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1948-03-30 第2回国会 参議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月三十日(火曜日)    午後三時三十八分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○昭和二十三年度一般會計暫定豫算  (内閣送付) ○昭和二十三年度特別會計暫豫算  (内閣送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 只今より開會いたします。前囘に引續き質疑を行います。姫井伊介君。
  3. 姫井伊介

    姫井伊介君 安本長官お尋ねいたします。物價給與關係でありますが、この豫算では、給與は二千九百二十圓によつて計上したと言われております。然るに四月以降の給與は、更に臨時給與委員會などで改訂されると承わつております。又それに伴いまして、物價改訂も行われる筈でありますが、その場合におけるこの暫定豫算との處理關係はどうなりますか。更に本豫算が出ますまでには若干の期間があるわけでありますが、若し本豫算を六月頃でなければ出せないとするならば、更に五月竝びに六月の暫定豫算の必要があると思うのであります。これは大藏大臣關係でありましようが、今日出ておられませんから、序ながらお伺いいたすのでありますが、本豫算の提出の見通しの時期、それまでにおける暫定豫算の組み方、これらにつきましてもお差支えない範囲におきましてお答えが願いたいと思います。
  4. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 姫井さんのお尋ねにお答えいたします。實は安本長官でありまして、多少私の面から申した豫算編成、その見通し等について申上げて見たいと思います。それでお許しを願いたいと思います。  實は今度の暫定豫算は、人件費は二千九百二十圓のべース、物件費は現在の物價を標準として一應見ておるわけであります。暫定の意義はそこにあるとも思うのであります。そこでこの二丁九百二十圓ベースがどう變るかという問題でありますが、これは將來の問題であり、この委員會その他でどういう程度にか決まるものと思うのであります。決まりましたらば、これは或いは追加豫算その他の面において修正をしなきやならん。不足分は出すということにしなければならんと思うのであります。物件費でございますが、安本といたしましても、物價改訂は勿論全面的に改訂をするというようなことは考えておりません。併しながら四月、五月でありますが、出來れば四月の中にでも、物價の中で必要に應じて補正的な改訂をしなきやならんものがあるのであります。そういうものは成るべく早くいたしたいと思つております。併し、それにしましても、この暫定豫算の面においては、やはり現在の物價によつて編成されるのでありますから、その差額というものは、これはいずれ更に追加豫算その他のものによつて、補正されなければならんと思うのであります。それから本豫算でありますが、實は大藏省の方でも本豫算編成については成るべく早く編成をして、そうして更に五月分の暫定豫算等は成るべく編成をしないでやつて行きたいというような意同があり、安本といたしましても、物價補正的改訂にいたしましても成るべく急ぎまして、本豫算編成を早くいたしたいと考えておる次第でございます。本豫算は出来れば物價改訂を急ぎまして、補正的改訂を急ぎまして、そうしてまあ五月は本豫算が組めればいいがという工合に私共思つております。大體そういうような事情であることを御了承願いたいと思います。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私も先ず安本長官お尋ねいたします。今姫井委員からお尋ねもございましたが、私は官吏俸給と、民間給料とが甚だ不均衡になつておることにつきまして、例を申上げて今後如何にその喰違いを調和しておいでになるか、それを伺いたいのであります。一例を申しますと、大正八年に帝國大學を優秀な成績で卒業いたしました官吏が、只今地方局長をいたしておりますが、元で言えば一等一級位の俸給貰つておる官吏であります。その俸給その他の月々入つて來ます額と、その子供が昨年明治大學を卒業いたしまして、そうして或る配電會社に勤めた。昨年の九月勤めたその息子の給料、月々入ります給料の方が……大正八年に勤めまして、ずつと官吏を三十年間忠實に優秀な仕事をして來ておるその父と、昨年卒業した子供給料と比べて見ますと、子供給料の方が高いというようなことが出ております。これはどういうふうにこの調和を今後お考えになつて行くのか。官吏が二千九百二十圓ベース要求をいたし、いろいろ騒いで遂に昨日の司令部からの命令で争議を止めるというようなことになつておりますが、實情は實に私は氣の毒に思うのであります。この電気事業、電産の方では要求をすればどんどん上つて行く。官吏の方はそういう憐れな状態に置かれるということは、如何にも不公平だという氣がするのであります。この點について先ず伺うのであります。
  6. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 岡本さんのお尋ねにお答えいたします。これはこの官公吏諸君の生活が非常に苦しいというような點については、私も全く同感をいたしておる者でありますが、併し民間企業に從事するところの人と官公吏との間にはいろいう性質上止むを得ない違いもあるのであります。殊に現在においてはそういうような點も多々あると思うのであります。民間企業におきましては、採算その他によつていろいろ俸給も決められ得る傾向にあるのであります。官公吏は、國家國民租税その他の収入からこれを賄うものでありまして、而も現在の日本におきましては、他方において引揚者であるとか或いは戰災者であるとか、或いはその外の關係人々も誠に窮迫を告げておる人もあるのでありまして、そういうような點なども、あれを見これを見て、見合わしていろいろ財政の非常に苦しい中からいたしておるような次第でございます。そこでこの官公吏諸君給料民間給料とり間に相當の相違のあることは自然生じて來ておるのであります。これはこういうような危機、或いは困難せる事情の下に生じております點も非常に多いと思われるのであります。そこで將來におきましては、經濟が安定し、平常の經濟が運營されて行くというような時になりましては、民間企業に從事する人々給料官公吏給料というものにもおのずから見合とバランスを、睨み合わせを付け得る時期も來ると考えるのであります。さようなときには、許す範圍においてそういうようなことも考え、十分徹底して行きたいと考える次第でございます。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今説明がございましたが、官吏がこの國難の時代に、十分困苦を忍んで生活しなければならんことはよく分つております。併し一方に電産の方でそういうふうに高い給料を、官吏から見れば非常に惠まれた給料貰つてつて、而も要求をいたしますれば片一方の方は上つて行くという點が不思議なのであります。官吏の方は上らない、民間の方の給料要求すれば上つて行く、そこに非常に不調和があるのではないかと國民は感ずるのであります。その點を御説明願いたいというわけであります。
