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1948-02-02 第2回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月二日(月曜日) ————————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十二年度一般会計予算補正  (第十三一号)(内閣送付) ○昭和二十二年特別会計予算補正(特  第七号)(内閣送付)   —————————————    午後二時三十三分開会
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より開会いたします。昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)について、大蔵大臣より提案理由の御説明を願います。
  3. 栗栖赳夫

    国務大臣栗栖赳夫君) 昭和二十二年度一般会計予算補正(第十三号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第七号)について御説明上げます。  今期國会提出を要する昭和二十二年度追加予算は、先に中労委裁定にかかろ官公職員対する生活補給金支給残額〇・八ケ月分のほか、労働基準法施行に伴う政府職員超過勤務手当新制学校建設費農地改革費船舶運営会補助費復員費法務廳等機構改革経費警察官増員経費等のほか、官廳職員給與引上げ考慮するならば、その額は百億円を遥かに突破する見込であります。これに対し政府といたしましては嚴に健全財政方針を堅持し、収支の均衡を保持する建前の下に目下鋭意これが財源調達に努力中でありますが、年度末切迫の今日、かかる巨額の財源調達はなかなか容易なことではないのであります。即ち一面生活保護費失業手当予備費使用残額等歳出においてでき得る限りの節約を図ることとし、他面歳入面においては〇・八ヶ月分支給等に伴う所得税の増収、電力超過料金、前年度剰余金貿易資金保有物資賞却等、あらゆる財源を摸索したのでありますが、向右の措置を以てしても相当多額の財源不足となるのでありまして、ここにこの不足財源を補填すると共に、鉄道通信特別会計経理健全を図るため、この際鉄道通信料金引上げ考慮いたした次第であります。  本年度追加予算の現況は以上のような次第でありまして、歳入歳出は全体として見合うこととなつているのでありますが、その確定を見、且つ急速実施を要するものから便宜逐次これを予算に計上いたす計画であります。今回提出いたしました補正予算は、即ちその一部としてこの際早急に支出を必要とするものであります。即ち先に中労委裁定にかかる二・八ケ月分の生活補給金について、その残額〇・八ヶ月分を支給するに必要な経費等に関して、補正予算(第十三号)及び(特第七号)といたしまして御審議を煩わす次第であります。  先ず一般会計予算補正について申上げます。この補正予算(第十三号)の歳入歳出は各々七億二千三百九十余万円の増加でありまして、これをすでに成立いたしました昭和二十二年度予算額二千百二十八億五千七百八十余万円に加えますと、二千百三十五億八千百八十余万円と相成るのであります。この補正予算内訳を申上げますれば、政府職員に対し特別の一時手当支給に必要な経費として一般政府職員に対する分四億七千四百余万円、地方公共團体補助職員に対する分三千九百五十余万円、地方警察職員に対する分九千五百六十余万円、義務教育職員に対する分二億三千八百七十余万円、計八億四千七百九十余万円、厚生保険及び農業共済保険特別会計所属職員に対する特別の一時手当支給財源の一部を一般会計において負担するため三百九十余万円、大藏省預金部簡易生命保険及び郵便年金の両特別会計関係職員に対する特別の一時手当支給に必要な経費財源一般会計より繰入れるため、大藏省預金部特別会計へ繰入七千七百万円、簡易生命保険及郵便年金特別会計へ繰入七千三百十万余、計一億五千十万余目政府職員に対して一時手当支給に伴いまして、増加する所得税収入の一部を地方公共團体に分興するため、地方分奥秘分與金特別会計へ繰入一億二千九百十余万円、地方公共團体財政実情に鑑みまして、地方費支弁職員支給する特別の一時手当財源を、地方公共團体に貸付けるため十億七千八十余万円、船舶運営会所属船員待遇改善に伴う事業費増加に対して補助するため六億円、本年度における復員計画変更に伴う在外者給與増加等のため一億七千十余万円、合計二十九億七千二百十余万円を追加いたしますと共に、既定歳出予算につき、國有鉄道事業特別会計へ繰入の減少十二億円、通信事業特別会計へ繰入の減少三億円、生活保護費不用額四億円、本年度復員計画変更に伴う復員費減少六百七十余万円、予備費既定予算減少三億四千百三十余万円、計二十二億四千八古十余万円を修正減少いたしまして、差引補正増加額七億二千三百九十余万円と相成つておる次第であります。この歳出予算補正増加額財源といたしましては、所得税収入増加五億四千三百万円、前年度剰余金一億八千九十余万円、計七億二千三百九十余万円と相成つておるのであります。  次に、特別会計予算補正特第七号について申上げます。特別会計予算補正は、地方分與税分與金特別会計外十七の特別会計に関するものでありまして、その予算補正額は各会計合計いたしまして、歳入十七億二千六百九十余万円、歳出十七億三千九十余万円の増加と相成つております。この歳出増加内訳は、政府職員に対し特別の一時手当支給に必要な経費十五億七千六百四十余万円、右の一時手当支給賦源として他会計又は他勘定へ繰入一億孔千三百七十万余円、地方分奥秘分與金増加一億二千九百十余万円、合計十八億五千九百三十余万円を追加いたしますのと、既定予備費予算等を一億二千八百四十余万円修正減少いたしまして、差引十七億三千九十余万円の増加と相成る次第であります。右の中國有鉄道事業特別会計工事勘定所属職員及び通信事業特別会計建設勘定所属職員の特別の一時手当支給に必要な経費財源は、これを公債金收入によることといたしました。その金額は國有鉄道事業におきまして五千三百五十余万円、通信事業におきまして二千八百三十余万円であります。尚國有鉄道事業及び通信事業におきましては、今回鉄道旅客運賃並びに通信料金について倍額程度引上げを行うことといたしたのでありまして、これによる收入増加額國有鉄道事業におきまして十九億九千四百四十余万円、通信事業におきまして七億余万円下あります。而してこの收入増加額の中その所属職員支給する特別の一時手当財源に充当する分を差引きまして、國有鉄道事業におきまして十二億円、通信事業におきまして三億円を既定一般会計よりの受入予定額より修正減少することといたした次第であります。  以上を以ちまして昭和二十二年度一般会計予算補正第十三号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第七号の説明といたします。尚本補正予算案成立の上は、先に成立いたしました一般会計補正予算第十号及び第十二号、特別会計補正予算特第五号及び特第六号と相俟ち、官公廳職員に対しまして、中労委裁定にかかる生活補給金二・八ケ月分の全額を支給し得ることと相成る次第であります。各般事情より本案の提出が図らずも遅延いたしましたことは誠に遺憾でありますが、右の次第でありますので、何卒早急に御審議をお願いする次第でありまする
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) これより質疑に移ります。御質疑のありまする方はこの際御質疑を願いたいと存じます。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 〇・八ケ月の支給既定の問題でありますが、その財源として鉄道並びに通信事業値上げをされることが問題になつているのでありますが、この際お伺いして置きたいことは運輸省といたしましては、行政整理の大体方針が発表されましたが、現業官廳の方はまだ具体的に示されておらんようでありますが、どういうような整理をして特別会計として独立採算のとれるように将來して行くか。その将來見通し伺つて、この値上げの問題と睨み合わせて研究したいと思います。その点について御説明を願いたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) 只今左藤委員の御質問でございますが、お答え上げたいと思います。〇・八の支拂ということのために運賃並びに通信料金値上げをするというような意味のお言葉であつたと思いますが、これは必ずしもそうではございませんで、多分このことに関しましては大蔵当局から或いは御説明があつたかと思うのでありますが、私共は緊急にして止むを得ざる支出というものを一應勘案いたしまして、これに対應すべき財源というものを求めまして、從つて各種財源があつたのでございますが、支拂は必ずせねばならん、而も急を要する。その財源の中には必ずしも時間的には確定がしにくい。或いは取扱い不確定なものがあるというようなものを除いて参りまして、その結果收入の面も時間的にも取扱い的にも、これならば大体確定的に処理できるというものと、支拂わねばならん而も急いで支拂わね果、その中に〇・八の支出という科目と、それから運賃値上げどいうような科目が一方入りの方に出て来たというわけでございまして、財政一般といたしましては、これはこの中でこれを補うということでなくて、収入が全体プールされるものでもございますから、〇・八を拂うために一方でこういう收入図つたというような意味は毛頭考えておりませんので、その点は左様に御了解を得たいと思うのであります。  それからその次に、國鉄の問題でございますが、今日又運賃上げることがどうも妥当であるかどうかということも極めて問題になると思うのでありますが、御承知通り昨年の七月に運賃は三・五倍を引上げをいたしましたのでございます。この際の三・五倍と申しますのは、凡そ昭和九年から十一年までの平均物價にして四十八倍というところに安定点を置く。こういう考え方を基礎にいたしまして運賃は三・五倍の引上げを行いました。ところがその後新物價体系というものは労銀の引上げその他各般の情勢が一緒になりまして、結局当初考えられたところの四十八倍では牧らずして、結局六十倍乃至六十五倍というところに一應の物償の一つ水準というものが置かれたのでございます。従いまして若し多少の理窟を申しますと、その時の三・五倍というものは物價が四十八倍の場合にこれを見合わしてやつたのでございますから、六十倍乃至六十五倍になつた時に修正を要する筈である。仮初にも一つ公企業として経営いたします場合には、その場合において修正すべかりしものであつた。こういう考え方ができるのでございますが、この運賃國民生活に及ぼす影響は非常に深く廣いのでございますから、これはまあもう少し時期を待つということで今日に及んでおりましたので、今これを修正いたしますということは、考えようによりましては只今上げましたように、四十八倍が六十五倍になつたという時に、当然運賃物價一環としてその時修正を行うべき筈のものであつたと、こういうふうにまあ御理解を願うこともできるのぢやないかと、こういうふうに私は考えておるのであります。  それから一般行政整理とこの現業官廳との関係でありますが、これは私は現業官廳というものは、どうしてもこの業務の量に待つて要員というものを勘案して行かなければならない。業務の量はと申しますと、最近非常に輸送量が増しております。ところが輸送力が非常に荒廃状態下でありまして、これは誠に残念でありますし、又鉄道当局としては遺憾に堪えないのでございますが、何とかしてこの國鉄荒廃に帰した……実に何と申しますか、半身不随のような國鉄現状というものを早く正常な状態に回復させ、ねばならん、鋭意そのために微力を盡しておるわけでございますが、こういうような面で國鉄再建強化を一方において十分努力いたしまして、これは皆様の非常な御協力を仰がなければならんのでございますが、一應荒廃に帰してしまつた國鉄半身不随のような國鉄を正常な状態に復させるということに努力いたしますことによつて、國の要請する輸送力というものを増し、國の要請する輸送を行なうということと同時に、収入において増加を図るということを考えなければならん。同時に又支出の面においてはできるだけ節約いたしまして、そうして収支の適合を図るというところから、この独立採算制というものが起つて來ると思うのであります。今の現状では百数十億の赤字を持つておりまして、これは急になかなか償却できるわけでもなし、こういう赤字を全部運賃引上げにかける安易な方法を採ろうとは毛頭考えておらんのであります。その國鉄独立採算制をどうするかというような問題につきましては、これはすでに行政調査部で立てた案もございます。まだこれは試案の程度でございますけれども、そういう案もございます。又これは誠に未熟なものでございますけれども、私も多少考えておるところでございますが、まだここで申上げる域には達しておりませんけれども、何とかしてこれに本当の独立採算制をやらなければならん。独立採算制を採るということは現在の國鉄においては、行政責任は勿論明確になつておりますけれども、これに比べて経理責任というものの所在が必ずしも明らかぢやないというような点に遺憾の点があると思いますので、先ずそういうところから改善して行きたい、こういうふうに考えておる次第でありまして、何といたしましても輸送力を増す、今のような壊れた状態のままではいけないのだから、輸送量を増して、それによつて收入増を図るということが、これはもう國鉄に要請せられておるところである。この点は非常に強く感じておりまして、そういう点に向つては微力ながら非常に一生懸命やりたいと、こう考えておるわけで、一應御答弁申上げます。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 行政整理の問題はいろいろ、の案がおありのようでありますが、それに先立つてこうして運賃上げるのでございますからして、やはりこれだけの運賃上げ、或いは貨物運賃の方も将来問題があると思うのでありますが、そういうことと睨み合せてどの程度独立採算をお図りになるおつもりであるか、只今の御説明ではこの運賃値上げすることは、決して〇・八だけの問題ではないと、こういう御説明があつたのでありますが、特來独立採算をして行く上の運賃基準、その又基準でやつて行くにはどれくらいまで、我々素人が大まかに申しますれば、六十万を超えておる人員をどの程度まで圧縮しておやりになるつもりであるか、そういうことのやはり大体のお見通しを、……必ずしもその通りに行かなくても結構なのでありますけれども、やはり御抱負を伺つて置きませんと我々この問題を審議することができないと思います。その点をもう少し一つ打割つて説明を願いたいと思います。
