までその移動範囲が延びて参つておるということがいえるのであります。この点は私どもの最も重大なる地点であるところの対島、五島、関門における取締りを避けて、逐次日本海及び東支那海の両方面にすなわち船舶航行としては困難な方面に分散しつつあるということが指摘されると考えるのであります。從いまして取締りの状況としましては相当効果を発揮して、これがために密貿易のやり方が非常に危險性を伴う一は八かの方向に変換しつつある、こういうことが立証できるものと考えております。  かような次第でありまして、はなはだ裝備の不完全なままに、職員はほとんど無手をもつて、あるいは相手はダイナマイトを持つているかもしれない、あるいは相当の武裝をしているかもしれないという相手に対して、取締りの任に当つておるような次第であります。実は過般九州方面を担当せられている関係方面から、私どもの九州海上保安本部に対して感謝状を十月の末に頂載いたしました次第であります。これは職員が日夜荒波と闘いながら努力しておりその努力に対して、関係方面においてもこれをお認めくださつたものと私は信じておるのであります。この点皆樣に御被露申し上げ、御報告いたしたいと存ずる次第であります。  次は日本の漁船並びに機帆船等のマツカーサー・ラインの越境の問題でございます。日本近海におきましても漁業違反が非常に多くございまして、私どもの方の取締り対象にもしばしばこれがかかつて來るのであります。漁業関係諸法規に規定しておりますところの漁業の秩序維持ということについては、非常に力を入れておるのでありますけれども海上のことでもございますし、しばしば漁業違反が行われているような次第でございます。特に漁船は國際的な問題を惹起するわけであつて、私どもとしましては、これらの点については十分に農林当局とも打合せをいたしまして、日本の漁船が自粛自戒いたしまして、この漁区に関する制限を正当に守るということについては、十分注意を喚起しているような次第であります。幸いにして東支那海方面の磯反は最近ほとんどないような次第であります。ただ北方方面において、この夏以來相当日本漁船の拿捕問題が起つたのであります。この点についてはその後関係方面にもお願いいたして、諸般調整をいたしております結果、最近においてはその関係がほとんどないような状況まで立ち至つておる次第であります。  次に私どもの方は航海の安全という立場からいたしまして、船舶が必要なる人命救助の設備を整えておるかどうか、あるいは船舶火災に対する予防装置を持つておるかどうかという点については、常にこれを安全の立場から監視をいたしておるのであります。そこで先般瀬戸内海を航行する船舶に対して一齊檢査をいたしました。約二百五十隻の臨檢をいたしたのであります。これは情状の重きものに対しては航行停止をする必要性があるのでありますけれども、今回は最初のことでありますので、單なる檢査、注意にとどめたのであります。この結果二百五十隻の中において一應船舶安全法その他必要なる設備を整えておりますの田、わずか三分の一に過ぎないのであります。三分の二は何らかの意味において船舶安全上欠陷があるという結論に達したのであります。この点は目下関係方面とも打合せをいたしまして、どうして船舶の航行の安全、人命の危險を防止するかということにつきましては、目下打合せ中であります。この檢査は全國に廣げまして、全國の統計をとつた上で、適当な今後における予防策を講じたい、かように考えている次第であります。  次に船舶の救助に関しましては、これは海上保安廳の重要なる任務の一つでございます。海上保安廳ができてから、船舶の救難に関して極力力を入れている次第であります。船舶の救助件数は五月八件、六月四件、七月十三件、七月までの合計二十五件であります。船舶と申しましても、現在はいかなる小船でも数百万円の値いがいたします。しかもこの船には貴重なる人命と、非常に高價なる船貨を積んでおります。これが海底に沈んで全損になるということは、國家的に見ましても非常なる損害でございます。これの救助に対してはあらゆる努力をいてしております。先般当委員会においても御注意がありまして、水難救済会の強化ということについては、鋭意その案の考究中でございます。近く船舶救難体制を全面的に強化する案を得て、実施いたしたいと存じておる次第であります、幸いにして海上保安廳成立以來漁船舶員の方面から、海上保安廳が毎日毎日徹宵全國海上保安廳無線を動員して、SOSを探知するやいなや、ただちに救難艇を発して救助におもむくという点について、そういう救難業務を專心やつている役所があるということを、船員、船主方面でも御認識くださいまして、最近それに対する感謝の言葉を承るようになりましたことは、海上保安廳として最も喜びとする次第であります。救難業務に関しては、今後においても最大の努力をいたしたい、かように存じている次第であります。  最後に瀬戸内海に敷設した機雷の掃海であります。女王丸の沈没によつて相当世間の耳目を騒がせましたが、その後においても今年に入つて、夏以後においても瀬戸内海において機雷にかかる船がすでに数隻起つておるのであります。機雷の掃海は非常に困難であつて、私どもの職員はほとんど身を挺して機雷にぶつかる、体当り惻法で掃海しておるというような状況でございます。すなわち掃海の方法は、電流を自分の船のしりにひつぱつて三隻編隊で掃海をする方法と、それからギニア・ピツグと申して、犠牲の豚といわれておりますが、自分が犠牲の豚になつたつもりで、自分の船体に電流のコイルを巻き、船舶全体を磁氣にしてその機雷の上を航行するのであります。機雷が爆発いたしますと、もちろん乘組員は殉職いたします。そこで乘組員の安全をはかるために、甲板において機関の操縦をする。遠隔操縦をして、しかも操縦席の上にはマツトといつて、蒲團のようなものを天井につるしておつて、下で爆発して天井に飛ばされても頭を割らない、それから乘組員は全部救命具をふだんから体につけて、いつ海の中へほうり込まれても何とか助かるというような、ほとんど非常態勢をとつて機雷の上を航行しておるような次第であります。かようにいたしまして、瀬戸内海の航海の安全については私ども最大の力を盡して掃海いたしておりますが、幸い最近機雷原に関する非常に詳細なる図面を関係方面から入手いたしまして、これが非常な効果をあげて、必要なる海面の掃海が急速に進行するという態勢をとつて來ましたことは、非常に喜ばしいことと存じております。最近は私どもは瀬戸内海を一般の民生の安定に資するために、民生に必要なる航路、それから日本の観光事業の発展のために、観光に必要なるルート、それから最近外國船を日本が注文を受けまして、その外國船の試運轉をやらなければならない、試運轉海面、それから逐次外國の輸入物資が各港に入つて参ります。そこであるいは八幡に鉄鉱関係を入れるために洞海湾の掃海、関門海峡の掃海、さらに最近は伏木方面に鉄鉱石を入れますために、日本海方面の掃海にまで手を廣げて、一日も早く海上の危險を取除くということに努力をいたしておるような次第でございます。幸いにいたしまして、現在まで日本が掃海いたしました航路において、まだ一発の機雷にも触雷してはいないということを申し上げ得ることは、非常に私は喜びとする点であります。私どもがこの点は掃海を終えたということを告示をいたしまして、その航路に一発でも機雷が爆発をいたしますと、私どものあらゆる苦心というものがその一発によつて水のあわになるのであります。一発の触雷が起つたか起らないかということは、私どもはほとんどオール・オア・ナツシングであるというぐあいに考えまして、眞劍に取組んでおる次第であります。しかも廣い海面を、あの船の航跡を縫いましてほとんど二千メートルの航路なら航路がまつ黒くなるまで、その航跡を塗りつぶすまで掃海をしておるのであります。かような状態で、おかげさまをもちまして、海上保安廳も非常に御期待通りには参らぬと存じますが、一歩々々法律に予定されまして目標に向いまして全職員が努力をしておるということを、この際申し上げることができますことは喜びとするところでございます。なお申し遅れましたが、私どもの職員の訓練に関しまして、海上保安に関する学校を設立しておるわけでありますが、幸いその第一回生が十一月上旬に約八十二名卒業いたしました。檢察廳その他の御協力によつて職員の訓練をいたしておりますが、逐次全國においても、職員が各方面の訓練を経まして、必要なる取締りに万全を期し、また人格の修養、鍛錬に進み得るという態勢に相なつておることを最後に申し添えさせていただきたいと考えます。これをもつて経過報告を終らせていただきたいと存ざます。
  31. 山口好一

