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1948-01-27 第2回国会 参議院 労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十七日(火曜日) —————————————————  委員氏名    委員長     原  虎一君    理事      堀  末治君    理事      小川 久義君    理事      栗山 良夫君            赤松 常子君            天田 勝正君            千葉  信君            山田 節男君            荒井 八郎君            川村 松助君            平岡 市三君            植竹 春彦君            紅露 みつ君            平野善治郎君            深川タマヱ君            奥 むめお君            川上 嘉市君            竹下 豐次君            早川 愼一君            姫井 伊介君            藤井 丙午君            穗積眞六郎君            松井 道夫君            中野 重治君            岩間 正男君   —————————————   本日の会議に付した事件一般労働問題調査承認要求に関する  件 ○労働法制に関する件   —————————————    午後一時五十四分開会
  2. 原虎一

    委員長原虎一君) お待たせいたしました。これより労働委員会を開催いたします。本日は第二國会期間中におきます労働省、即ち政府側において、どういう立法を提出するのでありますか、政府方針を伺うつもりで委員会を開催いたしました。それといま一つは、一般労働問題に関する調透につきまして御決議願つて、これは御承知のごとく前國会におきましてもいたしましたので、引続いて継承してやりたいと存じます。改めてやはり決議願つて置かなければなりませんので、この点を御協議申上げて、御決定を願いたいと思います。從いまして先ず一般労働問題に関する調査承認要求につきまして御承認を願いたいと思います。  その調査事件の名称は、一般労働問題に関する調査調査目的は、労働基準法施行状況失業保險法施行状況労働委員会運営状況各種労働施設運営状況、その他現下の一般労働問題を調査研究するのであります。これによります利益という点を見ますれば、政府及び労働者雇傭者名代表者より一般労働問題に関する説明及び意見を聽取し、並びに各地に労働施設を実地調査して、労働法の完全なる施行に寄與する。方法は関係者から意見を聽取し、且つ必新に應じ労働施設を実地調査する。期間今期國会開会中とする。  以上の通りでありますが、これについて御意見等もありますれば伺つて決定を願いたいと思います。別に意見もございませんようですが、以上の通り決定いたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原虎一

    委員長原虎一君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。  次は先程申上げました政府方針について労働法制に関する方針労働大臣から伺いたいと思います。労働大臣が今見えましたので、委員会の今日の議案の一つでありますのは、今國会におきまする政府労働関係法案についての所信或いは計画等がありますれば、これらについて説明を願いたいとこう考えております。米窪労働大臣説明を伺いたいと思います。
  4. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 遅く参りまして甚だ失礼いたしました。昨年國会を通過した國家公務員法につきまして当時官使争議をしたときは雇傭契約に関する一切の権利を失うという條項が原案にあつたのであります。これは憲法二十五條以下において國民が與えられた基本的人権の中の勤労者のいわゆる團結権團体交渉権體業権等基本的人権に対して重大なる影響を持つものであるという見地からこの條項閣議においてこれを削除しました。関係筋の方面の了解を得て、この点は國家公務員法から除かれたのであります。然るところその後……ちよつと速記を止めて下さい。
  5. 原虎一

    委員長原虎一君) 速記を止めて。    〔速記中止
  6. 原虎一

    委員長原虎一君) 速記を止てめて。
  7. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) これらの諸情勢考えまして。勿論憲法に定められた国結権體業権交渉権等を全部取去るというようなことは、たとえそれが官吏であろうが、これについては私個人としては同意ができないのであるが、その他の問題についてはこれは必ずしも改正を要しないと断定し得ないと考えておるのであります。目下事務当局に命じて研究さしておるのでございまして、今のところこの委員会においても関係法規改正する案をこの國会へ出すべきであるか否かということを、はつきりとここで申上げられませんが、いずれにせよ、この点については相当な議論委員各位の間にもあるでうようし、政府当局の間にもあるのでして、いずれ皆さんの御意見伺つて、そうして今申上げたような、主として事務的な点についての改正を落し要するとすればいずれ御懇談を申上げる機会があると思います。その後において皆さんの御意見を尊重して、國会に提出した方がよければ提出したいこう考えておる次第でございます。
  8. 原虎一

    委員長原虎一君) 只今の御説明について何かお聽きになることがありましたらどうか。
  9. 山田節男

    山田節男君  今ちよつと終り方を聞いて、前半を拝聽しなかつたので、或いは質問ちよつと見当を外れておるか知れませんが……ちよつと速記を止めて下さい。
  10. 原虎一

