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1948-11-27 第3回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十一月二十七日(土曜日)     午後二時三十八分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 前田  郁君 理事 佐々木更三君    理事 高瀬  傳君      小笠原八十美君   岡村利右衞門君       田村 虎一君    松本 一郎君       井谷 正吉君    成田 知巳君       石神 啓吾君    佐伯 宗義君       志賀健次郎君    橘  直治君       成重 光眞君    館  俊三君  出席政府委員         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   三木  正君  委員外出席者         労働事務官   山川 菊榮君         專  門  員 岩村  勝君         專  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十一月二十五日  四國循環鉄道完成促進請願井谷正吉君外八  名紹介)(第三九九号)  古樋、上札鶴間鉄道敷設促進請願飯田義茂  君紹介)(第四〇九号)  六日市村浦柄に仮停車場設置請願神山榮一  君紹介)(第四三九号)  南余自信号所を一般駅に昇格請願(上林山榮  吉君紹介)(第四四〇号)  岩國・黒澤間、不畑出合・阿賀間及び鮎谷・秋  掛間國営自動車運輸開始請願田村虎一君紹  介)(第四四一号)  枝幸、美深間鉄道敷設請願佐々木秀世君紹  介)(第四四二号)  四國海運局新居濱出張所昇格請願馬越晃君  外三名紹介)(第四五一号)  南豫線延長して土居、窪野間に國営自動車運  輸開始の請願井谷正吉君外八名紹介)(第四  五二号)  山田線復旧に関する請願鈴木善幸君外三名紹  介)(第四六八号)  川口、用居間國営自動車運輸開始請願長野  長廣紹介)(第四七三号)  四國循環鉄道完成促進請願長野長廣君紹  介)(第四七八号)  白石、郡山間電化請願山下春江紹介)(  第四九五号)  永井川信号所昇格請願山下春江紹介)(  第四九八号)  傷痍者乘車賃に関する請願山崎道子君紹  介)(第五〇四号)  岡山市萬町踏切跨線橋架設請願近藤鶴代  君紹介)(第五二二号)  大垣、關ケ原間の下り線復活並びにその電化の  請願武藤嘉一君外一名紹介)(第五二三号)  猪谷、船津間鉄道敷設請願岡村利右衞門君  紹介)(第五二四号)  日通久慈支店貨物自動車増配請願山本猛  夫君紹介)(第五二五号)  富山港線拂下反対の請願(矢後嘉藏君外二名紹  介)(第五二六号)  中濱港修築請願大石ヨシエ紹介)(第五  三一号)  直江津、六日町間鉄道敷設請願塚田十一郎  君紹介)(第五三三号)  南遊佐村地内に停車場設置請願圖司安正君  紹介)(第五三五号)  足立、上石見両駅間に停車場設置請願近藤  鶴代紹介)(第五三六号)  若松、白河間鉄道敷設又は國営自動車運輸開始  の請願中野寅吉紹介)(第五三七号)  相生、西大寺両駅間に鉄道敷設請願山名義  芳君外三名紹介)(第五五九号)  日ノ影、高森間國営自動車運輸開始請願(川  野芳滿紹介)(第五七二号)  久大線の列車時刻改正請願外一件(金光義邦  君外二名紹介)(第五七三号)  水戸線東北本線に接続の請願鈴木明良君紹  介)(第五九四号)  大宮高崎間鉄道電化請願有田二郎君紹  介)(第五九五号)  片町線を長尾まで延長請願松原喜之次君紹  介)(第五九六号)  遠野線氣仙沼まで延長請願大石武一君紹  介)(第五九七号)  戸賀湾を避難港に指定の請願島田晋作君紹  介)(第六一五号)  岩内、黒松内間鉄道敷設請願小川原政信君  紹介)(第六二一号)  宮島、堀江間國営連絡航路開設中止請願(高  瀬傳紹介)(第六二二号)  両毛線電化請願野本品吉紹介)(第六二  八号)  大宮、宇都宮間及び両毛線電化促進請願(山  口好一紹介)(第六五七号)  大糸線全通促進請願増田甲子七君紹介)(  第六五八号)  木次、三次間鉄道敷設請願木村左衞門君  外五名紹介)(第六五九号)  島根縣下鉄道大阪鉄道局管轄とするの請願  (木村左衞門君外五名紹介)(第六六〇号)  寳積寺市塙間鉄道敷設促進請願山口好一  君紹介)(第六六一号)  加古川駅松ケ枝踏切改良工事施行請願(河合  義一君紹介)(第六六二号)  大牟田、熊本間急行電車敷設請願宮村又八  君外三名紹介)(第六六五号)  傷痍者乘車賃に関する請願松谷天光光君紹  介)(第六六六号) の審査を本委員会に付託された。 同日  小野新町、須賀川間國営自動車運輸開始陳情  書(第三九一号)  道路輸送監理事務所存置陳情書  (  第四〇五号)  大阪府内貨物專用線旅客車運行陳情書  (第四二三号)  鶴見臨港南武、青梅及び奥多摩鉄道拂下の陳  情書(第四二四号)  亀山、木津間並び木津四條畷間電化陳情  書(第四二七号)  天王寺、王寺間電化陳情書  (第四二八号)  道路運送監理事務所存置陳情書外五件  (第四三二号)  都道府縣議会議員國鉄管内優待定期券交付の  陳情書(  第四三八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本國有鉄道法案内閣提出第一二号)     ―――――――――――――
  2. 有田二郎

