○
政府委員(福田赳夫君) 御
審議の御便宜のために私から
大臣の
説明に補足いたしまして御
説明申上げます。お手許に差上げてありまする
昭和二十三年度
暫定豫算というのがありまするが、それによりまして御
説明を進めたいと存じます。
第一頁にありますることは
只今大臣から申上げたところでありますが、別表第一表に
歳入の明細が掲げてあります。これは現在の税制、現在の専賣價格、その他現在の法規の下におきまして二十三年度全體の一應の見通しを立てまして、その十二分の一の金額を計上することにいたしたわけであります。尤もこの備考に書いてありまするが、多少それと違いまして、
税金等の改訂をするものが出ているのでありまするが、たいしたことはないのであります。
歳入第一表の最後の頁に
價格差益納付金というのがあります。これは
昭和二十二年度の
豫算にも出て參
つたのでありますが、昨年の七月に物價改訂をやり、それから一昨年の三月に物價改訂をや
つたその際の價格差益の金額でありますが、これは昨年度の
豫算におきまして
説明した益よりは相當金額が殖えて參
つたのであります。その殖えて参
つた金額の二十三年どにおいて
徴收する金額を揚げたわけであります。それからその中央に寶籖等發行者納付金というのがありますが、これは二十三年度において三十四億ばかりの寶籖を發行し得るという大體の見通しでありまして、その
政府手取り額四四%の十二分の一の額を計上するというふうにいたしたのであります。
歳入につきましては格別補足すべきものもないのであります。
第二表は、これは
歳入出の
豫算部分類に揚げたものでございまして、これを御覽下されば結構だと思います。
それから第三表は、その
暫定豫算の
歳出だけを所管別に分類いたしたものであります。各所管別に分類したのであります。
それから第四表でありまするが、第四表は、これを重要事項別に分離いたしたのであります。第四表の重要事項別の分類によりまして、
歳出の
内容を若干補足
説明いたしたいと思います。
先ず
終戰處理費ですが、
終戰處理費は、昨年度は六百四十二億七千三百
萬圓でありまするが、これは昨年度の當初
豫算が二百七十億とな
つていたのを補正予算におきまして、かように増額いたしたのであります。その補正
豫算成立後の一月の大體の見込額は八十億圓であります。八十億圓の内約半分が進駐軍兵舎、或いは進駐軍の宿舎、飛行場、道路等の維持管理の
經費であります。いわゆる經常費でありますそれから、殘りの半分の四十億というものが建設費、即ち宿舎でありますとか、兵舎、道路、飛行場等の建設に要する
經費というわけでございます。來年度は一體どうなるかというわけであります。來年度におきましては、この維持管理の
經費は前の
通り四〇億圓が
暫定豫算として、大體半分くらい計上して置こうというところで、五十九億、約六十億であります。かような數字を計上したわけであります。
それから
賠償施設處理費、昨年度は三十六億のものを今度暫定では、三千六百
萬圓を計上したのでありまするが、
只今のところ、大體四月分といたしましては、
昭和二十二年度の見込額の大體一ヶ月分を計上すればよかろうかという賠償問題全體からの考慮からこの金額を計上いたしたわけであります。昨年度におきましては、軍工廠の十七工場を撤去し、トン數にいたしまして、六萬トンを撤去するという豫定であ
つたのでありまするが、實行問題といたしましては、十七工場、五萬二千トン撤去したということが大體の實積であります。
それから次に、
價格調整費であります。前年度の二百三十八億
餘圓の中には、いわゆる安定帶物資に關係するものが百七十億圓ありまして、その他が食糧等であります。食糧におきましては、
只今四月といたしましては、十五億圓を計上いたしまして、主としてこれを安定帶物資に振向ける、從來の引續きの
經費といたしてあるわけであります。
それから物資及び物價調整費、これは物資の割當事務と、それから公圓における必要
經費をここに計上いたしておるわけでありますが、この
經費は昨年度、二十二年度中におきまして、相當公圓の數が殖えて參
つたのであります。四月の内譯といたしましては、二十四億四千
萬圓の二十二年度に比べますと相當な増額とな
つておりまするが、
内容的に變
つたところがなか
つたのであります。
それから
公共事業費、百四十七億四千六百
萬圓の前年度額に對しまして、二十三年度暫定十一億七千九百
萬圓、この中災害關係の
經費が四億六千九百
萬圓、一般の建設關係が六億七千六百
萬圓を計上いたしておるわけであります。尤もこの災害というのは、昨年度の夏の水害、それからその他の災害にして二十三年度にこれを復舊するために必要な
經費でありまして、先般來災害費問題として問題にな
