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1948-07-04 第2回国会 参議院 予算委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月四日(日曜日)    午後四時二十四分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十三年度一般会計予算内閣  送付衆議院送付) ○昭和二十三年度特別会計予算内閣  送付衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。分科会の御報告を願います。第一分科主査岡本愛祐君。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 予算委員会第一分科会審査を付託せられました案件は、昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算皇室國会、裁判所、会計檢査院総理府、法務府、大藏省、他分科所管外に属するものであります。これら付託せられました予算説明は省略させて頂き、直ちに分科会における主なる質疑應答内容を御報告いたします。  先ず会計檢査院予算審議に当り、前年度予算に比し増加した旅費一千四百五十七万円に関連し、一委員質問に対し、政府委員から、旅費予算の増加により、実地檢査のための職員出張延日数は前年度の二万四百日から四万日に増加し、会計実地檢査も相当普及せしめ得るに至りましたが、職員地方出張に際し、御指摘のごとき忌わしきことなしとしないので、当局者といたしましては、新規採用職員等に対し十分の訓練を施しますと共に、官紀の粛正を図り、会計檢査の信用を維持することに努めておりますとの答弁がありました。  又大藏省予算審議において、一委員より、二十二年度農村における農業所得査定方に関しいろいろ問題の起つた関係から、大藏省においては二十三年度農業所得に対する所得税見積り内輪計上せりとの声を聞くが事実如何との質問に対し、政府委員より、農業所得見積りについても各種資料から適当に算出したのであつて、特に農業所得限り内輪に見積るがごときことはありませんとの答弁があり、又二十二年度所得申告納税制の不成績に鑑み、新たに官民の間に團体的の中間諮問機関を設け、國民が納得して税務署査定に服するようにすることを考慮していないかとの質問に対し、中間團体的諮問機関は弊害を伴う点もあるので、制度として設けることは考慮していないが、併し各種公共團体職業團体等連絡を図ると共に、大藏省及び財務局國税査察官を設け、全國的にこれを活用し、又三財務局、四十七税務署を増設して課税の適正を期せんとしておりますとの答弁があり、又税務官吏待遇改善及びその補充状況如何との質問に対し、待遇については特別の職階制を設けることとし、又設備等にも改善を加えた関係上、目下七万人の税務署定員に対しその七割四分五厘を充足し得たとの答弁がありました。  又皇室費については、内廷費以外に生ずる皇室私的收入地方巡幸費等に関して質問があり、政府委員よりそれぞれ説明的答弁がありました。  又総理府予算審議において、警察費支弁につき國と地方との負担関係に関する質問に対し、関係政府委員より警察費支弁は、國家地方警察國庫負担とし、自治体警察地方自治体において負担することを原則とするも、警察法附則八條により、自治体財政の確立さるるまでは、経過的措置としてその分担関係を從來通り継続することとし、即ち警部補以上の者の給與等全額國庫負担巡査部長以下の者の給與等は、その半額を國庫負担とするのである。而して二十三度予算編成の建立としては、七月より自治体財政が確立せられるものとして、警察費を七月より國及び地方自治体分担原則によらしむることとしているのであります。尚消防制度改正に伴う経費の國、地方分担関係警察の場合と同様に処理せらるることとなつております。以上のことを予算書について見ますと、地方警察費として計上された二十八億九千七百余万円の中、十五億七千七百余万円は本年四月より六月までに、警察及び消防費として國庫より地方に交付すべきものであり、残りの十三億円は二十二年度以前のものに対し、追加交付を要するものであります。七月以降の國家警察に要する経費は、予算書國家公安委員会國家地方警察本部國家地方警察管区本部、部活府縣地方警察本部警察教育費等國家地方警察費として四十四億四千百余万円が計上されております。又七月以降の自治体警察に要する経費は、各地方自治体歳出予算に計上せらるべきであつて、その財源地方分與金、國からの委讓財源等によるものであります。尚本年度地方財政の概算によれば、歳出一千九百八十一億円に対し、歳入一千九百二十五億円であつて、六十六億円の不足を生じますが、この不足経費節約努むることとし、尚止むを得ざる歳入欠陥については、金融的措置を考慮することになつております、との答弁がありました。  以上は本分科会における質疑應答の主なるものでありますが、その他につきましても、各委員より熱心なる質疑應答があつたのであります。かくして質疑を終り討論に入りましたところ、中西委員より日本共産党を代表し、二十三年度一般会計及び特別会計予算案に対しては、嚴しき批判を加えているのでありますが、本分科会に付託せられましたものについてももとよりその線に副つて批判を加えるつもりでおりますが、本予算は不当不健全なものであつて、何ら日本経済の再建に役立たないものと認め、これを返上するとの反討論が述べられ、次に櫻内委員より、軍事公債利子支拂の特例に関する法律案は、未だ本院を通過しておりませんが、若し万々一本案が通過したい場合には、政府はこれに対し適当な予算的措置を講ぜられるものとして、本分科会に付託せられました二十三年度予算案賛成するものでありますとの意見開陳がありました。以上の外に別段の発言もなく、討論を終結し、採決に入りましたところ、付託せられました予算案に対し、多数を以て衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。
  4. 櫻内辰郎

  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第二分科会報告をいたします。  第二分科会審査を付託せられました案件は、昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算中外務、文部、厚生及び労働各省所管予算に関するものであります。これら付託せられました予算内容説明は省略させて頂き、直ちに分科会における主なる質疑應答内容を御報告いたします。  先ず文部省所管予算について六・三制実施に当り教室不足のため小学校の二部教授に影響を及ぼしておるというが、実情はどうかとの質疑に対し、新制中学は科目も多いので二部教授をやることは困難であるが、小学校の場合においては低学年であるならば障害は少いので、現在二部教授をやつておる所もあると答え、更に委員より現在の二部教授は低学年だけに止まらないのではないかとの質問に対しては、実情をよく調査して合理的に行うとの答弁がありました。又災害学校建築費は四十七億の中に含まれておるかとの質疑に対しては、明確には含まれていないが、二億八千万円程度は使えるとの答弁がありました。更に本年度分数室建築後尚どの程度教室不足するかとの質問に対しては、約四万三千教室であるが、それは今後二十四、二十五、二十六の三ケ年計画でやつて行き、二部教授はできるだけ避けたいとの答弁でありました。又育英会について貸付資金金額資金貸出遅延事情事務地方移管可否等質疑に対しては、前年度貸付金は一億円、本年度五億五千万円、貸出遅延は手続上の点もあるが、昨年度は急激に増加した関係上、増額の申請と予算との関係で相当混乱したが、現在はほぼ整理ができた。次に事務地方移管については一昨年委せたのであるか、結果は面白くなかつたので、現在は中央において統一してやつておるとの答弁がありました。又育英会貸付資金はもつと増額できんかとの質問に対しては、そのように努力するとの答弁がありました。又授業料値上の根拠に対する質疑に対しては、政府側より或る程度物資騰貴に應じて学生にも負担して貰おうという趣旨であるとの答弁がありました。更に委員側より授業料増額伴つて育英会貸付額も当然増額さるべきではないかとの質疑に対しまして、政府側より授業料値上の金を育英会に向けるということは望ましくない、相当の支障が起るばかりでなく、官公私立を含んでおる育英会官立学校だけのものとの関係考え適当でないと思うとの應答がありました。  次に外務省所管予算におきましては、在外定員を将來の外交再開に備えるためとはいえ、研修所定員としてぼかして扱つておるのは不分明であり、不適当ではないかとの質問に対し本件大蔵当局とも相談の結果、在外公館がないのに定員だけを表面に出すのはおかしいという考え方から、こういう方法を採つておるとの説明がありました、委員側から事情は分るが、堂々とはつきり計上した方がよいとの注意があり、又在外邦人救恤費関係方面よりその支出を止められたなら当然予算より落すべきではないかとの質疑に対しては、金額は僅かでもあり、剩余金として年度末に処理する考えであるとの答弁がありました。  次に労働省所管予算については、委員側より労働省事務当局として生活安定、職業安定の見地から三千七百円ベースで足りると思うか、又労働省として賃金についてこの水準決定までに何らか努力したかとの質問に対し、政府側より労働省は他の官廳よりも労働者の味方に立つて考えておる。賃金の問題も一應はもつと高い案を提出したが、安本物價廳等から生必配給物資裏付勤労所得税大幅引下等理由であの標準に決定したが、将來インフレが更に進展すれば崩れることは当然で、又生必物資の確保がなければ安定はあり得ないとの答弁がありました。又公務員法改正の点についての質問に対しては、現在労調法において非現業の公務員罷業権がなく、且つ罰則もあるのだから、この際改訂する必要はないとの答弁でありました。又賃金制実施問題の質問に対しては、政府側より赤字企業に対しては賃金資材の面から統制が行われておるが、労働省としてはその意思はない旨の答弁がありました。その他失業救済等の問題に関して質疑應答が交わされました。  最後に、厚生省所管予算につきましては、児童福祉法実施に伴い事業内容如何との質問に対しまして、政府側より児童相談所二千万円、母子寮保育所五千万円、児童養護施設二千万円、計九千万円であると答弁がありました。又栄養調査内容に関する質疑に関しては、本調査は十七都道府縣に委嘱してなすもので、十七万人につき年四回に亘り一月の中三日間の食事を記載しその家族の身体的状態を調べるもので、これは現在外國輸入食糧基礎資料をなしておるとの答弁がありました。その他結核予防医藥品配給等につき質疑應答がありました。かくして採決に入り本分科会に付託せられました議案全部が多数を以て司決せられたのであります。以上を以て報告を終ります。
  6. 櫻内辰郎

  7. 西川昌夫

    西川昌夫君 第三分科会報告をいたします。  第三分科会審査を付託せられました案件は、昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算中農林、商工両省所管予算に関するものであります。これら付託せられました予算説明は省略さして頂き、直ちに分科会における主たる質疑應答内容を御報告申上げます。  先ず商工省所管予算についてでありますが、委員側より本年度出炭所要資材中、例えば坑木火藥等手当計画はできておるか。即ち北海道出炭に対しては坑木三百五十万石ぐらい必要であるが、地場の供給は二百六十万石程度とすれば八、九十万石の不足となる、これは内地から送らねばならんその場合の輸送船舶手当等準備はどうかとの質疑に対しまして、政府側より本件資金の面と、船舶の面とある。内地よりの運賃の差額は炭代に入れるとして、最初繋ぎ資金が三千四百万円乃至三千五百万円ぐらいを要す。これは日銀が復金から融資させる。船の方は林野局連絡ができているとの答弁がありました。又委員より三千六百万トン生産は、数量的に目標達成を希望するが、同時にカロリー引上についても善処を要望したい。当局において何らか対策ありやとの質疑に対しては、戰前は樺太、満洲等より良質炭の輸移入が多かつたが、戰後はそれが得られなくなつた。宇部、常磐は戰前水準に戻つたが、炭質のよい北海道、九州が六、七割の復旧なので、政府としてはこの地区の復旧に主力を注いでおるとの應答があり、又生活必需物資配給制度は変わるかとの質問に対しては、衣料はすでに改正実施し、その他のものは最小限二つのグループに分ける、即ち石鹸、マツチ等一般家庭に配給するもの、他は地下足袋、自轉車、タイヤ、チユーブ、学用ノート等特定のものに対して配給するものとであつて、これら二つとも準備都合もあるので、本年十一月から実施する予定であるとの答弁があり、更に農業会協同組合從來繊維製品報奨物資扱つてつたが、今度の改正で選挙で得票数が二千票に達しないと落ちることになつて資格を失い、取扱ができなくなつては、却つて農村消費者側に不便を與えることにならないかとの質疑に対しては、政府側より恐らく一村に一店はできるものと考えるから、そうした心配はないものと思う。店舗を無制限に殖やせない現在では止むを得ないとの答弁があり、次にアルコール専売費事業の前年度比較によれば、設備能力、当初計画等に比し、本年度計画は少な過ぎると思う。財源窮乏折柄当局はもつと増産に努めて財源に役立つようにしては如何かとの質問に対し、政府側より、原料入手、特に干甘藷の入手が困難で思うように行かんとの答弁があり、更に委員側よりそれは値段や技術の点もあると思うから、もつと研究の上善処せられたしとの要望あり、又ドル関係で貿易上隘路があつたが、今後はどうなるかとの質疑に対しては、打開方法として、(一)、ポンド地域一括決済、(二)、その他は共通決済、(三)、ドル地域輸出入アメリカ資金により交互計算による旨の答弁がありました。  次に農林省所管予算においては、委員側より開拓地農民に対しても農業協同組合の組織を作る考えはないかとの質問に対し、政府側から開拓地農民はまだその基礎薄弱のため特別の措置を必要とする関係から、今のところ既存農民間にできる農業協同組合のごときものは作る意図がないとの答弁があり、又委員側より土地改良補給金支給率減少される話があるが、既往のものに対しても適用されるのは困ると思うが、眞相はどうかとの質疑に対し、政府側より本年度財政上の理由から既往のものに対しても適用されることになつておる旨の應答あり、その他造林証券農民資金関係等について質疑應答が交されました。  かく討論に入り、農林省並びに商工省からの資料の提供に不十分、不満の点の意見開陳が各委員よりありましたが、結局採決に入りまして本分科会に付託せられました議案全部衆議院送付通り多数を以て可決されたのであります。以上を以て報告を終ります。
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 第四分科主査村上義一君。
  9. 村上義一