    委員長原虎一君) 速記を止めて。    〔速記中止
  11. 原虎一

    委員長原虎一君) 速記を始めて。
  12. 平岡市三

    平岡市三君 実は教員関係の者からちよつと耳に挟んだわけなんですが、今の労働組合法その他の労働関係法規というものが多く営利事業関係のある労働者努象としておる。ところが教育というものは特殊な性質を持つておりますし、営利目的といたしておらないのでありまして、結局法人組織になつておるのであります。そこで今の法規で行きますれば労働組合法によつてやはり教員組合ができておつて、それで運営されておるのでありますれれども、性質、本質が違うからして、結局教職員に対しては別な組合法を制定して頂いて行くのが適当じやないか。こういうような意見があつて、或る體の教職員の連中は、それによつていろいろ案を練つておるように聞いておるのでありますが、それにつきまして政府当局の方で何か特別なお考えでもありましたならば、一つ漏らして頂きたいと思うのであります。
  13. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 教員組合を作るということは、現在の労働組合法では許されております。外國と比較すると少し妙な現象ですが、外國では私は余り詳しいことは知りませんが、教員組合を作るということはいいでしようが、それが争議をするとか、或いは團体交渉をやるというようなことまで外國でやつておるかどうかということは、よく分りせんが、恐らく日本だけの特殊の事情じやないか、こういう工合考えております。日本では御承知通り警察官吏と消防署の署員は組合を作ることができないということになつております。その他の官吏はすべて一樣に団結権もあれば、団体交渉権もある。こういう工合に一應労働組合法では許されておるのであります。今の御意見の、教員の一部の間に、何か特別の労働合法作つた方がよい、こういう考えがあるという点が、特別の労働組合というものがどういう意味であるかよく分りませんが、まあ普通の官吏即ち逓信だとか鉄道だとかいうところの從業員とは別個の組織作つた方がいいということであるのか、よく分りませんが、そういう情報は私の方へは入つておりません。又閣議でも教員の問題だけを特に取上げてこれを別取扱いにした方がよいというような意見は、まだ今のところ出ておりません。これだけ申上げて置きます。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は今米窪大臣から新らしい方針を承つたわけでありますがこれに対するいろいろな意見纒め意味におきまして、三点について確認をいたしたいと思いますので、御質問を申上げるわけであるます。  その一点は、今度の官吏労働組合の実際活動が、若干行過ぎになつている点も認める。それも新らしい方針を立てる一つ理由になつておるように伺つたのでありますが、あの行動が行過ぎであつたかどうかは別といたしまして、あそこまで官郭が起たねばならなかつたという原因は、結局生活に非常に行詰りを生じたということが最も大きな原因であつたと思うのであります。このことは、年末に解決されたあの労働委員会の調停の内容においてもはつきりしているのですが、結局こういうような、官吏が非常に生活権脅威に曝されておるということの根本的な解決策確立しないで置いて、ただ官吏労働組合諸君が活動するということが好ましくないということで、それだけに制限を加えるというようなことでは私は本末顛倒ではないかと思うのであります。先程山田委員が指摘されたように、今度労働省としてこの労働立法を若干修正されるということを用意、覚悟せられた反面には、その官吏の待遇をとにもかくにも日本民間労働者に下廻ることは絶対にしない、常に水準を保つ、こういうはつきりした態度をお決めになつてからこういうことをおやりになるかどうかということなのであります。これは昨年の春までは一應民間労働者官吏労働者給與水準が揃つてつたのが、春以來の急角度のインフレによつて年末にはあれ程大きな差ができてしまつたわけです。このことは十分に政府確認した上でおやりにならないと、結局労働者の安定、憲法が保障しておるところの安定が期せられないことになりますので、大きな誤謬を犯すのではないかと考えるのであります。この点を先ず明らかにして頂きたい。  もう一つは今度改正されようとしておりますものは、主として官吏のみを対象にしておいでになるのかどうかという問題であります。民間労働者の点についてはつきり先程伺うことができませんでしたが、その点をもう少し明らかにして頂きたい。こういうことであります。  それからもう一つ最後に、現在ありますところの労働関係法規というものは、國家公務員法は別といたしまして、その他組合法にいたしましても、労調法にいたしましても、当時日本労働階級反動保守勢力と呼んだところのいわゆる幣原内閣吉田内閣の手によつて作り上げられたものでありまして、その当時社会党労働階級の意思を承け継いで、とにかく國会においては急先鋒になつて、これらの法案に対して相当鋭い批判もされ、殊に労調法には党を挙げてこれに反対をしたのであります。そういう立場にある社会党が中心になつて作られておるところの現在の片山内閣が、労調法一つの枠を嵌めるというような構想をせられたということは社会党として労働政策に相当な轉換をせられるつもりであるかどうか、そういうような点について、なぜそういうことが必要であるか、そういう点について所信を伺いたい、こう思うのであります。
