○服部教一君 今文部大臣の御
説明を承わりましたが、私はまだそれでは納得行きかねるのであります。教育審議會においてそれが通らなかつた、又大學總長などの集まりの所においても、それは通らなかつた。大學は四年であるべきである。こういう
お話でありますが、それは文部大臣の立場といたしまして大學總長の會においても通らなかつた。教育審議會においても通らなかつた。それに反抗して文部大臣がこうやるということも私はむずかしいことと思います。御同情いたします。
併し一體この日本人のこれまでのやり方は畫一に過ぎまして、今から八十年程前に森文部大臣が、アメリカの制度を非常に御
研究になりまして、日本の教育の大
改革を明治十九年にやられたのであります。そんな頃には、このアメリカにありますところのジュニアー・カレッジというようなものは、
一つもなか
つたのであります。然るにアメリカにおいては、
研究に
研究を重ねて、だんだん發達しまして、今日は今のようなジュニアー・カレッジという非常に重要なるものができ上
つておるのであります。又今のようなことをし畫一主義を採
つて、この各府縣で困
つておるとこの問題を抑え付けて、大學は四年でなければならんというようなことて抑えつけて畫一主義を採
つておるというと、又アメリカのこれから發達して來るいろいろのことを日本で
研究せずにお
つて、これから先にな
つてから慌てて又アメリカの眞似をせなければならんということになると思うのです。これは日本の畫一制度というものは非常な弊害であります。何を以て四年でなければならんのですか。私はそれらの人の話を聞きたい。又それらの人がどれだけアメリカの制度を御
研究にな
つたのかそれを聞きたい。恐らくはその中にそういうことを
研究した人が一人や二人はあつたかも知れないが、ないのではないか知らん。私はそういう説を聞いて少しも感服せん、納得行かんです。そこで文部省としての立場はお困りでしようけれども、こういう大きな問題、現に今日女子專門學校のごとき非常に困
つておるのです。二ケ年遅れたらそれだけ結婚する時期が遅れるのです。又
實情に照しまして、四年などいう必要がないのです。四年行くのを止めるのじやないのです。大學へ四年行くのを二年にせいというのではない。四年のものは四年に行
つて、二年のものは二年にしろというのがどこが惡いか。何故にそれを四年に畫一にせなければならんのですか。そういうような畫一の
考えを持
つてお
つては、日本の
實情に適したことにはならん。もつと實際に間に合うように早く卒業して實業に就きたい。學校の机上で學ぶところの學問は少くして、實地の社會に入
つて大いに活動したいという者が澤山あるのです。又これからできるのです。それを止める必要がどこにある。何故に大學は四年でなければならんのです。私は大學は、例えば醫科大學のごとき、その他のごとき四年でも足らんと思う。五年、六年しなければならん。現にアメリカでもドイツでも年数が或る大學は長くな
つております。ドイツにおいても二ケ年という大學がやはりあります。何故にあちらのヨーロッパ、アメリカでや
つておることを日本でやれないという理由がどこにあるのです。そうだから、審議會は
國會と違うのでありますから、
一つ思い切
つて文部省はこれをや
つて貰いたい。私はこの學校教育法の
改革案を議會の方から出したいと思
つておりますけれども、文部省の方でや
つて下されば有難い。どうしても審議會があつたり、大學總長會においては決つたからできないということであつたならば、私は議會から出したいと思
つておるのであります。これは、目前の急務であるのです。今どうしようかということで各府縣では專門學校を昇格するには金が要るとい
つて寄附金を募集することに非常に困
つておるのです。その必要がないのです。昇格すべき必要のあるところもあります。それは昇格したらいいと思う。昇格が惡いというのじやない、できるところ、やるべきところはや
つてよい。やる必要のないところ、それは止める必要がないと思う。それだから何とかして專門學校を今日のままで延ばして行くというような便法でも採
つて頂きまして、そうして教育審議會の方も、大學總長會の方も、十分分らない人には分るように
説明をして頂きたい。日本の現状は金がなくて困
つておる。六・三においてすでに困
つておる。中學の三年をどうするか、義務教育にな
つたのでどうするかということについて困
つておるのですから、更にその上に又困らせる、必要のないことに困らせるというようなことは、斷然よして貰いた。
それから序に申上げますが、六・三にしても、六年の小學校と三年の中學校を義務教育にしてしまつた。これは良いことではあるけれども、少し突飛過ぎたのです。それだから今各町村におまては非常に困
つておるのであります。ああいう突飛なことは誠にやり方が困つたことで、アメリカあたりにおきましても、そういう義務教育がどこにでも行われておるかというと、そうじやないので、アメリカで調べたところによれば、六年の小學校を了えて後の三年は、貧乏の
子供には畫やらずに夜や
つておるという便法があるのです。而もそれが一週間四時間でもいいという所があるのです。これは私ここで斷言して置きますが、日本の六・三制度というものは、事實上貧乏の
子供は現に學校に行かずして働いて親を養うとか、一家の
費用の一
部分を金儲けして補うというようなことが現に方々でや
つておりまして、その督促が不十分です。ヨーロッパでもアメリカでも義務教育と
なつたら、二日休んでも一週間休んでも、なぜ休んだかというくらいに嚴密にやる。日本の義務教育は、名は義務教育でも事實は貧乏人は學校に行かずにおるる者が澤山ある。これまでもあつた、殊に今度は澤山できると私は信じます。それで今中學の夜學部というものはなくなりましたが、これはやはり設ける必要があると思うのです。これは先に私が申しました問題とは別問題ですけれども、今思い出しましたから序に申上げたのであります。この點は
一つ特に何とかして、そういう金の要るようなことを無理せずに、これを今直ぐにできなければ、現在のままで高等學校も、専門學校も、去年の教育法が決つたから直ぐこれを實行するということでなしに、現状のままで續けて行
つて、ここ二ヶ月でも三ヶ月でもよく教育審議會、大學總長會において、これらの人が分るように説いて頂きたいと思うのであります。これに對して御
答辯下さるならば御
答辯願いたいし、又御
研究下さるならば御
答辯下さらないでもよろしい。私はこの點は深く信じておりますから、どうか
一つよろしくお願いいたします。