    村上義一君 それでは私から第四分科会に付託されました運輸逓信両省に関する昭和二十三年度予算案審議経過並びに結果を御報告申上げます。  去る六月二十四日より、分科会及び運輸通信委員会との連合委員会を開きまして、慎重に審議したのでありますが、これらの予算内容説明につきましては、他分科会同様時間の都合上省略させて頂きまして、直ちに分科会並び連合委員会予備審査における質疑應答の主なるものを御報告いたします。  先ず逓信省所管予算につきましては、通信事業業種別原價計算による收支はどうなつているかとの質疑に対し、各業種別收支を区分することは困難でありますが、大体において通信事業部門電信関係は約四十一億円の赤字でありますが、電話関係で約四十二億円の黒字となりますので、彼此相殺されることになりますが、郵便事業部門では約四十七億円の赤字となりますので、他の赤字と合せて一般会計より五十億円の繰入れを必要といたしますとの答弁がありました。又人件費節約をなし、料金引上倍率を下げるべきではないかという質疑に対しまして、予算定員は昨年度に比べて約六万人減少しておるのであつて実在人員は三月末においてすでに約千三百人超過しておりますので、配置轉換等により人員減少に努力しておりますが、労働基準法等との関係もあり、これ以上予算定員減少することは困難であるという答弁がありました。又通信事業経営機構を能率的に、根本的に改革する意思はないかとの質疑に対しまして、機構そのものを改革するよりも、むしろ運営方法改善することによつて、非能率的になり勝ちな官業の弊を是正するつもりでありますとの答弁がありました。  次に運輸省所管予算につきましては、何故コストを無視して旅客貨物運賃引上を同率にしたかとの質疑応対し、貨物運賃コストまで引上ぐることは、物價政策インフレ政策との関係上面白くなく、又旅客運賃コストに止めますと多額の赤字となりますので、貨物運賃は三・五倍程度に止め、赤字の一部を租税負担によらず、國鉄旅客施設利用者に負担して貰うよう調整したためであるという答弁がありました。又鉄道用炭炭質を向上すべきではないかとの質疑に対しまして、現在平均五千四百カロリー程度のものを使用することになつておりますが、七月以降これを五千六百五十カロリー程度引上げて、消費量約六%、四十万トンを減少と、十二億九千万円を節約するよう現に檢討中であるとの答弁がありました。又旅客輸送に関し、サービス改善をなすべきではないかという質疑に対しまして、列車速度の調節によつて七月一日からダイヤ改正をなす外、車輌の整備その他によつて、一層サービス改善に努力する考えであるという答弁がありました。  更に本日、衆議院より送付を受けました修正予算案審議に入りましたが、別に格段な質疑もなく討論に入りまして、一委員から、國家財政現状等から見て、原案程度運賃料金引上は眞に止むを得ないとの賛成意見があり、又他の委員より、原案には賛成であるが、これが実施に当つては、委員会等における希望事項を十分に誠意を以て実現せられたいとの意見がありました。  かく討論を終りまして採決の結果、全会一致を以て衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。簡單ながら以上御報告申上げます。
  10. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 分科会主査報告に対して御質疑はございませんか……御質疑はないものと認めます。  この際申上げますが、御通告によりまする質疑は大体終了いたしておりますが、一、二残つておりまするので、只今大藏大臣出席を求めておりまするが、衆議院の本会議の議場で決選投票があるということで、それが済み次第こちらへ來るということでありますから、さよう御承知を願います。  大蔵事務当局に対しての御質疑がありましたら、この際御質疑を願いたいと存じます。
  11. 中西功

    中西功君 議事進行について……。尚安本長官、それから加藤労働大臣、それから行政整理の問題については、その責任官省大臣、まだ十分結論を聽いていないのでありますから、それも序に呼んで頂きたいと思います。
  12. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 若し事務当局に対する御質疑がありませんければ、大蔵大臣が御出席になりまするまで休憩いたします。    午後四時五十八分休憩         ―――――    午後五時三十七分開会
  13. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。(「簡單に願います」と呼ぶ者あり)先程も申上げましたように、大体の質疑は終つておりますが、一、二の方が残つていますので、この際質疑を願います。中西功君。(「簡單にやれよ」と呼ぶ者あり)
  14. 中西功

    中西功君 大藏大臣に一つお聽きしたい点は、この度の予算審議における政府資料提出問題でありますが、財政法第二十八條には、「國会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」というふうに規定して、以下九項目があるわけであります。これはすでによく御承知通り歳入予算明細書各省各廳の予定経費要求書及び國庫債務担行爲要求書を初めとして、國が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前々年度、前年度及び当該年度状況に関する調書國債及び借入金の状況に関する前前年度末における実績並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込及びその償還年次表に関する調書國有財産の前前年度末における現在高並びに前年度末及び当該年度末における現在高の見込に関する調書、こういうふうなものが義務的に政府として提出しなければならないという規定があるわけであります。ところが今私が読上げました問題については、特に後三項目について読んだ点については、実際は提出されていない。その他我々がこの予算審議において要求したいいろいろの資料は、まだ必ずしも十分に提出されていない。こういうふうな状況なんであります。本会議で蔵相は國会審議権を侵害しようなどとは決して考えていないというふうなお話でありましたが、侵害云々じやなくして、政府がなすべきことを今までしていないということは事実だと思うのであります。こういう問題に対して大蔵大臣は一体どんな考えを持つておられるか、或いは又どんな責任を取られるか、もうすでに予算審議は今日で終ろうとしている。だのにまだ出ないのです。その点を先ず最初にお聽きして置きたいと思います。
  15. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。只今指摘になりました財政法の第二十八條には、一号から九号まで政府が提出しなければならない書類を列挙してあるのでありますが、これは全部取揃えて出しますべきは当然でありまして、印刷その他について大量になつているのでありますが、只今提出いたしましたのは、三、四、五、六、七、九と、それだけは提出しまして、残り一、二、八につきまして非常に急いでいるのでありますが、まだ少し遅れまして、甚だ恐縮いたしております。仰せの通りでありまして、全部取揃えて提出いたすべきは当然なんでありますが、これが一部印刷等都合で少し遅れまして甚だ恐縮に存じております。尚御指定のありました資料につきましては、急いで作成いたしておりますから、成るべく早くお手許にお届けしたいとかように考えております。
  16. 中西功

    中西功君 実は我々が貰いましたこの予算定員実員との表についてでありますが、これも実は最近やつとこさで提出して貰つたものであります。この結論を見ますと、これは一般会計におきまして予算定員が二十二万二千七百人となつております。実員が十九万六千百人となつているわけであります。ところで今二十二万二千七百人を政府の言われる通りに二五%に切りますと、簡單計算でありますが確か十六万六千人ぐらいになると思います。そういたしますと、実在定員の間に約三万人の実際上の馘切りがこれで予定されるわけであります。今まで我々はこの実情はつきり知るために、この資料の提出を要求しておつたわけでありますが、この問題について二つ政府側意見があります。加藤労働大臣は決して血を流さない整理だというふうなことをはつきり言つておりますが、船田國務大臣はやはりこれによく似た数字二、三万は切ることになる、こういうふうな説明でありまして、実際においては船田國務大臣の方が数字的には正しいわけであります。それで加藤労働大臣が言つておりますのは、官公廳労働組合馘切りをしちやいけないという要求をこのたび團体交渉に出しましたことに対して答えて、決して血を流すようなことはしないのだと、こういうふうな答弁なりでありますが、この点について私政府側はつきりした意見を聴いて置きたいと思うのであります。
  17. 北村徳太郎

    中西功君 実は我々が貰いましたこの予算定員実員との表についてでありますが、これも実は最近やつとこさで提出して貰つたものであります。この結論を見ますと、これは一般会計におきまして予算定員が二十二万二千七百人となつております。実員が十九万六千百人となつているわけであります。ところで今二十二万二千七百人を政府の言われる通りに二五%に切りますと、簡單計算でありますが確か十六万六千人ぐらいになると思います。そういたしますと、実在定員の間に約三万人の実際上の馘切りがこれで予定されるわけであります。今まで我々はこの実情はつきり知るために、この資料の提出を要求しておつたわけでありますが、この問題について二つ政府側意見があります。加藤労働大臣は決して血を流さない整理だというふうなことをはつきり言つておりますが、船田國務大臣はやはりこれによく似た数字二、三万は切ることになる、こういうふうな説明でありまして、実際においては船田國務大臣の方が数字的には正しいわけであります。それで加藤労働大臣が言つておりますのは、官公廳労働組合馘切りをしちやいけないという要求をこのたび團体交渉に出しましたことに対して答えて、決して血を流すようなことはしないのだと、こういうふうな答弁なりでありますが、この点について私政府側はつきりした意見を聴いて置きたいと思うのであります。
  18. 中西功

    中西功君 ちよつとおかしいのでありますが、人件費を一割五分削減するためには予算定員の二割五分を落さなければならんというふうに、我々は今まで説明を聽いているわけであります。ところが今の大蔵大臣説明ではただ一割五分切るだけだというお話でありますが、どちらが本当なのかもう一度お聽きしたいと思います。
  19. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答えいたします。申上げた通り一割五分でございまして、二割五分ではございません。
  20. 中西功

    中西功君 そうすると船田國務大臣は、我々にそう説明したのでありますが、それは誤まりだというふうに確認してよいのですか。
  21. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 私共は財政当局といたしましては人件費の一割五分を切るということを決定いたしまして、それを実行いたしているのであります。
  22. 中西功

    中西功君 それが人件費の一割五分を切る。それはもう一緒なんです。切るためには予算定員の二割五分を落さなければならないというのが、今まで我々が聽いた説明なのであります。ですから人件費を一割五分を切る。これは同じことなのであります。だが退職金とか何かがありまして、人件費を一割五分切るために予算定員の二割五分を切らなければならない。こういうのが今までに受けた説明なんですが、もう一度それじやはつきりいたして置きたいと思います。
  23. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 二割五分という数字がちよつとよく分りませんが、片山内閣時代に一應二割五分天引で行こうという話がございましたので、或いはこのことでこんがらがつているのじやないかと考えるのであります。大蔵当局といたしましては、申上げた通り金額の上で一割五分の削減であつて、それは人間の頭数で二割五分という考えでいたしておりませんのであります。
  24. 中西功

    中西功君 これはえらい違いなので一割五分、二割五分というのは……この前木村さんそうでしたね。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうです。
  26. 中西功

    中西功君 退職金などいろいろ入つておりまして、二割五分切らなければ、一割五分は出て來ない。これは困つたなあ。
  27. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 他の問題で……
  28. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 二割五分というのは只今大臣から申上げました通り、片山内閣当時出た数字であります。それから現内閣といたしましては人件費を一割五分減らす、こういうことになつているのですが、併しこの行政整理をやることになりますれば、行政整理の際に特別の退職金を出すというのが從來の慣例です。そこでこの際辞めたいという人が出て來るのじやないかという場合があり得るので、一五%という結論を出す前において、さようなものをどう扱うかというお話があつたわけなのであります。この際行政整理ということにいたしまして、そうして希望者はこの際辞めて頂いて退職金も出すというような措置を取つたらどうかという話もありましたが、そこでそういうようなことをいたしますと、場合によると二五%ぐらいな、やはり片山内閣当時の数字的なものが出て來るのじやないかという話もあつたのであります。併しながら結論といたしましては、さようなことは只今考えていないのでありまして、要するに人件費を一五%減らすということになつて來るわけであります。さよう御了承願います。
  29. 中西功

    中西功君 だから人件費を一五%減らすということは、何も私それについて問題にしているのじやないのです。だけれども人件費を一五%減らすためには退職金、その他いろいろこれを算入しなければならないので、結局予算定員の二五%は切らざるを得ない、こういうことになると今まで聽いておるわけですが、そういう説明を我々受けておるのです。で、それだからいわゆる流血という問題か直接にこの数字の上にも出て來るわけであります。でないと大藏当局としては、そういうふうにただ俺の方は予算定員人件費の一五%、加藤労働大臣はいや流血はいたしません、船田國務大臣は二、三万は切らなければならんと思います。こういうふうにまちまちに答弁されておつたのじや全く困ると思うのです。大藏省としてはただもう自分の管轄は金をいじるだけだから、一五%減らすということだけしか知らんというのでは実際困ると思うのです。今までの政府答弁が大体そういうふうな調子なんで、私は実にいかんと思つておるのですが、今日は最終質問なんで、この問題についてはつきりしたことを聽きたかつたのであります。これはもう決して小さい問題じやないのであります。ですから何とかもう一度政府側はつきりしたことを一つここで答弁願えるようにして貰いたいと思うのであります。  それからもう一つ簡單なことでありますが、價格調整費の見積り、即ち五百十五億というものは現在の政府のやり方で行けば、これは少いのじやないかと我々は想定する、思うのですが、で実際の問題として勿論この際企業を本当に健全化するという政策を採られれば、それはもつと別の見通しが立つと思いますが、今の惰性で行けば、これは大きな穴を出すと私達は考えるのでありますが、その場合その赤字復金融資の方で大体賄われるのではないかと思うのであります。で、この復金融資について、今まで赤字融資ということが相当なされております。現にこの第一四半期の石炭に対する融資計画というものを見ましても、まだそこには相当あれが載つております。赤字的なものが載つておりますが、大蔵大臣にお聴きして置きたいのは、復金融資については大体もう一態物價改訂の結果として、赤字的なものの融資はしなくてもいいという見通しをはつきり持つておられるかどうかという点なのであります。この点簡單でよろしうございますが、お聽きして置きたいと思います。
  30. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 今回の價格補給について、大体主要な、それに関係のあるのは赤字は解消することに相成りましたので、これで赤字はまあこれから出ないものと、そういう方面に持つて行くことを努力いたします。そうあるべきだと考えております。それから復金の融資につきましても、これは原則として將來赤字融資はしないようにしたい、と申しましても、末だ安定せざる経済の状態でございますから、いろいろの観点から絶対に赤字融資は一文もしないということをここでお約束するわけに行きませんけれども、赤字融資は極力避けて、原則としてやらないという建前で行きたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 中西功

    中西功君 序にこの融資の問題でありますが……違います、借入金或いは一時借入金の問題でありますが、これには相当の額があるわけであります。この一時借入金或いは借入金というものが、結局は日銀券の増発になつて、そうしてその紙幣が流通界に氾濫するという部分が相当あると私は思います。今までの政府側のあれでは、そういうものは殆んどインフレになる要因として挙げられないと思うのでありますが、この点について大藏大臣はどう考えでおられるか、それをお聴きして置きたい。
  32. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今指摘の金融は、これは運轉資金的なものでありまして、勿論米を背景として、それからその年度内に決済をするという、極めて短期間の運轉資金でありまして、從つていわゆる赤字金融とは全然本質を異にしております。從つてこれによつてインフレがどうということにはならんと考えておる次第であります。
  33. 中西功

    中西功君 実際は食糧証券の問題でありますが、この度食糧証券は千二百億の限度で発行が許されることに法案が通つております。そして事務当局説明では最盛期におきましては一千億近いものが、資金が出ることになつておりまして、年度末におきましては、現在のこの数字と比較いたしますと、年度末大体三百五十億以上の増発といいますか、資金が殖えるわけになつております。こういうのが、明らかにこれはインフレの促進といいますか、通貨の増発だと思うのであります。食糧証券それだけを見ても、政府計画の中に三百五十億だけの増発が見込まれておると見えるのでありますが、これは單に食糧証券だけじやなくて、その外の問題でも同じだと思うのであります。こういうふうな大体の歩合くらいは紙幣増発として見込んでも当然じやないか、政府当局見込まれておるのじやないかと思うのですが、その点如何ですが。
  34. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 食糧証券に関しましては、只今まで大体一般銀行で消化いたしております。地方銀行等において調達いたしておりまして、これは從つて國民貯蓄において吸收されておるわけであります。でありますから、日本銀行から、赤字公債を日本銀行に持ち込んで、それで通貨を発行するのとは違うのでありまして、ただ時期等によつてインフレを起す可能性がございますので、時期の調節については十分警戒をしながら処理をいたしておる次第でありまして、食糧証券といたしましては、申上げますように、全部市中銀行の消化に俟つというような方法を取つております。
  35. 中西功

    中西功君 新らしい修正予算ではいろいろ運賃の收入なんかにおいても修正されておりますが、六月十五日からなされる物價の値上げが多少遅れたというふうなことを勘案されて、價格調整費の方の修正はする必要はないとお考えなのか。実際はなされていないわけでありますが、そういう点はどうでしようか。
  36. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) ちよつと失禮ですが、御趣旨がよく分りかねたのですが……
  37. 中西功

