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1948-11-20 第3回国会 衆議院 人事委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十日(土曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 角田 幸吉君    理事 木村 公平君 理事 赤松  勇君   理事 生悦住貞太郎君 理事 玉井 祐吉君       淺利 三朗君    根本龍太郎君       菊川 忠雄君    島上善五郎君       前田 種男君    松澤 兼人君       高橋 禎一君    最上 英子君       吉田  安君    水野 實郎君       相馬 助治君    徳田 球一君  出席國務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         大 藏 大 臣 泉山 三六君         國 務 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         臨時人事委員長 淺井  清君     ――――――――――――― 十一月十八日  國家公務員法改正並びに教育公務員法案に関す  る請願石川金次郎紹介)(第二二七号)  國家公務員法改正に関する請願高津正道君外  四名紹介)(第二二九号)  進駐軍労働者を政令第二百一号及び國家公務員  法の適用より除外の請願菊川忠雄君外一名紹  介)(第二三三号)  同(淺沼稻次郎君外一名紹介)(第二三四号)  國家公務員法改正に関する請願今澄勇紹介  )(第二五三号)  同(片島港君紹介)(第二五四号)  同(池谷信一紹介)(第二五五号)  同外四件(久保田鶴松君外二名紹介)(第二五  六号)  國家公務員法改正に関する請願徳田球一君紹  介)(第三四六号)  同(大石ヨシエ紹介)(第三五一号)  同外二件(石川金次郎紹介)(第三六八号)  鳥取縣官公廳職員に対する寒冷地手当に関す  する請願庄司彦男君紹介)(第三七二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  國家公務員法改正に関する陳情書外百八十六件  (第二〇〇号)  國家公務員法改正並びに教育公務員法案に関す  る陳情書外百十一件  (第二  〇一号)  國家公務員法改正に関する陳情書外三件  (第二二五号)  國家公務員法改正に関する陳情書外二件  (第二三六号)  國家公務員法改正並びに教育公務員法案に関す  る陳情書外九件  (第二四二号) 同月十九日  公務員寒冷地手当支給陳情書  (第二七三号)  寒冷雪害地域給制度確立陳情書  (第三一九号)  國家公務員法改正に関する陳情書外二件  (第三三三号)  國家公務員法改正に関する陳情書  (第三五五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  國家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第七号)     ―――――――――――――
  2. 角田幸吉

    角田委員長 これより人事委員会を開きます。  前会に引続き國家公務員法の一部を改正する法律案を議題として質疑を継続いたします。
  3. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 総理大臣質問いたしたいと思います。総理大臣は最近非常にわれわれの質問に対して快く、なごやかに御答弁くださることを感謝いたします。過般來よりしばしば質問が発せられておりまするが、御答弁がないのでさらに質問を行うものであります。政府が新給與ベースを決定するときの時期はいつであるか、またいくらに策定しようと考えているのか、こういう点について総理にお尋ねいたしたい。
  4. 吉田茂

    吉田國務大臣 この問題はこの間も一應お答えしたつもりでおりますが、問題は要するに日本復興に資するためには、公務員としても十分國策に沿うように働いてもらいたい、というためには自然給與問題等についても、政府はよく考慮すべきであるということが一つと、それから人事院の六千何百円かの給與についても相当理由があるように考えられるので、この点も十分審議したい。政府としてはその研究を現に進めているわけでありますが、しかしながらこれは財源の伴う問題であり、そしてこの財源の捻出は、御承知の通り非常に財政の枯渇している今日においては、財源の発見、しかも六千何百円にすると何百億ということになるので、政府は非常に苦しい立場なつている。大藏大臣を初め当局も日夜この研究に從事しているわけであります。從つて今ただちにいついつか予算を上程するという日にちまで申し上げることはできませんので、あまり抽象的というお話になるかもしれませんけれども、なるべくすみやかに提出をしたい、こういう考えで、もつぱら研究審議を進めておりますような次第であります。
  5. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 ちよつと了承いたしかねるのであります。非常に愼重におやりになることはけつこうでありますが、本法案を審議するのに、これが密接不可分関係にあることは総理もすでに御承知のことと思います。しかしてその方針はどの方向に向つて進んでおる、どういう角度に向つて、しかも大体政府の見当はこの辺で策定しようというくらいの、具体的なことをおつしやつていただかないと、この法案——過般來一番問題になつておりますのは、この新給與ベースがどの辺できまるか、またこれがいつごろきまるかということが先決問題であると思うのであります。その点を抽象的でなく、もう少し具体的に、実は政府はきのうから閣議を開いてこの程度にやつておるのだ、こういう方針によつてつておるのだということを、もう一歩、掘り下げておつしやつていただきたい。
  6. 吉田茂

    吉田國務大臣 今申したのが私としては十分掘り下げて申した考えであるのでありまして、これ以上にはどうも政府としていついつかどうするとかいうようなことは、ちよつと申し上げにくい状態であります。しかしいずれ詳しいことは大藏大臣からお聞き取り願いたいと思います。
  7. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 それでは今の問題は大藏大臣が参りましてからさらにお尋ねすることにいたしたいと思います。それから先日川崎委員質問に対しまして政府は、三割程度行政整理を断行するということでありましたが、いかなる構想と、どんな方法によつてこれを断行しようとしておられるのか、具体的に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  8. 吉田茂

    吉田國務大臣 これもこの間どこでありましたか、委員会お話をしましたが、行政整理と申すよりは、日本の歳出をなるべく切詰めなければならぬような窮境にただいまおるのであります。だれも好んで人員整理をする者はないのでありますけれども、今の日本財政から申すと、このままではどうしてもやつて行けないので、自然財政整理及び人員淘汰ということにおちつかざるを得ないのであります。その結果失業者が出るということは当然の結果でありますが、この失業問題をどう解決するか、非常に極端な場合を考えると、何百万人がただちに失業者になるという結論も出ましようが政府としてはなるべく、一時の何百万人が失業するというような、極端な政策はとらせないようにする考えであります。それからまたその間には失業と言いますか、産業の復興なり、あるいは外資の導入なりできて、淘汰された人が、あまり急激な変化あるいは非常な困難をこうむるといいますか、それを受けるようなことのないように、極力緩和する方策を講じたい、こういう考えでおります。しかしながらただちに三割とか四割とかいうことは私は申したことはないのであります。ただ方針だけを申し述べておるのであります。
  9. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 少しこまかくなりますが、なるほど失業問題ということについては、非常に愼重を要することであるとは思います。しかしこれに対する配置轉換あるいは失業対策退職手当金問題等がからみますために、相当問題であるとは思いますが、現在行政整理を断行しなくちやならない。企業整理を断行しなくちやならぬという段階におきましては、民自党がかつて天下に豪語いたしました、われわれが天下をとれば自由経済に復帰する、こういう方向に進むのだ、こういうことを言つて今日まで來られたのであります。從つて今すでに鉱工業生産につきましても相当の業績が上りまして、大体基準年度の五割五分程度までは上つておるこの際におきまして、こうした行政整理を敢然と行い、一方その一歩を進めて行くということが、一番かんじんなことであろうと思うのであります。そこで一体予定された政府予算定員というものと、実人員とは相当の開きがある、こういうことを発見するのでありますが、非現業部門の本年度末までの人員といたしましては四十七万となつております。しかしこれは予算人員でありまして、実際の人員は約三十一万である。それで実人員の約五割、十六万の差が出ておる、こういうのが現状であります。昨年十月における一般人計の総職員について見ますのに、予算定員は三十九万五千五百六十八人となつておるのに対しまして、現員といたしましては三十一万九千七百六十五人となつております。その差を申しますと七万五千八百三人、こういうことになつておりますが、その一箇年後における今日の予算定員は四十七万となつております。実際今日の実情を調べてみますと、現員はほとんど増減がない。必然的な結果として十六万という差が今日できておるということを言わなければならぬと思います。これをさらに一般的に考えてみますと、百余万に達する職員、これは特別会計に属する者でありますが、さらに地方職員にしましても百余万と出ておる。こういう結果でありますが、一体この予算人員と実人員との差に対するこの予算額というものが、どこでどうして使われておりますか、そういうことについて総理に一應明確に、こういうところから間違いが起つてくるのではなかろうかということもありますので、今の三割程度とか、あるいは三割程度はできなかつたら二割やるとかいうことは、実際の現在数の人間を標準にしてやるのであるかというようなことを、はつきり答弁を願いたいと思います。
  10. 吉田茂

    吉田國務大臣 その点は私には非常にむずかしい、お答えしかねる問題でありますから、どうか主管大臣からお聞きを願いたい。数字については私はまつたく現在のところは知識がないのであります。はつきり申しますが、どうぞ御了承を願います。
  11. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 それでは主管大臣にお尋ねしたいと思います。次は大藏大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  12. 角田幸吉

    角田委員長 総理に対する質問はもういいですか。
  13. 赤松勇

    赤松(勇)委員 数点お伺いいたします。まず今の生悦住委員質問に対しまして総理は、所管大臣に聞いてもらいたい、こういうお話でございましたが、先般民主党川崎君の質問に対しまして、労働大臣からいわゆる官廳内における実際人員及び予定人員との食い違いが指摘せられまして、これは朝日新聞社説で問題になつておる。ことに朝日新聞社説によれば、これは國会及び國会が徹底的に究明しなければならぬ重要な問題であつて、いやしくもこういう重要な問題を等閑に付すべきではないということを指摘しておるのであります。私もきわめて同感でございまして、総理にそのこまかい数字をお尋ねすることは、これは事実上むりであります。ただ私はこの際お尋ねしておきたいことは、もしもこの輝員と実人員の間に、労働大臣答弁にありましたような、かような食い違いがあつたといたしますならば、総理大臣としていかなる責任をおとりになるか、またそれに対してどのような措置をお講じになるか、これをお尋ねしておきたいと思います。
  14. 吉田茂

    吉田國務大臣 これは私が御質問を受けて思いつきを申しても、あなたも御満足ができますまいし、私としても責任思いつきではあなたに対して済まぬわけでありますから、これは研究いたした上で答弁をいたしたい、どうぞそう御了承を願いたいと思います。
  15. 赤松勇