  15. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 第一のお尋ねの点は、先程私が申上げた通り憲法二十五條以下に規定されておる基本的人権については、私一存としてはこれを訂正するとか、変形するという考えは持つておりません。ただ明らかに現行の組合法によつて労調法によつて罷業権がないものとされておるいわゆるホワイトカラー、非現業の諸君が爭議を起した場合において、そこに官吏服務紀律があるに拘わらず、これを何ら処置ができないというようなことは、健全なる労働組合運動を推進する上において遺憾である。私はこういうように考えております。從つてこの点は明確にする必要があるのではないか、これを申上げたのであります。  第二のお尋ねの点は、先程私が御説明したように、これは官吏だけに適用されることを目標としたものでなくして、一般民間労働組合にも当然それは当嵌まつて行くわけであります。  第三の点は、今のところ、別に改正をする、こう閣議で決まつたわけでもございませんし、労働省自身改正をするという省議を決定したわけでもないのでありますから、現在の段階においてはお答ができない、こういう工合に御了承を願いたい。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 第一点で官吏生活保障民間労働者の線を下らない点まで実行し得るかどうか実行しなければならない、そういうような確認の上でやられるのかどうかという点について、もう少し伺いたいと思います。
  17. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 労働基準法最低賃金を決めるという規定があつて賃金委員会もやはり設けなければならないということになつておりますが、我が國のこのインフレ状態経済情勢下においては、最低賃金を決めるということは言うべくして行い得ないことは私が言うまでもない。從つて最低生活費と、そうして給與との関係をどの程度限界を決めるべきかということはなかなか困難である。併し苟くも労働組合法によつて官吏或いは民間と区別をせず、一樣に團結権交渉権を認めている建前から見て、官吏民間よりもその給與率が、標準率が低くてよいと、こうは考えておりません。併しこれは法理論でございまして現実論からいうと、官良はなんといつても、給與仮り民間より少くとも確実に給與を貰えるということと、それからして首を切られるというようないわゆる職場から離れるというようないわゆる職場を失うというような脅威というものが非常に少い。こういつた官吏たるが故に非常に身分を保障されているというような社会的に優位な状態にあるということは爭うべからざる事実である。ということを申上げたからといつて、決して官吏給與一般民間よりも低くてよい、こういうような交換的に言うのではありませんがとにかくも民間においては仮りに今日官吏よりも非常に高い給與内容を含む團体協約が行われても、明日はいつ何時給料が会社の経営実情によつてはストツプされるという危險があるかも知れません。又事実一流の工場においても定期の抱料が拂われずにして、翌月に持越したりしたような実情にある。又企業整備等の問題が起つて來る。或いは電力の問題、電休の問題、或いは経済力集中排除の問題、アンチ・トラストの実施の問題等の、そういつた條件によつていつ何時馘首されるという危險があるのでありまして、この点は官良はその生活的な、社会的な條件が非常に高く保障されているということも否むべからざる事実であると考えております。從いまして官吏は特に民間よりも高いすべての條件を持たなければならないとも考えられません。これらの点がなかなかデリケートな問題でありますが、これは御質問に対してお答になつたかどうか知りませんが、大体そういうことも一應プラスとマイナスの面を比較して斟酌しなければならないのであると、こういう工合考えております。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 私の質問がどうも十分表現できないために、或いは大臣からはつきりお答を頂けないかと思いますので、もうちよつとだけ申上げさせて頂きたいと思います。それは私は官吏身分が保障されているから生活費がどうか、その問題は少しまあ議論がありますが、現実論でなくて民間労働者仮り企業が非常に赤字が出まして、給與が十分に保障されないということがありましても、それには團結権交渉権がありまして、それによつてそのときの情勢に應ずるところの一應の労働問題の解決ということを労資の間でなし得るわけであります。それはやはり團結権交渉権があるからなし得るのでありまして、その場合に、官吏の方が理論的な一つ労資間の問題解決の線として、團結権交渉権というものがなくなつた場合には、民間労働者経営者との間のような形では交渉が行えない、こういうことになるわけでありまして、この場合にそれを若し取上げるならば、やはり政府の心構えとして、官吏給與は私は最低賃金制とか、そういう問題も勿論含むかも知れませんが、民間労働者水準を維持するところまで保障するだけの用意があつて、そうしてなされるのかどうか、こういうような点をお聽きしたわけなんであります。
  19. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 官吏團結権團体交渉権を今取る、こうは考えておらないのであります。從つておらないのに、そういう仮定の下にお答はできないのであります。これは私自身官吏は特別の人間であるから、又今さつき言つたようないろいろ社会人としての優位の点があるから、從つて團結権團体交渉権を取上げていいと、こうは考えておりません。この点はどうぞそういう仮定を私は今持つておりませんから……。
  20. 原虎一