    中西功君 新らしい修正では物價関係の收入の面だけは皆調整されておるわけです、即ち改訂期が遅れました結果……ところが價格調整費の方はいわゆるその物價改訂期が遅れたということによる調整はないわけなのですが、その点はする必要がないのか、ないとするならばどういう理由でなさらなかつたのか。
  38. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) これは主として物價関係でございますから、物價廳より御答弁申上げることにいたします。
  39. 野田信夫

    政府委員(野田信夫君) お答え申上げますが、時期がズレましたために、調整費の方に最初の予想とは変化が生じたのであります。併し一方價額調整費の内訳がまだ安定帶物資の一部分……肥料でございますが、各種の化学肥料の交渉が纏まりませんでおりますので、全部が多少今後も動く可能性があるかと思います。調整をいたしつつ各物資への補給を考えて参るような次第であります。
  40. 中西功

    中西功君 最後に大蔵大臣に対して質疑をしたいのは、今後イロア・フアンドとか何とかいう形で外資が入つて來ます場合に、そういうふうな外資、これは米ドルじやないかと思いますが、円としてそれが動いて行く場合にどういうふうな会計として組んで行かれるおつもりがあるのか、その点をお聽きして置きたいと思います。
  41. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。只今質問の点はまだ実は決まつておりませんのでありますが、いろいろ研究をいたしております。多分貿易資金特別会計で処理するというような方法になるのではないかと思つておりますが、まだ確定はいたしておりません。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の價格改訂のズレによる慣格差補給金が不足しておる部分についての然るべき調整をするというお話でありますか、これは結局それが足りないと安定帶物資の公定價格の引上げをもつと多くする。そこまで調整するという意味でございますか。
  43. 野田信夫

    政府委員(野田信夫君) 改訂が遅れればむしろ補給金の枠は樂になるのであります。つまり今度値上りするだけ遅れるのでございまして、補給金の粋は樂になるわけでございまして、引上げることはありません。
  44. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 大藏大臣に、これはこの前の引掛かりですが、終戰処理費の資料を頂くことをお願いしまして、その後大蔵大臣が出して呉れるという約束だつたのですが、その後の話ですが、大藏省事務当局の方から終戰処理費に関する資料は出せない、こういうような話があつたのでございます。大臣の方からは出せないとも出せるとも言うて來ておりませんが、併し出せないというのは一体どういう限度において出せないのか私は分らんでございます。これは私が聽こうとすること、見たいと思うことは占領軍の機密に関することを聽いたり見たりしたいということを申出ておるのではないのであります。この予算に関することを知りたいがためにお願いしておるものでありますし、且つ日本の官吏が知つておることを國会員が知つてはならないという、そういう機密はあり得ないと、こう考えますので、やはりこれはお役人さんの知つておるようなことは國会の方に知らしめるように資料の提供をお願いしたい、こういうふうに考えるのであります。  もう一つの問題は、先日私の質問に対して大蔵大臣は、支出は出來高拂だ、こういう答弁であつたのであります。ところがその後私新聞か何かをあさりますと、八〇%の概算拂であります。こういうふうに私はこれはよその方から、新聞紙上等で承知したわけであります。概算拂か出來高拂かというのが重要なことであつて、私はそれをお伺いしたところが、出來高拂だと、こういうふうな答弁があつたわけであります。概算佛になると相当これは又違うのでありまして、この点について一つ、以上二つの点をお伺いいたします。
  45. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今質問の中の第一点は終戰処理費の内訳を先般お配りいたしたそうであります。それについて御覧を願いたいと思います。或いは資料が足りないということでありますか……  それから第二の点につきましては政府委員より御答弁申上げます。
  46. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 終戰処理費の支拂につきましては八割までは概算拂ができることになつております。併しながら八割まではしていないのでありますから、それ以上のものにつきましては出來高に應じまして支拂をいたすというふうにいたしております。
  47. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 資料の問題でありますが、私共が頂いた資料は読んでおります。その上で大蔵大臣質問を申上げて、更に詳しいことをお伺いするわけだつたんです。その資料大蔵大臣は出すと言われた。だが事務当局の方では都合が惡いと私の方へ断つて來ております。そこで只今のお伺いを私は大藏大臣に対して奉つたわけであります。(笑声)こういうふうにして頂きたいのであります。決して私は頂いておるものを頂いておりませんと言うておるのではないのであります。もう一つ概算拂と出来高拂の問題でありますが、私は先日お伺いしておるのは、概算拂と精算拂の関係を檢討したい、こういうことを申出ておるのであります。ですからこのことは單の機密にも何にも関係ないのであります。若し機密に関係するというならば請負師の機密に関することであつて、何ら連合軍に関係のないことである。これは早速出せることであると私は思うのであります。
  48. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私も調査について御質問をいたしたいと思います。先般政府の出先機関に関して、出先機関の名前を列挙して、その例挙した名前について一級官、二級官、三級官並びに人件費というものに対しての表を至急出して頂くようにお願ひしてあるわけであります。ところが現在まだ配付になつておりませんので、この際どうなつているか、その配付して頂ける期限をはつきりお伺いいたして置きたいと思います。
  49. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。只今質問の点は資料お出したのでありますが、行違つたんじやないかと思います。出した資料はここにあるのでございますけれども、衆議院の方は確かに廻つておりますが、或いは手違いがあつたのかも知れませんが、作つたことは作つて提出いたした筈になつております。できております。この通りあるのでありますから、まだお手許に届いていなかつたら行違いがあつたんじやないかと思います。直ちに調べることにいたします。
  50. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 大体質疑も出盡したと思いますので、如何でしよう、ここらあたりで質問を打切られては如何かと思いますので、動議を提出いたします。    〔「賛成」、「答弁が残つている」と呼び、その他発言する者多し〕
  51. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 村尾君の動議に御賛成ございますか。(「反対々々」、「賛成々々」と呼ぶ者あり)  それでは動議が成立いたしました。(「反対がある」と呼ぶ者あり)お諮りいたします。質疑を終局するという動議が成立いたしました。採決をいたします。(「反対がある。」と呼ぶ者あり)村尾君の動議に賛成の方の御起立を願います。    〔起立者多数〕
  52. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数であります。質疑は終局いたしました。(「答弁が残つておる」と呼ぶ者あり)    〔小野光洋君「通告してある質疑もそのままにしておいて、質疑を終局させるのは怪しからん、言論の圧迫だ」と述ぶ〕
  53. 一松定吉

    國務大臣(一松定吉君) 私は皆様がこの予算案を御採決なさいまする前に、一言私からのお願いを申上げて置きたいのであります。それは外でもございません。この軍事公債利拂延期の問題に関係いたしまして、建設院総裁という建前から、一つ皆様にお願いを申上げて置きたいのであります。(「そういう発言は動議が済んでから……」と呼ぶ者あり)採決がなければ、その前に政府はいつでも意見を述べることができるのだから、その建前において意見を述べておるのであります。  それでこの問題につきまして、御承知のごとく民主党並びに社会党方面において、いろいろな問題のありましたことは、私がここで申上げるまでもありません。こういうような結果、御承知のごとく一年この利拂の延期をするということになりまして、そうしてできましたその余剰の財源が十五億という金がそこに産み出されることになつたのであります。この十五億の金を巡りまして、私共はこれを何とかして……若しこれが議会を通過するならば、この十五億の金を有効適切に使つて、そうしてこういうような世間の非難のあることを、禍を轉じて福となすという方面に、これを使いたいといろ建前から、この十五億円の金を、先ずその中の七億円というものを水害復旧工事費に使つて頂かせたい。そうして五億というものを今日地方が非常に財政難に陷つておる時における六・三制にこれを使わせて頂きたい。残りの三億をいわゆる厚生省所管に係わる海外引揚者の諸君のための住宅並びに國民健康保險等において、この最も有利なるところの施設が、今日では甚だ粗漏に流れつつある。これがために衛生上非常に不都合であるという建前から、その方面に三億を使わせて頂きたいということで、これがこの予算の中に盛られまして、そうして私共の、特に建設院方面についてのみ私申上げますが、私の方のこの河川の災害の復旧費が六十二億四千七百万円ということになつてつたのでありますが、これに只今申上げました七億を加えまして六十九億九千七十八万五千円、こういうようなことに査定せられたのであります。それでも併しながらこの災害復旧につきましては、各地から非常な陳情を受けまして、例えば利根川、北上川、或いは最上川、その外渡瀬川、或いは大和川、淀川、木曾川、筑後川、吉野川という方面から非常な陳情を受けまして、何とかしてこれらの陳情の趣旨に副うて災害の復旧をいたしたいと考え、これらの予算の獲得に努力いたしておつたのでありますが、幸いにこの七億の金を頂戴するということができるということになりますれば、それで容易になるということになりますから、非常に喜んでおつたのでありますが、併しながらこれでも足りない、何とかしてこれらの点を再考したいと考えておりましたときに、予算の編成替えをするということを聞きましたので、その方面に尚要求いたしました結果、この五億円の組替えの金を、災害復旧に使わして頂きたい。かようになりまして、五億の中の三億七千三百万円というものを、こちらに使わして頂くことになりました。但しそれでも災害復旧は足りません。そこで予備費の残りました十億の金を、厚生省の災害復旧に優先してこれを充当するという閣議で了解を得て、今日私共各地の災害の陳情に向つて、思うだけの補給はできませんにしても、これらのことに向つて進もうという建前になつておるのであります。若しこれが不幸にして、この点が容認されないということになりますると、災害復旧のいわゆる七億円が、この方面に使うことができないということになるのでございます。そこでそういうことになるならば、代り財源として何らかの方法において補給ができるのじやないかということになりますが、それはできます。できますが、それについては財源を見出さなければなりません。その財源は即ち公衆にやはり負担を掛けることになるのでありますから、この十五億の金を軍事公債を持つておる人に支拂うということの利害、それからこの代り財源を求めて、公衆に負担せしめる利害と、どちらが國家國民によろしいかということを御檢討願いまして、これらの御審議に当つて頂きたい。と言うのは、これら地方の災害復旧の非常に熱心なる陳情について、幾分でもその陳情を充して上げたいという建前で、私の立場を皆様に訴えまして、この審議に御檢討を賜わりたいということをお願いいたす次第であります。(「筋が違う」と呼ぶ者あり)
  54. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 只今大臣の御意見に対して伺いたいと思います。若し軍公利拂延期の法案が否決された場合には、代り財源を求めたらいいじやないかと言うか知れないが、代り財源を求めるにはその財源がないと、こうおつしやいましたが、絶対に代り財源はございませんですか。
  55. 一松定吉

    國務大臣(一松定吉君) 代り財源がないと申すのではありません。代り財源を、そこに生み出すということになれば、それらのものはやはり國民多数の人に負担を掛けることになる。故にその國民多数に負担を掛けるということと、軍事公債を持つておる人に、その利拂いをするということとが、いわゆる大所高所から見て、どちらがよろしいかということを、政治家の立場から御檢討願つて善処して頂きたい、かようにお願いするのであります。
  56. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今どういう機会で、一松國務大臣が御発言になつたのか知れませんけれども、軍公利拂停止の宣傳のために、いろいろその金を使う効能を述べられたと考えるのであります。勿論人にやらずにどこへでも使わせる、そういう結構なことはないのでありまして、そういうことをすれば幾らでも、どんなことでもできます。國家の歳出というものは法律によつて拂う、契約によつて拂うものは、先に拂わなければならんものです。それを政府において、その金を一方へ持つて行くということは、國家の力で以て人の所有権を侵害することです。私は戰さのために使つた金であるというので、ひどい目に遭つて、この公債に應じたものを止める以上は、その金はよろしく國民の苛斂誅求の負担を減すのが先決だと思う。そうしないで、いい氣になつて方々へ配ることは、甚だ財政上困つておる、我々はその点においても非常に不満を持つておる。況んやそれ程國家が正面切つて支出しなければならん金があれば、よろしく財源を作つて拂うべきが当り前である。拂うべき金を拂わないで、そういうところに向けるのは非常に乱暴な財政の一つの革命的の、変態的の処理と我々は非難しなければならない。我が國の財政をさようなことをして、そうして信用を害するということは、この際我々として断じて取るべき方途でないと思いますから、厚生大臣が余り効能をお述べになると却つて逆効果を來しますから、お愼しみになつた方がいいと思います。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  57. 小畑哲夫

    ○小畑哲夫君 先程村尾君の緊急動議が成立して、委員長において採択されたものと私は思います。
  58. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 宣告いたしました。
  59. 小畑哲夫