  8. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 電産關係のものは、或いは商工大臣答辯申上げた方がいいかと思いますが、安本としても關係しておりますので便宜ここで申上げたいと思つております。  この電産の給與は實はいつも給料などの上る魁をいたしますので、政府としましても十分これには注意をいたしておるのでありますが、今回のこの給與のことにつきましては、政府としてもそういう點があることを考えますると同時に、これは從業員と雇主の關係において大體中勞委の三次に亙るいろいろな裁定をどちらも受諾したのでありまして、そうして内容につきましては現質的に昨年の九月ぐらいからこの十二月に亙つて實質上いろいろな名目で出しておりましたこの金を、それを中勞委としましても止むを得ず事實的に認めたというような次第でございます。そこで政府といたしましてはそういうものを認めることによつて、その赤字料金に織込むというようなことも勿論これはいかんことでございますが、昨日もその一部を織込み得るものは將來料金に織込まない、政府自身が處理しなければならんということも強く考えた次第であります。尚金融の點においても高いものを支拂つたりしまして、そうしてそれをすべて金融でするということは妥當でないのでありまして、必要止むを得ない部分だけは一部これを認めるということにしまして、昨日政府から發表しましたものの中にもそういうことを特に氣を付けて、政府としては會社經營者に對しても、その邊の政府の立場を十分に徹底さす意味におきまして、條件が附いておるわけであります。尚この給與等を組合から求められて、そうしていわば夏分などで比較的手許の資金が豊かな時どんどん出す。後赤字でどうかして貰うという安易な考えではいけないと思います。經營の責任ということも十分會社當事者に負わす意味も含んでおる次第でございます。そこでこれは今は他の民間企業從業員に對して多少の開きがあるかと思いますけれども、政府としては將來機會があれば、それらの點も是正することも考えたい、こう思つておる次第でございます。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 次に官業經營と申しますか、國有鐵道事業、それから國有通信事業その他國有林野事業などの官業經營につきましてお伺をいたしたいのでございます。これは大藏大臣お尋ねした方がいいのかも知れませんが、これらの官業經營は皆特別會計になつておりまして、獨立採算制を堅持して行かれるべきものだと思うのであります。この度の四月の暫定豫算につきまして、こういう特別會計が皆借入金になつております。これはいずれ通信料金値上げとか、鐵道運賃値上げとか、そういうものによりましてカバーして行かれるだろうと思いますが、どのくらいの値上げをすれば獨立採算制を維持して行かれるか、どういうお見込であるかそれを伺いたいと思います。
  10. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 特別會計赤字につきましては、お説の通り獨立採算制を堅持して行かなければならんという點は一つ方針でございまして、その線に沿つて行きたいと存じております。只今のところ相當な赤字を出しておるが、それにつきましては、いつどの程度値上げをするかということが、これは國民經濟生活全體に非常に重大な關係を持ちますので、只今のところ赤字を出しながら、又獨立立採算制を唱えながら、尚値上げを憚かつておるといいますか、斷行し得ずにおるという點は、さような點にございますので、從つていつどの程度やればいいかというふうなことは、只今ちよつとここではつきり申上げることは困難でありますが、特に鐵道につきましては、貨物運賃がこれは原價に對して、コストに對して、甚だしく低位にあります。それから旅客運賃はさほどではございません。程度の差でございますけれども、それ程でない。それで先ず獨立採算制の収支の適合を圖るという觀點から申しますると、何より先ず貨物運賃を先に上げるということにならねばならぬのでございますけれども、これは一般旅客運賃よりも物價に與える影響がもつと激甚であるというような點を考えまして、まだその状態のままになつております。これはいずれ具體的には遞信運輸等の各當局と十分檢討いたしまして、餘り遠からざる内に具體的成案を得て御協議申上げることになるかと思いますけれども、只今いつどの程度ということをはつきり申上げることは非常に困難であります。ただ先に申上げる貨物運賃につきましては、原價出しようにもよりますけれども、私の記憶するところでは、コストに對して殆んど三割程度しか實収がないというような現況であります。かような状態を續けるわけには参りません。さればといつて物價全體関係に非常に影響いたします。この點いろいろ考究中であります。恐らく又餘り遠くない内に具對的成案を以て御審議を願うことになるかと思いますが、この程度お許しを願いたいと思います。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 獨立採算制を採る上におきまして、運賃とか通信料金とかの値上げをせざるを得ないということは、或いは必要であるかと存じますが、その前に獨立採算制は必ずしもそういう運賃とか通信料金値上げだけに限らないのであつて、この經營合理化ということが必要なのであります。その經營合理化というのは、人員を餘りに過剰に使つていはしないか、又消耗品とかその他の材料を餘りに潤澤使つていはしないか、そういう面から費用を輕減することができはしないか、それが第一でありまして、そういう經營合理化ができないときに始めて料金値上、運賃値上ということを考えるべきだと思うのであります。確か昨年八月でございましたか、國有鐵道事業に關する白書と申しますか、それが出されました時に、國有鐵事業再建五ケ年計畫というものを速かに作成するというお話があつたと承知いたしております。遞信事業國有通信事業につきましても、こういう再建の計畫が速かにできなければならないと存ずるのであります。そういう計畫を出されて、どういうふうにしてこの經營合理化するか、人員の上においても、又その他の費用についても、これだけ合理化するのだけれども、どうしてもこれではいかん。それで始めてこれだけの料金値上げが必要だ。これだけの運賃値上げが必要だということにならないと、國民は納得をしないのであります。先達つて〇・八ヶ月分の官吏に對する特別手當を出して審議する時にも、この旅客運賃値上げが問題になつたのでありますが、値上げをして惡いということではなくして、その前にどういうふうにしてこの國有鐵道事業合理化するか、その説明が足りなかつたから問題は起つたのであります。この點に関する當局の御説明を承わりたい。
