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1948-04-02 第2回国会 両院 両院法規委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年四月二日(金曜日) 午後二時二十九分
開議
出席委員
委員長
樋貝
詮三君
理事
松澤 兼人君
理事
降旗 徳弥君
理事
松村眞一郎
君
理事
藤井
新一
君 松永 義雄君 原 彪之助君 中井 光次君
新谷寅三郎
君
出席政府委員
法 制 長 官
佐藤
達夫
君
委員外
の
出席者
衆議院法制部長
三浦
義男
君
参議院法制部長
川上
和吉
君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
國会法改正
に関する件 —————————————
樋貝詮三
1
○
委員長
(
樋貝詮
三君) それではこれより
両院法規委員会
を開会いたします。
両院法規委員会
に関して、
関係方面
からの要望もあるようでございますから、それを
三浦法制部長
から御説明申し上げます。
三浦義男
2
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) 先般
両院法規委員会
におきまして、
勧告案
が第一号、第二号、第三号と御
決定
になりました。その後この
勧告案
の
関係
におきまして、どうな
つて
おるかということの御要を御
参考
までに御説明申し上げたいと思います。
勧告案
第一号は、
選挙法
の
改正等
に関する
勧告
でございますが、これは
政治腐敗防止法
の問題、それからさらには
一般選挙
の
公営
の
問題等
に関して
勧告案
ができてお
つたの
であります。
政治腐敗防止法
に関する限りにおきましては、
衆議院
におきましては、
特別委員会
が設置されまして、一
應特別委員会
の
起草小委員会
におきまして、
研究事項
を
もと
として
審議
を重ねておりまして、大体の
方向
がきまりましたので、
衆議院
の
法制部
において、かりの
名前
として
政治腐敗防止法案
を一應まとめ上げた次第であります。しかしこの問題に関しましては全
國選挙管理委員会
、前の
内務省解体
後にできた
委員会
でございますが、そこにおいてもいろいろ
研究
しておりまして、そちらの方で
衆議院
の方の
特別委員会
と別個に、また
関係方面
といろいろ折衝しておられた
関係
がありまして、その間に十分な連絡がなくして行われてお
つた関係
上、小
委員長
が
先方
に
報告
にまいりました際に、その方でや
つた
案がもう少しで大体満足すべき状態に達しそうだから、それを
もと
として
考え
たらという
意見等
もありましたが、結局
國会
の
特別委員会
においてはそれも
参考
とはするが、
委員会
においていろいろ
研究
してとりまとめておりました案を
基礎
として今後逐條的に檢討していくということに、一應の
運びがなつている
次第であります。 なお
選挙
の
公営等
の問題に関する
改正等
につきましては、
目下
のところ
衆議院
の
委員会
においては今取上げておりませんが、伺いますれば、いろいろ
各党方面
においても
研究
が進んでいるように聞いている次第であります。 それから
勧告
第二号の予算の
増額修正権
に関する問題でありまするが、この問題については一應
勧告
して、その後
大藏省等
にもこれが一應移されたように聞いておりますが、これについては事務的にも
大藏省
とのいろいろの折衝もまだ行われておりませんので、どういう結果にな
つて
おりますか、私
ども
としては存じていない次第であります。 それから
勧告
第三号の
両院法規委員会
に関する
規定
の
改正
に関する件であります。これについては御
承知
の
通り
、
國会法
の
改正
が現在
衆議院
の
議院運営委員会
、
参議院
の
議院運営委員会
において種々御檢討にな
つて
いるわけでありますが、その中で
両院法規委員会
の
関係
に関する分について、
衆議院議院運営委員会
における
模樣
を申し上げたいと思います。
勧告案
においては
両院法規委員会
の
名称
が適当ではなかろうということで、
両院顧問会議
というようなことに一應なりまして
勧告
にな
つたの
でありますが、これはいろいろ
意見等
によりまして、やはり
從來通
り
