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1948-07-05 第2回国会 参議院 本会議 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月五日(月曜日)    午前十時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第五十八号   昭和二十三年七月五日    午前十時開議  第一 外國貿易関係産業の実情に関する調査を閉会中も継続するの件(商業委員長提出)  第二 各種公團の活動に関する調査を閉会中も継続するの件(商業委員長提出)  第三 電氣事業再編成に関する調査を閉会中も継続するの件(電氣委員長提出)  第四 治安及び地方制度に関する調査を閉会中も継続するの件(治安及び地方制度委員長提出)  第五 昭和二十一年度歳入歳出総決算、昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算特殊財産資金歳入歳出決算の審査を閉会中も継続するの件(決算委員長提出)  第六 行政機構等に関する調査を閉会中も継続するの件(決算委員長提出)  第七 裁判官の刑事事件不当処理等に関する調査を閉会中も継続するの件(司法委員長提出)  第八 議院の運営に関し閉会中も審査を継続するの件(議院運営委員長提出)  第九 輸送力増強に関する調査を閉会中も継続するの件(運輸及び交通委員長提出)  第一〇 日系の大陸在留者孤兒救済に関する請願外六件の審査を閉会中も継続するの件(在外同胞引揚問題に関する特別委員長提出)  第一一 学校教育法及び義務教育費國庫負担法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 日本学術会議法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一五 連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金を連合國占領軍に対する引渡に関する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一六 石炭鉱業権等臨時措置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一七 輸出品取締法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一八 昭和二十一年度國有財産増減計算書報告委員長報告)  第一九 昭和二十二年度三月三十一日現在國有財産現在額総計算書報告委員長報告)  第二〇 質屋取締法の改正に関する請願(委員長報告)  第二一 警察制度の運営に関する請願(委員長報告)  第二二 料理飮食営業の再開に関する請願(委員長報告)  第二三 駅構内食堂外食劵指定を立賣弁当に準ずる取扱とすることに関する請願(委員長報告)  第二四 横浜市民酒場の営業再開に関する請願(委員長報告)  第二五 香川縣立高瀬高等学校設立のための起債認可に関する請願(委員長報告)  第二六 地方財政制度の改正に関する請願(委員長報告)  第二七 自治体警察費用に関する請願(委員長報告)  第二八 委任事務職員人件費等に関する請願(委員長報告)  第二九 自治体警察並びに消防署経費の財源委讓に関する請願(委員長報告)  第三〇 岡山の後樂園復旧に関する請願(委員長報告)  第三一 生活保護法の改正等に関する請願(委員長報告)  第三二 米麦のとう精に関する請願(委員長報告)  第三三 東北單作地帶生産米價格引上げに関する請願(委員長報告)  第三四 養鷄飼料の増配に関する請願(委員長報告)  第三五 乳兒用乳製品適正配給に関する請願(委員長報告)  第三六 酪農業者生活権確保に関する請願(委員長報告)  第三七 物價改定に伴う米價引上げに関する請願(委員長報告)  第三八 早期米奬励金の取扱に関する請願(委員長報告)  第三九 報償物資配給の円滑化に関する請願(二件)(委員長報告)  第四〇 農村工業の振興に関する請願(三十五件)(委員長報告)  第四一 乳價改訂等に関する請願(委員長報告)  第四二 藥用人參試驗場設置に関する請願(委員長報告)  第四三 靜岡縣の主要食糧供出割当に関する請願(委員長報告)  第四四 馬の傳染性貧血研究機関創設に関する請願(委員長報告)  第四五 農業協同組合連合会設立促進に関する請願(委員長報告)  第四六 食糧増産及び供出完遂に関する請願(委員長報告)  第四七 主食三合配給確保に関する請願(委員長報告)  第四八 農業保險料金國庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第四九 養蚕農家に対する報償物資増配に関する請願(委員長報告)  第五〇 かんきつ類の虫害駆除に関する請願(委員長報告)  第五一 雪國の農村工業振興に関する請願(委員長報告)  第五二 鹿兒島種畜牧場存置に関する請願(委員長報告)  第五三 農村工業の振興に関する請願(二件)(委員長報告)  第五四 青むしろの價格引上げに関する請願(委員長報告)  第五五 北見種畜牧場存置等に関する請願(委員長報告)  第五六 農村課税の軽減並びに米價是正に関する請願(委員長報告)  第五七 北見種畜牧場存置に関する請願(委員長報告)  第五八 櫻島大根の價格改訂等に関する請願(委員長報告)  第五九 東横野村のひよう害対策に関する請願(委員長報告)  第六〇 主食の不安一掃に関する請願(委員長報告)  第六一 米單作地帶への補給金交付等に関する請願(委員長報告)  第六二 茨城縣のひよう害應急対策に関する請願(委員長報告)  第六三 麦の供化割当是正並びに病害等の措置に関する請願(委員長報告)  第六四 宮崎種蓄牧場存置に関する請願(委員長報告)  第六五 旧金沢山御料地拂下げに関する請願(委員長報告)  第六六 新安積そ水開発費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第六七 薪炭配給統制規則並びに統制額の廃止に関する請願(委員長報告)  第六八 新川沿岸の大規ぼ農業水利改良事業施行に関する請願(委員長報告)  第六九 大山村開墾事業計画中止に関する請願(委員長報告)  第七〇 小倉市曾根干拓事業に関する請願(委員長報告)  第七一 幾春別川水利事業実施に関する請願(委員長報告)  第七二 森林整備に関する請願(委員長報告)  第七三 トウツル沼干拓促進に関する請願(委員長報告)  第七四 島根縣の風水害耕地復旧費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第七五 和歌山縣かん害恒久対策費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第七六 奈良縣のかん害恒久対策費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第七七 滋賀縣のかん害恒久対策費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第七八 岐阜縣のかん害恒久対策費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第七九 大阪府のかん害恒久対策費國庫補助に関する請願(二件)(委員長報告)  第八〇 耕作地改良対策実現に関する請願(委員長報告)  第八一 造林事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第八二 開拓者援護営農資金増額に関する請願(委員長報告)  第八三 耕作農道の整備に関する請願(委員長報告)  第八四 薪炭配給統制規則等に関する請願(委員長報告)  第八五 勇拂原野開発に関する請願(委員長報告)  第八六 愛知縣のかん害恒久対策費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第八七 四國四縣の森林治水事業の拡充実施に関する請願(委員長報告)  第八八 自作農創設特別措置法による開墾行政林野行政の両立に関する請願(二件)(委員長報告)  第八九 郡山営林局新設に関する請願(委員長報告)  第九〇 中ノ原地区開拓中止に関する請願(二件)(委員長報告)  第九一 農業土木事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第九二 三島村附近開墾事業計画中止に関する請願(委員長報告)  第九三 土地改良並びに農業水利改良事業費予算増額に関する請願(委員長報告)  第九四 農業水利改良並びに土地改良事業恒久対策等に関する請願(委員長報告)  第九五 揖保川流域農業用施設に関する請願(委員長報告)  第九六 造林対策に関する請願(委員長報告)  第九七 新潟縣の土地改良事業予算増額に関する請願(委員長報告)  第九八 千々石川に貯水池築設に関する請願(委員長報告)  第九九 宮城縣営の用排水改良事業費全額國庫負担に関する請願(委員長報告)  第一〇〇 土地改良事業費助成に関する請願(委員長報告)  第一〇一 岐阜縣のかん害恒久対策並びに土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一〇二 林道黒沢線開設に関する請願(委員長報告)  第一〇三 和歌山縣土地改良事業國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一〇四 大里郡地域の農用利水に関する請願(委員長報告)  第一〇五 奈良縣のかん害恒久対策並びに土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一〇六 酒田市の農道拡張工事費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一〇七 土地改良事業の促進に関する請願(委員長報告)  第一〇八 蕨岡村土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一〇九 鮭川村土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一一〇 佐賀縣白石北部ため池築造に関する請願(委員長報告)  第一一一 長野縣の耕地事業に対し國庫補助の請願(委員長報告)  第一一二 滋賀縣の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一一三 米沢市外二郡の土地改良事業促進に関する請願(委員長報告)  第一一四 群馬縣の土地改良並びに水害復旧に関する請願(委員長報告)  第一一五 兵庫縣の土地改良事業費並びに農業水利改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一一六 及位村外二箇村の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一一七 滋賀縣の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一一八 西遊佐村の土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一一九 秋田縣の土地改良事業費等國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一二〇 兵庫縣の農業水利並びに土地改良事業費國庫補助金の増額に関する請願(委員長報告)  第一二一 小田島村外二箇村の土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一二二 西根村外十八箇村の土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一二三 青森縣東津軽郡外四箇郡の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一二四 庄内穀倉地帶の大規ぼ農業水利改良事業施行に関する請願(委員長報告)  第一二五 大高根村の土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一二六 西國東干拓事業に関する請願(委員長報告)  第一二七 鹿兒島縣下耕地整理事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一二八 東郷村の耕地復旧並びに土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一二九 玉野村の耕地事業に関する請願(委員長報告)  第一三〇 亀井田村の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一三一 富本村の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一三二 周防灘沿岸干拓事業に関する請願(委員長報告)  第一三三 琴浦町仙随開拓事業費全額國庫負担等に関する請願(委員長報告)  第一三四 玉島溜川排水ポンプ施設に関する請願(委員長報告)  第一三五 倉敷耕地出張所管内排水工事費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一三六 平田井えん改修工事費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一三七 木ろうの油糧公團移管反対に関する請願(二件)(委員長報告)  第一三八 邑知潟干拓計画反対に関する請願(委員長報告)  第一三九 赤川水系耕地事業促進に関する請願(委員長報告)  第一四〇 大分縣下の土地改良事業費予算増額に関する請願(委員長報告)  第一四一 豊前平町地帯の農業水利改良事業施行に関する請願(委員長報告)  第一四二 戸沢村の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一四三 大宮村の土地改良事業費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一四四 呉市外大箇町村の干拓事業費全額國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一四五 開拓及び耕地事業費等國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一四六 山縣郡外十一箇郡内の水害耕地復旧費全額國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一四七 十三湖干拓事業に関する請願(委員長報告)  第一四八 八高井えん改修工事費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一四九 耕地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一五〇 物部川の貯水池築造工事並びに堤防補強工事に関する請願(委員長報告)  第一五一 薪炭の統制機構改革に関する請願(委員長報告)  第一五二 阪神各市町村の自作農創設特別措置法第五條の指定に関する請願(委員長報告)  第一五三 宮川上流ダム築造に関する請願(委員長報告)  第一五四 北海道における家庭越冬用燃料の價格に関する請願(委員長報告)  第一五五 阿蘇山地域の開発促進に関する請願(委員長報告)  第一五六 霞ヶ浦干拓災害復旧工事費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一五七 新潟縣中蒲原郡内における未墾地買收計画是正に関する請願(委員長報告)  第一五八 製炭事業あい路打開に関する請願(委員長報告)  第一五九 土沢町営林署設置に関する請願(委員長報告)  第一六〇 豊田郡内のため池築造計画反対に関する請願(委員長報告)  第一六一 土地改良費國庫補助に関する請願(委員長報告)  第一六二 九州地方に國立林業試験場等の設置に関する請願(委員長報告)  第一六三 林地復旧事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一六四 野邊山貯水池築造促進に関する請願(委員長報告)  第一六五 農耕地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一六六 耕地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一六七 薪炭生産價格改訂に関する請願(委員長報告)  第一六八 大谷池耕地災害復旧事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一六九 未墾地買収計画に関する請願(委員長報告)  第一七〇 開墾の山林経営調整に関する請願(委員長報告)  第一七一 小貝川水源地開拓中止に関する請願(委員長報告)  第一七二 大阪市の自作農創設特別措置法第五條の指定に関する請願(委員長報告)  第一七三 林業の振興に関する請願(委員長報告)  第一七四 佐賀縣白石北部用水改良事業費國庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一七五 自作農創設特別措置法による開墾行政林野行政の両立に関する請願(委員長報告)  第一七六 山林関係事業予算増額に関する請願(委員長報告)  第一七七 愛媛縣の山林関係事業予算増額に関する請願(委員長報告)  第一七八 公吏に國家公務員法を適用することに関する請願(委員長報告)  第一七九 公安委員任命に関する陳情(委員長報告)  第一八〇 自治体警察制度の運営に関する陳情(委員長報告)  第一八一 主要都道府縣に建築部新設に関する陳情(委員長報告)  第一八二 義務教育費及び警察費の全額國庫負担に関する陳情(委員長報告)  第一八三 自治体警察費の財源に関する陳情(委員長報告)  第一八四 國家地方警察拡充強化に関する陳情(委員長報告)  第一八五 道路損傷負担費撤廃に関する陳情(委員長報告)  第一八六 生活保護法による基準額引上げに関する陳情(委員長報告)  第一八七 農業災害補償法に関する陳情(委員長報告)  第一八八 食糧及び薪炭の適正價格決定に関する陳情(委員長報告)  第一八九 農業の科学的指導対策等に関する陳情(委員長報告)  第一九〇 農地委員会経費國庫補助に関する陳情(委員長報告)  第一九一 農機具の配給制度に関する陳情(委員長報告)  第一九二 農地委員会交付金増額に関する陳情(委員長報告)  第一九三 そ菜公定價格の改正に関する陳情(委員長報告)  第一九四 主食供出農家に対する還元配給に関する陳情(委員長報告)  第一九五 食糧供出あい路打開に関する陳情(委員長報告)  第一九六 米價是正等に関する陳情(委員長報告)  第一九七 農業調整委員会の経費増額に関する陳情(委員長報告)  第一九八 蚕糸業の復興計画完遂に関する陳情(委員長報告)  第一九九 食糧供出報償物資配給に関する陳情(委員長報告)  第二〇〇 さつまいも、干いもの價格に関する陳情(委員長報告)  第二〇一 食糧供出の事前割当に関する陳情(委員長報告)  第二〇二 農村課税軽減並びに米價是正に関する陳情(委員長報告)  第二〇三 畜産振興に関する陳情(委員長報告)  第二〇四 主食増配に関する陳情(委員長報告)  第二〇五 町村食糧調整委員会会長選定に関する陳情(委員長報告)  第二〇六 鹿兒島種畜牧場存置に関する陳情(委員長報告)  第二〇七 群馬縣のひよう害應急対策に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二〇八 主食配給改善に関する陳情(委員長報告)  第二〇九 農業協同組合法改正反対に関する陳情(委員長報告)  第二一〇 農林省畜産局存置に関する陳情(委員長報告)  第二一一 観光地の自作農創設特別措置法の適用除外に関する陳情(委員長報告)  第二一二 醤油自給体制確立に関する陳情(委員長報告)  第二一三 造林事業の拡充強化に関する陳情(委員長報告)  第二一四 造林の諸施策に関する陳情(委員長報告)  第二一五 大浦潟干拓工事促進に関する陳情(委員長報告)  第二一六 優良薪炭價格改訂等に関する陳情(委員長報告)  第二一七 造林対策に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二一八 既耕地の各種災害復旧事業の促進に関する陳情(委員長報告)  第二一九 林業諸対策の樹立に関する陳情(委員長報告)  第二二〇 土地改良並びに農業水利事業費國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)  第二二一 土地改良事業の促進に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二二一 林務行政に関する陳情(委員長報告)  第二二三 未墾地開発に関する陳情(委員長報告)  第二二四 鳥取縣の開拓行政一元化に関する陳情(委員長報告)  第二二五 木炭生産記者の賃金等に関する陳情(委員長報告)  第二二六 土地改良等に関する陳情(委員長報告)  第二二七 山林、製材労働者労務用物資配給に関する陳情(委員長報告)  第二二八 靜岡縣の土地改良事業費國庫補助に関する陳情(委員長報告)  第二二九 開拓、耕地事業費國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)  第二三〇 薪の買上、手数料及び輸送費の引上げに関する陳情(委員長報告)  第二三一 稻毛崎の用水宿河原えん提改良工事等に関する陳情(委員長報告)  第二三二 松樹の害虫撲滅措置に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二三三 阪神各市町村の自作農創設特別措置法第五條の指定に関する陳情(委員長報告)  第二三四 森林組合技術員に対する國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)  第二三五 薪炭配給公團設置反対等に関する陳情(委員長報告)  第二三六 薪炭生産價格改定に関する陳情(三件)(委員長報告)  第二三七 土地改良並び開墾事業費増額に関する陳情(委員長報告)  第二三八 民有林造林業事業法並び造林金庫法制定に関する陳情(委員長報告)  第二三九 農地調整法改正に関する陳情(委員長報告)  第二四〇 林地整備特別措置法の制定に関する陳情(委員長報告)  第二四一 薪炭配給機構改正に関する陳情(委員長報告)  第二四二 土地改良事業並びに災害防止施設費國庫補助に関する陳情(委員長報告)  第二四三 愛知縣の土地改良事業及び農業水利改良事業継続施工に関する陳情(委員長報告)  第二四四 土地改良事業費國庫補助増額に関する陳情(委員長報告)  第二四五 水害耕地復旧事業費國庫補助増額等に関する陳情(委員長報告)  第二四六 委任事務職員人件費等に関する請願(委員長報告)  第二四七 自治体警察並びに消防署経費の財源移讓に関する請願(委員長報告)     ―――――――――――――
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 報告の説明は省略いたします。      ―――――・―――――
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより会議を開きます。日程第一、外國貿易関係産業実情に関する調査閉会中も継続するの件(商業委員長提出日程第二、各種公團活動に関する調査閉会中も継続するの件(商業委員長提出日程第三、電氣事業編成に関する調査閉会中も継続するの件(電氣委員長提出日程第四、治安及び地方制度に関する調査閉会中も継続するの件(治安及び地方制度委員長提出) 日程第五、昭和二十一年度歳入歳出総決算昭和二十一年度特別会計歳入歳出決算特殊財産資金歳入歳出決算審査閉会中も継続するの件(決算委員長提出) 日程第六、行政機構等に関する調査閉会中も継続するの件(決算委員長提出) 日程第七、裁判官刑事事件不当処理等に関する調査閉会中も継続するの件(司法委員長提出日程第八、議院運営に関し閉会中も審査を継続するの件(議院運営委員長提出日程第九、輸送力増強に関する調査閉会中も継続するの件(運輸及び交通委員長提出日程第一〇、日系大陸在留者孤児救済に関する請願外六件の審査閉会中も継続するの件(在外同胞引揚問題に関する特別委員長提出) 以上十件の審査及び調査閉会中も尚継続するの件は、すべて各委員長要求通りこれを承認することに、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつていずれも承認することに決しました。      ―――――・―――――
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際議事日程に追加して、國土計画に関する調査閉会中も継続するの件(國土計画委員長提出國会図書館運営に関し閉会中も審査を継続するの件(図書館運営委員長提出)以上二件を一括して議題とすることに、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これら二件の審査及び調査閉会中も尚継続するの件は、各委員長要求通り、これを承認することに、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて二件とも閉会中も審査及び調査を継続することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程第一一、学校教育法及び義務教育費國庫負担法の一部を改正する法律案日程第一二、日本学術会議法案内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。委員長報告を求めます。文教委員長田中耕太郎君。    〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
  10. 田中耕太郎

    田中耕太郎君 御報告申上げまする法案の第一は、学校教育法及び義務教育費國庫負担法の一部を改正する法律案でございます。これはたつた二條改正でございます。そのうち学校教育法に関しまする改正の点は、主として名称その他法律技術的性質のものの外、本年度から小学部義務制を実施せられるようになりましたところの、盲学校、聾学校につきまして、本年度は第一学年明年度以降は一学年ずつ進行することにした、その点に関係しておるのでございます。  次に第二條の関係しておりますところの、義務教育費国庫負担法に関しまする改正の点は、御承知の義務教育費半額國庫負担原則を、從來制度上は都道府縣の負担になつておりました、盲聾学校教員俸給及び一般教員扶養手当勤務地手当にも及ぼしましたこと、及び從來は市町村負担になつておりました退官退職手当日直手当及び宿直手当につきまして、同様に半額國庫負担原則を適用いたしまして、地方財政軽減を図つたことに関係しております。  審議の際に特に問題となりましたのは、教員日直及び宿直という、そういう、言葉が、この改正法中に用いられておるということでございます。日直及び宿直の性質は一体どういうものであるか。それは義務的のものであるかどうか。又それは将來継続する意図を政府は持つておるかどうか。これを超過勤務手当というふうに代えるということはできないものかどうかという、そういう質疑に対しまする政府の答弁を要約して申上げますると、日直宿直は、本來教員の任務ではない。從つて義務的のものではないが、これまで慣習的に久しく行われておつたものである。法は別段これを禁止していないのである。又学校を守るということは教育とは全然別問題ではないと考える。尚將來の問題としては財政の許す限り、專任の管理者を各学校に置く方向に努力する。併し日直宿直を超過勤務手当とすることは、本年度予算の点から見ましても得策ではない。のみならず、教員の職務の性質からいえば、超過勤務手当という方法で似て解決するよりも、本俸を定める上において考慮した方がいいというふうな答弁に帰着するのでございます。  討論の段階におきまして、無所属懇談会の岩間委員から、日直宿直教員の本務ではない。かかる制度はややもすれば義務的に行われ、教員負担を過重にする虞れがあるから、法文中に規定すべきものではないという理由から、反対意見が述べられました。これに対して緑風会の堀越委員は、本法案日直及び宿直に関しまする規定は、單に費用の半額を國庫が負担することを決めたのみであつて、義務付けるものではないから、差支ないではないか、將來において、これを義務付けることがないように、十分考慮するという希望條件附の原案賛成の意見が開陳されました。  採決の結果、賛成十三名、反対七名を以て、本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に御報告申上げます第二の法案は、日本学術会議法案でございます。この法律によりまして設立せられまする日本学術会議は、我が科学者の総意によつて作られ、総意によつて、自主、独立に運営せられますところの学術新体制でございます。それは從來存在しておりましたところの学術研究会議、日本学術振興会という二團体を解消し、又現在もありますところの日本学士院をその中に包括し、それらを打つて一丸としたところの我が國の科学者の内外に対する代表機関でございまして、その目的といたしますところは、科学の向上発達を図り、行政、産業及び國民生活に科学的精神を浸透徹底させるということにあるのであります。日本学術会議は、科学政策に関する問題につきましては、政府の諮問に答えたり或いは政府に勧告をしたりすることができるのでありますが、直接に科学や科学の研究に関しまする事項については、何人にも掣肘せられないで、独立してその職務を行うのであります。  次に、日本学術会議は、学界から法の定めておりますところの極めて民主的な方法で選挙せられましたところの、任期三年の日本学術会議会員を以て組織されております。日本学術会議は七部に分れております。一々專門の区分けは細かく申上げませんが、七部になつております。これは從來の学問の体系から出て來たものであります。人文科学の部分とそれから自然科学の部分というふうに大体分けられております。人文科学の方は三、自然科学の方は四ということになつております。  本法案審議の際に特に問題になりましたのは、日本学士院の会員の選考についてでございます。御承知のように、学士院は、学術上の功績顕著な科学者優遇のための機関として從來も存在をしておりました。今後は日本学術会議の中に置かれることになりました。法案によりますれば、学士院会員は、日本学術会議がこれを選定することになつております。ところで、参衆両院の文教委員会においては、合同打合会を開きまして、日本学士院と日本学術会議との関係を明瞭にいたすために、日本学士院院長関係者、及び本法案の実質上の起案者でありますところの学術体制刷新委員会委員長外関係者に御出席を求めまして、両方の意見を聴取したのでございます。その結果といたしまして、学士院会員の選定方法につきましては、法の運用といたしましては、日本学術会議側の一方的決定によらないで、「日本学術会議と日本学士院との各々が推薦する同数の委員を以て構成せられまする候補者選考委員会を設け、その過半数を以て決定した候補者について、日本学術会議が決定する。」と、そういう内容の昭和二十三年六月五日附学術体制刷新委員長の内閣総理大臣宛の覚書によることに決つておることが明らかにされました。  質疑を終りまして、討論の段階において、緑風会の梅原委員より、時間その他の事情が許すならば、この覚書を法文化することによつて、本法案を修正したいのであるが、併しこの際は不満足ながら覚書が実現せられることを政府及び関係者に強く要望して、原案に賛成する旨の発言がございまして、松野、堀越両委員その他の委員もこれに賛成せられまして、本法案は全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。右を以ちまして二つの法案に関する御報告を終ります。(拍手)
  11. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより両案の採決いたします。先ず学校教育法及び義務教育費國庫負担法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  13. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 次に日本学術会議法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  15. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程第一三、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案日程第一四、薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案日程第一五、連合國占領軍管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金を連合國占領軍に対する引渡に関する法律案内閣提出衆議院送付)以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。委員長報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。    〔黒田英雄君登壇、拍手〕
  17. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 只今上程せられました三案につきまして、委員会の経過並びに結果について御報告をいたします。  先ず國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法案についてご説明をいたします。この法案は、鉄道特別会計、通信特別会計、両特別会計におきまして、企業の運営に充てまする以外に行政に要する経費があるのでありまして、それらの財源に充てるために一般会計から繰入金をしようというのが、この法律案の提案の理由であります。即ち鉄道におきましては、陸運の用に供する器具機械の製造とかいうようなものの監督、助成、統制に関する経費とか、或いは観光事業の育成指導その他外客誘致に関する経費とか、或いは國有鉄道の公安維持に関する経費とかいうようなもの、又通信事業特別会計におきましては、電波の管理に関する経費財源に充てるに必要な金額というようなものを一般会計から繰入れようとするのであります。  その質疑應答に現われました点を一二申上げますが、鉄道、通信両会計におきましては、相当今日赤字が出ておるのでありまして、値上げをしましても尚相当な赤字があるという状態でありますが、よく調べて見ますというと、その事業の中には本來の費用に属する経費でないものが入つておると、それを國庫の一般会計の方において負担するようにいたすことは適当であるというので、鉄道におきましては十四億一千四百四十万円、通信会計におきましては六億一千四十一万三千円というものを繰入れようというのであります。これにつきまして、鉄道の客車等に乗つておる警察官というようなものは、これはむしろ鉄道が負担すべきではないかというふうな御質問もあつたのでありますが、これはそういう見方もあるのであるけれども、併しよく研究をした結果といたしまして、やはりこれは國家の必要に属するものであるというふうな見解から、さようにしたということであつたのであります。かくて討論採決に入りまして、全会一致を以て政府原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  次に薪炭需給調節特別会計法の一部を改正する法律案について御説明をいたします。この法律は改正すべき点が二点になつているのでありまするが、第一点は、薪炭需給調節特別会計法におきまする借入金、薪炭証券借入金及び一時措入金の限度を、三十億円から五十五億円に引上げようというのであるのであります。これは最近の輸送事情からしますと、山元におきまする手持量が最近増加している状況であり、現行の限度額を以てしましては、現在相当窮屈になつている上に、更に薪炭の配給につきまして、近く登録店舗制を実施することが予定されているのでありますが、それと物價の改訂に伴いまして、薪炭の買入價格も相当程度引上げられる計画であるのであります。薪炭の手持量の最も多い九月におきまして、約五十五億円の資金を必要とする予定でありますので、從來三十億円であつたものを増額しようというのであります。  次の第二点は、政府原案におきましては、この薪炭の買入代金の支拂等をずつと下部組織まで持つてつて農業協同組合、或いは農業会に委託してそれをやらせる、資金を渡して置いてやらせるという案であつたのであります。丁度食糧特別会計の改正において、先般御説明申上げましたような趣旨であつたのでありまするが、衆議院におきましてこれが修正になりまして、政府が下部まで持つて行かないで、農林中央金庫に委託して行わせる。そうして日本銀行又は農林中央金庫に対して、薪炭の買入代金の支拂に必要なる資金を交付して置くというようなふうに修正になつたのであります。これにつきましては、さような修正があつた場合において、食糧管理特別会計の時と違うようになるのであるが、不都合はないかというようなお尋ねに対しましては、食糧は特別会計におきましては、その資金も千二百億円の限度であつたのでありますし、今回の五十五億円ぐらいであるのでありまして、その金額も少いのであります。資金を末端まで配付して置く程の必要は大してないように思う。又時期も大体決つているのでありまするから、食糧管理特別会計法と違つても差支ないと思うという答弁であつたのであります。價格は一俵五十三円から百六円に引上げる予定であつて、これはそれを見込んでやつたのであるということであるのであります。  かくて討論採決に入りまして、原案通り全会一致を以て可決すべきものなりと決定いたしたのであります。  次に連合國占領軍管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金を連合國占領軍に対する引渡に関する法律案について御説明をいたします。御承知のように終戰後におきまして、我が國が保有しておりましたところの金、銀、白銀等の貴金属或いはダイヤ等の貴石の大部分を、國有と私有を問わず、連合國占領軍管理下に移されたのであります。その後、その大部分は申請に基きまして解除をされたでありますが、最近連合國最高司令官の指令によりまして、先に解除されました貴金属等の中で、一定のものにつきましては、その代りとして、それと等しい價格貴金属の地金を政府から連合國占領軍に対して引渡すようにということが命令されたのでありますが、この法律案は、それを実行するため提案されたものであるというのであります。即ち解除されますものは、工業用等につきまして、先に持つてつて管理に移されたもの、或いはその他のものもあるのでありまするが、工業用等に使うために大藏大臣に申請し、更に大藏大臣より連合國司令官の許可を得まして、そうして解除せられ、これを工業用に使つて、製品等を作つておつたのであります。今回それに代るべき貴金属の地金を、政府からこれを連合國に渡すのであります。それにつきまして、解除された種類はどういうものであるかという御質問につきましては、これは工業用のダイヤ、或いは金、銀、白金、金網、銀網、白金網その他白金属等、いろいろなものであるということであつたのであります。そうしてこの法律におきまして解除されまして、それを使用したものは、政府が金資金特別会計で持つておりますところの金及び銀を司令部の方に引渡したのでありますが、その代りを解除を受けたものが政府に納めるのであります。その納める價格は、解除を受けました時の價格によつて金なり、銀なりの代價を納めるのであります。併しながら金資金特別会計は、今日のつまり占領軍に引渡した当時の價格で以て引渡すのでありますから、すでに金につきましては、三回も價格が変つておるのでありますから、今日の價格は多くなるのでありますが、併しながら今日の價格にいたしますというと、解除を受けたものが、それを使つて製品を作つておるのは、その解除を受けた当時の値段で以て製品の價格を計算しておるのでありまするから、これを今日の價格で納めろということは非常に酷になるのであります。それで当時の價格で納めさす、それの差額は金資金特別会計が負担することになるのであります。そのことを本法案が規定しておるのであります。そうして金資金特別会計が司令部に納めますところの金、銀の地金というものは、終戰当時持つておりましたものは、これは管理下にあつて使えないのでありまするから、終戰後におきまして、國内の金資金を金資金特別会計で買上げて持つておるその中から、司令部の要求される都度渡しておるということであるのであります。さように差額を資金負担する場合においては、会計においては赤字を生ずるのではないかという御質問に対しましては、赤字が出る場合があるわけでありますが、併し金資金が持つておりますところの金の地金というものはいろいろな値段の時のものがあるのであります。昔から持つておるものもあるのであります。相当あるのでありまするから、大して赤字にはならないということであつたのであります。  かくて討論採決に移りまして、全会一致を以て原案通り可決すべきものなりと決定いたしたのであります。これを以て報告を終ります。(拍手)
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  19. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第一六、石炭鉱業権等臨時措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。委員長報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君。    〔稻垣平太郎君登壇、拍手〕
  21. 稻垣平太郎