    ○小畑哲夫君 議事進行をその線に沿つてつて頂きたいと思います。
  60. 小野光洋

    ○小野光洋君 私は只今文教委員会において審議を継続しております教育委員会法に関する予算の点で大藏大臣質疑をする通告を昨日からいたしてあるのでありますが、今日も他の委員質疑のために延びてしまつたのであります。然るに突如として質疑打切りの動議が成立いたしまして、この質問ができなくなつたということは、恐らく教育委員会法の今後の進展にも重大な影響を來すと私は信じます。殊に教育委員会法の問題は六・三制と同様に、地方財政負担に重大な影響があるのであります。特に教育委員会法が本年七月から実施になるというのに、本國会において何ら予算の計上なくして行うということになると、約十億に余るところの地方財政の負担が当然掛かつて來るのであります。この点について私は大蔵当局の意向を質したかつたのであります。これを取消しになるということになると、私は少くとも予算委員として、而も文教関係委員としてその職責を盡すことができなくなるのでありまして、誠に遺憾に存ずる次第であります。只今動議が成立いたしたと申しておりますが、併しこの問題については一應それを撤回して頂きたいと思うのであります。
  61. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今小野君より撤回して貰いたいという御発言がありますけれども、すでに動議が成立して、そして質疑は終局したと宣告した以上は仕方がないと存じます。
  62. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 只今小野君から非常に重大な問題について質問をしたいということを通告をして、それを委員長は無視して動議を取上げられた。私は本日の審議の模様から見まして、一部の人にだけ質疑を許して、我々特に政府のやり方に対して國民を代表してこれを監視しなければならん野党の立場にある者に殆んど質疑の機会を許さず、この動議を委員長がお取上げになつたことは片手落と思います。その点について委員長責任を問います。    〔「ノーノー」と呼ぶ者あり〕
  63. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 左藤君に申上げます。只今村尾君の動議があつて、それに賛成者があつたのですから委員長としてこの動議を取上げなければなりません。從つて動議を取上げ、多数で以て質疑は終局すべしと決まつて委員長はさように宣告したのでありますから、私はそれは適法にやつたと、こう確信いたしております。  これより討論に入りまするが、先ず修正案が出ておりまするし、それから予算の返上案が出ておりまするから、それを逐次お述べを願いたいと思います。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は本予算案に対しまして反対の態度を取る者であります。與党である社会党の一人でありながら、この予算案に反対しなければならないということは、非常に私の遺憾とするところであり非常に不幸とするところでありまするが、これまで予算案審議した結果、どうしてもこの予算案では我々は賛成することができないという結論に到達したのであります。  その反対論の論点の要旨は四つでありまして、その第一は、この予算案原則として物價引上を前提としている点であります。二十三年度予算編成につきましては、その前提として物價を大幅に引上げるべきか、或いは物價を引上げずに行くべきかといろいろ論議があつたと思いますが、政府提出及び三派協定よつて修正されたこの予算案は、その中間を行つて物價改訂と、それから價格差補給金、この二本建で行くことにしているわけでありますが。併しながら私は本年度に入りましてから、インフレはいわゆる横這いの状態に入つております。一月から五月頃までは横這い状態になつている。その原因はどういう原因に基づくにせよ、これは非常な無理があつたと思いますが、とにかくその物價が、又通貨が安定的な状態に入っているにも拘わらず、そこにおいて又再び物價高騰に拍車を掛けるような政策を採るべきでない。私は原則として物價改定を行わない、物價改訂を行うにしても價格間の凸凹を補正する程度に止めて予算を編成するべきであるという見解を取つてつたのでありまして、そのために社会党におきまして二十三年度予算の編成、その骨子としましてA案とB案を作りましたが、A案においては、原則として價格改定を行わずして予算を組むべきであるという案を私は立案させられたのであります。私はその立場から二十三年度予算原則として物価改定を行わずして、そうして予算を編成すべきであり、そのために生ずる約一千二百億円の赤字は、これは補給金並びにその他の財源、増加財産税或いはその他の相当ラジカルな方法を採らなければならんと思いますが、そういう税に求めて、そうしてこのインフレが安定的な状態入つたのを絶好の機会として、その安定状態を続けて、そうして少なくとも二十四年度においては、このインフレを根本的に終熄する目標を以て本年度予算を編成するべきである。私はこういう根本的態度をとつてつたのであります。また社会党のA案というのは、それを骨子として作成されたのであります。ところが本予算におきましては私の見解と全く反対の、價格改定を前提とするところの予算編成なつたのであります。この点私の考え、又社会党のA案と全く相容れないものでありまして、この点につきまして反対せざるを得ないのであります。  それから反対根拠の第二は、若し價格補正をやらないで、そうして予算編成をする場合には、予算の根本的組替えをやらなければならない。そうすれば予算編成が遅れますから私は百歩譲って予算を修正、この政府の價格改訂を前提とする予算、これに修正を加えて社会党の修正を加えて、そうしてこの予算案を通す、そういう建前から一應この予算案を檢討したのでありますが、そういう建前に立ちましても社会党の主張するところの修正案は盡く容れられなかつたのであります。社会党としては第一に旅客運賃につきましては普通が二倍、定期五割、学生据置であつたのであります。ところが本案におきましては旅客運賃二・五五倍、それから定期も二・五五倍となり、学生定期は二倍になつております。さらに通信料金につきましては社会党案は三倍であつたのが四倍になつている。更に財産増価税の創設が削られております。それから取引高税につきましては社会党は根本的にこれを中止するという主張でありましたが、これもその中僅か五、六十億というものを、主食以外の副食調味料等の課税を除いたという程度で、原則としては取引高税を認めることのなつたのであります。更に社会党は法人税につきましては据置を主張したのでありますが、これは軽減されることになりました。更に又社会党は勤労所得税の基礎控除におきましては二万四千円乃至は止むを得なければ一万八千円を主張したのでありますが、これ亦政府案は一万五千円を以て構成されているのであります社会党の主張はそこで通らなかつたわけであります。又勤労控除につきましてはこれは制限を撤廃すること、更に合算課税の廃止というものを社会党は主張したのでありまするが、これも容れられなかつたのであります。さらに終戰処理費の節約を社会党は主張したのであります。これも容れられなかつたのであります。更に價格差益金の納付金の増微につきましても、これも取り上げゐれなかつた。その上に價格差補給金の節減を主張しましたが、これも容れられない、かくのごとく社会党の主張の殆ど全部が今回提出されました予算案には容れられていないのであります。一つも社会党の主張は通つておらない。全然通らないと言つてもいいほど通らないのであります。從いまして私は最初原則として價格改訂をやらずに予算を編成すべきであるという態度をとりました。併しそれは実際問題として予算編成が困難であるから、一歩讓つて價格改訂を一應認め、その上に立つて社会党の主張を通して、修正してこの原案を、この予算を通過させたいという意見であつたのでありますが、社会党の主張は殆ど全部が否定されておるのであります。この点がこの予算賛成できない第二点なんであります。  それから第三に、この予算案賛成できない根拠は、この予算案編成の前提となつているところの國民所得、物價、賃金の算定の基礎が極めて薄弱なことであります。この点につきましては予算委員会を通じて政府委員にいろいろ質疑をいたしましたのでありますが、まだ十分に納得行くだけの説明はございません。特に本日は我々が提出した質疑に対して政府側から説明がある筈だつたのでありますが、無理に質疑の打切りの動議が出まして、そうして一番重要なこの賃金の算定基礎についての説明がないのであります。そういう重要な説明がまだ行われない中に質疑を打切つて、そうしてこの予算案審議すると、我々はこの予算の一番根本になつているものは物價の改訂と賃金べース、税制、それから鉄道運賃通信料金、この四点がこの予算編成の四大重点であります。この点についてはつきりした、しつかりしたところの認識がなくて、どうしてこの予算案審議することができるのか、どうしてこの予算案が正しいものであるかどうかということを判定できるのでありましようか。そういう一番大切な点について、まだ質疑は十分できていない、それであるのに無理に質疑はここで打切つて、而も若しここで打切らなければ、この予算の通過が困難であるというならば止むを得ないが、まだ時間はあるのです。時間はあるに拘わらず、無理にここで質疑を打ち切る、そういうようではこの予算案編成の前提について十分我々は納得行かないのであります。我々は特に参議院においては十分納得行くように論議を盡して、そうしてその基礎をよく究めて、反対するにしても、賛成するにしても、事実を明らかにして置かなければならないと思うのであります。そういう点につきまして遺憾ながらその予算算定の基礎について、國民所得の推定の基礎、それから物價、賃金の算定の基礎について我々はこれで、成る程確かにそうであるという確信を得なかつた。そういう意味合からもこの予算案賛成できない。特にそういう不確定な基礎、薄弱な算定基礎を以て編成されたこの予算は非常に私は不健全である。特に物價の騰貴の今後の見通し、賃金ベースの見通し、又算定の基礎について私は誤まりがあると思う。誤まりから算定しておる。從つてどうしてもこれは追加予算が出なければならんわけである。そういう意味でもう追加予算が必然に予想されておるのに、私はこの予算委員会大蔵大臣質問したところが、追加予算は出さないと言つておる。それではこの予算予算内容が実行できないのです。この予算を似て政府の基礎としたところの物價、賃金というものは狂つておるのです。もつと実際は高いのです。又今度の價格改訂において政府は公定價格七割と言つておりますが、我々が事務当局その他に聽いたところによれば、実際においては公定價格は消費財、生産財を平均して大体倍ぐらいに騰貴するであろうという予想なのであります。にも拘わらず又闇價格の算定においても私は政府は過少に見積つておる。そうなればこの予算はこれで足りつこない。どうしても足りない。そうすれば追加予算を出さないとすれば、予算内容を変えなければならん。にも拘わらず予算内容は変らないということを大藏大臣答弁されておるわけであります。私はそういうような不健実な予算に対して賛成することはできないのであります。これが本予算案賛成することができない第三点であります。  最後の賛成できない第四点は、この予算案を実行した後の結果については責任は持てないということなのであります、私はこの予算案自体よりも。この予算案を実行した後のその影響の問題の方が遥かに重大であると思う。この予算案を実行した後においては、恐らく折角これまでインフレは横這いの状態に來て、國民もやや物價に対して心理的に安定的な状態に來つつあつたところを、又再び波瀾を起して物價を高騰せしめる、その高騰した結果、それがその水準で安定すればよいのですけれども、我々の見通しでは安定し得ない。折角眠つてつた影響を又ここで揺り起すようなものである。それに対して政府がその見通しについて、又インフレが高進する場合に、その危險がある場合、これによつて具体的な対策があるならば、我々は又諒とすべきでありますが、その本予算を議した後の影響につきまして、又結果につきまして、政府に対して対策を質したのでありますが、我々が納得行くところの具体的な対策については何ら明示されなかつた政府はいわゆる中間安定方策というものを用意されておると言われましたが、我々に具体的な中間安定方策はここで発表されないのであります。そうであるとこの予算案を実行した結果我々は相当インフレが高進すると思いますし、又労働不安、社会不安が起ると思うのです。そういう場合には我々この予算をここで承認してしまつて、そのあと、この政府政府の政策に対して我々は批判し攻撃しても、もう始まらないのであります。我々はその責任が持てない。從いまして私はどうしてもこの予算案には賛成でき難いのであります。これが私のこの予算案賛成できないで反対するところの論拠であります。(拍手)
  65. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に中西功君から予算返上案提出の通告がございまするので、この際説明を願います。中西君。
  66. 中西功