  8. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) 独立採算制の問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題で、壊れた鉄道に非常に大きな赤字の荷物がくつついて濁るということがございまして、サービスその他についても遺憾の点が非常に多いということは重々承知いたしておるのでございますが、これについて値上げ根拠になります点でございますが、これは先程申上げましたように、今回の値上げというのは昨年の三月、七月のときに物價が四十八倍で安定帶を保つというその考え方基準を置きましたために、後六十倍乃至六十五倍と決まりましたから、そこで修正を要すべきものであつたという点に多少の根拠を持つておりますので、それを今回一應修正したい、こういう程度でございます。  それから幾ら引上げたら独立採算が探れるかということが問題になるのでございますけれども、これは御承知通り國鉄独立採算をしなければならえが、一挙にしてそういうことはできない。これは國の経営でございますし、又特に私鉄と違いまして、儲からん線は止めるというようなことは固よりできないのでありますから、彼れこれ赤字黒字も通じて、國鉄國家的使命というものを背負つて行かなければならんという点に独立採算制と合せて考えるべき方途もございます。それから幾ら上げるかということになりますと、今のところ賃金水準というものはまだ決まりかねておりまして、給與委員会というものが漸く今おやりになつておる。この給與委員において新らしい賃金体系がどの線で御決定に相成るかまだ分りませんが、これを一つ基準といたしまして、物價についても恐らくそのことから乗る再検討を必要とするであろう、それらのことを全部考慮の中に入れまして、そうしてそれらのことから今行なわれておる物價体系に対して必ず修正が行なわれなければならん。その修正一環として運賃値上げ考えたい、從つて貨物運賃上げなければならんという必要に追られておることは非常に追られておるのでありますけれども、只今急速に上げるというよりも、新らしい賃金体系が決まり、そのことを一つの土台として物價全体に対する再検討が加えられる。その場合に一体貨物運賃幾らにすることが妥当であるかというような線に沿つて考慮をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから人員の問題でございますが、これはいろいろの面から能率を挙げるとか、支出を節約するというようなことをしなければならんのでありますけれども、最近は御承知通り私共の考えだけで行かない事情が相当ございまして、その面において占領政策下にあります事情から來る人員の所要も亦少なくないのであります。それから全体としては非常に國鉄には現在人の偏在がございますが、この偏在を是正するということを先ずやりたい。これはいろいろの條件が伴うのでございますけれども、例えばこれは先般閣議決定を見たのでありまするが、御承知通り石炭傾斜生産というものが行なわれておる。石炭は非常に増産されておる。けれども増産された石炭が運べないという状態で、甚だ相済まん状態でありますが、これは傾斜生産から來る一つ犠牲として國鉄犠牲産業になつておるというようなことをこの際一つ検討し直して頂くということは、大体先般來話が付いております。礎つてそういう面で北海道、九州等炭鉱地帶においては、炭鉱で働く人は米六合貰つておる。鉄道働らく者は休んで買出しに行かなければならん、闇買いをしなければならん、炭鉱地帯には労働必需物票どんどん入る、けれども同じところでも鉄道従業員には入らないというような、非常にまずい結果を見ておりますので、そういうものを是正しながら漸次必要な要員を充し、若し剰員があるならばこれは整理しなければならん、けれども一方において又労働立法との関係がありまして、例えば労働基準法のごときものは、これは一日も早く法となつておるから実施して貰いたいという要求が非常にあるのでありますが、これを正面から実施いたしますというと、現在の國鉄で約三万人の人が不定する、誠に矛盾した状態であります。こういう点にも再検討を要する点が非常にある、これは皆さんの御協力を仰ぎまして、何とかそういう面にも再検討をいたしたい。こういうふうに考えておるのでありまして、要するに一般行政官廳行政整理と、現業官廳行政整理とは観点を異にしなければならん。即ち現業官廳には業務量において人を勘案して行く、それの能率化を図るということに考えを置いて行かなければならんのでありまして、只今行政官廳において例えば予算員の二割五分を減らすというふうに簡単に現業官廳は行きかねるというような点は、独立採算制の基本的な考え方がまだ十分に熟しておりませんので、そのことと合せて一つ皆さんにお諮りいたしたい、こう存じておる次第であります。
  9. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常に困難な事情を伺いましたのでありますが、併し困難だからと言つていつまでも荏苒としていることはできませんので、只今の御方針は來たるべき四月の新年度からは、何らかの方法を立てて御実行になる、独立採算の行けるように人員の問題も御解決になる。すでに出ておる筈でありますが、遅れております來だるべき来年度予算には、その面をはつきり出しになる御準備ができておりますかどうか伺つて置きたいと思います。
  10. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) お答えを申上げます。新年度から独立採算が必ず採れるというようなことは到底今お約束ができない現状であります。ということは國鉄のこの荒廃した現状です。これはどうも今のような状態のままではどうしても少々運賃値上げをいたしましたからと言つて、これが黒字になるというような程度になつておりませんので、その点は非常に残念ですが、そうなつておる。それから前年度五十億円を一般会計から繰入れて頂いた。これは借金でありましてこれは返さなければならん。その他そういうふうに借金に属するものがございますので、これらの返済方法とも合せて、國鉄独立採算というものを考えておるのでありまして、独立採算を今本当量るためには、これはいろいろ思い切つた施策を要すると思うのでありますが、只今上げました運賃値上げにつきましては、その基本的な考え方として賃金水準決定を見、それを中心とする物價修正を見る場合に、一應の修正をして漸次独立採算への方向を進めて行きたい。今回仮に旋客運賃を十割値上げの御承認を得たといたしましても、これで独立採算が直ぐ採れるというようなことは勿論ないのでございます。でありますけれども、これを以てそういう方向へ一歩でも半歩でも進めるということになると思いまするし、これは又先に申しました、前にやるべき筈の物價への修正を取得するというような意味にいても、御了解を仰ぎたいと、こう存じておる次第であります。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 その問題は一つ後廻しにしまして只今四十八倍の基準値上げをなさつた只今六十倍乃至六十五倍になつたので、今度は十割上げる。計算が少しく喰違つて来るように思うのでありますが、これはもう少し物價が又六十五倍以上に上げられるということを予想してお出しになつたのでありますが、四十八倍が六十倍乃至六十五倍、こういう割合から申せば十割にはならないと思いますが、その計算根拠一つ……。
  12. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) お答え上げます。前に三倍半上げました時に、当時一般物價を四十八倍のところへ一つ安定点を置く、こういう考え方であつて、それが六十五倍になつた、こういうのでございまして、その場合の三・半倍というのも物價水準上り方に対應した上り方ではなかつた。これはいろいろ勘案いたしまして低いところに置いて置く。現在の実情を申しますと、現在では物價の六十五倍引上けに対して、旅客運賃は二十三倍に上つたことに相成つておるのであります。今回十割の引上げをして頂きましたといたしましても、一般物價水準上り方から比べますと、非常に旅客運賃は低いところにおる。だから上げてもよいという考えは決して横著に持つておりません。毛頭持つておりませんけれども、数字的に申しまするというと、そういうふうなことに相成つております。
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君 この旅客運賃が仮に今度十割上がる、それに相應じて貨物運賃は今度はお上げにならないが、いずれ近くお上げになる。大体この十割というものは当分これでお上げにならないので、これに比例する程度貨物運賃お上げになるおつもり下あるかどうか、或いは現内閣ができまして以来の公定、特に煙草とかいろいろなものを引上げなさるということが段々物價引上げ、それによつて賃金水準が高くなつて、「いたち」ごつこを繰返しておるのでありますが、そういうことに拍車を掛けて行くような結果にならずに済むものであるかどうか、旅客運賃は今度の十割で、これ下もうお止めになつてこれに比例するだけの貨物運賃お上げになるおつもりであるか、將來又独立採算のことと睨み合して又お上げになる、只今お話を伺うと、まだこれで低い目にしておるというようなお話でありますが、その点將來の、殊に新らしい会計年度からの御方針一つ伺つて置きたいと思います。
  14. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) お答えを申上げます。これは実は私共だけで、運輸省だけの考えといたしましては、旅客貨物も同時にもう少し土けたいという考えを、率直に申しますと持つてつたのでありますけれども、各般事情がそれを許しませんので、一應先に申上げました前にやるべかりしものの修正という程度だけを一應今回御了解を得たい。これでもう将卒上げないかと言われますと、残念ながらそうは参りませんのでありまして、特に貨物のごときは、一般物價貨物運賃との関係、勿論これは外に影響する所が大きいのでありますんれども、さればと言つて鉄道運賃物價関係なしに非常に低い所に置くというわけには、これは独立採算の建前からできませんので、一般物價貨物運賃との関係、それから同じ貨物運賃の中の、海上輸送と陸上輸送運賃の凸凹、そういうふうな点等々から考えまして、いずれにしてもこれは引上げねばならん。但しその引上げの時期は、先程申しますように、一般賃金水準というものが新らしく決まる。今委員会に掛かつておりますが、新らしく決まる、これを中心として物價全体が再檢討される。その際のやはり物價一環として賃金をどの程度に、貨物流賃をどの線にまで引上げるかということを検討いたしたい、こう考えておる次第でありまして、これは今回旅客運賃を十割上げることで、將來上げないかと言われますと、そうは参りかねる。非常に残念ながらそうは参りかねるということを率直に申上げなければならん。甚だ残念でございますが、そういう実情に置かれておるということを御了承願いたいと思うのであります。
  15. 左藤義詮

