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1947-12-11 第2回国会 参議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十二月十一日(木曜日) ————————————————  委員氏名    委員長     櫻内 辰郎君    理事      木村禧八郎君    理事      西川 昌夫君    理事      西郷吉之助君    理事      村上 義一君    理事      中西  功君            岡田 宗司君            大野 幸一君            カニエ邦彦君            木下 源吾君            波多野 鼎君            原  虎一君            村尾 重雄君            石坂 豊一君            小串 清一君            小野 光洋君            佐藤 義詮君            鈴木 安孝君            寺尾  豊君            深水 六郎君            伊東 隆治君            大島 定吉君            木内 四郎君            小畑 哲夫君            佐々木鹿藏君            鈴木 順一君            田口政五郎君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            岡部  常君            岡本 愛祐君            奥 むめお君            川上 嘉市君            河野 正夫君            島津 忠彦君            島村 軍次君            鈴木 直人君            高田  寛君            服部 教一君            東浦 庄治君            姫井 伊介君            渡邊 甚吉君            池田 恒雄君            川上  嘉君            藤田 芳雄君   委員の異動 十二月十日委員原虎一辞任につき、 その補欠として議長において、森下政 一君を選定した。 十二月十一日委員大野幸一辞任につ き、その補欠として議長において、中 村正雄君を選定した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十二年度一般会計予算補正  (第十二)(内閣提出・衆議院送  付) ○昭和二十二年度特別会計予算補正  (特第六号)(内閣提出・衆議院送  付)   —————————————    午後四時二十二分開会
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今より予算委員会を開きます。それでは只今から昭和二十二年度一般会計予算補正第十二号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第六号について、政府の御説明を願いたいと存じます。
  3. 小坂善太郎

    政府委員小坂善太郎君) それでは昭和二十二年度一般会計予算補正第十二号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第六号について御説明を申上げます。  この補正予算は、先に政府職員に対しまして、その給與の一ケ月分に相当いたしまする一時手当支給に関して昭和二十二年度一般会計予算補正第十号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第五号といたしまして御協賛を得て成立いたしたのでありまするが、今囘更に給與の一ケ月分に相当する額を一時手当として支給することといたしまして、これに関しまして必要なる経費等につきまして補正予算第十二号及び特第六号といたしまして提出いたした次第でございます。  先ず一般会計予算補正について申上げます。この補正予算第十二号の歳入歳出は、おのおの三十四億七千四百九十余万円の増加でありまして、これをすでに成立いたしました昭和二十二年度予算額二千九十三億八千二百八十余万円に加えますると、二千百二十八億五千七百八十余万円と相成ります。この補正予算内訳を申上げますると、政府職員に対して特別の一時手当支給に必要な経費として、一般政府職員に対する分、五億九千四百六十余万円、地方公共團体補助職員に対する分、三千六百九十余万円、地方警察職員に対する分一億千九百六十余万円、義務教育職員に対する分、二億九千八百四十万円、計十億四千九百六十余万円、厚生保險及び農業共済保險特別会計所属職員に対する特別の一時手当支給財源の一部を一般会計において負担するため四百六十余万円、大藏省預金部國有鉄道事業通信事業簡易生命保險及び郵便年金の各特別会計関係職員に対する特別の一時父支給に必要な経費財源について、当該会計において調達し得るものを除き、一般会計より繰入れるため、大藏省預金部特別会計へ繰入九千六百二十余万円 國有鉄道事業特別会計へ繰入九億九千三百余万円、通信事業特別会計へ繰入五億余万円、簡易生命保險及び郵便年金特別会計へ繰入九千百三十余万円、計十六億八千七十余万円、政府職員に対して一時手当支給に伴いまして増加する所得税收入の一部を地方公共團体に分與するため、地方分與税分與金特別会計へ繰入一億九千三十余万円、地方公共團体財政の実情に鑑みまして、地方費支弁職員支給する特別の一時手当財源地方公共團体に貸付けるため十三億九百六十余万円、合計四十二億三千四百九十余万円を追加いたしますのと、貿易資金繰入の既定予算につきまして七億六千万円を修正修正減少いたしまして、差引補正増加額三十四億七千四百九十余万円と相成つておる次第であります。この歳出予算補正増加額財源といたしましては、所得税收入増加八億円、煙草渡價格の改定による専賣局増金増加二十六億四千五百二十余万円、前年度剰余金二千九百七十余万円と相成つております。  次に、特別会計予算補正特第六号について申上げます。特別会計予算補正は、地方分與税分與金特別会計外十七の特別会計に関するものでありましてその予算補正額は、各会計合計いたしまして、歳入四十八億三千百七十余万円、歳出二十一億九千百五十余万円の増加と相成つております。この歳出増加内訳は、政府職員に対し特別の一時手当支給に必要な経費十九億六千六百十余万円、右の一時手当支給財源として他会計又は他勘定へ繰入れ一億九千百七十余万円、地方分與分與金増加一億九千三十余万円、合計二十三億四千八百二十余万円を追加いたしますのと、既定予備費予算等を一億五千六百七十余万円修正減少いたしまして、差引二十一億九千百五十余万円の増加と相成る次第であります。  右の中、國有鉄道事業特別会計工事勘定所属職員及び通信事業特別会計建設勘定所属職員の特別の一時手当支給に必要な経費財源は、これを公債金收入によることといたしました。その金額は、國有鉄道事業特別会計におきまして六千六百八十余万円、通信事業特別会計におきまして二千五百四十余万円であります。  以上を以ちまして昭和二十二年度一般会計予算補正第十二号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第六号の説明といたします。尚本補正予算案成立の上は、さきに前國会において成立いたしました一般会計補正予算第十号及び特別会計補正予算特第五号と相俊ちまして、官公職員に対しこの際二ケ月分の一時手当支給し得ることとなるのでありまするが、中労委裁定に係る残りの〇・八ケ月分につきましては別途財源を用意いたし、でき得るだけ近い機会において支給し得るよう取計ろう考えでありまして、いずれこれに関する法律案及び予算案を当國会に提出し御審議を願う考えであります。  以上の次第でありまするので、本案につきまして早急に御審議の上御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  4. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 質疑に移ります。御質疑はございませんか。
  5. 石坂豊一

    石坂豊一君 この予算は極めて重大な意味を含むものと存じまして、政府に対し二、三主なる点について御所見を伺いたいと存じます。今更申上げるまでもなく追加予算財政法の二十九條によりまして、容易に提出すべきものでないことは誰しも理解しておるのであります。殊に先の補正予算第七号の冒頭におきまして、本員が片山総理に伺つたときにおきましても、今後追加予算というものはそう濫発する意思はないので、行政機構即ち内務省の廃止に伴う、及び法務廳の設置その他石炭國管等に関するものを含むというようなことで、かような経費は少しもお述べになつておらないのであります。併しこの予算要求せらるる原因については、我々もよく理解し得るのでありますが、ただここにお伺いしたいのは、さきについこの二、三日前に補正第十号、特第五号として御要求なつた、その際において、これが何がために併合して提出することをなさらなかつたのでありますか、その当時政府としては全く一ケ月分だけで止めて置くお考えであつたのか、或いは又中央労働委員裁定については、尚若干交渉の余地ありとして、その分を今恰も〇・八をお残しになつたような意味で留保さらるる意味であつたのか、私はこの案を手にして頗るその点について疑いを持つのであります。殊に特別会計一般会計を通じまして、この押し詰つた年末において、全部これが消費方面に廻るのでありまして、生産方面に廻るのでないのであります、かような巨大なる財政支出をなすということになりますと、そこに立ちどころにインフレが増大することになることは、これは当然のことであります。政府さきに千八百円ベースを堅持して、あくまでもこれが物價体系と共に一つ日本経済危機突破のために堅持して行くということを、安本長官もこの議場で言明なさつておる。然るにも拘わらず、ここにこの予算を我々は手にしなければならん、而もこの紙ずら一枚で、今御説明なつ特別会計の問題も何も私らは見ておらない、全く政務次官の御説明だけを聽いて質問しておるようなわけでありますが、どうかその点について政府は赤裸々に、我々は追究しようとする意味じやないただ如何にも國民の前に追加予算が頻頻と出て、而してそれが政府においてどういう方針の下にこうなさるのであるかということを明らかにして置かなければなりませんから、この場合において極く親切に一つの御答弁を願いたいと思います。
  6. 小坂善太郎

    政府委員小坂善太郎君) この予算を提出いたしまする前に、只今御指摘のように、一ケ月分の政府職員に対する一時手当支給に関しての予算的支出を御協賛願いましたのでありますが今又ここに改めて追加の分についての予算を御提出申上げ、遽かに御審議を願うようになつ情勢につきましては我々といたしまして石坂委員のおつしやることはよく御眞意は分るのでありまするが、一應我々としての事情をお聽き取り願いたいと思うのであります。尚廣汎なる政治的な一連の関係についての説明等は、私たち申上げまするよりも、むしろ後刻西尾官房長官が参りまして説明いたす方が更に適当だと考えまするから、その機会に譲りたいと思いまするが、我々といたしましては、さき予算提出の際には、当時の財源等とも睨み合せてあの程度のことが、一般情勢にも響き増する度合をも勘案いたしまして適当と存じました次第でありまするが、中労委裁定ということに関して、政府はこの裁定を飽くまで尊重する建前を取つております。併しながらこれは國家全般財政状態との関連も極めて深いものでありまするから、その点を勘案してその時々にでき得る限りのベストを盡して行こう。こういう立場で当時としては一ケ月分ということを申したわけであります。その後に政府はいろいろと研究いたしました結果、飽くまで中労委裁定を尊重して、二ケ月八分を出そうということに決意いたしたのでありまするが、差当りまして、いろいろの財源を考究いたしまして、可なり國家財政歳入の面も苦しいことは、石坂委員もよく御承知の通りでありますので、その際においてこの一ケ月八分を丸々出すということも、甚だむつかしい事情もありましたので、又一ケ月ここに御協賛を願おうと考えておるわけであります。一般勤労者生活の状況というものも、なかなかに歳末を控えまして苦しいものでありまして我々としましては千八百円ベースを堅持するという考えは、いろいろそこに前提條件がございまして、この前提條件を充たされるものといたしましての千八百円ベース考えておるのであります。併しこの千八百円ベースということは、当時にもいろいろと御説明があつたと存じますが、一應の基準でありましてこの基準を以てそこに多少の調整を加えて行くという意味は、これは当時と雖も考えておりまして、この際調整を加えることが適当だろうと存じてこの一時資金を渡すことに決めておるわけであります。で、我々といたしましては只今も御説明申上げましたように、〇・八ケ月分をできるだけ早い機会財源と睨み合せて支出いたしまするように考えておる次第でございますが、この財源としましては、ここにも提案申上げておりますように煙草値上げでありまして、そういつたような、一般國民生活にもいろいろと影響が鋭敏であるようなものを取上げてこれを充てなければならないのでありまするがこの影響が循環いたし、撥ね返えりまして次の物價体系に相当好ましからざる影響があるということも考えて行かなければなりませんのでありまして、私共としてはできる限りその影響を少くしようと考えながら、而も勤労者一般生活を勘案いたして、支出をして行かなければならぬという非常に困難なる財政状態を控えての措置でございますので、いま非常に万事が円満に運行して行くような政治的な、或いは経済的な條件の下において考えまするならば頗る批評がいろいろとできるようなやり方であると考えております。併しこの際といたしましてはこれが又止むを得ざる処置であろうというふうに考えてやつておるわけであります。御諒承願います。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この予算歳入上の面におきまして、「ひかり」の自由販賣並びに配給煙草値上げという点がありまして、合計両方歳入が二十五億でありまするが、これにつきましては相当の價格更改等もあるものと思いますが、その内容について当局より御説明願いたいと思います。
  8. 河野一之

