○
政府委員(
福田赳夫君)
只今の御
説明に補足いたしましてやや詳細に申上げたいと存じます。
先ず
歳入について申上げたいと思います。お
手許に
昭和二十三
年度豫算の
説明というのがあると思いますが、それの三十ページを御覧願いたいのであります。ここに
昭和二十三
年度の
歳入豫算の
内容がありまするが、これによりまして申上げます。
先ず税でありまするが、税につきましては、別途
法律案として御
審議頂いておりまするところの
税制改正の
法案並びに
取引高税新設の
法案、この両
法案によりまして、
現行の
税制が相
當變つて來るのであります。その
變つて來る
税制を
基礎にいたしまして、この
金額を計算いたしておるのであります。今回
豫算を
編成いたすのにつきましては、
政府といたしましては、
當初三千七百億程度の
豫算ということを考えたのであります。三千七百億ということは、大體税の
收入を二千五百億、
改正税法によりまして、
税収が二千五百億、それから
煙草が八百億、それからその他の
一般の難
收入を四百億、合計して三千七百億となるのでありますが、これは大
體今年度の
財政の
財源として
適當な額であろうというふうに考えてお
つたのであります。ところが、その
政府の案を決定いたしましてから後におきまして、後の經過におきまして、
歳出の方面におきまして、約二百二十億圓の
増加とな
つて來たのであります。この二百二十億圓の
増加の
財源をどういうふうに調達いたすかということが、非常に困難な問題だ
つたわけでありますが、或いは
輸出滞貨の賣拂をいたすという問題も考えて見たわけであります。又
貿易資金から一
般會計に
財源を繰入れるというようなことも考えて見ました。又
糖密を輸入して大いに酒を造るというようなことも考えて見たのであります。或いは
專賣局におきまして、この特殊な
ビタミン菓子というようなものを
造つて、これを販賣するというような、まあいろいろなことを考えて見たのでありまするが、結局これらの問題は、
關係方面と非常に重大な
關係がありまして、なかなか
豫算の
編成までに間に合わないということに相成
つたのであります。
從つて結局これは、ただ
專賣、さような、又その他の
雑收入というような、
日本政府が
當初に考えました三千七百億の
収入の
増加、この
増加ということを考えないことには、どうしてもこの
編成ができないというふうに相成
つたのであります。そこで
税収におきまして、若干の
増加をいたし、又
煙草の
自由品の
値段その他を
當初考えたよりは高くいたしまして、
專賣収入を殖やすとか、又
價格差益納付金というものを、
當初の考えよりは餘計に出すということなどを考えまして、二百二十億圓という額を決定いたしたわけであります。即ち結局税と
煙草に主として、又その二百二十億が殆んど全部かぶさ
つて来ておるというようなことでありまして、
從つて税の負擔というものは相當重くな
つて來ておるのであります。
税制改正におきましては、
所得税におきまして約七百億を超える
課税をいたしてあるのであります。併しながら他面
取引高税を新設いたしますとか、或いは
所得税におきましても
徴税の
充實を圖るとかいうようなことをいたしまして、結局税全體といたしましては、相當の負擔
増加にな
つております。
今年の、二十三
年度の
國民所得は一兆九千六十億圓というふうに大體考えておるのでありますが、これに對しまして
租税負擔、即ちこの中には
專賣益金も含めており、又
地方税も含めて考えておるのでありまするが、その
金額は四千二百十二億という
金額に上
つておるのでありまして、これをパーセントで示しますると、實にこの
租税負擔額というものが、二二%に當る、
國民所得の二二%が税として取られるというようなことに相成るのであります。然らば
昭和二十二
年度はどういう
状況であ
つたかと申上げますると、これは一九%、一九%が二二%というふうに三ポイントも殖えておる。
減税とは申上げるのでありますが、併しながら全體といたしましては、
國民負擔というものは非常に
増加しているというふうにな
つて來るのであります。
所得税の
金額は、本
年度は千二百八十三億六千百
萬圓というふうにな
つておるのでありまするが、その中で、これは
源泉徴収と
申告税と分けて見ますと、
源泉徴收の分が三百八十億九千三百
萬圓であります。それから
申告税の分が九百二億六千八百
萬圓というふうになるのであります。これを
現行の
税制で取
つたら、一體どのくらいになるかということを申上げますると、
源泉徴收の分が七百八十五億七千四百
萬圓、
申告納税の分が千二百三十四億圓というふうになります。
從いまして、この
税制改正による
減税の
金額というものは、
源泉徴收におきましては四百四億圓となり、
申告納税の分におきましては三百三十一億圓、合計して七百三十六億圓の
