運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-07-03 第2回国会 参議院 予算委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月三日(土曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十三年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)   —————————————    午後一時五十五分開会
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。議題は昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算案であります。本日より本審議に入ります。尚この際申上げます。本日衆議院より送付されたる予算案は、すでに予備審査のため政府より提出せられておりました原案の一部に対して修正せられたるものであります。これより質疑に入ります。左藤義詮君。
  3. 左藤義詮

    左藤義詮君 六月一杯は暫定予算でございましたが、七月一日からは予算がないわけでございますが、八千万の國民が、この数日全然予算なしに暮しておる。その間に政府としては何らかの支出をする便法をお持ちになつておるかどうか。それともその間は全然何にも政府としては支出をなさらないのであるか。殊に終戦処理費等関係もあると思いますが、この予算の空白の間を財政法会計法の上からどういうふうに御措置になつておるか、その点をお伺いいたします。
  4. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。六月までの暫定予算のあれがございますので、これによつて、数日は賄なうことができます。こういう状態になつております。從つて会計経理関係は停止した状態には只今のところ相成つておりません。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 又かと言われるかも知れませんが、軍事公債利拂停止の問題でございますが、いろいろ政府としては苦労心のあつたことは拜承しておるのでありますが、露骨に申しますれば、すでにその御心配のあつた社会党左派人々はつきりああして、衆議院予算審議にも意思表示をせられた。もうそんなに私は政府として顧慮なさる必要はないと思うのであります。各方面において、民主党閣僚は、軍事公債の問題は手を触れないということを言つておる。銀行代表には数回に亘つて総理大臣からも、安本長官からも、大藏大臣からも懇談会等において、さよう言明をしておいでになる。この機会にもう一度政府としては、かような國内においても、國際的にも國家信用に影響するようなことを、社会党左派態度はつきりせられたこの機会に、もう一度お考え直しになる御意志はないかどうか、どこまでもやはりこれを強行なさるおつもりであるか、念のために伺いたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 軍公問題のお話でありますが、この委員会でもたびたび問題になつておりまして、その都度いろいろの観点からお答え申上げたのでありますが、これは政府法律案として提出いたしまして、すでに衆議院は可決を見ておりますので、参議院においても是非通過をして頂きたい、かように願つておる次第でございます。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 金融界延いては経済界全体の空氣から見ましても、この処置が直接にだけでも、十数億の棚上げになつた。利子の平均をすれば十数年後にしか拂われない、その利子のために、利子を帳簿には載つておりましても、現実にそれが金繰りの上にそれだけ不足して來る、間接には公債に対する信用の低下ということから事実上の賣買は金融機関が抑えられておつてしないにいたしましても、銀行のそれだけ資産信用の上に響いて來る、それに対する処置としては、大藏大臣日本銀行ビジネスとしてこれが要るというときには尻拭いをしてやるのだ、こういうお話でありますが、それにつきまして、私共の了承しておる限りでは、日本銀行総裁は、一般金融恐慌とか、その他の場合において、銀行を應援することは、これは日本銀行として当然でありましようが、特にこの問題について、大藏当局了解を與えたことはないと思うのであります。そう了承をしておるのでありますが、若しこの問題を特に大藏大臣日本銀行総裁懇談をして、処置責任ある見通しを付けていらつしやるならば、いつどういうようなお話合いになつておりますか。はつきりつて置きたいと思います。
  8. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 軍事公債利拂を止めたことによる信用の問題が一つ、これもなかなか測定しにくい問題でございまするが、たびたびこの委員会でも申上げました通り金融機関所持は全部登録公債によることになつております。ところが登録を解除するということは今日まであつたことも聞いておりませんので、從つてそのことが不安であるから処分したいというようなことに相成つておらんという事実は、それから認めることができると思います。  それから次に金融関係でございますが、これは、ここでやはり申上げたと思いまするけれども、一般企業会社所有と違いまして、金融機関それ自身が持つております。元來金融をすることを業とする金融機関でございますから、金融自分所持公債利拂いが延ばされたことから、それは数字の上では若干の責任がないとは申せませんけれども、金融上に困るということは今日そう起こらない、万が一起こつた場合には、これは一つ然るべき処置をして貰いたいということを私は総裁懇談をしたことはあるのですが、別に書面を以て指図したというようなことはない。これは勿論銀行に限つて特別な扱いをするということを大藏大臣が指図いたしましたのでは、銀行以外の所有者と差別をすることになりますので、さようなことはすきではない、又金融機関銀行との関係で、市中銀行等はそれは銀行のいろいろな意味におきまして、どう言いましようか、実際、銀行決済中枢であるところの中央銀行と、それから普通銀行との関係でございまして、親密な関係を持つており、かよう関係がございますので、いわんや所有公債は全部日本銀行登録をしておるというよう関係でありまして、それは極めてビジネスとして円満に行くものと、かよう考えております。又必要があれば円満にやつて貰いたいということだけを懇談をしております。こういうわけでございます。
  9. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると、それは日本銀行中央銀行の当然の職務としてするのだということを大藏大臣がご自身だけで了承したのでありますか。或いは日本銀行総裁十分確約があるのでございましようか。実際この問題は、私は相当財界に不安を撒いておる、今登録公債を解除するようにという申請がないとおつしやいましたが、そういうことは金融機関としてでないにしても、持つております軍事公債全体の信用が非常に落ちて、そのために銀行資産内容というものがそれだけ悪くなつておる、数字的にはつきり測ることができなくても、精神的に非常に大きな影響を與えておる、それが一つ、他の原因等と相錯綜いたしまする場合には、金融機関に重大なる問題を起さぬとも断言できないと思うのでございます。登録を外しに來ないから大丈夫であるということは、ロンドンやニューヨークにおいてドル公債ポンド債が動かないからということと同じように、軍事公債全体に対する不信用從つてそれに対する、銀行に対する、直接的にいろいろ弱点ができて來ておるということは、私は弁解する理由にはならんと思うのであります。そういう関係から特に金繰りが苦しくなつて來るのであります。それに対しては、金融業意見、話を聞きましても、非常な心配をしておるのでありまして、それをどういうふうに一体処理して行かれるのか、殊に金融信用の問題でありますので、若し日本銀行総裁とのお話合があるならば、どの程度までどういうふうにするかということが私ははつきりしたものがなくてはならんと思うのでありますが、その点は、大藏大臣中央銀行として当然するだろうといつて一方的に御了承になつておるのか、或いはこの軍事公債利拂停止から生ずる問題については、日本銀行総裁がこういうふうにやるんだ、或いはそういう点で言質をちやんと取つておられるのであるか、いつそういうふうになつたか、私はそのお話内容一般財界に対する心配を拂拭するために、はつきりお示しを願いたいと思うのであります。
  10. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 今のお話は、実は利拂が一應延期された、利息支拂期日が変更されたということから來る不安が銀行にあるというよりも、そうではなくて、從来ここでは簡単に申上げましたが、利息全部を打切るべしという議論相当ある。もう一つ軍事公債擬制資本である、戦争によつて発生した特殊のものであるから、これは政府の債務として長く残すべきものではない、打切れと、こういう意見相当強く方々にありまして、雑誌、新聞等によりまして、そういうことが、取上げられておる。それで、その所有者である所の銀行が、若しそういう不安を持つておるといたしますれば、それは利拂を一時延ばされたということから來る不安ではなくして、軍事公債打切論というものが將來擡頭するのではないかということに対する不安であろうと思うのであります。それが一番大きな不安である。又中には打切るのは余りひどい、長期無利息公債に変えるべしというよう議論も、財界においては、これは銀行界ではありませんが、経済界においてそういう意見を発表した人も相当ございます。從いまして、軍事公債というものについては、一般のそういう不安というものは、今日相当ある、これを認めなければならん。それで私は、これは少し我田引水のような形になるかもしれませけれども、今回採りました措置は、利息支拂期日を変更するだけで、利息を打切るのではない。況んや元本はこれによつて償還いたします。軍事公債に対して今後再びかよう措置を採らんし、元利の支拂に対しては政府はどこまでも額面通り責任を負いますということを明らかにいたしましたので、考えようによりますというと、今までもやもやとした不安というものがこれで一掃されたというような氣持ちもあるのであります。ただ銀行家諸君の中には、それでもまだ不安だ、こう言うような者が特別にある。私は最近にも銀行界諸君と会いまして、中にはそういう氣持ちの人も少からずあつたと承知いたします。不安というものはそういう点に胚胎しておると思うのであります。それから今の支拂のことで、金融に困る場合にはどうするかということには先程お答え申上げた通りでありまするが、これは先に申しまするように、公文書を以て今後銀行に限りかくかくのことをすべしと日本銀行には指図いたしておりません。日本銀行総裁とは常時往来しておりますが、そういうときに銀行のことが衆議院でいろいろ決まりますときに、これはこうなると銀行の中では金融の面でそういうものも出て来ようから、円滑に行くように頼む、承知いたしました、こういうことを相談したこともあるのでありまして、さよう意味に御了解を願いたいと思うのであります。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 もやもやしたものをこの措置はつきりしたとおつしやいますが、又逆に申しますれば、いろいろ民主党の党内において、或いは銀行かとの懇談会において、総理大藏大臣もこれはやらないとおつしやつたことを、こういう利拂措置をなさつたということで以て、私は一層もやもやしておると思うのであります。只今ほんの一部の者が不安を持つておるようお話でありましたが、私の知る限りでは、金融界全体に非常な不安が漲つておる。只今日本銀行総裁とお会いになつて話合いなつたということでありまするから、これ以上私は追求はいたしませんが、日本銀行総裁としても賛成していない、いよいよとなれば日銀がこれに対して相当の救済をしなければならんということは、私は所管大藏大臣としてのやはり相当の圧力があつて仕方がなしにやつておることであると思うので、そういう点におきまして、金融界全体に不安がないように、極く一部であるように軽くおつしやることは、非常に認識不足である。私はこの問題は、やはり國内的にも國際的にも非常に重大な問題であると思う。これ以上は意見の相違でありまするから申上げません。  尚この機会に伺つて置きたいと思いますが、一部の人々の間には、ドイツ或いはソ連等の例を出しまして、又通貨に対して何らかの措置があるのではないかというようなことを非常に心配しておるのでありますが、政府としてはそういうことの若し御意志がありませんでしたら、この機会はつきり一つ言明を頂きたいと思うのであります。実は某閣僚自分の出身の選挙区において、若し新円の再封鎖等措置があるならば、そのときには電報で知らせる、わしが帰つて來て皆さんにお知らせして損害をかけないようにするという、これはまあ選挙運動でありましようけれども、そういうようなことをなさつた事実も伺つておるのであります。そういう点から、この機会一つはつきりして頂きたい。又そういうふうな若し措置があるならば、これは財政法等によりまして、必らず國会にかけてなさるのであるか、或いは万一その場合には、緊急のことであるから國会にかけなくてもよいというような御解釈であるか。こういう通貨措置は必らず國会にかけるというのであるならば、一つその点をこの機会に伺つて置きたいと思います。
  12. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今の御質問は、時節柄極めて御尤もな御質問でありまして、これは西ドイツであれ、又東ドイツでありましても、通貨改革をやつたことは、新聞等で私も承知しておるのでありますが、これは経済事情が甚しく違いまして、日本の実情とは全然違うのでありまして、殊に今、日本でそういうふうなことをやることは、やることは、徒らに非常に通貨に対して信頼感を害することでありますので、何ら益のないことでありまするから、政府といたしましては、この際いわゆる通貨改革とか或いは言うところの平價切下げ或いは名目上の切下げ等々は、やる意志はありません。このことは、はつきりいたして置いた方がよかろうと思いますので、はつきりお答えして置きます。
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君 若しやるような場合には、國会提出なんかはどうなりますか。
  14. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) やる意志がございませんから、やらんものとはつきり了承つて置きます。
  15. 左藤義詮

    左藤義詮君 若しやるような場合には……。
  16. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) やらん意志でございますから。
  17. 左藤義詮

    左藤義詮君 午前本院の本会議において、わが党の石坂君の質問に対する総理の御答弁の中に、「申すまでもなく、國民代表という政治的の意味において、最高機関國会であります。伴しながら憲法によつて明らかにされておるがごとく、衆議院参議院の間には多少の差異が設けられておる。それは衆議院解散対象になるという事実、又衆議院政府に対して信任不信任の決議をすることができるという事実、それらの事実と照し合せて、先ず第一義的に國民代表としての機関衆議院であるということが、新憲法の中に述べられておるということはご承知通りであります。」と、こうとう御答弁でありましたが、成る程解散対象にならないとか、信任不信任の点については、憲法にその事実がありますが、國民代表としての機関衆議院が第一義的であり、参議院は第二義的である、第一義的、第二義的ということを、はつきりおつしやつたのでありますが、これは何を基礎にしておつしやるのでありますか。衆議院が第一義的のものであるということは、何か法的にそういう根拠がありますのですか、先ずその点を一つ伺いたいと思います。
  18. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 憲法審議の際において、この問題は当時学者の間にも、又両院においても種々論議せられたのでありまして、憲法学者の間においては、大体そういう見方が通説になつておると考えております。
  19. 左藤義詮

    左藤義詮君 本日の石坂君の質問趣旨は、政府は一度予算案は出したけれども、國会多数の意思修正されたから從つたということを言つたが、併しそれは衆議院の多数であつても、参議院の多数ということは決つていない。衆議院多数とおつしやるならばよいが、國会多数とおつしやることは言い過ぎではないかと、こういうことの御質問であつたのでありますが、それに対して、衆議院は第一義的なものであるから、その方の多数であれば、それがそのまま國会の多数と言つても差支えないと、こういうふうの御趣旨の御答弁に聞こえるのでありますが、さよう思召でありましようか。
  20. 芦田均

    國務大臣芦田均君) それは、大体今日までの普通の社会通念としての観念からみたのでありまして、現にこの席上においても、國民輿論を知るために衆議院解散する意向はないかということをしばしば繰返して民自党からも御質問になつたのであります。私の回答は、さよう意味において参議院方々の御解釈と少しも違つておるとは考えておりません。
  21. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると、総理見解としては、衆議院の多数が提出した予算修正要求は直ちに國民多数の意向を代表するものだと、かように御断定になるのでありましようか、もう一度伺つて置きたいと思います。
  22. 芦田均

    國務大臣芦田均君) その点は、今朝本会議において申上げたように、國民を代表する國家最高機関國会であるのでありますから、一應國会というものが國民意向を代表する、併しながらこれを第一義、第二義的にはつきりと掴むためには、やはり衆議院を第一次的に考える以外には標準の立てようがありません。從つて先ず第一義的には衆議院の多数が國民輿論を代表するものと考える。これは立憲政治の常識である、かよう意味でお答えしたわけであります。
  23. 左藤義詮

