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1948-11-26 第3回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十六日(金曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 大上  司君 理事 島田 晋作君    理事 梅林 時雄君 理事 堀江 實藏君       石原  登君    大澤嘉平治君       苫米地英俊君    松浦  榮君       松田 正一君    川合 彰武君       佐藤觀次郎君    重井 鹿治君       中崎  敏君    松尾 トシ君       荒木萬壽夫君    山下 春江君     早稻田柳右エ門君    内藤 友明君       本藤 恒松君  出席政府委員         大藏政務次官  塚田十一郎君         大藏事務官   平田敬一郎君         大藏事務官   黒金 泰美君         專賣局長官   原田 富一君         大藏事務官   松尾 俊次君         貿易廳長官   永井幸太郎君         貿易廳次長   新井  茂君  委員外出席者         大藏事務官   冠木 四郎君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月二十五日  美容師に対する取引高税免除請願井谷正吉  君紹介)(第三八九号)  クリーニング業に対する取引高税免除請願(  吉川兼光紹介)(第三九〇号)  美容師に対する取引高税免除請願上林山榮  吉君紹介)(第三九七号)  加工水産物に対する取引高税免除請願(櫻内  義雄君紹介)(第四一八号)  取引高税廃止に関する請願佐々木盛雄君紹  介)(第四二一号)  同(上林山榮吉君紹介)(第四二五号)  織物消費税軽減並びに織物價格差益金等に関  する請願植原悦二郎紹介)(第四三六号)  ラジオ受信機類に対する物品税軽減請願(山  本猛夫君紹介)(第四六四号)  学童用算盤に対する物品税軽減請願田中源  三郎君紹介)(第四五〇号)  清凉飲料水に対する課税軽減等請願早稻田  柳右ェ門紹介)(第四五九号)  写眞技術家に対する取引高税免除請願早稻  田柳右ェ門紹介)(第五一六号)  取引高税廃止に関する請願外一件(佐々木盛雄  君紹介)(第五二〇号)  外食券食堂業に対する取引高税廃止請願(赤  松勇紹介)(第五二一号)  医藥品類に対する取引高税免除請願早稻田  柳右ェ門紹介)(第五二八号)  織物消費税軽減並びに織物價格差益金等に関  する請願神山榮一紹介)(第五七五号)  給與所得税源泉徴收納付代行に関する請願(山  花秀雄紹介)(第五七六号)  石川町に税務署設置請願山下春江紹介)  (第六二四号)  旧松戸陸軍工兵学校施設新制中学に拂下の請  願(澁谷雄太郎君外二名紹介)(第六四一号)  茶に対する物品税撤廃請願岡野繁藏君外百  七十六名紹介)(第六四六号)  取引高税廃止に関する請願坂本實紹介)(  第六四七号)  人工甘味料に対する物品税引下請願(有田二  郎君紹介)(第六四八号)  平釜式塩田助成請願豊澤豊雄紹介)(第  六六三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  取引高税廃止に関する陳情書外二件  (第三六九  号)  中小企業振興のため課税減免及び金融に関する  陳情書  (第三七一号)  取引高税廃止に関する陳情書外三件  (第三七二  号)  中小企業金融難対策に関する陳情書  (第三七六号)  取引高税廃止に関する陳情書  (第三七八号)  取引高税廃止に関する陳情書外二件  (第三八一  号)  取引高税廃止に関する陳情書外一件  (第三九二  号)  取引高税廃止に関する陳情書外三件  (第四〇一号)  高崎地方專賣局高田出張出復活陳情書  (第四〇三号)  絹、人絹織物に対する消費税軽減等に関する陳  情書  (第四一〇号)  所得税更正決定に関する陳情書  (第四一一号)  香川縣塩業対策に関する陳情書  (第四一八号)  中小企業に対する復興金融金庫融資に関する陳  情書(  第四一九号)  引揚者に対する特別融資継続陳情書外一件  (  第四二五号)  所得税法改正に関する陳情書  (第四二九号)  四國地方塩業対策に関する陳情書  (第四三一号)  取引高税廃止に関する陳情書外六件  (第四三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三〇号)     ―――――――――――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  本日はまず前会に引続きまして、貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑に入ります。発言の通告があります。本藤恒松君。
  3. 本藤恒松

    ○本藤委員 第一に、表のうちに第四條に、「政府は、貿易資金運用に関する事務日本銀行に取り扱わせることができる。」こういうことになつていますが、これは何か日本銀行以外の銀行とかにも政府取扱いをさせておるのですか。あるいはまた日本銀行一手でやつておるのか。これもちよつと聞きたい。  それから準貿易物資の賣拂い金額とありますが、準貿易物資というのはどういうものであるか、これもちよつと聞きたいのです。  それから大体貿易に対しては、これから國民として最も関心を持つて進まなければならぬことでありますが、貿易資金の問題で貿易振興がはたしてできるかできぬかということが大きな問題になつて参りますが、大体貿易に対しては政府貿易の問題もあるし、民間貿易の問題もありましよう。民間貿易ということになると、問屋さんの融資もあるだろうし、また生産者融資もあるが、一体政府はどつちに重点を置いて今後進まれるか、この方針も聞きたい。  なお六大都市にはむろん重点があるとわれわれは想像するのでありますが、一体日本中小企業が行き詰まつておることは、いろいろ申さなくともわかつておるのでありますが、これに対して地方中小企業者が、むしろ今までの軍需工場から平和産業に轉換したけれども日本國民購買力やら、日本のあらゆる産業の行き詰まりで、当然これもすでに今では窒息状態というか、ほとんど崩壊の一歩手前に直面しておるのでありまして、地方中小企業者貿易の方に轉向したいというのだが、これに対する融資方法に対してはおそらく徹底していないと思いまするが、政府はこれに対してどういう処置をとられるか。これもひとつお尋ねしたいのであります。それに対して次にまた自分として多少質問したいのであります。  なおまた貿易関係いたしまして、むろん貿易を盛んにするには、やはり世界各国價格の均等というか、もし日本製品コストが高くつけば輸出はしないのであるが、世界輸出するとなれば、ある程度までは價格の安いところで行くか、あるいは技術の面で競爭して行くか、いずれかでなければ、日本品物は要するに昔の軍の力で外國——はり軍の力の範囲内は日本の力で外交上幾らでもできますけれども、今日となつては自然の自由貿易であるから、むろん價格の面で行くか、あるいは製品の優秀なものの優勝劣敗というか、いろいろな力で行くか。むろん國内で非常にコストが高くつくような物價改訂をだんだんに安本がされるならば、輸出とのにらみ合せはどういうふうに安本は考えておられるか。これもひとつ安本物價をいろいろ決定される方からお聞きしたいのであります。一應以上のことをお聞きしたいと思います。
  4. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまの御質問の第一点と第二点については大藏省からお答えいたしまして、あとの点については貿易廳長官がお見えになつておりますから、貿易廳長官よりお答え申し上げることと思います。  初めの点の第四條第二項で、日本銀行貿易資金運用事務取扱わせるが、そのほかのものにも取扱わせておるかというお尋ねでありますが、現在のところこの根拠によりまして、日本銀行だけが取扱つております。  それから第二点の御質問でございますが、準貿易物資と申しますか、「貿易物資に準ずる物資商工大臣大藏大臣に協議して定めたもの」この両大臣の間の協議によりますと、現在のところでは、連合國最高司令官またはその指定いたした者が國内でもつて貿易廳に拂い下げております物資、第二のものといたしましては、貿易廳が本邦内におきまして逆に連合軍最高司令官またはその指定いたします者に賣り渡しておりますもの、要するに國内でもつて連合國側貿易廳に賣り渡しましたり、あるいは貿易廳連合國側に賣り渡しておりますもの、この両方のものを含み、なお連合國司令官、またはその指定いたします者のほかの者といたしましては、國内に貿易代表が参つておりますので、この貿易代表貿易廳が賣り渡しますものもこの中に含めておりまして、この三つを今準貿易物資として取扱つております。
  5. 永井幸太郎

