○岡部
政府委員 まず
改正の
要点について、第一章総則について御
説明申上げたいと思います。第一章総則は、第一條及び第二條であります。
まず第一條について申し上げます。第一條は、
國家公務員法の目的及び効力を
規定いたすことにな
つております。目的に関しましては、現行法にございます通り、まつたく國民に対して、公務の民主的能率的の運営を保障するのが目的であることはかわりありません。ただ第一條の第一項の中でかわりました点につきまして一言申し上げておきますが、それは現行法のもとにおきましては、この
法律でいう
國家公務員には、
國会議員を含まないということをうた
つておるわけであります。その趣旨といたしますところは、
國会議員はもとより
國家公務員であり、
國家公務員の中でも、最も重要な職務を有する者であることはいうまでもないことでありますが、現行法のもとにおきまして、
國家公務員の中から特に
國会議員を取除く措置を講じました趣旨は二つあろうかと存じます。第一はこの
國家公務員法というものは、今申し上げた目的を達成するために、
國家公務員に対して科学的、合理的な
人事行政につきましての各般の
基準を定める。たとえて申しますならば、職階制であるとか、試驗であるとか、給與であるとか、そういうものにつきましての合理的に
基準を定めることを目的としておるのでございますが、これらの
基準が
國会議員に適用すべからざることは言うまでもないことであります。それが第一点であります。第二点におきましては、これは御
説明するまでもないことでございますが、
國会議員は、
國権の
最高機関としての
國会、すなわち立法部を構成する
國家公務員といたしまして、主として
行政部の
國家公務員を対象といたしますこの
法律の対象にはならないのじやないか、こういうふうな二つの
考えが重なりまして、第一條の
國家公務員の中から、あらかじめ
國会議員を含まない措置を講じたことかと存じておるのであります。その趣旨は今でももちろんその通りでございますが、さりながら
國会議員をことさらにこの
國家公務員の基本的な
法律の中から取除くということもいかがであろうか。むしろ御
承知の通りに
國家公務員といたしましては、特別職と一般職とに分類されておりまして、特別職には
國家公務員法は原則として適用されていない。しかもむしろ今までの特別職は種々雜多でありまして、あるいは單純なる労務者があるかと思いますと、
國家の政策の立案に携わる國務大臣その他の政務官的な色彩の者が多いわけであります。このたびこの特別職の
範囲を著しく制限いたしまして、
從來特別職というものは、どういう標準によ
つて、どういう原理によ
つてこれを選んでおるかということの
説明が困難な
程度であつたのでありますが、この
改正法案によりますと、大体においてこの特別職というものは、政策の立案企画に携わる者、いわゆる政務官的な、あるいはポリシイー・メーキングのような地位にある職員というような
考え方にな
つて來ておるわけであります。そういたしますならば、
國家公務員の特別職の中に
國会議員を含めてもさほどおかしくはない。むしろ先ほど申し上げた事情もあることながら、やはり
國家公務員という中に、
國会議員も入
つて方が正しい行き方ではあるまいかという
考え方で、この第一條第一項の中から、
國家公務員には
國会議員を含まないという條項を削除した次第であります。
次に第一條第二項「この
法律は、
もつぱら
日本國
憲法第七十三條にいう官吏に関する事務を掌理する
基準を定めるものである。」これは御
承知のごとく、まだ新
憲法におきましては官吏という観念を捨て切れないで、これを残しておる次第なのであります。しかるにこの
憲法が
制定されました
あと、約一年足らずにして御定せられました
國家公務員法におきましては、もうすでに官吏という表現を取除いておるわけであります。その間に時間的ずれと申しますか、時間的ギヤツプはあるのでありますが、あくまでもこの
國家公務員法は、
憲法に根拠を求めますならば、
憲法第七十三條に書いてあります、官吏に関する事務を掌理するための、
基準となる
法律である。こういう
意味でこの第二項を入れた次第であります。第三項以下はこの
法律の効力を
規定したものでございまして、殊に第三項はこの
法律遵守の義務、いわば訓示的な
規定でございますが、そういう遵守の義務を
規定する。それから第四項、第五項におきましては大体
法律の適用の原則を
説明的に書いたものというようにお
考えいただきたいと思うのであります。
それから第二條におきましては先ほど申し上げました通り、特別職の
範囲を著しく制限したわけであります。その趣意といたしますところは、科学的、合理的な
人事行政の対象となる
國家公務員の
範囲というものは、できるだけこれを拡げる。しかしてそれぞれ特殊性のあります職務の
責任、あるいは職務
内容について特殊性があります場合においては、これを
國家公務員法の内部の
規定によ
つて、それぞれ適当にこれをはずして行こうというのがその
考え方であります。從いまして特別職として残りましたものは、いわゆる分類職と申しますか、職階制、試驗その他を適用するのにふさわしくない者、その
内容を申しますならば、政務官的な色彩の強い者がこれに残るということになるわけであります。しばしばお尋ねをこうむるわけでありますが、一体
國家公務員というものは、しからばどの
範囲の者を言うのか、その
範囲がわからぬじやないか。これを積極的に定義すべきじやないかということを承るのであります。これはご
もつともなことでありまして、
國家公務員とは何を言うかということを積極的に定義すべきものとも思うのでありますが、官吏と違いまして、
國家公務員を抽象的に定義いたしましたところで、さらにそれの解釈についていろいろ問題が起る
可能性があるわけなのであります。現在のところ
國家公務員とは何を言うかと申しますと、
國家の公務に公の根拠に基いて從事し、
國家から給與を受けるという
程度のことしか言えないかと思うのであります。しからばせつかく定義をいたしましても、それについていろいろ解釈上の疑義が出ようかと思いますので、この
法律におきましてはその定義を積極的に書くことはやめまして、第四項の後段におきまして、むしろ
國家公務員というものは、はたしてあるポジシヨン、ある職位が
國家公務員の職に属するのか、あるいは
國家公務員の職に属するとしても、それが特別職に属するのか、一般職に属するのかということを、
人事院が具体的に決定するように
規定しておるわけでございます。なお第二條におきましては
國家公務員と申しますならば、それは一般職、特別職以外のものはあり得ないわけでありますから、一般職または特別職以外の勤務者を置きまして、それに対して俸給給料を支拂うことを禁じておるわけであります。但し
外國人に関します場合におきましては、これはいろいろ國籍法その他と関連をいたしまして問題があろうかと存じます。すなわち
外國人の
國家公務員就任能力いかんの問題があるわけであります。これはいろいろ複雜なる問題があるのでありますが、
簡單に申し上げますならば、わが國の法制におきまして、積極的に
外國人がわが國の
國家公務員となることを絶対に禁止しているものでもないと思います。しかし現在のところ
國家権力に直接携わるような地位に
外國人がつくことは、法令の解釈上これは不可である。かように
考えておるのでありますが、
もつぱら技術的な面、あるいは教育というような面におきまして、
外國人が教育あるいは技術の面におきまして、
國家公務員となることは可能である、こう存じております。しかしそれらの問題は、いずれにせよ
外國人が個人的な勤務の契約をした場合におきまして、それが
國家公務員であるかないかは別問題といたしまして、そういうような勤務の契約のある場合におきまして、これに給料を支拂うというようなことはあり得ることでありまするから、その場合におきましては、それが
國家公務員として、すなわち一般職または特別職の
範囲に入らないものと
考えられる場合におきましても、その前段の禁止
規定を解除しておる、こういうように御了承していただきたいと存ずる次第であります。第一條、第二條につきまして、以上御
説明申し上げまして御
質問にお答えいたします。