    左藤義詮君 参議院にも民主党或いは社会党の議員がおりまして、いわゆる政府與党をお持ちになつておるわけでありますが、從つて参議院にも與党をお持ちになつて政府と協同して行かれるわけでありますが、その方はやはり第二義的なものとおつしやるのでありますか。諄いようでありますが、衆議院の多数さえあれば、それが國民多数の意向を代表するものである、從つて國会意向であると、かよう政府は断定なさる思召でありますか、もう一度確認して置きたいと思います。
  24. 芦田均

    國務大臣芦田均君) ご承知通り予算審議は、当時修正予算については、衆議院のみに付議せられておつたのであります。参議院には付議せられておりません。又修正の問題が起つてつたの衆議院でありますから、参議院の多数を代表しておる三派の意見を一應國民の多数の考え方であると見ることは、間違いであるとは思いません。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 大藏大臣にお伺いいたします。  先ず第一にお伺いしたいことは、今次の予算修正されまして私共の方に提出されたわけでありますが、この予算案は、以前として賃金の問題、俸給の問題につきましては三千七百円ペースを基にしているのであります。これが、三千七百円ペースで組まれているペースそのものが変動するような場合が当然私共に予想されるのでありますが、又加藤労働大臣は、その点につきまして、若し三千七百円ペース基礎になつている数字等に誤りがあり、又それを変更しなければならん事情がある場合には、この補正予算を出さなければならんというよう意味のことを言われているのであります。これに関連しまして重要な問題は、現在官公労組の方から五千二百円ペース要求が出ておりますが、これとの関係であります。政府はこの労働組合との間の折衝におきまして、果して三千七百ペースをそのまま変えない、そうしてこれを以て労働組合を納得せしめるだけの自信をお持ちになつているかどうか、それは今後の予算補正予算を出すか、出さないかの重大なる問題であります。その点についての政府見通しをお伺いしたいのであります。
  26. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 岡田委員の御質問の点は、ここで数回問題になりまして、私共財政当局といたしましては三千七百円水準、即ち三千七百九十一円ございますが、これを以て予算の編成をいたしました。それで以て、実を申しますと、その前に團体交渉等終つて、そうして決まつたものを織込むことができれば尚いいのでありますが、さような時間的な余裕もございませんし、又そのときに立てました三千七百九十一円の資料は確実であつた。私共はかように信じております。それで政府といたしましては、從來の賃金物價の悪循環を避けるために、できるだけこれは生活の安定の面に力を入れまして、即ち実質賃金の効率をもたらせるような方向に十分努力をして、これで維持できるような方法から次第に、物の安定、経済全体の安定に努力をしたいという考えを持つて予算を編成いたしましたということについては、かねて申上げた通りでございます。果してその通り行くか、行かんかということは、これは見通しの問題になるのでありますが、これは今政府の入手し得たその当時の材料に変化が後に起つて來たというので、その材料から政府の出した数字と食い違いがあるということが言われておるのでありますが、それだけでこれは崩れるのだというふうに全然考えておりません。ただ三千七百九十一円については、実は只今團体交渉をいたしております。賃金のことでございますから、これで釘付けにするということは毛頭考えられることではございません。財政当局としては、これでやりたい。又実質的に実効的價値を維持するように、実は他の面で消費財供給等にいろいろ努力をする、その点は可能であると考えております。併し團体交渉の結果等によりまして、これは違つた決定をしなければならんことが起つた場合には、それは、それに対して然るべき措置をどうしても講じなければならん、かように思うのであります。事実これは今のところ、どうするというようなことをはつきり申上げることは困難であります。政府審議願つておりますことは、これで維持できるように、一つ消費財等供給努力をしたい。こう考えておるということを御了承願います。團体交渉の結果に違つた結果を持ち、それに從つて支出を増大することを余儀なくされるならば、当然その処置を採らなければならんことになることは、これは申すまでもないことであります。かように信じている次第であります。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今私の質問いたしました点と、ややお答えが外れていると思うのであります。この目下行われております團体交渉、これが恐らく中労委の問題になり、中労委の方に移されて問題が発展するであろうということが予想されるわけであります。そこで問題になりますのは、中労委が如何なる裁定を下すかということなのでありますが、恐らく私共の見解では、中労委政府が示されましたところの三千七百九十一円とは別な裁定を下すということが予想されるのであります。その場合におきまして、政府は先には中労委の示された案を不精々々ながら呑んだ。そうしてそれを基礎にいたしまして賃金を改めたことがあるのでありますが、今回におきましても、中労委によりまして政府が今維持しております賃金ペースと別な案を示された場合において、政府としてはそれを承認するかどうか。その点についてお伺いいたしたい。
  28. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 中労委裁定にかかると決定したようにも聞いておりませんし、又從つて中労委がどういうよう裁定をされるか全然分りませんですが、中労委裁定というものには、これを尊重しなければならんとは思つておりますけれども、中労委裁定が如何なる裁定であるかによつて政府は直ちにこれを呑むか呑まないかということは、おのずから別個の問題である、かよう考えるのであります。中労委という機関の尊重すべきことは心得ておりますけれども、必らず中労委裁定通り呑むか呑まんか、それはそのときの経済諸情勢を勘案いたしまして政府部内でそれぞれの態度を決めて行くことに相成るだろうと思います。ただこの前も申上げますように、賃金だけ上げずに、一旦決めたから動かすことができないということは考えておりませんから、その点は先に申上げたように御了承を願いたいと思います。
  29. 中西功

    中西功君 一、二点伺います。それならば、この度三千七百九十一円ペースを策定されて今後進んで行かれるといたしまして、又この予算案が一應通過いたしたといたしまして、恐らく全官公労働組合は五千二百ペースを堅持して譲らんで行くだろうと思います。そうすると、あとが相当長引くと思います。それならば若しこの組合側で三千七百九十一円を了承しなかつたならば、やはりその組合にはこの三千七百円は支拂わないという態度を採られるのかどうか。それをお聞きして置きたいと思います。
  30. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今お尋ねの点につきましては、ここで政府はどういう態度をとるということはまだ全然決まつておりませんし、事は重大でございますから、そういう事態が起りましたならば、恐らく政府の方針というものを決定しなければならん。かように存じております。只今ここで申上げることはちよつと困難であります。
  31. 中西功

    中西功君 それはおかしいと思うのであります。この前の二千九百二十円、あれが我々の議題となりました時には、政府はつきり了承しない組合には拂わない、こういうことをはつきり言つておりました。ところがこのたびはその態度が曖昧であります。言えないというのはおかしいと思います。と申しますのは、これは一昨年からいろいろあつたわけでありまして、千六百円から千八百円に政府が一方的に引上げましたときには、政府政府の一方的責任において、全官公労働組合がどういう意思表示をしようと、これは支給するという建前で全部支給して來ました。ところが二千九百二十円のときにはそうではなくして、了承しない組合には拂わないという態度はつきり採りました。このたびはここで言えない。こういうわけなのであります。あのときは確かに國鉄労働組合政府側に加担しておりましたために、ああいう処置をとられたのではないか。我々はそのときに追求いたしましたが、そうではないというふうなお話でした。このたびは國鉄も統一して、一体となつて三千七百九十一円に反対しておるというふうなことになりますと、政府の方では今ここで明言できない、こういうお話なのでありますが、これは、すでにこの問題が考えられたときに、そういう態度は決まつておらなければならんと思うのです。私そういう点で芦田首相がどう考えておられるか。それをお聞きしたいと思います。
  32. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 給與の問題の詳細はいずれ政府委員たる給與局長から答弁いたします。
  33. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) この際総理に対する御質疑を先に願います。
  34. 小串清一

    ○小串清一君 一点だけ、先刻大藏大臣からいろいろ御説明がありました例の軍公利拂の問題でありますが、あれは論議はもう重ねる必要はありませんが、世間では批評して、これは実に政府の巧妙なやり方だ、公債というものは募らないのだけれども、これは実際上の公債を募つたんだ。金高はそう大きくはありませんが、將來ああいう方法でやれば健全財政を唱えて公債はやらんといつても、公債の償還を一年延期してやるということは、新たに公債を発行したと同じになる。ああいう巧妙なやり方を政府が將來やるだろうか、どうだろうかというような非難だか、批評だかがあるのであります。その点こういつたような政策を將來又場合によれば採るかも知らん。もうこんなことは二度とやらないというよう考えがあるかどうか。そういう点について、はつきりした御意見を一点だけ伺つて置きたいと思います。
  35. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。これは利息支拂期日を延長いたしましたので、新たに公債を発行したいということとは事実と事情が違うのでありますけれども、併しまあ理論的にはそういうことも言えないこともない。併しこれで健全財政を破るじやないかというような御議論でございますが、四千億に亘る非常に厖大な予算を持つ日本の現状において、十五億をそんなに狡い方法で公債発行と同じような方法でしておるというようなこととは、もう決して考えておりません。それから又このことに関しましては当時政府の声明として申述べましたように、公開限りの措置でありまして、今後はかようなことはいたさんことに相成つておるということは閣議で決定いたしまして、政府で強く声明いたしておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  36. 川上嘉市

    ○川上嘉市君 最初にお伺いいたしますが、この物價を安定するということが今の日本経済を救う上において、最も必要だと考えるのでありますが、物價廳の長官を安定本部長官に兼任すすということは、私は非常に不適当と考えますが、これについてお考えをちよつと伺いたいと思います。
  37. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 川上さんから物價廳の長官を安定本部長官に兼任させることが適当ではあるまいというような御意見でありました。或いはそういう御意見の方がよいかも知れません。極く率直に申しますが、私が安定本部総裁に就任して以來、その点をまだ研究しておりません。早速そういう問題について考えたいと思います。
  38. 川上嘉市

    ○川上嘉市君 実は物價を決めまするときに、最も必要なことは物價の原價計算をすることである。原價計算の分る人でないと本当の計算はできません。適当な値段を決めることができないのでありますが、現在やつておられる長官にしても、或いは物價廳の次長にしても、物價廳の次長は確か労働問題をやつておられた方のように聞いておりますが、品物の原價というものの殆んど專門の人が幹部の方におらないじやないかというような感じがするのであります。然るに決められたこのマル公價格の改訂を見ますというと、可なり不適当な例が沢山あります。一々今例を申上げませんけれども、若し原價が何であるということを本当に理解しておる人ならば、殆んど常識的に考えてもこんな馬鹿なことはないと思うような價格を平氣で多数決めておられるところを見ると、いわゆる専門家を選定するという上において、本当にどういうふうな適任者を選ぶかということについて、本当の理念がまだ決まつておらんじやないかというような感じがいたします。これはこの大切な物價を決めるときにおいて、最も必要な第一の出発点であると考えますからして、愼重に御考慮願つて、願くば物價廳長官というものは独立して置くよう一つ御配慮を願いたいと思います。これについて若しお考えがありましたらお伺いして置きたいと思います。
  39. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 川上さんのお意見至極御尤もでありますが、現在の物價廳の次長は一時労務の專門の仕事をしておつたこともありますが、終始労働問題を扱つて來たというのではありません。三菱関係の各種の仕事を処理して來た経験を持つております関係上、相当経済問題に対しては廣い範囲の経験を持つておる人物であるよう考えておりますが、果して原價計算の專門家であるかどうかはよく承知いたしておりませんが、問題は物價廳の中に公定價格その他の問題を決定する際に間違いのない方針で、これを処理して行くということが必要な点だと考えております。その点は十分將來注意いたすつもりでございます。
  40. 川上嘉市

    ○川上嘉市君 尚一つ総理にお伺いいたしますが、実は今まで決められました物價についても可なり上げ過ぎたというような感じを持つ項目がいくつかあるのであります。実はその最も著しい例は石炭であると思います。石炭が昨年の七月前、つまり六月頃にまだマル公が改訂されなかつた当時は、確かマル公がトン六百円くらいだと記憶しております。それを上げるときに、上げる前に当業者にいろいろ我々は委員会で開きまして、いくら程上げることを希望するのだということを聞きましたところ、千円くらいにして貰いたいと、こういうことを言つてつたのであります。それは当業者の希望であつて、つまり最も生産費の高いものでも千円ならば引合うだろうと、こういうふうな値段であつたように記憶しております。ところがそれが七月に希望の通りに上げられました。それから満一年、満一年経つ中に今度は、上げる線で申しますと、六百円のやつが今度三千二百円に決められた。今回の値段で三千二百円に決められると、五倍になつておるのでありまして、その上り方がいかにもひどい。他の物價に比べて可なり上げ過ぎたという感じを持つのであります。これは先程もここでいろいろ雑談をしているときに、九州辺では赤字成金というので非常に皆やかましく言つておるという話を聞いた。恐らくは、私は今の三千二百円の値段で参りますならば、今後非常な赤字成金ができるのじやないかと考えますが、そういうふうに本当の石炭の生産費はどのくらいであるかというようなことを果して適正に調査されておるかどうかということに非常に疑問を持つ者であります。それはその間に他の物價、例えば我々も工業の一端に從事しておりますが、それはどうかというと、一年前の七月前の値段に比べまして倍にもなつておりません。それに拘らず、片つ方においては五倍になつておる。しかもいろいろの資材とか、或いは資金その他について炭鉱くらい惠まれているような産業は他にないのであります。そういう点を考えて見て來れば、いわゆる赤字成金という評判が出るのは尤もなことだと考えられるのであります。そこで私がお尋ねしたいことは、一体そういつたいろいろの補給金を出すというような産業に対して本当の監査を行われておるかどうか。つまり年にしたならば國庫から五百億も六百億も出す。それだけの仕事に対して本当の監査なしに、片つ端から言う通り支出するというのは、非常に不当なことが超り得るチャンスが非常に多いのでありまするから、ここに独立のそういつた監査制度というものを設ける御意向はありませんかどうか。それについてお伺いいたします。
  41. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 炭價の決定が極めて困難な問題であることは、川上さんの御指摘の通りであります。これは独り我が國ばかりではありません。ヨーロッパ諸國においても、炭鉱程種種の変つた條件を備えておる産業はないのであります。從つて或る炭鉱においては生産費が非常に高く付く、或る炭鉱においては炭價が比較的安いという現象は、恐らく世界的の一つの特殊の現象であると私共は考えておるのでありますが、そういう際に炭價の決定を行うことが、或る場合には非常に採算が有利になる、或る場合には採算が困難になるという事情を生ずることは、この事業の特殊の性質であると考えられるのであります。その状況から判断いたしますれば、只今川上さんの言われたごとく、赤字成金ができておる場合も或いはあり得ることと思うのであります。それらに対して、どういうふうに施策をすればいいかということが、只今いろいろ考えられておるのでありますが、監査の方法につきましては、ご承知通り石炭の國家管理が着手せらるる場合においては、法的根拠を持つた國家管理に属する管理が炭鉱に行われることは、言うまでもありません。現在石炭廳においては、それぞれ適当な專門家を持つております。石炭價格の基本的な材料を掴んでおりますから、多くの場合においては、相当確実な資料を持つて計算し得るようになつておるわけであります。今後石炭國家管理が段々普及するに從つて、その監査も一層精密に周到に行い得ることと期待しておるわけであります。
  42. 川上嘉市

