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1948-11-24 第3回国会 衆議院 人事委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十四日(水曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 角田 幸吉君    理事 玉井 祐吉君       淺利 三朗君    中野 武雄君       根本龍太郎君    菊川 忠雄君       島上善五郎君    前田 種男君       松澤 兼人君    米窪 滿亮君       高橋 禎一君   長野重右ヱ門君       最上 英子君    吉田  安君       船田 享二君    松本 瀧藏君       水野 實郎君    相馬 助治君  出席國務大臣         労 働 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         臨時人事委員長 淺井  清君         総理廳事務官  岡部 史郎君         大 藏 次 官 野田 卯一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第七号)     —————————————
  2. 角田幸吉

    角田委員長 これより開会いたします。  前会に引続き國家公務員法の一部を改正する法律案を議題としてその審査を進めます。前会御協議の上決定いたしました通り、本日より一般質問を含めた本案逐條審議に移ります。
  3. 玉井祐吉

    玉井委員 人事委員長にお伺いいたします。前会質問申した上げた中で、いろいろな都合で途中で打ち切つたような形になつておりますので、人事委員長に関する部分だけ一應この際まとめてお聞きしたいと思います。先日お聞きいたしました中で、特に私が考えておりますことは、福祉を守るという意味でおつくりになつたものであれば、もつと強力な権限がなければならぬ。しかしながら人事委員会が非常に大きな力を持つということは、福祉を守る上からいつては当然なことでありますが、他方において現在の日本のいろいろな情勢から見て、むしろ人事委員会人事院規則というものの中で、人事委員会がかつてにできるというような態度ではなくて、やはりあくまでも法律の形で、議会承認のもとでこれを決定しなければならぬ、かように考えているわけです。むしろそういう意味から福祉を守るというようなことは、極端にいえばただ表看板で、実はむしろそうでなくして、人事委員会のあの組織が非常に強力なものになつて來ますと、日本の國で行われておる現安の三権分立という形がここに破壊されてしまい、議会の権力よりは、人事委員会の力がむしろ強くなるという形が生れて來ると考える。そこで今申しました人事院規則というものを、当然法律によつて制定しなければならない。かように考えておりますが、その点について人事委員長立場でどのようにお考えになるか、お尋ねいたします。
  4. 淺井清

    淺井政委員 御質疑一應ごもつともと存じておりますけれども、この人事院規則に委されておる部分を、一々法律制定するというようなことは、これは事実上私は不可能ではないかと考えております。それから人事院規則範囲は非常に大きいもののようでございますけれども、大体においてはこれは專門的、技術的な規定であつて、これによつて公務員の身分に対して惡い影響を及ぼす、こういうことは心配はいたしておりません。かような懸念はないと思つておる次第でございます。それからまた人事院というものの権限が非常に強大になつて、これがためにかえつて議会権限がその程度衰えることは全然ないのでありまして、これはこの法案の持つております形から見ましても、常に國権最高機関たる國会がこれを監督するのだ。そうしておもなものは法律できめる、法律は当然國会制定せられるものである。こういうふうな立場に立つておるのでございまして、現に人事委員会というような常任委員会制度國会に設けられましたことも、確かにその一つであろうと思つておりまするから、これは私ども提案者といたしましては、この運用においてはそのような御懸念はないように考えておる次第でございます。
  5. 玉井祐吉

    玉井委員 ただいまのお話によりますと、國会権限を削るというような懸念はないのだ、かように言われておるのですが、條文をずつと読んで見たところでは、むしろ國会権限を侵す可能性の方が強い。そうして國会権限によつて應ブレーキがかけられる面は、單に予算の面において多少その点が考慮されている程度にすぎない。ただ一箇條しかありません。そこで実際上はむしろその権限廣くして、今盛られておるような人事院規則によつて万事を決定する。特に法律顧問の問題もあります。こういうような形が具体的に現われて來た場合には、日本独立性に対して非常に大きな障害が起つて來ると考えます。この点については総理にもあとでお伺いしたいと思うのでありますが、私は全然心配はないじやないかというのはむしろ誤りであつて、逆に非常に心配はあるが、できるだけそういうことをしないように努力するということでなければならぬと思いますが、その点についてもう少し詳しくお話を伺いたい。
  6. 淺井清

    淺井政委員 お話のありました点につきましては、前言申しましたように、私は憲法その他の点から見まして、國権最高機関としての國会権限なり、性格なりというものが、この人事院制度あるいは國家公務員法改正をやりますことにおいて侵されることはないと確信をいたしておる次第でございます。これは前に申し上げたことを繰返すにすぎないのでございますけれども、私はその御懸念はないと確信をいたしております。  それから法律顧問の点がございましたが、これはどういうお考えから來ておるのでございましようか。あるいは外國人等をこの法律顧問にするのではないか、こういうようなお考えから來ておるのではなかろうかとも存じまするけれども、そのようなことは毛頭私の方では考えておらないのでございます。
  7. 玉井祐吉

    玉井委員 おつしやるように、私は法律顧問外國人になるのではないかということをおそれております。それは今申し上げましたように、この法律自身の、ことに人事院規則というものは独立制定されるという形をとつております。しかも今までの傾向というものを見てみますと、これを顧問にせよという形で現わした場合に、私はそれを果り切るだけの力を、はたして政府が持ち得るかという問題が起つて來ると思う。そういう点を考えてお伺いしたのですが、その点はいずれ逐條審議の場合に讓ることといたしまして、その他二、三の点もありますが、特に各條との関係がございますので、審議の御都合もありましようから、一般質問に関する部分は、人事委員長に関する限り、この辺で一應打切つておきたいと思います。あと関係大臣が見えましたら、先般來から継続中の農地委員会関係部分だけを、もう一度御質問申し上げたいと思いますので、どうぞ逐條審議の一般的な説明をひとつ伺いたいと思います。
  8. 前田種男

    前田(種)委員 今の玉井君の質問に関連してお伺いいたします。今の玉井委員人事院権限の問題で、人事院規則を法制化したらどうかという質問に対して、委員長はその必要がないという答弁でございましたが、これは大事なところだと思います。委員長もすでに御承知のように、國会におきましては政府行政部門局部の変更は、院議をもたなければ、内閣政令によつてはできないという決定が両院を通過しておるのです。これは國の意思が明確になつております。しかも一局部行政上の都合で変更する場合でも、院議承認を経なければならぬというように國会はくくつております。この公務員法改正案内容を見ますと、大部分人事院規則にゆだねられてあるところが相当あるのです。この中には簡單政令あるいは指令等でやれる規則もあると思いますが、むしろこの中には、区わけをいたしますならば、当然法制化して、本文に挿入しなければならぬ規則相当あると思います。これはその原案が参考に出ておりませんので、箇條をあげて論議することはできませんが、もし人事院規則内容が明らかになつて來ますならば、そのうちの大部分、あるいは主たるものは本文に入れようというような問題が当然出て來ると考えます。この点が先ほど玉井委員の一番懸念されておる点だと考えます。その人事院規則の項目、主たる点等について私が再質問いたします点は、院議がそういうふうにして拘束しておる場合に、ひとり人事院だけが、廣汎人事院規則人事委会会議で決定して、それでどんどんやつて行くということは、ある意味においては國会意思を無視する危險性が、多分にあるということが推測されるのです。そういう懸念があるから、できるだけ人事院規則の大綱は、また主たる要点は、法制化した方がよいのじやないかという点であろうと思いますので、今日までにいろいろな原案を作成される経過等から見て、委員長としては今のような答弁を繰返す以外にお答かがないかと考えますが、靜かに日本將來考えてみた場合に、これは大事なところで、特にこの点は本委員会審議を進めて行く上におきましても大事なところでございますから、私は区わけをして、できれば法制化する、本文に入れるというような処置をとることが妥当だという点がありますので、もう一度重ねて委員長から答弁を煩わしておきたいと考えます。
  9. 淺井清

    淺井政委員 出井さんの御質疑といい、ただいまの御質疑といい、たいへんごもつともに拜聽いたしておりますが、御承知のようにこの新しい制度が、これから日本が出発して行くにあたりましては、今ただちにその全貌をこの國家公務員法の中に法制化するということは、あるいは適しないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます、そこでこれを人事院規則という一種の命令の方へ移讓しておる点が多々あるのでございます。しかしながら國家公務員法というのは法律でございまして、これは國会が御制定になり、またたれを將來改正せられるという権限はもちろん國会の方にもある。これはもう申すまでもないことでございますから、これから人事院制度、あるいは國家公務員制度がだんだんと発達して参りまして、そのよろしきに至つたところになりましたならば、これを法制化する、法律の中に固定するということも、私はたいへんけつこうだろうと思いますが、ただいまのところでは全部それを書いてしまいますと動きのとれないものになりまして、非常にやりにくい状態にある。こういう点をひとつ御了承願いたいと思います。
  10. 前田種男

    前田(種)委員 今の答弁を聞いておりますと、將來運営をやつて行つて、不都合な問題が起きた時分に法制化してもいいというようなことでございますが、將來そういう心配になるようなことが今すでに相当懸念されるのです。もう一つはここではどうかと思いますが、今まで出て参りますところの法案が、すべて関係方面のそれぞれのセクシヨンからいろいろなひもがついて、そうしてある程度日本國会として、もつと高い、廣い立場で檢討しなければならぬものが、抜きさしならぬような関係になつて提案されておる法律が、いろいろな関係法規の中に相当あるわけです。そういう関係者だけから見ますと、関係者だけの非常に都合のいいようなことにするということはいいかわかりませんが、日本國会として眞にそうした法律審議する上におきましては、いろいろな関係法規との関係を見まして私はやはり行き過ぎだ。それは專門的人事行政を扱つておる面から行きますとそうでもないかもしれないが、全体の官僚制度内閣制度、あるいは日本國会制度等から勘案しますと、やはり行き過ぎの点が、この改正案の中にも現われて來ておるのです。人事院規則も、これは根本は法で制定しておるから、あと人事院規則でいいというりくつは、りくつとして通るかもしれませんが、そのりくつの中には非常に不都合な、不合理なものが加味されるということが懸念されますので、むしろ区分けして、重要な部分本文の中に入れることが、正しい行き上だ。新憲法下における政令勅令範囲は、おのずから、限定されておるのですから、あくまでその限定されておる範囲内における政令勅令でなければならぬと考えます。その点についてもう一度委員長答弁を願つて置きたいと思います。
  11. 淺井清

    淺井政委員 その点はまことにごもつともな御論議と存じますが、私としてはさいせん申しました私の立場を申し上げるほかないのでございまして、ただ結論といたしまして、私はこの人事院規則なり、國家公務員法のこれからの行き方は、御懸念の生ずるような点は萬々ないものと確信いたしておる次第でございます。
  12. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 それに関連してちよつとお伺いしますが、人事院規則というものは、政府としては大体どういうものをつくろうというのですか。もう案文ぐらいできておるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  13. 淺井清

    淺井政委員 これは実はまだできていないのでございます。できていないと申しますのは、これは御承知のように非常な廣汎範囲にわたつておりまして、その大部分が非常に技術的なものでございますために、鋭意できるものからこれを進めて行きたいと考えておる次第でございます。
  14. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 人事院規則は、法律がもし改正され、実施されることになれば、早速必要なことで、政府としては十分お急ぎになつて大体の構想をまとめなければいかぬと思いますが、でき次第委員会へその内容を示していただきたいと考えます。
  15. 淺井清

    淺井政委員 その点について私どもは決して準備を怠つておるほけではございませんが、ただ今日ここでまだお示しができないという意味でございますから、御希望に沿うようにいたしたいと思います。
  16. 菊川忠雄

    菊川委員 ただいまの人事院規則について、私も関連してお尋ねし上げます。今伺つておりますと、人事院規則はまだその草案もできてないというお話です。それからいま一つは、伺つておると、非常に廣汎なもので、しかも人事院が今後新しく始める仕事であるということでありますが、そうしますと、私どもはこのこと自身が、本案審議するにあたつての最大の不安になつて参るわけであります。私ども責任を持つてこの法案審議するにあたつて、ここに含まれておる具体的な部分がいかに現われて來るかということについて、何らそれを推測し、想定して審議することができないといたしますならば、これはまた形骸をわれわれがつくるだけであります。でありますから今のようなお話でございますれば、私どもはなおさら逆に、こういう程度の御用意しかないものといたしますれば、どうしてもこれは人事院規則によらずして法律をもつてつていただかなけれず、私ども審議を進めることができないということを痛感するのであります。そういう点からいつてお尋ねいたしたいのでありますが、要するに今回の改正案を通じて見ます間において、もちろん民主的、能率的な公務員制度を確立するという建前から、いろいろの新しい積極的な点も見えております。しかしながらむしろ消極的な部面が非常に多いのであります。その部分は言うまでもなく、從來労働者が持つておるところの基本的な人権である團結権、あるいは團体交渉、その他團体行動に関する権利を、國家公務員なるがゆえに拘束する、制約を與えるという点が、主としてこの法案改正要点になつておるのであります。これは非常に問題のある点になることは、今までの多くの論議の際に現われておる。少くとも新憲法下において労働者に與えられた基本的人権、この基本的人権は十九世紀的な人権にあらずして、二十世紀における資本主義建前のもとにおいて、労働者に與えられた新しい経済的、社会的な基本的人権であります。その部分についてこれを國家との調和の上においていかに制限するとということが、今日各國の問題になつておるのであります。でありますからこの部分についての基本的人権を制限される場合において、それが人事院規則できめられるというのでありますれば、これはゆゆしき問題であると考えるのであります。先般淺井人事委員長お話によりますと、基本的な人権を制限する場合においては、公共福祉あるいはその他の建前から考えなければならない、その場合に基本的人権は絶対に侵してはならないという考え方と、それから公共福祉建前から、ある程度制約はやむを得ないという二つの考え方があるが、自分は後者をとるのだ、こういうふうな簡單な断定を下されたのであります。そういうふうな公共福祉とか、あるいは全体への奉仕者である、こういう簡單な、内容の不明瞭な観念をもつて労働者の新しい基本的人権であるところの團結権團体交渉その他團体行動権利制約する。こういう考え方をもつておられるところの人事委員長が、もしそういう人事院規則制定に当られますならば、この改正法案の結果というものは、反動的な労働行政を生む以外にないと私は思うのであります。こういうふうな観点からいたしまして、私ども人事院規則をもつて全部をおやりになるという方針であるならば、この法案審議にあたつて、これで逐條審議を伺うのも結構でありますが、私どもはその一つ一つ規則内容について概要を確かめなければ、審議が進められない。こういうことになるのでありますが、どうしても人事院規則で行かれるのか、それとも重大なものについては法律をもつて当られるのか、さらにまた人事院規則で行くという一本建てでございますならば、その人事院規則をお定めになる場合において、ただ人事院のみにおいておやりになるのか、それとも何か民主的に、あるいは民間方面意見を聞いてやるような、諮問機関その他のものを、附随してお考えになつておられるのか、そういう点についての構想をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  17. 淺井清

