○倭島
政府委員 最近
司令部の
発表が
二つ三つございましたので、御承知かと思いますが、この際もう一回その大体の要旨を申し上げて、その
発表についての向うとの打合の
関係を御
説明申し上げたいと思います。
だんだんと
冬季が迫るに從いまして、去年の例から申しましても、十二月から中止せられて、今年の五月に再開せられるまで
引揚げがとま
つたのでございます。そういう
状況にございましたので、
政府の方といたしましても、
司令部に対して何とか
冬季引揚げがとまらないように、
ソ連の方と交渉していただきたいということを、かねて希望を申し入れてお願いしてお
つたのでございます。その
冬季継続の問題につきましては、
司令部の
発表が十月の二十五日にございました。その
司令部の
発表に大分詳しく経緯が書いてございまして、
新聞で御存じのことと思いますが、なおその要点を二、三申し上げますと、むしろ
説明を簡單にするために、
司令部の
発表の一部分を繰返して読み上げた方が早いかと思いますが、これは十月二十五日の
司令部の
発表でございます。
昭和二十二年から二十三年の冬期の
復員作業は、困難な天候と
結氷状態のために中止せられたことを陳述した書簡が
ソ連代表のテレビヤンコ中將より
司令官に当てられて、
復員作業は二十二年の十二月一日から今年の五月まで中止せられた。
連合軍司令官が今年も
ソ連の方へ申し出された中には、昨年と同
樣冬季計画の申し出をされたのでありますが、それが
ソ連側から拒否された。それは
昭和二十三年から二十四年の冬期の
引揚げの
継続の諸困難を克服するために、今度
司令部としては技術上のあらゆる便宜を與えることにしたいという
申出をせられたのでありますが、その一つとしては、
日本人俘虜の
復員を促進するために必要なる碎氷船を送るということと、次には冬着、
暖房裝置その他
食糧等、必要ならばそれを用意をして送るという
申出を、大体十月中ごろに
司令部から
ソ連にせられた趣でありまして、こういう
申出が
ソ連の方へなされたということを十月二十五日に
発表せられたのであります。その
発表につけ加えて
説明がしてございますが、
昭和二十一年十二月十九日の
連合軍司令官とソビエトとの間の
協定によつて規定されている一箇月五万の
日本人の
復員を、
ソ連復員当局は、
昭和二十三年九月三十日現在、十六箇月間も引続いて果すことを怠つているということが
ソ連側へ指摘された。なお総
司令部の
復員当局の推定によりますと、
ソ連地区になお四十七万以上の
日本人が抑留されている。その中で三十六万五千人以上のものがシベリヤに残つておると信ぜられる。こういう
発表が十月二十五日にございまして、さらに十月三十日にまた
司令部の
発表がございました。その
司令部の
発表がございました。その
司令部の
発表によりますと、
ソ連のタスという
新聞の
報道で、
日本の軍人及び
民本人の
引揚げに要する
費用を
日本から
ソ連へ
支拂うように
要求しておるという
報道が出た。その
要求についてこちらの
司令部からの
発表がございましたが、第一の点は、こういう
要求に対する正当なる
根拠はないということがございます。なお
ソ連当局がこの
費用の問題を出してきて、これであるいは
引揚げを一時中止するかけひきに使うということもあり得るということも書いてございます。
なお十一月の
引揚船について、
ソ連からの
要求がないということも
発表されております。こういう
発表が十月三十日にございましたので、一体
ソ連から
引揚げ費用を
要求して來たという問題について、何らか詳しいことがあるかどうかという問題と、それから
引揚げの
継続ということと
費用と直接結びついたかつこうで
ソ連側からの
申出があり、また今後の問題も
継続して考えられる
関係に
なつているかどうかという二点につきまして心配になりましたので、さつ
そく政府としましては
司令部の方にその意向を確かめたわけでありますが、第一点の
引揚げ費用の問題につきましては、
ソ連の方から
日本人の
引揚げの
費用を
支拂うという問題について協議をしたいと思つているという、ごく大ざつぱな
申出があつたにすぎないのでありまして、その
費用の内容だとか、あるいは額だとかいうものについては、何ら
申出がされておらないということでございました。
第二点の
引揚費用の問題と今後の
継続との
関係のことでございますが、
司令部の解釈によりますればその
司令部の
発表にありますように、
米ソ間の
協定に基く
費用というものはすでに
日本政府で拂つておるから、あらためてこれを交渉する必要も
根拠も何らないということと、
從つて費用を拂うという問題と今後の引揚
継続とは全然
関係のないことと考えておる。ただその
司令部の
発表の中で、あるいは
引揚げ費用の問題を口実にして
引揚げを中止して、
日本人をさらに
強制労働その他に使うのではないかということもあり得るということが書いてあ
つたのでありますが、これは
一種の想像にしかすぎない。
ソ連からの
申出のかつこうは、
引揚げ費用と今後の
継続を直接に結びつけたかつこうでは
申出されておらなということであ
つたのでございます。
ちようどそういう
関係のないということを、
一種の裏書きするようなかつこうにも見えたのでありますが、十一月一日になりまして、
ソ連から十一月の
引揚船の
要求が來たという
発表が
司令部からございました。つまり普通ならば十月の月末に十一月の
引揚船の
要求が
ソ連から参りまして、さつ
そくその手配をして
日本から船を送るということになるのでございますが、この十一月の際には、十月までに來なかつたというので
司令部の
発表があつたわけであります。ところが十一月一日に十一月の後半においての
引揚げのための船の
要求があつた。それは
ちようど一万四千名を十一月の後半に
引揚げるという
計画でございます。なおさらに十一月八日にな
つて司令部の
発表がございまして、さらに十一月中に一万二千五百名
ソ連地区から
引揚げて來る。合計二万六千五百名の
引揚げが十一月中に行われるということに
なつたわけであります。大体
ソ連からの
引揚げにつきましては、
司令部の
発表並びに從來
政府の承知しておるところは、大体こういうようなところでございます。
なお機会あるごとに
政府といたしましては、十二月以後の
引揚げも何とか
継続するようにごあつせん願いたいということを、しばしば申入れておるのでありまして、
司令部の方としても、はつきりそれについて
取扱つた措置については何ら
説明がないのでありますが、いろいろ考えておるからという程度で話を聞いております。
ソ連地区からの
引揚げの大体の
模樣は一應そういうことに
なつております。