    赤松(勇)委員 それでは総理に敬意を表しまして、先ほど十分研究をしていただきまして、その所信を披瀝していただきたいと思うのであります。これは一議員質問ではありません。朝日の社説におきましても取上げております重要な問題でありますから、よろしくお願いいたします。  私は総理に対しましてはなはだ無礼な質問をするかもわかりませんが、怒らずに懇切丁寧にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。吉田内閣が組閣されまして、それに対しまして國際的な輿論がいろいろなことを言つておるのであります。たとえばロンドンタイムスは、吉田内閣保守反動勢力の最後の拠点である、こういうことを言つております。それから中國の大公報は、吉田氏の背後には、日本フアシスト勢力が時期の到來を待ち構えておる、こういうふうに言つておりますが、私はこういうことをなるべくならば信じたくはないのでございます。しかし、これは嚴然たる事実でございまして、こういうような日本の國にとりましてきわめて不利な國際的な輿論が起きております際に、吉田内閣総理大臣といたしましては、今後どのようにしてこういう國際的な不信を打開する方策を持つておられるか、その所信をお聞きしたいと思います。
  16. 吉田茂

    吉田國務大臣 この問題はしばしば受ける問題でありますが、ロンドンタイムスが何と言つたか、実は私は知らないのであります。——速記をとめていただきたいと思います。
  17. 角田幸吉

    角田委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕 ○吉田國務大臣(続) 外国の援助がなくては経済復興等もできないのみならず、講和條約の締結を総く見るためには外國理解が必要でありますから、つとめてこの理解には努力いたすつもりでおります。  もう一つお願いしたいことは、現内閣に対する批判は御自由でありますが、しかし考えていただきたいことは、私をもつて保守反動の権化のごとく吹聽なさつていただいては、現内閣の運命はどうでもいいのですけれども、国のためになりませんから、どうか諸君におかれても、政府の援助する意味ではなくて、日本復興を助け、日本に同情が集まるようにお手やわらかにお願いしたいと思います。
  18. 赤松勇

    赤松(勇)委員 もつとこれをお聞きしたいと思いましたが、総理せつかくの発言もございましたので、それでは具体的な問題に入ります。まず第一にお尋ねしたいのは、十八日の衆議院労働運輸連合審査会におきまして、民主党の中曽根君の質問に対して、首相はかように御答弁をなさつておられる。財政は非常に窮乏しており、このままではとうてい財政は維持できない。のみならず課税をすればそれがインフレの原因になり、一般國民の生活を脅かすことになるので、どうしても政府の経費は節減しなければならないと思う。これはきわめてごもつともなお考えでございます。そこでお尋ねしたいのでございますが、いまだこれは政府が公に御発表なさつておりませんが、大体新聞の報ずるところによりますならば、政府所得税自然増百十億を見込んでおられるのでございまして、しかもこれがさらに水増しになるという傾向もあるのでございます。從いましてこのことは当然來年の三月までの確定申定の上に非常に大きな影響をもたらしますので、從つてこれが國民への重税になつて現われて來るということを考えます。この点につきましては後ほど大藏大臣質問いたしますが、総理所信をお尋ねしておきたいと思います。
  19. 吉田茂

    吉田國務大臣 税務署等において課税徴税について非常に苛酷であるのみならず不法であるということを、二、三日前商業会議所代表者からも直接に陳情があり、私個人としてもいろいろな方面から聞いております。日本財源が枯渇しているものでありますから、大藏当局としては自然の増收ということを、あるいはその手段も苛酷に流れ、あるいは実情に即しないような徴税方法が事実あるかと私は思うのであります。この点については大藏省当局にもしばしば注意するのみならず、税法それ自身についても、改めなければならないものもあるのでありましようし、徴税方法についても十分実情に即したようにしなければならないという必要は、私自身が深く心配いたしている点であります。この点はどうぞ私において全然無関心であるのではないのでありますから、この点を御承知願います。
  20. 赤松勇

    赤松(勇)委員 今月の九日あなたの方の民自党第二回大会で、取引高税を廃止するという緊急決議がなされました。大体政府構想では——私は民自党の人に聞いたのでございますが、一月一日から廃止するような議員提出の形の法律案を出す。一月一日から年度末まで九十億円のそれを見込んでおるということを聞いたのでございますが、総理のお考えとしては、取引高税の廃止の措置を、少くとも今國会中におとりになるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  21. 吉田茂

    吉田國務大臣 また個人になりますが、私一個としてはなるべく早く取引高税は廃した方がいいと思います。しかしこれもすでに予算に組んで財源一つなつておるものでありますから、そう簡單に即時撤廃というようなことは、大藏省としては事実できないだろう。これは大藏当局に無理をしいるものだと思うのであります。また取引高税については大藏省としても研究の結果出して來たので、相当理屈を持つておるように思います。その理屈も聞いております。しかしながら税そのものとしては、どう考えてみても惡税じやないかと思います。またこの点については私も大藏当局の話を直接聞いておりませんから、自分感じだけで申すのでありますが、なるべく早く撤廃した方がいいのではないか。一つはこれにかわる財源について、当局者も大分心配しておるようであります。のみならず、取引高税がいいという人も、いわゆる関係方面にもかなりあるようであります。これらも説得しなければならず、そうすると即時撤廃ということは、正直に申すとはなはだむつかしいことであると存じますが、現内閣としてはなるべく早く希望應ずるよう——國民の多くは取引高税反対であるように考えられますから、その希望應じたい考えております。
  22. 赤松勇

    赤松(勇)委員 よくわかりました。民自党緊急決議と、実際に総理が政局を担当された場合には、やはり相当大きな違いが生じて來るのでございまして、その点は十分わかるのでございます。ただ総理からその点を明らかにしておけばけつこうでございます。  そこでお尋ねいたしますが、緊急政策の中に、政界官界財界粛正を徹底するということを言つておられますが、これはただ檢察廳にみにその措置をまかしておくという意味でございますか。もしそうでないとすれば、吉田内閣はどういうような形で政界官界財界粛正をおやりになるのか、大体の輪郭を伺いたい。
  23. 吉田茂

    吉田國務大臣 これはたとえばそのときの内閣が、政策にこれを利用するというふうな感じ國民に與えますことは、結果によいてよくないのでありますから、委員長を設けて——今日は工藤君がその委員長なつておりますが、とにかく世間から見て、粛正を名として党利党略をはかるような疑いを持たせないことが大事であると思います。その次に委員においても、委員の人選も相当にいたしまして、各省のだれが委員に人選されているか知りませんが、なるべく公平に、だれが見ても國民が納得のいくような委員を集めて、最も公平に、しかも國民から疑惑を受けないような構成方法でやつてまいりたい、こういう考えで專らその点についても研究を進めております。何しろ工藤君がいま病院へ入つておるものですから、多少停頓しておりはしないかと思いますが、係りにおいては相当研究を進めており、工藤君の退院とともに、この委員会構成はなるべくすみやかに決定いたしたいというつもりでおります。
  24. 赤松勇

    赤松(勇)委員 やはり緊急政策の中に、國家の再建を阻み、社会秩序を混乱させる思潮を排撃するということを言つておるが、先般十八日の衆議院労働大藏運輸連合審査会におきましても、総理共産党組織による働きなり目的は、政治運動である、政治目的のために労働爭議を利用することがあつては、國家として考えなければならぬ。そういう必要のため法をつくるということは喜ぶべきことではないが、そのような事実があれば考えなければならない、かういうことを言つている。さらに大会宣言の中には、われらは外國情勢を深く省察し云々ということがうたわれている。芦田内閣総理大臣に前に質問したことがあるのでありますが、芦田内閣総理大臣は、共産党に対しましては、特別な取締を必要とする構想をお持ちになつておられるような氣配が見えたのでございます。たとえば非日活動委員会というようなものを國会内につくるようなことも、当時そういう氣配感じられたのでございますが、御承知の通り今日はわが國の、たとえば平和会議を迎える心構えにいたしましても、また國家百年の大計を立てる場合におきましても、私どもはただ單に——もちろん点領されておりますから、アメリカ占領政策は尊重しなければなりませんが、同時にアメリカ國内の政治情勢が非常に急変しつつあるということ、また御承知のように極東方面におきましても、今や中國革命を中心といたしまして非常に情勢がかわりつつあることを私は考える。日本は中國大陸に依存しなければ、日本だけではやつていけないのだということを考え、またこの考え方の上に立つて、一切の政策をやらなければならぬと思つておるのでございますが、すでに中國におきましては、蒋介石はアメリカに亡命しなければならぬというようなことさえも言われ、民主人民政府が樹立されることも予想される段階にきておる。このようにアメリカトルーマン大統領の当選によりまして、またアメリカ組織労働者民主的前進によりまして、アメリカ政治情勢がかわりつつあり、極東政治情勢もかわりつつある。いわゆる國際情勢全般がこういうふうにかわりつつあるということは、吉田民自党総裁民自党大会における宣言の、われらは外國情勢を深く省察しというこの省察の意味でございますが、これは講和会議とも関連いたしますし、本委員会に上程されているこの國家公務員法の問題とも関連いたします。私の根本的態度を申し上げますならば、私は労調法反動法規であると思う。これは第一次吉田内閣で、厚生大臣は河合さんでございましたが、当時私はこの労調法に全面的な反対をいたしました。この労調法に引続き國家公務法が第二回國会において再度修正され、また今國会にこれが出されて來ておるのでありますが、これらの一連法規は、私は全部反動的な法規だと考えております。決してこれは進歩的な、日本民主主義前進させる法規とは私は考えていない。從つて私は國際情勢変化につれて、近き將來日本がほんとうに平和会議を参加する條件を整えようとするならば、当然これらの一連反動法規というものは、全部廃止されなければならぬ、そういうふうに考えているのであります。また吉田内閣総理大臣が、あるいは芦田総理が、共産党に対してお考えなつているような点、あるいはまた少くとも資本主義反対する社会主義勢力に対してお考えなつている点、これらの諸点は、その観点なり、そのイデオロギーなり、そういう考え方なり、またそういう政治意識というものが基本的に修正されなければ、私は日本の國のために非常に不幸だと思う。先ほど吉田内閣総理大臣は、自分をなるべく保守反動を呼んでくれるな、自分個人においては意に介しないが、それは日本の國のために惡いだろう、こういうお言葉でございましたが、これはなるほど吉田内閣総理大臣でなくて、吉田茂個人といたしまして私はそういう氣持はよくわかるのであります。しかしそれならば吉田さんはこういうような一連反動法規が今この議会にかかつているこれに対して、あなたは日本の自主的な立場から、これに対するところのはつきりした態度をなぜおとりにならないか。われわれは世界情勢に省察して、この世界の動向と歩調を合せつつ、日本民主主義を確立しなければならぬが、そういう民主主義への前進の姿をとるのか、それともいいかげんな、民主主義ではないが、占領されているからやむを得ないのだというような、中途半端な氣持で、こういうような一連法律案なり、あるいはまた國際情勢に対処して平和会議考えて行くというような、そういう怯懦な氣持では私はだめだと思います。そこでこの際吉田内閣総理大臣は、日本人としてひとつ明白にあなたの心境を、あなたの大会宣言で言われた、世界情勢を省察して、そして今後の日本民主主義はどうならなくては、ならないか、またこの法案が、ほんとうにあなたが日本の國のために考えて、これはほんとうに民主主義のために役立つ法律であるかなかいか、あるいは非日活動委員会というようなものを將來つくる氣持があるかどうか、共産党及び資本主義反対する一切の社会主義勢力に対するあなた自身のお考え、そういつたものをば、この際明白にしておいていただきたいと思います。
  25. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えいたしますが、共産党々々々と言つて徳田君の主の前でもつて共産党を攻撃するつもりはありません。私の言う共産党惡い共産党で、徳田君の率いらるる共産党と、ただちに一致するものでないことを一應お断りをして、徳田君の了解を求めますが、これはこの間の人事委員会でありましたか、そのときにも説明いたしました通りに、今敗戰後といいますか。戰爭後の今日、これは日本ばかりではない、世界的に思想の混乱があると思います。いわゆる共産主義にも混乱があり、また社会主義にも混乱があるのではないか。現にロシヤのごときは、みずから共産党と言わずに社会主義だとこう言つているようなわけで、何が共産主義であるか、社会主義であるか、イデオロギーとして、あるいは学者としての相当の見解があるでありましようけれども、私の言う共産主義は、日本復興を害する、あるいは労働爭議を起して、日本の生産を減産に導くような爭議を指導するような共産主義は、私ははなはだ困る、こう思うのでありまして、ただちにもつと徳田君の共産党がやつているとは申さないのでありますが、いわゆる共産主義が使嗾しておるとか、何か俗に言う共産主義は困る。ことに私の氣にかけているのは、教職員の共産分子といいますか、少くとも徳田君の党員でない共産分子が、いろいろ教育の上において、地方等においてずいぶん父兄等に迷惑をかけている事実もあるようであります。そういう日本の教育を誤るような、あるいは小学校教育その他の教育を害するような共産主義は困る。この勢いが今なお継続されて、そして生徒は学校にも行けないというようなことになつて、眞の教育の目的を害するような運動をする者がありますが、それはいずれ取締らなくちやならぬと思います。これはただに日本ばかりでなく、アメリカにおいても、イギリスにおいても、かかる法律はこしらえようとし、もしくはこしらえんと、目下枢機の地位にある者に、そういう氣持の者は困るという考え方は、現にあるわけであります。日本においても、今のような教育の地方の教育なり、中央の教育なりの目的を阻害するような運動は、これは何とか國家として取締らなければならぬ。こういう氣持でおるのであります。そういう氣持でいるということを御了承願いたい。  それから……。
  26. 赤松勇