両院法規委員会
という
名称
を踏襲する方がよかろうという
運営委員会
の
意向
のようであります。 なお新しくその際九十九條の第一号でありますが、
國政
の
運営
に関し問題となるべき
事案
を指摘して、両
議院
及び
内閣
に対し
勧告
するというようなことが附け加わ
つたの
でありますが、この問題に関しては両
議院
に対して
勧告
をするのはよいだろうが、
國政
の
運営
に関しというような
廣汎
な問題に関し
両院法規委員会
が
國会
、つまり両
議院
の
意思
と離れて
内閣
に対して
勧告
するのはどうかというような
意見等
がありまして、第一号の中から
内閣
ということをと
つて
、両
議院
だけにするという
意向
のようであります。 なおそれ以外に
從來
九十九條において新
立法
の
提案
とか、あるいは
現行
の
政令等
に関して両
議院
及び
内閣
に対し
勧告
するということにな
つて
おりますが、この
從來
の原則としても
つて
おりました
内閣
に対する
勧告
も、同樣やはり両
議院
だけに限るというような
意向
のようであります。 それから
両院法規委員会
の
構成
の問題でありまするが、これにつきましては各院とも十人ずつというようなことに一應
勧告
ではな
つて
お
つたの
でありまするが、
目下
のところ
衆議院
におきましては
從來通
り十人と八人ということで一應や
つて
おるのでありまするが、これは
参議院議院運営委員会
と
衆議院
の方が連絡されて、なお御
決定
に相なることだと存じております。 それから
勧告案
と別に、この
両院法規委員会
におきまして、
國会法制局
という案をいろいろ御
審議
に相な
つて
お
つたの
でありまするが、この問題に関しまして一
應國会法制局案
というものは
勧告
の形においては取上げられなか
つた
ことになりましたことは、御
承知
の
通り
でありまするが、その後
國会法
の
改正
に
関連
いたしまして、
從來両議院
の
法制部
がありまするのを拡大強化いたしまして、両
議院
にそれぞれ
法制局
を置く、こういうふうなことで現在のところ進んでありまして、一
應事務局
と
法制局
というようなものがわかれて、おのおの議長に直属して
國会
の
機能
を発揚していくという
方向
で取上げられておるわけであります。なお
規定
の
形式等
に関してはいろいろの
意見
があ
つたの
でありまするが、
目下
のところは
國会法
第百三十一條の「
議員
の
法制
に関する立案に資するため、各
議院
に
法制部
を置く。」という
規定
のところを「
法制局
」と改めていただき、現在
國会法
の中で
事務総長
の
権限
として
規定
されておりますと同じようなことを、
法制局長
の
権限
として
規定
し、その他必要な字句をここに
規定
する、こういうことに相な
つて
おる次第であります。一應簡單ではございまするが、経過御
報告
を申し上げた次第であります。
藤井新一
3
○
藤井新一
君 この
両院法規委員
について私が
法規委員会
を代表して
関係方面
のところに
行つたの
ですが、そのときの
模樣
は、
両院法規
の
名前
はアドバイザリー・カウンシルという名をあげ、こういうような
意味
の名であれば、
國政
の
運営
に関しというものが解決されるというのであります。よ
つて
この前の
委員会
において、こうきめたのでありますが、これに関しては
衆議院
がまず反対を表明し、
参議院
においても同調して、ついに
議院
の上に
顧問
ははなはだおもしろくないというので、
参議院
においても
現行
の
名前
では
惡い
がしかたがないから暫定的にそうしておいて、將來はこれを変えるという
條件
の
もと
に、
議院運営委員会
は
現状通り
で通
つて
おるわけです。さらに
委員長
の問題がここにございますが、これは私
ども相当
に
委員長
の
意思
を説明したのです、ところがそれでは困る、どうしても毎回交代して
委員長
がこれに当るというようにしなければ
意味
がないという
意見
でございましたので、こういうように
報告
し、かつここでこういう
決定
を見たわけです。以上
報告
いたします。
樋貝詮三
4
○
委員長
(
樋貝詮
三君)
ちよ
つと伺いますが、
議院運営
の方の
委員会
でその議が出ておるのですか。
藤井新一
5
○
藤井新一
君 そうです。
樋貝詮三
6
○
委員長