    永井政府委員 最後にお尋ねになりました点は、御存じのようにただいまのところ輸出品價格は、日本為替レートがございませんから、國内の物價体系の動きに関係なく、各商品が國際的に持つておる價値——日本商品國際市場においてドルまたはポンド等外貨で賣れる價格で賣るということを継続しておりますので、國内の價格上り下りということは、外貨で現わしました上には一つも影響していないのであります。顯著な例をとつてみますと、たとえば生糸は今年の一月以來ニユーヨークにおきまして大体平均一ポンド二ドル七、八十セントで変化なく賣つております。しかるに國内におきましては七月以來物價体系が上りましても、國内の円の呼値が上りましても、國外で賣りますドルの賣値には影響されておりません。結局ドル対円の換算率がかわつて行く。七月の物價体系以前におきましては、生糸は一ドルが二百数十円でありましたものが、この十二月までは古繭と新繭とのプールをいたしまして、一ドルが三百七十円ぐらいになつております。しかし來年一月以後は古い繭とのプールができませんので、大体一ドルが四百三十円ぐらいになるというように円、ドルの比率がかわつて行くにとどまりまして、國内の円の呼値変化が、國外で賣ります外貨変化には関係ないのであります。あるいは御質問の要点に触れておるかどうかわかりませんが、一應お答えいたします。
  6. 本藤恒松

    ○本藤委員 今の物價改訂に関する御答弁ですが、これはやはり民間貿易物資に対する價格も、政府がやる貿易價格と同一の價格であるならば、もし民間とするならば、一般の國内の物價が高くなつて生産價格と非常に違つた場合がある、そのときには一体どういうふうに取扱われるか。これも政府の方は一向かまわぬが、民間の方のものは、もし安本なら安本で物價改訂されて、物價はどんどん上つて行く、注文をとつておいた糸は、原料なり一切の生産價格が高くなつて行く。そういうような関係に対しては、どういうような考えを持つておられるか、それと今融資問題をちよつと質問いたしましたが、融資方法は、市中銀行でかりにやつてつて、それを日本銀行で再割引をするというようにいろいろになつております。その融資に対する方針大藏省の方で何かあつたらお聞かせ願いたいと思います。
  7. 永井幸太郎

    永井政府委員 ただいまのお尋ねのうちの前半の分は、民間貿易であろうと、政府貿易であろうと同じ取扱いをいたしております。引渡しも当時のマル公もしくは物價廳できめました値段できめておりまして、民間貿易であろうと、政府貿易であろうと、同じ取扱いになつております。  それから金融のことでありますが、大体輸出金融といたしましては、御承知のように貿易手形の制度がありますので、輸出契約をいたしました契約当事者に対しまして、輸出証明をいたしますると、それによつて貿易手形を発行いたしまして、それを民間銀行が割引くということになつております。
  8. 本藤恒松

    ○本藤委員 物價の改訂のことはこの程度にしておいて、また何かの機会に内容をよく檢討いたします。貿易手形の問題で、私はしばしば北陸方面においても、また東京においても、多少耳にするのでありますが、貿易手形一つの方式というもので、ある程度までは順調に行くような樣式にはなつておるらしいが、実際問題としては、なかなかできておらない。かりに市中銀行へ申込んだとしても、なかなかそれを全部聞き入れてくれない。なお申込んだ額の六割程度で打切られるとか、七割程度で打切られて、これはなかなか借りる方の技術がよほど巧妙になり、また貸す方の技術もむろんありはしないかと思いますが、今金融業者が貸しておるように、財産があり、対物信用が高いもののみに金を融通することになれば、日本の新興の貿易商人とかまたは生産者というものは、とうてい今日のインフレのときにはできぬことになるので、むしろ生産者重点を置くか、問屋筋重点を置くかが、私は大きな問題になると思うのであります。今各地でもつて規格によつていろいろな見本をつくつて注文をして——その中には原料とかいろいろな設備も多少ありましようが、運轉資金を得てやる場合には、これはおそらく順調にできておらない。また銀行に申し込んでも貸してくれない。申し込んだ額の六割ないし七割はとうてい成功できぬ。なお政府では問屋の一部に相当の融通をしておる。もし問屋へやる場合には、問屋では利潤関係から、價格の点において相当値切りとか、また金融上いろいろな雜費がかかつておるというようなことで、直接生産者銀行とが貿易手形取引ができればけつこうであるけれども、さもなければそこに金利とか手数とかいう利潤程度にいろいろ違つた点があり、現在の一般の声から行くと、これに対しては非常に不満が多いので、順調にできておらない。政府ではむろんこれはできていると言われるが、一般市中銀行から貿手を再割引する場合、日本銀行に出すと、日本銀行では、それを全部受け入れてくれるかくれぬか、これはまた市中銀行日本銀行との問題になるのですが、業者からの声とすれば順調にできておらない。政府は一体どういうところに重点を置いて今後民間貿易振興をはかつていただけるのか。これはある程度まで基本的な方針がなければならぬと思うが、ところによれば、六大都市問屋筋へは金融は非常にあるけれども生産者の方はない。生産者の方は第二になつているというように聞くのでありますが、こういうような点に対して方針を承りたい。
  9. 永井幸太郎

