運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-05-21 第2回国会 参議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十一日(金曜日)    午後三時四十一分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○昭和二十三年度般會計暫定豫算補  正(第三號)(内閣送付) ○昭和二十三年度特別會計暫豫算補  正(特第二號)(内閣送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) 開會いたします。前囘に引續き質疑を行います。石坂豊一君。
  3. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は先ず總理大臣に御質疑申したいと思つてつたのですが、今日は御出席がないようでありますから、これを次の機會に譲りまして、大藏大臣がお見えになつておるようでありますから、大藏大臣に質してみたいと思います。私の同僚からすでに質疑してあるかも存じませんが、私は公務を以つて暫く缺席いたしました關係上、誠に重複することを虞れておりますけれども、お察しを願いまして伺つてみたいと思います。  我々は豫算審議に當りまして、これで暫定豫算なるものは三囘に亙つて審議しておるのであります。暫定豫算と申すものは、これこそ本當の暫くの間に合せで、その日送りの豫算であることは申すまでもないのであります。現内閣がかくのごとき暫定豫算を毎囘毎囘一再ならず繰返されまして、いつになつたら本豫算審議を要求せられるのであるか、その時期を一つ伺いたい。國會も今月七日で會期の切れたことはこれは申すまでもないことでありまするが、本豫算審議せずして通常會議を終るということは、これは誠に異例であるからして、さような異例を先例とすることはできないから、とにかく總豫算審議をするまでということで延びておると私は解釋いたしております。その際において六月も暫定豫算になるかも知れんが、できたらば總豫算は五月の十五日までに出すということを總理が他の委員會等において言明せられておることも聞いておる。然るに今日はもうすでに十五日を經過して一週間ばかりになつておりまするが、まだ出て來る気配が見えません。この場合において大藏大臣一つ内閣を代表せられまして、いつ頃できるのか、それを明言して頂きたい。ただ一言ここに大藏大臣に申上げて置きたいことは、大藏大臣は何か苦しいことがあると直ぐ最高司令部からのことを持出されるようですけれども、私はそういうことは伺いたくないのであります。内閣自主性におきまして、正しい責任においていつ頃出せるか、もう豫算はいつでも出せるけれどもGHQから許可がないというような言明は聞きたくない。飽くまでも政府責任においてどのくらいの程度で出せるか。と申しますのは新聞等におきまして來年度豫算は三千七百三十三億ぐらいな程度であるということもすでに出ております。税の總額も分つております。又その各税収入の各科目についても分つておるような状態になつておるのに、すべて歳入歳出總豫算というものは出て來んということは實に非難の極であります。かくのごとく暫定豫算に終始しておられるということになると、否應なしに内閣暫定内閣という名稱を頂戴せられることになりやしないか、その邊、大いに我々も國民としてこれを憂うるのであるから、この際においてはつきりと期限を切つて貰いたい。先ずこの點についての御答辯をお願いしたい。
  4. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申します。たびたび申上げましたように、暫定豫算というのは變態な形式を採りたくないということは、政府の根本的な一つ方針であり希望でありまして、そうなるために努力をしたつもリでありますけれども、遂には暫定豫算を繰返したということになりまして、この點は誠に遺憾に堪えないのであります。それで一體本豫算をいつ出すかという御質問なんでありますが、これはこの委員會において数度お答え申上げた通りでございまして、率直に申しますと、中旬に是非出きねぱならんということで、相當の馬力を掛けて急いだのでありますが、御承知のように只今賃金べースの變更を要するということは、物價全體に一應の補正をしなければならんという事情に追られているのであります。從いまして賃金物價との悪循環を斷ち切りながら、更に安定點にどうして向わしめるかという重大な時期に際會いたしまして、物價政策賃金政策竝びに財政政策がどこで調和するかというような重大案件に遭遇いたしまして、これがために日夜相當努力を傾倒したのでありますが、漸く只今お話がございましたように新聞にも出ているのじやないかというお言葉があつたのでありますが、それは一應私共において審議終つたのであります。新聞に出ている通り終つたのであります。これは何分にも税制にも關係があり、或いは勞働者の問題にも關係がある、又國民の擔税力と税の程度に重大な問題もあります。その間税制のうち改革を要するものがありまして、税制調査懇談會等を開きまして、それぞれ税全般についての檢討をいたしつつ、一面において豫算を急いだわけであります。それで實は私共において最後に、率直に申しますと、經濟關係の閣僚で、豫算を遂に仕上げましたのは去る八日の土曜日の遲くに漸く一つ決定點に達したのでございます。それからこれをその筋へ出すべき必要がございましたので、飜譯を急ぎまして、早速その翌々日であつたと思いますが提出いたしまして、中旬に出すとお約束したのでありますから、それに間に合うようにいたしたいということは毎日のようにこの方の促進努力して、今日もやつているわけでありますが、さような情勢になつておりまして、もう餘り長くないうちに出るだろうということを信じておりますが、只今何日に出すという的確な日を切つて申上げることは困難な事情にあります。  それから責任を囘避するのじやないかという言葉があつたのでありますが、これは毛頭ありません。これは私共において、政府において處理すべきことは勿論でありまして、從つて中旬に出す、これは参議院、衆議院の議院運営委員會において私が申上げたのでありますが、我々としては最善の努力をして中旬に出すようにいたしたいと思いましたが、ただ併しながら、何と申しましても、これはいろいろな考えようもございますが、何といたしましても、占領下にあるという事實はこれは蔽うべからざることでありまして、この方面承認を經なければ、どうしてもやれないことになつているのであります。それは御承知通りであります。決してその蔭に隠れて責任を囘避するというような態度は毛頭とらんつもりでありますけれども、止むを得ざることは事實であります。從いましてその方面への促進方は非常に努力をいたしております。もう遠くない中に出ると思います。すでに提出して十日以上經過しているのでありますから、承認が與えられるのであろうことを信じながら毎日のように急いでいるわけであります。その點はさように御了承を願いたいと思う次第であります。
  5. 石坂豊一

    石坂豊一君 別に内閣責任ということを申したのではないのであります。併し立場を率直に、最高司令部ということを持出すということは、そうなつて來ると、我々も、それでやはり一つの制限を受けるのでありますから、議會において審議するのもどうもただ空廻りをしておるような感を懐くのでありますから、この場合、まだ獨立性のない日本でありますけれども、議會政治に對しては、我々は憲法において許された權限内において、十分の審議を遂げたい、かような場合においては、最高司令部ということを決して口の外へ出さないようにして置かないと、そこで萬事決まつてしまうのであります。だからその點を餘り持出さないようにして頂きたい。かように申上げたのであります。というのも、私はただ想像で申したのではないのでありまして、先般五月の、五月ではない、もつと早い、四月の暫定豫算審議する際に、今月に限り、財源の問題について審議して、政府においてかような歳入があるならば、何のために、この前鐵道運賃の値上げなり何なりを出して來て、そして政變までも起すようなことをしたかという、極めて條理のある言葉があつたのであります。その際に大藏大臣は、事もなげに、それはその當時もその考えはあつたけれども、最高司令部において、これを聞いて呉れなかつた、今度漸く聞いて呉れたから、今度は出したという、こういう答辯があつたのであります。そのときにおいて、私は、これは我々としても感服できない答辯である。そういうことは、その當時において、もう少し政府が熱を以て、是非ともこの財源でなくては、政府もかようかようなことで窮地に陥るということを御説明になれば、やはり後になつて承認を經たと同じような結果を得たのではないかと、かように思いました。そこでとにかく政府においても、あらゆる努力はせられたのであらうけれども、當時としてはできなかつたということは、今日のような明日を測り知ることのできない變化があるときであるから止むを得ないかも知れませんけれども、ああいう場合においては、直ぐさま最高司令部の權力をここへ振廻すということはよろしくない、お互に避けたいという事柄を申上げたんであります。決してこれは責任を追及する意味で申上げたのではないのであります。まあどこどこまでも、できる限りそれを口の外に出すべきでないということを私の希望で申上げたのであります。そこで然らばお尋ねするが、私共はこの總豫算提出せずして、毎月々々區切つた歳計豫算審議するのでありまするが、これにしても大體總豫算というものを睨み合せて、それを各月別において處理するに非ざれば、暫定豫算そのものも出て來ない。そこで暫定豫算におけるところの各租税収入その他の収入は、政府の今總豫算に切盛つてあるものに關連して來るものであるか。但しはそうではなく、その月の所要の支出に應ずるために、必要な金額をただ單に出しておるものであるか。先ずその點を一應承わつて置きたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 暫定豫算は、必要の最少限度に止めまして、大體まあ過去の決まつた豫算の十二分の一といいますか、早く言いますとそういう仕方であります。萬止むを得ざるものについてこれを御審議願うと、こういうような方針を採つております。從いまして物價賃金等は、これは既定方針從つてつて行く。本豫算において革新すべきものは革新する。こういうような態度で、一應とにかく暫定豫算を急いで、處理をして行く。こういうような方針でありますから、早く申しますと、既定歳計の十二分の一を、例えば六月分とすればそれではいかない。どうしても補正を要するものについては若干の補正をいたしますけれども大體の考え方としては、そいう意味暫定豫算を組む、そういうように御了承を願います。
  7. 石坂豊一

