○
河野(一)
政府委員 先般
林委員から御
質問がありました点につきまして、二、三御答弁申し上げます。
災害予算が
緊急集会にかけられるかという問題でありますが、これは
國会事務当局あるいは
政府ともいろいろ御相談した結論でありますが、
緊急集会にかけられるというふうな御意見のようであります。
緊急集会にかけらるべき議案については別に
制限がございませんので、緊急やむを得ざるものは、すべてかけられると考えております。これは憲法には
予算についての衆議院の
先議権ということがございますが、これは
國会が両院とも成立しているときの問題でありまして、その成立をまつにいとまない緊急の場合に開かれる
緊急集会においては、こういう点は適用がないものと考えております。
それから
災害復旧のために
公共團体に前貸しして、やらしておるものについて、
予算がとれなかつた場合には、どうなるかという御
質問が第二の点であつたように思いますが、これは現在前貸ししてやらしております
仕事には、いろいろございますが、たとえば
災害土木事業のごときにつきましては、これは
法律上大体三分の二でありますが、三分の二を
國庫から補助するということにきめられておりますので、これはいつかは
予算をと
つて返さぬばならぬ。補助しなければならぬ性質のものにな
つております。もちろん現在融資いたしておりますものは、
復旧費の全額を融資いたしているのでありまして、
予算としてこれを返すというのは、この三分の二になりますので、その金額はくつつかぬわけでありますが、少くもその一部は返さねばならぬというように
法律で定められているものがございます、補助する義務を負
つているものがあります。それから
農林省関係の
耕地復旧事業につきましては、必ずしもそういう
法律の規定はないのでございますが、
從來の慣例その他から見まして、一定の補助をするという
制度があるのでありまして、この
先例その他を尊重いたしまして、
政府は当然この
予算を盛るべきものであり、
從つて現在融資しておりますものの一部というものは、いつかの
予算において出すということに相なろうかと思います。その他前貸ししているもので、そういつた
法律とか
先例とかいうものに
関係のないものもございますが、これはそのときの実情に應じまして適当に措置いたさねばならぬと考えております。
第三は
災害復旧金庫の問題であつたかと存ずるのでありますが、この
災害復旧金庫の問題につきましては、
地方財政の問題といたしまして、前
國会以來相当問題に
なつた点でありまして、その設立の
趣旨につきましては、ある程度うなずける点があるのでありますが、これは現在の段階におきまして、
事務当局と申しますか、
大藏省と申しますかの
考え方といたしましては、なお時期尚早ではないかというふうに考えております。結局これは
災害復旧のための
保險料的なものを積み立てておくという
制度が、その根本にな
つておるのでありますが、現在のように毎年起ります非常な
災害につきましては、これは過去における補修の十分でなかつた点、それから戰時中における材木の過伐というようなことが相当な原因にな
つておるのでありまして、毎年幾らを積み立てて行くというようなことは、数理的にはほとんど不可能な
状態にあるのではないかと思います。
從つてその保險数理的な計算も非常に困難でありますると同時に、
災害自体が最近のごとく相当大規模なものが出た場合において、こういう
金庫をつく
つておいて、その
財源の範囲内においてやるということは、とうてい不可能なことであります。
從來の
考え方におきましても、
災害は第一優先という建前で出しておりまして——もちろん各種の経費との振合いその他で
財源に制約を受ける面がありまするが、こういうような法定的な
制限のもとにこれを考えるということは、現在の事態としては適当ではないだろうという
考え方で、むしろこういう
金庫制度でなしに、そういう
災害の起つた場合においては、
金庫から出る
財源のごときものとは別個に考えて措置した方がいいのではないか、こういうような
考え方のもとに、現在のところ、いまだこの
金庫の設置は尚早ではないかというふうに考えておる次第でございます。