減税というふうにな
つて來るのであります。
源泉徴収の分について申上げますると、これは
只今申上げました
税額の
基礎となる
数字を申上げますると、
課税の
対象となる
所得は、
給與所得といたしまして二千五百七十一億圓であります。それから
営業所得といたしまして二千六百二十六億圓、それから
農業所得といたしまして千八百五十六億圓、辯護士、鑿者等の、
諸業といいますが、
諸業におきまして百八十三億圓、それからその他の
難業といたしまして百二十億圓、合計して七千三百五十九億圓という
課税所得と相成るのであります。
課税所得は、最近の物價
改訂の
状況に織込みまして過去即ち
昭和二十二
年度の實行の
實績等を参酌いたしまして、この額を算出いたしておるわけであります。これに対しまして、今回
改正をいたしこの
税率、これを適用いたしまして、
税額を出しておるのであります。
それから次に
法人税につきましては、これ亦別途
改正法律案が御
審議に相成られておるのでありまするが、相當の
減税をいたすのであります。この
減税案によりますると、どういう結果に相成
つて残るかということを申上げます。今回の
法人税の
見積りは百三十億というふうにな
つておるのであります。この百三十億、これを
現行税法で徴收いたして見ましたならばどのようなものになるかと申上げますると、これは百四十八一億となります。從いまして
税制改正によりましては十八億の
減税となります。これはまあ
金額といたしましては、大したことはないというように相成
つておるのであります。
次に重要な問題は
取引高税なんであります。これは今囘新らしく新設するものでありまして、その
見積りが本
年度といたしましては二百七十億という
收入を計上いたしておるのであります。
取引高税というのは、御承知の
通り数種類の免税の場合を除きまして、他のあらゆるものの
取引に対しまして一%の
税率を以て
取引高に対して
課税する、かようなことにな
つておるのであります。今回これを新設することになるのでありまするが、勿論すべての
取引高を計算する、そうしてこれに税するというのでありますから、これは計算は非常にむずかしいのであります。これはどうしても
國民所得でありまするとか、或いは
日本の
生産統計等、さようなものから大體の見積もりをしなければならんということに相成るのでありますが、大體當局が考えました二百七十億という
見積りはどういうふうにして見積
つておるかということを申上げて見ます。それは
昭和二十三
年度におきまするところの
取引高というものを六兆一千二百二十六億というふうに考えておるのであります。これはどういうふうにしてさような大きな額が算出されるかと申上げますると、二十二
年度の
生産實績というものが大體分
つておるのであります。二十二
年度の
生産實績に対しまして、
生産の
増加というものが二十三
年度におきましては或る程度ある、これを一一%ぐらいは
生産増加があるだろうというふうに見ております。それから價格が今回
改訂になるのでありまして、この
改訂というものが相當程度の規模になるわけであります。これを
價格改訂の
一般原則に從いまして七〇%というふうに見ておるのであります。さような
要素を二十二
年度の
生産實績に織込みまして、そうして六兆一千二百二十六億という
取引金額を算定いたしておるのであります。尤もさような
方針でや
つておるのでありまするが、その算定は非常に困難でありまして、腹雑な問題でありますが、これを掻い摘んで申上げますると、
生産者の一番初めの
取引高一兆九千二百七十七億、それからそれが
卸業者に渡るのでありますが、第一次の
卸業者の
取引が一兆七千八百二十億、第二次の
卸業者の
取引が百億、それから小賣業者の
取引が一兆九千八百四十三億、合計いたしまして物品の販賣に関する
取引というものが五兆七千四十二億というふうになるのであります。その他個人の
取引というものを二千五百億、又
金融機關等の
取引を千六百八十三億というふうに一應計算いたしますると、
只今申上げました六兆一千二百二十六億というふうになるのであります。これに対しまして主食やその他特殊な数個のものは
課税しない。これが一兆一千五百五十三億あるのでありまして、これを差引きますと、
課税の
対象になる
取引というものが四兆九千六百七十二億というふうになるのであります。これに一%の
税率を掛けますると四百九十六億になります。これに一〇%のゆとりを見るわけであります。と申しますのは、この中に
徴税手数料等も含めておりますが、それは一〇%だと四十九億圓を引きますと、そうすると四百四十七億というふうになるのであります。この四百四十七億というのは二十三
年度十二ケ月分でありまするから、これを假に九月から實施するという
只今の計畫に從いますと、十二分の七の