    石坂豊一君 終戰後二年八ケ月ぐらいなつておりますので、段々議會運營、又政府豫算編成等についても、囘を重ねるごとに、ここに一つの目途が付いて來ておるわけであります。然るに、この前の吉田内閣におきましては、とにかく一應一ヶ年の歳計豫算というものができて、それは年度限審議を終つております。然るに却つて後になつてから、片山内閣竝びに芦田内閣は、暫定豫算ばかりでありますが、現内閣において總豫算編成がそう遲れて來るということは、一體我々合點が行かんのであります。併し今お聞きしますると、暫定豫算は眞に必要なものを、當面のものだけのものを月割にして出したと仰せられるが、國の歳計につきましては非常に多くの、國家永遠の施設が含まれておるのであります。この中には、そういう形式のものが大部分を占めておる。そういうものまでも、又單に毎月に切つて出されるということになりますと、それを受繼いで仕事をする……例えていうと、戰災地の復興計畫へ、或いは又消極的なことではございますけれども、災害復舊費水害豫防費、その他の復舊に要する費用等については、非常に仕事をして行くところの、建設的の仕事をして行くところの建設資金は勿論のこと、府縣土木及び建設等仕事に非常に關係を持つのであります。而してこれらの仕事は、全國をつきならして見ますと、いつ頃が一番必要かと申しますと、やはり年度始まつた四月から五、六、七というこういう日の長いとき、又一番仕事のし易いときが一番必要である。仕事の準備、物の運搬等萬事好都合なこの際において、本當の經費の見通しが付かないから、我我の知れる地方においても、その地方へ行まきしても非常に困つておる。必要な人夫を傭い入れることもできないし、ただ俸給を拂つて職員を遊ばしておるというような、情ないような状態になつている。道路修復も十分にできない。橋梁の架設も中途半端で止めている。工場の新設、修復もそのままにしている。殊にみじめなものは、戰災を受げた都市において、區畫整理經費が見當がつかない、それで中絶しているというようなわけで、現場の仕事は、大部分開店休業状態に陷つている。こういうことを御覧になつた場合には、即ち一年の歳計を十二ケ月分に分けて出すというような杜撰な方法でなく、そういう仕事に對しては、思い切つた一つ見越した金を数ケ月分を配當するというようなことに方法がつかないか。その點について、これは安本長官に來て頂かなければならんことでありますけれども、財政の元締をやつておられるところの大藏大臣が如何なる考えを持つておられるか。そういうものでも、仕事は一時中絶しても構わん、一日遲れれば、十年の悔いを殘すようなことがあつても構わん、これは仕方がない、暫定豫算を出すのである、そういう御解釋、そうでなければ總豫算の單純なものが出ないはずがない。そういうことに對して、どういうお考えを持つておられるか。それともそれ關係官廰において、やはり國において、相當の仕事をするようにいつできておるというお考えでありますか。又例えば、豫算の成立が現在のように止めてあるのは、本當の常態で、止むを得ないということであるか。その點を伺つて置きたい。
  8. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今御指摘になつたことは、その通りでありまして、從つて暫定豫算というものはできるだけ避けたいということは、先に申上げましたように、政府方針として避けるために努力をいたしたつもりでありますが、遺憾ながら結果はそうならなかつた。その點は甚だどうも殘念に存じておるのでありまするが、これは先に申しました通りであります。それでお話のごとくに、應急的な對策竝びに恒久的な對策等につきましては、暫定豫算だけでは一貫性がないのじやないかとおつしやるけれども、その通りであります。それでありますから、どうかして本豫算を組みたい、そういう考え方を持つておるのであります。これは結果としては、暫定豫算を六月もお願いする、こういうことに相成りまして、頗る財政當局としてもこの點は遺憾に存じておるのであります。ただこの災害復舊費のようなものにつきましては、これはまあこの財政等の許す範圍においてできるだけのことをいたしたいという考えを持つて暫定豫算と雖もこれはできるだけのことをいたしたいという考えを持つております。  それから河川、道路等の從來から繼續しておりますのは、新規事業ではないのでありますから、これは途中で切斷するようなことは相ならんというので、繼續的な事業についてはその繼續を進めるということにいたしておる。ただ暫定豫算で新らしい事業はこれは後廻しになる。暫定豫算なるが故に後廻しにしなければならんということが、その點が大變遺憾の點でありますけれども、どうも止むを得ないことでございまして、從來繼續して參りましたところの、一應必要なる土木的竝びに災害復舊的仕事については、これを繼續することができるように豫算を組んでおる次第であります。
  9. 石坂豊一

    石坂豊一君 只今大藏大臣言葉に、個久的及び眼前の仕事についてのちよつと御説明がありました。殊に災害復舊と普通の契約してあるものについては、進行をさせるようなふうなお言葉がありましたが、このような物價騰貴のために、昨年の金額では實際できない、それで本年度において増額をしなければ工事を進めて行くわけにいかんといのような關係で、要するに豫算の全貌を知ることができなければ仕事をするわけには行かない。これにおいて豫算はたとえ決まらんでも、金額はどれどれの範圍において今年は増額をするつもりであるというようなことに相成らんというと危なくて仕事ができない。殊に補助金支出についても、聞くところによるというと、政府支出金が段々遲れて参つておりますので、それを受けて拂うところの自治團體等については、やはり支拂を止めておるというようなことも聞いております。又政府支出金も、どういうお考えか知りませんけれども、支拂を受けられないで非常に困つておる人車澤山ある。で、今朝も私はそういう人の陳情を聞いたのでありまするが、私の方としては、その點について、これは餘り政府内部のことでありまするから、十分理解しにくいことでありますけれども、契約をして進行したものについて、時を移さず支拂をするということは、これは會計の常道でありまするから、さようなことはあり得べからざることかと考えますけれども、いろいろなことで、支拂をやれない状態になつております。その點の政府の取扱を伺うことができますならば、この際において説明して頂きたいと思います。
  10. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。繼續してやる事業、それから例えば災害復舊等事業につきましては、大體從來の行き方を繼承してその仕事繼續に妨げにならないようにということを申上げたのであります。從つてその意味は、物價騰貴のことを織込んで計算をいたしております。  それから政府支拂が非常に遲いというお言葉があつたのでありますが、これは今いうまでもなく、全國的に相當の金詰りは御承知通りでございまして、從つて政府自身支拂停滞になつては相成らんということで、只今は停滞をいたしておりません。ただ非常に地方で問題になつておりますことは、これは往々にして、一概にどこそこと……全部のことではないと思いますけれども、地方自治體政府から來る補助を豫想して、先に仕事に掛かるというような所が相當ございまして、そうして當てにしておられる金がどうも思うように決まつて來ないというような點から先を見越しての事業計畫というものの進行と、實際中央から金が來ることとの間に食い違いが來ておる。こういう點がありまして、段々話を聞いてみると、事情が明らかになつたものも少くないのであります。併し今後と雖も、政府自身支拂を遲らしてはならんのでありますからこれは十分督勵をいたしまして、支拂が遲れるというようなことがないように、一層注意をいたしたい、かように存じております。
  11. 石坂豊一

