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1948-11-15 第3回国会 衆議院 人事委員会労働委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十五日(月曜日)     午前十一時九分開議  出席委員   人事委員会    委員長 角田 幸吉君    理事 木村 公平君 理事 赤松  勇君   理事 長野重右ヱ門君 理事 玉井 祐吉君       淺利 三朗君    山村新治郎君       中野 武雄君    根本龍太郎君       菊川 忠雄君    島上善五郎君       前田 種男君    松澤 兼人君       米窪 滿亮君   生悦住貞太郎君       高橋 禎一君    最上 英子君       吉田  安君    船田 享二君       松本 瀧藏君    水野 實郎君       徳田 球一君  労働委員会    委員長 綱島 正興君    理事 尾崎 末吉君 理事 山下 榮二君    理事 川崎 秀二君    中原 健次君       東  舜英君    倉石 忠雄君       久保田鶴松君    辻井民之助君       安平 鹿一君    山花 秀雄君       山本 幸一君    中曽根康弘君       大島 多藏君    赤松 明勅君       田中 久雄君  出席國務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大 藏 大 臣 泉山 三六君         労 働 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         臨時人事委員長 浅井  清君         臨時人事委員  山下 興家君         臨時人事委員  上野 陽一君         総理廳事務官  佐藤 朝生君         総理廳事務官  岡部 史郎君         法 制 長 官 佐藤 達夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第七号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより人事委員会労働委員会連合審査会を開きます。  角田委員長は所用のために外出せられておりますから、角田委員長がお見えになりますまで、暫時私が委員長の職務を行います。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 前会の連合審査会におきまして、審査会要求した関係大臣出席しない場合は、審査会は開かず、こういう決議をいたしたはずであります。今日午前十時より審査会を開くことに招集されたのでありますが、午前十時になつて見えなつ大臣及び委員長は一人もありません。現在の十一時十分ですらも、増田労働大臣淺井人事委員長がお見えになつているだけであります。本日の質問について御答弁願うのは、総理大臣労働大臣法務総裁それから人事委員長、それから大藏大臣、これだけが出席要求されておるはずでありまするが、その方方がいまだに見えないのは、本公務員法改正審議に対して、重大な支障を加えるものであります。われわれとしても遺憾にたえない次第であります。われわれは一刻も早くこれを通過せしめようという参つておるのでありますが、政府当局においてこういうふうに怠慢な状態でありましては、前会の決議通り関係大臣出席されるまで、私は審議を延期していただきたい、この動議を提出いたします。
  4. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御発言の御趣旨には賛成なのでありますが、せつかく人事委員長労働大臣もお見えになつておりますから、ひとつ他の方がお見えになりませんが、まげて御審議を願うように希望いたします。
  5. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止
  6. 綱島正興

    綱島委員長 速記を始めて下さい。
  7. 赤松勇

    赤松勇委員 私は中曽根君の動議賛成いたします。と申しまするのは、すでにこの問題が本委員会に出ましたのは三回目であります。先般私はやはり動議を出しまして、そうして委員会要求する関係大臣出席がなければ、審議を進めることはできない。これは当然のことでございまして、從つて再三委員長の顏を立てまして、そうしてわれわれは何度も讓歩したのでございまするが、今度の國会は、御承知のように國家公務員法賃金ベース、この公務員法に附属する諸法規の審議が中心になつております。そのために召集されました重大な國会であります。しかも本國会に対する國民関心はきわめて大きいものがあるのでありまして、ことに日本の六百万の組合労働者にとりましては、この委員会審議は、まさに自分たちの運命を決する重大な問題であるのでございます。そういう意味から申しましても、いやしくも総理もあるいは大藏大臣も、法務総裁出席をしないというがごときは、本委員会を侮辱するものである。前会の動議を無視いたしまして、委員会の総意をもつて決定されましたその要求を蹂躙するものである。かように考えますので、私は中曽根君の動議賛成をいたします。この動議を採択されまして、委員会にはかる必要はない。もう前に要求したのでありまするから、從つてこの動議をただちに採択されまして、出席のあるまで委員会休憩を私は要求いたします。
  8. 増田甲子七

    増田國務大臣 これは今発言を特にお許しを得ましたから発言さしていただくことを御承認願います。今総理と、法務総裁と、大藏大臣は、関係方面との打合せその他がございまして、やむを得ず欠席いたしておる次第でございまして、この委員会に尊重し勉強しなければならぬということは、十分心得ておる次第でございますから、どうかもし関係大臣等に対する質問で分割し得るものがございましたならば、ひとつ御審議を継続願いたいと思います。
  9. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止
  10. 綱島正興

    綱島委員長 これより始めます。赤松君。
  11. 赤松明勅

    赤松(明)委員 動議を提出します。國会の周囲の壁であるとか、電柱であるとかに、各單位労組あるいは炭鉱労組署名入りのいろいろなビラがはられておることは御存じの通りである。そのうちに全氣象と書いたもので、不逞やから國会を葬れ、こういうビラがはられている。われわれは少くとも今日、この國家公務員法改正問題が労働者一般の死活の問題であるから、これに対するあらゆる手段方法をもつて、これの通過を妨げようとするその労働者眞意がわかる。しかし少くとも國会官公労組のみの、あるいは單位労組のみの國会にあらず。この点よりして少くともわれわれが正論を吐いて、本法案に対する審議を行う過程において脅迫せられたのだから、ああいつた論調をしたのではないかというように見られることは、國会における審議権に対する外的な妨害であると見られないこともない。これは石炭國管案を上程した当時において、その石炭國管を妨害せんとするところの一部業者がやつた行動と、いささかも変らぬ行動であると言わなければならぬ点も見える。ここにおいて私は動議を提出するのであるが、本連合審査会の名において、衆参両院議長に対して、單位労組署名入りなんだから、單位労組に対してこの行動に対する善処方申入れをやつてもらいたいということを提案します。
  12. 前田種男

    前田(種)委員 私は今の赤松君の動議に反対します。國会外國民がいかなることをやろうとも、國会議長を通じてそうしたことをやるというようなことは、権限もないし、その必要もないと思います。そういうことは無視してしかるべきであつて、われわれは與えられた権限において十分の審議をして、國民にこたえるだけの自覚と識見をもつて委員会を進めていきたいと思います。
  13. 赤松明勅

    赤松(明)委員 前田君の御意見もとより私はわからぬとは言わない。しかしわれわれはわれわれの権限において行うのだというけれども不逞やから國会を葬れ。少くともそれが國会の正面に、あるいは裏玄関に、そういつたところにより出されて、われ関せず焉としておるということことは、あまりよくない。それはめくらすべきはめくらす必要がある。これはどうしても衆参両院議長において善処方を要望するだけの雅量があつていい。私たちは私たち権限によつてやるんだからいいけれども、しかし外部からの圧力を加えられているかの感をもつことがいけない。しかも組織労働者そのものが、行き過ぎ的な行動をとつて來たという一面もあるのだという意味において、われわれはわれわれで正しい審議をする上において、こういう行動を愼まさなければならぬ。これが指導機関的な立法機関責任である。この意味において私はどうしても本委員会の名において、衆参両院議長申入れをしてもらいたいと思う。
  14. 赤松勇

    赤松(勇)委員 ただいま理事会におきまして、本日私ども要求しております総理大臣大藏大臣その他の関係大臣出席がないので、もう間もなく晝になりますので、午前中は一應休憩をいたしまして、午後再開しようではないかという申合せができました。そこで今赤松明勅君から動議が出ましたのでございますが、これもまたずるずるべつたりに委員会を継続するということは、この間の私が出しました動議並びに本日中曽根君が出しました動議に反することにもなるのでございまして、赤松君の御提案に対しましては、いろいろな御意見があると思うのでありまして、これは午後の委員会に延ばしていただきまして、午前は理事会決定通り一應休憩せられんことを要求いたします。
  15. 中曽根康弘

    中曽根委員 赤松明勅君の動議は、私は個人としては非常に同感なところがあります。この問題は國会と部外との問題であつて各党各派、おのおの相当愼重考えなければならぬ問題であるだろうと思う。また本委員会でとり上くべき性質よりも、考えようによつて議院運営委員会においてとり上ぐべき性質のようにも考えられます。そこで各党各派が一應党内へ持つ帰つて、その態度をきめる余裕と、これを実施する手続について、もう少し研究する必要があるやに私は感じます。そこで委員長としてはこの採決は猶予せられて、各党各派帰つて相談するなり、あるいは取扱いについてもう少し愼重にやるように善処方を希望します。
  16. 赤松明勅