つておるところの、二十二年度の不足額というのは、これに計上いたしてありません。それから一般建築の六億七千六百
萬圓の中におきましては、いわゆる六・三制の關係でもありまして、二十二年度の不足分といわれておるところの六億四千
萬圓、これ亦これに計上していないのであります。それ以外の
經費だけを計上いたしております。
次が
地方分與税分與金でありまするが、これは前年度百九十七億
餘圓でありまするが、暫定では二十四億圓を計上いたしております。これは、
地方分與税分與金は
只今政府において中央
地方を通じて財政の調整ということを計畫中でありまして、早晩具體的計算ができるのであります。その計畫ができますると、分與税分與金につきましても大幅の異動があることが豫想されるのでありまするが、そのことがまだ未
決定なる今日においては、二十三年度の
地方財政の
歳入、
歳出總額を千四百
萬圓と概定いたいしまして、その千四百
萬圓の中二十二年度において分與税が總
歳出に占めた比率、即ち百分の二十一という金額をここに計上いたしたわけであります。それから
地方警察費國庫負擔金についても、
地方分與税分與金と同様の關係があるのでありまして、中央
地方を通ずる財政の調整の結果これ亦相當の異動を生ずる見込みであります。この
暫定豫算は七億圓を計上いたしましたのでありますが、これは前年度の不足額百三十億ありまするその半額を計上いたしたわけであります。
次に、住宅復興資材費でありますが、これは前年七億、暫定一億三十五萬二千圓であります。この暫定の金額は二十二年度計畫、即ち四萬四千戸の庶民住宅の建設に要する二十三年度の金額の十二分の一を
差當り計上したわけでありまして、この建設計畫それ自體につきましては、本
豫算において十分檢討いたしたいと
考えているのであります。
次に、
政府出資金でありますが、二十億百十三萬二千圓、この中十五億圓は復興金融金庫に對する
政府出資金であります。復興金融金庫につきましては四月中に十五億圓の債券償還は
政府出資によりこれを行うという從來の建前を踏襲してこの金額を計上いたしました。それから殘りのこの五億圓、これは閉鎖機關、即ち南發でありまするとか、産業設備勞團であるますとか、或いは外資金庫、開拓勞團、交易勞團、更正金庫、日炭などの閉鎖機關の整理が進行いたしまして、この整理を完結せしめるために
政府拂込みを實行せしむるものが大部分でありまして、四億四千六百
萬圓あります。その他
日本銀行に對する出資五千五百
萬圓、それから皇室から財産税として引繼いだ皇室財産、三菱重工業の株でありまするが、これが十八萬七千圓、とういのが
内容にな
つております。それから
國債費、
國債費は四月に期限の到來する國債の利拂い八千七百圓、というのが
内容にな
つております。それから同じく
借入金の利拂いが五千九百
萬圓、それから
大藏省證券の割引料が六千八百
萬圓、それから事務費が十
萬圓というのが、この
暫定豫算の範團においての内譯とな
つているわけであります。
次に損害保險その他補償金でありますが、これは三億圓を暫定として計上いたしたわけであります。損害保險その他補償金と申しますのは、戰爭中に戦爭死亡傷害保險というものと、それから戰時特殊損害保險という二つの保險制度を始めまして、戰爭による被害を保險する。これは會社において相當の損害を生ずるのでありますが、その損害は
政府において補填するということにな
つたのであります。その會社の損害は生命保險におきましては十億九千五百
萬圓、損害保險におきましては二百三十八億二千
萬圓、合計して二百四十九億千五百
萬圓ということにな
つておるのであります。その内二百十億圓が二十一年度の
豫算におきまして、すでに御
審議を經ておるわけであります。それから二十二年度の豫備費より五千
萬圓を支出いたしまして、
只今殘額は三十八億六千五百
萬圓と相成
つております。その内三億圓をここに計上いたしたわけであります。
次に、同胞引揚費、これは
只今在外同胞が軍人五十萬四千人、一般人二十五萬三千人に上
つておるのであります。この内すべての同胞が本年度中に引揚げるということといたしまして、この四月中に要する分をここに計上いたしたわけであります。それから歸還輸送費という、ここにある四千
萬圓は、これはその輸送のために必要な
經費の四月分を計上いたしたわけであります。
それから小學校教員給與國庫負擔金、これは前年度三十九億千二百
萬圓に對しまして暫定は二十二億四千六百
萬圓、これは二十二年度の
豫算の實行過程におきまして當初
豫算で見たよりは實は教員の給料がよか
つたということに基きまして相當の不足額を生じたのであります。その金額が九億圓、この二十二億四千六百
萬圓の内には含まれておるわけであります。殘額の十二億
餘萬圓というものは從來
通りの養務