    委員長原虎一君) 栗山君いいですか。他の方どうぞ……。
  21. 川村松助

    川村松助君 これは或いは御報告になつておるかおらないか分りませんが過般岩手縣にありました教員組合知事との間の経緯について若し御所見を承ることができるなれば承りたいと思います。
  22. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 実はどうも甚だ迂闊ですがそういう事実は私はまだ聞いておりませんそれじや局長が知つておるそうですから局長から……。
  23. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 詳細な公文による報告はまだ受けておりませんが、当事者でありまする岩手縣教員組合委員長の小笠原氏と私以前から眤懇でありましたので、いろいろ話を聞いたのであります。あれは教員組合が尚事との間に團体交渉をやつたのでありまして、その時に知事さんと教員組合代表との話がどう縺れましたか途中で知事さんが退席をしようとした、それを教員組合の方ではちよつと待つてくれと、こういうことを言つたわけなんであります。ところが知事さんはそれにも拘わらず部屋を出ようとされたのであります。非常に狹い所を通りつて、そこに教員組合の方の人が行つて知事さんに待つてくれと、こういうふうに出て止め掛けたところが知事さんは御承知のように非常に御老体でありまして、どうしたはずみか尻餅をつかれた。ところが椅子にうまく尻餅をつかれればよかつたのですが、それが半分くらい掛けたというふうな恰好だつたものですから安定を失つたので、床までまあ坐られた。こういうふうなことに相成つたのであります。これはその当時は問題にならなかつたのでありますが、後で司法当局が問題にいたしまして、そうして当初は團体交渉の際における暴行というふうな見方で行つたのでありますが、いろいろ調査の結果、最近では單純暴行罪であるというふうな形で公判になつておるようでありまして、まだ公判中であります。さような経過であります。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 只今の問題につきまして教員の問題でもありますし、又労働委員立場から私はプライベートに当地に赴きまして事情調査して参つたのであります。今賀來労政局長から経過の概略について説明されたのでありますが、その中で問題を当事者の間でそのように起したのでありますが、その後の事態については、折量つて、止めた当人が轉んだんだが、それを引起して、そうして知事の元の席に戻らして、そこでこういうような問題を起したということは、お互いに遺憾であつたというような意をお互いに表明し合つてそれで了解が成立して、團体交渉がそのまま継続された。而もその結果として覚書を手交して、お互いに調印して、事態を円満に收拾して別かれた、そういうことになつておるのであります。当事者の間からは、何らこれに対して問題がなかつた。問題はそれで一應自主的に終了しておる。ところがそれに対しまして、檢察当局が二、四日遅れてから、これを突然單純暴行罪というふうな点から起訴した。更にその時の当時者でありますところの青年部長と、もう一人縣の委員の二人を強制執行し、そして警察に二日間留めましたが、更に未決に五日間、そのような強制執行をしたのであります。ここで非常に問題が大きくなつたのでありますが、これに対して、私はこの労働委員会として、相当重要な問題だと思つたもんですから、調査参つたのであります。何が重要だかというと、しばしばこういうような問題が、今度の刑法の二百八條改正問題と絡み合つてこの問題だけでなくあちこちに起りつつある。つまり私の一番問題にしたいところは、労働運動に対して警察檢察当局がどの線から一体これに対して関與して來るべきものであるかどうか。私の見解でありますけれども、当事者同士がもう自主的に問題を円満に收拾しておつたのに対して、檢察当局が第三者的の介入をする必要があるのかどうか。これについては、暴行罪の認識の程度如何にあるのでありますけれども、その暴行罪といつても、何ら傷害を受けた程度じやない。單に接触したかしないか分らないような程度で、知事が実は轉倒した。それをまあ傷害罪というようなことで告発した。而もここで一番問題が重要に考えられるのは、地方委がこれに対して何らまだ介入していない以前において、檢察当局地労委を乘り超えて、これに関與しておるというやり方であります。爾來労働運動に対しましては、当然不介入方針を官憲が取るというのはこれは常識であります。更に極東委員会の十六原則にも、ちやんと謳われておるところであります。從つて当事者相互の間に問題がなくて、而も地労委員これに介入しない以前に、このような問題を檢察当局が取上げるというようなやり方が果して労働運動の健全な確立のために正しい処置であるかどうか。この点を立法府でありますところの國会労働委員会としては、労働運動に対して、檢察当局介入して來るところの限界はつきり確立して置かないというと將來労働運動の自主的な運営のために非常に支障が出來るのではないかというような、こういうようなことにも思われるのでありますが、これはプライベートの資格で以て参りまして、檢事に会いましたところの、その経過を大体お許しを頂けますなら、簡單に御説明申上げますというと、大体起訴の原因は、どういうふうな理由を以て起訴したかということを、私はやはり労働委員立場プライベートでありますけれども、これをお聞きしたいと言つて面会を申込んだのであります。これに対しましては、檢事は言を左右にしまして、結局これはまだ檢事論告以前であるからお答することを差控えたいと、こういうようなことであつたのであります。それにつきまして、只今私が以前述べましたような理由をいろいろ挙げまして、例えば青森縣のごときは、この前團体交渉の席上で、当事者同士で組打ちが始つた。その結果、使用者側が、檢察当局に訴えた。ところが賢明な檢察当局は、これは中労委の問題であるというので、逆に地労委に廻したというようなことさえあるんです。然るに單純暴行罪というようなことを理由にして一方的に介入して來たことは、檢察当局は甚だ労働運動に対して理解がない。非常に非常識なやり方である。而も單純暴行罪というようなことになると、どうもその暴行の一番認定如何が問題になるか、どういうような根拠によつてこれをやつたかという問題に対しては、これは現場を見たわけでない。参考人を二三調べたというような、そうして事実あつたというようなことによつてつている。併しこれは、刑法二百八條改正要網によつて、これがなされたのでありますけれども、これは明らかに刑法改正趣旨に違反するものでないかというふうに考えられるのであります。それは恐らく今度の改正要旨一つの要点としましては、ボスなんかがいて、一方的に暴力をやつたところが、それを虞れて、あの告発なんかした場合に、あとで仇されるのを虞れて、それで告発しないで泣寢入りをする。思い止まるということに対して、これでは公安が維持されないからというので、これに対して檢察当局が独自の立場で以てその認定從つて、これを告訴するというようなことが、二百八條改正要網だと思うのでありますが、この適用が非常に曖昧だと思われるのであります。こういうようなところをいろいろ私は質問したのでありますけれども、結局そういう点で、檢察当局も、なんだか自信のないような態度でなかつたかと思うのであります。結局私の問題にしたいのは、この点について、労働者としましては、はつきりと、この今度の問題をきつかけとしまして、間間起る問題でありますから、これについて團体交渉権確立、更に廣くいいますならば、労働運動の自主的な確立のために、どのような処置を執られるか、どのような見解を持つておられるか、この点について、これは局長意見を伺いたいと思うのであります。