    淺井政委員 御もつともな御質疑と存じておりますが、まず第一といたしまして、労働者團結権を制限する、そういう方面におきましては、私の見るところでは、この法律自体の中に相当詳しく書いてあると思つております。たとえば九十八條にいたしましても、これはここに法律相当詳しく書きまして、ただその手続人事院規則に任されてあるというふうになつておりますから、私はそういう御懸念の生ずるかと思われる部分につきましては、大体法律で間違いのないように押えたつもりでいるのでございます。最も廣汎人事院規則にゆだねられておりますのは、むろん試驗のやり方とか、あるいは帳簿のつくり方とかいうような——つまり白紙で任されている部分は、そのような技術的な方面だと私は思つております。なおこれに対しては少し例外があるかも存じませんが、それにつきましてはあるいは逐條等の際において申し上げたいと思つておりますが、決してそのような御懸念のないようには、私ども考えている次第でございます。
  18. 菊川忠雄

    菊川委員 伺つておりますと、どうもやはり根本的なこの法案に対する見解の相違があるような氣がいたします。もう一、二重ねてお尋ねいたします。ただいま九十八條その他の点において、相当労働者基本的人権に関する部分は、ある程度具体的に、明確に規定しているつもりであるということであります。しかし私どもから見ますと、そういうふうな考え方で、簡單労働者團体交渉権利などをお扱いなさるところのお考えが危險だ、こう言うのであります。と申しますのは、この附則第十六條には明瞭に、從來労働三法及び船員法はこれを適用しない、こうなつている。そういたしますれば、労働組合法なり、あるいは労調法なり、あるいは労働基準法なり、さらに船員法において含まれているものは、單に團体交渉を制限し、あるいはまた團体協約を認めない、こういう條文のみではないのであります。從つて労働三法及び船員法から九十八條のみを拔きましても、多くの労働階級に対する基本的人権を保護するに必要なるところの法律規定は残るのであります。そういう点において、ただ九十八條において明確になるから、あと労働者権限は十分に確保されたか、とこう申しますと、逆にわれわれから見ますれば、九十八條において團体交渉を制限をされたという、取上げる方を明確にされておる。それと同時に労働三法を適用しないということになりまして、從來保護規定を全部削つておるのであります。ここに問題があるのであります。でありますから人事院が今後規則をおきめになる場合に、たとえば労働基準法というものを一つ考える場合に、大体において他の部分は準用するというふうなことになつておるようでありまするが、しかし労働基準法中心は、対等の資格において労資が労務契約をする。從つて労働者團結権というものと、その発展としての團体協約というものが中心となつて、あの基準法ができておるということは言うまでもありません。その中から團体協約を削つて、そうして労働基準法を準用される、こういう場合でありますれば、いかなるところの方法をもつて、いかなる基準をもつておやりになるのかということは、これはやはり、重大なる基本的人権の一部を扱うところの問題であります。これを人事院規則でもつて簡單に扱われたのでは、われわれといたしましては、はなはだ不安なのである。この点については何らかの大きな認識不十分な点か、あるいは誤解があるのではないか。私その点についてもう一ぺん重ねてお尋ね申し上げます。
  19. 淺井清

    淺井政委員 ただいま九十八條お話をいたしましたために、ただいまのようなお尋ねを重ねてこうむりましたが、ただいま仰せられましたことは、私は全然同感考えておるのであります。單に九十八條説明だけをいたしましたために、そのようなお疑いも出たと思いまするが、労働三法の適用を排除いたしましたことにつきまして、これはマツカーサー元帥書簡にもございますように、公務とそれから一般勤労との相違、この点を目ざしたのでございまするけれども、それにつきまして、この勤労者の利益を保護する、権利を保護するということにつきましては、われわれといたしまして、決して怠るものではございません。ただいまの御論につきましては、私は全然御同感でございます。
  20. 菊川忠雄

    菊川委員 いずれまた逐條審議の場合に、この点について詳しくお尋ねいたしたいと思いますが、ただいまの労働三法を除外した結果起つておるところの問題について、私と同感であることはまことに私も喜ばしいのでありまするが、しかしそういう労働三法を除外した結果、國家公務員民間労働者と違うという立場において、政府との間にある特殊な雇用関係はやはり置かれるのであります。その雇用関係において、それがマツカーサー書簡においてどういうふうに解釈されたということと合せて、そうしていかなる雇用関係と認めて、それに対していかなるところの人事院規則をおきめになるかということについては、これはただ單に人事院でおきめになるということではいけないと思います。いかに優秀なお方でありましても、やはりその能力と、それからその人の構想には限界があります。でありまするから、どうしてもこういう点こそは、人事院規則によらないで、そうして新してところの労働法制の一部分をここで開くのだということでありますれば、國会はもちろん責任を持たなければならぬ問題であります。いわんやその過程におきましては、人事院といえども單独にこれを考案し得るものでなくと、あとうべくんば民間の各権威者、あるいは民間各界方面意見を聞きながら進めて行かなければならぬと思うのであります。でありますから、そこに空白ができるということをお認めであるならば、私が先ほどお尋ね申しますように、その空白を埋めるのに、人事院規則という方法のみでいいのか。何ゆえ人事院規則以外のことがお考えになれないのか。この点についてお尋ねしたい。
  21. 淺井清

    淺井政委員 お答えを申し上げますが、私はただいまの御趣意に対してまつたく御同感でございます。これは法律の占める場面もございますし、あるいは人事院規則の占める場面もあるかと考えております。またかりにこれを人事院規則で占める場面につきましても、ここではつきりとは申し上げられませんが、これは決して独断に陷らないように、適切な考慮をいたしたいつもりでおります。
  22. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 関連事項ですが、先ほど人事委員長は九十八條の例をおあげになりまして、團体交渉法律で認めている。その手続規則に讓つておるのであるというお話であつたのであります。しかし私が百二條の例をあげまして、選挙権の行使以外のことは、人事院規則で定めて、そういう政治的な行為をしてはならない、こうあるのであります。これなどは、選挙権行使以外の政治活動ができないということを人事院規則で定めるということは、先ほど菊川君も言われました人事院規則というものが、法律あるいは場合によつて憲法をもしのぐ非常に大きな権限を持つ。こういうことはあらかじめ百二條なら百二條の中において、どういう政散的な活動をしてはならないということを列挙するなり、法律の形でもつてやらなければならない。選挙権の行使ということはよろしい。それ以外のどういう政治的活動ができないのかということを、あらかじめ國会としては承知しなければ、これを人事院規則にゆだねるということはできないのであります。それから九十八條の場合につきましても、團体交渉をすることはできる。しかしその手続人事院が定めるということになつておりますから、これもおそらくは規則でもつてその團体交渉手続をおきめになると思うのであります。しかし御承知のように、労働組合法があり、労働関係調整法があり、組合の團結及び團体交渉團体行動というものにつきましては、いわゆる労働三法というものがあり、非常に廣汎規定によつて團結、團体行動、あるいは罷業の場合にも法律をもつて規定してある。ここに團結権團体交渉権という規定が九十八條にあるから、法律はこれを認めておるのだ。手続だけが人事院規則によつて定められるのだ、こう仰せになるのでありますが、労働三法をもつて労働関係規定しておる。その権利の重大性ということを考えてみるならば、公務員の組合活動というものを、單に九十信條一條だけでもつて規定するということの、おそらくできないということは、よくおわかりだろうと思うのであります。そうしますと、人事院規則によつてその手続が定められる。その手続がいわば法律にかわる非常に重大なものであつて、基本的な人権をここでもまた制限するという結果になる。こういうことを考えてみると、私どもとしましては、先ほど菊川君の言いましたように、人事院規則の中で重要なものは、法律もつとこれを定めるという趣旨を私どもあ主張しておるのであります。それは職階制は法律をもつて定める、こうしてありますように、團体交渉に関する詳細な手続は、やはりこれは法律をもつてやる。政治活動をやる場合において、投票権の行使以外の政治的な行動で、やつてはいけないものはやはり法律をもつて規定するということが、たとい公の立場にあるものが、政治的なりあるいは経済的な活動が制限されなければならないにしても、それが憲法の趣旨にも合し、また公務員に対してほんとうに親切なやり方ではないか、こう思うのでありまして、これを人事院だけで規定してやるということに——人事院があまり独裁的な権限を持つということに、私は疑惑を持つておるのであります。この点につきまして御見解を承りたいのであります。
  23. 淺井清

    淺井政委員 第一点の百二條の点は、私もまことにごもつともと思つております。この点に関しまして、從來の経過は、また別の機会に少しく申し上げたいと思つておるのでございますが、この人事院規則は、ただいま私が人事院規則が技術的な、專門的なものであると申し上げたのでございますが、まさに例外であつて、人間の参政権に関する重大規定であることは、しごく同感でございます。そこで当方といたしましては、すみやかにこの人事院規則内容をこの委員会に提出して、ごらんを願いたいと思つておる次第でございますが、これはもう一両日を要すると思つておる次第でございます。なお別の機会に御説明を申し上げたいと思つております。  九十八條につきましては、私はこれは單なる手続であつて、その点については御懸念のようなことはないと思つておる次第でございまして、これは百二條のようには、私どもといたしましては考えておりません。
  24. 玉井祐吉

    玉井委員 先ほど御質問を申し上げましたのですが、たいへん事が重要でございますので、もう一度だけ発言させていただきたいと思います。私はこの法律が、御承知のように各政党、政治権力から公務員の立場を擁護した形において、公務を実行させるという趣旨で提案されていることはわかるのであります。しかしながら、政党並びに政治権力から公務員を外に置いて保護するということの陰に、國会の権力の外に置くということが生れて來やしないかということを憂えておるわけなのです。これはもちろん政治権力というものに対して、特に條文にもはつきり現われておりますように、その文字は使つておりませんが、共産党の勢力からこれを一應守ろうというような形で出ております。そういうもののほかに、そういうもので妥協しておきながら、他方において國会権限の外に人事院をつくらさして、そうして人事院規則をつくつて行こうという考えがあるような氣がしてならない。それですから、私の考えでは、なるほど労働運動をする人たち、また一般の公務員の人たちの、労働者としての立場は守らなければならないということは、これは当然な話で、言うまでもないことでありますが、さらに、これは各党の委員の方々も、もちろんすでに十分にお氣づきの点でありますがデ政府としては、こういう問題がそれだけではなくして、御族の独立並びに日本國の將來ということをお考えなつ立場で、この人事院規則というものをつくつていただきたい。そうしてそういう意味人事院規則を一日も早く出されて、これと並行して一緒に討議されるだけの機会を、ぜひ與えていただかなければならぬと私は考えるのであります。これは今を乘り切る問題じやありません。將來にかかる問題、一年、二年であとはどうにかするというふうに淺井さんは言われたのでありますが、一年、二年が大事なのであります。そういうことがないようにするためには、まず人事院規則を一日も早く出していただいて、そうして、むしろ私の考えでは、人事院規則が出なければ、この法案審議というものは非常な不便を感ずるのみならば、やらない方がよいのではないかという氣持すらするのであります。この人事院規則というものがいつ出るのかという点を、はつきりお聞かせ願いたいと思うわけなのであります。
  25. 淺井清

    淺井政委員 お言葉ではございますけれども、ただ、いまの段階におきまして、この全部に通ずるところの人事院規則をここでお目にかけるということは、不可能なる状態でございますから、この点はあしからず御了承を願いたいと思つております。これは初めて國家公務員法を御審議願いましたときにも、同じような御質疑を受けたのでございまするが、いろいろ準備がありましたり、調査の必要がございましたりして、遅れておるわけでございます。なお即時にとりかからなければならないものにつきましては、十分その準備をいたしておる次第でございます。
  26. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいま松澤委員質問に対して、第百二條の点でありますが、まつたく同感である、こう言われた。まつたく同感であるが、その経過については別の機会に申し上げたい、こういうことであります。すなわち政治活動を制限する事項は、人事院規則できめることではなくして、この法律に列挙すべきであるという点に対して、まつたく同感である、こういうふうに私解釈したのですが、そうしますと、こういうふうに人事院規則で政治活動の制限をするということになつたことに対して、人事委員長としては賛成でなかつた、しかしいろいろの経過によつてそういうふうにおちつかざるを得なかつたのだというふうにとれる。そういうふうに受取つてよろしいか。そうだとすれば、人事委員長は不本意であつたが、こういうふうに強要され、もしくはおちつかざるを得なかつたという力が他から加わつたと、私そういう感じを受けたのですが、そうであるかどうかということを、その詳しい経緯は、ここで説明できないとすれば、あとでよいのでありますが、大体そういうことであるかどうかということを、はつきり御答弁を伺いたい。
  27. 淺井清