    左藤義詮君 今回は宗期券はお引上げにならないようでありますが、これは將來どういう御方針をお取りになりますか。これは非常に賃金太準、生活水準に影響して来ると思います。
  16. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) 定期券につきましては、これは実は非常に定期の料金が安い、このことは非常に問題になつておるのであります。関係方面から非常に問題になつておるのでありますが、これは今回は止めましたが、貨物運賃等を勘案いたします場合には、これは定期参もやはりおのずから或る程度引上げを余儀なくせられるであろう、こういうふうに考えております。
  17. 左藤義詮

    左藤義詮君 賃金水準を今いろいろ研究をしておいでになる、それが決まりますれば、それに感じて又貨物なり定期、或いは場合によつて旅客運賃お上げになる、それをお上げになることによつて賃金水準を高めて行かなければならんということになろと思うのでありますが一案でいろいろ生活の基準を御研究になつておるのでありますが、十一月には黒字になるというようなお話があつたのでありますが、私はこういう今度の値上げて、郵便もそうでありますが、特に鉄道値上げということが大衆の生活に非常に大きな圧迫を加えておる。学生など持つております家庭では非常に大きな問題になつて來ると思うのでありますが、賃金水準が決まつてから一つお決めになるという今の御意見でありますと、それが決まることによつて、又今度ははね返りが來ろ、その見通しをどういうふうにお付けになつておりますか。
  18. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) お答えをいたします。今回先に申しましたように、旅客並びに貨物を同時に上げたいという考えを一應捨てまして、旅客運賃だけの修正に止めましたのは、只今左藤さんが御指摘になつたような工合で、運賃を仮に上げまして、その後賃金の水準が決まるということになると、そのことによつて又決つた労銀というものは引上げを要するまうなことになる、さようなことになつては相成りませんので、暫く傾向々待ちまして新賃金体系というものが決る、その決つた賃金体系において物價というものを再檢討する、又その物價を再檢討する場合に運賃物價一環として考えるということにして一。の安定を保たせる、こういう考えからでございまして、運賃だけが先走つて先に上るということでは後に必ず賃金の問題が起るのでありまするから、そうでなくても賃金が決つたところで、この賃金水準に照して物價がどう修正せられるか、その場合に運賃を如何程に値上げするのが妥当であるか、こういうふうに検討いたしたいということで、先程から申上げておるつもりであります。
  19. 左藤義詮

    左藤義詮君 鶏が先か卵が先かという話になりますが、私は今賃金水準をどの程度にお決めになるか分かりませんが、決りましてそれによつて運賃をお決めになるならば、私は値上げどころ九位下げをして貰わなければ國民生活はやつて行けない、実際今の水準では無理なんで〇・八ケ月というような問題も起つて来るのでありましてどういうふうに賃金をお決めになりましても、今そんな目茶苦茶に高く上げることはできないと思いますが、その程度でありますれば必ずそれと睨み合して定期券その他が倍に運賃お上げになるということでありますが、貨物運賃も生活に響いて来るわけでありますが、一文でも上げられたら苦しい、それを上げたら又運賃水準上げて貰わなければならんということになつて來ると思うのであります。実際私は今日の庶民大衆の生活から申しますれば、運賃というものは極限まで行つておる、かように思うのでありますが、賃金水準を決めて、それによつて運賃引上げて行こうというような考え方は、私は非常な、國民の恐らく納得し得ないところであろうと思うのであります。そういう点につきまして一つ……。
  20. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) お答え上げます。ちよつと私は少しぼんやりしておりまして、はつきり分からんのですが、左藤さんのおつしやるところは、そうすると私の申上げたことと逆で、先に運賃を決めてしまう、こういうようなお言葉なんですか。私はそうでなくて先ず物價水準が決り、そのことを中心として労銀水準が決る、それを中心にして物價が決るということを待たずして運賃上げたのでは「いたち」ごつこになる。従つて一つ安定帶を保つためには先ず賃金というものの基準が決り、從つて物價基準が決つたところでそれと見合して運賃上げるということが妥当であると申上げておるのでありまして、そうでなくて運賃を先に上げた方がいいと言われろのでありますか、その点少し分かりにくいのでありますが。
  21. 左藤義詮

    左藤義詮君 上げない方がいいというのであります。
  22. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) それは私どもも運賃上げたくないのであります。運賃値上げをすると國民としては支出が殖えることでありますから、今のような乏しい現状支出の殖えることに賛成だという方は少いだろう、こう思うのであります。けれども独立採算制ということを全然否定すれば別であります。けれども独立採算制の方式をやれば上げざるを得ない。國鉄は面会事業でなくて一つ公企業であるという観念で考えなければなりませんから、こういう観念を肯定する以上は算盤が採れる、算盤さえ採れればいいというような私企業的な利潤追求はいたしまんけれども、今のような惨めな状態で、非常に大きな借金を背負つておる。この場合独立採算制というものを肯定される以上は、或る程度運賃値上げは止むを得ないことである、これが大衆負担になるから非常に不都合だという声も聞くのであります。けれども今の状態國鉄赤字を全部國民の負担になるようなことでは実に申訳ない、待つて我々大衆の負担になる前に國鉄を利用する方から利用の程度に應じて一應の金を頂く、残りのものは國民一般の負担になつても止むを得ない。初めから全部赤字が國民の負担になるような考え方は、これは間違いである。こういうふうに考えておる次第でございまして、その点一つ御了承願いたいと存じます。
  23. 左藤義詮

    左藤義詮君 独立採算ということを建前として只今値上げは止むを得ないというお話でありまして、而も独立採算はいつになつたら一体できるのか、その方向にやるとおつしやいますけれども、そのお見通しをお付けになつていない。ただ独立採算には将来したから、そのためには国民一般の負担をこの上掛けたくない、こういう御意見でありますが、私は独立採算はもう少しはつきりした信念と見通しを持つて、そうして國民の生活水準に影響して來る値上げの問題を一つ考え頂きたいと思うのであります。その点において一番根本になります独立採算一つの運輸当局は信念というか熱意というものを、もつとはつきり伺いたいと思うのであります。
  24. 北村徳太郎

    国務大臣北村徳太郎君) どうも少しむずかしくなつて來まして甚だ閉口いたしますが、独立採算制については、私は私としての信念は持つております。これを具体的に申上げますことは非常に困難な問題でございます。というのは現在の日本全体の経済状態が混乱期にある、いわゆる危機経済にあるのでございまして、この一年先にはどうなる、二年先にはどうなる、三年先には必ずこうでありますということを申上げる予言者は出て來ない。若し言えば間違いが起る。十一月には黒字になると言つたの仕間違いになつて、非常に問題を起しておると同様であつて、そういうことを言えないところに日本経済の弱点と矛盾があると思うのであります。いい加減なところで御了解願いたいと申上げるのではないが、そこに非常な無理があるということを申上げたい。それから随分今借金を持つております。これは五年計画、それから七年半計画等を立てまして、この借金を年次に償還して行くというような一應の見通しも付けておるのであります。これらのことにつきまして具体的な数字は只今ここに持つておりませんので、御要求がございますれば、一應私の懐いておるこの借金ば五年先にこれだけ減らす、七年半先にこれだけに減らすということは、後から申上げてよければ申上げますが、大体そうでたらめに争つていないのですが、大体國鉄独立採算制のために機構をどうするかという根本問題になりますと、非常に重大問題でありますから、いろいろ考え方を申上げますと、例えば行政官廳から切離して現業官廳は昔の鉄道院のようなもの、或いはアメリカのT・V・A、テネシーバレーを持つて來て独立の公企業としてやつた方がいいという考え方とか、或いは今の状態でも経理関係が明確になればいいじやないかという考え方でありまして、まだいろいろ実は検討いたしておる次第でありまして、就任以来一ケ月以上になつてまだ検討中と申上げては誠に相済まんのでありますけれども、大いに勉強するつもりでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  25. 左藤義詮

