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1948-11-12 第3回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十二日(金曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 柏原 義則君    理事 松井 豊吉君 理事 天野  久君    理事 谷口 武雄君    鈴木 明良君       鈴木 仙八君    高田 弥市君       松浦 東介君    梁井 淳二君       足立 梅市君    伊瀬幸太郎君       上林與市郎君    溝淵松太郎君       大森 玉木君    笹森 順造君       森山 武彦君    大瀧亀代司君       只野直三郎君  出席政府委員         経済安定政務次         官       神田  博君         経済安定政務次         官       中川 以良君         大藏政務次官  塚田十一郎君         大藏事務官   河野 一之君  委員外出席者         議     員 村瀬 宣親君         経済安定本部部         員       高野 與作君         建 設 次 官 岩沢 忠恭君         專  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 十一月十一日  妻、人吉間縣道國道編入請願川野芳滿  君紹介)(第四号)  大夕張、清水澤間道路開設請願岡田春夫君  紹介)(第五号)  小名濱新潟間道路改修請願小澤專七郎君  紹介)(第二〇号)  茨城縣水害復旧対策に関する請願山崎猛君  紹介)(第三八号)  木曽川改修工事促進請願江崎真澄君外二名  紹介)(第四一号)  五ヶ瀬川の國営による治水調査並びに改修工事  施行請願川野芳滿紹介)(第五〇号)  小丸川改修工事國営施行に関する請願川野芳  滿君紹介)(第五四号)  牛朱別川改修工事施行請願河口陽一君紹  介)(第五五号)  延岡國道改修工事促進請願川野芳滿君紹  介)(第五六号)  久根別川溢流溝開設に関する請願冨永格五郎  君紹介)(第五七号)  上磯町所在の排水溝切替工事施行請願(富永  格五郎紹介)(第五八号)  天龍川堤防復旧費國庫補助請願川合彰武君  紹介)(第九四号)  伊作川改修工事施行請願上林榮吉君紹  介)(第一〇〇号)  丹野川改修工事継続施行請願竹山祐太郎君  紹介)(第一〇一号)  迫川沿岸改修工事施行請願中野寅吉君外六  名紹介)(第一〇二号)  基北川及びアイヌ川改修工事施行請願坂東  幸太郎紹介)(第一〇三号)  美瑛川護岸工事施行請願坂東幸太郎君紹  介)(第一〇四号)  宮崎、八代間縣道國道編入請願押川定  秋君紹介)(第一〇六号)  山川、枕崎間道路改修請願上林榮吉君紹  介)(第一一〇号) の審査を本委員会に付託された。 同日  道路整備事業促進陳情書  (第二号)  雪害復旧土木事業助成陳情書  (第一二  号)  大分縣における治水事業促進陳情書  (第一八号)  災害復旧耕地事業費全額國庫負担に関する陳情  書(第五七号)  政府代行干拓事業費増額に関する陳情書  (第五九号)  九州における主要観光道路國道に認定の陳情  書(第七一号)  國道四号線改修陳情書  (第七六号)  福井縣における震災対策に関する陳情書外四件  (第八一号)  土木建築工事設備工事分離請負契約実施の陳  情書  (第九一号)  國道三号線改修陳情書  (第一〇二号)  茨城縣水害復旧に関する陳情書  (第一一五号)  福井縣災害復旧費交付陳情書外一件  (第一四〇号)  平市復興特別都市計画幹線道路に関する陳情書  (第一五二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  災害復旧予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 柏原義則

    柏原委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続きまして、災害復旧予算に関する件を議題といたします。本件緊急災害予算について限定いたしまして議事を進めますので、あらかじめ御了承願います。本日は主として安定本部及び大藏省関係につきまして審議いたしたいと存ずるのでありますが、この際ちよつと当局に申し上げます。今度われわれ委員は大幅に変更いたしましたので、本件につきましてはあらためて愼重審議いたしておりますので、なるべく精細に御説明をお願いする次第であります。  それではこれより議事に入ります。まず安定本部側の御説明を願います。
  3. 中川以良

    中川政府委員 ただいま御質問のございました本年度緊急災害復旧費につきましては、御承知通り本年は各地に予想以外の災害が起りまして、これに対しましては、実に厖大なる予算を計上しなければならぬと考えておりますが、ただいま各省から集計をいたしまして、経済安定本部建設局におきまして、大体集めましたものを概略申し上げますると、二十三年度追加予算といたしまして、二百六十三億五千三百二十三万八千円、これだけを要求されておる次第でございます。このうち実際緊急のものをいろいろ拾つてみますると、いかに切り詰めましても百億くらいのものはぜひとも追加予算に計上せざるを得ない状態ではなかろうかと考えまして、鋭意これに対しまして檢討中でございます。但し、御承知のごとくただいま人事委員会給與発表等もございまして、ここに政府予算編成の上に非常な苦心をいたしておる次第でございまするが、できるだけこの点は各省関係方面とも檢討をいたしまして、この災害復旧をすみやかに実施すべく、私どもは懸命の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  なほ補足的なことは建設局長が來ておりますので、局長より説明をいたすことにいたします。
  4. 高野與作

