運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-03-29 第2回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十九日(月曜日)    午後二時三十三分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○昭和二十三年度一般會計暫定豫算  (内閣送付) ○昭和二十三年度特別會計暫豫算  (内閣送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より開會いたします。本日の議題昭和二十三年度一般會計暫定豫算及び昭和二十三年度特別會計暫豫算であります。先ず大藏大臣より御説明を願います。
  3. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今議題となりました昭和二十三年度一般會計、各特別會計暫定豫算につきまして御説明申し上げます。  昭和二十三年度の年間を通じまして豫算編成に當りましては、嚴に收支の均衡を保持するは、勿論、企業會計にありましては、獨立採算制を確保いたしまして、苟くも財政の面からインフレーシヨン昂進原因を拂拭いたしまして、進んでは我が國民經濟の再建を推進いたし、國際信用囘復のための素地を培う建前を以て目下鋭意その策定を進めておる次第でありまするが、尚現下事態に對處すべき諸般の對策、殊に豫算編成基礎となるべき物價等の問題につきまして、まだ成案を得る段階に達しておりませんのであります。從つてこの際これらの問題を織り込みまして、年度全般に亙ります豫算編成を終りまするまでは尚若干の時を要しまするので、本年度内に願う運びに取進めますることは、目下の事情といたしましては困難でございます。從いまして、この際といたしましは、財政法第三十條の規定によりまして、差當昭和二十三年四月に係る歳入及び歳出の計畫につきまして暫定豫算編成いたしまして、國會の御審議を煩わすことといたしたのでございます。  この暫定豫算編成に際しましては、今後決定を要する本豫算編成に支障を來たさないよう措置すると共に、迅速なる御審議の便をも併せ考えまして、又苟くも當面國務圓滑なる運營を阻害することのないよう十分配慮いたしておるのであります。  先ず歳出におきましては、新規の計畫に係る事項は原則として計上することをしないで、從來よりの繼續に係る事業につきまして、昭和二十二年度の實行状況及びその後における情勢の推移等を十分に檢討いたしまして、必要最小限度の額を計上するに止めたのでありますが、經費の積算につきましては、現行の物價水準と、今囘實施いたしました二千九百二十圓の新給與水準とを基礎といたしておるのであります。  つぎに、歳入は、原則として現行の制度を基礎といたしまして計上することといたしました外、價格差盆納付金特殊物件收入等につきましては、最近における收入状況をも考え併せまして、極力徴收を促進する方針の下に計上いたしました。以上申上げましたところの方針に從いまして編成いたしました暫定豫算につきまして、以下その概要を御説明いたします。  先ず一般會計暫定豫算について申上げます。一般會計暫定豫算額歳入出共におのおの二百四十五億九千四十餘萬圓、でありまして、その歳出の内、主なる經費について申上げますると、終戰處理費五十九億圓、賠償施設處理費三億三千六百萬圓價格調整費十五億圓、物資及物價調整事務取扱費八億八百九十萬餘圓公共事業費十一億七千九百六十餘圓地方分與金二十四億圓、地方警察費國庫負擔金七億圓、復興金融金庫等に對する政府出資金二十億百十餘萬圓國債費二億千五百七十餘萬圓損害保險會社損失補償金三億圓、同朋引揚費五億五千六百九十餘萬圓、小學教育費國庫負擔金二十二億四千六百五十餘萬圓中學教育費國庫負擔金六億九千六百十餘萬圓盲聾唖教育義務制實施費百三十餘萬圓國民健康保險組合補助六千四十萬餘圓失業保險特別會計繰入三億五千六百十餘萬圓農地改革費六億千八百九十餘萬圓大藏省預金部特別會計へ繰入一億三千二百十餘萬圓、歸還輸送費四千十餘萬圓船舶運營會補助四億五千四十餘萬圓、豫備費一億圓等であります。  次に、歳入の内譯を申上げますると、租税及印紙收入百七十三億千五百萬圓専賣局益金五十八億三千三百三十餘萬圓印刷局及アルコール専賣事業益金一億百五十餘萬圓、病院その他官業收入一億四千百三十餘萬圓官有財産收入二億千八百十餘萬圓、雜收入一億三千七百十餘萬圓價格差益納付金五億五千八百八十餘萬圓特殊物件收入一億六千百二十餘萬圓寶籤等發行者納付金一億二千五百萬圓、前年度剰餘金受入二百八十餘萬圓、合計二百四十五億九千四十餘萬圓となつております。  次に、各特別會計暫定豫算は、地方分與税分與金特別會計外二十三の特別會計を通じまして、總額歳入六百六十六億七千九百四十餘萬圓歳出六百四十四億千八百餘萬圓と相成つております。右歳入の内、國有鐵道事業及通信事業特別會計におきまして、設備建設改良費の財源については、公債又は借入金によることとし、國有鐵道事業におきまして八億圓、通信事業におきまして六億五千百四十萬圓を豫定しておるのであります。尚右公債、又は借入金につきましては、國民資金蓄積現状に顧み、總額七億圓を限り日本銀行に引き受けさせ、又は日本銀行から借入れることといたしたいのでありまして、財政法五條但書規定に基づき、御承認をお願いしておるわけであります。  最後に、この暫定豫算の實行上必要とする大藏省證券及び國庫金の一時融通ためにする一時借入金は、その限度を一般會計において百二十億圓、國有鐵道事業その他七特別會計において五十六億三百三十餘圓を豫定し、本暫定豫算圓滑な實行確保することにいたしました。  以上を以ちまして、昭和二十三年度一般會計及び特別會計暫豫算概要を御説明いたしました。先にも申述べました通り、本暫定豫算は、四月分して年度開始早々より必要とするものでありますから、何とぞ早急に御審議をお願い申上げたいと存ずる次第であります。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より質疑に入ります。池田恒雄君。
  5. 池田恒雄

    池田恒雄君 私は大藏大臣に、徴税のことに關しましてお尋ねしたいのであります。これは私が、三月十五日であつたと記憶しておるのでありますが、或る税務署に参りましたところが、その税務署では、職員が一齊に休暇を取つておるのであります。その後この豫算委員會終つてから、私又二十三、四日頃でしたが、地方に旅行しまして、又或る税務署参つたのであります。そうすると二十四日にもやはり税務署員が一齊に休暇を取りまして、税務署仕事實際休んでおるのであります。これはまあ私共は、一種の爭議ストライキだと、こういうふうに見るのでありますが、大藏當局はどうこれを御理解になるでありましようか、それを先ずお伺いしたいのであります。
  6. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今池田委員の御指摘の點は、誠に遺憾な事實でございまして、これはご承知通り非現業職員でございまして、罷業權はないのでございますけれども、取られた行動は、賜暇休暇と稱して、一齊に仕事をしなかつたというのでございますから、やはり我々は爭議行爲であると、こういうふうに考えておる次第あります。
