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1948-02-23 第2回国会 両院 内閣総理大臣の指名両院協議会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年二月二十三日(月曜日) ————————
—————————————
昭和
二十三年二月二十三日(月曜日)
衆議院議長
において、
協議委員
を左の
通り
指名
された。
淺沼稻次郎
君
正木
清君
吉川
兼光
君 森
三樹
二君
菊川
忠雄
君
苫米地義三
君
小島
徹三
君
福田
繁芳
君
吉田
安君
岡田
勢一君 同日
互選
の結果、正副
議長
を左の
通り
選定した。 議 長
淺沼稻次郎
君 副 議 長
岡田
勢一君 又同日
参議院議長
において、
協議委員
を左の
通り
指名
された。
板谷
順助
君
岡本
愛祐
君
河井
彌八君 楠見
義男
君
黒川
武雄
君
左藤
義詮
君
下條
康麿
君
田中耕太郎
君
東浦
庄治
君
山下
義信
君 同日
互選
の結果、正副
議長
を左の
通り
選定した。
議長
下條
康麿
君 副
議長
板谷
順助
君
—————————————
出席委員
衆議院側
議長
淺沼稻次郎
君 副
議長
岡田
勢一君
正木
清君
吉川
兼光
君 森
三樹
二君
菊川
忠雄
君
苫米地義三
君
小島
徹三
君
福田
繁芳
君
吉田
安君
参議院側
議長
下條
康麿
君 副
議長
板谷
順助
君
岡本
愛祐
君
河井
彌八君 楠見
義男
君
黒川
武雄
君
左藤
義詮
君
田中耕太郎
君
東浦
庄治
君
山下
義信
君
委員外出席者
参議院
副
議長
松本治一郎
君
衆議院事務局側
参 事 (
委員部長
) 鈴木 隆夫君 参 事 (
委員部
第一課 長) 知野 虎雄君
参議院事務局側
参 事 (
委員部長
) 河野 義克君 参 事 (
委員部勤務
) 根本 驥君 参 事 (
委員部勤務
) 佐藤 義弘君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
内閣総理大臣
の
指名
に関する件
—————————————
会議
午後四時四十三分開会 〔抽籖により
淺沼稻次郎
君
議長席
に着く〕
淺沼稻次郎
1
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) それではこれから始めることにいたしますが、
只今籖
によりまして私が本日の
議長
を勤めることになりました。皆さんの
協力
によりまして満足に任務を勤め果したいと存じます。尚
参議院
の
協議委員議長
には
下條康麿
君、副
議長
には
板谷順助
君
衆議院
の
協議委員議長
には不肖私、副
議長
には
岡田勢
一君が当選せられました。御報告申上げて置きます。 これより
内閣総理大臣
の
指名
について
両院協議会
を開催いたします。
両院協議会
は
國会法
第九十七條によりまして
傍聽
を許さないことにな
つて
おりますから、
協議委員
及び
協議
の事項を管掌する者以外の方は御退席を願います 先ず各院の
議決
の
趣旨
を御
説明
願いたいと思いますが、
内閣総理大臣
の
指名
の
議決
は各
議院
がおのおの別個に行われましたものでありますから、いずれの
議院
の方から先に
説明
いたしますかお諮りいたします。この点については先程
打合会
の
申合せ
に基きまして、
参議院
から御
説明
を願うことにして
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
淺沼稻次郎
2
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) 左様決定いたします。先ず
参議院
の
議決
の
趣旨
の御
説明
を願いたいと思います。
下條康麿
3
○
下條康麿
君
参議院
の
吉田自由党総裁
を
内閣総理大臣
に
指名
いたしましたのでありますが、その主要な
理由
を
考え
まする点につきまして簡単に御
説明
をいたしたいと思います。 第一に
内閣
が総
辞職
をいたしました場合におきまして、
政権
の
帰趨
は
國民一般
が事前に予想、見通しができ、納得ができるような、從いまして種々の憶測や疑惑の介入する余地のないような極めて明朗な道筋によりまして、又さような結果に落つくように
総理
の
指名
が行われることが極めて望ましいことであると
考え
るのであります。 第二、
内閣
の
首班
が例えば
病氣
その他の
個人的理由
で
辞職