金額に該當するのでありまして、二百七十億というふうに相成るのであります。極めてむずかしい見通しでありまするが、さようなことで計算いたしておるのであります。
その他
間接税におきましては、今回田をいたしておるのであります。
税制改正をいたすその結果並びに過去の
實績等を見ましても、
只今お
手許に配付いたしてありますような
数字が算定されておるわけであります
それから次は官業及び
官有財産収入でありまするが、第一に
專賣益金、
專賣益金といたしましては、本
年度の
煙草の
生産計賣を大體五百五十一億本というふうに考えておるのであります。昨
年度は大
體只今までの
實績といたしましては五百五億本でありますが、これを五百五十一億本というように
生産の増強をいたす計畫であります。これに対しまして、これをどういうふうに賣捌くかと申しますると、
配給品につきましては今回の
債務改訂等の
要素を織込みまして
從來六圓でありました「きんし」は十一圓に
引上げます。五圓でありました[みのり」というのは十圓に、同じく五圓でありました「のぞみ」を九圓というふうに
引上げをいたすのであります。それから
自由品におきましては、「
ピ—ス」が從來五十圓でありまするが、これを六十圓にいたし、又「光」がこれは五十圓で曾て賣られてお
つたものでありまするが、この
製造を一時中止しておりました。これを更に
製造をいたすということにいたしまして、やはり五十圓で販賣いたします、それから「
いこい」、「
ハツピー」というのを新
製品として作ります。「
ハツピー」というのは大體「きんし」、「新生」に似ておるようなもので、
細巻のものでありまするが「これを三十圓で賣ります。それから「
いこい」というのはこれは
太巻のものでありまして、四十圓で發賣する。それから更に「朝日」というのがありまするが、これは
從來配給にのみ
使つてお
つたのであります。
從來三圓で
配給をいたしてお
つたのでありまするが、今回これを二十圓の
自由品といたし、それから「
ききよう」という新
製品を二十圓で發賣するということにいたしまして、大
體只今お
手許にあるような九百四十三億圓という
益金を挙げる計畫であります。それから
印刷廳の
益金は、これは
收入、支出の大體の
差引残額を
益金として
般會計に取る
とい数字であります。それから
アルコール專實事業におきましては、
アルコールの
專賣の諸
材料が今回の
價格改訂で相當上りまするが同時に
價格改訂に伴いましてまして、
專賣品の
價格改訂をいたします。その結果十二億圓の
益金を一
般會計に繰入れることに相成るのであります。
それから
刑務所收入でありますが、これは最近一ケ年間の
實績等を参酌いたしまして、かような
数字を積算いたしておるのであります。それから
病院收入も同様に
實績を抑えまして、今囘の
價格改訂の
要素もこれに組入れておるのであります。それから
建築資材費拂代と申しますのは、これは
歳出の方に出て来るのでありますが、
地方團體でいたします
庶民住宅の
材料を、一
般會計で
歳出といたしまして買
つてあるでございます。
買つて地方團體に交付してある、そうしてその
材料の確保をいたすということにな
つておるのでますが、
地方公共團體にもの
材料を賣ります場合におきまして、その賣
拂代金というものが入
つて來るのでありまして、その
金額を掲げておるわけであります。
歳出の方と大體において見合う
金額であります。その他
國有財産收入でありますとか、
DDTの
拂下代でありますとか、
家畜の
資拂代、さようなものが十二億圓ばかりあるのでございます。
國有財産收入はその中で六億圓入
つております。それから
DDT等薬品拂下代が二億二千四百
萬圓、
家畜賣拂代が九千七百
萬圓、この
家畜は、本
委員會におきましても、賣拂單價が非常に低いのではないかというようなお話がありました。さようなことも考慮いたしまして、今回は牛馬一頭當り三萬乃至四
萬圓でこれを賣却する。これは
發牛馬の場合でありますが、
發牛馬でないような場合におきましては十
萬圓ぐらいな
値段でも賣るという計畫をいたしておるわけであります。他
刊行物、
地圓、圖書等の賣
拂代の七千二百
萬圓もこの、その他の中に入
つておるわけであります。
それから次に雜
收入といたしましては、
日本銀行の
納付金、これは最近はなか
つたのでありますが、今囘は八億圓を計上いたしておるのであります。
日本銀行につきましては、戰争に伴いまして、或いは満
洲中央銀行でありまするとか、或いは
軍票價値維持のため
統合銀行というような
關係、或いは戰金融、
金庫に対する融資、さようなことで約五十億圓の缺損を生じてお
つたのであります。それを最近まで償却いたしておりまして大體本年上半期におきまして、正金銀行に対する不良貸、即ち
軍票價値維持の
關係のものでございますが、これを十二億圓償却いたしますれば、先ず大體不良債権の償は一先ず終了したことになるのでございます。本年上期決算の結果、さよな償却は特別償却を見ましても更に八億圓の剰餘を生ずる見込であります、これを一