教育費國庫負擔金の第一四半期分、即ち三ヶ月分を計上いたしたわけであります。これは他の
經費と違いまして十二分の一ではなく、四分の一の金額を計上いたしておるわけであります。ということは四月中に第一四半期分交付するということにな
つておる關係であります。
次に、新制中學校教員、教員給與國庫負擔金でありますが、これは暫定は六億千六百
餘萬圓、この内には二十二年度の不足分が一億圓入
つている。從いまして五億九千六百
萬圓というものが二十三年度の分に屬するのであります。
次は、盲聾唖
教育義務制實施費でありますが、これは他のここに掲げてある諸
經費と違いまして、新規事項であります、即ち盲聾唖の者に對しましては二十三年度より義務制を試行しようというために、その第一學年に要する教員三百三十三人分の給料等をここに計上いたわけであります。百三十九
萬圓という僅かな金額に過ぎませんが、人道上の見地からこらは是非
暫定豫算でありますが、時期の關係上ここに計上いたしたいと、かような
考えを取
つたわけであります。
次は、
生活保護費でありますが、これは五億六千四百
萬圓、大體前年度の
生活保護實施の
經費等をここに計上いたしたわけであります。これは變
つた内容のことは大してございません。
それから次の
國民健康保險關係の
經費でありまするが、六千
餘萬圓を計上いたります。これ亦
國民健康保險組合においてや
つておるところの直營診療所の設置等の補助金を計上したものでありまして、前年度の引續きの専業であります。
次に、失業保險費でありますが、失業保險は昨年の十一月から始ま
つた制度でありまして、初めの六ヶ月間は手當であ
つて、七ヶ月目からいよいよ保險制度に移るわけであります。初めの六ヶ月間手當でありますから、十一月からはじまりました關係上、五月から保險制度となるわけであります。從いまして四月といたしましては、手當の制度がまだ續くというのであります。昨年度の
豫算におきましては十億圓の金額を計上いたしましたので、實行上は殆どこの金が出るということがないのであります。從いまして五億圓の節約をすでに
豫算上いたした結果、ここは五億圓という殘額が計上されておるわけであります。尚、更にこの金額についましては、實行上相當額の不要金が出て來るというふうな
状況況であります。二十三年度におきましては、一應二十二年度と同じ計算によりまして、その一ヶ月分を計上いたしたのでありますが、これ亦實行上は相當の不要額が出るのじやないかというように
考えております。
次に農地改革でありますが、農地改革はこの實體の
仕事は自作農創設
特別會計におきましてやるのであります。即ち農地を買收し、これを賣拂うという
仕事でありますが、これは自作農創設
特別會計の方で出ておるのであります。一
般會計といたしましては、さような農地改革の實行のための機關であるところの農地
委員會、これに對しましてその
經費を補給するというための
經費であります。これが
暫定豫算として六億千八百
萬圓の計上であります。
次に、貿易資金
特別會計へ繰入でありますが、これは四百三十六萬六千圓、貿易資金に要するところの事務費を一
般會計において負擔するという
法律の
規定にな
つております。
次に貿易資金繰入、前年度は九億五千
萬圓とな
つております。併しながらこの九億五千
萬圓というのは
實際上はこれに對しまして、昨年秋の
暫定豫算費におきまして五十五億圓の追加をいたしましたのであります。ところが追加をいたした後の貿易資金の
状況を見ますると、貿易は輸出が思
つたように振興しないという關係上、貿易資金の赤字というものがないのであります。從いまして五十五億圓という追加額は、先般御
承知の
通り、
官吏給與の財源としてこれを全部減額いたしまして、元の金額、即ち九億五千
萬圓、これが現在の殘
つておる
状況でございます。二十三年度におきましては、今年の下期の
状況が大體續く模様でありまりて、貿易資金は赤字が出ない、黒字が出て來る
状況でありまして、ここには繰入れを要せざることに
考えたのであります。
次に、炭鑛国家管理費でありまするが、前年度即ち二十二年度におきましては炭鑛国家管理の準備費を計上いたしたわけであります。併しながら四月からいよいよ炭鑛国家管理というものが實施されるということになるのでありまして、管理の中核體であるところの炭鑛管理
委員會、その他石炭局の、このいろいろな機構等に要する
經費をこの分計上いたしたわけであります。
それから次に、
政府事業再建費、前年は百六十四億
餘萬圓とな
つておりますが、これは御
承知の
通り先般の
豫算におきまして、國有鐵道、
通信事業、簡易保險、郵便年金等預金部に繰入をいたしておりますが、
暫定豫算、即ち本年の四月の見通しといたしましては、預金部だけに繰入れをいたせばよろしいと、勿論鐵道、通信等におきまして赤字が出て來るのでありまするが、これは本