    石坂豊一君 續いてお聞きしたいのは、本豫算提出後でなければ計数は勿論明かになりませんけれども、國民を非常に刺戟をしておる問題は、即ち來年度における、二十三年度における増税竝びに新税の問題であります。政府の計畫しておられるところの新税竝びに増税について、基礎的計算、つまり所得税は前年七百十五億、それが今年にどれ程の程度になるのか。或いは又酒税がどれ程の程度になるのか。それから所得税、それから今やかましいところの取引高税、そういうものについてのお調べ書があつたならば御囘付を願いたい。而してこれに伴うところの政府租税基礎たるところの國民所得見積りは、前年と今年はどういうような見當を付けておられるか。それは今政府檢討しておるところの物價等の關係とは密接なものであろうけれども、見積りはすでにできておらなければならんと考えますから、それを説明して頂きたいと思います。
  12. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 極めて御尤もな御質問でありまするが、先程來申しますように、本豫算については私共の手を離れて、只今承認を求めつつあるのであります。從いまして、税制竝びに豫算については、殊に税制は急いでおりまするが、具體的法案として提出を成るべく早くいたしたいと思つておりますので、これに基いて一つ審議を願うようにいたしたいと思うのであります。先程ちよつと大變お叱りの言葉が出たのでありますけれども、再びそういう言葉使つては相成らんと思いますが、併しながらこれは事實なので止むを得ません。けれども、まだつまり承認のないことでありまして、そのことからいろいろ又紛議が起つてもちよつと困る點もございまするし、大體私共の腹案は持つております。從つてこれに基いて本豫算を組んだことでございますけれども、今ここでこれをすつかり申上げて御審議を願うということはできません。暫くお待ちを願つた方が私共としては非常に大變好都合である、こういうように考えております。
  13. 石坂豊一

    石坂豊一君 さような細目は、御明示できなければ、差支えありませんが、大體この所得は、前年ならば國民所得は九千億と見積つた。今年は物價騰貴その他の經濟界の状態によつて、それを一兆に見積るとか、或いは又一兆何億に見積るとか、その程度と思います。これに對する租税關係を或いは二十七割取る、或いは四十四割取るというような見當がある。その大體の見當なりとも御明示できるならば、お示しになることが當然と考えまするが、その見當をどういうように付けておられるか。これはどなたか必ず御質疑になつておるとは思いまするけれども、その點御説明を願いたい。  それともう一つその序に、總理大臣にも伺うつもりでありましたが、一面増収のことと同時に、財政におけるとにろの行政整理におけるところの整理ということは、二割五分の天引のようなことも發表されておりましたが、その程度はどのようになさるつもりであるか。或いは又經費の節減、これについては手を觸れられるつもりであるか。そんなことについて御説明を願いたい。
  14. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 第一點の國民所得の點でございまするが、これは事務當局において幾つかの國民所得檢討した試案はあると思います。併しながら御承知通り國民所得というのは、學問的に申しましても、實は歸一するところを知らない非常に論議の多いものでございまして、如何なる計算方法によるかというふうなことも相當問題になると思います。生産、勞働、消費等考え方等から來ます國民所得の決め方というものは必ずしも統一されたものではございませんので、ただ数字で何億或いは何兆何億というような言い方をすることがいいかどうかということは多少問題になると思います。それからこれを採上げます場合には或るものを基礎として税金總額等を勘案しまして、國民所得に對して税率が何十何%になるかと、こういうふうにまあよく取扱われるのでありますけれども、併しこれも例えばドイツは何%だから日本はまだ安いのじやないか、或いはイギリスは何%でこれに比べるとまだ日本は低いというふうなことをよく言われるのでありますけれども、これは私は國民所得總額の中には國民苦惱というものがある、こういう時代的な歴史的な苦惱というものが織込まれておらん。数字が出るだけであつて、その数字の統計は出るけれども、その中における生活實態の惱みというものは出ていないので、從つて例えば増額で一兆何千億國民所得があるといたしましても、その國民の大多数の者が例えばマル公では二割五分を、あとの七割五分はマル公ならざる生活をするというような事實があるといたしますれば、これに或る割合を付けても明確になるとは思えません。我が輕いの安いのとよく論ぜられるのでありますけれども、こういうことは私の考えとして相當に危険だというふうに考えるのであります。それで私共のやつておりまする、といたしまするならば……、「私は見ておりませんけれども、例えば主税局あたりで税収を抑えて、それからずつと逆算して國民所得がこれだけあるというような計算の仕方をしておるものと思いますが、これは必ずしもどこまで信憑できるか、そう的確なものとは申されませんので、これらにつきましても將來の税金體についての法案提出の際には、これは私はつきりお約束できるかどうかまだ分りませんけれども、政府として見る國民所得はこうだというようなことを申上げ得るとすれば、そのとき申上げたい。いろいろ事務的な試案というものがあるようでありまするけれども、これはまだ檢討十分終つておりませんから、さように御了承願いたいと思うのであります。  それから、あとの行政の問題は只今行政審議會でこれ亦非常に急いで……、行政機構改革審議會ですか、これで地方への出店をどのくらい整理するか。これはどうしても私共財政當局としても只今石坂さんの御指摘の通りでありまして、政府みずからがよく整理できないでおつて税が段々高くなるということは申譯ないので、その點においては大體同じような考えを持つておるのであります。只今行政審議會内で急いで案を立てて貰つておるのですが、地方の出店の整理、それからこれは人員の整理ということよりも、逆にむしろ行政能率をどうして擧げるかということが中心になつて、そういう消極的なことでなくして、行政機構における能率が低い、これを能率化するというような觀點から、人が多過ぎるということが結論的に出る。一つ機械的に二割五分天引するという考え方は簡單でございますけれども、むしろ逆にどうすれば能率が擧がるか、從つてこういうふうに考えた場合に剩員があるのじやないかというふうな面から、もう少し具體的に検討した方がいいのじやないかというような考え方で、片山内閣時代の二割五分天引ということを止めたわけではないと思いますけれども、むしろ能率的に考え直すという行政……、機械的な行き方よりもむしろ能率的に考えた方が、私共殊に政行機構改革審議會で相當只今具體案を練つておりますので、これ又遠からざるうちにその具體的なものを御覧に入れて、御審議を願うことができる、こう考えておる次第であります。
  15. 石坂豊一