    政府委員河野一之君) 西郷委員の御質問にお答え申上げます。「ひかり」の自由販賣でございますが、「ひかり」の現行の四円のものを五十円にいたします。そういたしまして自由販賣にいたす予定であります。その本数は年度内一億五千万本、益金増收額では六億八千百万円となります。大体今月の二十日頃から値上げをする予定であります。以下配給煙草でありますが、これは「朝日」の現行十本三円でありますが、これが七円五十銭と相成ります。「朝日」はこれは二十本入りでございますので、六円のものが十五円になるという勘定が普通の勘定でありますが、大体十本で三円が七円五十銭、これが一億五千万本、益金で六千七十五万円、それから「みのり」がこれは一本換算で参りますと十本が二円ということになつておりますが、これを五円にいたします。三十六億本でありまして、九億七千二百万円、それから「のぞみ」が同じく二円のものが五円に相成ります。本数で三十四億五千万本、益金で九億三千百五十万円であります。配給品は大体明年一月からのものについて、一月から実施いたしたいと考えております。その他「金鵄」は殆んどストックがございませんので特に益金としては見込んでないのでありますが、大体現行二円五十ぜちのものを六円程度にいたす予定でございます。
  9. 石坂豊一

    石坂豊一君 只今政務次官の御説明を伺いましたのですが、この〇・八の方の金額は総体おいていくら程になるのでありますか、而してこれを支給せられる時期はいつ頃にお考えになつておるのでありますか、その点を伺いたい。  尚又先程中労委裁定については非常に重要視するということを仰せられたのであるが、一應の道理はございます。併しながら中労委において裁定するのものは、悉く政府がそれに服從して行くということになりますと、政府以上の権力をここに持つて行けるということになりますと、財政計画も何も立つものでなかろうと思う。政府においては、経済安定本部が強大なる……調査その他によつて、強大なる力を財政に加えておる。それにも増して更にそれ以上に中労委で万端の裁定をして、それを政府に押しつけるということになりますと、將來財政計画というものは、始終それらに左右せられるということを、我々は非常に憂うるのであります。從つて議会も亦それに束縛をされるということになりますと日本國家権力が、すべてがそれらの方に所属してしまうという譏りを受けても止むを得ないことになりはしないか、これは國民が環視の裡に我々が解決して置かなければならんものであります。而して最近の状態を見ますというと、この官公職員なるものは、いわゆる中には黙々として働いておる者が多数ありますが、中にはもうサボつて働かないのですね。今日農林省に行つた人の話では、約三局ばかりは人らしい人は居ない。全部空になつておるということであります。かようにねだられて政府がそれに服從して行かなければならんということになると、將來官紀はどうなつて行くか、その点を考えますと、我々は誠に憂慮に堪えないのであります。從つて本案予算を審査いたしますに当りましては、我々は愼重なる考慮を加えなければならん。政務次官は居られるが、いずれどなたか國務大臣が見えましたら御質問を申上げるつもりでおりますけれども、我々は今胸襟を披いて、政府議会とが胸襟を破いて、隔意なく話合いをしておることでありますから、我々の衷心より憂うるところを申上げる。何でもかんでも叱言を言つてねだれば、政府がどんな苦しい中からでも出して行くということで、内兜を見透かされてしまうと、もう際限がないことになつて、而してこの追加予算の金を市中に出すということになりますと、先程申しました如く、殆んど大部分は消費経済の方に廻るのでありますから、これが直ちに生涯を促すというようなものでないので、立ちどころに物價騰貴の最大なる原因をなすということは、何人も見るところであります。而して又それが他の民間の從業員にも及び、地方公共團体においても押えの付かないようにそれからそれへと波及して行くことを考えると、これは誠に重大なる問題であると考えるのであります。政府將來において、余程この点に考えをいたされまして叱言を言えばすぐさまそれに押されて行くということであるならば、殆んど政府が要らんと言うても差支ない。殊に現内閣社会党内閣であつて労働攻勢に対しては、最も理解のあるところの解決力を持つておるということは、私は國民が期待しておると思う。その点においてすでに防禦線を破られるということになりますと、殆んど内閣の鼎の軽重を問われるというような結果に終りはしないかと思いますので、特に御質問を申上げます。どうかその点を御説明願いたい。
  10. 小坂善太郎

    政府委員小坂善太郎君) 残りました〇・八ケ月分は一般政府職員に対しましては二十四億、それから地方公共團体に対しましては十二億、併し地方公共團体に対しまする分は、これは飽くまで貸付金という考え方で行きたいと思つております。返済を受けるという考え方で臨みたい。ただその支給の時期に対しましては、これはでき得る限り早い機会考えておりますが、適当な財源を捻出いたしますことに目途のつきました時において、又國会の御承認を得まして支出いたしたいというふうに考えておるわけであります。この中労委に対する考え方でありますが、中労委というものは申上げるまでもなく團体交渉の最終的な判断をなす機関でありまするが、その判断というものについては、政府はこれを尊重するという建前は持つております。併しながら尊重するということと、飽くまで屈從すると言いますか、それに從うということは別個のものであると考えております。要するにこれは一つ判断基準でありまして、その判断の中核を成すものは國民全般輿論でありその輿論政府が洞察いたしまして、決定するのが至当であろうと思うのであります。從いましてただ要求だけしておりまして、そうして賃金を取る、併しそれに対する労働責任というものを全然負わんということが、非常に世間一般輿論として、強く起つて來ますれば、当然にそういつた政府職員に対する支出というものが多過ぎるのではないかということになり、今御懸念のように、ただずるずる出すだけ出して、ちつとも働かないじやないか、というような御議論は解消するのではないかと思つておるのでございます。勿論政府といたしましては、政府自身責任におきまして、できる限り官紀の振粛に努めまして、聊かも國民の非難を浴びないように、でき得る限り自粛自戒して、大いに勉励いたしまするようにはいたしております。併し生活の問題について、実際に生活が極めて苦しい、いわゆる食えないということと、できる限り政府はこれを勉励いたしまして、その生活を保障しつつ勤労意欲を昂揚させて行こうという考え方を取つて行かなければならんということも、極めて必要なことでありまするが、政府といたしましては、只今そういう方針に対する解決手段の一環といたしまして、中労委裁定を今度は採択いたしまして、そうしてこの二・八ケ月分支給することにいたしたのであります。石坂委員の仰せのように、これらの支給は悉く消費資金になるだろうと思います。これは何人も異議のないところで、これが歳入を控えまして、一般の物價を更に煽るのではないかということも考えられるのであります。併しこれはその支給を受けまする政府職員におきましても、事情は当然分るのでありますから、その支出方法等におきましても、できる限り合理的に濫費を愼みまして、やつてくれるものと期待いたしておるわけであります。いずれにいたしましても、こういう問題はすべてインフレーション解決して行くということに全力を注がれてインフレーション解決し得て初めて解決できるのではないかと思うのであります。インフレーション解決方法につきましては、種々対策を煉つておるのでありますが、その対策についてくどくど申上げることはこれは先般來の予算委員会を通して、十分論議されたことでありますから、差し控えるのでありますが、要するに大きな問題として、國民全般の意識が、國を再建するために、自分一人々々の個人生活が、結局國の財政なり國の力になるということを確信いたしまして、個人の自覚が國家再建の上に昂まつて來るということが、最も根本であろうかと思うのであります。政府といたしましては、そういうことを期待しながら、日々の政策を遂行いたしておるわけであります。
  11. 石坂豊一

    石坂豊一君 御説明は一應拝聽いたしましたが、私共第一國会におきまして、労働省を新設いたしますとか、又その他各種労働問題に対して、非常に好意を以て決議をいたしておりまするものは、かくの如き事態に迫らざるように努めたいというところから出発しておるものと、私共は確信しておるのであります。又その意味で、今日でもそのつもりでおるのであります。然るにどうも結果について見ると、何か一騒ぎをやれば、そこに解決策が出て來る。この解決策に対しても、どこまでもねばつておれば、遂に政府がへたばるというようなことは、これは私は余り面白くない、その点を私は申上げるのであります。それは余人にはなかなか求め難いが、社会党中心の現内閣において、我々は大いに期待しておる。然るにその我々の期待が裏切られまして、一も二もなく、仲裁した者の言う通りになつて、最後にけりがつくというようになりますければ、將來どういうふうにこれは赴いて行くのであろうか、この点について我々は憂える。少しも騒がずに、黙々として働いておるところの多数の労働階級に対しましては、我々は又これに対しまして、どういう方法で報いて行くかということを考えますと、騒ぐ者にばかり味方して行くというようなことは、これは誠に悪例になると私は思うのであります。この予算てものに対しては、我々はここにどういう修正を加えるとか、或いは又これを返上するという意思は決して持つておるのではないのであります。ただ將來労働行政について政府の取られるところは、非常にそこに一種の断乎とした崇高な正しい方法を以て臨んで頂かなければならんと、それを要求するのであります。今世界各國において、敗戰國も戰勝國も、いろいろの問題が起つておる。けれども、最後はやはり正しいところへ傾いて行つておるのであります。政府におかれましては、その点は尚更ら御存じでありますから、かくの如き予算を小切りに何遍も何遍も出して、そうして最後には、騒いだ者の勝利に帰すというようなことになるようなことでは遺憾千万である。かように私は考えるのであります。いずれ大臣がお見えになりましてから重ねて質問をいたしますが、その点に対して政府の今後の御所見は如であるか、それも合せて伺つて置きたいと思います。
  12. 小坂善太郎