せられました場合は格別といたしまして、
内閣
が
諸般
の
事情
から挂冠をせざるを得ないような
立場
に
なつ
た場合におきましては、
後継内閣
は必ずしも
議院
に多数を占める
党派
、又は連繋によ
つて
多数を占める人を
首班
に
指名
して行くということには、当然にはならないように思うのであります。この種の場合におきましては、
辞職
した第一の
政権
に
関係
のなかつたところの、即ち現
段階
の
政治
におきましては、全然
責任
のなかつた
党派
というのは、
純然
たる在
野党
でありまして、その内最も有力な
党派
が
政権
を担当すべきものだと
考え
るのであります。 以上の
理由
から
考え
まして、
純然
たる在
野党
である
自由党
の
総裁吉田茂
氏が
内閣
の
首班
たる
條件
を具備していると
考え
ます。その以外には、この
條件
を具備している者は見出だし得ないと
考え
まして、前に述べたように
指名
いたしたのであります。 前に述べました
原則
、即ち第一に、
政権
の
帰趨
につきまして、分り易い、明朗な方式によるものであるということ、第二に、
責任政治
の
原則
、この二つは今後の
政治
の運用上、是非とも確立して置きたいという
考え
であります。 以上の
理由
を以ちまして、我々は、
吉田自由党総裁
を
内閣総理大臣
に
指名
いたした次第であります。 尚私共の
同僚
から追加する者もありましようが、又御質問がありますれば私並びに
同僚
から御
説明
するかも知れません。大体以上の
理由
を以て
吉田茂
氏を
指名
した次第であります。
板谷順助
4
○
板谷順助
君
緑風会下條
君から、
吉田茂
氏を
推薦
した
理由
を申述べられたのでありますが、私も同感であります。賛意を表します。
淺沼稻次郎
5
○
議長
(
淺沼稻次郎
君)
只今
の御
説明
に対する御
意見
は、今
板谷
君からあ
つたの
でありますが、更に御
説明
があるだろうと思いますが、それは後にして、次に
衆議院側
の御
説明
を願うことにいたします。
正木清
6
○
正木清
君
衆議院
といたしましては
民主党
の
総裁
であります
芦田均
君を御
推薦
申上げたのであります。
只今参議院
から、種々
推薦
の
理由
を御
説明
がございましたが、そのことについては、多分
同僚
からもあることと存じますが私は一應事務的な点につきまして申上げて見たいと思います。
衆議院
におきましては、
投票総数
四百二十一票の中、
芦田均
君二百十六という、圧倒的な数を以て当選いたしたのであります。以上、この点だけを申上げておきます。
淺沼稻次郎
7
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) これにて各
議院
の
議決
の趣意についての
説明
が終りました。これより
協議
を願いたいと思います。御
意見
のあります方はどうぞ……。
山下義信
8
○
山下義信
君
只今衆議院側
から
芦田首班指名
につきまして御発言があ
つたの
でありますが、この
両院協議会
におきましては、或いは
成案
を得る場合もございまするので、
衆議院側
の
議決
相成りましたる
理由
を承わる必要があると存じます。
只今
は
票数
だけの御報告でありましたが、御
理由
を拜聽いたしたいと存じます。
正木清
9
○
正木清
君
理由
を申上げたいと思いまするが、私共
衆議院側
として
芦田
君を
推薦
いたします
理由
といたしましては、今日の
日本
の内外の諸
情勢
から
考え
てみまして、私共は、
議会
において多数の者が、
民主党
の
総裁
である
芦田
君を
総理
に
指名
することが最も正しいという
信念
に上に立
つて
、御
推薦
を申上げた次第であります。
山下義信
10
○
山下義信
君 私のお尋ねいたしておりまするのは、この
芦田民主党総裁
を御
指名
なさる正しい
理由
というものを拜聽いたしたいというのでございます。
正木清
11
○
正木清
君
芦田
君を御
指名
申上げた
理由
でありますが、
只今
も申上げました
通り
、現在の
日本
の客観的な諸
情勢
から
考え
てみますというと、
日本
は
ポツダム宣言
という
至上命令
を具体的に
政治
の上にこれを移し、
民主主議
の
徹底化
を期そうということが
政治
の根本的に
理由
でなければならんと、私共はかように
考え
ております。
從つて民主主議
の
徹底化
を通じてこそ
日本
の
政治
の
前進
があると
考え
ておりますのでこの
前進
を完全に果し得る人物こそが
芦田均
