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1948-11-11 第3回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月十一日(木曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 柏原 義則君    理事 松井 豊吉君 理事 天野  久君    理事 谷口 武雄君       鈴木 明良君    松浦 東介君       伊瀬幸太郎君    上林與市郎君       大森 玉木君    菊池  豐君       長谷川政友君    笹森 順造君       森山 武彦君    大瀧亀代司君       只野直三郎君  出席國務大臣         建 設 大 臣 益谷 秀次君  委員外出席者         議     員 森 三樹二君         議     員 北  二郎君         建 設 技 官 目黒 清雄君         建 設 技 官 菊池  明君         建設事務官   賀屋 茂一君         專  門  員 西畑 正倫君 十一月十一日  谷口武雄君が理事追加選任された。     ————————————— 十一月十日  鉄道軌道通水構造に関する法律案(参議院送  付、参法第一号)(予)  道路橋梁通水構造に関する法律案(参議院送  付、参法第二号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事追加選任  小委員会設置並びに小委員長選任に関する件  災害復旧予算に関する件     —————————————
  2. 柏原義則

    柏原委員長 これより会議を開きます。  この際理事追加選任の件につきましておはかりいたします。現在理事は三名でございますが、都合によりまして一名理事追加選任いたすことになりました。その選任方法はいかにいたしましようか。
  3. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 理事委員長において指名せられんことを望みます。
  4. 柏原義則

    柏原委員長 鈴木君の御意見に御異議ございませんか。
  5. 柏原義則

    柏原委員長 御異議なしと認めます。それでは    谷口 武雄君を理事に指名いたします。     —————————————
  6. 柏原義則

    柏原委員長 次に小委員会設置の件を議題に供します。先般の理事会におきまして協議いたしましたが、本委員会の調査または審査事項治山治水事業の問題につきましては、その対策檢討のため、今回もぜひ小委員会を設置する必要があると認むる次第でございます。この際治山治水対策小委員会を設置するに御異議ございませんか。
  7. 柏原義則

    柏原委員長 御異議なしと認めまして、治山治水対策小委員会を設置するに決しました。  なおおはかりいたしますが、小委員選任につきましてはいかにいたしましようか。
  8. 鈴木明良

    鈴木(明)委員 小委員は九名として、小委員及び小委員長委員長において指名せられんことを望みます。
  9. 柏原義則

    柏原委員長 鈴木君の御意見に御異議ございませんか。
  10. 柏原義則

    柏原委員長 異議なしと認めます。それでは、    松井 豊吉君  高田 弥市君    梁井 淳二君  上林與市郎君    伊瀬幸太郎君  大森 玉木君    長谷川政友君  谷口 武雄君    只野直三郎君以上九名を小委員に、松井豊吉君を小委員長に指名いたします。     —————————————
  11. 柏原義則

    柏原委員長 次に災害復旧予算に関する件を議題に供します。  本件は今まで委員会におきましてしばしば愼重審議を重ねて参つておるのでございますが、このたび委員が大幅に変更がありましたので、その重要性にかんがみまして、ここにあらためて愼重審議いたす必要があると存ずるのであります。本日は建設当局出席を求めまして、これから審議に入りたいと思うのであります。まず大臣のこの問題に関する根本方針をお伺いする予定でありましたが、まだお見えになりませんので、都合によりまして、現在までの災害復旧状況につき関係当局よりの説明を求めたいと思います。目黒説明員
  12. 目黒清雄

    目黒説明員 私河川課長目黒であります。よろしくお願いいたします。  二十三年度災害状況でありますが、御承知通りに九月のアイオン台風が最も被害が多かつたのでありますが、その以前地方によりましては、東北北陸地方におきましては雪解け災害相当つたのであります。その次に六、七月の風水害、さらに北陸地方震災等がありまして、これらに対して追加予算要求をいたしましたが、何ら施すところがなくアイオン台風にあつたのであります。お手元に差上げましたのがこれらの表でありまして、アイオン台風の一番被害の多いのは岩手宮城であります。岩手は七十余億、宮城群馬は四十億、北海道が三十億という順序になつております。これらを総計いたしますと大体四百五十億になります。これに対します國庫支出額が三百五十億余となるのであります。ところでこれに対して今までいかなる手を打つたかと申しますと、本年度公共事業費のうちから捻出いたしまして七億の金を支出いたしております。そのうち北陸震災のために四億二千万円、風水害のために二億八千万円という金を出したのであります。しかしながらこれは非常に少額でありまするので、われわれといたしましてはこれに追加要求をいたしておるのであります。いろいろ財政都合もありまするので、われわれといたしましては十二月までに五十億、次期に七十九億、計百二十九億の予算要求中でありますが。これがどの程度に認められどの程度追加されるかはまだ未定なのであります。  さかのぼつて昨年國費にいたしまして百九億の災害をこうむつたのでありますが、二十三年度支出予定額は約その四十%に満たないのでありまして、來年以降に残された仕事がその六十%、六十余億の災害完成部分があるのであります。こういう状態でありますので、災害復旧は遅々として進まぬというのが現状であります。災害といたしましては、そのほかに特殊な災害が起りつつあります。それは九州地方にあります炭鉱が、戰時中の濫掘のために地盤を沈下せしめる、これをわれわれの方では鉱害と言つておりますが、これが相当起りつつあります。また南海方面震災あととしまして地盤が沈下しつつある状態であります。これもわれわれの方では地盤沈下として災害の中に考えております。  それでこういうふうな災害がどうして起つたかということでありまするが、御承知通り戰時中河川工事の中止あるいは山林の荒廃、こういう原因が重大なる原因をなしておりまするが、また一方最近雨量が相当多くなつたということも、見のがしてならぬ原因と考えております。これをさらに分析いたしますれば、そういう自然現象以外に災害を起している要因も見のがせないのであります。と申しまするのは、災害というものは、過去におきましては、その年度内にその復旧を完了したものであります。それが先ほど申し上げました通りに、災害復旧のために数年を要するというのが現状なのでありまして、昨年の災害復旧が四〇%前後しか完了しなかつた。その残りが六〇%であつたために、本年の災害が非常に激増したというのが原因と考えられます。それから予算上の災害復旧一般河川改修という比率を考えてみましても、私の方の二十三年度予算は百七億でありまするが、そのうちの七〇%が災害復旧費でありまして、三〇%が河川改修費である。その以前はさらに三〇%以下の河川改修費であつたということは、河川を改修して災害を未然に防止するという観点から考えましても、非常に比率が正しくないのであります。われわれとしては、逆に災害復旧費というものは少くなり、河川改修費が多くなり、その比率が七〇%が河川改修費であり、三〇%が災害費であるという状態に持つて行くことが望ましいと思つておりまするが、何にいたしましても、さし迫つた災害というものは直さなければならぬという押迫つた状態でありまするので、余儀なくかくのごとき状態になつておるのであります。從つてこの一般河川改修費、いわゆる災害予防施設ができないということが、災害を頻発する原因となつております。最近の災害の傾向は、お手元の表に載つておりまするが、昭和十六年以降の災害状態は、非常に急激に増加して参りました。この程度に加速度的に災害が増加するといたしますれば、これはゆゆしき問題でありまして、とうてい災害復旧費さえもまかない得ない状態になり、土地は荒廃のまま放置する以外には手がないような形になりやしないかということを憂うるものであります。以上簡單でありますが、終ります。
  13. 柏原義則