    ○稻垣平太郎君 只今議題と相成りましたる石炭鉱業権等臨時措置法案について、鉱工業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。この法案の内容といたしまするところは、石炭鉱業における鉱区の調整並びに使用権の設定について規定いたしたものであります。御承知のように、今日例の石炭國管以來、新鉱開発その他のことが重要な問題となつておるのでありまするが、その時に際しまして群小鉱区が入乱れ、そうして操業において甚だ不合理な点がある。或いは又非常に不適格なる分布状態によつて生産を阻害いたしておるという一面があるのであります。これに対して鉱区の調整を企図したいということと、俗に斤先掘と称しまして、法的な根拠なくして石炭鉱業の経営を使用権者に任している。こういつたような点がありまして、甚だその責任が明確になつていないのであります。その責任を明確にし、法的根拠を與えまして、そうして生産の適應者をして、自由に使用権者として新鉱開発その他を促進せしめるようにしたい。こういうのがこの法案の内容であります。尤も先般六月九日でありましたか、失効と相成りました重要鉱物増産法中にこれは規定されておるのでありまして、場合によりましては、その一部をそのまま延長せしむるところの法案の提出を以て足りるのでありまするけれども、同法案におきましては、御承知のように戰時中に拵えられたものでありまして、戰時立法的の色彩が非常に強いのであります。この意味におきまして、これを全部廃しまして、新たに民主的な規定を設け、そうして例えばこの鉱区の調整なり、或いは使用権なりの設定に対しまして、各業者の自発的の意思によつてこれを協議する、協議が整わなかつた場合に裁定申請をし、その裁定申請に対しましても石炭管理委員会に諮問してこれを決定する。こういう方法を取るようにいたしたい。こういうのがこの法案の趣意であります。  今日、新鉱開発その他が急速に進行されなければならん場合におきまして、鉱工業委員会におきましては、その内容その他を檢討した結果、最も時宜に適した法案であると、かように存じまして、全会一致を以てこれを可決いたした次第であります。これを御報告申上げます。(拍手)
  22. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  23. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第一七、輸出品取締法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。商業委員長一松政二君。    〔一松政二君登壇、拍手〕
  25. 一松政二

    ○一松政二君 只今議題となりました輸出品取締法案につきまして、商業委員会における審議の経過並びに結果につきまして御報告いたします。  本法案は輸出品取締法となつておりますが、取締の方法は輸出品の檢査を主とするものでありまして、從來から行われておりましたところの重要輸出品取締法、輸出絹織物取締法、輸出毛織物取締法、輸出水産物取締法の四つの法律を統合して一本に纏めるのであります。併し本法案はこの四つの法律を廃して、一つに纏めるというだけではなくして、從來と異つた特色が凡そ五つあるのであります。その第一に、從來の檢査は民間團体に檢査を任しておつたのが多いのでありまして、國営の檢査は生糸を別といたしまして、絹、人絹織物、毛織物に限つておりましたが、今度の法律案では、凡そ檢査はすべて國営という建前になるのであります。民間團体による強制檢査は、私的独占禁止法の精神に反するので、これからは專ら國の檢査所で檢査しようというわけで、これが四法律を廃して、新たにこの法律を作ろうとする基本的な理由であります。その第二は、この法律で取締の対策としたものは、第四條に掲げる茶、マツチ、電球など七品目と、第三條の規定で今後指定される輸出品などでありまして、その予定されるものは編織用糸、織物など凡そ十数品目でありまして、現行のものから見ると、大分減少するのでありますが、特に注意を要するのは、これら特定品目に対する檢査の建前が著しく変更されたことであります。即ち現行法では檢査して合格しなければ輸出ができないのでありますが、この法案では必ずしもそうでない。第四條の商品は最低輸出標準に達したものでなければ輸出ができないが、第三條の商品は、予め定められた等級及び標準に従つて、業者みずから等級を附し、その等級に適合しておりさえすれば輸出してよいのであります。即ち品質確保については業者みずからが責任を持たなければならんのでありまして、政府といたしましては、その附けられた等級が果して適当であるか否か、第三條によつて適当であるか否かを見るために、或いは第四條の商品につきましては、最低輸出標準に達しておるか否かを檢査するために、必要があればこれを檢査するという建前になつておるのであります。第三番目は、現行法では檢査料を徴収したのでありますが、右のような建前が変つておるのでありますから、本法案では檢査料を全然取らないという建前になつておるのであります。第四は、輸出品の横流れを防止しするために、輸出用割当資材を使つて生産又は加工した輸出品に限り、不合格品はこれを一定の條件の下に國の機関に買取らせるという規定が設けられておるのであります。第五は、輸出標準又は檢査の決定その他の処分について不服があります場合には、関係業者及び利害関係人は聽聞会の開催を請求することができることになりまして國民の権利を大いに尊重し、保護することとなつておるのであります。以上が本法案の現行四法律と異なる主なる点でありまして、又特色と言うべき点であります。貿易が我が國経済再建に極めて重要であることは申すまでもないことで、輸出品の声價を向上し、品質を改善するため、本法案は重要なる意義を持つておりますので、商業委員会におきましては、法案の正式に提出される前に研究すること、すでに二回、提出を見たときから四回、その中一回は関係業者の参集を求めて、民間の、殊に檢査に当る多くの方々の意見を徴するなど、極めて愼重なる審議を行つたのであります。審議はあらゆる角度から熱心に進められましたが、その間に問題となつた主な点を二三申上げますれば、先ず第一に國営檢査ということであります。民間團体が多年の経験と技術とに基いて実施しておるような檢査を、その基礎を持たない政府が果して十分な効果を挙げ得るや否やということでありまして、これに対しまして政府当局は民間團体を極力活用して行きたいという答弁であります。又檢査が國営になると徒らに手続が煩瑣になり、不親切になり、敏速を欠く嫌いがあるという心配がありまして政府も、このようなあり勝ちの弊害の起らんよう万全の注意をするという答弁をしておるのであります。  その第二は、檢査はしても輸出禁止までやらないという第三條の商品についてでありまして、その結果粗惡品が海外に輸出されて、我が國輸出品の声價を傷つけるようなことはないかどうかという不安であります。この点につきましては、等級を明示することを強制してありますし、若し低級品に対しまして高級品であるかのような表示を行う場合には、強制檢査を行うことができるので、運用の面で十分な監督をして行きたいという政府の答弁なのであります。  その第三は、檢査手数料を取らない建前であるが、その経費をどうするか、又手数料ではないが、別の形で從來あり勝ちな、例えば寄附金などを業者に強要するようなことがないかという懸念があつたのであります。これに対しまして政府は、檢査費用は一般会計で支弁することとし、すでに今年度に一億円余の増額を組み込んでありまするし、業者に迷惑を掛けるようなことは絶対にさせないように注意してやるという答弁なのであります。  以上の外いろいろな質疑應答はありましたけれども、これは省略いたしまして、直ちに討論に入つたのでありまするが、討論におきまして、本法案のごとく品質改善について行者の責任感に訴え、政府は單に警察的取締りに任ずるということは、恐らく日本としては初めての試みであつて、非常に進んだ理想的な取締方法とは思うが、残念ながら我が國の経済道徳の現状は、この法律の精神と甚だ遠いものがあるので、政府においては十分なる監視指導を怠らぬようにして、先に問題になりましたところの國営檢査の非能率、不親切等の弊に陥らぬよう、或いは民間業者に寄附その他のいろいろな負担や迷惑をかけないようにせなければならんという希望條件はありましたが、法案そのものについては、いずれも賛成でありまして、採決の結果、全会一致を以て本法案を可決することに決定いたした次第であります。以上簡單ながら御報告申上げる次第であります。(拍手)
  26. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  27. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。     ―――――――――――――
  28. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第一八、昭和二十一年度國有財産増減計算書報告日程第一九、昭和二十二年度三月三十一日現在國有財産現在額総計算書報告  以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。委員長報告を求めます。決算委員長下條康麿君。    〔下條康麿君登壇〕
  30. 下條康麿

    ○下條康麿君 昭和二十一年度國有財産増減総計算書並びに昭和二十一年度三月三十一日現在國有財産現在額総計算書につきまして御報告申上げます。毎年度國有財産の増減額並びに毎年度末現在の國有財産は、國有財産法によりまして政府から國会に報告することになつております。昭和二十一年度におきましては、國有財産増額を見ましたものが、一般会計、特別会計を通じまして三百八十四億余万円であります。又減少した分は同じく一般会計並びに特別会計を通じまして百六十七億余万円でありまして、差引純増加額は二百千七億余万円となる計算であります。  次に同年度末、即ち昭和二十二年三月三十一日現在の國有財産総額は四百二十四億余万円でありまして、公用財産百四十二億余万円、営林財産が百三十三億余万円、雑種財産が百四十八億余万円であります。  本件につきましては政府から詳細な報告がありまして、委員会におきましても愼重審議いたしまして、別に異存がないところでありまして、全部異議なきものと決定した次第でございます。この段報告を終ります。(拍手)
  31. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 両件とも委員長報告通りで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ―――――・―――――
  33. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して少年法を改正する法律案、少年院法案、(内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。司法委員会理事岡部常君。    〔岡部常君登壇〕
  35. 岡部常

    ○岡部常君 只今上程に相成りました法案中、少年法を改正する法律案並びに少年院法案について、司法委員会における審議の経過と結果を御報告申上げます。  この法律は、少年の犯罪が激増し、且つその質がますます惡化しつつある現状に鑑みまして、少年に対する刑事政策的見地から少年法の全面的改正が企てられたのであります。今回の改正点は多岐に亘つているのでありまするが、その重要なる点を簡単に申上げますと、先ず現在の少年に対する保護処分は、法務廳の所管である少年審判所がこれを行つているのであります。然るに新憲法下における人権尊重の趣旨からいたしまして、これを裁判所の所管に改め、新たに設置された地方裁判所と同格の独立した家庭裁判所がこれを行うようにしたことであります。この裁判所法の改正は別途に立案されるそうであります。次に、最近の少年犯罪の傾向に照して、十八歳の少年年齢を二十歳に引上げ、更に保護処分と刑事処分との関係について、現行法では、檢察官が刑事処分を不必要として起訴猶予にした事件を少年審判所に送致するのでありまするが、今回の改正では、この関係を轉倒し、一切の少年の事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所が保護処分に付するか、刑事処分に付するかを決定するのであります。又現行法の保護処分の中、比較的軽微なものを廃止いたしまして、尚家庭裁判所の決定に対して、高等裁判所に対する抗告を認めております。次に少年の福祉を害する成人の刑事事件については、裁判権に特例を認めまして、而してこれを家庭裁判所の管轄に属せしめております。別事処分としましては、十八歳未満で罪を犯した者に対しては絶対に死刑を科さないようにいたしたのも一つの特色であります。以上はこの法律案の主な内容であります。  この法律案の第三條第二項に、家庭裁判所は、十八歳未満の虞犯少年については、兒童相談所長から送致を受けた場合に限り審判権を有することになつておるのでありまするが、この「十八歳」を「十四歳」に改め、第二十四條中に関連條文と矛盾する点がありまするので、これを整理したものであります。  当委員会は愼重審議の結果、衆議院の修正案及び右修正域外の政府案をいずれも妥当なるものと認めまして、全会一致を以て可決した次第であります。  次に少年院法案について申上げます。從來の矯正院は混合収容であつたのでありまするが、発育の盛んなる少年時のことでありますから、やはり適当な年齢差によつて区別して収容した方がよいのでありまして、本法では家庭裁判所から保護処分として送致された犯罪少年へ虞犯少年を、四つの段階に分けて収容することにいたしております。即ち初等少年院、これは心身に著しい故障のない概ね十四歳以上十六歳未満の者を収容するのであります。心身の発達より來る生理上の差異の第一段階を概ね十六歳で区切つたのであります。次は中等少年院、これは十六歳以上二十歳未満の者を収容するのであります。第三は特別少年院、心身に著しい故障はないが、犯罪傾向の進んだ概ね十八歳以上二十三歳未満の者、第四は医療少年院で、これは心身に著しい故障のある概ね十四歳以上二十六歳未満の者を収容するのであります。  矯正教育は、少年をして社会生活に適應させることを目的とするものでありまして、一面は自覚には規律のある生活の下に、智的教育、職業補導訓練、即ち徳育と体育及び医療を授けるのであります。矯正教育の一部は学校教育法における教育と同一のものでありますから、常に文部大臣と密接なる連絡を保ち、少年院の長は前述の教科を修了した者に対して証明書を発行するのであります。これは学校教育法による各学校の卒業者と同一の資格であり、従つて轉校を可能ならしめて、一般社会の教育との間に自由な交流を認めております。収容者の年齢の限度を一應二十歳と定め、原則として二十歳で退院させ、少年院の長が、在院者の心身に著しい故障があり、又は犯罪的傾向がまだ矯正されていないため、退院させるに不適当であると認めるときは、少年を送致した裁判所に対して収容の継続を申請し、裁判所が収容継続の決定をした場合にのみ継続して収容することができるようにしたのであります。その場合に、決定の期間は二十三歳を超えることができないのでありまするが、特に在院者の精神に著しい故障がある場合に限つて二十六歳まで収容することができることになつております。  次に少年観護所のことでありますが、これは家庭裁判所事件のいわば未決拘置監のようなもので、これを警察の留置所、矯正院の出張所又は拘置監等に収容して置くことは弊害が多いので、独立した少年観護所を設けたのであります。尚ここに少年鑑別所を附置して、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基いて少年の資質の鑑別を行うことにいたしまして、少年の科学的分類と矯正教育の基礎の確立を図つたのであります。以上が今回の法案改正の要点であります。  本委員会におきましては、法務廳の関係部局の説明の外、特に東京少年審判所長、多摩少年院長にもおいでを願つて実情を聴き、愼重審議の上、誠に時宜に適した改正であると認めまして討論を省略し、満場一致可決すべきものと決定した次第であります。(拍手)
  36. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立)
  37. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  38. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して、昭和二十三年六月以降の判事等の報酬等に関する法律案昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給等に関する法律案、商法の一部を改正する法律案、有限会社等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。司法委員会理事鈴木安孝君。    〔鈴木安孝君登壇、拍手〕
  40. 鈴木安孝

    ○鈴木安孝君 只今議題となりました昭和二十三年六月以降の判事等の報酬等に関する法律案及び昭和二十三年六月以降の檢事等の俸給等に関する法律案の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  判事檢事等の報酬等につきましては、それぞれ先般の國会を通過いたしまして、昭和二十三年法律第七十五号、同じく第七十六号として公布施行を見たのでありまするが、その金額の準準は、いわゆる二千九百二十円ベースによつたのでありましたところ、この度政府職員の俸給等に関する法律案におきまして、その基準を三千七百九十一円ベースに改められたのであります。それに伴いまして、判檢事の報酬もこれを改める必要を生じましたから、六月一日から、認証官たる判檢事を除き、先に定められたる月額の十三割に相当する金額を支給するという案であります。委員会におきましては、審議の末、全会一致可決すべきものと決定した次第であります。  次に、商法の一部を改正する法律案及び有限会社法等の一部を改正する法律案について、審議の経過並びに結果を申上げます。現行商法は株式会社及び株式合資会社につきまして、主として資金調達等の会社経理上の必要と、零細株主の便宜等に基きまして、株金分割支拂の制度、即ち株金はこれを分割いたしまして、会社の設立又は資本増加の際に、第一回拂込をして、その四分の一以上を拂込むことを以て足りるとしたのであります。残額は会社の成立した後、又は資本増加の効力を生じた後に必要に應じて拂込ませることができるものとする制度を取つておつたのであります。ところが経済界の実情は、むしろ多くの弊害が生じておるのでありまして、未拂込株金の拂込義務の遅滞によつて生じる催告、強制執行、失権手続等手続上の煩瑣は誠に煩わしく、自己資本の充実は空名に帰する場合が多く、殊に恐慌若しくは会社破産の場合における株金の徴收は全く不能となつて、会社債権者に多大の損害を加える実情にありますのみならず、増資によりまして、拂込額を異にする二種の株式を生じましたときに、その拂込額の如何に拘わらず議決権を等しくする関係上、増資新株にはつて会社を支配するがごとき不公平を生ずる等の弊害があり、更に未拂込株式は投機の対象となり易く、証券取引の見地からも決して好ましいものではなかつたのであります。しかのみならず現在のインフレーシヨン下におきましては、貨幣價値の下落によりまして、現実には殆んど株金分割拂いの実効はなく、又現在主要な会社は多くその株金は全額拂込済みでありまして、分割拂制度を廃止しまして、さしたる影響はないと考えられるのであります。よつて株金分割拂いの制度を廃止しまして、その弊害を一掃し、会社の資本計算を簡易ならしめ、会社の信用を高め、外資導入の一助たらしめたいというのが、本案の提案の理由であります。その代りに、少額投資者の保護と、一面この改正の整理の方法という意味も含めまして、從來株式の金額は一株五十円を下ることを得ないことになつておつたのでありまするが、一株二十円を下ることができないことに改められました。これは株式を民主化する趣旨であります。  尚政府の説明によりますれば、現在の株式会社等の資本総額五百十四億円の中、未拂込株金は全部で七十七億円、その中特別経理会社の分が大部分でありまするために、一般普通会社の分は三億八千五百万円であります。この整理は今後二ケ年内に、未拂込の徴収又は資本減少の手続によつて行われることが期待されるのであります。  有限会社法及び非訟事件手続法の方は右商法修正條文を準用しておりまするものを整理するものであります。  以上が両案の内容でありまするが、委員会におきましては、愼重審議の未、討論を省略いたしまして全会一致可決すべきものと決定いたした次第であります。この段御報告いたします。(拍手)
  41. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより四案の採決をいたします。四案全部を問題に供します。四案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  42. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて四案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  43. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程を変更して、日程第二〇より第二九までの請願及び日程第一七九、第一八〇、第一八二、第一八三及び第一八五の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「意義なし」呼ぶ者あり〕
  44. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。治安及び地方制度委員長吉川末次郎君。    〔吉川末次郎君登壇、拍手〕
  45. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 只今議題となりました請願十件、陳情五件につきまして、本委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げたいと存じます。便宜これら陳情請願を二種類に分けまして御報告申上げたいと存じます。  先ず第一種といたしまして、一は、新警察制度運営に関するものでございまして、請願第七百九十号、及び陳情第二百五十三号、陳情第七十二号が、これでございます。請願第千百五十八号及び陳情第三百五十二号、並びに第三百九十六号は、いずれも警察費財源に関するものでございまして、その全額を國庫で負担せられたいと願うものでございます。  二に、請願第二百二十二号は、質屋取締につきましては、現行の法規が明治二十八年に制定せられておるので、これを現代の時世に合うように改められたいとの請願でございます。  三は陳情第四百五十二号でございまして、地方財源の困難から、自動車に高額な道路損傷負担税をかける傾向があるが、これは雑収入的存在であるから撤廃せられたいとの趣旨でございます。  次に四といたしましては、請願第千七十六号でございまして、香川縣立高瀬高等学校設立のための起債をば認可せられたいというのが、その誓願であります。  五といたしましては請願第七十二号であります。福島縣の群山駅構内の食堂の利用者の大部分が外食券の使用者であるから、再三旅行者用外食券食堂の指定申請をしたけれども、未指定のままであるから、速かに駅構内立賣弁当に準ずる取扱いをせられたいというものであります。  六は、料理飲食店の再開に関するものでございまして、請願第五十八号及び請願第三百五十三号の二件でありますが、その中前者は政令によつて、営業を禁止された結果、業者、従業員等の生活を脅かされているから、配給に不向きな品、又は未利用資源等の簡易な皿盛料理等によつて、営業が再開できるよう取計らわれたいとの趣旨でございます。後者の方は港湾荷役労働者の多い横浜では、市民の慰安上市民酒場が必要であるから是非これらの営業再開を許可せられたいというところの請願であります。  以上の点につきまして、本委員会は愼重審議の結果、いずれも願意は大体了解し得ましたので、採択の上内閣に送付すべきものと決定いたしましたが、これより別にいわゆる七・五号政令を以て禁止せられておりますところの、料理店営業をば全面的に再開することを許されたいとの請願陳情がございました。併しながら右は主食の補給を連合國の好意に仰ぎつつあるところの、日本の現状におきましては、委員会におきましては、これを採択すべからざるものと決定いたしました次第でございまして、併せて御報告申上げたいと存ずるのであります。  第七には請願第千百二十三号でございまして、地方財政制度改正に関する請願でございます。その要旨は税制が依残中央集権的であるのは、地方分権の憲法の精神に反しておるから、速かに地方税制度をば改正されたいというものでございます。これらのいずれも以上申述べました第一種に属しまするところの、一切の請願陳情は、委員会におきましては審議の結果、これを採択いたしまして、政府に送付すべきものと決定いたしました次第でございます。  次に我々が便宜上第二種に分類いたしておるものといたしましては、請願第千百六十二号でございまして、市町村における國の委任事務の分野を明確ならしめるため、その人件費は全額國庫負担とし、その他の職員は從前通り分與税を以て補助せられたいというのが願意であります。  次に請願第千百六十五号でございまして、この請願は新警察及び消防の運営は、現在の市町村財政では困難であるから、それに充当し得るところの財源をば、市町村に委譲せられたいというのが願意でございます。  便宜上二種に属するものといたしまして分類いたしましたこの二件につきましては、我々は委員会におきましては、その願意は大体了解することができますので、これを採択いたしましたが、これらは別に内閣にこれを送付することを要しないものと決定いたしました次第でございます。  以上を以ちまして只今議題となりました請願陳情の審議につきましての、我々の委員会の経過並びに結果をばご報告申上げました次第でございます。(拍手)
  46. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採釈し、日程第二八、日程第二九の請願を除き、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  47. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第二八及び日程第二九の請願を除き、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  48. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第三〇の請願議題といたします。先ず、委員長報告を求めます。文化委員会理事久松定武君。    〔久松定武君登壇、拍手〕
  49. 久松定武