    赤松(勇)委員 それから芦田総理は、非米活動委員会みたいな、非日活動委員会というようなものを、必要とあらばつくるのだということを言つておるが、あなたはそれに対してどう考えになるか。
  27. 吉田茂

    吉田國務大臣 芦田君の意味はよく存じませんが、いずれにしても、國家の活動を害するような運動は、これは取締らなければならぬ。こう思います。  それからもう一つ……。
  28. 赤松勇

    赤松(勇)委員 平和会議——つまりあなたは世界から保守反動だと言われている。これは日本のために不幸なことであります。そこでアメリカ情勢がかわつて來た。トルーマンが大統領になつた。それから中國も民主人民政府ができようとして、滔々として世界はかわりつつある。社会主義勢力民主主義勢力が非常に高まりつつある。そういうときにあなたは平和会議と関連して、それに対してどう考えるか。
  29. 吉田茂

    吉田國務大臣 中國の問題について、私は中國の共産党の活動、あるいは國民政府が倒れて共産党政府ができても、これは通俗にいう共産党政府でないだろう。というのは、中國人は中國人の一種の性格があつて、かりに共産党政府ができても、それがソビエトと相通ずるものと私は思わないのであります。もし中國がいわゆる共産化されて、共産党が各地にはびつこたとしたところが、これは中國の共産党であり、実質においては中國人であつて、その間中國の、何といいますか、実際によくアダプトするアダプタビリテイーが、中國的に適当に改造して行つて、中國という國はそう極端なことをせずにすむのじやないか。これは私の中國における体驗から申すのでありますが、中國の共産党政府なるものを、そう蛇蝎視する必要は私はないと思う。まず成立した上でお手並を拜見して考うべきものであつて、そう極端な共産主義政府が樹立せられることはないだろう。現に蒋介石自身が、御承知のようにボロージンの弟子として出て來た。そうしてそれが今日の國民政府なつておるのでありますから、中國には中國の、おのずから中國流がありますので、一緒にこれを共産党考え、もしくはソビエトに筋に引いた政府になるかというようなことは考えられないと思います。しかし今日われわれは世界において、民主主義の勢力というものは、滔々として、ことに戰後この主義は非常な発達を遂げておる。また日本が眞に民主化することによつて、連合國その他の、あるいは世界の思潮からして了解の受けられる國体になるので、この点に対しては、私は國民あげて眞に民主主義研究し、民主主義國家を打立てることによつて、すなわち再び軍國的の氣風とか、あるいは超國家的の國家に逆もどりをするということは断じてないということを、國民の決意として世界に、日本國民あるいは日本國家の性格を了解ができるように、世界の民主的の思潮がすなわち日本の思潮であるということを、世界的に了解せられるように國としても努めることが、講和條約を一日も早く締結せしめるゆえんであり、また日本復興をすみやかならしめるゆえんと考えるので、民主主義の徹底についてはあくまでも、——私はもちろんでありますが、民主主義日本の民主化というものを徹底せしめるということに、國をあげて努めなければならぬ、これが日本國益でありまた日本復興をすみやかならしめるゆえんと確信して疑わないのであります。
  30. 赤松勇

    赤松(勇)委員 実は全然考え方が違うので、これ以上申し上げてもやむを得ないと思いますが、ただ私は明白に言つておきます。私の質問しましたのは、いわゆる民主人民政府が中國にできても何ともないとか、あるとかいう問題でなくて、たとえば日本が経済的に將來建て直すならば、そういう場合のことをも考えて、これは講和会議と関連して、もつと言いかえれば、一國依存の政策を捨てて、もつと大局的な立場から、世界の動向に目を向けなければならぬのじやないか。こういう意味のことを申したのでございますが、まずこういうことを質問することも、またお答えを期待することも困難でございますから止めます。  もう一点明らかにしておきますが、総理國家の利益を阻害する云々という言葉でございますが、われわれの考え方から言いますならば、二つの階級がアウフーヘベンされたそういう國家というものはあり得ない。明白に現在の資本主義國家は、金融資本を中心といたしますいわゆる資本家階級の國家である。從つてこの國家の内容は、一つの階級によつて独占されておるのでありますから、いわゆるその政治権力は、早晩われわれの手に頂戴しなければならぬ。社会党が連立政権に入つても、單独政権をとりましても、それによつて民主主義革命が、社会党命が完全に行われたとは言へないのであります。こういう点につきましては、残念ながらいわゆる資本家階級を代表なさいます吉田内閣総理大臣と、いわゆる民主勢力を代表する私どもとは、根本的に考え方が違うのでございまして、これ以上答弁を求めましてもやむを得ない。結局これはあなたと私とが、はなはだ不幸な戰いでございますが、戰いの過程を通じて、どちらが多くの勤労大衆や國民を獲得するかということによつてきまる問題である。こういうふうに考えまして、私の質問を終りますが、その前に一点だけお尋ねしてみたいと思います。  それは、これは私の方から出しました法務総裁なのでございまして、はなはだ申訳ないわけでございますが、法務総裁が、昭和二十三年政令第二百一号の解釈について説明をいたしました。これは政府側の正式の見解として、芦田内閣の正式見解として発表されたものでございます。こういうことを言つております。元來連合國最高司令官のいわゆる要求は、別に一定して形式をなすものとは限られているものではない。その要求であるかいなかは、同司令官の表示された意思の解釈によつて定まるのであつて、それが書簡であるかないかによつて決せらるものではない。こういうことを言つておるのであります。そこで私はこの点につきましては疑義があるのでございますが、先般総理人事委員会のだれの質問でございましたかよく記憶しておりませんが、その質問に対して、すなわちマツカーサー書簡が命令であるのか、あるいは單なる勧告であるのかという質問に対しまして、これは要求を含む勧告である。こういう御答弁をいただいたのでございます。これは吉田内閣総理大臣の方が前の芦田内閣の解釈よりもよほど進歩的だと思つて、実は敬意を表しております。そこで再度お尋ねいたしますが、ただいまの連合國最高司令官のいわゆる要求は、別に一定した形式においてなされるものとは限られているものではない。その要求であるかいなかは、同司令官の表示された意思の解釈によつて定まるのであつて、それが書簡かいなかによつて律せられるものではないと思うのですが、この点につきまして、芦田内閣と同樣の見解を持つておられるかどうか、これをひとつお尋ねしたい。
  31. 吉田茂

    吉田國務大臣 当時の芦田内閣に與えられた勧告なるものがどういう事情、どういう意思でもつて司令官が與えられたかしれませんが、すでに政令となつた以上は、芦田内閣がこれを政令として発表したことから考えてみまして、私はそれが勧告だろうと実は思つておつたのですが、この問題が出ましてから、書簡を読み直してみますと、やはり一種の要求であつて、要求であるがゆえに芦田内閣としては政令の形で発表したのだろうと想像いたします。
  32. 赤松勇