    柏原委員長 次にただいまお手元にあります参考資料につきまして、御説明を願います。賀屋防災課長
  14. 賀屋茂一

    賀屋説明員 本年の災害数字について申し上げます。お手元にさし上げてあります二十三年の災害は、これは総額で五百十七億ということになつております。先ほど局長から申されました大体四百五十億というのは、現に査定中でございますので、多少査定減もあるだろうという見込みで総額を四百五十億と見込んだのであります。報告に基きますのは五百十七億あるわけでございます。これは九月十五日までの、アイオン台風直前までの災害が二百三十億、大体半分でございます。これまでの災害につきましては、東北方面融雪その他風水害につきましては、緊急の査定をいたしまして、これは工事は実施せしめておるのであります。そうして次には十六日にはアイオン台風ができましたので、これを來月の上旬ごろまでに全部査定いたしまして、正確な数字を出しまして國庫補助をしよう。現在しておりますものは、來年度予算もこれは概算によつて申請をしておるわけであります。災害復旧は御存じのように明治四十三年の法律規定がございまして、その年の暦年で一月から十二月までの災害公共土木施設全般について嚴格な査定をいたしまして、法律に基く規定を適用しまして、規定補助率の三分の二というものを基本に補助しているわけであります。最近の國庫補助状況を見ますと、最後の表にございますが、戰時中十六年から十九年ごろまでの災害の発生の状況國庫助成状況を見ますと、大体五〇%から六〇%近く國庫助成が毎年あるわけであります。ところが二十年以降になりますと、災害復旧費が非常に激増しましたのにかかわらず、國庫助成金がそれに伴いませんので、二十年ないし二十二年度状況は大体十七、八パーセントという状況でありまして、非常に残りが多いのであります。このためにさつきお話のように、復旧前に再び災害をこうむるということで、年々災害がふえてくる一つ原因となつているわけでございます。でございますが、現在まで二十二年度災害復旧状況を見ますと、被害の比較的少い府縣は、大体においていろいろな金策をいたしまして、大体八〇%も進んでいる所もあります。全般を見通しますと、大体六〇%程度復旧が完成しているようでございます。それに國庫補助先ほどお話のように、昨年の災害につきまして四〇%程度しかないのでありますが、あとの二〇%内外の金は府縣がいろいろな手を打たれまして、工事促進に努めておられるわけであります。  それから最後既往災害復旧工事に対する國庫補助についての表が付いておりますが、この状況を一應申し上げておきます。既往災害と申しますと、既定國家補助金がいまだ済んでおらぬものが——昭和二十年の災害以來、二十年、二十一年及び南海震災、それと昨年の災害というものは國庫補助がまだ残つている状況でございます。この表に示しておりますのは、二十年、二十一年、南海震災というのは第四・四半期の金を相当計上しております。この金を支出いたしますならば、二十年、二十一年、南海震災は全部既定補助がすむわけであります。二十二年に至りましては、昨年に大体十二億の補助がございまして、本年ではまだ第三・四半期までの支出になつておりますが、予定は第四・四半期百十億四千万円というものがいまだ残つているわけでございます。これを換算いたしますと、昨年の百九億に対しまする残は六十六億になるという状況でございます。これは二十四年度で全部支出助成したいという方針でおります。  その次に追加の二十三年災害及び北陸震災というのがございますが、二十三年の災害要求しましたところはアイオン台風以前の要求でございまして、第二・四半期及び第三・四半期支出は、本年度公共事業既定事業費の中から捻出して支出したものでありまして、約四億数千万円でありまして、これは既定費用の中から支出されたものでございます。北陸震災につきましては、大体二億八千万円程度福井石川に出ておるわけでございます。これも既定公共事業費の中から捻出されたものであります。  次の表の北海道國費といいますのは、北海道は旧拓殖関係の全國費支出いたしますものと、それから地方費普通縣と同じように補助支出いたしますものと、二つにわかれております。この北海道國費というのは、全國費復旧する事業なのでございます。これも二十年の分及び北海道につきましては二十一年度はすでに國庫補助は全部済みました。二十二年は御承知のように四期の六千七百余万円ございますが、これを支出いたしますと、北海道の分につきましては二億七千六百余万円が二十四年度に残るわけでございます。それからその追加の二十三年と申しますのは、本年の北海道の風雪、風浪の被害でございまして、大体二千四百万を今までに出しておるわけでございまして、四期には三億二千六百万を実は要求しておつたわけでございますが、これだけが出ますれば、北海道の二十三年の融雪関係は一段落するということでございます。大体以上でございます。
  15. 柏原義則