    山口委員長 それでは次に鉄道警察活動状況について、公安事務官赤木渉君。
  32. 赤木渉

    ○赤木説明員 鉄道公安の状況について簡單に御説明申し上げます。終戰直後の鉄道交通の公安状況は非常に混乱をきわめまして、一例をとつてみますと、大阪駅で起つた暴行傷害事件、ことにこれは駅員に対します暴行傷害事件だけで一日に六、七十件という数を数えております。これは主として日本人以外の人によつて行われたようでありますが、当時警察の虚脱状態といつた大きな欠陷がありました結果、そういつた全國で数えきれない暴行事件を繰返して來たのであります。これは戰爭以來逐次増加の傾向にはありますが、鉄道に託送された荷物の事故件数、これは昭和十一年を百として二十二年で実にその百八十六倍、こういう累増ぶりを示しております。そこで荷物、貨物、旅客、交通に対します公安状況を何とかしなければならぬということで、いろいろ対策は考えられておつたわけでありますが、司令部の進駐以來もろもろの政策はなかなか思うように行つていなかつた。そのときちようど第八軍と申しまして、日本の占領軍になつておりますが、その第三輸送司令部、これは第八軍の輸送関係の司令部になつております。この第三MRSからの暗示がありまして、鉄道公安を何とかしなければならぬ。そこで鉄道警察の強化策はどうかというふうなお話がございましたので、ここで渡りに船というわけで、昨年四月ようやく運輸省の鉄道総局に鉄道公安事務局というものを設置いたしまして、この鉄道警察制度化強化を充備すると同時に、現在行われつつある鉄道公安の乱れた状態を矯正するという任に当つてつたわけであります。それで鉄道警察については、大正十二年以來御承知のように司法警察の職務を行う者の指定に関する勅令に基いて、大正十二年勅令五百二十八号でありますが、この勅令に基きまして、鉄道係員に対して司法警察権というものが一部與えられております。これはたとえば駅長、助役、車掌区長、車掌区助役、こういつたふうな人々にわずかではございましたが司法警察権が與えられて、鉄道警察治安任ずるということになつておりましたが、何しろ本務がきわめて忙しいということと、その権限がただ鉄道営業法違反に限るといつたふうに非常に狹いものでありますし、武器の携行もございませんし、当時は國家警察を背景とする有力な警察網もありますし、軍隊もございますし、鉄道警察が動くという範囲はほとんどございませんで、ただ有名無実であつたといつた状態であります。それがそのまま戰後引続きまして、鉄道警察はそのままであつたわけでありますが、そういつたぐあいでほとんどその司法警察というものは行使されることがなく、有名無実のまま参つておりましたし、かたがた日本人の考え方といいますが、特徴といいますか、要するにまる腰でもつて取締るということでは非常に徹底を欠きまして、鉄道係員が、駅長なり助役なりがいくら制止してもいくらも効果がございません。やはり何らかの権限をもつて取締るということでない限りなかなかはかどらなかつた。それがために終戰後の一日ある一駅における鉄道職員だけが受けた暴行傷害事件が六十何件という多数に上つてつた。そこで大正十二年からございます鉄道司法警察を強化するという方法がまず考えられましたので、これは公安事務局が発足いたす前の措置として、関係筋に申し出てとつた手でありますが、おおむね員数が八千九百十五名、最高限の数字であります。八千九百十五名を限度として、司法警察権を持つて処置する鉄道係員の人数を増加するということに相なりました。それでそのときにできましたのは自動車部長、あるいは警備係、乘客係というようなものに司法警察権を與えるという措置が行われました。と同時に鉄道営業法違反の犯罪に限るということでは非常に範囲が狹いし、活動力もありませんので、結局十幾つかの犯罪を特定いたしまして、鉄道構内、列車内において発生した犯罪については、これに司法警察権を行使するのだというふうにとりきめられました。ただその場合経済事犯につきましてはみだりに立ち入るべからずというふうに司法上の訓令がついておつたわけであります。それが今度公安事務局ができまして、いよいよ駅長なり助役なり車掌なり、その他の本務を持つてつて司令警察権を行使するというのには結局無力であつて、これに対処するにはあまりに弱いということで、どうしても警備を專任とする鉄道係員を設置いたしまして、この警備專任の鉄道係員に対して司法警察権を付與するという形にしてもらうことが、鉄道警察の強化策の安直な方法であるということで、結局今まで関係筋から許可がおりておりました八千九百十五名を限りまして、鉄道保安官ととい名前に——これは仮名でありまして、でき上つておりませんので、正式な名前でございませんが、保安官ということにいたしまして、武裝も懇請して、実質上の警察官と鉄道警備にあたらせるということに話がまとまりまして、それが法案として実はさきの臨時國会に出たようなわけであります。その項目の中に、海上保安廳と同じように入れた條文でありますが、鉄道保安官につきましては、労働組合の加入結成権も爭議行為も否認するという旨の規定がありまして、この規定をめぐりましていろいろ労働省方面からの物言いもあり、かたがたいろいろの点も考え合せて、すみやかに制度化いたしたいというふうにやつております。     〔委員長退席、小暮委員長代理着席〕 それと並行に、ただいま申し上げました大正十二年の勅令五二八号、司法警察権を行う者の指定等に関する勅令、これは刑事訴訟法の改正に伴いまして法律案として出ることになつておりますが、この法律案の方に、実は鉄道の警備責任者といたしまして、実質上保安官の制度を認めるということで、そういつた旨の規定を盛り込んでこの國会に出ておるのじやないかと思いますし、これが通過いたしますれば、あえて運輸判案による公安法が通過いたしませんでも、実質は鉄道警察官としてやつて行けるのではないかというふうに考えております。