    淺井政委員 ちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
  28. 角田幸吉

    角田委員長 速記をとめます。     〔速記中止〕
  29. 角田幸吉

    角田委員長 速記を始めてください。
  30. 菊川忠雄

    菊川委員 逐條審議に入る際に、あらかじめお願いしておきました各條についての必要な資料、特に数字的な資料あるいは規則その他の要項、こういうものをその前にできるだけお示しを願いたい。場合によりますとそういうものがないと、その條文についてわれわれ審議しかねる場合があると思いますので、それをお含みの上お願いしたいと思います。特に私お願いしたいのは、第二條に関するものといたしまして、この國家公務員の範疇に入るもので、一般職、特別職、これを各職種別並びに各官廳別に、そしてその人数をひとつ知りたい、こういうことであります。  それから今の百二條につきましては現在の公務員、これは國家公務員並びに地方公務員を含んでおりますが、その公務員が公選による公職についているところの職名とその人数を、それぞれ各職種を官廳別にお示しを願いたい。それから今の九十八條に関連して今後起るところの公務員の労務関係雇用関係に関するところの人事委員会のお取扱いを起草される場合の草案、これをお示し願いたい。特にその点労働組合法におきましては、先ほど申し上げたように團体交渉を制限され、團体協約をおとりになる、こういうことになりますと労働組合法の中の主要な部分は抜けますけれドも、しかし労働組合を結成し、あるいはまたそれの解散を命ずる、こういう保護規定というものは、依然として共通に残るものである。その他手続の問題もありますが、こういうものをどういうふうに今後取入れられるかということ、これは基準法部分につきましても、團体協約を基本としたところの基準法の取扱いは、当然この法案においてはかわると思います。われわれは別の見解を持つておりますが、政府におかれてのそういう場合の基準法の取扱い。それから労調法におきましては爭議の調停、そういう場合の取扱い方法、こういうものをどういうふうな規則にお含めになりますか、こういう点は特に必要だと思いますので、明らかにしていただきたいと思います。
  31. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 逐條審議にはいりましてまず政府委員説明を一應聞きまして、これに関連して委員側から質問すべきものは質問をして、各條を徹底的に一々研究して行く方向がよいと思います。これは委員長も御同感であろうと思いますが、その点をほかの方々におはかりくださつて審議して行く、そういう方針でないと私は不徹底なものになるというように考えられますが……。
  32. 角田幸吉

    角田委員長 これより逐條審査に移ることとし、まず最初に第一章の改正の点について政府委員からその説明を求めます。
  33. 島上善五郎

    ○島上委員 私は一般質問の通告をずつと前からしておりますので、一般質問のあることをここではつきり申し上げておいて、大臣がお見えになつたら一般質問をしたいということを申し入れておきます。そうして労働大臣に対する質問がありますから、もし労働大臣が午後からお見えになるならば、午後からでもけつこうですけれども、これを明らかにしておきます。
  34. 角田幸吉

    角田委員長 並行してやりますから、それではどうぞ……。
  35. 島上善五郎

    ○島上委員 この法律は官公廳の労働組合運動に対して大きな制圧、禁止的な制圧を加えるという結果を心配されますので、私はこの機会に、総理がお見えになれば総理に聞きたかつたのでありますが、労働大臣に今の政府の労働組合に対する考え方を聞きたいのです。先般川崎委員から労働政策について質問があつた際に、今研究中であるといつて答えられなかつたのでありますが、私は労働組合に対する考え方を、この機会に労働大臣にお伺いしておきたいと思います。私は戰後の日本の再建にとつて、労働組合の運動というものはきわめて大事な役割を果すものだと考えております。この点はマツカーサー書簡においても、マツカーサー元帥自身がはつきりと認められておりますので、政府においても御承知になつておると思いますが、労働組合の発展ということは、労働組合運動を拘束しない、労働組合運動を自由に発展させるということが必要であると私たち考えております。その点に対して政府はいかようにお考えになつておるか、かつて総理大臣が労働組合運動に対して、不逞の徒という言葉を年頭の挨拶で放送しましたので、一般の労働組合方面では、この内閣は労働組合に対して大きな制圧を加えるのではないか、國家公務員法はその一つでありますが、その他労働関係法規を改惡して、労働組合運動に対して大きな制圧、彈圧を加えるのではないかという見方もいたしておりますので、この点政府の労働組合運動に対する考え方を、はつきりお伺いいたしたいのであります。
  36. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 島上委員の御質問に対してお答え申し上げます。先般川崎委員が労働政策についての総理の所見を質したときに、総理は労働組合運動の関係だけを答弁されまして、そのあと私が、島上さんがいらつしやらないときに、川崎委員に対しまして、一般労働政策について御回答はいたした次第でございますが、なおただいま、労働政策一般でありませんで、労働組合運動に対する政府の方策いかんという御質問でございますから、それについてお答え申し上げます。総理もおつしやいましたが、われわれは健全な労働運動の確立を期したい、こういうつもりを臨んでおる次第であります。從つて極東委員会の示された労働組合の関する十六原則を遵送することは、もとよりでございますし、関係筋の御指導を受けまして、労働組合法、労働関係調整法、労働基準法等は、りつぱにこれを運用して参りたい。一口に申しますと、これは労働組合一般にも関係いたしますが、進歩的な、文化的な労働政策をとつて参りたいと考えております。そこでしからば労働組合に関する態度でございますが、お説の通りでございまして、私は健全なる労働運動が自由に発展して行くということは望ましいことである、また政府といたしましてはそういう方面の釀成と申しますか、育成につきまして、職権の範囲内においては、できるだけ努力すべきであると考えております。ただ吉田さんが労働組合運動者に対して不逞の徒と言われたというようなことを言われましたが、その点は世の中に非常に誤解があるようでございます。労働運動の先覚者である島上さんが誤解されるということはないと私は思つておりますが、この際一言いたしておきます。種種の機会において吉田総理は、あの不逞の輩と言われた言葉についての釈明をいたされておりますが、吉田さんの言われたことと違つて誤傳されておることは、非常に遺憾でございます。と言うのは、去年の一月の声明は、当時の労働運動が非常に破壞的な方面に向つておつたときの指導者のうち、間違つた指導者のごく一部の者を指して言つたにすぎないのでございます。私は労働運動というものは、主として経済鬪爭であるべきものであると思つておりますが、破壞的、政治的鬪爭ばかりを目的として労働爭議を起したり、あるいは労働組合運動をそつちへ向けて行こうとするような、ごく一部の者に対して、ああいう修飾語を使われたものと思つて承知しております。また吉田さんもしばしばいろいろな機会において弁明されておりますから、どうか労働運動の指導者であり、先覚者である島上委員も御了解願いたいと、この際あらためてお願い申し上げる次第であります。でございますから私どもはどこまでも労働運動の民主性、あるいは自主性、責任性の確立という方向へ向つて努力し、善処して参りたいと存じておる次第でございます。
  37. 島上善五郎

    ○島上委員 健全なる労働組合運動という言葉は、この前の同僚委員質問の際の答弁にも承りましたが、一体健全なる労働組合とはどういうものか、健全なる労働組合というものはいかに発展するかという点を考えていただきたいのです。私は健全なる労働組合というものは、法律でもつてしばりつけて拘束することによつては、断じて発展するものではないと思う。労働組合の定義については労働組合法が不十分ながら、労働者が主体となつて自主的に労働條件その他の地位の向上をはかるものであるということを規定しておりますが、このことは健全なる労働組合とは、経済的に対立する関係にある資本家や政府から、直接にも間接にも、何らの支配や影響、拘束を受けない自主的なものでなければならぬ、こういう意味だと思う。今の御答弁にありました民主性、自主性、責任性というのは、そういう拘束を受けない状態のもとに初めて望まれることであつて、これを大きく拘束したのであつては、決して健全なる労働組合は発展しないと考えておるのであります。その点に対する御見解を承りたいと思います。
  38. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 お答えいたします。私も島上委員の御説と全然同感でございます。法律で押えつけるようなことは、絶対よくないのでございます。しかし法律が無視されるという場合には、いわゆる法を逸脱した非合法行動になるというわけでございますから、非合法行動であるというようなことは、あまり看過できないということについては、これは御同感くださると思つております。どこまでも合法な範囲内において、健全なる労働運動が行われている場合は、これを助成するというような立場政府は臨むべきである。それから島上さんのおつしやつた通り、使用者側が労働組合の行動なり、あるいは育成なりに関與すべきものでないということも私は全然同感でございます。
  39. 島上善五郎

    ○島上委員 そうしますと、ただいまの御答弁は、民間労働者のみならず、官公廳の労働組合に対しても当然当てはまるべきものである。こう考えておるのでありますが、そう考えてよろしいのですか。
  40. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 お答え申し上げます。官公廳の労働組合というものは、七月三十日以後は御承知のような形態になつたのでございまして、組合活動が非常な制約を受けております。労働組合と言い得るかどうかというような疑問を持つ人さえあるわけでございます。しかしながら労働運動は團結権はある。また制約された範囲における團体交渉権はある。ただ團体交渉といえば、必ず労働協約を締結することを包含されていないと、意義が非常に薄いのでございますが、労働協約を締結する権限のない範囲内における團体交渉権はある。しかしながら爭議権はない。そこで相当性質がかわつてつて來ております。私、本会議等においてもしばしば申し上げましたが、マツカーサー將軍の書簡等の採用をあまりすることは、実はわれわれの責任において出した法案でございますから、妥当を欠くというようなふうに私も考えております。しかしあの書簡の中に示されました内容については、非常に考え直さなくてはならぬ点が多々あると思つております。それは一般の労働関係は労資対等の関係に立つものである。しかしながら公務員の公務の対象は、國民全体の奉仕者という立場に立つのであるから、法律関係なりあるいは労働関係が、性質が違うということを言われておりますが、やや違つたものになつているということをどうか御了解願いたいと存じます。
  41. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいまの御答弁を伺つておりますと、マツカーサー書簡に基いて発せられた政令が、官公廳の労働組合運動そのものを、労働組合であるかないか疑わしいようにしておるというふうに聞いたのですが、私はマツカーサー元帥書簡では決して労働組合そのものの原則を否定していないと、こう解釈しておるのです。從つて團体交渉権の問題等もそういう見地から私たち考えているのですが、民間労働者が労働組合を組織し、活動する自由が與えられていると同樣の原則が、官公廳にも適用さるべきものだ、われわれはこう考えておるのですが、その点をもう少し明確にしていただきたい。
  42. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 お答え申し上げます。爭議権なりあるいは團体交渉権は、相当制約されておる。むしろ本質的に制約を受くべきものである。こういうような趣旨をよく考えて見ますときに、やはり労働三法が完全に適用された意味の労働組合と、それから労働三法が完全に適用されない範囲の職員組合と申しますか、法人たる團体というものとは、性質が相当かわつて來ている。こういうふうに考える次第でございます。
  43. 島上善五郎

    ○島上委員 そうしますと、あなたの御答弁から受ける感じでは、九十八條の「職員は、組合その他の團体を結成し、若しくは結成せず」云々というこの言葉が、普通われわれが解釈しておるところの労働組合というものと本質的に同一であるか違うかという点が不明確になつて來るのであります。私たちはマツカーサーの書簡のどこから見ましても、この組合その他の團体に云云ということは、当然われわれが普通理解しておるところの労働組合であると解釈しておるのですが、この点労働組合と本質的に違う内容を持つものであるかどうかということをお伺いいたしたい。
  44. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 本質的には同じだと思いますが、非常に俗性、その他性質において変化を來しておると考えております。
  45. 島上善五郎

    ○島上委員 九十八條によるいわゆる團体交渉権の点が不明確なのでありますが、私たちは團体交渉権のない労働組合というものは考えることができない。團体交渉権がないものは、すでに労働組合ではないと私たち考えておる。それからその團体交渉によつて成立した事項の履行が保障されないところの團体交渉なんというものは、およそ意味のないものだと思う。從つて團体交渉によつて成立した事項の履行が保障されるということは、当然労働協約が團体交渉あとにあるものだ。團体交渉は労働協約を結ぶことを前提としておるものである。こういうことでなければ意味がないとわれわれは考えておるのですが、その点労働大臣の考えを承りたい。
  46. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 將軍の書簡等を援用することはどうも憚りがあるわけでございますが、しかし團体交渉権は明確なる、そして変更しがたき制限を受ける。こういうふうに書いてある次第でありまして、そこでわれわれが明確なしかして変更しがたき制限とは何ぞやと言いますと、結局これは……。速記を止めていただきます。
  47. 角田幸吉

    角田委員長 速記を止めて……。     〔速記中止〕
  48. 角田幸吉

    角田委員長 速記を始めてください。
  49. 島上善五郎

    ○島上委員 マツカーサーの書簡政府の方で解釈すれば、あるいはそうなるかもしれませんが、それではマツカーサー書簡の字句にかかわらないで、労働大臣としてのお考えを承りたい。團体交渉権のない労働組合というものは、一体労働組合であるかどうか。それからその團体交渉の結果成立した事項を保障されない團体交渉というものは、一体存在し得るかどうかということを、マツカーサー元帥書簡にかかわりなく、労働大臣のお考えを承りたい。
  50. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 どうもたいへんむずかしい御質問で私も弱つてしまつたのですが、これは普通の労働組合論としてひとつ申し上げさしていただきます。公務員たる労働組合でなしに、一般に労働組合論といたしましては、私ども二十年も前から労働協約というものを盛んに提唱しておつた次第でございまして、当時社会局は桃色であるというようなことも言われたそうでありますが、労働協約を締結し得ない労働組合ということは、およそセンスがないというふうに考えております。しかしながらこの公務員の結成するところの労働組合は、團体交渉が客観的のいろいろな情勢から考えましても、また從來の労働運動の経緯から考えましても、それから本質論といたしましても——本質論と申しますのは、公務員と政府との特別権力服從関係というわけでございます。そういう関係から見ましても、制約を受けた方がよろしいという結論も、政府といたしましても持つたために、かかる法案を提案した次第でございます。
  51. 玉井祐吉