    ○川上嘉市君 只今申上げましたいわゆる石炭の監査というのは、これはただ一例に申上げたので、実はただ炭價の監査でなくて、その炭鉱、会社自身の成績の監査でございます。これは同様に複金の貸出先に対しても、そうあるべきものでありまして、私が申しました監査制度のもつと廣い意味考えまして、苟くもこれを政府の補助を與えるものについては、全部正式に事業の内容の監査を行う、こういう方針にお進みになることを希望するのであります。  それから尚委員会における質問に対して、いろいろ調査をお願いするのでありますが、それが聞き流しになる場合が甚だ多いのであります。例えば今申しました石炭が一年前に比べて五倍に上げられる案が、それは何故にそう上るものだと聞いたところが、これは商工大臣が鉱工業委員会で策弁されましたのに、戦争中は一人当り一日十六トンなにがしも掘れたのが、最近では六トンなにがししか掘れん。それが大きな原因だというふうな答弁をされた。私はそれに対して、甚だ露骨でありましたけれども、それは一つも何も知らん人の話であつて、一年前なら我我はその説明に納得した。併しながら一年前と今日と比べて、果して石炭の生産額が、それだけ何分の一にも減つたかというと、そうじやない。それはむしろ上つておる。そんなふうな全然の素人の説明でなくて、物價廳に行つて一つすつかり調べて見て、その当時における、つまり去年の六月頃におけるところの、價格改訂前の労銀がいくらとか、資材がいくらとか、或いはすべての原價を構成する一つ一つについて、その値上げ前と、値上げした時と、今回の改訂の時と、その三つを全部比較表を作つて貰いたい。私は今日はその報告があるように聞いておりますが、そういつたような問題に対しても、それを若し我々が拜見するならば、それによつて今度の値上げが適当したものであるかどうかということは判断が直ちにできると思います。そういつたような、いろいろな問題につきまして、例えば鉄道で使います石炭でありますが、この炭が六千カロリーの石炭を使いますというと、五千カロリーに比べますと役一割二分六厘の節約ができるということ、これは昭和二十年、二十一年、二十二年のこの三ヶ年間の統計で明瞭に現われておる。ところでどういうふうなカロリーの炭が、日本のどこの山でどれ程出ておるという数表を作つて見て、そうしてこれだけのカロリーの炭を使えば三%から四%半の値増しを計算しても、これだけの炭をこれだけ使う方が、何割得だという計算を示してくれと言つても、一向にその調査が來ない。一体この委員会における質問に対して、政府は果してそういつたような調査などを報告する義務があるのでありますか、或いはただ参考に置く程度でありますか。それに対して総理の御決心を承りたい。
  43. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 國会質問の提起せられた場合、若しくは必要なる資料の要求があつた場合には、政府としては、当然、その希望に副う義務を持つておるのであります。若し今日までそれが十分に行き届かないといたしますれば、政府としては誠に遺憾に思う次第であります。今後はかような場合にできるだけ速かに御希望に副い得るよう措置いたすつもりであります。
  44. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 総理大臣に対する御質疑ございませんか。
  45. 中西功

    中西功君 極く簡単に二つだけ総理大臣に対してお聽きいたしたい。一つは、これは芦田総理が皇室経済会議の議長をしておられます。又その他皇室の問題については、やはり責任を持つておられる立場でありますので、それ故に皇室の問題について伺うのでありますが、極東裁判の進展並びに終局に関連して、今の天皇が退位する。又するのが当然であるというふうな意見は、外國において非常に強く叫ばれておる。又國内においてもそういう議論が出つつある。特に中國におきましては、依然として日本の天皇制の問題について嚴しい批判がある。そういうふうな一般の情勢については、もう首相自身がよくご存じだと思いますが、現に非常に具体的な問題として、今日の裕仁天皇が、極東裁判の一應の終結と同時に退位するというふうなことが言われておるのでありますが、又これは日本の國内において相当良識を持つ人人は、國際的な信用を回復するというふうないろいろな点においても、やはりこの際從來戦争の、ともかくも大きな責任者として立つて來た裕仁天皇が退位するということは、國際的な信用を回復する上において、非常に大きな問題を提供するというので、退位を望んでおる向きも廣汎にあると思うのでありますが、芦田首相が一体どういうようなお考えであるのか、その点を一つ明瞭にお聽きして置きたいと思うのであります。  第二番目は、極めて簡単なことであります。即ち芦田内閣は、発足に当たりまして、三党政策協定を自己の政策の基礎にしたわけでありますが、それならば芦田首相自身としてこの度の予算案、或いは予算修正案において、その三党政策をどこでどう実現したと自分考えておられるのか、それをお聞きしたい。それが第二問であります。
  46. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 中西君のお話なつた天皇退位の問題につきましては、政府は何も考えておりません。  第二の問題については政府は三党政策に揚げておる大多数の問題を実現するために、今回の予算を編成したわけであります。
  47. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 最近の労働争議等に関する資料を見ますると、大体労働争議というものは官業、政府の事業及び政府の諸機関に集中をされておるというふうに、まあ数字の上でも見えるのであります。私はこの問題は普通の場合と違つて、非常に特異な現象を示しておると思うのでありますが、從つてこの問題を単に労働争議、労働問題として見るよりも、日本の官業の経営とか、或いは日本の行政の機構という問題に何らかの不合理があるのではないか、そういうところに問題が所在するのではないか、こういうふうに考えるのでありまするが、それについては私まだ何らかの資料も、特別の調査もしておらないのでありますが、この際この問題につきまして、首相の御見解を伺つて置きたいと思います。
  48. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今の問題は御尤もな点があると思います。明治初年以來、今日に至るまで、政府の役人が争議を起すとか、罷業をするとかいうようなことは極めて稀であつて、近年に至つてその例が著るしく殖えた。これは単なる労働問題ではないという御見解には、私も或程度共鳴いたします。我々國民がこの際深く反省すべき問題であると考えております。
  49. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 単なる反省すべき問題という精神的なことでなく、具体的に官業経営とか、或いは行政機構そのものに何か不合理なんものはないかということを質問するのであります。
  50. 芦田均

    國務大臣芦田均君) これは機構の問題ではありません。人間の魂の問題であります。
  51. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 魂の問題だということになると、これは相当重大なんでありますが、そうすると、先日誰かが総理大臣に質問をいたしましたとき、今官公関係の労働者がわいわい騒いでいるのは憲法を知らんからだ。こういうよう答弁を首相が言われたのであります。只今私は労働問題というよりも、別途に質問をしたのでありますが、それに対して魂の問題だという答弁があつたとなると、これは非常に重大だと思うのであります。前の質問に対する首相の答弁は、これは官公労働者は國家の公僕なんだから、そういうように騒ぐということは、これはいわば人民に対して、國民に対して、挑戦するようなものだというような説明であつた筈なんであります。私はこういう言い方は、今日の内閣責任制度というものを、首相自身がわきまえておらん。首相自身憲法を知りながら憲法を冒涜しておる。これは甚だ怪しからんことであつて、これは國民の誰もが許さんと思う。これは、はつきり答弁して貰おうと思います。
  52. 川上嘉市

    ○川上嘉市君 もう一つ総理大臣にお尋ねいたします。これは私は本会議質問いたしましたが、それは鉄道の中に教習所というものがありまして、その教習所の所員と申しますか、教習生というものがこれが三万八千人程あります。それに使う直接の費用、直接の費用と申しますると、本人の給料と手当、その外教える方とか、設備の費用を一切含まずに、それが三億二千四百万円ほどあります。その中で約一万二千人というものは、三年間官費で以て、而も給料それから手当全部を貰いながら……貰いながらと申しまするのは、働いている人と同じような給與を貰いつつ、勉強しておるのでありまして、こんな馬鹿氣たことは、今の時勢にあり得ないじやないか。それは例えば一つの府縣で以て、明治四十年に始めてその制度ができたのでありますが、その当時は、例えばある縣の例を取りますと、中等学校が十校ありませんでしたが、その当時には、この專門の知識を養成するために、そういうものが必要であつたかも知れん。今日におきまして、同じ縣で以てその十倍以上の、百何十校ができて、そうしてその卒業生が余つておる際に、そんな官費で以てそれだけのことをやる必要はないじやないかという、こういう質問に対して、運輸大臣の御答弁は、鉄道にはこの戦時中に比較的教育の程度の低いものを入れたからして、それを上げたいんだと、こういうお話がありましたけれども、併しその点については、どこの民間の会社も同じでありまして、今日の民間の会社であつて、どこにおいてもその会社の全費用を以て、そうして給料を、働いている人と同じだけをだしてやつておるということは、殆んど一ヶ所もないだろうと思います。そういうふうなのは、鉄道大臣の考えでは、今以てそれをやる必要があると、こう言つておりましたが、首相はそれに対してどんなお考えを持つておりますか、又それを本当に御研究する價値があるとお認めでありますか。これはなかなか大きな問題でありまして、逓信関係の方にもやはり同様の制度がありますが、この方はGHQの方からして、そういうふうなのは止めたらどうか、それで、教育は文部省の方に全部統一せよというお話があつて、一ヶ月研究したが、取り敢えず又延ばすようなつたとかいう話を聞いておりますが、一應とにかく話があつたということは、当局から聞いております。私はそういうふうな、やがて四十年になるその昔の時代においてあつたものを、今日検討し直して、そういうものを止めてしまつていい、將來いつか止めるべき時期に、もう達しておるんじやないかという感じがいたしますが、これに対する首相のお考えを伺いたい。
  53. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今御指摘のごとき例は、政府、官廳の中に相当多数にあります。逓信省においても練習所があり、外務省にも外務官吏研修所というものがあります。或いはその他の、衛生施設等のために必要な場合には、看護婦の養成所のごときものも、各種の病院で設けておる例もあり、やはり專門の技術を必要とする人間を養成するためには、ある程度政府が犠牲を拂つて、優秀な人材を作る必要があるために、かような制度を残しておるんだと思います。併し時勢の進運と同時に、かかる必要があまり感ぜられない時代になれば、一日も早くかよう機関は廃止することが、國家の行政費を節約する上においても望ましいことと思います。
  54. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 総理に対する御質疑は外にございませんか。
  55. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 総理が単に魂の問題だとか答弁されたんですが、それはこの前に、憲法を知らん者だという答弁をしたのと同じことだと、私は指摘したのであります。これでは答弁にならないのであります。さういう答弁は、内閣責任制というものをごまかすものであつて、ちつとも答弁にならん。魂の問題なら魂の問題でいいから、それをどうするか、これを何とか言わなければ話にならん。答弁を求めます。
  56. 芦田均

    國務大臣芦田均君) それ以上はお答えいたしません。
  57. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 物價改訂の問題につきまして、総理大臣の所信を伺いたいと思います。御承知通りインフレの最大の直接の原因は物價引上げの問題でありますが、先程も物價廳の問題がありましたが、物價の改訂につきまして、原價計算を研究されておるということは勿論でありますが、事業者の立場から見まして、最新の原價計算のデーターを利用し得る面におきまして、実は電氣料金の決定に際しまして、経営者側の事業努力と言うものは、その改訂ごとに資料といたしまして引上げておるのでありますが、こういつた場合に、会社の配当の問題を全然考えていないようでありまするが、配当は経営者の努力によつてやるんだということを言うております。これをよく考えて見ますと、経営者側から見ますと、配当すべく努力して、仮に百キロの電力を、前期においては十トンの石炭を使つた、これを今期においては八トンの石炭で上げたというデーターとしますと、今度は八トンを資料にして電力料金を決められる。かようにいたしますと、どうも配当の方へ廻らないということになりまして、「いたち」ごつこでありますが、その点首相のお考えをちよつと伺いたい。
  58. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今の問題は、私自身あまり事業経営の経験がありませんから、適切なるお答えをすることは困難と思いますが、併しお尋ねになつておる点は、恐らくそういう技術の問題でもなかろうと思いますから、極めて簡単に所見を申述べます。  大体の政府の方針としては、労働と経営との調和によつて日本の産業の振興を図らなくてはならない。労働を軽視することができないと同じように、同時に又資本を虐待すれば産業が興らないということは当然のことであります。從つて日本の再建のためには、勤労を尊重すると同時に資本を虐待しないことが必要であります。現在までの日本の産業の行き方は、どつちかと言えば、常に資本を虐待して來ておる。殆んど無配当の会社が軒を並べておるというのが今日の情勢でありまして、このままの姿では、日本の産業の振興を図ることは非常に困難であると思います。そういう見地に立つて只今質問をなされたと思いますが、電氣料金その他の詳しい問題は、私はあまり心得ませんが、政府の方針としては、大体只今申述べたような方向によつて問題を取扱い解決いたしたいと考えております。
  59. 西川昌夫

    ○西川昌夫君 首相のお考えはさようでありまするが、借入金、社債の方の利息は原價計算で認めておるのでありますが、配当金の点は、株主の利益の方は、全然物價廳で考えておらん。この点首相の考えは如何ようでありますか、伺いたいと思います。  次にやはり電力料金におきまして、人件費の問題が織込んでありまして、これも極く最近の資料を織り込んであるのでありまして、電産の獲得した率というのもが入つておりまして、この労賃の面から見ますると、成るべく物價改訂の前においては、その産業の部門においては、資本家側においても労働者側においても、よりよい労働條件を獲得して、これを消費者に轉嫁させるという風潮がここに現われて來るのじやないか。最新の獲得したデーターを、何でも生きたデーターとして原價計算を決定しようとするのは、一面において経営者側の努力と利益をなくし、本当にお役人的経営となり、又一面人件費というものはますます増大いたしまして、官公廳の労賃あたりも、勿論率をよくすることは我々も結構でありますが、率先していい條件を獲得して、そうしてそれを消費者に轉嫁しようという風潮を、ここに如実に現わしておるのでありまして、この点を企業者の努力の面を買うという意味から、又そういつた一刻も早く労働條件を獲得した方が得だというよう意味合いからいたしまして、どうしても一番最新のデーターを利用するということは、両面から弊害がありはしないかと思いますが、今後の首相のお考えを伺いたいと思います。
  60. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 私は、あまりそういう具体的事実を承知しておりませんから、政府委員からお答えをいたさせます。
  61. 渡邊喜久造