    柏原委員長 ただいま大臣がお見えになりましたので、この際災害復旧予算に関する政府根本方針をお伺いしたいと思います。
  16. 益谷秀次

    益谷國務大臣 今回建設大臣の重任を拜しまして、微力ではございますが、何分よろしく皆さんの御援助をお願いいたす次第でございます。  本年の三、四月ごろから東北北陸地方雪解けがありまして、これに水害伴つたのであります。次いで六、七、八月ごろには局地的に記録的大降雨がありました。また七月には北陸震災が突発いたしました。さらに九月には御承知のようにアイオン台風襲來があつたので、昨年の大水害復旧のいまだ完成していませんのに、連続した降雨、出水のために、昨年の大被害にまさる被害を招いたのであります。この被害地方は御承知通り香川縣を除く全國各都道府縣にまたがつております。建設省直轄施行にかかる河川災害復旧費用は四十七億を加え、復旧総額は四百九十七億と推定せられるのであります。被害の最も多い縣といたしましては岩手縣の七十一億、宮城群馬のそれぞれ四十億、北海道の約三十億と、これまでにない大被害を招いているのであります。これらの被害日本経済再建を阻害することの甚大なることは、まことに遺憾に存ずる次第であります。政府といたしましては、とりあえず緊急復旧計画樹立を期することを主眼といたしまして、全般的復旧計画樹立を急いでまいりますと同時に、緊急復旧箇所着工促進して参つているのであります。しかして既定公共事業費中から直轄災害復旧費としては一億五千万円を支出いたします。府縣に対しては七億円の助成費支出するとともに、引続いて縣に対し二十五億五千万円の融資措置を講じ、さらになお追加予算の準備を進めている次第であります。さらに復旧工事の資材につきましても、特別配当措置を講じて復旧促進に努めている次第であります。  なおこの緊急復旧箇所着工促進するために、ただいま申しました数字の内訳を申しますと、融雪に対しては一億五千万円、北陸震災に対しては約三億、府縣災害復旧に対しては一期、二期を通じて四億であります。なお府縣に対する二十二億五千万円の融資というのは、預金部融資であります。さらに建設省といたしまして、本年度災害復旧について緊急中の緊急なる復旧について、大体政府に対して今回五十一億二千万円の要求をいたしている。これは建設省といたしましては、本年の十二月までの費用として要求いたしているのであります。しかして後にさらにまた追加予算要求する計画を立てているのであります。ただいま要求いたしております五十一億二千万円は、緊急中の緊急なるものであることを御承知願いたいと思います。なお五十一億二千万円のうち、五十億は河川であります。一億二千万円は道路に関する分であります。
  17. 柏原義則

    柏原委員長 それではただいまの大臣の御意見に関しまして御質問がありましたら……。
  18. 大森玉木

    大森委員 大臣ちよつとお伺いをし、そうして御意見を伺つておきたいと思います。それは今の災害復旧に対しましては御説明があつたので、これに対しては尋ねることはないのであります。しかし今地方におきまして家をつぶされ、また個人でこれを復旧しなければならないという立場にある人たちが、金融に対しいかなる処置を講じられるかということが一番大事な問題である。北陸は御承知のように雪國であります。もはや雪が降らんといたしておる。私は石川縣でありますが、石川縣は大体家がつぶされておるけれども、これを復旧するには自前の、私の金がない。そこで金融に対していろいろな方法を講じ、また求めておりまするけれども、金融が思うようにならないということであります。これらに対しまして大臣はいかなる方針を持つておられまするか、私はこの金融問題は最も重要な問題であると思うので一言お伺いいたしておきたいと思います。
  19. 益谷秀次

    益谷國務大臣 これは個人の住宅のことと承知いたします。七月の北陸震災の際は、政府は縣に融資いたしまして、縣がまた各個人融資をいたしたのであります。そうして相当補助金も出したように存じております。しかしながら水害その他の災害のような場合には、特に個人に対しての金融の道は今開かれていないのであります。これについては建設省といたしましても非常に頭を悩まして、寄り寄り現に研究をいたしておるのであります。今日までのところは北陸震災の場合は特別の処置をとつたのでありますが、遺憾ながら水害の場合については、いまだ個人に対して融資方法をとるということに決定いたしておらないのであります。災害を受けられて、非常に損害をこうむられた人に対してはまことに御同情にたえないのでありますが、ただいま申し上げたような次第でありまして、十分この点も將來の問題といたし、また現在の問題といたして考究いたしたいと存じております。
  20. 大森玉木

