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1948-11-17 第3回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十七日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 柏原 義則君    理事 松井 豊吉君    鈴木 明良君       鈴木 仙八君    松浦 東介君       梁井 淳二君    足立 梅市君       土井 直作君    村瀬 宣親君       坪川 信三君    長谷川政友君       大神 善吉君    大瀧亀代司君       只野直三郎君  委員外出席者         議     員 馬越  晃君         建設事務官   伊藤 大三君         建設事務官   賀屋 茂一君         地理調査所長  武藤 勝彦君  参考人         愛媛縣会議員  井原 岸高君         專  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 十一月十二日  委員大森玉木君辞任につきその補欠として村瀬  宣親君が議長の指名で委員に選任された。 十一月十五日  番匠川改修工事施行請願梅林時雄紹介)  (第一一六号)  國道三号線中一部改修請願前田郁雄君紹  介)(第一一七号)  越智町及び黒岩村地内仁淀川治水工事施行の請  願(長野長廣紹介)(第一二五号)  下サロベツ、音類間開拓道路開設請願坂東  幸太郎紹介)(第一三九号)  古佐川砂防工事施行請願松浦東介紹介)  (第一五一号)  椋梨川改修費補助請願(大原博夫君紹介)(  第一六六号)  市川改修工事施行請願堀川恭平紹介)(  第一六七号)  女満別、開陽間國営トラツク道路改修請願(  飯田義茂紹介)(第一七三号)  前川改修工事施行請願松浦東介紹介)(  第一七五号)  石狩川護岸工事促進請願河口陽一紹介)  (第一七六号)  賽満川改修工事施行請願中島茂喜紹介)  (第一七七号)  大渕橋及び福島橋修築工事施行請願柳川定  秋君紹介)(第一八五号)  忠別川護岸工事施行請願坂東幸太郎君紹  介)(第一八九号)  眞野川改修工事施行請願内海安吉紹介)  (第一九五号)  頓別川治水工事施行請願坂東幸太郎君紹  介)(第一九七号)  沼ノ端、早來間道路開設請願三好竹勇君紹  介)(第二〇三号)  苫小牧支笏湖間道路開設請願三好竹勇君  紹介)(第二〇四号)  苫小牧市第一、第二両幹線排水溝改修工事施行  の請願三好竹勇紹介)(第二〇五号)  安平川河口復旧工事施行請願三好竹勇君紹  介)(第二〇六号)  洞爺國立公園予定地帶改修並びにその道路を  バス路線として使用認可に関する請願三好竹  勇君紹介)(第二一一号)  新田川及び升形川改修工事施行請願(圖司安  正君紹介)(第二二〇号)  矢作川改修工事完成促進請願千賀康治君外  三名紹介)(第二二一号)  昭和町地先小櫃川堤防補強工事施行請願(冨  田照紹介)(第二二三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  土木建築請負制度確立陳情書  (第一五  八号)  道路並びに河川愛護思想奨励に関する陳情書  (第一五八号)  道路法改正に関する陳情書  (第一五九  号)  國道並びに河川改修工事費に対する地方分担金  軽減の陳情書  (第一六〇号)  戰災都復興に関する陳情書  (第一六四号)  建築行政事務移管に関する陳情書  (第一七一号)  國府縣道補修費國庫補助陳情書  (  第一七四号)  公共土木事業費起債全額國庫負担等に関する  陳情書  (第一七六号)  水防費国庫補助陳情書  (第一七七号)  土木事業啓蒙運動に関する陳情書  (第  一八〇号)  國道の管理並びに維持改良費の單一化に関する  陳情書  (第一八一号)  地方綜合開発調査費國庫負担陳情書  (  第一八二号)  水道敷設費國庫補助陳情書  (第一八四  号)  災害防除施設工事費国庫補助増額陳情書  (第一八五号)  國府懸道補修費國庫補助陳情書  (第一八九号)  民間住宅建設資金融通に関する陳情書  (第一九三号)  地すべり対策に関する陳情書  (第二〇四号)  群馬縣水害復旧に関する陳情書  (第二〇七号)  井田川改修に関する陳情書  (第二一八号)  千歳橋架換に関する陳情書  (第二二三号)  群馬縣水害復旧に関する陳情書  (第二二六号)  甲府より西八代郡を経て富士宮に至る道路開設  の陳情書(第二  三一号)  市川改修工事施行陳情書  (第二三二号)  富士川綜合調査に関する陳情書  (第二三四号)  山形縣水害復旧費國庫補助陳情書  (第二四八  号)  鹿兒島縣戰災都復興事業費増額陳情書  (第二五〇号)  山川枕崎間道路改修陳情書  (第二五一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  中國、四國地方地盤沈下対策に関する件   請願  一 妻、人吉間縣道國道編入請願川野    芳滿紹介)(第四号)  二 大夕張、清水澤間道路開設請願岡田春    夫君紹介)(第五号)  三 小名濱新潟間道路改修請願    (小澤專七郎紹介)(第二〇号)  四 茨城縣水害復旧対策に関する請願(山崎    猛君紹介)(第三八号)  五 木曽川改修工事促進請願江崎真澄君外    二名紹介)(第四一号)  六 五ヶ瀬川の國営による治水調査並びに改修    工事施行請願川野芳滿紹介)(第五    〇号)  七 小丸川改修工事國宮施行に関する請願(川    野芳滿紹介)(第五四号)  八 牛朱別川改修工事施行請願河口陽一君    紹介)(第五五号)  九 延岡国道改修工事促進請願川野芳滿君    紹介)(第五六号) 一〇 久根別川溢流溝開設に関する請願冨永格    五郎紹介)(第五七号) 一一 上磯町所在の排水溝切替工事施行請願(    冨永格五郎紹介)(第五八号) 一二 天龍川堤防復旧費國庫補助請願川合彰    武君紹介)(第九四号) 一三 伊作川改修工事施行請願上林榮吉君    紹介)(第一〇〇号) 一四 丹野川改修工事継続施行請願竹山祐太    郎君紹介)(第一〇一号) 一五 迫川沿岸改修工事施行請願中野寅吉君    外六名紹介)(第一〇二号) 一六 基北川及びアイヌ川改修工事施行請願(    坂東幸太郎紹介)(第一〇三号) 一七 美瑛川護岸工事施行請願坂東幸太郎君    紹介)(第一〇四号) 一八 宮崎、八代間縣道國道編入請願(押    川定秋君紹介)(第一〇六号) 一九 山川枕崎間道路改修請願上林榮吉    君紹介)(第一一〇号)     ―――――――――――――
  2. 柏原義則