    玉井委員 実は先般來この問題で農地委員会の職員組合の諸君が來ておるわけです。それでぜひお伺いしておきたい点は、事情を申し上げますとこうなつております。最近この農地委員会の專任書記の諸君の給與ベースというものは、たいてい手取の時期と見合せますと、三、四箇月ずついつも遅れております。二・八箇月分の例の補給金が本年の四月になつて初めて入手できた。それから七、八、九の給與は、一括して十月にようやく來ておる、こういうような形になつておりまして、いつも給與が遅れております。そのために実はこの職員の諸君が非常に仕事ができない。また生活に追われまして困つておるという事情で、今後においてもこういうようなことが起つて來ますと、おそらく事実上は仕事ができなくなるとような事態が起るかと思いますが、その場合、御承知のように、これらの人は先般の御見解によりますと、例の二百一号の政令で縛られておる。地方公務員法ができるまでは地方公務員じやないのだ、また國家公務員でもないという立場で、一應二百一号で縛られるというような御見解でありましたが、そういうような事態が起つた場合に、俸給が來なくてどうにも仕事ができなくなるだろうと思いますが、その際それをいわゆる職場放棄であるとかあるいはストライキだと、かように御認定になるかどうかという点を、ぜひ労働大臣にお伺いしておきたいと思います。
  52. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 今農地委員会の書記その他の職員についてはまだ研究中であります。しかし玉井さんのおつしやる通り経過的にはポ政例に支配される。こういうことになつておりますが、國家公務員法、地方公務員法ができましても、ただちには適用しにくいといつたような條文相当あると思いまするから、ひとつ善処してまいりたい。こう存じております。
  53. 玉井祐吉

    玉井委員 私はその善処とおつしやる点についてぜひお伺いしたいのですが、給與は事実上來なくて仕事ができない、できなくなつたときにそれを職場放棄だとか、あるいはストライキだというふうにお考えになるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
  54. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 給與が來ないから仕事ができない、ちよつと具体的の事例を実はお聞きしないとわかりませんが、抽象的におつしやつたことについてお答え申し上げますれば、事実給與が來ないために、ご飯が食べられない、そこで餓死の状態に陷るというようなことで、仕事ができないということまで職場放棄ということはないと思つております。これはやはり刑法総則の適用の犯罪には、犯罪の動機というものがある。犯意の認識というものがなくてはいけないから、ひもじいことの認識や、餓死の認識があつて、犯罪を犯される。そういう場合の職場放棄は犯罪としての職場放棄であるということにはならないと思つております。
  55. 玉井祐吉

    玉井委員 非常にもつともなお答えでしたが、さらにもう一つお伺いしたいのは、これらの職員に人たちの俸給に関する予算が、具体的に組まれるかどうか、これは追加予算の問題は多少疑問がありますが、きまらないで事実上仕事ができないような状態になつてしまう。しかも農地委員会の仕事の方はしなければならない。こういうような状態におかれている場合、実際上できないならば、これはやはり職場放棄というような見方をするのが穏当なのか、それとも俸給も來ないし、予算も組まれていないのであるから、むしろ仕事をするなという意味なのだから、しないのが当り前だと、こういうふうに考えるべきか、今申し上げたような形で御回答願いたい。
  56. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 実は私はあまり存じませんで、あなたの欲せられるような回答が與えられませんで申訳ありませんが、農林大臣とよく打合せまして、俸給をやらないでおいて仕事をやれというような、けりなことをしないように、予算措置等も講じさせますように努力いたします。
  57. 玉井祐吉

    玉井委員 もう一つお伺いいたします。それは実は農林大臣にお伺いしようと思つておつたのですが、事実上はこういうことになつております。農地委員会の書記の諸君が、町村に平均三人ずつ專任がおります。この三人の人人、その中の一人——全國で五万おりますが、その三分の一、約一万二千くらいの人々を、一應事実上は首を切ることになつておりますが、首を切りまして札幌に移轉することになつたわけです。ところが農地委員会は御承知のように、全町村に一つ一つ必ずありますが、作物報告書というところになりますと、ところによつては十箇町村に一つくらい、全國平均五箇町村に一つくらいということになると思います。そのような場合に一應首を切つて、そしてそれを作物報告所の方にまわしてやる、仕事を與えてやる、かような手続はとられておるのですが、実際上は今申し上げたように地域の関係がありまして、ほとんど勤務は不可能になる、一應首は切つてつて勤めるところはきめてやつたのだ、こうおつしやるのですが、実際上はとんでもない遠隔の地にやらされておるために勤められない、そのために具体的には首切りと同じことになる。この点を労働大臣としてはそうでない、就職を斡旋してやつたのだ、勝手に行かないというようにお考えになるか、実質的に首切りと同じようにお考えになるか、この点をお伺いしたい、
  58. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 先ほども申し上げましたように、具体問題についてまだ研究しておりませんし、よく研究いたしまして、これこそほんとうに善処いたしたいと思います。
  59. 島上善五郎

    ○島上委員 労働大臣にもう二、三の点についてお伺いしたいのですが、先ほどの労働大臣の答弁の中、労働組合運動の一部における行過ぎ云々ということに関連して、政治闘爭と経済闘爭、労働組合が本來経済闘爭をやるべきものを、はき違えて政治闘爭に走つておる。そういうことが不当であり、不逞であるというふうに、私感じたのでありますが、一体今の労働組合運動が、政治的な問題をまつたく切り離して、労働組合本來の労働者の経済的な地位、もしくは社会的な地位の向上を期し得るものかどうかというふうに考えると、決してそうではないと思う。賃金がいくら上つても、勤労所得税が三分の一も取られたというような状態ではどうにもなりませんので、労働組合が自分の賃金の問題を扱うと同時に勤労所得税の問題を扱う、あるいは物價を改訂しないでくれということはこれは当然のことであつて、決して行き過ぎでも何でもないと思います。そういう意味の政治活動、もしくは政治闘爭をも行き過ぎであり、不穏であり、不当であり、不逞であるとお考えになつておるかどうか、われわれ労働組合の運動をするものにとつては、重大な問題でありますから、はつきりしていただきたい。
  60. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 要するに破壊を目的とした政治闘爭に專念するというようなことが、私は行き過ぎたこと、こう思う次第でございまして、極東委員会の十六原則にも、政治活動は許されております。あの労働組合法といたしましても、主として政治運動を目的とするものは労働組合ではないけれども、主としてでなければ、政治運動はなして一向さしつかえない、また政治運動が許されない場合に、労働組合の目的を達成しがたいという場合も多々あるであろうということを、十分承知しておるつもりであります。
  61. 島上善五郎

    ○島上委員 今度は違うことですが、マツカーサーの書簡が発せられた当時と今とは、すでに三月以上も時間的な経過をいたしておりますが、その間に世界の世論、國内の世論の動きというものが、相当進んでおるという事実は、政府においてもお認めだと思いますが、アメリカにおけるタフト・ハートレー法と撤廃というような動き、それから対日理事会における英國代表、中國代表、ソ連代表等の意見等を考えてみまするに、今の政府が出している國家公務員法は、すでにそういう世論に反しているとわれわれは考えられるのであります。またきようの新聞で傳えられておるようなアメリカの、AFL、労働総同盟大会における日本の労働政策に対する意見ども、明らかにそうだと私は理解しておる。それからせんだつて以來、二日間にわたつて開かれた公務員法に関する公聽会においても、ほんの一、二名の資本家の代表が、消極的に賛意を表したのみで、他の公述人の意見はすべて内容において多少の相違、角度において多少の違いはありましたが、すべて政府原案に対して反対であるという事実は、政府においても十分承知しておられると思いますが、こういうような世論の推移と申しますか、世論の変化、國際的な情勢の変化というものがあるにもかかわらず、そういう國際的な、あるいは國内的な世論に背いて、少数の資本家の利益と意見を代表して、あくまでもこの公務員法の通過を強行するというお考えであるかどうか伺いたい。
  62. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 お答え申し上げます。世界の動向云々ということについては私どもあまりよく存じませんが、たぶんアメリカの政治情勢の変化を指して言われたと思います。私はアメリカの大統領選挙のときに、主として爭われた問題は、タフト・ハートレー・アクト、労働問題に関する限りはあれだと思つております。御承知のごとく日本労働三法は、クローズド・ジヨツプなんかはできることになつております。タフト・ハートレー・アクトはクローズド・シヨツプは禁止しておりますが、日本ではできることになつております。それから公益事業についての爭議は、政府は未前に禁止することはもちろんできません。また事後においても禁止することも日本ではできません。タフト・ハートレー・アクトにおいては、できることになつております。そこで日本に関する限り一般労働問題については、むしろほとんどリベラルな——公益事業についてある程度の爭議を禁止するというような権利政府に與えよという世論は、世界的にある程度あるのじやないかと思つておりますが、日本ではどつちかと申しますと、今のところ野放しでありまして、非常に困るという声さえ聞くわけであります。そこで労働三法に対しましては、吉田内閣は惡口を言われまして、保守反動なんということを言われましたが、いわゆる労働三法並びに職業安定法、社会的立法、労働立法は、非常に進歩的に制定されている、しかも当時の吉田内閣のときに制定されているという点は、島上さんも御同感くださると思つております。そこで私はタ、ハ法に関する限りにおいては、日本の労働立法については問題はないと思つております。そこで今度は國家公務員あるいはその他の公務員と使用者、すなわち國家あるいは國民、あるいは政府との関係でございますが、これは世界各國それぞれ違いますけれども、公務員が爭議権のない國も相当あるのでございまして、アメリカでもたしか、公務員の爭議権は相当制約されていると思つております。これは別にタフト・ハートレー・アクトとは関係がないわけでございまして、私はマ書簡に示された御趣旨は、政府情勢のいかんにかかわらず、本質的にこうあるべきものであるというような心持から政府が出したんだということを、御了解願いたいと思います。
  63. 島上善五郎

    ○島上委員 政府は官紀粛正ということを声を大にして叫んでおりますが、私はほんとうに官紀粛正をやろうとするならば、政府職員の協力が必要だと思う。その政府職員の協力も、個人個人のばらばらな状態における協力ではなしに、政府職員の労働組合の協力というものが、非常に大きな役割を果すと思う。官紀は私の見るところでは上部の方でもつて紊乱しておつて、下部の方は大体皆まじめに働いている。多少の例外もあるかもしれませんが、大体まじめに働いていると思う。そしてそういう官紀については、その内部にいる人が一番よく知つているはずだと思う。そういう意味において政府職員の労働組合の協力をまたずしては、官紀粛正は掛声に終つてしまうという危險を私は思う。ですからこの官紀粛正に関して政府は、政府職員の労働組合の協力を求めるというお考えがあるかどうか。もし協力を求めるというお考えがあるとしますならば、設置されるであろう——あるいは設置したかもしれませんが——設置されるであろうのころの官紀粛正に関する委員会等と機関に、いかなる形で政府職員の労働組合との協力関係を具現するかということを、お伺いいたします。
  64. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 これは委員長からお答えした方がいいようですが、今度の労働組合に対しまして、政府が官紀粛正について協力を求めるかどうかというお尋ねでありますが、私は全公務員が一致團結いたしまして、政府とともに綱紀の維持に努むべきものであるい思つております。労働組合は御承知の通り労働條件の維持改善について活動するということが目的でございます。もつともその労働條件の中に勤務條件があることはもとよりでありますが、やはり規律関係は、使用者と言いますか——使用者は國民でございますが、その使用者を代表した政府が、協力を得つつやらなければならぬことはもとよりでありますが、経済團体である労働組合の協力を得るかどうかについては、私は明言しがたいと思つております。それから官紀粛正委員会將來設置された場合に、労働組合とどういうふうにマツチして活動して行くかという御質問ですが、官紀粛正委員会については、人事院というものが非常に充実整備される、その使命の一つが、やはり官紀の粛正にある次第でありまして、官紀粛正委員が設置されるかどうか関係筋と交渉中であります。もちろん設置いたしたいという意向では進んでおりますが、設置されてから後の労働組合との協力関係のことについては、今のところお答えはしがたいことになりますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  65. 玉井祐吉

    玉井委員 労働大臣と人事委員長にちよつとお尋ねいたしますが、先ほど実質上の首切りが行われるということを申し上げたのですが、そのときに退職手当としてもらう金が三千三百円にすぎない。これはベースの一箇月分だけなんです。そこで職員組合の方では退職手当金としてせめて六箇月分はいただきたいと申しておるのでありますが、この点に対して一体労働三法の点から見て三千三百円は多すぎるとお思いになるか、あるいは少なすぎると思われるか、あるいはこれで妥当であると思われるかお伺いしたいと思います。  それからもう一つ人事委員長にお伺いしたいのは、農地委員会の專任書記の超過勤務の問題であります。実はこの農地委員会の專任書記の超過勤務は非常に多く、徹夜勤務が一箇月のうち十日もある状態であります。特に農地の開放を何日までにやれという要求が地方軍政部から來まして、実質上非常に忙しい。ところがそれに対して超過勤務手当はわずか一箇月に六十八円にすぎない。そういうわけで非常に不公平があるように感ずるのですが、この点についての労働大臣並びに人事委員長の御見解として、今後どういうようにしようというお見通しであるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  66. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 今の玉井さんの御質問は、実は人事委員会の事務局長にも相談してみましたが、私それについてはよくわかりませんので、よく研究してお答えいたしたいと思います。ただお説のような金が出ていることは私承知しておりまするが、こういう金はやはりCPI、CPSの関係で、消費者價格のスライデイング・スケールで行くべきものである。絶対額が固定することはよろしくないということはお答えできると思います。
  67. 淺井清

    淺井政委員 これは地方公務員ということになつておりますので、私どもの方からお答え申し上げることができるかどうかわからぬのでございまするけれども、そのようなことは別にいたしまして、そういう点について私ともが非常に善処したいという氣持を持つていることは確かでございます。そういう機会が得られますれば、大いに盡力いたしたいと思つております。
  68. 玉井祐吉

    玉井委員 三千三百円というのは今度の追加予算に組まれている数字なのでありまして、農林省の方から出ているはずでありますが、この点について職員組合の諸君も、私も、常識的に見て三千三百円ではきわめて少なすぎると考えております。この点は労働大臣の立場において、ぜひとも御主張を願いたいという点が一つ。それから超過勤務の六十八円について人事委員長からお答えはなかつたのですが、妥当だとお思いになるか、少なすぎるとお思いになるか。あるいはまた六十八円でもやりすぎるとお思いになりますか。この三つの点についてお答え願いたいと思います。
  69. 淺井清