    赤松(勇)委員 もう一つでおしまいです。吉田内閣総理大臣は、世間では一般に國士的な人物だと言つておる。別におだてて答弁してもらおうという卑しい氣持は持つておりませんが、私がなぜそういうことを申すかというと、それはあなたが日本の國を愛する。そして日本の憲法を擁護する。日本民主主義を擁護するのだという、烈々たる日本人的な氣慨をもつて答弁をお願いしたいと思つたからであります。他意あるわけではございません。今度の國家公務員法の改正案は、もちろん政府提出法案でございまするから、吉田内閣総理大臣責任において出されたものであるということは了承します。しかし少くともこれは前内閣総理大臣が、マツカーサー書簡を受取つて政令を出し、國会が開かれていなかつたために、この法案を審議するためにこの國会が開かれた。ところが先般來新聞やラジオを通じて私どもがいろんな世論を総合してみますと、要約してこういう声が非常に強いと思うのです。つまり國民は解散を要求しておる。これは事実なんです。私たちもほんとうを言えば一日も早く解散したい。これはうそでも何でもありません。実際解散して、新しい形において出直さなければならぬということは、しみじみ考えております。特に芦田内閣に入りました社会党といたしましては、その道義的、政治的責任を十分感じております。感ずればそこ一日も早く解散をいたしまして、國民の批判、審判を仰がなければならない。これは政治家の当然の道義的な責任でございまして、その点におきましては私はどこへ参りましても、その態度を明白に國民に謝罪しておるのであります。そこで早期解散ということが問題になるのでございますが、この國家公務員法は勧告にしろ、命令にしろ、要求にしろ、とにかくマツカーサーの書簡として出された。そして前内閣が政令として出し、今度の内閣が改法案として出して來た以上は、嫌でも應でもこれを審議しなければなりません。この法案を本委員会が否決しようが、國会がこれを否決しようが、あるいは根本的な大修正をしようが、これは國会自身の自主的な権能だと私は思う。日本國民みずからが決定すればいいのである、ちつとも命令、勧告ということにこだわる必要はない。私はそういう考え方によつてこの審議を進めておる。ことにこの際考えていただきたいことは、解散ということは一回だが、この法律の制定ということはいわば恒久的なものです。アメリカの陸軍長官は、緊急事態に應じた暫定的なものだというふうな声明をいたしましたが、かりにそうだといたしましても、一つ法律案なつて出ました以上は、恒久的なものとして理解しなければならない。解散ということは一回なんです。一箇月もしくは二箇月解散が遅れたから、早くなつたからということで、この法律案の審議をいいかげんにするということは、日本民主主義を守るという烈々たる氣慨を持つた吉田内閣総理大臣は、おそらくとられるところではないと私は思います。これはいろんな違切論があるのです。内閣総理大臣承知のように、二日間にわたつて公聽会を開きました。あのタフト・ハートレー法が制定されるときなんかは、実際アメリカでは非常に愼重態度をとつてあの法律案を審議している。この間の公聽会を開いたときに、あなたの毛ぎらいされている労働組合の諸君の主張は別といたしましても、これはあなたも尊敬されていると思うのでありまするが、学資経驗者で今日本労働問題の権威者と言われといる鮎澤さんにいたしましても、末弘さんにいたしましても、あの公聽会に現われた空氣というものは、ほとんどこの法律案に対しましては全面的な反対なのだ。さらにそれは違憲論の立場からも反対論が出る。あるいは日本民主主義擁護という立場からも、そういう意見が出ている。いろいろな立場から出ておりまするが、いずれにいたしましても、この法律案が進歩的な、民主的な國家にとつて、また國民にとつて、緊急欠くべからざる法律案である。絶対にこれを制定しなければならぬというように考えておられるのは、東宝の渡邊社長——あなたの党員でたしかこの前落選しましたが、あの渡邊社長ともう一人は大塚萬丈です。しかしこれなら積極的に反対しない。反対するとはずかしいものだから、公聽会の途中であの人は逃げて帰つてしまつた。共産党徳田君にぎゆうぎゆうやられたので途中で逃げて帰つてしまつた。そういうわけであの公聽会に呼ばれた人たちの中で、賛成意見を持つていた人は二人なんだ。あとの人は全部反対なんだ。これは委員長も知つております。これは何もわれわれが人選したのではない。委員長を中心に、それからあなたの方の理事民主党理事、小会派を代表して労農党の玉井君、それから私、これだけで人選した。きわめて公平に反対論者と賛成論者を呼ぼうとした。その際に委員長も御存じだが、賛成論にだれを呼んだらいいかというので、賛成論を呼びのに困つたくらいなんだ。こういうように一部の資本家は別といたしましても、日本のあらゆる階層の人たちが、ほとんどあげてこの法律案反対している。その公聽会に現われた空氣を、吉田総理は無視してはいけない。そこで私の言いたいのは、政府は前に十五日であげてくれと言われているが、わずか四日や五日でこんな重大なものが審議できるわけはない。会期は今月末です。今月末までにこういう重要な法律案をいい加減に片づけるということは——これは党の意見ではありません、私個人の意見といたしましては、実際問題として責任を負わなければならぬ。これを審議決定いたしましたならば、責任を負わなければならぬ。ある意味から言えば日本民主主義を阻害する法律案には、私は軽々には賛成することができない。あなたも言われましたように、書簡の中には、ベースの問題とこれと、この二つの問題を同時に審議しなければならぬという意味のことが言われております。先般総理に対しましても、私は新賃金ベースとこの法律案と同時に審議すべきであるという決議案を出しました。幸い各党の御賛成を得まして院議をもつて決定されたのでございまするが、まずあなたにお尋ねしたいのは、この院議を尊重されるかどうか。賃金ベースとこれとを、同時に審議しなければならぬという院議を尊重されるかどうか。尊重するとすればどのような形で尊重するか。さつき生悦住さんの質問に対しましては、あなたはいろいろなことでちよつと今明答はできないと言われましたが、少くとも院議を尊重される以上は、この点について明快な答えをお願いしたい、これが第一点。  第二点といたしましては、この法案を今國会中に全部審議して賛成してしまえというような——賛成しろとはおつしやいませんが、なるべくなら賛成してもらいたい。今國会中に全部審議してしまえということは、いかにどこのだれの要求でありましても、私は無法に近いと思う。それでこれがもしも十分に審議できないで、悔いを後に残すということがあつてはいかぬから、本國会中に審議してしまわないで、十二月一日に開かれる通常議会にその審議をゆだねるか、この二点について総理大臣にお答えを願いたいと思います。これで私の質問を打切ります。
  33. 吉田茂

    吉田國務大臣 今お話によると、あなた個人としての意見ということでありますから、党についての考えを申してもいたし方ありませんが、御承知のごとく、この公務員法は、七月のマツカーサー元帥の書簡によつて政府がこれを了承して、特別議会を開く、その芦田内閣なるものは、社会党及び民主党の連立内閣であつて、党議として賛成せられたからこそ、当時の政府が公約もし、またこの特別議会を召集することになつたのであろうと想像いたします。とにかく形としては芦田内閣に始まつて芦田内閣が公約して、特別議会を召集されたのでありますから、——これは私どもとしての想像であるかもしれませんが、とにかく民主党においても社会党においても、公務員法に対しては、党議としては異議のなかつたものであろうと私は想像するのであります。ゆえにこの公務員法はさほどあなたのおつしやるように、國民反対するものであるとか、あるいは公聽会でどういうことがあつたか、私は病氣であつたものですからその経過は知りませんが、とにかく議会に多数を占めておられる社会党、民主党が党議として決定せられたものであつて、すでに当時の與党としては研究を積まれたものであると心得ておるのであります。ゆえになるべくすみやかに上げてもらいたいということは、本会議においてしばしば私が説明いたしており通り、すでに何月かたつて、しかも党議として特別議会を召集することまで約束せられたのであるから、研究はすでに積まれておるのであろう。そう長い時間を要するのではあるまいからというので、十五日とか十六日とかいう希望を申し述べたのであります。しかしお話のような、國民として反対であるとか、あるいはあなた個人として御反対はとにかくとして、國民がさほどに反対しておるということは、私は了承しがたいのであります。またわれわれとしても現下の労働情勢労働問題の解決の上からいつても、その労働問見の一端を解係する一つの基準ともなるのであるから、なるべく早い機会において協賛してもらいたい、こう私は思うのであつて、実はこの議会において、かほど審議が延びるとは予想もしなかつたゆえに十五日とか十六日とか申したわけであります。それでむろん議会の審議は御自由であります。いかに審議されようが、あるいは改正されようが、それは議会の議決権の自由であつて政府として希望したり、また要求もすべきものではありませんから、これはあえて要求も何もいたしませんが、しかし私の了解としては、議会における多数党がすでに了承せられたものならば、さほど時間もとらずに審議が結了するであろう、またしてもらいたいものである、こういう希望を申し述べたわけであります。給與の問題については、先ほどここで申した通り、政府としては極力その調査に日夜苦慮しておる次第であります。しかしこれも先ほど申した通り、財源関係とかいろいろな関係の協議がまだ整つておりませんから、いついつかまでに出すということは明言できない。しかしなるべく早く出したいという考えは持つておる。これ以上は申し上げられません。
  34. 赤松勇

    赤松(勇)委員 ベースの問題は大藏大臣に聞きます。あなたに聞くことはむりでありましようからやめましよう。  それから社会党も民主党も賛成しているということですが、民主党はよく存じませんが、社会党としては全然この法案につきましては相談にあずかつておりません。芦田内閣でも政府原案をつくるためにいろいろ関係方面と折衝しておつたが、党とは全然無関係です。  それから私が先ほどからお尋ねしていることは、こういうことです。この重要法案を審議するために、今度の臨時國会は今月末までに限られておる。あなたはそうはおつしやいませんが、政府方面や新聞、ラジオその他はいろいろな放送をしておる。それによると今月の末までに早くこの法案を通過さしておいて議会を解散するのだということをよく聞くのです。ですからこの解散でおどかしながら、この法案の審議を早くしろ早くしろというようなふうにも、実際われわれの方としては受取れるわけであります。それであなたにお尋ねしたいことは、こういうような重要な法律案であるから、そういうような解散問題を拔きにして十分審議できるようにしてもらいたい。あなたは今月の末、もしくは來月の初め解散する、解散すると言つているが、その解散についていろいろな風評が立つている。そこであなたから明確に解散に対する所信を伺つておきたい。
  35. 吉田茂

    吉田國務大臣 私の所信はこの間十五日でありましたか、本会議において述べた通り、この内閣は少数内閣であつて、あるいは片山委員長お話であつたか、選挙管理内閣である。現内閣が管理内閣とは言われなかつたのでありましようが、管理内閣をつくるべきであると言われた通りに、私の内閣としては、公約された公務員法を通して、しかる後に解散する、そして信を國民に問う。これが民主主義であるということについては、過日本会議において施政の演説と考えて述べた通りであります。その所信をもつて邁進しております。
  36. 徳田球一