    ○久松定武君 只今議題に上りました請願第二百四号の、岡山の後樂園復旧に関する請願についての、本文化委員会におきます審査の経過並びに結果について御報告申上げます。  本件の趣旨は、後樂園は水害と戰災のため荒廃し、まことに惨めな状態になつておる。岡山縣ではこの名園の復旧について努めておりまするが、経費が十分でなく、又文部省からの補助も極めて僅かであつて、これでは復旧も直ぐに見込みが立たない。復旧の目的を達成するには、二十三年度においても最小限度二百三十万円を要する。縣ではその財源に苦しんでおるから、この際相当額の國庫補助をお願いしたいというのであります。今日のように我が國における國宝その他の名宝は、戰災等のため非常に少なくなつております。而もその上現在残つておりまするものの中には、経費その他の事情で手も着けられず、荒れるに任せておるような場合が多いのであります。財政多難の折、これらの修理も費用を捻出することは非常に苦しいのでありまするが、併しそのまま放置して置くわけにも参りません。文化國家として許されませんことであります。そこで文化委員会におきましては、愼垂審議を重ねた上、文化保存のため、この際できるだけ名園の復旧を図るべきであることに意見の一致を見たのであります。そうして採択の結果、本件は全会一致を以て議院会議に付し、内閣に送付を要するものと決定した次第であります。これを以ちまして報告といたします。(拍手)
  50. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより採決をいたします。本請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  51. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  52. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程第三二より第一七七までの請願及び日程第一八七より第二四五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。委員長報告を求めます。農 委員長楠見義男君。    〔楠見義男君登壇、拍手〕
  54. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました農林委員会関係の請願及び陳情につきまして、委員会の審議の状況を御報告申上げます。  農林委員会に付託せられました請願及び陳情は、事柄の性質上極めて多岐に亘つておりまして、又その件数も多数に上つておるのでありまして、即ち請願二百十四件、陳情八十八件、合計三百二件でございますが、委員会におきましては、特にこれらの案件を愼重に処理いたしまするために、二つの小委員会を設けて審議を盡したのでありまして、その結果、只今上程せられましたように、請願百八十七件、陳情六十四件、合計二百五十一件を会議に付して、内閣に送付を要するものと決定いたした次第であります。  而してこの請願陳情の内容は、農業の増産、食糧の確保、農村の民主化、農産物價の是正、農村経済の安定、畜産の振興、森林資源の涵養、災害復旧、農村工業振興等いずれも極めて重要な問題ばかりでございまして、国家再建上急速なる実現を必要とするものでありまするし、問題の所在につきましてはすでに各位の御承知の通しでありまするから、ここでは詳細の説明はこれを省略さして頂きたいと存じますが、ただ一点、農村工業振興問題につきましては、我が國農業の今後の在り方及び農村の現状に即して極めて重大なる問題であるにも拘わらず、政府当局の認識は極めて不十分でございまして、屡次の論議の結果、最近漸く理解し始めた程度でありますので、この問題につきましては、特に、その実現を強く要望いたしておりますることを、ここに附加して御報告を終わることといたします。(拍手)
  55. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  56. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  57. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程の順序を変更して、日程第三一の請願及び日程第一八六の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。    〔塚本重藏君登壇、拍手〕
  59. 塚本重藏

    ○塚本重藏君 只今上程せられました請願一件並びに陳情一件に関しまする厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  請願文書表第七百七十八号、生活保護法改正等に関する請願陳情文書表第三百号、生活保護法による基準額引上げに関する陳情、右の請願並びに陳情は、いずれも生活保護の改善に関するものでありまして、その趣旨はほぼ同一のものでありますので、これを一括して申上げます。生活保護法により扶助せられております者は、現在の経済情勢ではその最低生活さえも保持できない実情にありまするので、生活保護法の積極的な運用を図ると同時に、これが國庫負担を全額とし、生活基準の引上げを図られたいとの趣旨であります。  委員会におきましては、現下の経済状態から見て、基準額の引上げ、また新憲法の精神から、現行生活保護法の根本的な改正を政府に強く要望いたしまして、本請願陳情議院会議に付して内閣へ送付すべきものと決定いたした次第であります。報告を終わります。(拍手)
  60. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより採択をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を願います。    〔総員起立〕
  61. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。日程第一七八、第二四六、第二四七の請願及び日程第一八一、第一八四の陳情は記載誤りにつき、日程から削除いたします。これにて本日の議事日程は全部議了いたしましたが、本日は会期の最終日でございますので、委員会の審査の状況に應ずるため、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十三分開議
  62. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。この際、議員派遣の件をお諮りいたします。在外同胞引揚問題に関する特別委員長より、引揚諸港における施設並びに厚生対策等を実地調査し、以て今後の引揚同胞対策の審議に資するため、北海道、青森縣、宮城縣、福島縣、秋田縣、山形縣、京都府、福岡縣、惑いは長崎縣にそれぞれ河崎ナツ君、田村文吉君、矢野酉雄君、池田宇右衞門君、穗積眞六郎君、星野芳樹君、淺岡信夫君、北條秀一君、細川嘉六君、山田節男君、宇都宮登君、岡元義人君、安達良助君、千田正君、太田敏兄君、城義臣君、木下源吾君、木内キヤウ君を、七月十日より九月二十日までの中、それぞれ六日から二十日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら十八名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。      ―――――・―――――
  64. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、先に本院の議決に基き、北陸地方の震災地調査のため派遣いたしました議員の報告を求めたいと存じます。藤森眞治君。    〔藤森眞治君登壇、拍手〕
  65. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 本日一日本院の御指名によりまして、私共藤森眞治、中川幸平、内村清次、國井淳一、井上なつゑの五名は、北陸地方の大震災の状況を視察することに相成りまして、同夜直ちに東京を出発して震災地に参りまして、つぶさに現地の状況を視察いたしまして、でき得るならば本國会会期の終らない中に御報告いたしたいと存じまして、漸く本朝帰つて参りました次第でございます。何分にも、交通の杜絶しております各地を急いで視察しまして、先刻漸く帰京いたしましたばかりでございますので、報告事項の整理の暇もなく、又疲労も十分回復いたしておりませんため、甚だお聴き苦しい点が多々ございますと存じまするが、この点悪しからず御了承の上、暫く惨害状況の報告をお聴き取り願いたいと存じます。  私共は当時の状況から見まして、先ず石川縣の災害状況を視察して、次いで福井縣に行く行程をとりました。それで先ず金沢へ参りまして、石川縣廳にて知事並びに各関係方面から同縣下の状況を聴取いたしました。そうして、ここで本院からの見舞金五万円のうち二万円をお渡しいたしました。丁度ここで厚生省から派遣されておりました葛西厚生次官の一行に会いました。同次官からもいろいろの情報を承わりました。丁度我々の参りますコースと同次官のコースとが逆になつておりますので、我々は非常に参考を得たのであります。そこでいろいろ石川縣の最も惨害のひどいと言われておりまする大聖寺附近の状況を視察いたしまして第一日を終りました。翌日は福井縣の惨害の中心地でありまする丸岡、長畝等の視察と、福井市へ進入するということを計画いたしまして、途中惨然たる被害地を万難を排しつつ漸く午後二時半頃に福井市に至りました。直ちに福井縣廳に参りまして、副知事並びに関係各方面より状況を聴取いたしました。そうして、ここで本院からの見舞金五万円のうち三万円をお渡して置きました。丁度この途中で鳴鹿村という村を通つておりまする際に、知事がジープで各地を視察に行つておるのとたまたま出会いまして泥土の上で我々と立話をいたしまして、そうして知事から各般に亘る状況と又要望を承わりました次第でございます。そこで福井縣廳に参りましたところが、丁度衆議院の慰問團の方々もおいでになりまして、そうして双方集まりまして被害状況を聽取して、我々は福井市内の被害状況の視察に出たのでございます。ところが福井市面においては宿泊する旅館というものは一つもないということが分りましたので、終に又福井市から石川縣に夜をついで引揚げることにいたしまして、再びその晩石川縣の方へ引返しました。そうして第三日目は石川縣の全壊漁村といわれておりまする塩屋村を視察いたしました。それから次いでこの石川縣並びに福井両縣の重症患者を収容しておりまする國立山中病院に参りまして、具さに患者の実情を視察して、そうして同夜金澤を出発とて今朝帰京いたしましたような次第でございます。  今回の北陸地方の大震災は、福井を中心といたしまして、福井縣東北部がから石川縣西南部にかけてその被害が最も多いのでありまして、震源地におきましては、全家屋が倒壊し、住民は辛うじて倒壊いたしました家屋の庇の下に入つて雨露を凌いでいるという状況であります。あまつさえ場所によりましては火災が発生いたしまして、その惨禍は実に目を蔽わしめるものがございます。  次に極く簡單に数字を挙げて申しますると、石川縣におきましては、主として江沼郡一帯がこの惨禍に遭つたのでございますが、その中塩屋が最も惨禍を極め、大聖寺がこれに次いでおります。この方面におきまする被害は、全壊家屋が五百七十二戸、半壊家屋四千五百八十戸、人的被害は、死者三十六名、重傷者五百二十一名、軽傷者三百十二名、行方不明六名ということになつております。併し石川縣におきましては、何と申しましても、震源地と目されておりまする九頭龍川の流域からは大分距離がありますので、一部海岸地帶を除いては、損害は福井縣のそれに比べますと若干少いようでございます。尚ここで一言申上げまするのは、この方面では火災の発生が各機関の非常な努力によりまして、火災を未然に防がれたことでございます。これがその損害の拡大を免れしめた大きな原因の一つでございます。  福井縣におきましては、九頭龍川流域の平野は殆んど全部惨害を受けまして、その損害も非常に大なるものがございます。その地域も一市十ケ町、四十六ケ村、即ち福井市、坂井郡、足羽郡及び吉田郡の廣い部面に亘つております。この方面の被害状況は、七月二日現在の調査によりますると、全壊家屋三万二千八百七十四戸、半壊家屋四千九百八十戸、焼失家屋八千七百八十戸、死者五千五百七名、負傷者一万九千六百二十八名の多きに及んでおります。なかんずく金津町、丸岡町のごときは、全町壊滅し、完全なる家屋は一戸も存在しておらない状況でございますのみならず、尚一部の震源地にありましては、連絡機関がまだ全然回復いたしませんために、詳しい状況の分らないところがあるのでありまして、従つて今後の被害の増加が予想されまするので、誠にこの点は憂慮に堪えないのでございます。尚福井市におきましては、進駐軍の家屋も全部破壊焼失いたしましたが、併しながら進駐軍将兵はそれにも拘わらず活躍をしておられますのを見ましたが、我々にとつて誠に喜ばしいことだと存じました次第でございます。  御承知のように、今回の地震の襲來は一瞬にして家屋を倒壊したのみでなく、同時に諸所に火を発しまして、そのために惨又惨を重ねたという状態でございますので、ここに死者の数の沢山出たということがあるのでございます。そこで今回のこの災害は、御承知の通り第一回國会におきまして災害救助法ができました。この災害救助法の実施後初めての災害でございますので、この点我々の視察の上に特に注意を拂いましたわけでございます。これによりまする諸種の救助並びに應急対策事項につきましては、次にそれぞれ項を分つて簡單に申上げたいと存じます。  先ず主要食糧のことでございますが、これは御承知の通り、早速凍結米が解除されましたために、一應配給上にはさしたる障害がないように見受けられております。併し非常災害時において、特に現在のように物資が少く、いわゆる災害救助法に基く備蓄計画のできないこの際におきましては、一時的の安易に流されてはいけないという感じを強ういたしましたのでございます。  次に医療、防疫方面でございますが、これは非常に沢山の救護班が各地から参りまして、人的方面におきましては大体不足もないような状態でありまするが、家屋の倒壊によりまする救護施設の不足と、道路の破壊によりまする患者輸送力の障害は、非常に医療救護の遂行を妨げておりますように存じます。又藥品その他衛生材料も、収容施設を持つておりまする病院などでは、十分でなくても漸く間に合つておるか、又は相当に困らんだけの用意のあるところもございますが、災害現場の救護班におきましては、補給がなくなつて非常に困つておるところが少くないのであります。厚生省から災害発生と同時に送られました破傷風血清とか、或いはダイアヂンとか、或いはペニシリンであるとかいうものは、まだ私共が参りました範囲におきましては、末端の救護班に渡つておらないような状況でございまして、非常にこれを切望しておる様子を見受けました。併しながら大体におきましては、災害の應急処置は、一段落した形を取つております。  防疫の方面におきましては、現在のところまだ傳染病の発生の様子はないのでございますが、各地の水道が全滅しておりますることと、その上この地方は全般的に余り水質のよくない地方であります。且つ井戸が非常に少いという所がありますので、今後における傳染病の発生には十分警戒を要するものがあるのでございます。幸にチフス、パラチフスの予防注射が大体済んでおりました時期に参りましたことは、誠に好都合であつたと考えられるのでございます。次に産業方面の事情等につきましては、申上げるまでもなく、この地は織物の産地でございまして、殊に福井市とか、或いは大聖寺町のごときは、殆んど織物の町といつてもよいくらいの所でございます。ところがこの諸種の織物工場は、工場と織機と同時に随分高度に破壊されておりまして、その再起は極めて憂慮されるものがあるように思われます。勿論絹織物は我が國輸出産業中の重要な地位を占めておるものでありまして、これが被害を受けましたことは、外資獲得の方面においても大きな傷手ではないかという感じが強くありまして一日も早くこれらの復興を念願する感を深くいたしました次第でございます。  次に農業方面におきましては、石川縣において約四百町歩、福井縣におきましては全縣の三分の二が被害を受けておるのでありまして、田植後いくばくもなくして、この災害によりまして稻は泥土に没し、或いは流失いたしまして、又再びここに田植をせねばならんような状況でございます。又利水に至りましては、全然灌水不能となつておるものもあります。御承知の通りこの地方は一毛作地帯であり、その上家屋は倒壊し、牛馬は斃死し、農機具は破損し、而もその土農村方面には救助の手も遅れがちでございます。それで農民の中には、絶望的にさえなる者ができるのではないかと、案ぜられるような状態を見受けるのであります。  次に河川関係についてでありますが、その最たるものはなんと申しましても、九頭龍川でありまして、すでに新聞等にも詳しくでておりますように、その堤防は諸所に亀裂を生じて脆弱になつております。一度ここに降雨を見まするなれば、昨年の利根川の決壊以上の大水害の危機をはらんでおります。これが対策は一刻もゆるがせにできないのであります。併しこの堤防の亀裂による脆弱は、ひとり九頭龍川のみではございません。他の小さい河川にも諸所にこれが見受けられるということは、この点細心の注意を拂わなければならないと考えられるのでございます。  次に交通関係についてでありますが先ず道路について申上げますと、道路は亀裂し、陷没し、橋梁は破損しておりまして、殆んど縣外への完全なる幹線道路というものがない状態であります。漸く福井、石川両縣の連絡が可能になりましたが、福井、大聖寺間に自動車で数時間を要するような状態でございます。  次は鉄道でありますが、鉄道につきましては、現在北陸線は大聖寺、福井間が不通でありまして、途中トンネルの崩壊、線路の陷没等があり、又九頭龍川の鉄橋の破損は、これは決定的にその復旧を妨げておる状態でございます。列車は二日現在で漸く三ヶ列車が福井まで開通いたしまして、福井操車場までは救援物資を載せた、いわゆる救援列車も到着しておる現状になりましたが、併しなんといたしましても、この決定的の問題は九頭龍川の鉄橋でございます。  次に通信におきましては、電信電話は全然杜絶しております。現在の福井、大聖寺間は無電による以外には通信機関はございません。そうしてこの震災の中心地は、全然人によつて、人から人へと傳える以外に、通信の連絡方法はないのであります。従つてこの復旧には相当の時日を要するのではないかと存ぜられます。  最後に労務についてでありますが、この道路の開墾その他すべての作業に、多数の人手を必要とするのでありまして、幸い石川、富山方面から非常に迅速に多数の労働力を提供され、九頭龍川以北の作業に当つております。併し当初福井方面におきましては、震災直後は、労働力が非常に不足いたしまして、そのために災害救助法第二十四條によりまして、令状を発して労働力を集めたということでありましたが、その後先程述べましたように、各地から救助隊が続々到着しておるのが現在の状況でございます。  教育方面のことを一口申上げまするが、多数の学校が潰滅し、或いは潰滅せんでも、非常に破壊の程度が強いために、危険な状態にございまして、使用不可能なものが相当多数ございます。殊に氣の毒に思われますのは、幾多の新制中学が被害を蒙つておることでありまして、学校を失つた学童のことを思うては、涙なき能わずの感があるのでございます。  大体以上が極めて概略の状況報告でありまするが、この視察を通しまして、震災地各方面の要望を聴いてみましたところが、これを一括して申しますると、大凡そ次の諸項になるのでございます。第一は金融の問題であります。第二は資材の問題であります。第三は教育の問題、殊に破壊された教育施設に対する対策であります。第四は衛生防疫の問題、殊に水道復旧並に鑿井、第五は農耕用排水の整備であります。第六は公共建物の復旧、第七は電氣設備の復旧であります。第八は交通機関の復旧等でございます。以上が大体要約いたしました要望事項でございます。  ここで最後に一言申上げたいのは、進駐軍が日本側の自主的災害復興援助、飽くまでも自主的と申しておりまするが、自主的災害復興を援助するために、あらゆる協力をしておるということは、誠に感謝に堪えないことであると存じました次第でございます。以上を以て御報告を終ります。(拍手)     ―――――――――――――
  66. 鈴木順一

    ○鈴木順一君 本員は建設院総裁に対し、水災復旧に対し緊急質問の動議を提出いたします。
  67. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今の動議に賛成いたします。
  68. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 鈴木君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  69. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。鈴木順一君。    〔鈴木順一君登壇、拍手〕
  70. 鈴木順一

    ○鈴木順一君 私は只今許可になりました動議に関しまして、要点だけを申上げて、建設塩総裁に対する緊急質問をいたしたいと思います。  昨年の九月の水害によりまして関東、東北その他都町道府縣におきまして、非常なる災害を受けておるのであります。その災害復興も、國の財政の状況や、その他種々の困難の状況からいたしまして、所期の復興をしておらないのであります。殊に農地の復興に当りましても、御承知のように、長い間疲弊困憊した農民みずからの手によりまして、これが鋭意復旧に努力しておるのであります。又配給される資材も非常に少いのであります。然るに本年度の予算も本決まりになりました上は、果敢に御熱心に、一松総裁の下にこれが復旧に当られんことを希望いたすのであります。又建設院が建設省になりまして、非常に喜ばしく存ずるのでありますが、各省の繩張的な関係から、道路は一部分できた、橋梁はできた、併しこの道路に眞正面に向つておりますところの山の大沢、小沢、川の水防工事、堤防工事、砂防工事がまだできておらないために、折角できた道路が、昨今の雨によつて押し流されてしまつた。又昨日の同僚議員からも希望意見がありましたように、橋梁はできたが、その橋の裾までも耕地復旧のために掘つておるというような危険な状態もあるのであります。この際私は希望といたしまして、建設院総裁が中心になり、我が國に二度とこの災害を招かないように、科学的な立体的綜合計画を立案されて、各省間の繩張の狭い考え方を解き、國土の保全に努めて頂きたいということを先ず第一に希望するのであります。(拍手)  もう一つは、只今申上げました縄張的な例と申しますか、一つ挙げて見るならば、最近讀賣新聞の紙上や、その他の新聞の紙上におきまして、地元の農民を非常に激昂させたことがあるのであります。それは御承知のように栗橋の堤防の決潰によつて、埼玉、栃木が悲惨な水浸しに遭つたのであります。これがために昨年から、鋭意この堤防のすべての災害を防ぐための努力が拂われておるのであります。併し先程も申上げましたように、資材、資金、労力不足の折柄、所期の計画が進んでおらないのであります。そのために最近の新聞紙上に現われた例を申上げると申したのでありますが、この栗橋の堤防の近くは、対岸は群馬縣でありますが、この群馬縣の邑楽郡という小さい郡は、昨年の堤防決潰によりまして、一万数千町歩の耕地、数千戸の人家が一月以上も水浸しになつておつたのであります。琵琶湖の役三倍の廣さということを聞かされておつたのでありますが、このとき建設員の水政局の係員と、日本河川協会の人達がここに出張いたしまして、この進行状況について尋ねたり、希望もした、そのときに、若しも近い中に水害があつたならば、大洪水があつたならば、埼玉、東京方面の大きな災害より少く災害を防ぐために、群馬縣の側の方を人工爆破によつてこれを防ぐというような、自分の技術の低いこと、仕事の遅れて、おる点を、これらの一部の專門的でありましようけれども、かような不心得な言辞を弄しておるのであります。恐らく総裁は御存じないかと思いますけれども、かような言動が行われますことは、新憲法に個人の生命も、財産もはつきりこれを保障されております只今、單なるかような見地からするというようなことは問題であろうと思うのであります。  以上簡單でありますが、これに対しまして建設院総裁の御所見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。(拍手)    〔國務大臣一松定吉君登壇、拍手〕
  71. 一松定吉

    ○国務大臣(一松定吉君) 只今の鈴木議員の御質問に対してお答え申上げます。昨年秋の大水害のために、河川は勿論、道路、橋梁等に多大の被害を蒙むりましたことについて、所管省として、これらの復旧工事に畫夜の兼行の努力を拂つておるに拘わらず、今尚完全に復旧できないことは、誠に遺憾に存じております。そういう点に関しまして、今回御審議を経まして御決定に相成りました、この予算の成立いたしましたことを機会に、充分にそれらの被害の箇所にできるだけの手を盡して、被害を少からしめるように努力いたしたいと、かように計画を立てておりますからして、その点は暫らくお任せをお願いいたしたいのであります。  又利根川の栗橋附近の問題に関する人工爆破というがごときことは、建設院といたしましては勿論考えておりません。若し或る席上において、水政局の係員がさような意見を発表いたしたといたしまするならば、それは私の考えを申上げたのでなくて、その係員個人の考えを言つたことであろうと思うのでありますが、そういうような、人心に不安を及ぼすような意見は、個人としても発表すべきものではないと考えております。(「取締れ」と呼ぶ者あり)そういうようなことに対しまして、若しありましたとするならば、これに対しまして警戒を加えまして、将來さような人心に不安を及ぼすようなことをなからしむることに努力いたしますのみならず、利根川の左岸たると右岸たるとを問いません。私の立場としましては、両方ともこれを立派に保全して行かねばならぬという考えを持つておりますから、それらの点に関しましては、技術方面に対して十分の調査檢討を命じまして、さような不安をなからしめるように努力いたします。(拍手)      ―――――・―――――
  72. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して、国民の祝日に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文化委員会理事久松定武君。    〔久松定武君登壇、拍手〕
  74. 久松定武