  7. 池田恒雄

    池田恒雄君 まあ、大體常識的に、爭議であるというような工合に我々には見られたのでありますが、ただこの際、こういう爭議がぽつんぽつんと行われて來ておるとうことは、徴税の上に相當影響を及ぼすものではないかと、こう私は考えるのでありますが、何かそういう方面に影響を與えないものでしようか。
  8. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) これ又極めて御尤もな質問でございまして、何を措いても、相當に重大な負擔を納税者にして頂いて、まあ國家現状から、これを我慢して頂くという際に、このことを處理する官廳において、一齊賜暇休暇などということをいたすとは、これはやはり徴税の上に影響なしとは無論しないのであります。この點も誠に遺憾に存ずるのでありまして、仰せの通り影響なしとは申されませんのであります。
  9. 池田恒雄

    池田恒雄君 甚だくどいようですが、徴税に對してどういう影響を與えておりますかということも、この内容を詳しくお伺いしたいのであります。併しこれは資料をお持ち合せがなければ、そのことはあとでよろしうございます。  それから私は、こういうような状態は、納税者に對しても、いろいろな迷惑があるのではないかと、こういうふうに考えるのであります。これは、先日の委員會においても、私、大臣に若干事情を申上げましたものですから、御承知かとも思うのでありますが、從つてそれに對して、またどうと申すわけではありません。ただ政府收入についても影響がある。その内容は、あとでお伺いすることといたしまして、納税者も迷惑しているということになると、非常に重大な問題だということは、大藏大臣がお認めになるだろうと思いますが、そうすると、これに對して政府は、何らかこれを直すところの方策を講じなければならんじやないかと、こう私は思うのであります。それをここでお伺いしたいと思います。
  10. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) お答え申上げます。實はこれは、いろいろの意味から考えられるのでありますけれども、一つには、いわゆる全財の勞問題としての問題であります。折角納税しようと思つて、行つて見ると、仕事をされていないということは、誠に申譯ないと思うのであります。さような形勢がありましたので、先ず以つて緊急に財務局長を東京に全部集めまして、財務局長會議を開いたのであります。そうして現在私共の耳にしている、税務官吏についての御批評を聞いております。  本委員会においても承わりました。衆議院においても承わりました。又その他で私共直接耳にすることもありますので、税務署全般に亙つて、相當刷新しなければならん。又止むを得ん點もございますけれども、どうも税務關係者においても、行き届かない點が非常にある。納税者納得の行くように、十分御説明申上げないで、納税者十分納得の行かない點もある。それらについては、各財務局長を通じて、そうして各税務署の末端に至るまで浸透するように十分警告を發したのであります。ところが一方から申しますと、納税者の數が、最近七倍に上つておる。然るに税務署定員が、例えば百萬の時代の定員の七割ぐらいしか實際仕事に就いていない。それが、納税者が、百萬の時の定員の七割であるが、實際納税者は七百萬になつている。七倍になつているそういう状況でありまして、これは勿論税務官吏待遇の問題もあります。率直に申上げますと……從つて待遇等の問題もありまして、勤續年数が比較的短い、割合年少者が多い。二十五歳前後の者が多いために、納税者納得の頂けない説明の十分できないという點も相當澤山ある。この點についても、根本的に刷新をしなければならんというので、只今税務署の數から申しますと、全國で約百ヶ所増設をする計畫を進めております。  それから税務官吏も、これは今までの慣れた人を成るべく長く留まらせるという方策と、新しく中等學校その他専門學校等を出た人を收容いたしまして、教育をやつております。そういう訓練を經て、新しい、今までの多少慣れておるという點もあるかもしれませんけれども、むしろ何らの先入見なしに、豫備感情等なしに眞面目な氣持で初めから當つてくれるという人を澤山入れるということも刷新になるであろうというので、只今養成いたしております。さような面で、今後の税務行政全般に亙つて機構を擴張することと、内容刷新いたしまして、どうも税務署は深切な官廳だといわれるようにいたしたい、こういうことについて、只今申上げましたような方策を講じつつあるのであるます。  それから全財の問題をどうするかという問題でございますが、これは恐らくは官吏服務紀律に照らして何らかの措置を講ずべきである、こういうように考えております。恐らくはそういう措置が講ぜられるであろう、かように考える次第であります。
  11. 池田恒雄

    池田恒雄君 事態は非常に緊急を要するものだと、こう考えるのであります。もう大臣納税者に對していろいろな迷惑がかかつておるということを認められておらるるようでありますが、大臣が御説明通り、現在の税務機構は非常に薄弱であります。でありますから、この點については第一囘國會豫算委員会において税務機構に關する調査の特別委員會を設置いたしまして、いろいろ努力したこともあつた筈であります。そういう薄弱な状態が今日まだ直つておらないのでありまして、そういう状態から、税金の賦課とか、計算とか、そういうことが非常に誤りも多いようであります。而も期日が切迫いたしまして、早く納めなければならんとかいう工合に騒ぎ立てておるわけでありますが、この状態が進ならば、私は誤れば誤つたままに措置されてしまうということになると思うのであります。つまり間違つた税金政府が取つてしまう、こういうことになつてしまうと思います。從つて事態は急がなければならない、こう思うのであります。  更にストライキの問題につきましては、大臣勞働問題であると、且つ爭議權のあるなしのことが言われたのであります。そうして服務紀律によつて何らか措置をするということに言われたのでありますが、これについては、私は大藏當局として餘程考えて貰わなければならないのじやないか、こう思うのであります。というのは、服務紀律というのは、私どういう内容のものか明瞭に分かりませんが單に服務紀律によつて税務署員を常態に服務せしめるという工合に、強壓的に、或いは戰壓的に大藏當局がやつていいかどうか、こういう問題であります。というのは、すでに大藏大臣が御説明通り状態税務機構なんであります。そこで税務署員がずつと相當愼重仕事を負擔してやつて來ておる、なれない人たちがそういう状態をずつと續けて來ておつたということが一つであります。もう一つは、最近二ヶ月間ぐらいの實情を私はほんの二、三日前から調査して見ていたのであります。よく見ますと、税務職員は非常な愼重勞働に服しております。というのは、確定申告が一月の三十一日で締切られたということは、これは御存じの通りでありますが、そこまででも相當の勞働が續いたわけなんであります。