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國務大臣(加藤勘十君) 第一の一般の国民か窮乏下にあるから、
從つてこの二千九百二十圓の問題もそういう
意味において不滿である。こういうように私は一般論として言
つておるのではなく、この點は中西君と恐らく同じだろうと思いますが、
具體的な問題としての二千九百二十圓の私は算定の基準なり、
具體的な問題をよく知りません。
從つて端的に二千九百二十圓で食えるか食えんかという、こういうデマが出されたならば、それを不満足である。そういう
意味であります。その點は私は若しあなたが前のように理解されたならば訂正して置きたいと思います。それから他の點については、多少見解も違うところもありますが、意見に亙るところは暫く止めまして、
具體的な點として二千九百二十圓の問題について、これが先程も申しまする
通り、どうしても今日の内外諸般の
情勢から御了解を得なければならん。こう極力申上げておる
ゆえんのものは、一應今日の段階においては經濟的
要求による
爭議態勢というものが何とかしてこの際解かれるということが最も望ましい
状態であるということから、こういうように申上げておるわけでありまして、私が若し
自分の言葉に
責任を持たんというならば、どんなことでも言えるかも知れません。併し私は、
自分の言うことに對して
責任を強く感じまするそれだけに言い得ることは言い得られまするし、言い得ないことは言い得られないわけであります。又そんならば二千九百二十圓の問題を納得しなければ
支拂わない。そういうような
條件があるかというようなことになりますれば、決してこれはしばしば繰返されておりまする
通り、決してそれは
條件ではない。そんならば結果においては結局同じに
支拂うということにな
つてしまうのではないかというふうに問い詰められますれば、三段論法式な理論
體系を以てしますれば、そういうことになるかも知れません。そんな
法律的な解釋でなく、今日のいろいろな
情勢を綜合
判斷して、非常に弾力性のある解釋としてのこの點は
一つ御了承を願いたいとこういう
意味でありまして、それを
條件だから呑まなければどうとか、或いはどうとかという
意味では決してありません。ただ
實際我々の前に迫られておる問題は、どうしてもこの際そういうことについても御了承を
願つて、それから
團體交渉の點でありますが、ともかく
差當つて内金として
支拂つて、後の交渉は
團體交渉として
支拂うということで、ちつとも問題の解決處理にはならんと思うのであります。そこでそういうような問題と、いずれにしても來年度になれば新事態がありまするから、そういう新事態に對處するための適切な機構が整えられると思いますから、そこで十分に
團體交渉の方途がある。そういう機構についても、十分
組合側の意見を基礎にして構成すべきであるという考えを持
つておるわけでありまして、決して
團體交渉を無視するとか、なんとかいうことは微塵も考えておりません。又私共の心持においてもそれが
條件であるというようなことは微塵も考えていないわけであります。ただ今日の我々の前に迫る諸般の
情勢は何とかしてこれを
一つ組合の側に御了承願いたい、こういうことに専念する
理由であります。この點は
一つ中西君においても御了承を願いたいと思います。