    大森委員 なおも一言お尋ねいたします。大体金融に対しましては今のお言葉のように道が開けていないというわけならば、ひとつ御盡力を願いたいと思います。  さらに、何か補助金を出されたということでありまするが、大体福井方面で一戸に対していくら出されておるかお伺いいたします。その点は大臣がおわかりにならなければあとでよろしうございます。
  21. 益谷秀次

    益谷國務大臣 はつきりした数字は私記憶いたしておりませんが、これは建築の方の係の者から後はどうでも調査いたしてお答えいたすことにいたします。
  22. 天野久

    天野委員 ただいま大臣の御説明によつて災害復旧費等についてのお骨折りは感謝いたしております。なお一層の御努力を願いたいと存じますが、その点で一つつておきたいことは、昨年も一昨年も水害がありまして、しかして昨年つくつたばかりの堤防その他がそのまま決壞しておる。こういう実例は幾多見ます。これは天災と言えば天災でありまするが、しかしわれわれが地方参つてよく聞いてみますると、請負者が怠慢のために、あるいは仕事が粗漏のためにというようなこともかなり見受けるのであります。いまだに地方においては甲の者が請負つて、これを乙に頭をはねて渡し、また乙がその次に渡す。こういうふうな事例が幾多見受けられるのであります。今後におきまして災害をほんとうに防いで参りますには、この堤防その他の工事請負等に対して、相当建設省が関心を持つて行かなければならぬと思いますが、この点につきまして今後せつかく政府が出した金が、完全にそのまま堤防に有効に使われて行くような方法を講ずる何かお考えがあるかどうか。またどういう方法がおありか。その点承つておきたいと思います。
  23. 益谷秀次

    益谷國務大臣 天野さんの御意見、しごくごもつともと拜聽いたします。御承知通り土木請負等中間搾取については、労働基準法などの適用があり、御説のような場合はこれまでも嚴重に監督いたして参つたのでありますが、今後一層嚴重に監督いたして参るつもりであります。
  24. 天野久

    天野委員 大臣の御説明でよくわかりましたが、それがまだ地方に徹底しておらなくて、現に昨年あたり甲の者が乙に渡し、乙が丙に渡す、こういうような結果工事がはかどらず、またその工事が粗漏で決壞した場所がある。どうか今後建設省といたしまして、地方土木に対して嚴重な御注意を願いたいと思います。せつかく尊い國費を投じて参りますので、これが途中で消耗いたすようなことがあつては、はなはだ遺憾でありますので、なお一層の御注意を願いたいと存じます。
  25. 柏原義則

    柏原委員長 この際おはかりいたします。議員北二郎君及び森三樹二君よりそれぞれ委員外発言の申し出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。
  26. 柏原義則

    柏原委員長 御異議なしと認めまして両君の委員外発言を許します。まず北二郎君よりお願いいたします。
  27. 北二郎

    北二郎君 この際委員外発言を許していただきまして委員長にお礼を申し上げます。  まず最初建設大臣にお伺いしたいことは、ただいまこの日本は何といつて生産増強をしなければならない。これがどうしても日本経済復興のもとである。特に食糧におきましては、これはどうしても國内で何とかまかなえるだけやつて行かなければならぬ。こういうようにわれわれは考えておるのでありますが、まず最初にこの点について大臣の御所見をお伺いしたい。
  28. 益谷秀次

    益谷國務大臣 北さんの御趣旨はまことにごもつともで、私もさように存じております。生産増強のためには、私担当いたしております部面について、政府といたしましてあらゆる施策を講じたいと思つておる次第であります。
  29. 北二郎

    北二郎君 そこで続いてお伺いしたいのであります。私は北海道でありますが、内地府縣をまわつてみまして北海道をまわつてみますと、その結果において、河川治水とかあるいは橋のかけぐあい、それから堤防、砂防というようなことは、内地においては非常に完備されておるように思いますが、一歩北海道に行きますと、これは一つもやられていないというような感じが多いのであります。たとえますれば、北海道には石狩川というような大きな川がありますが、これらのところで、どうしても橋をかけなければならぬ所、あるいは川を切りかえなければならぬような所、そういうような所がたくさんあります。また北海道には川がたくさんありますが、代表的なものとしては石狩川でありますが、これらに一つも手が打たれていないように思うのであります。政府としてこれらに具体的な手を打たれるような御方針があれば、お伺いしたいとこう思います。
  30. 益谷秀次

    益谷國務大臣 建設省といたしましては、財政の許す限り相当の手を打つておるつもりであります。何分國家財政とにらみ合せてのこととて、地元の皆様方から見ますると、もとより不十分であることは、私ども承知いたしております。でき得る限り、國家財政の許す限り、公共事業費をたくさん頂戴いたしまして、十分御期待に沿うべく努力いたしたいと思うのであります。
  31. 北二郎

    北二郎君 そこで承るところによりますれば、建設省当局といたしましては、北海道予算は非常にテーブル・プラン的なものでありまして、たとえば、北海道に何分の一とか、あすこに何分の一とか、現地をよくわからないで、ただそういうようなことできめておられるように思いますが、この点、当局としてはそういうぐあいに行つておるのかどうか、実際的にやるつもりであるかどうか、この点をちよつとお聞きしたい。
  32. 益谷秀次

    益谷國務大臣 テーブル・プランで、何割何分と始めからきめてやつておるようなことはありません。北海道河川についても、全國のパーセンテージから見ますると、相当参つておりまするが、率をきめて配当いたしておるということはございません。
  33. 北二郎