そこで形式上の法案をめぐつての措置はそういつた状態でありますが、事実上はそういつたサゼスチョンもあつた関係上、予算の措置といたしましては、おおむね八千九百十五名の保安官を必要とし、またそれに要する人に伴う施設というようなものについて大体大藏省に申し入れ、かつさきの臨時國会で承認を得ておりまして、実際には大体施行できるといつた形になつております。  そこで鉄道保安官を養成いたしますにつきましては、運輸省では現在國有鉄道の赤字克服という問題に迫られて、新規採用をやつておりませんので、部内轉換ということで、他の職権にある者から鉄道保安官に採用していくという方針をとります結果、他の職種の方では人をとられれば穴が埋まらないというような関係上人を出してくれないのでなかなか補充できませんが、また鉄道保安官は他の職種にある者を持つて参りまして、そのままこれを保安官だというふうに轉用するわけにも参りませんし、三箇月程度の教育訓練を必要とします結果、この面にも制約されまして、なかなか補充できませんが、現在のところ千七百名程度の保安官が出ております。これは保安官として現在制服も着用して出ているようなわけであります。これはあらかじめ承認を得てやつたことでありまして、すぐに鉄道保安官八千九百十五名ということはなかなかできませんので、あらかじめ養成いたしまして、逐次現在與えられた範囲の権限を行使するために出しておく、こういうことでもつて出ている鉄道保安官なんであります。そういつた実情で、現在では通常警察によります列車警乘とあわせまして、保安官もこれに乘車し、かつまた独自に列車警乘もやつております。また駅頭取締り、構内の警備その他の点にあたつておりますが、何しろ御承知のように員数が非常に少いし、武裝いたしておりませんので、なかなか思うような実績はあがつていないとは思いますけれども、ともかくも公安官は一生懸命に鉄道治安に挺身いたしているようなわけであります。  最近鉄道犯罪といたしまして特異な犯罪は、御承知のようにすり、窃盜、置引き、箱師その他のものは月並のものといたしましても、やみ買出入による集團暴行、これら相当大きな特色を持つているようであります。この集團暴行といいますのは、やみ買出しに行きまして、多くの荷物を持たない行き道で行うようでありますが、ほとんど箱全体を威圧しまして、金品を強奪するといつた形のものであります。しかもこれは被害者の届出というものが非常に少くて、かつ警察官、保安官がこれに乘込みましても、なかなか指名をしない、証人が出てくれないということでもつて、現行犯がつかみにくいので、非常に捜査に困難を來しておりますが、ともかくもこれらに対しては全面的な努力を傾注しております。大体容疑の濃厚なものにつきましては、どんどん経済事犯としても摘発して取調べるというふうに行つております。それから最近は、これは鉄道自体の事故ではありませんが、車票のすりかえ犯罪というのがはやつております。これは多く石炭についてあるのでありますが、山元から石炭を積みますと、車票を途中ですりかえまして、よその駅に指定しまして、保証渡しでもつてその着駅で荷物を受けて、車ごと窃取するという方法でありまして、これは相当出ております。これにつきまして、通常警察官とも協力いたしまして相当檢挙いたしております。多くの場合鉄道を退職した人とか、何らかの意味鉄道関係のあるような人によつて手引きされるとか、そういつた犯罪のようであります。大分この犯罪も少くはなつておりますが、特異な犯罪でもつて鉄道では非常に頭を悩ましております。これはまた駅から受取つた甲貨という、荷主が受取る通知書を示しまして、このように荷物を送つたんだから金をよこせということで、貨物通知書を偽造して詐欺をする、この通知書偽造詐取の犯罪と線をそろえまして、最近起つて特異な犯罪のようであります。ともかく鉄道の荷物事故、盗難、紛失、不着その他の原因をいろいろ糾明してみますと、遺憾ながら職員の事故というものを必ずしも無視できないというふうにわれわれ考えております。そこでこれらの点については、相当嚴重に手を入れなければならぬのではないかというふうに考えております。ことに一部の人々による汽車を利用することが便利だということが、あるいはやみ買出し等に出足が早くなるといつたような原因にもなりまして、かなり重要な問題を投げているのではないかと考えております。これらのことについても遠慮するところなく手を入れているようなわけであります。なお列車内の暴行事件、また駅員に対する暴行傷害事件というようなものは大分影をひそめて参つたようでありますが、ことに最近目立つて参りましたのは、暴力團狩りに伴いまして、都会地におつた不良の徒輩が他地方に流れて行きまして、地方が非常に惡化して來ている。その地方はそれぞれ警察力が非常に弱いところでありまして、檢挙には非常に困難するという状態を現出しております、ことに傳助賭博は北海道方面に相当流れ込んでいるようであります。善良なる地方民を毒しているところの大きな原因でそれらは多く駅の待合室を舞台にして行つているようであります。これはいかさまでないとしても、ほとんど恐喝であるとかいうような形のものであります。十二分に警戒いたしております。鉄道治安状況につきましては、なかなか思つたほどの成果を上げておりませんが、例の公安官の熱心なる執務によりまして、どんどん治安の実績を上げております。最近はことに鉄道構内、列車内等からやみの女追放というような部分にも命令を受けまして、手をそめております。多方面であります上に、何しろ制度が本きまりになりません結果、やりにくいという状態でありますが、これが幸いにして制度が確定して、組織もきまり、武装もできるということになりますと、十二分の効果を発揮するのではないか。われわれはその時期を期待しているようなわけであります。以上簡單でありますが、申し上げます。
  33. 門司亮