    左藤義詮君 いろいろの御事情御尤ももな点もございますが、私は行政整理に対しても具体的なお示しが頂けない。労働基準法というものを楯にとつて、場合によつては増員しなければならんという実に意外な御意見であつて、私共の一番要求しておる独立採算にする以上は、どこまでも企業をもつと合理化して行く。世界各國の鉄道の老廃しておる事情でございましようけれども、一々数字を申上げないが、どこの國にもない厖大な事業を抱えて、而もサービスも非常に悪いという状態に対してもう少し運輸当局に対して蛮勇を奮うと申しますか、一つの信念を持つてお進みにならなければ、私はこの卒然たる値上げに対しては國民は承服できない。かように思うのであります。この点について行政整理についても、独立採算についても尚御研究中であつて、お見通しの付かないことを甚だ私遺憾に思うのであります。それ以上は一つ只今の材料を頂きましていろいろ勉強したいと思いますが、人員とかこういうことの根本問題は他日に譲りまして、極く小さいことのようですが、鉄道の無賃乗車券とか、優待券とかいうふうなものについては、どういうふうの概数が出て、どういうふうの処置をお取りになつておるふ。これを整理なさる御意向があるかどうか。この大体の数字を伺いたいと思うのであります。
  26. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) 左藤さんの御質問にお答えいたしますが、既往に発行いたしておりまする大体のものは、前議会に尾崎議員の要求によりまして、その資料は提出いたしてあるのでありまするが、尚重ねて提出いたしましてもよろしいと思います。明確な数字は今ここで申上げられませんが、大体の方針といたしましては、職員の乗車証に至るまででき得るだけこれを減じておるような状態でございまして御指摘の点につきましては十分に留意をいたしておりますと共に、漸次その発行数は減つておるというような現駅でございます。尚資料等は後日お手許に差上げて明確な数字は後程差上げたいと存じます。
  27. 左藤義詮

    左藤義詮君 ここに運輸省から頂きました昭和二十年度の資料によりますと、臨時乗車証が年間に二百八十万以上出ておるようであります。それから定期乗車証が五十八万九千幾らですか、こういう数字になつておるのですが、この数字を御確認になりますかどうか。或いはそれがその後どういうふうに減つて來ておりますか。これは運賃は、独立採算の問題が非常にやかましくなりましたので、我々これを審議しますのに大事なことだと思いますが、他日と仰しやらずに、その数字をお認めになりますかどうか、その後どういうふうになつておりますか。それを一つ伺いたい。
  28. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。只今御明示になりました数字よりは全部漸次減少いたしておると思いますが、確実な数字は先程も申しましたように後程お手許に提出いたしたいと思います。  荷この際に繰返して申しまするが、でき得るだけ鉄道従業員の職務乗車証に至るまでも、及びその家族乗車証に至りまするものも、余程これを厳選いたしまして漸減をしておるような次第でございます。
  29. 左藤義詮

    左藤義詮君 この厖大な運賃値上げ國民生活に非常な影響をするということは申すまでもないのでありますが、その際に今やつておる数は御明示の点が二百八十万以上の臨時乗車証、或いは五十九万近くの定期乗車証が発行されておる。今度お示しになるときには一つこれを、大体若し運賃を拂うものとすればどれくらいの面になつているか、非常なこれは厖大な面になると思うのてありますが、こういうことが他の現業官廳、或いは一般の官公吏などにも私は非常に影響をして來ると思うのでありまして、この点につきまして私は企業の合理化という上からも、余程これは考えなくちやならふ問題だと思うの下、あります。一つその点今日お示しがないのが非常に残念でありますが、私はそんなに減つておらんと思うのですが、二百八十万以上の臨時乗車証、或いは六十方近くの定期乗車証というものは、一つ私は十分検討しなければならんと思うのでおりまして、その点今日ここでお示し頂けないのは残念下ありますが、そういうことが鉄道運賃値上げを承認するかしないかということについて、非常に重大な関係を持つものだということを申上げたいと思います。  もう一つ國有鉄有が値上げになりますと、私鉄もやはりそれに均霑して十割値上げを直ぐに認める御意向であるかどうか、伺つて置きたいと思います。
  30. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。大体仮に今お示しの数字に近いものと考えまして、従来の乗車運賃でありますならば、約二千万円余りだと思うのであります。それはつまり職員のものは取つておりませんから、職員外に発行いたしましたいわゆる優待乗車券における賃金を換算いたしますと、たしか資料にそのくらいな数字であつたかと思つております。提出いたしましたのは…、それは勿論職員の持ちまするところの乗車証を換算いたしますならば、相当の余類にはなると思います。それから尚鉄道が大体一日一千万人以上の旅客がございますからして、これを一ケ年平均を通じますならば、約二百八十万というものは、そう大きな数字でもないのでありますが、先程申上げましたように、余程厳選をいたしまして、来車証の発行を減少しつつある状態下ありますと共に、尚無爲にこの乗車証を発行いたしておるのではございません。鉄道がいろいろな関係及び調査、現業に必要なるために御依頼をいたしました方々に対しまして発行いたすのでございますからして、鉄道以外にただ單に、鉄道関係外の人にこれを無為に発行しておると、こういうふうな点は全然ないのでございますから、この点も一つお含み置きをお願いいたしたいと思うのであります。  それから私鉄に関するところの賃金値上げでございますが、私鉄は鉄道のように一律の営業方針を持つておりません。会社個々の営業キロ数も異つております、又個々に賃金も異つておるのでございます。左様な状態でございますからして、國鉄が仮に今賃金の値上げをしたから、直ちに同率賃金を以て私鉄にこれを認めるということはでき得ないのでありまして、個々の経理内容を調査いたしますと共に、会社の経理内容によつて適正なる合理的な運営の上でその会社の企業の実体を考えまして、適当なる運賃値上げをいたすべきであろうと考えておりまして、目下その線に剛つて関係方面とも折衝いたしておるようなわけでございます。
  31. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今全額にして億にも足りないような御計算でありましたぶ、例えば議員の精勤乗車証というものがある。職員の勤労意欲を昂揚して、職員に精勵させるということで、勤務に精勵した者に対して一ケ月に十円以内り臨時乗車証をやろ。こういうのが精勤乗車証なのでございますが、そう数が昭和二十年度で百三十万を控えておるでありますが、これなどはどういうふうに精勤であつて、そのために乗車証を貰つて、その臨時乗車証というものをどういうふうにお使いになつておるのか。これなどは、私は額を考えると、どうしても二千万円とか、そんな小さいものではないと思います。これが百三十万を超えておるのであります。
  32. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) 只今質疑でありました点にお答え上げますが、鉄道職員の勤労意欲を面上いたしまする上におきまして、又その優秀なる成績に対する一つの報奨制度のごとき意味で、御指摘のような乗車証を発行いたしておるのであります。これは若しこれを停止いたしますならば、他の物件若しくは金品を以てこの精勤の報奨方法考慮いたして行かなければならん。いずれにいたしましても、直接の運輸省におきましての経理の面においては、相当のやはり支出を件つて來るのでございますから、それによつて当人たちが、精勤をやる者が、或いは何処かに旅行をいたします。或いは又近親を訪れるというような意味で、そういう報奨の意味で発行いたしておるようなわけでございます。
  33. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうするとこれは、公務員としての、他の公務員と同じような支給、給與以外のものである。若しこれを止めれば、別に又金品で給與しなければならない、こういう御意見であるとすると、例えば同じような逓信従業員などとは非常に差が出て來ろと思うのでありますが、國鉄だけがこういうふうなものを肝さなければならん、又出さなかつたならば、金品でやらなければならんという根拠はどういうところにございますか。
  34. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。給與制度の面から申しまするならば、或いは御指摘のような詳論は成り立つて來るであろうと思います。併しながら鉄道及びこれは私鉄におきましても一般でございまするが、私企業におきまする運輸行政面の長い問の慣行というものがありまして、或いはその慣行に上つて自由に旅行する場合に、乗車證の要求を過去においてして來た場合がある。これは私鉄もそういう例はございます。そういう面を一止めまして特に一定の期間を限つて只今申しましたような報奨の意味において、これを慰労の上において出したと、こういう意味で、別に給與問題と絡み合つてこれを考慮しておるという意味ではないのであります。御指摘のように、然らば待遇がそこに異なるではないかということも考えられると思います。御尤もでありまするが、これはどうもやはり鉄道をやつておりまする企業の長い間の只今申しましたような慣行とでも申しますか、慣習とでも申しますか、そういつた面もございますので、徒らに余りにこれを制限いたしまするということも赤帽率的に異なつていろいろ支障も生じて來るのでありまして、自然長年の間の実際の企業運営の経験からいたしまして、別途の意味でそういうふうに考えられるのであると御解釈をお願いいたす次第であります。
  35. 左藤義詮

    左藤義詮君 くどいようでありますが、そうしますと逓信従業員はひと月の中の十日だけは、精勤した者は葉書も電報もただで済むというふうなことになつて来るのでありまして、これはただ慣行というだけで、どこまでも押していらつしやるつもりであるか、只今運輸大臣が行政整理に対して非常に熱意をお持ちになり、独立採算ということに非常な抱負をお持ちになつておるならば、この機会にこの問題も考慮なさる御意思があるか、慣行ということで押していらつしやいますか。殊に只今申しますように、精勤のパスというものが昭和二十年において百三十万出ておる。鉄道が非常に御精勤で、六十万全部御精勤であるとしても、一年に二回はこれを貰つていらつしやる。そうして十日以内というのは区間はどういうふうに区切つて出しておられるのでありますか。精勤の人が一ケ月に十日以内も仕事を馴れて旅行をし得るようなそういう人員の余裕がおありになつておるのか。そういう点も係員お伺いしたいと思います。
  36. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答え上げます。大体これは上半期と下半期、一年に二回ぐらい一週間程度の全線の乗車証を出しておるのであります。これは今申しました一ヶ年の勤労に対する本人の慰労の意味も含まれておるのでありまして、然らばそういうふうに二週間もの長期の全線によろ乗車証を貰つたならば、そこにそれだけの執務状況の上において冗員があるのじやないうと、こういうふうに仰せられるのでありますが、これは別に冗員があるわけではございません。お互いに仕事を助け合いまして、差繰り合いまして、その期間に利用するわけでありますが、尚鉄道職員におきましても、例えば九州の者が北海道に勤務いたしておる者もございまするし、東京の者が或いは九州に勤務いたしておる者もあるのでございまして、そういうようなときに、一年に一回の乗車證を利用して郷里に墓参をする、こういつたようなことも含まれておりますので、理論町に給與面等からこれを論じ、或いは又冗員といつたような経営面から論じられますならば、御指摘のような御議論も成立つかも知れませんが、実際の企業を運営して参りますのにつきましては、これが紊れて、秩序が紊れるとか、或いは企業面においても非常に大きな狂いの生じて來ない限りは、或る程度企業の上におけるそれだけのゆとりを持つて職員を使つて参りませんと、そう理論的なものをやつて参りましては決しで能率の向上も下さないと思うのでありますが、今後におきましても先程も申しましたように、できるだけこの問題につきましては、御指摘もございますのでありますから、私共も考慮いたしまして、目下それらの乗車証についても前言の方針を取つているわけであります。右様御了承を篤とお願いしたいと思うのであります。
  37. 左藤義詮