    ○久松定武君 只今議題となりました國民の祝日に関する法律案についての文化委員会の審査経過並びに結果を御報告いたします。  本法案の内容を簡單に申しますと、第一條は祝祭日全体の呼び方を決めたもの、第二條は個々の祝祭日を決めたもの、第三條はこれらの祝祭日を休日とすることに決めたものであります。以上の外に附則として、この法律は公布の日から施行し、それと同時に現行の祝祭日は廃止することを附加えたものであります。  この法案は昨日夕刻衆議院で可決され、直ちに本院に送付、文化委員会に付託されましたので、即刻委員会を開いた次第であります。然るに本件は、昨日山本文化委員長が詳細に報告いたしました祝祭日に関する調査報告と同一の問題を取扱つたものであり、又文化委員会におきましても、昨年末より衆議院文化委員会と合同で調査を続けて來た事情もありまして、審議におきましては、質疑を省き、直ちに討論に入つたのでございます。参議院文化委員会においては、國民の日という呼び方でこの法案調査研究を進めて來ましたのであります。從つて討論の際に、委員の中から、祝日という呼び方は面白くないという強い意見も発表されました。又一委員よりは、子供の日は子供を主体とした日で、いわゆるリーガル・ホリデーとしては世界に例のないことであり、如何にも新らしい日本の國にふさわしい祝日である。本法案に賛成であるという発言もありました。又一委員よりは、國民の輿論は紀元節の存置、又これに代る建國の日のごとき祝日を創れという声が大きかつたのでありますが、今この法案を見ると、国民自身を祝う日はあつても、自分達の生れた祖國を祝う日がない。が、併し五月三日の憲法記念日に國の生長を期すとあるので、生れ代つた日本を祝うこととなるので、この意味で賛成であるという発言がありました。  かくて討論を終りまして、採決した結果、全員一致を以て原案通りこれを可決すべきものと決定いたしました。右御報告を終ります。(拍手)
  75. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 討論の通告がございます。木内キヤウ君。    〔木内キヤウ君登壇、拍手〕
  76. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 新しく九つの祝日が今決まろうとしております。なずんだ古いものから、なずまない新しいものに変わるときには、とかく何かの批評があるものでございます。ですが、この法案は半歳の間、文化の高度の方が数十回に亘つて、あらゆる方面をお考え下すつて、そうして國際的にも世論を尊重して、ここに生まれ出たものだと思うので、満腔の尊敬と感謝を以て、この案に賛成をいたします。  併し國の祝い日、そういうものの生きるのも、それから死ぬのも、それを守り育てるところの力によるものではなかろうかと思うものであります。どんなよい法律が紙の上にできましても、折角苦心したそのことが水の泡になるのも、國民の明るい氣持でお祝いし、感謝し、記念する國民のこの祝い日が、國民の血となり肉となつて、そうして國民の盛り上る行事の一つとならなければ、その甲斐がないのだと思つております。例えば新らしくできた元日、一月一日、年の初めのその祝日、皆様小さいときを考えて下さいませ。お正月、もう幾つ寝たらお正月だ。大人でも苦しい生活が明日になつたらば鬼も笑い顔になつて呉れる、こう思うあのお正月、あの元日、日本中のみんなが、この日を行事として樂しんで期待しておるからであります。おいしいお雑煮、綺麗なおべべ、叱られずに元日は済む、お年玉が頂ける、こわい主人もこのときだけは小言を言わない、こういう習慣が日本中に生れて、それが裏附けられたから、この日が尊く樂しい祝いの日となつておるのでございます。今度できた中に、成人の日一月十五日、文化の日十一月三日、勤労感謝の日十一月二十三日、耳新しい言葉でございます。私のような年寄りにはちよつとぴんと來ないのでございます。これに樂しい裏附けと行事があつて初めて國民の心からの祝い日になるのだろうと思つております。そうしてそれが樂しいと共に、道徳的であつてほしいということを祈ります。(拍手)元日のように、昔のあの三月三日のお節句の「あられ」は、お雛さまを飾ると一緒に、お母様達が不断台所に流れ出る米、一粒の米も集めて、それを干し飯とし、煎り豆を拵えて、お前達不断から儉約をしなさい。教育と共にあれがいざなわれておつたのだと思います。成人の日は、全國の日本の國民が、ああ大人になつた、私はこれから大人になるという希望に充ち、そうしてこの日を樂しむ、その日にしたいものだ。それに裏附ける行事が欲しいのであります。文化の日は、自由と平和とを愛する、そうして文化人にならなければならんという心持が起る。その裏附けが欲しいものだと思います。勤労感謝の日、十一月二十三日、今までは新しく得たお米を、お百姓さん有難うございます、こういう気持でお箸を取つたあの日、今度はお百姓さんだけではなく、あらゆる階級の人達が勤労によつて、そうして生み出す生産、それによる我々の喜び、有難うございます。お蔭様でございます、御苦労さんでございますと言う日となる。一軒の家の妻や夫、子供や母だけではなく、日本中の行き交う人の言葉となつて、その日に現れるように、そういう行事がここに生まれることを、私は念願するのでございます。子供の日、この日はもう、私今までの自分の職業から胸がわくわくするような氣持がする。こんな行事も拵えたら、あんな行事もしたらいいだろう。定めし綺麗な世の中が生まれるだろう。子供の樂しい日ができるだろう。本当に私はこのお話を聴いてから感じをしました。新聞の上でも、それから商店でも、或いは銀行でも、あらゆる方面で。子供のために、今までは子供のためといつても、大人の好きな子供の仕事をして來ていたのを不平に思つていました。子供のために、子供の日だけでなく、その前後に或いは一週間、二週間という、そういうときに、本当に子供が野にも山にも海にも、日本の隅隅の子供が、富んでも、賤しくても、健康な子供も、不健康な子供も、皆喜べるその日の行事となつたなら、ほんとに嬉しいだろうと思います。この参議院には、これらの権威者である三島先生あたりが、この音頭取となつて下すつたならば、どんなにいいだろう。子供のこの日、人格的に育てたい。今お國が苦心をし、努力をして、少年の犯罪のために、これのために社会問題が起り、それから國家の安全が脅かされておると言つて、どつさりお金と、どつさりの苦労と、人手十を煩わしておるようなことが、この子供の日によい人格が養われ、樂しむ。そうしてその幸福がもたらされたら、きつとその犯罪はどんなにが少くなるだろうと思つております。一つ不平なのはお母さんの日がないこと、女の私は思いますけれども、この子供の日、子供にお母さんは附きものです。お母さんがなければ、子供が立派にならないということを思つたときに、この子供の日には、お母さんの催しがくつ附いて來るだろう。くつ附かせずに置かないと私は信じております。こういうような氣持で、私はこのお祝の日を喜んで賛成する者でございます。  こんな夢のような希望を私がお願いすると言つてお笑いになるかも知れませんが、私はこの満場にいらつしやる皆様方のお力だつたらば、國が貧乏でもできるような氣がします。けれども、ない袖は振れないと言います。政府当局に私はお願いします。どうぞ音頭取の力となつて、お國の予算の中から、ない予算の中から、ない袖を振つて、子供のためばかりでなく、この祝い日が日本の本当の心からの祝い日になるようにということを、賛成と共にお願いする次第であります。(拍手)
  77. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 討論通告者は終りました。これにて討論は終局したものと認めます。これより本案の採択をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  78. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  79. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して、食糧確保臨時措置法案農業改良助長法案 内閣提出衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 松平恒雄

    委員長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。    〔楠見義男君登壇、拍手〕
  81. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました食糧確保臨時措置法案及び農業改良助長法案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず食糧確保臨時措置法案について、御報告申上げます。本法案は、第一に主要食糧の生産及び供出、特に供出制度につきまして、國及び生産農家それぞれの立場において、合理的な責任分野を定め、その責任分野の下におきまして、國として合理的に期待し得るところの一定量の食糧供出を確保すること、第二に、供出制度が民主的に行われますると共に、府縣、市町村及び各農家を通じ公平に行われること、第三に、供出制度が農家の増産意欲の向上にもできるだけ役立つようにすること等を目的といたしまして立案せられたものでございまして、具体的にその内容を申上げますと、先ず主要食糧農産物について農業計画を定めるのでありますが、この農業計画におきましては、主要食糧の生産数量、供出数量を予め定めますると共に、その生産の裏打ちとなる肥料、農藥、農機具等の配給数量をも同時に定めるのでありまして、いわゆる供出の事前割当によつて農家の責任の限界を明らかにし、増産分につきましては、強制的な意味における追加供出の割当を行わないことを明確にし、以て農家の増産意欲の向上にも資せんとしておるのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  又供出を促進するためには、例えば、本年産米についてすでに政府から公表されましたように、超過供出分は一般の買入價格の三倍とする等、必要な奨励措置を講じ、更に又生産の裏打物資たる肥料、農藥、農機具等の生産、配給及び輸送の業務に従事しておる者に対して、政府はその供給確保上必要な指示命令が発し得ることといたしておるのでございます。次に供出割当の末端への進め方でございますが、先ず農林大臣が中央農業審議会と知事の意見を聴き、都道府縣別に農業計画を定めてこれを知事に指示するのでありますが、知事はその指示に従い市町村別に農業計画を定め、これを町村長に指示し、更に市町村長はその指示に従い農家別に農業計画を定めて指示するのであります。而して知事が指示する場合には、都道府縣農業調整委員会の議決を得ることを必要とし、又市町村長が農家に指示する場合には、予め市町村農業委員会の議決を得ることを必要とするのでありまして、これらの農業調整委員会は、この供出制度運営の中心であり、且つその民主化が行われませんと従来と余り変りがないことになりますので、委員は原則として農民の間から公選によることとして、又委員のリコール制等をも認め、でき得る限り民主化に努めておるのであります。又農家別に指示せられる農業計画は、その立案に当つては、予めその農家についていいろの生産條件を聴いた上で定めることとし、その定まつた計画はこれを公表すると共に、異議の申立を認めて割当の公正を期し、農家の納得の行く生産と供出とを期待しておるのであります。次に又、農家が仮に指示通りに作付を行つても、災害その他眞に止むを得ない事由で生産が挙らず、計画通り供出できないときには、その供出数量の変更を市町村長に請求することができることになつております。尚、本法案は当面の食糧危機を突破するための対策でございまするから、法律の有効期間を一應昭和二十六年三月末までとしておるのであります。  本法案に関する極く概略的な説明は以上の通りでありますが、この法律につきましては、御承知の通り、第一回國会において本案と同様の目的を以て臨時農業生産調整法案と題して政府から提案せられ、その法案は衆議院において審議未了となつたのでありますが、当時における國会の意向等も取入れ、必要な改善を加え、題名も本案のごとく改めまして、再び提案されたものでございます。  経過的なことを申上げました方が却つて御理解を深める所以と存じますので、以下その概要を申上げたいと存じます。本來この法案について、問題の所在点と申しましようか、本案を取扱う基本的な態度といたしましては、二つのことが考えられたのでありまして、即ちその一つは、政府の説明によれば、現在の供出制度においては、農民は作れば作るだけ供出させられるのであるが、本法案によれば、農民に責任の限界を予め知らせその限界に政府自身も法律上拘束せられるのであり、又割当方法は、委員会の議を経て極力民主化すると共に、生産用資材の裏打も農業計画の中に織込むから、増産にも役立つと言うけれども、根本的な考え方は、やはり官僚天降り的な割当で、戰時市の作付統制令の轍を踏むもので、生産意欲を低下せしめ、農民を一方的にのみ縛らんとするもので、本法案については同意できないとする見方であります。  もう一つの考え方は、現在の世界食糧事情の下における我が國の実情からいたしますれば、食糧の生産及び供出において、これを全く無計画のままにし、不足を生ずれば、その不足分をそのまま行き当りばつたりに輸入懇請をするがごときことは許されぬことであり、又供出の事前割当は農家においても要望しておつたことでもあるから、計画的な生産及び供出の確保は必要であるが、要はその方法如何にあるのであつて、生産意欲を低下せしめず、又一方的に農民にのみ無理を強いるがごときことをなくするならば、むしろ進んでやるべきであるとする見方でございます。  農林委員会におきましては第一回國会当時、右の二つの考え方について種々論議を盡し、又愼重思慮の結果、結局、後の方の考え方、即ちでき得る限りの改善を加えて、本案を受入れようとする考え方が大多数の委員の一致した結論でございました。從つて委員会は前後八回に亘り、そして又その間、小委員会も数回開き、修正個所を作成し、受入態勢を整えておつたのでありますが、前に申述べましたように、衆議院において審議未了となつたのであります。而して今回改めて提案せられましたところのものによりますと、前回の案に比して、例えば作付面積の強制を撤回し、例えば生産裏打資材に肥料の外、農機具、農藥を追加し、或いは異議申立期間の延長、市町村農業調整委員の会長を委員の互選とすること、罰則の緩和等、我々農林委員会が修正点と考慮いたしておりましたところは概ね盛り込んでいるのでありまして、これらの点についてはやや満足すべきものがあるのでありますが、尚今回の案におきましても、第一に、現在最も農村において逼迫を告げておりまするところの生産のために必要な金融的裏打が欠けており、第二に、政府は肥料、農藥、農機具等の生産、配給、輸送業者等に、これらの農業生産用資材の供給確保上必要な指示をなし得ることになつておりますが、この指示命令違反に対する罰則が欠けておりまして、一方農民に対しては供出確保上いろいろな罰則が科せられていることと対比いたしまして、著しく均衡を失していること、その他二、三の点において本案は尚満足いたし難きものと認め、これらの解決なくば本案は到底受入れいたし難きものと考えておりましたところ、たまたま衆議院におきましては、右の二点をも含め、その他農業計画中に、農家自家保有量や代替供出の範囲及び比率を加えること、農林大臣が都道府縣別の農業計画を立てるに当り、原案は「中央農業調整審議会及び都道府縣知事の意見を聴いて、」とありましたのを、「意見に基き」と改めること、或いは災害等による異議申立期間中は、いわゆる強権発動による収用を行わぬこと等、数ケ所に修正を加えられたる上、本院に回付して参りましたので、委員会におきましてはこれを議題とし、昨日討論に付しましたるところ、先ず民主党石川君より、本案は現下の食糧事情より止むを得ざるものと認めるが、本來農民の自由を制限することであるから、特に運営上、なかんずく末端運営について十分留意せられたいとの御意見があり、次いで共産党の板野委員よりは、後にお述べになることと思いますが、五項目を挙げて、本案は要するに天降り的な官僚機構による一方的管理であるから反対である旨の御意見があり、社会党太田委員よりは、本案の承認亦止むを得ぬとするも、併し本案については封建的要素がまだ残存しておるものと認められるので、運営については特に留意せられたいとの希望意見を述べられ、更に民主自由党の北村委員からは、修正案によつて中央食糧調整審議会の性格が改善せられたものと認められるが、この審議会が供出割当の根本の段階であるから、修正された趣旨のごとく運営に留意し、又價格その他の決定等もこれを活用することの希望を附して賛成の旨を述べられ、緑風会の藤野、岡村の各委員からは、それぞれ生産裏打物資の確保及びその配給方法について、協同組合或いは同連合会の活用による的確なる入手の保証、或いは農業政策実行における農民の実情の把握と農民生活との適合等について、熱心なる希望を附しての賛成意見の開陳がございました。  かくて討論終結後、採決に付しましたるところ、本案は多数を以て衆議院送付修正案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に農業改良助長法案について御報告申上げます。本法案の目的は、法律の第一條に規定せられておりますように、能率的な農法の発達、農業増産及び農民生活の改善を図るために農業に関する試驗研究の助長と、農業に関する普及事業の助長とを内容とした、いわば助成奨励規則でありますが、その具体的内容は、先ず試驗研究の助長につきましては、政府は都道府縣又はその他の試験研究機関が農業に関する諸原理及びその應用に関する科学的試験研究を行うに当り、それに対して補助金又は委託金を交付するものでありますが、この助成の條件としては第一に地方的な事情と必要性とを正しく考慮して、その上で、適当と考えられる特定の試験で且つ國の農業事情から見まして緊要と認められ、而も他の試驗研究機関との間に不必要に重複していないこと、第二に、助成を受ける試驗研究機関の数は全國を通じて七十五以内であること、第三に、都道府縣の試驗場以外の試驗研究機関に対して交付する助成金は、助成金総額の二割以内であること等を基準としておるのであります。又農林大臣は常におのおのの驗試研究について、その重複、反復を避け、結果報告の形式を統一することに努めますると共に、毎年その成果を年次報告書として國会に提出せねばならんことにいたしておるのであります。  次に農業に関する普及事業の助長に関する内容は、農民が農業及び農民生活に関する有益、且つ実用的な知識を取得交換し、それを有効に應用することができるように、都道府縣が農林省と協同して普及事業を行う場合、これに対し補助金を交付するのでありますが、右の普及事業といたしましては專門指導員の巡廻指導、農場展示、出版物の配付等を予定しておるのであります。又補助金は毎年度予算の範囲内において、交付せられるのでありますが、交付基準は、総予算額の四割五分は各都道府縣の農業人口に應じ、四割五分は耕地面積に應じ、残り一割は特別の場合に充当せられるのであります。又農林大臣は普及事業の年次報告を試驗研究の場合と同様に國会に提出せねばならんことと規定しております。  以上が法案の主たる内容でございますが、申上げるまでもなく農業増産の上において、試驗研究及びその成果の普及が、絶対に必要であることは議論のないところでございまして、例えば我が國の米作が各國の米作に比べて著しく進歩し、單位当り収穫量におきましても、優に数倍しておる事実は、ひとり我が國の特殊の農業経営形態によるばかりでなく、実に明治初年以来の眞摯なる試驗研究の結果でございます。併しながらこの米作にいたしましても、今後尚更に試驗研究の必要であることは勿論でありますが、況んや他の作物については、一層その研究を徹底せねばならんと考えられまするが、又一般的に作物に関する病理、或いは又土壌について、その他各般に亘つて今後一段と力を注ぐ必要があり、科学技術の発達及びその導入は、我が國農業の将來にとつて緊要欠くべからざるところのものであります。  而して現在の実情は國立の農業関係試驗場、大学專門学校、都道府縣農業関係試驗場、その他民間機関において試驗研究が行われておりまするが、ややもすればこれら各機関の間の試驗研究には、重複反復するものが少くなかつたのでありまして、從來も能率的成果を挙げるためには、その必要が痛感せられたことではございまするが、本法においてはこの点について、各研究機関の有機的連絡調整を徹底し、時勢の要求に應じ、又農業の発展に即應して、最も適切な試驗研究を行われることを企図したものであります。又普及事業につきましても從來種々の政府施策が行われて参つたのでありますが、本案は先にも申述べましたような内容により、都道府縣及び中央が一体となつて、技術浸透、生活改善を図らんとするもので、趣旨としてはいずれも結構でありますが、その実行について特に適切妥当なることを必要といたしますので、この観点から委員会におきましては、審議が重ねられたのでございました。  即ち質疑の中心は試驗研究及び普及事業について、技術の官僚化に堕することの弊を矯めますると共に、民間事業の助長をなすべきことの必要が最も多く強調せられたのでありまして、このことは後に申述まするように、本案に関する討論においても、各委員よりこもごも御意見の発表があつたのであります。  即ち質疑終了後討論に入りましたるところ、先ず民主自由党の北村委員より、本法案は諸般の事情より止むを得ざるものとして賛成するけれども、内容については尚不十分の点も少くない。從つて政府は、委員会において論議せられたところの問題の重点を十分理解し、その運営上特に戒心を要する旨の御発言があり、民主党高橋委員からも同様の趣旨の意見開陳がありました後、共産党の板野委員から、本案に対する修正意見として、本法の運営上、農業改助長審議会を設け、農民組織、労働組合、科学者團体、学識経驗者、関係官吏等より委員を出すこと、試驗研究助長の対象となる試驗研究機関の数の制限、及び民間機関に対する助成金の制限を撤廃すること、普及事業助長の客体を、廣く都道府縣以外にもこれを認めること等を、内容とする修正案の御提出がございましたら次いで社会党の太田委員からは、民間研究機関の助長を特に考慮すべしとの希望を附して、賛成の御意見があり、緑風会の山崎、藤野及び岡村委員からは、それぞれ本案においては、蚕糸業に関する試驗研究が別の方法によつて助成せられ、從つて本案の対象外となつておることは将來考慮を要する問題であり、又畜産振興については、予算上不十分であり、更に又試驗研究は眞に農業の実態に即したものであることを必要とすると共に、末端の受入態勢、例えば協同組合の技術的充実等について、政府は根本的に深き留意と努力を必要とする旨を強調して、本案に賛成の意を表せられたのでございました。  かくて採決に入りましたるところ、板野委員提出の修正意見は多数を以て否決となり、結局本法案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告を終ります。(拍手)
  82. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 食糧確保臨時措置法案に対し討論の通告がございます。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇、拍手〕
  83. 板野勝次

    ○板野勝次君 かくのごとき重要なる、全農民環視の中に可決されなければならない食糧確保臨時措置法案が、今や採決に入らんとして、この神聖なる参議院の議場がかくのごとき状態にありますることを、私は誠に遺憾に思うのであります。農業改良助長法の問題につきましては、委員長からその修正の内容が明らかにされておりまするので、私は食糧確保臨時措置法案に対する反対の理由を、共産党を代表いたしまして述べたいのであります。  この案の骨子は、行政廳の定める農業計画に基いて、事前割当責任供出数量を決めて、主要食糧農産物を確保しようとする点にあるのでありますが、この農業計画の立案は一方的となつておりまして、下からの民主的な、そして積極的具体的な生産計画というものは、何ら規定されることがなく、上から天降り的に下へ下へと押し附けられて、そして各段階の食糧調整委員会は、それを受けてその割振りを自主的にやれるに過ぎないのでありまして、民主的な運営に対しては何ら保証されていないので、ただ民主的に運営され得るがごとき擬装をなしておるのに過ぎないのであります。これは現在の農地委員会の構成よりも誠に保守的な色彩が強いのであります。これでは上から下まで官僚の決定権が動かし難いものになつて、調整委員会は、各級の調整委員会は官僚と結びつきまして、地主、富農的な一部の農家に握られまして供出、資材配給割当の公正は期せられないばかりではなく、その上に農産物生産の地域、期間、種類、面積等の指定、強制ができるのでありまして、これでは農業経営の自主性は全く破壊せられて、農民の生産意欲は減退するのであります。この法案はあの曾ての軍閥フアツシヨがいたしましたところの戦時中の作付統制以上のものを、この法律によつてなそうとしているのでありまして、断じて私達は賛成することができないのであります。而もこの法律の適用と共に、我々の全く心配するものは現在の生産費を償わない農産物價であります。このたびの物價改訂によりまして、都市の工産物は百十倍に引上げられて参りまするときに、農産物の價格は未だに未決定であり、労働賃金は三千七百円ベースに押しつけようとしておるのであります。農林委員会におきましても、或いは又本議場におきましての緊急質問、若しくは大臣の答弁の中に、この米價問題がしばしば論議されて参りましたこと、更に農村金融の問題が強く取上げられておりまする事実の中にこそ、今日農村における農民諸君が、如何に我が國の大資本と官僚が結びついて、請求をなしておるという事実を雄弁に物語つておると思うのであります。そしてこの物價の改訂と共に、農産物の中、米價の決定は農林委員会における農林大臣の説明によりますと、この収穫期までは米價の改訂をしようとしない意思を表明しておるのでございまして、差額還元の問題も遂に本年度は問題にならないかのような情勢を示しつつあるのでございます。私達は飽くまで農民が再生産の資材が確保され、農村の営農資金を潤沢にすることによつて、明年の再生産が確保されなければならないのに、少しもその保証がされていない中に、この法案が成立いたしますることは食糧増産食糧の確保の面ではなくして、むしろ食糧の減退を憂い、将来の重大なる食糧問題の危機をはらむものだと思うものでございます。而も政府は農業計画を強行いたしまするために、ただ民主的に擬装した農業計画に対する異議の申立は十日間しかない。そして市町村長が、この申立に対して決定するには二十日間という限度を置いて、事実上異議申立というものがいろいろな煩瑣の、手続上無効になるような公算大である点は、全く民主的に擬装しておるものであります。而もこの場合中央で決つた都道府縣別の農業計画は動かないものとして、下から少しでも是正されることを堅く押えて、こうした欺瞞的な前提の上に立つて決められた指示に従わない農業者に対しては、市町村長或いは調整委員会から知事に申請して、強制命令が出されることになつておる。而もこれに從わなかつたならば二万円以下の罰金に処せられると、かくのごとき案に対しては断じて賛成することができないのであります。我が党は終戰後、食糧の増産のためにも、食糧の配給のためにも、これは挙げて人民管理によるものにあらずんば、食糧の増産も、配給の円滑も期し得られないことを強調して参つたのでありまするが、今日の状態は正しく我が党が申して参りましたごとき事態が起つてつておるのであります。飽くまでも民主的な供出制度の確立の中にこそ、食糧の増産と食糧の円滑なる配給があるのでありまして、我が党は今食糧人民管理法の立案中でございまして第三國会劈頭に提出したいと考えておるのでありまするが、暫定措置といたしましては食糧管理法を改正いたしまして、そして農民のためにする飯米の確保、適正價格の問題、再生産用資材の確保等を保証して、そして現在の食糧調整委員会と生産者との協議や、割当量の公平なる決定、これらを公示いたしまして、民主的に決定し得るように法律化いたしまするならば、食糧の供出等の面については、何ら憂うることがないのでございまして、食糧確保措置法のごとき、食糧増産をむしろ阻害する方法よりもこの改正の方法により、更に從來強権供出として農民を脅かしておりました食糧緊急措置令をこの際廃止することこそ、これらの綜合的の上に立つてこそ、初めて食糧の増産が期し得ることを強調いたしまして、本案に反対するものでございます。
  84. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 池田恒雄君。    〔池田恒雄君登壇、拍手〕
  85. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 只今委員長から二つの法律案報告されたのであります。私はこの中の農業改良助長法案につきましては賛成でありまして、この法律は内容を見ますると、相当未成熟なものがあるのでありまして、本当言うと、これは良い法律か、悪い法律かということに、私自信はないのであります。ところが農林省ばかりじやありませんが、今度の國会に政府から提出されて來る多くの法律は、非常に泥臭くて匂いが惡いのであります。ところが我が農林委員会に付託遣れた法律案の中、種畜法案というやつと、この農業改良助長法案というやつは多少でも文化の香りがするのであります。從つて私は未成熟なもので、よく読んで見まするというと、そつちもこつちも、どうも継ぎはぎしなければならないという点が見えるのでありますが、審議機関もないのでありまして、どうこう言うてもしようありませんから、とにかくその文化的、多少でもする文化的な香りに惚れて、この際賛成して置こうとこう思うのであります。そして、今後この法律そのものを改良助長して行かなければならないと、私はこう考えまして、とにかくこれには賛成をして置くのでありますが、ところが食糧確保臨時措置法、この法律は、これに委員長報告の通り、前國会においては握り潰しの悲運を見まして、その後委員会の要望を相当入れまして、そうして修正されて、こうなつて、更に衆議院で相当民間の要望が入つて修正されたのでありますが、私といたしましては向この法律には賛成することのできない問題があるのであります。その反対の理由をここで申述べたいのでありますが、もう今日は國会も大晦日でありまして、そう長いこと理由を述べてはよくないと思いますので、非常に簡單明瞭に一應の理由だけ述べるというよりも、読み上げて置こうと、こう思うのであります。  先ずこの法律は、これは流通統制ではないということではないのであります。流通統制を超えて大規模な生産統制であると、こういうことであります。ところがこの法案では、生産統制と、この國の農業の特徴である自給生産との関係が檢討されておらないのであります。これはこの法律の重大なる欠点である。それから又この法律はつまり流通統制ではなくて生産統制でありますから、必然に農業の計画生産ということをしなければならないのであります。ところが日本のいわゆる家族勤労経営を内容とする過小農生産と、農業の計画生産ということの関係が、この法案では少しも檢討されてはおらないのであります。これが非常なこの法律の欠点をなしておると、私はこういうふうに見ておるのであります。殊に戰後農業の経営及び生産に非常に大きい支配的な勢力を以て発達しておりまするところの農村の失業者の問題、又農業経営赤字の問題について、この法案は計画的な何らの作を持つておらないのであります。私はこういう非常に重大な問題から逃避して、計画生産をやらんとするところのこの法律の暴挙に際して、非常に大きい惧れを抱くのであります。それからこの法律の内容について私はこれ以上申上げないのでございます。單にこの大きい根本的な問題だけを申上げて、これで法律の内容に関する批判は終りたいと思うのであります。内容の問題ではなく、私は法律というものは單にその内容だけではなく、その法律が持つておるところの地位というものを考えなければならないと思うのであります。ところでこの法律の現段階におけるところの地位という点から考えて見まするというと、農業における政治経済の民主主義は、いまだ日本の農村には十分に発達しておらないのであります。そういう日本の農村に、このように民主主義が充分に成長していないところの日本の農村に、こういう法律が実施されるということになりまするというと、日本の農業生産と食糧問題は官僚諸君の玩具にされるのであります。おもちやにされてしまうのであります。こういう危險があるのであります。官僚諸君は、戰争中でも非常にこういう問題題について前科を犯して來ておるのであります。その具体的な事実につきましては、私は昭和十六年から終戰当時まで、この農業統制に関するいろいろな業務に参加しておりまして、沢山の資料を持つておるのでありますが、それをここで説明いたそうとは思わないのであります。とにかく玩具になるというこのことだけは明らかであります。それからこの法律によりまして農業生産は、今この法律によつて農業生産が高まるかということを考えまするというと、現在どういう法律があるなしに拘わらず、農業生産は多少でも復興しておるのであります。農民の努力によりまして多少でも復興しておるのであります。卵の値段なんかもちよつと安くなつたというあの実情だけを見ましても、多少の復興は皆様は認識することができると思うのでありますが、私はこういう官僚の小兒病的な統制が、或いは計画が農業に対して與えられたならば、折角の農業の復興が壌されて行くと思うのであります。そうして農業生産は拡大して行くのではなくて、むしろ片輪になつて参ります。このことは單に農民が迫害されて苦しむというだけではないのであります。そのことが日本の食糧問題に影響を與えまして、多くの消費者大衆が苦しむに違いないのであります。私はそういつた見通しの下にこの法律に対して反対しなければならないのであります。更にこういう小兒病的な神経質な法律を、今日この國会が制定しなければならないというのであるならば、私はそれよりも先に農林大臣が闇の米を買つてつても、尚法律には触れないというような法律を最初に作らなければならないと思うのであります。或いは又こういう神経質な法律を、小兒病的な法律を作らなければならないというならば、これは甚だ以て滑稽なことでありまして、昔のように、パンパン・ガールは赤い紅を塗るべし、お嬢樣はお歯黒を塗るべし、奥樣は眉を剃るべしというつまらない法律を制定しなければならないというようなことも言えるのではないかと思うのであります。とにかく私はこういう小兒病的神経質な法律が出まして、それが農村を掻き廻すということについて非常に反対であります。こういう意味で反対いたすのであります。(拍手)
  86. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。先ず食糧確保臨時措置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  87. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決さられました。      ―――――・―――――
  88. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に、農業改良助長法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  89. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  90. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、恩給法臨時特例案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。    〔塚本重藏君登壇、拍手〕
  92. 塚本重藏