    政府委員小坂善太郎君) 石坂委員が、この予算の本質について、この予算を返上しようというような意味でないというお考えは、誠に有難たくお受けいたしたいと思います。ただこの予算の背後にありまする一連の政策であるとか、或いは政府考え方というようなことに対して、もつと突つこんだ反省が望ましいという御議論も傾聽いたします。併しながら政府といたしましても、イージーゴーイングに、ただずるずると押されておるのでは決してないのでありまして、それであればこそ、予算が小出しに出て來るという面もお考え願いたいと思うのであります。ただ我々といたしましては、石坂さんがおつしやいまするように、できるだけ行政機構を簡素化いたしまして國民の過重の負担にならない、いわゆる能率のよい行政機構を作りまして、そうして國民全般意思を盛り上げて能率的な行政をやつて行き、そうして國家の再建を期して行きたいというふうに考えておる、このことを申上げて置きたいと思うのであります。決して我々といたしましては、徒らに狐疑逡巡して荏苒日を暮しておるわけではないのでありまして、常に夜となく晝となく、その対策について腐心をいたしておるのであります。併しながら敗戰國のみじめなる経済状況のために誘引いたしましたインフレの怒濤が、我々の生活を押し流し洗い流しておる限りにおきましては、その生活の苦しさのなかに喘いでおる人たちに足しましてこれを看過するわけにも参りませんので、諸般の財源を睨み合せながら、こうやつて予算を御協賛つておるわけであります。政府といたしましては、ただここにはつきり申上げて置きたいことは、苟くも財源のないような支出だけは決していたしません。あくまで支出いたしまする財源歳入考えまして、而も普通歳入において歳入を獲得しながら支拂つて行くという、いわゆる健全財政の原則だけは確保いたして行きたいと思つております。行政機構の全般の問題に対しましては、今私の申述べました趣旨に從いましていたしておるわけであります。ただ問題はそういう一氣呵成には参らんのでありまして、甚だよそ目には、ただ荏苒日を空しゆうしておるようにもお考えになるかも知れませんが、我々といたしましては、一連のインフレ対策を立て、そうして國民の負担が徒らに過重しないらうに、深甚なる考慮を拂つておることを申上げて置きたいと思います。
  13. 石坂豊一

    石坂豊一君 只今小坂政府委員が非常に流調に御説明下さいましたけれども、私は飽くまでも健全財政の許す範囲において御執行になつておるというその御意見に対しては謹んで返上申上げます。そのお心は十分分つておる。現にこの予算執行に当りまして、特別会計の鉄道においては六千万円、通信においては三千五百万円でありましたか、私共はただ聞いただけでありますが、こういうのは借入金、若しくは公債で支弁されることになつておるのであります。決してこれは財源がある限りではという程度のものでない、非常に搾るだけ搾つてそれは赤字公債でやつたよりも、もつとひどい結果を齊すような歳入まで御見込になつておる。そういう点はお心は至極分つておりますけれども、実際に表れたところの財政計画に対しましては、私共はその点は全然一から十まで御承認することはできない、どうかそういうことを堅持して頂くことには、我々も協力しなければならず、又御希望も申さなければならん、かように考えます。而して政府が先に本月の七日、現に大藏大臣から発表になつておる我が國の財政現状から考えましても、私共はこの予算政府がお出しになるについては、非常な御苦心の結果だろうということは拝察もする。その中には決して今度又支出する経費がかくかくのものが残つておるということをお述べになつておらんけれども、もう日本財政というものは國民所得の四十八%は財政支出に取られておるのであるというようなことをお述べになつておりまするし、それから昭和十一年には國民所得の十二割ぐらいしか租税がなかつたのが、今度は二十一割にもなつておるというようなことを愬えられておるのであります。御苦心のことはよく知つておる。そうなればそうなる程、十分この追加予算をお出しになるにつきましても、先の見通しをお付けになつて、而して一旦ここで御言明になつた以上は断乎として追加予算を出さないところの決心を堅持して貰いたいのであります。小出しに何遍も何遍もお出しになるというようなことは、これは折角御弁明になつても終いには信用できないようなことになりはしないかと、こう考えます。いずれ又改めて質問いたしますけれども、他の型からもございましようから……。
  14. 櫻内辰郎

  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 提出された一般会計予算補正第十二号につきまして、数字の内容についてお伺いいたしたいのですが、歳入の面につきまして、所得税の増收八億、この内容について先ずお伺いいたしいのであります。
  16. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは今囘の一時手当を出しますにつきまして、その撥ね返りといたしまして、撥ね返りと申しますか、税が掛かるわけであります。その收入見込額であります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この前も一ケ月分を我々が承認をした場合撥ね返りというのがありましたが、その時も相当問題になると思つたのですが、そこで緊急所得税の増收というのはこれはこの手当をやつた中からこれだけ又取返す、取返す分が財源になつておるように解せられる。併しその次の財源を見ますと、「光」の自由販賣配給煙草これを今御説明を聽いたわけですが、そうしますと全くこれは大衆課税である。殆んど大衆課税によつて財源を賄うということになつておるのでありますが、私はこの手当を出すということについては、むしろ遅きに過ぎるくらいに思う、中央労働委員会の裁定政府が尊重するということについては賛成なのでありますが、從つてこれは問題はこの財源にあると思うのであります。一体政府は、今後の二十三年度の予算編成についても問題となるのでありますが財源を殆んどこの煙草とか、その他の大衆税に求めておるのですがその外の財源というのは一体お考えなつたことがあるのかどうか。そこでお伺いしたいのは、残りの〇・八ケ月分についての財源についてはやはりこういうような煙草値上げとか或いは運賃の値上げとか、或いは郵便料金の値上げとか、再びそういう大衆税となるようなものによつて財源を求められるでしようかどうか。この残りの〇・八ケ月分の財源についてお伺いしたのであります。
  18. 小坂善太郎

    政府委員小坂善太郎君) 木村さんの御指摘のように我々としましても財源煙草に求めるというような点につきましては、極力これを避けたいと思つて苦慮いたしておつたのであります。併しながら現在のこの状況をいろいろ見まして、又煙草というものが比較的嗜好品的なような性格もあるものでありまするからして、まあ一つできるだけ耐乏して頂くという趣旨におきまして、この煙草値上げ財源を求めざるを得なかつたのであります。我々としましてはこの「光」の、こういう問題は極力触れたくなくて、先般の追加予算の編成におきましてもこの問題を、例えば「光」にいたしましてもこの引上げを押さえておつたような次第なんでありまするが、今囘又止む得ざる事態におきまして、この値上げを決定いたしたようなわけであります。  次の〇・八ケ月分の財源につきましては目下のところ何とも申し上げまするような段階になつておらないのであります。一つ御了承願います。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今次の〇・八ケ月の財源についてはまだはつきりしておらないというお話でありますが、それだけに我々としてはお伺いしたいのでありますが、やはり又煙草値上げ等等の大衆税的なものによつて賄うことについては我々はもう反対でありますが、その外に財源がいろいろ見付けてないならば、それは仕方がないのです。併し外にあるに拘わらず、政府はその財源を本氣になつて掴もうとしていない、そう思うのであります。從つて〇・八の財源についてはそういう大衆課税的なものでなく、そういう運賃の値上げとか、或いは通信料金の値上げ煙草値上げと、そういうものでなく、それ以外の方面から何か財源を求めるお考えがあるかどうか、もう一度くどいようですが、お伺いして置きたいのです。
  20. 河野一之

    政府委員河野一之君) 木村さんの御指摘の通り、この財源の調達の点については、或いは遺憾の点も多々あるかと思うのでありますが、現在の我が國の財政の状況からいたしまして、現在のところ止むを得ないのではないかと考えております。この外に大衆課税と申しますか、かかる財源の調達以外において他の方法考えて見てはどうかと、こうおつしやるわけでありますが、その点につきましても私共十分な努力をいたしておりまして、今後における〇・八ケ月分の財源の調達につきましても、先ずそういつた面について調達し得るものがあるかないか、十分に見当して見たいと思つております。見たいどころではございません。現在その見当をいたしておるような次第でございます。成るべく御趣旨の点に副うように予算の編成をいたして参る考えでございます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この鉄道運賃の値上げとか郵便料金の値上げの問題は、二十三年度予算の編成に当つては、私はどうしても問題になつて來て、この程度如何が問題になると思うのであります。それは別とすれば、これは不可避の問題となると思うのであります。併しながら今囘の一時手当支給財源としては、そういう運賃値上げとか、或いは通信料金の値上げ、そういう形においては我々はやつて貰いたくない。飽くまでもそれは切離して考えるべきであると思うのてありますが、これは只今御主張申上げても、はつきりお答えがないようであります。無理のようでございますから、この程度にして止めます。  次にお伺いしたいのは、この前に煙草値上げをした際に、安定本部も千八百円ベースを脅やかすから反対であるというので、非常に問題が起きたことを我々は承知しておりますが、今度このような煙草値上げをやる結果、千八百円ベースに当然響いて來ると思うのであります。而も中央労働委員会の裁定案を政府が承認されたということでありますが、あれには來年の一月から賃金改訂をすることになつているようでございます。その点もありますし、それから二十三年度の予算編成との関係もありますので、この千八百円ベースについて、予算編成の上からどういうふうに考えておられますか、この点についてお伺いして置きたいと思います。
  22. 小坂善太郎