    石坂豊一君 今御説明によりまして、國民所得等の質問は實は野暮な質問で、私も大藏大臣と同じ考えを持つておるのです。これは太平洋の水を測定するよりももつとむつかしい。これは技術的にいえば太平洋の水はどれだけある、地球の重さが幾らあるという計算がある。月の重さまで計算することができれば恆星の目方も測定することができるということでありますけれども、國民所得を計数的に現わすということは随分困難であるけれども、この頃見るところによりますと、税務署等においての査定は、各個人において……個人よりも餘程正しい計数で以て、お前のところでは幾らある、税金は幾ら出せ、こういうふうに言つておる。こういう計数は必らずあとで大藏省におけるトータルとなつて現われて來るに相違ない。すると、それによつていわゆる官僚式かも知れませんが、國民所得というものは幾ら幾ら取つておる、こういう觀測が付くに相違ないから、その點を伺つた。けれども、今大藏大臣の仰せらるる通り、なかなかそういう簡單な見方で出るものでないのでありまするから、先ずいろいろの概測を決めまして、先ずどれくらいの擔税力があるかという見當で行つておると思いまするので、お考えはこれは私共肯定せざるを得ない。併し大藏省としては萬事萬端算盤を彈いてやられるところでありますから、何かお調べになつておることがあれば、それをお漏らし願いたい。現に大藏大臣はさようなことはしないで、もう非常に眼光紙背に徹して國民の懐ろはよく観察しておられるから、相當の税を切盛りして頂くことができればこれに過ぎたることはありません。一應これに贊辭を呈して置きますが、併し聞くところによると、非常な課税になつておる。所得税のごときは昨年の殆んど倍取るようなことにもなつておると思いますが、而して又この取引高税等も新たに設けられた。そして又更にいわゆる闇成金等についての税金等はどういう方面にありますか。それは新税の方面に別に現われておらんようでありまするが、一面最低生活を保證するためにどういう程度までの免税ができておるものかということは、我々は今日まで不敏にして聞くことができない。で、その點について新税において新たに取上げられるものがあると同時に、國民生活の最低を保證するために、生活困難なる者に對して社會的にどれ程の減税を圖るつもりであるかということが分れば、例えば總豫算の場合でなくとも、今日の場合においても御説明つて然るべきものと私は考える、それで何かそんな調べがありまするならば、あとで一つ刷物にして下さつてもよろしいし、又即刻御答辯願えるならば、それは尚更結構であります。餘程増税になつておるようでありまして、これを農村等に行つてみまするというと、今現在徴收されておる税だけでも非常に重い程であつて、今まで多少闇で穀物を賣つておつたような者も、もうすつからかんになつたような状態で、農村におけるところの組合における貯金などをお調べになれば分る。どんどんと減つております。却つて逆に借金をするような農村もできて來ておる。いずれ後刻又六・三制の問題について文部大臣にもお聞きするつもりでありまするが、それらの負擔と相俟つて地方の農民の負擔というものは非常な高になつておるのであります。そういうわけでありまするから、この新税を見積る、又増税を見積られるところの標準は、何としてもやはり、如何なる計数によるにしても、一應は國民所得というものと睨み合せにやならん關係にありますが、それを伺つたのであります。それでどうかこの場合において詳しい計数でなくも、どれ程の程度の勤勞者に對する所得税を輕減するつもりであるか。或いは又中小商工業、又農村に對する負擔はどういうふうな程度にやつて行くという概数が分りましたならば御説明が願いたい。まだそれの調査がついておらんければ早速つけて、お調べをお聞かせを願いたいと思います。
  16. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。これは所得税が大體二倍にもなつているじやないかという只今の御指摘でございましたが、ぞれは絶對数が相當金額において殖えたのでございますけれども、これはいわゆる先からの問題の國民所得の問題でございまして、千八百圓べースが三千六百圓になり、大體税額が倍になるというような結果もございまして、賃金べースが變る、それから從つて所得の量が變りますことによつて貨幣的な量が殖えておる。こういうような觀點からこれは相當なところと考えております。それから相當大幅に減税を行なおうというのです。その減税を行います私共の態度といたしましては、何としても現在本當に働くという面が、勤勞意欲と申しますか、そういうものが阻害されることになつては相成らんということと、それから働く人が比較的苦しい立場におるというような點に對して、勤勞者の所得税というものを大幅に引下げました次第であります。これと共に同樣な意味で企業活動を阻害してはならん、今は生産第一で、インフレーシヨンを抑えて行かなければならんという建前のときに、相當企業活動に支障を來すような税制というものは、如何に財政が苦しくても、これはやはり最檢討すべきじやないかというような考え方から、法人税等を不當だと思いまする部分については、超過所得税等によつて、折角稼いで孤軍奮闘して得た果實というものを殆んどそのままそつくり税に取られるということでは企業意欲を阻害すること夥しい、かような點はどうしても改正しなければならん、金は欲しいし、改正はしなければならんという矛盾の中から、とにかく勤勞所得税を減らす。或いは只今申上げましたような意味における企業活動を阻害すると思われる法人税を下げたということにいたしましたことが、根本的な考え方でありまして、實際は經濟活動を活發にして頂くというような面に力を入れたい。そうなるのはなかなかむづかしい問題でございます。非常に複雑な問題でございます。成るべく經濟活動をやつて頂くことに餘り大きな支障にならんような方面に力を入れて行きたいというのが私共の一つの狙いでございまして、そういう觀點から勤勞によつて所得する果實、或いは勤勞と資本活動とが合されて一つの企業活動となつておるような、そういうことによる果實に對してはまあできるだけ輕減をする態度をとつて行きたい。こういうような方針で、大體税に對する態度を進めて参りましたのであります。それで税制調査懇談會等で、これは結論を得たわけでもないのですけれども、その道の權威者竝びに各界の代表の方々、各政黨の税務調査曹長等の方々の御参加を願いまして、過日來幾度か審議をいたしました。只今質問の中で、もう少し具體的に出さんかというお話でございましたのですが、これは税制調査懇談會のまあ議に上つた案、それはございます。これは今外部に發表するものではないと思いますけれども、この場限りて御覧を願うということならば、それを御覧を願つて差支ないと思います。或いはここでその概要、秘制調査懇談會において議題となつた主要な點をここで御説明申上げるということは差支ないじやないかと、かように思つておりますので、その程度で御了解願いたいと存ずる次第でございます。
  17. 石坂豊一