    永井政府委員 輸出金融が非常に円滑に行つているとは考えておらず、大体円滑になつておりません。二つの原因としては、市中銀行資金が非常に不足しておる。それから貿易手形の十分円滑なる利用ができていないということを訴えられる向きは、多少業者そのもの信用程度、あるいはこの平時にあつて金融を得ることがむずかしいというような状態の場合等があるようであります。  それからただいまのところ貿易手形は、輸出業者つまり輸出契約当事者に行われておるのでありますけれども、ただいまのところ二重金融にならぬ方法を考えまして、輸出品を製造するメーカー貿易手形を出せるようなことを研究いたしております。  なお、ただいまのところでも、メーカーに対しましては、輸出契約前の金融をつけるために、輸出産業資金需要証明書というものを貿易廳で出しまして、日本銀行等に連絡をして、そういう製造資金に対する金融が相当円滑に行われておる次第であります。
  10. 本藤恒松

    ○本藤委員 どうもただいまの御答弁は、ちよつと私にはしつくり行かないのですが、メーカーへ出すというように申されましたが、おそらく実際問題としては、そういうようには進んでいないように聞いております。これは実際地方におきまして、そのメーカーへ直接貿手がどんどん割引いて行くようならよいのでありますが、現在の一般市中銀行取扱つて、次に日本銀行へ行くという場合には、市中銀行というものは、やはり昔の金融と同じように、一種の対物信用になりやすいのであつて、結局これがだんだん今の現状で発展して行くならば、市中銀行金融業者と、買受けるところの問屋とはだんだん密接になつて信用が高まつて行く、それがだんだん大きくなつて、その金融がしつかりした相当な力を持つと、今度は生産者の方に行つて、やはり相当値切つたり、またいろいろ世話をやつて注文を取つたりするから、問屋が結局太つてしまつて生産者というものは虐待されるというようなことになつて來るので、これをだんだん押し詰めれば、結局また昔のような、一つ資本主義のような形が生れて來るのであつて、これは將來メーカー重点を置いていい物をつくらして、安い價格世界市場にどんどん発展さして行かなければ、日本再建ができないと思うのでありますから、こういうような点に対して、今の政府で考えられておるのと、市中銀行や実際に行つておるのとは食い違いが非常にあると思うのでありますから、これはよほど研究を願いたいと思うのであります。もしこれがだんだんに行くならば、しまいにはこういう貿易資金というものは政府はどんどんと出す、しかしそれをある一つ日本人の大きな問屋が大きくそれを利用して行くということになると、やはり問屋一つの濫用というか、それが財産をこしらえる一つ手傳いをするようなことになつて日本ほんとう復興というか、再建の実際のところに行かないというように私は考えておるのでありますが、政府が実際の面をお知りになつておるかおらないかしれないが、今の傾向で行くと、そういうふうになることが十分あるのでありますから、これは討論いたしましてもしようがないが、直接地方中小企業者、要するに今のメーカーに出していただくようにこれは御配慮を願いたいと思う。
  11. 永井幸太郎

    永井政府委員 ちよつと私の言葉が明瞭でなかつたか、誤解を生じたように思いますが、現在ではメーカーには直接貿易手形を出すことにはなつておりません。メーカー輸出業者として契約当事者になつて場合にはメーカーにも貿易手形が出せることになつております。ただ今申しましたのはメーカーにも直接に貿易手形が出せるようなことを研究いたしておりますと申し上げたので、ただいまでは輸出契約当事者のみが貿易手形を出し得ることになつております。それからただいまやつておりますのは、輸出手形になるまでの自然の金融といたしましては、今申しました輸出産業に必要な資金需要証明書というものを貿易廳が出しまして、日本銀行融資をしてもらうという方法を講じておりますということを申し上げました。ちよつと誤解がありましたから申し上げます。  それから問屋金融するか、メーカー金融するかということは、ただいまの御質問趣旨はすこぶるごもつともの点もあろうと思うのでありますけれども、やはりこれは二様に考えて行く必要があろうと思います。とにかく物を賣り買いする市場状態を調べて、それに適当した品物メーカー注文して物を賣るというような場合に、やはり問屋というものが主導力になります。メーカーへこういうような品物をこしらえてもらいたい、そうしてメーカー二つ三つもの問屋注文をまとめて應ずるというようなことがありますから、これはときによりまして生産者主導者とする場合もありましようし、問屋というものの機能を認めまして、問屋というものを主導者として金融方面を認めるというように、一概にはメーカーのみを尊重するというような考え方には、多少考慮すべき点があろうと思います。ましてこれからは物を賣るということがかんじんでありまして、これまででしたら物をつくりさえすれば、賣ることは心配なかつたのですが、賣るということが今後むしろ主導力になつて行きましようから、その場合々々によりまして、メーカー問屋のどちらに主導力を認めるかということを考えなければならぬかと思います。但しただいまの御注意の点は十分考慮すべきものと考えます。
  12. 本藤恒松

    ○本藤委員 いま一つだけ伺います。私はメーカーだけへやれというのでなく、今のやられておる方法では問屋——これから日本再建して進んで行こうという國民として、國内消費生産をしておる中小企業者が、おそらく今度外國貿易に向つて轉向していくということにあたつては、やはり日本産業がどつちへ行くかという大きな問題ですから、問屋でもむろん販賣技術とか販賣のいろいろな宣傳がありますから、これは当然いいのでありますが、しかし貿易に対して日本信用を高めるには、やはり生産者をある程度までは保護というか、その道を開いてやらなければ、よい品物なりまた発明なり研究はできない。問屋はただ賣る技術だけであるが、生産者技術発明というものは、日本一つ將來性に影響があるのであるから、私は問屋はいかぬというのでなくして、両方とも日本將來性を考えてやつていただきたい。こういうのであるからどうかそこをはき違えないようにしていただきたい。
  13. 塚田十一郎