    淺井政委員 それは私は少なすぎると思います。ただ私が主務官廳でないために、このお答えがどういう効力を持つかは知りませんが、それは明白だと思います。
  70. 玉井祐吉

    玉井委員 それでは特に退職手当並びに超過勤務の関係につきまして、労働大臣並びに人事委員長にこの点をお願いいたしたいと思いますので、おとりはからいを願いたいと思います。それから先ほどあとで返事をするとおつしやいました、例の善処したいというように御回答のあつた事実上の首切りになるかならないか、もしなるとすれば、どのような方法をとると考えられるかという点。それから最初にお伺いしたところの、実際上俸給がなくてやれない、やれないならば仕事は休まなければならない、ほかに仕事を見つけるということがあるいは起るかもしれませんが、その際それを職場放棄である、あるいはストライキであるというふうにお考えになるかどうか。この二点をぜひとも緊急に御返事を願いたいと思います。
  71. 前田種男

    前田(種)委員 午後の再開後に私は緊急質問をしますので、総理大臣、厚生大臣の確実なる出席を要求いたします。そうして再開までにそういうおとりはからいを願いたいと思います。
  72. 角田幸吉

    角田委員長 これにて休憩し午後二時より再開いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後三時五十二分開議
  73. 角田幸吉

    角田委員長 休憩前に引続き開会いたします。  國家公務員法改正案についてこれより逐條審査に移ることにし、まず最初に第一章の改正の点について、政府委員から説明を求めます。
  74. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まず改正要点について、第一章総則について御説明申上げたいと思います。第一章総則は、第一條及び第二條であります。  まず第一條について申し上げます。第一條は、國家公務員法の目的及び効力を規定いたすことになつております。目的に関しましては、現行法にございます通り、まつたく國民に対して、公務の民主的能率的の運営を保障するのが目的であることはかわりありません。ただ第一條の第一項の中でかわりました点につきまして一言申し上げておきますが、それは現行法のもとにおきましては、この法律でいう國家公務員には、國会議員を含まないということをうたつておるわけであります。その趣旨といたしますところは、國会議員はもとより國家公務員であり、國家公務員の中でも、最も重要な職務を有する者であることはいうまでもないことでありますが、現行法のもとにおきまして、國家公務員の中から特に國会議員を取除く措置を講じました趣旨は二つあろうかと存じます。第一はこの國家公務員法というものは、今申し上げた目的を達成するために、國家公務員に対して科学的、合理的な人事行政につきましての各般の基準を定める。たとえて申しますならば、職階制であるとか、試驗であるとか、給與であるとか、そういうものにつきましての合理的に基準を定めることを目的としておるのでございますが、これらの基準國会議員に適用すべからざることは言うまでもないことであります。それが第一点であります。第二点におきましては、これは御説明するまでもないことでございますが、國会議員は、國権最高機関としての國会、すなわち立法部を構成する國家公務員といたしまして、主として行政部の國家公務員を対象といたしますこの法律の対象にはならないのじやないか、こういうふうな二つの考えが重なりまして、第一條の國家公務員の中から、あらかじめ國会議員を含まない措置を講じたことかと存じておるのであります。その趣旨は今でももちろんその通りでございますが、さりながら國会議員をことさらにこの國家公務員の基本的な法律の中から取除くということもいかがであろうか。むしろ御承知の通りに國家公務員といたしましては、特別職と一般職とに分類されておりまして、特別職には國家公務員法は原則として適用されていない。しかもむしろ今までの特別職は種々雜多でありまして、あるいは單純なる労務者があるかと思いますと、國家の政策の立案に携わる國務大臣その他の政務官的な色彩の者が多いわけであります。このたびこの特別職の範囲を著しく制限いたしまして、從來特別職というものは、どういう標準によつて、どういう原理によつてこれを選んでおるかということの説明が困難な程度であつたのでありますが、この改正法案によりますと、大体においてこの特別職というものは、政策の立案企画に携わる者、いわゆる政務官的な、あるいはポリシイー・メーキングのような地位にある職員というような考え方になつて來ておるわけであります。そういたしますならば、國家公務員の特別職の中に國会議員を含めてもさほどおかしくはない。むしろ先ほど申し上げた事情もあることながら、やはり國家公務員という中に、國会議員も入つて方が正しい行き方ではあるまいかという考え方で、この第一條第一項の中から、國家公務員には國会議員を含まないという條項を削除した次第であります。  次に第一條第二項「この法律は、もつぱら日本憲法第七十三條にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。」これは御承知のごとく、まだ新憲法におきましては官吏という観念を捨て切れないで、これを残しておる次第なのであります。しかるにこの憲法制定されましたあと、約一年足らずにして御定せられました國家公務員法におきましては、もうすでに官吏という表現を取除いておるわけであります。その間に時間的ずれと申しますか、時間的ギヤツプはあるのでありますが、あくまでもこの國家公務員法は、憲法に根拠を求めますならば、憲法第七十三條に書いてあります、官吏に関する事務を掌理するための、基準となる法律である。こういう意味でこの第二項を入れた次第であります。第三項以下はこの法律の効力を規定したものでございまして、殊に第三項はこの法律遵守の義務、いわば訓示的な規定でございますが、そういう遵守の義務を規定する。それから第四項、第五項におきましては大体法律の適用の原則を説明的に書いたものというようにお考えいただきたいと思うのであります。  それから第二條におきましては先ほど申し上げました通り、特別職の範囲を著しく制限したわけであります。その趣意といたしますところは、科学的、合理的な人事行政の対象となる國家公務員範囲というものは、できるだけこれを拡げる。しかしてそれぞれ特殊性のあります職務の責任、あるいは職務内容について特殊性があります場合においては、これを國家公務員法の内部の規定によつて、それぞれ適当にこれをはずして行こうというのがその考え方であります。從いまして特別職として残りましたものは、いわゆる分類職と申しますか、職階制、試驗その他を適用するのにふさわしくない者、その内容を申しますならば、政務官的な色彩の強い者がこれに残るということになるわけであります。しばしばお尋ねをこうむるわけでありますが、一体國家公務員というものは、しからばどの範囲の者を言うのか、その範囲がわからぬじやないか。これを積極的に定義すべきじやないかということを承るのであります。これはごもつともなことでありまして、國家公務員とは何を言うかということを積極的に定義すべきものとも思うのでありますが、官吏と違いまして、國家公務員を抽象的に定義いたしましたところで、さらにそれの解釈についていろいろ問題が起る可能性があるわけなのであります。現在のところ國家公務員とは何を言うかと申しますと、國家の公務に公の根拠に基いて從事し、國家から給與を受けるという程度のことしか言えないかと思うのであります。しからばせつかく定義をいたしましても、それについていろいろ解釈上の疑義が出ようかと思いますので、この法律におきましてはその定義を積極的に書くことはやめまして、第四項の後段におきまして、むしろ國家公務員というものは、はたしてあるポジシヨン、ある職位が國家公務員の職に属するのか、あるいは國家公務員の職に属するとしても、それが特別職に属するのか、一般職に属するのかということを、人事院が具体的に決定するように規定しておるわけでございます。なお第二條におきましては國家公務員と申しますならば、それは一般職、特別職以外のものはあり得ないわけでありますから、一般職または特別職以外の勤務者を置きまして、それに対して俸給給料を支拂うことを禁じておるわけであります。但し外國人に関します場合におきましては、これはいろいろ國籍法その他と関連をいたしまして問題があろうかと存じます。すなわち外國人國家公務員就任能力いかんの問題があるわけであります。これはいろいろ複雜なる問題があるのでありますが、簡單に申し上げますならば、わが國の法制におきまして、積極的に外國人がわが國の國家公務員となることを絶対に禁止しているものでもないと思います。しかし現在のところ國家権力に直接携わるような地位に外國人がつくことは、法令の解釈上これは不可である。かように考えておるのでありますが、もつぱら技術的な面、あるいは教育というような面におきまして、外國人が教育あるいは技術の面におきまして、國家公務員となることは可能である、こう存じております。しかしそれらの問題は、いずれにせよ外國人が個人的な勤務の契約をした場合におきまして、それが國家公務員であるかないかは別問題といたしまして、そういうような勤務の契約のある場合におきまして、これに給料を支拂うというようなことはあり得ることでありまするから、その場合におきましては、それが國家公務員として、すなわち一般職または特別職の範囲に入らないものと考えられる場合におきましても、その前段の禁止規定を解除しておる、こういうように御了承していただきたいと存ずる次第であります。第一條、第二條につきまして、以上御説明申し上げまして御質問にお答えいたします。
  75. 玉井祐吉

    玉井委員 今の御説明に対してちよつとお伺いしたいのですが、お話の中に國会議員は立法府に属するのでから、これを公務員として入れない、かようなお話があつたのとともに、それから一應入れておいて特別職としてはずした、こういう御意見であつた。私はむしろそこの考え方がおかしいのではないかと思うわけです。それは、人事院自体がこの法律の構成上から考えますると、どこに属しておるかといいますと、やはり行政府に所属しておる、こう考えるわけです。そこで國家公務員の一員として國会議員を認めておくけれども、ただそれをはずしておくのだというような考え方は間違いじやないかと思う。逆に三権分立の形から見まして、少くとも行政府の指揮を受ける立法府の人がいるような感じを與えること自体に、間違いを起す恐れがある、特にそれと関連しまして、同樣な意味で、國会に勤務しておる人たち、これらの人たちは行政府に奉仕しておる人たちではありません、從つて政府人事院からの指揮を受けて、人事院からの監督を受けて、能率を認められて、そうしていろいろな地位を変更され、あるいはまた不幸にして行政府と立法府の対立が起つたような場合に、行政部のいうことを聞かないからというような理由で、この立法府に対する制肘が、國会議員には一應ないにしても、國会に奉仕する人々に圧力がかかつて來ることがあるとすれば、三権分立の建前からいつて、非常におもしろくないことが生れて來ると考えるのであります。この点について私はむしろ反対の意見を持つておりますが、政府の方としてはどのような見解でおられるのか、この点を承りたい。
  76. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 ただいま玉井議員の御意見まつたくごもつともでありまして、先ほど私がこの現行法の建前を御説明したときに申し上げたのと、まつたくその趣旨は同じである、こう拜聽いたすのであります。たとえて申しますと、この國家公務員法というものは、國家公務員法だから、これが規定するものはすべて國家公務員範囲内のものである、こういうようなお考えをなさる方があろうかと思うのでありまするが、法律と申しまするものは、國家公務員法と申しましても、必ずしも國家公務員ばかりでなく、國家公務員以外の方々もやはり必要な範囲内においてはこれをかぶるわけであります。一般國民としてもこの法律をかぶるわけでありまして、もちろん國会議員は立法部を構成し、裁判官は司法部を構成するわけでありますが、法律そのものの建前から申しまするならば、特別職に規定したからといつて、それが立法部、司法部の区別を乱すというようなことは、必ずしも考える必要はない、こういうような考えになつておるわけであります。また國会職員をこのたび一般職にいたしましたのも、まつたくそういう趣旨でありまして、この法律行政部が立法部に干渉するというのではなしに、國家公務員に対しまして、合理的な、科学的な人事行政についての各般の基準を定める。こういう趣旨で國会職員も一般職に入れたわけであります。と申しますのは、一般職員に対しまして、いろいろ科学的な基準を実施することにつきましては、これを実施するための、きわめて複雜、高度な機関を必要とする。たとえば人事院がこれに当るわけであります。國会職員は千人前後でありますが、これら職員に対しまして、一々一般職員に対すると同じような人事行政基準を実施するために、また國会に特別な機関を設けることは煩雜にたえない。むしろ一般職員として、同じレベルに置いて、同じ科学的、合理的な基準を実施するためには、一般職に入れて置いた方がよかろう、こういうような考え方であります。もちろん國会職員でありますとか、裁判所の職員に関しましては、その特殊性を認めるわけでありまして、附則におきまして、そういうような合理的な基準がてきましたならば、これはまた特別職に入れたがよかろうという考えで、新しい附則の十一條におきましては、二十六年の十二月三十一日まで一般職扱いをするのだ。そういう合理的、科学的基準ができた後は、それぞれの実情に應じて、その特殊性を尊重して、これを特別職に入れたい、こういうようなことになつております。
  77. 玉井祐吉

    玉井委員 今の御説明の中で、附則の第十一條を引かれたのですが、その十一條は二十六年十二月三十一日までとなつてつて、なるほどしばらくの間とはおつしやるでありましようが、先ほど申しましたように、両二、三年の間は、これは非常に重視しなければならぬと考えておる。そこで今申し上げましたように、單に一般職に入れて置いてという便宜上のお話でなくて、あくまでも憲法改正して、三権分立の思想をはつきり定めた國会ですから、むしろこの際そういう原則を破ることは誤りで、多少の経費の問題じやないと思う。國会の中でこれだけの設備をしても、これは大してかわらないと思う。さらに司法官関係においても同樣であります。司法官関係に対して、また立法部の関係において、行政機構としての人事院が、これに相当の発言権を持ち、ことに俸給の問題、昇進の問題、あるいはまた首を切られる問題が、行政部において握られたということになると、立法部と司法部は完全に隷属するかつこうが生れてくる。ただ單に経費の問題でないと思う。もしも経費の点が御心配であるなら、日本國民として今後りつぱな政治が行われるためには、それくらい出さなければならぬと思う。経費の点だけで含めるというのなら、それは予算にでも何にでもはかつて生かして行かなければならぬ。そうでなく便宜上というのなら番、当然これはやめていただかなければならぬと私は思う。その意味で附則の十一條、並びに十三條も関係するのですが、これらの問題に対しても、政府の方では十分に御研究願いたいし、われわれもそういう意味審議して行きたいと考えておるのですが、その点もう一つ答弁願いたいと思います。
  78. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 玉井委員はただいま経費の点とおつしやいましたが、われわれは経費の問題を考えているわけではないのであります。結局裁判所の職員あるいは國会職員のその特殊性は尊重するのでありますが、他の一般職員が合理的な、科学的な人事行政基準を実施される。いわば合理的なメリツト・システムの基準を実施する場合におきまして、國会職員あるいは裁判所職員——もちろんその中で特別職になつておられる者は別なのでありますが、一般職に属する方々だけに、そういうようなメリツト・システムを——一言にして申せばメリツト・システムと便宜上申し上げていいかと思うのでありますが、このメリツト・システムを実施することが遅れる、それが不完全に保くならば、それはむしろ國家にとつて不幸であるまいか。そういうことをしても、こういう科学的な、合理的な基準を実施するということは、何も三権分立に抵触するものではあるまいと考えて、玉井委員から首切りの問題というようなお話もございましたが、任命権はそれぞれ各任命権が持つているわけでございまして、人事院が直接これにタツチするわけではございません。また給與でありますとか、職務の分類に関しましては、これはおのおの職務内容の特殊性に基きまして、それぞれこれは尊重されるわけでございますので、先ほど便宜主義と申しましたが、別にある程度まで合理的な基礎があることと存じております。
  79. 玉井祐吉