    門司委員 先に鉄道関係のお尋ねをしたいと思います。鉄道公安官の問題は前の国会から引続いた問題でありますから、事情はよく承知しております。これが今度公社になつた場合に、この制度はどういうふうになりましようか。今の刑事訴訟法の百九十條にあります條項は、公社であれば適用できないかと思います。そういたしますと、法律で別にできればそれでよろしいかと思いますが、法律でできなければ現在のままではやりにくいと思います。この点をお話し願いたいと思います。
  34. 赤木渉

    ○赤木説明員 ただいまの御質問でありますが、運輸省といたしましては、今決定的にきまつているとは申しませんけれども、運輸省案と公團案の二つはそれぞれ一利一害がありまして、ちよつときめにくい状態にあります。そこで大体仕事をするのに最も便利がよくて効果の上る方法、しかも保安官自身の立場と重みを考えまして、結局鉄道公團というふうに大体意見がまとまつてきているようであります。ただいま仰せられました鉄道公団がほんとうの看板になつた場合、これは事実上私人に対しまして警察権を與えるという、つまり飛躍し過ぎた点が可能であるかどうかという問題が起るのでありますが、現在のところ一應公務員としての資格を公團員が持つということが案にはあるようでございます。その面で本廳側はよかろうということに賛成しておるようでございます。運輸省にいたしますと、もろもろの権限が非常に複雜になりまして、たとえば鉄道保安官は鉄道係員としての職務を十二分に持つておるものでございますから、そういう権限は運輸省の役人では持てない。あるいは駅に警備所を設けるといたしましても、その設備の使用方をどうするかとか、いろいろな不便がありますし、それから通常警察との関係をどう見るのだとかいうような関係、その他でなかなかめんどうな状態になるのではないか。そこでやはり公團ということで、あくまで特殊警備、鉄道警備という面に重点を置きましてやるというふうに現在のところ考えられております。
  35. 門司亮

    門司委員 大体わかりましたが、さきに申し上げましたような刑事訴訟法百九十條の適用で行くというお考えでございますか。
  36. 赤木渉

    ○赤木説明員 そうでございます。
  37. 門司亮

    門司委員 ついでにひとつ海上保安廳の方にお聞きしたいのですが、海上保安廳設置の問題と同時に起ります問題は、海上保安廳の出張所といいますか、あるいは船のよりどころというか、寄航地に対して陸上警察官との連絡の必要があると思います。從つてそのことのために陸上における警察の持つておりまする——たとえば自治警察にいたしましても國察警察にいたしましても、陸上警備としてはさしたる必要のない場所に、どうしても海上保安廳との連絡所を設置しなければならないということが各所に起つておるようでありますが、その場合にそれらの費用という点でなかなかむつかしい問題が出て來る。陸上警察の方から言いますると、保安廳との連絡さえなければそこに出張所も要らなければ派出所も要らないのだから、保安廳との関係でそういうような必要が生じて來る。これは警察自治警察にわかれた関係から、費用の点で捻出に相当地方では困つておる部分があると思います。大きな都市ならよろしいのでありますが、小さな都市では特別なことのために警察官を派出しなければならない。これらの費用の点につい海上保安廳では何かお考えがあるかどうかを一應お聽きしておきたいと思います。
  38. 大久保武雄