    有田委員長 開会いたします。  これより前会に引続き、日本國有鉄道法案を議題として質疑を続行いたします。佐々木君。
  3. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 私先日大臣に対しまして、この日本國有鉄道法案は、元來会社の定款に相当するものでありまして、この定款に相当すべき法案の中に、種々労働條件に関してこれを制定することは、一つ行き過ぎであることを指摘しておるのでございます。そういう意味から、私はこの日本國有鉄道法案の中から、労働関係のすべての條文を削除いたしまして、これを今回新たに制定されることになつております公共企業体労働関係法に讓ることが妥当であるという考えを持つておるのでございます。特に第三十三條の條文は、前にも成田委員その他からも御質問がありましたように、このことの大部分は、すでに労働基準法の第三十三條にこれを盡しておるのでございまして、不要なものと考えるのでございます。特にこの第三十三條を中心として、この法案は根本的に労働基準法精神を否定されるところのものを持つていると考えるものであります。すなわち労働基準法によりますれば、特に年少者婦人に対する労働時間に対して、嚴重なる保護規定があるのでございます。しかるにこの第三十三條をこのまま解釈いたして見ますと、一項から四項に関係する問題につきましては、年少者並びに婦人に対しても、まつた労働基準法が制定しておりますところのあらゆる一切の保護規定を、剥奪するような條文に受取れるのであります。こういう労働基準法精神を抹殺するごとき法文の、非常に不適当であることはいうまでもないのでございますが、この法律はいうまでもなく政府提出議案でございまして、運輸省提出議案でないものと私は信ずるのであります。この点については政府におきましても、異存のないところであろうと思うのでございます。從つてこれが政府提出法案である以上は、この法案にこれを盛るために、運輸省並び労働省がおそらく協議されたことと思うのでございますが、この点につきまして、日本は特に労働省山川婦人少年長に、どういうために、こういうことをこの法案に盛る必要があつたのか、そしてこの法案の結果として、從來保護されている婦人年少者の保護されも権利が、剥奪されることになつているのでございますが、一体どうして婦人少年局長はこれに賛成されたのか。これについてひとつ御答弁をいただきたいと思う次第でございます。
  4. 山川菊榮