  25. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 岩手の問題は、只今岩間委員より御説明のあつたように、大体そういうことになつておりますが、これは先程申上げましたように、すでに單純暴行罪ということで、公判に付せられておりますので、これについての意見は、もう私の方からは申上げないことにいたしたいと思いますが、ただ今御質問の、これに関連いたしまして、労働省が全体どういう措置を執つておるかという御質問に対して、お答をいたしたいと思います。これはこの團体交渉中におけるいろいろな司法関係事件というものは一昨年の三月から四月にありました北海道の三菱美唄の人和裁判事件以來相当数が多かつたのであります。途中で一時なくなつたのでありますが、又最近岩手縣の問題でありますとか、或いは全逓の東京地協の中央郵便局の問題でありますとか、或いは極く最近では大分縣別府における病院の團体交渉の脅迫事件の問題でありますとか、それから池貝鉄工における交渉の際の問題でありますとか、いろいろ問題が起つてつておるのであります。司法当局といたしまして、独自の立場で、これについて労働省がかれこれこれに対して申上げるべき筋合はないと考えておりますし又労働省労働法を守つて行こうという立場について、司法省からかれこれ言われることはないと思つておりますけれども、只今岩間委員のお話がありましたように、この司法問題とそれから労働問題との取扱の限界というものが、労働組合法というものがはつきりしていないという点もありまするし、又最近民法なり刑法なりいろいろ改正されましたものとの関連がはつきりしていないというふうな関係もありまするし、又司法言局、檢察当局におきまする檢事、判事がこの戰爭中以來労働問題というものを扱つておらなかつた。で、以前扱いました方法と今日の組合法その他の関係法規がああいうふうにでき、又憲法というものによつてああいうふうに保障せられておりまする情勢と違つて來ておるというふうな関係もありまして、その間いろいろ限界の点に問題になることもありまするし、更に組合法十一條の問題になりますと、これは労働者生活の問題に直接問題があるわけでありまして裁判を非常に的確に且つ又早急にやつて頂かなければならんというふうな問題もありまして、昨年の十月以降司法当局とそれから労働省当局及び中央労働委員会の当局との三者協議会を月に約二囘ぐらいずつ、定例でありませんけれども、そんな割合で具体的な問題を採上げ、或いはそれに関連して一般論といたしまして協議をいたして來ておるのであります。その結果司法当局といたしましては、各地方檢察廳に労働係專門檢事を置いて、そうして労働問題を研究し、労働問題に対する理解を深めつつ適正なる檢察をやつて行きたい、こういうふうな方針に決まりまして、すでに昨年十一月には司法当局ではその專門檢事を集められまして講習会をおやりになつたようなこともあるのであります。主として最近までは刑法関係をやつておりましたが、尚民事関係も問題がいろいろ起つております。生産管理に関係した問題でありますとか、團体交渉の際におけるいろいろな取引の問題が関連いたしまして、これらもこの一月から民事関係の方も加わりまして、経済関係の当局も加わつたりいたしまして協議をいたしておるのであります。最近の会議におきましては、岩手の問題も一應大体の方針としてどうかという研究はいたしておりますが、まだ結論に達していないこういう状況にあるのであります。今後とも我々の方も希望いたしておりまするし、司法当局も亦希望いたしておりますると、更に各地方におきまする檢察或いは裁判当局もいろいろ問題が起つて参りますので、是非ともこれが取扱の限界並びに方法等に関しまして、大体の方針を決めて貰いたいという希望もあるようでありますが、この問題は人権に関する問題でありますと共に、大体憑証を固めることが非常にむずかしい点もあるわけでありますし、更にこうした岩手の事件は一時拘束したようでありまするが、この労どに関係いたします問題では、身柄不拘束の取扱が非常に多いために、却つて裁判が長引くというようなこともありますので、具体的にどういうふうにして行くかということを三者で協議をいたしておりまして、その都度決定いたしたことはお互いに実施するというような方針で参つております。今後もその問題は早急に片付けて行きたい特に大体刑事関係においてはほぼ十一條関係を中心といたしましては大体の方角がついたのでありますが、民事関係になりますと非常にむずかしい問題もありますので、まだ具体的には決定いたしておりませんが、大体その方向で進むということにいたしております。御了承願いたいと思います。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 この問題の中で地労委と、それから警察当局の……何といいますか、権能、職責、そういうものの限界はつきりしていないということが今度感ぜられる。それからさつきの労働專門檢事、これが実際行つて現場に当つて見ますというと、非常に労働知識の貧困を感じたこういう事実が指摘されると思うのです。これについては、できましたら又調査官なり何なり派遣されて、実情を必要でしたら労働委員会として把握すればよいと思いますが、これはプライベートの話でありますけれども、暇がない。それから労働関係の專門書を読む経済的余裕もないということを檢事が告白しておる。労働問題の調査に行きまして、端なくも別な労働問題を発見して來たようなわけであります。こういうような実情もありますから、ああいう問題を單に一度の講習会ぐらいで、例えばこれは司法省の問題になると思いますけれども、これについてもつと労働委員会としても十分な手を打つて頂かなければならんというふうに考えております。こういう点について又見解を持つておられたら御見解を承りたいと思います
  27. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 岩手の問題につきましては、先般の三者協議会で地方労働委員会もその点を指摘されておりましたので、いろいろ意見がありましたが、今度の場合は取敢えず公判になつておりますので、地方労働委員会は手を出さない方がよいであろうというふうなことになつてつたのであります。併し全般といたしまして、只今御指摘の岩手の例を取りましてもどこからどこまでが労働問題であつてどこからどこまでが司法関係であるかということが困難な場合もありますので、これは至急労働委員会と、それから司法当局と研究いたしまして、大体の方針を決めて、中央労働委員会は地方労働委員会に連絡をしようということになつておるのであります。それから又專門檢事の問題につきましては、專門檢事自身只今岩間さんがお聽きの通りに忙しいという点もあるが、急にこういうふうに問題に入つて來たのでなかなか勉強ができていないからあらゆる機会に勉強する方法を講じて貰いたいという御希望がありまして司法当局としては十分手を打つておられると思いますが労働省といたしましては労働省関係の刑行物等は直接檢察廳に送つております。その部数の足りないようなものにつきましては、司法当局を通じてこれが連絡、又参考資料の提供、情報の提供ということをいたしておるのであります。特にこの判決例ができますと非常に労働檢事としても扱い易いというのでありますが、その判決例がまだ多く出ておりませんので、この点について司法当局ではいろいろ研究せられておるようでありまして、我々の方としましても、至急この判決例によつてどんどん時間的に速かに処理せられるようになることを念願いたしておるような次第であります。
  28. 堀末治