それから以後三月十日なで各税務署員は、これは殆ど勞働基準法というようなものから言つた大分逸脱があるのじやないかと思いますが、夜十時頃まで勤務しております。それから夜十時頃まで勤務しておるということになると、今地方通勤者が非常に多いのでありますから、汽車に乘れない人たち税務署にそのまま泊まつておる、泊り込んで夜間も作業しておるというような工合であつたのであります。そうして更正決定を作成しまして、三月の十日前後にこれを納税者に送付したというようなわけなのであります。ここまで約一ヵ月半くらいの間、税務署員は若い者も年取つた者も、不眠不休の活動を續けたものであります。普通の勞働時間で言うならば、倍ぐらい働いたわけであります。それから更正決定を出しましてこれで終つたと、こういうふうに税務署員考えたかどうか分かりませんが、一應そういう段階がついたわけであります。ところが、その翌日から、税務署には朝からもうわんわんと納税者が押し掛けて來ておるわけであります。税務署では非常にこの處理に困りまして、番號札を渡しまして人員整理しまして、各村別に擔當を決めまして、納税者に對する相談應ずるということになつたのであります。このとき一人の税務署員が受持つたころの人數は五十名を越えておると、こういうわけであります。こういうことになりますると、これは相談行つた人も、自分税金のことでありまするから、相當鋭い相談であります。こういう相談を朝から晩まで五十人くらい聞くわけであります。或いは六十人くらい聞くわけであります。それが三月の十日過ぎから今月までずつと續いておるのであります。でありますから、私が何人かの税務署員と話をして見たり、又いろいろな事情を聞いて見たりしたのでありまするが、若い税務署員なんか、非常に仕事になれていない人なんかは、殆ど機械的に午前中は非常に冷靜でありまするか、午後になりますと、何か神經が麻痺したというのか、ぼけたというのか、ぼやつとしていまつて、そうして何を應接しておるのか分らない、何か用事があつて人に呼ばれてもぽかんとしてもう返事しないというような状態に入つてしまうというのであります。毎日それが繰返されておるというような工合なのであります。私はこういう愼重勞働が、これは勿論仕事によつて勞働基準法とかなんとか言うていられるものではありませんで、ときには徹夜することも必要であります。でありますが、これが、一月から二月にかけてはそういう勞働をし、更に最近ではこういう勞働をしておるということになりますると、いくら非人情の役人といえども、これはどうにかなるのじやないかと思うのであります。でありますから、この際私は單に官吏服務紀律というようなものでこれを規律しようとするだけでは問題の解決にならないと思うのであります。というのは、管理服務紀律とか或いはいろいろな勞働条件の基準の問題は崩れておるのです。仕事のために崩されておるわけであります。とにかくもう朝から徹夜までして働くとか、そういうふうで、仕事はこれだけじやないと税務署員は言つておるのであります。その外いろいろな仕事があるというわけであります。だがそのためにもう當然机の上にある仕事を全部投げて、そうして納税者との應接にのみ一ヶ月も費やしておるのだ、仕事は絶えず溜まつてつておるということを歎いておる署員もおつたのであります。こういうふうになりますると、これは業務そのもの服務紀律とか、そういつたものを崩しておるというような状態になつておるわけであります。從つてこの問題について、大藏當局が何らかの救濟策を、非常状態を救濟する策をお考えにならなければ、單に服役紀律で縛ろうといつたつて、これは縛れないのじやないかと思います。縛つても尚且つ山積する業務のためにそれが崩されるのじやないかと、こう私は思うのであります。  甚だくどいことを申上げてそうして質問しますので恐縮ですが、この點を一つ説明願いたいと思います。
  12. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 只今のお言葉の内、税務官吏の誠に愼重勞働について極めて御理解の深いお言葉に對しては、私も誠に感謝に堪えんところであります。それはお話通りでありまして、殊に不慣れの者が多いと言うような點から、先に申上げました通り納税者の方にも御迷惑をかけておることが尠くなくないということを認めるのであります。何にいたしましても、併し現下ひとり官廳ばかりでもございませんけれども、最も必要なことは一旦失われた秩序が若し壞わされたならば、これは實は非常に重大なことになるというふうに考えまするし、決してこの税務擔當者が非常に愼重勞働をしておるということを認めんわけではございません。それは十分認めますけれども、それでありますから、私はこの今囘の任に就きますと早々に、先に申上げましたように、先ず財務局長會議を開き、その前に全財の諸君とも直接會いまして、そうして全財の諸君のために特に待遇改善待遇とは二通の意味がございます。物質的待遇改善と身分上の待遇改善とがあります。それらのことにつきまして、政府が一方的に決めるのではなくて、十分協議して懇談して待遇改善をしたいというように、これは極めて早くそういうことを申請んでおるので、そうして一緒になつてよろしく、今の状態ではいけない、待遇改善のために努力するということで委員を擧げて行こうということを申請んでおるのでありますけれども、未だそれがうまく行かないというような状態の間に、今囘の一齊賜暇というようなことが決行されたのであります。時も時極めて大事な時にそういうことが行われたのであります。こらは國民の前に相當批判さるべきことであると思います。私は部下としての税務官吏に御同情深いお言葉を頂いて感謝に堪えんのでありますが、さればといつて秩序というものはやはり守つていかなければいかんのじやないか。かように考えております。これは全財のみではありません。今囘の官廳罷業權なき職員が行いました行爲に對しては、これは共通の問題として考えなければならん點である。お話のごとき點も十分考慮の中に加えることは勿論でございますけれども、單に只今同情に對してこれを有難くお受けすることは勿論でありますが、それだからといつて一應この秩序囘復のために努力しようと考えておる、そういう考えを捨てるというわけにも参りませんので、この點は一つ御了察を願いたい、かように思う次第であります。
  13. 池田恒雄

    池田恒雄君 大臣罷業權のない者の爭議行爲ということを言われたわけであります。これは全財だけの問題じやなく、他の官公勞働についても見られる共通の問題であると言われておるのであります。私は法律において、官廳非現業官吏はこれは罷業權がないと規定されておると、こういうふうに伺つておるのであります。法律にどういう規定があろうとも、私は今まで戰前において長く農民運動勞働運動に關係しまして、小作爭議勞働爭議に大分關係しました、そういう經験から養われた常識といたしましては、私は官廳における非現業官吏爭議をやるなんということは、これはないことであると考えておつたのであります。ところが最近非常にこれが行われておるわけであります。このことは、私は爭議權法律によつて規定されておるとか規定されていないとかいう法律上の解釋を離れまして、もつと何故に我々の常識ではストライキというものは存在しないような社會ストライキが今日存在するかというこのことを檢討しなければならんと思うのであります。その上に大體こおれをどういうふうに救濟すべきか、こういうふうに私は考えるのであります。單に法律の上に爭議權があるとかないとか言つたのでは、問題の所在は明瞭ではないのじやないかと思うのであります。殊に今日大問題になつているのは、この官公勞働關係爭議であり、且つその中に多數の大臣の言われるように爭議權のない人々の爭議行爲に近い行爲が行われておるものとするならば、もつと別に考え方策を示して頂かなければならんと私は思うのであります。その點を伺います。