    柏原委員長 これより会議を開きます。  中國、四國の地盤沈下対策に関する件を議題といたします。中國、四國地方における地盤沈下につきましては、その被害きわめて甚大でありまして、前回委員会におきましても、溝渕、村瀬委員より本件につきまして発言もありまして、本委員会といたしましては、ぜひともその対策を検討すべき必要を認めまして、本日特にこれを取上げた次第でございます。これより本件につきまして検討いたしますが、まず最初に政府当局より、災害状況説明並びに当局の御意見を聽取いたしたいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柏原義則

    柏原委員長 御異議なしと認めます。賀屋防災課長
  4. 賀屋茂一

    賀屋説明員 中國地方及び四國地方、それから南海紀南方面地盤変動対策の件につきまして概況を申し上げます。昭和二十一年に南海震災がございまして、その当時は南海震災災害復旧として実は緊急措置をしたわけでございます。それで当時の被害は、一應縣の提出されましたものは二十一年の南海震災として全部採用してあるわけでございます。ところがその後地震の影響で、逐次地盤沈下して参りまして、そのために二十二年災害國庫補助規程は適用いたしかねるので、別途に地盤変動対策として——当該縣が新しく起つたと認められて、——お出しになつたものにつきまして、地盤変動対策として再び査定をしたわけであります。この額は大体十一億六千百万円ばかりございます。これを提出されました縣は、愛知縣三重縣和歌山縣、それと四國四縣でございます。この七縣なのでございます。これについて國庫は大体災害國庫補助規程に準じて検査もし補助も出したということで、三分の二の國庫補助を要請して現に実施してあるわけでありまして、昨年の十一億六千百万円に対しましては三分の二の助成をいたしますと、八億三千五百万余になるわけでございます。ところが本年度予算化せられましたものは三億でございまして、この三億を各府縣に配付して三期まで来ておるわけであります。ところが震災影響はさらに続発いたしまして、この四國四縣、それから和歌山、三重愛知方面ではさらに地盤変動の事実がありますので、来年度要求といたしまして、——大体工事費が七縣で十八億四千四百万円出ております。これは申請された金額でございますが、——十二月の上旬から各縣を檢査いたそうと思つておりまして、大体二十日ごろには決定した数字を出し得ると考えております。とりあえず二十四年の予算といたしましては、この縣から申請されたのを元にしまして、一應概算の予算要求を実はしておるわけでございます。さらに申請のあつたものを檢査しまして決定になりましたら、その数字を訂正しよう。こう考えておる次第であります。
  5. 柏原義則

    柏原委員長 当局説明に対する質疑はございませんか。
  6. 村瀬宣親

    村瀬委員 ただいま来年度は十八億余円の工事費を見ているというお話でありましたが、実は來年度を待てない状態に、被害が日々進んでいる箇所が非常に多いのでありまして、四國四縣、岡山、廣島、山口、大阪、兵庫等も放任しておけないというので、各議員寄り寄り特殊の議員連盟をつくつて、これが対策を早く決定していただきたいという方向に進んでいるのであります。ついてはこの第三國会にその追加予算を御要求になるための御調査は、まだできておらないのでありますか。
  7. 賀屋茂一

    賀屋説明員 今のところでは第三國会には、四國方面のは今年要求されます前に七、八月ごろにわかりましたものがあるのでありまして、これは申請なつたものでございますから、安定本部の方に要求をし、今度の追加予算のうちには大体四千八百万円の補助になつておりますが、これは実は次期要求として考えているわけであります。追加予算は私の方といたしましては、百二十九億も出しておりますが、とりあえず五十億円程度を緊急として出し、さらに次期追加予算要求として、四千八百万円が地盤変動対策追加として出ているわけであります。
  8. 村瀬宣親

    村瀬委員 前回の本委員会におきまして、岩澤次官の御答弁の中に、五十一億二千万円の追加予算をとりあえず要求しているので、地盤沈下等緊急やむを得ないものがあるならば、それが通過すればその五十一億二千万円のうちから、流用をしたいというような御答弁があつたのでありますが、この五十一億二千万円の中には、地盤沈下対策費も含まれているのでありますか。
  9. 賀屋茂一

    賀屋説明員 この地盤変動災害國庫補助を普通の風水害災害費と切り離しているわけは、災害復旧当該年度風水害で、緊急に起つたものを採用することになつているのであります。ところが鉱害とかあるいは地盤変動というものは逐次起つて來るものでありまして、その災害規程の適用にははまらぬものでありますから、それで地盤変動という項目を設けたのであります。但し地盤変動でありましても、今年度に突然起つたものは、これは当然災害でございますので、原因がどうでありましても災害として採用するのであります。それで先般も次官が申されましたその運用といいますのは、今年の災害のうちに、いわゆる地盤沈下というものが出ております。これは愛媛、高知、香川、徳島方面には、今年の風水害災害申請の中に地盤変動が含まれております。これはにわかに起つたということでその分は入つておるわけであります。そうしますと、今年査定をいたしますと、この査定の中にそれも含まれることになるのでありますから、もしそれが緊急なものでありましたならば、そしてその補助が行きましたならば、縣はその補助仕事はでき得るのであります。それで、今年の五十一億が通りましたならば、その運用地盤変動対策仕事もなし得るというわけなのであります。
  10. 村瀬宣親