    山川説明員 ただいま佐々木委員からの御質問、まことにおはずかしいと申し上げなければならないのでございますが、はなはだうかつなことに、私どもはこういう法案が用意されているということを、ごく最近までちつとも存じませんでした。運輸省労働省との間に何か相談がありまして、こういう法案がすでにできて、しかも國会に提出されたあとになりまして初めて聞きました。労働基準法の、殊に女子年少者に関する條項につきましては、私どもが非常に重大な責任を帶びておりまして、これについて何にもあずかり知らないということは、國民に対してほんとうに申訳のないことでございますけれども、事実何の相談を受けておりませんでしたし、報告にも接していなかつたのでございます。ただあとになりまして、それを聞きまして、たいへんに驚いた次第で、今日この機会に私どもの意見を述べさせていただくことは、たいへんにありがたいと思つております。この三十三條は、ただいま佐々木委員お話通りに、私どもといたしましても、労働基準法が制定しておりますことを、何のためにここに新たに労働基準法規定にかかわらずとまでいつて労働基準法を空文化する必要があるのか。もし日本ポツダム宣言によりまして民主化されるということがうそでなく、從つてまた女子及び年少者労働保護ということを眞劍に取上げるつもりでありましたならば、こういうことはできなかつたろうと思われるのでございます。先ほど聞きましたところでは、「災害その他により事故発生したとき。」、「災害発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。」「列車自動車、船舶を含む。)が遅延したとき。」この三つの場合に限り「労働基準法規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。」ということになつている。これは決して基準法の三十三條に抵触するものではない、それを解釈したものにすぎないというような御見解を、労働省の方でとるというようなこともちよつと聞いたのでございますが、しかしもし基準法に抵触しない、基準法を認めるということでございましたならば、特にここに「労働基準法第三十二條、第三十五條又は第四十條の規定にかかわらず、」ということを上げる必要はないのでございます。基準法を認める以上は、特にここに基準法規定にかかわらずというようなことを上げて、考え方が混乱するようなことを避けるために、この條項はやはり全面的に削除していただきたいと思うのでございます。もしこのままでございましたならば、政府の方の見解通りに、たとい労働基準法が優先的に認められて、これは決して基準法を冒すものでないということになつておりましても、國有鉄道のように大きい、経営者國家であつて、また組合も非常に強力なものである場には、無事に済むのかもしれませんが、全國の私鉄も自然この法律の影響を受けるのであります。私鉄の場合には非常に組合が弱く、はなはだ労働者の地位は不安でございます。決して女子年少者のための保護規定は守られるように考えられません。この法律があるのを利用いたしまして、いろいろな基準法を無視したことが行われるおそれは十分あるのでございます。そういう危險を防ぎますためにも、私どもはぜひこの三十三條は全面的に削除をして、決して、基準法にかかわらず、というようなことで誤解を生ずることがないように、労働者、特に女子年少者権利基準法通りに十分に尊重されるようにして行きたいと思うのでございます。私どもは、こういう法案國会に提出されるまで何にも知らなかつたことは、たいへんにうかつで申訳ないと存じますけれども、どうかこの委員会でこの條項を削除していただいて、そして日本女子及び年少者保護法規が、ほんとううそでなく、守られるようになりますよう、皆さんの御努力を願いたいと思います。
  5. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 山川局長答弁で私は満足するものでございます。私もそうなければならないと信ずるのでございます。そこで私は加賀山長官にお伺いいたしたいのでございますが、第三十三條の災害その他により事故発生した場合、あるいは災害発生が予想される場合、あるいは列車が遅延した場合、公共の福祉に直接影響ある輸送力の維持または増強に必要な場合、こういう場合には、労働基準法によつて守られているところの労働者権利を軽視して、休日はもとより、時間を無制限に延長して就業さすことができるようになつておるのでございます。成年に達しました男子はしばらくおきまして、この第三十三條を表面から解釈いたしますと、これは当然成年男子に適用されるばかりではなしに、婦人及び年少労働者にも適用されることになるのでございますが、この第三十三條の適用範囲年少者及び婦人をも含むものでございますかどうか。この点をお答え願いたいと思うのであります。
  6. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 お答えいたします。この法律の第三十三條に規定いたしておりますところは、先ほどお話がございましたように、労働基準法の第三十三條の解釈と申しますか、それを鉄道にあてはめた場合には、こういうことになるということを規定しておるわけでありまして、これと全然違つた趣旨ではないわけであります。從いまして労働基準法第三十三條がやはり年少者並びに婦人につきましても、「災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、」ということで、つまり年少者婦人を除外していないのでありますので、この点につきましては、本法の第三十三條においても同樣であると思います。
  7. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 加賀山長官の御答弁は、はなはだ奇怪しごくで、とうてい私納得が参りません。鉄道当局がそういう御趣旨でこの法案をつくつたのでありましようけれども、元來年少者婦人を無制限に就業せしめるということは、いかなる災害の場合でありましても、私は今日の日本労働者を保護するという建前からは、不適当なものだと思うのであります。たとえば婦人を深夜野外で使う場合もあるでしようし、あるいは年少者を豪雨の場合に暴風雨の中に一日そのまま継続して使う場合もあるでありましよう。あるいは鉄道当局に言わしめますれば、そういう苛酷な使用はしないとおつしやるかもしれませんが、少くとも、この法案がそういうことができる可能性を持つている以上は、これはやらないということは言えないと思うのでありまして、非常に非人道的なものであろうと私は思うのでありますが、局長はどうお考えになりますか。
  8. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいま御答弁申し上げたことは、法律解釈からいえばそうするということを申し上げたのでありまして、それだから婦人年少者を、どんなことをしてこき使つてもよいということにはならぬと思います。先ほど労働者の方から、國鉄のような労働組合の強い所はよいが、というお話がございましたが、この法律があるからといつて使用者が無制限に使つてはいかぬということは、私は当然労働基準法精神から考えられると思うわけであります。從いましてこの法律があるからということをたてにとつて婦人並びに年少者の場合においても、これを人道上の問題が生ずるような使い方をするわけがないということは、私は確信できると思うわけであります。ただ鉄道のような仕事をいたしておりますところえば、たとえばアイオン台風が來るといつたような場合には、どうしても災害が起きてからではだめなのであつて災害が予想される場合には、必ずそれを非常呼集いたしまして警戒に当らなければならない。しかしこういうような場合には年少者婦人では、たとい残つて働いてもらつても、ほとんど役に立たぬ——と申しては語弊がありますが、仕事にならぬ場合が多いのであります。自然これは体力の人並以上にすぐれた人が集まつてこの警戒に当る。これは鉄道経営に当つておる者の常識であります。今佐々木委員が言われたことは、本法第三十三條に対する御非難ではなくて、もしそういう危險があるのならば、労働基準法第三十三條から直してかからなければ、その不安は防げない、私はかように申し上げたいと思うのであります。
  9. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 まず第一に、長官あとから來て、私の質問を最初から聞いておらなかつた結果、ただいまのようなお言葉が出ると思うのでございますが、私は前から申し上げました通り、また当局は私にこの法案定款とひとしいものだという御答弁をなすつておるのでございますが、私は定款にひとしいこの法案に、こういう労働條件を記載することは行き過ぎであり、その必要がないという建前に立つておるのでございまするから、三十三條は全文削除すべきことを主張する者でございます。ただここでお聞きいたしておりますのは、この三十三條の規定は、婦人及び年少者に対する保護規定が全然考慮されておらない、むしろその権利を剥奪している、こういうことを私は聞いておるわけでございます。そこでただいま長官は、たとい法律がそういう解釈ができても、常識からからいつて、そういうことをやらないというお言葉でございますが、これは加賀山長官がおられる間はそれでよろしい。私は加賀山長官人格を信頼いたしまするから、それでよろしいのでございまするが、法律人格を信頼して制定すべきものではございません。あらゆる場合の可能性考えて制定しなければならぬことはいうまでもないのでございます。從つて將來こういう三十三條がある以上は、そういうような時間その他の制限を無視して使い得る可能性が生じて來る。そういう可能性がこの法文に内在する。頭を曲げていらつしやるけれども、やろうと思えばできるじやありませんか。だからそういうような可能性を持つ法案というものは、私はどうも理解できないのでございます。人格の問題ではございません。この法案はそういうようなことができる可能性があるが、どうかということを聞いておる。
  10. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、そういう可能性があれば、本法のこの第三十三條ができるからそういう心配ができるという新らしいことではなくて、すでに労働基準法第三十三條の中に、その心配があるということになるということを申し上げた次第でありまして、これは何らそれを拡張したものではないということを申し上げるのであります。ただ一、二、三と並んでおります各号によりまして、いかにも新しいことのようにとれますが、基準法の第三十三條を鉄道の場合にあてはめるならば、こういうことになるという解釈をいたしたわけであります。その精神においては、基準法の第三十三條そのままによるものであるというように御承知願いたいのであります。  それからそういう危險があるのは人格の問題じやないと申されましたが、まさしく法律というものは一個人の意思によつてどうなるという問題ではなくて、そういう心配があるならば、これは法律をもつてしなければならぬと思うわけでありますが、その場合には私はやはり労働基準法にさかのぼつてこれを考えていただかなければいけないのではないかというふうに考えるわけであります。鉄道の場合について申し上げますならば、これは單に加賀山一個がこう考えるという問題ではなくて、ここにあげられておりますような事態の場合は、これは成年男子の、しかも屈強な人を要する業務でありまして、繰返して申しますが、年少者婦人の方を動員してやるというようなことではないのであります。今にも大あらしが來るかもしれない、つるはしを持つて警戒に当る仕事でありますとか、それから災害列車がひつくり返つた、これを復旧する仕事、これは一度佐々木委員にもそういう場合に立会つて見ていただくと、一番わかると思うのでありますが、鉄道運営経驗を持つものであるならば、そういうことを絶対考えられないということを申し上げたので、加賀山個人がとやかく考えるということではないのであります。
  11. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 この法案の内包する可能性の問題は、どうも長官とはいささか見解が相違するようでございます。それは私はそういう危險性があるのだ、そういう一切の保護規定を無視して使用し得る可能性があるということをかたく信じますが、この内容に対する討論にわたりますから、このことはしばらくおくといたしまして、もう一つこの條文をもしここにあげるといたしますならば、当然これはかかる條件を付する以上は、こういう場合には労働者にいかなる待遇をするかという反対給付がここに明記されなければ、非常に不完全なものだと私は思うのであります。たとえば時間外手当をどうするとか、こういうようなことが当然明記されなければ、法文としては非常に不完全と思うのでありますが、この点長官はいかがお考えでありましようか。
  12. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいま言われましたことは、まことに同感でありまして、それを本來この法律規定する方が私はよほどいいのではないかと考えておるわけであります。從いましてその点に関しましては、御修正をお願いいたしますことは、われわれとしてはありがたいと考えております。
  13. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 先ほど長官は、アイオン台風のごとき予測すべからざる事態発生する場合にこの規定が必要だ、こういう御見解でありましたが、私もそういつた場合の勤務條件をあらかじめ何かの形で定めておくことが必要であることは認めるのでございます。であればこそ、労働基準法の第三十三條がほとんどこれを認めておるのでございます。そこで私はこういうことは、先ほどからくどく申し上げますように、定款にひとしいこの法案にはむだである。であればこそ、今回制定されまする公共企業体労働関係法案の第八條に「公共企業体管理及び運営に関する事項は、團体交渉から除かれなければならない。」すなわち管理及び運営に関する事項團体交渉から除くけれども、それ以外のもの、すなわち二の「この法律の第四條の規定により組合に加入できない者以外の職員に関する左に掲げる事項は、團体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。」こういうことで、次に「一、賃金労働時間及び労働條件、二、就業規則、三、時間外割増賃金、四、休日及び休暇」こういうことはちやんと労働協約できめられるべきここを、この公共企業体労働関係法が明記しておるのであります。これは労働力を産業に協力せしむるためには、一片の法律で束縛せずに、むしろ自主的な労働者考えで、いわゆるこの公共企業体であるところの日本國有鉄道が、今後これに從事する職員組合と、公共企業体労働関係法の第八條のこれらの條項に基きまして、あらかじめそういつた場合の、いわゆる賃金とか労働時間及び労働條件就業規則、時間外割増賃金、休日及び休暇、こういうことをやることは当然であります。これから見ましても、この第三十三條はまつたくむだなものである、無用なものである。むしろこの第八條でなすことで今日の民主主義の原則であるにもかかわらず、かかる自主的な、あるいは民主的な労働協約をなさずして、一方的な定款にひとしいところの法案であらかじめきめるということは、私はまことに不適当であると考えるのでございますが、日本國有鉄道法案の第三十三條と、公共企業体労働関係法案の第八條との矛盾をいかにお考えになられるか。從つて私は、長官はこの際第三十三條を全面的に削つて、第八條労働協約にまかせることこそ、眞にこの鉄道作業に協力せしめるところの道である、こういうように考えまするが、加賀山長官はいかにお考えでありますか。
  14. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 本法公共企業体に関する定款のようなものである。確かに定款的な規定を多分に盛つているわけでありまするが、この性質上單に定款だけと見るのは、私は少しきゆくつ過ぎるのではないかと考えるのでありまして、定款でない規定もこの中に含まれている。われわれの企図いたしましたところは、本來でございますれば、本法でもつてすべての関係をこの中に規定することにあつたわけでありますが、種々関係からいたしまして、労働組合法あるいは労働基準法労働関係調整法等に関する規定は、別の御承知の公共企業体労働関係法の中に織り込まれることになつた次第であります。ただ今回この法案が通過いたしますれば、生れようとしておりますところの公共企業体なるものはこれは私幾たびも申し上げたと思うのでありますが、日本に比類のない独占的なまた公共性の強いものである。むろんこれに從事する職員労働その他に関する保護は、十分にこの二つの法律の中に織り込まれなければならないともに、またその公共性の非常に強いことからいたしまして、日本國民のつまり利用者の利益なり安全を保護する規定は、ぜひとも必要であるというふうに考える次第であります。労働関係法の第八條に言及されたのでありますが、これは時間外労働その他につきましても、團体交渉の対象となり得ると明らかに規定しておりますけれども、時間外労働は單にこの場合だけを指すわけではございませんで、これは一般の場合でも、労働協約によつて相互の意思が合致いたしました場合には、時間外労働をすることもあり得るわけであります。ただこの法案の第三十三條は、明らかに公共の利益を擁護するため——利益と申しますよりは、あるいは貴重な生命財産を保護するためには、ぜひともそこに從事する職員に、これだけのことはあらかじめ規定して、義務としてもらわなければならぬ、といつた趣旨で本法案は設けられた次第であります。
  15. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 日本國有鉄道公共性と、從つてこれの運用を保護するような考慮がされなければならないことはいうまでもございません。この第三十三條は日本國有鉄道運営のうちの、特に災害に際しての労働條件に対する一種の制限規定でございます。從つてこれはいうまでもなく労働條件規定でございます。従つて労働條件は、公共企業体労働関係法の第八條において第一番に賃金労働時間及び労働條件と明記しておりますので、この第三十三條に規定しているがごときものは、第八條の一の賃金労働時間及び労働條件その他の項目に從つて労働協約をなさしむることが当然であります。公共企業体労働関係法案の第八條を眞に生かして運用し、労働者の協力を得ようといたしますならば、進んでこの國有鉄道は、第八條規定に基いて労働協約をすることが私は当然であろうと思う。しかるにこの第三十三條でもつてかかる規定をすることは、すでに第八條労働協約をなすべきことを規定している大半をこの第三十三條で制限することになるのでございまして、私はこれはそういう点からも非常に不適当であると考えるのでございます。もししいてこれを臆測いたしますならば、鉄道当局は、やがて公共企業体労働関係法八條によつて職員組合労働協約を結ぶ煩を避けるために、あらかじめ第三十三條で縛つておこうという意図が見えないでもないのでございまして、私は非常に遺憾とするものでございます。これ以上はおそらくは長官と議論になりますので、この辺でこの條文に対する質問を打切りますが、そういう意味で私はこれは絶対に納得することができないことを申し上げておきたいと思うのでございます。  次に山川婦人少年局長にお伺いいたしたいのでございますが、鉄道法案の第二十九條に、職員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、その意に反して降職し、または免職することができない、とありまして、左記に列記するものを除いては、これを降職し、または免職することができないということが列挙されております。第四番目に業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合におきましては、いつでもこれは降職もできれば免職もできる。これは行政整理を、法案によりまして、確定づけるものと私は考えているのでございます。あと加賀山長官に、鉄道は行政整理に対して、具体的に、現実的にいかに考えているかということについて御意見を伺うことにいたしますが、とかくこの行政整理の場合におきましては、從來とも一番抵抗力の弱い婦人や少年が犠牲になつて來たことは、おおうべからざる事実でございます。從つて私はこの第二十九條の四の項目をここに存置することは、最も抵抗力の弱い婦人並びに少年の労働者に対する一つの脅威になるものである。こういうふうに考えておるのでございますが、労働者の方ではどういうふうにお考えでございますか、御見解を承りたいと思います。
  16. 山川菊榮