  14. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 重ねて御答辯申上げます。只今全財を初めて官公職員の取つた態度に對して如何なる措置をするかということはまだここでは決つておりません。從つてこれにつきまして餘り深入りして論議いたしましては私とても御答辯しにくくなります。只今法律などによらず、法律ばかりのよらずという意味のお言葉がございましたが、これは一應法は法として法秩序というものは私は守らなければならんと思うのでありますが、同時に又一方實際勤勞状態というもんを見、生活状態を見て、待遇改善のことを逸早くこちらの方から申出て、これは普通の勞働問題勞働者側から要求がでるのでございますけれども、全財の場合は、大藏大臣たる私より全財については待遇一つもう少し向上しなければならんと自分は思う、それで兩者から擧げて委員を擧げて一つ大いに檢討しようじやないかということを申出たわけであります。もう一つ法のみによつてはならんというお言葉は私はこういうふうに考えたい。これは現在例えば池田さんは農民運動をおやりになつたと伺うのでありますが、農家などでは供出のために、随分いろいろな惡條件を克服して苦勞して納めて頂いてある、供米していただいておる、その上に相當輕かざる税も負擔して頂いておる、そういうふうな場合、その税を取扱う官廳で表を閉めて、ストライキではないかも知らんけれども、俺たち仕事はしないということを言つておるのは、相當に國民生活を可なりの程度に重く壓しておるというふうに考えられますが、税を國のために忍んで出しておる際に、そういうことが行われておるということは、これは我々としてはどうしても何かの措置を講じなければならんことを思うのであります。從つてこれがどういうふうに措置されるかということは、先程申上げました通り官公職員全體についての共通の問題でございますから、今ここでこれをどうする、これこれしかじかの措置をするというようなことを申上げる段階に達しておりませんので、それをここで申上げることはできませんのでありますが、只今のお言葉から考えまして、澤山税を取る所で何とかして、國民の間から租税完納税動が起つたりして、誠に重い税で、國民の側からは迷惑だけれども、國のためには納めんわけにはいかんのだというようなことで、國を憂える餘りに國民多數の方の間から租税完納税動が起つたりしておる際に、それを受ける態勢の税務署の方で今やつておるそういうような態度は誠に申譯ないことである。こういうふうに思つておる次第であります。その邊一つ御了承を願いたい、かように思う次第であります。
  15. 池田恒雄

    池田恒雄君 まあ法律が存在しておるのでありますから、これを私は今一人で否定いてつて始まらないのでありますが、一人で法律を否定しようと掛かつておるわけでもないのであります。それから又服役紀律を否定しようとしておるわけでもないのであります。ただ一つの問題は、そういう法律が現實に存在し、我々の今までの常識では、そういう爭議はあり得ないとかんがえておつた所に爭議が起つておるということが一つの問題なんであります。これはやはり法律が存在しても尚且つそういうことが起つておるのではありますから、而も起るという所にはいろいろな理由があるのでありますから、このことは假に法律があるからこうだということだけで秩序囘復は私は困難だと思います。從つてそこに一つの對策があらねばならない、こういうふうに私は政府に對して期待しておるわけであるます。  もう一つ税務職員について申しますと、官公勞全體の問題については、まだここでどう處置をするかという方策はないものだと、こう言われますから、それでもよろしいのでありますが、税務署の問題につきましては、官吏服務紀律によつてどうかされるというようなお話に私承つたのであります。ところが私は何遍も繰返しますように、官吏服務紀律によつて秩序囘復するということは、勿論必要なものでしようが、併し單にそれによつて秩序囘復し得るのだと私は考えられないのであります。なぜならば官吏服務紀律というものは今までもあつて、それに應じた紀律があつたわけなのであります。それが今日崩れておるというのは、私が申しましたような職員のああいう尊重勞働であります。それが存在するからであります。更に税務署待遇の問題とか、或いは機構が非常にまだ弱いというような問題につきましては、先程申しましたように、第一囘國會で特別の委員會まで設けてあつたのでありまして、我々はそれは十分承知しておるのであります。それは又我々としても、今後それを實現して頂くように、大臣にお願いして置かなければならないと思うことなのでありますが、それはそうといたしまして、今日ああいうふうに税務官吏の問題が沸騰して行つておるということは、私は、今日行われておるところの税務職員の尊重勞働という問題が大きい問題になつておると思うのであります。この尊重勞働から來るところのいろいろな問題は單に服務紀律をどうこういつたからと言つて、それで埒があくものではなかろうと思う。なぜなれば、服務紀律を如何にやかましく言いましても、納税者はどんどん押掛けて來るのであります。朝九時に出勤して、夜四時に歸ろうといつても、こういうことは紀律上いいことだと思いますが、そんなことは、税務署官吏諸君はできないのであります。晝食を食おうとしても行儀よく食えば、私は結構なことだと思うのでありますが、そんなことも恐らく税務署諸君はできないでしよう。朝から晩まで次から次にもたもたと人がたかつておるのでありますから、このこと自體は、私は官廳における單に官吏服務紀律というだけでなく、官吏の姿そのものを非常に變化させておる。こういうふうに思うのであります。併しどんなに強く官吏服務紀律を下に下ろしましても、この問題が解消しない限り、私はどうにもならないのではないかと思うであります。從つて、私が大臣に對して、お伺いしておる點は官吏服務紀律にどうこうというのじやなくて、尚且つそれによつて解決し得ないところの問題に對して、大臣がどういうふうに對策を講じられておるか。且つこれらは現在の問題でありまして、いわゆる恆久的な對策でなくて、現在の問題でありますから、それを現在の対策としてどういうふうに處置なさるか、それを伺いたいと思うのであります。