    左藤義詮君 いずれ具体的資料をお示しを願いまして、とにかく精勤というものが百三十万或いは家族の。ハスというものが六十万以上出ているのでありますが、こういうものがただ慣行というだけで、これだけ國民に運賃値上げの負担をさせ、独立採算を今後はどうしてもしなければならんという運輸省において必要があるのかどうか、一般輿論といたしましても、運輸大臣に特にお考え頂くように申上げておきます。  その点はこの程度にして置きますが、只今私鉄の値上げお話がございましたが、現在においても相当現在の運賃で何とか経営ができておる。これは私は國鉄値上げなさるために十分に経理面などを調べていると仰つしやつておりますが、從來の例によりますと、殆んど国鉄に便乗して値上げをして参つているのでありますが、私はただ経理面を十分調べた上でと仰つしやいますが、どの程度なさるおつもりでありますか。一般のすでに心構えではもう私鉄の会社などでは殆んどこのまま國鉄上げて来れば、直ぐ便乗して行くのだという非常に安易な空氣が流れていると思うのでありますが、只今政府委員から説明のありましたその点はつきりその枠を……国民生活に影響することでありますから、現内閣の採つております物價水準についてもなかなか大きな問題と思います。その点はただ十分に経理面を調べて許すという言い方でなしに、はつきりその枠、御方針を大臣からお示しを願いたいと思います。
  38. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。私鉄は國鉄との間に連帶運輸を開始いたしていることは御了承のことと思います。私鉄の値上げは、私鉄は大体において今経理面においては赤字を出さんというふうなお考えをお持ちになるかも知れませんが、すでに四十社近くのところの会社はどうにもやつて行けないという実態にあるものもございますし、災害等におきましても非常に資金及び、喜び成立つてこれを建設して行くのに困難な実態に置かれている私鉄もあります。ただ併し資金の面におきましては、國鉄のように一つの国家経済の中において企業をいたしておりませんのであつて、みずから資本及び営業キロ数が異つているのであます。私企業の面につきましては第一階程から二も三ものおのおの段階がございます。待つてその会社の個々の経理面を考察いたし、そうして現在の運営の状況についてその社線の改良及減債償却、建設等を見まして、そうしてそれが一定の合理的な企業ができているかどう、こういうふうに考えて見るのが妥当であろうかと思うのであります。そういうわけで、連帯関係等もありますので、会社自体の考課状を提出させ、又いわゆる考課状以外に経理内容を個々に資料を提出させまして、その個々の検討に上つて適正な運賃引上げを会社自体に與えて行く。でありますから例えば東京都電の経営、大阪都電の経営、或いは他の小さな市電の電車経営等におけるいわゆる区間運賃引上げの問題、或いは又東京郊外における大きな会流、或いは山間部にありまするローカルの企業などおのおの実体が異なつておりますので、先程申しましたように資料を提出させ、これによつて検討いたしまして適正な運賃引上げを行なつて行きたい。かように考えておるのであります。どの会社がどうであるということは又追つての機会にお答えをいたしたい。総括的に只今方針を申上げまして御諒承を仰ぎたいと思います。
  39. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今の御説明によりますと、巷間博うるがごとく國鉄値上げすると同時に直ぐ私鉄に右にならえで値上げをさせるというようなことはない。十分検討して、時間的に見ても相当その間に余裕があると、かように諒承していいのでありましようか。
  40. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) 今急いで御質疑の点は調査をいたしておりますが、なるべくでき得れば連帯関係もございますので、今回に限りましては同一歩調で進めて行きたいと思つているのでありまして、時間的に相当の余裕があると解釈してよいかということでございますが、その点は何とも申上げかねると思います。
  41. 左藤義詮