    政府委員(渡邊喜久造君) 電氣料金の決定につきまして、いろいろお話がございましたが、この決定につきましては、内部でもいろいろ議論があつたのでありますが、一應三千七百円を工業の平均水準にいたしまして、格差を以てこれを開いて参りますと、現在の電氣事業における賃金等は或る程度開いたものであります。一應物價廳の方針としましては、原則としては、その格差を以て開いた賃金を基準とし、そうしてこれで以て價格を決めて参ります場合におきましては、只今御指摘になりました会社の利益も一應合理的な学を見込む、こういうことをやつておりますが、電氣事業の場合におきましては、その格差を以て開いた金額で労賃を織り込み利益を見込んでおるかということになりますと、現在の電氣産業の特殊な賃金を以てしましては、電氣産業は殆んど経営が困難じやないかと思われるような料金になるわけでございまして、電氣産業の点につきまして、いろいろな事情のあつたことも考慮しまして、今度の電氣料金の決定につきましては、現在の資料に現われております電氣産業の賃金を、そのままは入れておりません。一割程度これを低くしまして、その額は、電氣産業がその努力によつて出すべきであるという意味におきまして、一割程度減じております。一面そういうふうに特殊の労賃を入れたものもあります。從つて、その反対と言つては語弊がありますが、その事情を考慮した上に、そういう内容のものにつきましては、配当金に相当しますような利益というものは、これは見ない。こういつたよう一つの妥協的な方策ではありますが、方針を取りまして、現在の料金を決定した。こういうことになつております。
  62. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 総理に対する御質疑はございませんか。
  63. 小野光洋

    ○小野光洋君 芦田総理はかねてから文化に対しては相当深い理解をお持ちの方と存じますから、特にお伺いいたしたいのでありますが、今度の予算に國宝保存その他國宝に関する費用といたしまして一千七百九十万円を計上されておりますが、戦時におきまして、戦災によつて焼失したところの國宝は、相当多数に上つておるのであります。ようやく戦禍を免れて残りました國宝も、多少その中には特に文化的な價値と申しますよりも、むしろ皇室、その他に特殊な関係があるというような点から國宝に指定されたというようなものもあるかも知れませんが、併しながら、それらと一緒にいたしまして、総て古いものに対する尊重の観念が非常に薄くなりまして、國宝が建物或いはその他の物件におきましても、荒廃腐朽、放置せられておるというような誠になげかわしい状態にあるのではないかと思います。かような点につきまして、特に私共は現在の民心或いは又古き文化に対する國民の離れた氣持を、何とかしてこれを結び付けて、あとから当時の戦後における日本國民が、我々の過去の先祖の作つたところの文化に対して適当な措置を講じなかつたという恨みを受けないようにしなければ相成らんと思いますが、その点について、特に法隆寺などは戦時解体せられまして、現在におきましても殆んどどうするのか、まだ研究の域を脱しないというような状況になり、ばらばらに解体せられておるのであります。  東大寺、その他におきましても、雨漏り、その他で、このまま放置して置きますというと全く一、二年で腐朽倒壞するというようなものも相当あるやに伺つておるのであります。かよう意味におきまして、國宝の建物、或いは物件等に対しまして、僅かに千七百九十万円の金で以て何とか國家が関心を持つているというヂエスチユアだけの状況は甚だ遺憾に存ずるのでありますが、この点に対する総理の御方針をお伺いしたいと思います。
  64. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今小野君から御指摘の問題は極めて重要な問題であります。御指摘のごとく、京都、奈良における國宝を保存するだけでも、恐らく数億の金が必要であると思います。況んや全日本に亘つて國宝を保存して行くには、莫大な経費を投じなければ所詮目的は達せられないと私自身考えております。かよう状態にして置くことは、いかにも祖先に対する責任から言つても申訳がないと思いますが、御承知のごとく、破れ世帯であります。國宝の保存にまで手が届かないというのが実情であります。併し昨年度の予算が五百万円程度であつたことにした比較して、今年度の一千七百九十万円は、余程思切つて金を出したというその誠意の片鱗をお認め願いたいのであります。
  65. 木下源吾

    ○木下源吾君 総理大臣に二、三お伺いしたいのですが、どうも予算でも、法律案でも議会の会期が迫つた頃にいつまでも固まつて出る。こういう行き方に対して、どういうわけでこうなつておるかということについては、どうも不思議でたまらないのですが、この点について総理大臣はどういうわけでこういう傾向になるのか。どうすれば一体是正できるのかというようなことについて、お考えがありましたならばお聞きしたいと存じます。
  66. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 只今お話ような傾向が長年抜けないのでありまして、誠に遺憾であります。盆暮になると皆忙しくちよこちよこ走り歩くという國民性がこの点に現われておる。將來これは一日も早く是正いたさなければならんと思つております。
  67. 木下源吾

    ○木下源吾君 ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
  68. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  69. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  70. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 日本の民主化に関する諸問題を積極的に熱意を以て政府が推進すべきであるという御意見は、至極御尤もであります。終戦以來三ヶ年に近い間、多少政府内部の仕事を取扱つて來た体験を持つ私自身においても、今御指摘のごとき弊風は随分あつたと正直に告白すべきだと思いますが、終戦以來、御承知のごとく、無血革命といいますか、社会的にも、政治的にも大きな変動を受けて、まだ落付きを取り戻していないその結果として、とにかく総てのものごとの取り運び方が、秩序的に、計画的に行われないということが大いなる原因をなしておるのでございます。併しすでに終戦後三年にもなりまして、経済的にも長期建設に入らんとしておる時代に漸く進んで來たのであります。今後は今お話のあつた線に沿うて極力努力いたしたいと思います。
  71. 木下源吾

    ○木下源吾君 尚この問題に関し二、三お聞きしたいと思うのでありますが、結局するところ、日本の現状においては、民主主義を早く達成しようという熱意を持つておるものは、労働者、農民、言うまでもなく、終戦後特別議会で労働組合法と農地開放が、議会で決められて、それ以來の日本の労働者と農民が急激に解放されて、そうして民主主義への線に沿うて驀進しておる事実があるのでありますが、一方古い勢力、まあ言うならば資本家的勢力というものは、これを何とかして阻もう阻もうという、あらゆる面が、そういう現実だと思うのであります。それで現在でも相当の労働者、農民は非常に早いテンポで民主化の方向へ進んでおるのでありますが、ここでお伺いして置きたいのは、この前の総選挙から現在総選挙における大衆のつまり民主化への欲望、そういう熱意、從つてそれから生まれて來るところの意識の水準が相当私は進んでおると思うのであります。総選挙以來そうであれば、從つて現在の國会の構成は必らずこれは変えなければならんという結果になると思うのであります。そういう点について、総理大臣は、端的に言うならば、大衆の政治的の意識の水準が非常に高進しておるし、議会の構成はこれに伴つておらない、かよう考えられるならば、私は解散をしなければならんと、こう考えるのでありますが、そういう点についての総理大臣の御見解をこの機会に承つて置きたい。
  72. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 現在の風潮は非常に急激な変化を遂げておるのでありまして、過去の十年は今日の一ヶ年に相当するとも言い得る時代でありますから、この激動の間において、輿論と血のつながりを持つためには、比較的短期の解散も必要を生ずることがあり得ると思います。併しながら今日只今日本は、経済的に見ても非常に重要な時代に当面しておるのでありまして、この一年が我が國の再建の上において持つ意義は極めて重要な時期であり、インフレの克服にしましても、或いはやがて我が國に輸入せられんとする物資クレジツトの活用においても、その他各方面共に重大な岐路に立つておる。そういうときに総選挙を行おうとすれば、勢い政治的にも、経済、財政的にも、相当の空白を見ること必然であります。今日只今のところ、すぐに総選挙を行うごときことは、でき得るならば避けたい。かよう考えておる次第であります。
  73. 木下源吾