  16. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) ちよつとお斷りをいたします。今衆議院の本會議が始まりまして、私への質問が始まつているそうでありますから、簡單にお答えいたします。後で、他の機會にゆつくり伺いたいと思つております。  私は労働問題が法規で解決するとは思つておりません。それだけではいかんということは重々かんがえております。先ず以て待遇を改善しなければならない。勞働爭議が簡單に物好きやなんかで起つているとは考えておりません。それは質的な問題が主にあることは十分承知しておりますので、從つて待遇問題については一方的な點だけではいけないと言うので、全財の諸君と一緒になつて研究しようと申出たのはそのためでありまして、決して單なる法規だけで秩序が維持できると考えておりません。併しながら今のところ法秩序は、これは、これは守られなければならない。やはり今お話の中でそう思うのでございますが、自分のことを申上げて恐縮ですが、私も實は勞働基準法の適用を受けた場合に、今日初めて晝飯にパンを食べたのですが、この五、六日晝飯を食う時間がない。勞働愼重には閉口しているのであります。税務署諸君の忙しいことも非常に同情して、池田委員のおつしやることは十分理解できるのでありますが、それはそれとして、増員するために手配をし、その他政府としてあらゆる施策を講じているのであります。これを今の要員に對して何萬人かの人を募集したり、さつき申しましたように養成したり、いろいろやつておりますが、急場の間に合わない。現實は我々の考えと矛盾した惱みがあるのであります。これを放置して尊重勞働をやらせて、今の待遇で結構という程度にはかんがえておりませんことは、先程の答辯で大體御了解を得たと思うのであります。官吏服務紀律によつてどうするということは決まつておりませんが、そういう法秩序があるのだから。一應はそれに照らして考えることもあらねばならないと、かように考えているのであります。その程度で一應御了解承を願いたいのであります。
  17. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) この際主計局長から豫算に對する補足説明をお願いいたします。
  18. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 御審議の御便宜のために私から大臣説明に補足いたしまして御説明申上げます。お手許に差上げてありまする昭和二十三年度暫定豫算というのがありまするが、それによりまして御説明を進めたいと存じます。  第一頁にありますることは只今大臣から申上げたところでありますが、別表第一表に歳入の明細が掲げてあります。これは現在の税制、現在の専賣價格、その他現在の法規の下におきまして二十三年度全體の一應の見通しを立てまして、その十二分の一の金額を計上することにいたしたわけであります。尤もこの備考に書いてありまするが、多少それと違いまして、税金等の改訂をするものが出ているのでありまするが、たいしたことはないのであります。歳入第一表の最後の頁に價格差益納付金というのがあります。これは昭和二十二年度の豫算にも出て參つたのでありますが、昨年の七月に物價改訂をやり、それから一昨年の三月に物價改訂をやつたその際の價格差益の金額でありますが、これは昨年度の豫算におきまして説明した益よりは相當金額が殖えて參つたのであります。その殖えて参つた金額の二十三年どにおいて徴收する金額を揚げたわけであります。それからその中央に寶籖等發行者納付金というのがありますが、これは二十三年度において三十四億ばかりの寶籖を發行し得るという大體の見通しでありまして、その政府手取り額四四%の十二分の一の額を計上するというふうにいたしたのであります。歳入につきましては格別補足すべきものもないのであります。  第二表は、これは歳入出の豫算部分類に揚げたものでございまして、これを御覽下されば結構だと思います。  それから第三表は、その暫定豫算歳出だけを所管別に分類いたしたものであります。各所管別に分類したのであります。  それから第四表でありまするが、第四表は、これを重要事項別に分離いたしたのであります。第四表の重要事項別の分類によりまして、歳出内容を若干補足説明いたしたいと思います。  先ず終戰處理費ですが、終戰處理費は、昨年度は六百四十二億七千三百萬圓でありまするが、これは昨年度の當初豫算が二百七十億となつていたのを補正予算におきまして、かように増額いたしたのであります。その補正豫算成立後の一月の大體の見込額は八十億圓であります。八十億圓の内約半分が進駐軍兵舎、或いは進駐軍の宿舎、飛行場、道路等の維持管理の經費であります。いわゆる經常費でありますそれから、殘りの半分の四十億というものが建設費、即ち宿舎でありますとか、兵舎、道路、飛行場等の建設に要する經費というわけでございます。來年度は一體どうなるかというわけであります。來年度におきましては、この維持管理の經費は前の通り四〇億圓が暫定豫算として、大體半分くらい計上して置こうというところで、五十九億、約六十億であります。かような數字を計上したわけであります。  それから賠償施設處理費、昨年度は三十六億のものを今度暫定では、三千六百萬圓を計上したのでありまするが、只今のところ、大體四月分といたしましては、昭和二十二年度の見込額の大體一ヶ月分を計上すればよかろうかという賠償問題全體からの考慮からこの金額を計上いたしたわけであります。昨年度におきましては、軍工廠の十七工場を撤去し、トン數にいたしまして、六萬トンを撤去するという豫定であつたのでありまするが、實行問題といたしましては、十七工場、五萬二千トン撤去したということが大體の實積であります。  それから次に、價格調整費であります。前年度の二百三十八億餘圓の中には、いわゆる安定帶物資に關係するものが百七十億圓ありまして、その他が食糧等であります。食糧におきましては、只今四月といたしましては、十五億圓を計上いたしまして、主としてこれを安定帶物資に振向ける、從來の引續きの經費といたしてあるわけであります。  それから物資及び物價調整費、これは物資の割當事務と、それから公圓における必要經費をここに計上いたしておるわけでありますが、この經費は昨年度、二十二年度中におきまして、相當公圓の數が殖えて參つたのであります。四月の内譯といたしましては、二十四億四千萬圓の二十二年度に比べますと相當な増額となつておりまするが、内容的に變つたところがなかつたのであります。  それから公共事業費、百四十七億四千六百萬圓の前年度額に對しまして、二十三年度暫定十一億七千九百萬圓、この中災害關係の經費が四億六千九百萬圓、一般の建設關係が六億七千六百萬圓を計上いたしておるわけであります。尤もこの災害というのは、昨年度の夏の水害、それからその他の災害にして二十三年度にこれを復舊するために必要な經費でありまして、先般來災害費問題として問題になつておるところの、二十二年度の不足額というのは、これに計上いたしてありません。それから一般建築の六億七千六百萬圓の中におきましては、いわゆる六・三制の關係でもありまして、二十二年度の不足分といわれておるところの六億四千萬圓、これ亦これに計上していないのであります。それ以外の經費だけを計上いたしております。  