    左藤義詮君 いろいろむずかしい説明がありましたが、結局は國鉄値上げすると同時に私鉄もそれに追随して行くということになつてしまうようでありまするが、私はこれが私企業でありましたら、歯を喰いしばつてでも何とかして企業を合理化して行かなければならない。ところが國鉄というお手本があつて、それがこうしてどんどん値上げをなさるのでは私鉄の方面もどうしてもそれについて行く。或いは從業員等の心構えから言つても、國鉄が倍にしたのだからして、なあに少し放漫なことをやつていても、お役所がこうなんだからということで、結局ここまでの枠は行けるのだということになる。必要な方面に、歯を喰いしばつて少しでも冗費を省き、生産性を上げて行かなければならない今日において、この点非常に悪いお手本をお示しになつている。我々が石炭國管に反対いたしましたのもその点でありますが、そういう國営事業の非能率性、非生産性というものが更に私鉄にまで影響し、それが國民生活に非常に大きな圧迫をして行くということに対しましては、甚だ遺憾でありまして、ひとり國鉄値上げに反対するのみでなく、それが私鉄の方面にまで安易に、いろいろ今仰しやいましたが、結局は連帶関係などもあつて、何とかして歯を喰いしばつて引合つて行けるところまでも、やつぱりお引上けになるという印象を私は受けるのであります。そのことが國民大衆に対して與える苦痛をいう点からしても、一層これに反対しなければならない理由がはつきりすると思うのであります。それから只今運輸大臣は私共が承認をしておりませんこの十割の値上げ、それを更に近い機会に、賃銀水準が決れば又考慮する、かように言明なさつたのでありますが、現内閣以來ともすれば物價がどんどん上つて行く、煙草を始め官有の物からどんどん値を上げるということが、國民生活にいろいろな圧迫を與える。國民思想に影警を與える。或いはインフレに拍車をかけるという点において、甚だこれは遺憾なことであると思います。これはどうしてもこのままで賛意を表することはできないということを申上げて、私の質問を終ります。
  42. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 運輸大臣に質問いたします。独立採算制國有鉄道事業においても十分採り入れるために、いろいろ御苦心をなさつておることについては敬意を表しますが、ぞの独立採算制を採るためには運賃値上げをしなければならん。それは必ずしも第一にそうお考えになるべき事柄ではないと思います。その前にはつきりした合理化をなさらなければならない。それには行政整理をなさらなければならないと思います。そこで運輸大臣は、冗員があるならば行政整理をしなければならん。冗員があるならばという御答弁をなさいましたが、果して冗員があると感じておられるかどうか、その点我々には甚だ納得が行かない。八月我々に配付された國有鉄道現状という國有鉄道実相報告書、これを読むと昭和十一年に二十二万七千人の従業員があつた。それが二十一年には五十七万三千人になつておる。それから人員がどうしてこんなに殖えて來たか、殖やさなければならないかということについて段々書いてありますが、それを総計して見ると、先程お話のあつた労働條件の改善とその人員増加、それを、ここに書いてあるものをプラスしても十三万人ぐらい増加すればよろしいということになる。その外に九州の福岡懸の志免という炭鉱運輸省に移管したために五千人の從業員が殖えて來ておる。それから輸入鉄道の運営のために六千人を配置した。そういうのを寄せても精々十五万人か、多く見積つて二十方人殖えたと考えて上いのであつて、そうすると今申した二十二万七千人の当時の運轉キロ数を現在のキロ数とそう大差はないというふうに書いてあるので、四十万人ぐらいの人数でよいのじやないかというふうに実相報吉書から印象を受けるのであります。これは読み方が悪いかも知れませんが、そう思えるのであります。そうすると十万人乃至十五万人ぐらいがやり方によつては浮いて來るのではないかと思う。先程冗員があるならばというお話があつて、我々は甚だ不満に思うのですが、そういう点をもう少し我々によく分るように、どうして行政整理ができないかということを表にとて出して頂きたい。この実相報告書は本当のことが書いてあるのでしようからそれと違つた数字を出されては困りますが、それを根拠にして、我々がよく納得の行く表を見せて頂きたい。それから独立採算制ということを言われるならば、この旅客運賃は、旅客に対して、コストは、どのくらい掛かつておるかということを第一調べねばならんだろうと思います。私は聞いておる。実相報告書にも書いてあります。値上げしない現在の料金、それで旅客の方は、殆んどとんとんになつておるのじやないか。そういすると、これを倍に値上げすれば、その方が非常にコストより上廻つて來る。非常な得が行く。この額については、そういうふうになりはしないかと思うのであります。それからでは貨物の方ではどうなるか。貨物は非常にこれはコストを割つておる。何か三割ぐらいしか貨物運賃は料金が当つていない。そうすると、これは上げないのだということになれば、独立採算制から言えば、非常におかしなことになりはしないか。貨物運賃の方を旅客の方でうんとカーバするということになるのでしようが、それは独立採算制から考えれば、非常におかしなことになりはしないか。その点の説明をもつと納得の行くようにして頂きたい。この貨物の方は、千八百円ペースの方に、物價の方に大いに影響するということだろうと思いますが、先程北村運輸大臣から御説明のありました三・五倍に引上げた時に、四十八倍に旅客運賃上げられた……間違いました。三・五倍の引上げの、時に上げ方がもつと上げるべきだつたのが足らなかつた。つまり六十五倍ということに対して、今度上げたのでも四十六倍くらいにしか当らない。もつと上げてもよいんだというお話がありましたが、併し御承知通り、六十五倍というのは、これは物價の平均の六十五倍であつて、千八百円ぺースの片一方で賃金が決められ、片一方で平均六十五倍の物價ぶ決められた。そういう時に、この旅客運賃は、大体このくらいでよかろうというのが、現在の料金だろうと思うのでありますが、それをもつと上げられるのだと、千八百円ペースを崩さずしてもつと上げられるという、この説明は私はどうも納得が行かない。これを上げて行かれれば、実質賃金といいますか、その方をもつと増さない限りは、千八百円ペースが崩れる、こう見なければならない。旅客運賃の方は、大して千八百円ぺースの方には値上げしても響かない。こういうふうにお考えかも知れませんが、それは大いに誤りだと私は思う。先程左藤君から御質問のあつたように私も感ずるのです。政府みずから國有鉄道事業旅客運賃値上げによつて、千八百円ペースを崩していらつしやる。こういうふうに私は見なければならんと思う。この点について、もう一度御説明を願いたい、と思います。それから大藏大臣がおられませんが、大藏省の方に御質問いたします。一昨日委員長から報告がありましたように、労働組合の方からは、必ずしも一月の末日に〇・八ヶ月の手当を貰わなくてもよいから、その手当を貰うために、こういう旅客運賃値上げすることは反対だ。だから延ばしてもよいから、もつとよく審議して呉れという陳情がありました。それで私どもは余計に考えるわけでありますが、この上体運賃値上げということは、恒久的の財源になつている。ところがこの〇・八ケ月の手当というのは、」時的の給與である。そこの関係が又甚だ割切れない。これは連絡がないと言われますが、こういうような連絡をつけて、要求をしておられるのでありますから、提出をされておるのでありますから、関連がないどころでない。大いに関連がある。その点がどうしても割切れない。職員組合の方へそういうように感ぜられるのは当然であります。できるならば、これは政府の方でもいさぎよく一度撤回されて、そうして一時的のなんかいい財源を見付けられて、そうして予算をもう一度出し変えられるということが必要だろうと思いますが、そういう御研究の余地がないのがあるのか、又研究していらつしやるのかどうか、見込があるかどうか、それについて伺いたい。
  43. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。先程から御質疑になりました三点は、総括して、関連しているものでありまして、個々に切り離してお答えすべきもので私はないと思うのであります。なぜかと申しまするならば、先ず今度の旅客運賃の改正に伴いましてのいろいろの御議論が出ますことは当然であります。一方におきまして、行政整理をやる。いわゆる企業の合理化をして、独立採算制を採るべき一つの手段を一方において持ち、その足らざるところのものの必要なる部分を賃金の改正によつてこれを補填し、尚且つそれが國家産業に影響し、及び國民生活に影響する場合は、その残りの一部分を國家が負担をする。こういう行き方でありまするならば、そごに合理的な賃金の改正という面において、皆さんの御納得が行くのであろうと私は思います。又政府はそう取るべきであります。私はその観点に立つて、今運輸省におきましてもいたしておるのであります。冗員があるかないかという問題は、要するに企業を機械化する場合には、人は冗員は出て参ります。現在そのままにおいて機械化されざるものを補うのに、人力を以ていたしておるのが、日本の國鉄現状でありまして、更にこれを労働基準法を実施いたしまするならば、その面において、むしろ逆に人が足らないという現象を、一方において人が多いのではないかと言われておるのに拘わらず、足りないという答えをしなければならん現象が現れて参るのであります。併しながら成る程一方において冗員がある一方において、不足のある点は地域的にないか。これは配置轉換等において是正いたすべきであります。配置轉換を行うのには、先ず以て宿舎及び住宅の問題を考慮して行かなければならん。受入態勢を整備して始めて配置轉換の合理化の面ができるのでありますが、私は今申しましたように、この企業の合理的独立採算制を採るべき面におきましては、大臣からもお答えいたしたろうと思いますが、積極の面と消極の面があります。積極の面は、これを機械化して極度に物件費を減少すべきのが即ち積極化であります。その例は、機械化によつて人間を減すばかりでなく、電力化によつて運行能率を高めて行きますると共に、又施設の改善による運行能率を高めて行くということが積極的な面でございます。消極面におきましては御指摘の通り行政整理をいたすべきでございましよう。この積極面の施策、施設と消極面の行政整理とは不可分の一体にあります。機械化するなら自然にそこに人か出て来るのであります。そういつた合理的な面をここに出しまして、そうして足らぎる分を旅客賃金の値上げをして行くということならば、皆様の御納得も行くでありましよう。ところが申すまでもなく、今日の実態は單に運輸省自体でなくて、日本の企業全体の面から考えて見まするならば、企業は單に國家企業のみならず、私企業におきましても企業整備をいたさなければならん実態にあることは申すまでもないことであります。この企業整備をいたさなければならん実態におきまして、私共は先程申しましたように積極面と消極面から考えまして合理的な独立採算制を目下大体においてその成案を急ぎつつある状態であります。併しながらこれには資料と資金とを要するのでございまして、この面の交渉を始めて行かなければなりません。それをやつて、それだけに只今申しましたように足らざるところの賃金を上げるということでありまするならば御納得が行きまするが、現実の実態といたしましては、今日の通貨の状況と企業の状況から見まして、一應支出面を補うて行かなければならん。つまり支出に追われて企業の整備が遅れておる、いわゆる合理的な面が遅れておるということと思います。これは急いでおりますが、即ちここに暫定処置といたしまして、一應この補足財源運賃の一部に政府として求めたわけでありまして、これは單に鉄道赤字を補うための今日その旅客運賃引上げではないのであります。総括的な、國の各種の教育の面におきましても、社会施設の面におきましても必要なろ補正予算の面におきまして、その一部分を旅客運賃においで歳入を求めたというのでございまして、運輸省自体から申しまするならば、只今私が申しましたような合理的な企業の施策に神うための根本的な賃率の改善を当然取るのが当り前であります。これを私は当り前といたしたいのでありますが、現在政府自体のその面において先にそれが追われておる。追掛けられて來ておる。追掛けられて来ておる当面の処置といたしまして、政府のそれだけの施策の財源の中に一部これを上げて置きまして、そうして根本的に今申しましたような方策を積極、消極両面に取りまして、それに必要でありますならば、或いはその上におきまして貨物運賃及び旅客一般運賃のいわゆる綜合的な適正な賃金を、他の物價体系と睨み合せて、そこに据置くということになつて來るのであろうと思うのであります。つまりこの運賃引上げた後において又運賃引上げをするだろう。そうならざるを得ないかも知れん、というお答えを大臣はしたかも知れません。それは私が今申す通りに結論におきましては、我々はこの運賃値上げをせずして綜合的な合理的な施策と伴つて適正なる運賃の改正を行いたいのであります。併しながらそれが待てんのであります。從つて今申します通りに、一方これだけの旅客運賃引上げをいたしまして、片方におきまして只今申しました企業の合理的な経営方針を立てまして、そうしてそれに賃金を他の物價水準と睨合せて行きたいと考えておるわけであります。そういう綜合的な観点に立つておりまして、これが遅れておるということが皆さんに御納得の行かん理由であろうと私は総括的に考えておるのでありますが、只今申しましたように、当初といたしましては、これをできるだけ早くにいたして、そうして適正なる運賃基準を定めて行きたいと考えておるようなわけでございます。どうかこの点は綜合的観点に立つて一つ私共の苦心をいたしておりまする面も御諒察賜わりまして、御了承を仰ぎまするならば誠に幸甚かと存じます。成る程御納得の行かない点もあろうかと存じまするけれども、私の只今申しました点を篤と御勘察下さいますならば、我々運輸省の取つております意図というものが、どこにあるかということを一つお汲み取り願いまして、本件に関しても御審議をお進め願いたいと思うのでございます。尚細かいことにつきましては業務局長からお答えをいたすことにいたします。
  44. 加賀山之雄