    政府委員小坂善太郎君) 先程も申上げましてように、二十三年度の予算の際には、どうしても煙草或いは鉄道運賃というものは問題になると思うのであります。併し只今の段階におきましてもそうであるからといつて、運賃も煙草も全然問題外にするという考え方もできないかと思うのであります。要するに全般の問題を考慮いたしまして、極力財源を漁りまして、皆さんの御承認を得る範囲内で財源を見付けて行きたいという考えでいるのでありまして、今囘の値上げが千八百円ベースにどの位撥ね返るかということでありますが、この点に関しましては、全般の問題として先程も河野主計局次長から申上げましたように、煙草本数も少い。全般から見ましても大した本数でもございませんから、差当り直接の大きな撥ね返りというものはなくて済むのではないか、又これは國民全般生活態度によるのでありまするが、極力耐乏の生活に甘んじて頂くことによりまして、この値上げによる影響を極力少くして頂くことができるのじやないか。左様に期待しておるわけであります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に歳出の面につきまして、この前は地方團体のため、國庫が負担する分があるのでありますが、この歳出においては、その関係はどういうふうになつているのでありますか、一般会計職員分の方に、この中に入つているのでしようか。
  24. 河野一之

    政府委員河野一之君) この印刷が或いは工合が悪かつたと思うのでありますがこの中に入つております一般政府職員の分が五億九千四百六十万円公共團体に対して國が補助いたしましております補助職員、これが三千六百九十万円、それから警察関係が一億千九百六十万円、義務教育関係が二億九千八百四十万円、合計いたしましてこの数字になるわけであります。
  25. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) この際本案に提出になりました経緯につきまして、西尾官房長官から御説明がある筈でありますからお願いいたしたいと存じます。官房長官
  26. 西尾末廣

    國務大臣(西尾末廣君) 官廳職員の待遇改善問題に関して、その経過及び中央労働委員会の調定案に対する政府方針を御説明申上げたいと思います官公廳各労働組合が全官公廳労働組合連絡協議会を組織いたしまして、八月十五日に政府に対して適正價格による生活必需物資の完全配給を裏付けとしこれに必要な地域差を考慮した裁定賃金制の確立並びに生活補給金として一月より六月までの赤字補填金本人二千円不要家族一人に付き一千円の支給要求し、これに対して爾來数次の交渉を重ねたのでありますが、政府はこの要求に対して、新物價体系を確立するため、千八百円賃金基準の堅持が労働者のみならず、國民全般生活を安定に導くゆえんであるとし、その要求の全面的に承認し難いことを主張し來たつたのであります併し政府は官公廳職員生活困難の実情を認めまして、凸凹調整金の支給、或いは給與の繰上支給等を行いまして、当面の生活困難打開の可能なる限りの措置を講じますと共に、政府の施策に照らし、正当なる要求はこれを承認して、その円満なる解決を図らんといたしたのであります。然るに官公廳各労働組合を代表する交渉委員の攻勢は、それぞれの異なる意図と共同闘爭的組織となつておりましたために交渉は円満に進展せず、これを以てしましては、その円満なる解決点に到達することが至難な状態であると考えておつたのであります。從つて中央労働委員会に関する調定申請を期待し、この調定機関による解決を期待しておつたのであります。組合側におきましても、その後九月十五日に至りまして全逓信從業員組合が先ず中央労働委員会に提訴し、國鉄労組、日教組等も引続き提訴いたしたのであります。政府中央労働委員会の裁定の公正を確信し、その権威を尊重することが労働爭議を平和的に解決するゆえんであるとの信念に基きまして調定案の速かなる提示を期待しておつたのであります。全逓信從業員組合が提訴して以來、中央労働委員会がこの極めて困難なる問題に対しまして、調定案作成に努力されたことに対しましては政府は深く感謝するところであります。かくて十一月十四日に全逓信從業員組合の申請に対する調定案が提示されるに至つたのであります。政府はこの調定案に対しまして、これを政府職員全体に対するものといたしまして、研究をいたして参つたのであります。中央労働委員会の調定案は全逓信從業員組合、國体労組の申請に対するものであります。寮舎共に大体同一のものでありまして、全逓信從業員組合に対する調定案を中心として、全官公廳職員の待遇問題について御報告申上げることができると思うのであります。御承知の如く全逓信從業員組合の調定申請事項は十項目の多きに亘つております。今囘の調定案に取上げられた事項は、一、物價安定を基礎とする裁定賃金制の確立、及び2、生活補給金の支給の二項目であります。この二項目は、全官廳職員に共通する問題でありましてこれを解決することによつて、官廳職員の待遇改善問題はその殆んどを解決することになつておるのであります。勿論全逓信從業員組合の調定申請事項中には、電氣通信事業の民主的一元化又大藏省預金部中、逓信省関係資金運用権を逓信省に移管し民主的に運営せよ、更に官廳労働組合の團体協約に対する八月二十日付閣議決定を撤廃せよなどの項目がありますが、これらの事項を労働問題として、労働爭議調定法に基き裁定すべきや否やに関しては、幾多檢討を要するものがあるのであります。政府といたしましては、かかる政治行政部面において解決すべき事項まで労働委員会の裁定に委ねることに対しては反対の意向を持つておるのであります。これらの問題に関しましては、中央労働委員会に政府の意向を傳えその公正なる判断を期待しておる次第でありますが、今囘の調定案に示された裁定賃金制の確立、生活補給金支給の大体の内容を申上げますと、裁定賃金制の問題に関しましては、新給與体制を確立し、これを明年一月より実施することを指示しておるのであります。本件に新給與体制の確立に関しましては、政府においてもすでにその必要を認め、これが準備を進めつつあつたのであります。即ちこの際、從來の給與制度を根本的に改善檢討をすることといたし、職階職務給與制の採用と民間における能率給を加味した新給與体系を確立し、規律の確立と、誠実なる勤労に対する生活の確保を期しておるのであります。幸い、中央労働委員会の調定案においてもこのことが指示されましたので、調定案の趣旨を尊重し、速かに新給與体系の確立に関する委員会を設置いたしまして、十分なる審議を逐げ、その万全を期しておる次第であります。  次に生活補給金の支給に関しましては、本年一月より十二月までの生活赤字を推計し、乙地五人家族を水準として、これに五千六十二円即ち二・八ケ月分の支給を指示しておるのであります。この生活補給金の問題に関しましては、政府は最も愼重なる檢討を逐げまして、官廳職員の待遇改善に万全を期すると共に、健全財政の堅持、新物價体系影響なきを期しておるのであります。中央労働委員会の調定案に対する囘答が、諸般の事情でまだ発表の時期に至つておりませんが、労働爭議を平和的に解決するためには、中央労働委員会をその機関として権威付けることにあると信じておるのであります。從つて政府は調定案の趣旨を十分に尊重し、調定申請事項の平和的処理に努力しておるのであります。  調定案の指示する生活補給金は、労働組合側の要求にも示されております通り、本年一月に遡及して生活赤字を救済しようとする、いわゆる犠牲補填の思想に出発するものであります。過去の犠牲を補填しようとする思想を容認いたしますときは、あらゆる部面において問題を派生することが懸念されますので、政府はこの思想に対しては断乎否定せざるを得ないのであります。併しインフレ進行の祖師に協力し職責遂行に精進する官廳職員生活困難に対しては深く感謝し、同情の念禁ずる能わざるものがあります。この意味におきまして、中央労働委員会の調定案はこれを十分尊重し、その生活困難を緩和せしめたいと考えておるのであります。そこで政府といたしましては、臨時的給與につきましては、これを過去に遡及することなく、要求が提出され、労働協約の更新期以降について考慮することといたしたのであります。新物價体系に基く賃金基準は、生産能率に即應するものであつて、生産の上昇と共に賃金も亦上昇する仕組となつておることは周知の通りであります。從つて物價体系確立後において民間企業の賃金水準が向上いたしましたことは、生産能率の囘復を示すものとして、一面よりすれば慶賀すべき現象とも言えるのであります。これに対し生涯を伴わない官廳職員給與は、民間企業の労働者と均衡を失するに至りましたことは、けだし止むを得ないといわてければなりません、かかる不均衡を是正して、國民生活に均衡を得せしめるためにも、官廳職員給與引上の措置を必要とすると言わなければならんのであります。政府は、以上の理由に基きまして、調定案の提示する二・八ケ月分の給與支給することとし、これによつて官廳職員生活を再建さしめ、以てその職責遂行に遺憾なきを期せしめたい方針であります。併しながら御承知の如く現下財政の困難は、容易ならざるものがありまして、これを一時に全額支給することは到底至難な状態にあります。從つて次のごとく措置したいと考えておる次第であります。最初の一ケ月分については、先般すでに御協賛を願つたのでありますから、これを本月十五日前後に支給することといたしております。次の一ケ月分の支給については後刻大藏大臣から御説明があるかと思いまするが、本月下旬にこれを支給することといたしたいのであります。残りの〇・八ケ月分につきましては、目下その財源に関して極力努力しておりますが、これが調達は現在至難な状態にありますので、財源が確保され次第國会に提出して御協賛を経たいと考えております。その時期につきましては大凡明年一月の國会再開劈頭を予定して準備を進めておる次第であります。  以上政府は官廳職員の待遇改善に関して、健全財政堅持を前提として、あらゆる予算的措置を講じ、その遺憾なきを期しておるのであります。財政窮乏の折柄、敢えて中央労働委員会の裁定を尊重し、大乘的見地に立つて、爭議の平和的解決に努力いたしておりますのは、國民生活に均衡を得せしめ、以て一丸となつて現下の危機を克服し國家再建に邁進せしめたいからであります。尚この際とくに一言いたしたいことは、官廳職員に対する今囘の給與は、民間企業の給與と均衡を得せしめるためのものでありますことは、前にも申した通りでありますが、この点更に強調いたしますのは、從來の民間給與は官廳職員に例を取る事実があつたのであります。官廳職員の今囘の給與には、賞与とか越冬資金という性質は全然ないのでありまして、民間企業がこれに追随するというようなことがありますならば、折角緩和しつつありまするインフレを刺激し、測り知ることのできない経済危機を招來することすら懸念されますことでありますので、とくにこの点に御留意を願いたいと考えておるのであります。  最後に官廳職員給與の増額は、國民の負担を加重することなくして行い得ないのでありますから、一層職務に精励し、以て國民の期待に應じなければならないのであります。從來生活困難を理由として、官紀を紊り、業務に支障を與えたもののあつたことは誠に遺憾とするところであります。政府は悪質なる業務妨害に対しましては断乎たる方針を以て臨んで來たのでありますが、今後更に組合運動その他に名を籍りて公務員としての職責を自覚しない者がありますならば、官紀に照らし巖重に処断する方針であります。  以上、官廳職員に対する待遇改善を中心といたしまするところの調定案に対する政府方針を御説明申上げた次第であります。その生活困難の実情を御賢察下さいまして、政府、今囘の措置を何卒御了承御賛成願いたいと存ずる次第であります。
  27. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑はありませんか。
  28. 石坂豊一