次が地方分與税分與金でありまするが、これは前年度百九十七億餘圓でありまするが、暫定では二十四億圓を計上いたしております。これは、地方分與税分與金は只今政府において中央地方を通じて財政の調整ということを計畫中でありまして、早晩具體的計算ができるのであります。その計畫ができますると、分與税分與金につきましても大幅の異動があることが豫想されるのでありまするが、そのことがまだ未決定なる今日においては、二十三年度の地方財政の歳入歳出總額を千四百萬圓と概定いたいしまして、その千四百萬圓の中二十二年度において分與税が總歳出に占めた比率、即ち百分の二十一という金額をここに計上いたしたわけであります。それから地方警察費國庫負擔金についても、地方分與税分與金と同様の關係があるのでありまして、中央地方を通ずる財政の調整の結果これ亦相當の異動を生ずる見込みであります。この暫定豫算は七億圓を計上いたしましたのでありますが、これは前年度の不足額百三十億ありまするその半額を計上いたしたわけであります。  次に、住宅復興資材費でありますが、これは前年七億、暫定一億三十五萬二千圓であります。この暫定の金額は二十二年度計畫、即ち四萬四千戸の庶民住宅の建設に要する二十三年度の金額の十二分の一を差當り計上したわけでありまして、この建設計畫それ自體につきましては、本豫算において十分檢討いたしたいと考えているのであります。  次に、政府出資金でありますが、二十億百十三萬二千圓、この中十五億圓は復興金融金庫に對する政府出資金であります。復興金融金庫につきましては四月中に十五億圓の債券償還は政府出資によりこれを行うという從來の建前を踏襲してこの金額を計上いたしました。それから殘りのこの五億圓、これは閉鎖機關、即ち南發でありまするとか、産業設備勞團であるますとか、或いは外資金庫、開拓勞團、交易勞團、更正金庫、日炭などの閉鎖機關の整理が進行いたしまして、この整理を完結せしめるために政府拂込みを實行せしむるものが大部分でありまして、四億四千六百萬圓あります。その他日本銀行に對する出資五千五百萬圓、それから皇室から財産税として引繼いだ皇室財産、三菱重工業の株でありまするが、これが十八萬七千圓、とういのが内容になつております。それから國債費國債費は四月に期限の到來する國債の利拂い八千七百圓、というのが内容になつております。それから同じく借入金の利拂いが五千九百萬圓、それから大藏省證券の割引料が六千八百萬圓、それから事務費が十萬圓というのが、この暫定豫算の範團においての内譯となつているわけであります。  次に損害保險その他補償金でありますが、これは三億圓を暫定として計上いたしたわけであります。損害保險その他補償金と申しますのは、戰爭中に戦爭死亡傷害保險というものと、それから戰時特殊損害保險という二つの保險制度を始めまして、戰爭による被害を保險する。これは會社において相當の損害を生ずるのでありますが、その損害は政府において補填するということになつたのであります。その會社の損害は生命保險におきましては十億九千五百萬圓、損害保險におきましては二百三十八億二千萬圓、合計して二百四十九億千五百萬圓ということになつておるのであります。その内二百十億圓が二十一年度の豫算におきまして、すでに御審議を經ておるわけであります。それから二十二年度の豫備費より五千萬圓を支出いたしまして、只今殘額は三十八億六千五百萬圓と相成つております。その内三億圓をここに計上いたしたわけであります。  次に、同胞引揚費、これは只今在外同胞が軍人五十萬四千人、一般人二十五萬三千人に上つておるのであります。この内すべての同胞が本年度中に引揚げるということといたしまして、この四月中に要する分をここに計上いたしたわけであります。それから歸還輸送費という、ここにある四千萬圓は、これはその輸送のために必要な經費の四月分を計上いたしたわけであります。  それから小學校教員給與國庫負擔金、これは前年度三十九億千二百萬圓に對しまして暫定は二十二億四千六百萬圓、これは二十二年度の豫算の實行過程におきまして當初豫算で見たよりは實は教員の給料がよかつたということに基きまして相當の不足額を生じたのであります。その金額が九億圓、この二十二億四千六百萬圓の内には含まれておるわけであります。殘額の十二億餘萬圓というものは從來通りの養務教育費國庫負擔金の第一四半期分、即ち三ヶ月分を計上いたしたわけであります。これは他の經費と違いまして十二分の一ではなく、四分の一の金額を計上いたしておるわけであります。ということは四月中に第一四半期分交付するということになつておる關係であります。  次に、新制中學校教員、教員給與國庫負擔金でありますが、これは暫定は六億千六百餘萬圓、この内には二十二年度の不足分が一億圓入つている。從いまして五億九千六百萬圓というものが二十三年度の分に屬するのであります。  次は、盲聾唖教育義務制實施費でありますが、これは他のここに掲げてある諸經費と違いまして、新規事項であります、即ち盲聾唖の者に對しましては二十三年度より義務制を試行しようというために、その第一學年に要する教員三百三十三人分の給料等をここに計上いたわけであります。百三十九萬圓という僅かな金額に過ぎませんが、人道上の見地からこらは是非暫定豫算でありますが、時期の關係上ここに計上いたしたいと、かような考えを取つたわけであります。  次は、生活保護費でありますが、これは五億六千四百萬圓、大體前年度の生活保護實施の經費等をここに計上いたしたわけであります。これは變つた内容のことは大してございません。  それから次の國民健康保險關係の經費でありまするが、六千餘萬圓を計上いたります。これ亦國民健康保險組合においてやつておるところの直營診療所の設置等の補助金を計上したものでありまして、前年度の引續きの専業であります。  次に、失業保險費でありますが、失業保險は昨年の十一月から始まつた制度でありまして、初めの六ヶ月間は手當であつて、七ヶ月目からいよいよ保險制度に移るわけであります。初めの六ヶ月間手當でありますから、十一月からはじまりました關係上、五月から保險制度となるわけであります。從いまして四月といたしましては、手當の制度がまだ續くというのであります。昨年度の豫算におきましては十億圓の金額を計上いたしましたので、實行上は殆どこの金が出るということがないのであります。從いまして五億圓の節約をすでに豫算上いたした結果、ここは五億圓という殘額が計上されておるわけであります。尚、更にこの金額についましては、實行上相當額の不要金が出て來るというふうな状況況であります。二十三年度におきましては、一應二十二年度と同じ計算によりまして、その一ヶ月分を計上いたしたのでありますが、これ亦實行上は相當の不要額が出るのじやないかというように考えております。  次に農地改革でありますが、農地改革はこの實體の仕事は自作農創設特別會計におきましてやるのであります。即ち農地を買收し、これを賣拂うという仕事でありますが、これは自作農創設特別會計の方で出ておるのであります。一般會計といたしましては、さような農地改革の實行のための機關であるところの農地委員會、これに對しましてその經費を補給するというための經費であります。