    ○塚本重藏君 只今議題となりました恩給法臨時特例案について、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず本法案提出の理由を申上げます。國家公務員法に基いて近く恩給制度を根本的に改正するということになつておりますが、今回の公務員の給與制度の改正に伴い、昭和二十一年に制定されました恩給臨時特例を修正する必要が生じましたので、恩給制度の根本的改正までの暫定措置といたしまして、公務員が退職後も或る程度の生活を保持することができるような給付をいたすことが妥当と考えられるので、現行の恩給法臨時特例はこれを廃止すると共に、公務傷病関係の恩給額の算出方法及び恩給の一時停止等に関し、新たに恩給法に臨時の特例を設けることを目的として、この法律案を提出するに至つたのであります。  次に、この法律案の重要な点を簡單に申上げますと、第一点は、一般恩給額の計算に関する措置であります。現行恩給法の規定によりますと、普通恩給、扶助料、一時恩給、一時扶助料、一般恩給額は公務員の退職又は、死亡当時の俸給額を基礎として計算されることになつております。然るに恩給法臨時特例の規定は、この取扱いに対する暫定的な取扱いとして、この計算方法に対して制限を設け、戰前における公務員の俸給額程度の仮定俸給を設けまして、これを基礎として、これらの恩給を計算することにいたしております。今日の物價事情及び在職者の給與水準に照しまして、今後尚このように恩給金額を据置きますることは適当でないと思われますので、この制限を撤廃いたしまして、恩給法所定の通り、公務員の退職又は死亡当時の俸給額を基礎としてこれを計算することといたしたのであります。  第二点は公務傷病者の恩給に関する措置であります。現行恩給法及び恩給法臨時特例の規定によりますと、公務傷病者に給せられる増加恩給及び傷病年金は、公務員の等級の別及び傷病の原因、程度等の別によりまして定額制となつておるのでありますが、今回公務員の俸給制度が根本的に改正され、又俸給の額を相当増額されましたのに照しまして、このような定額制として置くことは適当でないと思われますので、これを改めて、増加恩給及び傷病年金は、傷病の原因、程度の別のみにより定めた率を、退職当時の俸給額に一律に乗じて計算することといたそうとするものであります。この退職当時の俸給額に乗ずべき率は、恩給法臨時特例制定前の、退職当時の俸給に対するこれらの恩給の従來の割合より悪くはならないようなふうにいたしたのであります。尚右のような公務傷病恩給受給者であつて、妻、未成年者の子、父母、租父母等扶養家族を有する者につきましては、更にその生活上の負担を軽くする必要があると考えられますので、在職給における扶養手当の制度に倣い、扶養家族加給制度を設け、その家族一人につき月額二百円を加給することといたそうとするものであります。  第三点は公務扶助料に関する措置であります。現行恩給法及び恩給法臨時特例の規定によりますと、公務傷病のため死亡した公務員の遺族に給する扶助料は、公務員の等級の別及び傷病の原因の別によりまして定められた一定率を、普通の恩給扶助料額に乗じて計算することになつておるのでありますが、只今申上げました公務傷病恩給の場合と同樣の理由で、これを改めまして、この種の扶助料は、傷病の原因の別のみによつて定められた率を、一律に第一点で申上げました公務員の俸給そのままの額を基礎として計算したところの普通扶助料に乗じて計算いたそうとするものであります。又この割合は、恩給法臨時特例制定前の、恩給法從來の割合を下らないようなものを採用することにいたしたのであります。尚右のような扶助料につきましては、現行法及び恩給法臨時特例によりますると、遺族三人以上の場合にのみ遺族加給の制度がありまして、基本扶助料に公務員の等級の別と遺族員数とにより定められた率を乗じて得た若干の金額を加給することになつておりますが、これを改めまして、只今申上げました家族加給と同じように、遺族一人について月額二百円を一律に加給いたそうとするものであります。  第四点は、いわゆる若年者及び多額所得者の普通恩給停止に関する措置であります。現行恩給法の規定によりますと、普通恩給を受ける者が四十歳以下であるときには、その年齢に應じまして普通恩給の四分の一乃至八分の一停止することになつておるのでありますが今回この法律におきましては普通恩給金額計算に対する制限を撤廃いたしまして、これを恩給法の規定の通りの計算方法に復せしめました結果、普通恩給額が増加しますこと及び社会政策的見地から考慮いたしまして、この停止は更に強化するのが適当であると思われまするので、傷病のため所得能力を制限されるようなものを除きましては、    〔副議長退席議長著席〕  四十歳未満の者であれば恩給の全額を停止し、四十五歳未満であれば恩給年額の五割を、五十歳未満の者であればその三割を停止することにいたしたのであります。  次に現行恩給法臨時特例によりますと、普通恩給年額が千円以上で恩給外の所得が一万円を超える者については、所得額に應じて恩給の一割五分乃至三割を停止することになつておるのでありますが、この法律案によりまして普通恩給が増額されたことと、最近の物價事情の推移とを考え合わせまして、恩給年額が一万五千円以上で、恩給外の所得が十五万円を超える者については、この割合で恩給の停止を行うことに改めようとするものであります。  第五点は災害補償との調節に関する措置であります。先般労働基準法の施行に伴い、公務員が公務のための傷害を受け、又は病氣になり、その傷病が治つたとき、或いは公務のための傷害に起因して死亡したときは、一般勤労者と同じように同法に基く災害補償を受けることになりましたので、この公務に起因する傷病のため退職し又は死亡した公務員につきましては、すでに災害補償を受けた傷病によつて、公務傷病関係の恩給又は扶助料を給せられるような場合も生ずることになりましたから、災害補償を受けた者に給するこの種の恩給につきましては、補償を受けてから六ケ年間は、これに相当する部分の恩給を停止して、災害補償と恩給との間におきまして適当な調節を行わんとするものであります。  第六点は現在の年金恩給受給者に対する措置であります。現在の受給者は甚だ少額の恩給を受けておりまして、傷病者、老齢者等は甚だしく困窮いたしておるものと想像いたされますので、このような人々の恩給をもできる限りこの法律施行の際に退職する類似の人人の恩給金額の程度にまで、これを引上げるべきであると思われまするから、これらの者の受けまする恩給金額に近く、そして又その受ける金額を超えない程度に増額することにいたそうとするものであります。  以上の外、警察・監獄職員又は義務教制度の学校の教育職員の國庫納金の取扱等、從前の恩給法臨時特例に規定されました恩給法の特例のうち、引続き存続せしめるのが適当であると考えられまする條項等をも併せで規定いたしたのであります。以上が本法律案の内容の概略であります。  本法案は議員提出でありまして、委員会におきましては発議者より詳細なる説明を聽取いたしました後、数々の質疑應答が行われたのであります。本法案は現下の社会的諸事情に照しまして極めて妥当なる立法でありまして、すでに恩給法の一部を改正する法律案及び恩給についての請願並びに陳情の審議においても、恩給制度革新の要望切実なるものがあり、將來、社会保障制度確立に至る間の機宜の措置といたしまして、これを認めることに意見の一致を見ましたので、委員会は対論を省略いたしまして、全員一致原案を可決することに決定いたした次第であります。以上委員会の報告を終ります(拍手)
  93. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  94. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  95. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 参事をして報告をいたさせます。    〔寺光参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  事業者團体法案可決報告書  逓信職員訓練法案可決報告書      ―――――・―――――
  96. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して、事業者團体法(内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君。    〔稻垣平太郎君登壇、拍手〕
  98. 稻垣平太郎

    ○稻垣平太郎君 只今議題と相成りましたる事業者團体法案に関しまする鉱工業委員会における審査の経過及び結果について報告申上げます。  先ず最初に、この法案提出の理由及び法案の骨子を要約して申上げます。御承知のごとく、我が國の経済、特に戰時中の統制経済におきましては、いわゆる産業團体が業界の組織化の中核的存在といたしまして、統制の遂行に協力をいたして参つたのでありまするが、終戰後は戰時統制方式の全面的撤廃と同時に、いわゆる私的独占禁止法の適用により、一面においては統制の責任と機能を挙げて政府又は政府の機関に一元化し、民間の事業者團体による直接又は間接の統制業務への参與は、原則としてこれを認めないことになつておりますることは御承知の通りであります。又他の一面において、私的独占禁止法の法益といたしております競争の自由と公正を保全する建前から、事業者團体のカルテル化は禁止されるに至つたのであります。法的措置としては、閉鎖機関令による各種統制團体の閉鎖機関への指定、又私的独占禁止法の規定に基く統制團体の解散命令といつたことに相成つたのであります。かくて從來の事業者團体は、多少とも統制に参與した限りにおいては、一應清算されることに相成つておるのでありまするが、その当然の結果といたしまして、從來の統制的な事業者團体に代るべき、新らしい事業者團体のあり方を明示することが必要と相成つて來たのであります。新らしい統制團体に許容ざるべき範囲、又はしてはならないことを規定するところの必要が起つて参つたのであります。それがこの法律を以てその活動範囲を明示するという意味において、本法案が登場して参つたようなわけであります。  そこで本法案の内容につきまして、その骨子となつておる点を簡單に申上げますると、先ず第一に本法案の第二條において、事業者團体とはどういつたものだということを定義しておるのでありまして、それは二つ以上の事業者の結合体又は連合体である。その構成されておるところの会社或いは社團法人、財團法人、組合又は契約による單なる結合体、こういつたものを通じまして、事業者としての共通の利益の増進を目的としておるところのもの一切を指しておるのでありまして、我々が通常事業者團体という観念から持つておりますところから比べますと、非常に狭い範囲に規定されておる。或いはもう一遍言換えますれば、非常に廣い範囲に亘つてまで禁止しておるというふうに考えられるのであります。  次に第三條には、一切の事業者團体に対して原則的に届出の義務を背負わせているということでありまして、その存立の状況を終始明白にいたして置くという点であります。  次に第四條におきまして、先程申上げました事業者の許容活動の範囲を規定いたしておるのでありまして、第五條においては禁止事項を規定して、事業者團体の正当な活動範囲を、積極的又消極的の両面から、これを具体的に明らかにしておるのであります。  次に、独占禁止法においても適用除外がありまする通り、統制の必要と自由競争との調整点をどこに見出すかということは、頗る重要な問題でありますが、本法案におきましても、第六條に、事業者團体でありながら、本法案各規定の適用を受けない、いわゆる適用除外團体を列挙いたしております。  大体そういつたような骨子からできておるのでありまするが、本法案は事業界におきまして、非常に注意の的となつておりまするので、当鉱工業委員会におきましても、この法案が予備審査として付託されますと同時に、商業委員会と連合委員会を形成いたしまして、終始連合いたしまして、これが審査に当つたのであります。尚その間各方面の業者代表をお招きいたしまして、その方々の端的なる御意見をも拜聽いたしますると同時に、又衆議院と同調いたしまして、本案の立案に大きな役割を担当されました関係筋との間にも、数次に亘つて隔意なき意見の交換を行なつたのであります。その結果、この法案の修正につきましても、衆議院の関係委員会と連絡を取りまして、本委員会の予備審査の間に意見の交換を行い、衆議院によつて修正が行なわれたような次第であります。  そこで衆議院の修正案はどういうことであるかと申しまするというと、先ず第一に、第四條の許容活動の範囲が、政府原案ではあまりに限定的である。あそこに書いてあるところの九号に亘ります許容活動以外に、尚事業者團体として許容すべき範囲があるかも知れないのでありまするから、これに対して第十号を別に設けまして、「前各号に掲げるものの外、公正取引委員会の認可した行為」という一号を追加いたしまして、事業者團体の許容活動に彈力性を持たせることにいたしたのであります。  第二に、同じ趣旨から、第五條の禁止行為の規定から第十九号を削除いたしたのであります。第十九号は「前各号に掲げるものの外、前條各号に掲げる許容活動の範囲を超える行為」、これを禁止いたしておりまするので、この一点は許容活動とダブるような場合も考えられまするので、これを削除することにいたしたのであります。  次に、第六條の適用除外團体の規定の第二項を全面的に修正し、「この法律の規定は小規模な事業者である個人が相互扶助を目的として設立した團体であつて、構成事業者の数が十九人を超えないものにはこれを適用しない。」そうしてその十九人とは、大体二十人以下の使用人を使つておるものである。こういつたような修正をいたしておるのであります。  第四の修正点は、第十四條の罰則規定第三号を修正いたしまして、届出違反に対する体刑を廃し、單に罰金刑に止めた点であります。  以上が衆議院の修正案でありまするが、鉱工業委員会におきまするところの議論の中心は、第二條の團体のいわゆる二以上の事業者の結合体又は連合体という曖昧な表現、從つてこれが場合によりますというと、中小工業者の利益のためにするところの結合体といつたものに圧迫を加えるいうような点に、第二條に対しては異論があつたのでありまするが、この点については先程申上げました第六條に、この二十人以下の使用人を持つておりますところの、小規模な事業者、これは農業でも、漁業者でも、或いは工業者でも、商業者でもが、これの二十人以下の結合体、これは差支えない、除外例にさすことになりましたので、その点についての不安は除去されたことに相成つたのであります。  その外に、この第四條、第五條につきまして、随分議論があつたのでありまするが、只今申上げましたように、第四條に第十号を加え、又五條の十九号を除去することによりまして、許容活動範囲についての問題を緩和いたした次第であります。尚第四條並びに五條その他におきまして、甚だ字句の曖昧の点があるのであります。それにつきまして質疑應答が重ねられたのでありまするが、例えば帆足委員からこの「施設の割当に関する原案。若しくは計画を政府のために作成」するということが禁止事項になつておるのでありまするが、併しながらこれは参考意見としてあるところの意見を政府に出すことは差支えないのかどうか、こう言つたような質問が出され、これは差支えないと言つたような答弁を得ておるのであります。或いは又「その他対價」という文字、或いは融資の問題、その他につきまして、いろいろ字句の上にはつきりしない点があつたのでありまするが、それらの点につきましては、いろいろ政府側におきましての御答弁によりまして、了解を得たわけでありまするが、尚玉置委員よりは、この今の質疑の間において感ぜられるところは、いわゆるこれは公正取引委員会において、この字句の解釈をなし、そうして許容届出に対する許可、その他をする関係にありまするので、公正取引委員会の現在の構成、委員長その他の御態度に対してはよろしいが、今後かようなことが、人が変つた場合にはつきりしないことが起る虞れがあるので、この点については、どこまでも御注意を願いたいという御発言もありまして、種々論議の結果、細川委員の反対を除きまして、多数を以て可決いたしました次第であります。これを御報告申上げて置きます。(拍手)
  99. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 本法案に対し討論の通告がございます。細川嘉六君。    〔細川嘉六君登壇、拍手〕
  100. 細川嘉六

    ○細川嘉六君 我々は本案に反対する者であります。その理由は、本案は第一條において、事業者團体の正当な活動の範囲を定めるということ、それから公正取引委員会に対する届出制を実施するということということを規定しております。即ち私的独占を取締るというのであります。事は民主主義的で立派でありまするが、実際はどうか。すでに我が國の中小商工業、農民、漁民は資金資材の不足で深刻な状態に陷つております。へとへとになつておる。四苦八苦の最中である。然るに本法は、これら中小企業者のこれに迫つて來る大資本家、独占資本家に対する対抗策に対し、これを封じ、営業の自由を制圧し、大資本家、独占資本家の奴隷とならんとするものである。中小企業の我が國経済における地位というものは、他の先進國とは違います。重要なる地位を持つておるこの中小企業の健全なる発達でなく、これを制圧して行くということは、これは民主主義であるか、かくのごときことは、連合國の、ポツダム宣言の違反である。それであるから我々はこれに対し反対する。これが第一の理由であります。  第二の理由は、本法は公正取引委員会という天降りの、七人からなる委員会の権力を更にこれを強大にし、眞面目な中小企業家等に対する死活権を握らせるのであります。全國民大衆のためではなく、少数の大資本家、独占資本家のための外資導入を容易にし、この輸入によつていわゆるその復興を策する過程において、今日表面上解体されておるという大資本家、独占資本家の復興、從つて又今後は帝國主義的発展を策するものであります。我々は帝國主義的、侵略主義的復興への方向に対して反対せざるを得ないものであります。多少とも今次戰争の罪惡を反省し、民主主義の実現を念願するものは、如何なる政党に属すると誰も、これはかくのごとき反人民的な本案に対して反対すべきである。第五條において共同施設を所有したり、経営したりすること、特許権の共同所有、共同の販賣、購買、生産加工、包装、荷造りすること、共同の取引、集金等をやること、これを禁止しておる。これは一つの例でありまするが、こうなつて來るというと、中小企業者の活動というものは、全く手も足も出なくなつて來る。尤も第四條において今日、届出ですれば、正当であるならば、これを許すという公正委員会の認可を認めて來ております。ここで参衆両院の委員会はほつと一息したものであります。初めはどの会派に属する人達も、この案に対してはびつくりしておつた。政府案に対してはびつくりしたのであります。ただ主に第四條の訂正があつたので、ここでこの四條を利用することについて利便を有する関係にある者が、これで安心し、この法案に納得したものであります。以上のごとく本法は大資本家、独占資本家の支配に対する一切中小企業者の対抗策を封鎖するものであつて、結局大資本家、独占資本家という資本の力を持つておる者は、大きな力を持つておる者は、第五條に言う禁止事項というもので何の痛痒も感じないのみならず、今日の大資本家というものは、國家資本と結合して、國民生活の約八割程度を支配しておる。例えば資金方面においては、融資の割当統制をやつておる。資材方面については、資材の割当統制、流通方面においては、配給公團の奉仕によつて、それから又課税の方面においては、勤労大衆から七割の税を納めさせる程度の収入を得て、そうして大衆に與えるその支出は一分六厘である。こういう大きな負担を國民に背負わして、大資本家、独占資本家というものは、ぐんぐん伸びようとしておる。これに対して、こういう今問題になつておる法律案は、單なる一つの法律案ではありません。こういうものは続々出て來ておる。吉田内閣から片山内閣現内閣に至るこれらの間に、どれ程反人民的な法律が出て來ておるか、人民の権利というものは一歩々々影が薄くなつて來ておる。石炭國管法、通貨発行審議会法、証券取引関係法律、各種配給公團法、その他の法律は、復金によるからくり融資と相俟つて、この大資本、独占資本との抱合いを完全にならしめておる。(「大資本があるものか」と呼ぶ者あり)経済力集中排除法、食糧輸入税の免除に関する法律、法人税の引下げ等による外資導入のための受入れ態勢は顕著に発展しております。それから又運用次第では医薬部外品取締法、食糧品衛生法、これらも亦官僚にすでに堕落しておる。大資本家、独占資本家と共に協同しておる。この官僚に大きな権力を握らせ、そうしていずれも中小企業家、一般國民大衆を抑圧する方向に出ておる。更に政治問題においては、軽犯罪法、政治資金規正法、選挙法、更に追つかけて來ておる警察官職務執行法、これらが今委員会を追つかけて來ておる。挙げ來たれば、反人民的の法律というものは、民主主義を無視するところの経済上及び政治上の諸法律というものは、すべて働く者を、大資本家、独占資本家のために抑え付ける、こういうことを狙つておる。私は働く者の民主政治なくしては、到底國の健全なる発達、この大破壊からの復興というものはできない。それが故に、この諸法律に対して反対するが、現に今ここに出ておる法律というものはその一つであります。ここにこういう法律に対する我々の反対を明らかにし、過去の諸法律を批判し、民主主義の確立に邁進すべきことは、我々國会議員の任務である。政党政派を問わず我々の任務であるという意味において、本法の反対に賛助なさらんことを期待する者であります。(拍手)
  101. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 討論の通告者は終了しました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  102. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  103. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して、逓信職員訓練法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  104. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通信委員長深水六郎君。    〔深水六郎君登壇、拍手〕
  105. 深水六郎