    ○木下源吾君 次にこの農村のことでありますが、これは諸物價の改訂ですでに農民が供出した主食等の價格改訂もやがて行われるでございましようけれども、年に一遍の收穫物の價格は、現在のよう状態では、諸物價の改訂と釣り合わないことはすでに御承知と思います。從つてそれが影響するところは農業再生産に非常な支障を來たしておる。政府は今一割増産を主としていられますけれども、実際の農村のこれらの金融面或いはすべての生産に要するところの農機具その他いろいろの物に至まで、購入する資金も困つておる。で、これを政府か解決するという先般來のいろいろのお話を承つておりますが、金融の途では単なる農業手形、まあ一口に言うならば青田賣りのような、農民に青田賣りをさせるような、そういうような方向で、而も農村全体としては何程の助けにもならないという額であります。ここで、できるならば、我々はその他の方法で、当面する農村の金融を何とか付けなければならないというような面をも考えまして、政府に要請いたしましたけれども、まだこの問題が解決せられておらないのであります。これでこの予算が通過いたしましたならば、一面に物價はどんどん騰貴して行くでありましようし、他面において農村はこのようなままに放置されておるならば、政府心配する所の一割増産というようなことは、到底所期することはできないと思うのでありますが、併しながら予算は会期も一両日に迫つておるので、これは諸般の事情で通過するでありましようが、これだけでは私は農村のために一体何をするかということが明かにならないので、この機会一つ総理大臣から、重大な問題だと思いまするので、この会議を通して所見を伺いたいと思うのであります。
  74. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 農村の問題について只今お話のありました二十二年度産米の米價の問題は、政府においてもいろいろ案を立てたのでありますが、政府の思う通りに実行し得ない事情がありまして、只今のところ一時停頓しておる状態であります。併し再生産のために差当りの金融が必要であることは、今お話通りであります。又農業に対する長期金融もこの際何らかの方法を講じなければならんという意向を以て数日來必要な方面とも話合を進めております。大藏大臣安本長官もいろいろこれらの問題について苦慮いたしておりまして、只今のところでは極く最近の内に相当の途を講ずることができる段階に達しておる次第であります。さよう承知を願います。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今首相のお話でありますと、長期金融の途について政府においていろいろ御考慮中であるというふうにお答えがあつたのであります。過日大藏大臣は本予算委員会におきまして、農林、水産等に関する金融のために、特別会計を設置せられるよう努力中である。而も今会期中にこれを何とかしたい。というふうなお話であつたのでありますが、未だにその結果が現れておらない。修正予算におきましては、新たに二つの特別会計が設けられておるのでありますが、この重大なる農村金融の問題につきましては、未だにその結果が現れておらない。会期はすでに余すところ二日でありまして、勿論この二日間の中にそれに対する何らかの措置が取られないといたしますならば、次の國会が開催されるまで農村金融というのもは現状のままで放擲せられなければならん状況にあると思うのであります。この二日間の間において、今首相の言明されたことが実現されるのかどうか、そうして又実現されるといたしましたならば、その内容はどうか、これは或いは関係方面との関係で、まだ具体的にお発表できないのかもれませんが、せめて輪廓だけでも発表して頂きたい。こう考えるのであります。この点は大藏大臣からの御答弁をお願いしたいと思います。
  76. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  77. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。  十五分休憩をいたします。    午後三時三十四分休憩    —————・—————    午後四時三十四分開会
  78. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 開会いたします。休憩前に引続いて質疑を行います。木村禧八郎君。
  79. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は大藏大臣に御質問申上げたい。それはこの予算編成の一番基礎なつ賃金ベースの問題ですが、この点においては何度も大藏大臣質問したのですが、今度は角度を変えまして、先程の大藏大臣の御答弁では、前とは多少違いまして、予算編成は何を基準として三千七百円というものを定めるかということの御答弁があつたのであります。それは大体正確であるというようお話であつたのですが、実は私共が調査したところによりますと、(「大きな聲でやつて下さい」「聞こえません」と呼ぶ者あり)この予算の編成の基礎なつた三千七百円ベースにつきまして、大藏大臣はこの算定が正確であるというお話であつたのですが、我々調べたところによると、それは正解でないと思うのです。そこで大藏大臣にお伺いしたいのは、一應三千七百円を算定する方式が、これまで三回変つておるように聞えております。一番最初の第一次案と申しますか、これは五月十日に作られて出されております。これによりますと、一番最初政府が推定した五月の全國工業平均賃金三千四百二十円、これを基礎にして、予算を編成されたわけですが、その後第二次の裁定案によりますと、これと大分違つておりまして、併し結果は同じになつておりますから、その間において非常な操作が行われておるのです。それは第一次案においては、家計費の構成割合が闇が七五・四%、公定が二四・六%になつておりましたが、第二次案においては、闇が七四・六%と減つて、公定が二五・四%と殖えておるわけであります。こういう操作によつて結局最初の三千七百円ベースの算定が間違いない、最初の結論と内容は同じになつておるのですが、その間において、家計費の割合において、そういう操作が行われておる、こういう操作が果して正しいものであるかどうか、結論を同じにするために、こういう家計費の内容による操作を行なつておるが、最初の政府の家計費の構成割合の推定と違つて來ておるのです。この点どうしてこういうふうに違つのか、それから第三次案によりますと、今度算出の方法が全然違つておる、全然違つておりまして、いわゆる短期線と中期線と長期線を平均して、そうして第一次案、第二次案の場合と違つて、その線を直接六月に延ばして、そうして大体三千七百円は正しい、そういう基礎付けになつておると聞いておるのですが、先程大藏大臣は三千七百円という基礎は正しいと言われましたけれども、その間に非常に操作が行われておるのです。從つて我々としては、どうもその返答は正しくないのだけれども、その結論を合理化するために、わざわざそういう操作をやつたのではないか、そういう疑問を持つわけなんです。從つてその点につきまして、本当に予算単價の基準として正確であるかどうか、それから具体的な今の内容につきましては、事務当局の方からの御答弁で結構ですが、最初の予算単價の基準として正しいかどうか、その点について、先ず大藏大臣にお伺いしたい。
  80. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今第一案、第二案、第三案というようお話が出ましたが、これは全然私は今まで、どういう所から出たか、ちよつと存じませんけれども、尚これはお話のごとく、予算編成に当りましては、一應賃金をどういう水準に置くかということを決定しなければなりません。それが当時入手し得るいろいろな材料を以て物價廳、安本において研究をいたしまして、それが正確であると私共信じて、これに基いて予算の編成をいたしました。それで取扱つた資料がどれ程の確実性を持つておるかというふうなことになると問題でございますけれども、一應統計に上つたもの等を材料としたようでございますから、先ずこれは科学的根拠において立てられたものと、こういうふうに理解しておるのでありますが、一層それの具体的なことになりますと、これは物價廳の方になります。これは物價廳或いは安本の政府委員の方に御説明願いたいと思います。
  81. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 若しかのその算定が合理的でない。若しかそれが科学的根拠に基いていないで、わざわざ三千七百円の結論を出すために、そういう無理な操作をした。そういうことがはつきり分かるとすれば、やはり予算基準の単價、それが狂つて來るわけになり、これは非常に重大な問題だと思うんです。從つて若しかそういうことが正しくないということがはつきり分りましたら、政府はどうなさるおつもりですか。その点一つお伺いしたいのですが……。
  82. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今賃金を構成する内容については安本から参りまして御説明を申上げますが、どうせ、これは予算でございまして、我我の可能範囲において確実性を把握しておるつもりでありますけれども、前途を見通して年間の予算を立てるわけでありますから、既往の事実に基いてやるわけには参りませんけれども、見込が立つということは当然で、その見込にどれ程將來の見通しの確実さがあるというふうなことにおいては問題になりますが、これはたびたび申上げますように三千七百円が妥当であるかないかというふうなことは、その実質的な價値が維持できるかどうかということでございまして、これについては消費財を増す傾向を持つております。勿論そういうふうに努力するが、何とかして三千七百円を維持するよう努力したい。財政当局としてはかよう考え予算を……(「声が小さくて聞こえない」と呼ぶ者あり)
  83. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは基礎水準につきましては事務当局から御説明を伺うことにしまして、只今大藏大臣お話ですと、三千七百円の賃金が、これはまあ予算単價であつて、実際に生活賃金、生活するために支給する賃金である場合に、これが足りないという場合には名目賃金は一應上げないというよう考えまして、これはまあ財務当局としてはそういう方針を、取られるのは当り前かも知れませんが、今のお話ですと、大体物資の配給量を増す。そういう方法において実質賃金を維持するというお話でありますが、それだけで果して実質賃金を維持し得るお見込があるかどうか。それについてはどういう具体的なことを考えられておりますか。その点をお伺いして置きませんと、何ら用意もなく、もうすでに昨年の例によつても失敗した経験を我々は持つておるのでありますから、何かそれに対して具体的な用意がおありになるかどうか。例えば食糧についてはこう、それから衣料についてはこう、これだけのものは輸入されて、これだけのものは実質賃金の裏付として確保できる。そういうような御用意があるかどうか。その点についてお伺いしたいのであります。
  84. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) これは國家全体に重大な影響を持ちますことで、從つて安本から参りまして具体的に御説明申上げることかと思いますが、食糧については今までよりも増配ができる、特に勤労者に対しては傾斜配給等も考えられておりまして、これに基いて、例えば今回の家計費の計算において、約二五%が配給物資である。それから約七五%が非配給物資、闇を含むところの自由物資であるというふうな家計費の内容である。金額的に見ましてさようである。これが漸時改善されまして、この非配給物資の七五%が六〇%、五〇%になるというふうなことから実質的改善が可能である。かよう考えておるのでございまして、勿論そういう方向へ努力しなければならん、我々財政当局としては、この賃金において実質的に維持できるような方向に持つて行かなければならんということで、まあそういう努力はしたいと考えております。具体的には食糧の輸入等も見通しが付いておりますし、本日発表されるであろうと思いますが、繊維品の放出などもございまして、そのようなことで漸次消費財供給というものが順調に行くというふうに見通しをしておるのであります。これが物價並びに具体的な賃金ベースの基礎は先程申上げましたように、安定本部の政府委員が参りまして詳しく申上げることと、さよう了承願います。
  85. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今お話ですと大体物の裏づけで実質賃金を確保し得るようお話でありますが、併しそれだけではむろん足りない、名目賃金もむろん上げなければならない情勢にあることは否定できないと思います。そこで事務当局でもよろしい、お伺いしたいのですが、今の三千七百九十一円ベースを仮に四千円ベースにしたときには、金額としてどの位の追加予算が必要であり、又三千七百九十一円ベースが四千五百円ベースにしたとき、どの位の追加予算が必要であるか、それから仮に五千二百円にした場合、この年度内において、どのくらいの追加予算が必要であるか、ラウンド・ナンバーで結構でありますが、この数字をお分りになりましたらお伺いしたい。
  86. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) お答えいたします。官廳の職員は一般会計並びに特別会計合せまして大体百五十万人であります。これが全部國費支弁になるわけであります。その外に地方團体の職員が百万人ありまして、これが大体半額支弁でありますから、これを人数にいたしますれば五十万人になる。大体両方合せまして國費支弁のものは二百万人というふうに計算されておるのであります。極く大雑把に申上げますと、二百万人が月百円殖えれば二億円になるというふうな計算が成り立つわけであります。さような計算で大体の見当は分ると思います。
  87. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大体の大雑把な金額が欲しかつたわけですが、実はそれはどういうわけでお尋ねしたかというと、今後追加予算が恐らく出て來ると思うのですが、そうしますと、相当な額だと思うのです。これは賃金ベースの決め方如何によりますが、そのときの財源の問題なんです。今度の予算編成につきましても、財源については非常に困難な状態で、六三制の予算などにおいてもこれが十分に計上されない、いろいろな遺憾な点があつたわけです。ところで非常に財源がない、そこで、追加予算が出て來たとき、財源については非常な問題になると思います。その金額にもよりますが、そのために大体の金額としてお伺いしたかつたのですが、今後財源というものが一体どういう点をお考えになつておりますか、これは追加予算は必至だと思うのです。そういう場合に、これまでのような又物價の再改訂、運賃の再引上、そういう方面に財源を求めて行くのか、その他外にそういう大衆課税を重課するという方面でなく、財源を求める方法があるのかどうか、この点は今度の予算を承認するに当つても、承認するしないに拘わらず、今度の予算を検討するに当つても、どうしても必要な点だと思う。そこで今後の財源につきましてお伺いしたいのであります。
  88. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 今回の國会よりの要請に基く政府修正によりまして、予算が百五十億一般会計において殖えたのであります。これが財源といたしまして、いろいろなものがありますが、ごく大雑把に申上げましてその中二十億円が二十五万円以上の所得者に対する税率の引上げによつた收入であります。その他は大体におきまして、これはいわゆる見積り外でありまして、新たに実質的に税收が増收があるという性質のものではありません。從いましてその限度におきましては、將來の財政に対しまして相当マイナスの影響を與えておるというようなふうに考えておるのであります。今後におきまして如何なる收入があり得るかという問題のお尋ねでありまするが、さような状況でありまするので、今後におきましても新らしい何か措置を講ずる、即ち國民所得の中から税の形なり何なりの形で新らしい措置を講ずるということにいたしませんと、いわゆる見積り外だけの問題であろうと思います。到底現実に又眞実なる意味における増收は期待し難い。現在のところにおきましては、今後の追加予算の財源として如何様なるものを考えておりますかというと、只今のところは何も考えておらん、こういうわけであります。
  89. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私は簡單に二点大藏大臣にお答えを願いたいと思うのであります。  その第一点は、過般大藏大臣質問をいたしました時に、留保された自治体警察の警察費の問題であります。そのときの私の質問いたしました要旨は、今詳しく繰返す必要はありませんが、自治体警察の費用と申しますものは、地方財政の確立するまでは從前通り國庫及び都道府縣がこれを負担するということが、警察法に明記してあるのであります。ところがこの現予算におきましては六月までしか自治体警察の費用が計上されてない、今度の修正予算においてそれが修正してあるかと思いますと、どれも一つもその措置がしてありません。当時野溝國務大臣に対しましても、又大藏大臣に対しましても、一体政府は今度の地方財政法、地方税法その他の措置で一應地方財政の基礎が確立したのかどうかということを質問したのでありますが、野溝國務大臣はまだ確立してないと申しますし、大藏大臣もそれを是認されたのであります。そうしますと、どうしても六月でこれを打切るというわけにはいかないのであります。その質問に対しまして答弁を留保されておりますから、この際御答弁を願いたい。
  90. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今岡本さんからお話になりました警察法附則第八條及び消防組織法の第三十二條におきましては、地方財政が確立するまでは中央においてこれを負担するという、そういう規定の骨子であります。これに対してどうするかというような御質問であつたと思います。これは本年の六月までは御承知通り國の予算がまだ暫定予算でございますため、地方財政確立の措置を取らなかつたのでございます。從つて從來通りの負担区分で國庫は地方警察費國庫負担金を支出することになつてつたのでありますが、七月以後におきましては本予算提出すると同時に、地方財政につきましても地方財政法案、地方税法を改正する法律案、及び地方配付税法案等を國会提出いたしまして、その地方財政の確立の措置を固めるというようなことをいたしておるのであります。これで地方財政が全部完璧になるというようには、むろん考えられませんけれども、一應これらの法律を通して、地本財政の基礎を確立すると、こういうよう考えておるのであります。本年の地方予算は概算千九百億円でありますが、七月から自治体警察費九十七億円、消防費九十四億円余が含まれておるのであります。これらの財源としては、地方財政全体の歳入について今般入場税を國税から委譲いたしまして、或いは営業税を拡張いたし、又事業税を創設いたしたりなどいたしまして、その他諸税の拡充をいたしまして、更に配付税による調整等もいたしましたので、自治体の警察、消防部については七月以後は國庫からの負担金がなくなりましても、そのために地方團体が非常に負担の過重に困るということにはならないというふうな考えをいたしておる次第でございます。
  91. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 今の御答弁ではまだ満足ができないのでありますが、この警察法の附則の第八條、消防組織法の附則の第三十二條、これには明らかに地方自治財政が確立されるときまでは、國庫及び都道府縣が市町村警察に要する費用を負担するということが明記してあるのであります。それで野溝國務大臣のごときは地方自治体の地方財源はまだ確立されていないということを明らかに諸所で言つておられるのであります。そういう見地を採られる限りは、どうしてもこれは、その確立に至まで國庫で負担をすべきであるのであります。今、大藏大臣は一應は確立したと見るんだというようお話がありますが、甚だどうもその点遺憾に堪えないのであります。これは第一分科会におきまして予備審査のときにも事務当局に質しまして、大体予算措置について詳しく答弁を聞きました。それによりますと、これは地方分與税との関係がいろいろありまして大体差支ないようになつておるのでありますが、ただ一應、これは質問を打ち切つてもよろしうございますが、とにかくその主務大臣である野溝國務大臣が、一應事々に国を開いて、地方財源はまだ十分じやない、地方財源の基礎は確立されてないのだということを言われる以上は、どうしても法律にこれは抵触すると、私は思うのであります。この点について非常な矛盾がありますから、これはいわゆる芦田内閣が三党の危うげな協定の上に立つ内閣の姿を今馬脚を現わしておるとこもろであり得るのですが、こういうことは十分注意をなさつて、この地方の市町村に対しても不平を抱かせないようにせられなければならないと思います。地方財政の基礎が確立していない以上は、どうしても拂つて頂かなければならんという議論は当然出ると思う。國務大臣はそういうことを言つておられる以上は、そういうことが出るのは当然でありますから、この点を將來とも十分氣を付けて頂きたいと思う次第であります。  もう一点質問いたしますが、今参議院の他の委員会におきまして軍事公債利子支拂の特例に関する法律案が掛つておるわけであります。この法律案は果して可決になるかどうか甚だ危い状態であるように思うのであります。それで若し参議院においてこの法律案が否決をされるということになりましたときに、これは衆議院に移る。で、衆議院で再議をいたしまして、これが法律になりますには三分の二の多数で可決を要するのであります。三分の二の多数を改めて得られることは到底私はむずかしいと思います。そうしますと、この軍事公債利子支拂の特例に関する法律はできないということになるのであります。そういうときに、この予算手続はどうなさるのか。この今提出されてありまする予算、この中には勿論利子を拂う、十五億でありますか、その金額は計上されてないのであります。それでこれが否決されたときにどういう予算措置をなさるか、それは分科会などを進める上に非常に関係がありますから、お尋ねいたします。
  92. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 同種の問題が昨日かも出ましてお答え申上げたのでありますが、政府といたしましては、これは一應政府として提案をいたしまして、衆議院の可決を経ましたので、参議院においてもどうか通過をして頂きたいということを、切に願つておるわけでありまして、從いまして、若し通らなかつたらどうするかという、こういうお尋ねでございますけれども、私共はどうか通して頂きたいという立場にあるわけであります。まだ通らない場合どうするのだという措置は、今のところ考えておりません。
  93. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 それではちよつと困るのでありまして、この利子はいつ支拂うことになるのか、確か九月とかいうようなことを聞いておりますが、それまでに補正予算ですぐお出しになるのか、或いは予備費で一時賄つて置いて、そして補正予算に便乗するのか、そういうような点は技術の問題ですが、つまりこの本予算を通すかどうかということに非常に関係はありますが、この法律案が否決になつても、一應これでこの本予算関係なく通し得るのかどうか、その点私共も研究いたしますけれども、政府はどういう見解を持つておられますか、それを非常に大事な問題でありますから、政府の所見を伺いたいのであります。
  94. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 重ねて政府の所見はどうかとおつしやるのですが、政府といたしましては、これはまあ國会意見が二途にでるということにならないように、一本でやつて頂きたいということを願つておるのであります。從つてように、予想いたしまして、仮に通らんときはどうするかということについて、さようなことを私がここで申上げますことは、そういう仮定で申上げますことは、いろいろ間違いが起りやすいと思いますので、大藏大臣が通らん場合を予想してこういうふうに考えておるというふうになつても非常に困ると思うのであります。その点は非常に微妙なんでありまして、むしろ万一そういうふうなことがありましたら、こういうふうにやつたらどうかという、積極的な御意見でもありましたら、拜聴いたしたいのであります。
  95. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大藏大臣に二点についてお伺いいたしたいのです。國家財政の大きな部分を占めております租税の面でありますが、昨年度におきましてもその徴收が思うように行かなかつたために、非常に政府の財政操作に困難を生じて、大藏省証券等の発行も相当行われたのでありますが、又年度末において一遍に徴收された結果、いわゆる國民大衆から苛斂誅求のように一面思われたような結果も招來したのでありますが、今回の昭和二十三年度におきましては、政府の方針としては非常に円滑に徴收するというようなことを明示されてはおりますが、具体的に内容がまだはつきりと呑み込めないのであります。これに対しまして、どういうふうに具体的に円滑に徴收されるか、お示し願いたいと思います。  第二点は、政府支拂でありますが、昨年度も政府支拂が遅延を來たしまして、そのために政府事業を行なつておるところの事業家が、非常に金融の面において困難を來たし、しかのみならずその金融の影響するところは、政府事業を担当しておる事業家の傘下にあるところの全國幾万という中小企業家に対しても大きな影響を與えたということであつたのでありますが、これに対しまして今年は具体的にどういうふうな措置を以てこれに臨まれるか、御説明を願いたいと思います。
  96. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) ご指摘のように、昨年は時期的に非常に重なりまして、徴税が一時になりましたために、金融の面にも、いろいろ影響を與え、その時期的ずれから來る政府の歳出は非常に殖えるが、徴税が遅れまして、そのことが金融を圧迫したというような事実もあるのでございます。これはまあ非常に愼しまなければならん点でございますので、いろいろ昨年の事実に反省をいたしまして、只今やろうといたしておりますことは、更生決定が非常に遅れた、昨年はいろいろ事情がございましたけれども、更生決定が遅れた。このことが非常に時間的に偏在をさせたというか、片寄らしめて、それがために財政の面、金融の面、何れにも甚だ面白からざる結果を來した。それで今年は更生決定を適時適正に急いでやるということをいたしまして、そうして一時に納税がかたまるというようなことがないようにいたしまして、円滑に行くように、又政府の歳出と歳入との関係においても、調節ができるように十分に努力したい、かよう考えておるのであります。  今一つは、このたび創設をいたすことに相成りました取引高税でございますが、これはまあいろいろ御批判もございましようけれども、取引が行われる段階毎に徴税するというのでございますから、これはもう随時入つて來る税金である。これは又どうも全体の收入を極めてうまく調節すると考えられるのであります。  かような二点を考え、その他全体といたしまして、ここでたびたび申上げましたように、税務機構を強化し、拡充し、税務署を殖やしたり、或いはその他いろいろ人的の要素を質、量共に改善いたしまして、徴税が円滑に行くように各般の努力をいたしたい。  以上申上げましたことによつて、時期的なアンバランスを調節するということが大体できる、こういうふうに信じておる次第でございます。
  97. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 もう一つ修正予算におきまして百八十億の租税の増徴を見ておるのでありますが、これは各地の税務署に対しまして又割当というか、目標というか、そういうものを殖やして徴收させるというようなことになりやしないかと、國民は危惧しておるのであります。これに対しまして、我我東北方面などに住まつております者から見ますと、昨年度のごときは、最初の目標よりも、東北方面に割当てられたのが三割も、目標より超過して徴税されておる。他の地方に比べて一番徴税率が多かつたということが言われておるのであります。いわぬる眞面目な者がいつでも馬鹿を見るというようなことになつておるのでありますが、眞面目な所から、取ろうと思えば取れるような所から、お取りになるつもりか、或いは昨年の実績に徴さないで、やはり本当に実情に應じてお取りになるつもりか、この点について御回答を願いたい。
  98. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今ご指摘の点は、所得の実態を把握いたしまして、これを最も適正にやるということでなければならんと思います。それでお話に出ました百六十億はどうするというようお話でございますが、これは約二十億は……百八十億です。その中約二十億は先つき政府委員から申上げましたように、所得の二十五万円以上の方々の率を上げるということによつて、それを捻出する。あとは主として從來の所得で逸脱しておつたものを確保するということは、今回は漸く機構も整備いたしましたし、それから何と申しますか、仮称でございますけれども、納税査察官と言いますか、徴税査察官と言いますか、そういうまあ査察制度を設けまして、最も熟練な者を配置いたしまして、專門にそういうことをやらせる。これはしばしば問題になりまする、大きな闇を逃して置いて、そうして小さいところも甚だ漁り廻つて、苛斂誅求するじやないかという御批判がしばしば参議院においても出たのであります。又そういうことがありといたしまするならば、これは租税技術の上から申しましても非常によろしくない。從つてそういうものを逸脱しているものを確保するということは実はなかなかむずかしいのでありますけれども、これを專門的にやらせまして、そうしてそのことによつて租税の秩序というものを正しい途に乗せて、頂くものは正確に頂く、苟しくもこれは免れるということのできないものだというような工合で、追掛けることを專門とするということになると語弊がありますけれども、そういう方法において確保いたしたい。それからもう一つのことは物品取引高税でございますが、これは悪税とかいろいろ御批判があるのでありますけれども、これは取引の行われます段階ごとに軽度の税をとるということによつて、これは税をとることが目的で創設されたものでありますけれども、結果から考えまして、運用よろしきを得れば、これは物品が定められた秩序以外のところへ流れることを阻む効果がある。さよう考えているので、又そういう効果あらしめるように持つて行きたい、さようにいたしますることによつて、所得を確保することができるのじやないか。今予想しているよりも或いは少し多く所得が確保できるのじやないか、かようなことを考えまして、ここで問題にてるのは、決つた勤労所得は約一〇〇%必ず取られてしまう。大闇をやつているものは逃れるということのないよう十分努力をすることによつて税の確保をいたしたい、かよう考えている次第であります。
  99. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 地域的の点について大臣から御回答がないのでありますが、全國を見廻しますと、いつでも東北方面は眞面目であつて、而も昔から官尊民卑というような点において、お役所から言われたから仕方がないというような観念が強いのでありまして、こういう点について大藏省方面ではどういうふうにお考えになるか、殊に東北方面は今後日本の穀倉となるようなところでありますが、未だ他の方面と比較して生活程度のごときも決して高いというものではなく、一番遅れていると思うのです。こういうところに対して苛斂誅求のような納税制度をお作りにならないように我々は要望いたすものでありますが、この地域的差別というものについてどういうふうにお考えになつているのですか。
  100. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。地域的差別とは全然考えておりませんが、所得のあるところに税をかける。そで東北地方が徴税が多いといたしますと、所得が多いということになるかも知れません。只今ちよつとお話がございましたように、これは割当をして云々ということから非常な誤解を生じまして、そういうことは実はやつていないのであります。ただ努力の目標として予算を立てます場合に、内部の関係ですけれども、例えば福島縣はこのぐらい、秋田縣はこのぐらいというような一應の努力目標を立てませんと、予算が立たんものでありますから、それは単なる努力の目標でありますけれども、これを履き違えて、これだけ取らなければ成績が挙つたことにはならないのだという誤解があります。今回は特に税制が大分変りましたから、この國会が終りましたならば、早速財務局長その他税関係者を集めまして、十分誤解のないように今まで國会において聞いたお叱言だけでも参考になるようなことがありますので、事実を挙げてのお話もありましたから、再びさようなことのないようにいたしたいと思います。
  101. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 今の油井さんの質問大藏大臣が損をする質問一つと、儲かるのが一つあるわけであります。ところで、この質問は先日私がいたしました質問と関連があるわけであります。それで大藏大臣に儲かる方の質問をいたしますから、これは簡単でなく懇切丁寧に是非説明して貰いたい。それは昨年の徴税実績を見ますと、油井さんがすでに指摘したように三月に大きな山を築いておるわけであります。これを切り崩さなければならないわけでありますが、專門家の話によると、三月中に集中したため、二百五十億ばかり政府が損をした勘定になるという。從つてこれは重要であると思うのであります。これに対して只今大藏大臣の説明では、更生決定を綜合して時間的のずれを防ぐ、こう御説明されたと思います。これでは非常に簡単でありまして、ちよつと呑み込めないのであります。もう少し具体的に更生決定をどういうふうに取扱つて月別の政府收入をなされて行くかということをお伺いして置きたいのであります。
  102. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今の御質問につきましては、專門の政府委員より御答弁いたさせます。
  103. 金子一平