これが暫定豫算として六億千八百萬圓の計上であります。  次に、貿易資金特別會計へ繰入でありますが、これは四百三十六萬六千圓、貿易資金に要するところの事務費を一般會計において負擔するという法律規定になつております。  次に貿易資金繰入、前年度は九億五千萬圓となつております。併しながらこの九億五千萬圓というのは實際上はこれに對しまして、昨年秋の暫定豫算費におきまして五十五億圓の追加をいたしましたのであります。ところが追加をいたした後の貿易資金の状況を見ますると、貿易は輸出が思つたように振興しないという關係上、貿易資金の赤字というものがないのであります。從いまして五十五億圓という追加額は、先般御承知通り官吏給與の財源としてこれを全部減額いたしまして、元の金額、即ち九億五千萬圓、これが現在の殘つておる状況でございます。二十三年度におきましては、今年の下期の状況が大體續く模様でありまりて、貿易資金は赤字が出ない、黒字が出て來る状況でありまして、ここには繰入れを要せざることに考えたのであります。  次に、炭鑛国家管理費でありまするが、前年度即ち二十二年度におきましては炭鑛国家管理の準備費を計上いたしたわけであります。併しながら四月からいよいよ炭鑛国家管理というものが實施されるということになるのでありまして、管理の中核體であるところの炭鑛管理委員會、その他石炭局の、このいろいろな機構等に要する經費をこの分計上いたしたわけであります。  それから次に、政府事業再建費、前年は百六十四億餘萬圓となつておりますが、これは御承知通り先般の豫算におきまして、國有鐵道、通信事業、簡易保險、郵便年金等預金部に繰入をいたしておりますが、暫定豫算、即ち本年の四月の見通しといたしましては、預金部だけに繰入れをいたせばよろしいと、勿論鐵道、通信等におきまして赤字が出て來るのでありまするが、これは本豫算の際に十分この均衡化を圖るということにいたしまして、この赤字を消す。差當り四月の赤字は借入金でいくという建前を以ちまして、繰入れを要せざることにいたしておるのでありまして、ただ預金部だけの繰入れ一億三千二百十一萬四千圓だけをここに計上いたしておるのであります。これにつきましては、別途法律案をお願いいたしております。  次に、船舶運營會補助、これは四億五千萬圓となつておりまするが、これにつきましても、本豫算におきましては、收支均衡の建前に基きまして、相當の檢討をいたしておるのであります。併しながら料金の改正、即ち船運賃の改正につきまして未だ成案を得ざる四月の段階といたしましては、赤字は、これは一般會計から繰り入れるということにいたしたいので、四月の赤字の分四億五千萬圓を一般會計から繰入れることにいたしておるのであります。年金及び恩給は、四月に支拂いを要する見込額でございます。刑務費、これは刑務所收容人員に應ずる四月中の所要額であります。それから預備費といたしまして、議會休會等の際における措置を辯じたいと、かような見地から一億圓を計上いたしたいわけであります。  以上は重要なる事項を摘出いたしましたのでありまするが、その他雜件といたしまして、格所管別の金額を揚げておるのであります。すべての經費を通じまして、先程申上げました通り、給與は二千九百二十圓ベース、物件費の單價は豫算單價、即ち昨年の秋の豫算におきまして補正いたしましたところの單價よつておるわけであります。それから新規の事項は、先程まで御説明いたしました中では、盲聾唖教育義務制實施、これが新規であります。その他は殆ど大したことはないのでありまするが、申上げますると内閣所管におきまして、治水ということが非常な重要な問題となつて來たというので、治水の調査をいたしたいというので、治水調査會というものを設けます。僅かに四月分一萬圓であります。それから大藏省所管におきまして、五億五千四百萬圓の内、金資金特別會計繰入という一億圓が含まれております。これはどういうことかと申しますと、あらゆる日本國内の税金は、金資金特別會計において一應買上げまして、そうしてこれを所要の用途に配分するわけでございます。ところが買いましてから賣出すにつきましては、進駐軍當局の許可を要するのであります。從いまして、相當の時間がここにかかつておる。從いまして、運轉資金的な性質の金が寝るわけでありまして、その寝る金の所要金額を一般會計から繰入れるという建前といたしたのであります。本件といたしましては、金資金特別會計に繰入れるという法立案を御審議願う豫定であります。  それから農林省所管におきまして、家畜の飼料であります。家畜の飼料となる作物の原種を改良したいという意味合におきまして、その模範の畑を作るわけであります。その畑に要する經費というので、三十四萬九千圓という金額を計上したので、これ亦新規の事項であります。それから世界的の規模において一九五〇年に農業センサスというものがあるのでありますが、その日本國内における調査費といたしまして七萬九千圓、それから農業協同組合の指導監督費として十萬六千圓、この金額が農林省所管の中に含まれております。只今申上げました盲聾唖の關係、それから治水調査會、金資金、飼料作物の原種改良補助、世界的農業センサス、農業協同組合指導監督、これだけが新規な事項でありまして、あとは全部二十二年度の豫算の引繼ぎであります。即ち二十二年度の豫算が十二ヵ月分でありますから、それが十三ヶ月分に延びたというような性質に相成つておるのであります。  それから次に特別會計でありまするが、特別會計におきましては、大體一般會計に準じて作成されておるのでありまして、格別申上げるようなこともないのでありまするが、ただ通信事業、鐵道、この兩會計におきまして、歳入歳出を御覽願いますると、相當のアンバランスになつておるのであります。本豫算は目下鋭意進行中でありまするが、この本豫算におきまして、料金の問題等を檢討いたしまして、この借入金の始末をつけるという建前を採つて、一時借入金をここに出すということにいたしておるのであります。  以上大體申上げたのでありまするが、尚一般會計におきましては、歳入歳出二百四十五億九千萬圓というふうになつております。ところが實際のこの歳入は、只今の見通しといたしましては百三十億圓ぐらいしかないのであります。百二十億圓近くというものが歳入不足と相成るわけであります。この歳入不足と相成る金額につきましては、大藏省證券を發行いたしまして、實際上これを繋ぐという措置を取る豫定といたしておるのであります。大體概要を御説明申上げますると以上の通りであります。
  19. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 大藏大臣に對する御質疑は明日にお願いいたしまして、事務當局に對する御質疑がありますれば、この際質疑をお願いいたしたいと存じます。
  20. 服部教一

    ○服部教一君 ちよつとお尋ねいたしたいのですが、昨年たびたび當局大臣なり、また當局者の方に、近畿地方の灌漑補助についてお願いをいたしたのでありまするが、あれはどういうふうになつておりますか、ちよつとお伺いいたします。
  21. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 速記を止めて下さい。