    高野説明員 ただいま中川政務次官からお話のありました通り、今年度の緊急の追加予算といたしまして、各省から要求がありますものを総計いたしますと、二百六十数億になつておるわけであります。そのうち各項目について一わたり申し上げますと、河川では、今年度災害のうち、國費をもつて補助すべき金額は合計三百七十五億六千四百万円、そのうち今年度百三十三億九千三百万円は要求が参つております。  そういうふうに全額國費所要額と今年度追加予算要求額との数字ちよつとここで引続き申し上げてみたいと思います。まず砂防でございますが、砂防は十八億八千四百万円。それから農業といたしまして、被害総額國費負担分百四十億二千二百万円、今年度要求額が六十三億七千五百万円。山林が二十七億一千九百万円、今年度要求額が十億六千一百万円。水産が四億三十万の二億一千七百万円。道路が二億三千一百万円の一億六千万円。港湾が十八億五千三百万円の十一億三千九百万円。私鉄が五千七百万円の五千五百万円。治安行政施設九千三百万円の六千三百万円。文教施設十五億九千七百万円の六億九千三百万円。住宅が三億二十九百万円の三億九千九百万円。それから営繕関係が七億五千五百万円のうち、七億四千二百万円。都市計画が四億九千万円の一億九千七百万円。厚生関係は五千二百万円の四千二百万円、  以上が國費負担総額で、今年度被害が六百二十億八千二百万円。それから今年度要求額が二百六十三億五千三百万円でございます。それで今年度これだけの被害額のうち、今まで二・四半期、三・四半期において手当いたしましたものは、二・四半期におきましては今年度災害八億九千八百万円、三・四半期には十四億八千九百万円、合計いたしまして二十三億六千七百万円、これだけが今年度災害一般公共事業費のうちからやり繰りをしてまかなつてまいつた数字であります。從つてこれらが今回の追加予算にもちろん含められなければならないことになるだらうと思うのであります。  以上数字的の御説明を申し上げた次第であります。
  5. 柏原義則

    柏原委員長 次に大藏当局の御説明を願います。
  6. 塚田十一郎

    塚田政府委員 災害関係予算につきまして、大藏当局がただいまとつております立場につきまして、ごく概略申し上げたいと存じます。  ただいま安本当局から御説明がありましたように、安本当局から大藏省への要求は、約百十億という数字が参つておるのであります。それに対しまして、皆さん方もすでに御承知のように、今日の非常に困難な財政状態と総合勘案いたしまして、できるだけ多く御期待に副いたい、こういうことを考えて熱心に今予算編成中であります。ことにこの災害予算に対しまして、私どもといたしましては、國の財政が非常に困難であるということも、今日これを制約する一つの大きな條件ではあるが、それと同時に、災害復旧というものは、これを出し惜しむことによつて一文惜しみの百知らずの結果になるということがあるから、これは將來を見たときには、本年の予算で惜しんで將來にかえつてそれに倍かけた支出を伴うようなことになつたんでは、これは國の経済上大きな損失になるというような考え方から、どうしても出さなければならぬものは、どんなにむりをしても何とかして出す、こういう考え方で今せつかく努力中でございます。ただ御承知のように、追加予算につきましては、いろいろな要素が非常に錯綜して参つておりまして、どの予算一つとしてまだ最終決定には至つておりません。本日ここでどれくらいの予算災害予算としておまわしできるかということをお答えできないのは、まことに恐縮に存ずる次第でありますが、今日の予算状態をお考えくださいまして、いましばらく御猶予願いたい、そういうように考えている次第であります。
  7. 柏原義則

    柏原委員長 ただいまの当局説明に対しまして、御質疑がございませんか。
  8. 上林與市郎

    上林委員 第一に、ただいまいろいろ説明を承りましたが、速記録が非常に遅くなりますので、今承りましたけれども、詳細な数字はなかなか記憶にとどめ難いと思いますから、次の機会ころまでに、今御説明の大体の計数をひとつ報告願いたいと希望する次第であります。それから昨日も私ただ一言建設省方面に承つたのですが、既往災害に対する対策、あるいはこれに対する処置、これらについて安本大藏方針を、今確立されているならば承りたいと思います。  いま一つは、今のところ追加予算災害復旧費が出るかどうか見当がつかい、こういう御説明でありましたが、大体いつごろに発表できるようになりますか、このことを承りたいと思います。
  9. 柏原義則

    柏原委員長 おはかりいたします。先ほどの御質問の第一点である資料要求の件でありますが、当局要求するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 柏原義則

    柏原委員長 それでは適当な資料を次の委員会までにお願いいたします。  第二点、第三点の御答弁を願います。
  11. 塚田十一郎

    塚田政府委員 災害に対して大藏省としてはどういう処置をとつているかというお尋ねでありますが、既往災害分に対しましては、本年の公共事業費四百三十五億のうち、百二十五億が既往災害費として一應出ております。なお本年度公共事業費は、まだ全部割当が済んでおらない部分がありますので、今年度、過去の予算として計上いたしました部分のうちからも、なお相当金額既往災害分として出せる予定でありますが、その点はまだはつきりいたしておりません。それで過去の分のうち二十一年度災害分は、大体本年度で全部予算配布が終つてしまつて、仕事が終るという見込みになつておりますが、二十二年度分は多少明年度以降に残すというただいまの見通しであります。それから本年度予算がいつごろはつきりするかということでありますが、ただいまのところ、一日も早く全体の予算総額をきめて、そうして各種目に対する割当を決定いたしたいというふうに、連日努力をいたしておる状態でありますが、まだいつできるかという見通しまでは参つておりません。ただなるべく早くするように鋭意努力しておるということで、何とぞ御了承願いたいと存じます。
  12. 上林與市郎

    上林委員 何か政治的な意図があるかにとらないでもらいたいと思います。災害復旧費だけでよろしいのですから、大体の見当——ただいま予算の問題は政治問題化しておりますので、それとは全然切り離して、非常に緊急を要する災害復旧費だけでも、いつごろかという見通しはつきませんか。
  13. 塚田十一郎

    塚田政府委員 御質問趣旨は、結局安本の御要求になつておる百十億のうち、どれくらいを災害の分として今年見積られる腹づもりであるかという御質問のように思うのであります。新聞などにはいろいろの数字大藏省の案として出ておるというように報道されておつて、私ども新聞を見て承知いたしておりますが、また今まで財源として一應考えられる数字を基礎といたしまして、そういうものを彼此勘案して割振りいたしました一應の試案というようなものも、確かに大藏省当局考え方としてはあるのでありますけれども、ただ、まだそのどの数字最終決定には至つておらない。こういうふうにひとつ御了承を願いたいと思います。
  14. 上林與市郎