    徳田委員 簡單に吉田総理に御質問申し上げます。  この法律の二條の一番しまいのところですが、「前項の規定は、政府又はその機関と外國人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない」とありますが、そうすると政府は、また政府の機関として外國人と相当廣範囲に雇用契約をするつもりですか。
  37. 吉田茂

    吉田國務大臣 お答えいたします。実は私もあまりよく知らないのですが、人事委員長の話によると、そういうつもりはないということです。
  38. 徳田球一

    徳田委員 つもりはないうということですが、これは非常に重大な問題です。こういうことをしますと、外國人は日本人と別で、日本人はこういうきつい法律でしつかりおりの中に入れられてしまつているのに、外國人の雇用は別だということになると、外國人はかつて氣ままなことをする。これではいけない。外國人といえども雇われる以上は全体に平等でなければならない。こういう除外例を設けることにしますと、これは日本外國の属國みたいになりますな。かつて外國人法律雇問であるとか、財政雇問であるとかというのがあつたと同じように、吉田さんは外交官としてなかなか御経驗が長いはずでありますから、こういうものはあまり——どころではない、民族としては非常に恥辱だと思いますが、こういうつもりがないならば、いつそのこと氣持よくすぱつとやつたらどうです。
  39. 吉田茂

    吉田國務大臣 ただいま教わつたところによりますと、これは雇い外國人等を指しておるのだそうであります。つまり政府が雇つておる外國人等のことを意味しておるそうであります。
  40. 徳田球一

    徳田委員 そういう場合でありましても、この法律から除外するということはどうですか。どんな人間でも少くとも日本において日本政府が雇われる以上、日本の法律に從うべきは当然であつて日本の法律外にしますと、これは治外法権と同樣な権利になる。そういうことをするということになりますと、これは一大事ですが、それでもなお政府はこれを強行するつもりですか。あつさり削るつもりはありませんか。
  41. 吉田茂

    吉田國務大臣 非常にむつかしい問題ですから、政府委員からお答えするようにいたします。
  42. 徳田球一

    徳田委員 それならあとで聞きます。あなたに聞くのが主でありまして、政府委員はいずれまたゆつくりもみますから……。
  43. 角田幸吉

    角田委員長 それではこれにて休憩し、午後一時半から再開いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後五時五十三分開会
  44. 角田幸吉

    角田委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。
  45. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 待ちに待つた大藏大臣がお見えになりました。きようは抽象的な御答弁でなくて、ほんとうにこの程度まで進んでおるという、はつきりした御答弁を願いたい。いつまでも愼重に考慮中でございますなんということを言わないで、お願いいたしたいと思います。政府は昨日來非常に熱心に新給與ベースの問題、追加予算の問題について檢討されているやに承つておりますが、本法案密接不可分にあります新給與ベースについて、政府はいつごろ決定するか、またいくらに策定するのか、こういうことについて、まずそれから御答弁願いたいと思います。
  46. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。新給與ベースの問題は、御承知の通り人事委員会の御提案を基礎といたしまして、政府の見解を今日その結論に到達いたすべく努力をささげておる次第でございます。しこうして、おおむねその結論も近きにあるものと期待いたしておるのであります。しかしながら、ただいま生悦住さんの御要求に、十分の御期待に沿いかねます点は、その裏づけをなします予算の面におきまして、いまだ正確なる予算計画が成立いたしておりませんので、この点はどうぞ御了承願いたいと思うのであります。
  47. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 やや進行しかたのような御答弁でありますが、しかし、私がけさほどから総理にも質問をいたしたのでありますが、民自党が今日まで唱えられたようにこの財源はどこにでもある。簡單に言えるのではないか。それほど御苦心なさる必要はない。経済の三原則によつて政府は今後やつて行くであろう。しかし民自党が今日まで唱えて來た自由経済復帰については、一番絶好のチヤンスが参つたのじやなかろうか。そこで私のお尋ねしたいと思いますことは、物價改訂を行うのかどうか。賃金の安定策については、賃金をまず安定さして、そうして物價の改訂をやるのか、物價改訂をやつて賃金を安定せしめるのか。この点について大藏大臣にお尋ねしたい。
  48. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。公務員の新給與の設定の問題に関連して、物價を改訂する考えは持つておりません。なお賃金の面につきましては、國家公務員の賃金は、当然改訂せらるることに相なりまするが、これに関連いたしまして、民間の一般賃金につきまして、格別の尊置を講ずる考えは持つておらないのでございます。
  49. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 今の御答弁によりますると、物價改訂は行わない、賃金は安定する、こういうふうに了解してよいわけですか。
  50. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 前者についてはその通りでございます。後者につきましては、賃金安定をこの際はかる、かようのことを申し上げたのではございません。
  51. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 それでは賃金を安定しないで、どうしようというのですか。賃金安定策についてどういうふうに考えておるのか、こういうことを言つておるのですから……。
  52. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 官公吏の給與の問題は、物價に織り込まれる一般の賃金とは、その性質がおのずから異なるのでございます。かようの意味合いをもちまして、当然それが物價に響いて参りますものとは考えておらないのであります。しかしながらその実際の面におきましては、官公吏の新給與ベースにして、その適当なるところを逸脱する、かようのことがありとすれば、それは、その結果といたしまして、必ずや一般の幡金並びに物價の上に相当の影響をもたらすもの、かように考えておるのでございまして、問題はいかにしてこの官公吏の給與を、適切なる面に調和せしめるか、その点にあると思うのでございまして、幸いにこれがすなわち國民経済との調和、また國家財政との均衡と申しますか、財政にマツチするようなものを得られますあかつきにおきまして、さまで心配はないものと考えておる次第でございます。
  53. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 それではこの新給與ベースについては、国家財政との見合いにおいて、さほど心配せずに新給與ベース財源があるということに解釈していいわけですね。
  54. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。さようの意味合いの財源を調達すべく、目下苦心を重ねておる次第でございます。
  55. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 わかりました。私がここにおいてけさほども申しましたように、鉱工業生産が、基準年度から比べますと、五五%まで回復した、こういう時期におきまして今問題になつております補給金制度を全廃する意思が、安定本部長官としておありになるかどうか、これは実に五百十五億という大きな財源が補給金制度によつてまかなわれておる、そうして安定帶物價、しこうして傾斜生産方式、この二つの問題が、日本の経済原則の、つまり今日の日本の経済にベールをかけて、温存しておるというようなことになると思うのであります。しかしやがては世界経済に直結しなければならぬ。しかも敗戰後の今日までは、こうしなければ日本の基礎産業の復興をはかることができなかつたいろいろな條件がありましたが、日本は大体において回復の曙光が見える。ことに民自党が今日まで言つて來られた自由経済に復帰するこの機会において、この補給金制度をやめる安定帶物價と、傾斜生産の方式について再檢討する、こういう方面大藏大臣、兼経済安定本部長官の泉山さんは、いかなる考えを持つておられるか。  もう一つついでに申しておきます。これは今日商工大臣にお尋ねしようと思つたのですがあなたにお尋ねいたします。今日第三次製品のごときものは、ほとんど統制を撤廃していいのじやないかと考えますが、これもあわせてあなたの御意見を伺いたい。
  56. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 第一点についてお答え申し上げます。財政上の價格調整費、國家の補給金の問題でございますが、生悦住さんの御指摘の通り、これは今後できるだけ節約して行きたいと考えているのでございます。この点につきましては御承知の通り関係方面からも、すでに三原則の提示がございました通りでございます。しかしながら問題は急激なる変化は、財界に異常の影響を與えまするので、その間の実施の面につきましても措置と申しましようか、三原則の実施適用上につきましては、目下関係方面せつかく折衝を重ねている次第であります。なお今後の経済政策の向うべき道についての御意見を拜承いたしたのでありますが、まことに御同感に存ずる次第であります。  最後に第三次製品のお尋ねがございましたが、大体におきまして政府といたしましては同一の所見ではございますが、しかし問題は具体的に檢討いたしました上で、お答えいたしたいと、かように思うのでございます。
  57. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 こうしたように不必要な物にまで統制経済を現在行つている。それだからいらない人件費もいるし、いらない費用もたくさんいるということになつて來ますので、すみやかにこういうふうな物から統制を次々とはずして行くというふうにお願いしたいと思います。
  58. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 十分了承いたしました。
  59. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 政府は高能率、高賃金ということを言われておりますが、一体どういうふうなことが高能率、高賃金であるかということについてお伺いいたしたい。
  60. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 これは労働方面の問題と思いますが、私から安本長官として一言お答え申し上げます。  高能率、高賃金の方針につきましては、本内閣労働政策としてこれを掲げているのでございますが、これは、その実効を挙げますのは、帰するところ企業の合理化になるものと、かように思うのでございます。
  61. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 結局企業の合理化が高能率、高賃金ということはちよつと解しにくいのでありますが、それも一つのフアクターになると思います。しかし高能率、高賃金と申しますと、能率給を基本とする、いわゆる量と質とを基準に置く、こういうことでなければならないと思います。そういう方面から行きますと、現在家族手当を支給いたしておりますが、家族手当等の別の法律で別の方から支給することにして、ほんとうに高能率、高賃金をお考えになるのであつたならば、やはり量と質とに重点を置く、これがほんとうの高能率、高賃金ではなかろうかと思うのであります。從つてこの家族手当に対しては今後政府として、安本長官としてはこれをやめて、別の法律をもつて、こうしたような家族手当にかわるべきものをつくり上げるというふうな御意図はございませんか。
  62. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。能率を上げました賃金を上げてやる。これは企業合理化の方向に向つて進む手段であると私は考えるのでありまして、さようのお答えを申し上げたのであります。さらに展開いたしまして、しからばこの方法として家族手当の問題はどうか、かようの御質問と拜承いたしたのであります。家族手当につきましては、今日の段階におきまして適正なる限界につきましては愼重に檢討の上お答えを申し上げたい。かように思うのでございます。
  63. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 大藏大臣に、やや制度的なことでありますが、しかし大藏大臣として十分お考えなつておかなければならないことであると思いますから、この改正案の一点についてお尋ねしようと思うのであります。と申しますのは、このたびの改正案によりますと、人事院の権限を非常に強化されていることは、しばしば政府当局よりも説明があり、私ども改正案を一瞥いたしまして、ただちに了解されるとこめでありますが、この人事院の強化の問題について大藏大臣と関連のある点は、人事院が給與その他について政府に勧告するという問題であります。この給與等についての勧告を、政府がどのように取扱うかということが、非常に人事院の存立の意義、あるいは改正案全般にわたつての生命に関する問題だと私は考えているのであります。從つて人事院の勧告の法律的な精神と申しまするか、そして政治的に実際内閣がどのような重味でもつて取扱うべきであるか。その点についての大藏大臣の御見解をお伺いいたしたいのであります。
  64. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 ただいま御指摘の問題は、このたびの改正法律案の第二十八條の問題かと思うのであります。すなわち人事委員会におきまして、給與についてはその変更に関して内閣に向つて勧告する。かようの建前でございまするが、これはもとより勧告の二字の示す通りだと考えるのでございます。しかしながら政府はもとより、その勧告を尊重いたす建前には相違ないのであります。大藏大臣といたしましてはその勧告に基きまして、さらに財政的の見地におきまして、また経済安定本部長官といたしましては、経済全般の廣き視野に立つて、これを檢討して、要すれば適切なる意見を内閣に開陳し、その上で内閣としては結論を得られるものと、かように了解している次第であります。
  65. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 大藏大臣は勧告の文字が示す通りで明らかであるなどとおつしやると、この勧告ということが非常に私は軽く見られているのではないかという感じがしてならないのであります。近ごろ要求を含む勧告なんという言葉がしばしばこの委員会で用いられておりますが、私はこの勧告というのは、人事院の政府に対する強い要求である、こういうふうに考えられる。またそうでなければ意味をなさないと思うのであります。ただ人事院が諸般の資料を收集して、給與はこの程度になさるべきであるということを内閣に通達して、内閣では一應それを参考にするというようなことであつては、人事院の他の部分に対する権限が非常に強いために、給與に関する問題と均衡がとれない。これでは人事院の本当の使命を果し得ないと私は思うのであります。人事院はこの法律の適正なる運用について、またこの法律の目的を達成するために、その責任を負うということになつておるのでありますから、もしも政府においてその勧告を軽く取扱われることがありますならば、人事院としてはこの法律の目的達成のために完全にその機能を発揮し得なかつたことになると思うのであります。從つてただいま大藏大臣のお答えになつた趣旨のみをもつてしたのでは、私はこの改正案の勧告についての本当の性質が理解できないのであります。ただいまそう以上お答えをなさる準備がないということであれば、私はこの質問を打切りたいと思いますけれども、そう軽く取扱われるということでは相なりませんし、また十分これを尊重するというような、抽象的な言葉でこれを説明されたのでは、何ら價値のある答弁だと私は考えられないのであります。政治的にどのような取扱いをするか、私はむしろこの法律の趣旨は、人事院の勧告はほとんど全幅的に採用され、もしも人事院の意見にして、まだ眞に一般的に要求されておる給與水準に達しないということであれば、政府は進んでこれを増額するくらいな熱意がそこになけらぬば、この改正案の運営は意味をなさないと思うのでありますが、いま一度その点の御見解を伺いたいのであります。
  66. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。なるほどただいまお示しの通り、第三條に「この法律の完全な実施を確保し、その目的を達成するため人事院を設け、この法律実施の責を任ぜしめる。」とあるのでございます。しかしながら少くとも給與の勧告につきましては、政府は十分これを尊重すべき義務のございますことは、これを指摘できるのでありますけれども、ただいま御指摘のように、これを全面的に採用する、かような問題ではないのであります。必ずやさらに廣い、ことに財政の面におきましての檢討と申しましようか、提案と申しましようか、これらによりまして、内閣自体の責任において結論を得られるものとかように了解をいたしておる次第であります。
  67. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 その点につきましては後日また吉田総理にも伺つてみたいと思つておりますから、これに関連する質問は打切ります。ただもう一点、政府はこの委員会等においても、取引高税は惡税なりと、こう申しておられるのであります。またそれが惡税であるということを唱える國民も少くないのであります。この取引高税の廃止に関して、これまでの政府の御答弁では、これはできるだけすみやかに廃止したいという程度の御説明しかないのでありますが、取引高税はいつこれを廃止するということを明言していただければそれが伺いたいのでありますし、またそれが今いつということを明確に御答弁願えないとすれば、大体の見通しはいつごろできるか、その点について御答弁願いたいと思います。
  68. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。取引高税の惡税である、少くともあまり望ましい税金ではない、かようなことにつきましては、ほとんど今日國民の声であり、また各党においても異論のないところを理解いたしておる次第でございます。これが撤廃につきましては、もとより具体的な問題といたしまして、これを実行に移す所存でございます。ただその時期と方法とにつきましては目下愼重研究中でございまして、その時期につきましては、ただいまのところ御期待に沿うような影弁はいたしかねるのでございますけれども、この年度内におきまして、これが実施に向つて一路研究を進めておる次第でございます。
  69. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 大藏大臣の御答弁は私の質問を満足さすものではございません。けれども私はこれを追究してみたところで、おそらく同じことを繰返されるだろうと想像しますので、これで、その問題は打切ります。ただ、いつ取引高税が廃止されるか自信がなく、またその時期する見通しがつかないというときに、いたずらに取引高税は惡税である。そうして近く廃止すると政府当局が言明されるということは、取引高税納税について惡い影響を及ぼすようなことはないかどうか、その点は大藏大臣はどのように考えておられるでしようか。
  70. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。ただいまもお答え申し上げました中に申しました通り、取引高税の撤廃につきましては、これを今日の問題として取上げておるのでございまして、決して宣傳がましいことを申し上げておるのではないのであります。かような意味合いをもちまして、何ら惡影響のあるものとは思わないのであります。
  71. 赤松勇

