○松谷
委員 私は九州
地方の療養所患者自治会に対する解散通牒の問題につきまして、根本的な問題を
厚生大臣から、具体的な問題は医務局長からお答えを願いたいと思います。
まず
質問に入ります前に私は今まで
榊原委員あるいは
山崎委員から出ました
質問に対する大臣の御答弁を伺つておりまして、はなはだ遺憾に思うものでございます。
榊原委員からもお話がございましたように、少くとも
厚生大臣は全日本人の生命を預かるものであるという、実に重大なる立場にある方でありながら、先ほど來の御答弁に現われましたような、知らぬ、存ぜぬで通しておいでになるこの状態を見ましたときに、かかる
厚生大臣をわれわれの命の綱としてここに見なければならぬということは、まさに國民の悲劇だと私は
考えます。これについては
榊原委員のお言葉のようにいずれ
委員会の種々なる檢討にまつことといたしますが、ひとつ
厚生大臣は、國民の中に現われております厚生問題について、少くとも
厚生大臣というその職責におられる間は、眞劍に厚生問題を御
研究に
なつていただいて、早急に
予算の問題を初めといたしまして、個々の具体的な問題に対する解決策を立てていただきたいことを念頭するものでございます。
根本的に伺つておきたい点は、九月八日及び十月十八日付をもちまして、
厚生省の医務局の九州出張所長の名によりまして、療養所の患者自治会に対しまして、患者自治会なる組織が、主として療養に反するという理由から、解散を命じて参つたのでございます。この患者自治会なるものに対しましては、昭和二十二年の六月の二十三日に、傳染病
研究所の講堂におけるGHQとの医療懇談会
——これには公衆衞生福祉部のザコーネ氏及び経済科学局のハロルド氏、デヴエラル氏などの出席を得、それに各病院
当局、あるいは從業員組合の代表、あるいは患者代表などが参集いたしたのでありますが
——その席におきまして出ました一つの
意見といたしまして、結核患者の特殊性にかんがみまして、
生活向上あるいはコロニー制度の確立、あるいは他の共通目的のために自治体をつくることは、結社の自由という点から何ら反対すべきではなくて、むしろ奬励すべきであるという
意見が出ておつたのでございます。こうした一つの賛成
意見に基きまして患者自治会なるものが、全國立療養所あるいは私立療養所の患者の参加によりまして、発足をいたしたのでございます。この日本療養所患者同盟の実体につきましては、日本療養所患者同盟規約をお取寄せくださいまして、御檢討いただけば十分にわかるところでございますが、先ほど來問題に
なつておりましたように、今日、日本の厚生面における
予算が、わずかに三億ないし五億まで到達するしかないかの、まことに貧弱な状態で、今日のインフレ状態とかみ合せまして、患者の療養
生活は非常に悲惨なものに
なつております。ことに長期の療養を必要といたします結核患者のその状態は、ただこれを放置しておきますならば、安心をして療養することが不可能の状態、あるいはその療養の目的といたします回復を完全に期することができないというような状態になりましたので、弱い患者の
方々は、一
人々々がばらばらに不平不満を持つということでなくして、ここに一つの結束の力をもちまして、最もよく療養ができ、そうしてその療養の目的を一日も早く完遂することができるように、ことにこの懇談会の席上でも取上げられましたように、結核患者の一つの大きな將來の目的といたしまして、コロニー制度の確立をまず実現さす、その一つの
方途ともいたしまして、ここに患者自治会がその役目を果しつつあつたのでございますが、今回九州の出張所長によつて、こうした患者自治会という組織をつくるということ自体が、その療養に反するという通牒が届けられたのでございまして、こまかい点は医務局長に
質問をいたすことにいたしますが、その通牒の中に示されました、いわゆる組織療養のじやまになるという点について、それではどういう具体的な事実があるのか、私がその通牒の中に出て参りました具体的な事実につきまして、はたしてそういう事実があつたのかどうかということを追究いたしますと、いや、そういう具体的な事実はないということを、はつきりと出張所長あるいは病院
当局側も言われておられるのでありますが、ただ漠とした、組織をつくるということが療養の妨げになる、こういう一つの解散命令の内容に
なつておるのでございます。ことにその通牒が発せられますようになりました、その動機と申しますか、原因と申しますか、これは福岡の軍政部の命令であるというふうに申されておるのでありますが、これは命令と解するよりも、むしろ勧告という性質のものであるとわれわれは解釈をいたすのでございます。この点、まず根本的な問題につきまして、患者自治会という、患者が自己防衞のための、あるいは療養完成のための組織を持つということが妥当であるか、あるいはいかがか、まず大臣の患者自治会に対する根本的なお
考えを一應初めに伺わせていただきたいと思います。