    大久保政府委員 門司委員から仰せの自治体経費の振替と申しますか、そういう御要請はいろいろ承るのでございますが、私どもの方も、海上保安廳から自治体に補助という形はちよつと今のところ考えられないかと思うのであります。何か自治体に対する一般的な國家補助のうちにそれを織り込んで行くということが考えられないだろうかと考えますが、しかし大体私どもの仕事をいたしますにつきまして、それに似た費用の問題が起つて参りますので、これはひとつ今後十分私どもも考究いたしまして、自治体との連絡上遺憾なきを期したいと考えております。
  39. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 大久保長官にお尋ねしたいと思いますが、先ほど大久保長官が海上の犯罪事故は日本人以外にあるとおつしやいましたが、日本人以外とはどの國民を指して言うのであるか、この席上でお聞かせ願いたい。それから私は始終聞いておりますのに、たいてい密輸入をする者はいわゆる朝鮮人が多数である。そのときに朝鮮人自体はたいがいピストルを持つておる。そうすると、その海上保安の部員の人々は武器を持つておらぬ。朝鮮人を取締るときに自分の命がどういう危險にさらされるかしれないという不安を持つておる。ゆえにこの際私は、この海上保安部の部員には、そういう密入國者を檢挙する人々には、ぜひともピストル・すなわち武装さす必要があると私は思います。海上保安廳長官はいかにお考えになるか。それから中央氣象台の仕事を、この海上保安本部においても同じことをやつてつて、たとえていえば海象課があつて、海洋氣象台のやることをあなたの方のお役所でやつていらつしやいます。こうした煩雜のことは避けて、海岸氣象台なら海洋氣象台にそうした仕事をまかす、またあなた方の海上保安本部の方でそうした仕事をすることは、私は同じ仕事を二つの役所でしておるということで、非常に事務を煩雜にすると思うのであります。それでこれをあなたの方か、または中央氣象台か海洋氣象台かに一元化する必要があると私は思いますが、あなたはどういうふうにお考えになりますか。私は御所見をお伺いしたいと思います。
  40. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま御質問の武器の問題でございますが、これはまつたく仰せの通りでありまして、私も責任者として非常に部下に対して実は申訳ないと思つております。非常に勇敢に、不法入國者を押えます場合にも、職員自身があり合せのまきをもつて暗夜に押えたという例もしばしばございますし、また相手の船をとめるのに、身を挺してその船の前面に自分の船を差出しまして、ぶつけて航行不能にしてとめるといつたような事案もございまして、私はほんとうに前線に対しては相済まない氣持を持つております。現実の場合にどうするか、相手が武器をもつて発砲その他の行為が現実に起り、また危險性がある場合にどうするかと申しますと、現在は陸上の武装警官の應援を求める。それから進駐軍関係の應援を求める。こういう関係で、現在までのところ武器のためにまだ犠牲者を出しておらないのでございます。しかしこの点はいつ何時犠牲者が出ないとも保し得ない事態にあります。現に深夜相手の船から攻撃を受けた事実ございまして、この点を何とかして一日も早く解決をいたしたいというので、実はしばしば折衝を続けておるわけでございます。関係方面におきましても、非常に好意ある御意向をもつて種々御斡旋を願つておるので、少くとも五人に一人程度の武器を何とかするという点につきましては、種々の御くふうをいただいておるのでございます。現実の問題として、諸般情勢からまだ携帶せしむるに至つていないことは、はなはだ私も残念であると存じております。今後におきましても、この点が船の装備と並びまして、私どもが今後において解決すべき一大難関でございます。私も全力を盡しまして、この点の解決にあたりたいと存じておる次第でございます。  次に海洋氣象台関係の行政機関の問題でございますが、現在私どもの方の水路部におきまして、航海水路に関する諸般の調査をいたしておりまするその一環といたしまして、氣象に関連した仕事もいたしておるのであります。この点は中央におきましても、氣象台と緊密なる連絡をいたしまして、全体が一つの有機的な氣象業務としてそれぞれの貢献をいたしますように、連絡調整をいたしておる次第でございます。海洋氣象台と行政的にこれを一本にした方がいいかどうかという点につきまして、なおひとつ私も十分打合せをいたしまして、今後研究いたしたいと思つております。
  41. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 日本人以外の犯罪者とは、どういう三國人を称して言うのであるか、それをお聞きしたいと思います。
  42. 大久保武雄

    大久保政府委員 はなはだ失礼いたしました。漏らしました。日本人以外の犯罪者は、國籍を言つていいかどうかわかりませんが、大体御想像の通り、日本に最も近い國の人がほとんど九十%であります。
  43. 木村榮