(
樋貝詮
三君)
両院法規委員会
としましても、既定のこんなような
方向
で進むことに大体の御
意見
は一致するでございましようか。何か御
意見
ございますか。
藤井新一
7
○
藤井新一
君 ついては
國政
の
運営
に関し問題となるべき
事案
ということを
意味
する以上は、やはり
内閣
に対しても
勧告
をすることが必要ではないかと私は
考え
るのであります。これはあくまで
法規委員会
はこれを
突張つて
、両
運営委員会
に申し込む必要があると
考え
る。もしこれなかりせば、
両院法規委員会
というものは
意味
がないように私は思います。
樋貝詮三
8
○
委員長
(
樋貝詮
三君) その点については、何か別の
方面
の
意向
もあるように聞いておりましたけれ
ども
、そうではなか
つたの
ですか。
両院
の
運営委員会
だけの話でしたか。
藤井新一
9
○
藤井新一
君 私が
関係方面
に行
つた
ときの話では、これは問題にならなか
つたの
です。
樋貝詮三
10
○
委員長
(
樋貝詮
三君) ま
つた
く対内的な
意見
ですか。
三浦義男
11
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) その点に関しましては、やはり
相当関係方面
の
意向
がはい
つて
おるようであります。つまり
内閣
に対してやるということはどうかという
意見
が、
運営委員会
だけの
意見
でなくて、出てお
つたよう
です。
樋貝詮三
12
○
委員長
(
樋貝詮
三君) 前の案を
法律
にするときには、いずれ各
方面
とも相談したことだと思うのですが、その後に変
つたの
ですか。
三浦義男
13
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) その後に今度の一号の問題といたしまして、
國政
の
運営
に関して必要と認める案という問題と
関連
いたしまして、
從來
あ
つた
、新
立法
の
提案
に関して
内閣
に対してやるというのはどうかというようなことになお変
つて
きたようであります。
樋貝詮三
14
○
委員長
(
樋貝詮
三君) 少し理窟を言うようだが、
議会
が
立法
のイニシアテイーブをとるという
思想
は、向うはもう投げてしま
つたの
でしようか。
三浦義男
15
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) そこらのところはよくわかりませんが……。
藤井新一
16
○
藤井新一
君 この問題については両
法制部長
がもう一度よく調べていただきたいと思います。二つの場合がある。かまわないという場合といけないという場合とあ
つて
、そうするとそこに食い違いが起
つて
くるから、これはひ
とつ
はつきりしていただきたいと思います。
三浦義男
17
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) これは、できますれば
法規委員長
が
運営委員会
に出て、これを
審議
した
趣旨
を一應御説明くだされば、その方が方法としてはよいのじやないかというふうに
考え
られます。
藤井新一
18
○
藤井新一
君 しかし、
衆参運営委員会
においてこれを大体削除するという
意向
をも
つて
おる以上は、
委員長
が行
つて
説明しても、これはとうていものにならぬから、まずその前に、
関係方面
の
意向
を聽いて、後に申し込む方がよいと思う。その結果いかんによ
つて
もう申し込む必要はないと思うのです。
樋貝詮三
19
○
委員長
(
樋貝詮
三君) そういう
勧告
をしてはいけないということについて、何か理由を述べられておりましたか。
三浦義男
20
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) 私は直接参りませんでしたけれ
ども
、私が間接に
総長
から聽いたのでは、
さつきちよ
つと申し上げましたような
趣旨
で、
國会
と離れまして、
両院法規委員会
が
内閣
に対していろいろ直接
勧告
をしたりすることはどうか。こういうような強い
意見
のようでございます。
藤井新一
21
○
藤井新一
君 これはどうしても
両院法規委員会
における主張として、この
内閣
の点は非常に重大なる意義をもつものですから、
法規委員会
は、どうしても存置したいという
