○
赤松(勇)
委員 もう
一つでおしまいです。
吉田内閣総理大臣は、世間では一般に國士的な人物だと
言つておる。別におだてて
答弁してもらおうという卑しい
氣持は持
つておりませんが、私がなぜそういうことを申すかというと、それはあなたが
日本の國を愛する。そして
日本の憲法を擁護する。
日本の
民主主義を擁護するのだという、烈々たる
日本人的な氣慨をも
つて御
答弁をお願いしたいと思つたからであります。他意あるわけではございません。今度の
國家公務員法の改正案は、もちろん
政府提出の
法案でございまするから、
吉田内閣総理大臣の
責任において出されたものであるということは
了承します。しかし少くともこれは前
内閣総理大臣が、マツカーサー書簡を受取
つて政令を出し、
國会が開かれていなかつたために、この
法案を審議するためにこの
國会が開かれた。ところが先般來新聞やラジオを通じて私どもがいろんな世論を総合してみますと、要約してこういう声が非常に強いと思うのです。つまり
國民は解散を要求しておる。これは事実なんです。私たちもほんとうを言えば一日も早く解散したい。これはうそでも何でもありません。実際解散して、新しい形において出直さなければならぬということは、しみじみ
考えております。特に
芦田内閣に入りました社会党といたしましては、その道義的、政治的
責任を十分
感じております。感ずればそこ一日も早く解散をいたしまして、
國民の批判、審判を仰がなければならない。これは政治家の当然の道義的な
責任でございまして、その点におきましては私はどこへ参りましても、その
態度を明白に
國民に謝罪しておるのであります。そこで早期解散ということが問題になるのでございますが、この
國家公務員法は勧告にしろ、命令にしろ、要求にしろ、とにかくマツカーサーの書簡として出された。そして前
内閣が政令として出し、今度の
内閣が改
法案として出して來た以上は、嫌でも應でもこれを審議しなければなりません。この
法案を本
委員会が否決しようが、
國会がこれを否決しようが、あるいは根本的な大修正をしようが、これは
國会自身の自主的な権能だと私は思う。
日本の
國民みずからが決定すればいいのである、ちつとも命令、勧告ということにこだわる必要はない。私はそういう
考え方によ
つてこの審議を進めておる。ことにこの際
考えていただきたいことは、解散ということは一回だが、この法律の制定ということはいわば恒久的なものです。
アメリカの陸軍長官は、緊急事態に應じた暫定的なものだというふうな声明をいたしましたが、かりにそうだといたしましても、
一つの
法律案と
なつて出ました以上は、恒久的なものとして
理解しなければならない。解散ということは一回なんです。一箇月もしくは二箇月解散が遅れたから、早く
なつたからということで、この
法律案の審議をいいかげんにするということは、
日本の
民主主義を守るという烈々たる氣慨を持つた
吉田内閣総理大臣は、おそらくとられるところではないと私は思います。これはいろんな違切論があるのです。
内閣総理大臣御
承知のように、二日間にわた
つて公聽会を開きました。あのタフト・ハートレー法が制定されるときなんかは、実際
アメリカでは非常に
愼重な
態度をと
つてあの
法律案を審議している。この間の公聽会を開いたときに、あなたの毛ぎらいされている
労働組合の諸君の主張は別といたしましても、これはあなたも尊敬されていると思うのでありまするが、学資経驗者で今
日本の
労働問題の権威者と言われといる鮎澤さんにいたしましても、末弘さんにいたしましても、あの公聽会に現われた空氣というものは、ほとんどこの
法律案に対しましては全面的な
反対なのだ。さらにそれは違憲論の
立場からも
反対論が出る。あるいは
日本の
民主主義擁護という
立場からも、そういう意見が出ている。いろいろな
立場から出ておりまするが、いずれにいたしましても、この
法律案が進歩的な、民主的な
國家にと
つて、また
國民にと
つて、緊急欠くべからざる
法律案である。絶対にこれを制定しなければならぬというように
考えておられるのは、東宝の渡邊社長
——あなたの党員でたしかこの前落選しましたが、あの渡邊社長ともう一人は大塚萬丈です。しかしこれなら積極的に
反対しない。
反対するとはずかしいものだから、公聽会の途中であの人は逃げて帰
つてしまつた。
共産党の
徳田君にぎゆうぎゆうやられたので途中で逃げて帰
つてしまつた。そういうわけであの公聽会に呼ばれた人たちの中で、賛成意見を持
つていた人は二人なんだ。あとの人は全部
反対なんだ。これは
委員長も知
つております。これは何もわれわれが人選したのではない。
委員長を中心に、それからあなたの方の
理事、
民主党の
理事、小会派を代表して労農党の玉井君、それから私、これだけで人選した。きわめて公平に
反対論者と賛成論者を呼ぼうとした。その際に
委員長も御存じだが、賛成論にだれを呼んだらいいかというので、賛成論を呼びのに困つたくらいなんだ。こういうように一部の資本家は別といたしましても、
日本のあらゆる階層の人たちが、ほとんどあげてこの
法律案に
反対している。その公聽会に現われた空氣を、
吉田総理は無視してはいけない。そこで私の言いたいのは、
政府は前に十五日であげてくれと言われているが、わずか四日や五日でこんな重大なものが審議できるわけはない。会期は今月末です。今月末までにこういう重要な
法律案をいい加減に片づけるということは
——これは党の意見ではありません、私
個人の意見といたしましては、実際問題として
責任を負わなければならぬ。これを審議決定いたしましたならば、
責任を負わなければならぬ。ある
意味から言えば
日本の
民主主義を阻害する
法律案には、私は軽々には賛成することができない。あなたも言われましたように、書簡の中には、ベースの問題とこれと、この二つの問題を同時に審議しなければならぬという
意味のことが言われております。先般
総理に対しましても、私は新賃金ベースとこの
法律案と同時に審議すべきであるという決議案を出しました。幸い各党の御賛成を得まして院議をも
つて決定されたのでございまするが、まずあなたにお尋ねしたいのは、この院議を尊重されるかどうか。賃金ベースとこれとを、同時に審議しなければならぬという院議を尊重されるかどうか。尊重するとすればどのような形で尊重するか。さつき生悦住さんの
質問に対しましては、あなたはいろいろなことで
ちよつと今明答はできないと言われましたが、少くとも院議を尊重される以上は、この点について明快な答えをお願いしたい、これが第一点。
第二点といたしましては、この
法案を今
國会中に全部審議して賛成してしまえというような
——賛成しろとはおつしやいませんが、なるべくなら賛成してもらいたい。今
國会中に全部審議してしまえということは、いかにどこのだれの要求でありましても、私は無法に近いと思う。それでこれがもしも十分に審議できないで、悔いを後に残すということがあ
つてはいかぬから、本
國会中に審議してしまわないで、十二月一日に開かれる通常議会にその審議をゆだねるか、この二点について
総理大臣にお答えを願いたいと思います。これで私の
質問を打切ります。