    上林委員 それではよろしうございます。
  15. 柏原義則

    柏原委員長 ほかに御質問ございませんか。——天野君。
  16. 天野久

    天野委員 大藏省の御説明に対して——たいへんにその災害に対する御関心を持たれて感謝いたしておりますが、そこでつけ加えて申し上げたいことは、今大藏省当局の御説明は、災害復旧はどうしてもやらなければならぬから努力する。こう言われるが、今までの例を見ると、災害復旧費もあるいは普通の予算要求も、同じように削りさえすればこれで事足りる。こういうようなことを言つてつたのではないかということが、今までの予算には認められますが、災害復旧費というものは、これは次官も言われた通り一文惜しみの百損——かりにこの災害予防に一千万円かけてはつきりやりなおすならば、その翌年は一億の利益があるということがあります。  この間私視察に行つたのでありますが、岩手縣かと思いますが、品井沼という沼、これは二千町歩の廣漠たる所が不毛のの状態に化しておつた。それではこの收穫はどうかといいますと相当の收穫がある。そうして概算して見て、一年の收穫を——この災害予防費にかけるならばこの被害はなくて済むだろうというその地方の人の話もあり、われわれも見てそう考えた。そこで私はこの災害復旧費及び災害予防費というものに対しては、大藏省は思い切つてはつきり予算を立てていくことが、國の更生の第一にとるべき道ではないかと考えております。そこで大藏省としまして、本災害復旧及び防災等災害に関するいわゆる治山治水、これに関連した予算單独にとつて、そうしてはつきりと十分に使つて防災をいたし、あるいは堤防復旧をいたし、國民をして安住の地たらしむるようにいたすお考えがあるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  17. 塚田十一郎

    塚田政府委員 御質問趣旨はまことにごもつともでありまして、私ども考えとして、きわめて同感でございます。ぜひどうしてもやらなければならぬものは、金の面の制約というものは二の次としてやりたい。ことに災害復旧の問題に対しましては、私どもといたしましては、こういう突発の災害財源面を経常の收入で押えるということ自体にむりがありやしないか、從つてこういうものは、裏から申し上げますならば、多少公債によつて経費を支弁してもよいじやないか、こういうようにさえ考えておるのであります。ただ今日の國の財政状態全般経済状態全般から見ますときに、公債によつて財源を求めていくということが、経済の他の面に及ぼす影響が非常に現われる面がありますために、そのような考え方一方でも行かれないというようにもいろいろ思案をいたしておる次第でありますが、考え方の根本といたしましては、たとえ公債によつても、ぜひ必要なものだけは何とかしてやるということを、考え方の基本に考えを置いておる次第であります。これだけを別に特別の会計のようなものにしておくというお考えがあるようでありますけれども、そういう考え方につきましては、実はまだ具体的に研究いたしたことがありませんので、なおよく御趣旨を体しまして研究いたしまして、何とか善処いたしたいと考えております。
  18. 天野久

    天野委員 今公債のお考えがあるそうでありますが、これはその地方々々において、災害復旧に対する公債というものはどうしても実行していただいて、そうしてしつかりとやつていただくことも必要じやないかと思います。それから今この災害に対する予算を見ますと、公共事業費の中に一括して計上しておる。今かりに建設省であるとしましても、最初は建設院として発足して建設行政に当ろうとしたのが、これは議会あるいは國民全般要望によつて、今大建設省要望いたしておることは、私が申し上げるまでもなく、國民全体が大建設省を設置して、國の建設のために当つてもらいたい。これは一人も異議ないものと考えております。そこで予算のみがそのまま公共事業費として元の通り予算を組んでおるということは、私はそこに社会の要望予算の組織とにたいへんな齟齬がありやしないか。從つて建設省要望するならば、やはり大建設省に沿うべく、建設省としての予算りつぱにとつて國民のためにやるべきだ。しかしてこの予算たるや本年一億使いまするならば、翌年はおそらく十億、二十億の利益となつて國民のために現われて來る。これはもう火を見るよりも明らかであります。どうかこの予算に対しては、ひとつ惜しげなく出していただいて、國民安住の地をつくつていただきたいことと、それから予算を計上いたす上において單独なる公共事業費一括でなく、建設のための予算をとつてつていただきたい。私はこれを切に要望いたします。どうかひとつ努力願いたいと思います。
  19. 松浦東介

    松浦(東)委員 簡單にお聞きしたいのですが、今度の災害対策は主としてアイオン台風あと始末ということになると思うのであります。御承知のようにアイオン台風被害が起りましたときは、國会が開会されておりませんでしたけれども、当時の國土計画委員会におきましては、たしか二回ないし三回にわたつて委員会を開きまして、これらの対策についていろいろ審議したのでございましたが、あのころ大体芦田内閣臨時國会予算を組む、また臨時國会以前において、つなぎ資金という意味において一つの手を打つ、こういうことを当時の北村大藏大臣が言明したのでありますけれども、その後御承知のように政変となつたわけでありますが、あのつなぎ資金とかそういうふうな処置は、その後どういうふうな経過をとつておるのでありますか、この場合承りたいと思います。
  20. 河野一之

    河野(一)政府委員 つなぎ資金の問題でございますが、二十三年度災害復旧のために予算がなかなか早急にとれませんので、さしあたり現在四十億ほどの預金部資金を優先的に地方に融通いたしましてやるということに決定いたしております。主としてアイオン台風関係がおもでありますが、これは安定本部大藏省両方で計画いたしまして、そういうふうに決定いたしまして、現に融資実行中であります。
  21. 松浦東介

    松浦(東)委員 前の約束は、大体四十八億ないし五十億というような話であつたのでありますが、今の御説明によれば四十億を決定しておる、漸次実行中であるというのでありますが、実行決定済みといいますか、すでに実行したものは大体どのくらいございますか。それを承りたい。
  22. 河野一之

    河野(一)政府委員 その報告は、銀行局の方にあるいはできておるかも存じませんが、ただいま手元に持ち合せておりません。各縣ごとの一應の割当をいたしてありまして、それを河で幾ら農業関係幾ら山林幾ら水産幾ら港湾幾ら、あるいは学校、都市計画、その他、こういうふうに経費縣ごとに区わけいたしまして通達してございます。日本銀行にも通達してございます。それから大藏省下級官廳である財務局にも通達いたしてございます。そうして、それまでの金額は必ず貸すという方針で現在やつておるわけであります。具体的に幾ら現在貸しておるかはちよつと手元にございません。
  23. 松浦東介