    塚田政府委員 先ほど來の御質問趣旨はたいへんによくわかるのでありまして、私ども考え方においてはまことに同感であります。結局本藤委員お尋ねになつている点は、これは單に貿易面だけでなしに、中小業者全般を今後立たせるという政府の今日の政策と、その中小業者を立たせてやる場合に、中間に立つ問屋業者生産者の立場をどういうぐあいに見てやるかという問題であろうと私どもは考えておる。過去の日本中小工業というものが、問屋に非常な中間搾取を受けた、過去の問屋中小工業との関係がそういう形であつたものを、新しい中小業を復活さす場合に、またそのまま復活さすということになつては確かに困るのであります。ただそうかと言いまして、中間におきまして問屋業が営んでおつた機能を、今日の段階で急速度にこれを否決してしまうということもできませんけれども、本藤委員の御質問趣旨はよくわかつておりますから、この間の取捨あんばいを十分にいたしまして、どちらを立たせることが、日本將來産業のために、より有効適切であるかということを判断の基準に置きまして、問題を解決して参りたい、こういうように考えております。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちよつとお尋ねします。最近為替レートを一本にするということが非常に問題になりまして、今日なお解決できないのでありますが、これは一体どういう意味で解決できないのか。またいつごろこれが解決されるかということについての御答弁を願いたいと思います。
  15. 永井幸太郎

    永井政府委員 一本レートのことがたいへん問題になつているようであります。最も眞劍に考えなければならぬことと考えますが、ただちに即行するということは相当困難を伴うかと思つております。ごく概算でありますが、かりにレートが一ドル三百となりますと、ただいまのところでは六割くらいの輸出減少になるものと思つております。そうすると、四割輸出が可能なものの計算の中に、纖維などは原料の代價を引きまして、加工賃だけを輸出する場合におきましては、三百のレートで仕切りますと、大体今のところ四割くらいより輸出ができないという状態になりますので、これをただちに即行いたしますと、中小工業方面に非常に関係して失業者ができます。生糸のごときは今申した通り、四百では一俵も出ないというような状態になりますので、いま少しく物價、賃金の体系が安定いたしまして、日本のように物價体系が非常に凹凸がはげしく、非常にジグザグが多いのですから、これをだんだん企業整備等によつて、各商品間の物價ジグザグになつておりますのを一應整理をするというような準備的行為をいたしましてからでないと、ただいまただちにこれを実行することは非常にむずかしい。これをほんとう自由経済資本主義経済的な考え方から考えまして、それでつぶれるものはつぶしていいんだというような考え方ならば別問題でありますが、今のところ、そうでないと非常に困難かと思います。  それから実際に当つておる人たちも、大体それを即行することは困難であるということは考えております。しかしほんとの純理論家などには、一日も早く即行して、その力によつて企業合理化をしたらいいというような説もありますが、どうもむずかしいことのように考えます。そのほか國内におきましても、たとえば紡績業者などは、初め三百、一本レートがきまりましても何ら痛痒を感じないのみならず、かえつて有利であるというような業者の間におきましては、早く一本建にしてくれというような話もありますが、これは自分の立場のみによる理論のように考えております。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一つお尋ねしておきたいのは、現在貿易の現況は永井長官よく知つておられるようでありますから、そのあらかたの情勢でよろしうございますから、お傳え願います。
  17. 永井幸太郎

    永井政府委員 大体廣汎な御質問でありますけれども、今年になりましてから輸出貿易が非常に不振でありまして、今年上半期のみによりましても、二億七千ドルぐらいの輸入超過でございます。どうしてこう不振であるかということでありますが、ちようど英國と日本と割合に歩調が同じような状態にありますので、それと比較してみたいと思います。英國は今年の末までに、大体一九三八年の輸出量と今年の輸出量と比へいたしますと、金額でなしに数量に換算して比較してみますと、大体一六〇%の輸出増のようであります。しかるに日本ではこういうありさまである。いろいろ理由もありましようけれども、英國では上下を通じ、資本家、労働者を通じて輸出増進ということに力を入れておるというような関係もありますが、おもなる理由は、英國の輸出の大体七割五分ぐらいはポンド地域、すなわち通貨を一にしております地域に輸出されておりまして、日本がなめておりますような通貨の換算から來る困難というものは一つもない。樂々と商賣ができております。しかるにわが國におきましては、結局わが國はドルの國でありますので、その輸出先たる東亞、南洋、インド、その他のポンド地域のドルの不足、これが非常に貿易を閉塞させている原因になつておる。この七、八月以來、ポンド地域その他シヤム、パキスタン・インド等との相互貿易協定ができたわけでありますが、この貿易協定ができるということが大体わかつておつたものですから、ことにこの上半期はこの貿易協定ができるまで先方の買控えというようなこともございました。そういうようなわけで、上半期における輸出は非常に不振でありました。その他日本貿易を不振に陷れておるいろいろな事情もあるのであります。あるいは海外渡航が、原則的に許されましたけれども、まだ実際に行われていないとか、あるいは日本の船がないとか、正金銀行のような為替銀行がないとか、いろいろなことが原因でありますけれども、おもなる点は相手國のドル不足ということに原因していると思います。しかしながら今年になりまして、工業原料の輸入が昨年に比べまして著しく増加いたしましたので、このよき結果が來年上半期たありから漸次現われて來るのではないか。たとえば鉄鉱石、粘結炭のごときは、ほとんど昨年は輸入の見るべきものがなかつたのでありますけれども、今年は御存じの通り鉄鉱石が八十万トン以上、粘結炭が百万トン以上、その他ゴムその他の工業材料が去年と比較いたしまして格段の増加をいたしておりますので、この好結果は必ずや來年上半期以後に現われるであろう、かように考えております。一例をもつて申しますと、鉄、石炭の関係から申しましても、今年度におきまして約二十万トンの鋼材及び鋼材でつくりました機械——紡績機械であるとか、織機であるとか、船舶であるとかいうようなものの輸出契約が、大体五千万ドル以上に方ると思うのであります。その輸出によりまして、今申しましたような、昨年は比較して増加しました工業用原料の代金を支拂うことができると思います。そうして國内に約五十万トンの鉄鋼品、鋼材が残るというような状態になつて來ると思います。その他食糧品、ガリオア物資と称せられるものは、やはりこの年度内に昨年以上輸入の可能性があるようであります。ただ先般できましたシヤムとの貿易協定のごときは、國際食糧委員会によりまして、シヤムから米の輸出日本に許されるというような場合には、日本の食糧問題のみならず、それに対して送ります機関車とか、車輛とか、そういつたものの輸出が格段の増進を見るように思うのであります。いずれにしましても、本年はそういつたことが本年度内において輸入超過はおそらく四億ドルを超えるかと思うのであります。この趨勢は、來年は相当改善せられることかと考えております。工業原料等の輸入の増加の結果が、今年内には現われることはむずかしいと思いますけれども、來年以後相当の成績を上げるかと者えます。
  18. 川合彰武