般會計に納付することに相成るのであります。
次に不正保有物資等特別措置
特別會計受入金、これはこの前の
國會におきまして
法律案の御
審議を願
つたのでありまするが、いわゆる不正物資につきましては、これは
公債で
政府が買入れるのであります。
公債で買入れまして、そうして而も
公債で支拂う
値段というものは、いわゆる不明物資にありましては、不正物資をその當該所有者が入手したときの價格でやる、即ち昔の
値段で、而も
公債で支拂うというのであります。それでの不正物資の會計が買いまして、これを賣拂うのでありますが、賣拂差額を差益といたしまして、一
般會計に繰入れるのであります。その大體の本
年度の計畫額は五億五千八百
萬圓になるのであります。
次は公共團體工事費
納付金及び分擔金、これは
公共事業費と
關係があるのでありますが、
歳出と關連いたしまして、公共團體から工事費の
納付金、分擦金を一
般會計に納めるという
金額を計上したのであります。
次に懲罰及び没收金、これは一體見當が付きませんので前
年度の
金額をそのまま踏襲いたしたわけであります。それから授業料及入學検定料は大體三倍ということにな
つておるのであります。その基本といたしまして、授業料は三倍にいたすわけであります。大學の授業料が大體六百圓でありますが、個これを千八百圓に
改正する、千八百圓というふうに
改正いたしましても、大學生一人の教育費というものを考えて見ます場合に、大體授業料の額というものはその二・五%くらいに該當するのであります。即ち大學生一人の教育費というものは、これは殆んど九七五%まで國費でこれをや
つておるというような
状況なんであります。生活費に対する授業料の點等から見ましても、この千八百圓といたしましても、昔の私共がや
つてお
つた百二十圓に比べますれば、非常に低廉な
金額というふうになるのであります
次に辨償及返納金でありまするが、これは過拂いのものの返納金でありますとか、或いは税の延滞金でありまするとか、さようなものでありまして、これは見込額を計上いたしてあるわけでございます。それから償還金といた、しましては、これは昨
年度より非常に激増いたしまして八億六千五百
萬圓とな
つておりますが、これは昨
年度心おきまして
地方公共團體に給與して、
財源を相當貸したのでありますそれが二年乃至三年の元利均等償還で返
つて来る。その二十三
年度の
收入見込額を計上いたしておるというような次第であります。
それから次は
公團納付金、これは
歳出の方と全然同じ
金額がここに載るのであります。公圓から
歳出と同額の
納付金を取ることになるのであります。次は競馬曾
納付金、これは昨年秋の競馬の賓績を見まして、それに、対しまして四〇%の
増加を見込んで計上いたしておるのであります。次は
價格差益納付金でありますが、百八十九億のうち百十六圓というものは
昭和二十二年七月の物價
改訂の分であります。
昭和二十二年七月の物價
改訂による價格差益は総額が百七十六億圓であるのでありますが、六十億圓が二十二
年度中に
收入になりまして、百十六億圓が残つおるのであります。この残
つている
金額を二十三
年度中には
收入するという計畫によりまして、これを百十六億圓、それから二十三年六月に行いまするところの
價格改訂、この分を七十二億圓というふうに計算いたしております。この七十二億圓はどういう根拠でありますかというと、在庫物資を大體調べて見ますと二百五十五億圓あるのであります。六月現在の在庫物資が二百五十五億圓でありますから、値上りの差益は今囘の
價格改訂によりまして百六十九億圓出て参るのでございます。それに対しまして國が差益として徴收する額は、
生産者に対しましては三分のニ、それから販賣者に対しましては五分の四、それから公圓からは全というふうに徴収いたします。その計算をいたしますると、差益は百二十四億圓となりまして、そのうち本
年度内に徴收可能の額は大體七十二億圓でおるというふうに考えておるのであります。それを合計いたしますると、百八十九億圓となるのであります。次に
特殊物件收入、これは段々賣拂いも進行いたしまして、もうそういう残額がなくな
つて來ているのでありまして、本
年度におきましては昨
年度よりは相當
收入が減少いたすのであります。次に實籤發行者
納付金は、これは大體發行額を三十三億九千
萬圓と抑えまして、その四四%が國庫の
收入になるというふうに考えているのであります。それから電力超過料金受入四億六千四百
萬圓でありまするが、これは昨年の二十二
年度に着いて調停濟になりました
金額にして未だ
收入に
なつのおらん
金額をここに挙げたのでありまして、從いまして本年の冬にありますところの電力超過料金というものはここには算定しておりません。さようなことは出るか出ないか分らないものであるという見解に立ちまして、さようなことはここに見ていないのであります。その他恩給法の