    山川説明員 ただいまの佐々木委員お話通りに私どもの方でもその点を心配しております。行政整理でも、企業整備でも、すべて組織力の弱い、抵抗力の少い婦人や少年を犠牲にする方に向けられておりますので、その点について極力宣傳、啓蒙、また組織の促進に努めておりますけれども、この点につきましては、どうか運輸省の方でも、できるだけ婦人や少年に対して理解を持ち、未來の國民に対してそういう不安を與えないように、また婦人に対しても、男と同じように生産に参與しておりますし、家族を養つておる者も多いのでございますから、婦人や少年は非常に責任の軽いものとして、また抵抗力のないのにつけ込んで、犠牲にするということのないように、十分の御注意を願いたいと思つております。
  17. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 加賀山長官にお伺いいたしますが、この四の「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合」に降職または免職することができるということの必要性については、おそらく討論になると思いますので、質問をしてもむだだと思いますから、その点は質問申し上げませんが、この規定がありますれば、日本國有鉄道は行政整理が無制限に可能である——これも可能性の問題で、そんな残酷なことはしないとおつしやるでございましようが、とにかくその可能性はあるわけでございます。そこで現在の鉄道事業を日本國有鉄道にした場合におきまして、当局は行政整理をどの程度にするつもりがあるのか、またないのか、それについてのお見通しを、この際お伺いしておきたいと思います。
  18. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいまのお問いに対しましては、しばしば大臣にも御質問があつたようでありまして、これは政府全般の問題になろうかと考えますので、私といぬしましては、ただ鉄道総局に関係するお答えとして申し上げたいと存じます。実は私の経驗を申し上げるとよろしいと思いますが、かつて私が職員局長をしておりましたときにこの問題が出まして、その当時年少者並びに婦人を目当にしたことは事実でありますので、そういう前歴を持つております関係上、私に対する御疑惑が非常に深いのではないかと考えるのでありますけれども、当時の考え方といたしましては、方策としては、確かに年少者婦人だけにそのほこ先を向けたことは、失敗であつたということを私もよく承知しております。その後労働基準法が生れまして、ますます婦人並びに年少者諸君の働くことに制限を受けるようになつて参りました。これは一方からいえば、いわゆる基準法の保護が非常に強くなつて参りました。鉄道仕事は非常に間歇的な仕事でございまして、中間に十分休養できる時間があるけれども、それを多くの人でやれば実働時間は非常に少くなるが、人をたくさん使わなければならぬ。経営上の立場から申しますれば、できるだけそういう特殊の勤務は、中間に休憩時間をはさんで、いわゆる二十四時間の交代勤務が非常に適しておる。あるいは特殊日勤勤務と申しまして、一日割合に長く勤めますけれども、実際列車が入つて來るのは一日に三回ぐらいである。その他の時間はほとんど余裕があるというような勤務が多いわけでありますから、それは工場で機械にぴつたりくつついて作業する勤務とは、非常に形態を異にしております。從いまして特殊の勤務ができるようになつてつて非常に便利でございますが、しかしながら労働基準法精神並びに具体的の規定からいたしまして、それができないことになりました。そのために、たとえば年少者の場合でございますと、危險作業あるいは夜間作業等のいろいろな制限がございまして、この場合におきましてはほぼ二万人程度、つまり具体的に申しますと、連結手という仕事があるわけでございます。これは非常にからだの軽い、す早い、いわゆる年少者勤務に適するのでありますが、これは反面に相当危險性を持つております。しかし十八歳未満であつてはこの勤務ができない。けれども、これをすぐに解雇するということはできないのでございまして、ただいま二万人程度、年齡の來るのを待ちながら、他の作業に從事せしめ、あるいはさらに見習いをさしておるというようなかつこうでございます。同じく婦人につきましても、五千人程度そういう方があるわけであります。ただいまのわれわれの考え方といたしましては、できるだけ適した仕事に向けることと、それからせつかく習得した技術を持つておるわけでありますので、年齡の來るのを待つておるという状態でありまして、ただちにこれをこの規定があるからということで、その意に反して解雇するということは考えておらない次第であります。これは私の過去の閲歴は別として、現在そういつたことをやつておるということで、もうこれはそういう疑惑はすつかり御破算にしていただかなければならぬ。かように考えておるわけであります。
  19. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 そうしますと、現在の國鉄日本國有鉄道にかわる場合に、行政整理をする予定はないのでございましようか。
  20. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 これはパブリツク・コーポレーシヨンができまして、いわゆる監理機関並びに執行機関が考えることになろうかと考えておるわけであります。ただいまのわれわれの考えでございますが、ただいまの機構並びに人員をもつて、このコーポレーシヨンに移りかわつて行くという考え方を持つておるわけであります。ただ幹部のところまでそのままの人事で行くということは、もちろん申し上げられませんが、大体において現業並びに管理機関、すなわち鉄道局でございますとか、本省でございますとか、そういうところに働いております特別会計の從業員が主力になつてコーポレーシヨンに移る。その移りかわりのときに、それをただちに整理をするということは考えておらない次第であります。
  21. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 その点はよく了解いたしました。そこでこの法案を作成するときの政府の内部的事情でございますが、第三十三條を初めとして、幾多この法案にふさわしくない内容、特に労働省としては当然賛成すべきでないものが含まれておるので、私はこの法案作成のときに、労働省は第三十三條を初めとして、どうして考慮しなかつたか、こういう質問を申し上げたのに対しまして、山川局長は、これはこの法案ができるまで何も教えられておらなかつたということでございます。これはまことにふしぎでございまして、なるほど日本國有鉄道法案運輸省の主管ではございますけれども、少くともこの法案労働條件その他のことを織り込む以上は、関係省でありますところの労働省と、それ相当の折衝がなければならないのではかろうか。むしろこれは吉田総理大臣を呼んで聞くのがほんとうかもわかりませんが、こういうようなことが眞実でございますかどうか。眞実であつたとすれば、なぜにこういうような労働関係法規に対して、労働省と打合せをする必要がなかつたのか、これを承りまして、その結論はあるいは吉田総理大臣にお聞きすることになるかと思いますが、加賀山長官からそれらのいきさつについて、ひとつお答えを願いたいと思います。
  22. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 本案が法律案になりますまでには、実はたびたび内容的にも変化をいたしておりますので、これは前に運輸次官からいろいろ本法案提出についての経過を申し上げたと存ずるのでありますが、もちろん関係方面と密接な連繋をとりつつ、部内においては関係省、関係局長が集まりまして、法制局等も入りまして、協議をいたしておるのであります。これは單に一回にとどまらず、しばしば協議をいいたしておるのでございまして、その間の消息は打合せに出られた局長がおいでになれば一番はつきりすると思うのでありますが、労働省を無視して來たことは絶対にありません。必ず労働省にね加わつていただいて協議をし、その結果関係局長できまつたことを次官会議並びに閣議にはかつて提出されておる次第であります。
  23. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 加賀山長官のお答えによりますると、労働省とも十分お打合せをしたということでありますから、このことにつきましては、政府がどういうようなお打合せの上にこういう法案ができたか。現在の運輸、労働両相に、これらの問題について見解の相違があるかないか。山川局長の御答弁では非常に縣隔がありまするが、いずれこのことにつきましては、吉田総理大臣並びに労働大臣をお呼びしてひとつ承りたいと思います。從つて私の質問はこれで終ることにいたします。
  24. 成田知巳