    政府委員(金子一平君) お答えを申上げます。更生決定を適時適正にやる、かように大臣が御説明になりましたが、これは、今年は年に三回の更生決定の時期がございます。更生決定と申しますよりも申告納税の時期がございます。その前に申告納税に当りまして納税者に十分納得の行くように申告納税の指導を懇切丁寧に行い、その指導によつても十分徹底しない場合におきましては、直ちに更生決定を行い、そして昨年のように一月から三月、四月にかけて税金がかたまつてつて來るというようなことのないように、時期的にバランスを取つてつて來ようにいたしたい、かよう考えておる次第であります。
  104. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 その更生決定というのは七月に申告をして、後十月だつたか、三月だつたか三回になるわけですが、その時期ごとにそういう必要があつた場合に更生決定をする。そうすると今の申告は年に四回であつて、そして三ヶ月分の所得を見積つて更生決定をやる。こういう計算になるのですか。
  105. 金子一平

    政府委員(金子一平君) お答えを申上げます。今度の第一回の申告期間は七月になるわけであります。七月の現況におきまして大体一年間の所得を見積るわけであります。そしてそれに対する税額を彈き出しまして、三分の一ずつ各納期に納めて行く、次の納期に参りまして七月に申告した所得よりもつと所得が殖えたという場合におきましては、更にその当時の状況によりまして修正申告を出す、そうして税額の殖えた部分を更に納めて行く、こういう建前になつておるわけでございます。
  106. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 そうすると私は折角大藏大臣が儲かるよう質問したのでありますが、そうやられますと今度は納める方が損をし過ぎるのではないかと思う。というのは、我々のように所得が毎月歳費を貰つておる者は結構でありますが、そうでなく所得が季節的に一定していない人、殊に商人や百姓の所得は秋から暮にかけて集中して來る。それを財布が空になつておる時に三分の一をごつそり取られるということは、所得が発生していないのに取られるというのは第一無茶である。又苦しい。借金をして拂わなければならん。つまり税金の前拂になるということになりまして、この関係では少し大藏省が取り過ぎるということになりはせんかと思います。
  107. 金子一平

    政府委員(金子一平君) お答えを申上げます。単作地帯の農家のごとく下半期にずつと所得が集中するというようなものにつきましては最終納期に一回だけ申告して納税すればいい、こういうことにいたしておるのであります。その他のものにつきましては、只今ご指摘のごとく、年間の收入を見積る。そうして三回に……本年度は三回になりますが、三回に分けて平均的に納めて行く。どうしてもこれをやりませんと、財政上時期的な税收入のアン・バランスができます。この点は止むを得ないと考えております。
  108. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 政府が止むを得ないというのは、それは別にどうこう言うわけじやありませんが、それではその場合に、又所得が現実に発生しておらなくても、その所得についての税金は國民は前拂いをするということになると思うのです。それは止むを得ないと、こういう理論になるわけでしようか。もう一つ、そういうことは、何か我々はそういうことを強制されることはないと思うのですが、そういう税金の前拂い、そういうことを我々はやらなければならない何か法律上の義務があるわけですか。
  109. 金子一平

    政府委員(金子一平君) お答え申上げます。例えば夏場の氷屋のごとく、氷屋しかやつていないという人を考えれば、夏の間しか收入がございませんから、仮に四月が第一回の申告納税の時期だということになりますと、一月から四月までは全然遊んでおつたということになりますので、これは前拂いになるというような点は、ご指摘の通りだと思います。併し一月から四月まで、普通の場合には平均に收入が入つて來ておるわけでございます。具体的な実際の場合を考えますると、案外お話ような点は少いのじやないか、こういうふうに考えます。その時その時の申告期における実状によつて一年間の所得を想定して、三分の一なり、四分の一なり納めてもらうわけでありますから、必ずしも非常な多額の金額を前拂いにするというようなことばかり起るとは限らないと思うのであります。
  110. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 併しこの問題は金額の大小に拘らず、大きい問題だと思うのです。というのは、非常にその前拂になる金額が少い業種もありますが、私は遅れたる経営というのは殆んど前拂があると思うのであります。この所得が月別に平均されておるという業種はこれは非常に少いのであつて、普通の商賣なんというのは、月別に平均されておりません。これは月別に同じ收入がありません。非常に季節的な性格を持つております。どうしたつてこれは前拂になります。いろいろと業種によつてつて來ますが、この場合は一つは金額の多少に拘らず、前拂させるというそのことが政治として正しいことかどうか、又そういう前拂をする、一銭だつて、かまわんから前拂する義務を國民は持つのかどうか、現在の制度において、これが一つ重大な問題であると思うのであります。もう一つそういう金は僅少でしようか、こう仰せられましてが、日本の國の産業というのは、これは決して外國の産業のようにハイカラなものじやないのであります。非常に遅れておる産業であつて、遅れていれば遅れておる程、この月別平均の所得というものは少いのであります。從つて前拂するという額は、そんなに小さくないのであります。殊に小商人や職人とか或いは農業というようなことになると、この前拂の額は非常に多くなると思うのであります。単にこれは稲の反作地帯においても、養蚕地帯におきましても、或いは畜産の地帯におきましても、それから畑作地帯におきましても、そういうことになると思うのであります。殊に農業の例を申しますと、最近は農業に対する制限統制があり、月別平均所得というものが非常に少く、つまり麦、いも等を殆んど耕地の六〇%以上を作付けしておるのでありますから、この建前から照しまし、今日の農民は水田地帯であらうと畑作地帯であろうと月別に收入は凸凹があるのでありまして、こういうふうに考えますれば、政府方々が言われるように決して僅少ではないと思うのであります。且つ僅少であるとしても問題は一つの制度上の問題が出て來ます。この制度上の問題は一銭だつて問題だと思います。一銭だつて盗めば泥棒だ。このことは明らかなんだから、そのことは大藏当局としては明瞭に物事を決めてかからなければならない。
  111. 金子一平

    政府委員(金子一平君) お答え申上げます。農業の点、尚言葉が足りなかつたようでありますが、更に申上げます。大体全所得の十分の八以上が農業所得でございまして、而もその農業所得の中十分の七以上がその年の十月一日以後に入るというようなことにつきましては、これは一年間に最後の申告納税をすればよい、こういうことによつて、例外的に納税者の納税の便宜を図つているわけであります。その他のものにつきましては、先程から申しておりますように、大体その申告期、申告期によつて一年間の所得を見積つて、それに対する税額を均分的に納めて頂く、こういうふうな建前に現在の所得税法がなつておるわけであります。ご指摘のような例が或いは若干あるかも知れませんが、所得税法の建前といたしまして、そういうふうにいたしまして、税額の確保を図つている、こういうような次第であります。
  112. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 今所得税法のことを言われましたが、所得税法の法理上の解釈は私は余り分かりませんが、我々は今まで税務署から取扱を受けた限りには申告の下にそれぞれ税金を拂つているけれども、前拂をするという計算は今までさせられておらない。だから私は前拂をしないというのが現行の所得税法の正しい解釈ではないかと思う。この法律は一度も改正されておりません。
  113. 金子一平

