○小野光洋君 森戸文部
大臣に御質問申上げたいと思います。
只今中西議員の質問に對して、六・三制度の二十二年度の追加殘額は、
暫定豫算の中に繰り入れることを認められたというようなことを伺いまして非常に喜びに堪えない次第であります。その點當局の熱心な運動に對して敬意を表する次第であります。併しこれは六・三
豫算の二十二年度の追加額が、次年度においての
暫定豫算に入れられたというのであつて、これは極めて當然のことであり、二十三年度の
豫算は如何に計上されるかということがまだ次に残つておるのであります。二十二年度の追加
豫算さえ、二十三年度の
暫定豫算の中に、漸く危機の關頭にまで進んでやつと認められたというようなことでありますから、二十三年度の本
豫算において六・三制度の充實はより一層重大性を加へて來、而も生徒の自然増加筆を
考えて見ますと、到底昨年度のような
豫算では賄い切れない
状態に
なつて來るのではないかと思います。かような點を文部
大臣も十分お
考えを願つて、特に組閣に當つての三黨の協定においても、六・三制度の完全
實施について努力をすることが掲げられておるのでありますが、これもただそういう抽象的な言葉では結局
豫算編成の場合に當つて蹴られてしまうというようなことに相成るのでありまして、苟くも文部
大臣が前内閣から引續いて芦田内閣において就任せられたのでありますから、この間の困難というようなことはすでに御
承知であり、從來の責任が一應片山内閣において解消され、改めて芦田内閣の新閣僚として責任が生じたというようなことには相成らんと思うのであります。その間の連絡は實に明確であると私は思うのであります。そういう點を
考えまして、六・三制の二十三年度におけるところの
實施について十分なる覺悟をせられておられんことを要望する次第であります。實はこの
豫算の成立に関しましても、先般文部
大臣は若し二十二年度の追加
豫算の残額が承認されないようなことがあ
つたならば、相當の決意を持つと、特に永江次官のごときはその點について職を賭してもやるというようなことを数次言つておられましたが、併し今更、この問題が曲りなりにも通
つた今日、職を賭すというような必要は、その點ではなくな
つたわけでありますが、將來につきましても、二十三年度本
豫算を如何に組むかということに對して、ただ最善の努力を盡すというようなことでは、又同じようなことになりはしないかと
考えられるのであります。その點については特に文部
大臣の御決意を伺いたいと思う次第であります。
尚又追加要求額が全額承認されたのかどうか、承認をお受けにな
つたといつても、どれだけお受けにな
つたのか、その點が極めて不明確であります。その點はつきりと伺いたいと思います。それから又それは
補正豫算として、
暫定豫算の
補正として出るのか、或いは又この
豫算を修正して出すのか、どういう形式でいつ出るのかということがはつきりと伺いたいのであります。これは實はなぜそこまで伺わなければならんかといいますと、
政府は数次に、特に
大臣もこの問題に對して必ずというようなことをたびたびいつておりますが、さてここにお受けにな
つたというような漠然たる御報告を伺つても、後で又背負い投げを喰うようなことでは甚だ
國民に對して申譯ないようなことになりますから、その點は明確に、どういう
豫算で、いつ出すか、
金額はどれだけということをはつきりと伺いたいのであります。
それから尚又これは
暫定豫算の中に繰入れることは到底困難でありましようか、私立學校の助成の問題は、日本の教育を推進し擴充して行く上においては、双翼兩輪のごとく不可缺の問題だと思います。
從つて文部當局も最低限におけるところの
豫算を
大藏當局に對して要求せられておるやにも伺つております。これに對しても特に文部
大臣は必ずこれを推進實現させるという御決意はお持ちであろうと思いますが、又
大藏當局もこれを受入れるに吝かではないだろうと
考えられるのでありますが、この問題に對する兩當局の御所見を伺いたいと思うのであります。
尚又この
豫算の中に聾唖教育の義務制の
實施費というのが少し、千何百圓か出ておりますが、これはどういう意味でありますか、聾唖教育は極めて重要なもので、新憲法によつて定められた
國民の當然の權利であります。その聾唖教育がとかく閑却せられておりまして、昨年度の
豫算を見ますとゼロに
なつております。本年度において千何百圓というようなことが書いてありますが、さようなことで聾唖教育の義務制が完全に優施されるかどうか、どういう意味でこの
豫算をここに書き上げたのか、この點も文部
大臣に伺いたいと思うのであります。聾唖教育の必要性というようなことは、今更私がここでくどくどしく申上げる必要はないと思うのであります。どうかこの點について、本
豫算をこの問題だけで修正してくれというようなことは申上げられませんでしようが、二十三年度本
豫算をお定めになる場合においては、十分これを考慮に入れてやつて頂きたいと思うのであります。
尚もう
一つは、現在のインフレ
状況下における學生生活というものは極度に困窮をいたしております。新聞その他東京大學の學生課の
調査等によりましても、その大部分がいわゆるアルバイトに熱中しておる。學校に來ておるのか仕事をしておるのか譯が分らんというような
状況であります。その
状況の下においても尚學費の値上げというようなことが文部省においても
考えられておるそうでありますが、この學費の値上げは、現在の物價高に比較して見ますと、多少の値上げは止むを得ないかとも思いますが、尚進んで學生生活を脅かすようなことに相成らんような限度に止めて頂きたいと思うのであります。時にこれらのことについて文部當局及び大藏
政府委員の御答辯を願いたいと思います。