    中西功君 私も非常な忿懣を以て政府の提出された予算案に反対する者であります。私達はいろいろ審議をしたわけでありますが、今日私がここの貸疑において、第一に財政法第二十條の規定を引用して、政府当局がこの度の予算案審議に対して十分な資料も寄越さず、当然出さなければならない資料さえ提出せずに、我々に審議する便宜を與えなかつたという点に対しては、大蔵大臣自身その非を認め、ここで謝られたわけでありますが、実際におきまして、今日私が行政整理の問題について大藏大臣質問いたしました時に、極めてはつきりしておりますように、加藤労相或いは船田行政部責任者のおのおの言われることは違うのであります。これは單に行政整理の問題のみではなく、三千七百円ベースについてもまだ政府部内のおのおのの発言が一致していないことは、多くの人の認めておるところであります。我々は單に資料の問題に止まらず、このように個々ばらばらに全く不統一な答弁を聽いても、私達を選挙して呉れた國民代表の手前としての要望からも引くわけには行かないのであります。從つて私は質疑におきましても、最後に行政整理について政府答弁要求する、その措置を講じて呉れというふうに要求して置きましたのに、その措置も何らとられることなく、この質疑が打切られたのでありまするが、そもそも政府が我々参議院或いは國会をこのように安く見ておる根本原因は、むしろ政府にはなくして、ただ採決の時にだけ出て來て採決を急ぐ人々が非常に多いということが、かく政府をして増長させておる根本原因ではないかと思うのであります。(拍手)その意味におきまして、私はこの度こういうことがなされたということを、参議院予算審議上の由々しき汚点として指摘せざるを得ないのであります。  予算案に対する我々共産党の態度を極めて簡單に申しますれば、我々の見解と政府の見解、或いは予算案は一つの平行線であるということを痛切に感ずるのであります。予算案は決してそれ自身独立したものではなくして、これは各政党或いは政府の採る諸政策の一つの集中的な表現であると思います。芦田内閣が出す予算案は、芦田内閣が現に行なつておりますところの政策を数字的に集約したようなものでありまして、我々といたしましては、その根本的な点に対して反対せざるを得ないのでありますが、先ず最初に本予算案の本質を我々が見まするならば、これは先程木村委員からはつきり指摘されましたごとく、三つの足の上に立つておるのであります。その第一は、これが物價値上を内容とするインフレ政策の上にあることを基礎にしておること。第二は、歳出面におきましては、幾多の非生産的な、同時にインフレ的な経費が非常に圧倒的に多くて、必要な再建的な、或いは建設的な経費が殆んど削られておるということ。第三は、税金の面では、歳入の面では、極めて露骨な大衆課税的な性質を持つておるということ、これがこの予算案が立つておる三つの足であります。而もこの三番は決して別々ではなくして、互に相助け合つておのおのを助長しておると思うのでありますが、最初社会党におきましても、又労農連絡会におきましても、物價値上を前提としない予算案というふうに意見が進みましたことは、これが延いては歳出面、或いは歳入面においても、大きな変更を加えるということを前提としておるのでありまして、我々共産党もそういう方向に対しては全幅的に賛成なのでありますが、この三つの問題について簡單に私達の意見をやや具体的に申しますと、第一は物價値上問題でありますが、この物價値上問題はこの予算の根抵となつておる、それは直接には三千七百円ベースという賃金の基準單價になり、更に又その他政府の物件費、或いは又價格調整費の基礎としてこの物價が組まれておるわけでありますが、この度の政府の物價値上は政府説明によれば、最初十二月の予算において、十二月現在の物價で編成した場合には、九百億の歳入不足がどうしても補えない結果、構想を新たにして物價値上をするというようなことが言われておるのでありますが、併しこれは單に税金で取れない部面を物價の面に轉嫁して政府が取るというに止まらず、この度の物價値上におきましては、非常に多くの收入が極めて少数の大金持の手に入る、その額は極めて大きいのであります。こういうことは一方において、三千七百円というふうな食えもしないベースに固定するというふうなこと、更に米の値段はパリテイ計算において、この三千七百円に見合うような低いところに固定するというふうな基礎に立つておるのであります。このようにマル公が吊上げられ、更にそれに應じて闇物價が上つて行く、この過程を通じて我々は恐らく数千億の收奪を受けるのであります。この額は勿論正確には計算され得ないと思われますが、決して少い数ではないのであります。我々は單に大衆課税によつて收奪されたり、或いは低賃金によつて收奪されるというに止まらず、こういう物價値上を通じて極めて多くのものが收奪されて行くという点に対しては、院外の勤労大衆は極めて的確にこの事実を捕えて、非常な大きな範囲に亘つて物價値上反対運動が期せずして起つたことは、これはすでにもう周知の事実であります。單にこの勤労大衆の物價値上反対運動は、國家予算が一應物價値上げを前提にしておるというふうな簡單なことではなくして、数千億に余るものが、この際この値上げを通じて收奪されて行くということに対する烈しいこれは反対であります。でありますが故に、あれ程翕然として物價値上反対運が、今日或る所においては短時間のストライキを以てさえそれに應えたというふうなことも起つたのでありまして、決してこれは軽々に考えることができない問題でありますが、このような大衆收奪の物價値上は、それならば政府が言つておるように、果して財政を健全化したかと言いますと、もうすうすでに木村委員はつきり申されましたように、反対であります。却つて予算をますます不健全化しておる、これはもう事実であります。このことは我々がこの度の歳出面を見ただけでも分りますし、いろいろ復金の融資やその他の問題を愼重に審議さえするならば、そういう面は極めて明瞭になるのでありますが、この点は歳出面においてもう少し見たいと思います。特にただ物價値上問題について申しますれば、政府がこの度この物價値上げに対して採つた対策が実に不自然と言いますか、非常に動揺的であると共に、又我々國会審議を通じて見ておりましても、非常に独断的と言いますか、勝手なやり方がなされておる。事実今日ここで予算審議が終りますが、我々勤労大衆の賃金の基本的内容を成しておりますところの米價はまだ何ら予想が付かないというふうな状態であります。物價値上自身が惡いだけでなくして、そのやり方が極めてまずい、まずいが故にますますこういうインフレをそれが助長して行くことは、火を見るより明らかでありますが、併し三千七百円ベースそれだけを捕えて見ても、決してこういうことが今後一ケ月、或いは二ケ月の間にさえも維持し得ない。なぜならば政府自身今井給與局長は勿論のこと、加藤労働大臣自身でさえが、もうすでにこの根低が毀れたということを認めておる。そうして三千七百円は一つの内金だと理解して貰つてもいいと、これははつきり言いませんが、そういうふうな言いつ振りもしておる。こういうふうに、現に政府の一部においてこれは毀れておる。こういうふうに毀れておるばかりでなくして、これは今後こういうようなものを、若し法律で以て全官公、或いはその他の労働者に押し付けたならば、実際には非常に大きな反抗が起つて來る。これは誰も予想しておる、予想しておるばかりでなくして全官公は別でありますが、多くの重要産業においては今では殆んど三千七百円ベースで貰つておる者はないのです。皆四千円、五千円となつておる。現にこういう状態になつておるのに、尚これが現実に頬被りし、結局は労働攻勢の鉄鎚を受けなければならないというのは、私は日本政府もそうでありますが、國会議員としても情けないことではないかと思うのであります。  更に歳出面におきましては、インフレ経費の増大があります。この点についてはさつき木村委員がいろいろ社会党の修正案に関連して述べられましたので、私は詳しくは述べませんが、若し今の政府が本当にインフレ克服の決意を持ち、その政策を持つならば、勿論物價値上をする必要もないのであります。更に物價値上をしないだけに止まらず、進んで本当のインフレ克服政策をやつて行き、諸物價の均衡を保ち得るというふうなことになりますれば、今予算面に上つておりますところの多くの経費は殆んど要らないと思います。價格調整費において然りであります。併しところが反対に今のような政府のやり方でやつて行くならば、ここに組まれた五百十五億の價格調整費は、これは瞬く間になくなつてしまうというふうなものだろうと思います。私達は物價値上を反対するだけじやなくして、実際にはそれと並行して十分なインフレ対策をやつで行かなければなりませんが、又半面インフレ対策を本当にやろうとする人ならば、今日において敢然と物價値上に反対すると思うのであります。そういたしますならばインフレ対策と並行いたしまして、歳出面におきましては殆んど資本家に呉れてやるような費用に過ぎないような、いろいろのものは十分ここで節約できるのであります。それは終戰処理費において或る部分の節約が可能であるばかりではなく、價格調整費的な費用、これは國鉄、或いはその他のものを若し入れるとしますならば、九百億を超えると思いますが、それを除外しても七百四十四億円あるのであります。こういうものは眞にインフレ克服政策を持つておる政府ならば、計上する必要がないものだと我々は考えるのであります。  又土木費に絡まるいろいろの問題、これにいたしましても、今眞にインフレ対策を持つておる政府ならば、この土木費だけによつてもこれよりも二倍、三倍の仕事ができるということをはつきり言えるのでありまして、そういう経費は六・三制、或いは水害復旧費、或いは生活保護費そういうものに廻し得るのであります。歳出面における六・三制や或いは水害復旧費については、多くの議員によつて指摘されておりますが、今十分職を持たず、國家の庇護によつて暮しておる人々は非常に沢山あります。生活保護費の対象になつておる人々は、今一應二百八十万とされておりますが、そういうふうな人々の生活保護費が果して足りておるかどうか、厚生省自身当局説明におきましても二千七百円では、五人家族でありますが、これは食えない。だから厚生省としては多く要求しておるのだというふうな話がなされておる。でもつと端的な例を引くならば、今國立病院、或いは國立療養所に收容されておるところの患者か、一体どんなカロリーで飯を食つておるか、多くのここに参列されておる方々は、果してそういう事実を想像されたことがあるかどうか、全く病を養うにはふさわしからんところの実にみじめな食費が國立病院及び療養所において組まれておるのであります。それは私的な療養所よりももつと惡い、即ち生活保護法によつておりますところの患者を一應例に引きますれば、私的な療養所におきましては、大体昨年の物價におきまして七十円、五十円の食費を受けておる。併し國立病院においては実に二十六円とか二十四円とか、そういうふうなものしか受けていない、食費しか受けていない。これは旧物價であります。そういうふうな状態で國立病院ほど最も激しい甚だしい虐待振りであります。これならば療養所ではなくして、或いは病院ではなくして、これはむしろ死刑といいますか、これは葬むる寺院といつた方がよいかも知れませんが、とにかく人々を葬むるところであります。そういうふうなものが実際何ら顧慮されていない。これが実情であります。(「結論」と呼ぶ者あり)これが物價値上においてやつて行くところの、或いは又今日の予算を組んで行く政府のやり方であります。  更に歳入の面、税金の画について言いますれば、この度全体として日本の規制は惡化して、却つて惡性化しております。それは所得税政府所得税を減免したように言つておりますが、これはもう決してそんなものではない、決して減免していないのであります。  更に物品税におきましても、必要品に税が高くなり、奢侈品の税が安くなつておるというような、そういう逆行があるのであります。その他取引高税、いろいろの点について言いますれば、問題は沢山あると思いますが、特に問題なのはこの國税反則取締法というものを今度新らしく制定するという問題でありまして、申告制度というふうな一應民主的な制度を今までの政府は作つたのでありますが、併し自分みずからの極めて非民主的な本質のために、この折角の民主制度が運用できないのであります。その結果、この度は公然と國税反則取締法というふうなものを振りかざして、徹底的な天降り査定をやろうというのがこの度の新らしい税制の結論であります。これは明らかに退化である、逆行であります。こういうふうな予算案の結果一体どうなるか。これらについても木村委員はつきり申されておりますが、簡單結論を言いますれば、大藏大臣は、日銀紙幣増発は九百億、或いは千億程度であつて、このくらいならば物價改訂がある以上、心要な量であると言つておりますが、決してそうではない。我々はいろいろの計算をやりました結果、是非とも二千億は紙幣の増発を余儀なくされる。そういうふうなことを今度の審議において結論に達したのであります。といたしますれば、結局においてこの予算案を我々がはつきり見ますれば、非常な物價値上げによつて先ず收奪し、更に歳出面においては一部の資本家に厖大な奉仕をし、そして生活保護費、そうしたものは何にもやらない。ここにおいても大衆は大きな損をいたしますが、更に大衆課税で税金の面でもう一度取立てる。こういうふうな三つの吸盤を持つたところの予算が、これが芦田内閣が提出したところの予算であります。同時に又民主党と右翼社会党と、それから國協党が修正したところの予算であります。(「結論々々」と呼ぶ者あり)こういうふうな極めて激しいインフレを激化するであろう予算案を提出して芦田内閣はこの秋頃に中間安定をなすと我々に約束しておるのでありますが、一体その中間安定というのはどういうふうな内容であるかと言えば、これは一方においてはインフレによつて、又物價高によつて非常な多くの人々が全く塗炭の苦しみに追いやられる。そしてその結果物凄い大きな反抗運動が起つて來る。これに対して日本の現在の芦田政府や、或いは民主党、そして右翼社会党、それから國協党は何らの策がない。ただ二つの策しかない。それは外國に向つて対外投資か、或いは何らかの援助を乞う、こういうふうな方策が一つ。更にいま一つは如何に口で麗わしく民主主義と言つてはおるが、実際においては種々の法律を改惡して、そうして暴力を以て大衆運動を撃砕しようとする。この二つが実際は中間安定の内容だと我々は思うのでおります。若しこの予算がそういう意味で通過して行くならば、私が今日ここで予言するようなことが実際に起つて來る。私達はそういうことが起らないためにこの予算案に対して愼重な審議もし、又今日ここに反対せざるを得ないわけでありますが、今日外資導入、或いは対外依存という声が非常に強い。これは蔵相の演説においても、或いは首相の演説においても非常な大きな期待がこれに掛けられておりますが、我々は勿論好意ある外國の援助を受けたいと思つております。それを決して拒否しようとは思いませんが、ただ問題は日本國内において何らなすことなく、自分自身の失政、失敗、無能力を棚に上げて、或いは無能力の故にただ徒らに外國に依存するというふうな方法に対しては我々は絶対に賛成ができないのであります。この予算案は必然にそういう方向に持つて行きますし、又そのものを内包していると私達は思います。そういうわけでありまして、私達は自分自身で何にもせず、自分自身の無能力をただ外資導入というふうなものによつて蔽い隠し、日本勤労大衆が本当に何をなすべきか。何を目標として闘うべきかをごまかそうとする、そういう方向に対しては絶対反対せざるを得ないのであります。更に又暴力的な、例えば軽犯罪法を初めとして、労働組合法の改惡、実質的な改惡が沢山なされておる。こういうことはこの予算、或いはこれがもたらすインフレ、経済的危機から発生しておるのでありまして、幾ら加藤労働大臣が口ではやらんと言つてはおりながら、事実上どんどん進行している。その果は日本の勤労大衆していよいよ決死的に、いよいよ革命的に問題を処理する以外には方法がないとこうまで追い詰めて行つておる。そういう結果をこの予算案が生むであろうということを私達は考えるのであります。以上のような点が私が、政府原案に対する批判の要点でありますが、我々は共産党といたしましては、これに対しまして、では一体共産党はどんな案を持つているのか、というふうに聽かれるだろうと思われますので、それについて簡單に(「又ゆつくり聽く」と呼ぶ者あり)説明して置きたいと思うのであります。(「聽かない聽かない」と呼ぶ者あり)我々は一番最初申しましたごとく、單に予算案だけが独立しているのじやなくして、それは諸政策の、我々の全政策に一環であると考えております。我々の諸政策は御存じのように銀行及び重要産業の國営によつて、更に本当の意味の人民的な統制によつて、そうしてインフレを克服し、更に産業建設をして行くというのであります。若しこういう線において予算が組まれるならば、我々の予算は国家による收入によつて大部分が補われて行く、そうして國民から取る税金は殆んどない、そうして又歳出面におきましては主として再建設的な経費によつて占められ、社会文化費というようなものは、少くとも三分の一は占めなければならないというふうな、大まかな考えを持つておりますが、併し差当り政府から出されたこの予算案に対して、我々が如何に闘うかという点について考えますれば、六月二十五日に我々日本共産党議員團は、予算案に対する当面の方針というものを出しまして、それによつて我々の態度を明白にしているのであります。それは物價、運賃通信料金、煙草、そうしたものの引上げを絶対に行わない。又闇物價の積極的引下げを図る、更に政府の出資金或いは復金融資、或いは價格調整費というふうなものは、徹底的なインフレ対策の遂行に上つてなくすることができる。今日の場合におきましては官公廳職員賃金は少くとも手取五千二百円を確保する。米の生産費は適正な再生産を可能ならしめる米價に改訂して、それは参考までに申しますれば二十二年度産米の限界生産費は石当り四千円となつております。こういうふうな点を十分に顧慮して、我々は米價の再生産價格を決定すべきであると考えております。歳出の面におきましては(「修正案を堂々と出したらいいじやないか」「その通りその通り」と呼ぶ者あり)我々は(「夢みたようなことをやつているない」と呼ぶ者あり)我々は政府から出された原案に対してあれを削りこれをやる、こういうふうな態度は基本的には我々はとらないのであります。一般会計の中では我々はこういうふうな経費は削減すべきであると考えております。(「もういいもういい」)と呼ぶ者あり)終戰処理費については嚴正に國際的義務ある経費中、事業の國営により約二百七十五億円の節約が可能である、又賠償施設処理費におきましても同様の処置によつて二十億円の節約が可能である。價格調整費或いは政府資金その他これに類するもの七百億、これを又我々は節約が可能である。こういうふうに節約いたしますならば、他方において必要な六・三制、復旧費、生活保護費というものは十分に出せると我々は考えているのであります。又実際に我が共産党が主張するような政策を現に行なつて行きますならば、我々はこのことも実際可能であると我々は考えております。以上のような理由で私は政府原案が極めて不健全な、ただ大衆を苦しめるだけの予算で、何ら建設もしない、そうして又ただインフレを増すだけである、そうして我々はそれに対して本当の立派な健全財政を組むところの予算を持つているという意味におきまして、日本共産党はこの予算案を返上し、そうして組替えを要求するものであります。以上です。
  67. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 次に西川昌夫君から修正案の提出通告がございます。この際提案理由説明を求めます。
  68. 西川昌夫