    村瀬委員 現在四國四縣並びに岡山、廣島、山口七縣のみについて調査を地元でいたしましたものによりますと、今ただちに工事としてやつていただかねばならないものが、八億数千万円あるということになつておるのであります。これは河川堤防が切れたというような場合にももちろん急を要するのでありますが、さればといつて全部の河川を一度にすぐに改修してしまう能力もないというのは、先ほどの御説明にもありました通りでありまして、これは何年度かに分割するということはやむを得ないかとも思うのでありますけれども、この地盤沈下によります被害は日々大波が押寄せておるのであります。何とか今ただちにいたしませんことには、河川堤防が切れたという災害とは趣を異にするのであります。日々が家を脅かされ道路田畑を脅かされておるのでありまして、これはどうしても年度を待つてつてよろしいという性質のものと違うのでありますが、その点につきましてどこまでの御調査が行つておるのでありましようか。また、大体今申しました通り八億円を要するのでありますけれども、大体の金額はどのくらいまで、この五十一億二千万円からおさきいただける予想がつくのでありましようか。
  11. 賀屋茂一

    賀屋説明員 これは今度の災害のうちに地盤変動箇所がいくら入つておるかということは、実は今わからぬのでございますが、もし五十一億余万円の追加予算通りました際に、地盤変動箇所のみが最も重要であると縣でお考えになるならば、配付された金を全部地盤変動に持つておいでになつてもかまわぬのであります。これはたくさんの箇所査定しておるのでありまして、その実際の選定は府縣知事がおやりになるのでありますから、補助の範囲においておやりになることはかまわぬのであります。これは、道路とかその他を直すのをあとまわしにして、地盤変動に持つて行くということを全部おやりになつても結構なのでありまして、その五十一億のうち地盤変動方面にどれだけ行くだろうということは、今のところわれわれの方ではわかりかねるのであります。それから地盤変動のものが今年の申請のうちにいくら入つておるかということもまだわからないのであります。実情はそういうわけであります。実施はそうなし得るわけであります。
  12. 村瀬宣親

    村瀬委員 五十一億余万円と申しますものは、おそらく各府縣で現在やむを得ない地盤沈下以下の災害復旧工事について、申請をしたものと思うのでありまして、それが割当つて行つたとき、その方をやめて地盤沈下にまわせと言われましても、府縣では相当困るのじやないかと思うのであります。それで、これは至急実情を御調査いただきたい。これはとうてい来年三月を待つてやり得る状態ではないと思うのでありまして、これを放任しておきますと、農民等思想上にも相当危險な影響を與えますし、重大な社会問題化する傾向もぼつぼつ見えておりますので、ぜひこの問題は、ない袖は振れぬというようなことでなしに、眞劍地方民の不安と焦燥を解消するような方策を、講じていただきたいと思うのであります。それにつきまして、いま少し具体的に、御調査の陣容とかあるいはその時期等について承つておきたいと思います。
  13. 賀屋茂一

    賀屋説明員 実はこの原因等につきましては、地理調査所にお願いして、あるいは地盤沈下とか、潮位の変化とか、そういう方面についての調査はしてもらつております。それで、本年の地盤変動につきましては、実は予算が御承知の通りのわくでありますので、はなはだ少いのでありますが、それでも、地盤変動による影響は御説のように毎日のことでありまして、出水のごときそのときだけの問題じやないのでありますので、この点は十分考えておりまして、今度の配分につきましても、この点は重大に考えてもらうということは考えております。  それから檢査に行く時期でございますが、今風水害の方を全員かかつてつておるわけでありまして、ほとんどからになつております。これが大体來月四日ころには全部済むわけであります。それで、これが帰りましたらすぐに行く準備をいたします。終了は大体二十日ころには終了したいと考えておりますから、なるたけ急いでやります。
  14. 柏原義則

    柏原委員長 ただいま地理調査所武藤勝彦氏がお見えになりましたから、速記をとめて懇談の形で状況報告伺つて、続いてまた質疑を願うことにいたしたいと思います。     〔速記中止
  15. 柏原義則