    赤松(明)委員 ただいま赤松勇君並びに中曽根君の御意見動議提出者としての私は賛成します。善処方については委員長もともに十分檢討してもらつて、本委員会は本法案審議するものであり、しかも本委員会に出ておることによつて、各労組からは、あるいはとにかくお前たち改正するのに賛成するなら投票しないぞ、というようなことをいつてきている事実もある。だからこういうことを考慮に入れて、各党各派とも、ただ迎合するということのみが、労組を民主的に発展させるゆえんでないということをあわせて含みながら、考慮檢討願いたいということで、赤松勇君並びに中曽根君の、ただいま申されました趣意に賛成いたします。
  17. 綱島正興

    綱島委員長 しからばこの程度で休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十八分開議
  18. 角田幸吉

    角田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  前会に引続き國家公務員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。川崎秀二君。
  19. 川崎秀二

    川崎委員 前会社会党前田種男君から、吉田内閣のとらんとする労働政策一般について質疑がありました際に、労働大臣は、國家公務員法関連しての組合運動將來あるいは組合運動の方向について御回答があつたのでありまするけれども労働政策全般に対して、何ら抱負経綸を示しておらない。米窪労働大臣あるいは加藤労働大臣は常に本会議の席上あるいは、委員会の席上、各党代表質問に対しては、日本労働運動を高い立場から指導するための本格的な論議をされておるにかかわらず、増田労働大臣は、また総理大臣は——これはそう大きな労働政策についての識見を持たれないと思うから仕方ないとしても、何とか大きな見地からの労働政策の発表があつてしかるべきだと私は考えておる。まことに残念でありまするけれども、本日は賃金政策あるいは労働者生活を保護する福利施設その他の問題に関連し、さらには失業対策に論及をされた、いわゆる増田労政の全般的な構想を承ることができるものと考えております。このことについては、私的にではあるけれども議会の廊下でお話をいたしました。後でいろいろとお話を伺いたいけれども、幸いにして総理大臣がお見えでありますので、私は総理大臣にこの國家公務員法関連して、吉田総理大臣がかつて第一次吉田内閣の当時とられたところ労調法制定と、今日出しておるところ國家公務員法との関連について、お話を伺いたいと思うのであります。  今回の公務員法改正は、いうまでもなく日本労働運動が一部矯激に走つたために、これに対するところ鉄鎚であるということは、多くの新聞評論その他の報道に現われている通りであつて、われわれもそういう認識をもつて、今日嚴粛にこの法案審議に臨んでいるわけであります。その一つの重要な点と、いま一つ公務員法改正趣旨は、淺井人事委員長がしばしば述べられているように、日本の封建的な官僚制度をこの際改革する。民主化運動行き過ぎを是正することと、官吏制度の改革にあることは申すまでもありません。しかしながら吉田総理大臣は、今から二年前、労働関係調整法を成立させたが、その第三十八條には、非現業官廳に從事するところ官公吏労働者に対しては罷業権を與えない。しかしながら團結権團体交渉権はあることを、嚴然として労調法規定をしている。私はその当時政府の一翼を担つてつた進歩党労働委員として、この法案に全面的に賛成をして今日に至つているのでありますけれども、今回提出されました公務員法改正においては、第九十八條において明確に團体協約権は否定されている。このことについては、前田君が述べられましたように、その後アメリカの國内においても、一部この箇所だけは行き過ぎではないかという世論も抬頭いたしておるように聞いている。日本は今連合國占領政策下にあるところの特殊な事情があつて、一時日本官公吏労働運動が制約の立場に立つことは、私も否定をいたさないのでありますけれども、しかしながら労調法制定されたときの情勢と今日の情勢、さらには國家將來のために、一体非現業官廳労働者は、今度といえども團体協約を結ぶ権利を剥奪されてよいものであろうか。基本的な人権を蹂躙されてよいものであろうかということについては、私ども靜かに考えてこの問題に対処していかなければならぬのであります。労調法制定当時のお考えと、今日のこの公務員法改正されんとするお考えに変化があるかどうか。その点をまずお伺いいたしてみたいと思うのであります。
  20. 角田幸吉

    角田委員長 川崎君に委員長としてちよつと申し上げておきたいことがあります。内閣総理大臣は、本会議において内閣総理大臣施政方針演説に関する決議案が上程になつておりまして、本会議が開かれれば総理向う出席される予定になつております。なお政府職員の新給與に関する決議案が上程されておりまして、大藏大臣が間もなく出席されると思うのでありますが、本会議が開かれれば向う出席されることになつております。御承知のように、委員会は本会議が始まれば、議長の許可あつて初めて進行できるのでありますから、適宜御出席を願うことになりますので、その点において集中的に御質疑になつていただくことと、適当なる際に総理大藏大臣に、向うにおいでになつていただくことを御承認願います。
  21. 前田種男

    前田(種)委員 議事進行について。今日の本会議は、本委員会審議と重要な関連があるところ施政演説に対する決議案、並びに給與問題に対する決議案が上程されておりますから、本会議が開会されますならば、本委員会は本日は終えてもらいたいと思います。そうして明日時間勵行で、総理大臣以下全部出席して委員会を続行することにしまして、本会議まで本委員会を進めていくように、動議を提出いたします。
  22. 角田幸吉

    角田委員長 前田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 角田幸吉

    角田委員長 それではそういうことにいたします。
  24. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えいたします。昨年以來御承知のごとく労働問題が非常に激化いたしてまいつて、また日本といたしても、日本復興をはかるためには、労働大衆が眞に生産意欲に燃えて、國の復興再建に協力する愛國的熱情が燃えない限りは、今日の日本のような資源を失い、また領土も狹められた國としては、一に労働力、一方においてまことに能率的であつて日本の産業を復興せしむる唯一の力であつたその労働力が、よく統制され、組織され、しかも労働者自身日本復興を助ける氣になつてくれなければ、日本復興はおぼつかないという考えから、私どもといたしても、あるいはまた政府といたしても、この労働問題の將來をどうするかということは、非常に関心をもつて考えておるわけであります。私は別段專門家でありませんから、專門的にあなたが満足の行くような説明はできませんが、希望といたしては、日本労働力日本復興に資するようにもつて行きたい。そのためにはどうしたらよいか。まず先年私の内閣においてこしらえた労働基準法その他については、御承知通りいろいろ非難もあります。また行き過ぎだという説もあり、またそれでもよいのだという説もあり、いろいろ説があるようでありますが、私一個の感じとしては、多少行き過ぎであつたのではないかというような感じがいたします。そして今度の公務員法制定についても、この公務員法制定によつて労働運動なり労働対策なりにおいて、基本的のある基準ができたならば、これまた労働法制の革新に役立ちはしないか、その一助になるためにも公務員法制定が必要であるという考えで、公務員法をその観点から私どもとしては議会に提出して、なるべく早く議会の協賛を求めたい、そういう氣持でございます。すなわち、簡單に申せば、昨年の労働基準法行き過ぎはしなかつたか。その行き過ぎを調整して、同時に、單に労働運動を圧迫するとか何とかいう考えではなくして、眞に勤労大衆の協力を求めるという方にもつて行きたい、その行き方の公務員法については、こういう基準法を設けて、基本的にこういうものをこしらえることが、労働運動を規正する一つの助けではないか、こういう考えで提出いたしたわけであります。
  25. 川崎秀二

    川崎委員 今総理大臣の御答弁の中で、労働対策に面して考えておられるところの基本的な態度と言いますか、心構えということについては、私もよくわかるのであります。しかしながら私が今質問をしておりますのは、一昨年の労調法の三十八條関係と、現在の公務員法九十八條関連して、この法案の一番重要な個所というのは、結局は九十八條と百二條に関連した問題がポイントであろうと私は考えているのであります。そこで今労働基準法行き過ぎだということを言われましたが、あるいはそういう説もあるかと思います。また労働基準法は、私ども制定いたしました当時、何としても労働者生活を保障する労働憲法というものをつくらなければならぬ。從つて世界的な水準に引上げるために労働基準法をつくつたのであつて、その一部が行き過ぎであるとかないとかいうことは、私どもも党内において論じておる問題であります。しかし今質問をいたしておる点は、労調法にうたわれている團体協約権というものが、確実に保障されなければならない。非現業官廳には爭議権がないということは、労調法にもすでにうたつてつたのである。しかしながら第一回國会で原案をつくりましたときに、明確な規定がなかつたので、混亂が起つた。しかも罷業権をもつておらないところ労働者罷業権をもつておらないところ官吏が、あたかも罷業権をもつかのごとく、爭議行為に、等しい行為をやつたということがここに問題になつてきたのではなかろうか、地下戰術であるとか、あるいは定時出勤、定時退廳というような戰術を用いて、爭議権を持つてないにかかわらず、爭議権に類似するような行為を頻発して來たことが、今日の全官公労組のいわゆる極左運動に発展し、そうしてそれに対する一つの大きな是正として、この法案が出されたのではなかろうかと私は考えるのであります。しかしながら、そのことは別にして、とにかくそういう点と、今出されておるところ國家公務員法との関連はどうか。総理大臣はその当時労調法を出された責任者として、今日この法案に直面をして、今團体協約権までなくそうとしておることに対して、どういうお考えを持つておらるるかということを私は聞いておるのであります。
  26. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えをいたします。今私が申した労働基準法言つたのは、局限したので、私の申したのは労働法制全般に通じて申したのであります。それからまた公務員法における公務員地位と、他の一般労働者とは違えていいものではないかと私は考えるのであります。國家公務員として、他の普通の労働者とその地位を別にする。別にするためにまた、公務員に対する特別な恩典と言うのもおかしな話でありますが、利益もあり、地位の保障もするというので、一方においては團体協約権否認するかわりに、他の点においては、その地位を保障するというところもあるのでありますから、公務員法規定でいいのではないかと私は考えております。
  27. 川崎秀二