    ○深水六郎君 只今議題となりました逓信職員訓練法案につきまして、通信委員会の審議の経過並びに結果について、その大要を御報告申出げます。  先ずその提案理由でございますが、逓信省におきましては、その業務の特殊性に基き、從業員に專門的技能を與えることの欠くべからざる重要性に鑑みまして、古くから固有の養成機関を設け、事業全般に亘る各種の程度の訓練を行うの外、必要に應じて、現場において特殊の專門的技能を修得せしめ、事業の運営に直ちに活動し得る從業員を養成して來たのであります。而してこれらの養成機関におきましては、單に技能的訓練に止まらず、一般普通教養学科を或る程度併せて教授し、以て從業員の素質、品位の向上に努めて來たのでありますが、新憲法の施行せられ、これら從業員に対して行う訓練につきましても、その目的、範囲その他訓練実施に関する逓信大臣の職責、権限等に関し、明確にこれを法定するを至当と認め、ここに本案を提出したわけであります。  而してその内容としますところの第一点は、訓練の対象を逓信職員に限定したことであります。即ち從來自己の從業員のみならず、無線電信技術者の養成という部外者に対する訓練を行つて來たのでありますが、教育基本法の精神からして、これを文部省に移管するを適当と認め、逓信省の訓練に関する所掌は、逓信事業に從事する者にのみ限定したのであります。第二点は、訓練の内容については、いわゆる六・三制の義務教育の実施に伴い、從來逓信省の訓練機関において施して参りました普通教養学科は、これを一般教育体系に委ね、特に事業遂行に直接必要な專門的なものに限るということにしたことであります。第三の点は、從業員の訓練につき、一般学校その他教育研究機関に從業員を派遣して、專門の事項を研修させ得ることとしたことであります。  以上は法案の大要でございますが、尚本案は、政府提出原案第二條第二項に、「逓信大臣は、教室で行う教程を最小限度に止め、職場訓練に特に重点を置かなければならない。」とありましたが、衆議院において削除修正されて参つたのであります。この点は、本委員会におきましても、予備審査において、職場訓練を主とするとしても、施設等の関係で各職場で実施ができるかどうかとの質疑もありまして、問題となつていたところでありますが、衆議院においては、この点は運用上の問題で、特に法律に規定する必要がないとの理由から、これを削除したのであります。本法案における普通学科の授業を取止めること及び学校教育形態の排除に関しましては、全逓從業組合及び高等逓信講習所出身者の組織する逓信同窓会から強力な反対の陳情があり、本委員会は特に愼重を期し、各委員の外、委員外の小林勝馬議員からも発言を求められ、熱心な審議を行つたのであります。  先ず本案に対する質疑の大要は、本法第二條に、「逓信大臣は、專門的な学科目を除き、一般の学校で通例実施されている学科目について訓練の教程を施すことはできない。」とあるが、今日從業員の能率低下が論議されておるが、この原因は專門の職業的、技術的な能率低下よりも道義の低下にあると思うが、素質教養を高める普通学科を新たに設ける必要こそあれ、廃止することは適当でないと思うが、本案において廃止せんとする理由はどうかとの質問に対しましては、素質と教養の向上は六・三制の実施によつて期待される。事業主体の行う訓練は、これに適應した職業教育を施すということにしたい、一人に数万円を投じて職員に普通教育を施すことは、事業経営を國民から託されておるという考え方から見て、採り得ないところであるとの答弁がありました。又六・三制は、実施されたばかりで、まだ効果が分らないから、効果が挙つてから本案を実施すべきではないか、又逓信職員の中等学校以上の学校卒業者の率は、同じ他の官業、例えば鉄道に比べて非常に低い。事業の円滑な運行を図るために、教養水準を高める必要があるが、このためには、一般学科を教える必要があるではないかとの質問に対しましては、通信事業に中等学校以上の卒業者の少いことは、待遇及び事業に対する一般の理解の乏しい結果と思うから、この率の向上はこの点の改善に俟たなければならないと考えるとの答弁があり、又從來どの程度に一般学科を教えていたかとの質問に対しましては、普通講習所では事業学科二千五十二時間に対し普通科二千四十時間でへほぼ半々であり、高等逓信講習所では、事業学科約一千時間に対し二千八百七十時間で、二・八倍強となつている。而してこの普通学科を殖やしたのは終戰後のことで、この新制度によつてつても、尚事業に関係のあるいわゆる普通科目は終戰前に劣るものではないとの答弁がありました。又無線電信講習所は、文部省に移管後は正式に專門学校になるのかとの質問に対しましては、中央講習所は明年度以降において單科大学にしたいとの希望意見があるので目下考慮中との答弁がございました。以上の他各委員並び 小林議員から詳細に亘つて熱心な質疑が重ねられましたが、それは速語録によつて御承知を願いたいと思います。質疑を終えまして討論に移りましたところ、日本社会党の千葉委員より、逓信事業の運営を円滑にするためには職員の素質をよくしなければならない。そのためには職員訓練は徒弟教育であつてはならない。然るに本案は「一般の学校で通例実施されている学科目について訓練の教程施すことはできない。」との規定がある。これでは素質の向上は望み得ないから反対であるとの意見が述べられ、又民主党の鈴木委員、油井委員、無所属懇談会の藤田委員、民主自由党の大島委員、緑風会の新谷委員及び日本社会党の水橋委員より、職員の素質の向上はその職員の希望であり、事業のためにも必要である。逓信事業には素質は良いが、資力の乏しい青年が多い。このような青年に対して向上の志を失わしめないようにすることが本人のためであり、且つ事業のためであるから、政府は本法の運用に際しては、この点を十分に考慮して善処せられたいとの希望を附して賛成意見を述べられました。そうして採決に入りましたところ、多数を以て体案は衆議院送付の通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上簡単でございますが、御報告申上げます。
  106. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  107. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。これにて暫時休憩いたします。    午後四時二分休憩      ―――――・―――――    午後七時九分開議
  108. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 諸般の報告は御異議がなければ省略いたします。      ―――――・―――――
  109. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) これより休憩前に引続き会議を開きます。この際議事日程に追加して、医療制度に関する調査、社会事業振興に関する調査及び住宅問題に関する調査閉会中も継続する件(厚生委員長提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  110. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。よつてこれらの三件は閉会中も調査を継続することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  111. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、地方財政法案、地方税法を改正する法律案及び地方配付税法案内閣提出衆議院送付)、地方自治法の一部を改正する法律案(衆議院提出)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  112. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。治安及び地方制度委員長吉川末次郎君。    〔吉川末次郎君登壇、拍手〕
  113. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 只今議題となりました、地方財政法案並びに地方税法を改正する法律案及び地方配付税法案並びに地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会の審議の経過並びに結果について御報告いたしたいと存じます。  先ず地方財政法案について申上げます。先に地方自治法の制定実施によりまして、地方公共團体の自治催は、画期的なる伸長を見たのでございますが、その基盤をなすべき財政自主権は未だ必ずしも確立を見るに至らず、而も他面激変する経済変動の影響を深刻に受けまして、地方財政は非常なる危局に直面するに至り、この危機を打開して、眞に地方自治の確立に即應する、自主的地方財政制度を確立するということが、緊急の課題となつておりますことは、皆さんも御承知のことであると存ずるのであります。從つてこの際自主的地方財政及び税制の確立を期するために、その独立財源拡充強化を図ると共に、國家財政と地方財政相互の関係に対し、合理的規律を與え、地方財政の合理化、健全化を図る必要がありますことは、勿論のことでありまして、この趣旨により提出せられましたのが、この地方財政法案でございます。  その内容につきまして、政府当局の説明の大要を申述べますれば、第二点は、地方財政運営の基本に関する問題でありまして、その一は地方財政の実質的収支の均衡を図るため、赤字財政の根源である地方債の発行についての原則を規定いたしましたこと、その二は公営企業の経営につきまして、いわゆる独立採算制を採用いたしましたこと、その三は、地方財政についても減債基金制度を採用したること等でございます。その運営全体を通じて健全財政堅持の精神を具現しようとしておるのでございます。  第二点は、地方財政と國家財政との関係に関する問題でございまして、その一は事務の性質によつて國費、地方費の負担関係を明瞭にせんとしておるのであります。その二はいわゆる補助職員制度の合理化でありまして、従來のごとき國庫財政の一方的な都合によつて、補助額の増減せられることは、地方財政を常に不安定な状態に置きますし、かたがた補助を通ずる無用の干渉は、地方公共團体の首長の権限に、不必要なる制肘を加えるものであつたのでございますから、從來の補助職員制度をも廃し、國庫負担職員の制度を設け、その定員、負担経費の範囲及び負担割合は、法律において規定いたしますことによりまして、この方面における地方財政の困難を取除くことといたしてあるのでございます。その三は國庫負担金、國庫補助金等の支出を合理化せんとすることでございまして、これらの負担金、補助金等の金額算定の基礎及びその支出時期等について、基本的なる規定を設け、國庫の支出金が実情を無視した低い單價で定められたり、著しく遅れて支出されたりする現状を防止しようとしておるのでございます。  次に第三点は、地方公共團体の相互の間における財政関係に関する問題でございます。特に都道府縣とその区域内の市町村との間における財政関係は、國と地方團体との関係と類似した問題でございますので、その間の問題につきましても、國と地方公共團体相互の間における財政調整の方法に準じまして、経費負担関係その他について合理化を図らんとしておるのであります。  最後に第四点は、地方公共團体の財政運営に関する規律、「國庫財政と地方財政との関係に関する規律」に、違反した場合の措置に関する問題であります。その一二は、國又は地方公共團体が法令の規定に違反して、補助金、負担金等を濫費しましたときは、國はその負担金、補助金等の返還を命じ、地方公共團体は國に対してこれが返還を請求し得ることとしてあるのであります。その二は、地方公共團体が法濫令の規定に違背して、多大の濫費を行つた場合等におきましては、それだけ財源調整の意味で交付される配賦税の額を、減額し得ることとしてあるのであります。  以上がこの地方財政法案の内容といたすところでございます。  次に第二番目には、地方税法を改正する法律案につきまして、併せて御説明申上げたいと存じます。  今回の地方税法の改正は、全文百五十條よりなりまして、非常に廣汎な規定を包含しておりますので、詳細な御報告を申上げることは、時間の関係上、これを省略させて頂きますが、要約いたしますると、一、地方公共團体に必要な財源が得られるよう、地方財政の全般に亙つて改正をいたしましたこと、二、財政自主化のため、監督官應の許可事項を全廃したことが、その主なる内容としておるところであります。即ち所要の財源を得る方策といたしましては、第一には新税目の創設でございまして、事業税、特別業務税、鉱産税、電気ガス税、木材引取税、使用税、余裕住宅税等を新設せんとするものであります。  第二には、現行税目について、その課率を引上げまして、租税収入の増加を図ろうとするものであります。地租、家屋税、住民税、その他各種の税目に対して、賦課率の引上げを行わんとしおるのであります。  第三には、國税の地方委譲でありまして、入場税、狩猟免許税等を地方に委譲せんとしております。  次に監督官廳の許可の権限を全廃することは、地方公共團体がその財政自主権を確保するため、多年要望しておつたところでありますが、この度の地方税法改正を機会といたしまして、実現する運びとなつたのであります。併しながら、これがため地方團体が財政運営の方針を誤るようなことがあつては、却つて地方自治の基礎を破壊することになりますので、地方税審議会というものを設置いたしまして、これが審査の制度を設けようとしておるのであります。  以上が今回の地方税制の改革の大要でありますが、政府におきましては、先に地方財政委員会を設置いたしまして、地方財政確立の方策の審議、立案に当らしめたのでございます。ところが不幸にして財政委員会の案は、その全部を政府が容るるところとはならず、政府案と地方財政委員会案とが互いに対立するの結果を來しましたことは、誠に遺憾とするところであります。政府は國会に、その政府にやや対立する点がありまするところの、地方財政委員会の案をも、審議の参考として我々の手元に送付して参つておるのでございます。  第三番目には、地方配付税法案について御説明申上げなければなりません。本法案について政府当局の説明するところによりますれば、現行地方分與税法を廃止いたしまして、新たに地方配付税法を制定するものであります。地方財政自主化の見地から考えまして、前の地方分與税法にある分與という言葉は適当でない、これに代えて配付という言葉を用うることといたしました外、現行地方分與税法の内容に若干の修正を加えたものでありまして、その根本精神には別段の変更は加えてございません。その改正の要点といたしまするところは、第一点は、配付税制全般に関連する問題でありますが、その一は、入場税を地方独立税といたしまして、地方配付税の財源から除外いたしましたこと、第二は、配付税の繰入割合を増率いたしましたことで、地方税所要額は年間一千百七十二億円でありますが、國税の委譲を受けたり、地方独立税を創設したり、現行地方税の増税を行つたりいたしましても、尚四百十五億円の不足を生じますので、これを所得税及び法人税から地方配付税配付金特別会計の方へ繰り入れる割合の増率に求めることとしてあるのでございます。  その三は、配付税の道府縣分と市町村分との割合を変更いたし、市町村分を増率したことでございます。地方税所要額中、独立税又は附加税の収入を充てて、尚不足いたしておりまする額は、配付税を以て充てることといたしますと、その配付税の所要額は道府縣分二百九億円、市町村分二百五億円となりますので、その配付税の道府縣分と市町村分との割合は、それぞれ百分の五十ずつとなるのであります。現行は道府縣分百分の六十七、市町村分百分の三十三でありますので、この改正によりまして、市町村分は現在より相当増率することとなります。  その四は、戰災による税の減収額を標準とする戰災地地方團体に対する分與税の制度を廃止したことであります。  改正の第二は、配付税の配分方法に関する問題でありまして、財政需要に正例して配付する配付額の算定方法につきまして、或いは人口に設けるウエイトに、改正を加えたのであります。或いは新たに義務教育に係る学級数を標準とする配付額の制度を設け、町村配付税を、自治体警察設置する町村と自治体警察設置しない町村に区分する等、配分の適正化を図ることといたしておりますが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。以上が地方配付税法案の趣旨、内容であります。  今申上げました地方財政に関するところのこれら三法案につきましての我我の委員会における質疑の主なるものにつきまして申しますると、  第一には、酒、「たばこ」の消費税を地方税として新設することは、財政委員会が相当の自信を以て立案したようであるけれども、政府案としてはこれを採用していなかつたのは何故であるか、又知事会議等の主張するところの所得税附加税をば地方税として認めなかつた理由はどうであるかというような質問がございました。これに対しまして政府委員から、消費税は國税とする租税原則に反するということ及び國の專賣品に地方税を課することは適当でない、又所得税附加税は本税が配付税の財源となつておるのであるから、実質的には地方税となつておるし、又源泉課税が相当多額に上つておるから、地方税としては不適当であるとの答弁がございました。  第二には、先に申しましたところの地方税法を改正する法律案中に規定いたしてありまするところの、新たなる機関でありまする地方税審議会の委員の選任方法につきまして、從來國会の承認を求める場合……そのような規定があるのでありますが、そういう場合において、事前に何らの國会の了解を求めることなく、突然提案して同意を求める例が、國家警察に関するところの公安委員の選任その他のことについて見られたのであるが、今後は事前に人選上の協議をなし、了解を求めるべきであると思うが、政府の所見如何という質問に対しては、政府委員よりこの趣旨の通り取計らうつもりであるという答弁がありました。  第三には、生活保護費の二割は地方負担となつているが、地方ではこの負担の増大に苦しんでいる分與税の交付に際して生活保護費に充当する分を明らかにして欲しい、無縁故者を多数収容せしめている特定の町村の生活保護費は全額國庫負担とすべきであると思うが、政府の所見如何といふ質問に対し、分與税は地方財政の調整資金的性格を有するものであつて経費の使途を指定することは困難であるが、御質問のごとき無縁故者の収容のため特に財政負担を要する町村に対しては、御意見の趣旨は御尤もであるから、分與税の配分で考慮しているという答弁がありました。  第四には、引揚者に対して課税を免除すべしという本院の決議の趣旨に則つて、今後の引揚者に対し住民税を一ヶ年間免除することとしたい、又休業中の料理飲食店業に対し遊興税を課することは適当でないと思うが、政府の所見如何との質問に対しては、引揚者の窮状には深く同情する、從つて公私の救助を受くる者は免除することになつているから、この規定の運用によつて措置したい、又事実、休業中の料理飲食店業に遊興税を課することはないと思うという答弁がありました。  次いで七月五日即ち本日衆議院より左のごとき修正案を附して回付されて参りましたので、この衆議院修正案をも一括して審議いたしました。衆議院修正の要旨を御紹介申す必要があると存じますので簡單に申上げます。  衆議院修正案の第一は、酒の消費税とその附加税を新設し、その賦課率は通じて百分の五として、これによつて約十五億円の財源を見込んでおるということ、  第二点といたしましては、右の増収を財源として住民税の減税をなすこととし、住民税の賦課標準額千円を九百円に引下げるということ、  第三点は、本法即ち地方税法改正法律の施行期日は七月一日となつておりますのを、公布の日より施行することに改めたことであります。  かくして我々の委員会におきましては質疑を打切り、討論に入りましたるところ、緑風会所属岡元義人君から修正案の提出がありました。この修正案は、本年四月一日以降の引揚者、復員者に対しては帰還の日から一年間住民税を免除せんとするものでございますが、これに対し政府委員より、引揚者等で生活困難な者は、地方税法を改正する法律案の第四十七條及び百二條の運用によつて十分免除できる旨の答弁がございました。岡元義人君の修正案は、採決いたしましたところ、提案者以外に賛成者なく、少数を似て否決となりました。討論の過程におきまして、社会党羽生委員、緑風会の岡本愛祐委員、鈴木直人委員等より、この衆議院の修正を引括めて本三法案は大体において本委員会において、即ち参議院の我々の委員会において予め協議して、衆議院に我々の意見を申入れたのでありますが、その衆議院に申入れたところの参議院治安及び地方制度委員会の意見と、趣旨を同じくするものであり、又地方公共團体側の要望も、これによつて僅かながらも一部達成せられるものであり、將來地方財政の伸張性、弾力性をこの方向に求める端緒を得るものであつて、極めて適切な修正と認められる。これらの三議員諸君の違つた観点からのそれぞれの賛成が述べられまして、本委員会は多数を以て衆議院の修正案を一括いたしまして、この三法案を可決いたしました次第でございます。以上御報告申上げる次第であります。(拍手)  尚附け加えまして、地方自治法の一部を改正する法律案につきましての審議の経過及び結果を極めて簡單に申上げたいと存じます。  この地方自治法の一部を改正する法律案は、その内容は建築に関する行政事務というものは、從來都道府縣において、地方自治法に基きまして、土木の主管部局において所管しておりましたのでありますが、主要なるところの都道府縣におきましては、戰災の復興、住宅問題等、著しく厖大且つ複雑化しました建築に関する行政の部門を、独立強化せしめたいというところの強い要望があり、それがため地方自治法百五十八條を改正いたしまして、東京都には新たに建築局を設け、道府縣には又建築部を設置することができるというような方途を講ずる必要が生じて参つたのであります。たまたま今回建設院の建築出張所が廃止されまして、臨時物資需給調整法に基くところの、建築用資材の割当事務及び建築の許可事務が、都道府縣知事に移管せられることになりましたので、この際東京都、北海道、大阪府、京都府、並びに主要なるところの縣に、東京都におきましては局を、その他の道府縣におきましては部を設置することができまするよう、法的措置を講じまして、これと同時に從來東京都におけるところの総務、財務の両部を局に昇格しようとするのが、本法案の目的とするところでございます。  以上が本法律案の趣旨内容でございまして、本委員会は愼重審議を重ねましたが、現下最も緊急なる住宅建設事業を積極的に推進するためには、本改正は必要であるというところの趣旨を、大体了解いたすところがあつたのでございます。  次いで討論採決に入りましたところ、全会一致を以てこの法案は可決すべきものと決定いたしました次第でございます。  以上地方財政に関するところの三法案並びに地方自治法の一部を改正するところの法律案につきまして、審議の経過並びに結果についての御報告を申上げた次第でございます。(拍手)
  114. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 先ず地方財政法案、地方税法を改正する法律案及び地方配付税案の三案に対して、討論の通吉者がございます。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇〕
  115. 板野勝次

    ○板野勝次君 この三案は、地方財政の破綻を促進する内容を持つておるので、反対する者であります。  第一の理由は、当然全額國庫負担にして地方負担を軽くしなければならない経費が、地方全額負担若しくは一部地方負担になつておるのであります。帥ち教育、学藝に要する経費、義務教育に從事する職員に要する経費、児童福祉及び保健所に要する経費、職業補導施設の設置、維持及び管理に要する経費、生活保護に要する経費、義務教育年限の延長に伴う施設の建築費、引揚者の援護に要する経費等でありますが、現在地方財政は破綻しつつありますので、これらの諸経費地方財政に背負わされることは、地方財政の癌であります。これはよろしく全額國庫負担とすべきものであります。  尚重要な都市計画及び都市計画事業に要する経費、河川、道路、砂防、港湾等の重要な土木事業費、戰災復旧のための学校、道路、港湾、病院、診療所、上下水道その他の公共施設、住宅及び土地区画整理に要する事業費などは、國庫がその大部分を負担すべきものであります。  反対の第二の理由は、この法案には國の自治体に対する干渉が多過ぎまして、地方財政の自主性を著しく阻害しておる。この点についてはよろしく地方財政の自主性を尊重すべきであると、思うのであります。  尚公営企業の独立採算制を強化するところの問題でありまするが、今日公営企業の大部分は、戰災と戰時中の施設の酷使によりまして荒廃しておりまするし、それに加えて國の統制政策によつて独立採算の基礎がないのであります。その際にこれを強化いたしますれば、勢い從業員の首切り又は労働強化となるのは必然でありますので、独立採算の基礎ができていない場合は、一般会計又は他の特別会計からの繰入れが認められなければならないと思うのであります。  反対の第三の理由は、前に述べました如く、六・三制、教員給與、生活保護費等を全額國庫負担とすることによりまして、更に所得税、配付税を増額することによりまして、ここに初めて地方財政は現在の約八割の負担軽減されることになるのでありまして、財政的基礎が漸くこのことによつてでき始めるのであります。かくして地租、家屋税の税率引上げは不用となり、事業税、酒税附加税、電氣ガス税等の惡税も全くその必要がなくなるのであります。現在一部地方負担となつておりまする前述の経費等は、今仮に全官公要求の手取五千二百円を保証するといたしましても約六百三十九億円でありまして、これがすべて國庫負担となりますれば、地方の負担は大幅に軽減されるのであります。而も中央の財政は本年度予算面からいたして、約二千億円の大資本家を擁護するところの経費が使われるのでありまするが、これは当然削減可能なものがあり、又本年度約四千億円の脱税が政府によつて告白されておる事実によりましても、全額國庫負担の可能性はあるのでございます。それにも拘わらずこの地方財政法案の内容は、いずれをも大衆負担的なものを課し得る法案になつておるのでありまして、以上二点の理由と、一点はその徴税方針の中央への負担の可能な理由を述べまして、共産党はこの三つの法案に反対するものであります。(拍手)
  116. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に地方自治法の一部を改正する法律案に対しまして、討論の通告がございます。岡元義人君。    〔岡元義人君登壇、拍手〕
  117. 岡元義人

    ○岡元義人君 私は在外同胞特別委員の一人といたしまして、この地方財政法及び地方税法を改正する法律案の二案につきまして反対の意を表する者であります。  その主なるもの二三点について申上げますが、第一点は住民税であります。衆議院修正案は一割を減じまして九百円となつておりますが、先に地方財政委員会におきましては、最大限八百円を主張して政府の容れるところとならなかつた。外にも理由はありますが、安井都道府縣代表、神戸六大都市代表、生田地方町村代表が辞表を提出したことは諸賢周知の事実であります。この三名の代表は明らかに國民の殆んど全体の代表でありまして、政府がその民意のあるところを尊重せず、強引に政府案を提出したことは、明らかに横暴極まるフアツシヨであり、誠に遺憾に堪えないと存ずるのであります。私が最も遺憾に思う点は、極寒三年ソ連地区に自己の意思によらずして、敗戰國民の義務として、國家の犠牲の上に、労役に服して帰つて來る七十万の同胞たちが、日本海を埋めても辿り着きたいと念願しております。祖國に帰つて來た途端に、人頭税である住民税を課せられるがごときは、堪え忍び得ないところであります。而も五月二十五六日衆参両院を通過いたしました、引揚同胞対策決議案の第二項には、明らかに今後の引揚者、復員に対しては、期間の日から一箇年間あらゆる税金も免除すると、はつきりと書いてあるのであります。(拍手)当参議院におきましては、満場一致で諸賢の賛成を得ている次第であります。然るに修正案は諸般の情勢より否決されましたのでありますが、私は以上の理由を以て、この法案には絶対賛成できないのであります。  第二点は財政法の第十條第十四項に、生活保護法の国庫負担八割と、地方自治体負担二割となつているのでありますが、併しながらこの地方負担の二割は分與税を以て補填されているのであります。地方においてはこの点が不明確になつております。苦しい地方財政実情からして、生活保護費負担は非常なる苦痛となつているのであります。又かようなる制度が、軍に生活保護法適用者の濫給を防止するを第一の目的としているのでありますが、第二には地方隣保負担を勘案してあるのであります。終戦後の日本の実情は戰災者、引揚者、留守家族、遺家族等の戰争の犠牲において保護を受ける対象がその大半であります。往年の生活困窮者とはその様相をば一変しているのであります。  單に第一の目的たる濫給を防止する手段としては、その保護を受けるものにとつて、この上なき精神的苦痛と圧迫は、誠に残酷なる手段と言わざるを得ないのであります。生活保護の眞の精神に基いても、この精神に違背することは言を俟たざるところであります。又本年度つて参りますところの引揚者の中、無縁故者は大体八万乃至九万と推定されているのであります。  これらの人達は東北六縣、北海道に収容されるのでありますが、現に北海道の豊平におきましては五千数百人を収容して、その人口の二十数%を入れておるのであります。かかる予期しない地方自治体への轉入者に対しても、尚地方財政より大半が生活保護法の適用者である関係上、誠に過重な負担をば負荷しなければならぬ。(拍手)かような理由は到底了解できないところであります。故に当然生活保護法全額國庫負担は自明の理でありまして、私がこの法案に賛成をすることができない次第であります。  尚もう一点は、先程の委員長報告にもありました通り、今度の地方税の中に、料飲店の遊興飲食をば相当な財源として見込んであるのでありますが、只今料飲店は政令によつて営業を禁止せられているのであります。にも拘わらず裏口営業をばはつきりと認めておるような、地方税の政府案に対しましては、合点の行かないところであります。以上の理由を以ちまして、私は本案に反対する次第であります。諸賢の良識に訴えまして、御判断を願いたいと思うのであります。(拍手)
  118. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採択をいたします。先ず地方財政法案、地方税法を改正する法律案、地方配付税法案、全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  119. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。      ―――――・―――――
  120. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に地方自治法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  121. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  122. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際議事日程に追加して、農業改良局設置法案、新聞出版用紙割当事務職設置法案内閣提出衆議院送付)、引揚同胞対策審議会設置法案(衆議院提出)、これらの三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。決算委員会理事太田敏兄君。    〔太田敏兄君登壇〕
  124. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今議題に上りました農業改良局設置法案について、委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  本法案は、農林省の内部部局として農業改良局を設置し、同局の中に技術研究部、経済研究部、普及部の三部を設けて、我が國農業生産の増大及び農民生活の改善を図り、農業に関する諸問題につき、有益、適正且つ実用的な知識を普及して、公共の福祉を増進せんとするものであります。  本委員会におきましては、時局下農業食糧品の増大を目標とする農業生産技術の発達と、国民中最も大なる部分を占める農民の生活改善のために適切なる措置である点を認め、各條審議の結果、全員異議なく原案通り可決すべきものと決定したのであります。  次に、新聞出版用紙割当事務廳法案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果につき簡單に御報告いたします。本法案は、用紙の不足している現下の状況に鑑みまして、印刷用紙の割当に関する制度を法制化し、その事務を行う機関を整備して、事務の合理化、適正化を図らんとするものであります。用紙割当配給に関する現行制度を一言しますと、政府は、先に昭和二十年十月連合軍最高司令部の指令により、当初内閣情報局においてこの事務を処理していたのでありますが、内閣情報局の廃止と共にこの業務は商工省に移され、更に昭和二十一年十一月からは、内閣に新たに設けられた新聞出版用紙割当事務局においてこれを取扱うことになり、今日に及んでいるのであります。現在行われている割当委員会の業務は、何ら法令等によらず、專ら総理大臣の定めた用紙割当規程というものに從つて運営されているものであります。  質疑に入り、或る委員から、審議会を構成する委員の選び方について、官僚的な強権濫用の嫌いはないかという質問があり、これに対して政府は、今回提出した法案によれば、審議会における委員の選び方及びその業務の運営方法等、おのずから法規上明らかなる根拠があり、又國会の民主的な意思を反映し、遺憾なきを期したい。又委員の選定については、候補者を不適当と認めるときはこれを拒否することができるというのは、官権濫用の嫌いがあると言われるが、かかる場合はよくよくの場合であつて、例えば闇、横流し等をやる者が運動して審議会の委員になろうとする場合等を考えたものであるとの答弁があり、又或る委員から、從來の配給が余りに商業方面に重点的に行われて、労働團体、文化團体等への配給が甚だしく過少であると思うが、これを改めることはできんか。科学、技術に関する印刷物に必要な良質な紙の増加配給はできんか等の質問があり、これに対し政府は、用紙割当業務の法制化によつて、一層合理的且つ適正な配給を遂行することができるものと考えるとの答弁がありました。その他質疑應答の詳細は速記録によることを御許しを願いたい。  かくて討論に入り、格別の意見もなく、全員異議なくこれを可決すべきものと決議したのであります。  次に、引揚同胞対策審議会設置法案について御報告申上げます。この法案は、第二回國会で議決されました引揚同胞対策に関する決議に基き、引揚の促進に関する事項、遺家族及び留守家族の援護に関する事項、その外一般に帰還同胞に関する事項を調査審議するために、引揚同胞対策審議会を総理廳の中に設置しようというのであります。審議会は、委員長一人及び委員十五人以内で組織し、厚生大臣を委員長に充てる。審議会の事務を整理するため事務局を置き、厚生省の官吏の中から局長を任命する。この法律は一年限り有効とする。こういうのが本案の要旨であります。この提案に対しましては、すでに決議案によつて周知されておることであり、何人もその必要を痛感しておることでありまするから、別段の異議もなく、全員賛成したのでありまするが、ただ法案の字句に若干修正の必要があるとて、左の修正意見が述べられました。これを読み上げます。  第一條第一項中「調査審議するため、」の下に「総理廳に、」を加え、同條同項中「引揚同胞対策審議会」の下に「(以下審議会という。」)を加える。同條第二項中「監督」を「管理」に改める。第三條及び第四條中「委員長」を「会長」に改める。  第五條を次のように改める。  第五條審議会に、その事務を整理させるため、左の職員を置く。  事務長一人 その他の職員若干名  2 事務長は、厚生省の一級官吏の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。  3 事務長以外の職員は、審議会会長がこれを命ずる。  第八條を削る。  そこで討論を終り、採決に入りまして、先ず修正案を採決の結果、多数を以て可決され、続いて原案の他の部分について採決の結果、全員一致可決すべきものと議決したのであります。以上を以て私の報告を終ります。(拍手)
  125. 松本治一郎