    松浦(東)委員 その金融措置という、それが実に魔物的な存在でありまして、これで魔術にかかつたように地方の縣廳では非常に悩まされておる現状である、かように私は思うのであります。主計局長お話によりますと、河川とか都市計画とかそういう区別はわかるけれども、実際的な統計が今わからない、こういうようなお話でありますが、ここには安本関係並び建設省当局がおられるのでありますから、各縣の割当と、また河川関係なら河川関係—これは建設委員会でありますから、建設省関係で各縣にすでに融資になつておる金、大体これはおわかりだろうと思いますが、それを承りたい。
  24. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 ただいまの御質問ですが、建設省関係は、ただいま主計局長からお話になりました四十億のうちの二十五億五千万円を、つなぎ資金として預金部から各府縣割当てるということに相なりまして、その金額は各府縣災害の状況に應じて、多少変化はしておりますが、一應は各府縣に対して、公式の文書をもつて内示することは、非常に大藏当局においても金の割振りというような意味からお困りの様子でありましたから、口頭をもつて、お前のところの縣にはどのくらい融資をするというような通知は、一應完了しておる。從つてそういう順序において各府縣とも逐次預金部から融資を受けておる状態でありますが、今お尋ねのように、どのくらいのものをすでに完了したかというようなことは、私の方には全然報告がありませんから、大体の割振り見当だけは各縣に二十五億五千万円の割振りはしておるように存じます。
  25. 松浦東介

    松浦(東)委員 あまり御答弁に満足したわけでありませんが、資料あとで頂戴いたしたいと思います。今の話を伺つてもわかりますように、資金の融通とか、わくとか、こういうことは私は非常に困難なことで、これが非常にむずかしい問題であると思うのであります、でありますから、これは地方廳によつては、非常に敏活な人もおりますし、また非常にぐずな人も中にはあるのではないか、かようにも考えられますので、この点に関しては大藏省なりあるいは建設省なりは、ひとつ非常に御親切という意味において、講習会でもないですけれども、よく資金化することを徹底するように、御指導を十分賜りたいということを御希望申し上げます。以上であります。
  26. 柏原義則