    ○堀末治君 これは直接労働省の御関係かどうか、私その辺の限界は分りませんですけれども、昨年全逓の提訴によつて中労委が裁定を下しましたいわゆる二・八ケ月をやろうという問題と、次で一月から新給與を立てろ、こういうことで、先般來新聞で見ておりますると、それぞれ相談ができ委員ができて今相談中のように聽いておるのでありますが、あの裁定はいわゆる全國の賃金問題に大分大きい影響があるだろうと実は思つて、私共も実はあの裁定は一日も早くあることを希望して待つているのでありますが、それらのその後の経過を若しお聽きできれば聽かして頂きたいと思います。
  29. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 中労委の裁定は、はつきりした数字は出していないのでありまして、大体二つの方針をいつておるのであります。一つ官吏の賃金というものは大体昨年の一月から、一月あたりを基準にしまして、今、日本では科学的には唯一といわれておりまする消費者價格調査のあの数字を参照して、生活費の増嵩に伴つて賃金もそれを考慮に入れて決められるようにと、一つ官吏給與というものを民間給與、同一職種と比較してこれと均衡を保ち得るようにやつて貰いたいという、この二つが大体條件になつております。これをどう絡み合せるかということははつきり書いてないのであります。ただこの点については、極めて各方面から技術面な專門家を少数委嘱して、そうしてその研究によつて大体の基準を決めるようにということになつておるのであります。政府はその調停案の趣旨に從うという立場をとりまして、そうして大体中労委の方の調停案にありましたように、中立側といいますか、常識経驗者三名程度、それから政府側二名程度、それから労働組合側二名程度の專門家を出して、そうして給與に関する調査委員会を設けて、それによつて基準の御決定を願うということについては賛成でありますから然るべくという返事を中労委にいたしたのであります。その結果中労委から大体その線でやつて行つて貰いたいという囘答が昨年の十二月の終りにあつて政府はそれによつて委員は中労委の御推薦を願うということにいたしておりましたので、中労委から委員の御推薦であることを待つてつたのであります。ところが一月になりましてから、組合側では、組合側全体から出します委員としては二名では少な過ぎるから、大体全官公関係組合を大別いたしまして、八つになつておりますので、まあ各組合から一名ぐらいの割合で委員を出すようにしてくれないか、こういうことと、それからこの委員会は、調停案によりますると一般水準を定めるということになつておるけれども、各労働組合の要求するところは、この際最低賃金と申しますか、最低生活を保障する賃金とも合せて研究して貰わなければ安心がならん從つてこの委員会でさようにやつて貰いたいということが希望になつて出て参りました。ところで調停案も、先程大臣が申しましたように現在のインフレ下において最低賃金を決めるということが果して適当であるかどうか、又可能性があるかどうかということについて、調停案の趣旨は、やはりそういうことも書いてあります。政府もさように考えておりますので、この委員会最低賃金制を審議することは困難だろう、併し常にこの官吏給與というものが、昨年の一ケ年の経過を見ましても、二・一ストを中心として上げられておる、それから最後に十月、十一月の官公吏の組合の動きによつて又増額と申しますか、増給せられておる、かようなふうに、これから以後におきましても何か全官公の組合が騒ぐと申しますか、纒つて要求しなければ政府が取上げないというようでは、この我が國におきまする労働界における最大多数の数を持つておりまする組合のことでありますので、これが動きますと非常に公共の全般にも響くことがある。これを騒がずに何とか合理的に、將來待遇改善ができるような方法を考えなきやならんということについては労働委員会政府とが大体意見が一致したのであります。そこで労働委員会組合側といろいろ折衝して貰いましたのでありますが、又政府に対しまして労働委員会から折衝の結果、四つの項目を條件にいたしまして、給與委員会を作つたらどうかという申入が又改めてこの一月の二十三日にあつたのであります。これは大体、第一項はこの委員会は全官公の組合から專門家を出す。これは八名程度とする。併しこの出た人間は、これは決して組合代表ではないので、政府團体交渉をするものではない。言い換えますと、この委員会で大体基準が決まりましても、それは組合團体交渉権を否認するものではないということが書いてあります。第二項は、この委員会決議するという主関ではないので、意見が一致しますれば結構でありまするが、多数決で決める、いわゆる中立と使用者側とで労働者側の方を少数意見にしたり、或いは労働者側と中立と併せて政府側の意向を少数意見にしたりするようなことはしない。若し意見が分れるならば、その意見をそのまま確実な資料を添附して、政府又は社会に報告をするというふうな行き方で行つて貰いたい。第三点は、これは関係方面からの御意向もありまして、一月一ばいに結論を出すように。第四点には、このインフレが昂進する際であるし、度々官公吏が要求しなければ、政府或いは使用者は給與の改善をやらないというようなことではいかんので、それらの問題が合理的に、根本的に一般の給與制度として解決する方法を政府は考慮するように。これに対して政府はこの給與委員会が次の労働委員会を拘束する、或いは次のさような研究する機関なり委員会ができた場合に、それが今度の委員会を拘束するようでは困る。併しとにかく合理的に將來根本的な給與制度を研究するということは必要であろう。ということで、その四つの條件を承諾することにいたしまして又中労委の方に囘答いたしたのであります。ところが組合側では國鉄の組合を除きまして、他の組合ではどうも第四項の一般方針について、根本的な協議をするという点についての中労委の申入書の趣旨がよく分らない、尚政府がどういうような考えを持つておるか分らないので、一應委員を出すことは遠慮するという所もあります。又賛成し兼ねるという所もあります。まだ考慮するという所もありましで、その他の官公吏はこれに加わらずに、國鉄だけが加わりまして、國鉄側三名と、政府側多分三名になると思いますが、その三名と、中立側三名で、本日午前十時過ぎから総理官邸において準備的な委員会を開催いたしまして、明日からこれが発足いたしまして、本月中には特別の事情のない限り大体の基準を決めるというふうな予定で進んでおるのであります。以上簡單であるますが……。
  30. 堀末治