  12. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 一層具體的なことは運輸大臣、或いは遞信大臣からお答えいたすことが適當であろうかと思うのでありますが、御説の通りこの運賃値上げ、或いは通信料金値上げに先立つて、どうして經營合理化するかということが、實は先決問題であることは御承知通りであります。それで何分にも、例えば國鐵なら國鐵というものが非常に大きな形のものでございまして、どういう經營形態にすることが合理化に適するかというようなことも當然取上げるべき問題でありまして、これはほんの私見でありますけれども、例えば行政面と切斷して現業だけを以て一つ公企業體として、例えば政變等によつて運輸大臣が如何に變つても、現業經營は變らないような方針を取る。そうして相當長い計畫に基いて、一面においては國鐵再建をやる。同時に國鐵そのもの公企業體としての性格においてどこまで合理化できるかというような點を相當これは突込んで檢討して、そういう形においてやるということも一つの手じやないかというようなことを、ひそかに考えたりしていたこともありますけれども、これはただ私の私見に過ぎませんが、お話のごとく、どうしてこの獨立採算制をやるかということは、當然これは合理化しなければならない。特に國鐵のごとき、一面において非常に大きな消耗をする仕事をいたす面においても、消費の科學化或いは合理化という問題も非常に大きな問題でございまして、例えば石炭のごとき、これは量だけで今扱われている。ところがこれはどうも非常に效率の惡いものが入つて参りまして、カロリーにしてどうなるかというふうな點が問題でありますし、又カロリー石炭を效率的に燃焼させるという點において、この面の研究も今現にやつておるのでありますけれども、これ亦この點において一割の合理化ができれば非常に大きな金額になるというふうな點もあります。或いは又現在人手を非常に多く使つております中で、踏切の人は三萬人あると聞いておりますが、これなどは機械化いたしますと、そういう人たちを一層有效に他の面に振り向けることができるというふうな面もありまして、私も暫くあすこにいたので若干研究もいたしたのでありますが、これは私から今責任ある御答辯はしかねますが、お話のごとく何にしても獨立採算制は、單に値上すればよいというような考えは持つておらないのでありまして、その前に合理化を必ずやななければならんということは固くそう思つておるのであります。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 獨立採算制を維持して行きます上に運賃値上げ料金値上げが必要である、それでいずれその案が國會に提出されるだろうと思いますが、私はその前に如何にして國有鐵道事業なり、國有通信事業經營合理化するか、この計畫を是非出して頂きたい。そうでないとこの前の値上げに關して紛糾しましたごとく、必ず又紛糾せざるを得ないのであります。常識的には六十五倍の物價値上りに比較して、運賃でも、郵便料金でももつと下廻つておるのですから、もつと上げてもよいように思いますが、今まで上げなかつたにはそれだけ理由があるのですから、それをいよいよ上げるとなつた時に、それではどういうふうに外の人員とか、つまり行政整理はどうする、又物件物資節約はどうする、そういうことの國民の了解を得て、それでもいかんからどうしても上げるのだというふうにその計畫を出して頂きたい。これを今から希望いたしております。
  14. 冨吉榮二

    國務大臣冨吉榮二君) 御尤もな御意見を拝聽いたしましたが、獨立採算制を唱えながら、通信事業においても一般會計の方にオンブされておりまして、非常な御迷惑を掛けておりますことは誠に遺憾でございます。併し通信事業においてはすでに御案内のごとく、久しきに亙つて般會計に非常に長年御奉公して参つたのであります。このインフレ高進によりまして、賃金諸物價の昂騰に禍いされまして非常な赤字を出しておることは御承知通りであります。私共としてはこれに對する諸種の對策を目下考究中でございますが、先ずお示しのいわゆる節約の面、合理化の面でありますが、大體前年度において唱えられた行政整理方針從つて遞信省においても研究しておりますが、それによると昭和九年から十一年までの勞働を基準として今日の仕事の量と勘案しまするときには、大體四十一萬餘人を要することでありまして、現在の從業員を幾らも整理し得ないという状態にあるのであります。更に又勞働基準法に基いてこれを策定するならば、約三萬餘の増員をいたさなければならんという結果が實は遞信省に現われておるのであります。物の面においてはすでに御案内のごとく物資不足による値上りのために、計畫した豫算の遂行もなかなか十分に參りませず、諸君に御迷惑を掛けておるのでありますが、尚大藏大臣のお説のごとく、機械化され、諸種のことが根本的な改革を加えれば別でありますけれども、現在のところにおいては實際問題としてはなかなか手が付けられないような状態であります。殊に現在の通信料金は御案内のごとく千二百圓の賃金ベース基準にいたしておるのでございまして、それ以來改訂を加える機會を持たなかつたのでございまして、すでに現在それらの面からこの料金の問題を考えますると、相當大幅の引上げをしなければならんというようなことになろうかと思うのでございます。これらの點につきましても、只今大藏大臣の御説のごとく、物價に影響するような點もございまするし、又先程委員お話しの中にもありましたように、非常に影響するところも大でございまするので、この點に苦慮いたしておるのでございまするが、併しながらこれは結局するところインフレーションの高進に基く面が可成りありますことは、御了承の通りであります。從いまして今政府國會も擧げてこのインフレ抑制に努力いたしておる時でありまするし、通貨の面からいたしまするインフレも相當鈍化いたしたようなことも伺つておるのでございまして、更に又本年計畫されております生産の面からいたしましても、インフレ抑制が或る程度の效を奏するのではなかろうかという私共期待を持つておるような次第でございまして、かかる状態は永久に國民の負憺となるような結果にはならないのではなかろうかと考えるのでございます。併しながらそれで以て私共は足れりといたしませんので、今お話のごとき合理化の問題につきましては鋭意研究調査いたしまして、御期待に副うように努力することには依然變りないことを御答辯いたします。
  15. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今遞信大臣から遞信従業員の數は減じ得ないような状況にあるというふうに承わりました。鐵道從業員遞信從業員、この數が餘り多過ぎはしないかということは、國民一般の通念になつております。これがいろいろの根據を出しまして、ここだからあれだけ要る、ああだからこれだけ要るという詳細な御説明をいずれ承わつて、檢討することにいたしまするが、大藏大臣でも遞信大臣でもこれまで民間事業をなすつていらつしやつた方でございますから、又私も多少事業をいたしました関係で、常識的に申上げますと、今假に百の仕事をするのに十人の人でやつておる、それが十人ではなかなか忙しくて忙しい忙しいと言つている時が一番能率が上り、又一番良い仕事ができている時であります。又その人々にとつても、その人々が段々伸びて行く時であります。ところが忙しいと言つてこれを二十人にした、そうすれば百以上の仕事ができるかと言えばできないのであります。これは八十に能率が下つてしまう。なぜかならばその十人の人が手が餘つて來る。そうすると今まで一生懸命にやつておつた初めの十人の人が馬鹿々々しくなつて、遊んでいる者があるのに自分らだけが忙しくやるのは馬鹿々々しくなり、それで能率は俄然八十に下るのであります。これが實際事業經營をしておりまして痛切に感ぜられることなんであります。それが現在の國有鐵道事業國有通信事業状態でないかと私はひそかに憂えるのであります。これは併しいずれ根據を示して頂いて、それからの檢討にいたしましてこの問題はこれで一應打切ることにいたして置きます。  次いで大藏大臣にお伺いいたしたいのでありますが、最近に地方財政の調査に廣島縣、愛媛縣高知縣方面を歩いて見ました。御承知通り地方財政は極端な赤字状態でございます。それでその救濟策として、今地方税法の根本的の改革を立案中だと承わつております。その内容は大體治安及び地方制度委員會の方で承知いたしておりますが、何か大藏省方面におきまして、この地方財政委員會の案についていろいろ御意見があつて、その案通りには行かないというようなことが新聞に出ておる。この四月の暫定豫算につきましても、その方面の收入關係に、國の収入としては、別にまだ改正前でありますから、現われておりませんが、その關係がどういうふうになつておりますか、それを伺いたい。