    西川昌夫君 民主自由党は政府原案に対して修正案をもつておるものであります。修正案の説明に先立ちまして、私は本日の当常任委員会の運営につきまして一言ある者であります。尚質疑の通告があるに拘わらず、又答弁の途中に拘わらず緊急動議に諮られてやつたことは、我々理事五名の者がちつとも御相談もなくやられたことは、我が参議院の常任委員会運営に一大汚点を残したものと(「その通り」と呼ぶ者あり)非常に遺憾に存ずる次第であります。單に衆議院が通つたからこつちが急ぐというような御氣持は分りますが、かようなことを繰返すこと自体が、参議院を第二義的な院外團的なものに下げるゆえんの以外の何ものでもないと存ずるわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)非常に我々は参議院のために遺憾に存ずる次第であります。次に我々の持ち合せております修正案の説明に入りたいと思います。    〔委員長退席、理事中西功委員長席に著く〕  歳出壇の面から我々は軍公利拂延期に反対する建前から二十一億円の増、次に引揚者、戰災者等の住宅難を緩和すべく住宅建築費増額を九億円計上いたしたいと思います。尚公共事業費におきまして総額百九十三億円の増額、その内訳を御説明いたしますれば、治水、治山資金におきまして二十億円、土地改良費二十五億円の増、災害復旧費等におきまして二十八億円、六・三制費の増額六十一億円、水産関係経費増額四億円、尚河川災害復旧費の増額五十五億円を計上いたしまして都合百九十三億円の増額考えておるのであります。次に第四項目といたしまして、特別会計、即ち鉄道並びに通信の方に繰入増額が四十億円というものを計上いたしまして、この面におきまして、以上四項目で二百六十三億円の増額考えるものであります。ところでこの鉄道と通信内容について御説明申上げたいと思います。鉄道におきましては結論において三十億の本予算からの繰入増額をなにしておるのでありますが、その基礎となるべき数字につきまして旅客運賃、普通運賃は十割増、貨物運賃は二十割、増学生パスは据置き、普通パスは五割増、尚遠距離逓減制を拡張いたしまして、以上五項目によりまして、收入減が約三百一億円と相成るわけでありまして、これに対しまして……    〔理事中西功君退席、委員長着席〕 政府原案によりますと百九十一億円の繰入、尚その他経費節約による支出減を七十三億円、これで一部八億円のものを公債の発行により補いまして、差引三十億円の一般会計からの繰入といたしまして、收支をバランスする考えであります。  次に逓信省関係につきましては、葉書、封書共原則として約二倍半という考えを持つておるのでありまして、具体的に申しまするならば封書は二円、葉書は一円という考えを持つておるのでありまして、次に電信、電話料金も同様二倍半説を考えておるのであります。これによりまして政府原案よりも收入減に相成る額は五十四億円であります。これに対して我々は経営の内面の合理化によりまして、約四十四億円の節約ができると見込んでおりまして、これに差引十億円の不足を生じまして、この十億円を一般会計から繰入れる。都合鉄道三十億、通信十億、こういつたことに相成るわけであります。  次に、歳入の面におきまして、これまでの審議経過からいたしましても、大蔵大臣あたりにおきましても、完全な最もいいものとは考えないと言われておりまする通り、一般の輿論も非常に評判のよくない取引高税を全廃いたしたいと我々は考えておるのでありまして、そういたしますれば、政府の元の案は二百七十億円にとりましたが、修正で二百十四億円になつておりますが、これを全廃いたしたいと思うのであります。  尚次に酒の消費税五十億円、次に所得税増税見込において、所得税の控除、勤労所得その他におきまして二十億円の節減を考えておるのでありまして、歳入減におきまして都合二百八十四億円の減を考えるものであります。  次に先程申上げました歳出増に見合うところの、歳出減に対する我々の考えを申上げたいと思います。  第一に歳出の減の第一は、價格調整費を減額することを考えておりまするが、その額は百八十六億円、この際ちよつと申上げたいと思いますが、お手許にお配りしたプリントの中、第一項目所得税云々はミスプリントでありまして、これは歳入減の方のなにが紛れ込んだわけでありまして、御了承を願いたいと思います。次に第二項目といたしまして、人件費並びに物件費の面におきまして七十三億円の節約をいたしたい、かように考えておるのであります。次に第三項目といたしまして、物價補正等特別補充金の減額におきまして十五億。第四項目といたしまして、預金部繰入額を減じますこと六億円、歳出減の合計が都合二百八十億円と相成ります。  次に先程申上げました歳入減二百八十四億円に見返りまするところの歳入増の点について御説明申上げたいと思います。歳入増の第一項目は、(「いい加減に止めろ」と呼ぶ者あり)過年度租税の收入増、これを百二十二億円と見たいと思います。次に第二項目といたしまして、價格差益金の増三十三億円、第三項目におきまして、酒造石高の増において、(「でたらめは止めろ。」「鷹揚にしてなさい。」「君達勝つのは決まつておるんだから、下らんこと言うな。人の感情惡くしなくつたつていいじやないか。」「余りでたらめだからさ。」「何だ、何がでたらめだ。」等と呼ぶ者あり)ちつともでたらめじやないのです。(「公の機関に諮つておるんだ、何を言うか。」と呼ぶ者あり)酒造石高の増が百億円、次に第四項目といたしまして、官有財産売却金というものを七億五千万円計上いたしております。次にアルコール専賣益金の増額、三億円、第六項目に電力超過料金の收入を一億五千万円見込んでおりまして、都合歳入増におきまして二百六十七億円。結局におきまして歳入減二百八十四億円に対しまして、歳入増が二百六十七億円、差引歳入減が十七億円と相成るわけでありまして、一方歳出の減二百八十億円に対しまして、歳出の増が二百六十三億円でありまして、差引歳出の増が十七億円と相成りまして、先程申上げた歳入減と、十七億、十七億で、プラスマイナスになるわけでありまして、我々の考え方は、以上簡單でありまするが、かような、政府の提出原案に対しまして、修正案を御披露申上げる次第であります。何分御審議願いたいと思います。
  69. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより討論に入ります。池田恒雄君。
  70. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 私はこの予算案に対して賛成はできないのであります。というのは、予算案には非常にいろいろ問題があるのでありましてその問題は、この審議過程において解決されておらないのであります。で、大体先ず予算の内部の問題じやなく、ちよつとこれは政治上の問題が一つあるのであります。この政治上の問題というのは、本日の本会議で民主自由党の石坂さんの御質問になつてつた点でありますが、このことが一つ大きい問題であると、こう考えるのであります。この予算委員会には、政府から第一次と第二次と二つ予算案が出て参つたのであります。ところで只今我々が問題にしておるところの予算案は、これは異常三派の要請によつて提出された予算案である。こういうことに相成つておるのであります。そうすると、第一次のあの予算案は與党三派の要請によつて提出されたるところの政府案ではなかつたということになるわけであります。そうすること、芦田内閣如何なる政党の要請によつてあの予算案を提出したものであつたかどうか。こういう問題が依然として解決されないでおるわけであります。これは非常に私は重大な問題である。こう思うのであります。何故かというと芦田首相はときどき議会の多数云々ということを言われておるのでありますが、土台現在の内閣というものは政党の上に立つておる内閣でありまして、政党の上に立たない内閣というものは成立たないのであります。そういたしますというと、少くともこの予算案とも言うべきその内閣のベストセールが、これが與党の修正をこんなような時期において受けるということは、これは非常に重大だと思うのであります。このことは内閣の出したところの原案が與党の責任において提出されたものではない。こういうふうに見るべきものではないか。そうすると一体現在の内閣はどこからああいうものを持つて來たか。こういうことになるわけであります。それで現在の内閣は果して政党の責任の上に立つておるのか、政党の責任の上に立たないのか、つまりまあ芦田内閣が、芦田内閣というものはマネキン内閣だ、こういうことになるのであります。これは決して芦田首相が洋服屋のマネキンじやなくて、官僚支配のマネキンじやないか。こういうことになるのであります。こういう関係に私はなると思います。これは重大なる問題であると思うのであります。それから結局政党の與党から責任を持たれなかつた予算を出して、それを修正されて國会多数の修正だと、こういうふうに言つておるのでありますが、内閣というものは、これは國会多数の意見に從うのじやなくて、國会多数の政党がすでに内閣を組織して責任を持つ筈であります。この関係は石坂さんに対する答弁によつても我々は承服しておらないのであります。つまり内閣責任というものはちつとも分らないのであります。こういう点が非常にこの予算について問題になるわけであります。つまりこの予算案を一体如何なる政党が内閣責任を持つかというよりも、その内閣を通して如何なる政党が責任を持つかというようなことが極めて不明瞭である。つまり内閣責任が不明瞭である。これが重大だと思うのであります。それからこれは或いは芦田首相のまあ適当な言葉であつたかも知れませんが、芦田首相は常にその巧みな極めて垢抜けのした詭弁を発するのでありまして、その結果そうなつたかも知れませんが、いつか木下委員質問いたしましたとき、これは官公労働者がストライキをやることは憲法を知らんからだと、こういうことを言われたのでありますが、このことも又非常にこれは重大なことでありまして、内閣責任というものを極めて不明瞭にするのであります。どういう点かと申しますると、これは私は今官公労働者がああやつて騒いでおるというようなことは決して結構なことじやないと思うのであります。騒がない方がよいに違いありませんが、併し今我々は予算審議しておる時であります。政府予算の編成過程にあるのであります。この時予算に重大なる関係を持つておるところの自分達の賃金待遇の問題につて政府に一定の申入をするということは、あの人達が官吏であるが故に憲法を自覚した行爲であると考えておるのであります。これを予算編成が終つてしまつて予算を動かすことが困難になつてからそのとき俺の月給が安かつたというようなことを言うて來るのであつたならば、これは官公職員の諸君が官吏であるにも拘わらず無自覚である。こういうことが言えるかも知れないのであります。ところがそうじやなく、また予算が決定されない中にあの人達は予算関係のある自分達の要求を出して來ておるのでありまして、これは極めて憲法を知つておるところの行動であつて、決して憲法を知らざるものではないと私は考えるのであります。もう一つ芦田首相はああいうふうに國家の公僕が騒ぐということは、人民に対する挑戰であるということを言われておるのであります。ここでも芦田首相は非常に憲法を冒涜する態度を取つておるわけであります。何故ならば内閣総理大臣というものは國民に代つて最終の責任を負うところの一つの存在なんです。つまり幾ら國民が公僕を雇つておるといつても、國民責任においてあの人達の待遇をしたり、國民責任においてあの人達に月給を拂つたりするものではないのであります。このことは一切内閣責任に属しておることなのであります。從つて待遇問題で労働者が騒ぐということは、専ら内閣責任に属することであつて待遇問題について政府を攻撃するというようなことは、これは官吏が決して人民を攻撃するのではなくして、内閣を攻撃するものであり、その行爲はそこに止まるものなんであります。それをそういうふうなことを言わないで、全くの詭弁を以て人民というものの名を出して來て、そうして官公職員要求を抑えようとするようなあの態度は、これは一つの自分の政治行爲の責任を曖昧にするものであつて、非常に許されない行動だと私は思うのであります。こういうふうに二つの視点から、芦田内閣は自分の責任の所在というものを非常に不明瞭にして、この予算案を出して來ておるのであります。これは我々としては重大に考えなければならないのであります。これは予算案内容の問題より、もつと重大なることだ、こう私共は考えるのであります。それで第一にこの問題をやや詳しく申上げたのであります。予算内容につきましては、これは又非常にごつてりという程問題があるのであります。そういう問題は殆んどこれは委員会の中において明瞭な政府答弁が得られないでおるのであります。  先ず第一の予算上の問題は、これは先程木村委員指摘したことでありまして、重複して申上げる必要もないのでありまして詳しくは申上げません。單に問題としてここに申上げようと思うのであります。この問題は、今度の予算編成は物價を上げる、この上に立つた編成である。これは木村委員が言うた通りなんであります。そうしてここで不思議なことは米價と労賃は抑えておるのであります。物價の値上りと米價と労賃が抑えられておる。この関係の開きにおいて私はこの予算というものは資本家に奉仕するものである。労働者はそれだけ損をするという関係を明瞭に示しておるのであります。これも木下委員が資本家的であると、こういう質問をいたしました時に、芦田首相は、そうじやありません、そういうことは心外であります。こういうことを言つておるのであります。更に私が質問いたしました時に、日本は戰争に敗けて、もう日本には資本家というものがおらんのであります。誠に結構なことを申されたのでありますが、ところが、実は資本家があればこそ物價の値上げというものがあるのでありまして、労働者ばかりで物價の値上りというものはあり得る筈がないのであります。労働者賃金と米價を抑えられておるというこの関係において、これはやはり資本家が非常な利益をするために、政府と一緒になつてこういう予算を編成したと、こういうことになるのではないかと思うのであります。ただそういうふうに物價を吊り上げて労賃と米價を抑えた、そういうことによつてこの予算が資本家等に奉仕するというだけではなくして、更に大衆負担というものを増長しておるのであります。こういうふうに飽くまでもこの予算案は資本家本位の土壤或いは肥料として役に立つものであると、こういうふうに言わなければならないのであります。これが私は一つの問題なんでありますが、この内容について詳しいことはこの際もう止めたいとこう思うのであります。  それから國民所得の計算なんかもですね、これは非常に予算のために作つた國民所得であつて、ちつとも客観的に調べたりなんかして作つたものではないのであります。それは昨年と今年の國民所得を見ますと明瞭に現われて來ておるのでありまして、それからこの予算案について尚問題として出されますのは、先程私が質問もいたしたのでありますが、終戰処理費、賠償施設費、公共事業費とこの三つの予算があるのであります。これは予算案の紙の上で一番目に着くものであります。金額が非常に大きいのであります。ところでこれらのものは款項目節というところの普通の予算支出の方法が取られておらないのでありまして、これは又非常に私は不潔な支出のし方であると、こういうふうに考えるのであります。而もこの終戰処理費と公共土木事業費と、この二つは日本の土建事業を一手販賣にしていると言つても過言ではないのであります。要するに政府予算によつて日本の土建事業を独占していると言つてもいいのでありまして、そういうような予算をここに出して置きながら、ところがこの支出については実に不明瞭な方法で出している、こういうことになるのであります。而も私はここで衆議院の方で問題になりましたいわゆる日本の天下に有名な土建業者が、これが相当に金を集めまして、政党の健全な発達のために献金をしているということなのであります。私はそれとこれとがどういう関係があるということは全然知りません。單に一人間としてこういう予算を見、而も天下の土木事業を政府が独占しているというこの事実を見て、而もああいうところの報道を聞きますというと、これは結付けないで考えるわけには行かないのであります。政党に対する政治献金をこの終戰処理費或いは公共事業費の、普通の法則でない法則によるところの支出とこれを結付けないで考えるわけには行かないのであります。こういう点で私は非常にこれは危險な支出の方法であると、こういうふうに考えるのであります。併しこれについて私はいろいろ大蔵省にお願いをしたのでありますが、資料さえも出して來ないのであります。これは私は遺憾なことであると思います。それから尚問題になる点を指摘しますと、特別会計というものが沢山あるのであります。特別会計というものは殖えているように見えます。ところがこれらの特別会計は、私は政府財源捻出の場所としましても相当重要なものではないかとこう思うのであります。それで私は第三分科会で農林、商工方面の特別会計について特にいろいろなことをお尋ねして來たのでありますが、これらの特別会計というものは、一般会計に対して何らの福音をもたらしていないのであります。而も一般会計に対して依存をするというような傾向を持つております。ところが特別会計の中には、勿論一般会計に対して依存しなければならないようなものもあるのでありますが、併しながら特別会計の中に、大いに一般会計に対して寄與しなければならないところの性格を持つているものが沢山あるのであります。ところが寄與しておらない。プラスしないでむしろマイナスになつている。こういう状態を見まするというと、特別会計というものはこれは復金とか或いは公團とかいうものと併せまして、これは政府予算赤字を隠匿するところの隠しポケツトであるというふうに我々は解釈しなければならない。極めて危險である。何を隠して置くか分らない。どういう遣り繰りでこの中で政府及びそれに関連した人達がするかという疑いを持たざるを得ないのです。而もこれに対して資料を提供して來ているかというと、資料も提供しておりません。單に形式的に予算を持つて來るのであつて、これらの重要な特別会計内容、或いは公團の内容、或いはこういうものに関係するいろいろな事業の経理内容について、何らのものを持つて來ておらないのであります。こういうことになりますと、我々に審議をさせないで、そうしていろいろと内容をごまかしていると、こういうふうにもまあ私共は言いたくなるわけであります。言われたらまずいかも知れませんが、とにかくそういうふうな工合に見えるのであります。それからこれでは貿易資金特別会計につきましても非常にまずいのでありますし、山林の特別会計になつて参りまするというと、尚一層まずいのであります。このことは専門家の岡本さんなんかも先日指摘された通りのことであります。そういうふうに疑う点が非常に多いのであります。これらのものを十分に審議するならば、私は相当の財源というものが捻出される筈であります。ところがお役人的に私は金力の上に安逸を食つている、お役人諸君が金力の上に安逸を貧つていると、こういうふうに言わなければならないと、この思うのであります。そうでなかつたらこれを一般会計に寄與していいわけだと思います。又問題になる点は、これは行政整理の問題でありますが、行政整理については先程中西君と大蔵大臣とのいろいろなやり取りがありましたが、これはこういう一五%の人件費を減らすか殖やすか、こういうことは余り大きな問題にならないと思う。というのは別の答弁から見ると、とにかくこれは掛け声に過ぎないというような工合に受け取れる答弁を受け取つているのであります。ところが問題になるのは、私は一五%の人件費を殖やすとか減らすというようなことを言うて、勤労する官吏の神経を刺戟するということは、これは政策上よろしくない。それが一つ。それからもう一つはこういうことは予算面では余り効果を持たないのであります。却つてこの外に政府がやるべき行政整理があると思うのであります。この点について船田國務大臣にお伺いしました時は、余り明瞭な答弁を得ることはできなかつたのでありますが、これは日本の政府機構というものは戰争を通じて非常に膨脹している。それは非常に有閑無用の支出のために膨脹したのであります。この際そういう有閑過剰の政府の支出というものを切捨てなければならないのだと、私はこう思うのであります。ところが一向それの切捨ては行われておらない。行われておらないばかりではなく、最近では地方出先機関とか或いは公團、その他いろいろの政府の外郭機関を政府は盛んに予算を膨脹しながらこれの増置を行なつております。私はこういうような政府の出先機関外郭施設を増置するということは、これは政府責任の逃がれ場所になつていると思う。これも財政を不潔にするものと考えるのであります。こういう点が私は行政整理の上で遺憾の点であつたと、こういうふうに思うのであります。そうして更に政府提出の資料によりますというと、役人の数はどんどん殖えているのであります。一割五分を減すと言つてつて、実際は殖えている。事実こういうものは、新らしい仕事のために殖えて参つているのであります。新らしい仕事を作つた場合、古い無用の仕事を減すということを役人諸君は考えておらないのであります。そうして一生懸命になつて新らしい人と新らしい予算と新らしい機構とを多く作ろうとする傾向が見られるのであります。これでは私はやたらに政府機構が大きくなつて、そうして予算が膨脹して來る。而もその中に雇われるところの役人諸君は大していい待遇も受けないで、わいわい騒ぐということになるのである。こういうふうに思うのであります。こういうふうにこれは非常に重大な問題を含んでいると思うのであります。それから又問題を一つ出しますと、この予算は軍國主義又は軍備の隠匿というものをそのまま放任している。これは第一回國会においても、山下さんであつたかどなたであつたか経済白書に対する質問に際しまして、國民が知らんとするところはこういうところではない。隠匿物資がどのような状態にあるかということを知りたい。こういう質問をした筈であります。これに対して政府は適当なる答弁をなされた筈であつたのであります。それからすでに一年経つております。若干の隠匿物資については今回新らしく発せられたあの経済白書によつて明らかにされてもいい筈であります。ところが何らこれらについていろいろな答弁をしておりながら、今度の白書においては明らかにされておりません。それから國有財産に対する報告書も出ておりますが、そういうものの中でもこれが明らかでないのであります。財政の上でも不正取引に関するところのいろいろなものを扱う特別会計では、これでは僅かな收入しか上げておらない。こういうような状態であります。ところがこの問題について私は北村大蔵大臣質問をいたしたのであります。ところが北村大蔵大臣は案外こういう方面の下情には疎いような御返事であつたのであります。大臣であるから隠匿物資については余り下情には通じないであろうと、こう考えまして私は余り追及しなかつたのでありますが、ところが最近新聞を見まするというと、北村大蔵大臣は、衆議院の何々委員会の方に参りまして、相当この方面には明かるい方であるのであります。ところがこういうことについて何らの答弁をしなかつた、而も兵隊が復員するとき持つてつた筈でありますなどという御答弁があつたのであります。(「関係ない」と呼ぶ者あり)ところが私は昭和二十年の八月十五日まで海軍の軍人なんであります。その間の事情は明瞭に知つておるのであります。而もあのときの軍需物資の隠匿というものは虚脱とか、狼狽とかいうことでやられた筈ではなかつたのであります。それは私の体験を以て言うならば、あれは軍部の隠匿であり、軍國主義の隠匿であつた筈なんであります。それが連合軍が進駐して以後、どうにもこうにもならなくて、結局あれはあのときでたらめになつた、乱脈になつたのだというような口上を以てごま化したに過ぎないのであります。我々は軍人として命令を受けたところのものは何であつたかというと、占領されては困るからこういうものは分らないようにしなければならんと、一週間くらい追い使われて、書類は焼捨てられたのであります。こういうことは私は大臣くらいになる人が分らないこともないと思うのであります。そういうことをこの予算案は掘り出して有効な財源として利用しておらないのであります。これは遺憾であります。厖大な、とにかく世界を相手にする程の戰争をたくらんだあの物資が放任されておるということは遺憾なことであります。そういう意味において私はこれは軍國主義或いは軍備を隠匿しておる、こういうふうに言うてもそう叱られるわけもなかろうと、こういうふうに思うのであります。甚だこれは恐縮なんでありますが、とにかくそういうわけであります。又私はそれに附加えて考えられることは、この財政の中に見られるものは、最近いろいろな法律案がどんどん出て來るのであります。我々がどうして区別していいか分らん程法律案が出て來ております。そういうものを合せて考えまするというと、官僚機構、官僚勢力を増強さして行くという傾向を持つておるのであります。このことは私は非常に芦田首相のいう民主主義とは大分隔たるものであつて、まずいと考えるのであります。で、法律案がそう出て來ておるし、そういう方面のいろいろな予算が又出て來ておるわけであります。そうして全体の傾向として官僚支配を強化して行く、そうしてインフレーシヨンによつて巻き起つて來るところのいろいろな社会的諸問題を経済的支配によつて解決して行こうとするところの傾向があるのであります。これはいろいろな法案の中に明瞭に受取ることができるのであります。これは私は非常に危險なことである、こう思います。私はいろいろな未解決の問題を拾い上げると、そういう工合に思うのでありますが、こういうことについては何らのはつきりした解決を見ておらないのであります。それからこういうふうな問題がありまして、そういう問題が未解決のままに來ておるというわけでありまして、そこから私はいろいろなこの法案に対する反対の意見が出て來るわけなんであります。單に賛成できないというだけでなく、反対の意見が出て來るのであります。ところがそういう私の意見と同じような意見が木村、中西、両氏から述べられたのでもありまするし、且つ余り長いこと話しまするというと、(「もういい」と呼ぶ者あり)いろいろなことの何で、あきられる方々もありますので、それは非常に氣の毒なのであります。私は実は明日くらいまで喋つても一向差支えないと思います。(「もういい」、「朝までやれ」と呼ぶ者あり)それは國会に記録がありますから、この間衆議院では明日までやつたのであります。この前は時計を止めたという記録もあるのだから、(「本筋々々」と呼ぶ者あり)いつまでやつても構わんのでありますが、併し隣り同士で一片のお附合として私は止めるということを今言つたのであります。でありますからそういうふうに御了解しながら(「了解した、了解した」と呼ぶ者あり)お附合を願いたいと思うのであります。もとより併し差支えある人とない人とがあるということも、これも一つお考えになつて下さつて、隣り同士でこうやつてもしようがない、(「本論をやれ」と呼ぶ者あり)それで結局こういす問題の中からいろいろなことを見ますと、價格調整費というようなものを莫大に支出しておりながら、農村資金の欠乏などてんで顧みておらないというような問題があつたり、更に修正案の中では先日も私が申したのでありますが、百六十億というところの所得税の足りない点を、この所得税をうまい方法によつてつて、そうして埋めるのだということを言われておるのであります。これは危險なことであると、こう申したのでありますが、大藏大臣は苛斂誅求はやらない、ところがその方法について私が事務当局の方から伺つた限りでは、これはちつとも方法が明らかにされておらないのであります。でありますからこれがこの予算赤字にならないとするならば、恐らく勤労大衆に対してより以上の負担が掛かつて來るであろう、こういうことが予測されるのであります。而も政府は先程これは物價値上を中心とするところの一つの予算案であると私は申したのでありますが、政府が物價七割を以てする、こう言うとき、木村委員が七割以上に上つておるとこう言つたのでありますが、私は七割以上になろうと、一割以上になろうと、二割以上になろうと、それで物價が動かないとすれば信類することはできますが、これは何としても物價は大いに動いておるのでありまして、この点は殆んど信頼することはできないのであります。こういうふうに先ず政府のいろいろな今までの質疑應答の過程の中から問題を拾い、且つ七月一日に提案された與党の修正案の沢山ある問題の中から二、三を拾つて見ますると、どうしても我々としては賛成しかねる。賛成しかねるというよりは私は反対、強く反対しなければならないのであります。とにかくこういう予算によりまして物價が安定しない、國民の勤労大衆の收入は切り下げられるということになりますれば、私は問題は非常に大きいと思うのであります。私はこういう予算は非常な破壊力を持つというようなことを申しますけれども、恐らく芦田首相一流の詭弁は、別に餓死する者もないから大したことはないというようなことを言われるかも知れませんが、とにかく昨年の予算及びその後の補正予算というようなものの間においていろいろな議論が行われたのであります。ところがここで我々問題にしなければならないことは、そういう間において成る程餓死は余り進行しなかつたかも知れないのであります。インフレーシヨンの結果餓死した者があるというような新聞は余り見えないのであります。併しながらその外の事柄は大分新聞に出ております。或いは強盗が出たり、殺人が出たり窃盗が出たりしております。こういう事柄が私はインフレーシヨンの破壊作用であると常に考えておるのであります。でこういう予算が通過すると、こういう社会の破壊現象がより鋭く現われて來るに違いないのであります。これは失業者も殖えるでありましようし、そういう犯罪も殖えるでありましようし、こういうことがインフレーシヨンの破壊作用であります。明瞭にそういうことは現われておるのであります。農村なんかではもう集團強盗に困つて、銘々の家で犬を飼つておるという現象が最近見えておるのであります。こういうふうに世の中が乱れて來るのであります。これが破壊であります。こういう破壊がこの厖大なる北村財政というところの、この便々たる腹の中から生み出されて來ておるのであります。このことを考えるならば、私は何といたしましても賛成しかねる、而もこういう世の中を破壊に導くところの罪惡の母はこの財政であるということを、北村大藏大臣も篤と御認識されなければならないのであります。而もその罪惡の父は、あのスマートな芦田首相の姿勢であるということをお考えにならなければならないのであります。かくして私はこの案に対して徹底的に反対なんであります。まあここらで結論ということにいたしまして、ここから上の諸君に対して御同情申上げたいと思うのであります。(笑声、拍手)
  71. 櫻内辰郎