    北二郎君 そこで、北海道の場合を取上げて考えますときに、今の御説明によりますと三十億ぐらいでありますが、北海道要求によりますと六十四億ということになつておりまして、半分にもならないというような予算であります。一体北海道というものはこれからの開発の地でありまして、ここに相当の手を盡せば、今までの三割ないし四割の増産はできる。そこで、どうしてもこれら開発の地にその主力を盡してもらいたい。また私は、これはいつでも考えておることなんでありますが、今までのやり方というものはすべて都市中心主義だと思うのであります。たとえば、いなかをまわつて見ましても——これは北海道でありますが、かんじんかなめの生産の一番大事なところに、あるいは橋がかかつていない。橋がかかつてつても、たとえば柳橋二本である。かさ木が二本渡してある。こういうようなことになつておりますが、これはどうしても改革して、生産増強をしなければならぬ。その点から考えますと、今の北海道要求の六十四億というようなものは、必ずしも大きな額でない。そこで、どうしてもこれだけの予算北海道に組んでいただきたいと思うのでありますが、政府当局の御所信はいかがでしよう。
  34. 益谷秀次

    益谷國務大臣 このうち大体三十億が災害復旧費で、ただいま仰せになりました六十数億は、災害復旧費以外の分と承知いたします。私の方の所管といたしまして、なるべくすみやかに、そうして十分に災害復旧をいたしたいと存じております。申すまでもなく北海道は、今日の物資の欠乏いたしておるわが國といたして、開発をいたして参るには最も適した土地と承知いたしております。從つて北海道の総合開発の計画も、政府において立てておる次第でありまして、これはどうしても私の所管ばかりでなく、全体が総合的に計画を立てて、そうして農林省だとか、あるいは商工省だとか、建設省だとかいう、おのおの自分の仕事だけというような念頭を離れまして、しつかりした総合計画を立てて、國家一つの政策として今後進んで行かなければならぬと思うのであります。これについては建設省といたしましても、各地に開発の総合計画樹立を進めております。そういう次第でありますから、北海道の資源に対する開発についても、政府は今後一段の努力をいたしまして、総合的にやつて行かなければならぬと思うのであります。ただいまの災害については、大体申しました通り、三十億程度承知いたしております。これもできる限り、私の方としては復旧をいたして、食糧の増産、あるいは輸送の点とか、いろいろ國家再興のために必要なものでありますから、やろうと思つております。何分御承知通り國家財政現状が窮迫いたしておりますので、私どもの希望する通り要求する通り、実行できるかいなやを非常に憂慮いたしておる次第であります。北海道の開発という点については、建設省といたしましても、また私ども政府の一員といたしましても、念頭から離れないことで、一生懸命に研究いたして、一日もすみやかに開発をいたそうと思つております。
  35. 北二郎

    北二郎君 いま一言であります。先ほど六十四億と言いましたが、これは來年度北海道河川治水水害の予防のあれでありますから、さよう御了承願いたい。今年度のは私よく研究しておりませんが、ひとつ最大の御努力を願いたいと思う次第であります。
  36. 森三樹二

    森三樹二君 簡單に発言を許していただきたいと思います。北海道は本年ようやく開通八十年祭を行つたような、歴史の非常に浅いところでありまして、この八十年というのは、北海道で最も早く開けたところが八十年、遅いところは二十年、三十年の歴史でありまして、内地のそれと比較するならば、そこに多大の懸隔のあることをわれわれは知るのであります。しかも面積は、北海道日本の約二〇%を占めておる。しかしながら人口はその逆に非常に少いのでありまして、私どもは優に一千万の人口を北海道に入れなければならぬ。日本の將來の移民計画を立てる前に、まず北海道を開発して、それから移民計画に移るべきだ、かように考えるのでありますが、その浅い歴史を持つておるところの北海道は、非常に開墾しなければならぬところの土地が多い。農産にいたしましても、畜産にいたしましても、林産にいたしましても、あらゆる面におきまして建設しなければならぬ点が多々あるのでありますが、特に河川治水問題につきましては、從來満州が日本の食糧その他の生産地として、北海道は忘られておつた。昔から北海道の総合開発計画はありまして、着々予算をもらつてつておりましたが、満州、南方等が日本の共栄圏と称せられるようになりましてからは、北海道の開発というものが非常におろそかになつてしまつた。そのために北海道の川は荒れ果てて、そうして氾濫するにまかしておるような状態でありまして、たとえて言うならば、十勝川の下流には廣々漢々たる一万数千町歩の土地がそのままになつておる。また釧路川の下流においてもそうである。天塩川、石狩川においても同じような形態を示しておるのでありますが、われわれは北海道内地の十数縣にも匹敵するような大きな面積でありながら、これらの治水問題がわずかばかりの——國家財政面からいつて、申訳的な予算をもつてまかなわれているということに対しましては、北海道道民のはなはだ遺憾にたえないところであります。この建設委員会にも、実は新しい委員会制度のもとに一人の議員は原則として一委員会しか持てないというために、この重要な建設委員会北海道から出ているところの代表の委員が出ていないことは、まことに私残念に思うのであります。從つて本日委員外発言をしてかように申す次第であります。益谷建設大臣におかれてもこの北海道重要性にかんがみて、今後重点的に北海道治水ということに力を入れていただきたいと思うのでありますが、北海道治水問題に対してどういう見解を持つておられるか、率直なる御意見を承りたいと思うのであります。
  37. 益谷秀次

