○外崎
委員 陳情書はまだ出ておりませんが、熱心なる
日本旋網
漁業協会々長小高熹郎さんから特に
陳情がありましたので申し上げたいと思います。
関東北いわし、あぐり網
漁業大不漁に対する根本策として左の方途を講ぜられるよう
陳情申し上げます、内容はわが國においても最近科学の進歩に伴い寒暑台風による災害はある
程度予測さるるにいたりしも、まだ潮流の異変による災害に対しては現在の調査研究にては予測すること不可能にして、われわれのごとく回遊魚たるいわしを
目的とするあぐり網
漁業者が、現行
漁業法により許可せられたる
漁場仙台湾沖において、例年九月初めより十二月ごろまでに
漁獲せらるるいわし数千万貫なりしも、本年はいわしの使游皆無のため大不漁に遭遇し破産のやむなき
状態に立ち至り、このまま推移するときは本邦重要
水産物たるいわしの生産は著しく減退するのみならず、これに
関係ある者のこうむる被害はすこぶる甚大にしてゆゆしき大問題なり。しかるに旱魃、台風による災害には補償制度あるにかかわらず、後者の場合には何らの災害補償なきはきわめて不合理なり。よ
つて当
漁業維持育成のため左記事項の
実現方切に
要望いたすものである。以下の項目につき考慮を願うのである。
一、不漁の救済資金として
政府資金中より六億四百万円支出をはかられたい。
二、融資は五箇年以上の長期資金とすること。
三、
漁業は今日までの経驗からして五年——十年を一期として收支を見なければならない状況である、今回の不漁はたまたまその間において発生した事態にして、
水産業政策を確立する際に常時考慮さるべき事項と信ず。ことに今日のごときインフレーシヨン時において、なお一層その
重要性を確信されるものである。
四、これと同時に不漁時における一つの根本策として、
漁業許可の取扱方針を
漁業の多種
経営をなし得るよう方途を講ずること。
こういうわけであります。こういう場合に対し
政府は十分考慮くださいまして、またどういう方法が最もよいか。またこの
陳情書も素人が書いたもので多少不備の点があるかも知れませんが、
政府としてもこの業者らの立つような方法をも
つてや
つてもらいたいと思います。この点が一つ。
いま一つは今の
漁港、船入澗の問題でありますが、これも簡單に申し上げますが、わが
青森縣ではまだ
請願書は出しておりませんけれども、しばしば本議場でも申し上げましたが、御
承知の
通り日本海の
沿岸は秋田あるいは新潟、富山各方面から北海道の奥北航路の中心をなしておるものである。しかるに
青森縣の西海岸における完全なる
漁港船入澗がない。そうして
避難港が不完全のために年々災害をこうむるところの、遭難するところの船があり、また人命は非常に失われておる。これも先日岸
漁港課長に詳しく申し上げておきましたが、そういう点について
政府はほとんど考慮を拂
つておらないと言うてもさしつかえないほど不完全なものであ
つて、なかんずく
青森縣のこの西海岸における岩崎港は昨年から着工されまして、今年は継続事業としてや
つてくれるということを伺
つて非常に安心しておりますが、その次に深浦港という
良港があるが、これまた非常に完備しないために、常に非常な豊漁を見る場所にありながら船の出入にさえ不完全で、風浪の場合にはいかんともなす方法のない場所であることを十分に
考えていただきたい。もう一つは北金ケ沢港であります。ここは非常に貧乏な漁村でありまして、しかもそこは非常に
良港であるけれども、いかんせんこれは地元民の力が足りないのか、今日まで投げ捨てられておるのであります。これをも
政府は十分考慮して、こういう場所に十分なる
漁港船入澗をつくるべきが当然であると
考えております。その次は鰺ケ沢港であります。これは八百万円もかけてつく
つて、その後もまた
政府が数百万円の金を投じてくれましたけれども、ここにも完全なる
漁港がないために、ここは年々五そうないし十隻くらいの船は難破してお
つて、常に多くの人命が失われておる。こういうようなりつぱな
漁港を有しながら、家の前において親、兄弟を失わなければならぬというような
状態は、ひつきようするに
政府の
補助金の問題が、一番大きな問題であろうと
考えるのでありますが、これらも十分考慮して一日も早く完備していただきたい。もう一つは北郡の小泊村、これは北海道と目の前の村でありますが、御
承知の
通り漁港というものは昔七万円かけてつく
つたというにすぎずして、その不完備なところに修理さえも完全にしないのであります。ところが北海道の福山にかけてのいかの漁は相当あるが、いかんせん船の出入が不完備のために、これまた不漁を來しておる。ついこの間のごとき、これも風浪に追われて帰
つて來たいかの船が遭難して、その
漁港に入ることができ得ずして二十五名一挙に死んでおる。こういうようなぐあいから顧みれば、
日本の
漁港はまことに不完全きわまるものであ
つて、昨年もそこにおいでになる太田技官と当時の福田局長も一緒に行きましたが、
日本海
沿岸並びに太平洋哉岸方面に視察して見るに、いずれも完全なる
漁港はないのである。その
漁港はなぜできないかと言うに、これは
政府の
補助金が一番の問題である。四割や五割の
補助金を出して、お前たちが
漁港をつくれと言いましても、どこの漁師の町に参りましても今日何百万円、何千万円かけなければ完成しないというものに、わずかに四割、五割の
補助金を出して、お前たちでやれと言
つてもできるものではない。魚の多い少いは問題ではない。三百五十万の
漁民の生命を保障するという建前から参りましても、全額國庫負担をも
つて、
日本全國の
漁港をして一時でなくても、順次改良して行かなか
つたならば、この漁師の生命を一体いかにするのか。こういうことをも
考えずして、わずか四割や五割の
補助金をも
つて、お前たちの命は勝手に守るべし、そして魚は公定價格で出すべしというような、無暴きわまる國民の生命を保障しないような國は世界中どこにもない。なかんずく今日困
つておる
日本においては重要なる産業として、また食糧としてでもこれほど大きなものはないのでありまして、米に次ぐ海の宝、これをとるとらないはその漁師の命にかかわるのであ
つて、この命を完全に守るためには、あくまで
政府は全額國庫負担をも
つてしてもやるという決心をも
つてやらなければ、漁師の生命を守ることができない。こういうような観点から、わが
青森縣は
請願書は出しませんけれども、太田技官はわが
青森縣の
沿岸は、なかんずくみずから設計を組まれたところん
漁港さえもある。この場合幸い太田技官がおいでにな
つておられますし、こういう観点に立
つて、
青森縣は当然見てもらわなければならない。なかんずく太平洋
沿岸の大間、白糠、あるいは大畑、横浜、野辺地、小湊、また青森というような場所にも大きな
漁獲の場所がたくさんある。御
承知の
通り三面海をも
つて囲まれておる
青森縣において、
漁港船入澗が不完全なために海に出られないという
状態にある。この問題に対して
政府に御答弁を伺いたいと思います。また十分考慮してや
つていただきたいと思います。