    石坂豊一君 國務大臣の西尾さんが見えた機会に、次の質疑を二、三繰返して確かめて置きたいと存じます。実は只今のは全く政府議会と極めて懇談的に行われておるのでありまするから、そのつもりで極く形張らずに御説明願いたいのでありますが、まだわれわれは予算書も何も貰つておりません。この紙一枚しか貰つておらんのでありまして、これは一般会計のものでありまして、特別会計の方はわれわれに廻つていないで、政務次官説明を聽いて面影ながら特別会計の概念を知り得るようなわけでありますから、政府におかれましても胸襟を披いて御説明を願いたいのであります。  実は追加予算の提出につきましては昭和二十二年度補正第七号の劈頭において片山総理質疑をした次第でありますので、そうたびたびお出しになるような傾向もなかつたのでありますがその後実際は囘を追うてますます提出せられまして、今までに一般会計は十二号、特別会計は五号に達しておるというようなわけになつておるのであります。そのことを敢えて咎めるのではありませんが、この第一囘國会の最後の日において、補正予算第十一号というものが審議されまして、私どもはそれで打止めのように考えておつた。而して第二囘國会なるものは十二月の十日から召集はされるけれども、これはもう各派とも直ぐさま休会になつて、一月の二十日頃まで休会になることは誰しも考えておつたことで、新聞等においても公然どの報道にもさようなことになつてつたところが昨日來て見ますと藪から棒に予算が出るのであるというようなことを聞いて、実は驚いておるようなわけで、段々その内容を伺つて見ると、只今説明なつ中央労働委員会の裁定に基く処置であるということも判明いたしたのであります。然らば先に補正第十号において一ケ月分を要求なつた。それで抑えが利くこととわれわれは考えておつたのでありますが、更に一ケ月を加える。この処置に対しては、何と申しましても労働攻勢に抑えられて、止むを得ずこの臨時の処置を取らなければならんことになつたようにちよつと恰好がついて見える。ここにおいてわれわれが非常に心配するのであつて、社会党を中心とする現内閣が最も労働攻勢を緩和せらるるところの手腕あり、又確信を持つておられて、現に昨年の十二月十七日解散要求の決議を説明せらるる片山氏の説明においても、その点については非常に自負しておられた。然るに拘わらずこの予算の上において中央労働委員会の裁定に多少服從するようなことなく、これに対して相当の修正を加えられるような意氣込みでおられたのが、俄かにかような態度を取られたということについては、非常に我々は心配をする。只今西尾官房長官の御説明の最後において苟くも官紀を紊るとか、又いろいろのことを給與を理由として、結合して不穏の行動をするという者に対しては、断乎たる処置を施すと言われておられるけれども、他の省は知りませんが、農林省のごときは局長以外に二、三人の者が出ているだけで、後はがらん洞のような状態になつておる。現に何も仕事はできておらんで帰つて來ている我々の同僚がいる。そういうような人が見て憤慨をしているような状態なんです。そんなことが各所において蜂起するようなことになれば今後何囘でも繰返す。而して政府はこれを採り入れて予算を出すということになりますと、何も言わず黙々として働いた者に何を以て酬いてやることになるか、これは非常な片手落になり、やらん者は得して行くというようなことになりはしないかということを私は眞に心配をするのです。その点について先程政府委員の方と意見を交換しておつたのでありまするが、これに対し内閣の最も中心をなすところの頼もしい力強い西尾氏がいかなるお考を持つておるのであるか、もう一遍ここで一つ説明を願いたい。
  29. 西尾末廣

    國務大臣(西尾末廣君) この前第一囘國会におきまして、一ケ月分を要求して御協賛を願いましたのは、的確なる財源を得ることが甚だ困難でありまして、取敢えず的確な財源を得られたもので御協賛を願い、或いはそれによつて罷業に入ることなく、問題を解決することが非常に困難であるけれどもできはしないかということを政府は期待しておつたのであります。併しながら一ケ月分を年内に支給する案を提案いたしましたが、政府におきましては、それを以て足れりといたさないで、連日のごとく新らしい財源の発見に努めまして、同時に関係方面とも十分なる連絡を取り、了解を得るように努力いたしまして参つたのであります。ところが一方においては政府の囘答が元來から言えば十一月の二十八日にはしなければならんものが遅れておる。これは明らかに政府責任である。中労委の調定があつて、それが十日間以内に囘答しなければならんということになつておりますのを、財源ができないために再々延期を願つておるというような事情等に鑑みまして、問題の全面的な解決については極力努めて來ておつたのでありますが、実を申しますと、昨夜の十二時前になりまして、本格的に案が固まつたのでありますが、併し大体におきまして、昨日の午前中に、國会にもう一ケ月分出して頂けるような要求ができるようになるという見通しが付きましたので、この第二國会の劈頭にこの問題を御審議願うようになつたのであります。と申しますのはそれは何と申しましても、官公廳從業員の給與が民間に比べて低いということは一般輿論でありまして、これに対して酬いなければならん。政府方針といたしましては、これに二・八ケ月分の給與支給するということに方針が決まつたのでありますが、それが決まりますると、同じ給與をするならば、一月明けて二十一日の國会再開後に御協賛を願つて、一月の月末に官公廳職員にお渡しするよりは、何とかして年末にお渡しすることができますれば、いわゆる金が生きる。又政府の官公廳の從業員職員に対する親心というものも分つて頂ける。そのことはやはり執務の上にも響いて能率的になつて來るということを考慮いたしまして、今囘のような措置をお願いするに至つたのであります。尚こういう措置が労働攻勢に対する政府の譲歩、別な言い方をすれば労働攻勢に押されて政府が止むなくこういう今囘のような措置を取るんだというふうには政府考えていないのであります。率直に申しますと、今日までの、尚今日においても労働運動の行き過ぎということに対して政府は健全なる労働組合の発達のためにこれを是正したいと考えておるのであります。この行き過ぎは長い間彈圧せられ、組合運動の自由を失つてつた者が終戰後その自由が與えられたという、その圧縮されたものが、その圧縮しておつた力がなくなつたということから反撥的に急激に組合運動が勃興したのでありますから、そこに行き過ぎになるべき條件も備つてつたと思うのでありますから、一概にその行き過ぎを非難攻撃すべきものでないかも知れませんけれども、行き過ぎは行き過ぎとしてこれを是正する。そうして健全なる組合運動に発達せしむるということは労働組合法の精神にも即するのでありますから、政府は、この内閣は健全なる労働組合を促進するために労働組合の不健全なるやり方に対しまして率直に政府の見解を述べて、又不正なる労働組合運動に対しては戦つて來たつもりであります。例えばこの要求條項中にもありますところの、政府労働組合と團体協約を結ぶ場合に、前内閣で行われておつたような行き過ぎた労働組合運動の團体協約を、健全な組合の方針の方に是正するという方針を確立いたして参つたのでございます。又先般行われました山猫爭議等に対しましては断乎政府はこれに反対するという建前を取り、又その建前を実践して参つておるのであります。でありますから必ずしも労働組合の圧力に押されて政府がこの措置を取つたのではないのであります。然らば政府はこの措置を取つた根本の精神はどこにあるかと申しますると、これは一に中央労働委員会の権威を尊重し、中央労働委員会を権威あるものにすることによつて今後起り得べき官廳の……民間に限らず労働問題、労働紛議等を労働委員会に掛けることによつて平和的な團体交渉の間で労働紛議が解決するようにいたしたい。こういう考えから出発いたしておるのであります。率直に申しまして、中央労働委員会の調定案そのものを政府の見解によつて仔細に研究いたしましたなれば尚政府の側から言いますると不十分な点がないではないのであります。併しながらそういう点を部分的に政府が洗い立てることによつて中央労働委員会の裁定に対して政府でも中央労働委員会の裁定に從わなかつたのじやないかというような極めて通俗的な輿論が起りますことは今後の労働問題の平和的解決に支障がありはしないか、こういう考慮から中央労働委員会の権威を尊重するために中央労働委員会の下にむしろ政府が譲歩するという建前で今囘の措置を取つたのでありますから、その点はよろしく御判断を願いたいと思うのであります。
  30. 石坂豊一

    石坂豊一君 私共がこの予算について憂うるところは、財政的にはこの案の決つて発表されるときには非常なインフレ助長になる。つまり一般会計三十何億特別解決もこれに類する額が悉く消費経済の方に廻るのでありますから、その点を非常に心配しますのと、一つは今西尾君が頻りに労働攻勢に應じたのではない、こういうことに御言明になつております。又かくありたいのでありますけれども、何としても粘り強く喰い下つた者の方が勝つんだ、こういうようなことになつて参りますと、それらに対して非常な中井力のある政府ですら往生するのにそれ以下の者はその力には堪えん。我々の力を以てすれば、なし能わざるものはないのだ、こういう観念を勤労階級に與えるならば、將來の國務はどうなつて行くのか。その点を我々は非常に心配いたすのであります。現に今日も今申します通り、山猫爭議に対しては断乎として匡正すると仰せられるけれども、各地にその傾向がまだまだあります。私共書面を貰う、その書面のごときは先月の二十四日のものが今やつと廻つて來るのが尚あるのであります。そういうのを見ます時に、又北海道から青森を経てこちらに参りますその旅客の不満を訴えることを聞きますについてもこれは実に國家的問題である。社会問題として深刻なことでありますから、これを解決するのには、我々も共にこれは責任を負うてやらなければならんものでありますから、その点を非常に我々は心配いたすのであります。そこで政府において断乎たる所見を持たれても、將來一つ予ねての二、八だけの程度でどこまでも押して行かれるのであるか、それからその先の、二・八に応ずるが、併しながらこれは官廳労務者が民間に比して低いからそれを補うためにやつたのだ。その民間の方を追つ駆けて、それに倣つてこれに魁けをして行くようなことになつては、断乎としてこれを止めなけりやならんと言われたが、それに対する御所信も十分にあるかどうか。現に我々はこれを発表するというと、又民間が先に進んで鼬ごつこをするということを、皆で聞いて心配しておる。さようなわけでありますから、徒らに我々はここに貴重な時間を費やして論評する必要はないのであるが、この財政的にインフレ防止にこの際むしろ大なる影響あることを心配し、又一つには一般の官廳に対しても、却つてその官紀を緩める動機を與えるものではないかという心配をいたしまするこの両方面におきまして大いに深憂しておる点から申上げるのであります。どうかそれを諒として御説明願いたいと思います。
  31. 西尾末廣