納付金でありますとか、
特別會計の恩給負搭金、免許手数料、運輸建設本部
納付金等の
收入がその他として入
つているのであります。それから前
年度の剰餘金は、八億千二百
萬圓とな
つておりまするが、これでに十一
年度の剰餘金は全部拂い済みというふうに相成る次第であります。
次に
歳出について申上げます。
歳出につきましては
昭和二十三
年度豫算の
説明というのがありまするが、それを御覧願いたいのであります。
歳出の細かい
内容に入るに先立ちまして、
歳出の全體に通ずる
事項を申上げますと、この
歳出の
編成に當りましては、物價、賃銀というものをどういうふうに考えているか、又これをどういうふうに織込んでいるかということが非常に問題とな
つているのであります。即ち賃銀につきましては御承知の
通り三千七百圓べース、三千七百圓べースということは三千七百圓ということじやないのであります。三千七百圓ということは鉱工業の勤労者の平均賃銀水準というものが三千七百圓であるということなんであります。それに準據いたしまして、官職職員は一體幾らになるかというひとを考えているのであります。その場合における官廳職員の、千七百圓べースの場合におけるところの官廳職員の給與は千七百九十一圓であります。これはどういうことでありますかと申しますと、本年一月におきまして二千九百二十圓という官廳職員の給與を決めたのでありまして、その時におきまするところの鑛工業の平均賃銀水準というものは二千八百五十圓であります。鑛工業の平均賃銀が二千八百五十圓であるが、鑛工業の勤労者はその外に實物給與を受けている、又時間外勤務手當を受けているというようなことを算定いたしますると、大體におきましてそれに一割五分加えた額が実際上の鑛工業労働者の
收入ではないかというふうに考えるのであります。その一割五分を加えた額を基本にいたしまして、そうして官廳労働者と鑛工業労働者の勤務時間の差というものがあります。その勤務時間につきましては官廳職員が非常に短い、それを割引いたしますと三千九百二十圓という
数字に相成るのであります。この
金額を以ちまして、本年一月からの給與水準といたしておるのであります。同じ算式を以ちまして、三千七百圓ベースの官廳職員の給與は三千七百九十一圓であります。かような前提の下に
豫算の人件費を計算いたしておるのであります。
それから物件費につきましては、どういうふうに計算いたしますかと申しますと、物件費は今回の
價格改訂に伴いまして、大體基本的な物資につきまして七割の騰貴があると見なければなりません。併しその七割の騰貴は品目、によりまして相當じくざくになるのであります。物件費を多額に要する経費は終戦處理費、
公共事業費、それに
鐵道、
通信兩特別會計であります。この四つのものにつきましては特別に、この會計では石炭が幾ら要る、鐵が幾ら要る、木材が幾ら要るというふうに資材の計案いたしまして、それに対しまして、それぞれ所要の物價
改訂の倍率というものを適用して、この
金額を算定いたしておるのであります。それから終戰處理費、
公共事業費、或いは
鐵道、通信の爾會計以外のものにつきましても、できる限りの措置を講じまして、この物價
改訂の影響というものを織込むように努力いたしたのでありまするが、何分にも
豫算の件数というものは非常に多いのであります。細いものが五千件もあるというような
状況でありますので、これを一々物價
改訂の倍率を織込むというわけには参りません。而も五月二十日過ぎは物價の倍率というものが、正式に決ま
つておるというような
状況でありまして、その倍率を
基礎にして六月八日までに
豫算の
編成をすべしというようなことでありますから、なかなかそれを丹念に計算するわけには参りませんでした。從いまして、さような細かい雜件的な經費につきましては各省ごとに價格補正等特別補助金という一種の豫備金的のものを作りまして、そして實行上
豫算の
價格改訂の問題の調整ということをや
つて行こうという計畫にな
つておるのであります。さような一種の豫備金的性質の
金額は六十億圓各省に分散いたしまして計上されております。
大體さような計畫でできておるのでありまするが、先ず
豫算の
内容につきまして御
説明いたします。終戰處理費でありますが、ここに大體の趣旨が書いてありまするが、三本建であります。終戰處理事業費、終戰處理雜業務費、終戰處理事務費ということにな
つております。このうち終戰處理費の實體をなすものは終戰處理事業費八百八十八億圓であります。これはお
手許に一兩日中に
内容を詳細に區分いたしたものをお配りいたしたいと存じておるのでありますが、讀み上げますと、終戰處理事業費八百八十八億圓の内譯は、常傭者の給與が百大十二億五千七百
萬圓、その次は日傭増給與が十八億六百