    政府委員(加賀山之雄君) 人員の問題につきましては、只今政務次官から一應お答えになりましたが、これは資料を以ちまして御説明上げた方がよろしいかと存じまして、お届け申上げたいと思います。大体といたしまして、戰前の昭和十一年との御比較もございまして、確かに二倍以上に相成つておるのでございますが、一番大きな部分が、先程お話に出ました所の労働共進法並びに労働協約に基いて当局が責を負つておる人員増加、これが一番大きうございます。続いて大きいと思われますのは、澁駐軍の関係の仕事に直接当つておる人員、これも勿論従來は全然なかつたものでございまするが、これが相当ございます。又進駐軍関係の仕事ではないけれども、その命令によつて人員を備えて置かなければならない。これは例えば踏切警手のごときものでございます。これは従来でございますと、成るべくこれは危険と言えば危険ですけれども、制度といたしまして踏切警手を置かない。いわゆる五時過ぎになると帰つてしまう、或いは全然置かないというような踏切が可なりあつたわけでございますが、これはジープが通る、踏切がよく事故を起すということで、命令をされて、これはどうしても殆んどジープの通るような踏切は監視を置くというようなことになりまして、これもございますし、又車掌とか、機関士にいたしましても、二人でよかつた所を三人になさなければならんというような所も出て参ります。こういうのは相当多数に上るわけであります。それから更に業務量増加も相当なものでございまして、先程列車キロの方からだけ御比較になつたのでありますが、列車キロは、それ程違つていない。キロから申しますとそんなに違つておらないのでございますが、例えば旅容の人員、これは切符の発費枚数にいたしましても改札口で集札いたしますにいたしましても、お客さんの人員が殖えただけの人員は殖えませんが、お客は昭和十一年に比較いたしますと、三倍以上に相成つております。貨物は大体とんとんといたしましても、旅客人員は三倍に相成つております。要員はその三倍要るということでは勿論ございませんけれども、そういうことに相成つております。  次に、まだ申上げなければならん事由といたしましては、能率の低下があると思うのでございます。これは非常に残念なヒとでございますが、戰前或いは戰時中の初期程の充実した力は持つておりません。我々といたしましては、これを何とか一日も早く元の素質を備えるようにいたしたい、と考えておりますけれども、只今のところでは可なりな低下と申しますか、或いは日本全般的な問題になるかも知れませんが、私共の方にもそれがあるのであります。そういうような事情を加えますと、どうもいろいろ勘案いたして見ましても、総計としてはどうも現在程度の人は必要になつて来る。或いは基準法を更に本当に徹底してやろうというのには、まだ先程大臣が申されましたように、人が要るというのが実際でございまして、現に人が少くして非常に仕事もうまくいかないという地域、或いは職務もあるわけでございます。勿論場所により、或いは仕事によりましては、もつと人が減らせるというような所もございます。一口に言えば職員は可なり偏在を示しております。これはどうしても直さなければならんと考えておりますが、現在において人員の問題はそういう実情にあることを御了承願いたいと思います。  次に、運賃の問題でございますが、御指摘のごとく今回の運賃値上げ独立採算制という見地からのみ見ますならば、私は恰好は甚だ拙いものであるということを率直に申上げなければならんと思います。先ず独立採算制の問題につきましては我々何としてもこれを達成いたしたいと考えておるのでございますが、既往或いは現在を通じましてやはり一般会計との関係も可なり生じておるのでございます。御承知のように戦時中は臨時軍事費に鉄道会計から繰入れをいたしておる。最近の財政、経済界におきましてどうしても収支相償なわず、只今国鉄として一般会計から借入れ或いは繰入れをして貰つておる金額も相当多額に上つておるという始末であります。そういつた関係におきまして今いかに頑張つて見ましても、一息に独立採算制のみを強調し、これを達成するということは困難な実情にあることは私が今ここで申上げるまでもないことでございまして、どうしてもこの方向に持つて行かなければならんけれども現在は必ずしもそうは行かない、日本の経済或いは財政と非常な密接な関連の下に運営を続けて行かなければならんというふうな状況にありますわけであります。又そういう見地からいわゆる今度の運賃の改訂ということは問題に相成つておるわけであります。そういう見地のみでございませんで、勿論その中には一歩でも独立採算制に近い考えは入つておるわけであります。そういうことから申しまして旅容貨物運賃の比重は今度の改正、一時的の今回の改正におきましては非常に恰好が変になりまして、コストとの比較から見てもさように相成ると思います。ただ旅客の人キロあたりの收入支出の比較といたしましても、現在のところはほぼバランスが破れておりますが、來年度に相成りますれば、現在のところでは到底旅客といたしましても收支相償いませんという数字が現われると思うのでございます。現在検討いたしておりまするそしてやぶては御審議を願わなければなりませんところの來年度予算の編成におきましても、そういう面が顯著に現われて参つておるのでございます。貨物運賃にいたしましては、只今すでに三倍以上のコストぶ掛かつておるということでございまして、これは私共がどうしても物價体系との関係を勘案しつつこれを正常化しなければ、独立採算制の問題は達成し得ないと考えておヶますし、又先程これも大臣から述べられたのでございますが、海運運賃との比較でございます。或いは物價構成上の運賃の占める割合というような、いろいろな見地から検討いたしまして、貨物運賃の問題は只今検討いたしておるような次第でございます。
  45. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 御答弁頂きましたが、行政整理の問題は一つ表に出して頂きたい。今の御説明でもちつとも納得が行かないので、今御説明なつたようなことはこの國有鉄道実相報告書に書いてあるので、そういうものを考慮しても私は先程十万人程は多いじ中ないかという観察ができるのであります。  それから能率の低下ということを言われましたが、能率の低下も確かにあるだろうと思います。これは敗戦後の日本国民の現賦から申しまして、ただ運輸省従業員を責めるわけには参らんと思います。併しこういうことも考えて頂かなければならん。  今仮に百の仕事を十人でやつておる、忙がしくてたまらん、もう少し十五人にして貰えば樂になり、能率も上がるだろうというので、十五人にしてそうすると百人の仕事が尚完全にできるかというと、五人の人が余つておれば百の仕事はできないのであります。かえつて十五人にしたために百の仕事が八十になつて、これは少し事業を経営して來た者には皆痛感されるのであります。つまり忙がしいく忙しいと言つて皆が一牛懸命働いている時が、一番能率が上がつておる。ところがそれに五人の人を足して見たとするならば、そこに実は五人遊んでおる者ができる。そうすると十人一生懸命働いておつた者も馬鹿々々しいというので働かなくなる。これは事業経営をして見た者には分つておるのであります。この状態運輸省に大いにありはしないかと私は感じます。これは逓信省においても同様かと思います。この点をよく一つ運輸当局はお考にならなければいけないと思う。ただいろいろ今日進駐軍の要求がある、蹈切がどうだとかいうようなことで、國民一般がただ漫然と運輸省従業員が多いと感じておるわけじやないのであります。実際多いのであります。これは事実で何と抗弁されようとも、万人が感じだけでなく、確かに多いと観察しておるのであります。これは本当に國有鉄道事業は、言うを俟ちませんが、運輸省従業員だけの事業でなく、國民から預かつた大事な事業でありますから、これは本当に忠実にやつて頂くためには、又合理化をどうしてもして頂かなければならんと私は思うのであります。この点についてもう一度そういうことをあなた方が、本当に感じておられんのかどうか、それをお尋ねして見たいと思います。  それからこれは少し問題が違いますが、最近に起つた鉄道事故は殆んど毎日新聞に出ておりますが、犯罪に関係したことを新聞で拾つて見たのであります。これは一月の二十日以後の新聞をちよつと見たのでありますが非常に多い。申して見ますと一月の二十一日に中野電車区の整備係若葉重次という仮名ですが、十九歳、それが二千円の分前から中学生を刺殺して挫けた、そうして二十三日に捕まりております。それから又二十一日の午前零時五十分に蒲田電車区勤務の岩本和義二十歳、この者外五名が、いずれも鉄道員で蒲田駅の構内で乗客を殴つて、現金とオーバーを奪つた事件がある。それから今度一月二十七日には南武線の宿河原駅の助役の中村太助同駅員が挙げられておる。これは貨車扱いの通知書四十枚、それから小口扱いの通知書百枚を詐欺をした者にやつて、そうして金を貰つておるという記事が出ておる。これも挙げられている。まあこんなことがあります。こういう状態を見ますと、どうも非常に能率の低下ということ以外に、この弛緩している部面が非常に多いじやないかと感ずるのであります。これは我が國の現状が國民が頽廃の気風に非常に染つているので、鉄道従業員ばかり責めるわけに行かないかも知れませんが、こういう事態が頻発しているのは運輸省で大いにお考えにならんと、ただ鉄道省が一生懸命にやつておるのだ、人員が足らない勝ちだという一片のお話しだけでは、どうしても我々は納得なんかできない。それから今お答えがありましたが、この貨物旅客運賃のコストの問題、これは私が想像したことく、貨物の方は非常にコストを割つておる。旅客運賃を倍に上げればコストをずつと上廻つておるということは明白であります。それに拘らず、貨物の方の料金は上げないで、旅客だけ上げるというのは、先程、問わず語りに御説明がありましたが、〇・八ヶ月というものをどうしても出さなければならんから、止むを得ず旅客運賃上げられたということに、どうしてもなるのであります。貨物運賃上げられないから旅客運賃の、方で〇一八ケ月を出そうという、こういうことにどうしてもなるのでありまして、これは関連がないとおつしやるが、どうしてもこれは、そう取らざるを得ないのであります。  それから、それじやもう一つお答えを願いたいのですが、先程、お尋ねしたのが徹底しなかつたかも知れないが、この千八百円ペースは維持をする。そこでこの旅客運賃を倍に引上げても千八百ペースには影響は及ばないと、こういうふうに運輸当局は見ておられるのか、又大蔵省は見ておられるのか、それをはつきり御答弁願いたいと思います。
  46. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) 鉄道職員の官紀の粛正につきまして御指摘がございました。私は率直にお認めいたします。誠に遺憾の意を表します。如何に國家敗戦の現状と申しましても、決して今日の思想道義に藉口いたしません。私共運輸当局の最も力の及ばざる所でございまして、今後でき得るだけかような両につきまして官紀の粛正をいたしまして、御期待に副うようにいたしたいと心得ておるようなわであります。ただこの面につきましては、私共が一生懸命いたしますにつきまして、國民の御支持と輿論とを私は願いたいと思います。正しき輿論によつて、これらの人達が罪を犯さないようにでき得るだけ國民の監視と輿論というものを起して頂きたいと思うのであります。又國鉄従業員の労組におきましても彼ら身体の健全なる立派なる労働組合の在り方といたしまして、これらの諸君とも図りまして、御指摘の点につきましては、今後十分に私は努力いたしまして、かような犯罪を直ちに絶滅するということは困難かも知れないが、いわゆる官紀の振粛、秩序の回復に努力をいたしたいと存じておるようなわけであります。この点、特に御了承を願いたいと存じます。荷人員の問題でございまするが、見方によりまするならば、或いは御指摘のようにお考えになるのも御尤もだろうと存じます。併しものをいたしまするには、おのずから方策を立て、その施策の中にすべてが包含されて行くようにいたしませんというと、却つて角を矯めて牛を殺すの類になりまして、業務能率を阻害するようになつてはと思いまして私共も減員不補充という方針を採つております。そうして今日特定の必要のない限りは只今申しましたように不補充でいたしております。仮にここに失業手当の完全な制度が行われ、或は又失業救済法の上におきまして施策の上に十分なものがあるならば、みずから進んで後進に途を譲るべき人も相当職員中にあるように見受けられる。こういう自然的なことによつても相当の人員が、そこに私は自然的に整理されると思います。で、同時に、先程申しましたいわゆる企業の機械化によりまして、適正なる配置轄換等によつて人員の面につきましては御期待に副うようにいたして行きたいと考えておるようなわけであります。この点は特に御了承を願いたいと思うのであります。理論的に議論いたしますならば、いろいろありましようけれども、私共は議論よりも巽際に、どうすればこの國鉄の企業が合理化して行くかという意味において、実際的な見地に立つて、これを無理せずに、又急遽これを行わず、すべての人の心を汲み取りまして、又人の心を自然と我々の施策の方に引き附けまして、そうしてそこに円満なる処置を講じて行きたいと考えて、その施策を現実に実行しつつあるような状態でございます。この点については答弁誠に不得要領である、不満足で納得が行かないとおつしやる点があるかも知れませんが、現実の面においてはさように取計つておるということで、一つ御了承下さいますならば、御質疑の趣旨に副つた施策を私共がやりつつあるということの面も御納得ができるかとも存ずるのであります。賃金の面につきましては、成る程旅客賃金においては、バランスである、又貨物賃金においてはアンバランスであるという点を御指摘になりましたが、先程も申しましたように、根本的な運賃改正は、企業の合理化と施策の面とにおいて行なつて行きたい、かように考えておるのに、そこに政府の綜合的な財源一環といたしまして、特別会計におきまして、私共後手ながら前回の運賃値上げにおきましても、今回の運賃値上げにおきましても、私共は運輸省自体の建前から申しまするならば、決して納得しておる運賃値上げでございません。かような運賃値上げ方はいたしたくない。先程申したように、一面に企業的な合理的な施策面を立てて、これと見合つた運賃の改正をここに提出いたしまして、公正な皆さんの御審議をお願いいたしたいのが当局の壯であります。併しながら今申しましたように、我々の省自体のみにおいてこの運賃の改正を行うことのでき得ざる綜合的な面によつていたさなければならんという事態というものを御了承を願いますならば、私共の意中も御了承を願う美あろうと思うのであります。而してそこに貨物運賃の両はアンバランスと言われますが、私共は陸上を海上の運賃のバランスを取りたいと考えておるのであります。そうして適正な貨物運賃をここに引上げたいと考えております。併しながら政府全体の施策の面におきまして、いわゆる毒業に及ぼす影響等から、今貨物運賃引上げるということは許されん実態にございまするので、さつき御指摘のようなアンバランスが出て來たわけであります。併しこれは当然将来におきまして只今申しました我々の方の企業の合理的な独立採算制を探りまするその施策と伴いまして、賃金全体の面におきまして改訂を考えまして御審議をお願いいたしたいと考えておるようなわけでありまして、どうかこの点腹藏なく私はありのままを申上げた次第でございまするから、この点特に御了承をお願いいたしたいと存ずるのであります。その他の面につきましては、加賀山君からお答えいたすことにいたします。
  47. 加賀山之雄