    ○副議廳(松本治一郎君) これより採決をいたします。先ず農業改良局設置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  126. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以つて可決せられました。      ―――――・―――――
  127. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に新聞出版用紙割当事務廳法案の全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  128. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  129. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に引揚同胞対策審議会設置法案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  130. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ―――――・―――――
  131. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程を追加し、選挙運動等の臨時特例に関する法律案及び衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員会理事藤井新一君。    〔藤井新一君登壇、拍手〕
  133. 藤井新一

    ○藤井新一君 只今議題となりました選挙運動等の臨時特例に関する法律案及び衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会におきまする審議の経過並びに結果について簡單に御報告申上げます。選挙運動等の臨時特例に関する法律案は、次の総選挙以降の衆議院議員の選挙に限つて適用する法案でございまして、参議院議員、地方議会の議員の選挙については、從來通り「選挙運動の文書図画等の特例に関する法律」の規定するところによるのでございます。この法案は、選挙公営範囲の拡張によしまして、公平適正な選挙を実施すると同時に、その他の選挙運動については制限を更に強化して、莫大な選挙費用調達のために生ずる選挙の腐敗を根本的に防止することを目的としたものでございます。先ず公営の強化は次の四点において拡張されておるのでございます。その第一点、演説会に関する事項では、立会演説会について完全な公営を実施し、個人演説会についてはその一部を、即ち会場の準備と開催の告知とを公営としたことでございます。第二点、政見放送に関する費用をすべて國庫負担として明記したことでございます。第三点、文書図画に関する事項では、新聞掲載の廣告と選挙事務連絡用の葉書、無封書状とを公営としたことでございます。第四点は、交通機関の利用については、関係区域内において通用する十五枚の特殊乗車券を國庫の負担において交付することでございます。以上の四点が公営の範囲に属するものでありまするが、これが公営に要する費用は総額約四億五千万円の見込みでありまして、その一部を候補者に負担して貰うということと、併せて泡沫候補の濫立を防止するために、分担金二万円を供託金の外に納付することとしまして、これを立候補届出手続の要件としたのでございます。  右の公営強化に対應いたしまして、その他の運動の制限を強化しました点は次の三点でございます。その一は演説会に関する制限でありまして、演説会を立会演説会、個人演説会、街頭演説会の三種に限りまして、それ以外には選挙運動のための演説会はこれを認めないとする外、議員候補者の立会演説会においては、代理者による演説をその総回数の五分の一に限り、個人演説会についてはその開催回数を三十回以内としまして、且つ街頭演説会は候補者がその現場にいるときに限つて認めることとしまして、金のある者のみが多数の人を動員して代理者による演説会が必要以上に行われることのないようにいたしたのでございます。  その二は選挙運動のために使用する文書図画に関する制限でありますが、選挙事務の連絡のために使用できる一人に付き一千枚の葉書と無封書状の外は、一切の文書、図画を頒布し、回覧させることを禁じ、又立札、ちようちん、貼札、看板についても、街頭演説において使用するもの、自動車、拡声機等に使用するもの、選挙事務所を表示するために使用するものの三種類の外は一画掲示することを禁止したのであります。その三は乗物、拡声機、飲食物に関する制限でありまして、自動車、船舶、拡声機については一台又は一揃だけに限り、飲食物については、湯茶の外は一切これを禁止しておるのでございます。  以上の制限又は禁止に違反して刑に処せられたときはその当選を無効にすることといたして、且つその後五年間は選挙権及び被選挙権の停止をもなし得ることとして、この法律の遵守の励行を期しておるのでございます。  次に衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案は、投票立会人の選任手続の簡易化、当選告知機関の変更、立候補届出期間の短縮、その他の條文整理など手続的な事項が主なものでございまするが、実態的な内容に関するものは次の三つでございます。即ちその一つは、衆議院議員と兼職の許されていない公職にある者、例えば参議院議員とか、地方議会の議員は、その職を辞した後でなければ立候補できないこととしてあるのでございます。その二は、供託金の額でございまするが、五千円から三万円に引上げ、且つ没収率を從前の五分の一から十分の一に引下げたことでございます。その三は、罰則を強化すると共に、取締に関する責任を一層明らかにした点でございます。  右の二法案につきまして、議院運営委員会におきましては、二回に亘つて全体的な質疑を行つた後、これを政党及び選挙法に関する小委員会に移し、ここで更に四回に亘る逐條審議を行つた結果、政見放送に関する取扱に関して、選挙運動等の臨時特例に関する法律案中の関係條文を次のように修正することにいたしました。即ち、  第十六條第一項中「三回以内において」を削つて、同條第三項中「前項」を「前二項」に改め、同項を第三項とし、第一項の次に左の一項を加える。  2 前項の放送に関しては当該選挙区のすべての議員候補者に対して同一放送設備を使用し、同一時間数を與える等同等の利便を提供しなければならない。  右の修正案を本委員会に諮りましたところ、多数を以て選挙運動等の臨時特例に関する法律案はこれを修正可決し、衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案は、衆議院提出の原案通り可決するごとと相成つた次第でございます。以上を以て報告を終ります。
  134. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 両案に対し討論の通告がございます。板野勝次君。    〔「簡單々々」と呼ぶ者あり〕    〔板野勝次君登壇〕
  135. 板野勝次

    ○板野勝次君 この(「簡單にやつて下さい」、「その通り」と呼ぶ者あり)黙つて聽いて下さい。この選挙法の二法案議院運営委員会を通過する際におきましては、討論もなく、同時に速記者も速記を附けることなくして、これが突然の間に議決されたという事実を先ず皆さんに御報告申上げて置きます。(「当然だ」と呼ぶ者あり)この中に選挙法の改正の陰謀があるということさえも観取して「陰謀じやない」と呼ぶ者あり)頂けると思うのであります。そこで反対の要旨を述べまするが、第一に供託金五千円を三万円に値上げしたこと、(「物價改訂だ」と呼ぶ者あり)第二に予納金、これは公営の費用と称するものでありまするが、これが二万円とされておる点、この三万円と二万円の会計五万円の負担は勤労大衆には大きな経済的な負担であります。我々の反対の理由に対して、先程やじつておられた人達はこれは負担でないかも知れませんが、我々にとつては大きな負担であります。この負担なくしては立候補ができないという点であります。第三に、選挙法定費用は大体十万円前後になるのであります。第四に、この外自動車の費用は法定費用の外になつておるのでありまするから、一日の貸切費を一万円といたしましても、これだけでも参拾万円前後となりまするので、公認の選挙費用だけでも、最少四十五万円乃至五十万円となりまして、これは大きな経済負担でなくして何でありましようか。第五に、公営の名の下に演説会が制限されおるのであります。立会演説会の外に、この立会演説会も五分の一以内しか候補者の代理が出られないという制限を置き、個人演説会は三十回以上はできないという、更に、街頭演説会に至りましては、候補者が現在する場合に限つて、街頭演説ができるとなつております。今藤井へ委員長報告によりますると、街頭演説会が候補者が現在しないようになつてできると費用が掛かると申すのでありまするが、そこに出て参りまする人員が、若し候補者が次の街頭演説会に行き、その後に残つておることによつて、何らの負担の超過はないのでありまして、これは明らかに金が掛かるという理由は、労働團体や農民国体の街頭演説会を弾圧しようとする意図に外ならないのであります。從つて労働者や農民の中心の演説会等は全然不可能でありまして、又政党本位な演説会活動等も一切不可能となつておるのでありまして、この制限は明らかに憲法の言論の自由が否認されておるのであります。第六に、文書活動も極端に制限されております。選挙管理委員会が出します公的な文書以外には、著述の紹介も、文書も、政党の正当なら党活動たる政党が発行いたしまする文書等の貼付すら制限されておるのでありまして、これも明らかに憲法で保障されておりまする文書表現の自由が否認されておることやなるのであります。  右の言論、文書の極端な制限は、明らかに新らしい民主勢力の組織品的九発展を、――今や議会外における大衆が、この國会の反動的な方向に対して怨嗟の声を放つておる、――この発展的な方向を阻止して、そうして顔と金と地盤を持つておる、先程私がこの壇上に立つたときにやじつたような、ああいう人達がどうしてもその椅子に噛りつきたいというために作つたところの法律に過ぎないのであります。(「そんなことじやないのだよ」と呼ぶ者あり)従つて、社会党の諸君が、かくのごとき四十五万円も五十万円も掛かるような法律に対して、何らの修正なくして賛成された事実の中にこそ、最近の社会党の方向があるのではないでありましようか。(拍手)社会党の賢明なる議員諸君の反省を促したいのでございます。(「結構だ」と呼ぶ者あり)  以上を申述べまして、反対の理由に代える次第であります。(「御苦労さま」と呼ぶ者あり、拍手)
  136. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。先ず選挙運動等の臨時特例に関する法律案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。本案は委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  137. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます、よつて本案は委員会修正通り可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  138. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  139. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  140. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、大藏省預金部特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、簡易生命保険事業における戦争危険に因る死亡に基く保険金の支拂による損失の補てんに関する法律案、物資の割当に関する手数料等の徴収に関する法律案、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、割増金附貯蓄の取扱に関する法律案、当せん金附証票法案、外國貿易特別円資金特別会計法案、(内閣提出衆議院送付)以上七件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。    〔黒田英雄君登壇、拍手〕
  142. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 只今上程されました七件の法律案について委員会の経過並びに結果を御報告いたします。(「簡單に願います」と呼ぶ者あり)会期切迫の際でありますから極めて簡單に(「賛成」と呼ぶ者あり、拍手)御説明をいたしたいと思います。  先ず大藏省預金部特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。この法案は本年度の予算として、大藏省預金部の特別会計におきましては歳入歳出共に、六十九億九千余万円でありまするが、固有の歳入としては二十四億千三百余万円でありまして、四十五億七千九百九十余万円が不足するのであります。それから國有鉄道事業特別会計におきましても、運賃の値上げ等は、増収を見込みましても尚原案は百億円の不足を生ずるということであつたのでありまするが、この点は衆議院におきまして、値上げが遅れましたために修正に相成りまして、二百九十一億千四百万円となつておるのであります。次は通信事業特別会計におきましては歳入歳出共に八百九十一億六千余万円でありまして、郵便料金の値上げの増收を見ましても、尚五十億円の不足をするということでありましたが、これも衆議院におきまして、通信料金の値上げの施行が約一ケ月遅れましたので、この金額も殖すことにして、六十億二千六百万円といたしたのであります。これに対しまする質疑應答は速記録に譲ることをお許し願いたいと思います。委員会におきましては、本案は多数を以て原案通り可決いたしたのであります。尚本案につきましては、討論において中西君の反対意見がありましたが、これも速記録に譲ることをお許し願います。  次に、簡易生命保險事業における戰争危險に因る死亡に基く保險金の支拂による損失の補てんに関する法律案について御説明をいたします。政府でやつておりまする簡易生命保險事業におきまして、保險勘定におきまして、今次の戰争の危險に因りまする死亡事故に対する保險金の支拂が、これらの被保險者のために積立つておつた積立金を超過することになり、昭和二十二年度末におきましては四億七千三百二十余万円を超過することになるのであります。尚海外からの引揚げその他を見ますと、二十三年度においては約一億二千万円損失、二十四年度以後も亦相当の額があると見込まれるのであります。それでも一般会計より交債を以ちましてこれの補填をしようというのであります。併し二十三年度以降のものにつきましては現金でするというのであります。交付公債は額面で発行いたしまして、十年以内年四分五厘ということに相成つておるのであります。  次に物資の割当に関する手数料等の徴收に関する法律案について申上げます。本案は、物資の割当を國が国費を以て賄つておるのでありまするが、その経費は相当の額に上るのであります。本年度の予算では十九億円に相成つておるのであります。この事務は一種のサービスであつて、申請者の方から、受益者の方から一定の申請手数料及び割当料を徴收して、歳入の増加を図つて、事務に要する経費財源としようというのが本案の目的であるのであります。そして申請手数料は一件について五十円以内で、「命令で定める」ということでありますが、併しこれは大体五十円のつもりだそうであります。尚割当料の方は、これは割当額の百分の一に相当する金額を徴收しようというのであります。  本案につきましても質疑應答がありましたのですが、これは省略することをお許し願いたいと思うのであります。  討論に入りまして民主自由党の山田委員からして、見込が少いと思うから、若し多くなつたらば、生産コストを下げるために成るべく下げて貰いたいというような意見を附けて賛成をされたのであります。そうして前に申上げました簡易保險と共に、(「簡單々々」と呼ぶ者あり)これは多数を以て可決すべきものと決定をいたしたのであります。  次に金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、これは極めて長い法律でありまするが、併しその要旨は、金融機関の再建整備によります最終処理を新旧勘定が確定したのでありまするが、三月の下旬に至つて最終処理方法等の再檢討を要することになつて、それが非常に遅れたのであります。(「もつとはつきり」と呼ぶ者あり)それを三月末日に遡つてやるのでありますから、これは登記します期間が足りなくなるので、これを延長しよう、こういうのであります。第二には、金融機関の補償金が百億円となつておつたのでありまするが、これは金融機関で要する額が、いろいろ愼重な評價をいたしましたところ、少し足りないので、百六十三億円に増額しようというのであります。次に調整勘定に関する規定でありまして、これは金融機関の最終整理というものが相当嚴格にいたしておるのでありまして、その資産につきましても今後相当多額の利益金が生ずることが予想されますので、その利益金は預金等の切捨てを受けた確定損失の負担者に公平に返還することが適当であると考えて規定したというのでありまして、それで利益がありましたならば、先ず政府から補償を受けたものは政府に返し、その次が、確定損を負担しました順序を逆の順序によりまして、指定債務の債権者及び整理債務の債権者に返還しようというのであります。そうして封鎖預金はこれを廃止することにいたし、皆自由預金にいたそうというのであります。これが本案の規定の大要であります。  本案につきましても討論をいたしましたところ、田口君より意見を附して賛成されましたが、採決の結果多数を以て原案通り可決すべきものなりと決定をいたしたのであります。  次に割増金附貯蓄の取扱に関する法律案でありますが、これは貯蓄の増強が今日インフレーシヨン抑制のために必要があるのでありまして、その増強のためにあらゆる角度から手段を講じておるのであるが、割増金貯金の制度は金融機関からも亦國民の方からも多大の期待を持つておられるので、これは資金調整法が廃止されます三月二十六日以後できないことになつておりますが、尚これを続けてやりたいというのであります。そうして今度は大藏大臣が割増金附貯蓄に関しまする細目を定める場合には、各金融機関は任意に自由にその取扱ができるということにいたしたのであります。これに対する所得税等の免除の規定もあるのであります。  かくして討論採決の結果、多数を以て可決すべきものなりと決定いたしたのであります。  次に当せん金附証票法案でありますが、これもやはり前に御説明申上げましたのと同様でありまして、本年の三月二十六日以後は新たに発行できないことになつておるのでありますが、やはり貯蓄の増強のために必要であるというので、政府は浮動購買力を吸收する目的を以てこれをし、尚他面都道府縣におきましても一定の財源を得られない、又公債により難いような事業のために、この手段を用いることを許そうというのであります。從來の宝籤は命令で定めた法人に発賣さしておつたのでありますが、今度は政府と都道府縣がこれをいたすのでありまして、そうして発賣者であります政府、都道府縣これを委託することができることになつております。そうして尚当せん金附証票につきまして細かい規定を設けておるのでありますが、これは省略をいたします。  そうして討論採決の結果、本案も亦多数を以て可決すべきものなりと決定をいたしたのであります。  次に外國貿易特別円資金特例会計法案について御説明をいたします。(「もつと大きな声で願います」と呼ぶ者あり)この法案は、解散團体の財産の管理処分に関する政令に基きまして、大政翼賛会であるとか翼賛壮年團であるとか、解散團であるとか解散團体の持つておつた財産が國庫に帰属した場合に、その現金以外の財産の管理、処分による收入及び附属雑收入はこの特別会計の資金になるのであります。その資金はこれは外國貿易のために使用することにいたしておるのでありまして、それ故にこの資金を貿易のために使用するときには、その金額を貿易資金に繰入れて使用するということにいたしておるのであります。(「簡單」と呼ぶ者あり)  本案につきまして討論採決をいたしましたところ、中西君の反対の御意見もありましたが、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものなりと決定いたしたのであります。これを以て報告を終ります。(拍手)
  143. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決いたします。七案全部を問題に供します。七案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  144. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて七案は可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  145. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、警察官等職務執行法案、(内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長の報答を求めます。治安及び地方制度委員長吉川末次郎君。    〔吉川末次郎君登壇、拍手〕    〔「極めて明確に御報告願います」と呼ぶ者あり〕
  147. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 只今議題となりました警察官等職務執行法案につきまして、治安及び地方制度委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げたいと存じます。尚本法案は特に司法委員会より連合審査のお申出がございましたので審議当初より連合してこれが審査に当つて参りました次第でございます。  先ず本法律案の趣旨内容を御説明いたしたいと存じます。政府当局が説明いたしまするところによりますると、新らしい警察法は警察官及び警察官員の職務執行上の権限や責任について全く、これを規定していないのである。從來は行政執行法及び行政警察規則において、警察官の職務執行の心得や権限、責任等を規定いたしておつたのであるが、その形式内容もいささか新憲法の精神にふさわしくないものがある。よつて先般行政執行法が廃止せられたのであるが、このため警察官等の行う保護、犯罪防止のための立入り、緊急の場合における職務執行上の措置等について、新たに法的根拠を設ける必要を生ずるに至つたのである。即ちこれが本法律案立案の趣旨でありまして、犯罪の予防又は捜査上必要な質問をすることができること、應急の救護を必要とする者があつた場合においては、これに対して適当な保護を加えるということ、天災、事変、交通事故、火災、爆発、極端な雑沓等、著しく秩序が乱れて人の生命、身体、財産に危害が及ぶ虞れがあるときは、警察官等の本務から、これらの場所に居合せた者や関係者に警告したり、必要なときは、これらの人々を避難させたり、又は眞に止むを得ないときは、みずから必要な措置を取ることができること、人が無意識に、又はみずから意識して罪となるようなことをしようとしているときには、これに警告して、その行爲を制止することができること、又これらの犯罪が行われたり、生命、財産に危險が起ることを予防するために、関係場所に立入ることができること等を規定いたしておるのであります。又警察官による緊急避難の処置や犯罪の予防、制止の権能や武器使用の権限などにつきまして、從来明確な規定がなかつたのを、この際人権を尊重する全く新らしい見地から、具体的に規定せんとしておるのであります。即ち犯人の逮捕、逃走防止、正当防衞、緊急避難等の場合に限り、必要な限度で武器の使用を許すと共に、この場合でも特に重大な犯罪を取扱う場合、或いは他に全く手段がない場合の外、他人の身体に危害を與えてはならないと定めておるのであります。以上はこの法律案の趣旨内容の概略でございます。  衆議院は七日二日、この政府提出の法案をば修正可決して、参議院に回付して参りました。衆議院修正の内容をここに御紹介申上げますと、衆議院の修正は、この法律が誤解されたり、或いは誤まつて運用されることを、なるべく少くしようというところの見解からなされたものでありまして、その修正の第一点は、第二條第二項に、本人に不利であつたり、交通妨害となつたり、又は公序良俗を乱す虞れがあるときは、近くの派出所、駐在所等に同行を求められることとなつておるが、善良の風俗の破壞や、公の秩序を乱すといつても曖昧であり、これを濫用される虞れがあるので、これを除いたものであります。第三條第一項の修正も、ほぼ同様の趣旨の修正でございます。第二点は、第二條第三項中に第三條を援用しておりますが、これは保護の規定であるから、質問を規定するこの條文に援用することは、ふさわしくないというので、これを除いておるのであります。衆議院修正の第三点は、第三條第四項の末尾に、この規定による許可状が濫用されないようにとの趣旨から、ここに追加いたしまして、この許可状に明記すべき條件を規定いたしたのであります。衆議院修正案の第四点といたしましては、本法案第七條の武器の使用につきましては、第一号の禁錮にあたる罪とありましたのを、禁錮にあたる兇惡な罪と改めまして、特に武器の使用が止むを得ないと認められるところの、兇惡な罪を犯した場合に限ることとしたのでございます。本委員会におきましては、本案の重要性に鑑みまして、先に申述べましたごとく、司法委員会の諸氏と愼重なる審議を続けて参りましたが、その詳細な事項は時間の都合上速記録に譲ることをお許し願いたいと思います。併しその質疑の全体を通じまして強調されました点は、本法によつて人権を蹂躙し、(「そうだ」と呼ぶ者あり)或いは職権を濫用されるところの虞れはないか。(「人権は蹂躙せられる、その通り」と呼ぶ者あり)又本法の内容が、憲法の規定するところの基本的人権を尊重する精神に違反しないかどうか(「そうだ」、「その通り」と呼ぶ者あり)というのでございます。それに対して(「憲法違反の法案だぞ」と呼ぶ者あり)政府委員からは憲法の規定するところは刑事訴訟法上の問題であつて行政上の必要に基くところの場合は、法律で規定することができると解釈する。併しこれがため警察官の職権を濫用し、必要の限度を超えて行動すべきでないことは、もとより言うを俟たないところであつて(「そういうことがある」と呼ぶ者あり)この点については嚴重に本法の規定するところに從い、苛くも誤りのないよう指導する方針であるとの御答弁があつたのであります。(「指導しようがないです。」と呼ぶ者あり)最も問題となりましたのは、警察官の武器の(「分つたよ」と呼ぶ者あり)使用のことでありまして、そのような警察官の武器使用について、外國の立法例があるかとの質問に対しましては(「ない」と呼ぶ者あり)政府委員からは、米國の統一逮捕法を引用いたしまして、犯人の逃亡を防ぎ、又は抵抗を制圧するためには、必要な武力行使がアメリカにおいては認められておるというところの答弁がございました。(「それは刑法にちやんとある」と呼ぶ者あり)又司法委員の数名の方から、本法案の各條に亘つて原案の不備を指摘せられ、又御意見の御開陳いろいろございましたが、時間の都合上、その内容につきましては、これを速記録に讓らざるを得ないことの御承知を得たいと思います。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)  かくして質疑を打切りまして、討論に入りましたところ、社会党所属羽生三七委員より原案反対意見の開陳がありました。(「その通り」「うまいぞ」と呼ぶ者あり)採決をいたしましたところ、多数を以て、衆議院の修正を併せて、原案の通り可決いたすことと決定いたしたのであります。(「それは困る」と呼ぶ者あり)以上御報告申上げる次第であります(「反対」と呼ぶ者あり、拍手)
  148. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 本案に対し討論の通告がございます。中村正雄君。    〔中村正雄君登壇、拍手〕    〔「堂々とやれ」「頼むぞ」「銃殺犯罪だよ」と呼ぶ者あり〕
  149. 中村正雄

