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増田國務大臣 川崎君の御
質問に
お答え申し上げます。もつとも労政全般についての卑見を開陳せよということでございました。これはあるいは申し上げようによ
つては、非常に時間もかかることでございますが、まず概略的に申し上げることをどうぞ御了承願います。先ごろ私は本
会議におきまして片言隻句をこの
労働政策についてさしはさみましたが、これはどういう御
質問に対しての
お答えであるかと申しますと、すなわち民主自由党が
労働政策として公約したものは、着々これを具現化しろという御
質問に対しての
お答えでございましたから、私はあの程度に申し上げた次第でございます。
労働政策全般についての組織的の体系を持つた公約はまだないのでございまして、研究中でございます。最もあの程度のことはすでに公約でございまするから、これは御了承願いたいと思います。なお基本理念としては、一体
増田労政の抱負はどういうことであるかというようなお尋ねでございますが、
増田労政であるとか、あるいは何々氏労政ということはあり得るはずのものではない。いやしくもその
政府の背景にな
つている與党全体の労政であるべきものである。今わが民主自由党が與党とな
つている
ところのこの
吉田内閣におきましては、民主自由党の
労働政策、あるいは
吉田内閣の労ど政策であるべきものである。こういうふうに私は
考えている。それがあるいは記者諸君が便宜上、
増田労政とか、何々労政とか言われることはあり得ると思います。そこで私はまず申し上げたいのでございますが、結局
労働政策については、共産党の諸君は
ちよつと私存じませんが、ほかの政党の諸君であるならば、
労働政策について、どの
内閣にかわりましてもその性格にそう變化があるべきものでないと私は思
つております。われわれの政党と社会党の諸君とは、主義政策の相当違う点もございます。しかしながら、これは概念的に申し上げますか、政策抱負に関する主義、主張の相違が、私は基本的な相違である。
労働政策については、要するに皆さんの御協賛を得た労働三法のみならず、職業安定法その他にも書いてございます
通り、勤労者の労働條件の維持改善をできるだけはか
つて、そうして
労働者の経済的、政治的、社会的
地位の安定向上に努め、も
つて経済の
復興に資するということが、われわれのとるべき
労働政策であると思う次第でございます。以上の
通り御了承を得たいと私は思
つております。そこで、しかしどの
内閣についても
労働政策に多少ニュアンスの相違ぐらいあるであろう、こういうふうにお
考えになるだろうと思いますが、私
労働大臣一個の
考えといたしましては、社会正義あるいは愛というものを基本理念として労働
関係を調整して行く、そうして労働の生産性を発揮して参りたい、生産力の発展に寄與いたしたいと存じておる次第でございます。
それから
川崎さんの御
質問の
賃金政策でございますが、芦田
内閣においていわゆる経済十原則のうちで最も力を入れられた点は、やはり賃金の安定という事柄であろうと思
つております。これは賃金と物價との惡循還を切断するという
意味において最も必要でございまして、私任を受けてから研究はいたしておりますが、芦田
内閣において非常に御苦心されたにもかかわらず、安定策が具現化できなかつたその條件は、なお
吉田内閣においても続いておる次第でございまして、具体的に申し上げますと、今安定の前提といたしまして私は適正妥当な賃金が設定せられるということが、
各党各派といわず、あるいは経営者、労務者といわず、すべて是認さるべき前提であると思
つております。
ところがこの前提たるべき適正妥当なる賃金水準というものは、全産業にわたりましても、あるいは
公務員につきましても、
公務員中現業員につきましても、非現業員につきましても、あるいは公團の職員につきましても、まだ体系的に均衡のとれた賃金が設定されていないということは御
承知の
通りでありまして、また特定の産業につきましても、ある企業と他の企業とには相当の差異もございます。そういうような前提が解決されなくてはならぬ。その前提の解決には一生懸命力を入りてまいりたい。そうして賃金が一應適正妥当に決定されるそのときに、初めてスタビリゼーションというものは
考慮すべきものである。今むやみにこの状態において賃金安定策を立てるということは、いたずらに経営者のみならず、
労働者を混迷に陷らせるものであるという
意味において、私は今の
ところ考えて行くということは
考えておりませんが、経済安定方策のうちの最も重要な原則として、できるだけ早くこれが具体化には努力いたしたいと存ずる次第でございまして、
川崎君のような非常に勉強された方の御協力も得たいと存ずる次第でございます。