    赤松(勇)委員 いやそれは大いにあります。この間名古屋財政局が、財務局長の名前でもつて——あなたが大藏大臣なつたでしよう。そうするとあなたの方の第二回大会で、民自党取引高税を廃止するのだという決議をしたのであります。それでガあなたが大藏大臣なつたらとたんに取引高税が廃止される、もういいからどんどん脱税をやれということで、ほかはどうか知りませんが、名古屋財務局管内では、取引高税の脱税が非常に殖えておる。これはあなたも知つているでしよう。もし知らぬとすればあなたの怠慢である。名古屋財政局長は、今ただちに取引高税は撤廃にならない。なつた場合にはよいが、今は納税してもらわなければ困るという声明を出しておる。それはあなたの怠慢です。今の答弁はうそだ。非常に大きな惡影響がある。その点はどうですか、知りませんか。
  72. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 赤松さんにお答え申し上げます。ただいま御指摘になりましたような事実があるやのうわさは聞いておりますが、税の問題は非常にデリケートの問題でありまして、いかなる改善といえども突然に改善せらるべき理由がないのでありまして、必ずやその間に何らかの影響があることはこれまた当然のことでございますので、この辺のこともともとと御了承願いたいと思うのであります。
  73. 赤松勇

    赤松(勇)委員 その影響がないと言うからちよつと言つただけのもので、それならそれで、はなはだしく影響がありますが、まことに済まない。うそをついたわけではないのだが、実際は自信がないのだ、ということを初めからはつきり言えばいいのです。あまりそういうことにはこだわりませんが、そこで私はひとつ泉山さんにお尋ねしたい。どうも同じ財政金融委員会で一緒におりましたので、あなたの顏を見てあまりあくどく質問するのはどうかと思いますが、しかしこういう点だけは明らかにしておきたいと思うのです。大体各省から出ております予算の要求額は、復金出資四百三億円、公共事業費百十億円、價格調整費百十五億円、鉄道通信特別会計繰入れ七十五億円、石炭及び冷寒地手当十五億円、超過勤務手当二十億円、船舶運営会補助費六十億円、國債費六十億円、生活保護費四十億円、刑務所費十億円、その他雜件三百数十億円、合計一千二百六十億円、こういうことになります。それから今度は賃金ベースの問題でございますが、かりに三千七百九十一円を暫定的な内拂い——これは承認しませんよ。承認しませんが、仮定です。暫定的な内拂い五千円に引上げられた場合には、官公吏の給與の追加額は、一箇月三十六億円、そうすると本年六月から來年三月までには三百六十億円いる。一千二百六十億円に三百六十億を寄せますと、一千六岡二十億円の追加予算が必要になる。この点についてあなたは、この予算をどういうふうに編成なさろうとするか、この御所信を伺いたい。
  74. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。各自の予算の要求額はただいま赤松さんの御指摘の通りであります。この内容につきましては、ただいま詳しくは聞き漏らしましたが、その総額において御指摘の通りであります。しかしさらにそれに新給與ベースの引上げという大きな要素がございますので、その財政上における重圧はけだし甚大なるものがあるのでございます。今日この際ひるがえつて財源の方を見ますのに、なかなか容易ならざるものがございまして、率直に申し上げまして、前内閣と申しましようか、これまでの前任者の方々におかれまして、いろいろ御苦心の結果は、ほとんど財源らしい財源はあさり盡された今日であるのでございまして、私はその遺産を受継ぎまして、遺憾ながら限定相続のものもなく、はなはだ苦境にある次第でございます。しかしながら、何とかこの間に、政治力の結果によつて幅のある財政を組みたい、かような構想のもとに鋭意努力をしておる次第でございます。しかしながら、いかにくふうをいたしましても、ただいま御指摘のような、さように厖大な要求額に対処することは、とうていできないのでございまして、おのずから財源方面からも制約を受けることは申すまでもないのであります。しかしながらその財源は、また一方におきましては、國民の熱情の結集するところ、必ずや國民の負担が欣然としてこれに集まるものと考える次第でありまして、問題の結論はその間よりおのずからわき出でるものと考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  75. 赤松勇

    赤松(勇)委員 もう少しまじめにやつてください。國民注視の的になつておるところのこの重要な國会に、おのずからわき出て來る。ばかばかしくて話にならぬと思うのだが……。そこで私は、あなたにこの追加予算方針、大綱をひとつ示してほしいということを要求したのですが、すでに今日は二十日です。今度の臨時國会はもうあと十日しかないのです。それでどうしても今すぐ追加予算を出していただかなければ、この國会に間に合わないはずなのです。政府は追加予算を出す意思があるのですか、ないのですか。泉のようにわき上るのを待つておると言いますが、もうお正月も近い。國会ももう十日しかない。出す意思があるのかないのか。出す意思があるならば、具体的にどういうものを出すか示してください。
  76. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。追加予算の問題は、まず第一に官公吏諸君の新給與ベースに即應すべき経費、これを第一にいたしまして、次には災害復旧費、國会の決議にもございます。また國民あげての要望と考えまするので、政府におきましては、これらの経費について、何とかその要望に沿うべく財政の建前をきめまして、その半面におきまして、財源を見出しておる次第でありまするが、幸いに幸く國会提出いたしたい希望も達成せられるような段階に入つております。かように御了解願いたいと思います。
  77. 赤松勇