  16. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 地方財政が極めて窮乏しておりますことはお説の通りでありまして、我々が健全財政主義とまあ申しておりますのは、これは地方竝びに中央を通じての問題でなければならん。一連のものとしてこれは考えなければならんということを非常に強く思つておるのでありまして、從つて地方財政をどうして今の窮乏化から浮び上らせるかという問題は、極めて大きな問題であると思うのであります。從つてこれにつきまして地方の税制の問題があり、或いは地方金融等の問題があり、その他のいろいろの問題があると思うのでございますが、地方財政委員會において最近一つの案を立てられておりまして、まだ拜見いたしておりませんけれども、先ずこの案に基いて十分檢討いたしたい、かように存じておるのでありまして、大藏省はこれに對して云々と只今お話でございましたけれども、まだ私は實は拜見いたしておりません。閣議に掛けられたようでありますが、丁度委員會委員會と、衆議院、参議院の委員會を駈け巡つておりまして、私は閣議に殆んど出ておりませんのでありますけれども、これは確か出たということでありますから、十分拜見いたしまして、大藏の各部門の者とも協議をいたしまして、要するに地方財政健全化ということが、中央財政健全化と同じ重さを以て考えられなければならんもんだということは、強く感じておる次第であります。
  17. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 地方財政が自主的に確立するためには國税との関係が起つて参りまして、國税の方から思い切つて或る部分地方に委譲しなければならないということが起つて來るのでありますが、これは只今大藏大臣の誠意のある御説明に信頼いたしまして、何卒地方自治體が、六・三制の問題、自治體警察をこの四月からやつて行きますのに、赤字の上にもますます赤字が大きくなつて行くわけでありますから、一つそれを根本的に救つて頂きまするように、善處して頂きたいと思うのであります。  そこで六・三制の問題でありますが、これは文部大臣もお見えになりましたが、この二十二年度の補正豫算にそれが計上されませんでした。六億何千萬圓という殘りが計上されなかつた。それを同僚委員から御質問になりました時に、文部大臣は、これはいずれ一ヶ月遅れて、四号新年度に入つて計上されるごとと確信する。これは御自身の進退を賭してもという、それ程強いお言葉であつたように私は印象を受けておるのでありますが、計上して貰うのだという御説明でありました。ところがこの四月の暫定豫算にはそれが計上がないのであります。その理由は昨日政府委員から大體承わりましたが、そこに私共拜聽しておりまして割り切れんものがある。昨日の政府委員の御説明では、この六・三制の發足に當つて、連合國の完全な了解がなかつたのであるから、この豫算に殘りの六億何千萬、又二十三年度にこれから必要な經費というものが、なかなか計上ができないのだというような印象を受けたのであります。この點に對する經緯を一つ説明願いたいと思います。
  18. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) お答えいたします。實は六・三制豫算の殘額につきましては、昨年の追加豫算に計上いたすように最善の努力をいたしたのであります。併しいろいろな事情で計上不可能になりましたので、二十三年度の暫定豫算の當初のものにこれを組み入れるようにあらゆる努力をいたしたい、こういうように考えたのでありまして、これは文部大臣個人でなく、政府といたしましてもさように考えておるのでございます。ただ職を賭してもというようなお話でありましたが、そういうような表現は私は用いておりません。ただ最善を盡して行き、六・三制の實施を守る方向に私共は責任を持つた努力をいたしたい、かように今も考えておりますし、當時も申したのであります。  この暫定予算に組もうという努力につきましては、これは文部大臣だけでなく、政府として、殊に當局である大藏大臣安本長官、そうして最高の責任者である總理も共に責任を分擔しながら最善を盡しておるのでございまして、この點につきましては、實際の財務の憺當をなすつておいでになる大藏大臣から更に具體的な御説明があると思います。
  19. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  20. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 地方財政困難で、而も六・三制は是非發足しなければならないという政府からの強要で、無理に發足し、費用も随分掛けまして、もう或る町村ではやけ糞だ、何とかその尻は政府が拭つてくれるだろうから止むを得ない、滅茶苦茶にやつておるのだ、これを政府が救つてくれなければ、もう破綻だというようなことまで申しておるのでありますから、この上共、是非共御努力を願ひまして、豫定通りの補助が参りますように御努力をお願いいたします。  又新制高等學校の補助についてはどういうふうになつておりますか、これは地方でもよく徹底してないように思つておりますが、この點お伺いいたしたい。
  22. 河野一之

    政府委員(河野一之君) お答え申上げます。新制高等學校の補助につきましてはこの暫定豫算に一應載つております。設備の補助費を千三百萬圓計上してございます。
  23. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) この際文教委員長の田中耕太郎君から發言を求めておられます。發言を許可いたします。
  24. 田中耕太郎

    委員外議員(田中耕太郎君) 私が文教委員長といたしまして發言のお許しを得ましたのは、六・三制の實施のための豫算關係いたしますので、四月の暫定豫算に盛つていないということにつきまして、文教委員會の方におきましても、非常に驚きまして、さような經緯なり、又政府當局のこれに對する將來の措置というようなことにつきまして、御質問なり、又所信を伺いたいというわけで發言を求めました次第でございます。併しながら只今岡本委員から御質問がありまして、それに對する大藏大臣、又文部大臣の御答辯もありましたことでありますから、私がそれを繰返して更に時間を取つて申すことは差控えますが、併しながら、これは全國民又全教育界の非常な關心事でありまするし、又前内閣以來の政治的責任でもありますし、又只今大藏大臣からお話がありましたように、政治的責任又道義的責任も自覺しておいでになるわけでありますし、首相の施政方針の演説の中にもはつきり言われておることでありますから、これは是非一日も早くかような不安な状態をなくして頂いて、特に只今岡本委員から言われましたような地方の不安な状態を一掃して頂くようにお願いいたす次第でございます。簡單でありまするが、私の發言はこれを以て終ります。
  25. 服部教一