    益谷國務大臣 先ほど北さんに答弁をいたしました通り政府といたしまして、また建設省といたしまして、北海道に対しては十分——何と申しますか、開発と申すようなものについては相当重点を置いておる考えであります。そしてただいまの御意見に沿うように努力いたすことをお答えいたします。
  38. 森三樹二

    森三樹二君 私は北海道が未開の土地であること、そうして北海道國家財政面からいつて非常に現在窮乏しているところの状態であるということは万々承知でございますが、この北海道に、苦しいところの日本財政の中からできる限り、つまり治水の方面に投資するということは、すなわちそこに反対に現在窮乏の予算の中からさいてやるということは、非常に國家的にはつらいことでありますが、しかしながらそのために將來大きな生産をもたらすことができる。かような点について大臣はいかなる御所見を持つているか、これを私の最後の質問といたします。
  39. 益谷秀次

    益谷國務大臣 お説の通りに存じております。
  40. 柏原義則

    柏原委員長 ちよつと申し上げます。大臣は他に用件がございますし、時間もございませんので大臣に対する質疑は簡潔にお願いいたします。
  41. 北二郎

    北二郎君 ただ北海道が今までのように——大臣の御答弁されたように手を盡していただきますと、即刻四十万ないし五十万町歩の土地が開拓されまして、來年からすぐ食糧増産の基本になるということだけ、ひとつ大臣の頭に置いていただきたいと思う次第であります。以上をもちまして質問を終ります。ありがとうございました。
  42. 柏原義則

  43. 大森玉木

    大森委員 この災害に対していろいろ大臣の御答弁がありました。財政の窮乏いたしておりますることは私ども承知いたしております。そこで災害の根本を絶つことが最も大切な問題と思います。つきましては、この建設省をつくつたのは本年の四月であつたと思います。建設省をつくつたのは、建設院では小さい、そこであるいは農林省に関係するところの砂防であるとか、河川とか、いろいろな問題を全部統括する、あるいは運輸省にあるところの港湾の問題だとか、これらを一括して建設省にする、そういう希望のもとに大体建設省を私どもは希望いたしまして、満場一致でつくつたのであります。今どなたか課長のお話にもあつたのでありますが、やはり災害原因は、あるいは森林の濫伐にもある、こういうふうに申されておるのであります。現在のところは食糧増産は最も大切でありまするけれども、あるいは山林においては治山治水を私ども最も重要な事業といたして考えておりまするが、その裏面においては開拓事業というものがある。その開拓というものと一致しない。一方にはあるいは植林をせなければならないという問題が起りまするが、一方には伐らなければならないというような状態であります。現在のところは、もとより各地において総花的に——私の石川縣では一千五百町歩のものは何でもかんでもやれということでやつておる。そうするとこの上なお山林を伐らなければならぬ。それは國土保全の上から考えましてもどうかと思うのであります。食糧増産は最も必要であります。食糧増産に対しましては私どもかれこれ申し上げるものではありませんが、大体これらはあるいは國土計画の上から、どの地方がこれに適するか、こういうことに対しましても、よく考慮をいたされることが最も大事なことではないかと思うのであります。なお私はお願いいたしたいのは、そういう点をよく御考慮願つて、そうして今後の建設省の拡大をはかられんことをお願いするのであります。開拓と造林、造林がなければ決して治山治水はない。そういう関係において、私ども地方におりましても、いろいろ造林などに対して努力いたしておりまするけれども、一方から伐り倒していく。こういうようなことになつておるのであります。これらに対しましては、先ほどのお話において、このままでいけば復旧の見通しがつかないということまで仰せられた。しからばこれは起らないようにすることが最も大切じやないかと思います。どうかこうした問題は局とか省とかいう関係を離れまして、お互いにこれを話合いをし、そうしてこの土地はそういうことをやつていけないと言うならば、それをいけないというように、私はこれを円満なうちにおいて、食糧増産に可能なところはそれをやり、まだ植林に可能ところは植林をするということに対して、政府の間においてもとくと打合せをいたし、そうして現実に行つていただきたいということを要望申し上げて置きます。
  44. 益谷秀次

    益谷國務大臣 大森さんの御趣旨まことにごもつともであります。御承知通り戰爭中戰爭に全力を集中いたしましたために、水源山地はほとんど荒廃に帰したのであります。いろいろの事情もありましようが、今日においてやはり治山治水をいたしますのには、水源地の培養をいたさなければならぬ。今までは開拓という方面に力を入れて、水源地を無視するということが往々あつたのであります。私どもも、地方民がこれに対して非常な迷惑をいたしておることは十分承知いたしております。そこでこれに対して、現在の政府は開拓という方面をむしろあとまわしといたしまして、すでにでき上つているものを改良いたして行くという方針をとつております。從つて水源地であろうが何であろうが、この縣はこれだけの開拓地を割当てられた、隣りの縣はどれだけ割当てられたのだというので、むやみやたらに濫伐いたし、そうして開墾するというようなことは、絶対にやらないということに政府として方針を決定いたしております。もう一つは、大森さんのお説を拜聽いたしますると、大建設省、建設行政の一元化ということだつたろうと拜聽いたしました。これについては、政府といたしましても行政簡素化の一環といたし、行政機構の一元化ということを今調査中であります。当委員会におかれても、どうかこれまでの御決議もありまするので、建設行政の一元化ということに対して一層の御援助をお願いいたしたいと思います。
  45. 大森玉木