    赤松(勇)委員 いつごろ出すのですか。
  78. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。追加予算の編成については、悦意努力を重ねて参つたことは、本委員会におきましてもたびたび申し上げたのでありますが、内閣といたしましては連日の審議を重ねまして、一應の結論を得るに至りましたので、これを関係方面とも折衝中でございます。しかしながらその最後的結論にいまだ到達しておらないのは遺憾とするところであります。
  79. 赤松勇

    赤松(勇)委員 よくわかりました。今まで大藏大臣はうそをついておつた、鋭意努力中とかなんとか。いわゆる私の質問の要点でありまするその大綱を示せということにつきましては、明確な答弁を避けておる。今関係方面と折衝中である。折衝中であるとすれば、その予算の大綱は大体できておると思う。それをひとつ具体的に示していただきたい。さつき私が申しました一千億以上の追加予算をこのまま編成するのか、あるいはこれを削減するとすれば、どこをどういうふうに削減するか、それをひとつ具体的に示していただきたい。
  80. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。今日はただいまも申し上げました通り一應の結論に到達した、かようなことを申し上げたのでありまして、その最終的な決定の上で申し上げたいと思うのであります。ただここで予算編成の建前については、これは今日において考え得られるのであります。また計上すべき——計上を適当とする種目は、これをあげて計上いたす、かようの構想の上に立つておるのであります。
  81. 赤松勇

    赤松(勇)委員 最終的な決定を私は聞いておるのではなくして、政府として大体大綱はできた、それを関係方面の方に持つてつておるのだという。その大綱をお示しになつたらどうなんですか。
  82. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。まだお示しできるような段階に來ておらないのを遺憾といたします。
  83. 赤松勇

    赤松(勇)委員 しからば関係方面に出されておるところの大綱はどうでもよろしい。先ほど申しました一千二百億円以上、それに今度の給與を入れまするならば、一千六百億円以上に上る追加予算を、どういうふうにこれを編成なさるのか。その関係方面に出されておる大綱とは別に、あなたの構想をお示しください。國家予算財源の枯渇しておるということは、私は聞いておりません。
  84. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。要求額に対しましていかなる査定を下したか、かようの意味合いに拜承しまするが、それはただいまも申しましたる通り、まだ一應の結論の段階でありまするので、幸いに近く結論を得ました上で、はつきりお答え申し上げたい。かように存じます。
  85. 赤松勇

    赤松(勇)委員 大藏大臣は今まで実は非常に温厚な人だと思つて、私信頼しておつたのですが、今聞きますと、あなたは非常にずうずうしい。と申しますのは、すでに今朝ほど新聞に政府の追加予算の大体の大綱が出ておる。新聞に発表できるものが、なぜ議会に発表できないか。
  86. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 新聞に発表いたした覚えはありません。
  87. 赤松勇

    赤松(勇)委員 しからばお尋ねいたしますが、毎日新聞並びに朝日新聞がございまするが、ここに発表された数字は、全部でたらめですか。ごらん願います。全部うそですか。
  88. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 私はその内容については存じません。
  89. 赤松勇

    赤松(勇)委員 まことにこういうことでは、とうてい私たちは審議を進めることが実際できないと思う。すでに新聞に大綱が発表され、その大綱が今関係方面に、大体政府の腹案と申しまするか、それが出されておるのに——それを委員会にあなたのお考えを御発表願つて、それを中心として私たちもいろいろ研究してみたいと考えますが、それができないのですか。
  90. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 ただいまの御質問の御趣旨は私はよくわかりかねましたが、もう一度お願いいたします。
  91. 角田幸吉

    角田委員長 赤松君、もう一度御説明願います。
  92. 赤松勇

    赤松(勇)委員 それではあらためてあなたにお尋ねしますが、本日の毎日新聞社並びに朝日新聞に発表されておるところのこの追加予算の記事につきましては、これは大藏当局発表としてある。これにあなたは責任が持てますか。大藏当局の発表でないとおつしやいますか。それとも大藏当局の発表だと確認されますか。どちらですか。
  93. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 ただいまの赤松さんのお尋ねにお答え申し上げます。大藏当局といたしまして、発表いたしたことはないのであります。
  94. 赤松勇

    赤松(勇)委員 再度確認しておきますが、そういたしますと、これは新聞社の方の誤報か何かで、新聞社でいいかげんに、かつてにつくつて発表したものだとおつしやるのですか。
  95. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 新聞社の情報であると考えます。
  96. 赤松勇

    赤松(勇)委員 この際大藏大臣に要求いたします。私人事委員として正式にあなたに要求いたします。明後二十二日午前十時から本委員会が開かれます。その十時からあなたに対する質問を行いたいと思います。そこで午前十時、開会された時に、政府として考えておる追加予算の内容についてここで御発表願いたい。それができますか。
  97. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 明後二十二日午前十時におきまして、おそらく発表し得べき段階には入らないものと、ただいまのところは見通しをつけております。
  98. 赤松勇

    赤松(勇)委員 それならば大体いつごろ議会にそれを発表できるか、その日にちを……。
  99. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 なるべく近い機会であろうと思うのであります。
  100. 赤松勇

    赤松(勇)委員 少しあなたは委員会を悔辱していませんか。二十二日に発表できない。二十二日と言えばあと会期は八日しかないですよ。七日か、八日です。一体この追加予算の審議はどれくらいであなたはできると思いますか。そういう無責任なことではいけない。そこであなたに再度申し上げますが、いわゆる委員会の多数が二十二日にぜひ出せと要求した場合に、あなたはその要求に應じられますか。
  101. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 それはまだできておらないのでございます。御了承を願います。
  102. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 先ほど大藏大臣は大体の優論を得たとおつしやつておるのですから、関係方面に交渉されて、その結果がどのようになつておるか、とにかく本委員会の席上において、大藏大臣にその大体の結論を明らかにしていただかなければ承知できないという氣持を持つておるのですが、ぜひひとつ御発表願います。
  103. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 先ほどから申し上げます通り、今日ただいまの段階におきましては、一應の結論であることを御了承願いたいと思うのであります。
  104. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 その一應の結論で結構なんですから、その内容をお示し願いたいと思います。
  105. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 それは発表すべき段階ではございません。
  106. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 先ほどから赤松君も高橋君も質問したが、大体どの開度に進んで行つておるか、もう一應の結論に到達したというのなら、この際に発表してもらつてもいいぢやないか。ことにこの人事委員会におきまして、この公務員法をどうして通そうか、非常に眞劍にわれわれは心配しておるのです。そこに大藏大臣としてお考えなつておる新給與ベースなるものは、別箇のものであるとあなたにお考えなつていらつしやるから、そうしたような不明瞭な言葉をお使いになるのではなかろうか。かように考えますので、決してこの問題は、これだけを切り放して審議をするというようなものでなくて、表裹一体であるというふうにお考えくださいましたら、もう少し親切に掘り下げて、実はこの程度なつておる。今この段階なつておるが、これから先は向うとの折衝もある。そうして大体いつごろにその目的を貫徹することができるであろうくらいな、観測くらいはおつしやられても、決してあなたの立場は苦しくないと私は考えます。こういうときにあなたを責めるのではありません。あなたの立場をお救いする。こういう意味からいつて、この公務員法だけが通つて給與ベースが確立しなかつたときに、あなたはその後における政治的責任は、どうしておとりなるつもりですか。
  107. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。いろいろ御好意を拜承いたしまして、まことに感謝にたえません。しかしそこまでのお話ですと、率直に申し上げまして、一應の結論はあくまで一應の結論でありまして、新給與ベースの問題につきましても、おそらく皆さんにおいて御了承のことと存じ上げる示されましたのはついこの間のことでございました。政府といたしまして、まずこれが檢討に相当の日時を要することはこれまた当然のことであるのでございます。さようの意味合いにおきまして、いまだ正確なる結論はこの点においても得ておらない次第であります。以上御了承願いたいのであります。
  108. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 どうも大藏大臣の御答弁、御態度は了解に苦しむのですが、一應の結論と言われる以上、とにかく一つの内容を持つておるわけですから、それを御発表願いたいというのです。そうしてそれが御発表できないというその理由を、明確にお示し願いたいのですが……。
  109. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。その理由といたしますところは、第一に一應の結論である。これが一つ、第二の関係方面との折衝のごときは、あるいはある程度の改訂もあるやに考えられるふしもございまするので、かれこれ勘案いたします場合に、今日これを発表いたすことは時期尚早今日これを発表いたすことは時期尚早と考える次第であります。
  110. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 私どもの大藏大臣に要求しておりますことは、一應その交渉の経済において改訂をされるとか、あるいは修正があるとしても、そのことについて責任を追究しようというものでは決してないのであります。従つてわれわれの申しますことは、大藏大臣が今日まで非常に努力され、非常に苦心されて、ようやく一應の成案を得た。その現状をおつしやつていただきたい。今後もしそれがかわつても、別にあなたの責任を追究したり、政府責任を追究するものではない。本案を審議する上において非常に要素であるから、重ねて皆がこんな遅くまで熱心にあなたにこれをお願いしておる。この意味を了解くださるならば、おのずとあなたが、それほど大事そうに交渉経過過程のものをおつしやられないでおられるということは、われわれこの審議をあなたみずからが遅らさすものである。かように了解してもよろしゆうございますか。
  111. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御指摘の点につきましては、なるほど政府といたしましても、もつと早くこれを皆さまの前に予算案を提示すべかりしその熱意においては、決して欠くものではございませんが、結果におきまして遷延いたしましたことにつきましては、遺憾の意を表する次第でございます。
  112. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 もう一言だけ……。大体大藏大臣の御答弁を伺つていますと、いかにもただいま得られた大体の結論というのは、自信のなさそうな、そういう感じがいたすのでありますが、私は大藏大臣関係方面と交渉をされて、その案が成立するということについて自信をもつておられないということは、結局現在の諸般の情勢から見て、その案というものは、とうていこれは実現性のない、可能性のない、自信のないものであるというふうに私には解されるのですが、そのように解釈してさしつかえないかどうか、はつきりお答え願います。
  113. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 さようの意味合いのものではございません。
  114. 菊川忠雄

