○
外崎委員 林漁港課長に、
青森縣の
日本海に面する
漁港に対してお伺いしておきたいのであります。御
承知の
通り青森縣の
日本海は秋田、新潟、富山各
方面の船は
北海道の往復の
途上、常にある権現崎を越えることに至難を感じて、年々何艘ではない、何十艘というほどの船の
損害をこうむ
つておる。また人命に非常なる
損害をしておることは、すでに御
承知のはずであると
考えます。しかるに
青森縣の
日本海において完全なる
避難港は
一つもないのであります。
避難港が
一つもないのが、これが大きな
原因を來しておるのでありまして、これに対して
林漁港課長はいかなる
考えを持
つておるか。
漁獲の多い少いということは、私は常に話をしておりますが、問題ではない。海員及び漁各の
生命を保障しておるというような点は、一箇所も
日本海にはないのでありまして、昨年も
日本海をほとんで各縣の
沿岸並びに
太平洋の一部も見て参りましたが、完全な
漁港、
船入澗がないために、常にどこでも多くの船はこわれており、また人員の
被害をこうむ
つておるということを承りました。なかんづく
青森縣の方は、あれほど
北海道との
交通上欠くべからざるところにもかかわらず、
一つとして
避難港、
漁港の完備したものがないということは、いかなる
理由で
あすこにつくらなかつたのか。つぶさに專門家である林さんから伺いたいのであります。
本年は二十三年度において
岩崎港がわずかに手をかけられておりますけれ
ども、あのままで投げ捨てられて行くのであれば、
岩崎港のごときはまことに氣の毒な
状態なのであ
つて、ただちに築港して完全にするくらいにや
つて行く
考えがあるのかないのかということが
一つ。
もす
一つ、大戸瀬村に北金ケ沢という所がありますが、これは縣で
船入澗とまで行かぬでも、非常な良港である。しかし
地元に力がないために、いかにせん、方法がつかなかつた。しかしくろうとが見ても、しろうとが見ても、あれほど
避難港としていい場所はないとわれわれは
考えているのであります。ああいう地形のいい所に
地元に力がないということで投げ捨てているということは、まことに遺烙のきわみであると
考えているのであります。こういう点に対して
課長はいかなる專門的な
考えをも
つてこれを救済するか、またこの辺に
避難港をつくる御意思がないか。
あるいは
鰺ケ沢港はどうであるか、
鰺ケ沢港は
あすこは近年八百万円かの大
工事をしましたが、それもほとんど
避難港、
漁港としての力がないのであります。御
承知の
通り、
あすこや
深浦港は船が入
つて避難するけれ
ども、はいつたばかりで船がぶつかる、あるいは
避難する完全なものがないので、そこで大きな
損害をこうむ
つていることは、明らかな事実であります。しかるに予算があるのないのいう名目のもとに、
深浦港、
鰺ケ沢港のごときは全然顧みられていないという
状態は、いかなるお
考えのもとに今日まで投げ捨てておつたのか、この点も
一つお伺いしたいのであります。
それから十三港というものがございますが、ここには大き
湖水がありまして、あの
湖水に五百トンの船が入るのであります。しかるに
海図に
避難港としてのあれがないために、あのそばまで來て、もうわずか三十間か五十間行けばあるこへ入れるのに、
海図がないので入らない。わずか三十トン、五十トンの船も入らずに、脇元村
磯松あたりの
海岸に集ま
つている。もう少し行かれなかつたかというと、
海図がないというので、入れない。
海図がなくても、五百トンの船が入れるだけの立派な
避難港として路いることができるものを、未だ何十年も今日まで顧みず、全然
湖水としてこれを取扱
つている。しかし
あすこには造船所もあるし、製材所もあるし、そうしてわれわれの船も出入りしているのであります。知
つている船は出入りするけれ
ども、知らない初めて航海する船は、入ることを得ずして、わずかに近くで坐礁する事実がたくさんあるのであります。そうして
あすこには入海といいまして、
湖水以外にもう
一つ、昔はどんどん船が入つた所があります。これなどはちよつと手入れをすれば自然の
避難港ができる。もちろん大きな船は出入りはできませんが、小さな三十トン、五十トン、百トン級の船は十分出入りできるのを、これすら調査もせずに投げ捨てているということは、あまりに海員及び船員の
生命を軽んずるきらいはないか、われわれはこう
考えております。ただ魚を多くとるとかとらないということを問題にして、
生命を
考えていない。
漁港、
船入澗をつくるというような專門的な頭では困るとわれわれは
考えておる。
当局においても十分これらを調査してもらいたいという
考えを持
つております。
次は北津軽郡の小泊港という所がある。小泊港のごときはついこの間休会中に非常な惨事が起きたのであります。暴風雨に追われて來たいかつり船は、その
漁港が不完全で入ることができなかつた。その向うにおいて船は難破し、遂に一時に二十五名の親兄弟が目の前において死んでおるのであります。なぜそこまで來られなかつたかというと、不完全な
船入澗に入るよりも、むしろわきに
避難した方がいいという
考えのもとに、氣の毒にも入ることができなくて、すぐ近くにおいて坐礁して、その船はばらばらにな
つてしまいました。あの小さな漁村において、一ぺンに二十五名のお葬式は戰爭時代でもなかつたのであります。かような
状態で、どなたが見てもわかるような場所において、あまりにも
漁港、
船入澗に対する
考えがなさすぎると
考える。よ
つて林
課長には、今年私が御案内しますから、少くとも專門家として、いま一度辺鄙な地であ
つて不便であるけれ
ども、親切をも
つてこれらを視察し、十分
研究して、しかる後これらに対する適当な方法をとる
考えがあるかないか。予算があるのないのという問題ではない。予算があるのないのと議論しておるうちに、多くの人命を失われることを恐れておるのであります。同時にその下に下前という
船入澗があります。これも私縣会
議員中に一期、二期の
工事をやりましたけれ
ども、これもそんな小さなことではできるものではない。しかも日本一のりつぱな漁師のおる所であるけれ
ども、
船入澗が不完全なために非常な
支障を來しておるのであります。もちろん縣にも責任がありますけれ
ども、最も
関係をも
つておる農林省、あるいは水産廳とまで進んだ今日において、林
課長は命にかけても、これらの漁民に対して親切を持
つてや
つてもらいたいというのが私の希望でありまして、林
課長のその点の御意見をお伺いしたいのであります。