    柏原委員長 速記を始めてください。  この際お諮りいたします。議員馬越君より委員外発言の申出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 柏原義則

    柏原委員長 御異議なしと認めます。馬越君。
  17. 馬越晃

    馬越晃君 特に委員外の者でありまけれども、事重要でございますのでお許しを得まして一言意見を申し述べ、かつ政府の所信をただしたいと思うのでございます。南海震災原因いたしました、のか、ただいま政府当局におかれましても、お話のございましたように、なおかつ委員諸君からも、お話がありましたことく四國並びに和歌山縣、中國の山陽等一面にわたりまして、地盤沈下であるか、あるいはまた高潮の結果であるか、その結果は私どもしろうとでわからないのでありますけれども、とにもかくにも地盤沈下したもののごとく、非常な高潮が生じまして、四國沿岸、またただいま申し上げた関西方面におきましては、非常に大きな地盤の激変が生じておりますことは、私から詳細申し上げる必要はないと思うのでございます。ところがただいま村瀬委員からもお話がありましたことく、この地盤沈下と目せられる変動は、順次激烈をきわめておるかのごとく考えられておるのでありまして、昨年から本年の春にかけましては、まだ愛媛縣のごときは南予方面、いわゆる宇和島、八幡浜方面におきましては、かような現象は見られていなかつたのでありますが、最近におきましては、この方面にまでも波及いたしまして、十月上旬における滿潮時におきましては、非常な海水浴入被害を受けたのであります。ここにおきまして、四國四縣の縣当局並びに中國山陽方面の縣の方々が相つどいまして、この地盤沈下に対するいろいろな研究をせられまして、何とかしてこの被害を今のうちに最小限度に食いとめたいということを、御研究になられたのでありますけれども、いかんせん、現在の地方自治体の財政の現状をもつていたしましては、とうていかくのごとき大きな天災を防止することは不可能なのでございまして、これは一に国家の強力なる御援助なくしては困難なのであります。こうした事情は私どもその地方出身議員といたしましても十分に目撃し認識いたしておつたのでありますけれども、今日のこの大きな被害は順次生じて参つたものでございまするし、だんだんにわが國におきまする災害というものは、昨年の関東の大水害から続きまして福井縣震災となり、また東北の先般の風水害のごとく、一口で申しますればはでな災害が生じまして、天下耳目はこうした方面にのみ吸收せられまして、長時日にわたつてだんだんと沈下して、その被害またはかり知れざるものがあるという関西における地盤沈下天下耳目からだんだんと遠ざかつてしまつたのであります。さよういたしまして、政府当局におかれても、先ほど申し上げたようなはでな災害につきまして、いろいろ緊急の対策が講ぜられつつあるようでありますが、このような関西における地盤沈下のごとき、目に見えることの非常にじみな災害につきましては、顧みられないような状態にある。その結果遂に今回の予算の上に、何らの数字が呪われていないというようなことによりましても、政府自体がすでにこの問題を等閑に付しておるのではないかというようなきらいがありまして、私ども関係地方選出の者といたしましては、非常な遺憾な氣持を持つておるのであります。ただいま地質研究所方々の御説明を承りましても、いまだにその眞相を把握していられない。今から調査をやつて行かれるのだということでありまして私どもは実に遺憾に存じておるのであます。私どもしろうとでありましてその原因がどうしてもわからない。今日はすでに原因政府当局が突きとめられて、これに対する恒久並びに臨機処置が、打立てられておらなければならぬと思うし、また私も打立てられつつあるだろうと期待しておつたのであります。ただいまの御説明を承りまして、はなはだ遺憾に存じておるのであります。政府はまずこれが研究をすみやかに完了せられまして、その研究の結果に基いて臨機処置並びに恒久的な対策をお立てになることを、切に希望いたすのであります。なおまたこの地盤沈下災害に対しましては、ひとり建設省のみがよくこれが立案実施をなすことはできないと思うのであります。これは農林省なりその他経済安定本部なり、大藏省なり、いろいろ関係省が相集つて、これが対策を樹立せられることが一番緊要なことであると思うのであります。衆議院内に災害対策特別委員会が設けられてありますが、その特別委員会委員の顔ぶれを見ましても、ほとんど関東東北、北海道の出身議員でもつて構成されておつたし、現在もそうであります。これは関西における地盤沈下が、一つの大きな災害であるというふうに見られていないきらいが、ここにもまた如実に現われておるのであります。今衆議院内における災害対策特別委員会委員を変更することは、なかなか困難であると思うのでありますが、幸いに本建設委員会におかれましては、委員長はこの関係方面出身の方でもございますし、また委員方々におかれましても、関係地出身委員方々がおられますので、私どもはこの建設委員の今後の御活動に、非常な大きな期待を持つておるのであります。そこで委員長並びに委員方々にお願いをいたすのでありますが、この関西におきまする地盤洗沈下に対しまする特別の対策の小委員会を御設置くださいまして、そうして專門的に、また積極的にこの地盤沈下対策について何らかの方途を講じていただきたいことを、委員会に切にお願いいたすのであります。私ども関係地方出身衆参両院議員は、この地盤沈下を非常に重大視しまして、関係府縣と相連絡をとりまして、議院内におきましては地盤沈下対策議員連盟というようなものを設立いたしまして、各党各派からそれぞれ代表者を出し、各府縣からも世話人を出しまして、そうして関係地方出身衆参時議員が一致協力して、この災害復旧に全力をあげたいと、今やそうした運動かほうはいとして起つております。近いうちにこうした議員連盟が創立されることであろうと思うのでありますが、こういう連盟ができますれば、この連盟はこの建設委員会と密接な連絡をとりながら政府に向つてこの対策を樹立し、しかもこれが救済の道を講じられるように責極的に呼びかけて行きたい、かように考えておるのであります。建設省方々はただいま防災課長等お話を承りましても、いろいろと御心配をしていただいておるようてありますが、どうかその他の関係方面とも十分な御連絡をとつていただくように、ひとつ委員長にも格段の御配慮を要望いたしまして私の発言を終ります。
  18. 柏原義則