    ○服部教一君 ちよつと文部大臣竝びに大藏大臣お尋ねしたいのでありまするが、先ず以て文部大臣にお伺いしたいのであります。實は私は文部省へ行きまして、大臣に直接お目にかかつてお話ししたいと思つて二度ばかり行つたのですけれども、前からお約束をしていなかつたものですから、遂にお目にかかることも出來ませんでしたが、今日見えましたから、私の今申上げますことは急ぐことでありますから、ここで申上げることにいたしたいと思います。  それはやはり豫算關係のあることであり、將來の大きな問題だと思つておるのです。どういうことであるかというと、昨年制定されました學校教育法において、アメリカにおけるところの六・三・三・四という制度を採用されましたことは、皆様の御承知通りであります。然るにアメリカにおいては、この制度と相竝んで六・三・三・二という制度がありまして、その最後の二はジュニアー、カレッジ、これを譯して見れば下級大學とか初等大學とかいうのに當りまして、日本の今度、改正になりました小學校六年、中學校三年、高等學校三年、その上に二ヶ年のジュニアー、カレッジというものがありまして、これは非常に發達して参りまして又將來もますます發達して澤山な數が殖えようとしておるのであります。これは丁度日本のこれまでありましたところの専門學校と高等學校、大學豫科に相當しておるのでありまして日本においても將來ますます必要になると思うのであります。それはアメリカにおきましても、四年程度の大學では長過ぎるという者が澤山あるのであります。又近くに四年程度のカレッジのない所におきまして、二年のジュニアー・カレッジに入りまして、あとの二年は四年程度のカレッジのある所に参りまして、そこで學ぶ、こういうような便宜もあるのであります。それでこのジュニアー・カレッジというものは、アメリカにおいてはまだ發達は二十年程前から段々と殖えて來たのでありますが、一九三〇年には四百二十九校ありまして、學生の數が六萬七千六百二十七名であつたのでありますが、これが一九三九年になりますと、學校の數は五百七十五に殖えまして、生徒の數は十九萬六千七百十名に殖えておるのであります。最近の状況は、聞くところによれば、もう六百校になつておりまして、生徒の數は三十萬になつておるということであります。  私がアメリカで調べたところによりますと、その一例を申しますが、カリフオルニヤにおきまして農業をやつておる日本人の家を訪ねた時に、そこに二人の息子がおりまして、どこの學校を卒業したかということを尋ねましたところが、長男もこの日本の專門學校に相當するところの二年程度のジュニアー・カレッジの農科を卒業しておるのであります。又その次男の方も、同じようにジュニアーカレッジを卒業しておるのであります。その者らが言うのには、どうして四年程度の大學に行かなかつたかというと、いやアメリカでは今日四年程度のカレッジを卒業したところで、大低の者は、農業をやる者は農業、商業をやる者は商業、皆家の家業をやつておるので、四年も行く必要はない、もう二年で十分だ、こういうことを言うておりました。併しそれは和十年に私がアメリカに行つた時の話であります。もうそういう例は擧げれぱ澤山ありまして、アメリカ四十八洲にどこにもこれが今發展しつつあるのであります。然るに日本の昨年制定されました學校教育法において、これが拔けておる。それがために今日日本全國の專門學校は、これをどこへ持つて行くか、高等學校はどうするか、殊に女子専門學校のごときは、非常なる迷惑を感じておるのであります。昇格しなければならん、寄附金を集めなければならん、政府の補助も欲しい。昇格のでき得る所はよいけれども、餘り急激なる變化のために、全國各府縣において皆困つております。これは私の考えでは、今昇格したところで、將來この種の學校が必要になつて來るのです。これまでと違うのです。六・三・三というようなものができまして、各府縣の各町村に中學校ができまして、その上各町村に十なり十五なり高等學校ができるのでありますから、そこを卒業して來る生徒は、これが五、六年、十年後には非常なる數を以て卒業しまして、それが四年まで行くということが長過ぎる。四年の大學を卒業しても、官吏にも、或いは會社にも就けない。自分の家で家業を繼いで家業をやるというような者が澤山できて來まして、それが四年が長過ぎる、そんなに行く必要がない、二年ぐらいでいい、アメリカで言うジュニアー・カレッジで十分である。今日我が日本にあります専門學校程度の大學より一段下で十分である。こういうものができて來る。又このアメリカを調べて見ますというと、大都市には四年程度のカレッジが備わつておりますが、小さい都市へ行つて見るというと、つまり中學校が三つ四つぐらいあるところであります。そういうところへ行つて見るというと、そこに一つのジュニアー・カレッジというものがありまして、その土地において卒業生が學ぶことができまして、非常に便利になつておる。日本においては、現在あるところの専門學校なり、高等學校の處分ということの以外に、将來こういうもの、即ち今日の専門學校程度のものが、大學より一段低い學校が必ず必要になつて來るのであります。この學校は實業だけ教えておるところもあるし、又高等學校に相當する大學豫科に相當するところの、文科、理科というようなものも加えておるところが多いのであります。職業科とそういう文科、理科というような大學四年程度の豫科的なものを加えておるところとありますが、日本においても必ずこれが必要になつて來る。そこでこれに對しては、餘程よく研究しまして、私の考えとしましては、早速この學校教育法を改革してこの二年程度のものを作り得るということにして貰いたいと思うのであります。これはもう經濟上においても、もう今現に全國の専門學校、高等學校等において困る、その地方々々において困つておる問題でありますから、もうここで一つざつくばらんに角立つて話をせずに、この問題は親切に、一つ研究を願いたいと思うのであります。ちよつとこれだけ申上げます。
  26. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) 服部委員の御質問のジュニアー・カレッジの問題でございますが、御承知のように、六・三・三・四ということが、新らしく刷新された學制でありまして、大學は四年になつておるのであります。併しこの問題につきましては、教育刷新委員會におきましても、大學基準協會におきましても、いろいろと研究されたのであります。非常にこの點では論爭もありました結果、大學といたしては、やはり少くとも四年が必要であるという結論になつたのでございます。他面、併し、日本の實情から申しますると、ジュニアー・カレッジの存在理由というものも十分に認められるのでございまして、殊に教養部門におきましては、これを大學の教養部門として獨立のものにしたらいいのではないかという有力な意見もあるのであります。高等學校が或る程度獨立したものとして、ジュニアー・カレッジとして存在せしめることがいいのではないかという意見と、他面殊に女子の教育といたしましては、高等學校を出て四年は長過ぎるのではないか、二年でいいのではないかという意見がある。又差當りの問題として學校の先生の教育としても、四年ということでは長過ぎはしないか、これは必要の上から四年でなければならんのだが、併し現在の事態からいうと、學校の先生の非常な不足もあるのだから、これは二年くらいで卒業できるような形が取らるべきではないかと、こういうようないろいろな極めて尤もな意見があつたのでございます。併し結論といたしましては、日本の大學としては四年ということで、教養部門というものも獨立のものにしないで、大學の中に含ませるというところに歸著いたしたのでございます。そこで問題は他の面から、高等學校の面でもその問題は考えられるのでありまして、高等學校は必ずしも三年と限りませんので、技術的な面では五年であることも、四年、五年であることもできるのであります。ここで又考慮すべき餘地があるのではないかと私共は考えておるのでございます。併しこれもそう簡単にはいろいろな問題で行かないのでございますけれども、三年と更に二年加わるので、結局ジュニアー・カレッジと同じことになり、又現在の専門學校の程度と同じ實質を持ち、そうしてこの五年の高等學校を了えた者が、大學の後の二年に入れるような仕組ができれば、只今御指摘になつたと同じ結果になるのでございますが、こういう點はまだいろいろ研究の餘地があるのでございますけれども、高等學校の面からもお話のような要求を充すことも可能なのであります。大學の制度といたしましてはいろいろ議論の末、先程申しましたようにジュニアー・カレッジを認めることは今はしないという結論になつておるわけでございます。簡單でございますが、これだけ。