意思
を強く表明してほしいと思います。
川上和吉
22
○
参議院法制部長
(
川上和吉
君)
藤井先生
の御
意見
と少し違う点があるかもしれませんけれ
ども
、先般の
勧告
によりまして、
法規委員会
の
権能
を、單に
法律関係
の問題に止めないで、
國政運営
に関し問題になるべき
事案
ということに
廣くし
ましたのにこたえて、つまり廣い分野について相当自由に
意見
が言える。その代りと申しますか、その際に
法規委員会
はあくまで
両院
の
機関
として、両
議院
に向
つて
自由に
意見
が言える、こういう体制にするのが
一つ
の
考え方
じやないか。先ほど
委員長
から、
國会
の
立法機関
としてま
権能
との
関連
のお話がありましたが、むしろ
法律
についても両
議院
に対して言うことによ
つて
、両
議院
が
立法機関
としての
機能
を発揮していただけばよろしいので、両
議院
において、さらに
内閣
に働きかけるのは、
法規委員会
が直接やらないで
ハウス
としてやるといういき方をと
つた
方がよろしいのではないかという点が、私は
一つ
の見解として
考え
られるのではないだろうか。むろんこの前の
法規委員会
の御
決定
もあるのでありますが、そういうような
考え方
もできると同時に、今
議院運営委員会
で議論にな
つて
おるような
考え方
もできるのではないか。殊に一号で、
國政
の
運営
に関して問題となるべき事業というように
廣くし
まして、自由に言えて、それは
ハウス
に対して言うのだこういうようにその
方面
では
限定
をしていくと言いますか。同時に
議院
と
内閣
との
関係
はすべて
ハウス
全体としてや
つて
いくという行き方を貫くという
意味合
におきまして、
内閣
を削るということにも一理あるのではないだろうかというようにも
考え
られるので、この点
藤井委員
の御
意見
と少し違う点になるかと思いますが、御
参考
に申し上げます。おそらく
運営委員会
におきましてもそういう点が問題だ
つたの
ではないかと思いますので、その辺は御考慮
なつ
たらどうかということを申し上げます。
樋貝詮三
23
○
委員長
(
樋貝詮
三君) そうすると、
從來
は
制度的見地
から強く見て、その限りにおいては
両院
にも、また
政府
にも
勧告
する。どつちかと言えば、道理といいましようか、こうでなければならないという
一般報告
というものを
考え
て、
政府
に対する
議院
に対するとを問わずに、どちらに偏するということでないから、どこへ
勧告
してもよろしいということできたやつを、廣く
一般
に
勧告
するということになると、今度は
政治的意味
もはい
つて
くるというような
考え方
で、
政府
の方は除いた方がよいというような、そういう
思想
がはい
つたの
でしようか。
川上和吉
24
○
参議院法制部長
(
川上和吉
君) 私も
運営委員会
の
眞意
は必ずしも正確にはお傳えできかねると思いますけれ
ども
、
委員長
の御指摘に
なつ
た点が問題にな
つたの
ではないか、こういうふうに推察されるのであります。
三浦義男
25
○
衆議院法制部長
(
三浦義男
君) なおこの点に関しましては、私
ども
の方の
事務総長
が
運営委員長
なんかと、
先方
といろいろ交渉しておりましたので、詳しいことをもしお聽取りになる御希望がございますれば、そちらの方に連絡してよいかと思
つて
おります。
樋貝詮三
26
○
委員長
(
樋貝詮
三君)
承知
いたしました。それをお
聽きし
ておく程度に止めておきたいと思いますが、なお御
意見
ありましようか。
藤井新一
27
○
藤井新一
君 私は
参議院
の
法制部長
の
意見
とは反対なんです。單に
國政
の
運営
に関し問題となるべき
事項
というように拡大したがゆえに
内閣
の方はよろしいということは、話が違うように思うのです。
國政
の
運営
に関し問題となるべき
事項
を拡大したらしたほど、
内閣
に対して
勧告
すべき問題が多いと思う。もし
法規委員会
において
内閣
に対する
勧告
がなくなれば、
法規委員会
というものは存在がないと思う。というのは、
運営
に関しては
両院
の
運営委員会
でほとんで議してしま
つて
われわれはほとんど用がないのです。われわれの務めは
内閣
に対して
勧告
する。それは
内閣
が
立法
を主としてや
つて