    石坂豊一君 大藏大臣は、先程の新税その他のことについてのことは、その筋の了解を得るまで公表が憚かられるようなお言葉がありましたから、それは敢て強いて求めるようなことはしない。ただ世間はやかましく、取引高税とかいろいろな問題で、各業者から事業税、これは地方分與税になるのですが、事業税の關係から非常に我々の方は深刻な訴えを聞いております。それについてこれはまだ例えば税制懇談會の審議程度であつて内閣においてそれは決定されたものでないというようなことでありますならば、十分の御檢討を加えられて國民生活を脅かすことのないようにされることは最も必要と考えます。併し何かと税制懇談會とか、そういう懇談會の意見をよく御採用になるようでありますから、若しそれがここで説明願われれば、我々の大なる参考になるだろうと思います。
  18. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) それはまだ決定いたしておりません。未定稿としてそういう案もあるという程度一つお聞き流しを願いたいと思います。説明をいたさせますから……。
  19. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 今囘の税制の改正についてでございますが、只今税制懇談會に出しております……詳しくは主税局長から申上げてよろしいと思いますが、大體の根本を申上げたいと存じます。  最低賃金物價等が上つて參りまして、まあ各種の經濟情勢に即應いたしまして、國民租税負擔を調整合理化する、それと共に財政需要に對處して租税収入を確保する。こういう基本的な考え方税制の改正を現在考えております。改正の主なるものは、その中樞をなすものは何と申しましても所得税でございます。所得状況の推移、課税の實際の實情ということに照しまして、勤勞所得税について相當負擔の輕減をする、又新税率につきましても、相當の物價騰貴の點その他を考えまして税率を調整いたす、こういうふうに考えております。勤勞所得税につきましては現在二割五分の控除をいたしまして、それに對しまして更に基礎控除をいたしまして現在年四千八百圓の控除をいたしております。そうしますというと、算出いたしました税額につきまして扶養家族一人當り月四十圓控除いたしておるわけであります。これを現在進行いたしましておる案につきましては二割五分の控除はそのままでございますが、これを基礎控除におきましては年大體一萬五千圓程度の控除をする、現行の四千八百圓を一萬五千圓にする。扶養家族の控除につきましては、現在進んでおります案は月百五十圓、四十圓の控除を百五十圓程度に上げる、こういうふうに考えております。現行の税制のままで参りますと、一應の見込は源泉と申告と兩方合せまして二千二百億程度になるのでございますが、こういう勤勞所得の輕減をやりますこと、それから税率の調整をいたしますことによりまして大體千億近くの所得税が輕減になる、こういうことになります。税率の點でありますが、現在一萬圓以下のものについては百分の二十、一萬圓を超過するものの百分の二十五から、最高は五百萬圓を超える百分の八十五となつておるのでありますが、この税率を物價騰貴の状況その他を考えまして、二萬圓以下のものについて百分の二十以上五百萬圓まで百分の八十五ということで税率をずつと調整して參つております。その結果現在豫算案大綱におきまして盛られております二千五百二十億の豫算のうち所得税は大體千二百三十億圓であります。  第二の税制改正の大眼目は法人税でありまして、現在法人の税が相當高いということで、外資導入の關係その他の企業の現在の實情というような點から考えて、或いは又資本の蓄積といつたような點から相當改正する必要があるのではないかというので、相當大幅の改正輕減をいたすことにいたしております。法人税につきましては、法人の資本税として百分の五がかかつておるのでありますが、これはこのままに据置きまして、超過所得税についてでありますが、現行資本金の一割超過につきまして百分の十、二割超過について百分の二十、三割超過について百分の三十ということに相成つておりますが、これを三割超過するものについて百分の十、五割超過するものについて百分の十五、十割超過のものについて百分の二十ということで、相當輕減になる豫定であります。又特別法人税というものがありましたが、これはすべて一般の法人税に統一するということに考えております。  第三の税制改正の大きな點は、物價の變動に即應いたしまして、間接税のうち從量課税のものに對しまして相當の増徴を行うことでございます。例えて申しますれば、酒税でありますが、酒税につきましては、現在一級酒二百九十五圓ということに相成つておりまするが、これを四百圓程度、二級酒は現在二百四十圓でありますが、これを三百圓程度にいたす。ビールにつきましては、壜詰一本の小賣價格が現在四十一圓程度でありますが、六十圓程度にいたす。この他加算税というものがあるのでありますが、一級酒につきましては、現行六百圓程度のものを八百圓、二級酒につきましては、現行五百四十圓程度のものを六百五十圓程度、ビールの壜詰につきましては、現在百一圓五十銭を百三十圓程度に上げるということを考えております。清涼飲料につきましては、現行一石當り六千九百圓でありますが、一萬一千圓とする。その他砂糖消費税、物品税等につきましても、この趣旨に應じまして、或いは飲酒税、狩獵免許税というようなものにつきましても、この趣旨によりまして改正をいたすことと考えております。  その次に取引高税でございますが、これは現在考えておりますのは、特別のものを除くすべての一般取引に對して、百分の一程度の税率を以て課税する。この施行時期はいういろいろな準備の關係もございまして、まだ確定いたしておりませんが、本年の下半期程度から實施いたしたいと考えております。  物品の販賣或いは貸付或いは製造、請負、周旋、問屋、兩替、宿屋、そういうような一般の取引に、銀行の貸付或いは信託、保險業というようなものにつきましても、すべてかかる考え方で、取引高税は輕く掛けることにいたしております。但し主食の關係につきましては、これは生計費の騰貴を招来する關係もございます、又國が價格調整補給金を出しております一定の物資につきましては、一方税を取る結果價格調整補給金が殖えるということでは問題でありますので、これは除く。その他政府の專賣品についての販賣、官報、郵便切手、収入印紙の販賣、小學校又は中學校の教科用圖書の販賣、發行、取次、水道條例による水の供給、細かく申しますといろいろございますが、こういつた件には課税いたさないということに考えております。課税はこれらの一定の課税標準に對しまして、大體百分の一程度の税率を以て課する、その納付は大體印紙を以ていたしまして、まあ間接的な監視の方法でありまするが、その印紙を取引については必ず貼用させる。その印紙を集めて國に持つて來た者には、その金額の百分の二程度を返してやる。そういうことによりまして、間接的に監視の目的を達すると共に、或いは小學校の児童その他がその印紙を集めまして、そうして學校の建築なり、或いはそういうような公共的な事業に充てるというようなことができるようにする。まあ一石二鳥の効果を狙つて行きたい、こういうふうに現在のところ考えております。賣上税の収入金額でありますが、これは施行時期等の關係もございまして、まだ確定的な積算ーー見積りを立てるに至つておりませんのでありますが、大體平年度におきまして五百億程度は吸収できるんではないかというふうに考えておる次第でございます。  大體の概略について申上げました。
  20. 石坂豊一

    石坂豊一君 御説明拝承いたしました。まだこれは未確定のものであると伺いますから、參考に止める程度に承つて置きます。  次に、政府は國有手持の財産その他について、つまりあれは財産税の物納のあつたもの、そういうようなものの處分はなさつておるのでございましようか。そういう収入はどういうふうに見積られておるか、一つ承りたいと思います。
  21. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 財産税の物納の關係經費は、財産税等収入金特別會計というものがございまして、前年度この収入が、豫算におきまして五十七億あつたのでありますが、まだ物納になつた物の單價がなかなかうまく行かないものもございまして、本年度においては相當減るんではないか、殘つておる物が少くなりますので、二三十億程度しか見積れないんではないかというふうに考えております。この點まだ本豫算編成までに十分檢討いたしたいと考えております。一般の國有財産につきましては、非常に各種の事情國有財産の施設の状況からいたしまして、なかなか賣沸うことが困難な物もございまして、前年度大體十五億程度を組んだのでありますが、十五億程度収入を見積つたのでありますが、實際は四五億程度しか入らない、こういつた實績も勘案いたしまして、本豫算編成にはその點十分留意して、適正なる見積りをいたしたいと思つております。
  22. 石坂豊一

    石坂豊一君 他の大臣もお急ぎになつておるようですから、この場合大藏大臣に對して、一つ最後の質疑をいたしまして、次に文部大臣に伺いたいと思います。昨日木村君よりも質問しておられたのですが、政府は軍事公債の利拂を棚上げになさつておるということでございまするが、これはどういう根據でやつておるか。それで、これは大臣より御説明を伺いたいですが、私の察するところ、總理大臣及び大藏大臣などは、本心は棚上げは御希望のものじやなかろう、又そういう趣意じやなかろうと思いますが、三黨政策協定りために、止むを得ず妥協的な方法でおやりになつておるものと思いますが、これは非常に國民貯蓄等に大影響あるものであり、又國民の道義心にも非常な影響を持つものであります。いはゆる一つ國民の經濟、一つ國民道義ということで、非常な關心を沸うべき問題であるのに、我々今日まで諸方の國民の精神をいろいろに聞いて見ますというと、非常にこの問題に對して金を貰う者も貰わん者も、それは區別なく、政府が約束した利子を沸わないで、得手勝手にそれを棚上げするということは、どういうところから來ておるか、こういうような質疑を始終受けるのでありますが、これは非常に大きな問題でありまして、いずれ法律案となつて國會審議を要求されるでしようから、その際において十分の御審議檢討が行われることと存じますが、豫算に關する重大なる問題でありますから、この場合大藏大臣より御説明を願いたい。
  23. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。軍事公債の利拂いの件につきましては、これは閣議で決定いたしまして、政府方針としてすでに決定いたしましたので御了解を願いたいと思います。個人としてお前はどうかということでございましたが、これはこの場合審議の過程において、誰が審議したというようなことでなく、政府一つ方針として決定をしたという點に御了解を願いたいと思います。それからこの問題はすでに世間でしばしば傳えられまして、一部では軍事公債というものは全部打切るべし、なぜならばこれは擬制資本であつたというような論議も相當に強く出ております。又利子を當然打切るべしというような議論も相當出ておるのでありまして、私共といたしましては、若しこのようなことになればこれは甚だよろしくない。尤も戰時補償の打切りをやり、それを政府が約束して、しかも重大なる非常に大きな厖大な金額に亙る戰時補償の打切りということをやつたというような、萬止むを得ざる場合においては、そういうことさえも斷行したのでございますけれども、今にしては、それは少し時節も違いまするので、いろいろ輿論もございまするし、軍事公債というものの全部を、そのものを打切るべしという議論もあり、或いは利子も無論打切るべしというような議論もあつたのでありまするが、私共としては、その場合に利子の棚上げというよりは、利子の支沸を延期するというような程度で、この問題に對する輿論等もいろいろございますけれども、これは一應そういうものは終熄するようにいたしたい。御承知通りに、石坂さんも御承知通りに、前からも相當論議がございまして、ドラステイツクな意見も出たということでございますが、我々のこの處置によつてそういうものを一應全部終焉に歸するようにいたしたい。こういうようなことから考えましたので、これがただ單に先に延して、つまり利息の支沸期日を先に延したという程度でございますから、これによつて非常に大きな動揺或いは害等が起るとは考え得ないのであります。そういうことがあるとすれば、なからしめるように最善の努力をしなければならんことは勿論であります。それらについても考慮いたしておりますから、一應その程度で御了解を願いたいと思います。かように思うのであります。
  24. 石坂豊一

