○大森
委員 次には魚類に対するところの統制の問題であります。この統制の問題につきましては、私から申し上げるまでもなく、魚というものは刻々にいわゆる價値のかわるものであります。朝と晝と晩とかわ
つて行く性質のものであります。しかるに公定價格をきめますと、一年ぶつ通してや
つて、またすべて價格の変動がなければこれがかわらない。この点はあるいは米であるとか、あるいは何か変質せないものであるならば、そうしたこともできるでありましようけれ
ども、魚におきましては、今申し上げたように時々刻刻かわる。しかも朝の値段と晩の値段とは、自由の場合においては非常な開きのあるものであります。それを
一つの價格に納めて行くというようなことは最も至難な問題であり、むりがあるのではないか、こういうふうに考える。そこでどうしてもこうして統制というものによ
つて物のすべての指数をはかり、あるいは
一つの何かつかみどころを持たなければならないというようなことでありますれば、そのために必要とあるならば、魚はルートを通して
一つの統制はや
つてもよろしい。しかし價格だけははずした方がいい。價格については今申し上げたように刻々かわるものでありますがゆえに、
漁民は今日の状態では魚をとりに行きますと石油代にも足らない。でありますからもど
つて來て、とつた魚の方を清算してみると石油代の方が上だつた、こういう状態が今続けられておる。そのために今や
漁民の生産意欲は減退いたした。この点をよく考慮していただくならば、私が今申し上げたように、統制が必要であるというならやむを得ない。しかし解
つてもらえばいいのでありますけれ
ども、それができないとあるならば、統制はそのままにしておいて、價格だけをはずして、自由に
漁民に働かすことが私は生産増強であると思うのであります。こういう点に対しては、いろいろ申し上げると長くなりますが、大体
水産廳におかれてもよく御
承知だと思いますが、現在の状態を見ますときに、もうすでに私が口にするまでもなく、魚というものは古いものが高く
なつた。私
どもは新しいものをたんと食いたい。いわゆる生きのいいものを食いたいというのが日本人の常である。
從つて日本人はおさしみなんかを好むのである。しかしながらおさしみにする魚は安くて、少額な魚が三倍に
なつたという現状は、これほど不思議な價格はないと私は思う。それでこうした問題を続けておくことは、現在の
漁民をして生産意欲をますます減退さすものである。ゆえに小さな漁師はもはや出なくなる。私の
地方などにおいては二十そう船がある。あまりこのごろはとれない。ことに少し魚の盛りが過ぎてきたということになると、二十そうの船の中の一そうだけが代理のものが行く。それはなぜかというと、一そうだけ行
つて、二十そうの食べる魚だけをと
つて來ようじやないか。とらないでは食べられないから、食べるだけ持
つて來ようというので、十九そうが遊んでいるという状態が今や続けられているのであります。この点は
水産局長におかれてはよく知
つておられるので、私が
説明申し上げるまでもないと思いますが、私の氣づいたのは、どうしても統制をはずすことができなければ、統制はそのままに続けておいて、値段だけをはずせば、必ずとれたときは安いにきま
つている。またとれないときには高い。高いのを好んで食う人はいくらでも食
つてよろしい。とれないというときには、漁師は先を競
つて、おれこそこの怒濤を冐して、と
つてきて、それが高い値に賣れればいい收入になるという考えのもとに、自分の危險を冐してまでも、
漁民は働くということを、私は確信して疑いません。その点をよく考慮になられまして、今申し上げたように、統制を全部はずしてもらう。はずすことが、できないならば、この間第一級品ははずしてもらつたけれ
ども、もう一段下げてはずしてもらいたいということを、私は希望申し上げるのであります。局長はどういうお考えを持
つておられますか、この二点をお尋ねいたした次第であります。