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政府委員(
齋藤邦吉君)
労働者供給事業によりまして、
供給事業は御
承知の通り因習の古いものがありまして、いろいろな形において実は潜
つてまだまだおります。御
承知のように
労働者供給事業という名称を
使つてい
つておるものは、或いはなくな
つておるかと思いますが、いろいろな形において
労働者供給事業を
行つておる者は、実に多いと存じます。私共の方の大体の計算で勘定をいたして見まするというと、恐らく解放された者を含めまして百万人以上は
労働者供給事業に使用されるところの
労働者であろうかと想像をいたしておるわけでございます。そこで私共の方といたしましては、
司令部の
方面におきましても非常に御協力を願
つておりまして、
司令部の方において独自に全國各
府縣に亘りまして監察をいたしておりますので、尚
司令部の協力を得まして私共が各
府縣に出向きまして、目下
労働者供給事業を
調査いたしておるわけでございます。
そういたしますると、一番
行つて困りますところの問題は、
工場、
事業場に立入る
権限がないわけでございます。もともと私共の
職業安定行政は、本当に
安定所で人を世話をするサービスが問題でありまして、
工場に入
つて行くということは私共の邪道でございますが、この労働
民主化のために、どうしてもレーバー・
ボスを切らなければならんということでありますれば、止むを得ず
工場に入る必要があるのでございますが、私共の方の安定法におきましては、
工場、
事業場その他の場所に入るという
権限は
一つもございません。それでは入ろうとするときにはどうするかと申しますると、いわゆる労働基準
監督官のお世話を願
つて、そちらで調べて頂くということになります。ところが労働
基準法の建前から申しますると、向うは中間搾取という点から入るわけでございます。私の方は勿論
労働者供給事業の多くは中間搾取になりますことが多いのでありますが、法の概念といたしましては、私の方は
労働者を
供給するのが狙いであり。労働
基準法は中間搾取を調べに行くというのが狙いでありまして、
労働者供給事業をする者を労働
基準法によ
つて調べに行くことも実はできないわけであります。安定法といたしましては現在のところ
官廳に入ることはできない、これが第一点でございます。
それからもう一点、会社、
工場におきましては、
労働者供給事業は違法であるということを知りながら、この方を使うことが便利であり、而も経費が掛らんとい
つたようなことで、どういたしましても
事業主の方では
労働者供給事業の方から提供されまする
労働者を使うことを止めようなしないのでございます。現に私共神奈川その他の、……具体的に今
工場の名前を申しませんけれども、
親方に言いますると、
親方は、それじや罰せられることは止めましようとこう申しましても、会社の方ではいやまあそう申しましても会社の方としては
罰則を受けないのだから何とか潜
つて行こうじやないかということでありますから、依然としてレーバー・
ボスの
禁止ができないということでございます。私共の方といたしましては先般來司法当局とも打合せまして、六月の二十日から全國一齊に亘りましてレーバー・
ボスの徹底的な一掃運動をやろうということをいたしております。もうこの
法律が
施行されましてすでに半歳、それからレーバー・
ボスの図止が三月から行われましたので、それ以來数ケ月啓蒙宣傳に盡しておるのでありますが、依然として悪質の者が潜
つておる場合におきましては、大体七月中には断乎檢察当局において檢察をしなければならないというふうに檢察当局の方でも目下言うておるような次第でございまして、レーバー・
ボスの
仕事はもう済んだというようなことでなしに、実はもつともつとあるのだ、そこでこういう問題が起りまして、今回の
改正案を御審議願うということに相成
つた次第でございます。