萬圓、この両者は大體頭数は前半
年度と同じであります。單價が相當上
つておるというふうに御了承願いたいのであります。次に物件購入費は百四億七千九百
萬圓、前
年度は八十九億七千百
萬圓、若干殖えておりますが、實質的には非常に減
つているわけであります。物件の借上費、これは建物や船舶車輌というものを借上げているのでありますが、この經費は十五億一千
萬圓、前
年度は二十六億六千百
萬圓でありまして、前
年度に比べまして非常に減少とな
つているのであります。今まで非常に大きな項目をなしておりました住宅の新築でありますが、これは二十三
年度には四十億一千九百
萬圓、前
年度は百四億五千五百
萬圓、半分以下に減
つているのであります。進駐軍の工事というものが非常に減
つて來るのであります。
金額にいたしまして大體半分以下であります。事業量といたしましては、大體二割の事業量になろうかというふうに減少いたしているのであります。兵舎の工事費も同様でありまして、前
年度は八十三億八千五百
萬圓でありますが、本
年度は三十八億七千
萬圓とこれ亦半分以下に減
つておる。物を使う方面の建設は非常に減
つて参
つておるのであります。いずれこの
内容につきましては、お
手許に明細書を配付いたす豫定であります。雜業務費というものはどういうものかと申しますと、いわゆる補償金であります。例えば接收した建物を改造するというようなことに
なつた場合に、接收のための補償金を出してやるというような經費でありますとか、或いはどつかに火災が起
つた、その火災の見舞金を出すというようないわゆる補償金、それから軍艦の解體でありますとか、或いは發兵器の處理で、あるとか、或いは水道の殺菌であるとか、さようなごちやごちやした経費がこの中に入
つているのであります。終戦處理事務費と申しますのは、これは終戰處理費の支出監査でありますとか、終戰處理費の事務を取扱うというために必要な經費であります。
それから次は
賠償施設處理費でありますが、これは
説明書にもあります
通り総額六十四億圓でありまして、そうしてこの内譯は賠償施設管理費が大部分でありまして三十一億圓、賠償施設撤去費が二十七億圓というふうにな
つておりまして、賠償施設撤去費といふものが問題であります。これが今までの見通しといたしましては、相當多く出て來るのではないかと考えてお
つたのでありますが、實際は非常にノミナル程度である、昨
年度の
金額に対しまして倍程度であるという、非常に從來の見通しと違
つた数字とな
つておるのであります。
次は
連合國財産返還費、これは連合國の財産でありまして、
日本側が戰時中に押收するとか没収したようなものを元の形に回復する、そうして返すのだという問題があるのでありますがそのために必要な經費であります。そのうち大きなものは拿捕船舶、これは六億二百
萬圓くらいにな
つております。拿捕した船舶を修理して返してやるというわけであります。それから掠奪物件、自動車なんか多いのでありますが、掠奪物件をやはり原状囘復をしてやるというのが六億三千六百
萬圓ばかりあります。それから返すまでのこれも舊敵國即ち連合軍の財産を管理しなければならん管理費、さようなものがこの經費の
内容とな
つておるのであります。
次は
價格調整費であります。
價格調整費は御
説明してありまするが、五百十五億圓でありまして、そのうち主なるものを申上げますると、今回の
價格改訂に関係する分が四百三十六億圓ばかりあります。そのうち石炭が百五十億圓、肥料が百億圓、鐵
關係が百四十億圓、その他非鐵金属でありますとか、或いはソーダ灰でありますとか、さようなものが四十六億圓、合計して四百三十六億圓というふうになるものであります。その他豫備的なものといたしまして十七億圓を留保しておるのでありますが、更に過去のズレの
關係、即ち二年二
年度の決算残額が二十億、それから二十三
年度の四月、五月、六月十五日までの分が四十二億圓ばかりあるのでありますが、さようなものが
價格調整費の内譯にな
つております。
それから次は物資及び物價調整事務取扱費、これはここに詳しく書いてありまするから、御覧願いますればお分りになることかと存じます。
それから
公共事業費、
公共事業費もここに詳細に書いてあるのでありますが、大體この四百二十五億圓というふうにな
つておりまするが、
金額にいたしますると、相尚殖えておるのでありますが、事業量自體といたしましては昨
年度の大體三〇%
増加というふうに考えておるのであります。事業量は三〇%
増加であります。それからこのうち六・三制の関係が四十七億四千七百
萬圓、これは前
年度即ち二十二
年度におきましては七億圓あ
つたものであります。二億圓のものが四十七億四千七百
萬圓にこれは殖えておるわけであります。
それから次は
地方分與税分與金、これも
説明いたしておるのでありますが、大體このぐらいの額を出しますと、地方