    政府委員(金子一平君) お答え申上げます。現在の所得税法の建前といたしましては、先程來繰返して申上げておりますように、年に三回なり四回なり税額を按分して拂つて頂く。均分的に拂つて頂く。お説のように特殊な例外的なものの結果のごときにつきましては、或いは前拂をするような場合があるかも知れませんが、併し傾向といたしましては、これは大体所得というのは毎月循環的に入つて來るが、大多数の場合に前拂に必らずしもなつておるというふうに解釈いたしておりません。
  114. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 それでは所得税に関する解釈はそれが正しいというのですね。若し正しいとするならば、そして若しあとであなたの答弁が間違つておるというようなことになればどうなりますか。私は法律の商賣人じやないからして、これは正しいのだと言われれば、それが正しくないという反駁をすることができないのだから……。
  115. 金子一平

    政府委員(金子一平君) 私の答弁が現在の税制の建前上正しいと信じております。
  116. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 正しくなかつたらどうするか。俺は商賣人じやないのだからね。そんなこと言つたつて分らない。俺が法律を知つているならその答弁はいいよ。俺は法律を知らないんだからそんなこと言つたつて駄目じやないか。知らん者には分るよう答弁しろ。法律を読めよ、某処で……。
  117. 中西功

    中西功君 池田君もういいですか……。それでは私最初逓信大臣に一つ質問いたします。それは、今逓信省で企画されておりまする問題でありますが、警察電話を逓信省の方に移管するという問題であります。これは非常に急がれておりまして、聞くところによりますれば、七月十五日頃までに完了するというふうなことでありますが、一体どういうふうなわけでこれがかくも急がれているかという点、これが一つであります。更にこれを急いで、果して政府の方に十分な準備があつてなされていることなのかどうかという点でありますが、例えば予算上の問題、どんなふうな予算的な措置がこの予算になされておつて、そうして七月十五日までにこれを完了するというふうなことがなされておるのかどうか、それが第二点であります。更に所要人員、これにもいろいろの人員が新らしく追加されなければならんと思われますが、こういう点に用意がなされておるのかどうか、更にこの資材、そうしたものについてもこれが用意が十分なされておるのかどうか、若しそういうふうな十分な用意なくしてこれが強行されるとなりますれば、その結果は、殆んど現在の從業員自身が労働強化やその他によつて負わなければならんというようなことばかりではなくて結局実際に行われないというような実情も來るだろうと思うのであります。そういつた点について特に何故こういうふうなことを今日においてやつておるのかという点を特にはつきりとお伺いしたいと思うのであります。
  118. 冨吉榮二

    國務大臣(冨吉榮二君) お答えいたします。今の中西委員のお尋ねは、何故に取急いでかくのごときことをいたすのかとのお話でございますが、実はこの新らしい憲法の精神によりまして、それぞれの所管のところに適所に仕事を移すという方針から、実は警察電話は逓信省が所管することがいいのだという理由によりまして、逓信省に所管替えをいたすのでございます。今予算上の問題についてのお尋ねでありますが、御承知のごとく、警察電話は内事局の所管として所要の予算を計上してございまするので、それがそつくりそのまま逓信省の方に振替えになるわけでございまして、取敢えずのところ特別な予算措置は必要でないのでございます。尚受継ぎましたあとにおきましては、それぞれ專用線におきましても或いはその他におきましても、それぞれに料金を頂戴いたすことになりますので、從來と何ら特別に支出を必要とするということはないのでございまして、それらについては格段の変りはないのでございます。人員等の場合は、それはいわゆる警察電話に現在從事いたしておりまする者を、逓信省職員として受取るのでございまするから、別に労働強化になる心配はないのでございます。以上の点をお答えいたします。
  119. 中西功

    中西功君 その逓信大臣の御答弁は、まあ非常にはつきりしないと思うのでありますが、一つこれは、私も自信がないのですが、以前同じ省内の局を改廃するという問題についても、政令ではなくして法律でなければならんというふうな問題で、曾て参議院も多少いきり立つたこともあるのでありますが、一体こういうふうに一つの仕事を他の省に移管するというふうな問題は、全然政府自身のいわば独断でこれをやつていいのかどうかという点についても一つ聞いて置きたいということと、更に内事局の予算をこれを逓信省の方に振替えればそれでいいというお話でありますが、そういうことも一應は國会の承認を得てやられるのか、或いは政府独断でやられるのかという点も問題があると思います。更に現に今我々は國会予算審議をしておるのでありますが、その審議の過程でそういう予算問題が起つておるのであります。そして又さつき言われましたように、内事局の委員を向うに廻すのだというふうなことが言われておるのでありますが、今まで政府はこれについて國会に対してそういう説明をされておつたのかどうか、一度はつきりお聞きして置きたいと思います。この人員の問題でありますが、これは何故にこのたび警察電話を逓信省の方に移管するかについては、私二つの理由があると思います。一つの理由は、これはさつきも申されましたが、やはり警察電話単独の組織では実際今機能を果していない。だからこれを逓信省に繰入れて、そして、もつと技術の高い、もつと能率のいいものにしようというところに問題があるだろうと思いますが、併しそれにしては今までの警察電話をそのまま引継いだとしても今までの人間では実際足りない。もつとこれに設備、或いはその他人員における改良を加えなければ、逓信省に移管した大体の目的は達しない。私の聞くところによりますと、逓信省では数千人を要するというような話をされておるというふうなことを聞きますが、組合側意見では一万人以上要るというふうな意見を発表しております。で、そういう点、先の答弁はただ移管するだけでありますから、人員その他の問題については問題がありませんというのは、如何にも私は不親切な、何と申しますか、何も余りよく問題を見ていない答弁じやないかと思うのです。これが第一の理由に基く諸関係だと思いますが、更に私が特に今日この問題を採挙げて問題にいたしますのは、これは七月十五日に向つて急遽非常に急いでやられておる非常に大きな目的は、私は明らかに予想されておる全逓労働組合の争議彈圧の手段だと思うのであります。これは從來から争議におきまして警察電話は切断してはならないという強い、いろいろの要請があります。そしてこの問題については、いろいろの問題も起つておると思いますが、ともかくも警察電話はこの全逓の電話の中に繰入れて行きまして、これによつて争議に対する大きな制肘を加えることができるというのが、これが今急がれておるところの大きな目的だと思うのであります。で、そういう点を、私は結局はつきりさして置きたかつたのでありますが、政府独断の意向によつて、殆んど國会にも諮ることもなく、こういうふうなことをやつてよいのかどうかという点について、はつきりお聞きしたいと思います。
  120. 冨吉榮二

    國務大臣(冨吉榮二君) お答えいたします。七月十五日に急速にやるというようお話でございまするが、まだそういう期日を別に決めておりません。それはそれぞれ地方のこの公安委員会等と御相談をしましてやつて参りますので、決してそういう無理に期日を決めてやるという計画を持つておりません。更に又その労働者彈圧の用意じやないかというようなお疑いがあるようでございますが、これは全くそういうことは毛頭考えておりません。移管するとなれば逓信省の要員になりますれば、それこそこの逓信職員でございまするから、逓信省の從來從業員が持つておりました権利と同等の権利を享受しますので、これに対する制約は、何ら、今回の処置において採つておらないのでございます。ただお示しのごとく治安の維持に任じまする関係上いろいろな話合い了解によりまして、その安全を期したいということは、この通信行政を扱う者といたしましては、念頭いたしまするところでございまするが、それが徒らなる労働階級の彈圧などに使うなどというのは、私に関する限り毛頭そういう考えを持ちません。尚この人数も余計要るのではないかというお話でございます。私はさつき申上げましたのは、取敢えずの予算処置をいたさなければならなかつた理由を、向うから人員を引継ぐからと、こう申上げた、これはもう中西君の御案内のごとく逓信省が引受けますのは、要するに警察では十分の通信が思うようにならないから、高度技術を持つ逓信省で一手にやるということに相成るのでございますが、引受けましたからと言つて直ちにその日からその能率を一〇〇%上げるというわけには参らないので、これはもう我が國の現在の経済上の資材の面、資金の面等との睨み合せでやらなければなりませんので、一刻も早くやりたいのは理想でございますけれども、現実の問題といたしましては、そうは参らないのでございます。從いまして、この警察通信の重要性と我が國経済との問題を睨み合せて考えまして、それぞれ必要の場合には適当の機会に議会に対して追加予算その他等の措置によりまして、御協賛を願う必要があろうかと思いますが、差向きのところ予算処置をとらなかつたことは、現在向うで採用しておりまする從業員をそのまま引継ぎますから、特別に人数は要らないということを申上げた次第でございまして、どうか、その点について誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。尚初めのお話の、これを議会にも諮らないで役人だけで、役所だけで勝手なことをしてもよいのかという仰せでございますが、これは現在の逓信省設置法の中にも、法律として書いてございまするけれども、併し取敢えずのところの処置といたしましては、向うの警察電話が現在郵便逓信で取扱つておりまする回線の中にも入つておりまするのでございまして、内事局で持つておりまするものを、國の都合によつて組み替えるというような手段は、このような行政措置でよろしいのではなかろうかと、このよう考えておりますが、御承知のごとく私も法律專門家でございませんから、その点について法律上こうだというお叱りを受けるならば、これは又研究の上申上げますが、只今のところ、私共の理解するところは、このような具合になつていることを御了承願います。
  121. 中西功

    中西功君 私も法律論で別に争おうとは思つていないのであります。それで聞きますとこういう噂があります。これは本当に噂かも分りませんが、すでに内事局では四億円ある予算を、移管を見越して相当使つている、二億円も使つているという話もある。そういうところを逓信大臣の方で、はつきり確かめていられるかどうか、そういうことも聞きたかつたのであります。更にここに争議彈圧或いは労働組合彈圧の意図は毛頭ない、逓信大臣としては断じてないと言われたことを非常に嬉しく思うのでありますが、ただ、はつきりお聞きして置きたいことは、そういうふうな逓信省の專用回線になるというふうなことになりますと、全逓の組合が争議を止むを得ず起さざるを得ないような立場に達しますときに、それが、これは警察電話だから、或いはこれは治安を持つているものだから、この線だけは争議をしてはいかん、こういうふうに言われる。若し政府の方で処置をとられるとすれば、私は明らかにこれはやはり一つの争議彈圧の行為と客観的にはみなさざるを得ないと思うのでありますが、若しそういうふうな場合がありましたときに、この警察の回線を切つても、冨吉逓信大臣は、それは労働者の当然許される権利として認められるかどうか、即ち一般的な争議行為として認められるかどうかということを聞いて見たいと思います。
  122. 冨吉榮二

    國務大臣(冨吉榮二君) 四億円の中にすでに移管替を見越して二億円は使つてしまつたということを知つているかということは誠に初耳でございまして、一向存じません。若しそういうことをいたしておりまするならば、これは相当重大なる問題でございまするので、これは大いによくないことであると思います。併しながら予算関係上まだその四億、一年分に要りまするものの中二億円をすでに使いましたところで、追加予算が出ていないじやないか、こういうふうにまあ考える。暫定予算で一月分、一部分ずつ頂いて辛うじて賄つているのが現在の役所じやないか、このようなふうにも考えておりますが、数字上の問題はよく存じませんので、調べることにいたして誤りなきを期したいと思います。後段のいわゆる争議彈圧の問題でございますが、私は決して争議を彈圧申上げないと言いましたことについて、私は口先だけじやございません、私はそういうふうな考えを毛頭持つておらないのであります。ただ御案内のごとく争議権というものもございまするが、同時に又この國家國民の治安維持というものもございまするので、そのかね合いにおいて労働組合の良識と叡智に訴えて、適当なる処置を相談して行くというようなことは、私は当然管理者として取るべき処置ではなかろうか、そうして飽くまでそれが合法的に、いわゆる労働基準法に規定せられた、更に又新らしい憲法に規定せられた團結権、罷業権、争議権、團体交渉権に敬意を表しつつ相談ずくでやつていくということこそ、やはり今日の民主主義時代における我々の任務ではなかろうか、このようなふうに考えているのであります。かかる場合においてその線を切つたらどうかというようなことを仰せでございますけれども、大体学者はいろいろ仮定論をいたすようでございますけれども、我々政治家は余り仮定の上に只今議論は実はいたしたくないのでございまして、そういう、こうあつたらこうだ、あああつたらこうだ、という仮定は、できるだけ御答弁を差控えて、そうしてそのときに対処しても適当なる民主的な方法によつて行動いたしたいと、このよう考えます。
  123. 中西功

    中西功君 どうもありがとうございました。次に厚生省所管の問題についてちよつと質問いたします。一つは生活保護費の問題であります。これは数字だけ簡単に説明して貰えばよろしいのであります。即ちこのたび生活保護費の単價をどれほど上げられたか、どんな倍率になつているか、更にその該当者はどの程度を見込んでおるか、更にこの生活保護費の支給が非常に遅れておるのであります。こういう問題が一つであります。これは地方財政との関係もありますので、単に國家だけの責任ではないと思いますが、大体三ヶ月か六ヶ月遅れているというのは決して珍しくないのであります。從つてそういう時期が遅れていることに対して政府としてどういうふうな処置考えているか、これが第二点であります。更に私が特に聞きたいのは、病院の問題であります。現在國立病院、國立療養所におきましては大体生活保護費の中にこれは確か医療費関係のものとして一日百四十円が今まで支給されておつたのであります。ところでこの國立病院或いは療養所における食費が非常に問題なんであります。一般の私立療養所或いはその他の生活保護費に依る一般療養所における入院料はやはり同じでありますが、その中で食費は今まで七十円ぐらいを支拂われておつたところが國立療養所においては不思議なことに七十円ではなくして大体五十円乃至五十五円しか給食していない、こういうふうな非常な不合理があるのであります。暫定予算ではまだ二十四円乃至二十六円しか計上していない、こういうふうな事実もあるのであります。これでは到底國立療養所、國立病院の連中はやつて行けないのでありまして、これについてはいろいろの請願或いは陳情が当局にも参つていると思いますが、これらの諸事情について今度の本予算において政府はどういうふうに考慮しておるかという点を尋ねたいと思うのであります。
  124. 木村忠二郎