    國務大臣(西尾末廣君) 石坂さんの御心配誠に御尤であります。政府におきましても、この政府の措置が民間に影響しまして、民間の労働組合が更に賃上げ闘爭をするというようなことのないようなことを期待いたしておるのでありますが、併しこれは民主主義の今日におきまして、政府の力のみを以てしてはできないのであります。今度のことは先に申しましたように、中労委裁定があつた。その裁定政府が從つた。こういうことなんであります。今囘のこういう政府の措置によりまして中央労働委員会、或いは中央労働委員会等のこの委員会制度を確立しこれを権威付けることによつて、又持ち込まれた労働紛議がこの調定委員会の決定に從う。労働者側においても、亦事業者側においても幾分の不満があつても決定があれば、重大なる過ちがない限り從うということによつて、却つて石坂さんの御心配になるようなことも防ぎ得るようになるかと思うのであります。又これは労働組合自身の民主的な発達、いわゆる健全なる労働組合に発展するということと併せて産業の平和が維持できるのでありまして、そういう面からも政府労働組合の健全なる発達のためにあらゆる便宜を図つて行きたいと考えておるのであります。又官廳の從業員にいたしまして、このことあつたが故に、いわゆるいい氣になつて又何かの問題で多大の要求をして來やしないかという御心配につきましては、政府中央労働委員会の裁定がありまするから、この裁定に從う。この点において、実は政府の見解によりますれば、從いにくいという論拠もあるのでありますが、併しそういうことについては、大乘的な見地から中央労働委員会の裁定を承認するそこで公正な立場を政府が一應取つておるのでありまするから、それにも拘わらず或いは地域闘爭であるとか、正常ならざる労働爭議の形等をとつて、職務の遂行をサボつたりするようなことがありまするならば、必ずや、世論が許さないだろうと思うのであります。そういうものにつきましては、政府がここで寛容な、公正な態度を取つておりますることは、そういう不正な労働運動があつた場合に、これに断乎として政府が対処するということがむしろ可能になるのだろうと思います。この際二三の点について中労委の決定に留保を付けるというようなことをして、何となく、しつくりしないという形を付けておりまするならば、むしろそれに藉口していろいろな紛議が起る恐れすらあるのであります。又起つた場合に、これを処置する上において、政府が断乎たる処置を取るのに欠くる点がありはしないかということを憂えるくらいでありまして、かような、政府が寛容な態度を取つたということは、石坂さんの御心配のようなことのないように、できる措置を取ることになるのであります。かように政府考えておるのでありまするから、万全を期して御心配のないようにいたしたいと思います。
  32. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は過去数囘に亙りまして、補正予算を決議いたしました。政府の、大藏当局から発表になつたところによりましても、四千三百億の壘を摩せんとしておるという予算をすでに議しておるのであります。而して國民所得九千億に対して四十八%絞り上げるということに相成るのでありまするが、それにも拘わらず、この大予算を我々は審議して、まさに可決せにやならん状態になつておることは、労働問題或いは又國民の、官公労働者の生活状態に同情の余り、これに涙を絞つて止むを得ず決議をするのでありますが、國民はどこに向つても、誰の経済を見ても、やはり赤字でありまして、殊に片山総理の言われる耐乏生活をしなければならん時代になつておるのであります。ここにおいて私共は西尾官房長官の言われたことを信じまして、政府において万全を期して巖正に施行して、インフレを防止し竝びに勤労者意味をますます向上して、日本の官界における秩序を政府において十分立て直すようにやつて下さることを確信いたしまして、私の質疑を打切りたいと思います。
  33. 河野正夫

    河野正夫君 長官に二、三点お伺いいたしたいと思います。先ず最初に西尾さんが。いや、現内閣がと申してもいいと思いますが、健全労働運動の発達のために努力せられたいということ、中労委の権威を重んぜられるという態度に対して敬意を表するものであります。そこで、健全な労働組合運動ということを申しまするが、そうして私は恐らく西尾長官と同じような考えだろうとは思いますけれども、今囘の、或いは昨年以來の労働攻勢というような事柄は、單に或る筋の不健全な考え方が、入いておるから、どうもなかなかうまく納まらないのだというような、批判には同意することはできないのであります。例えば今囘の日本建の組合側からの要求というものも、千八百円ベースというものが政府の手によつてと私は信ずるのでありますが、手によつてもすでに崩れて來ておる。諸般の情勢から言つて勤労階級の、いや一般國民生活が窮乏しておる中においても、特に勤労階級の生活が非常に困難である、当然何とかしなければならんこういう情勢に追こまれておつたのでありまするが故に、中労委裁定を待つことなく何らかの先手を打つ必要があつたのではなかつたか、こう思うのであります。この点につきましては今段々お話を承わつておりますると、中労委裁定を承服するというお話でありまするが、然らば二・八ケ月分のあとの〇・八ケ月分は、いかなる予算措置を講ぜられるつもりでありますか。こういうような点についても、成るべくやるものは早く出すものは早く出すと、こういうふうにあつさりとせられる方が健全労組の発展のためには願わしいと私は思うであります。  更に第一要求であつたと思いまするが、いわゆる賃金改訂の問題であります。これらについても至急その方策を講ぜられることが必要だと思うのであります。これらに関連いたしまして、これは國家の財政の重要な問題になつて來るのでありまして、中労委の権威は飽くまでも重んじなければなりませんけれども、この中労委、事と次第では政府と対立するのではなく、國会の意見と対立するということはあり得るのであります。そこで今後労調法その他何らかの任意の面でもよろしいのですけれども、改正なり何なりいたしまして、中央労働委員会においても、國会意思が反映し得る。或いは國会にも強制的に中央労働委員会が最高の権威を持つという場合には、政府は勿論承服しましようし、國会も論議の末には、とにもかくにも中央労働委員会が通したから仕方がない、こういうことになるじやないかと思います。その点をどう処理せらるる御方針でありますか、その点を承わりたい。いろいろなことを申上げましたが、要するに〇・八ケ月分乃至は賃金改訂方の促進方について、御意見を伺いたい。  それから中央労働委員会の権威を尊重するのは当然だと思いますけれども事が單純な勤労條件の問題でなく、全官公労の問題になると、國家財政の問題となる。そうすると國会の権威、中央労働委員会の権威、この調和の御方針を承わりたいと思います。  最後に私は決して政府が力に服したのだとは思いません。けれどもとにかく中央労働委員会の裁定というものは労働爭議を未然に防止するために、円満に解決するために調定があり得るので、して見るとこれは一つ労働者の團結によつて中央労働委員会の調定というものが、團結の力によつて生れて來ることは当然である。然るにここに片山首相が第一囘國会の劈頭において約束をし、その後閣議を決定し、いろいろな経緯を経ましたところの、例の新制中学の建設費問題というようなものについては、財源がないというようなことにおいて、追加予算として出すというお約束を頂いておりながら、未だにその措置が講ぜられないのであります。そういたしますると教員諸君は黙々として、教壇に立つておる。成る程新制中学のできたことについては運動はいたしましたけれども、これはいわゆる労働調定に掛けるような問題ではないという意味において、未だにそういう方向にはなつておりません。併しながらこれも一種の勤務條件であります。雨曝しの教場において、或いは板囲いの薄暗い部屋において、何とか子供のために働いておるのでありまするから、これは一種の勤務條件の改善という要求において、例えば職場放棄を企画して訴えるというようなことになれば通るのである。そうしないならば、これは速急の手を受けないのである。この点についても、健全労資の発達のために、私は憂うるのでありますが、この序でに伺いたいのですけれども、この追加、いわゆる六億四千万円の問題は、いかに処置せられるつもりでありますか、至急その処置法について、何らかの方針を明らかにせられたいと思うのであります。
  34. 西尾末廣

