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山田節男君 今の
松永政務次官の御
説明で
趣旨は
分りますが、大
體サンマー・
タイム、デーライト・セーヴイングということをやるのは、この
法案の
提出の
理由にありましたように、
日光を十分の
利用して保健の
増進、又他面
燃料の
節約というようなことが言われたのでありますが、一体
サンマー・
タイムというものは、これは勿論健康にいいということはそうでありますが、一面におきましては
燃料、例えば煖房とか、或いは燈明に使います
燃料を
節約する、これと
勞働におきましては、
勞働能率を上げるということが主たる問題であ
つたのであります。これは一九〇七年に、
イギリスにおきましてそういうような運動が起きて、一九十六年に立法化するまでの經過を見ましても、そういう
趣旨であ
つたのであります。その最も著しい例は、今次の
世界大戰におきまして、
アメリカにおいては一九四二年、
サンマー・
タイムを特に取り上げまして、二月の九日から九月の三十日までやる、これは何故であるかと申しますと、要するに戰時のいろいろな
資源の
節約、それから
勞働能率の向上ということが主たる目的であ
つたのであります。今日
日本としましては、
敗戰後生産施設が破壞され、
資源が乏しく、我々は一面において非常な
耐乏生活をしなければならんと同時に
生活を合理化する、又健康を
増進する、これがこの
サンマー・
タイムの發案の
理由でなくてはならん。
只今の
松永政務次官の言われる
理由も尤もでありますけれども、この
サンマー・
タイムの起原或いは意義というものから申しますと、もつともつとこれは重要な
意味を持
つておるのであります。こういうわけでありまして、ここに提案されておりまする四月の第一土曜日から九月の第二土曜日に至るということは、これは
アメリカも
日本も幸に
緯度が殆んど同じであります。今日
日本は
鹿兒島の
奄美大島を含めまして、約
北緯三十度、北は
北緯四十五度でありますから、これは
アメリカ大陸と
緯度はちつとも違
つておりません。こういうように
日本の
經濟が非常に衰退しており、而も
生産復興、
經濟復興が非常に強く叫ばれておるということと、
日本の
國民の低下しておる健康を
増進する、こういうような
意味におきまして、これは
只今提案にな
つておる四月の第一土曜日から九月の第二土曜日までということは、これはもつと檢討すべきであ
つたと思います。
只今早川委員から御指摘がありましたが、こう
言つた一片の
法律で、こういうものを
國民に強制する。こういうやり方は今日の時勢には合わないのであります。殊に日常の
生活に非常に重大な
影響を持
つたものでありますから、これを一囘の
公聽會も開かないで法制化するということは、非常に私は輕卒であ
つたと思います。これは
早川委員が指摘されたように、この
法案を實施するにつきましては、何故こういうことをするのだということを、これを
一つ政府は實施しますと同時に、極く
分り易く、又これをよく
利用するように、責任をも
つてこれを普及宣傳する必要があると思います。これは昨年におきましては、
アメリカでは四月の二十七日の午前二時から九月の二十八日の午後二時までと制定しておる。又ワシントン州はこれと別にしまして、五月十五日から九月二十八日までや
つておりますが、これは
アメリカの多くの州が行な
つておる
サンマー・
タイムの
期間を取
つたように私には思われるのであります。先程申上げましたように、
日本國民は
經濟の
復興、健康の
増進、或いは
燃料節約という點から、この四月の第一土曜日から九月の第二土曜日までということは、むしろ
期間が餘り少な過ぎる、先程申上げましたように、第二次
世界大戰が勃發しまして、一九四二年におきましては、我が國と殆んど
緯度を同じくする
アメリカにおきましては、二月の九日から九月三十日まで
サンマー・
タイムを實施しておる、いわゆる冬も
サンマー・
タイムを
利用しておる。これは私は非常に大きな示唆を持つものと思うのでありまして、この
サンマー・
タイムの
實施期間は、そういうことから見ますると、この
制定理由に、
日本が今非常な非常時にあることの認識が足りない。
アメリカの
一般的な
サンマー・
タイムということについて、先程の
次官の
説明にあ
つたに拘らず、この點に對する研究と誠意が足りないという、こういうことを私は言わざるを得ない。それからもう
一つこの
サンマー・
タイムを、これを公式のものと見るか、或いは非公式と見るか、こういう
説明がないのであります。勿論ここにある通りに、特に
中央標準時によると定めた場合には、
中央標準時によることになると思うのでありまするが、併しながら、これはいずれ
政令によ
つて定められるということがここに謳
つてあるのでありまするけれども、一旦
サンマー・
タイムを適用されるものは、これは例えば
勞働時間或いはその他いろいろこれは
影響が出てくると思うのでありますが、この
サンマー・
タイムを飽くまでオフイシヤルな、公式のものとして採るかどうか、これが私はこの
法案に明かにされていないと思うのでありますが、私はこれに對しまする御
意見を伺いたいと思います。
それから
勞働省の方は見えておりますか……これは
勞働省の方に申上げた方がいいと思うのでありますが、
サンマー・
タイムの
施行について、やはり一番
影響を受けるのは
勞働階級であります。
從來歐米におきまする
サンマー・
タイムの
施行につきまして、強く反對を叫ばれておるのは
農業方面であります。これは季節に支配される
農業という特性もありましようが、殊に
農業勞働者、例えば乳を搾る
ミルク・メイドでありますが、
そういつた者が、若しこの
サンマー・
タイムを殆ど半ケ年間
利用されるということにな
つて來ますと、夜が明ける早い時に、折角朝の時間を多く
利用しておる者が、
サンマー・
タイムを
利用されたために、一年中殆んど
日の出る前に仕事をしなくちやならんというような、
勞働基準法の
精神から
言つても重大なものにな
つておるのであります。そういうようなこと。それからこれは
日本でもまだ、今の
次官の御
説明によると、それほどの調査ができていないようでありますが、
一般農産物の收穫ということにつきまして、この
勞働時間が一時間早くなるために、それによ
つてこの收穫の當時に
勞働能率が上がらない。或いは
勞働し得ないというようなものがあるのじやないか。これは數においては少いかも知れませんけれども、例えば
イギリスにおきまして、この
サンマー・
タイムの採用について、
國會において議論が行われました時に、主として
農業勞働者、
農業方面、例えば秣であるとか、或いは「とうもろこし」のようなものの收穫というものは、一時間
繰上げると、例えば露が非常に多くて手がつけられないというようなことで非常に問題にな
つたということも、私は記憶し、又記録を讀んでおるのであります。そういうようなものに對しまして、これは
日本におきましても、いろいろそういう問題は起きて來るでらうと思います。そういう問題が起きた場合に、先程申上げましたように、
サンマー・
タイムを公式と見るか、これは非常に重要な問題でありますから、この點に對して、
政府は如何なる見解を持
つておるか、お伺いしたいのであります。