おるのであるから、われわれの方でそれに対して援助をする
意味
においてどうしてもこれが必要と
考え
る。
樋貝詮三
28
○
委員長
(
樋貝詮
三君) それではその点をなお
運営委員会
の方の
意向
をもよく確かめたりして処置するようにいたしましようか、その方がいいかもしれません。
藤井新一
29
○
藤井新一
君 ほかの
委員
の所見をひ
とつ
聽きたいと思います。
樋貝詮三
30
○
委員長
(
樋貝詮
三君) なおほかの方で御
意見
があ
つた
ら伺いたいと思いますが、一方においては
事項
的に拡大し、
官廳
あるいはまた
議会
というような対象の
方面
からい
つて
は縮小することになるのでありますが、一体
法規委員会
としてはその漫然とすべての
政治
にわた
つて
勧告
するというような、そういう
建前
であ
つた
かどうか、初めの
趣旨
とは
大分違
つて
くるように思
つて
おるのです。初めの
趣旨
は
法規
に関する限りは
内閣
に対して
勧告
できるというような
建前
であ
つたの
を、今度は
法規
に現われたる
制度
というようなことを捨てて、具体的な
事項
に関してでも
勧告
するというような方へ一歩はい
つて
い
つた
とすれば、これすなわち生きた
政治そのもの
になるわけです。少しくこの
委員会
の使命を逸脱したような形にな
つて
くるし、その点ではこの
委員会
が非常な角度をかえてきたことになるのですが、
委員会
の
性質
をそんなにかえていく方がいいのか、あるいは
委員会
としては
從來
と
つて
お
つたよう
な
考え
を
基礎
にして、それに幾分の改廃を加えるというふうに
行つた方
がよいか、その点が問題だと思いますけれ
ども
、なお御
意見
のところはよく了承いたしまして、その事情を
議院運営
の
委員長
からお聽きすることにいたしましよう。
川上和吉
31
○
参議院法制部長
(
川上和吉
君) お手
もと
に速急に
立法
を要する
事項
という一枚刷りをお配りいたしてありますが、これは五月三日までの
効力
しかない
法律
、あるいは五月三日までその他
期限つき
に新しく
法律
の
制定
を要することを
法律
の中にうた
つて
おりまする
事項
を拔きまして、御
参考
にお目にかけたわけであります。ここに列挙してありますように、まず初めの
行政官廳法
の中にその
効力
を五月三日までに
限定
をいたしておりますので、それまでにこの
行政官廳関係
の諸
法律
の
制定
を要するわけで、これは
もと
より
内閣
において現に準備を進めているわけでありますが、そういうものがあることは御
承知
の
通り
であります。 それから
民事訴訟法
の
應急的措置
、あるいは
刑事訴訟法
の
應急的措置
に関する
法律
につきましては、先般七月十五日までその
期限
が延長されたのでありますが、これも
期限附
のものとして
立法機関
としてお
考え
になる必要がある点であろうと思います。 その次の裁判官の報酬あるいは檢察官の俸給につきましても、五月三日までの
期限附
に相な
つて
おるのであります。 それから
昭和
二十二年
法律
第七十二
号関係
の新
立法
というのは、これも昨年來この
委員会
で問題になりました
日本國憲法
の
施行
の際に現に
効力
を有する命令で当然
法律
にかえなければならぬものにつきまして、昨年の暮の
國会
において
暫定措置
が講ぜられたのでありますが、その
期限
がやはり五月二日までに相な
つて
いるのであります。 それから
地方自治法
におきまして、
國家公務員法
に該当しまする
地方公共團体
の職員に関する
規定
も、五月一日までに
國会
に提出をしなければならない。あるいは
地方財政
に関する
地方財政
の
基本法
と申しまするか、
地方財政
に関する
法律
につきましても、これはすでに三月六日までに提出すべかりしものでありますが、まだ問題がありまして提出されておりません。かように
期限附
のものがございまするので、御
審議
の御
参考
にお示しをいたしましたようなわけであります。
樋貝詮三
32
○
委員長
(
樋貝詮
三君) それでは
法制局長官
が見えましたので、
さつき藤井委員
から
提案
のあ
つた
事項
について御質問願います。
藤井新一
33
○
藤井新一
君 去んぬる日、
参議院
の
議院運営委員会
において
外務省顧問
に
片山哲
氏を指名するということが論議されたのですが、これに関して