    柏原委員長 ほかに質疑はありませんか。
  27. 只野直三郎

    只野委員 岩沢次官におもにお聞きしたいと思います。  本年度災害に対する國庫補助その他については、とても十分だということができませんので、これはおそらく去年も今年も來年もというように、要するに不徹底に終りがちであるということを感じております。それで私はこのように中央政府の力が不十分であつて、しかも災害復旧を完璧にすることができないという場合に、予算面の問題だけを取扱つてそれで頭を悩ましてみたところで、國民災害による窮迫というものは、少しも解決されて行かないのであります。それで私は、あるいは本日の委員会見当からはずれていることをお尋ねするようなことになるかもしれませんが、それに付随した問題として私の方から一つの意見を申し上げて、当局のお考えをお聞きしたい、こう思うのであります。要点だけを申し上げます。  それは現在の治山治水の根本問題に入つて來ることなのですが、治山治水欠陷というものは、結局河川管理方式に非常に不合理な点が多い。その一つ河川管理のやり方が複雜多岐である。もう一つはこれは中央のことだけ言うてはいけません、地方のことも言わなければなりませんが、現在の政府機構の上から來る当然の結果だとは思いますけれども中央依存の弊風がはげしいために、民力活用ということがほとんど考えられておりません。これは非常に遺憾なことであります。私ども研究が足りませんから、そう思い切つたことは言えませんけれども徳川時代の藩政のときの治山治水は、かえつてよく行つてつたのではないか。それは民力活用ということが実によく考えられておるようであります。それで私は、河川管理方式の改善と、民力活用方式を新しく考えることによつて、今日の予算面の不足を補う大きな力になつて來る、こういうふうに思うのであります。それでこれは私のほんとうの考えにすぎないのでありますが、まず河川管理の一元化として考うべきことは、河川自体の管理の一元化を考えねばならぬことで、具体的に申しますと、いわゆる直轄河川というものをむやみに多くしない、直轄河川を嚴選する。そうして政府の取扱う直轄河川というのは大河川にきまつておりますから、その大河川を必ずしもみな総括的に直轄河川にするような愚をしないで、ほんとうに重大な河川に対しては國家が全力をささげてそれを完璧なものにする。そのかわり中小河川その他については、管理権を思い切つて地方に委讓してしまうという方式を、大所高所から立てて行かなければならぬのではないか。ただその場合に考えられることは、單純に地方委讓といつても、いわゆる投げ放しにするということを考えるのではなくしてそういう場合の河川管理方針にについて私は一つの具体的な案をもつておりますが、それは專属の河川改修委員会というようなものでも設けて、それに対しては特別な技能を持つている経驗のある人、あるいは今日でいうならば、府縣知事とかそういつたような責任のある地位にある者が、その委員会の構成メンバーになつているというふうにして、その河川管理方式をその地方々々に適應したような立案のできるようにする。中央政府の企画課で專門家が考えた画一的のものではなく、その土地々々に適應して、その土地土地にほんとうに歴史的な因縁をもつた河川管理方式が立つたならば、非常に住民の喜ぶ河川管理ができるのではないか。  それからそれに伴つて委員会があるならば、改修事務局というようなものを置いて、それにはほんとうの技術者がおつて、絶えず河川改修、あるいは維持保全ということをやつて行く、こうなつたならば必ずうまく行くのではないか。それからもう一つは、これは河川管理の一番非常急変の場合に備える問題でありますが、水防關係であります。今日の水防関係というのは、警察権が知事の手から離れている。しかも國家警察、地方警察と分れて、警察自体は知事の管理権から離れて独自な立場で行くのでありますが、水防関係のようなものは、やはり國家の制度の上においても、縣知事その他と十分なる協力機関としての性能を発揮するように、これは制度化す必要があるのではないか。水防という点においてはそういつたようなことを考えておりますので、河川管理に関して行政機構をわれわれはもう一度再檢討する必要があるというふうに考えております。  それから次に考えられることは民力活用であります。この民力活用ということは実に大きな問題だと思います。今日のように予算災害の何分の一も出ていかないような、あるいは今年の部分はちつとも予算がないといつたようなことで、民力活用方式考えなかつたならば、國民がのたれ死にをする。そうして民力活用ということをするためにはどういうふうにするかというと、結局は地方自治体に対する河川管理の権限の大幅な委讓を思い切つてやる必要があるのではないか、これは実際の例として私は宮城縣の水害地の者で、ほんとうに困り果てている農民の声を聞いているのですが、たとえば、今年河川堤防——決壞した。決壞したのでそれを修復するが、同じ程度の修復ではまたやられてしまう。來年もまた明後年も、こわれるたびに堤防を築くというような現状になつている。それをもつと幅を拡げるとか、ここをこう直せばこの次は決壞しないということがはつきりわかつている。わかついるけれども復旧工事ならば府縣知事の権限で無條件でできるが、それが河川工事になると中央の方からの許可がなければならない。その許可がないのにやつてしまうと予算が出て來ない、こういうので地方政府は非常に困つている。これは何としても國家として根本的に考慮しなければならぬ問題だと思います。  そういう場合には、もし今日の行政機構の根本改革が非常にむずかしいとするならば、ある地区に限つて適当な措置をとつて、そこだけこういうふうにやれというような、手取り早い方式をくふうしてやる必要があるのではないか。こういうふうにすれば府縣知事の権限がある程度拡大強化されて、そのことによる自由裁量が迅速に水害の困難を避け得るであろう、こういうふうに考えるのであります。  それからもう一つ、さつき天野代議士からの御発言にもあつたように思いますが、地方自治体の河川改修に対する権限というか、自治体の管理としてやつて行くためには、そこに当然起つて來るのは起債の問題であります。  農民自身が金を出して、そうして農民自身が河川を管理して行くというふうなところまで徹底すれば、民力活用の根本的なものになつて來る。これは私の村の連中も私によく訴えて來るのですが、今年の米の分がとれないと思つてそれを全部河川の方へまわしたならば、絶対に堤防などは決壞しないようになる。こう言つておるのですが、これはおそらく全國の災害地の農民の声だろうと思う。今年の米がとれないと思つて河川の方をがつちりきめれば、來年から毎年豊作だ。そうすると、とれないことにして、ということは、要するにとれた米を河川の方に思い切つて出すということである。そういう場合に市町村に起債を大幅に許して、十分にその土地において消化し切れるだけのものを起債させて、そうしてやつたならば、國庫補助にすべて依存するという弊風がおのずからなくなつて來る。これはそのことのために國家が怠けてもよろしいという意味のことを言うのではない。ただそういうことによつて、國家がどうしてもできないところを人民自身の手でやつていけるように、便宜を與えることがやはり政治家だ、こういうふうに思うのであります。そういうような形において、私は治山治水というものが今の不足を相当に補い、あるいはまた思わざる成果をあげて解決することができるのではないかと思うのであります。  それから第三番目には國庫補助の問題であります。これは決して國民の労働力を酷使せよというふうな意味考えから出るのではなくして、國庫補助というものは、どうしても國民自身の手で補うことのできないものに対する中央政府の強力なる援助でありますから、その中央政府の強力なる援助はあくまで重点的に、そうして完璧なものに仕上げて行く、そのためにはこの部分は今年はできないぞ、そのかわりこつちの方はがつちりやるぞと言つて、片つ端からきめて行けば、その分は一年や二年は恨みます。恨まれても、政府としては國庫補助の性格から完全なものを仕上げる。そうして順繰りに重点的にきめて行つたならば、そのかわり向うの利益をこうむつた分からよけい税金をとつて、こうむらない方へまわして行くというふうなことはあたりまえの話である。そういうふうなことが大切で、総括的にすべてやるというふうな國庫補助の形式は、結局國家の資金というものをスポイルしてしまう。  これは非常に考慮すべき問題ではないか。このような弊風が非常に多い。それがこの中央政府陳情に來る一つの大きい原因である。從つて地方分権的にやつて、そうして地方府縣知事に権限を委讓してやれば、その弊風はずつと少くなると思うのであります。そうなればわれわれとしても安んじて國家の補助に対する信頼が出て來る。こういう考えをもつのであります。  以上が民力活用に関する私の一つ考え方でありますが、こういつたようなことをするために、現行法規を改正することが困難であるかどうか。