    大森委員 そこで建設大臣のお話でよくわかりましたが、お願いは地方に、開墾を重点でなく、それらの治山治水も考えてということに対しましての、何らか通牒かなんか出していただきたい。そうでないと、私どもこの問題に対して、前の大島政務次官にもいつぞやお話いたしましたところ、もつともだということであつたが、その後縣に帰つて開拓課の連中に話しますると、そんなことは何も聞いてない、これはもう法規に定められてやることになつているのだからいたし方がないということであるのであります。どうかこれらに対して、今大臣のお言葉もありましたので、そういう政府方針でありまするならば、地方に対して重点的によくそこを考慮してやることがよろしいということに対する何か次官通牒か、あるいは大臣通牒を出していただけばけつこうだと思うのであります。
  46. 益谷秀次

    益谷國務大臣 政府は大体ただいま御答弁申し上げた方針を決定いたしておるのであります。これは農林大臣の所管でありまするから、またとくと緊密な連絡をとりまして御趣旨に沿うようにいたします。
  47. 松井豊吉

    松井委員 簡單に希望を申し上げまして、即時御実行を願いたいと思うのであります。  昨年の九月の大災害に伴いまして、当時の片山内閣時代に、建設院の方々に対し議員多数の方々の御要望により、どうしても重点的に必要額だけを予算に計上すべく陳情その他非常な努力がなされましたが、遂に四割弱しか計上されませんでした。そういう関係で工事は重点的に遂に完成できないところへ、たまたま本年九月十六日のアイオン台風によりまして、全國四百数十億の大きな被害を生じたのであります。すなわち資金窮乏のために、遂に工事が中絶の状態になつたのでありますから、この総額のうち大体全國被害地中の半分内外は、資金窮乏のために遂にこの被害が繰返されたわけであります。これらの関係は政府当局にも相当責任があるのではなかろうか、また政府がこの被害地に対する認識がないのではないかと私たち見ております。芦田内閣当時もまた必要の予算額を要求したのでありますけれども、やはり二割弱の予算しか決定されなかつたのであります。こういう関係で、どうしてその工事が重点的に完成ができましよう。これらはもう少し政府におかれても御認識していただきたいと思つております。こういう次第で、アイオン台風によつて四百数十億の被害をこうむつております。ことに重点的に、即日つなぎ資金を要することも政府に要望したのでありますが、当時の芦田内閣も遂に瓦解して、その陳情も実現されないで、今日に至つておるのであります。現政府におかれましては、ただいま大臣から御報告のありました五十一億二千万円の金を出すことになつたということでありますが、それが内定されましたならば、被害地に御報告を願つて、配分方法も御通知願いまして、そうして重点的にこの工事に着手していただきたい、こう思うのであります。現政府に対しましては、何を言わなくともよろしゆうございます。どうかこの予算を実行していただきたいことを希望いたしまして、一言申し上げる次第であります。
  48. 益谷秀次

    益谷國務大臣 御承知通り昨年の災害については約六〇%の部分が費用がないために残されたのであります。そこで本年の七月、八月、九月の台風、豪雨のために、さらに大きい被害をこうむつたのであります。ゆえに建設省といたしましては、ただいま緊急要求といたしまして政府要求いたしております五十一億二千万円に対しては、極力予算化して一日もすみやかに復旧に着手いたしたいと思うのであります。
  49. 只野直三郎

