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國立國會圖書館長(
金森徳次郎君) 今の點は、ありように申しますれば、私共としては尚心の隅には不
滿足なものがあるということはどうしても免れないことであります。私の
考えておりますところでは、
法律資料が
國會の議に付せられて行きまするためには、凡そ
四つの
段階がある。第一におきましては、必要なる
資料を集めて來るとか、
外國の法令を知りましたり、
日本のいろいろな
實情を集めて來るということでありまして、これは相當に
面例な事柄だろうと思います。第二の點は、これらの
資料を本にいたしまして、どういうような
方向にものの
考えを進めて
行つたならばいいかということでありまして、つまり
資料を本にして、これに必要な
檢討を加えて、それに
將來の狙いを付けて
復案を作る、こういうことになろうと思います。
資料の整理とでも申しましようか。それから第三の點といたしましては、その得られまして整理せられました
資料を本にいたしまして、
法文の形に作り上げるということになろうと思います。そうすると
資料を集めることと、これを
檢討することと、それから
法文を作ることと、この
三つのものは
一貫作業でありまし前、途中で手離しますと、何だか材料、が片輪にな
つてしまうということになるわけであります。一應の
法文ができてしまいますと、今度これが又いろいろな
關係を持
つて來るのでありまして、例えば
衆議院と
參議院の間に
考え方が違うとか、
政府の方が現に
考えておる案との間に問題が起るというような、ここにいろいろな問題が起
つて來ます。そういうことを
考えに入れて、極めて美しい
法文にして行くという
段階が起るのであります。それを假に
最後の
仕上げとでもいうことができますならば、つまり
四つの
段階がある。それを本にして
國會の一方で議決をされて
法律を作
つて行くということになろうかと思
つております。そこで今申上げました
四つの中におきまして、
國會圖書館は初めの
三つの
段階の
資料を集め、
資料に
檢討を加え、
法文の形に持
つて行く、これを主としてやるべきものだと
考えております。その
國會内部のいろいろな
事情から來る
最後の
仕上げとか、
政府の方との連繋から來る
仕上げということになりますと、これは
國會圖書館が自分でや
つても、もとよりやれることであり、又それが
一つの筋が通ることかと思うのでありますけれども、それが
國會圖書館の手を離れて、
國會事務局の方で初めからおやりにな
つても、これも亦筋が通る、どつちでなければならんという程はつきりしたことも言われないのであります。こんなふうに
考えております。何とい
つても。この
四つの
考えでやることが
理想である。
理想と申しましても私の
個人の
立場から申しまして……
個人といつても職務を持
つておる
個人の
立場から申しますれば、この
四つの
段階を私の方でやりますことが實は滑らかであろう、そうすればいろいろな專門家もうまく集めることができる、こういう氣がするのであります。けれども、今まで
議院の方からも、いろいろ論議の結果といたしまして、凡そ
方向は定ま
つておる、定ま
つておりますけれども、この際殊更これに對して異議を述べるのではなくて、
國會側の方も從來の線をお探りに
なつたらよかろう、我々の方も初めの
三つの
段階に重點を置いて行こう、こういうことで、つまり平和的に
事務局側と私共は協調して出て來たわけであります。ただ問題は、詳しくは存じませんが、この
兩院の
法制局はおのおの五十人
づつの人でできておるのでありますから、
兩院を合せて百人ばかりの
職員ができるわけであります。私の方はこの
豫算で見ますと確か六十二人の
職員になるわけであります。この
三つの重要な
段階をや
つて行く者は六十二人、
最後の
仕上げをするだけのところは百人、この
數字で以て果して妥當であるかどうかということは相
當疑いの餘地があり、今後の問題はそこから發展するものと思います。私
自身の
立場から行けば、人を採る、
職員の數の問題を付けようということは
考えておりません。ただ私共
自身の方の人を成るべく完備したい、そうしてできるならば歩調を揃えて行きたいというふうに思いまして、ここで一々細かいことまで觸れるのは行き過ぎたと思いますけれども、今後
法制局ができた場合に、私共の方とうまく調和を取
つて行けるような
工合に今少し
づつ腹案をしてや
つておるわけであります。さよう御了承願います。