    川崎委員 マッカーサー元帥の書簡は、御承知通りきわめて彈力性のある、含みのある、まあ吉田さんに從えば、要求を含んだ勧告でありましよう。そこでその文句の中には、一番この問題と関連のあるのは、政府機関においては、労働組合運動は、きわめて制限された範囲においてのみ認められるのであつて、正当に認定された主権を行使する行政、司法、立法の各機関にとつてかわり、あるいはこれに挑戰することは許されないということを言つておるのである。むろん他の箇條にもそういう趣旨の、私企業における労働組合運動とは違うのだという、はつきりした箇所が散見をされるのでありますけれども、しかしそれは決して、ただちに團体協約権否認というところにまで及ばなくてもよいのではなかろうかと私は思うのであります。私がかく申すことは、この改正法案というものは、民主党芦田首班によつて関係当局と折衝しておつた関係上、私が申すことが、何か民主党の当時の政務調査会副会長として、相当重要な関連がありながら、今野党立場に立つて、言説を飜して言うかのごとくとられるかもしれませんけれども、事実はそうではなくして、團体協約否認というところには及んではならないということで、われわれは相当政府要求をし、一緒にまた関係当局と折衝する機会も持つたこともあるのでありますが、その関連からして、九十八條については、社会党側の強い要求もありました、またあつたことによつて、われわれもさらに強い立場を持ち得て、團体交渉文句を入れることには成功をいたしたのであります。しかしながら不幸にして團体協約権は、その折衝においては成立をしなかつた。しかし、もし國会において團体協約というものを認めるというようなことに立ち至るならば、國会修正をされたことに対しては、國会修正は自由であるということは、関係当局もしばしば言われておるのであります。そこへ持つて來まして、近來、きのうも前田君からも御指摘があつた通り外國通信によるならば、しばしばアメリカの國内においても、團体協約権否認ということが行き過ぎであるということが指摘をされておるのであります。私どもは、國会においてこの基本的人権関係をするところ團体協約権利だけは何としても認めて、この案を修正したいという氣持を十分に持つておる者の一人でありますけれども、その場合において、國会がもしそういうような修正をするというようなときに、総理大臣としてはどういうお考えを持つておられるか、この点をお伺いをいたしておきたいと思います。
  28. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えをいたします。議会審議権もしくは修正権というのも何ですが、御審議は自由でありまして、國会において成案せらるることに関しては、政府はむろん考慮を加えます。が、これも御承知通り関係筋もありますわけでありますから、ただちにうのみもできませんが、考慮はむろん加えます。
  29. 川崎秀二

    川崎委員 私は、総理大臣質問したかつたのは、その一点だけでありまして、あとは労働大臣にお伺いしたいと思つておるのでありますけれども、進めてよろしゆうございますか。
  30. 角田幸吉

    角田委員長 関連して質問があるそうですから……。水野君。
  31. 水野實郎

    ○水野委員 総理大臣にお尋ねいたしますが、しばしば本会議の議場におきましても、同僚諸君からいろいろ御質問があつたようでありますが、どうもはつきりいたしませんので、重ねてお尋ねしておきたいことは、本案を制定するにあたりまして、本案と並行して賃金ベースを決定する御意思はないのでありましようか。今までに相当痛切な質問があつたのですか。どうもはつきりしません。私はむしろ賃金を先に決定してから法案を出すくらいのものでなければならぬのではないかと思う。マツカーサー元帥よりの書簡が來た。そうすればそれに基いて、成案する前に、まず賃金くらいは、公務員の最低生活、あるいはその家族の最低生活くらいは保障してやる。罷業をただ強権をもつてのみ押えるというのではなくして、そうした方向をとるわけに行かないのであろうか。私どもは戰前におきましても、労働運動あるいは農民運動をやつたのでありまするが、当時の農民運動でも、労働運動でも、やはり治案維持法の制定もあつたでありましようし、幾多のこうした法律で押えられておつた。その押えられた法律を乘り越えて起ち上つたものが農民運動であり、労働運動であつたと思うのであります。こうしたことは、食えない者同志の團結が、法律を乘り越えて起ち上るものであるということを、よく御認識をいただきたいと思うのであります。この賃金ベースと、そうしてこの公務員法改正というものを、並行して審議するくらいの態度に出られてこそ、私は吉田総理は、さすがはと國民勤労大衆に納得せられるものではなかろうか、かように私は考えるものであります。そういう点について賃金ベースを決定なさろうとするお考えがおありかどうか。ひとつこれをはつきりとお聞きしておきたいのであります。  それから人事委員会において過日六千三百七円を採用するように、きわめて科学的に、常識的に結論を出した。こういうせつかくの人事委員会で決定したものが、内閣においてストツプする。あるいは予算面とのにらみ合せもあるでしようけれども、これが最低生活であつて、これを渡さなければ公務員は食つていけないのだという賃金が、科学的に、常識的に委員会で決定したものならば、人事委員会をいくらつくつてみたところで、いくら成案を出したところで、予算の関係でこれが採持されないということになつたならば、これはいくらつくつたところでむだではなかろうかと思います。これらに対して総理大臣はどんなふうにお考えをなすつていらつしやるか、お聞きしておきたいのであります。そうして賃金ベースを決定し、その予算の健全化もはかつてもらいたいのであります。これも一時しのぎのものでなしに、やはり何らかの健全な予算を見出していただくようなことに、何かお当てがあるかないか。それを承つておきたいのであります。それから一番重要なことは、政府においては、今後この國家公務員法制定後、行政整理に関してはどんなふうにお考えをなすつていらつしやるか。この点をお聞きしておきたいのであります。
  32. 角田幸吉

    角田委員長 水野君に御相談申し上げるのですが、川崎君の関連事項であれば発言を許すのです。これだけは御答弁を願いますが、あとは関連事項でなければ発言を許しません。その方針ですから御承知願いたい。
  33. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えをいたします。りくつは別といたして、事実としては、政府としては新しい賃金ベースの有千何百円かが、はたして労働者生活を保障するものであるかどうか、適当であるかどうかということが第一になるので、適当であればその財源はどうするか。またインフレーションとか、あるいは物價との関係等がありまして、人事院がきめたからといつて、ただちに内閣としてはうのみにできない関係にあることは御了解できることと思いますが、事実政府としてはしきりに研究いたしておるのであります。やがて成案を得ましたならば、必ず議会に、なるべくすみやかに提出したい。こういう考えでおりますから御了承願いたいと思います。
  34. 徳田球一

    ○徳田委員 首相のいまさきの御答弁によりますと、この公務員法をこしらえたということは、あなたの前の内閣のときに労働関係の三法をこしらえたのだが、あれは行き過ぎだ。行き過ぎだからこれを矯正して、そうしてこの公務員法で労働組合に関する基準的なものをお示しになるという言味でこれをこしらえられたと言われるのですが、そういうことになりますと、一体この労働組合運動に関する三法で、どこが行き過ぎかという点をお聞きしたい。われわれとしては、この労働組合法なるものは、まだまだ行き足りないのである。行き足りないも行き足りない、とんでもないことなのである。これは完全に行き足らない。殊に労調法などに行きますと、大分これは労働者権利を侵害している。ことに公務員が労働組合をこしらえてもいいけれども爭議権がないというに至つては、とんでもないことだ。爭議権があるから労働組合というものは存在するのだ。この最後の武器なしには何ごとも実際上はできない。そういうので、私たちはこれには絶対に反対するのでありますが、一体いかなる点でそれが行き過ぎであるかという点をお聞きしたい。  それから川崎君の民質問の要旨を考えてみますと、これまで全官公廳の労働者諸君が行き過ぎをやつたということであるが、とんでもないことである。労働組合法では禁止せられておる、ストライキ権を行使したようなことをやつた、こういうことを言われますけれども、これは労働組合運動というものを知らない人の言うことで、とんでもないことである。労働組合というものは……。     〔「討論ではない」と呼び、その他発言する者多し〕
  35. 徳田球一