君であると、かような
考え方
から御
推薦
を申上げたのであります。
山下義信
12
○
山下義信
君
諸般
の
情勢
から、
ポツダム宣言
の履行その他の遂行上には
芦田均
君が適当である。こういう
理由
で御推挙に相成ると、こうお述べにな
つたの
でありますが、その
芦田均
君の属せられまする
民主党
、即ち
民主党
の
総裁
を御
指名
相成
つたの
でありますからこの点につきましては、
民主党
が最も適当なる
政党
である。こうお
考え
に
なつ
たと了承してよろしうございますか。
正木清
13
○
正木清
君 簡潔にお答えいたしますが、私共の
考え方
としては、勿論
民主党
の
総裁
でありまするからして、
民主党
が現在の
民主化
を達成する途上における
政党
としては、立派なものであると
考え
ております。併しながら、私共が一國の
総理
を選びまする場合においては、必ずしも
民主党
のことにこだわ
つて
おらないということをこの機会に明らかにしておきます。
苫米地義三
14
○
苫米地義三
君
只今
の
正木
君の
説明
に補足をいたして私共の
意見
を申上げたいと思います。
芦田均
君が
首班
の
候補者
に立つたということは、
民主党
の
総裁
でありますから、
自然民主党
の
政策
、主議を掲げまして、そうしてその
政策
につきましては、
候補
に立つと同時に発表いたしまして、そうして
一般
の
議員諸君
の御批判を仰いだのでありまして、
芦田
氏の
考え方
は、
占領下
にある今日の現
段階
におきましては、徒らに
政爭
を事とするのでなくて、
政治
の休戦をしなければならん。同時に挙國的な体制を以てこの
経済危機
を突破しなければならん。
日本
の再建に当らなければならん。こういう
信念
に立
つて
候補
に立つたわけでありまして、その具体的な
政策
については先程申上げましたように、すでに発表いたしておるのであります。そういう決心と抱負を持
つたの
に対しまして、
議会
の多数の方がこれを承認されましてこれに投じた、こういうことでありまするので、先刻
下條
さんから
野党
に渡さなければならんというような御
意見
もありましたが、それは必ずしも絶対的のものでないようでざごいます。その言葉の反語を
考え
て見ると、
議会
多数の
投票
によ
つて
決めてもよいのであるというふうにも
考え
られるのでありますが、この間
投票
しましたあの数の差が即ち
國会
の多数の
意見
でありまするから、正しい
選挙
であつたと思うのであります。
板谷順助
15
○
板谷順助
君 尚念のために伺いますが、要するに
片山内閣
が
辞職
をいたしましたのは、勿論
社会党内部
の
党内事情
もあつたでありましようが、例の
追加予算
に対する
意見
が合わずして、いわゆる
政策
の行詰りにおいて倒れたものである。恐らくは
國民
の多数も、亦我々の方におきまして
もさよう
に
考え
ております。であるから、
責任政治
というようなことについてどういうふうに
考え
ておりますか、要するにとにかく
内閣
は
連帶責任
である。この意味から
片山内閣
がいわゆる
政策
の行詰りを生じて倒れたる以上は、これに取
つて
代るべきものは勿論
責任外
の在
野党
である多数に渡すべきものであるというふうに私は
考え
ておるのでありますが、今お話によりますというと、
將來
において
國会議員
の多数によ
つて総理
を
指名
するということになりまするならば、いわゆる
たらい廻し
であ
つて議員
の任期にあり限りは、何囘でも同じことを繰返すという結果になりはしないかということを、私は
將來
のために非常に憂うるのであります。この点についての解釈を伺います。
苫米地義三
16
○
苫米地義三
君
板谷
君の
只今
の御
説明
もありましたが、私は
見解
を異にしております。今
囘片山内閣
が
辞職
をいたしましたことは
政策
の行詰りによ
つて
、又その
破綻
によ
つて
実行されたのではないと思います。そのことは
片山総理
が声明された中にはつきりいたしております。又
マッカーサー元帥
の声明の中でもその点が了解されるのであります。我々は
片山内閣
が
政策
によ
つて破綻
を來した、こういうふうには
考え
ておりません。
從つて
その前提に立つお考は、私の方とは所見が違うのであります。 それから
総理大臣
の
指名
は、やはり
國会
多数の
投票
によ
つて
決まるのでありまして、当然その数に左右されると思います。併しながら、
政治
のその時の
情勢
であるとか、或いは
政策
の問題につきまして、若しその
内閣