    ○川合委員 貿易長官にお尋ねしますが、商工省の外局たる貿易廳というような現在の機構のもとにおいて、はたして貿易行政が不円滑というようなことが起つておるかどうか。あるいはまたこれを内閣の所属のもとに置くというような説もあるのでありますが、はたして現在の貿易行政機構では、貿易の進展の上において不適当であるかどうかという点を最初にお尋ねしたい。
  19. 永井幸太郎

    永井政府委員 ちよつとその御質問には十分なる御返答ができないかと思います。貿易機構の改革ということが傳えられているのでありますが、その点につきましては、行政機構というようなことにつきましては、私はまつたくのしろうとでありますので、十分なことは申し上げられません。が、ただ日本といたしましては、ほとんどありとあらゆる工業原料等を輸入にまちまして、それを加工して輸出をするというようなことと貿易の大部分が依存しているのであります。どういたしましても輸入、生産輸出ということが有機的に一貫して、その間に何らフリクシヨンなしに円滑にその有機体が一貫的に動くというような貿易行政の機構が必要かと私は考えます。日本ほど原料を輸入し、加工して出すというような、輸入と生産輸出というものが非常に一貫した姿で貿易の大部分を占めるという國はほかにないのでありまして、貿易生産ということが互いに遊離しないような機構が必要である。これだけのことを私は御返答申し上げておきます。ただ機構云々のことにつきましては十分なお答えをいたしかねます。
  20. 川合彰武

    ○川合委員 この問題は一つの政治問題でありますので、おそらく長官としては適切な御答弁はその立場からして困難ではないかという点は十分想像し得られます。いずれこの問題は他の機会に一層問題を明らかにしたいと考えておりますが、ただここでわれわれ非常に注意しなければならぬ点は、吉田総理大臣は、貿易行政に関與している官吏が非常に腐敗堕落している、そういうことに対し外國人からも注意があるというようなことを言われているのでありますが、貿易長官としてはその立場上、具体的には言えないでしようけれども、どういう実情にあるか。すなわち腐敗の事実があるかどうか。あるいはまた綱紀が非常に弛廃しておるかどうかというようなことをこの機会にお知らせ願いたいと思います。
  21. 永井幸太郎

    永井政府委員 このことにつきまして弁明を言うとおかしいのですが、私の見るところを申し上げる機会を與えていただきましたことは、私非常に感謝する次第であります。新聞紙の傳うるところによりますと、貿易廳には多くの醜聞がある、これを粛正せなければならぬということをおつしやつたようでありまして、私は実はもしそういうことがあるならば、総理大臣が直接に貿易長官もしくは商工大臣をお呼びくださいまして、お尋ねをくださるとか、あるいは注意をしていただくことが順当であつたかと思うのであります。あれは記者團との会見のときに、記者の方から何か誘導的な質問があつたようで、それに対する御返事をなさつたようなわけであつたのであります。それはさておきまして、私の見るところでは、貿易廳本廳の課長その他重要なポストを占めている人々の間には、粛正を要するとか、あるいは汚職とかいうようなことは断じてないと私は考えております。私は就任以來一年九箇月になりますので、相当若い人たちまで接触をしておりますけれども、そういうことがあつたらたいていわかるものであります。しかしどうもそういうことを言われるだけのことはまつたくないようでありまして、昨年の五月ごろに一事務官が一人そういうことがありまして処罰を受けたのです。これは若い事務官が一人ありました。そのことは廳内でも多少うわさにもなつておりまして、私も氣にかかつておつたのですが、それは処罰されて免官になりました。それ以外には貿易廳内において醜聞というようなことは絶対にないと私は考えます。それから貿易廳とおつしやいましても、いろいろ貿易関係する人が多うございまして、貿易公團には七、八千人の人がおります。それから民間貿易を始めましたころに、あちらこちらから狩り集め的に貿易連絡員というのを頼みまして、バイヤーとの應待に一時雇いでお頼みしたことがあります。その中にもちよちよいいろいろなことをうわさに聞いたのでありますけれども、それは大したことでなしに、例をとつてみますれば、帰るときにそのお前の持つているものを置いて行つてくれたら早くサインをして上げるぞ、そういうことを言つたとか、そういつたごく小さいことをずいぶんうわさに聞きます。それから商賣でありますから、商賣に成功した人と成功しない人とあつて、成功した人は何か賄賂でも使つたんじやなかろうか、あるいはうまくやつているというようなことを言うて帰つた人もあるようであります。貿易廳及び貿易公團、今申しました貿易連絡員というような、ほとんど一万に余る人々の中で、一人残らず清廉潔白な人であるということは保証し得ないのでありますけれども、これをほかの部面に比較して、貿易廳に醜聞があるとか、腐敗しているというようなことを言われるのは、どうも不可解であると私は考えております。それにつきましてあの新聞が出ましたときに、ただちに貿易廳において幹部会を開きまして、私は出ませんでしたが、次長及び幹部が商工大臣及び官房長官にお出会いいたしまして、はたしてどういう言明をせられたのであろうか、具体的にどういうことを言われたのであろうかということ等を申し上げ、そうして愼しむべきは愼しみたいということを申し上げたそうですが、今もつて官房長官からも商工大臣からも御返事がないのであります。一方私の方といたしましては、こういうことが言われる以上は、われわれとしても進んで自粛自戒をせなければならぬというので、廳員一同を集めまして、貿易公團の理事長も呼びまして、從來そういうことがあるとすれば、これはただちに改め、そういう不正な人があればやめさせるとか、あるいは自粛自戒をいたしまして、外國に対しても信用を落すことのないように、十分注意してもらいたいということを申し合せまして、こういつた貿易廳というような役人はどうしてもほかと比べて割合はでなものですから、何やかやとうわさのためになるのでありますが、しかし瓜田にくつを入れず、李下に冠を正さずというような細心の注意をもつて、ぜひ自粛自戒したいということを申し合せております。重ねて申し上げます。貿易廳本廳内におきましては、醜聞と言われるようなことは私の目の届く限り絶対にないと確信いたしております。
  22. 川合彰武