  72. 村上義一

    村上義一君 私は緑風会側といたしまして本案に賛成の意を表する者であります。但し眞に止むを得ず不本意ながら衆議院から送付して來た案に賛成する者であります。元來この政府提出の予算は政策面におきましても幾多論議の余地がありまして、矛盾があり、又欠陥があり、更に基礎的なデータにおきましても少なからず誤謬があると思います。又不合理も包藏されておるのであります。これらに関連しまして、今日まで委員会或いは分科会におきまして種々の質疑があつたのであります。これに対する政府答弁は甚だ不満足なものが多かつたのであります。更に今回大幅の修正をされたのであります。この改訂案につきまして改善せられた点も認められるのでありますが、又改惡の点もあるのであります。併しながら二十三年度もすでに第二四半期に入つておるのであります。第二國会も最終日一日を残すのみと相成つております。これらの実情を考慮いたしまして、不本意ながら本案に賛成の意を表する次第であります。
  73. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 小畑哲夫君。
  74. 小畑哲夫

    ○小畑哲夫君 民主党は本予算案賛成の意を表します。(「結構なこつちや」と呼ぶ者あり)今日まで本予算委員会や本会議等において各委員からの質疑應答を沢山承わりました。それに対する関係大臣答弁も承わりました。尚公聽会における公述人の御意見も拜聽いたしましたが、(「その通りつたらどうだ」と呼ぶ者あり)それらを縫合しまして考えますのに、成る程傾聽すべき御意見もございます。但しそれは或る一部面より眺めた意見が多かつたかのごとく感ずるのであります。それぞれの立場において議論をなさつたのが多くして、今日の我が國の状態から考えましたときに、果して実際問題としてそういうことが予算の上に盛れるか否やということに多大の疑問を持つたのであります。政局を担当ずる内閣といたしましては、勿論その政策を具現するために如何予算にこれを盛ろうかということに最も苦心をされるところだと思うのであります。特に現内閣は三党を基盤として構成されております点から見て、例えばここに赤、黄、青の三原色があるといたしまして、その色のどれを最も強く出すかということにおいては、それぞれの立場において議論もあると思います。(「資本家色が出ておるじやないか」と呼ぶ者あり)先程社会党の木村委員から御尤もな意見も出ましたが、社会党においても御不満な点もございましよう。民主党においても然りでありまして、これは國協党においても不満な点はあると思いますが、結論的に考えまして、今日この程度のものが最も当を得たるものなりと、いずれ詳細に亘つて意見は党代表が本議場において発表すると思いますので、私はこの程度賛成の意を表して置きます。
  75. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 波多野鼎君。
  76. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 二十三年度一般会計並びに特別会計予算案につきまして、社会党の考え方を申述べます。  先ず第一に申上げたいことは、社会党といたしましては、この予算案に多くの不満を持つております。一つは物價を平均七〇%引上げるということを前提といたしましたこの予算案は、このインフレに対する対抗的な予算案ではなくして、インフレ追随的な予算案であるという点に不満を持つのであります。(「然り」と呼ぶ者あり)政府中間安定ということを頻りに呼号いたしておりますが、この予算案を実行いたします結果は、恐らく中間安定すらも実現することができないのではないかと、(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)私は危惧するのであります。尚折角外資の援助がありましても、この外資の援助をインフレ終焉のために有効に使うところの具体的な方策が出ておらんという点についても多くの不満を持つのであります。  第二に会計上は大体収支の辻褄が合つておりますが、その辻棲の合せ方について我々は多くの不満を持つ。一つは収入を図る上において政府が專賣品の價格の大幅引上げをやるとか運賃並びに通信料金の大幅の引上げをやるとかいつたようなことで、即ち大衆負担の増加によつて辻棲を合せておる一面があるのでございます。他面におきまして復興金融金庫に相当の大きな負担を掛け、即ち辻棲を合せる。その辻棲を復興金融金庫に負担させるといつたような考え方が予算の中に出ておるという点について不満を持つのであります。その他申上げれば切りがありませんが、とにかく多くの点について社会党は不満を持つております。で、心からこれに賛成をするということは到底できないのであります。恐らく政府当局と雖も、この予算案がいわゆる中間安定を実現するための最上の予算案であるという自信を持つて提出してはいないと思う。かような不満足な予算案ではありますが、併し社会党としてはこれに賛成せざるを得ない理由があるのであります。  その一つの理由は、新会計年度が始まりましてすでに三ケ月を経過しておりますにも拘わらず、今年度予算が成立しないというようなことは、又今後二、三ケ月も経たなければ本予算が成立しないような政治情勢を導き出すというようなことは、國際間に我が國の信用を繋ぐゆえんでないということ。第二にこれ以上予算案の成立が遅れるということは政府の機能を完全に麻痺させてしまいまして、そうして平和的な國家建設の仕事を著しく遅滞させるということ。第三に、すでに三ケ月間暫定予算で一時を凌いで参つて來たために、金融梗塞が非常に深刻になつております。最もこのために闇價格の騰貴が抑制されたという一面もございますが、併し健全な事業さえも一種の金融恐慌に襲われているという状態に陥つているということ、このようないろいろな実情考えますと不満足な予算案ではありますが、これを成立させることによつて生ずる損失よりも、これを不成立に終らせること、或いは又予算案の成立を二、三ケ月遅らせることによつて生ずる損失の方が遙かに大きいということを考えざるを得ないのであります。本予算を早く成立させたい。できるだけ内容のいい予算であることは勿論でありますが、とにかく予算を成立せしめたいという希望は朝野に満ちていると思います。本予算反対の諸君と雖も、予算案成立がこれ以上遅れることを好ましいと考えておられる方は恐らくないであろうと思う。私は大きな害惡を避けるために、小さな害惡を呑むという気持を以て本案に賛成をする者であります。併しながらこの賛成するにつきまして二つのことを強く政府に要望したい。一つは三千七百円ベースに関する問題であります。これにつきましては、委員会その他において種々討議されましたが、政府の方針が統一を欠いております。北村大藏大臣はこの問題については然るべき措置をとるということをこの委員会でも言つておられる。その然るべき措置を至急具体化することによつて、この三千七百円ベースについて再検討を加えて頂きたい。而して官公吏が本当に人民の公僕として働き得るような、そういう生活を保障するように努力して頂きたいということであります。第二は予算審議関係しての問題でありますが、各委員から申されたように政府は我々が予算審議するについて必要とする資料の提出が甚だまずい、或いは提出しないものもあるということは將來に惡弊を残すのでありますから、この点について政府は今後大いに善処されることを強く要望いたして置きます。以上社会党を代表して予算案に対する賛成意見を申述べました。(拍手)
  77. 帆足計