    菊川委員 私はただいまの大藏大臣の追加予算提出の時期、あるいはそれに対する準備を伺つておいて、そういう実情であるとすれば、場合によればこの人事委員会における國家公務員法の審議には、重大なる決意をしなければならぬ。こういうことを感じておるのです。その点もあなたに対し御質問をいたしたいと思います。その前に御了解願いたいことは、私どもこの國家公務員法を審議いたしますのは、ただこの改正法案という法案の審議が終れば、われわれ議員として役目が済むという筋のものではないということを、固く信じております。マツカーサー書簡にもある通りに、この法案によつて、制度として一應能率的な、民主的な公務員制度が生れるとともに、一方においてはやはり同時に、これを裏づけをするところの給與という問題が実現いたさなければ、われわれは國民から片手落ちの非難を受けるわけであります。でありますからこの國家公務員法の改正の裏づけとなるところの予算が、現にどれだけあるのかということをわれわれは胤に念頭に置いて、これを審議しなければ、責任が果せないと思います。でありますから、もしこういう裏づけをするところの給與予算が、この審議と並行して、われわれの審議に上らないといたしますならば、一應これは審議をとめて、われわれは考えなければならぬ。これがかえつて國民に対する忠実なゆえんじやないかということを、今感じつつある次第であります。そういう店からお尋ねいたしたいのでありまするが、第一は、この朝日新聞並びに毎日新聞に本日これだけ大きな記事が載つておるのであります。しかも單なる情報でなく、その金額が両方ともに完全に一致をいたしております。五百六十四億という数字といい、その内訳といい、一致いたしております。從つて國民は、今般において今日はこれが一應政府構想である、こういうように信じておるのであります。これを念頭に置いて、ことに官公廳の諸君はこれに関連するとこの給與というものを考え、そうしてこの公務員法の改正の成行きを考えておるのであります。しかるにただいまのお話でありますと、この二つの新聞は單なる情報であつて大藏当局は関知しない。しかも大藏大臣のごときは、これだけ重大な新聞記事でありながら、これをまだ読んでいない。こういうふうなことでありまするから、われわれはこの大藏大臣を相手にして、眞劍に國家公務員法を審議するところの責任が果せるかどうかということを疑うのであります。でありますから、この点につきまして、実際にこの朝日、毎日の両記事が情報にすぎなくて、そうして何ら大藏当局から出ているものでないのかということを重ねてお尋ねをいたしておきます。次いでこの記事の中でいろいろとありまするが、たとえば十九日の定例閣議において、大藏大臣から歳入、歳出五百六十四億円に達する予算案を提出したとあるのですが、閣議に提出をした事実があるのかないのか。閣議の内容は絶対祕密であるとおつしやるならば別でありますが、この新聞に出ている程度のことについて、これを認められるかどうか。さらにもう一つは、十七日にマーカツト経済科学局長と会見を行つて、その線に沿うてこれを立案したものであるということでありますが、それは前日にマーカツト氏に会われて打合せをされたところの案に基いたものであるのかないのか、この点においてあなたのお考えを承りたいと思います。先ほどの話によると、一應結論を得て当局と交渉中である。交渉中であるから発表されないということでありましたが、この記事によれば、大体の基本的な問題については当局と交渉をなさつた、それに基いて現在閣議にかかつている、こういうことであります。この点につきましてあらためてお伺いしたいと思います。
  115. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答え申し上げます。第一点の、昨日の閣議におきまして私から追加予算案につき提案をいたしたことは事実でございます。しかしながらお示しのような提案はいたしておらないのであります。  第二点といたしまして、去る十七日でございましようか、関係方面に参りまして、いろいろお打合せをいたしましたことも、これまた事実であります。しかしながらその場合に示された線によつて予算を編成したという、さようの表現は適当いたしません。予算の編成につきましては、私就任以來、ただちにこれに当りましたような実情でございまして、関係方面の意向はすでに了承いたしておるのでありまして、いまさらそれを伺うまでもない問題であることを付言いたしたいと思います。
  116. 菊川忠雄

    菊川委員 なお現在は閣議に素朴な案を提出しておられる。この程度に了解してけつこうでありますか。
  117. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 さように御了承願いたいと思います。
  118. 菊川忠雄

    菊川委員 そうしますと、それがはたしてこの会期中に予算案として提出をされるというお見込みをお持ちでありますか。その点を一つ
  119. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 会期中に予算提出の運びに持つて行きたいと、鋭意努力をいたしておる次第であります。
  120. 菊川忠雄

    菊川委員 必ず持つて行くというのでなくて、鋭意努力をするが、都合によつては三十日までには提出しないかもしれない、そういう場合もあり得る。こういうことでありますか。
  121. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 その見通しは関係方面との折衝のいかんにかかわる問題でございます。今日関係方面に参りましたが、今日はあいにく土曜日でございまして、関係方面におきましては午前中だけの御勤務でございます。また明日は曜日であります。かようの意味合いから、多少その間の時間の空費はやむを得ないことでございます。さようの点も御了承を願いたいと思うのであります。
  122. 菊川忠雄

    菊川委員 私はそういう、いつが日曜で、いつが土曜だというふうなことをお尋ねするのではない。われわれ社会党のかつての閣僚などからその経驗を伺いますと、政府の熱意があれば、先方は土曜であろうか、日曜であろうが、應じてくれるような慣例がございます。從つて私はそういうことは問題にしない。私のお尋ねするのは、今の鋭意努力中、鋭意準備中という意味了承いたしますけれども、その了承の内容についてであります。鋭意準備中であるが、会期中に間に合わない場合もあるから、御了承願いたいということを含むかどうか。
  123. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 さようの意味ではないのであります。
  124. 菊川忠雄

    菊川委員 それでは会期中には間に合わないということを含まないというのでありますれば、間に合わすという意味でありますか。
  125. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 さように御了承願います。
  126. 菊川忠雄

    菊川委員 それでは会期中に、審議に間に合わすという意味でありますか。それとも提案だけを間に合わすというのでありますか。
  127. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 それは御審議の次第かとも考えておる次第であります。
  128. 菊川忠雄

    菊川委員 それではなおさらにお伺いいたしますがお互いに議会生活についての経驗を持つておるわけでありますが、大体予算委員会におまわしになつて、何日の審議で十分という意味でありますか、それをお伺いいたします。
  129. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 お答えいたします。その予算委員会におきましての日数につきましては、格別意見を持つておるわけではございません。
  130. 菊川忠雄

    菊川委員 それではもう一点重ねてお尋ねいたしますが、政府の提案があつてから、あとは予算委員会において最善の努力をした場合において、しかも間に合わないということが、だれが見ても明瞭だというような場合においては、そういう日程を含めて御提案をなされない政府責任である、こういうふうに理解してよろしいのでありますか。
  131. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 その点につきましては、別に責任という問題ではなく、政府は一日も早くこれを提案する努力を重ぬべきものと、かように考えております。
  132. 菊川忠雄

    菊川委員 それではもつと正確にお尋ねいたします。三十日まで、從つて明日が日曜で二十二日からということになりますれば——二十三日もまた休みであります。そうしますれば、衆参両院を通して二十五日以後に出たという場合において、政府はそれで審議が間に合うとお考えであるかどうか。その点を最後に伺います。
  133. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 ただいまのところは、さような前提について考えてはおりません。
  134. 赤松勇

    赤松(勇)委員 質疑は明後日に留保しておきますが、ただ一点だけ御質問します。先般淺井人事委員長に、私は六千三百七円ベースにつきましてお尋ねした際、その後大藏大臣は、やはり同委員会におきまして五千三百円ベースを考えておるというような意味に御発言がありましたが、もしそういう御記憶がないとすれば、新聞の報ずるところによれば、五千三百円ベースというようなことを大藏大臣考えておられるようにのつておりますが、この点はあなたが言えないとおつしやれば、また私はあさつてあらたれて御質問いたしますが、どうでございましようか。
  135. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 赤松さんにお答えいたします。私はさようの答弁を申し上げた記憶を持ちません。しかしながらせつかくのお尋ねでございますので、私は五千三百円ベースを考慮いたしておるものではないということをお答えいたして置きます。
  136. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 ただいま菊川君の質問に対して、大藏大臣予算とのにらみ合せ、予算が成立するまでの日取を申されたのでありますが、ところがそれについては何ら関心を持つていないような、どういうふうになるのか、それはそつちの方でやることであるから、まるで他人さんがやるようなことをおつしやつていらつしやる。それで公務員法だけを通過させようというようなお考えをあなたは持つていらつしやるのかどうか。これさえ通しておけば、向うの予算は通さなくてもよろしいというようなお考えでいらつしやるのか。その点はつきりしない。予算も通過させるのだ。これも一緒に通過させるのだ。こういう目的言つていらつしやるのかどうか、はつきりおつしやつていただきたい。
  137. 泉山三六

    ○泉山國務大臣 生悦住さんにお答いたします。政府といたしましては、たびたび申し上げました通り、予算案は今國会にこれを提出する。かようの熱意に燃えておるのでございます。しかしながらなおまた先刻申し上げました通り、今回提出いたしたいと思いますこの予算案は、先ほど赤松さんからも御指摘のございました通り、その要求額におきまして、二千億にもなんなんとする厖大な歳出を予定せられまするその反面におきまして、財源の枯渇、この一点から見ましても、なおまたたびたび申し上げます通り、新給與ベース、そのものの決定の上にも、愼重愼重を要すべき問題と思うのでございまして、もしここに物價の破綻を來す、かようのことでは、政府といたしまして責任上とうてい相済まぬことと考えるのでございまして、かようの点をかれこれ勘案して、その結論を急ぎたいというのが、先ほどから申し上げました私の心境であるのでございます。以上御了承願いたいと考えるのでございます。
  138. 菊川忠雄

    菊川委員 私も御質問申し上げるのではなくして、強い希望を申し上げておきますが、きようの大藏大臣の追加予算の準備に関するところのお話は、私非常に重要なものとして考えたいと思います。そういうふうな進行の状態が実際であるといたしますならば、おそらく來週中に予算案が上程されることは困難じやないか。こういうことを私感じております。從つてそういう予算の裏づけのないところの國家公務員制度の審議は、われわれとして責任上進行できない場合があります。こういうふうに私は了解したということを一應申し上げておきます。
  139. 角田幸吉

    角田委員長 委員長として申し上げます。次会は明後二十二日午前十時より開会することにいたしますが、要求閣僚諸君は、万障お繰合せの上本委員会に御出席あられんことを要望しておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午前七時五分散会