    柏原委員長 ほかに質疑はございませんか。
  19. 松井豊吉

    松井委員 一番重大である災害対策問題については、片山内閣当時から、昨年の九月十六日の大災害に伴いまして、私たちは委員の一人といたしまして、当時委員長を通じて予算の御決定を願うべく、あらゆる努力を進めて参つたのであります。片山内閣当時には、最低五十億を要するとして予算要求されたが、そのうち二十数億円内外しか決定されておらない。そこで重点的に工事の進行ができなかつた。さらにどうしても残つた三十億円の予算をとろうというときに片山内閣が瓦解して芦田内閣の出現を見、さらにその運動を続けて参つたのでありますが、遺憾ながら予算関係上、遂に政府もわれわれの希望する予算決定されなかつた。そこでいろいろの関係がございまして、遂に暫定予算を続けられまして、二十二年度も必要なだけの、われわれの希望の予算決定されなかつた。今まで三十数億円しか出ておりません。少くとも有数十億円の金がなければ重点的に工事が完成できなかつた。そういう関係で、本年たまたまアイオン台風におきましても、昨年の災害工事が資金窮乏のために中止されており、それに伴つて大体同じような場所が今回大きな災害を受けた。これはもう取返しがつかぬ。こういう関係を見て実に損の上塗りをして、被害甚大なことは、政府委員調査の結果御承知の通りである。それに本年も四百数億の損害をしております。これらの関係については、政府当局に責任があると申し上げて過言でない。そこで今日大きな予算要求することは当然でありますけれども、片山、芦田内閣を通じて、ただいま申し上げた微々たる予算によつて工事が準進行できなかつた。そういう関係で大きな損害をしている。われわれは長いことこの災害費に対する要求をして参つた一人でありますが、この問題に対しては重大であることをよく御了承願いたい。院議も通つておるのに、大体重点的に施行する程度の予算がどうしてもとれなかつたか、ふしぎなくらいである。芦田さんが暫定予算にも、微々たる予算しかとられない。こういう関係から過ぎたことはやむを得ませんが、今回は、いかに財政が何であろうとも、これは重点的に予算を御決定つて、少くとも被害地の急を要する箇所工事に着手して完成しなければ、また再びこれを繰返すような状況になると私は思う。政府方々にも予算を御決定されるには、少くとも調査研究した資料を持ち、あらゆる部面から努力を願いたい。また委員会においても、委員長を中心に、いろいろの関係を除いて、予算をとるこに重点的に御努力を願いたいと思う。簡單ながら一言申し上げておきます。
  20. 村瀬宣親

