○松澤(兼)
委員 関連して御
質問申し上げます。良心的な
政府という問題が出まして、何か良心的な
政府という、抽象的な概念があるように考えられるのであります。実際にそういうことはあり得ないのでありまして、良心的ということは、やはり客観的に判断しなければならないと思うのであります。抽象的なそういう概念というものは、私はここでとられないというふうに考えます。しかも何か
内閣が任命するということに、無過失というような考えがあるように見受けられるのであります。しかし現に百九條の罰則を見ますと、人事官の任命につきまして、第五第に
規定しているような人事官を任命しなかつた閣員に対しては、「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する」ということがある。第三号には「第八條第三項の
規定に違反して故意に人事官を罷免しなかつた閣員」第四号には「人事官の欠員を生じた後六十日以内に人事官を任命しなか
つて閣員」また百十一條を見ますと、百九條の第一号、第三号より第五号という点につきまして、これに「掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし又はそのほう助をした者は、それぞれ各本條の刑の処する」ということが
規定されているのでま有ます。
從つてこの
政府の案それ自体から見ても、
政府あるいは閣員というものは、過失を犯すということが十分に考えられているのであります。
從つて総理
大臣以下各閣僚は、この條文によ
つて処罰せらるべき行為をやるかもしれないということが、十分に期待できるのであります。
從つて内閣が任命したことが良心的に行われる場合もあるだろうし、良心的に行われない場合というものも、はつきりわかるのであります。そこで
高橋君が言うように、その彈劾訴追の権は、やはり裁判所におけると同じように、
國会がこれをもつべきものであるという結論が出て來ると考えられるのであります。最初申しましたように、良心的な
政府ということは抽象的な概念であ
つて、実際的にはそうでなく、必ず過失があるという前提に立たなければならない。この見地から
内閣が彈劾訴追をするということよりも、
國会が彈劾訴追をすることが適当であるというふうに考えます。
從つて百九條の罰則の見地から見て、第五條に
規定するような人事官を任命しなかつた場合、そういう場合を予想して、私どもは
内閣に彈劾訴追の権を持たせるよりは、
國会が持つた方がいいと考えるのであります。実際この罰則第百九條というような
規定に関しまして、一体
内閣が人事官をきめる場合には、どういう形式によ
つてこれを任命するのかということを、一應伺
つてみたいと考えるのであります。