あるいはこれがやり得ることであるかどうか、そういうことを一應お聞きしたいと思います。  それからこれは非常に大きな問題になりますが、河川の総合開発計画、これは結局今の日本の國情では、日本の資金というものは絶対的に足りないと思います。從つて河川の総合開発のためには、外資導入ということが必然に起つてくるのではないか。むしろ今日、前内閣においても考えられた外資導入問題のごときは、この國土計画的な面に費されることが大きな意味をもつ、從つて外資導入をするかどうか、そういう計画を考えておるかどうか、それをお聞きしたいと思うのでありますが、ただそういつたような外資導入をするならば、民力活用ということが具体化されなければ、外資導入はいたずらに日本の國を植民地化してしまうが、民力活用が完全に行われ態勢ができて外資導入するのなら、日本の國は植民地化さない。この区別だけははつきりつけて行かなければならぬと思うのでありますが、そういうことに対する当局のお考えをお聞きしたいと思います。  それから現在の本年度災害、そういうものに対する國庫補助、そういつたようなことに関しては、いろいろこれから承つて、檢討して行きたいと思いますが、以上が私が治山治水考えた場合に、この形式をもつて行かなければ、どうもうまく行かないのではないか、予算が足りない、足りないということだけに終始しておつたのでは、いつまでたつても日本の治山治水はできないのである。その予算の足りない面を補うために、こういつたものを並行させてくふうする必要があるのではないか、こう考えたのであります。  以上はなはだ雜駁な話でありますが、お尋ねいたします。
  28. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 今の只野さんの御質問にお答えいたします。河川の管理という問題について、多少お話の点とわれわれが言つておる管理というものについて、見解がかわつておるので、今御質問の要旨は要するにその工事の面についてはお話のように私は考えておりますが、河川の管理は行政的に申しますと、全部縣費支弁以上のものは、縣知事がもつておりまして、現在、國で直轄工事をやつておる区域も、管理権は現に地方長官が持つております。そこでその管理権はあくまでも今までの河川法の立場としては、地方長官にこれをお渡しして、そうして將來もそれでやつて行きたいと考えております。と申しますのは、中央で直轄工事の区域だけをかりに國で管理したらいいじやないかという意見も相当出てはおるのでありますけれども、区域が限定しておる関係上、上流と下流との関係が非常に複雜多岐にわたり、また両岸との関係が非常に混乱するというような意味から、やはりその地方における行政管轄をしておる知事が、全体的に管理した方が何かにつけて都合がいいという建前で今日まで來ておるので、この点は今申しましたように、國で直轄して、國で何とか管理した方がいいとか、あるいはまた大河川は先ほどお話いたしました通りに、水源地帶から河口まで一貫して國でこれをある單一の委員会とか、あるいはその他の方法によつて管理したらいいというようなこともありますから、今後河川法を改正する機会においては、御趣旨のところはわれわれも大いに啓発される点がありますから、十分研究してみたいと思います。  それから現在の河川改修というような問題については、ただ單に官僚のみにまかさずに、專門家を入れ、あるいは地方の、その河川についての長い間の経驗者を入れて、改修の根本計画をきめたらいいじやないか、こういうお説ですが、これはわれわれも非常に賛成しておるのでありまして、從來計画を進める場合におきましても、その地方の人の声を全然聞かないというのではないのでありまして、ただこの点だけをわれわれは十分警戒しておるのであります。と申しますのは、河川は大体どこの河川につきましても、河川を境にして行政区域がかわつておる。そういうような関係から、かりに一つの対岸の方の人から委員を出してやる、そうして向うの方から委員が出ないということになると、とかく自分の方の田に水を引きたがるというような弊害がまま起るような傾向もあるのでありまして、実際われわれが地方の人の意見を聞く場合においては、地方における水害の状況を十分聞きまして、そうしてこの河川をどういうふうにしたらいいかという根本計画を立てる上の一つの参考資料にしておるのであります。從つて根本計画を設定する際においては、やはりこの專門家を集めて、その根本計画を立てておる次第でありまして、終戰以來御存じの通り河川が非常に荒れてまた雨の降る量も多くなつた。從つて從來内務省時代から今日まで一定の洪水量を基準にして計画した河川も、これでは全然安心ならない。こういうような観点から、昭和二十一年の、ちようど私の國土局長時代から内務省に治水事業調査会というものを設けまして、一般民間の專門家及び都道府縣の土木部長あるいは知事なども入れまして、今檢討しているので、今後における直轄の重要河川についてはその線に沿うて進めて行きたい、こういうように考えております。なおそういつた思想は、各府縣河川改修においてもやはり取り入れて行つた方がよいと私は考えております。それから災害の査定について、ちよつとしたところをそのまま復旧ではだめじやないか、やはりそういつた場合においては、從來から水害のがんとなつているものを取除くようなことをしたらいいじやないか、こういうようなお話でありましたが、これは現に査定の方針として十分取り入れてやつているような次第で、たとえばある河川がずたずたにやられたというような河川においては、その河川河川敷が実際において狹いということを現実に神様が示したということに相なるので、その点におきましては、そういつたような河川については、これは復旧を原則とするという災害の査定方針をもう一歩前進して、積極的にその河川を根本的に改修するという方法をとつております。また一つ河川全体的にやるのでなく、ある区域はやはり復旧工事の査定をしまして、そうしてなほそれでは、折角金を投資してもまた來年の水でやられるというようなおそれのある所には、復旧費以外に水害対策助成費というものを別個に要求しまして、それにつけ加えてやるというような方法をとつております。現に昨年の迫川のごときも、現地の査定におきましては、六千万円の査定でありましたけれども、それではやはり前後の川の状況から見まして目的を達しないという意味から水害対策助成費を三千万円増額しまして、ある相当の期間だけは根本的に改修するというような方針をとつておりまして、先ほどの御質問のような趣旨は、われわれの方でもやつている状態なのであります。  それから災害復旧を重点的にやつたらいいじやないかというお話でありますが、これはわれわれもそう願いたいのでありますけれども、何しろ災害を受けた町村あるいは河川の一般の縣民諸君は、家を放つておいてよそだけやるというようなことで縣当局も非常に困難を感ずるのじやないか、なるほどある重要な箇所に集中して、小さいやつはあとまわしにするというようなことを、現実に、ここは來年の補助にするとか、ことしはこの箇所ということをきめることが非常に困難なために、やはりことし災害が起つた場合には、全面的にこの縣における災害は何億の工事費になるということをきめまして、実際工事をやる場合においては、縣当局と打合せまして、最も重要な箇所から急速にやつて、比較的軽微なものは、災害復旧であるがゆえに、やはり補助をもらう権利があるというような意味から、後年度に事業を延ばして行くというのが現実の姿なのであります。でありますから、多少程度が違う関係上只野さんのような御説が出るのでありますが、実際の運用の面においては、そういつたような点はすでに加味しております。今御説のような点をもつとはつきりすれば御満足になるのじやないかと思いますが、その点も十分注意いたしたいと考えております。  それから河川総合計画についての外資導入は考えているかというお話でありましたけれども、われわれ河川だけでは、外資導入は結局償還というような財源もないという観点から、河川改修のみに外資を導入することは考えておりませんけれども將來総合計画の一環である、治山治水の一環であるダムをつくるということ、これから水力電氣を出すというダムの建設については、そこから相当利益も得られるという意味から、償還する財源もおのずから出て來る。そのためにこれを目当にして外資導入というようなことは相当考えられるのじやないかと思いますけれども、これはわれわれの所管外でもありますし、というて全然河川には関係ないと言うのではありませんが、ダムの建設については、安本を中心にして、現在河川総合計画調査会とかいうものがありまして、日本全國における水力発電その他灌漑用水、工業用水、水道などというような利水の面において、現に十分調査しておりまして、それを逐次普遍化して行く方向に向いつつあるのであります。
  29. 只野直三郎