    村瀬委員 最後にはつきりもう一つ伺つておきたいのでありますが、先ほどこれは経済安定本部の建設局からお出しになつたかと思うのでありますが、二十三年度追加予算要求額二百六十三億円、実際はこれが百十億円、こういうふうな專門調査員の御説明でありましたが、これと前回岩澤次官お話になりました五十一億二千万円という関係を一應伺いたい。それからもう一つ先ほど來各委員並びに委員外のあの熱烈な希望並びに意見に対しまして、この地盤沈下問題が一日も放任できないということは、委員も、また政府委員も十分おわかりになつたと思うのでありまして、それがためには五十一億二千万円と一應岩澤次官お話になりましたその金額を、一億か五億かお加えになつてこれから要求をするという御意思があるかどうか、それを伺いたい。
  21. 伊藤大三

    ○伊藤説明員 五十一億幾らというのは私ははつきりわかりませんですが、実は私の方から今年度災害復旧費といたしまして安本の方へ要求いたしましたのは、緊急な対策費といたしまし大体五十億——河川局の関係としまして本年度内とりあえずの必要として五十億、それからなおあとに要求いたしますものとして約八十億、しめて約百三十億という要求を出しておるわけであります。それで先ほどの百十億の安本の案とかいろいろのものは、安本から大蔵省の方への交渉でありまして、その内訳がわれわれの方へ配当になると思いまするが、これはまだはつきりきまつておらないわけであります。それから先ほど防災課長からお話いたしました地盤沈下を、どれだけこれへまわすかというお話でありますが、先ほど防災課長が言われましたのは、地盤沈下の中にも今年の災害として、理由のつく限りとれるものがあればとつて來るかもしれないが、そういうように緊急にとつて來られますれば、この中でそれがやつて行けるのでありまして、いわゆるこのごろいろいろとお話を承つておりまする徐々に下りつつありまする問題につきましては、現在災害復旧関係調査にみんな出ておりまして、その関係の人がございませんものですから、早急に帰りましたる者から、來月の初旬からでもすぐさま調査にやりまして、そうしてその実情調査の上、何とか考えたい、こう思つておる次第であります。
  22. 村瀬宣親

    村瀬委員 とれるようになれば多くとりたいというお話でありますが、実はとれるようにいたすという、そのもとをおつくりになつたのはことしの八月ごろでないかと思うのであります。ところが今実は八月でない、この十月の三日のあの大潮でひどい目にあつたのでありますが、その後十一月初句ごろに各縣では調査を大騒ぎでやつておるのであります。その各縣の方の事務所を丸ビルの香川縣の出張所においておりますので、電話一本でいつでも詳細な調査があなたの方へ提出できると思うのでありまするから、八月ごろの調査を基本にしないで、これらの調査によつてこの御要求を五十一億二千万円とあるのを、五十五億とか、六十億にしていただけないないかというのであります。
  23. 伊藤大三