    政府委員(木村忠二郎君) 中西委員のご質問に対してお答えいたします。私は社会局関係のものだけを申上げます。生活保護費基準額は從來五人世帯千五百円ということになつております。今度の法案におきましては同様な基準が二千七百円となる計算になつておりまして、予算を組んでございます。今度の新らしい物價に対應いたしまして、又新らしい情勢に対應いたしまして、基準額をどの程度にするかということにつきましては、単なる從來の千五百円に物價の値上りの倍率、百八十円というものを掛けまして二千七百円というふうにするだけでは妥当ではなかろう、かよう考えまして目下関係方面と折衝いたしております。できるだけ早い機会に適当なる基準額を決定いたしたいとかように思つております。それからこの予算におきまして考えておりまする対象は二百八十万人でございます。これは実際の状況を見ますると、保護を要しない者が保護されているのが割合に多いように見受けられまするので、これらにつきまして、実際に保護を要する者は漏れなく保護をすると同時に、保護を必要としないで保護をいたしております者の保護を中止するという処置を講じたいと思つております。從來いたしておりまする実例から見ますると、若干これよりは数が現象するのではなかろうかと思つております。次に保護費の支出が遅れるということでございますが、本省といたしましては、大体前月の中にその次の月の分の補助金の前渡しができるようにいたしているのでありますが、本年度におきましては御承知通り暫定予算になつておりまして、四、五、六の三ヶ月ともそういう関係で若干遅れております。これについては本予算が決定いたしましたならば、大体前月中に前渡しができるようなふうに処置いたしたい、かよう考えまして関係方面と連絡をとつている次第であります。
  125. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 今本院で予備審査にかかつておりますものに教育委員会法というものがあるのであります。これが通りまして実施されることになりますと、予算相当要るのであります。同時にこれが運営されますというと、完全にやるためには教育予算というような特殊なものを持つか、或いは地方財政に何らか特殊な教育予算についての手を打たなければ実施が困難である。そのまま法案だけを通すというと、又現在の六三制の行き悩み、或いはこれ以上のものを後へ禍根として残すのでありますか、これらについて文部当局を通じて聞きますと、予算関係及びそうした財政方面のことはよく分らないという御返事でありますけれども、幸い今日は大藏省関係の方もおいでのようでありますから、それらの点に関して打合せがあつたのか、ないのか、或いはそれらについてお考えになつて、ああした法案が出されるようなつたかどうか、その点をお聞きしたいと思うのであります。若しそうした考えで出されたとすると、あの教育委員会法はむしろ通すことがないことになりはしないかという重要なことになりますから、できるだけはつきりとした御返事を頂きたい。
  126. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 只今のお尋ねの御趣旨は教育委員会法に伴うところのいろいろな経費は、今回の予算にどの程度含まれているのか……。
  127. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 それと、それを今度運営して行く上に地方財政に及ぼす影響から教育費予算というものは特に取らねばならんが、或いは地方財政の中に対して教育費予算に対しての特別の何か法の根拠を與えてやらなかつたならば施行が困難になるという面について……。
  128. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 教育委員会法が成立いたしました場合に、特に財政的に影響を及ぼしますのは、只今お話通りに地方財政の問題でございます。中央の方につきましては文部当局ともいろいろ相談をいたしておりますが、法案成立の上で所要の経費が現在予算に計上いたしておりますもので不足をいたしまするならば、適当に善処をするという考えであります。地方の分につきましては、財政委員会といろいろ御相談をいたしまして、教育委員会法の内容が必ずしも選挙方法その他具体的な点が明確に決まつておりません関係上、どの程度の金額を計上すべきか、実は的確に分らないのでありますが、今回地方財政の財政需要額を計算いたしまする場合に、或る程度の予算費を見込んでいるわけであります。一應私共が計算をいたしましたところで計上いたしておりまする予備費は、平年度におきまして約二十五億、本年度におきまして約二十四億五千万円程度の予備費を地方財政の財要需要額を計算いたしまする場合におきまして見込んでおるのであります。この予備費の最も大きな項目といたしましてお話の出ておりまする教育委員会法の実施に必要な経費、それからまだ具体的に職階制が決まつておりませんが、地方の教員の給與改善の経費、この二つの項目を予備費の最も重要な項目として予定しているのでありますが、大体この程度の金を見込んで置けば、教育委員会法の実施に伴う地方の負担額は賄えるであろうということで、私共大藏省といたしましては、地方財政委員会……文部省とも確か相談したと思つておりますが、一應そういう結論になつております。それで、ここで、予備費として見ました金額は、例えば地方税でありますとか、或いは地方分與税でありますとか、それぞれ適切な財源を付與しているということになつている次第であります。
  129. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 只今の御答弁で、委員会法が実施されて、委員会そのものの運営のための経費は分つたのでありますが、それにつきましても、地方分與税とか、そういうものが含まれている、ということが明らかに指示されるものであるかどうか、その点が私共にはつきり分らない。それから今一つ、もつと心配いたしますことは、委員会で教育の施設その他いろいろな建築などの計画を全部立案いたしまして、そこで予算を立てて、それぞれの地方に出すというようなことが決められるのであります。そういたしますと、教育税というような特殊なもうでもあつて、そこで金額が限定されるか或いは地方財源の中、今までの状況を見るならば、例えばどの縣は從來大体教育費のために縣財政の何%くらいを使つておつたというようなことが、全國的のものを調べれば、凡そ出て來るのでありますが、大体五〇%なら五〇%、五五%なら五五%を下つてはならんというような形の法律の裏付けでもなければ、恐らくはときによると、うんく少く削られる虞れがあり、ときによると厖大な予算が出されて、各縣議會でも手に余るというような事柄が予想せらるのであります。そこで、そういう面についての何か御考慮があるかどうかということを伺いたいのであります。
  130. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 只今の御質疑は、実はどちらかと申しますれば、地方財政委員会の方からお答え申上ぐべき筋合いかと思いますが、便宜上私共の考えておりますところを申上げますと、地方財政に対するいろいろな指導といいますか、そういうことは、今回の地方財政法趣旨から申しまして、余り中央の方からこうしろ、ああしろという細部に亘つてまでの指図指導ということは、むしろ差控えるべきものであると存ずる次第であります。分與税の金額が國会の議決を経て、決まりますと、所定の配付率に基きまして大体この縣は幾ら、この縣は幾らということが決まるわけであります。それから別途税制の改正が行われますと、それぞれの府縣市町村で自分の方の固有の收入は幾らになるかという目算が立つわけであります。それで決まりました配付税の金額、固有の收入、又税外收入もございましようが、そういうものを勘案いたしますれば、大体個々の自治体の資金、財政資金はどの程度のものが、できるかということはわかる次第であります。それに基きましておのおのの自治体におきまして、それぞれ責任を以つて、教育費にはどのくらい充当するということは、それぞれの建前で、それぞれの自由な判断で決定すべきであると存ずる次第であります。それで中央から例えばどの程度が教育費である、或いはどの程度以下であつてはならんというような指導をいたしますことは、現在の地方財政制度の建前から考えましても、また、現在のようないろいろな財政需要の変化の多い点から考えましても、この両方から考えて適当でないであろうと考えております。從いまして、各地方ではそれぞれの財政資金の額に應じまして、教育費にどの程度やるか、或いは施設の方にどの程度割くか、人件費にどの程度割くかということは、それぞれの判断によつてやるべきものである。ただ我々中央におきましては、いろいろ苦しい財政事情ではありますけれども、凡そこの程度あれば何とか今後賄えるという程度の財源を付與したものであるというわけで、申さば綜合的に定めたものであるというふうに考えております。
  131. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 先程中西委員からお尋ねの國立病院、療養所の食費についての御答えを申上げます。國立病院、療養所の食費におきまして、お話通り從來二十四円乃至二十六円というのが患者一日の食費になつているのでありますが、これは今般の物價改正に伴いまして、本予算におきましては一般の率に從つて、増額はされているのであります。この金額はいわゆる患者の賄いに必要な材料でありまして、賄いに関係の或る人件費でありますとか、或いは光熱費でありますというものは、別途の予算項目から出ておりますので、從つてようなものを換算いたしますと、現在でも約五十円くらいにはなると計算されております。一方において國立病院は、社会保險診療を引受けておるのでありますが、その社会保險の診療報酬の基準は、御承知通り、入院料は、一日二十点でありまして、その中、食費が十点ということになつておりますが、只今申上げましたよう予算関係から、これを二点差引きまして、食費の分として八点で入院を受けるということになつている次第であります。從つて生活保護法の適用を受けます患者につきましても、同じよう考えて扱いをいたしておりますので、現在のところといたしまして、一應経理上からは、さような説明が付け得ると考えているのであります。ただ厚生省の立場といたしましては、この程度の食費を以ていたしましては、到底特に結核患者等につきましては十分な栄養を確保することができないことは明瞭でありますので、できるならば食費の予算の増額を願いたいと思つているのでありますが、國家財政の事情から今日のところその目的を達成するまでに至つておりませんことは、甚だ遺憾に思つている次第であります。
  132. 中西功

    中西功君 それで、一番不思議だと思いますのは、私立の療養所、そこに生活保護法の關係で入院をしている人人は、今まで大体七十円程度食費に廻されておつた、ところが、國立の方は二十四円、とか二十六円とか、或いは多くてもさつき言われましたように……まあその程度であつたという点が非常に不思議だと思われるのです。それで、このたび、五十円程度にするというふうなお話でありますが、一般的に考えましても、これは殆んどマル公経済なのでありまして、一應闇のない計算が成立つているわけであります。ですから、すでに一般的に見て、五十円或いは五十五円程度が要るとすればこのたびは一・八倍掛けましても、九十円から百円というものが、どうしても要る。それでありますから、実際にさつきも申されましたように、結核患者の栄養というものは攝れない。若しそうでなくて、これを今の現状のままに置いたならば、全く療養所じやなくて、もつと違つたことになつてしまうと思うのですが、この点は予算が取れなかつたとか何とかいうことでなくて、どうしてもこれは何らか予備費とかいう、そういう支出においても、これをやらなければ、非常に多くの患者がみすみす死んでしまうということになると思うのであります。それで聞くところによりますと、厚生省の方も非常にこれを心配されて、そうして交渉されておるというふうに聞きますが、この点については主計局長がおられるのかどうか知りませんが、主計局長もその患者同盟の人々要求に対しては十分應える、そうして大いにやる、足らない場合には追加予算を組むというふうなことも、何か意思を表示されておるように聞いておるのでありますが、何とかこれは予算において殖やせなくても、近い機会において、これを何とか増額して貰うよう措置が取られるか。取つて貰いたいと思うのですが、そういう点についての御意見を承わりたい。
  133. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) お答えいたします。病院の費用につきまして、只今予算上といたしましては、この新らしい物價体系を全部織り込んでやつておるというふうに考えておるのであります。即ち只今のところでは一日四十円でございましたかくらいでありまするが、それを更に新物價体系によつた率を織り込みまして、そうしてこれを以てやつて行くというふうなことになつておると御了承願います。
  134. 中西功

    中西功君 ちよつとおかしいのですが、さように二十六円四十銭というのが大体國率療養所の、今までの暫定予算における額だというふうに、私も報告を受けておるのであります。先の医務局長もそういう答弁でございましたが、主計局長は大体四十円くらいで、それに新らしい物價を考慮しておる。四十円に新らしい物價を考慮いたしますと、さつきお話の一・八倍を掛ければ、これは七十二円になるのでありまして、大分数字が違うのであります。新らしい物價では、医務局長の話では、大体五十円くらいにしか見込んでいないということでありました。私は大体五十円では足りない。これは医務局長もそういう意見であります。それで主計局長も全患同盟の代表などに会われた時にも、いろいろ相當盡力をするというふうな話でございましたが、今日この予算ではせいぜい五十円しか組んでいないとしても、是非これを増額する。少くとも八十円、九十円程度に増額するように盡力が願えないかという点をお聽きして置きたいのであります。
  135. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 只今ご指摘の点は、四十円と申しますのは、これは材料費だけでなくて、いろいろの煮炊きの経費でありますとか、人件費等を加えて計算いたしますと、四十何円になるという話であります。ということは、そういうものを加えた時と比較して権衡がどうかというお話でございますから、大体そういうものを入れますと、四十何円になるということを申上げたわけであります。その四十何円と言うものに対しまして、改訂物價によつて七月から行われるという計算で、大体八〇%引上げを行う、かようなことが予算に計上されておるというふうに御了承を願います。
  136. 中西功

    中西功君 そういたしますと、八〇%上げますと、七十二円になるというふうに伺つてよろしいのですか。
  137. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) いろいろの経費を加えますと、四十何円になるという。その四十何円というのは、数字をちよつと持つておりませんが、とにかく現在の単價を八〇%、七月以降引上げるというふうにお了承を願いたいと思います。
  138. 中西功

    中西功君 ただもともと國立病院と療養所は低い。一般の市中のところと比較いたしますと、誠に低い。その低いものを見て貰わなければいかん。絶対額をどれだけにするか、それは私も詳しい数字ではないかも知れませんが、とにかくいままで少し低かつたということ、これは少しおかしいのじやないかと思います。その点をもつとよく当局の方でも考えて貰う必要があると思います。
  139. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 御意見承わりまして、よく調査いたしまして、不都合な点が現れますれば、調整を取るということにいたします。
  140. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りいたします。明日午前中に分科会の結論を付けて頂きまして、明日午後一時からこの委員会を開きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではこれにて散会いたします。    午後六時十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌夫君            岡本 愛祐君            村上 義一君            中西  功君    委員            岡田 宗司君            木下 源吾君            小泉 秀吉君            中村 正雄君            波多野 鼎君            村尾 重雄君            石坂 豊一君            小串 清一君            小野 光洋君            大島 定吉君            左藤 義詮君            入交 太藏君            油井賢太郎君            小畑 哲夫君            鈴木 順一君            田口政五郎君            帆足  計君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            川上 嘉市君            島津 忠彦君            島村 軍次君            高田  寛君            姫井 伊介君            池田 恒雄君            藤田 芳雄君   國務大臣    内閣総理大臣    外 務 大 臣 芦田  均君    大 藏 大 臣 北村徳太郎君    逓 信 大 臣 冨吉 榮二君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君    國 務 大 臣 苫米地義三君    國 務 大 臣 野溝  勝君   政府委員    (経済安定本部    財政金融局長) 渡邊喜久造君    大藏事務官    (主計局第一部    長)      東條 猛猪君    厚生政務次官  喜多楢治郎君    厚生事務官    (社会局長)  木村忠二郎君    厚生事務官    (医務局次長) 久下 勝次君    逓信政務次官  下條 恭兵君    大藏事務官    (主計局長)  福田 赳夫君    大藏事務官    (主計局経理課    長)      金子 一平君