    只野委員 今の御説明ありがとうございました。民力活用に関する方策としての問題についてのお考えをお伺いいたしたい。
  30. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 民力活用というと非常に廣範囲になりますけれども、先ほど御指示のありました民力活用という点につきましては、非常にわれわれ同感しておるのです。ただ問題は、河川については先ほども申し上げる通りに、利害関係が相反するような箇所が非常にありまして、たとえば対岸と行政区域がかわつておるような場合において、たまたま自分の方の堤防が切れた。これは低いから水がオーバーフローして決壞して、自分の村が何千町歩泥海に化した。そういうような場合においては、その堤防をいわゆる河川の管理権までその町村自治体にやつて復旧をさしたらいいじやないかということになると、とかく対岸との高低が差を生じまして、さなきだに水げんかをするようなことが非常に町村の紛糾の原因になるという関係から、そういつた被害の非常に影響の大きい河川は、やはり縣費支弁といたしまして、縣知事がこれを管理して、その辺のところは調節するというようなことなんで、道路とかあるいはその他のものとはよほど趣きを異にしておりますから、御指示になつたような自治体によつて民力活用して云々というようなことはなかなか困難だろうと思ひます。
  31. 只野直三郎

    只野委員 それではもう一つ地方自治体の起債の方をおおまかに許すことによつて、先ほど言うたその意味における民力活用という点について、それが実行上困難であるかどうか、そのことをお聽きしたい。
  32. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 地方の起債につきましては、要するに地方の起債は低利でこれを借りたいというのが一般の希望ですから、從つて預金部の金を貸してもらいたいという希望なんですが、國の預金部資金相当制限せられまして、しかも実は一般公共事業費に対する預金部の運用資金といたしまして、二百四十億というものが一應わくとしてきめられておつたのであります。ところが、この二百四十億というものの中には相当公益事業というような利益を伴う、水道とかあるいは水力電氣とかいつたようなものについては、無條件で全額申請通り許せるのでありますけれども、國の補助に関連したような工事につきましては、二百四十億ではわく外に皆はみ出る、從つてせつかく國がひもつきで補助を出しても、目的を達しないという声が非常に多くありまして、そして大藏当局の方に十分その事情を説明しまして、結局三十億だけを増してもらつて、今年度における補助金による事業というものはようやく完遂できるというような状態であります。今後における預金部資金相当大幅に増大すれば、御希望になるようなところは、すなわち相当の工事をやるに対しては、町村には金がない、從つて預金部の低利資金を借りて工事をやるというような場合においては、どしどし利益を伴うのですから、大藏当局においてもそういつたものを融通すると思いますけれども、またわれわれとしてもそういうふうに大いにあつせん助力はするつもりでありますけれども、現在における預金部の状況からみまして、実際においてその利益があるということはわかりながら、資金の運用上非常に困難を來たしているような現状であります。
  33. 溝淵松太郎

    ○溝淵委員 ただいま都道府縣の水害状況調査の表をいただきました。この表を見ますと、香川縣は何らの災害がなかつたように出ている。御承知かもしれませんが、四國四縣並びに中國におきましては、一昨年の大震災が原因となりまして地盤がだんだんと沈下している。本年の十月に高潮がございまして、この高潮が沿岸地帶の水田に押込みまして、大なる惨害をこうむつているのでございます。これが復旧をやつていただかなければ、これらの沿岸地帶の農家はあとの作付ができないような状態になつている。こういうことは四國四縣の各縣からも御報告があつたところと思うのでございます。ところが、この調査表を見ますと、載つておらないのでございます。これは水害調査でございまして、水害以外の災害は載つておらないでございますが、私ども考えますのには、川の雨水も水害であるが、海から逆流して來て水田を侵したのは、これもいわゆる水害だと私どもは見るのでございます。これらが調査表に載つておらないということは、私はどうしたことかと思うのでございまして、一言お尋ね申し上げます。
  34. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 今の溝淵さんの御意見はごもつともでありますが、差上げた表は、これは風水害によるものだけでありまして、先年の南海の大震災によるその後の地盤沈下というものは、風水害以外の項目で、災害に対する助成費というものを予算の上で計上しておりますし、それは現在においてもすでに各府縣相当に配付しまして、逐次復旧に縣当局は当つておりますから、それとは多少別個の扱いをしております。
  35. 柏原義則

    柏原委員長 この際おはかりいたします。議員村瀬宣親君より委員外発言の申出がございますが、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 柏原義則