    ○堀末治君 大変詳しい御経過を聽きまして有難く思うのでありますが、今の局長の御説明も恐らく今度の取決めが一般の企業の賃金に大きい影響があると思うので、私は早く決まることを希望いたします。ただそこで中労委の裁定か何かに、後になつて附加されたのに、寒冷地手当というものは今度の審議の中には入れないかということがありましたが、それらの点はどうですか。
  31. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 今御指摘の通りに、寒冷地手当でありますとか地域差による手当でありますとか、そういうふうなものは今度の水準を決める委員会では決めない。というのは、間に合わない。これは非常に問題が多いのでありまして、現在の勤務地手当寒冷地手当というのは、一應は政府は出しておりますけれども、これは個々に当つて見ますと、地方からの陳情では尤もな点もある。これは余程合理的に納得の行く数字を出して行かなければならんというふうな関係で、これを一般給與制度と併せて研究するということにいたしておるのであります。
  32. 堀末治

    ○堀末治君 今の寒冷地手当の問題でございますが、実は私昨年の暮郷里へ帰つてつて、忙しくて遂に新聞も見ませんでしたが、何か政府の方は東北、北海道だけ寒冷地手当を出すとかいうことに取決めて、聞くところによれば出た所もあり、出ない所もあるというようなことを聞きました。それはどういうことになつておりましようか。
  33. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働省としましては、賃金の一般基準と申しますか、全体的なことをやつておりまして、寒冷地手当を出す方法、例えば青森縣は六割でありますとか、一月一割ずつで六ケ月とかいうことは聞いております。その後具体的にそれをどう支給したかということは、我々の方には分つおりませんので、大藏省給與局長の方で知つておることになつております。
  34. 堀末治

    ○堀末治君 労働省立場としてそれらのものに対する御見解はどうでございましようか。要するに官公吏に出たというので、これは私の方の会社の労働組合からも先般その要求が出ておるのであります。一通りは分るのでありますけれども、いわゆるその基準なるものに対して私納得行かない点があるので、実は恐らく今度の中労委の裁定によつてそういうものが決められるときに、いろいろ決められることであろうから、とにかくそのときまで要するにそれは保留する。若しも政府がそういうことに対して取決めがなければ、私は私の独自の考えで君たちと相談しよう。実はそう言つておるのであります。そういうようなことで、政府のとつた処置をできれば詳しく聽かして頂くと非常に有難いと思つておる。どうか今の私共の、一般がどうか分りませんですが、北海道あたりでとつておる例は、何といいましようか、非常に考え方が平面的なのでありまして、いわゆる頻りと能率給などの叫ばれておるときに、本当の社会制度的な要求が出るのであります。一方又薪炭費は薪炭費として昨年政府が三千円、一千円と決めたときに、私共の方も千六百円に四千八百円というものを手早く決めた。さようなときに、又そういう要件が出て來るという、そこに割切れないものがありますので、政府がそれをお出しになつ考え方と同時に、今どういう措置をとられたかということを実は聽きたいと思うのでありますが、併しあなたの方でなければ、いずれ適当の機会に給與局の方から聽きたいと思います。若しここでお分りになれば、お話願えれば大変結構と思います。
  35. 原虎一

    委員長原虎一君) 金子説明員から今の問題について説明を伺うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 金子義雄

    説明員(金子義雄君) 私官吏給與制度改善委員会の幹事をやつておりまして、そういう問題を扱つておりますので給與局の方から説明を聽いたことがありますし、多少知つておりますので、知つておる限りのことだけお話いたしたいと思います。お話のごとく、この寒冷地手当というものは、給與制度の中ではいろいろ議論のあるものでありまして、私共給與問題を專門にやつておりますが、果して寒冷地手当というがごとき給與一つの形態が許され得るかどうかということについては十分な結論を得ていない程度であります。ただ御承知のように、官吏については地域給という制度が昨年春以來設けられておりまして、これが御承知のように一割乃至三割という程度のものでございます。この一割乃至三割という地域給というのは、平均的な生計費というものの非常な腰だめ的な基準で決まつておるのでありますが、併し北海道とか青森とかいうような寒冷地においては、冬期において特別の生計費が掛かる。燃料費が掛かる。これは一應特別の考慮をせねばならないのじやないかということが問題の始まりでありますが、大藏省当局におきましては、結局はそういう地域的な生活費の差という問題は、地域給というものの中で考慮さるべきだということを、一應一つの根本的な前提としております。つまり官吏給與というものは全國一應一律に決まつておりまして、今のような地域的に都市と田舎というふうな生活費の差がある問題は、この地域給で解決しておりますが、やはり寒冷地とその他の地域との間の生活費の差というものは、やはり地域による差であるから地域給の問題として解決すべきであるということが一つの根本的な態度であります。ただ從來の一割乃至三割という地域給を決めたときが、実は寒冷に基く生計費がどれだけ余計に掛かるというようなそういう細かいところまで入つておりません。非常に大ざつぱな一割乃至三割というような決め方でありますために根本的な態度としては地域給として扱う。そうして寒冷地の問題やその他物價の変動等についても、地域給というものが給與制度の中で、いかにあるべきかということは一つ根本的に考えなければならないということで、この問題を根本的に解決することは將來の全般的な給與制度の改正の方でやろうということで、これは一應政府側組合側も話がついておりますが、北海道の寒冷地手当につきまして実は一昨年これは正式にそういうことでやつたんではありませんか、事情もあつて支給した前例がありましたために昨年度も一昨年の例に倣つてやらざるを得ないということで、北海道については特別の石炭手当というものが與給されましたし、それに伴つて青森、東北、北陸その他冬期の平均氣温というようなものを参酌しまして、一應特別に寒冷地と認められるものに一定の範囲で、つまり地域給としてそういうものが根本的に決められるまでの一つの暫定的に本年度は出すというふうに話が決まつておるのでありますが、実は私その後具体的にどの地方にはどういう率で決まつたかというところまで最後まで聞いておりませんが、大体の経過方針はそういうことでございます。
  37. 奥むめお