    成田委員 ただいま佐々木委員から三十三條の問題について、特に女子年少者保護規定に関連して御質問があつたのであります。この三十三條は削除したいという御事見を持つておるようですが、私もまつたく同意見であります。しかしこの委員会で不幸にしてこの三十三條の削除の私たちの意見が通りませんで、この三十三條が生きた場合を予想いたしまして、この三十三條の解釈問題について、もう一度はつきりさしていただきたいと思うのでありますが、これは女子年少者の問題であります。今加賀山長官並びに山川局長も、女子年少者に三十三條の規定が当然適用があるという前提でお話になつておるらしいのでありますが、ちよつと私が氣がついたところを申し上げますと、この三十三條は條文通り労働基準法の三十二條、三十五條、四十條の規定にかかわらずとなつているといたしましても、これらは一般職工を対象にしておるのではないかという氣がするのであります。労働基準法においては第六章に女子年少者規定いたしまして、五十六條以下一般職工に対する例外規定を設けておるのであります。この三十二條、三十五條、四十條は一般職工に関する規定でありますから、女子年少者の問題はこの三十三條では全然触れてないのじやないか。從つて女子年少者はあくまでも労働基準法規定の嚴格なる適用を受けるのじやないかという解釈をいたしたいと思うのであります。これについて局長並びに長官の御解釈を承りたいと思います。
  25. 山川菊榮