財政は大體収支の均衡を得るということに相成るのであります。尤もこの
地方分與税分與金につきましては、
只今政府では入場税の委譲ということを考えておるのであります。入場税の委譲というものは、本
豫算におきましてはまだこれは實行しないという建前でできておるのでありますが、内部的にはもう實行するのだというふうに實は決ま
つております。從いましてその仲に
豫算の修正をしなければならんというふうになろうかと思うのでありますが、その関係で分與税分與金が
歳出の方から減りまして
歳入といたしまして入場税が國税としてはなくな
つて参ります。
その次は
地方警察費國庫負擔金、これは本年の六月までといたしましては、地方の警察というものは経費を一
般會計が負擔するというふうにな
つておるのでありまするが、七月以降におきましては、中央地方を通ずる
財政の調整をいたすのであります。その結果、自治警察に関する分は全部地方が金を拂う、國庫は補助もしないというふうに建前を變更する計畫であります。併しながら、その
財源は勿論付けてやるわけであります。即ち事業税を創設いたしますとか、いろいろな税を地方自治體に附ける。附けた金によりまして、自治體警察の経費は地方で支辨するということになりますので、七月からは國庫負擔金は要らなくなりますが、六月までの所要
金額をここに計上したわけであります。
次は
住宅復興資材費、これは先程も申しましたが、地方で
庶民住宅を建てるという場合におきまして、
地方公共團體では資材がなかなか入手できないのであります。そこで中央で一括して買
つてやるのであります。瓦でありますとか、疊でありますとか、或いはガラスであるとか、木材であるとか、さようなものは中央で、一括して
地方團體にやる、勿論賣るのでありますが、さような資材購入のために必要な金であります。
それから
政府出資金でありますが、百八十九億圓このうち復興金融
金庫の出資金が百八十億入
つておるわけであります。大體國家
財政の現状等から見まして百八十億圓くらいというところで、別に大した根據もないのでありますが、このくらいの
金額を拂込もうという計畫であります。それからその他は、ここにそのうち大體の豫定が書いてありまするが、特に一つ目新しいものといたしましては、
國民金融公團というものを合同創設する計畫であります。即ち庶民の金融、貧困者の金融のために特殊な、復興金融
金庫に似た機構を作る計畫であります。そのために
政府は約三億圓を支出することにな
つておるのであります。それからもう一つは預金保険
金庫というものを作る計畫でありまするが、これは預金保険というものをアメリカあたりでや
つているのですが、
日本には今までそういうものがなか
つたのであります。預金保険制度というものを作る、その預金保険をやる手段といたしまして、預金保険
金庫というものを作る計畫があるのでありまして、これに付しまして
只今のところ一億圓の出資を考えておるのであります。
それから次は
國債費、これも内譯に詳しく載
つておるのであります。
それから次は
同胞引揚費、これも詳細にこれに掲げてあるのであります。大體七十萬人程度の在外者がまだ残
つておるのでありますが、これが二十三
年度に全部帰
つて來るという前提の下に各種の施設を講ずるのであります。
それから次は小學校教員給與國庫負擔金、これも詳細にここに書いてあります。それから新制中學校實施費、それから定時制高等學校實施費、定時制高等學校というのは、これは義務教育じやないのであります。併しながら夜學でありますとか、さようなことをいたしまして、いわゆる青年學校式な教育をする機関でありまするが、従いまして、これに付しましては國家が補助をいたして雷でもこれを奨励いたしたいという計畫であります。その教員の給與、旅費などにつきまして四割の補助をするという経費がここに掲げてあるのであります。盲聾唖教育義務制實施費、これは今
年度から初めて實施するものであります。
次は
生活保護費、これも
内容を詳細ここに掲げてあるから御覧願いたいのであります。次に
國民健康保険闘係費、これ亦ここに掲げてある
通りであります。
それから
農地改革費、次は
失業保険費、失業保険につきまして一言附加えて置きますと、失業保険の被登録者が四百七十萬人おるという前提であります。そうしてそれが一〇%の失業者が出るではないかというふうな前提でこの
金額が書いてあるのでありますが、今までの失業保険を實施いたしました経験からいたしますと、殆んどこの失業保険の給付を受けるという人はいないのであります。昨
年度の
豫算では十一月から實施するというので十億圓を計上したのであります、ところが、
實績を見ますと三百
萬圓しか出ていないというような
状況でありまして、失業者が出るかも知らん、その受入態勢を十分整備しなければならんということで、かような
金額を計止しておるのでありますが、これはもう少し将来の推移を見ないと分らん問題かと考えておるのであります。