    國務大臣(西尾末廣君) 第一の質問が、何かこういうことにならない前に、政府が先手を打つべきではなかつたかという点の御質問もあつたようでありますが、私が元來この調定の、否、労働組合から調定に掛かる前に、政府交渉に來た時分に、主として私が交渉の任に当つたのでありますが先程経過報告の中にもありましたように、私はむしろ強硬に過ぎるくらい強硬な態度を以て、これに應接したのであります。その私の心構えを申しますると、元來この労働組合の交渉というものはやはり背後のその團体の力、そういうものを背後に控えて交渉をするのでありますから、勢い交渉中には、組合の方において、いわゆる氣勢が上るのであります。強硬意見が組合を支配的にするのであります。そうして解決となりますると、殊に調定でということになりますると、どうしてもやはり双方が折れ合つて、妥協するということになるのが大体の落ちであります。それで妥協で、ここの程度解決しなければならんと幹部が考えたときに、その氣勢の揚つておる組合を纏めて納得せしめるということは、これは難事中の難事であります。組合の氣勢を煽ぐつまり煽動するということは、駆出しの労働運動者でもできるのでありますが、実際にこの程度で、單に労働者の利害のみを指導するという見地でなく大所高所からこの点で解決しなければならんという判断に基いて組合を纏めるということは、これは駆出しの者ではなかなかできないのであります。それ程に内輪を纏めるということは、非常に困難であります。然るにいくつもの團体、それぞれ内容においても、いろいろ変つた傳統と傾向を持つておるいくつもの團体の代表者が一團となつて、官廳労働組合協議会という一つの一團となつて、それが交渉の相手となつて來た場合に、政府においてこれを納得せしめるということに、自信を持たなかつたのであります。まだそういう形は、なかなか解決点に到達する可能性が極めて薄いのであります。それで私はむしろ強硬に過ぎるくらいに強硬な態度でこれに應接いたしまして先程申しましたように、結局はこれは中央労働委員会、公正なる立場に立つておりまする中央労働委員会の調定に基いて解決するより道はないという考えであつたのでありまして、こうなるくらいならば、そのときに申込に應じて、直接折れるところは折れて置いたらよいじやないかという御批判もあろうかと思いますけれども、併しその時分に、若し二・八の程度のものを了承するという形を持つたのでは、実際には解決できなかつたのじやないかと考えますので、この点御了承を願いたいと思うのであります。  それから〇・八の問題につきましてはこれはいろいろ財源の点におきまして、やつと昨日中、政府関係当事者が、非常に苦心しまして、漸く、むしろ或る意味においては、曲りなりにもあまり妙案でないところの財源を発見することに漸く到達したというくらいでありまして、それに加うるに、〇・八の財源を発見することが、到底不可能であるという考え方から、これは後に持ち越したのであります。併しながらこれは、國会が再開されまする一月二十一日、成るべくその最初の頃に、この点は予算的措置を取まして、皆さんの御協賛を得るような手続を取りたい。かように考えておる次第であります。  それから新賃金の決定をするために政府におきましては調定案を全面的に承認いたしまして、賃金を改訂する委員会のようなものを作りまして、中労委から三名、政府側から二名、労働組合側から二名という、七名から成る委員会を作りまして、新らしい賃金体系及び賃金水準を決定いたしたいと、努力いたしておる次第であります。  それからもう一つは、中労委國会との関係でありますが、この点も先程私が御報告しました中にも、明らかにいたして置きましたように、今度の中労委労働組合側から提訴している問題の中には、行政面において解決すべきが当然であると思われるような問題も提訴されておるのでありますが、かような問題は、中央労働委員会で取扱うべきでない。中央労働委員会で取扱うべきものは、飽くまでも労働條件についてである。少くも労働條件関係深い問題についてのみ取扱うべきである。この点中央労働委員会と行政府とに混淆があつてはならない。こういうふうに考えております。從つて御心配のようなことは、今後実際の運営において、ないようにできると考えております。  それから新制中学の問題、新制中学に関する予算の問題でありますが、この点につきまして、政府は決しておろそかにいたしておるわけではありません。これは、必ず再開劈頭の頃に、これの予算を立てまして、國会に提案する用意をいたしております。
  35. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。姫井君。
  36. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 飽くまでも政府としては、健全財政政策を堅持されるものと確信いたしますか、この歳入関係を見ますると、その健全財政の実質実体の上に、ともすれば浮き足関係におられることが心配されるのであります。この点から考えまして、眞に健全財政を堅持されるとしまするならば、この予算の一時的な急場凌ぎのかくのごとき歳入操作であります外に、適当な財源を早急に求めることができなかつたかなと私は考えますが、それならば、來る新年度の予算におきましては適当な方策を立て、國民の負担の均衡を図つて、かくのごとき煙草値上げとかいうようなことはむしろ反対……そんな際には値下げでもして國民に明るい氣持を持たせるといつたようなお心構えがございますかどうか、これが一点第二点といたしましては、中労委考え方は無論尊重しなければなりませんが中労委は單に働らく者の賃金と、並びに生活関係を考慮されまして、理論的に、又抽象的にこういうことを裁定されるものでしようか。或いは実際の我が國の財政状態までも考慮してかくのごとき状態にあるということまでも念頭に置かれまして、その裁定をなされたものでありましようか。それをお伺いいたします。第三点は、ちよつと速記を止めて頂きます。 委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕    〔委員長退席、理事西郷吉之助君着席〕
  37. 西郷吉之助

    理事西郷吉之助君) 速記を始めて……。
  38. 河野一之

    政府委員河野一之君) 明年度の予算の編成につきましては、目下大藏省におきまして編成に取掛つておる次第でありまして、これにつきましては財源関係もございますし、又各省の要求の点もございますし、目下まだ編成の基礎的事情についての檢討も必要でありまして、目下その事務を進捗しておる次第でありますが、お話のありました明年度の予算の編成に当りまして煙草の更に値上げ案は尚更のこと、むしろこれを下げてはどうか、そういうような明るいことはできないものであろうかというお尋ねでありますが、現在の日本財政收支の状況、明年度における見通し、その他の点から考えまして、この一旦引上げました煙草につきまして更にこれを下げるというようなことは、なかなか困難ではないかと現在のところの見通しとしては考えております。中労委がこういうような問題について財政の面について考慮しておるかどうか、これは運輸大臣がお出でになりますので、運輸大臣からお答え願えると存じます。  今後の日本財政が立直るかどうかという問題でありますが、現在の日本財政の状況につきましては樂観論もあり、悲観論もあるのでございますが私共といたしましては決して日本財政並びに経済は    〔理事西郷吉之助君退席、委員長復席〕 藉すに時日を以てし、且つ又適当なる施策を以てするならば、決して悲観すべきものではない。この点は明年度の予算の編成に当りましても、十分に確信を以て目下その仕事をいたしているような次第でございます。
  39. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 姫井君よろしうございますか。
  40. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 運輸大臣の御答弁があるようでございますし、それから尚速記を止めて頂いて伺つたこともお答え願います。
  41. 北村徳太郎

    國務大臣(北村徳太郎君) 只今中労委裁定についてこれは財政等の考慮が拂われているかどうかという御質問であつたと存じます。このことに関しましては、実はまあ中労委委員諸君でないとお尋ねに対してはつきり申上げることはできんと思うのですが、極くざつくばらんに一つの私見として感想を述べることをお許しねがいまならば、……ちよつと速記を止めて頂きたいのですが。
  42. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  43. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 速記を始めて。高田君。
  44. 高田寛

    ○高田寛君 今朝程の新聞でもこの一時手当支給に関連しまして、通信料金の値上げ、鉄道運賃の値上げを二月一日から実施するという記事も載つてつたのでありますが、この特別会計関係財源につきましては、初めにもあまり御説明がなかつたのでありますが、この点はどうお考えになつておられるのか、その点一つお伺いしたいと思います。
  45. 河野一之

    政府委員河野一之君) 鉄道運賃或いは通信料金の値上げをするかどうか或いはいつからするかということは、まだ政府部内で決定いたしておりません。從いまして今囘の両会計におきます一時手当に要する財源は、一般会計から非常に困難ではありましたが、繰り入れ得たような次第であります。
  46. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 服部君。
  47. 服部教一

    ○服部教一君 私は西尾長官に質問するつもりでおつたのでありますけれども、見えませんからこれに代わるどなたからお答え下さつてもよろしいですが、政府は千八百円ベースをやかましく言うておられましたが、私どもは初めからそういうことを言うても実行できないものだということを見ておつたのです。それから本日御提案になりましたこの賃金の値上げについても、私は初めから二・八の内の一だけやられたときに、こういう姑息なることをやつてと思つて、その当時もちよつと申上げたのであります。実にこのやり方は私まずいと思うのであります。言われては出し、言われては出し、まずいと思うのです。併しながらこの官公吏の給料など、考えて見ますというと、これは当然です。私はこんなものは反対しないのです。これは賛成するのです。けれども私の心配しておるのは、來年度の予算はどういう考えでどういうように御編成になるのですか、又今度議会が始まつてから遅く出されて実に我々としては困るのです。無論政府としても、こういう危機の際でありますから、御心配になつておることは承知しておるのであります。我々はもう今から來年度の予算を心配しておるのです。この際政府は來年度の予算の編成に当つて、一体どういうようにこの予算編成の大方針を決めて行くか。今のようなやり方で行くと、これを出しても、又今度二月頃になつたら又増して貰いたいというような要求があり、來年四月頃になつたら又あり、七月頃になつたら又あり、こんなことばかりしておつても、これは誠に困つたことでもあり、併し必要ならやらなければならんと思いますが、もつと根本的の大方針について、この危機をどういうように突破するか、これはまあむずかしい問題げありますけれども、併し政府におられる方は、種々のエキスパートを呼んで御研究にもなつておるでしようから、その大方針について承わりたいのであります。
  48. 河野一之

    政府委員河野一之君) 明年度予算の編成に関する基礎的な方針でございまするが、これにつきましては、目下大藏省当局において或る程度の案を持ちまして、國会の御当局ともいろいろ御相談を申上げておるような段階であります。何にせよ明年の予算と申しましても、現在のような各種社会、経済的情勢が不安定な時代におきましては的確なる見積りを立てまして、予測をし推算をいたすことが非常に困難なのでありまして、と言いましても、一年を通ずる計画というものは、財政、経済については当然なくてはならない、むしろ長期的な計画もなくてはならんということは当然でありまして、かかる予算編成の基礎的事情につきまして目下檢討を遂げておる次第であります即ち今後における物價の問題、或いは給與の問題、或いは物資の問題、國民所得の問題、或いは総理大臣が一部言われました人員の配置轉換の問題、その他につきまして、目下檢討をされておるのでありまして、できるだけ早い機会において、その基礎的條件につきましての見通しを確定いたしまして、明年度の予算を編成して、成るべく早急の機会において國会に提出したいと考えておる次第であります。
  49. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は遅く参りまして、政府説明を聞かなかつたのでありますが、府縣市町村の公吏に対するところの一ケ月分の措置はどんなふうにされるのであるか、それを御説明お願いします。
  50. 河野一之

    政府委員河野一之君) 公吏につきましては、今囘の補正予算において考慮してあるのであります。即ち地方公共團体において一ケ月分出すといたしますれば、大体十五億円を必要といたします。これは警察、義務教育機関の職員につきましては、その半額を國で負担いたしまするので、残りの半額の分と純地方費負担の分と合せまして大体十五億でございます。それの財源といたしまして、今囘所得税の増收が八億当てられておりまして、これに対しまして、当然地方分與税が二三%七九の数字で入ります結果、一億九千三十二万円、これがその財源になると存じます。残りの十三億九百六十万円程のものにつきましては、國が地方團体に貸付金をいたしまして、金を貸しまして、それによつて公吏の一時手当支給する、こういうような考えをしたわけでございます。
  51. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御質疑はこれで終了いたしました。外に御質疑はございませんか。    〔委員外議員中野重治君発言の許可を求む〕
  52. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 只今共産党の中野君から質疑をしたいという御申出がありました。この際本委員会において発言を許すか許さないかということについてお諮りいたしたいと存じます。皆さんの御意見を求めます。
  53. 服部教一

    ○服部教一君 許して上げてよかろうと思います。
  54. 姫井伊介

    ○姫井伊介君 それはこの議題に上つております予算関係したものでございまするならば、今の國会の進行状況も考慮下さいまして、時間を制限してお許し願いたいと存じます。
  55. 服部教一