  27. 服部教一

    ○服部教一君 今文部大臣の御説明を承わりましたが、私はまだそれでは納得行きかねるのであります。教育審議會においてそれが通らなかつた、又大學總長などの集まりの所においても、それは通らなかつた。大學は四年であるべきである。こういうお話でありますが、それは文部大臣の立場といたしまして大學總長の會においても通らなかつた。教育審議會においても通らなかつた。それに反抗して文部大臣がこうやるということも私はむずかしいことと思います。御同情いたします。  併し一體この日本人のこれまでのやり方は畫一に過ぎまして、今から八十年程前に森文部大臣が、アメリカの制度を非常に御研究になりまして、日本の教育の大改革を明治十九年にやられたのであります。そんな頃には、このアメリカにありますところのジュニアー・カレッジというようなものは、一つもなかつたのであります。然るにアメリカにおいては、研究研究を重ねて、だんだん發達しまして、今日は今のようなジュニアー・カレッジという非常に重要なるものができ上つておるのであります。又今のようなことをし畫一主義を採つて、この各府縣で困つておるとこの問題を抑え付けて、大學は四年でなければならんというようなことて抑えつけて畫一主義を採つておるというと、又アメリカのこれから發達して來るいろいろのことを日本で研究せずにおつて、これから先になつてから慌てて又アメリカの眞似をせなければならんということになると思うのです。これは日本の畫一制度というものは非常な弊害であります。何を以て四年でなければならんのですか。私はそれらの人の話を聞きたい。又それらの人がどれだけアメリカの制度を御研究になつたのかそれを聞きたい。恐らくはその中にそういうことを研究した人が一人や二人はあつたかも知れないが、ないのではないか知らん。私はそういう説を聞いて少しも感服せん、納得行かんです。そこで文部省としての立場はお困りでしようけれども、こういう大きな問題、現に今日女子專門學校のごとき非常に困つておるのです。二ケ年遅れたらそれだけ結婚する時期が遅れるのです。又實情に照しまして、四年などいう必要がないのです。四年行くのを止めるのじやないのです。大學へ四年行くのを二年にせいというのではない。四年のものは四年に行つて、二年のものは二年にしろというのがどこが惡いか。何故にそれを四年に畫一にせなければならんのですか。そういうような畫一の考えを持つてつては、日本の實情に適したことにはならん。もつと實際に間に合うように早く卒業して實業に就きたい。學校の机上で學ぶところの學問は少くして、實地の社會に入つて大いに活動したいという者が澤山あるのです。又これからできるのです。それを止める必要がどこにある。何故に大學は四年でなければならんのです。私は大學は、例えば醫科大學のごとき、その他のごとき四年でも足らんと思う。五年、六年しなければならん。現にアメリカでもドイツでも年数が或る大學は長くなつております。ドイツにおいても二ケ年という大學がやはりあります。何故にあちらのヨーロッパ、アメリカでやつておることを日本でやれないという理由がどこにあるのです。そうだから、審議會は國會と違うのでありますから、一つ思い切つて文部省はこれをやつて貰いたい。私はこの學校教育法の改革案を議會の方から出したいと思つておりますけれども、文部省の方でやつて下されば有難い。どうしても審議會があつたり、大學總長會においては決つたからできないということであつたならば、私は議會から出したいと思つておるのであります。これは、目前の急務であるのです。今どうしようかということで各府縣では專門學校を昇格するには金が要るといつて寄附金を募集することに非常に困つておるのです。その必要がないのです。昇格すべき必要のあるところもあります。それは昇格したらいいと思う。昇格が惡いというのじやない、できるところ、やるべきところはやつてよい。やる必要のないところ、それは止める必要がないと思う。それだから何とかして專門學校を今日のままで延ばして行くというような便法でも採つて頂きまして、そうして教育審議會の方も、大學總長會の方も、十分分らない人には分るように説明をして頂きたい。日本の現状は金がなくて困つておる。六・三においてすでに困つておる。中學の三年をどうするか、義務教育になつたのでどうするかということについて困つておるのですから、更にその上に又困らせる、必要のないことに困らせるというようなことは、斷然よして貰いた。  それから序に申上げますが、六・三にしても、六年の小學校と三年の中學校を義務教育にしてしまつた。これは良いことではあるけれども、少し突飛過ぎたのです。それだから今各町村におまては非常に困つておるのであります。ああいう突飛なことは誠にやり方が困つたことで、アメリカあたりにおきましても、そういう義務教育がどこにでも行われておるかというと、そうじやないので、アメリカで調べたところによれば、六年の小學校を了えて後の三年は、貧乏の子供には畫やらずに夜やつておるという便法があるのです。而もそれが一週間四時間でもいいという所があるのです。これは私ここで斷言して置きますが、日本の六・三制度というものは、事實上貧乏の子供は現に學校に行かずして働いて親を養うとか、一家の費用の一部分を金儲けして補うというようなことが現に方々でやつておりまして、その督促が不十分です。ヨーロッパでもアメリカでも義務教育となつたら、二日休んでも一週間休んでも、なぜ休んだかというくらいに嚴密にやる。日本の義務教育は、名は義務教育でも事實は貧乏人は學校に行かずにおるる者が澤山ある。これまでもあつた、殊に今度は澤山できると私は信じます。それで今中學の夜學部というものはなくなりましたが、これはやはり設ける必要があると思うのです。これは先に私が申しました問題とは別問題ですけれども、今思い出しましたから序に申上げたのであります。この點は一つ特に何とかして、そういう金の要るようなことを無理せずに、これを今直ぐにできなければ、現在のままで高等學校も、専門學校も、去年の教育法が決つたから直ぐこれを實行するということでなしに、現状のままで續けて行つて、ここ二ヶ月でも三ヶ月でもよく教育審議會、大學總長會において、これらの人が分るように説いて頂きたいと思うのであります。これに對して御答辯下さるならば御答辯願いたいし、又御研究下さるならば御答辯下さらないでもよろしい。私はこの點は深く信じておりますから、どうか一つよろしくお願いいたします。