    政府委員(加賀山之雄君) 綱紀の問題につきまして御指摘を受けまして、誠にお恥しい次第でございますが、我我といたしましていつもお互に戒め合つておる次第でございまして、最近は労働組合の方も段々と堅実に、そういつた方面について同僚同士お互に切瑳琢磨して行くというような方向に向つておるようでありますが、大勢の中には遺憾な者も出しまして、誠に我々として申訳のないことに存じます。今後こういうことの防止をいたしたいと思いまして、実は荷物の不正事故を防止するとか、或いは旅客の交通秩序を確立するとか、そういう目的で鉄道保安官といつたようなものを我々設置を考えまして、現在この特別の養成をいたしております。現在千人程度もうでき上つておりますが、これは外部からのそういつた事故防止に当ると同時に、又職員間の不正なり悪事というものの起きないように指導して行くということも重要な役割の一つにいたしておる次第でございます。  次に、旅客運賃の問題でございますが、一般賃金水準と関連はないかというお尋ねのように伺つたのでありますが、これはむしろ物價廳なり経済安定本部でお答えを願う方がよろしいかと思いますが、運輸省といたしましては、勿論旅客運賃が上れば多かれ少かれ生計費には影響せざるを得ないと考えております。この生計費に影響するということは、つまり非常な値上りであるならば、賃金に影響せざるを得ないということに相成るかと考えるのでございます。ただ現在のところ普通旅客運賃、つまり定期以外の旅客運賃考えました場合に、これを生計費との割合ということが我々よく調査をしておるのでありますが、この一般生計費におきまするところの旅客運賃の比重というものは、実は全國民に振り当てて見ますと、非常に少いのであります。都市生活者は比較的この定期運賃等がございますので、割合交通費にお金がかかるというのが実情でございますが國民経済の中の全般として考えます場合には、大体この交通費というものは生計費中二%六といつたような数字が出ておるのであります。かようなことから考えまして、我々まあ通常概念的に申しますときには、旅客運賃の上がることが生計費にそれ程響かない、かような見解を持つております。先程申しましたように、上げよう如何によりましては勿論響くことが当然だと考えるのであります。それから定期運賃につきましては、最近の実情といたしまして、むしろ個人の負担と言うよりは会社工場が給與の変形として扱つておるという例が非常に多く相成つておるのでございまして、これは勿論そういつたことから見て、工場等の生産コストには影響しないとは言い得ないのでございますが、これは直接個人の収入とか賃金というものと関係がないというような例が沢山出て参つております。今回の引上げにおきましては、定期券は据え置でございますので、この問題は勿論問題に相成りませんけれども、そういうことを御了解願いたいと思うのであります。尚定期運賃といたしましては、この据え置の結果といたしまして、非常に妙な形に相成りまして、例えば学生定期のごときものは、只今四十キロの距離から通つて六ケ月定期といたしますと、その割引率は九割二分でございますが、今回の一般運賃率は引上げまして、定期は据え置といたしますと、九割七分か八分の割引に相成る筈でございます。これを日数にして見ますると、一ケ月に直しますと、一ケ月の中に一日ちよつと乗れば、一・一七という数字が出ておるのでございますが、大体均衡が取れる、一ケ月と一日ちよつとと同じだという結果に相成ります。又普通の通勤定期でございましても一・六、つまり一日六ということは、ほぼ一往復半すれば一ケ月の定期でよいのだと、こういう恰好になるのでございまして、これは我々の扱つております運賃の形体の上から考えますならば、非常に妙な恰好に相成りますということだけを御参考までに申上げて置きたいと思います。
  48. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 旅客運賃値上げは賃金にそれ程影響がないというお話でしたが、決して私はそうでないと思います。現に新聞で倍に値上げという報道をいたしますと、もう翌日から米の闇値段は二十円上つております。これは事実でありまして、決して影響がないのじやない、大いに影響がある。これは大蔵省、安本の方ではどう見ておられますか、その方の御答弁をお願いいたします。又先程大藏省当局に質問いたしましたときに、大藏省側から誰も來ておられませんか。
  49. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 岡本さん、大藏省の御答弁は明日に願うように、今大臣も、それから大藏当局は衆議院に行かれましたから、今日は運輸省とそれから逓信省の政府委員の方がお見えになつておりますから、この方面への御質疑を願います。岡本さん、もうよろしゆうございますか。
  50. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 よろしゆうございます。
  51. 服部教一

    ○服部教一君 私の質問は簡単な質問でありますが、この運賃値上げ、それから郵便の料金の仕上げというようなことは、國民全体に響く大きな問題でありますから、政府としては余程愼重にやつて貰いたいと思うのです。その点から今日の値上げば不満に思うのであります。不満に思うておるのですぶ、併しこれはよく考えて見ると、全体に影響する問題でありますから、十分によく考えて決めたいと思うておるのでありますが、一体この外國の、外國と申しましてもアメリカ、イギリスあたりの鉄道、それから郵便の料金なんかの割合がどういうようになつておりますのか、それを一つお聞きしたいと思うのです。今’日でなくてもよろしゆうございます。明日でもその点を一つ。一体日本の鉄道は元は私有であつたの國鉄に段々変つて行きまして、これは財政上利益のあるものを民間でやらさずに国有にしようというようなことも、その変るときの議論の中では主なる点の一つであつたと思うのです。それが今日赤字で困るというようなことは、余程研究をしてやらなければならんことと思うのです。又葉書や手紙の切手が高くなるというようなことも、この間値上げになつて、又なるというようなことも余程よく考えてやらなければいかんと思う。こつちの財源が足らんので取り易いところから取つたらいいというような簡単なことではいかんと思うのです。それで一つ余程愼重に考えろ資料の一つとして、アメリカやイギリスあたりがとういうようにやつておるかお調べになつておることと思いますガ・それを聞かして頂きたいのであります。
  52. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。最近國外におきまする郵便の状況は私の方では存じませんが、鉄道におきましての運賃状況はヨーロッパにおきまして或いはソビエットにおきましては少し分りかねると思います。旧い統計でありまするならば分るかと思うのでありますが、アメリカは大体において分ると思いますので、次回に調査の結果をお手許まで資料として御提出いたすことにいたしたいと存じます。ただヨーロッパにおきまする最近フランスの一般物價の傾向から考えて見まするというと、日本とフランスとはフランスの方が約四倍くらい物槽一が高いのではないかと思つております。中華民國は御承知通りに法幣と円とをパーに見ましても約一千倍になると思うのであります。向うの方が高い。その外アメリカにおきましても、今日日本の円が適正な爲替レートが立つておらんのでありますからして、そういつたようにいわゆる向うの物價賃銀と、こちらの円をどういうふうに換算するかということはむずかしい問題であろうかと思いまするが、只今申しましたように、アメリカの状況を取調ぺまして、又ヨーロッパ方面におきまして、或いはソヴイエット方面においての、戦前のできるだけ近いレーテストの調査をいたしまして、お手許まで差出すことにいたしたいと思います。右御了承を願いたいと思います。
  53. 服部教一

    ○服部教一君 それから賃銀以外に職員の数の問題も知りたいのであらます。どういうような割合になつておるか、無論向うとこつちとは事情が違うから同じような比例でなければならんということはないですけれども、行政整理のしにおいて人員の問題も大きな問題でありますから、これらはどういうふうに違つておおか、その点も知りたいのであります。どうぞお願いいたします。
  54. 田中源三郎

    政府委員(田中源三郎君) お答えいたします。さつきの資料と一緒に合せまして、お手許に差上げたいと思います。
  55. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) お諮りをいたします。明日午後二時から質疑を続行することにいたしまして、本日はこの程度で散会することにいたしたいと思いますが、御異議は、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議なしと認めます。これにて散会いたします。    午後四時四十五分散会 出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君            西川昌夫君            西郷吉之助君            村上義一君            中西  功君    委員            木下 源吾君            中村 正雄君            村尾 重雄君            森下 政一君            小串 清一君            左藤 義詮君            寺尾  豊君            深水 六郎君            伊東 隆治君            大島 定吉君            佐々木鹿藏君            鈴木 順一君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            岡本 愛祐君            奥 むめお君            河町 正夫君            島村 軍次君            高田  寛君            服部 教一君            姫井 伊介君            池田 恒雄君            川上  嘉君            藤田 芳雄君   國務大臣    大 蔵 大 臣 栗栖 赳夫君    運 輸 大 臣 北村徳太郎君  政府委員    大蔵事務官    (主計局長)  福田 赳夫君    運輸政務次官  田中源三郎君    運輸事務官    (鉄道総局業務    局長)     加賀山之雄君    逓信事務官    (総務局主計課    長)      横田 信夫君