    ○帆足計君 時間も遅れますので、簡單に所信を述べます。私は緑風会の一員でありますが、極めて不満足の意を表しつつ当面の措置といたしましてこの予算案賛成であります。その理由を述べます。  この敗戰の日本としまして、最も必要なことは日本が今後どういう國になるかという道筋を明らかにすることであると思います。日本が自然発生的に再び繁栄を得るということは不可能であります。從いまして諸般の犠牲と計画によりまして目標を立て、その目標に八千万の國民が歩調を合せなければ再建は不可能であると思います。あれ程大きな打撃を受けましたソ聯におきましてすら、すでに戰前水準に回復していると傳えられます。鉄のカーテンを以て蔽われました東欧諸國においてすら著々と再建は進んでいるということを新聞は報じております。然るに日本の現状はまだ敗戰が続いておりまして、全体としては食い込みの過程を辿つております。從いまして日本の再建のためには食糧の増産に重点を置くとか、電源の開発に重点を置くとか、その他如何なる方法如何なる手順によつて國を再建して行くか、それと照應する技術科学の水準、教育の内容等をどうすればいいか、それらのあらましにつきまして八千万の國民が納得の行くような大体の計画が肚の中にできている自由と統制の調整が行われることが望ましいと思います。かような基礎的な考えにおいて予算は当然組まれねばならんと考えます。然るに終戰以來三ケ年の今日まだそういう目標が諸情勢の困難もあるわけでありますが、明らかにされておりません。最近安本におきまして、五ケ年計画の研究に着手され國会からも人を送つておりますが、私はその計画及び研究が早く進むのを期待するわけであります。第二にはこのインフレーシヨンを防止しますためには、綜合的な政策が裏付けされねばなりません。軍事公債の打切りのごときはその一焦点でありましようが、とにかく綜合的にこのインフレを止め得る力がなくてはなりません。現状を以てしまするならば、これは到底困難な現状に今追い込まれております。私はインフレの現状が現在の経済力又は財政計画によりまして防止し得るとは思いません。到底現状を以てしますれば、これを喰い止めることは不可能であります。而も量の変化を質の変化に轉じようとしております。從いまして我々の力を以てしまして、到底現状を以てしますならば、これを喰い止めることは明らかに不可能であると考えます。然らばどうすればいいかということになると、問題は深く且つ本質的な問題になるわけでありますが、それには強い政治力が必要であります。更に予算を組むに当りまして、國民只今飢餓と窮乏に瀕しておりますが、國民大衆の生活の安定につきまして、更に眞劍な努力が重ねられなければならないと思います。これらの点を考えて見ますと、今や日本の経済は満に釣下げられて昭和六年の状況に顛落しようとしておるかのごとくであります。從いまして私は何とかこれらの点を打開する綜合的な計画並びに研究がなされ國民各層の積極的な協力と、努力の中心目標が確立されることを切望するのでありますが、我々の力の不足のためそれができないことを國民の前に恥じる次第であります。このように考えますと、当面の予算案につきましては極めて不満でありますけれども、それかと申しましてこの予算を否決しまして、その後に更にいつ予算を作り得る政治諸勢力が成長しておるかと申しますと、私は必ずしもそうとは考え得ないのであります。從いまして極めて不満ではありますけれども、私は現在の政治諸勢の現状を以てしましては、又不明朗な現在の施策を以てしましては、敗戰日本の復興並びにインフレの克服は到底不可能であるということを痛感しつつ、今後における理性的な、民主的諸勢力の成長を期待いたしまして、私は今の措置といたしまして、荏苒予算をこのまま放置して置きまして、國民が渇望しております諸施策が遅れることを見るに忍びませんので、以上の理由を附帯いたしまして、暫定的な処置として当面の今度の予算案賛成する次第であります。
  78. 小野光洋

    ○小野光洋君 私は民主自由党を代表いたしまして政府案に反対いたします。尚民主自由党から先程西川委員によつて提出せられました修正案に賛成をいたす者であります。先ず政府案に反対討論をいたすに当りまして、予め申上げて置きたいと思いますことは、先程本委員会において質疑が行われておりました折、委員長質疑の通告をされておるにも拘わらず質疑打切りの動議を成立せしめましたことでありますが、これは委員長のお言葉によりますというと、動機が多数によつて賛成せられたのであるから法理的に正しいのであるということであります。若しさようであつたとするならば、多数を擁する意見によつて直ちに討議打切り、採決というようなことが提起された場合に何ら質疑討論も行うことができない場合もあるかと思います。さようなことはいずれにいたしましても、委員長自体の委員会運営についての良識に俟たねばならないと思うのであります。この点委員長は多数の賛成者があつたから成立せしめたのだ、正しいのであるというようなかような言明に対しましては、甚だ遺憾に存ずる次第であります。  次に、政府の提出せられました予算案につきまして、すでに政府は組閣以來三回の暫定予算を出しておるのでありまして、その間に相当本予算におきましては愼重、審議を重ねられたことと思うのであります。併しながらその結果先月十日に提出せられましたところの予算案は、間もなく與党三派によつて修正を迫られ、遂にその修正案を以て國会に臨まなければならんということに相成つたのであります。この点政府國会多数の要望によつて修正案を提出したのである。かようなことを言つておりました。石坂委員のこの問題についての質疑に対しましても、参議院は衆議院の第一義的な立場と比較いたしまして、参議院の意思はこの國民多数の輿論の代表において二義的であるかのごとき言明をせられたのでありました。この点甚だ遺憾に存ずるのであります。もとより國会の運営につきましては参衆両院におきまして、そこに多少の差別のあることは私共も承知いたしております。併しながら苟くも國民大衆から選挙せられました國民の代表といたしましては、第一義、第二義、第一次、第二次等の言葉を以て遇せられることは些かもないと信ずるのであります。「ヒアヒア」と呼ぶ者あり)然るにも拘わらず、敢えて第二義的であるかのごとき言辞を弄せられた点について、かような総理大臣によつて統率された内閣が、我々の前にかくのごとき予算案を提出し、みずからの提出した予算を虚々然として、ここに修正案によつてすり変えるというがごときことが敢えて行われたということにつきましても、誠に憲政史上におけるところの汚点であると考えざるを得ないのであります。(拍手)(「その通り」と呼ぶ者あり)もとより芦田首相が参議院に対して好意的以上に好感を持たれないということは、或いはその成立当時の事情によつても止むを得ないかも知れません、即ち参議院におきましては多数を以て、総理大臣の指名に吉田茂氏を挙げたのであります。衆議院の多数によつて、遂に内閣の首班として芦田首相が就任いたしたのであります。かような経緯は現在にいたりましても参議院軽視の実情となつて現われたことは甚だ遺憾に堪えない次第であります。今政府は與党三派によつて、而も民主党の総裁たる芦田氏が首班として内閣を統率いたしておるのでありますが、昔の國務大臣と違いまして、現在の内閣は総理大臣の任免によつて自由に動すことができるのであります。從いまして芦田首相がみずからの信念によつて政策を定め、これを予算の上に実現するという確固たるものがありますならば、如何なる方面から如何なる問題が起らうとも断乎として行い得る筈であるのであります。かような権限は内閣総理大臣に與えられておるのでありますが、途中において他の閣僚を通じて三派の意見が遂に予算案政府原案の撤回、修正案というようなことに相成つたのでありまして、この点につきましても芦田総理大臣如何に詭弁を弄しましても、眞に政治的責任を理解するものでないということを証明しておるように、私共は遺憾ながら考えざるを得ないのであります。(拍手)尚只今までの各党代表の方々の討論によりましても、政府原案というものは誠になつていないものだということを証明いたしております。賛成せられるところの方々の御意見も実に止むを得ないのである。今更法案を成立せしめないようなことに相成つたならば、相当國際信用にも影響があるだろうし、國民大衆にもより以上の影響を及ぼし止むを得ず眼をつぶつてこの予算を通すのであるというようなことが大体の御意見であつたように伺います。特に社会党総理派の代表でありますところの木村委員の御意見のごときは、この予算案におきましては聊かも社会主義の実現に何らの寄與するところはないというようなことをおつしやられておるのでありますが、尚その他の議員の御発言に俟ちましても、又本案審議の途上におきますところの質疑に俟ちましても、全く本案が杜撰極まるものであり、眞にインフレを克服し、又再建途上にある日本國民の幸福を確保するものでないということは明らかであります。特に予算案の修正案の中におきましても、第十一に右の措置に伴う財源は左記によるということが定められて、その第一に昭和二十二年度決算上の剰余金の見込額三十億円を充当すること、第三には課税充実の方途を講じ、これにより所得税の増収百六十億円を計上するというようなことが、この修正予算財源に当てられておるのでおります。かような財源は、政府が本來予算を計上する場合に当つて当然考えられるところの予算でありまして、何故にこれを修正予算においてほじり出したか、ほじり出す程の余裕を何故に見逃しておつたのか、ここにも政府予算を計上するに当りましての初めからの欺瞞と申しますか、不出眞面目と申しますか、誠に國会を愚弄したものであると申してもよいのではないかと思うのであります。(拍手)  尚予算の根抵となりますところの物價基準、或いは賃金基準等につきましては、私が今更ここで申上げるまでもなく、各議員が交も交も起つて質疑應答、或いは又只今討論の中において詳しく述べてありますから申上げませんが、それらの予算案の基準となるべき数字におきましても誠に杜撰極まるものであり、何ら根抵のないものであるということは明らかであります。若しこれに根抵あるというようなことを敢えて申しますならば、それはただ單に政府の希望的見解に過ぎないと申してよろしいと思うのであります。尚この問題につきましては、すでに衆議院審議状況につきましても同様なことが言えると思うのであります。即ち衆議院予算委員会におきましては、政府の猛烈なる運動があつたにも拘わらず三派共同のいわゆる三派の強力な支持によつてできておるところの修正予算であるにも拘わらず、その予算は遂に委員会において否決されて、漸く本会議において可決されたというような運命にあるのであります。かような案が全く実に現在の情勢上止むを得ず承認すると申す以外のものでないということは、すでに衆議院においても明らかにされておるのであります。然らばかような案をなぜ通さなければならんのであるか。私はここに民主自由党の先程西川議員によつて提案されましたところの案を以て皆さん方に衷心眞面目に、超党派的な立場を以て、我國の予算はこれであると申上げたいのであります。即ちその歳出入につきまして、もできるだけ大衆課税或いは生産復興に寄與する財源を持つておるのでありまして、特に特別会計におきましては旅客運賃貨物運賃、或いは又学生パス、或いはその他の問題につきましても、大衆の要望に應えるに備えておるのであります。尚通信機関の問題につきましても、大衆の要望に應え、而もその財源におきましても、的確にこれを衝いておるのでありまして、この予算を以て政府の與党三派の修正予算に代えて両院共に通過せられましたならば、凡そ國民は齋しく謳歌いたしまして、日本再建の基礎はここに確立されると考えるのであります。(拍手)  以上要約いたしまして私は政府修正案に対して反対の意見を述べ、我が党の修正案に対して賛成意見を述べた次第であります。(拍手)
  79. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御通告による討論者の方は全部終了いたしました。これを以て討論を終局したものと認めて採決いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認め、採決いたします。昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算についてであります。木村禧八郎君からは予算返上案が出ております。中西功君からも返上案が出ておりまするが、その内容については少しく異なるところがあると考えまするから、木村禧八郎君の返上案からこれを採決いたします。木村君の返上案に賛成のお方の御起立を願います。    〔起立者少数〕
  81. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 少数と認めます。更に中西功君の予算返上案について採決をいたします。本案に対して賛成のお方の御起立を願います。    〔起立者少数〕
  82. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 少数と認めます。次に西川昌夫君から提出されました修正案について賛成のお方の御起立を願います。    〔起立者少数〕
  83. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 少数と認めます。次に昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算衆議院より送付せられましたる原案通り可決することに賛成のお方の御起立を請います。    〔起立者多数〕
  84. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。(拍手)尚本会議における委員長の口頭報告委員長において本案の内容委員会における質疑應答並びに討論の要旨及び表決の結果を御報告することとし、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。これより委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。    〔多数意見者署名〕
  86. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか……なしと認めます。  これにて散会いたします。    午後八時三十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌夫君            岡本 愛祐君            村上 義一君            中西  功君    委員            岡田 宗司君            カニエ邦彦君            木下 源吾君            小泉 秀吉君            中村 正雄君            波多野 鼎君            村尾 重雄君            石坂 豊一君            小串 清一君            小野 光洋君            大島 定吉君            左藤 義詮君            寺尾  豊君            深水 六郎君            入交 太藏君            木内 四郎君            小畑 哲夫君            佐々木鹿藏君            田口政五郎君            帆足  計君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            川上 嘉市君            河野 正夫君            西郷吉之助君            島津 忠彦君            鈴木 直人君            高田  寛君            池田 恒雄君            藤田 芳雄君   國務大臣    大 藏 大 臣 北村徳太郎君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君    國 務 大 臣 苫米地義三君    國 務 大 臣 一松 定吉君   政府委員    経済安定本部財    政金融局長   渡辺喜久造君    物價廳次長   野田 信夫君    大藏事務官    (主計局長)  福田 赳夫君    大藏事務官    (主計局第一部    長)      東條 猛猪君    大藏事務官    (主計局第二部    長)      河野 通一君    大藏事務官    (給與局長)  今井 一男君