    ○服部教一君 成るべく簡單に願います。
  56. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 中野君の御発言の内容はどういう内容でしようか。
  57. 中野重治

    委員外議員(中野重治君) 先程から問題になりました給與に関する問題であります。從つてこの予算に、その面において直接関する問題であります。
  58. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではお諮りいたします。十五分以内において應答が終りまするように、その程度で御発言願いたいと存じます。
  59. 中野重治

    委員外議員(中野重治君) 発言を許されまして、有難く思います。こういう時でもありますから、私の質問は極く簡単に申上げます。  先程から問題になりましたことに引続く問題ですが、第一は、今度のこの生活補給金の問題ですが、政府の方の人のお話によりますと、いろいろ分かるところもありますが、要するにあれは今年一月からの赤字を埋めるという問題ですから、西尾長官のお話では、すでに過去に拂われた犠牲を後から補填するというような思想には反対だという話がありましたけれども、あれはすでに勝手に拂われた犠牲を後から埋めるというのではなくして、初めから適当に処置して置かなければならなかつたものが、溜り溜つて來て到頭ここまで來て、そうして石坂さんからの話もあつたように、突如として土壇場へ來て出たものでありますから、いわば政府の方が借金をしておるのであつてこれを返すのは当然でありますし、中央労働委員会の裁定でも、速かに支拂うように、というような言葉で出ておりますからして、二・八というものの〇・八を後へ廻さずに出すべきものと考えますが、財源については、いろいろ問題はあるには違いありませんが財源についてのお答えが曖昧なように思われますので、その点はつきりしたお答えを聽きたい、こういうふうに思います。  それからその次には、やはり長官の方からは給與の問題を新らしい水準で決めるために、妥当に決めるために新らしい委員会を作るというお話がありましたが、あれはやはり中労委の方で問題にしておる臨時給與委員会、純粹に技術的な面で決定をやろうとするあの委員会を指すものか、つまりあれを取上げて政府として新らしい七名で構成する委員会を作るという意味なのかあれとは別個に政府案として持つて行くのか、その点を聽きたいと思います。特にこれは金の面から少し離れますが、將來給與の問題で予算に全面的に関係して來ると思いますので、お尋ねしたいのですが、大事なことは、ああいう委員会が、少くとも中労委が申出ておるような委員会は、法律的には一種の参考意見を提示するところであつて、そこで出た参考意見の標準以下にあらゆる給與が下るということは、勿論許されませんけれども、そこの委員会で一應決めたことがただ一つの正しいものであつて、それ以外のものは正しくないのみならず、不逞だとか何とかいうような、そういうふうな形になる場合には、それはその委員会が労働組合法によつて與えられておるところの團体交渉権の代用物となつて、そうして簡單に言いますと、労働者階級の方で給與、賃金その他に関していろいろ運動をする、それを政府側が破壊するための武器になりかねない虞れがある、そういう点について政府側としては、今度七名で構成される委員会をどういうものとして考えられるか、その際そういういわゆる労働攻勢といいますか、そういう言葉が使われておりますが、そういうものを破壊するために、政府側が武器として使う肚がないということは、どういうふうにして保障されるかお聽きしたい。この問題が第二の問題であります。  それから財源の問題で、煙草とか、砂糖とか、鉄道、郵便の値上げというふうなことが決まつておらないということを聞きましたことは、新聞で見ましたが、今聽いて非常に喜んでおりますが、大体ああいう点では殊に鉄道の問題については、赤字の問題で、この前三倍半の行きなりの抜き打ち値上げがあつて非常に困つたのですが、あの場合は鉄道が独立会計なつたために赤字を埋めなければならん、そこでああいうことになりましたが、あの赤字の淵源は、要するに石炭の問題と貨物の運賃がまだ十分合理化されていない点と、それから営業面で復興費を一般会計から取つて來ることができないで、自分でやらなければならんという、この三つから出ておることは、鉄道白書でも明らかであるのでありますし、それから鉄道の七十五年記念で、我々に配ばられたあの図表で示されたパンフレットでも明らかなのであつて、石炭だけにしても、あの國鉄が沢山使つておる石炭を、指定された特別の部面には、生産費を割つて六百円でトン当り配給されておりますが、鉄道の場合は、千二百八円幾らで、丁度六百円で配給されておる特別方面の倍になりますし尚生産者價格に比べてさえも、三百円くらい多いのであつて、あれを仮に六百円案で渡すことになれば、約百億円の中五十二億以上の赤字が消されます。それからそれを生産者價格で配給しても二十六億か三十億近くなりますから、非常に赤字が減りますが、そういうものを全部高い値段で、千二百八円幾らというふうに分けるために、厖大な赤字が出る、そうしてそれが特別なところへ六百円で渡すカバーをしておる、こういうふうな事情があることは、運輸省が出したものによつても明らかなんですが、それをそのままにして置いて、三倍半の値上げをされて、更にそれが七五%も又行きなり上がるというふうな形に仮になるとすれば、これは非常に苛酷な大衆課税ということになるのですから、そういうことは今一應決まつていないということを聞いたことは非常に嬉しいのですが、今後とも絶対にそういうことがないように希望するのですが、その点で政府の方ではどういうふうに考えていられるか、そうでないと今までの状態が悪く進めば、つまり労働者が賃金、給與をよくしてくれという、そうすると汽車賃へ持つてつてそれを値上げする、そうして國民労働者に向つてけし掛けて、君達の拂わねばならん汽車賃の上がるのは、労働者ががんがん言うからだ、そのために中労委もそれに押されてそうなつたので、政府もそれを一應呑んだからだというふうに、一般國民労働階級に向つてけし掛けるということになる虞れが多分にある。実際には一般大衆の生活労働階級生活と同じように非常に苦しくなつて來ておりまして、そういう点は最早余り利き目がない、これは静岡、青森の地方労働委員会の裁定も、全面的に全逓、國鉄の要求を認めておることにも現われておるのですが、それですからそういう点も肚に入れて、今後のその点に関する政府の原をお聽きしたい。更に最近の社会新聞の十二月八日号に、社会党の中原健次君も、そういう大衆課税によらないで金を捻り出す財源の問題を書いております。それは價格益金その他のことが書いてありますが、これは私共も前々から主張して來たところで、これが取上げられておることは非常に喜ばしく思うのですが、そういうふうに、中原君が社会党の新聞に書いておるように、新らしい、正しい財源を開拓して行く肚があるかないか、それによつて大衆課税の方は絶対に、或いはできる限り防いで、そうして取るべきところから取るという方法を、この際思切つて採る肚があるかないか、その点をお聽きしたい、こう思います。  まだ沢山ありますが、委員長のあれもありますから、この点に止めておきます。
  60. 河野一之

    政府委員河野一之君) お答え申上げます。第一点は、〇・八ケ月分の財源の問題でございますが、この財源につきましては、目下政府部内において愼重なる檢討を遂げておる次第でございまして、今直ちにどういう措置によつてこれを賄うかということについては、現在のところまだ確定的に申上げる段階に至つておりません。目下檢討を遂げておる段階であります。併しながらその財源を用意いたしまして、必ず〇・八分の残りは出そうという考えになつております。  それから今後の給與体系その他について臨時給與委員会というものを作ることになつておるが、その外にもまだ何か作るのかというお尋ねであつたように思うのですが、この点につきましてはこの臨時給與委員会の線に沿いまして別途委員会を作りたいというような考え方ではあるのでありますが、この委員会において如何なる権限を持たせるかどうか、その性格等につきましては目下考究中でありまして、現在のところまだどういう性格になるか決つておりません。  それから鉄道の運賃の値上げを現在のところまだ考えていないと先程申上げましたが、それはその通りであります。今のところ考えておりません。石炭の補給金の問題があつたのでありますが、これは鉄道の独立採算制という点から申しますれば、或いはそういうような御議論もあろうかと思うのでありますが、前囘七月に運賃値上げをいたしました時にも大体現在の運賃の情勢から見まして特別会計の負担において、即ち特別用炭としての指定をいたさずに行けるのではないかというような考えでやつたような次第であります。  それから今後の新らしい財源の問題でありますが、その点の新らしい財源の問題につきましては私共常々考えておるのでありまして、できるだけ、或いは煙草の値上その他によらないで、新らしい財源があればそれを選ぶに決して吝かではないのでありますが、何しろ現在のような財政收支の状況におきまして、こういうような手段を取らざるを得なかつたことを御了承願いたいのであります。新らしい財源につきましては常に檢討いたしまして、その捕捉及びその確保に努めておるような次第であります。
  61. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか……別に御発言もないようでありますから、直ちに討論に移ることに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認め討論に移ります。討論は賛否を先にお述べになりましてお願いいたしたいと存じます。御発言はございませんか……それでは暫時休憩をいたしまして、再会直後採決に移ります。さよう御了承願います。これにて休憩をいたします。    午後六時三分休憩    —————・—————    午後六時十五分開会
  63. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 休憩前に引続いて会議を開きます。  これより昭和二十二年度一般会計予算補正第十二号及び昭和二十二年度特別会計予算補正特第六号につき採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成のお方の御起立を願います。    〔総員起立〕
  64. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告は予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容委員会における質疑應答並びに討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。これより委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。    〔多数意見者署名〕
  66. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名洩れはございませんか……なしと認めます。これにて散会いたします。    午後六時十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            木村禧八郎君    委員            木下 源吾君            波多野 鼎君            村尾 重雄君            森下 政一君            石坂 豊一君            小野 光洋君            寺尾  豊君            深水 六郎君            大島 定吉君            木内 四郎君            小畑 哲夫君            佐々木鹿藏君            鈴木 順一君            田口政五郎君            飯田精太郎君            江熊 哲翁君            奥 むめお君            河野 正夫君            鈴木 直人君            服部 教一君            姫井 伊介君            川上  嘉君            藤田 芳雄君   委員外議員    中野 重治君   國務大臣    大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君    運 輸 大 臣 北村徳太郎君   政府委員    大藏政務次官  小坂善太郎君    (主計局長)    大藏事務官   福田 赳夫君    (主計局次長)    大藏事務官   河野 一之君    (給與局長)    大藏事務官   今井 一男君    専賣局長官   野田 卯一君