    ○川合委員 貿易長官からその監督下にある部下職員にスキヤンダルがないという力強い弁明をいただきまして、私どもも長官のその確信に対して敬意を表するのであります。ただこれに関して、吉田総理大臣が、たとえ新聞記者から言われた言葉であつたにしても、ああいうような具体的なことを例をあげて、いかにも貿易行政官吏の中にスキヤンダルをする者が多いというようなことを國民に印象づけ、あわせて対外的に不信用をもたらしたいという点は、後日吉田総理大臣に直接これを追究したい、かように考えておりますが、ただ先ほど長官が言われました通りに、昨年の五月、一事務官、すなわちこれは塩田君であります。私は同じ銀行に塩田君を後輩として扱つたことがあるのでありますが、塩田君がこの銀行からニユーヨークに行つて、帰つて來て企画院にすべり込み、終戰後貿易廳に入つたということ自体を怪しんでおつたのであります。札付の人間がよくのこのこと貿易廳に入り、また貿易廳でよく採用したということを考えておつたのでありますが、案の條入つて間もなくああいうような事件を起した。こういう点について、人事の採用という点において非常に愼重にお取扱いになることが必要だということと、さらにまたいろいろな風聞が生ずるゆえんというのは、貿易行政事務がきわめて複雜多岐である。そこで民間側においてわれわれいろいろな運動をしなければならぬというような現実の事実はおおいがたいのであります。從いましてどうか長官は民間出身の方でありますので、事務の簡捷というようなことを極力はかられんことをこの機会に切望しておきます。  次いでお尋ねします。これまた貿易資金の特別会計法と関連のある問題でありますが、せんだつてもこの委員会において食糧の輸入税の免除の際に、同僚の堀江議員から疑惑というようなことを前提にしての質問があつたものであります。この点は特に政党の名前をあげるならば、共産党においては徳田君以下貿易資長の問題についてはいろいろなことを言うのであります。これまた世の疑惑を一掃する意味において、また経済の知識を知らない人が來て、こういうようなことをアジ的に、利己的に解釈しておるという点からしましても、この機会にぜひとも明らかにしておかねばならぬということから私は質問をいたします。それはすなわちわれわれの今までの主食の代替品としてのキユーバ糖、あるいはまたいろいろなものが入つておりますが、そのキユーバ糖のFOB價格とCIF價格とが非常に開きがあるということであります。すなわちこのことは、私どもは占領軍、ことにアメリカの好意によつてキユーバ糖であつても、とにかく主食の代替品として一應食つておる。しかるにある一派はこれをキユーバ糖のダンピングとして行つておる、ダンピングのマーケツトとして日本に輸入しておる、しかもFOB價格とCIF價格とが非常に差がある。その間のマージンというものは外国のマージンとなり、あるいは他の貿易会社というものが不当にマージンを得ているというようなことを言われているのであります。從いまして、そういうようなことは徳田君の言葉をもつて言うならば、すなわちマルクスの言葉をもつて言うならば、不等價交換、日本とアメリカとの貿易において不等價交換、すなわち本國対売民地の関係というようなことにして理論的展開をしているのでありますが、そこで私ははたしてFOB價格とシイフ價格の点が不等價であるかどうかということについて、この機会におつしやつていただきたいと思います。
  23. 永井幸太郎

    永井政府委員 ただいま手元にキユーバ糖のFOB値段とシイフの値段を持つておりませんけれども一つお考え願いたいのは、昨年の輸入キユーバ糖は主食代替用として入つて來たわけであります。食糧品は全体アメリカの陸軍の洗済資金すなわちガリオア・フアンドで持つて來る。これは貿易廳はほとんど買付けて船が入る前に知らされる。食糧品、肥料、ガソリン、この三つのものは契約当事者になつていないのであつて、これだけ入つたから配給せいということになつております。それから買付けも、私は特に申し上げたいのは、大体アメリカで買います栽糧品等は、いわゆるコーター・マスターが買付けしておりますので、非常に先方の会計規則などもやかましく、非常に大きな何か商賣人が搾取するというようなことはあまりないように考えております。FOBとCIFとの差もおそらく一トンに二十四、五ドルの差はむろんあると思います。運賃その他の諸掛りは相当高いものである。FOBとシイフの差の大きいものもずいぶんありまして、地中海及びアデン、紅海から参ります塩のごときは、シイフ十七ドルに対してFOB三ドルで、運賃が一四ドルということでありまして、よく研究しませんと、おそらく徳田氏以下はあまりそれまでの研究が届いていないのではなかろうかと考えております。
  24. 川合彰武

    ○川合委員 こういうような点は、知識水準の比較的低い國民にそういうようなことを印象づけて、そして政党加入とか、あるいはまた政党に対する支持を維要するということは好ましくない、しかしそういうような好ましくない原因が、やはりそのことに対する事態が明らかになつていないことに発すると思います。從つて、これは政府においても、國民にそういう内容を周知せしむることをぜひとも考えておく必要があると思う。新聞その他をもつてやるなり、またラジオというようなものを通じて、ぜひとも周知をすることが、これは決して一吉田内閣の問題ではなくして、日本政府としての大いなる責任であろうというように考えます。それと同時に、もう一点この機会にお尋ねしておきますが、私はよく知つておるつもりでありますが、食糧の代金の問題であります。ところが、この食糧の代金の問保は、ダラー・アカウントというものはすべて連合軍で掌握している。一方においては円アカウントは日本政府でやつている。この間の関係というものがよく國民には納得されていないのであります。從つてわれわれは先ほど長官のおつしやつたように、食糧関係というようなものはガリオア・フアンドによつてまかなわれておつて、これはおそらくイタリーの例からいくならば、最後においては平和会議の場合においては、帳消しになるであろうというように考えているのでありますが、輸入食糧の支拂関係その他に関して、この機会に一應明らかにしていただきたいと思います。
  25. 永井幸太郎