  22. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。 (速記中止)
  23. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  24. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 只今の局長の御説明の中に、大分間違いがあるかと思うのです。六・三制の豫算のことにつきまして、最初は豫算がないと言つてつた。ところがそのあとになつてからは、大藏當局は、豫算はあるが資材がない。その後になつて資材の方はなんとか融送付くようになつたが、又豫算がない。しばしばこういうことを繰返しておられる。政府當局がこれは明らかに委員會においても言つておられる。それを今になつて資材の面と豫算の面がないというようなことをここで言われるとはおかしいじやないか、或る時には豫算がない。資材さへあれば何時でも出す、或る時は、今度豫算はできたけれども資材の方で駄目だ、そう言つて延ばし延ばしし、結局はとにかく二十二年度の豫算のなかには必ず出すということを、前總理大臣初め現在の内閣諸公の中におられる文部大臣、或いは安本に行かれたところの厖大藏大臣が明らかに明言しておられる。そうして先程何か了解がないのにやつた、そつちの方で勝手にやつてこつちの方に持つて來るのじやないか、これは政府の方で必ずやるのだからということを言つてつた。だから國民としては必ずやつてくれるものだという建前でやつておるのであるから、決して勝手にやつて押しつけた物ではないと思います。結局それは政府及びその事務当局の責任の問題になりはしないかと思うのであります。それを今になつてこんなようないい加減なことで責任を外の持つて行くというやり方は、どうかと思う。その點今一度明らかにはつきりとお答え願いたい。
  25. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて。 (速記中止)
  26. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  27. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 六・三制の問題については大臣が御出席のところで伺うことにいたします。先程の御説明の中にあります第四表の五番目の公共事業費は、四億幾らが災害費で、六億幾らが建設費というのでありますが、その災害費、建設費というものの内容はどんなものになるか、細かい話でよく存じませんのでお聽かせ願いたいと思います。  それから六番目の地方分與税の分與金でありますが、こうしたものは毎月月賦にして今まで出しておるのか、それとも纒て出しておるのか、その點を一應お聽きしたいと思います。
  28. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 先ず公共事業費でありまするが、公共事業費一般の分と申しました六億七千六百萬圓、この内譯は河川關係、砂防關係、農業關係、山林、水産、道路、港灣、刑務所、裁判所の營繕費、學校の修繕等の經費、それから官廳の營繕費、都市計畫費、それから勞働省、厚生省、商工省で極く僅かな經費がありまするが、さようなことでこの六億七千六百萬圓というふうになつておるのであります。  それから災害關係の方では河川の復舊、それから農業關係の復舊、それから山林、水産、それから港灣、學校と、それから厚生省關係で極く僅かなものではありますが、大體ようなことで大掴みに申上げますとこうなつているのであります。尚必要がありますれば詳細に申上げます。  それから地方分與税は従来の慣例といたしましては、四半期毎にこれを支給するというふうなことにいたしておりますが、こらは、地方財政の資金繰り等の關係から、その支給の時期は繰り上げたり繰り下げたり、さようにいたしていりますが、四半期毎にするのが通例であります。
  29. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 そういたしますと災害というような面におきましてのものは、先程來服部委員からも御質問になりました前年度の災害の中の急を要するものがこの中に含まれても差支えないように思うのでありますが、その點如何なものか、それが一つと、四半期毎にやるものとすれば、四月分として擧げるのはどういうものか、その點を一つ伺いたいと思います。
  30. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) お説の通り二十三年度の四月分として計上した公共事業費は、これは實行上におきましては、急ものからこれをやりたいというふうにいたしてよろしいわけでございます。それから分與税は、四月分を區切つて出しましたのですが、これは豫算が一ヶ月分に區切られた關係上、豫算も一ヶ月分に區切つたわけであります。一ヶ月分を差當り急いで渡す、かように考えております。
  31. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 一ヶ月分を渡すのでありますか。
  32. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) そうであります。
  33. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) この際お願いをいたします。次囘に御質疑をなさいます方の御通告を明日の會議までにお願いいたしますと共に、出席を求めます大臣若しくは政府委員の方のお申出を願いたいと存じます。  明日午後二時から次囘は開きたいと存じます。本日はこれにて散會をいたします。    午後四時五分散會  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八朗君            西郷吉之助君            中西  功君    委員            岡田 宗司君            小串 清一君            佐藤 義詮君            伊東 隆治君            大島 定吉君            木内 四郎君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            岡本 愛祐君            島津 忠彦君            島村 軍次君            鈴木 直人君            高田  寛君            服部 教一君            東浦 庄治君            姫井 伊介君            渡邊 甚吉君            池田 恒雄君            藤田 芳雄君   國務大臣    大 藏 大 臣 北村徳太郎君   政府委員    大藏事務官    (主計局長)  福田 赳夫君    大藏事務官    (主計局次長) 河野 一之君