法制局長官
から
顧問
の
性質
並びに
國会法
第三十九條との
関係
を述べていただきたいと思います。
佐藤達夫
34
○
政府委員
(
佐藤達夫
君)
外務省
の
顧問
の
制度
は、ずつと古く
支那事変
当時からあ
つた
と思いますが、要するに
大臣
の最高の
顧問役
として有能なる
適材
を連れてきて、しかもそれを格の高い
地位
として
適材
を招致しやすいようにするという
建前
から、当時は
親任官待遇
ということであ
つたの
であります。
性質
は
國会法
に
顧問
、
委員
、
参與
というような例示がずつと並んでおりますが、そういう
性質
のものであ
つて
、キユアリアス・サーヴイスといいますか、普通の
官吏
とは違う
性質
である、一種の
委員
のようなものであると申し上げてしかるべきであろうと思います。從いまして
國会法
の第三十九條から申しますと、第一項の問題ではなくて、たしか第二項の方に
委員云々
という言葉があ
つた
と思いますが、その方に該当するものと信じておる次第であります。
藤井新一
35
○
藤井新一
君
佐藤長官
にお
聽きし
ますが、そうするとこれが
勅令
と
政令
との
関係
はどうな
つて
おりますか。
昭和
十三年の
勅令
、それと現在の
政令
との
関連性
はいかがにな
つて
おりますか。
佐藤達夫
36
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) これは
一般
の
新旧憲法
にまたが
つて
の
法制
の取
扱い
の問題になりますが、
建前
としては從前の
勅令
で
法律事項
を含んでおるものは
法律
の
扱い
をする。これは御
承知
の例の
法律
七十二号でや
つて
おる、そのほかの
勅令
の
規定
の部分は大体
政令
というふうに
考え
まして、今日運用しておるわけであります。旧
憲法時代
にできましたいろいろな
法律
の
施行令
というようなものがたくさん
勅令
で出ておるのですが、それはただいまにおきましては、一部
改正
するときには、
政令
でも
つて
一部
改正
するという
扱い
にな
つて
おります。
藤井新一
37
○
藤井新一
君 そうすると
片山哲
氏が
外交顧問
になるについては、問題はないわけですね。
佐藤達夫
38
○
政府委員
(
佐藤達夫
君)
制度
上の問題は全然ないと
考え
ております。
藤井新一
39
○
藤井新一
君 あのときは
満州事変
においてのみ
外務省顧問
ということでありましたが、あれはその後においてなくな
つて
おるのですか。
佐藤達夫
40
○
政府委員
(
佐藤達夫
君)
改正
して除いております。
藤井新一
41
○
藤井新一
君 何年ごろにな
つて
おりますか。
佐藤達夫
42
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) あれは
支那事変
を一度
大東亞戰爭
と改めてそれからじやなか
つた
かと思いますが、とにかくよほど前に削
つて
おります。おそらく
終戰
の直後だろうと思いますが、そのころだ
つた
と思います。
樋貝詮三
43
○
委員長
(
樋貝詮
三君)
ちよ
つと伺いますが、
議員
の
兼任
ですね、その制限の方はどうな
つて
いますか。
顧問
なら構いませんか。
議員
がほかの
行政官廳
の職務を兼ねることはできないようにな
つて
いて、どつちが捨てなければならぬ、あの
関係
はどうな
つて
おりますか。
佐藤達夫
44
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) その点は今の
國会法
の三十九條で役人、
官吏
、
本物——本物といつて
は語弊がありますけれ
ども
、恆久的な
官吏
というものとの
兼任
は原則的として認めない。
法律
で、たとえば
選挙法
の十條のような
扱い
をしてお
つて
、
兼任
を許すという
趣旨
が明らかであれば別だが、第二項の方の問題である今の
顧問
、
参與
、
委員
のようなものについては、
法律
の特例あるいは
國会
の御承認というふうに
ちよ
つと緩やかなお
扱い
をしてあるように
條文
の形から申しまして
考え
ておるわけです。
樋貝詮三
45
○
委員長
(
樋貝詮
三君) すると
顧問
だから差支えない、こういうのですか。
佐藤達夫
46