    石坂豊一君 この問題は、大藏大臣は極めて小さく取扱うようにお努めになつておるようでありますけれども、我々はそのような考えは持つておらん。世間では非常にこれを打切るべしという説が横溢しておるというようなこともございますけれども、これは社會黨の黨議でも決定しておる點は明らかでありますけれども、社會黨に属しておる人の中でも、これは暴政であるということを言つておる人もあります。中央執行委員會或いは黨大會において採上げられたかも知れませんけれども、社会黨の黨員の中で非常に反對をしておる人も澤山あると聞いております。而して芦田氏、現大藏大臣も、私はそういう戰債に對して利子を棚上げするという精神は初めからなかつたのではないかと推測しております。そういう推測をするのはよくないかも知れませんけれども、私の觀察であるから申述べさして頂きたい。それで政策協定に忠實な餘り、遂に内閣の唱えておるところの健全金融となつたり、或いは健全財政なつたりして行くのであれば、政策協定ということはむしろただ内閣の一時の延命策に利用されるというだけでありまして、この點に對しては私の意見は申上げませんけれども、そのようなことでなく、大藏大臣は小さく見ておられますけれども、決して國内に潜在するところの國民の意見はさようなものでないということだけを申上げて置きます。勿論これは閣議で決まつたということについては、いずれその國會に對する相當の施策が施されることと思いますから、その際において意見を述べることにいたしますが、私は誠に不可解なりと、かように考えております。  次に伺いたいのは、文部大臣と關連する問題であります。公共事業費の枠においてなさるのでありますから勿論窮窟でありましようけれども、六・三制の補助金の問題です。六・三制は最も國民の教養を高める上において、義務教育を向上して行くために必要なる政策として採られた、教育上の施設として採られたのでありまして、その趣旨においては我々は反對するものではないのであります。但し、これを一學にして國民に強いたために、一部教職員の不安、校舎と相俟つて非常に各地方に波紋を描いております。最近私は新潟縣、石川縣その他を廻つたのでありますが、このために町村長は持て餘して、直接選擧になつて非常にこん難をして當選した町村長が續々辭める。なつて見たが、とても六・三制のために子弟が苦しんでおる、又父兄も惱んでおる、町村の財政は壓追を受ける、前途打開の方法がないとして非常に歎息しておるのを見受けます。私からこういうことを申してはいかんことですが、これは或る所の主張によつて止むを得ず實施したと思う。この前の質問のときに文部大臣は、これは決してよそから強いられたものでない、新憲法の下において、かような制度を絶對必要であるとして我が國の國是の上において決定したのである、こう仰せられるが、若し然りとすれば、これを再檢討なさるお考えはないか。教育上竝びに財政上の見地からして文部大臣よりお答え願いたいと思います。一々例を擧げろとおつしやれば幾らでも例を擧げますが、實は好ましからざる例をここに持出して、日本の今日の地方の實情を暴露することは好みませんからお預かりして置きたいと思いますが、私共の想像以上の弊害を伴つておるのであります。例えば或る町村で校舎もなく、教員もなかつたために、遠い所の町村から組合立でできておる學校に通學しておるうちに、子供が學校に行かないで大部分遊んでおる。そうしてそのうちに一年生が二年生になると、その二年生が後から來た一年生を伴つて、村にクラブを設けて、そこにおいて殆んど一週間おき、五日おきくらいに集まつていろいろな戯れをして遊び暮して、誠に不良少年の巣窟のようであるという實態、私は直接町村長から聞いて歎わしく感じて來たのであります。勿論その半面において、財政も豊かであり、設備も充實し、又職員も十分持つておる所においては、これは勿論相當の成績を擧げておるように聞いておりますが、大部分はこれによつて非常に苦心をしております。このことは知事會議或いは町村長會議もあつたから多分政府においてもお聞きになつておるでしようが、この場合においてこの事實を僞らずして、率直に一つ政府當局の意のあるところを私共聞いて、再檢討するようなことが自然でなかろうか、かように考えております。どうか兩大臣よりこの點に對して所見を伺つて置きたいと思います。我々この制度に反發するものではないが、今日一番の惱みは職員の足りないこと、校舎の足りないこと、金が足りないこと、この惱みから來ております。
  25. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 私にも質問があつたようでありますから一言申上げます。實は只今石坂さんからおつしやいましたように、非常に財政的にお困りになつておる大きな問題は、六・三制の教育の問題或いは自治警察等非常に金のかかる仕事がありまして、それに對して歳入を求めることが極めて困難であるというような事情で非常にお困りになつておる事實は私共十分々々承知いたしております。教育に關することは私から申上げませんけれども、これをどうするかという問題になりますると、容易なことではございませんので、最近いろいろ私共の調査いたしましたところでは、地方財政の大體六割以上は中央で相當におんぶしておる。この上中央がどれだけおんぶできるかということは、中央自體非常に疲れておりまして、これは困難な問題であるというようなことがございますので、非常にこれは困つたことだと、實は率直に申しますと思つておるのであります。それで地方地方財政の建直しをやらなくてはならんというので、地方財政委員會で、それぞれ地方税等について新税を設けるとか、いろいろ研究されておるようでございまして、これは又いずれ本委員會において御審議を願う結果になると思うのでありますが、どうしてこういう非常に金のかかる六・三制教育制度竝びに自治警察制度を賄なつて行くかということについて、地方財政委員會から、新らしい税制の問題その他について、財政的の見地からの法案が出ると思いますから、それによつて審議を願うことにいたしたいと思います。ただ、今までのように、地方債が市場消化ができません、地方で公債を發行しても市場消化ができません、又赤字公債は出してはならん、こういうように、地方も中央と同樣に苦しい立場にありますから、全國の金融機關に、これを好意的な努力に訴えまして、現在例えば三千億救國貯蓄ということを標目にして努力してやつてつております。この中の三五%は財政竝びに産業資金として使わして行こうというようなことにいたしまして、少くともその中の五%は地方財源に充てたいというふうにして、地方財源に對する助力をしたいというようにやつておりまして、これは大體金融機關等の助力を得つつあるのであります。それから現在預金部等の金は、殆んど大部分地方に還元しております。將來もそういう方針で行きたいと思つております。最近どうも郵便貯蓄の伸び方が悪いのでございまして、大變心配しておりますので、そういうものを通じて吸収した金は、大體その方法によつて部分地方に還元して地方財政を守りたい、こういうふうな考え方で、財政當局としては、只今の御質問に對して、以上のようにお答え申上げます。
  26. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) 六・三制、殊に新制中學の問題につきましては、財政の上からも、教育の上からも、いろいろ問題になる點もあるかと思うのであります。大きな點から申しますれば、新らしい日本建設の基本的な政策として教育刷新が取上げられております。その中樞が六・三制であることは説明を申上げるまでもないことであります。この教育制度は、政府が、現政府でなく、むしろ日本政府が連合國にも亦國民にも公約したと申してもいい制度でありまして、政府におきましても、あらゆる努力をいたしましてその實行に努めておりまするが、併し御承知の、只今大藏大臣の言われたような、日本の現状でございますので、十分なことはできません。市町村方面から、國費で全部賄うようにという再三の強い御要求があつたのでございますけれども、なかなかそうは參らない。從つて地方に重い負擔になつておることはお話通りであります。地方も亦財政が窮乏いたしておりますので、父兄等にもいろいろな形での負擔になつておるということも私は存じております。更にそれが十分でありませんために、先生方にも子供達にもいろいろな不十分な點があるということを、私共遺憾に存じておるのであります。他面かようないろいろな不十分な點のある中にも、全體として見ますれば、實はごの窮乏な敗戦の日本で、教育については國民が非常に熱心でありまして、ない中でも學校のことには私共驚く程の努力をしておるようでございまして、この點におきましては、文政を預つておる者といたしましては非常に喜んでおるのでございます。御指摘になつたようなところもありまして、非常に遺憾に存じておりますけれども、全體といたしますれば、不十分な中にも新らしい教育制度を完遂して行こうという熱意が現われておるように窺えます。學校の建築もなかなか十分には参つておりませんけれども、諸種の事情から申しますれば、相當に建築も進んだものと、殊に日本の經濟カ等を全體的に見ますれば、相當に進んでおるように存じておるのであります。先生の問題につきましても、質量について十分でないことは御指摘の通りであります。大體先生は二割方足らない。併し昨年七月、その二割の中の二割ぐらいは補充されておるのであります。その後補充方に努力をいたしておるのであります。他面又經濟上の事情から職場を離脱する先生方もある、併し普通の年次でも、大體一割ぐらいは先生が足らないというのでありますから、それで教育が崩壊する、或しいは教育ができないという程度ではないのであります。我々國民がもう少し努力すれば、普通の年次のところには追い著くのではないかと思つております。政府と文政當局といたしましても、この點につきましては、一面先生方の待遇について考え、他面又先生方の教育に對する熱意、又誇というような精神的の面でも、この點を大いに補足して行くように考えておりますし、又教員資格についても、一面では資絡を優遇いたしますると同時に、他面では内容、賞賛を活かすような再教育等に注意を拂つておりまするし、尚將來の先生になりまする教員養成磯關につきましても、生徒の給費等に注意をいたしまして、先生の質的量的の不足を補うように、全力を盡しておる次第であります。
  27. 石坂豊一