    木村(榮)委員 大久保長官に、要約して大体三点にわたつてお伺いしたいと思います。海上保安廳の目的といつたようなものは、海上保安法案によるとわかることだと思いますが、御報告の中では、大体海上治安維持といつたような方面をおもに御報告になつた。そして水路部とか、海難審判所といつたふうなことに対しての報告はあまりなかつた。主としてきようは治安維持の方面の御報告だつたと解釈しておりますが、そこで私がお尋ねしたいのは、特にその中に長官が指摘されました、今至つて装備が不完全であつて、これでやつて行けない、從つて武装を病化して、船の優秀なものをそろえるという点を強調なさつたわけですが、その点については、第四條に大体海上保安廳の持つべき船舶状況というものは規定してあるが、その範囲内でおやりになるつもりか、またはそういつたものは無視して、強力なものをこしらえる方針のもとにあるのかということが第一。その次には機雷の掃海なんかの場合には、いわば特攻隊と申しましようか、決死隊と申しましようか、そういつたものでやつておるというような報告であつたのですが、これは労働基準法に磯反する点は全然ないのかあるのか、こういつたこと。そういつたときには大体そういう決死隊なんですから、どのくらいの手当、あるいはもし不幸にして機雷操作の犠牲になつて難を受けたといつたような場合に、その家族、遺族と申しましようか、そういう補償方法をお考えなつた上でそうした危險な作業に從わされるのか。こういつたことはむろん御考慮になつてしかるべきだと思う。それが第二点。もう一つは、大体二百八十隻の船が動いておるその中で、治安維持にあたるのは二十九隻だという報告があつたのですが、実際問題としては、治安維持にあたるのは二十九隻ではなくて、とてもこれだけでは治安維持はうまくできないと思うのです。観測船とかいろいろ名前がついておるが、ほんとうは名前だけであつて、実際はみな治安維持の方に全力を注いでおるかどうか、この三点についてお尋ねしたいと思う。ここで私は特に船の拡充強化、武装という点もむろんある面から見れば必要なことだと思いますが、海上保安廳法案が制定されましたときにも、相当極東委員会でも問題になつたことは、日本の新聞紙で報道しておる通りで、特に中國代表なんかは、非常にこの問題からいろいろなことを極東委員会で述べておるやに承つておりますが、そういつた関係で、長官の立場から軽々しく武装強化あるいは船の拡充強化といつたようなことを御発言なさつてもさしつかえないものであるかどうかということを私は特にお尋ねしてみたいと思うのであります。
  44. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安廳の職務の範囲に関しまして、治安の仕事と航海の安全の仕事、この二つの大きな区別ができると考えるのであります。海上保安廳は決して治安だけが任務ではありませんので、海上の安全という点に関する非常に重大なる任務を持つているのであります。その中でも船舶の救難というものは最も重大な任務考えておるよう次第でございます。  そこで船の装備の点でございまするが、第四條に掲げておりまする日本海上保安廳の保有し得る船舶範囲は、当然この制限内の船でなくてはならない。そこで港内艇を除くということになつているのであります。ただいま私が申し上げました船は、港内艇その他の雜船を含めましての数でございまして、ここに書いてありまする法案と矛盾しないと存じておる次第であります。もちろん今後における船舶巡視船の強化にあたりましては、この法案範囲内においてこれを強化して行くという方針でございます。  その次に私どもの方の職員の労働基準法その他との関係でございまするが、これはもとより労働基準法の諸規定の範囲内において、あるいは船員につきましては、船員法の諸規定の範囲内においてこれを実施いたさせておる次第でございます。危險なる業務に從事しておる者につきましては、危險手当を支給いたしておりまするほか、万一の殉職その他の場合におきまして、災害補償法、船員法その他の諸規定の持つておりまする弔慰方法を一切講ずるということにつきましては、十分の配意をいたしておる次第であります。  最後に私どもの方の犯罪を取締る場合の、船の協力関係の問題でございますが、海上保安廳の船は、巡視船のほか諸般任務を持つた船があるのでございます。そこでそれらの船をそれぞれ必要な場合におきましては命令をして、必要な行動をとらせるということに配慮いたさなければならないと思つております。たとえば港内におりまする港内艇にいたしましても、違反船が港内に入つて來て行動している場合におきましては、やはり保安官が乘船している限りは、その相手の船に対する権力の発動ができる次第でございます。私が先ほど申しました檢挙件数は、海上保安廳の全船舶を動員してあげ得ました件数と御承知を願いたいと思います。  それから海上保安廳の將來に関しましていろいろ御注意をいただきまして、私もしごく同感でありますし、また御好意に対して感謝にたえない次第でありますが、海上保安廳はただいま御発言の通り非常に國際的な関心のもとに成立し、また運営せられつつある次第であります。私どももその点につきましては、常に十分の関心を持つて事柄に処しているわけでございます。そこで武裝の点につきましては、海上保安廳法におきましても「武器を携帶することができる。」ということになつておりまして、すでに必要な武裝につきましては、法もこれをうたつておるのであります。また関係方面におきましても、その点はすでに認識をせられておりまするし、極東委員会、対日理事会におきましても、武器の携帶問題はすでに当時問題に上りまして、その程度は了承されておる次第であります。でありますから、問題はそれをいつ実現するかという点にかかつております。これはなるべく早く実現して、職務の遂行に万全を期してやりたいと存じておる次第であります。  それから船舶の拡充につきましても、現在の船は御案内かとも思いまするが、非常に古い、戰爭中に急造いたしました木造船でございまして、これは從來ほとんど消耗品と考えられておつたものを終戰後まで持ち続けたものでありまして、ほとんど故障だらけのものを、ようやく膏藥張りをして動かしておるといつたような次第でございます。この船をもつていたしましては、とても数年を維持することは困難であります。そのときに備えまして、おそくも來年度から何らかの新しい準備をいたして参りますることは、どうしても將來日本海上安全抱持のために必要であると存じておる次第であります。
  45. 木村榮