    永井政府委員 拜承いたしました。
  26. 川合彰武

    ○川合委員 もう一二時を過ぎておりますから簡單にいたします。これはちよつと速記をとめてください。
  27. 島村一郎

    島村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  28. 川合彰武

    ○川合委員 申すまでもなく円の対外價値というものは、これは國内の購買力の反映であります。日本の國内の物價というものが、きわめてアンバランスの状態にあるというときに、一本の為替に一元化するというときにおきましては、いろいろなフラクシヨンが生ずるわけでありますが、私は当分の間、まだ一本の円為替というものはできない方が望ましいというように考えております。從いまして、しばしば日本の雜誌並びに新聞等に、日本の円為替が一本になる、くぎづけされるというようなことが出ておりますが、どうかそういうような点において、責任ある当局、軽々しくこういうような問題に触れていただかない方がいいというように考えておりますから、愼重なるお取扱いを望みます。  それからもう一つは、よく問題になる点でありますが、この機会に明らかにしていただきたいと思うことは、日本から、たしか亞鉛鉄板をどこかに送つたことになつております。この亞鉛鉄板が日本のFOBと向うのCIFとで非常に差がある。ちようど輸入のものと逆であります。そういうようなことを指摘されておりますが、これは一般世間に、亞鉛鉄板が輸出されておるということはよくわかつておる問題でありますので、亞鉛鉄板の実情について、この機会にひとつお知られ願えれば幸いと思います。
  29. 永井幸太郎

    永井政府委員 亞鉛鉄板の輸出につきまして、私の聞きましたところでは、フイリピンに行きました亞鉛鉄板が、何でも日本で賣れておる以上に——こちらで本五十ドルぐらいに賣つたものが、二百五十ドル、三百ドルに賣れておるということを聞きました、それは最終の消費者に渡る小賣値段かと思いますが、日本のそのときのFOB亞鉛鉄板の値段は、大体アメリカの製造業者から出る値段を参考にして、こちらのドルをきめました。しかしなかなか製品供給が世界的に少いものですから、それを得た人は相当の利潤を得たものだと考えます。われわれとしましては、アメリカの製品と金体にらみ合わした價格でFOBを見るということを原則といたしておりますので、間々そういうことはあり得ます。それからまた運出品に対しましては、いろいろ日本で賣る値が安いという苦情がずいぶんあります。たとえば、陶器などは、ウインナー・セツトが二十五ドルくらいで賣られておるのですが、それがニユーヨークで九十五ドルに賣れておる。こんなに安く賣つてもらつちや困るじやないかという話で、だんだん調べてみますと、途中の運賃、割れ、輸入業者の口銭、それから昔森村あたりがニユーヨークで小賣をしておりましたときと違つて、今はデパートメント・ストアに出す。そうするとデパートメント・ストアでは四割とる。そういうことをずつと計算してみますと、日本の二十五ドルで賣つておりますのが、英國の競走品と比べて、まだちよつと高いというようなことであります。ただ最後の消費者の賣り値とFOBだけを比べますと、よほど安くつくのじやないかということが言われるのですが、だんだん調べてみると、そうじやないようなことになつております。
  30. 川合彰武

    ○川合委員 私は日本貿易が、漸次本日の國内のマル公價格から、世界の國際價格に移行しつつあるというように考えております。ところが日本業者は、依然として日本マル公價格を中心にして考えておる。そこに非常に業者としての見方の相違があるわけでありますので、貿易廳としては、國際價格を中心に輸出というものを考えるか、あるいは日本マル公を中心に輸出振興を考えるか、これはきわめて重大な点でありますので、このプリンシプルについてお聞かせを願いたいと思います。
  31. 永井幸太郎

    永井政府委員 いずれにいたしましても、國際的な、先方で賣り得る價格というものを中心に考える必要があると思います。國内價格もなるべく國際價格が反映するような方式にならねばならぬと思いますので、先般來御承知のように、ある外貨建の底値をきめまして、それ以上に賣つた場合には、それだけそれに比例して円の價格を多くメーカーに拂えるというような、幾分國際價格が國内價格に反映しますような方法をとつております。御注意のように、できるだけ國際價格が國内價格に反映するのみならず、國際價格そのままが國内價格になるというようなことが望ましいのであります。それはほんとうの為替でもできますれば、ただちにそうなるかと思います。今のところいたしかたないので、当分微温的なことではありますけれども、フロワー・プライスより高く賣れたものは、それに比例して円を拂うということで、幾分國際價格が國内價格に反映するようにいたしております。
  32. 島村一郎

    島村委員長 それでは食事の関係もありますから、しばらく休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  33. 大上司

    ○大上委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  貿易資金特別会計法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。堀江君。
  34. 堀江實藏

    ○堀江委員 單一為替レートの問題については、同僚議員からの午前中の御質問に対して御答弁があつたのでありますが、これは大体いつごろ單一為替レートを設定されるような見込みになるかどうかという問題、それから次に貿易関係についてはいろいろ複雜なことがあるように聞いております。また單一為替レートがきまつていないために、先ほど貿易長官から答弁がありましたように、三百ドルに決定したならば、四割は倒産するような情勢にあるというようなお話でありましたが、重要品目につきまして内地からの買上げ價格、それが貿易に賣渡されるところの交換率といいますか、為替がないわけですから、どの品物はどういうぐあいな比率で大体貿易がなされておるかという点をまずお伺いしたいと思います。
  35. 永井幸太郎

    永井政府委員 第一に御質問の單一レートの設定の時期は、具体的に何月何日からということは申し上げかねます。結局のところ、物價と賃金の水準が相当期間安定するという見込みがついたときにやるべきものかと考えます。なおこれは日本政府独特の考えでも参りませんので、関係方面との意思の合致することも必要かと思いますので、時期がいつだということはお答えいたしかねます。それから第二問の重要品目につきまして買上げ價格とその交換率でございますが、いかがなものでございましようか。資料をあとから差上げた上がいいと思うのですが、非常に多岐にわたりました商品の数でありますので、一々ここで申し上げかねるのでございます。
  36. 堀江實藏