    ○徳田委員 討論ではない。私の私えておることを説明しなければ……。     〔「討論ではない。」「だめだ。」と呼ぶ者あり〕
  36. 角田幸吉

    角田委員長 私語は禁じます。
  37. 徳田球一

    ○徳田委員 これまでいろいろの運動はあつたけれども、大体活生を保障しないものに対しては、労働者生活の保障、その安行を要求するのはあたりまえである。こういうことに対して押えておるから、つまり爭議権を押えておるから、いろいろのことが起る。それが惡ければ罰すればいい。罰する規定ちよんとある。しかしそれが実際上、何をしても聞かれないほど生活ができないから問題である。そういう点を考えずして、これが行き過ぎであるとか何とかいうに至つては、これは労働組合運動の根本を間違つておると思う。これはここに数字のはつきりしたものを持つて來ましたので、あとでもつと明確なことを言いたいのですが、昭和十二年の基準ですと、これが労働者一般的な賃金の平均は五十六円幾らになつておる。ところがこれは現在の貨幣價値その他いろいろなものを調べまして、現在の三千七百円ベースというものは十円幾らにしかならない。つまり五分の一にしかならない。一体そういう状態で爭議が起らぬ、要求が起らぬということはない。だからそういう必要から起つてきておる。根本的にいえば、生活の安定を得ておりさえすれば、だれが爭議なんかやりますか。爭議をやるとみな損です。たいへん損です。監獄にもたまには行かなければならぬ。なぐられもしなければならぬ。警察官はこのごろ大分なぐります。またあなたに不逞のやからとも言われるような場合もある。そんな場合もあつて、なかなか忍びがたいものでやつておるのであります。だがあなたの方では、こういう社会的な一般関係考えて、はたしてどの点が行き過ぎであるか、この点をひとつ明確にしていただきたいのであります。
  38. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えいたします。徳田君のお考えによれば、これは行き過ぎではない、行き足りないのである。政府また主として、今申したのはやり過ぎであるかもしれませんが、しかし行き過ぎ考えられることもあるのであります。たとえば——これはたとえばでありますが、今日の場合いわゆる労働攻勢で労働者権利をきめた、一方には任務もきめたが、聞くところによれば、八時間労働のうち三、四時間しか働かないという事実もあるそうであります。もし労働基準法というか、私の内閣でできた労働法が、その文字のままに権利義務等が行われるならば、必ずしも行き過ぎにならないかもしれませんが、事実においては義務は義務として、権利は主張のみで義務は伴わないといううわさも聞いております。私は事実体驗したわけではありませんが、そのうわさによれば、その爭議は行き過ぎであるとも言れるのでありますけれども、これは私の人の話の又聞きであつて、しからばどういう点をといつてあなたから突つ込まれると、はなはだ恐縮いたしますが、事実私の聞いておるところではそういうようなわけでありまして、行き過ぎ行き過ぎ行き足らないところは行き過らないところとして、お互いに討論でなくて、ここがいけないのだ、ここがいいのだというようなお話をなさつて政府と協力して経済の復興を完遂するように御協力願いたい。
  39. 川崎秀二

    川崎委員 労働大臣に御質問いたします。一昨日の前田種男君に対する答弁の際に、労働政策全般にわたつての御見解がなかつたのでありますけれども、私ども考えますに、今日労働問題の一番重要な問題は、むしろ賃金対策であると申してもよいかと思うのであります。官公吏の新給與については、先ごろ臨時人事委員会から、六千三百七円という給與の発表がありました。これに対して政府自身の立場から、財源とにらみ合せて案を決定した後には追加予算をつくると言つておられるのでありますけれども、一体官公吏の賃金のみをくぎづけにいたしましても、民間企業の賃金をそのまま野放しにしている今日の状態では、眞に強力な賃金政策というものがとられないのではないかと私は思うのであります。先ごろ來増田労働大臣は、しばしば高能率、高賃金主義ということをとなえられている。しかしながらその高能率、高賃金主義を招來するためには、いなかる方策を打つて行くかということが、中心の題目でなければならぬと思うのであります。先ごろ來、芦田内閣においては、賃代安定政策について各種の論議をいたして参つております。事務当局は間接統制で行くか、あるいは直接統制で行くかということについては、いろいろな案を立てて議論をいたして参つたのでありますが、民主自由党内閣成立以來、賃金安定策について、どのような方向に持つて行くかということについて、何らの見解が表示をされておらないということは、はなはだ遺憾ではないかと私は考えるのであります。これらの問題を含めました労政全般にわたつての所見を、この際御明示を願いたいと思うのであります。
  40. 増田甲子七

    増田國務大臣 川崎君の御質問お答え申し上げます。もつとも労政全般についての卑見を開陳せよということでございました。これはあるいは申し上げようによつては、非常に時間もかかることでございますが、まず概略的に申し上げることをどうぞ御了承願います。先ごろ私は本会議におきまして片言隻句をこの労働政策についてさしはさみましたが、これはどういう御質問に対してのお答えであるかと申しますと、すなわち民主自由党が労働政策として公約したものは、着々これを具現化しろという御質問に対してのお答えでございましたから、私はあの程度に申し上げた次第でございます。労働政策全般についての組織的の体系を持つた公約はまだないのでございまして、研究中でございます。最もあの程度のことはすでに公約でございまするから、これは御了承願いたいと思います。なお基本理念としては、一体増田労政の抱負はどういうことであるかというようなお尋ねでございますが、増田労政であるとか、あるいは何々氏労政ということはあり得るはずのものではない。いやしくもその政府の背景になつている與党全体の労政であるべきものである。今わが民主自由党が與党となつているところのこの吉田内閣におきましては、民主自由党の労働政策、あるいは吉田内閣の労ど政策であるべきものである。こういうふうに私は考えている。それがあるいは記者諸君が便宜上、増田労政とか、何々労政とか言われることはあり得ると思います。そこで私はまず申し上げたいのでございますが、結局労働政策については、共産党の諸君はちよつと私存じませんが、ほかの政党の諸君であるならば、労働政策について、どの内閣にかわりましてもその性格にそう變化があるべきものでないと私は思つております。われわれの政党と社会党の諸君とは、主義政策の相当違う点もございます。しかしながら、これは概念的に申し上げますか、政策抱負に関する主義、主張の相違が、私は基本的な相違である。労働政策については、要するに皆さんの御協賛を得た労働三法のみならず、職業安定法その他にも書いてございます通り、勤労者の労働條件の維持改善をできるだけはかつて、そうして労働者の経済的、政治的、社会的地位の安定向上に努め、もつて経済の復興に資するということが、われわれのとるべき労働政策であると思う次第でございます。以上の通り御了承を得たいと私は思つております。そこで、しかしどの内閣についても労働政策に多少ニュアンスの相違ぐらいあるであろう、こういうふうにお考えになるだろうと思いますが、私労働大臣一個の考えといたしましては、社会正義あるいは愛というものを基本理念として労働関係を調整して行く、そうして労働の生産性を発揮して参りたい、生産力の発展に寄與いたしたいと存じておる次第でございます。  それから川崎さんの御質問賃金政策でございますが、芦田内閣においていわゆる経済十原則のうちで最も力を入れられた点は、やはり賃金の安定という事柄であろうと思つております。これは賃金と物價との惡循還を切断するという意味において最も必要でございまして、私任を受けてから研究はいたしておりますが、芦田内閣において非常に御苦心されたにもかかわらず、安定策が具現化できなかつたその條件は、なお吉田内閣においても続いておる次第でございまして、具体的に申し上げますと、今安定の前提といたしまして私は適正妥当な賃金が設定せられるということが、各党各派といわず、あるいは経営者、労務者といわず、すべて是認さるべき前提であると思つております。ところがこの前提たるべき適正妥当なる賃金水準というものは、全産業にわたりましても、あるいは公務員につきましても、公務員中現業員につきましても、非現業員につきましても、あるいは公團の職員につきましても、まだ体系的に均衡のとれた賃金が設定されていないということは御承知通りでありまして、また特定の産業につきましても、ある企業と他の企業とには相当の差異もございます。そういうような前提が解決されなくてはならぬ。その前提の解決には一生懸命力を入りてまいりたい。そうして賃金が一應適正妥当に決定されるそのときに、初めてスタビリゼーションというものは考慮すべきものである。今むやみにこの状態において賃金安定策を立てるということは、いたずらに経営者のみならず、労働者を混迷に陷らせるものであるという意味において、私は今のところ考えて行くということは考えておりませんが、経済安定方策のうちの最も重要な原則として、できるだけ早くこれが具体化には努力いたしたいと存ずる次第でございまして、川崎君のような非常に勉強された方の御協力も得たいと存ずる次第でございます。
  41. 川崎秀二

