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委員長(
樋貝詮三君) 私はさつきも申し上げたのですが、法律、命令、規則等が憲法に違反するや否やということは、
最高裁判所が権限として、終審裁判所として判断することにな
つておるのですが、非常にそれについても疑問が生じて、ただ單に法律が憲法に違反するや否やということだけで出訴する途が、今はないのです。それが民事が刑事に関して超つた場合、あるいは行政裁判事項に関して超つたときに、具体的
案件をもたなければ裁判所に出訴できない。しかもその出訴するのには、第一審裁判所へ出訴しなければならない。管轄の関係でどうしてもそうしなければならない。それが最後に
最高裁判所へ行くというのですが、憲法の
趣旨からいうと、
最高裁判所が法律や命令などの憲法違反なりや否やを判断すべきものであ
つて下級裁判所がそれを直接に裁判すべきものではない。のみならず、法律が憲法に違反するや否やということだけでは、下級裁判所は受理すべき限りでない
性質のものだから、そこで
最高裁判所へ、しからば法律命令の憲法違反を理由としても
つていこうとすれば、今日手続規定が何もない。そこで私の
考えたところでは、また多数の者が
考えるところでは、手続規定がないがゆえに、從
つて最高裁判所へそういう問題は抽象論としても
つていけないのじやないかということが
考えられておる。しかし司法部の方の多数の
意見としては、訴訟事件のような何か具体的の問題をかりて、訴訟事件にしていけばもちろんのこと、そうでなくとも下級裁判所はそれを取上げられるのではないか。何となれば憲法八十一條には、
最高裁判所を終審としてこれを取扱うことにな
つておるので、第一審、第二審というものがあ
つて初めて終審問題が起るのであるから、それで下級裁判所も憲法の判断ができるのではないかというような
意見のようです。それでこの点は至急立法的解決をなした方がよいのではないかということで、旧憲法時代に起つた法令審査権の問題がずいぶん廣い問題としてここに横たわ
つてお
つて、しかも法規はこれを解決していないという状態なんですが、何か立法の方でこれを解決すべしということを
勧告した方がよいのではないか。これは單に法律ばかりじやなしに、実際問題として非常に頻繁に起るし、どうしてもこの際ぐずぐずしていられない問題だと思う。それらも取上げてこの
委員会が
勧告することが一番適当なことではないかと
思つております。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
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