次は農業
生産技術浸透費これもここに書いてある
通りであります。それから
政府事業再建費、これも
説明いたしておる
通りであります。
それから
鐵道通信行政費繰入、これは今
年度から初めてのものでありますが、鉄道、通信両會計につきまして獨立採算性を採
つて、運賃の
引上げをいたすという際におきまして、
一般の行政に属するような監督経費をも含めるのはおかしいじやないか、それは
一般的な経費だから一
般會計から繰入れたらどうかという議論がありまして、
鐵道會計に付しまして十四億圓、通信會計で本億圓、これは
一般の監督行政に関する経費でありますので、一
般會計からそれぞれ繰入れることにいたしたのであります。
それから、船舶運営會補助、これは國鐵の方が三・五倍の値上げになるのであれます関係上、そのバランスからいいまして、どうしても三倍の値上げに止めなければならんというふうにな
つたのであります。從いましてこの計算ではまだ四十億圓程度の赤字が出るのでありまして、これも一
般會計から繰入れるのであります。
次は年金及び恩給、
刑務所収容費、その次の物償補正等
特別補充費、これは先程御
説明申出げました一種の豫備金的な経費であります。それから二十八番豫備費、これは二十億圓、即ち前
年度通りの
金額を計上いたしたわけであります。
次に
特別會計でありますが、
特別會計につきましては格別御
説明を追加するようなこともなかろうかと思うのであります。
特別會計全體を通ずる
公債借入金の発行見込額は全部で三百九十六億圓となるのであります。この中にはいわゆる電話
公債というものが入
つておるのでありますが、電話交債五十八億圓を差引きますと、
公債の発行額は三百三十七億というふうになります。大
體只今の見通しといたしましては、三百三十七億圓のうち百三十億圓くらいは
一般市中で消化し得る見通しであります。従いましてその差額の二百七億圓、この二百七億圓というものにつきまして端数を切上げまして二百十億圓、これを
日本銀行に引受けて貰わなければならんというふうに相成ろうかと考えておるのであります。この點は
豫算書において御
承認をお願いいたしておるわけであります。
以上によりまして大體
豫算の概貌を御
説明いたしたのでありますが、この機會におきまして更にお
手許に配付いたしてありまする國家及び地方
財政資金需要總合豫定表というのがありますが、これに一應お目通し願いたいのであります。それは二枚の紙に刷
つたものであります。これは
財政面から如何なる国家資金が必要とな
つて來るかということを大まかに見たものであります。
即ち先ず第一に、國家
財政におきましては、一
般會計におきましては
歳入歳出共とんとん、でありまして、赤字は出ない。それから
特別會計におきましてはそれぞれ出入りがありまするが、結局におきまして六百十億圓の赤字になるというふうになるのであります。それから地方
財政におきましてはまだ……ここに一應百八十一億圓というふうに書いてありまするが、これは一應のことでありまして、まだ多少の變動があるかも知れません。併し一應百八十一億圓ということになりますというと、七百九十二億圓というふうな
財政面から
数字が出て参るのであります。この數字と國家全體の産業資金との
關係とを考慮いたしまして、いろいろ檢討しなければならん問題が出て來るわけであります。
それからその備考に本表の外
交付公債によるものが次の
通りであるというふうに書いてありまするが、これは
豫算には載
つていないのであります。この數字は
豫算には載
つていないのであります、
公債を
政府が發行いたしまして、それをそのまま債権者に渡すその額が二百三十四億圓であるのであります。それは
金融機關再建補償の関係で百七十二億圓、簡易生命保險
關係で四億七千三百
萬圓、それから帝國鑛業
關係の二億二千二百
萬圓、生命保險及損害保険、国民厚生
金庫關係で相當の補償額があるわけであります。これらの額はいずれも法律の根據というものがあるのでありまして、法律の根據のなきものにつきまして、例えば簡易生命保険につきましては別途法律を今御
審議願
つておるのであります。その法律の根據、それから又その上に非常に丁寧なことにな
つておるのは
豫算外契約ということが付いておるのであります。その
豫算外契約は法律に根據いたしまして
政府はかような支拂の義務を負
つておるのでありますが、その
金額が二百三十四億圓というふうになるのであります。尤もこれは大體におきまして
政府は
公債を發行しますが、これは殆んど全部金融機關に終局におきましては行くのであります。金融機關の手持ちになるのであります。資金の流れとは實際上の關連は起
つて参りません。
以上大體本
年度の
豫算の概貌を御
説明いたしたわけでありますが、尚詳細につきましては
説明書並びに
豫算書をよく御覧願いたいのであります。