    山川説明員 基準法の三十三條は、女子及び年少者にはかかわりないものとのお話でございますけれども、これはやはり含まれておりますので、当然現在の國有鉄道法案の三十三條によりますと、時間外労働に対する手当とか、そのほかいろいろの基準法に触れる問題が出て來るのでございます。それで、一昨日でありましたか、私どもの方の專門家——女の方も男の方も、また政党——社会党ばかりでなしに、民自党の方も入つておられますし、また無党派の方も多いのですが、その審議会で決定いたしました決議がございます。それと大体私どもの方は同意見でございますので、ちよつと申し上げたいと思います。    日本國有鉄道法案第三十三條に対する建議書   第三臨事國会に提出せられ、現在審議せられている日本國有鉄道法案中の第三十三條の規定は、労働基準法制定の趣旨に反するとともに、特に、女子及び年少労働者保護の上に重大な欠陥があると認められますので、本審議会は愼重に檢討した上、左の理由を明らかにして日本國有鉄道法案第三十三條の全面的削除を建議いたします。    理 由   一、本條はその各号に定める特定の場合においては、労働基準法第三十二條、第三十五條並びに第四十條を排除して、自由に勤務時間の延長、時間外及び休日勤務をさせ得ることを規定しています。しかし、その各号に定める特定の場合の範囲が非常に漠然としており、明白な判定の基準もなく、その上その認定は事業主たる日本國有鉄道の一方的判断によりなされるものでありますので、これらの事由により、無制限にすベての人に時間外及び休日労働を自由にさせ得る危險性が十分に認められます。   二、女子及び年少労働者保護の立場より特に重要なことは、本條により成年男子労働者のみならず、女子及び年少労働者に対しても、無制限に時間外及び休尾労働を課することができることとなり、労働基準法が特に女子及び年少労働者の保護に留意した趣旨が全然無視されていることです。   三、本條により時間外及び休日労働に対しては、労働基準法第三十七條に定める時間外労働、休日労働に対する割増賃金が保障されていません。   四、本條により時間外及び休日労働は、労働基準法上の監督機関による監督も排除せられ、労働協約の締結も不要とせられています。   五、本條の趣旨は、労働基準法第三十三條第一項、第三十六條の範囲内において十分達し得られると考えます。   六、なお、國有鉄道に本條のごとき特例を認めた場合は、その規定の影響は、当然私鉄等の民間における運輸業その他すベての産業に対して、労働基準法労働者保護の趣旨がまつたく沒却させられるおそれがあります。 これが審議会より労働大臣にあてての建議案でございます。  それから先ほど申しましたように、基準法を認めるのでございましたならば、この國有鉄道法案の第三十三條にあらためてこういう規定がなくとも済みますので、こういう規定があるだけ、かえつて混乱いたしまして、何か基準法を認めないでもよいような印象を一般國民に與えるおそれが十分あるのでございます。中には労働者、特に女子労働者年少労働者の無力をよいことにいたしまして、基準法を空文化いたしますために、いろいろな巧妙な方法をとらないとも限りませんので、鉄道の方はこれは削除して、基準法一本やりでやることを明確にしていただきたいのであります。
  26. 成田知巳