    木村(榮)委員 最初の御報告の二百八十隻のうち、大体港内艇に所属する範囲か何隻か、その他のものは何隻か、大ざつぱでよろしゆうございますが、その点がおわかりになれば伺いたい。  それからもう一点だけでありますが、この間の公務員法の公聽会のときにも、あなたの方の從業員組合の方のお話も聞いたのですが、その他の方面からも勘案いたしまして、海上保安廳が——これはむろん本局の方と申しましようか、一番大元ではないかと思いますが、大体最近は警察の指揮命令でほとんど動いているといつたような話を聞くわけなんです。私の聞きましたのも日本海沿岸の港湾であつて、あなたの関係の船も相当やつて参ると思いますが、そういつた方面のことから見ましても、海上保安廳が独自の立場から動くのではなくて、ほとんど警察の指揮下に動くといつたようなことを、うそかほんとうか知らぬですが聞くのですが、その点はどのようにお考えになつておりますか。この二点を伺います。
  46. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど私が数をあげて申しましたのは、非常な小舟まで入つております。一トン、二トンの端舟まで入れて申し上げました数であります。たとえば燈台補給船の五十二隻——燈台補給船は御承知かもしれませんが、島へ端舟をこぎながら参ります。そういうものも入れた数でありますから、二百八十隻と申し上げるのはあるいは不適当であつたかもしれませんが、一應現在の船の数を御承知願うという意味で申し上げた次第であります。そういうものを除きました正確な数字をここに用意しておりませんが、巡視船の二十九隻と、燈台補給船のうちで数隻を数えるわけであります。掃海船の掃海業務はごく一時的なものであつて、機雷の掃海が終るまでという期限づきのものであります。それを入れると、概算では、巡視船も入れまして五十トン以上くらいの船が五十隻ぐらいではなかろうかと、これは私の勘でありますが、考えておる次第であります。百トン以上の船になればもつと少くなると思います。  次に警察権の発動で海上保安廳がやつておるかどうか、まだ警察の指示で活動しておるかどうかという御質問でありましたが、海上保安廳法律にもございまするように「港、湾、海峽その他の日本國の沿岸水域において海上の安全を確保し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎭圧」ということにつきましては、法律上の職権と責任を與えられております。そこで必要な場合におきましては、私どもの方の発意によりましてこれを取締るということもできるわけであります。ただ事案によりましては、警察の方から依頼を受けましたり、あるいは共助の申出をいたされましたりしました場合におきましては、全幅的な協力をいたしておるような次第であります。それから繰返して申しますが、海上保安廳は單に警察機関だけではないのであります。このほか海上の安全を守つて人類の福祉に貢献する、人命の救助をやるといつたような重要なそのほかの任務がございますから、この点はいささかも警察任務と軽重をつけておりません。その方面におきましても、最大の努力をいたしておるということを御報告申し上げておきたいと思います。
  47. 千賀康治

    ○千賀委員 第二國会の終りごろでございますが、私は第三國人の海上の犯罪を取締る上につきまして、現在の裝備では非常に危險であり、また從事する人たちの勇氣も出ない。ことに將來相当な裝備を相手が持つて來るであろうことも想像されるので、これでは困るのではないかという質問をいたしたことがございますが、ちようどその國会が終る前後に、日本は管理國から海上保安維持のために三インチ以下の大砲を積むことを許されたということが新聞に出ておつた。私はこれを非常にけつこうなことであると喜んであつたのでございます。現在は日本人以外の外國人といえば、九〇%は最も近い外國人といわれますから、この人たちなら大した工業力もないので、あまり心配するに足るような裝備はしていないだろうが、残る一〇%の外國人、この人たちがだんだんパーセンテージが殖えて來る將來を考えますと、どうしても相当な裝備を持つていなければ、海上で戰鬪が起つたような場合でも、保安の全きを得ることができないと思いますが、今後この裝備状況はいかがでございましよう。必ずしも戰うことばかりが保安の全きを得るものではなくて、裝備の優秀なものをこちらが持つておるということが戰いを省略し、また完全な取締りができるゆえんであることは、われわれよりもむしろわれわれを管理する國々の方がよく知つておられるはずであります。その点は現在はどうなつておるか伺いたいと思います。それが一つ。  それから特攻隊のような海上捜査部隊が出ておることはまことにもつて壯とすべきで、私はその仕事に從事してくれる人たちに満幅の感謝を表明するのでありますけれども、しかしこれを指揮するわが海上保安廳の方の関係といたしましては、今の戰時ではないのでありまするから、できるだけ危險な作業は避けなければなりません。そこでただいまおつしやるような乱暴な掃海をしなければ、これはもちろん國家としてより以上の必要があるからいたし方がないということも認めまするけれども、はたして今まで危險が生じたことがあるか、それによつて犠牲が生じたことがあるか、いかがですか。また生じかけたような事実、その船の直下で爆発を起して危險であつたような場合も相当あつたのか、できればかようなことは、今おつしやるような危險をあえてしなくても、そうした裝置をした船をひつぱつて歩くことによつても、その危險は減少せしめつつ行くと思うのでございまするが、かような点について改良し、また從業員を危險位置から遠ざけるということについてできるだけの考慮をし、またその施設を改良なされつつあるかどうか、これをお伺いいたします。これが二つ。  それから最後に鉄道関係でございますが、鉄道保安官ができて以來、たいへん実効のあがつてきたことは私どもも認めます。たいへんけつこうであるて思います。しかしながらここに一つ御注意を申し上げておきたいのは、民主的に取締りをするということと、民衆にこびるということとを間違えている。そのけじめのつかない第一線におる保安官がたくさんあるということであります。汽車の中に來て、夜お客にいろいろな注意をしてくれる。また事故が起つたら自分たちに届出られたいということを注意してくれる。まことにありがたいことでけつこうだと思いますが、その言葉つきがあまりにも、——御本人は民主化し、平易化し、できるだけやさしくしたと思われるのでございましようけれども、これがたとえば、今から私どもがあなた方のお供をさしていただきますが、と言つたり、どうぞ事故があつたら御遠慮なく申し出てくださいますようにひたすらお願いをいたしますとか、こういうような言葉です。もちろん儀礼の言葉とはいいながら、やはりこれは國家任務を負つて乘客の安全をはかり、また相当な威嚴をもつて乘客に号令といいましようか、統制といいましようか、乘客のある種の行いを規制する権利ももつている人たちでありますから、必ずしも今申し上げたような言葉を使わなければ実効があがらないということはありません。むしろそういうようなことは冗談に過ぎるもつと簡單明瞭であつて、なるほど取締り官として当然であるというような言葉を使つていただいた方が、より一層乘客たちの信頼を増し、また乘客たちにすがすがしい感じを與えるというような氣用が、私たちは汽車に乘つてつてよくする場合があるので、かような点も親しみを持たせるということからいつて、やさしいのはけつこうでありまするが、行き過ぎるとなんだか氣用の惡い、かえつて効果においてどうかと思われるような態度にもなるので、決して私は、おいこらというような言葉を使えというのではない、昔にもどれというのではないのですが、相当な威嚴を持ちながら、親しみを表現する言葉があるはずでありまするから、そういうような指導をされた方が、同じことで効果が大きいのだと思います。ひとつ御指導方針にかようなことをお考えになつてはどうかという質問、この三つであります。
  48. 大久保武雄