    川崎委員 今尚田労働大臣は、増田労政とかそういうようなものはない。いかなる政党——共産党を除く各政党が内閣をとつたならば、大体において同じような労働政策が行われなければならぬということを言つておられた。そういう認識までに民自党が進歩されたことについては敬意を表します。しかしながら民主自由党は、御承知のごとく労働法規の問題についても、すでにこの点は改正をしなければならぬ。共産党から言わせればいわゆる改惡をしなければならぬと言つておられる。しかもその労働法規の改正か改惡かしらんけれども、労働法規を修正しようという点は、非常に廣範なもののようにわれわれは聞いておる。たとえば本年の三月であつたか、四月であつたか、民主自由党の政調会から、民主自由党の労働政策として発表になつた文の中には、労働基準法の一部停止ということを明らかにうたつておる。それから官公吏のストライキを全面的に禁止をしなければならないということもうたつておる。あらゆる問題について相当廣範な労働法規の改正を示唆されておつたのであるけれども、これは今日たな上げになつたのであるかどうか。ニュアンスだけではない。これはニュアンスの問題ではないと思う。基本的な政策というものは、民主自由党が單独で今日内閣を構成している以上は、もし口約に忠実であるならば、そういう線をたどらなければならないと思います。これも今日の情勢からはどういうことになつたのか、ひとつお伺いいたしてみたいと思います。
  42. 増田甲子七

    増田國務大臣 お答え申し上げます。この間本会議で私そのことについて言及いたしましたが、民主自由党が内閣を相当することになれば、必ずや労働法規を改惡するかもしれぬといつたような期待が、一部にあるかというふうな疑義もございますので、この際明瞭にいたしておきたいと存じます。私はあのときも申し上げましたが、先だつて川崎君のおつしやる通り、政調会の試案として労働政策らしきものが発表されております。これは社会党の政調会なんかは非常に御勉強でありまして、種々の試案が出ておる。しかも党の統一ある意思表示ではないというようなわけで、ときどきいろいろなこともあるようでありますが、私はよその党のことは言うことは避けます。わが党におきましては、この労働政策については、まだ決定的の統一意思としての意思表示ではありません。しかしながら、試案として発表されたからには、そういう意向もあるというふうに御了承願いたいと存じます。そこで労働基準法の一部停止ということを言つたか、言わぬか。私は労働の生産性の発揮について、もし妨げになるような法規があるならば、そういう法規の一部停止等も考えられるというような意味の発表であつたと思います。労働基準法と明瞭に表示してはいない。私手もとに持つておりませんが、そういう記憶であることは川崎君も同感されると思います。そこであにただに労働基準法と言つておるわけではありません。いわゆる労働三法なり、あるいは職業安定法その他のものも含めた意味でありまして、私が就任当時特に申し上げたいと存じましたことは、これは新聞を通じて天下に発表したいという意味で申し上げたのですが、それはよく労働法の改惡々々、あるいは改正—これはスタンド・ポリティの相異によつていろいろに言葉がかかるわけでありますが、そういうようなときに、問題にされておる対象は、主として労働基準法らしくあるのであります。ところが、私の見解によりますと、私は皆さん御承知通り國際連盟に日本が加わつておつた当時から、國際労働会議にわれわれはずつと出席いたしておりまして、この八時間労働については、日本政府の義務として調印もいたしております。批准はされておりませんが、今度栄譽ある國際社会の一員になるという場合には、必ず國際連合に入るわけでありまして、また労働会議等にも引続いて出席する運びになることを、われわれは期待しておるものでございますが、要するに世界各國、いやしくも文明國と言われる國におきましては、もう原則的な八時間労働というようなことは、三十年も前からわれわれが採択しており、條約の一部をなしておるのでございますから、こういうような基本的なものは、私は文明國の名においてもこれを改惡するとか、改正するということは原則的に考えておりません。これにつきましては、党内においても賛同を得ておるような次第でございまして、原則的には御了承を得ております。民主自由党は決していわゆる惡い意味の保守でもないし、また対絶に反動でもございません。  それからその他労働組合法、あるいは労働関係調整法、こういうようなものは川崎錬御承知通り、労働組合法は終戰後初めてつくられたものでありまして、すでに二年有余の経驗を持つております。また労至関係調整法につきましても、年数は組合の方ほどではございませんが、相当の体驗を皆さん持つておるわけで、これはただに経営者と言わず、労務者側におきましても、この点は直して欲しいというような申出があるわけでありまして、これら二法につきましては——改正でございます、改惡ではございません。改正という方向に向つて研究中であるということを申し上げたいと存じます。
  43. 川崎秀二

    川崎委員 続いて労働大臣質問すべきところでありますけれども、私は問題を中心にしていろいろ質問いたしたい点もありますので、まず賃金政策関連して質問を続けて行きたいと存じます。官公吏の新給與六千三百七円の人事委員会案というものが発表されまして、新聞紙上にはいろいろと出ておりますけれども、これが理論生計費に基調を置いたものであるかどうか。あるいは從來のやり方というものを踏襲したものであるかどうか。昨日時事新報あたりの所説によるならば、ピラミッド型にる案であるというようなことも聞いております。しかしながら人事委員長から明快に、どこに基礎を置いて案を出したものであるかという基本的な説明がまだないと思う。六千三百七円をきめたのは、どういう点に基調を置いてこの案を出したものであるかどうか。この点についての御説明を願いたい。
  44. 浅井清

    ○浅井政府委員 お答え申し上げます。詳細の御説明は別の機会に申し上げたいと存じますが、大体におきまして、ただいまお尋ねのように、理論生計費に基礎を置いたものと御承知願いたいと思います。
  45. 川崎秀二

    川崎委員 今日理論生計費に基調を置いて人事委員会が勧告したということになりますと、政府はこの問題の取扱いについては重大な立場に立つわけであります。私はこの際、大藏大臣は一体今度の人事委員会の勧告した案に対してどういう感想をもつて、どういう処理の方法をなされるのか、お伺いしたいと思います。
  46. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 川崎君にお答え申し上げます。人事委員会の御提案にかかる新賃金ベース六千三百七円は、理論生計費によつて建前ができている、かようなことを承つているのであります。私どもといたしましては、さらにこれを財政並びに経済全般にわたりまして、あるいは物價との関係、あるいは國民負担との関係等、より廣い視野に立ちまして、今日せつかく研究を進めているのでありまして、この点は多少人事委員会の幅と違う面があることを御了承願いたいと思います。
  47. 川崎秀二

    川崎委員 続いて大藏大臣にお伺いしたいことは、今國会の全議員が注目しているのは、一体人事委員会の勧告した六千三百七円に対して、大藏省は財政全般から見通して十分に成立し得るような案を出すのだということを言つておられるが、はたしてこの國会中にまとまるかどうか、追加予算は一体今國会中に出るかどうかという点だろうと思います。この点一体大藏大臣の見通しとしては、今國会中に十分に追加予算が組めるものであるかどうか、その点を梅お伺いしたいと思います。
  48. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。新給與ベースに関連いたします予算につきましては、本國会にこれを提出するように鋭意準備中でございます。新給與の問題は、申しまでもなく刻下の緊急な重要な問題でございますので、この点はさよう御了承願いたいのであります。
  49. 川崎秀二

    川崎委員 今國会に提案したいというわけで、鋭意努めているということを聞いて非常に安心をした点もある。今日その言明があるとなおさら、お聞きいたしたいことは、大藏省としてはすでに一種の成算を持つて関係方面と折衝しておられるのかどうか。一昨日総理大臣の説明によると、追加予算については、すでに折衝を開始しているということを言われたように私は記憶している。これはおそらく間違いであろうと思うけれども、そういうことを言われたが、そうであれば一体どういう方針で案を組んでおられるかということを聞きたい。すでに折衝は開始されておるかどうか。
  50. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。ただいまお尋ねの問題につきましては、もとよりある一つの方針をもちまして、関係方面との間に緊密に連絡を保ち、また折衝を重ねておるのであります。ただ、ただいまも申し上げました通り、これが計数的にはつきりした結論には、まだ到達しておらないことをあわせて申し上げておきます。
  51. 川崎秀二

    川崎委員 ある方針のもとにすでに折衝を開始している、計数的にはまだまとまつておらないけれども一つの方針が決定されておるということならば、ぜひともその方針を承りたいと思います。
  52. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 ただいま申し上げました方針につきましては、新給與ベースの大体の見通しがつきます前提におきましては、何とかしてこれに見合すべき財源を捻出いたしたいという考え方のもとに、こいねがわくは均衡予算、かような意味で方針を立てておるのでございます。
  53. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの答弁はよくわからなかつたのですけれども、その方針はあるのだけれども給與ベースがきまらないから、どういうことですか。もう少し明快に説明をしてもらいたいと思います。
  54. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。新給與ベースに関してのその経費に対しまして、これに見合すべき財源を、均衡財政の建前から認める、こういう方針で折衝を重ねている次第であります。
  55. 川崎秀二