が解散に訴えるというようなふうになりますればおのずから違いが出て來ますけれどもどうも
選挙
という
立場
から申しますれば、やはり多数の
投票
のある者が即ち
指名
されて然るべきだ、この思うのです。
板谷順助
17
○
板谷順助
君
見解
の相違でありますから、これ以上議論しても仕方がないと思います。
淺沼稻次郎
18
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) 他に御
意見
がございませんか。御
異議
がなければ
採決
をしたいと思うのでありますが、先ず
採決
の
順序
についてお諮りいたします。最初に
議決
の
趣旨
について
説明
を願いました
順序
に從
つて採決
することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
淺沼稻次郎
19
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) 御
異議
なければさよう決します。
内閣総理大臣
の
指名
は
参議院
の
指名
通り
決することに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
起立者
十名〕
淺沼稻次郎
20
○
議長
(
淺沼稻次郎
君)
起立者
十名。
吉川兼光
21
○
吉川兼光
君 ちよつと
議事進行
について一言申上げます。
参議院
も
議長
を別にお出しにな
つて
おるのです。
衆議院側
から本日は抽籤の結果
議長
にな
つて
おりますが、
議事規則
によりますると、
議長
をお勤めになる方も
委員
の一人にな
つて採決
に加わることは当然でありますが、本日の
両院協議会
の結論は
國民
に及ぼす影響も相当重大でありますが、そういうことには拘わりなくやはり
衆議院側
の
委員
はたまたま
議長
である故に、
議長
の
投票権
は認めないということで決を採りますか、これは
議長
の御
説明
だけで結構です。
淺沼稻次郎
22
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) これは今までの慣例から行けば、
可否同数
の場合においては、
議長
これを決するということか大体
議事規則
にな
つて
おるようでありますから、
可否同数
に
なつ
た場合においては私も
意思表示
をしなければならんと思いますけれども、そうでない場合には
意思表示
を差控えたいと思います。
吉川兼光
23
○
吉川兼光
君 この
両院
の
協議会
の
協議委員
が
両院
十人ずつでありまして、一人
議長
が引かれるので初めから明かに票が少いのでありますからして、その
票数
の結果というものは相当……そうするとその場合は向うにも
議長
がおるのでありますから、交代してやつたらいいと思いますが……。
山下義信
24
○
山下義信
君
採決
はいわゆる過半数ではないのでありまして、三分の二以上の
賛成
がなければいけないのでありますから、よしんば十名を九名になりましても、これは
議長
を出したという差だけでありまして、何もそれが一名差があつたからとい
つて採決
の権限には
関係
ないことと思います。
吉川兼光
25
○
吉川兼光
君 それは私もよく存じておりますが、この際
採決
をする問題のことによ
つて
、
議長
は交代するというそういう
議事運営上
の
規則
に便法はありませんか。
淺沼稻次郎
26
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) 私は今
事務当局
とも打合せをしたのですが、
議長
に選ばれれば、自然その日の
議長
を勤めなければならんことになり、更に若し交代するとすれば、
衆議院側
から
議長
を又交代して出さなければならんということにな
つて
、自然繰返されるのでありまするから。……(笑声) それでは
只今起立
十名ということになりましたが、
出席協議委員
の三分の二に達しません。よ
つて成案
となるに至りません。 次に
内閣総理大臣
の
指名
について
衆議院
の
指名
の
通り
に決することに
賛成
の方の御
起立
を請います。 [
起立者
九名]
淺沼稻次郎
27
○
議長
(
淺沼稻次郎
君) 九名。これも
出席協議委員
の三分の一に達しません。よ
つて協議会
におきましては
成案
を得るに至りません。これにて
協議会
の
議事
は終了いたしました。各位の御
協力
によりまして
議長
を無事に勤めさして頂きまして有難く感謝いたします。これにて散会いたします。 午後五時五分散会