    石坂豊一君 文部大臣に尚伺いたいのでありまするが、私はこの制度を攻撃するのでも何でもない。現状を見て、文部大臣が樂樂しておられるようなことになつておりませんから、それを改善し、又これを再檢討して、實地に即するような成績を擧げることを努めるために申上げたのであります。それで今仰せの通り、大部分は成績を擧げておることであり、教員養成等についても相當の努力をしておつて下さつて、相當の補助が附くということであるならば、國家のために極めて仕合せと考えるのであります。ただ地方によつては、非常にその配置ができていないので、児童が河も學習せずして無駄歸りするというような非難を受けておる所が非常に多いですからい、その點を十分文部省においても努力を拂つて頂きたい。この事を附加えて、文部大臣に對する質問を打切ります。  突に、農林大臣に對してちよつと伺いたいのですが、これは私、昨日農林大臣と、上野精養軒において、全國森林連合會の席上で伺つて、是非とも伺つて置かなければならんことが起つたのであります。それは外でもない、我が國の農地整理法のいわゆる第三回目の農地整理、この農地整理に關しては、衆議院議員の井出一太郎君より林政一般に關する質疑趣意書というのが提出されております。これに對して總理答辯されておる。幾つもありまするが、時間の都合上端折つて申上げますが、政府は林政を開放するというような噂があるために、地方においては所有者が、そんなことになるならば、木を植える必要もない、又植えた木で樹齢に達しておらんけれども、伐つてしまえというようなことで、幼樹を伐り拂い、植林をしない。これはさなきだに荒廢しておるところにますます山が荒廢して行く。これに對しては政府は第三次の農地整理をやるつもりなのかどうかという質問に對して、總理大臣はこれを否認しておる。あらゆる機會に辯明しておるようであるけれども、まだ誤解があるようであるけれども、政府においてはもう第二囘として凸凹を調整するというような程度にやつておるので、第三囘の農地整理をやつて、森林を解放するというようなことは考えていないと答辯されておる。然るに昨日森林會の席上において、農林大臣が、臨席されて祝辭を述べた。その附帶の言葉として林政上においては三黨協定の線に沿うて、委員會において研究中であつて、その線に沿うて處理するとか何とかいう言葉があつた。そうすると總理大臣答辯とはここに食い違いが生じておる。總理大臣答辯は閣議を經て答辯なさつておるものと考えるのでありますが、まさか芦田君が勝手に書いて直ぐさま議會に送つたものとは思われません。そうすると、閣議の席においては、極めてわけもなくそれはやらんと言うておるけれども、農林大臣の言葉に從うというと、三黨協定で、委員會で協議して行くということになりますと、國民の疑惑は避けないのであります。この點について列席しておつたすべての會員が異口同音に、どうも農林大臣の祝辭の言葉は曖昧であるという評がありまして、三黨協定のために出ておる協同黨の某議員から、それを訂正しておつたのをちよつと私は耳にしたのであります。この場合において、我々もこれは非常に重大なる森林所有者の關心を持つべき問題と考えまするから、この場合一つ農林大臣より言明をして頂きたいのであります。
  28. 永江一夫