    川崎委員 たいへん結構な御答弁でありました。均衡財政を堅持していくということ、それから新給與ベースの財源をにらみ合せているのだということでありますが、そこで私がお伺いいたしたい次の点は、新給與ベースにからむ追加予算は、一体年間を通じて一本にするものかどうか。あるいは一説には、小間切れ的に暫定予算を出すのだというような説も傳わつているけれども、これでは年間を通じての均衡財政はできないと私は考えるのであります。從つと当然政府においては年間を通じての一本立てで進まれると思うけれども、その方針で今日折衝されておるのかどうか承りたい。
  56. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。ただいまの川崎さんの御指摘のように、さように方向に進みたい希望であります。
  57. 川崎秀二

    川崎委員 私の質問にあつたように進みたいということでありますから、追加予算はとにかく年度間を通じての一本立てで提出して、暫定的な小間切れ的な追加予算は出さぬということであります。そういうことでいきますと、今日は十一月の十五日でありまして、國会の期間はあと十五日しか残つておらない。今会期中に、はたしてこの予算案が出てくるものかどうかということについては、重大な疑惧を抱かざるを得ないのであります。しかしながらそういうことでいくと言われるのであるから、われわれはこれは答弁として了承するといたしましても、均衡財政を維持していかなければならぬということになつておりますから、なおさら私は、近ごろ新聞紙上に、その財源の一部を建設公債を五百三十五億も発行するというようなことで、一部の試案なるものが出ている。おそらくこれは大藏大臣は知らないことだと答弁されるかも知れぬけれども、とにかく建設公債を発行してつじつまを合せようとしているところの方針い、泉山財政の方針の中にあるのかどうか、これもひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
  58. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘の五百何がしかの建設公債、さような考えはただいまのところつておりません。
  59. 角田幸吉

    角田委員長 一昨日前田君から大藏大臣質問の通告がありました。この際これを許します。前田君。
  60. 前田種男

    前田(種)委員 今の川崎委員の追加予算の賃金ベースのことについて、一昨日大藏大臣がお見えにならなかつたので、大要は総理大臣に聞きましたが、総理大臣またベストを盡してやるという程度のお答えであつて、それ以上の答弁がなかつたわけです。今川崎委員質問に対する答弁も、依然として一昨日の総理大臣の答弁の城を脱していないのでございます。大藏大臣は今会期中に追加予算案を出す意思があるというような答弁であつたのでございますが、会期は御承知のように今月末をもつて終りでございます。それでありますから、追加予算を出すのならば、遅くともこの二十日までに出さなければ、本議会審議はできぬと私は考えます。それで、ここで大藏大臣に明答を願いたいことは、二十日までに追加予算案を出す意思があるかどうか。もし二十日が遅れますならば今第三國会では審議ができないと私は考えます。その意思があるのかどうかということを明確にしていただきたいと思います。
  61. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 前田さんにお答え申し上げます。先ほど新給與ベースに対する予算の問題につきまして、川崎さんにお答え申し上げました通り、一日も早くこれを組み上げまして國会に提出いたしますために、懸命の努力を重ねておるのであります。しかしながら御承知のように新給與ベースの問題はきわめて重大でありまして、その影響いたしますところは、國民生活の上に、また各般の経済施策の上に、実に重大なる影響がございますので、遺憾ながらいまだ計数的の結論を得ておらないことは、これまた先ほどお答えいたしました通りであります。かようなゆえをもちまして、懸命の努力を重ねておりまするにもかかわらず、いまだもつてこれが編成に至らないのはまことに遺憾でありますが、なお一層の努力を傾けたい、かように思う次第であります。
  62. 前田種男

    前田(種)委員 重ねて日限の見通しについて明確に願いたいのと、もう一点は、私は六千三百七円が七千円に上ろうとも、数字的な賃金のベースが上ることによつて勤労大衆生活が確保できるとは思つておりません。政府は大所高所から考えて、賃金ベースを妥当なところに押えるということも一策でありましよう。その反面、勤労大衆生活を確保するという物的な保障に、政府がベストを盡すというのも一策であろうと私は考えます。それでありますから、今傳えられておりますように、五千何百円、あるいはそれ以下でもよろしい、政府は自身、自信のある案を出して、それ以上のことは財源その他のことも國会自身が案出をいたしまして、いろいろな点を檢康して、妥当な結論を見出すのが國会の使命でありますから、政府は一日も早く、いかような内容であろうとも、政府の案を議会に出して、議会が一日でも多く審議する期間を與えて、議会自身の責任において、妥当な追加予算を最終的に決定するように持つて行きたいとわれわれは考えているのでございます。その意味において、いたずらに影響するところが大きいからと言つて、日一日延ばすということになると、今申しますように、時間的に審議する期間がなくなつてしまいます。私は重ねて二十日までに出せるかどうか、二十日には出せないが二十二日の月曜には出したい意思があるかどうかということを承つておきたいと思います。
  63. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 重ねてお答え申し上げます。ただいま前田さんのお話のうち、國会みずからの決議によつて給與ベースに関しましての財政をまとめ上げたい。かような御熱意を承りましたことは、まことに感銘にたえない次第であります。しかしながら政府といたしましても、もとより責任の上に立ちますのでゐ今日この意味をもちまして鋭意研究中でございますので、今しばらくお待ちを願いたいと思いうのでございます。
  64. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の大藏大臣の御答弁に関連して申し上げますが、けさの毎日新聞によりますと、政府は企業合理指への三原則を堅持している。そこでストライキ状態に入つた企業がある。そういうことが出ております。川崎君にお答えになりましたいわゆる方針というものに関連するものであり、政府はその点は確定しているのであろうと思いますが、いわゆる企業合理化への三原則というものを堅持するのかどうか。この点を一つ。  それから先般大藏大臣議会において、鉄道運賃及び通信料金の値上げはやらぬと明言されました。その方針もやはり堅持するのかどうか。この二つの点をお伺いいたします。
  65. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 中曽根さんのお尋ねにお答え申し上げます。まず御質問の第一点でございますが、いわゆる三原則、赤字金融はこれをやつてはならぬ。また政府の補給金は相ならぬ。また價格の改訂も相ならぬ。かようなことかと思います。この点につきましては政府といたしましては、関係方面の当面の意のあるところをとくとよく確かめまして、適宜適切なる方針をきめたい。かような段階にありますことを御了承願いたいと思うのであります。  第二の質問といたしまして、新給與ベースの予算を組みます上に、その財源といたしまして鉄道運賃並びに通信料金の値上げをするのかどうか。かようなことかと思うのでありますが、その点につきましては先般本会議におきまして私より言明いたした通りでございます。
  66. 中曽根康弘

    中曽根委員 いわゆる三原則につきましての大藏大臣の御答弁はやや明確な点がないのであります。関係方面の意向を聞いて適当にやりたい、こういうような御答弁のようでございますが、政府としての根本方針がたしかあるはずだろうと思うのです。日本政府は自主的な政府でありますから、自分はこう思うんだ。そういう考えをもつて関係方面へ助言を求めに行くことはあるだろうと思います。大藏大臣の腹中にはやはり御定見があると思うのでありますが、それをひとつお話願いたいと思います。
  67. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 中曽根さんのお尋ねにお答え申し上げます。ごもつともな御質問でございますが、この三原則は御承知通り、もともと関係方面よりのお話であることは、これまた御承知通りであります。從いましてその意図のはたして那辺にありや、かようなことを確かめるのが、これまたわれわれ政府立場でありますので、かような意味お答え申し上げましたことを御了承願いたいと思うのであります。
  68. 中曽根康弘

    中曽根委員 そういたしますと、政府の方はまだそういう方針がきまつておるわけではない。関係方面の意向を打診中である。こういうふうに了解していいわけでありますか。あるいは政府の方は方針がきまつているんじやないんだ。関係方面の御意見で左右される問題だから、この点については私はまだ定見がないんだ。そういうふうに解釈してよろしゆうございますか、
  69. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。ただいまのお尋ねは三原則そのもののことに私は拜承いたしたのでありますが、ただいま中曽根さんの重ねてお尋ねの点で明瞭になりました。すなわち政府といたしましてはどういう方針であるか、このような点と了承したのであります。かようの点につきましては政府といたしましてはもとより経営の自主性、かようのものを確立する上に、いろいろ考えてはおるのでありますけれども、しかしながらこの三原則に示されましたあの線は、あまりにも今日におきましては急激な結果に相なるやもはかりがたい点を考慮いたしまして、今日は愼重なる態度をもつてこれに臨む、かようのことをお答え申し上げた次第であります。
  70. 菊川忠雄