  28. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) いろいろお話を承わりました。私共問題としておる點について多くの御示唆を受けたことを感謝いたします。ただ教育刷新委員會竝びに大學基準協會におきましても、ジュニアー・カレッジのことについては十分論じておられたのであります。無論その問題として取上げられて、いろいろ審議された結果であるのでございます。お考えのようにアメリカの教育の事情をよく知らないで、ジュニアー・カレッジというようなことの存在の認識も足らずに決定されたのではないのでございます。それはその問題として取上げられた上でそうなつたということは、御了承を願いたいのであります。  尚四年というような決つたものにせんで、もつといろいろ自由を許した方がよいではないか、むしろ學校というものはそう機械的にしない方がいいのではないかというお話でございますが、これも御尤もな點があるのですが、新らしい教育においては、日本の教育の仕組がいろいろ複雜になつて、殊に階級的な別等ができたことが問題になりまして、むしろ刷新教育の制度においては、これを簡單に單一化するというところに重點が置かれたのでございまして、その點從來の日本の教育制度の持つておつた或る種の缺陷が闡明になつたということで、一應矯められたというところに重點があるのでございまして、この點、お話の點とやや違つたところに重點があることを御了承願いたいと思うのであります。それから大學を四年ということでありますが、大學は日本の學術の水準を高めて行く所であつて、二年では大學という名前の實質を盛り込むのに年限が足りないのであります。そこで醫科等では六年にいたしておりますが、少くとも四年は大學の名に値するものにはなければならない。短いものであれば、むしろ大學という名に副わないのではないかというような考え方があるということも、御了承願いたいのであります。そこで皆高等學校も專門學校も、無理をして大學になるという傾向もありますけれども、私は思うのでありますが、それは高等學校も五年制とか四年制の高等學校になると、よい高等學校になるという考え方で行かれるならば、それで十分行けるのではないか、私共はそう考えて、しばしばそうお勸めするのでありますが、餘り專門學校と高等學校が皆大學になりたいというので、お話のように無理な寄附まで集めておるような傾向もありますので、私は冗談に、大學の昇格を言われて御寄附を集められるのは結構だが、そういう所では六・三制の金が足りないということを申出られないように、その條件の下ならば承わりましようと、冗談を言うのでありますけれども、そういう形でも、お話のような要求が充たされるのではないか、必ずしも大學の名前を取ることに無理をせんでもいいではないかと實は存じておるのであります。尚六・三制の問題につきましてもいろいろお話がございましたが、九年にいたしたことは、突飛ではないのでございます。戰前にすでに、日本の教育制度では八年にするということの段取りができておつたのが、戰争のためにできなかつたので、世界各國の情勢からいたしましても、八年、九年という方向に義務教育を進めて行くのが世界の大勢であります。それで新らしく敗戰後の日本の教育制度を立てるときに、これを九年にしたことは、私は大英斷でもあるし、日本國民には今日少少重荷でありますけれども、將來感謝される仕事であると確信しておるのでさります。  尚子供が休むというようなお話もございました。實はそういうこともあるのでございまして、困つた子供については、これは私共もいろいろ就學の補助金等のことも考えておるのでありますが、實際地方に行つて聞きますと、就學のパーセンテージが非常によいということに驚いておるのであります。私は行くといつも新制中學で生徒は一體どのくらい來るかということを聽くのでありますけれども、大抵九〇%以上です。多い所になれば九七%もあるという所もあるのであります。この點は實は、相當に日本の國民は困つておりながら教育に熱心であるということを到る處で見るのでありまして、中には窮乏のために來られない子供もございますけれども、全體といたしましては、國民が次代をよく育てようというところに、殆んど私共も考え得なかつた程に熱心であることを、諸方で私目撃いたしまして非常に喜ばしく存じておる次第であります。尚新らしい教育、二年のジュニアー・カレッジの文部省の考え方につきましては、只今それを提案する考えは持つておらないのでございます。文部省といたしましては、こういう問題は民主的に、文部大臣の、或いは文部官僚の考えでなく、教育刷新委員會その他の教育に關係のある團體の方々の御意見を十分尊重しながら、教育制度についての政策を立てて行こうと考えておる次第であります。
  29. 服部教一

    ○服部教一君 今のことについて意見を申上げたい。今の御説に、私はまだ納得行かんことがあるのであります。やはり大學は四年でなければならんというならば、今日の專門學校、それから大學豫科、それをのそのまま残しておいたらどうです。二年程度のものに大學という名前を附けるのがいやならば、附けなくともいいと思うのです。それを止めるという理由はどこにあるのか、それを昇格しなければ困るというような困らし方をする理由はどこにありますか、それを一つお聽きしたい。  それから次に、先に申されました高等學校三年の上にもう二ヶ年載せてやれば、丁度ジュニアー・カレッジに相當するじやないかというお話がありました。それは御尤もす。アメリカにおいてもそういうようなやり方をしまして、ジュニアー・ハイスクルの三年、即ち日本の今度できる高等學校の三年の上に、ジュニヤー・カレッジの二年を加えて、一つの學校でやつておる所も澤山あるのであります。それはいいことです。そういうやり方もいいと思うのです。けれどもやはり私は二年のアメリカのジュニアー・カレッジのやり方は、非常な賢いやり方である。こう思われるのです。というのは、上の大學に連絡のつくように工合よくできておるのみならず、青年の心理というものは、二ケ年でもやはりカレッジであるとして行つた方が、これは適切であると思うのです。併しそういう名前の問題は第二といたしましても、大學という名前を附けるのが二ヶ年では不十分であるとするならば、現在のままで、何も大學と附けなければならんことはないのです。現在のままで行けばよかろうと思います。  それから單一化するために改正をされた……。ちよつと言い方がまずいかも知れませんが、あまり複雜なので單一化したいというお話がありましたが、そんな理由はどこにあるか、私から言えば、複雜の方がいいのであります。單一化する必要はないのです。劃一にするということはよくないのです。やはりその人、その地方に應じた、金も掛からずして實際にやり得るようにした方が、私から言えばよろしいのであります。そういうことを氣に掛けて單一化しようという、その教育刷新委員會なんかの考えは、これは間違つておると私は思うのです。併しこれは意見の相違でありますから、それはまあやかましく議論せんでもよかろうと思う。ただ今日各府縣において非常に困つておるにも拘わらず、それを單一化しなければならん、大學という名前を附けることができなければ、現在のままに置いて置いたらどうか。  それから問題が變りまして、義務教育のことであります。義務教育の延長は誠に結構です。これは日本の將來のために非常に喜ばれるのです。昨年の改革は殊によかつたのです。各村々に中學校ができたということは、誠に結構です。これからその内容をどうするか、アメリカのごごとき内容に、果して日本が急になるかどうかということを心配しておるだけでありまして、結構です。それから日本は割合に就學歩合がよいということも申されましたが、これはもう三十年も四十年も前から日本の就學歩合はよいとよく言われておる。併しその内容は、四月に學校へ出て來て學籍に載つたらもうそれでよいように思つておるので、就學歩合というものは、學校に向けての出席歩合ということも調べんというと、日本の就學歩合が、アメリカやドイツ、フラシス、イギリスなんかと比べまして、その歩合がよいかどうかということによつて實質が決まつて來るのです。それを日本の人たちは、もう昔から、私共十何年と文部省におりましたからよく知つている。そうしてそういう聲がもう昔からある。そこで私は文部省から留學生としてヨーロッパ、アメリカへ五年間行きまして方々で調べたのです。日本に昔からあるその聲たるや、出席歩合なしに、ただ四月の入學の時の就學歩合でやつてあるのです。出席日數というものを各國と比較して、果して日本がそれが多いかどうか、この點はよく調べて頂きたい。急にこれは調べることはできんと思いますけれども、出席日數はこれは如何にというと實質的には、就學歩合がよいとかといつても、ちよつと一日出ても就學歩合の中に入つておるような制度によつて、その數を比べて九〇%とか、或いは九八%とかいうようなことが、私は非常な觀察が、徹底せんと思うのです。この點は一つよくお調下さいまして、私の言うことに間違があつたならばこれから本日でなくてもよい。私だけではないのです。日本國民にそういうような聲があるのでありますから、文部省はこれをお調べ下さいましてその點をはつきりとして頂きたいのであります。ちよつとそのことを申上げて置きます。