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) その
通り
であります。
藤井新一
47
○
藤井新一
君 一体
顧問
というものについて
從來
常時
顧問
というのがあ
つたの
ですが、
顧問
というものは單に
顧問
であ
つて軽重
はなか
つたの
ですか。
佐藤達夫
48
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) 大体
顧問
といいますと、
参與
よりもえらい人を連れて來ます場合に
顧問
という職を設けてや
つて
おりました。但し省によりまして、
外務省
、
大藏省
、どこどこ省というふうにどこどこに
顧問
を置くという
制度
がみな別個に出てお
つた
わけです。ですからある種の
顧問
について
親任
の
待遇
がある、ある種の
顧問
についてはないというふうな些細な区別はありましたが、大きく見ますれば、
顧問
というのは一番格の高い
地位
、横から
大臣
を助けていただく、
地位
としては一番格の高い
地位
という頭で
顧問
という
名前
をつけたのです。
樋貝詮三
49
○
委員長
(
樋貝詮
三君) その話はもうよろしゆうございますね。
ちよ
つと問題は違いますが、
ちようど
いい機会だからお伺いしたいが、政務次官のほか
國務大臣
及び
内閣官房長官
は
國会議員
を兼ねることができるということにな
つて
いますが、この
國務大臣
というのは原案は一体何を指すのですか、
各省大臣
の
考え
で
國務大臣
とい
つたの
ですか、それとも
國務大臣
という官職、あれだけを指すのですか。
佐藤達夫
50
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) それは
憲法
で
内閣
の
構成員
として予想しているその
國務大臣
です。
樋貝詮三
51
○
委員長
(
樋貝詮
三君)
憲法
上の
國務大臣
というのは
官吏
ではないと思いますが、それを言
つて
いるんですか。
佐藤達夫
52
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) その
意味
ですが、新
憲法
では一應
内閣
の
構成員
は
國務大臣
と、それからその中で
内閣総理大臣
というものは
官名そのもの
を
憲法
でうた
つて
いるわけです。それ以外の
國務大臣
というものを今度
官名
の問題になりますとこれはたしか
内閣法
で
國務大臣
という
官名
を使
つて
いるわけです。ですから
憲法
に言う廣い
意味
の
國務大臣
の中には、
内閣総理大臣
という
官名
をも
つた
ものと、ただ
國務大臣
という
官名
をも
つた
ものと二
通り
あります。それを今度
官名
の区分の問題を
内閣法
で押えておる。そしてそれを
國務大臣
という
官名
の人が、
総理大臣
の任命するところによ
つて
外務
大臣
に命ぜられ、あるいは何々
大臣
に命ぜられるのです。
樋貝詮三
53
○
委員長
(
樋貝詮
三君) ここで言う
國務大臣
というのは、
國務大臣
たる
性質
をも
つて
おるもの、言いかえれば
内閣総理大臣
及び各省の
大臣
及び
國務大臣
という名をつけられた
官吏
ですね。そういうものを包括的に現わしているのですか。
佐藤達夫
54
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) その
通り
です。これはただいま申し上げるまでもありませんが、外務
大臣
という
官名
はなくなりました、あれは職名の方になります。
樋貝詮三
55
○
委員長
(
樋貝詮
三君) そうすると
國会議員
と兼ねてはいかぬということは何かありましたか。
佐藤達夫
56
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) それは
もと
の方のいわゆる
官名
にあたる
國務大臣
本官に対しては
國会法
の三十九條の第一項がかか
つて
くるが、本官でこれを抑えておけばその本官が当然補職として当てられることは、これは
内閣法
で予想しておりますから、その方が外務
大臣
なり何なりに補せられてももちろん許されるという
趣旨
です。
樋貝詮三
57
○
委員長
(
樋貝詮
三君) そうするとたとえば法務総裁は
國会議員
を兼ねてはいかぬというように法條を見ると読めるが、同時に