    ○菊川委員 この給與の予算化の問題でありますが、先ほど來いろいろお尋ねをしておるのでありますが、まだ明瞭にならない点があるので、この点を重ねてお尋ね申し上げたいと思う。先ほどのお話ですと、六千三百円の人事委員会の出しておるベースに対しては、大体において理論生計費を取入れた方針というものについては、政府はにわかに賛同はなさらない。そこで数字的の作業は目下進行中である。かようのことでありまするが、しからばいかなる方針をもつて数字的作業をおやりになるのか、そこをまずお尋ね申したいと思う。ただ單に六千三百円のいうのでは政府考えておるよりも過大であるから、それに対して見合うところの財源をまずただして、そうして六千三百円という数字との間に、何らの釣合いを考える、こういう程度の数字的作業であるのか、そうでなくて六千三百円に代るべき、確固たる賃金算定の方式をもつて数字的作業をやつておられるのか、その点であります。
  71. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。ただいまのお尋ねの人事委員会の提案にかかわりまする新給與ベース六千三百七円につきましては、われわれ財務当局といたしましては、先ほども川崎さんにお答え申し上げました通り、理論生計費、この線以外の線、つまりまず第一には財政上の点であります。廣く一般國民の上にその負担がかかりますことは申し上げるまでもないのでございます。かようの意味合いをもちまして、はたしてその負担が公平に行われますることを前提にいたしまして、しからばいかなる程度が適当であるか、そのようの構想をもちますことが一つ、さらにまた経済全般の上にかかわります点がございまするので、その物價と賃金との関係、そのようの点も考えておるのでありまして、もし幸いにして、新給與ベースが民間適正のところにこれをきめることができる、こういう前提に立つことができますならば、理論上物價に及ぼす影響は最小限度にこれを切り詰めることができる。かように考えておる次第でございまするので、以上のような一般情勢考慮して、これを財務当局としては意見を立てたい、かようの点をお答え申し上げます。
  72. 菊川忠雄

    ○菊川委員 今の御説明ですと、はなはだ心もとない話です。本会期中にベースを政府はお立てになつて、それに対する見合う財源を組んで、そういて予算化をされ、島かもそれを均衡財政主義のもとにやるという大きな仕事をやるのに、今なお賃金ベース算定すべき明確なるところの方式がきまつていない、まだ財政上の問題とか、経済全般、物價と賃金との関係とか、民間適正の賃金とか、こういうことの間において五里霧中でおられる、こういうことにとれるのであります。これで行きますれば、おそらくこの方式を発見するまでに、今会期は過ぎでしまうというふうにわれわれは懸念を持つのであります。そういう点について第一にお尋ねしたいのは、こういうふうな算定の方式というものを、政府がいつ御発表になるか。こういうこのを発表されずして、そうしてただいまこの予算化にお入りになるのか、こういう点について数字的基礎である算定の方式は、いつ一体おきめになるのか、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  73. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 菊川さんに重ねてお答え申し上げます。お示しのように新給與ベースをきめますには、何らか算定の方式と申しますか、建前を決定することができる、こういうことでございますれば、まことに仕合せなのでございますが、とにかく先ほども申し上げました通り、各般に及ぼす影響が甚大でありますから、いろいろの要素につきまして今日檢討をやつておりますので、その檢討の過程におきましては、結論的にこれを申し上げることはできないのでございます。しかしながらその結論は各般の情勢を睨み合せ、この辺が適当であるとか、かようの判断のできましたそのときに、ただちに結論が出ますことは申し上げておきます。
  74. 川崎秀二

    川崎委員 新給與ベースの問題から入つて行くのが理解がしよいというので、新給與ベースの問題が論じておつたので、私が今日質問せんとしておるものは、先ほど中曽根君がちよつと先まわりした形でありますけれども、賃金の安定政策、この問題について十分に労働大臣並びに大藏大臣からお伺いしてみたいということが、私の質問の本旨であります。大藏大臣は就任早々いろいろな意見を出されて、取引高税の即時全廃をすることはできないとか、あるいは運賃の値上げ、通信料金の値上げをするんだというようなことを言つて、民自党の本來持つておるところの政策と、非常な距離のある政策を発表されたために、非常な混亂が起つた。そういうことは別といたしまして、むしろ大藏大臣が今まで言つた言説の中で、非常に私どもが納得するたつた一つの名句がある、それは何かというと、今日当面しており経済財政政策の中心問題は、賃金、物價、財政、金融のうち、賃金のみが高騰してバランスを失つておるのだ。從つて賃金問題の解決ということが中心問題でなければならないということを、あなたが言われた。非常に私どもはいいところを言われたと感心をいたしておるのであります。しからばこの賃金の安定政策についてはどういうお考えであるかというと、今中曽根君から質問があつたことに関連してお答えになつたのでは、経済三原則は関係当局から出たことが、そもそもそのおもな原因になつておるので、從つてその方面と折衝してみなければわからないというようなお考えであつた。日本は今日占領政策のもとに置かれておるのでありまするから、関係見面がいわゆる三原則を主張し、ことにこの予算の編成の問題なんなか関連して、健全財政主義、その他の原則を主張いたしますることは、外資援助という建前をとつておる今日の関係からした当然のこととは思いますが、いやしくも一國の政寒が、当面の経済政策の中心問題について確固たる意見を持たず、関係方面意見を主にした考え方で、それと折衝してみなければ原則が立たないということは、不見識もきわまるものと私どもは断じなければならぬ。私どもが組織をしておつたところの三派連立内閣も、しばしば関係当局との関係において問題が決定をしないために、それに近い言辞を吐いたことはありますけれども、しかしながら政府ではこういう方針を持つておるのだ、しかし関係当局と十分に連絡してみなければわからぬということで、われわれの政党に所属しておるところ大藏大臣もしばしばそういう言明をした。しかしあなたの今言われておることは、自分の方は何にもないのだ、向うの方は意思を聞いてみなければわからぬというのでは、はなはだもつて頼りない。しかもあなたの言われておつたところの財政経済政策の中心問題は、賃金安定化の問題だということを言明されておるのだから、賃金安定化の問題については、一つの原則がなければならぬと私は思います。従つてさような答弁だけでは私どもは満足できません。賃金安定政策についてはすでに労働大臣は今日直接統制をするということは、いささか早過ぎるということを言つておる。ところが三原則はこれを推し進めていくと、どういうことになるか。赤字金融はやらない。政府の補給金は出さない。賃上げによるところの物價改訂を行わないということが三原則であつたならば、押し詰つていくところは、結局企業の合理化に及んで來る。しかも赤字金融を行わないということになると、各産業はおのずから企業の合理化、健全なる企業に向つて直進しなければならないことになる。ここに人員の整理というようなものも行われる段階に立ち至るかもしれないと私ども考える。そのことの方がむしろ大きな社会不案を惹起して來ると思う。むしろ新給與ベースの決定に伴つて、民間企業の賃金に一つの抑制を加えるというこのチヤンスを逸してはならないということを申しておる。従つて賃金安定政策についてはこの面から見なければならぬ。民間企業の賃金に対して一つの標準をつくるとか、あるいは重要産業なら、重要産業の基準一つの標準をつくるとか、あるいは全体の資金に及ぼす人件費のパリティーをつくるとか、いろいろな手の打ち方があると思う。それについては何ら具体的の賃金安定政策を持たないし、ただ関係筋が三原則を振りまわしておる。從つてそれによく聞いてみなければわれわれはわからないのだということをもつては、なはなだ今日の國家財政を背負う大藏大臣として頼りなくて仕方がない。何とかこの点についてのあなたの素朴な構想でもよいから、この際に示してもらいたいと私どもは熱願するのです。
  75. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 川崎さんにお答え申し上げますます。まずその前に熱誠な御鞭撻にあずかりまして、まことに感激にたえないのであります。賃金安定の問題でございますが、それは川崎さんの御指摘がございました通り、今日わが國の経済の現状におきまして、賃金の点が、むしろ経済政策の結論的要素をなすものである。かような認識の点には、まつたく私は御同感申し上げるものでございます。しかしながらこの賃金安定の問題が結論的結素をなせばなすほど、あらゆる政策、あるいは物價の問題、あるいは財政金融、これらの政策が、ことごとくその点に集中せられなければならない、かように考えまするので、いたずらに用意なくしてその賃金政策の具体的な施策に当ることは、これはよほど考えなければならない、かような信念を持つておる次第であります。しかしながら先ほども申し上げました通り、たとえば関係方面より指示されました三原則に対しまする私の態度につきまして、多少思い過ぎがあるやに拜承せられるのでありますが、私の申し上げるところはさにあらず、企業の経済性を回復せんがため、何とか企業の自主性を回復いたす。かような構想のもとに立つて、その上からたとえば三原則の実施の問題でも、その具激なる変化は、企業の経済性、自主性を回復する上にも、これまた相当考許を要する点でございますので、かようの意味合いから、せつかく得ました三原則のその根源にさかのぼつて、実施の面におきましても那辺にありやと、さようなことを打診をいたしておる段階である、かようなことを申し上げたにすぎないことを御了承願いたいのであります。
  76. 角田幸吉