    ○奥むめお君 新聞で見たところによりますと、全遞の婦人の人が爭議の一つの形態として、生理休暇を使つたということが出ておりましたけれども、あれはどういうなんだつたか伺いたいと思います。それから地方へ行きましてよくしばしば聞かされますのは、今度婦人が母性的な特別保護施設を持つたことによつて、これからの人員の整理又は事業場の縮小というような場合に女が一番先にああいう特別保護を持つておるために非常に困る。それから締め出しを喰う場合も、雇われようと思つても特別保護を持つておるために非常に狹められるし、なにされることが多いのだというような話をしよつちゆう聞くのでありますけれども、これは婦人局としてどういうふうに解釈しておいでになりますか、併せてお伺いしたいと思います。
  38. 山川菊榮

    政府委員(山川菊榮君) 只今の全遞の婦人部の生理称暇の話はどういうなんでございましようか。
  39. 奥むめお

    ○奥むめお君 この間中要求をして、闘つておりますね。二・八の要求に関連した問題です。あのときに婦人部の方は集團的に生理休暇という名目で欠席をして、そうして闘爭形体を取つておるということが新聞に大きく出ておりましたが、あれが事実かどうかということも私知らないのですけれども……。
  40. 山川菊榮

    政府委員(山川菊榮君) 私も新聞で見まして、その後実際に婦人労働課の方でどういうふうに調べておるか聞いておりませんが、それはまあつまりストライキの一種としてやつたものと思いますけれども、あの生理休暇の問題は方々で問題になつておりまして、あれを三日間有給で取ることを政府が認めて、そうしてそれが全國のいろいろなる事業でも認められておりますけれども、実際にはそれは取れない場合が多いのでございます。なぜと申しますと、あれを認めますと、その人員を三割乃至それ以上殖やさなければなりません。それでこの政府事業では、政府がそれを認めた以上は、政府が人員をそれだけ殖やす必要がございますからそれはこちらから申入れておりますが又組合によりましては、ああいうものを婦人が特に取ると、一方で男女同権といいながら、又一方でいろいろな保護法規を要求して、そのために迷惑しておるということを言いながら、ああいう世界中に例のない特殊なものを要求して、婦人の職場を狹めることになり、自分たちも却つて働きにくくて困る、却つてそのために男の同僚との間に差別を附けられるということになる。一旦獲得したけれども、有名無実であつて而も自分たちに不利なものは返上してもつと基本的な同権を要求するという立場から、あれを一旦獲得したけれども返上しておるという組合もございます。私は基準法ができるときの事情を存じませんので、あれがなぜ基準法の中に制定されたか、ちよつと不思議に思うのであります。政府の方でも、あれを一般に認めれば三割の増員が必要である。婦人労働の方にも相当問題があるのですから、今後機会あるごとに再檢討するような傾向になりはしないかと思つております。私個人としては、あれを基準法で認めたときにどういう氣持で認めたのか、随分私共から見たら非常識のことのように思われるのです。それは私の個人的な意見です。  それから保護立法が婦人労働に及ぼす影響でございますけれども、これにつきましては、できるだけ失業を防止するように、そうして雇主の方で保護立法を口実にして婦人を締め出すことのないように、これは取締監督基準局の方の仕事でございますから、できるだけ基準局にお願いをしております。それから又基準局の見落しましたようなところは、私共の方で各府縣に調査員というものを置きますので、そういう人々によつてできるだけ又注意して貫いまして、そういう職員は、直接に基準局に勧告する権能は持つておりませんけれども、私共の方に報告をよこしますれば、又基準局の方にお申入をすることになつております。
  41. 原虎一

    委員長原虎一君) 他にございませんか……他にございませんと、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  42. 原虎一

    委員長原虎一君) 速記を始めて。一般調査の問題で地方の視察、現地視察調査等に参りたい御希望もあります。この問題については委員長に御一任願い、その時期、場所等につきましては追つて決定いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 原虎一

    委員長原虎一君) それではさように決定いたします。それでは本日はこの程度委員会は散会いたします。    午後三時二十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     原  虎一君    理事            堀  末治君            小川 久義君            栗山 良夫君    委員            千葉  信君            山田 節男君            川村 松助君            平岡 市三君            植竹 春彦君            紅露 みつ君            平野善治郎君            奥 むめお君            姫井 伊介君            穗積眞六郎君            松井 道夫君            中野 重治君            岩間 正男君   國務大臣    労 働 大 臣 米窪 滿亮君   政府委員    労働事務官    (労政局長)  賀來才二郎君    労働事務官    (婦人少年局    長)      山川 菊榮君    労働事務官    (職業安定局    長)      上山  顯君    労働事務官    (労働基準局    長)      江口見登留君   説明員    労働統計調査局    長心得     金子 義雄君