    國務大臣(永江一夫君) お答えいたします。只今質疑の點は、去る五月の六日附で芦田總理大臣から衆議院議員の井出一太郎君に對して答辯をいたしましたことと、私が昨日全國森林業者連合曾で申上げましたこととの間に違いがあるのではないかという御質問でございます。私は全然違いはないものと考えております。併しながら昨日は私は原稿によつてお話をしたのではありませんから、若し業者にそういう疑惑を與えましたならば、これは私の意に反するものであります。この機會に改めて申上げて置きたいと思います。それはすでに私も芦田總理と同様に、國會の本會議その他の委員會におきまして、今お尋ねのような點についてその疑惑を解くためにしばしば言明をしたのであります。從つて今お尋ねの芦田總理から衆議院議員の井出君に答辯をいたしました原稿は、實は農林省が立案した原稿でありまして、農林省が書きまして、閣議に掛けて答辯書として井出衆議院議員にお答をしたのであります。當然私が立案したのでありまして、決して違つておらんのであります。ただ疑惑があつたとするならば、こういう點ではないかと思います。特に山林業者のお集りでありましたから、私は祝辭の中に、第三次農地改革があるということで山林所有者がいろいろ御心配になるように、山を植林するにしても、これは二十年、三十年後にその收穫の出る長期の投資を行う立場からいえば、誰しも第三時農地改革が山林全般に及ぶというようなことでありますれば、このインフレの中におきまして、原始産業である山林の造營に投資をするというようなことは、避ける氣持が出るのは當然であります。その結果、非常に心配をしておる。從つて山がますます荒れて参りますことは、政府としても……私は國會におきましても、芦田總理と同様に、今第二次農地改革が進行中である。これは本年の十月に一應終ることになつておる。併し三黨政策協定の中に……、第三次農地改革について、いろいろ議論がありまして、その結果、政策協定の中には土地改革の徹底化という文字があるのであります。それをそれぞれの立場から解釋をいたしまして、山林業者は農地改革の徹底化のために更に徹底的に農地改革の巻添えとして全山林がすべて解放されるという心配を持たれたのであります。その結果、前申しましたように、ますます山は伐り放題になつて、造林、植林が殆ん放棄されるというようなことになりますることは、國策の上でも最も寒心に堪えないところでありまして、政府はそういうことについて、林野の解放ということがいわれ、土地改革の徹底化といううことがいわれておる。この點については、開墾に適する所は將來開墾をするだろう、併しながら開墾に適しない、田や畑になりません所まで、どんな峨々たる山岳も、山林も全部開放するという意思はないということを、私は昨日お答をして、皆さんの御心配を解消する一助にしたい。こういうつもりで私は申上げたのであります。若しそれが反封に森林業著に御心配を與えておるようでありますならば、私の言葉が足りないのですから、この點は補足をいたして置きたいのですが、只今私が申上げましたことで、一應御了解ができたことと思うのであります。芦田總理答辯にもあります通りでありまして、私は今後の農地改革の徹底化については、將來三黨の間で特別委員を擧げまして、そうしてその徹底化の具體的方策を協議するということになつておりますから、その以後でないと具體的なことは申上げられませんけれども、林野については、開墾に適するという土地を開放の對象とする。その以外にどの山も全部開放するというようなことはない、こういうことを繰返して機會ある毎に私も辯明しておるわけであります。昨日の私の言葉が足らないために、業者にそういう心配を掛けておりますならば、今ここで私が申上げたことで明らかになつたと、かように存ずるのであります。一應この機會にお答をいたします。
  29. 石坂豊一

    石坂豊一君 農林大臣の説明によつて一應理解しましたが、實は昨日の方は大いに誤解を招く言葉であつた。それは何故かというと、あなたの説明では、誰かの質問に答えたような口吻がありましたが、質問じやない。祝辭の中に、殊更第三次農地整理については三黨政策協定の問題で審議中であると、こう言つたから、それでは政府考えておらんということと違うのであります。そうすると、話題に上つておるので、ふとしたらこれはやられはせんかということで、疑惑を起したのであります。併し只今の御説明でよく理解しました。私はその點によつて、農林大臣のお話をよく理解できましたから、これについて再び御質問する必要を認めません。但しその開墾に適する所があるならば、それを開放する。これに關連して質問して置かなくちやならんのは、實は不適當な所を開墾さしておる。これは非常な山林、林野荒廢の原因になるのでありまして、非常に不適當な所を開墾しておる。現に京都に行つて見ますと、あの東山からずつと北の方の山の麓を開墾しております。あんな所を開墾して、都會の周囲におけるところの樹木を伐つて、そうして今に雨でも降ると山崩れが來ることが分りきつた所をずつと拓いております。これは山林でないから農林省は知らんと仰せられるかも知れませんが、非常に開放の仕方において荒廢を來すものと私は思いますから、政府においてはどうも……農林省において開拓、新開を奬勵なさるという反面は誠に結構なることでありますけれども、餘りこれを強いられるというと、却つて國土は荒廢になりはしないか。今計畫が立つて實收入が伴わんことになりはしないか。それよりはむしろ田圃の改良に重きを置いて、濕田を乾田に直すとか、或いは又耕地の整理をして耕作に便利にするとかいろいろな方法があります。又その點において全國の農村において直すべき點が非常に多いと思います。その點に力を入れないで、徒らに國民の人口が多くなるからして、新開地を狭い國土において利用するだけ利用しなければならんというのは、この考え方においては御尤もではありますけれども、餘りその點に力瘤をお入れになると、遂に誠に不利益を全體の運營において招く虞れがありますから、この點に對する、幸いに農林大臣が山林のことに御研究せられておるのでありますから、御見解を伺つて置きたいのでございます。私共は上越線を通つておりましても、越後の方の清水トンネルを越えて向うの方では新開をやつておりますが、これは愚の極だと見て参つております。それらのことは、新開地を町村に割當てております。から、實際に樹木を伐採して、將來それが何にもならないというような地面であるにも拘わらず無理に開墾しております。そういうような點は却つてこれは國策に面白くないのじやないかというような考を持つておりますので、農林大臣の所見は如何でありますか、この機會において伺つて置きたいと思います。
  30. 永江一夫

    國務大臣(永江一夫君) お答えいたします。開墾につきましては、御承知のように政府地方府縣廰と協力をいたしまして、調査の結果、本州及び北海道を通じまして百五十五萬町歩の開墾適地を決定いたしております。これを買上げております。今御指摘のようないろいろの事例については、私はここにはよく承知しておりませんが、一般に考えられておりまするように、政府から府縣に一定開墾面積を割當てて、そのために府縣が不適當なる所まで止むなく開墾適地として算定しておるというようなことはないと私は信じております。ただその土地を調べまして、これが開墾に適するかどうかということを決定いたしまするだけでありますれば、相當廣い面積が開墾適地としてあります。併しそれを開墾するためにいろいろ治山治水の上に著しく影響があつたり或いは周圍のいろいろな經濟的社會的條件に適しない地は開墾適地としては採用しておりません。そういう點でできるだけ注意をしておるわけであります。そこで百五十五萬町歩のこの事業は、すでにそれぞれの面から調査をいたしまして決定をしておるわけであります。これはただ單に政府の一方的な決定でなしに、政府部内においては農林省を中心としまして、ただ開墾の關係者だけがこれを決定せずに、水産にも林業にも畜産にも關係がありますから、それらの面の總合的な調査を行いまして、又地方府縣におきましても、いわゆる總合調査の結果、開墾適地を決定したわけであります。これはいよいよ實施する場合には、そういう經濟な、社會的な條件を無視して、ただ開墾適地というだけではやつておらない方針でありますが、併しお示しのように、個々にはいろいろ不適當な所があるというお話でございます。これもまあ十分に今後注意して参りたいと考えております。
  31. 石坂豊一

    石坂豊一君 只今の御意見の通りであるとすると私共安心をしましたが、ただ農林省に開拓局というものがあるために、府縣にも開拓課というものをそれぞれ作りまして、頻りに開墾をいたしておりますが、それを注意いたしまして、どうかそういうことのないように適地を拓くということにして頂きたいと思います。私質問總理の方を留保してこれで終りたいと思います。
  32. 櫻内辰郎

    ○委員長(櫻内辰郎君) お諮りしたいと思います。農林政務次官と安本の政務次官はお越しになつていますが、外に大藏政務次官もお見えになつておりますが、他に御質疑はございませんか……御質疑がありませんければ、衆議院から案が囘付をされるのを見通しをつけまして、そして次回の會期を決定いたしたいと存じます。本日はこれにて散會いたしたいと存じます。    午後四時十六分散會  出席者は次の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌夫君            岡本 愛祐君            中西  功君    委員            カニエ邦彦君            中村 正雄君            石坂 豊一君            小野 光洋君            左藤 義詮君            鈴木 安孝君            深水 六郎君            木内 四郎君            鈴木 順一君            田口政五郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            島村 軍次君            高田  寛君            東浦 庄治君            姫井 伊介君            藤田 芳雄君   國務大臣    大 藏 大 臣 北村徳太郎君    文 部 大 臣 森戸 辰男君    農 林 大 臣 永江 一夫君   政府委員    經濟安定政務次    官       藤井 丙午君    大藏政務次官  森下 政一君    大藏事務官    (主計局次長) 河野 一之君    農林政務次官  大島 義晴君