    角田委員長 委員長はこの際、質問者の委員におかれましても、政府におかれましても、なるべく簡潔にやつていただきたいことを希望いたします。
  77. 川崎秀二

    川崎委員 委員長は今さようなことを言われたのでありますけれども、こちらの趣旨を説明もしなければ答弁ができないと私は思うのです。ことに問題が経済問題にからんできておるのであつて、ただ題目のようなことばかり言つてつてもこれはからまわりである、從つて本旨を言わなければならぬことになつたのであります。そこで今御答弁がありましたけれども賃金政策については財政経済全般にわたつて見てみなければ、賃金政策の根本は出ないのだというお話、これはまつたく御無理ごもつともでもあります。しかしながらその財政経済政策全般を、むりなく推し進めて行くためにも、賃金政策に対する一つの素朴なる構想というものが出なければ、財政経済政策の全般というものは出ない。これはどちらが先か、鷄か卵か知りませんけれども、しかしながら賃金政策に対する一つの素朴なる構想なくして、全般の経済政策していものも成立つて行かないということを、大藏大臣は了承しなければならぬと私は思う。そこできよう毎日新聞に載せられておるところの記事をとつて中曽根君が質問されたこの企業合理化への三原則という面から、物價の改訂を行わない。それから赤字融資は行わない。政府補給金は出さないという、三原則の面から、賃金安定政策はどうしてもとらなければならないように要請をされてくるのである。私どもの認識によるならば、これらの相当ドラスティックな政策がとられる前に、むしろわれわれは、賃金安定に正面から取組んで行くべきではなかつたかと私どもは思う。そのチヤンスを失したことは、私の認識によるならば、実に十一月の政変において非常な空白状態ができた。その時期においてむしろ最も好機があつたのではなかろうかと私ども考えておつたのであります。御承知通り十一月の一日からは二合七勺の配給がある。衣料方面についても相当大きな纖維品の大量放出というものが行われて、いわゆる実質賃金の裏づけというものが、少しでも段階的に進められて行くべき好機であつたと私ども考えておるのであります。おそらく民自党の政調会におかれても、同樣な見解を持つておられたかとも思う。もつとも統制ということは何でもきらいのようでありまするから、賃金統制ということもお考えにはならなかつたかもしれぬけれども、しかし企業の合理化、行政の整理ということを高く叫ばれておるところの民自党としては、当然そこに私どもと同樣の結論がついて行かなければならぬと私ども考えておる。もちろん直接統制をするということになりますれば、労働階級の相当な反撥も予想しなければならぬ。しかしながらそれ以上も大きなことは、何と申しましても、物價と賃金の惡循環ということが、残されたところ日本の再建への一つの大きな障害である。これを打破することなくして、企業の合理化も、行政整理も行われないという、強い信念のもとに立つならば、われわれは民自党が内閣を取つた直後において、賃金安定政策というものは大きな構想のもとにかからなければならないと私ども考えておる。しかるに今日企業合理化への三原則というものが発表され、それを折衝してみなければわからないというような、それほど素朴して、また、ある意味においては御愼重なる態度であつては、一体日本経済の再建というものはでき得るであろうかどうかということを私は疑わざるを得ない。この点についていまひとつ、賃金安定政策に対してどういう方針をとるかということの、少しはあなた方の持つておられる考え方を示していただかなければ、今後いろいろの問題を議する上において、非常に障害になると思います。
  78. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。賃金安定政策について、私の素朴な考えを申し述べろ、かような素朴なお尋ねに対しまして、私はまつたく素朴な氣持に立たされるのであります。しかしながらたびたび申し上げます通り、賃金安定の政策は、これは経済政策の、少くとも今日におきましては、結論的の要素を含むものである。かように考えますのが一つ。なおさらに、ただいま川崎さんのお示しの通り、前内閣当時におきまして示されました池済十原則、これにつきましてはわれわれもこれを踏襲いたしたい、かようの考えであるのでありますが、なかんずく賃金安定の方策については、私は不幸にしてその具体的なるものをあまり多く知らないのであります。かような意味合いにおきまして、あるいはただいま川崎さんから素朴なお話がございました通り、あるいはその時期を十一月ごろと御予定なさつておられたのかと存じ上げる次第でありますが、しかしながらわが吉田内閣といたしましては、組閣早々におきましてこの結論的賃金政策を具体的にこれを取上げる、具体的にこれを天下に宣示する、さような段階ではないことと私は考えておる次第でございます。この点何とぞ御了承願いたいのであります。
  79. 川崎秀二

    川崎委員 非常に素朴という言葉、私の態度は素朴だということは、たいへんけつこうだと思うのであります。素朴なる構想すら伺い得なかつたということは、まことに残念であります。しかしながらこの問題をいつまでも議論しておりましてもはてしがない。他の問題にも論及してみたいと思いますので、この点は打切ります。  次に労働大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、今日申すまでもなく経済再建にとつて重大なる産業であるところの石炭産業、これが御承知のように数日前から波状的のストライキに入つておる。これを放置するならば本年三千六百万トンの達成というものも、非常に危惧されてくるのではないかと考えておるのであります。われわれが今日少しでも日本の経済の復興のきざしが見えたということは、とりもなおさず昨年來の石炭の増産というものが、一應軌道に乘つたところに原因があると私ども考えておる。食糧の増産というものが、農民の非常なる努力によつて達成をされ、これに加えて炭鉱業が、相当円滑に増産が進捗されたところに原因があると私は考えるのでありますが、炭鉱ストライキが今日のような状況に立ち至つたことについて、労働大臣はどういうふうに対処されようとしておるか、伺いたいと思う。
  80. 増田甲子七

    増田國務大臣 お答え申し上げます。石炭労働者の賃金問題に端を発しまして、去る十日から部分的な爭議行為が各所に頻発いたしておりますことは、まことに遺憾にたえない次第でございます。そこで御承知のごとく、今賃金安定の問題に觸れましたが、各事業それぞれまだ均衡の取れた賃金が設定されていないから、安定の前提といたしましては、産業別によつてそれぞれ違いますし、各目賃金において相違はあるけれども、しかし均衡のとれた賃金が設定されることが必要であるというふうに申し上げましたが、御承知通り鉄あるいは肥料等におきましては、まずまず安定してもよろしいのではないかという賃金が設定されております。ところがその他の産業労働賃金につきまして、まだ均衡がとれておりません。今問題になつております電産につきましても、かつておととしの十二月には、官公労の三倍も高いところ賃金ベースが設定された。それが今でもほかの産業労働賃金に比べてやや低いということになつておる次第でありまして、今電産爭議もせつかく調停委員会が活動されまして、結論を見つつありますが、まだ完全なる妥結に到達していないことは非常に遺憾でございます。しかしこれも極力努力いたすつもりでございます。石炭につきましては御承知通り坑内六千三百八十円、坑外四千円、これもかつては非常に高かつたのでございますが、割合に他の産業労働賃金に比べてやや低い。そこで賃金鬪爭が起きておる次第でございますが、私といたしましてはできるだけ早期に解決いたしたい、こういうような意味合いから、このごろ來商工大臣とともに極力努力をしております。まだあつせんに乘り出すというところまでは行つておりませんが、今の段階は経営者と労務者側においてネゴシエーションに入つておる。團体交渉と言いますか、あるいは普通の交渉と言いますか、とにかく交渉に入らないで、しかも突然に爭議行為に入つたという、少し普通の労働運動としては変態的な現象でありますが、あれでは困るから、とにかく話をしてほしいというわけで、きのうあたりからぼつぼつ直接の團体交渉に入つております。行く行く状況によりましては、私どもあつせんに乘り出したい、こう思つております。それから問題は、やはり本日の新聞にも見えておりまするあの三原則が、もしエクセブションのない絶対原則であるということになれば、これは今の石炭賃金鬪爭を、かえつて惡化せしめるということになるのでありまして、非常に心配しておるのでありますが、これにはやはり緩和をしていただくとか、エクセプションをつくつていただくという方向へせつかく努力中でございますから、大体以上のような経過を御了承願いたいと思います。
  81. 川崎秀二

    川崎委員 今私が質問しようと思うことを、先に御回答がありましたので満足しておりますが、実はストライキ中の融資というものは一切行わないのだということになりますと、これが影響するところは相当甚大な影響があると私考えるのであります。ことに産業全船にわたつと、從來生産が進行しておつた部面の産業が、赤字融資は行わない。ストライキ中の融資は行わないというようなことが、にわかに強行されることになると、生産面に大きな影響を來して來るのではなかろうかというふうに考えますので、ただいま労働大臣が申されましてことは、今日の状態としてはきわめて適切だと思いますので、なるべくそう方針によつて折衝されることを要望し、なお私の質問は法務院総裁にも、生産管理の問題について質問もいたしたいし、なお労働大臣にも失業対策関係について、それから國家公務員法の中心問題について、二、三点質問をいたしたいと思いますが、何か本会議が開かれる関係で、そちらの方で待つておるそうでありますから、今日は一應これで打切ります。
  82. 角田幸吉

    角田委員長 では今日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時から続行いたします。     午後四時五分散会