    大久保政府委員 最初の大砲の搭載に関する御質問でございましたが、一般的に申しますれば、大砲は單に攻撃武器としてではなく、相手の船に停船を命ずるという場合におきまして、まず相手の船の前方に大砲を撃ち込み、さらに後方に撃ち込むというようなことになりまして、これを停船せしむる意味におきましても、大砲というものは任務上一つの必要な裝備ではあると考えております。ただこの点は法律にも規定はございませんし、またこの点につきましては非常に諸般情勢考え合さなければなりません、將來日本がほんとうに海上保安業務の万全の遂行態勢をやることについて、関係各國の承認を求めらるるという場合におきまして解決せられる問題ではなかろうかと存じますが、目下のところ法律では御承知のように武器を携帶することができると書いてございますので、私どもの方の裝備は武器の携帶、という点についてこれを解決いたしたい、かように考えて止力いたしておるような次第でございます。  次に掃海の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、掃海隊員は非常に挺身仕事に当つておりますが、その掃海方法につきましては、非常に機雷の性能が科学的にデリケートでございまして、しかも普通の機雷のように繋留されておりませんので、海底になまこのようにくつついておる。そうして世界各國に他にいい方法がないのであります。やはり編隊の船が電流のコイルをはつぱつて行き、その電流の方で誘爆をさせる。掃海いたしました上を、試航船というのが自分の胴体に電流を通じて直接掃海をする。この二つの方法日本以外の國もやはりそういう方法をとつておるわけであります。そこで第一次的にはそのコイルをひつぱつて行く方法で一應の掃海は済みまして、第二次掃海としまして、その試航船がその上塗りとして最後のだめを押すという点につきましては、どうしても他に方法はないのであります。ただ操縦室につきましては、万一の場合を顧慮いたしまして、これを甲板に上げたことは私が先ほど申した通りであります。かような方法で非常に綿密に掃海をいたしております関係上、第一次掃海の際に電流のコイルにかかつて機雷が爆発しましたことはしばしばありますが、第二次掃海において、試航路が自分で機雷にひつかかつたということは幸いにして例はございませんし、現在各國で考えられておる方法も、私どもが現在とつておる方法しかない。アメリカから参つてチエツク・スイープしたのでございますが、これもやはり同じような方法でやつておるわけでありまして、やはり科学の問題になりますけれども、遺憾ながら他の方法がないので、私どもの方ではその方法でやつておるわけであります。そこで海上保安廳発足以來非常に掃海を急ぎましたが、まだ何らの事故が起つておりません。また日本が終戰後掃海を開始いたしました当初において、若干の例がございまするが、その後においてずつと被害はなくなつておることを御報告申し上げておきます。
  49. 赤木渉

    ○赤木説明員 御説一々ごもつともでありまして、私どもその点については非常に神経を悩ましておるようなわけであります。何しろ鉄道が御承知のように戰前旅客誘致、貨物誘致というような、ほんとうに観光営業をやつてつたというような経過、それに從事した若い人々の感覚でやつて來ておるし、その結果は、ことに公安官に限りませず、鉄道職員のアナウンスにいたしましても、あるいは旅客誘導の声にいたしましても、どうも歯の浮いたようなことを言い過ぎるのではないかというふうに声を再々聞くようであります。この点特に法律範囲内におきまして警察権を行使する観念については、十分に氣をつけなければならないとかねがね考えておるようなわけであります。ことにそういつた問題は鉄道が社会に対するサービス——こう言いますと、とにかく言葉をやわらかくし、溢美の言葉を申すのがあたかもサービスのごとく考えられまして、そのほかの荷物を警備するとか、安全輸送をはかるとか、あるいは取扱いを丁寧にするとか、あるいは輸送力を増すとかいう実質の方面を多く忘れがちであつたということは、まことに残念だと思つておるのであります。今後は威嚴を損しない程度に自粛して行くように指導いたしたいと思つております。何しろ鉄道職員からの轉用より許されておりませんので、やはりもともと運輸事務官鉄道係員である関係上、それが拔けきれないでおりますし、訓練期間が短かく、速成の職員によつて構成されておるとか、非常にそういう点がうまく行かないとわれわれは考えております。今後はその方面について威嚴を損しない程度に、もつと懇切にやるように指導いたしたいと存じます。
  50. 千賀康治

    ○千賀委員 もう質問はありません。お氣づきになつておるようでありますから、その線で大いに御努力を願いたい。
  51. 門司亮

    門司委員 この際委員長にお願いしたいのでありますが、きよう実は地方財政のことについて大藏大臣かあるいは総理大臣に出ていただきまして、賃金ベースの改正に伴う地方財政の処置をどうするかということの質問がいたしたかつたのでありますが、両大臣ともおいでになりませんので、これは委員長から次会の委員会にはぜひどちらの大臣にもおいでになるように御懇請を願います。  それから本日は大分時間を過ぎておりますのでこの程度で散会されんことを望みます。
  52. 小暮藤三郎

    小暮委員長代理 それではただいま門司委員から動議が出ましたが、私の方でも申し上げようと思つておりましたので、日本はこの程度をもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十七分散会