    玉井委員 もう一点だけお伺いいたします。私は今も言われたように、行政部の公務員だけにメリツト・システムを使つて、合理的なやり方をしてほかのところにはするなというのではない。ほかのところにもするならば、やる以上は公平上もちろんしなければならぬと思う。しかしながらやるにしても、行政部に属している人事院が、立法部や司法部の方にもこの権限を及ぼして行く形が非常によろしくない。先ほども一般質問の中で申し上げましたように、今の日本のこの形をあくまでも独立性立場に置いて維持して行くためには、やはりそれだけの用意がいるのではないかということを言つているわけであります。それでそういうような意味合いで、おつしやるような人事院において、やはり國会の職員、裁判所の職員の人々に対して一つの力が及んで行くことになると、行政権が割込んだ形になるからおもしろくないではないか。こういうことを言つているわけであります。決してお答えになつたように、逆の方の意味で言つているわけではないのであります。その点は政府の方においても特に附則第十三條の前段の中ほどに、「別に法律又は人事院規則を以て、これを規定することができる」と書いてある。そこで法律で必ず規定するとでもあれば了解できるのであります。しかも先ほど大分問題になりました人事院規則に委任されるならば、ますます危險千万であると考えておる。特別な扱いをするかしないか、人事院規則を見ない以上は、それもはつきりわからない。法律をもつて出すとすればこれはわかりますが、これは人事院規則でやる、特別に扱うというのでは、三権分立が司法権のもとに蹂躪されることになりますから、非常に危險ではないか、こういうことを伺つておるわけであります。
  80. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まつたく御議論といたしましては、仰せの通りごもつともに存ずるのでありますが、この附則の十三條におきまして、法律または人事院規則をもつて、その特例を設けることになつておりますが、必要な場合におきまして——ことにそれぞれ一般職につきまして、法律をもつて規定することを必要とするようなもの、たとえば給與でございます。こういうようなものは、もちろん同じように法律をもつて規定することになるだろうと思います。一般職の職員に対して、一定の職階級が法律をもつて規定されます。それに対して裁判所職員でありますとか、國会職員につきまして、その職務の特殊性に基きまして、特別な号俸、俸給表が必要であるならば、それはその同じ法律に基いて規定される。こういうことに実際問題としてなるわけであります。そういうようにいたしまして、この科学的、合理的なメリツト・システムの基準を、一般的なレベルに置いて実施しよう。こういうわけでありまして、これは法律をもつて規定するものでありますし、まつたくこれと三権分立の趣旨とは、相かかわるところがないと私どもは解釈しておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  81. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 この点についてはすでに高橋委員質問されたので、大体了承しておるのでありますが、第一條の職員について、適用すべき各般の根本基準という中には、給與が含まれているというふうに了解しておるのでありますが、そのほかに各般の根本的な基準というものを明示すれば、どういうものでありますか。
  82. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 これは具体的に申しまするならば、第三章の官職の基準以下の規定と申しまするならば、試驗、任免、服務、給與、分限、保障、すべてそういうものを含んでおるつもりでございます。
  83. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 そういたしますと、この法律一つの目的は、給與の問題についても、やはりその基準を確立するということにあると思うのです。そうするとわれわれがかねがねから主張しておりますように、給與の問題がこの法律審議を一体をなすものであるという信念を裏書きするものでありますが、臨時人事委員会としましては、法律審議と給與の改訂の問題が、一体をなすものであるというふうにお考えでありますか。
  84. 淺井清

    淺井政委員 これは私からお答え申し上げたらどうかと思いますから、私から申し上げたいと存じますが、マツカーサー元帥書簡にもありますように、一方に爭議権を認めず、あるいは團結権について規制をいたしますとともに、他方においては公務員の利益を保護する。この二つは同じ書簡の中に同じ強さで出ておると見て、私はさしつかえないのではないかと存じております。そこで人事委員会といたしましては、この書簡が出て以來、二つの問題を同時に取上げてやつて來たわけであります。第一は國家公務員法改正の問題、第二には給與の改訂の問題でございます。ところが私の方としては國家公務員法改正問題が、給與の問題よりも早くでき上りまして、すでに前内閣のときから審議を開始して、ここに國会の御審議を願つておる次第でございます。ところが給與の問題は、私どもの手を離れるのが遅れまして、御承知のごとくこれを内閣を提出いたしましたのが、ようやく十一月九日なのでございます。私としては不可分という言葉はいかがかと存じますけれども、この二つのものが両方とも、きわめて密接に結びついて、われわれとしては両方とも、できるだけすみやかに解決しなければならない。こういう氣用には全然かわりはございません。そこでこの給與の勧告を内閣に提出したのが十一月の九日でございますから、内閣としてはこれに必要な予算の措置を講じますために、爾來今日に至つておるものでございます。これは実は私ども責任でもございますけれども人事委員会において給與の決定をいたしたのが、國家公務員法の起草を終つたよりもずつてあとになつておる。やむを得ぬ事情でそうなつておるわけであります。
  85. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 今の経過につきましては、われわれ了承するのでありますが、一体不可分ということではないけれども、しかし人事委員会としては一緒に審議してもらいたいという希望のあることは、よくわかつておるのであります。ところが人事委員会としては、政府に六千三百七円という勧告をした。その後、今後の問題もあることでありますが、具体的に申しますと、人事委員会としては、政府に対してただ勧告をすればそれで終るというふうにお考えになつておるのか、あるいは公務員法審議の場合においては、第一條にうたつておるようにあるいはその他のところでうたつてあるように、どうしても給與の問題が併行的に審議されなければ困るのだということで、政府に対して積極的に給與の問題を公務員法審議に間に合うように出してくれという、話合いをしておつたかどうかという点を承りたい。
  86. 淺井清

    淺井政委員 ごもつともな御質疑と存じます。私の方としてはこの國家公務員法改正とともに、給與の方の問題もすみやかに解決していただきたい。こういう氣用でありますのみならず、その線に沿つて努力をしております。なおこの新しい給與は、予算は別でございますけれども、同時に法律の形をもつて國会に提出されるものだと存じておりますが、この法律案につきましては、私の方としてはすでにその起草を終りまして、いつでも内閣に提出し得る段階に至つておるのであります。
  87. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 政府に対する勧告というのは、おそらく六十七條ということになつておると思うのであります。今後私ども人事委員会——將來人事院でありますが、この人事院の運営ということについては、非常に大きな関心を持つておる。六十七條において「改訂案を作成して、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。」というだけでは、徳田君も言われましたように、一方でただ服務紀律の点を押えておるというだけで、人事院が改訂案をつくりましても、それを提出するばかりであつて、それに対して何ら拘束力がないということになりますと、われわれは今後人事院の給與の問題に関して信頼を持つことはできない。少くとも人事委員長は本会議においても、あるいは委員会においても、給與の問題は一体不可分の問題であるということを前からお聞きになつていらつしやる。今期は余すところ四、五日、あるいは五、六日しかないのであります。そこで私どもがどんなに審議を急ぎましても、おそらくこの会期中に、給與を見ながら法案審議をいたすことは、不可能であるということになつて來るのであります。これははたしてこの人事常任委員会責任であるか、あるいは政府責任であるかということを、人事委員長からひとつ承つてみたいのであります。
  88. 淺井清

    淺井政委員 その点は私からお答えするのが、たいへんむつかしい問題だと存ずるのであります。この委員会の席上においてだんだんと御論議を承つておりますと、一方においては人事委員会権限が強過ぎる、これでは内閣というものはどこにあるかわからないというような御論議があるかと思いますれば、また今のように、給與について人事委員会権限が弱過ぎる、内閣がつぶれてもよいから押し通すだけの権限が要るという御論議がございまして、私どもといたしましては、その間に処するのに非常に苦慮いたしている次第でございますが、私は眞理はその中間にあると存じております。一方においてこの内閣立場というものもございますれば、また独立性を持つている人事委員会立場というものもございますので、法文の上においては勧告ということになつておりまして、この勧告をいれるといなとは、予算の財源その他とにらみ合せて内閣の自由だということにはなつておりますけれども、これを世論の前で取扱いますことにおいて、この勧告というものが大きな拘束を内閣に與えつつあるということは、私は現実の問題だと存じております。そこで私は人事委員会の勧告案が内閣において最大限度に考慮せられることを予想いたしている次第でありますが、今申しましたように、法文の形として一方において人事院が強過ぎて、内閣がどこにあるかわからぬと仰せられるし、他方におきましては、この給與法案はぜひ強く押すようにと仰せられますと、ちよつとこの法案の御説明が苦しいのでございますけれども、要するにこれはその二つのものをある程度ともに満足し得る点にこの原案が落ちついている、こういうふうに私ども考えている次第であります。
  89. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 何かこの委員会がそういうことを言うように人事委員長はおつしやる。しかしこれは法律それ自体がそういうふうになつているんでしよう。そうじやないですか。あなたの方だつて給與の問題は十分考えてやらなければならぬ。しかし考えられない。勧告するだけの権限しかない。一方では服務の点はわれわれに言わせれば多少きついところが見えている。これは法律自体がそうなつているので、私どもといたしましては率直に意見を表明しているだけの話ゐ、何もそうでないものをぼくらはそう言つているわけじやない。その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思う。それで先ほど御質問申しました、内閣に対して積極的に何かお働きかけになつたかという点につきまして、その樣子をひとつ承りたい。
  90. 淺井清

    淺井政委員 この点につきましてはここに申し上げかねる事情がございますが、人事委員会といたしましては、内閣に対しまして私の方の勧告を一日も早く受入れられて、適当の措置をしていただく、こういうことに努力をしているということは間違いございません。
  91. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 先ほどの御説明の中、第一條の三項以下はえらく簡單に御説明なつたのですが、いま少し詳しく説明していただきたい。
  92. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 第一條を少し簡單に御説明申し上げましたので、もす少し詳しく御説明申し上げようと存じます。  問題になりますのは第四項の点だろうと思います。「この法律のある規定が、効力を失い、又はその適用が無効とされても、この法律の他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けることがない。これは何か特別なことを規定したようにも見えるのでありますが、必ずしもそうではない。この法律のある規定が効力を失うと申しますのは、この法律が他の法律によつて修正されますと、その限りにおいてその條項はその効力を失うわけであります。また失いましても、その限りにおいてはそれに影響のない他の條文はもちろん有効であります。またその適用が無効とされてもと申しますのは、これはいわば最高裁判所におきまして、この法律の條項のある具体的ケースについての適用が無効とされることがあろうかと思います。そういう場合におきましても、それはその具体的ケースについての適用が無効とされたのであつて、その他の関係における適用はその影響を受けることがないのだ、こういうような規定でございます。それから末項に参りまして「この法律規定が、從前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律規定が、優先する。」とございます。これも從前の法律が後にできた法律によつて優先されることは、これは後法優先の原則のいわば一例でございまして、これらの法律の効力につきましてこういうようなことは從來法律にはあまりうたわなかつたように存じております。それをなぜこういうような規定をうたつたかと申しますと、最近の立法の趨勢として、できるだけ説明的に書こう、こういうような事柄が一つと、それから末項の例にありますようなことは、大体この國家公務員法というものが、國家公務員に関しては中心基本となるのだ、われをもつと初めとなす、こういうような心構えでこれを置いておくわけでありまして、大体これが原則になるのだ、こういうような宣言的な規定、こういうふうに御解釈願いたいと思うのであります。  それから三項の「何人も、故意に、この法律人事院規則又は人事院指令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。」と申しますのは、これはいわば訓示的な規定と申すよりほかないのでありましてゐもちろんこう書いたところで、あるいは書かなかつたところで、この法律に対して法治國民として遵守し、これを積極的に侵そうとしてはならないことは言うまでもないことであります。これらの法律に関する規利は、主としていわば説明的な規定というふうに御了承いただきたいと思います。
  93. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 ただいまの説明よくわかるのであります。しかしそういうふうに一般的な法律上の原則をここに書き入れるということであれば、むしろなくてもさしつかえはないというふうに考えるのですが、一般的原則をここで特に説明的に述べなければならないということは、この法律が非常に有権的な感じを與えまして、それでなくても一般公務員に対して、束縛あるいは高圧的な態度がうかがわれるのに、特にまた第一條でこの点をうたうということは、非常に威圧的な感じを與え、かえつて一般的に解釈的な説明をするということの目的に反して、この法律が近寄りにくい、高圧的な法律であるという感じをわれわれに與える。われわれはこういう法律の形式をあまり見たことはないのです。そこで私どもとしましてはこれはむしろ省いてしまつて、書き表わすならやわらかく書き表わすべきだと思う。こういうふうに有権的、高圧的にやることは、非常におもしろくない。特に第三項は、一般的禁止事項と申しますが、訓令事項と申しますが、そういうふうに考える。これは罰則がないところから見てそう言えると思う。これを別にここで表わして、最米からどかんと一つ強圧的なものを與えておいて、それで法律内容を遵法させるということは、非常におもしろくない。この点法律の民主化ということから言うて、どうも御期待に反するのではないかと考えるのですが、いかがですか。
  94. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まつたくお説の通りで、私が先ほど申し上げました通り、こういう規定の仕方はめずらしいと思います。特に末項におきましてこの法律規定が云々、優先するんだというようなことを書くのは、そう例は多くございませんが、たとえば独占禁止法でございますとか、あるいは海上保安廳法などにおいて、こういう規定を最近見るわけでありまして、それぞれその領域において、この法律規定中心になるのだというようなことを書くわけであります。これは法律によつて書いたところで、また後にその修正は可能なわけです、でありますから、要するにただ説明的なもの、こう御了承いただきたいと思います。また三項につきましてもここにこれが規定されたいきさつは、あることはあるのでございますが、これがここにあつたからと申しまして、特別、威圧的なものであるというような感じを與えることは、あるまいと存ずるのであります。單に遵守的な、訓示的な規定、こういう法律の体裁あるいは原則を示したものと御了承いただきたいと存ずるのであります。
  95. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 法律審議される際は、政府委員は非常にうまいことをおつしやつて、さていよいよこれが実施となると、およそ委員会論議された当時の氣用よりはるかにかわつた結果になるということは、今まで幾多の法律で経驗するところであります。仰せの通りとおつしやるのは、大体委員質問に御賛成なさつて改正案を出しても修正案を出しても御賛成くださる、そういうふうに考えていいのだろうと思うのですが、その点をひとつ。それから第四項が憲法との関係において非常に問題になると思うのであります。先ほど、効力を失いというのは、他の法律関係において効力を失いというふうに御説明なつたのですが、たとえば憲法の第八十一條では「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と言い、なお第九十八條には「この憲法は、國の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」という規定があるのから見ますと、憲法規定、その精神に反したところの法律は効力はない、そういうことになるのです。そしてこの國家公務員法中、最高裁判所によつてこの法律は無効であるという裁判があつたような場合にも、やはりこれが適用されると考えられるのです。そこで問題は、憲法の、法律を無効にするという裁判は、具体的事件の起つた場合に、その部分その部分についてのみ言われることだという説が有力のように私は考えておるのですが、これについてはいろいろ異論もあるようです。その憲法上いろいろ問題になつておるところを、いかにも國家公務員法第一條第四項でもつて憲法の解釈を強権的にやるんだという感じを與えるのですが、そこのところはどうお考えでしようか。
  96. 角田幸吉