    ○堀江委員 その問題について資料をあとから出すということでありますが、この大体の見込みが立つて、それによつて貿易資金特別会計の今回の改正に関連する問題がありますので、わかりますならば全部の品でなくてもいい、重要な品物だけでもできればきよう御答弁を願いたいと思うのであります。
  37. 永井幸太郎

    永井政府委員 それではおもなものを申し上げます。買上げ價格ちよつとここに資料を持ち合せませんが、換算率だけ申し上げたいと思います。輸出品からまず申し上げます。石炭が二百七十五、鋼材が三百二十から四百二十までの間を往來しております。電線が四百十、電氣器具が五百十、生糸が、今のところで新繭と旧繭とをプールでしておりますが、そのプールしている分に対しては三百八十五、來年になるとこれが四百三十になる。スフ糸が二百五十、スフ織物が三百二十、人絹糸が二百四十、人絹織物が二百六十、毛糸三百、毛織物三百二十、電氣機械三百二十、自轉車六百、自動車四百、寫眞機四百二十、麻織物四百、生地綿布二百三十、糸染綿布二百四十、晒無地染綿布二百六十というようなものでありますが、もしお待ちくださいますれば資料を差上げます。
  38. 堀江實藏

    ○堀江委員 私の質問したいのは、そうして関連において、今回この法案において百五十億の資金の会計を二百五十億に増加するという理由は、昨日説明を受けましたように、日本の公定價格が物價改訂があつたために上つたという説明でありますが、しからばその観点におきまして、外國から輸入する物資を國内において販賣する場合には、それだけ高くなるという意味において、私は増額の根拠がわからないのであります。一方的でなくして、輸出するために買上げ、そしてまた輸入した物を日本内地に賣渡すという場合においては、同じ関係にあるので、増額した根拠がそれによつて生れるかどうかという点について、私は疑問を持つているわけでありますので、それについてまずお答え願いたい。
  39. 永井幸太郎

    永井政府委員 今回借入限度百五十億円を二百五十億円に増額の法案を提出して御審議をお願いいたしておりますのは、こういう具体的の理由があるわけであります。第一は進駐軍関係の將兵からドルを受取つて円を渡します、そのドル、円交換のための基金十億円と、あと四十億円本年度内に円を出しますので、それが合せて五十億円、これが一つの項目であります。次の項目は、初め百五十億円まで借入限度を増額してもらいますときにおきましては、大体物價の騰貴率を一・六倍という予想のもとにわれわれの資金繰を立てておつたのでありますが、綿糸布の加工費が予想に反して約二倍になつているのでありまして、その差が四十億円であります。それからあと準貿易物資と称せられます米軍中央購買局、CPOに納める品が予想以上にふえまして、約九億円の支出増になつておりまして、そこで大体百億円の予想外の円の支出がありますので、百億円ふえたというわけであります。
  40. 堀江實藏

    ○堀江委員 この貿易資金特別会計というものは、國民全般かに不可解なような存在として見られております。私は食糧特別会計のときに特に質問したのでありますが、食糧特別会計、つまりアメリカの占領地救済費からの食糧が日本において金にかわつたものが、貿易資金特別会計に入つておるということを聞いております。しかも貿易資金特別会計においては、そうした金はなくなつている。その関係は、全体の対外的な一般貿易との関連であるというような御答弁があつたわけでありますが、しかし占領地の救済費によつて支出されているところのこの食糧の賣拂代金が入つていないという場合、これは当然講和会議ができてからの問題になると思いますが、万一食糧代金を支拂わなければならないということになつた場合には、國民から税金をとり立てて、それを決済しなければならないということになると思うのであります。そうした場合において、今まで聞いている状況によりますと、貿易の損を食糧を賣つた占領地救済費で決済しているというような状態になつているようなことは、非常に大きな問題だと思いますし、食糧の特別会計は会計として、かりにそれがいろいろ資金関係上、この貿易資金特別会計に繰入れたとしても、それははつきりしておく必要がありはしないか。また貿易のために、一般國民に迷惑をかける大きな税金をかけて、それを決済しなければならないという事態に備えるような態勢をとつておられるかどうか。そういう点についての御見解、実情を伺いたいと思います。
  41. 永井幸太郎

    永井政府委員 食糧その他の米國の陸軍予算によつて送ります物資を、日本内地の生産價格によつて賣却をいたしまして、その代金が貿易資金特別会計へ入つております。そして輸出品の買上代金は貿易特別資金より拂い出されておりますから、今おつしやつた通りガリオア・フアンドで入つて参ります食糧の賣下代金は、貿易資金特別会計の輸出品を支拂う代金に充当されているということは、今堀江委員より御指摘の通りであります。それをほんとう輸出と輸入とでバランスをとることができれば、たいへんけつこうなのでありますけれども日本の現状といたしましては、御承知のように非常に大きな輸入超過になつておりますので、この食糧その他の救済資金によつてつて來られる輸入品に対する代金を別途に積立てるということも、あるいは一つ方法でありましようけれども、ただいまの貿易資金特別会計法の指示します法律に従つて輸入品の賣拂代金を貿易資金特別会計の入金とし、輸出品に対する支拂い貿易資金特別会計の資本からの支出とするという規定に基いて、救済物資の賣上代金をも貿易資金特別会計へ繰入れているわけでありまして、このやり方につきましては、司令部とも打合せの上かかる形式をとつております。なおこの救済勘定で持つて参ります輸入品の代價の賣拂い等につきましては、司令部より大体年に三べんくらい参りまして監督並びに檢査をいたしておりますが、この貿易会計のやり方は、今申しまする貿易資金特別会計法の命ずるところに從つてそういうふうになつております。それでしからばこの救済基金による物資の輸入がなくなればどうするかという問題になるのでありますが、これはすこぶる重大な問題でありまして、ただいまここで御返事することは不可能だと存じますが、その場合には、日本輸出を増進して、輸入をそれにマツチさせて行く、あるいは長期のクレジツトを得るとかいう方法よりしかたがないと考えております。ただいまのところは今申しました通り、貿易資金特別会計法の命ずるところに從つて処置いたしております。
  42. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 本会議が始まりまして、本会議が成立しない場合がありますので、一應休憩して本会議に入つて、しかる後に続行されんことを望みます。
  43. 大上司

    ○大上委員長代理 ただいま佐藤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 大上司

    ○大上委員長代理 ではさよう決定いたします。  しばらく休憩いたします。     午後二時三十二分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