    成田委員 加賀山長官の御答弁を承る前に、うも一度川局長にお尋ねしたいと思いますが、この審議会の決議の精神は、私も全幅的に賛成であります。この三十三條の規定は私たちは削除しなければならぬという態度をもつて進んでおるものでありますけれども、不幸にして私たちの数が足りなくて、この委員会並びに本会議で私たちの削除の意見が通りませんので、この三十三條がそのまま生きた場合の一つの用意としまして、この三十三條の解釈問題を、特に婦人年少について私申し上げたいのであります。この三十三條の條文を表面から解釈いたしますと、三十二條、三十五條、四十條の規定にかかわらずとなつておるのでありまして、一般の成年職工の例外規定を盛つておるわけであります。また基準法には御承知のように、女子及び年少者の章として、五十六條以下十数條にわたつて、さらに嚴格なる例外規定を設けておるのであります。特にこの六十條でもそういうことをうたつてあるのであります。この三十三條の規定というものは、あくまでも一般職工に対する例外規定解釈して、女子及び年少者に対しては、この三十三條は全然触れてない、労働基準法をそのまま適用するのだという解釈が正しいのではないかという氣持を持つておるのです。特に加賀山長官労働基準法年少者規定が問違つておるので、それがそのままこの三十三條に生きておるのだから私たちの知つたことじやないという御答弁ですが、私の今の解釈は、女子年少者の問題は全然この三十三條には触れていない。労働基準法では女子年少者については特に嚴格なる制限規定を設けておるのだから、たといこの三十三條が生きたといたしましても、女子年少者はあくまでも労働基準法從つて、制限外の労働はさせないという解釈をするのが正しいと考えておりますが、これについと山川局長の意見を伺いたい。決議の趣旨はよくわかるのであります。私たちもそういう方向に進もうとしておりますが、万一の場合を予想いたしまして、少くともこの三十三條が生きた場合には、女子年少者については、この三十三條の正面解釈から、例外規定は設けられないという解釈をするのが正しいのではないかと思います。
  27. 山川菊榮

    山川説明員 ただいまのお話のように、もしもこれが委員長でも、また本会議でも通過するようでございましたら、その万一の危險を避けますために、ただいまのような労働基準法解釈にすぎないものである。決して女子年少者の無制限使用を許すものでないということを、ここに明文化していただきたいと思うわけでございます。
  28. 成田知巳

    成田委員 明文化するという私たちの意見が導りますれば、まちろんけつこうでありますが、もし反対意見がございまして、明文化ができないという最惡の場合を予想いたしまして、当然解釈問題として女子年少者に対しては適用がないという解釈は、この條文規定から行きましても成立つと思うのです。
  29. 山川菊榮

    山川説明員 ただいまのお話のよくわかりました。どうかそういうふうにしていただきたいと思います。
  30. 成田知巳

    成田委員 加賀山長官の御意見を承りたいと思います。
  31. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 解釈労働省に御解釈を願わなければならぬ筋合いだと私は考えるのでございますが、私ども解釈といたしましては、やはり第四章の規定は、一般的に労働時間、休憩、休日及び年次有給件暇ということをきめておるので、第六章に女子、及び年少者を特例として出しております。つまり四章の規定は、單に成年者だけについての規定ではないというのが正しいのではないかと私ども考えております。一般的に示して、そうしてただ年少者婦人だけは第六章以下において規定した。從つて店三十三條については特例を設けてないわけでありますから、これは一般的に適用がある、こういうふうに解釈すべきものではないか。これは私の解維でございますが、ただ成田委員が言われますように御解釈になる場合は、私はそれでもけつこうだと思います。さつき佐々木委員に申し上げましたことからいたしまして、こういう非常の造合に女子年少者を酷使する意図はごうも持つておりませんから、そういうように解釈していただいて、運輸省としては一向さしつかえないということを申し上げております。
  32. 成田知巳

    成田委員 ただいまの加賀山長官の御説明で、大体了承いたしたのでありますが、女子年少者を酷使する意図はないということよりも、法律解釈上からいたしまして、当然女子年少者には三十三條は適用がないのだと私どもは了解しておりますが、そう了解してさしつかえありませんか。
  33. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 これは私から有権的に、そういう解釈をしてよいということは申し上げられないと思います。そういう有権的解釈になります場合には、よく労働省の御意見を聞いていただかなければならないし、また國会としての御見解もあるでありましよう。
  34. 成田知巳

    成田委員 有権的解釈というよりは、條文の順序を追つて解釈しますと、これは当然な解釈じやないかと思うのです。最初一般的規定を設けまして、特に女子年少者について特殊な制限規定を設けておる以上、もし本法の三十三條の例外規定女子年少者についても適用しようとすれば、当然第六十條の規定にかかわらずという一項を入れるのが、私は正しいと思う。有権的とか、そういうようなやかましい問題でなしに、すなおに條文を読めば、当然そうなると思うのであります。ぜひともそういうように御解釈願いたいと思うのであります。今局長から大体そういうように解釈されることが望ましいというお話があつたので、三十三條がもし生きた場合を予想いたしまして、女子年少者は三十三條は適用がないと解釈しておきます。
  35. 有田二郎

    有田委員長 この際成田委員にお諮りいたしますが、委員長もお聞きしますると、どうも労働省運輸省との間の連絡が、非常にあまく行つてないように考えられますので、この第三十三條に対するただいまの成田委員の御質疑に対する点については、本日中に労働省運輸省で御協議願つて、明日一時から開催いたします本委員会において、政府の方針により、この三十三條の解釈を正式に御回答願うというようなことにしてはどうかと思いますが、いかがでございましよう。
  36. 成田知巳

    成田委員 よろうゆうございます。
  37. 有田二郎

    有田委員長 さように決しまして、労働省運輸省におきまして、この三十三條の成田委員解釈について、政府としてはどう考えるかという結論を明日伺いたいと思います。
  38. 佐伯宗義