    角田委員長 この際暫時玉井理事に、委員長の職務執行を願います。     〔委員長退席、玉井委員長代理着席〕
  97. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答え申し上げます。御質問に対してまつたくごもつともであると申し上げましたのは、その点が十分法律論議として考えられ、立論としてきわめて根拠のある御議論と承りましたので、ごもつともと申し上げたわけであります。ただいま提出して御審議をいただいておりますこの形式が、現在のところにおいて私ども立場からいたしますならば、最も適切な立法の方法であると考えておるわけであります。それから第四項のお尋ねではございますが、まことに專門的なむずかしいお尋ねでございますので、ある程度私見がまじるかとも思いますが、お許しをいただいてお答え申し上げたいと存ずる次第であります。旧憲法と違つて、新憲法が最高裁判所に法律の合憲性を判定する権限を與えていることは仰せの通りでございます。しかしながらそれを具体的に考えてみますと、高橋さんが後の段に申されました通り、結局ある法律憲法に反するか、いなかということは、最高裁判所があくまでも具体的ケースについて判断するのでありまして、抽象的にある法律憲法の前に無効である、こういうことはしないのではないか。むしろ具体的ケースについて、ある法律が常に無効であつて、他のケースについては有効であることがあり得る、こういう形になるだろうと存ずるのであります。しかしながらある具体的なケースの適用につきまして、ある法律が無効とされます場合におきましては、爾後その法律はそのケースについて適用されないことになります。またそういう場合におきましては、その法律がその後の措置によつて廃止その他の方法が行われることになろうかと存じます。從いましてこの四項の効力を失いとある場合においては、大体他の法律によつて修正される場合であろう。でありますから高橋さんのお尋ねの最高裁判所の判決によつて、その適用が無効とされるような場合は、この後の方に該当しようかと考えております。
  98. 前田種男

    前田(種)委員 私は先ほど給與問題について委員長から答弁がありました。第一條の目的のところに関して、私は法規上からはつきりと答弁を求めたのでありますが、説明の中ではこの目的は現行法通りの文字であるからというので、それ以上説明がなかつたのです。この現行法も改正法もそのままでありますが、この中には、いかんせん福祉並びに利益に関する明確な文字がうたわれてないわけです。私はこの國家公務員法の主たる目的は、この第一條にあると思います。この第一條に少くとも先ほどから答弁されておりますところの結與問題等も、並行していろいろやらなければならぬということを、後段の條項にはありますが、目的の中にもつと明確にしなければならぬと考えます。そこでこの目的の解釈をしてもらつたら結構でありますが、これだけでは不十分でありますから、どうしても私は目的の点に次のような修正をしたいという意見を持つております。それはなぜかというと、この條項には、途中から読みますが、「最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、指導さるべきことを定め、以て國民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」と書いてあります。しかし私はこれほど國民に対して公務員が、能率的に最大の能率を発揮してやらなければならぬということを、明確に指示する限りにおいては、この第一條において、職員の福祉を確保してやるという前段がなくてはならぬと私は考えます。先ほどからマツカーサー書簡をいろいろ都合のいいように引用するということを言われておりましたが、この現行法ができたときには、マツカーサーの書簡がない以前のことでございます。私はマツカーサー書簡が出た機会に、この目的をもつと明確にする必要があると考えます。マツカーサー書簡の中には、言うまでもなくこういう文句が明確にうたわれております。さらに國家の公益を擁護するために、政府職員に課せられた特別の制限があるという事実は、政府に対して常に政府職員の福祉並びに利益のために、十分な保護の手段を講じなければならぬ義務を負わしめておる。この理念は民主主義社会においては完全に理解せられ、実現せられておるのであつて、これゆえにこそ公職が威嚴と、権威と、永続性を備えており、公職につき得る機会が廣く一般から好ましい実権として認められ、かつ求められなくてはならぬということを、マツカーサー書簡は明確にうたつておるのでございます。この明確な文字このままが、第一條の目的にはつきりとうたわれなくちやなりませんから、文字の使い方は別といたしまして、私が私見をもつて挿入するという点は「指導さるべきことを定め」というその下に「職員の福祉並びに利益のため十分なる保護の手段を盡し、そうしたことを政府が盡して、そしてもつて國民に対して、公務の民主的且つ能率的な運営を保障する」ということが明確にされてこそ、いわゆる二百六十万の公務員に対するところの規律、あるいはいろいろな能率その他の運営を、民主的にやろうという本法の趣旨と、しかも公務員に対するところの待過を、明確に目的の上に置いて明らかにするということが、並行されて行くと私は考えます。それでありますから私はあくまでも第一條の目的の中に、マツカーサー書簡の文字の一部を具体的にここに挿入して、明らかにそうした福祉並びに利益のために保護してやるという手段を盡すことを明確にすることが、なおこの法律が有効になると考えますので、そういう点に対するところの淺井委員長の見解等を、この際明確にしてもらいたいと思います。
  99. 淺井清

    淺井政委員 その点につきましては、もはやあらためて申すまでもない次第でございまして、御論旨は全然同感でございます。ただ字句の点その他については、いろいろ皆さんの中にも御論議もあろうかと存じますが、ただいま仰せになりました御趣旨に対しましては、私は全然同感でございます。
  100. 前田種男

    前田(種)委員 その点は明確になりましたのでそれ以上申し上げません。その次には他の委員からの質問がありましようが、第二條の範囲の問題であります。この中で先ほど玉井委員からの質問もございました國会職員の問題につきまして、まつたく私も玉井委員と同樣であつて、現行法で特別職になつておりますところの國会職員が一般職に入れられたことに対しては、これはやはり現行法にもどすことが妥当だと思います。それはいわゆる國会独立した立法機関として、十分に機能をはたすためには、國会職員は國会権限に委ねなければならぬのでありますから、これは先ほどからの答弁の中には、いろいろ煩雜を避ける、あるいは人事院はよいことの基準だけを示しているというようなことを言つておられたのでございますが、この國家公務員法の全法規は、必ずしもそうしたことばかりではないのです。公務員に対する相当大幅の制約が義務づけられております。そういう各般の情勢から見ました場合に、國会職員が特別職に入れられなければならぬということは、当然なことであろうと私は考えます。それと現行法の第二條の十四「單純な労務に雇用される者」というのを削りまして、一般職に入れております。さらに十二の「現業廳、公團その他」も削つてあります。これは廣く全部を含めての公務員だということでやつて、ここには区別をつけないということがいろいろいわれて削つた原因になつております。またマツカーサーの書簡の中にもそれがうたわれているから削つたのだという今までの説明でありますが、私は人事院がどんなに理想的に運営の妙を発揮されましようとも、單純な労務者に至るまで一本にくくつて、実際にその実績を上げるということに対しては非常に不安を感じております。むしろ今日純然たる官吏といわれる者と、それから純然たる労務者といわれる者、労務者の内容につきましては、委員会開始以來幾度か、論議されておりますので、その内容を私は申し上げませんが、單純な労務者、いわゆる労働者と言われるものを、官公吏と同一の公務員として一般職に放りこんでやつてしまうというこのやり方は、むしろ能率的であるようでありますし、また一般の待遇を考えてやるのだということでありますが、結果は逆になるという心配を多分に考えますから、どうしてもこれは現行法までもどさなくてはならぬと強く主張するものでございます。その意味において、この点につきましてさらに具体的な御説明があれば承つておきたいと考えます。
  101. 淺井清

    淺井政委員 その点につきましては、もう申し上げることはないと私の方では思うのでございますが、もう一度簡單に繰返しますれば、私は國会職員、裁判所の職員は、本來の姿としては特別職であろうと思つております。ただこれらのものに対しましても、新しい人事行政のやり方をやつて行く上において、この人事委員というものの手に委ねた方がよいではないかというので、これを三年だけ一般職にする。こういう扱いになつております。さいぜんからだんだんと御論議がありましたように、この点が國会の立法機関としての立場を害するという御論議、まことにごもつともだと思いまするが、私ども立場といたしましては、今言つたような以外に決して他意はないのでございます。私の承知いたしているところによりますれば、現に國会職員の試驗におきましては、人事委員会が御相談に預かつて現にやつておつたと記憶いたしております。  それから單純な労務に從事いたしまする者、公團の職員等については、人事委員会といたしましては、これまで聞きましたものの中で非常に頭を痛めた問題の一つになつているのでありますが、これは諸般の情勢によつて、一應一般職という取扱いをすることになつたのでございます。その勤労のあり方の違う点、殊に公團におけるその由來、それから臨時的なものであるという点において、他の官吏とは特別に区別する点が多々あろうと思つておりますので、それはこれまでも申し上げましたように、附則十三條において特例を設け、十分その点に遺憾なきを期したいと思つております。
  102. 相馬助治

    ○相馬委員 本法立案における教育公務員の立場について、人事委員長にお尋ねしたい。その前に一つ質問したいことは、私たち聞くところによると、教育公務員なる独立法が文部省で立案されつつあるやに聞くのですが、こういう状況等も参酌されて、政府本案を提出されておりまするか、それとも独自な立場から本案は立案されたのですか。
  103. 淺井清

    淺井政委員 その点についてちよつとおわびをしなければならぬことがあるのでございます。それは私が本会議の席上で申しました言葉に——あのとき拡声機がこわれておりまして、質疑をされました野本さんのお言葉がよく聞き取れませんでしたために、答弁が少しくはずれたようでございまして、あとで速記を見ますると、この國家公務員法というものは、教育公務員は関係がないのだと、このような言葉になつているのでございまするが、この教育公務員に関しまするところの法律というものは、私の方の所管ではなく、文部省で立案をいたしておるのでございまして、これはいろいろの構想があつたようでございます。全然この國家公務員法と離れて單独の法律にするという案もあり、またこの國家公務員法規定を一應ここに置きまして、その附則十三條のいわゆる特例法としての形でこれをきめる、こういう行き方もあり、二つございまするが、私の今承知いたしておりまするところは、この國家公務員法の附則十三條の特例法の形で、やがて現われてくるのじやないかと思つております。ただ教育公務員に、この國家公務員法を全面的にかぶせていきますることは、これは私が反対であるのみならず、いろいろむずかしい点ができてくるかと思います。つまり例を試驗にとつて申しますれば、教育公務員の最も重要なる資格は、人格の点であろうと思つておりまするが、この國家公務員法の試驗は、その仕事をやる能力の試驗でございまして、人格の試驗ということはなかなかむずかしいのではないか。さすればこの國家公務員法の、この試驗に関するところは、これにかぶせるわけにはいかぬのであります。また職階というものをとつておりますが、この教育公務員は職階という観念を入れることが非常に困難でございます。つまり上下によつて仕事の内容責任というものが、階段状をなしていくという観念は、教育公務員にはございませんので、職階に関する規定は除かなければならぬのではなかろうか。そういう点から考えまして、そういう点を除きました特例法として現われてくると思うのでございます。
  104. 相馬助治