豫算の際に十分この均衡化を圖るということにいたしまして、この赤字を消す。
差當り四月の赤字は
借入金でいくという建前を以ちまして、繰入れを要せざることにいたしておるのでありまして、ただ預金部だけの繰入れ一億三千二百十一萬四千圓だけをここに計上いたしておるのであります。これにつきましては、別途
法律案をお願いいたしております。
次に、
船舶運營會補助、これは四億五千
萬圓とな
つておりまするが、これにつきましても、本
豫算におきましては、
收支均衡の建前に基きまして、相當の檢討をいたしておるのであります。併しながら料金の改正、即ち船運賃の改正につきまして未だ成案を得ざる四月の
段階といたしましては、赤字は、これは一
般會計から繰り入れるということにいたしたいので、四月の赤字の分四億五千
萬圓を一
般會計から繰入れることにいたしておるのであります。年金及び恩給は、四月に支拂いを要する見込額でございます。刑務費、これは刑務所收容人員に
應ずる四月中の所要額であります。それから預備費といたしまして、議會休會等の際における
措置を辯じたいと、かような見地から一億圓を計上いたしたいわけであります。
以上は重要なる事項を摘出いたしましたのでありまするが、その他雜件といたしまして、格所管別の金額を揚げておるのであります。すべての
經費を通じまして、先程申上げました
通り、給與は二千九百二十圓ベース、物件費の單價は
豫算單價、即ち昨年の秋の
豫算におきまして補正いたしましたところの單價よ
つておるわけであります。それから新規の事項は、先程まで御
説明いたしました中では、盲聾唖
教育義務制實施、これが新規であります。その他は殆ど大したことはないのでありまするが、申上げますると内閣所管におきまして、治水ということが非常な重要な問題とな
つて來たというので、治水の調査をいたしたいというので、治水調査會というものを設けます。僅かに四月分一
萬圓であります。それから大藏省所管におきまして、五億五千四百
萬圓の内、金資金
特別會計繰入という一億圓が含まれております。これはどういうことかと申しますと、あらゆる日本國内の
税金は、金資金
特別會計において一應買上げまして、そうしてこれを所要の用途に配分するわけでございます。ところが買いましてから賣出すにつきましては、進駐軍當局の許可を要するのであります。從いまして、相當の時間がここにかか
つておる。從いまして、運轉資金的な性質の金が寝るわけでありまして、その寝る金の所要金額を一
般會計から繰入れるという建前といたしたのであります。本件といたしましては、金資金
特別會計に繰入れるという法立案を御
審議願う豫定であります。
それから農林省所管におきまして、家畜の飼料であります。家畜の飼料となる作物の原種を改良したいという
意味合におきまして、その模範の畑を作るわけであります。その畑に要する
經費というので、三十四萬九千圓という金額を計上したので、これ亦新規の事項であります。それから世界的の規模において一九五〇年に農業センサスというものがあるのでありますが、その日本國内における調査費といたしまして七萬九千圓、それから農業協同組合の指導監督費として十萬六千圓、この金額が農林省所管の中に含まれております。
只今申上げました盲聾唖の關係、それから治水調査會、金資金、飼料作物の原種改良補助、世界的農業センサス、農業協同組合指導監督、これだけが新規な事項でありまして、
あとは全部二十二年度の
豫算の引繼ぎであります。即ち二十二年度の
豫算が十二ヵ月分でありますから、それが十三ヶ月分に延びたというような性質に相成
つておるのであります。
それから次に
特別會計でありまするが、
特別會計におきましては、大體一
般會計に準じて作成されておるのでありまして、格別申上げるようなこともないのでありまするが、ただ
通信事業、鐵道、この兩會計におきまして、
歳入、
歳出を御覽願いますると、相當のアンバランスにな
つておるのであります。本
豫算は目下鋭意進行中でありまするが、この本
豫算におきまして、料金の問題等を檢討いたしまして、この
借入金の始末をつけるという建前を採
つて、一時
借入金をここに出すということにいたしておるのであります。
以上大體申上げたのでありまするが、尚一
般會計におきましては、
歳入歳出二百四十五億九千
萬圓というふうにな
つております。ところが
實際のこの
歳入は、
只今の見通しといたしましては百三十億圓ぐらいしかないのであります。百二十億圓近くというものが
歳入不足と相成るわけであります。この
歳入不足と相成る金額につきましては、
大藏省證券を發行いたしまして、
實際上これを繋ぐという
措置を取る豫定といたしておるのであります。大體
概要を御
説明申上げますると以上の
通りであります。