○坪井
委員 ただいま
委員長に発言を求めましてお許しを得ましたので、私もごく簡單に
質問いたしたいと思います。
水産業協同組合法案が上程されまして、しかもこの内容を見ますると、大体
漁業協同組合、
漁業生産組合、
漁業協同組合連合会並びに
水産加工協同組合及び
水産加工協同組合連合会、この五つにな
つておるわけですが、非常に輻輳しておるということであ
つて、つくられたこの
趣旨から見ると、どこにこの
協同組合によ
つて日本の
水産業が眞に國民の要望するような國民生活の安定に寄與する方向に向
つて行くものがあるかということが憂慮されますので、あまりにもこれは一方的の、いわゆる
水産業の生産増強だといつたような感がいたしますので、私は非常に不満でございます。
從つて私が申し上げるまでもなく、國民生活の安定ということになると、衣食住という面になりますけれ
ども、おそらくこの
水産業の受持つ分野というものは非常に廣範であるから、この
漁民というものを中心といたしまして、何としてもこの漁獲高を殖やして行く、この線が第一の
目的にはなるわけですが、しかしもつと
日本の現状から見て、農地改革が行われ、すべて民主化されて行こうというときに、やはりこの
漁業権もここに改革されまして、独占的には行われないというような方向に向けて行くやさきにおきまして、ただ
漁業と一口に言いますけれ
ども、これを大きな食糧、飼料、肥料あるいは工業用原料というような面から
考えたときには、今度の
協同組合は満足できない。
目的を
ちよつと読んでみますと、「この
法律は、
漁民及び
水産加工業者の協同
組織の発達を促進し、も
つてその経済的社会的地位の
向上と
水産業の生産力の増進とを図り、國民経済の
発展を期することを
目的とする。」國民経済の
発展ということはまことに漠然としておりまして、これも私は
納得できない。少くとも國民生活の安定ということになれば、その問題は衣食住ということに帰着いたしますので、今の
日本の現実から見て、食糧が昨年から本年にかけて、少とも二百数十万トンが輸入されている。もう五年先に行つたならば、四百万トン輸入されなければ、國民の食生活の安定ができないということを
考えたときに、何としても今後私
ども國民が求めるものは、この
水産にまつよりほかにないと思う。そういう見地から見て、幸いに昨年から捕鯨が許可されまして、一千頭余の捕獲もあつたわけでありますが、また本年も許されております。こうした大きい見地から見たときにおきましては、私は少くも今までの一貫した——今度
農業協同組合法ができまして、これは一貫しておりますが、やはりそうした方向に向
つて行くべきであ
つて、昨年も林産
組合と森林
組合ができて、府縣林業会というものができました。利害相反したものが一緒にや
つて、うまく行くためしがない。そういう観点から見て、私はこういうものがはたして運用の面においてうまく行くかどうかということを非常に疑いを持つものでありますが、今後この食糧、飼料、肥料、工業用の原料というものを十二分に確保して、そうして國民生活の安定をさせるという上においては、この第一條の
目的に、國民食生活の安定とか、あるいは確保とかいうことを強く織り込んで、そうして國民に安心感を與えられなかつたならば、ただ單に
組合の
組合ということだけでは、私は物足らない。これについて
考えますると、農林省というものがあつたら、これは当然
水産省というものに行くべきである。むしろ農林省以上に、これは何とか世界の海を全部漁獲を認めてもらうというところに行かなかつたならば、
日本の將來の食生活の安定ということは、どうしてもできないというくらいに私は
考えておりますので、これらについて長官としては抱負があるはずだと、こう
考えますので、
目的が非常に貧弱であり、
從つて今度提案されたこの
法案が、どうも利害相反するような、輻輳して、どうもここに不明朗な
目的、あるいはまたその内容を見たときにおいて、大体
日本の水揚げ総量というものは、昨年は八億万貫を目標とした。戰前は十四億万貫を目標としておる、こう言われておつたが、戰事中はわずか四億万貫であつた。しかも今後われわれは一体どのくらいこの量を確保したらよいかということは、結局食糧、飼料、肥料あるいは工業用の原料、こういうことから見ると、一体何十億を目標に行くのかというような、
ほんとうに大きな見地から
考えて、これを確保するためには、どうしても今後今までのこうした封建的の形態ではいかない。何としてもここに一大改革をして、いわゆる
水産業協同組合法の充実をはか
つて、その
目的を達成するということにならなければ、單なるこうした一つの
協同組合をつくればよいというだけでは困る。その
目的、そのねらいがどこにあるかといつた、國民生活の安定といつた、八千万のこの國民の食糧をいかに求めるかという、この大きな見地に立
つて、ひとつ長官の御抱負を伺いたいと思います。私の
考えといたしましては、少くとも今後われわれの向うべき目標は、三十億あるいはまた五十億万貫くらいは、——戰前のいわゆる三倍ぐらいまでは当然伸びる可能性もあり、またそのくらいやらなければ、わが國の人口から見て、食糧の確保をする、あるいはまた肥料、飼料、工業用の原料をつくるという上において、物足らない。それにふさわしいところのものが、この
法案に盛られておるかどうか。この内容にはそれらを元としておるかどうか。ただ單に、農業
協同組合ができたんだから、今度は
水産の方も負けず、ただつくればよいというような、おざなりのように私
どもには
考えられるが、これらについて抱負があれば、まずお伺いしたい。私としては、それらがまず
根本問題だと
考えますので、この第一條の
目的についてまずただし、しかも今後
日本の
水産業をいかにして行くかということにつきまして、御
意見を伺い、なおまた農林省と併行して
水産省をひとつただちに設置する意思ありやいなやということについて、お伺いをいたしたいと思います。