    ○相馬委員 人事委員長がこの教員の特殊な立場について、実に明確によく知られているので驚いているのであります。ということは、教育委員会法というものがあつて、教員の任免、分限、懲戒というものは、全部これによつて律せられていることは御承知の通りです。そういうふうな観点から見ますと、附則十三條の特例によつてということになりますると、教育公務員の立場から見ますれば、二重の制限になることは論をまたないと思う。それはなぜかと申しますると——そんななぜかなんということを申し上げなくとも、結局このことは私は明らかに一條から教育公務員を除くべきだ、こういうふうに考えて、これは独立した立法にまつべきだということを考えるのであります。それから附随してついでに申し上げたいことは、もし附則十三條の特例によつて云々という場合には、一應この國家公務員法が通つたその直後における教育公務員は何によつて律せられるか。すなわち教育の特殊性によるところの特例が出ないうちは何によつて律せられるのか。具体的に言えば、それまでは國家公務員法でしばるのだ、あるいは二百一号の政令でやるのだと、こういうお答えがあると思うのでありまするが、その過渡的なものはどうお考えになるか、この二点について人事委員長にお尋ねいたします。
  105. 淺井清

    淺井政委員 その点につきましては、私文部省と一度連絡しないと、明確にお答えができないと思つております。それからまた今御懸念の点は、いずれこの法案が現われてまいりますときに、御審議を十分願えると存じております。
  106. 相馬助治

    ○相馬委員 私はけさほどより文部文臣に向つて、実はここへおいでを願うことをお願いしてありますが、いろいろな事情でおいで願えないので残念であります。そういう意味から特に人事委員長である淺井政委員にお尋ねしているのであつて、淺井人事委員長のお考えとしては、やはり一條から、いろいろな事情から見て、すなわち昨年十月十五日に國家公務員法が通りましたときには、教育委員会法案というものはなかつたのでありますが、今は明らかに教育委員会法案というものがあつて、教員がこれによつて律せられておるのでありまするから、淺井政委員としては、これはここから除外することを適当と思われるかどうか。私見でも何でも結構でございますので、御見解がきよう承われたらぜひ承りたいと思います。
  107. 淺井清

    淺井政委員 私といたしましては、この教育公務員と申しまするものは、なるべく大幅に國家公務員法から除外して独自の立場でやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。そのために從事教育公務員をこの國家公務員法の特別職に入れるというような、いろいろな構想があつたのでございまするが、結局現実の問題として國会に現われようとする法案は、この附則十三條の特例法の形になつているように思います。
  108. 相馬助治

    ○相馬委員 人事委員長の御見解よくわかりました、御承知のように、教育公務員の任免等に関して規定する法律というようなものを、政府は出したり引込めたりしているので、教員は一体どうなるかと言つて、皆ぼんやりしているような調子でありますから、ぜひ文部省と連繋をとられまして、これについて明確にしていただきたい。私はそれ以外のことは直接文部大臣に尋ねたいと思います。
  109. 松澤兼人

    松澤(兼)委員 一つお尋ねしたいと思います。先ほど國会職員と裁判所職員のことにつきまして、いろいろ御意見が出たようであります。ただいまも前田君から質問がありました。それに対して淺井人事委員長は御答弁なすつていらつしやるのでありますが、その御答弁を伺つていると、國会及び裁判所職員というものは、大体一定の期間だけ國家公務員法を適用して、合理的、科学的な一つ基準を設定するということであるようであります。そうしてただいまも、國会職員のいろいろの問題について相談を受けているというお話であつたのであります。もし先ほど來問題になつておりますように、國会職員及び裁判所職員というものは、本來ならば國家公務員法の適用を受けるべきものでない、しかし基本的な基準ができるまで、一定の期間を限つて人事院権限のもとに持つて來るということでありますならば、ちようど附則第十五條に「都道府縣、市その他地方公共團体の人事機関」という点がある。これは地方公共團体の自主性をお認めになつて助言をする、あるはこの法律によつて確立された原則に沿つて設置され、運営されるように協力するということになつておりまして、これはおのずから外にあつて人事院がこれに対して助言をするという形をとつている。そうすると本來なら裁判所職員及び國会職員は、外にあるものである。しかし一定の期間だけは合理的、科学的な基準を設定するために、人事院の中に入れるということであるならば、これも一定の期限付きで、これを外に一度お出しになつて、その合理的、科学的な基準を設定するまでは、適当な運営に対する協力を與える、あるいは助言をなすとかいうことが適当である。こういうふうにも考えるのであります。この点につきまして地方公共團体の場合と、それから裁判所及び國会の場合どういう相違があるか。地方公共團体の職員は、はずして助言を與えるという形をとり、國会及び裁判所の職員に対しては、これを人事院の中に納めて、これに対して強力と言えば語弊がありますけれども一つの監督権、指揮権を発動するということになつておるのか、伺いたいのであります。
  110. 淺井清

    淺井政委員 それはきわめて簡單でございまして、つまり地方公共團体と國家というものは、全然違つた二つのものだという観点からそのような規定ができ、また片一方は、なるほど國会独立性はもちろんでございますけれども、同じ國家の公務員だという立場から取扱いが違つて來たわけでございます。
  111. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 第一條第一項の修正の点に関しての前田委員の御意見は、私もまつたく同感でありまして、そのように修正されることを希望するものであります。ただこの点に関連しまして今一度お尋ねしておきたいことは、過般の本委員会において私はその点について労働大臣にお尋ねいたしましたところが、要領よく「各般の根本基準を確立し、」という言葉の中へ逃げ込まれたわけであります。そこで私は逃げられたなと思つたのですが、あまり深く追究もしないので、そのまま質問を打切りましたが、この「各般の根本基準の確立」という中に、給與の問題が含まれているという御意見のように、先ほど來伺つておるのです。人事院が給與の問題について政府に勧告をいたしまして、その勧告が十分に入れられなかつたときには、その給與の問題について、ここに根本基準が確立したというふうには、おそらくお考えにならないだろうと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。そうしてその問題についてなお第三條の規定によれば、人事院はこの法律実施の責に任ずるということになつております。もしも人事院の出した勧告を政府が軽く取扱つてそれを尊重しない。そうして人事院意見をもつてすれば、給與に関する根本基準が確立しなかつたと思えるようなときには、人事院を代表する人事院の総裁等は、どのような責任をおとりになるか、それらの点について御意向を伺いたいと思います。
  112. 淺井清

    淺井政委員 たいへんむずかしいお尋ねでありますが、この「各般の根本基準を確立し、」と申しますのは、すなわち新しい給與制度に関する規定を設けるという意味でございまして、必ずしも六千三百七円のベースを確立するんだというほどの意味は持つていないのでございます。しかし御質疑要点はおそらくそこにはなくて、後者にあると思うのでございます。なるほど私どもといたしましては、六千三百七円ベースをあくまでも主張いたし、その実現を期するつもりで現にやつておる次第でございまして、私はこれが内閣によつて受諾せらるることの確信は今も失つてはおりません。ただ形といたしましては、この人事院は財政に関する権限を何も持つていないわけでありますから、財源その他の見合いをつけますところの権限、從つて國会に予算を提出する権限内閣が持つべきものであつて、これはいかなる内閣ができましようとも、必ず内閣としては、これは保つていなければならぬ線だと思うわけでございます。さようでございますから、人事委員会の勧告が全面的に入れられなかつたという場合もあろうと考えておる次第でありますが、私といたしましては人事委員会の勧告を、全面的に入れてもらいたいという努力を続けることは、決して怠るものではないのでございます。
  113. 前田種男

    前田(種)委員 今のに関連しまして、この間の勧告は政府はのめないほど幾らか高い、それでその勧告案をのますべく今人事委員長はまだ確信をもつて努力をして行きたいという答弁でありますが、將來は必ずしも人事委員会が出した案が高過ぎる、よ過ぎるというばかりでなくて、惡過ぎる、惡いという場合もあると思います。今度のような高過ぎた場合は、人事委員会としてはそうではありませんが、いろいろな角度から見て、人事委員会の案が待遇上惡い、低いという場合におけるところの人事院責任、あるいはどれを対象とされようと考えておられるか、この点は相関連いたしますが、今後しばしば起ります問題でありますから、この機会に、できますならばそうしたことを予想して、意見を承つておきたいと思います。
  114. 淺井清

    淺井政委員 その点でございまするが、ただいまたまたま深刻な問題となつておりまするのは、この人事委員会の案が高過ぎるということだろうと思うのでございます。そこで余談にわたりまするけれども人事委員会があの勧告をいたしましたのは十一月九日でございます。しかるにその翌日に至りまして政府は、全面的にのめないというような意味のことを申されておると思いまするが、なぜ全面的にのめないかということは、爾來十日以上を経過しておりまするけれども、何ら私は承知するところがございません。そこで私はいまだあの私の提出いたした勧告が高過ぎるというような感じは持つていないのでございます。そこで將來、しからば人事委員会は勧告したものが高過ぎるという場合には努力するけれども人事委員会が提出した給與ベースが低過ぎるという主張があつたときは、それは國家公務員の利益になることだから、そのままに放つておくか、こういう問題が起つて來るだろうと思うのでございます。人事委員会といたしましては、何が合理的な給與であるかということを、一定の理論と算定で出すものでございますから、高過ぎるという場合もありましようし、低過ぎるという場合もあろうかと思つておるのでございますが、これは勧告の中にも書きましたように、政府職員は、一方において民間企業の勤労者よりも特権的な地位をもつてはならぬ。しかしまた一方それよりも虐待されるところの理由はない。こういう点でございまするし、殊に國家公務員の給與というものは、一般納税者としての國民のふところから出るのでもございますから、人事委員会立場といたしては、内閣の御決定に対して低過ぎるということもありましようし、高過ぎるということもこれはあろうかと思います。     〔玉井委員長代理退席、角田委員長着席〕
  115. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 重ねてお尋ねするのですが、この第一條第一項に、政府職員の福祉並びに利益のため、十分なる保護の手段を講ずるというその目的を明確にしなければならないと思います。そうしてそれを明確にしておいて、しかも人事院の給與に関する勧告をなしたにもかかわらず、政府がその勧告を入れない、それよりも低い基準で給與をしようということになつたときには、この第一條のすなわち本法の目的が達成できないというふうに人事院ではお考えになるに相違ないと思うのであります。そうしますと、この法律のほんとうの意味の実施は行われておらぬことになるのでありますが、その場合法律実施について責任を負う人事院としては、どういう態度をとるべきかということについてお伺いいたしたいと思います。
  116. 淺井清

    淺井政委員 これはただいまにおいては一つの仮定の問題でありましようし、その仮定の問題は申し上げかねるのでございますが、全般的に考えまして、この法律の解釈といたしましては、先ほどお答えをいたしましたように、人事院は財政その他の視野から予算を決定する権限は持つていないわけでございます。そのときに、人事委員会が独自の考えで、この法律の実施ができないと見てよろしいものか、あるいはそれは他の機関、たとえば國会その他の機関が見るべきものか、これは問題だろうと思つております。
  117. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 人事委員長にお伺いいたします。第一條の三項ないし五項の規定は必要なしとして、削除することがむしろ適当じやないかと思えるのですが、その点いかがですか。
  118. 淺井清

    淺井政委員 その点は私は見解を異にしておるのでございます。ちよつとごらんになりますと、これはなくてもいいような規定に思われるのでございます。しかしなぜそういう規定がここに入つておるかということは理由があるのでございます。つまりこの國家公務員法が、これから歩んで行こうという道における抵抗を破壊するためには、どうしてもこの規定が必要でございます。明治憲法時代には、このような規定を持つた法律はなかつたと私は存じております。ところが最近に至りまして若干これと似通つた規定を持つた法律が現にございます。たとえば独占禁止法の適用排除に関する第二條、それから事業者團体法の十九條、かような規定、つまり從來のものを大きくかえようとか、從來のものの抵抗を破つて行こうというような、法律が持ち味を持つて参りますと、こういうふうな規定が入つて來法律が、このごろちらほらできら來たように思うのでございまして、それと同じような意味と御了承願いたいと思います。
  119. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 その問題については、先ほど來いろいろ質疑應答がありましたので、この程度にとどめておきます。  第二條第三項の後段に、「人事院は、ある職が、國家公務員の職に属するかどうか及び本條に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。」とある。私は言葉を少くするために簡單に結論だけ申しまして質問いたすのですが、この規定は、むしろ法律規定をもつてする方が適当じやないかと思えるのですが、その点はいかがですか。
  120. 淺井清

    淺井政委員 それは法律規定によつてきめることができますれば、まことに結構だと思うのであります。ところが実際取扱つてみますと、ちようど限界のところがいろいろできて参ります。たとえばさいぜんから問題になつております農地委員会の職員は、一体國家公務員であるか、地方公務員であるか、あるい中労委の職員は國家公務員であろうか、そうでなかろうかというような、いろいろかわつたものができて参りまして、どこかきめる機関を置いておきませんと、法律規定だけではどうしても規定し切れないケースがいろいろできら來る。そうするとどこがきめるか、やはり人事院できめるほかない、こういう規定でありまして、この規定がないと抜き差しできないことになりまして、いろいろ行政の複雜化につれて、職員のあり方についていろいろ限界点になるようなものがたくさんできて來るものですから、こういう規定があることは必要でないかと考えております。
  121. 菊川忠雄

    菊川委員 私も今の問題については非常な疑問を持ち、しかも重要な関心を持つている。これはこの法律の第二條をわれわれが審議するにあたつて、今の人事委員長お話のような抽象的な議論では、私ども審議ができないと思うのであります。現在人事委員会編集の「公務員」という雜誌の十一月号を見ますと、公務員の数は、本年度予算定員によつて、二百七十六万五千二十一人と発表されております。ところが私ともこの二百七十六万五千の公務員が、一体どういうふうな仕事をしているのかということを現実につかんで、それに基いてこの條文が、はたして現在の日本公務員制度の実情に合うかどうかということをきめなけばならぬと思います。そうしない限りはただ抽象的な議論であります。でありますから私はこの第二條の審議につきましてはその資料を見て、私ども考えている点につきましていろいろお尋ねをいたし、その意見を述べたいと思います。その点におきましてこれは保留いたしたいと思います。きようはことにもう時間も遅うございますから、資料なくしてやりましてもしかたがないと思います。きようはひとつこの辺でやめて、あとは明日に讓つてもらいという希望をもつております。
  122. 角田幸吉

    角田委員長 それでは本日はこれにて散会し、明日午前十時から開会いたします。     午後五時二十七分散会