    ○伊藤説明員 この五十一億とおつしやるその一億というのは、道路災害費も入つているのかと私は思いますが、これは除きまして、この五十億のものにつきましては、これは今まで起りましたる緊急の災害にとりあえずいるものとして、大まかな見当で出しておるわけでありまして、今調査に行つておりまする——愛媛縣あたりにも調査に行つておりまするが、その中で現に災害費として緊急にとり得るものがあればとつて來るかと思いまするが、そういうものが入る、こういう防災課長のお話であります。根本的に今後どれをとるかという調査につきましては、來月の初めから二十日ぐらいの間にひとつ資料をまとめまして、その様子によりましては、あるいは追加予算によりますか、来年度予算によりますか、それは検討いたしたい。こう存じておる次第であります。
  24. 柏原義則

    柏原委員長 この際お諮りいたします。本日地元の方がお見えでございますが、愛媛縣会議員の井原岸高君より、本委員会におきまして発言いたしたき申出がございます。参考人といたしまして特にその発言を許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 柏原義則

    柏原委員長 異議なしと認めまして発言を許します。井原岸高君。
  26. 井原岸高

    ○井原参考人 地盤沈下によりまする災害地元の縣会代表といたしまして、本委員会にお列席をお許しをいただきまして、一言お願いできることを非常に光栄とするものであります。  御承知のように二十一年の十二月の震災によりまして、当時特に香川縣、高知縣に非常な隆起沈下の状況が現われまして、政府当局におかれましても、應急工事として多額の御出費をいただきまして、地元の者も一應安心をした次第であつたのでございます。ところがその後昭和二十二年の五月、大月ごろに至りまして、愛媛縣も同様、村瀬馬越両先生から先ほどもお話がありましたような地域の沈下状況が非常に進行いたしまして、現在なおだんだんと沈下をいたしているような状況でございます。地元の住民といたしましては、農業協同組合あるいは地元銀行から個人または国体で金を借入れまして、一應建設省の御査定をいただきました分につきましては、できるだけの労力をいたしまして、これが対策に奔走いたしているようなわけでありますが、ただいま村瀬先生からもお話がございましたようなふうに、何と申しましても地方財源の非常に困難な状況におきましては、根本的な対策を立てることはでき得ないのであります。幸いさいぜん防災課長から御報告くださいましたように本年八億なにがしの補助査定をいただいておりますけれども、これもわずかに三分の一を本年度で頂戴するというような状態でございますので、これまた地方といたしましては予算化する方法はなく、災害に対して手をこまねいているような状態でありますので、本委員会におかれましては、査定を急ぐことと同時に、政府へ早急に予算化するようひとつ力強くお運びをいただきたいことを地元としては特にお願いいたしたいと思います。
  27. 柏原義則

    柏原委員長 この際委員長より一言申し上げます。本日は安定本部当局も呼んでおりますが、まだ見えませんし、まだ先ほど地理調査所長より御説明もありましたが、その調査もまだ結論に達しておりませんし、本委員会としては今のところその対策を檢討するに不十分な点がございますので、今後はこれら関係方面と緊密に連絡の上、さらに檢討いたして参りたいと思うのであります。本件はこの程度にとどめます。
  28. 大神善吉

    ○大神委員 何にしても予算がなくちや話にならないので、予算のとれることに政府当局、まして建設委員会においては予算をとることに重点的に頭を持つて行かなければいけない。予算がなくていくら騒いだつて何にもならないから、予算をとることに力を入れなければいけない、先ほどから聞いておりますと、來月二十日ごろまとまるだろうというお話のようでありますが、それをもつと一日も早く資料を集めていただいて、強硬に予算をとるということが一番必要じやないかと思いますので、今もうすでに努力しておられるでしようが、より以上の努力をお願いしたい。そうして予算をむりやりに、名委員会に負けぬように十分とらなければ、ほんとうの仕事はできないんだと思うのであります。それは委員長の腰の一つであろう。委員長は相当どつしりしておられるから、その腰でひとつ十分予算をとつてもらつて、われわれの意思を遂行するように御盡力願いたい。
  29. 柏原義則

    柏原委員長 ただいまの御発言に対しまして、委員長は了承いたしました。大いにその方面に努力いたしたいと思います。次に本日の日程の請願につきましては、都合によりましてその審査を次会に延期いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十分散会