    ○佐伯委員 私は本法の根本性格につきまして、総括的に賛成しかねるものが非常に多いのでございますので、内容の事実に対しましては、御質問を申し上ぐることを省略いたしまして、大体に國有鉄道公共企業体を設立いたしまするゆえんのものは、少くとも能率を高めるという面と、それから公共的性格、いわゆる國民経済の利益を確保するという、この二つの面をどう調和するかということのために、こういう新しい公共企業体が生れるものだと考えられるのであります。ところが、この法案を見ますると、どうも現在の國直営時代と何らかわつておらぬように私には考えられます。しかしながらその点につきましては、第三十六條に、高能率に役立つような公共企業体の会計を規律する法律が制定、施行せらるようにうたつてありまするので、少くとも本法案をおつくりになつた趣意、精神は、これによつて將來達成せられるものと考えられるのであります。     〔有田委員長退席、佐々木(更)委員長代理着席〕 でありまするから、本法案はやはりまだ完成されたものでないというようなことが言い得るということは、大臣におかれましても十分に説明されておるようであります。ところで私は、この際ただ一言申し述べておきたいと思いますることは、この第三十六條の高能率の企業体と申しますると、どんなものがよいかということが問題にされておるのでありますが、私はかねて主唱いたしておりまするし、また今回公共企業体の改正問題に対しまして、政府に要請しております問題がございます。この際政府に要請いたしておりまする、私の主唱する企業体と申しまするものは、鉄道事業は公共的性格を持つておる反面、経済的自立性を持つておる。公共事業業が独立採算制をとるべく、商事的原則に基いて運営せられねばならぬという反面と、國家公共のために盡すという公益性との、二面を持つておりまするので、この二面を調和する企業体、これが要請せられておると思うのであります。ところで國営とか、國有とかいうことになつて参りますると、前段のいわゆる國家公共の性格というものが非常に勝ち過ぎまして、経済の自立性というものは第二義的に考えられるのであります。これが今回の新しい企業体の生れ出た理由でありまするが、この二つのものを調和するということは、非常にむずかしいことであろうかと考えます。特に日本國民は、まだこの二つの面を分離するかのごとき認識力は非常に鈍い、從つていずれか一方に偏しまして、國営になりますれば、経済の自立性格が失われまするし、また経済の独立採算制をとりますと、営利主義、いわゆる採算主義に走るようであります。この二面を調和するという今回の新しい公共企業体発生ということは、実に國有鉄道それ自体に非常な大きな意味を持つておると考えられまするので、私はこの二面を調和いたしまする案といたしまして、株式会社、いわゆる國有鉄道の全財産を株式会社にいたしまして、それを國家が全株を所有する、こういう一つの企業者と、もう一つはこれを運営いたしまする國家性格を持ちました公社を設立する。この二つのものが分離のようでありまする、これを調和して行くところの一つの複式企業方式というものを確立することが、最もその精神にかなあものである、かように考えまして、年來、特に今回公共企業体に改組するにあたりまして、政府に提案をいたしておるのであるのであります。でありまするから、本員の提案しておりまする内容につきまして、政府におかれまして將來御檢討をお願いしたいと考えます。不幸にして本案は、私の提案をいささかも盛られておらぬように考えまするので、從つて私は本案に対して賛成する場合におきましては、四つの條件を要求したいと考えます。  第一は名称でありまして、第一條の名称に日本國有鉄道とのみしてありまするが、これはやはり私は公法人であることを示すべきである。たとえば社とか廳とかを付加するほかに、國有鉄道の所有と経営の分離を明らかにするための文言をも付加いたしまして、名称を日本鉄公社とか、あるいは日本鉄道運営廳、こういうような名称にせられんことを希望するのであります。  それから第六條の法人税並びに所得税を免除するということは、これはこの際抹消してほしいと考えます。  それから第四十三條の鉄道経営上の損失並びに利益金処分に対しまして、國有鉄道経営より生ずる利益金については、政府の一般会計に納付する制度を改めまして、この利益金は運賃、料金の引下げ、あるいは設備の拡充ないし改善等によつて社会に還元するということに改められまして、その反対給付でありまする損失金に対する國家の交付金は、日本國有鉄道自体の経営において自弁するということに改正せられたいと思うのであります。     〔佐々木(更)委員長代理退席、委員長着席〕 この理由といたしましては、將來高能率に改善をいたされる場合におけるところの独立採算制の基本問題を、この際確立しておいてもらいたい、かように考えるがためであります。  なお最後に、第三十六條の「公共企業体の会計を規律する法律が制定施行されるまでは」こうなつておるのでありまするが、これがまつた本法制定の大眼目でありまするから、これをこのままにしておいたのでは、本法制定の精神が成立ちません。そこで私は思いますのに、最後の本法の附則の第四項に、こういう意巳のことを一箇條設けられんことを希望するのであります。それは、政府日本國有鉄道の会計及び財務に関して鉄道事業の高能率化、自由化に役立つような公共企業体の民主化制度を立案し、本法第四章の改正法律とともに、本法成立後の通常國会にこれを提出しなければならない。この一箇條を附則の第四に設けられんことを望むのであります。  本法は思いまするに、國家公務員法の改正ということで主眼であつて、これに伴う一時的便法かと考えられるのでありまして、どうしても公共企業体といたしまする國有鉄道の分離の大精神、いわゆるこの性格なるものは、追つて審議せられるものと考えますので、これを具体的に政府当局が責任を持つていただくがために、以上第一條の名称を、國家的性格と経済の自立性格とをつけ加えた名称にこの際に確立しておくことが第一、第六條におきましても、法人税並びに所得税というがごとく当然自立経済が負うべきものは、この際に法律案の上からこれを抹消し、それから損益の関係におきましては、利益金は國家に納付するというがごとく性格ではなくして、当然社会に還元する一つの方法といたしまして、運賃、料金の引下げ、あるいは設備の拡充、改善をはかる。これらは企業体をいよいよ強めまして、そうして國家にその利益を還元しておるのでありまして、いたずらに一般会計に利益を還元いたしますることは、企業体を弱める原因である。こういう問題はこの際のやはり大きなものでありますから、断然確立しておくの必要があると考えるのであります。最後に、附則の第四に加えますことは、要するに本法は、大臣の説明によりますと、まつたく完成されたものではないのであるという御提案の趣旨に基きまして、本法成立後の通常國会に御提案なされたるということが確立いたしておりますならば、まさに会期も切迫しておりまする今日におきまして、多少の弱点がありましても、私はこれに賛成するのであります。かような大法案をわずか一週間や十日で審議することは、私は責任を持てませんので、私の賛成の意見といたしましては、以上四つの條項條件といたしまして、本法の成立を承認するものであります。
  39. 有田二郎

    有田委員長 他に質疑はありませんか。——それでは次会は明二十八日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会