  30. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 文部大臣に對しましてお聽きしたいと思いますことは、六・三制の問題だつたのですが、先程來の同僚の質問によりまして、大體聽きたいことが分りましたので省略いたしたいと思います。ただ問題は六・三制の完全實施は、これはどうしてもやらなければならんことでありまして、先程のお話では、政府ではできるだけ努力をするようにお伺いしましたが、政府だけでなしに我々國會も、或いは國民全體として一丸となつてこれが完全實施のために進まなければならんと思つておる次第でありますから、政府におかれましてもその心組でやつて頂しきたいと思うのであります。尚先程來、義務教育の内容について、一、二お話もございましたが、文部大臣は地方を見て相當出席が惡かろうと心配するに、九十%乃至よい所では九十七%の出席率があると言つて、その思つたよりよく勉強していることを認めて頂いたようでありますが、あの設備の惡い不完全な、そうして教員組織の惡い現状におきましても、日本の國民はそこまで一生懸命である。又教える先生も及ばずながら、眞劍にやつておるのだということが、そこに現われておつたと思うのであります。先程その一年間の日數も比較せよというようなこまごましたお話がありますけれども、教育はただ數や形だけでなしに、そういう結果を見せて來るところの精神的な内容に生命があるのだと思うのであります。そういう點も考えられましたときに、六・三制の完全實施というものが、如何に國家將來のために重要なことであるかということを御認識して頂きたいと思うのであります。  尚大藏大臣がお見えになりましたのでお聽きしたいと思つてつたのでありますけれども、今おいでになりませんので、お見えになる時まで保留いたしたいと思います。  ただもう一つお聽きしたい。先程説明の中に新制高等學校の經費がどこかに盛られてあるようなお話でありました。それをもう一度お聽かせ願いたいということと、それから地方分與税の分與金、從來は四半期毎にやつておつたものを、この四月分のものは四月に與えるために特にやつたというのでありますが、どうしてそう急いで金をやらなければならんのか、その内容及びその事情をお聽きしたいと思います。  今一つは公共事業費の内容でありますが、これは只今でなくても、文書でも結構だと思いますから、公共事業費の内容を細かにお知らせを願いたいと思います。
  31. 河野一之

    政府委員(河野一之君) お答え申上げます。先程記憶違いをいたしまして、岡本委員に間違つたことを申上げまして甚だ恐縮であります。新制高等學校の經費が暫定豫算で盛られておりますと申上げましたのは間違いでありまして、盲聾唖義務教育の關係でございます。新制高等學校の經費の補助につきましては目下編成中でありまする明年度の本豫算において或る程度考慮するというような考え方を現在のところはいたしております。それから只今お尋ねの分與税の問題でありますが、これは先程も他の委員から……岡本委員から御發言がありました通り地方財政の問題が目下地方財政委員會において案を御檢討中でありまして、その案の如何によりまして相當國と地方との間におきまして財源の調整が行われることに相成ると思います。從いましてこの分與税が目下の方向としては從來のような分與税の制度について相當の検討を加えるということに相成つておりますので、これを現在の現行制度のままで參りますると非常にその間において齟齬を生ずることに相成ります。從來分與税としましては四月に大體全體の四分の一程度を交付するということになつてつたのでありますが、總額如何が地方財政制度の改正によりまして變ることも慮りまして、差當り四月分として地方の經費として分與税に依存しなければならんであろうという額を推定いたしまして、この二十四億圓というものを計上いたした次第でございます。  それから暫定豫算に盛つておりまする公共事業の内譯でございますが、大體現在考えておりまするのは、これの中には事務費と事業費とあるわけでございますが、その中事業費に相當するものが十一億四千五百萬圓程でありますが、その中災害關係が一應四億六千九百萬圓、その他の一般分が六億七千六百萬圓程度に豫定いたしております。その中河川の關係で、これは一般の分と災害の分と兩方合計いたしまして、河川關係で三億八千五百萬圓、砂防關係で千六百萬圓、農業關係で三億六千百萬圓、山林關係で六千百萬圓、水産關係で千九百萬圓、道路六千八百萬圓、港灣七千二百萬圓、刑務所とか、裁判所等の營繕關係で千六百萬圓、學校、これは學校關係の營繕でございますが、これが千六百萬圓、住宅復興關係が三千四百圓、官聽の一般的な營繕が二千六百萬圓、都市計畫が五千萬圓、厚生省の補導施設その他の關係が百五十萬圓、勞働省の施設の關係が千五百萬圓というような大體の内容になつております。
  32. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御諮りをいたします。質疑の通告をいたしました方がまだ大分殘つておりますので、明日午前十時から質疑を續行することとして、本日はこの程度で散會いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御異議なしと認めます。本日はこれにて散會いたします。    午後五時二十一分散會  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川 昌失君            西郷吉之助君            中西  功君    委員            カニエ邦彦君            波多野 鼎君            村尾 重雄君            小串 清一君            左藤 義詮君            深水 六郎君            伊東 隆治君            大島 定吉君            木内 四郎君            飯田精太郎君            岡部  常君            岡本 愛祐君            島津 忠彦君            高田  寛君            服部 教一君            東浦 庄治君            姫井 伊介君            渡邊 甚吉君            藤田 芳雄君   委員外議員    文教委員長   田中耕太郎君   國務大臣    大 藏 大 臣 北村徳太郎君    文 部 大 臣 森戸 辰男君    遞 信 大 臣 冨吉 榮二君    國 務 大 臣 栗栖 赳夫君   政府委員    大藏事務官    (主計局次長) 河野 一之君