國務大臣
を兼ねることはどうですか。
佐藤達夫
58
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) それは法務総裁であろうと外務
大臣
であろうと私
ども
は同じだと
考え
ております。法務廳設置法において
國務大臣
が当然に法務総裁という職につくのと
國務大臣
のうちからある者が外務
大臣
の
地位
につくのと同じです。
樋貝詮三
59
○
委員長
(
樋貝詮
三君) 法務総裁は補職ですか。
佐藤達夫
60
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) そうです。
國務大臣
の場合と同じです。
藤井新一
61
○
藤井新一
君 政務官に関してこの第二
國会
限りということが政務次官法の中にあると思いますが、これはどういう
意味
で立案されたのですか。
佐藤達夫
62
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) 今決算
委員会
で御説明の途中でここに來ているわけでありますが、これは
政府
としては、とにかく第一回
國会
で政務次官が各省一人ずつありましたけれ
ども
、とにかくその経驗から言
つて
、この
制度
というものを改善した。第一回
國会
と第二回
國会
とは引続いておりまして必要性は当然
考え
られるので、やむを得ずとりあえずの処置としてこれを
提案
したのです。しかし政務官
制度
の根本の問題につきましては各
方面
からなお深く掘り下げて檢討すべき幾多の論点を含んでおるわけですから、恆久法として、この際固めてしもうということは、今のような当座の必要から第二回
國会
きりとしておいて、本日引続いて
研究
を始めているのでありますが、なおそれを至急に進めまして近いうちに恆久
制度
としての政務官
制度
をつくりたいと思
つて
おりますので、これを恆久
制度
とするまでには至らないのであります。
樋貝詮三
63
○
委員長
(
樋貝詮
三君) なお
参考
に伺いたいのですが、先ほどの政務次官、
國務大臣
、官房長官が
國会議員
を兼ねることができるのは第二回
國会
をも
つて
終りとするというのはどういう御
趣旨
ですか。
佐藤達夫
64
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) それも結局政務官問題と
関連
することであると思います。
國務大臣
の方は
憲法
に大体出ておりますから、これは今後といえ
ども
憲法
が
改正
されない限りは問題はないと思いますが、そのほかの分、たとえば官房長官の問題は、
一般
の政務官の問題と共通の問題だということが
考え
られます。
ちよ
つと形式がただいまは指摘のように臨時法であ
つて
おかしいじやないかという点は、ごもつと
もと
思いますので、少くともこの点に対する
改正
は第二
國会
が終りますまでには必要であろうと思います。御
承知
のように
行政官廳
が五月二日で締切りにな
つて
、これより早く時期がくる。この
行政官廳
の問題とも非常に深く結びついた問題でありますから、それらの点からい
つて
も至急に
研究
を進めなければならぬと思います。
樋貝詮三
65
○
委員長
(
樋貝詮
三君) 暫定的にこれを
規定
しておく。三條もその
趣旨
ですか。
佐藤達夫
66
○
政府委員
(
佐藤達夫
君) 一應形式としてそうならざるを得ません。
樋貝詮三
67
○
委員長
(
樋貝詮
三君) なお時間も多少ありますから簡單な御質問でしたらどうぞ、——御質問もないようですから、
法制
長官はこれだけにしてお帰りを願います。 他に御
意見
はございませんか。
中井光次
68
○中井光次君 前段の第三の
勧告
の問題ですが、先ほどの
委員長
の
決定
はよくわからなか
つたの
ですが、これは各院の
運営委員長
と、それから
衆議院
の
事務総長
のこの三者をこの
委員会
に呼んで懇談なさるおつもりですか、あるいは
委員会
であらためてお聽きになるお
考え
ですか。
樋貝詮三
69
○
委員長
(
樋貝詮
三君) 一應非公式に当
つて
みまして、その上でなお公式に出てもらう必要があれば出てもらいまして、その結果はいずれにいたしましても、御
報告
をいたします。 それではこれで本日の
両院法規委員会
は散会いたします。 午後三時十九分散会