    ○只野委員 大臣に、お尋ねになりますか、希望になりますか、私は宮城縣の災害地出身の代議士ですが、東北地方水害状況というものは、よほど拔本塞源的な計画を立てなければ処理ができないと思つております。ことに宮城縣の災害は、ほとんどあそこは河川も網のようになつておりまして、よほど計画をうまくしなければ、今後何十年も続かぬだろう、こう思つております。それで私はこの水害対策あるいは治山治水の根本問題として考えているのは、結局は徹底した地方分権の政治をしなければ、治山治水はうまく行かぬ。だが今の段階において、徹底した地方分権をやろうということは非常にめんどうなことである。それで、私は今日の段階において考え得る道が二通りある、こう思つたのです。その一つ河川管理の一元化であります。もう一つは民力の活用、つまりその河川流域の民力の活用、この二つの面から考えて行つたならば、今日の制度機構のもとにおいてもある程度やれるだろう。その第一の河川管理の一元化というのは、私の方の災害地の陳情團やなんかからよく來ておりますが、よその方も同じだろうと思いますが、たとえばある一つ河川が破壊された、その場合に、その河川を修復をするには、ほんとうは堤防の位置をかえて、もつと川幅を廣くして、しつかりしたものをつくろうと思つても、復旧工事ならば許されるが、位置をかえるというようなことになれば、いろいろな手続があつてそれはできないのだ、そういう関係上、この次に大水が來ればまたぶつこわれるということがわかりながら、復旧工事で終らねばならぬ。こういう状態が非常に多いのであります。これは中央政府が思う存分の補助が出せるならば、管理権を地方が握つており、地方が一々許可を願つて來たとき許してやるという方式もいいけれども、場合によつて補助もできない。それなのに河川を動かしたりすることだけはやかましく禁じておる。こういうことであればいつまでたつて河川の修復ということはできない。そこで私は、河川管理の一元化ということは、もつと具体的に言えば、中央政府は思い切つて地方政府に、これらの河川に関しては修復あるいは位置をかえるというようなことはお前の方でかつてにやつてもいいというように、ある程度の大幅の権限委讓をやつてくれる。そういうことをしたなれば、非常急変の今日の水害に対して十分に効果をあげるのじやないか。こういうふうに考えておる。それからもう一つ河川管理の一元化として考えねばならぬことは、これは北上川とか阿武隈川などの場合がよい例になると思いますが、一本の河川を二つも三つもの縣にまたがつて管理をする場合に、その二つの縣の間の連絡機関が不十分であれば、結局中央政府だけの手でなければそれが処置できないということになつてくる。そこで大きな河川に関する限りは、ことにそれが二縣、三縣にまたがるような河川に対しては、その河川管理に関する地元民の間における一つの協同体あるいは組合のような何らかのものをこしらえて、それを制度化して、そういうことによつて河川というものは強く強化されていくのじやないか。河川の管理の一元化は、地理的一元化と、行政法的な意味における一元化と、両面が必要じやないか、こう考えております。  それから第二番目の民力の活用ということですが、これは先ほども益谷大臣のお話がありました通りに、補助金額というものが思う存分いつていないという現状においては、民力の活用ということをくふうすることは実に大切である。それは実は私の村は宮城縣で一番の災害地ですが、私の村が、何とも処置ない。縣廳でも何ともできない。政府からも補助金がこない。しかし実際ある程度徹底的の工事をするには二千万円の事業費がいる。その二千万円の事業費を何としてももらう道がないので、しかたなしに一反歩から米何升ずつか出すということにして、村議会において二千万円出そうということを決議した。これは、民力が、いよいよやり切れないとなれば、やはり土地に住んでおる人というものは生きる力によつて最後の苦しい努力を発揮してくる。それは民力が死ぬるか生きるかというときにはやはり力を発揮する。その力を何とか國家が制度的に考えて、そういうような方式によつて、この河川修復とか荒土の修理とか、そういうことのできるような便法を與えてやつた方がいいじやないか。それは決してそのことのために中央政府が樂をするというのではない。手が及ばないから、民力活用の形式をくふうしてやつて、國民の方で納得してやるのであつたならば、それで一日も早くそれは成功するのじやないか。ただ單に諸帳簿の判こつきのことのために、あるいは役所の管理権の権限の爭いなどをするようなことは、もちろん今の段階ですからないとは思いますけれども、そういうことのために万一にも國民がみずからの力で処理しようというのを阻害するようなことがあれば、これはよろしくないことだと思う。そういう意味において、國民は自分のためですからやりますから、その民力活用をもつと合理的に制度的に政府も議会も研究して行くことが大切じやないか。こういうことを考えておるのであります。それにつきまして今ただちに御返事をいただこうというわけではありませんが、私の所見の一端を申し上げて、治山治水の根本策としての御参考にしたい。こう思うわけでございます。
  50. 益谷秀次

    益谷國務大臣 よく研究いたします。
  51. 柏原義則

    柏原委員長 この際お願いいたします。本日は緊急災害対策予算を中心として御審議を進めたいと思うのでありますが、この線に沿つて簡潔に御質疑をお願いいたします。
  52. 上林與市郎

    ○上林委員 時間があるようですから、ただ一点だけ御質問申し上げます。先ほど私どもの手元に渡りました資料の説明で、大体のアウトラインはわかりましたけれども、地方災害復旧工事に対する國庫補助状況のところを見ますと、これは地方をまわつておる方々は全部体驗をもつておると思いますが、二十三年度の現在においての地方災害に対する補助の明細の状況、その他ずつと載つておりますが、これらの全部を交付するといたしましてもなお六割の残額がある、こういうふうに出ておるのですが、これに対する対策が今あるならば承つておきたいと思います。
  53. 目黒清雄

    目黒説明員 非常な厖大な予算でありまして、これを早急に解決したいと思いますが、今考えておりますのは、この六十余億の金を、各縣の災害の進捗状況とにらみ合せまして、來年度はぜひこの大半を要求したいと考えております。しかし來年度一ぱいでこれが要求が貫徹いたしまするかどうかわかりませんが、少くともその次の年までには完了したい、こういうふうに思つております。
  54. 松浦東介

    ○松浦(東)委員 建設行政の一元化であるとか、あるいはこの重大な水害対策に対して、どういう建設省の機構であれば一番能率をあげ得るかというような問題については、いろいろな議論もあり、われわれもまたまじめにこれは議論しなければならないと考えるのでありますけれども、本日の委員会は主としてこれは今回の臨時國会におけるアイオン台風その他の対策を中心とするものであると思いますので、多くは言う必要はないと思うのでありますが、しかしながら、國会におきましても、水害問題に対しては特に特別委員会を設けて、これを重要に扱つておる事実もあるのでありますから、建設省におかれましても、この災害という問題につきましては、機構的にもある考慮を拂われるのが当然ではないかと私は考えるのであります。このことはぜひ私は希望したい。大臣の所見を伺いたいのであります。
  55. 益谷秀次

    益谷國務大臣 まことにごもつともな御意見であります。建設省といたしましても、災害対策に対して何か委員会のようなものでも急速に設置して、各種の——たとえば、簡單なことでありますけれども、道路の陳情は道路局の方でどういうふうにするとか、住宅の復旧は建築局へ参りますとか、河川河川局へ参りますとかいうふうに、まちまちになるきらいがあるのでありますが、そこで、災害の場合は、統合した委員会のようなものを組織しまして、ちぐはぐにならないように統一をして対策を講じたいと思うのであります。これは急いで考究いたしたいと存じておる次第であります。
  56. 柏原義則

    柏原委員長 ほかに御質問ありませんか……。  本日はこの程度にして会議を閉じたいと思います。  明日は午後一時から開会いたします。     午後三時一分散会