    柏原委員長 御異議なしと認めましてこれを許します。
  37. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 ただいま溝淵委員からお尋ねになりました点について、私もなお予算化の面をお尋ねしておきたいと思うのであります。昨年の南海大震災による地盤沈下の問題が起りましたのは、震災直後はあまり氣づかれなかつたのでありますが、四國四縣並びに和歌山縣等に逐次被害が大きく見え始めまして、それぞれ予算科目としていただいたはずであります。この表に出ております四億四千五百三十四万円というのは、主としてその範囲であつたのでありますが、その後四國四縣はもちろんでありますが、廣島、山口、岡山、大阪、兵庫というような方面にまで、この地盤沈下の現象が顯著になりまして、今関係地方民は非常な不安と恐怖の念にかられておるのであります。現に高知縣のごときも、千二百年前に一郡が全部陷沒したというようなこともありますので、四國が全面的に沈んでしまうのではないかというような流言、予想も行われておるような状態であります。これに対しまして、國として何かの御調査また將來見通し、あるいはこの間の十月三、四日のあの高潮による大浸水といいますか、これは特殊な氣圧に属するもので、別に地盤沈下ではないというような御調査でもありますれば、地方民は安心ができるわけでありますが、それもまだきまつていないようでありますので、そういう点に対しまする建設省の御調査並びに將來見通し等がありますれば、承つておきたいと思うのであります。それから一番大事なことは、もう今非常な危險にさらされておりますので、二十三年度予算のほかに、何らかの予算処置を早急にしていただかねはならぬというので、十縣の関係者は大挙して参つておるような状態でありますが、第三臨時國会にこれが追加予算を御要求になつておりますか、またその額はどのくらいでありましようか。
  38. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 南海震災に伴うところの四國四縣並びに太平洋沿岸の地盤の沈下は、御説の通りに地震が原因して海岸方面が沈下した箇所もありますし、また地震の影響を何ら受けずに、旧態のままにおいて、現在においては潮が上るというような箇所も相当できておるやに聞いておるのであります。これがはたして順次地盤が沈下して、四國が海の中に落ちるというのであるか、あるいはその後の海面の変化によりまして、海面が高くなつたために、從來潮が越さなかつたのが、非常に危くなつたために落ちるかということにつきましては、ただいま私の方の地理調査所に命じまして、根本原因を調査しておりますから、不日その結果が現われるだろうと思います。その上において根本的な対策を講じたいと思います。さしあたりの應急対策といたしましては、すでに昨年現実に地盤沈下をした箇所についての、地盤沈下の災害査定をいたしまして、現在その補助額としては八億三千余万円というものを計上いたしまして、今年度におきましてはすでに三億円以上を関係各府縣に配付して復旧努力してもらつております。それにつきまして、今度の臨時國会に対して、なお緊急費として地盤沈下の予算要求しておるかというお話でありますが、すでに八億なんぼというものものは安本の方にも御承認を得ておる関係上、逐次これが具現化するというように考えておりますから、第三國会には、地盤沈下という名目において予算要求はいたしておりません。
  39. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 八億幾ら予算安本と御協議済みであり、本年度は三億円ほどすでに決定をしておるというお話でありますが、その八億円ほどを査定なさる当時と今日とは、実に大きな変化を來しておるのであります。実際私も建設省の各派遣されました技官と一緒にあの当時現地をまわつて見たのでありまするが、最近また大騒ぎをしておりますので、現地へ行つて見ますると、驚くほどの変化を來しまして以前通りの工法其の他金額では、とても不安でならないというよりも現在非常に手がつけられない、住むにも住めない。これを放任すれば、地方民の思想上にも非常に深刻な影響を及ぼすでありましようし、またぼつぼつ社会問題化するというところまで行つておる箇所があるのであります。これに対しまして何らか國の方でもお考えをいただきたいと思いまするし、とりあえずせつかく臨時國会も開かれておるのでありまするから、これに御提案になつていただくお考えはないかどうか、もう一度お伺いいたします。
  40. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 この点につきましては、八億なんぼの補助額をきめた当時において、各縣の申請によつて決定はいたしたのでありますが、今村瀬さんのお話通り、その後漸次沈下した箇所が相当あるということを縣からも申出がありましたので、これは今年度における地盤沈下の追加として調査査定をしまして、補助額を決定いたしたいと思います。
  41. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 補助額を決定いたしたいという御答弁は非常にありがたいのでありまするが、その御決定は実は急を要すると思うのでありまして、実際現地へ行つて見ますると、今ざあざあと潮が押しかけておるという状態でありまするので、これに対する御処理の方法、つまり何とかの流用等の方法があるかどうかというような点をもう一つ伺いたい。
  42. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 お答え申し上げます。今われわれの方で査定しているのは、水害に対する係員を各府縣に派遣しておりまして、これが大体十一月に終了する予定でありますが、それが済み次第、四國四縣その他の府縣から出ておる地盤沈下に対する査定を開始して、少くとも通常國会にはその全体の地盤沈下の補助金の増額ということをやりたいと思いますので、今お話のように、こういうように非常に困つているのだから、できるだけ早くやつて、第三國会に緊急費として追加しろという御注文でありますけれども、事務的に見まして、また縣の方の申請も非常に遅い関係上、どうも間に合わないので、できるだけこの点は早く査定をしまして、大体の目安をつけたいと考えております。
  43. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 最後にお伺いいたしますが、それでは臨時國会には建設省としては全然追加予算要求はなさつておらないのでありますか。もし何かをなさつておるといたしますならば、全然項目が出てないといたしますと困難でありましようけれども、項目が出てそれに頭が出ておるのなら、それに何とかしてつけ足していただいて、地方民の不安を少しでも少くする必要があるのじやないかと思うのであります。その点を伺いたいと思います。
  44. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 これは今の臨時國会には緊急費として要求はしておりません。
  45. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 私がお尋ねいたしたいと思いますのは、この問題はまだ要求なさつてもらえないし、なさるおつもりもないことがわかつて、実は驚いたのでありますが、ほかの方面か何かで、建設省としてこの臨時國会追加予算を御要求している項目があるかどうか、あるならばそれにつけ加えていただきたい。全然ないとすれば、國会が進行中でありますから、今からでは困難でありましようけれども、この問題外にもせよ全然頭も出ていないのであるかどうかという点を伺いたい。
  46. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 これは先ほど申し上げました通り、新規要求とう緊急性のものの中には入つておりませんが、実際の運用の上においては、特にそういう緊急を要するような箇所については、今緊急性で要求しておるものが決定いたしました場合においては、その運用によつてそういう方に金をまわして仕事を早く促進したいと考えております。
  47. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 緊急的なものと認められればというお話でありますが、そうすると、これ以外のもので緊急的なものとして、この國会に御要求になつておる予算額があるといたしますならばその額をひとつ伺いたい。
  48. 岩沢忠恭

    岩沢説明員 私の申し上げたいのは、緊急の災害対策として安本の方では百二十億ばかり出しましたけれども、その後に國の財政の関係上それを緊縮いたしまして、現在においては五十一億二千万円の金額要求しております。これが現実に確定いたしますれば、その予算を割振る場合において、そういつた地盤沈下の緊急性のあるような箇所に対しては、その予防を考慮しまして予算の配付をやりたい、こう申し上げるのであります。
  49. 柏原義則

    柏原委員長 別に質疑もないようでございますし、本会議の時間も迫つておりますので、本日はこの程度に止めまして、次会は追つて公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれで散会いたします。     午後三時五十四分散会