    ○中村正雄君 私は、只今上程されております警察官等職務執行法案につきまして反対の見解を有する者であります。以下簡單に反対の理由を申述べまして、諸君の御賛成を得たいと思います。(「堂々とやれ、堂々と」と呼ぶ者あり)  本法案に対しまする第一の反対の理由といたしましては、これは條文にはつきりと謳つております。即ち第一條第二項に、「この法律に規定する手段は、前項の目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであつて、いやともその濫用にわたるようなことがあつてはならない。」、こう政府自体が濫用の虞れがあるということを認めて出しておる法案であります。(「そうだ、そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)即ちその法案の初めから、濫用に亘る虞れのある法律を出しておるという点は、政府自体がこの法律の不備欠陷を認めておる点であります。(「自信がないのだ、法律に」と呼ぶ者あり)  第二といたしましては、第二條から第七條に至る各條文によりまして、すべての強制力その他を用うる場合の認定を、合理的判断或いは周囲の事情からと、いろいろの條件を附けておりまするが、これらの條件を附けて、すべて当該警察官の判定に任しておる点であります。(「その点が一番大事だ」「そつちに任して置け」と呼ぶ者あり」)この点につきまして、治安委員会におきまして、私達司法委員が連合委員会において質問いたしましたところ、政府の答弁は、その警察官の判断が間違つておるかどうかということは、後日裁判所において判断すべきものであつて、その場合それが間違つておるならば、(「ようし」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)その警察官の職務の執行についての責任を取り得る、かように述べております。私はこの説明自体からいたしまして、私達の考えるのは、こういう濫用される人権を侵害されること自体を防ぐということが我々の務めである。いわゆる濫用されて後にそれを救済しようといたしましても、人権が一度侵害されました場合、これを救済する法というものは絶対にないわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)損害賠償とか、その他の方法はありましても、これは金銭賠償です。一旦殺された人は如何なる金銭を以て賠償しましようとも、生き返るということは絶対にありません。(「そうだよ」と呼ぶ者あり、拍手)こういう関係から、いわゆる警察官にすべての強制権の認定権を與えること自体に、絶対に賛成できない点があるわけであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)  第三の点は、今司法委員会にかかつておりまする刑事訴訟法の改正でありますが、この改正案を見て見ますと、すべて強制力を用うる場合は、令状によるということをはつきりと謳つております。いわゆる令状主義を採用いたしております。(「その通り」と呼ぶ者あり)犯罪の嫌疑ありとし、又は犯罪ありとした者に対しまして、強調力を用ゆる場合においてさえも、裁判所の令状がなければできない。然るにこの法案によりますと、犯罪を予防し、いわゆる犯罪が犯されない前、犯罪を予防するために、令状によらずして、この強制力を用うるということは、この憲法の精神である人権の尊重という点を、非常に侵害しておる法案だと考える次第であります。(拍手「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)ただ憲法の解釈によりますれば、先程委員長報告にありましたように、令状によるということは、これは刑事手続である。その他の者については法律を以て認めたら何ら憲法違反でないと、こういう政府の御答弁がありました。憲法の解釈といたしましては、その通りかも知れません。併し私達の考えるのは、この憲法の解釈は形式的な解釈でありまして、いわゆる令状によらなくてはいけないということは、この刑事手続の定めでおりますこの趣旨というものは、人権を尊重するという趣旨から出発しておるわけでありまして、形式的に法律であるならば、如何なる権利を侵害することを決めてもいいということを認めておる憲法の趣旨では断じてないと私は考えるものであります。(拍手)  第四の点は、本條第七條であります。私はこの條文を初めて配付されましたときに、第七條を見て、実は唖然たらざるを得なかつたわけであります。第七條の本文には、武器の使用ということを認めておりますが、これは警察官が職務上、或いは武器を使用する場合ありということは、これは誰と雖も反対はいたしますまい。併し但書の場合におきまして、一定の場合において、殺してもいいという権利を認めておるわけであります。即ち第七條の但書におきまして、刑法における三十六條、これは正当防衞です。三十七條、これは緊急避難です。こういう場合は勿論でありますが、これ以外の場合でも、第七條の第二号に規定する場合は、人を殺してもいいと、極端に申せば、こういう権限を警察官に與えておるわけであります。これはちよつと專門的になりますが、刑法におきまする緊急避難、いわゆる人の生命その他を助けるために、他人の権利を侵害した場合も、法益均衡の原則に反しない限りにおいては、これは罪にならない。これは緊急避難に規定しておりますが、これはいわゆるその緊急避難によつて、他人の権利を侵犯するという権利を認めるわけではなくして、これは止むを得ないものとして放任されておるわけであります。ところがこの七條においては、警察官は人を殺してもいいのだという権利を認めておる。こういう危いことを、現在の民主主義下の法律において規定するということは、どうしても納得できないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点につきまして政府当局に質問いたしましたところ、この但書があることによつて、第七條の武器の使用を制限しておるのだと、こういうふうな御説明がありましたが、併し仔細に七條を檢討いたしますならば、本條文におきましては、單に武器使用ということを認めておるわけでありまして、この警察官が人を殺してもいいということは、運用によつて、第七條の武器の使用の権限を非常に拡張しておるのだと解釈せざるを得ないのであります。その点につきましても種々ありますが、併し警察官が職務を執行するにつきまして、一定の基準を要するということは、何人と雖も否み難い事実であります関係上、この法案につきまして我我が不備と思われる点、或いは又人権の尊重に欠けると思う点につきまして、司法委員会におきましても、鬼丸委員或いは小野委員、星野委員、松村委員その他の委員から修正案を提出した次第でありますが、遺憾ながら司法及び治安委員会においては全部否決されております。私は参議院の皆さん方に特にお願いしたいのは、これは我々は社会党であるから、或いはその他の政党であるからという意味で、これに反対するものではありません。少くとも憲法の基本的精神であるところの基本的人権の尊重という点におきまして、缺くる点があるということにつきまして、本法案に反対するものであります。衆議院におきましても種々の論議はあつたと思いますが、衆議院は恐らく参議院ほど、愼重にこれを審議していないと思います。我々司法委員会におきましても、治安委員会におきましても相当愼重審議いたしました結果におきまして、やはりこの法案が通過するということは、憲法の精神である基本的人権の尊重に欠くるという点がある関係から、皆さん方に特に本法案を否決して頂きたいということをお願いする次第であります。(拍手)
  150. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 松村眞一郎君。    〔松村眞一郎君登壇、拍手〕
  151. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私はこの法案に反対する者であります。(拍手)この法案提出の理由に、こういうことを書いておるのであります。警察官に職務の執行を忠実に遂行せしむるということが書いてあります。この法律を忠実に遂行せしむるというようなことを要点に置いていること、それ自身、これは時代遅れであると考えております。その意味は、従來日本の警察官は職務を最も忠実に励行して来たのであります。併しながらそれは惡法を忠実に励行したのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)その惡法、善法であるということの批判をいたさなくして、忠実に実行するが故に、人権蹂躙が起つたということは明瞭なる事実であります。それ故に警察官に対しましては、正しき法律を與えなければなりません。(「その通り」と呼ぶ者あり 曲つたる定規を與えて正しい線を引けということは無理なことは明瞭であります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)この法案は極めて歪曲したる、極めて間違つたる規定を沢山包藏しておる法律であります。それを一々説明いたしますのは多岐に亘りますけれども、申しましよう。私はむしろ忠実に執行するというような考え方よりも、懇切に執行するというふうに書き改めた方が、むしろ適切であると思います。警察官は我々の日常接觸するところの公務員である。その態度が忠実嚴格にやるが故に、我々非常に脅威を感ずるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しながら懇切丁寧であつたならば、警察官は我々国民全体に非常に親しまれ、非常に愛されると思いますが、今日までの警察官はそうでないのであります。何故かというと、忠実過ぎるからである。こういうふうな要点があります。それでこの法律の第一の欠点とするところは、主観的の考えと客観的の考えとを混同して法律ができているのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)それは送案を御覧願いますというと明瞭に分ります。第一(「徹底的にやれ」と呼ぶ者あり 徹底的にやらなければいけません、こういう問題は‥‥。第二條を見ましても、交通の妨害となると認められる場合と書いてあります。認められる場合、これは警察官が認める場合でありません。それから第三條を見ましても、救護を要すると認められる者と書いてあります。これは警察官が認めるものではありません。客観的に認められる、こういうことであります。ところが第七條に至つて、武器を使用することを認める條文に至つては、突如として警察官は必要ありと認める場合においては武器を使用することができるということを書いてあるが、これは危険であるということを申すのであります。警察官自身の主観的な判断によつて、個々の警察官が、自己が認めて必要であるということの理由を以て、武器を使用するということは非常に危険であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)一般に認められる場合において武器を使用するならば、それはよろしい。すべて客観的にこういう事情がある場合に行動すべきであるに拘わらず、第七條の武器の使用は、すベてそういうような規定になつておるのであります。そういうような非常に客観的な標準と、主観的標準との混同の前提から出発しておる法案であります故に、何ら徹底してない。どういう考えを以て法律を認めておるかちつとも分らないそこで警察官に対しまして、警察官の主観的の判断で人権を擁護することは我々は要求いたしておりません。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)國民全体が認め正しいと思うところに、警察官の発動を我々は要望しておるのであります。政府委員にその点を質問いたした場合に、政府委員はこういう答弁をいたすのであります。警察官の判断は、一般國民の判断よりももう少し鄭重なものである、もう少し專門的なものであるという答弁をいたしております。私はそういうことは要望いたしません。そういうような解釈ができるものとするならば、警察官独自の解釈も亦よろしいという解釈が許されるのであります。我々の要望するところは、警察官は国民全体を同じ判断を以て人権を擁護して貰いたいということを要望いたすのでありますから、警察官各自の主観的に任すべき法文をここに認めるわけに参らないと考えるのであります。それのみならず、第七條におきましては、緊急避難と正当防衞の外に、左の二つの場合においては、人に危害を與えてよろしいということを規定しておるのであります。(「そんなべら棒なことはない」と呼ぶ者あり)ないといつても、よく法文を読まないで、そういう議論をするのはよくない。恐らくかくのごとき重大なる法案について、各自が法案を持つて臨むというぐらいの熱心さがなければいけないと思います。(拍手)、(「その通り」「分つた分つた」と呼ぶ者あり)それには正当防衞と緊急避難の外に、尚二つの場合を認めます。人に危害を加えてもよろしいということを認めておる、それに対しまして衆議院の修正は、三年以上の懲役若しくは禁錮に当る罪を現に犯した場合に、警察官がそれに対して職務執行する際に、抵抗いたした場合には、武器を用いてよろしいということを書いております。そうして危害を加えてもよろしいということを書いております。それ故に衆議院は、これに対しまして禁錮というところに、「兇惡なる」という文字を加えて、漸くこれで氣休めいたしておるのでありますけれども、極めて漠然としております。「兇惡なる」ということは漠然としております。それのみならず、第二号というものを閑却いたしております。第二号は、(「賛成しろ」と呼ぶ者あり)逮捕状によつて逮捕する際に、本人が職務の執行に抵抗した、或いは逃亡しようとする際に警察官に抵抗した場合には、危害を加えてよろしいということが、これが非常に危險であります。單に逮捕状の執行の際に抵抗したることが危険であるという場合に、危害を加えてもよろしいというがごとき法文を残して置くということは、非常に私は粗漏であると考えます。それのみならず、いろいろの場合において非常な不備がある。小さい問題になりますけれども、或いは興行場であるとか、旅館であるとか、そういつた場所に、警察官は公開の時間の中であるならば、何時でもそこに立入ることの要求ができることが書いてあります。併しながら興行場と雖も、旅館と雖も、公開したる場所と、公開せざる場所がある。その区別がない旅館であるならば、どこに入つてもいいというような法文をここに示しておる、そういうわけでありますから、かくのごとき不備な法律を與えて、警察官に職務の忠実なる執行を命じたならば、如何にこれを忠実に励行するかということは、先程申上げた通りのことで十分御了解であると思います。そういうわけでありますから、もう少しこの法案は十分に檢討する必要があるということを私は申すのであります。会期切迫の場合に、人を殺してもよろしいというがごとき法律を、ただ率直に漫然として通過せしめるということは、私は議員として自己の良心に反する故に、この法案に賛成することができないのであります。(拍手)
  152. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の採決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、本案に反対の諸君は青票を、御登壇の上で御投票願います。これより氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事が氏名を点呼する〕    〔投票執行〕
  153. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 投票漏れはありませんか‥‥投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事が投票を計算する〕
  154. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 投票の結果を御報告いたします。投票総数百七十七票、白色票、即ち本案に賛成のもの百票、青色票、即ち本案に反対のもの七十七票(拍手)よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――    〔参照〕   賛成者(白色票)氏名   百名    竹下 豐次君   赤木 正雄君    木下 辰雄君   堀越 儀郎君    高瀬荘太郎君   宿谷 榮一君    石川 準吉君   高田  寛君    久松 定武君   島津 忠彦君    中川 以良君   小野  哲君    新谷寅三郎君   伊達源一郎君    伊藤 保平君   小宮山常吉君    町村 敬貴君   飯田精太郎君    結城 安次君   小杉 イ子君    梅原 眞隆君   田村 文吉君    小林米三郎君   野田 俊作君    徳川 宗敬君   鎌田 逸郎君    田中耕太郎君   鈴木 直人君    岡本 愛祐君   玉置吉之丞君    高橋龍太郎君   佐藤 尚武君    村上 義一君   楠見 義男君    井上なつゑ君   岩本 月洲君    岡元 義人君   植竹 春彦君    岡田喜久治君   鈴木 順一君    平野善治郎君   入交 太藏君    小杉 繁安君   高橋  啓君    田口政五郎君   田方  進君    紅露 みつ君   深川タマヱ君    木内キヤウ君   門屋 盛一君    竹中 七郎君   藤森 眞治君    星   一君   大島 定吉君    岩木 哲夫君   佐々木鹿藏君    稻垣平太郎君   林屋亀次郎君    中井 光次君   木内 四郎君    櫻内 辰郎君   北村 一男君    加藤常太郎君   西川 昌夫君    川村 松助君   淺岡 信夫君   池田宇右衞門君   堀  末治君    西川甚五郎君   奥 主一郎君    大屋 晋三君   山田 佐一君    中山 壽彦君   寺尾  豊君    草葉 隆圓君   石坂 豊一君    柴田 政次君   小林 英三君    板谷 順助君   今泉 政喜君    松野 喜内君   黒川 武雄君    玉屋 喜章君   松嶋 喜作君    徳川 頼貞君   一松 政二君    大隅 憲二君   深水 六郎君    平岡 市三君  尾形六郎兵衞君    小野 光洋君   團  伊能君    中川 幸平君   重宗 雄三君    西山 龜七君   大隈 信幸君    城  義臣君   左藤 義詮君    小串 清一君   平沼彌太郎君   反対者(青色票)氏名  七十七名    中西  功君   板野 勝次君    細川 嘉六君   小川 友三君    廣瀬與兵衞君   國井 淳一君    藤田 芳雄君   兼岩 傳一君    千田  正君   栗山 良夫君    羽仁 五郎君   岩間 正男君    星野 芳樹君   池田 恒雄君    佐々木良作君   宮城タマヨ君    江熊 哲翁君   河野 正夫君    松井 道夫君   來馬 琢道君    松村眞一郎君   姫井 伊介君    米倉 龍也君   同部  常君    岩男 仁藏君   奥 むめお君    青山 正一君   北條 秀一君    矢野 酉雄君   中村 正雄君    カニエ邦彦君   千葉  信君    大野 幸一君   内村 清次君    中平常太郎君   木村禧八郎君    下條 恭兵君   山田 節男君    梅津 錦一君   松下松治郎君    丹羽 五郎君   赤松 常子君    河崎 ナツ君   藤井 新一君    三木 治朗君   大畠農夫雄君    田中 利勝君   木下 源吾君    門田 定藏君   原口忠次郎君    波多野 鼎君   原  虎一君    羽生 三七君   島   清君    島田 千壽君   若木 勝藏君    太田 敏兄君   三好  始君    伊藤  修君   吉川末次郎君    天田 勝正君   田中 信儀君    谷口弥三郎君   油井賢太郎君    高良 とみ君  前之園喜一郎君    水橋 藤作君   淺井 一郎君    村尾 重雄君   鈴木 清一君    岩崎正三郎君   鬼丸 義齊君    岡田 宗司君   森下 政一君    小泉 秀吉君   塚本 重藏君   橋本萬右衞門君      ―――――・―――――
  155. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、刑事訴訟法を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。司法委員長伊藤修君。    〔伊藤修君登壇、拍手〕
  157. 伊藤修

    ○伊藤修君 只今議題となりました刑事訴訟法を改正する法律案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  御承知の通り新憲法が施行されましてから、この法規が成立することは必須の事情に置かれておるのであります。委員会におきましては、本法案に対しまして、本委員会を十二回、小委員会を六回、公聴会を一回、正に愼重審議をいたした次第であります。この法律案に対するところの詳細な御説明を申上げておりますと、この会期切迫した時間におきましては、到底盡し得ないのでありますから、極く簡單にすべて速記録に、これを譲ることをお許しを願いたいと思うのであります。  提案の理由並びに質疑の順序、内容法案の内容等につきましては、すべてこれを速記録に譲ることをお許し願いたいと存じます。ただこの法案の主要なるところは、從來の起訴の手続が、檢察廳において取調べて、そうしてあらゆる証拠資料を揃えて公判に廻し、これを基礎にいたしまして裁判をいたしたという、従来の取扱い方法が全然変更になりまして、今後は起訴状一本を裁判所に提出いたしまして、裁判所はその起訴状一本によつて裁判をする、こういう点に大きな変革を見たのであります。而して從來は一審及び二審と事実審を繰返して、個人の権利の保護の完全を図つて参つたのでありますが、この度はこれを一審主義に改めて、事実審は一審を以てすべて終るということになつておるのであります。故に控訴審におきましては、從來の覆審、繰返して審理するということでなくして、続審となりまして、ただ法律上の誤りとか、事実の認定の重大な錯誤とか、そういうような法律に明らかにされた個所についてのみ、控訴審がこれを審理判決するということになつたのであります。いわゆる続審ということになつたのであります。この度の改正によりますれば、從來大審院即ち最高裁判所が扱つておつたことを、高等裁判所において扱い、從來高等裁判所において覆審しておつたことを一審に止める、かような大きな変革を見たのであります。  又公判の場合におきましては、從來のごとく公判廷において被告人の尋問から始めて証拠調べをするという、こういう手続を全部変更いたしまして、被告人は黙秘しておればよろしいのでありまして、被告人を尋問するということはできなくなつたのであります。被告人に対する公訴事実の陳述は檢事から始まり、そうして弁護士がこれに対して應対して審理を進める、かような順序になりまして、裁判所は先ず大体においてそれを聽いて、そうして判決する。かような欧米の主義を採用するに至つたのであります。かように本案は從來の親しまれたところの刑事訴訟法の根本が変りまして、從つて法律の内容は七編五百六條という大部のものでありますが、それを全体を通じましていずれも変更されておる次第であります。  かような次第でありますから、我々といたしましても、十分この法律に対して愼重審議の結果、小委員会におきまして、先ず第三十條、三十四條、三十八條、四十條、四十八條、五十條、五十三條、六十條、七十三條、二百一條、八十九條、百五條、百四十九條、百五十五條、百八十三條、二百十二條、二百三十七條、三百四條、三百十三條、三百三十八條、三百四十三條、三百四十四條、三百七十六條、三百七十七條、三百八十六條、三百九十三條、かような点に対して、小委員会において修正点を決定いたした次第であります。  その中へ本委員会におきましては、三十條、三十四條、四十條、四十八條、五十三條、六十條、八十九條、百五條、百四十九峰、百八十三條、二百三十七條、三百四條、三百三十八條、三百四十四條、三百九十三條、かような点を、本委員会におきまして修正可決した次第であります。  この修正点につきまして、全部の説明を申上げることは、これを省略させて頂きまして、ただ一二点を御説明申上げておきたいと思うのです。  先ず百五條でありますが、百五條の変更は、弁護士とか医師とか産婆とか、そういうものが証言拒否権を持つておるのであります。現行の刑事訴訟法の上におきましては、それと並びまして、藥剤師も証言拒否権を持つておる次第であります。然るに原案におきましては、藥剤師を除いておつたのです。故にこれを修正いたしまして、藥剤師をも、從來の法規の通り、証言拒否権を認めることにいたした次第であります。この点に対しまして、御承知の通りアメリカにおきましては、かような職業種類のものは、すべて証言拒否ができないことになつておる。然るに現行刑事訴訟法の上におきましては、これらに対しまして、從來より証言拒否を認めておる次第であります。從つてこの從來の思想をここに原案に盛り込む上におきまして、多少憲法上におけるところの疑義があつた次第でありますが、各学者やすべての審議の場合におきまして、憲法違反とはならない、むしろこの証言拒否者に拒否権を認めることによつて、公共の福祉をここに全うし得るのではないかと、かような見地からいたしまして、これらの種類の業種に対しましては、証言拒否権を認めた次第であります。  又三百四條でありますが、これは重要な点でありまして、即ち從来の日本の裁判制度の上におきまして、又現行法の上におきましても、先ず裁判長が第一に質問の発言をすることになるのであります。いわゆる取調べを開始することになるのです。併し原案によりますれば、裁判所は事件を受理したときには、起訴状一本しか持つていない。その余の証拠は裁判所は見ることができないのです。起訴状一本を以て如何に裁判の運行をすることができるか、この点にわれわれは非常に憂慮いたしまして、この改正案の草案となりましたところの、先に決定せられておるところの昨年の十月ですか、その草案に基くところの、即ち欧米大陸法系でなく、英米法系において採用しておるところの交互尋問主義、即ち檢事が尋問し、これに対して弁護士が反対尋問して行く。御承知の通り東京裁判において行われておるあの訴訟形態を採用することが、この原案の一貫したるところの思想を貫くことではないか、そう行くことがむしろ今後の裁判の民主主義化ということにおいても、大きな結果を得らるると考えまして、この重要なる点の変更をいたした次第であります。  尚この修正案の外に、星野委員より、七十三條及び二百一條の、令状を持たずして逮捕し得るということは誠に不都合である。少くとも令状主義を採用しておる、この一貫したる原則を貫くならば、令状を持たずして逮捕を許すことは罷りならん。かように強い御主張であつたのであります。併しながら原案によりますれば、逮捕状或いは勾引状というものは先に発付されておりまして、それがたまたまその指名手配されておるところの本人を逮捕する場合において、その逮捕する人の手許になかつた場合におけるところのこの実情を察しまして、この場合は逮捕状なくとも許すと、こうなつております。併しながらその事案はすでに逮捕状が発付せられておつて、その警察官なり或いは逮捕し得る権限ある者がたまたま持つていなかつたという実情であるのであります。さような場合は、速かに逮捕後において本人に対して逮捕状の令状を示すと、こういうことが法律に定められておるのでありまするから、星野議員が申されますがごとき、大きな弊害は伴わないと存じまするが、併しながらこれは星野議員といたしましては、從來のこれらの法規を惡用されまして、基本人権が多く侵害せられておる、他日これに対しましては修正することの意見を留保いたしまとて、この修正案に賛成すると、かような強い主張があつた次第であります。  尚三百十三條に対しまして星野委員より、いわゆる裁判を併合審理、分離審理することを自由に裁判所に任せた法規に対しましても、曾ての思想事件に対するところの裁判の取扱に対して、この種の取扱は非常に弊害を伴つた現行法において、原案においてこれを少くとも禁止しなくてはならんと、かような強い御主張があつた次第であります。委員会におきましては、先程申上げましたところの條文に対して修正を試みまして、その余の原案に対しましては原案通り賛成し、修正案は全会一致を以て、その余の原案に対しましても全会一致を以て可決した次第であります。以上簡單ながら御報告申上げます。(拍手)
  158. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。本案は委員長報告通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  159. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て修正議決せられました。      ―――――・―――――
  160. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、経済査察廳法案議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。決算委員会理事太田敏兄君。    〔太田敏兄君登壇、拍手〕
  162. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今議題になりました経済査察廳法案について、決算委員会の審議の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。  本法案は、物資の生産配給及び消費並びに物價に関する経済統制の励行を確保するため必要とする諸般の事務、即ち経済統制の励行を確保するための計画の立案、経済法令に関する違反行爲の調査、経済行政監察、隠退臓物資の調査及び供出の促進等の事務を総括的に担当し、中央経済査察廳全國八管区に設置する管区経済査察廳、都道府縣に設ける地方経済査察廳との緊密なる連絡により所期の目的を達せんとするものであります。これは我が國の経済状態が漸次常態に復するまでの暫定的行政措置でありまして、從來経済統制励行のためには、いわゆる経済警察の活動による檢挙取締等の面に重きを置き、主として警察官憲にその任務の遂行を任せておつたかの感があつたのでありますが、複雑なる経済現象の主に発生する違反行爲等に対しては、單に犯罪檢挙の建前に囚われず、一般國民に対して、啓発、宣傳、指導等を徹底させて、犯罪の予防措置を講ずる必要があるというのであります。  尚我が國警察行政は、組織改編後、都道府縣の國家警察と、各市又は町の自治体警察に分れ、それぞれ個別的に運営されることになつた結果、全國的経済統制の励行を図ることが極めて困難になつたという著しい事情の変化もあり、本法案による新規機構の設置を必要とするに至つたものであります。本委員会におきましては、先きに治安及び地方制度委員会との連合委員会を開き、更に本委員会において十分審議を盡した結果、衆議院における修正の上に、更に第三十七條中「昭和二十三年七月一日」を「公布の日」に修正の上、異議なくこれを可決すべきものと決定したのであります。詳細は速記録に譲ることをお許し願いたいのであります。(拍手)
  163. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。本案は委員長報告の通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕    〔「反対」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  164. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。    〔「異議あり」「進行々々」「簡單にやれ」「大反対だ」「起つて見れば分る」「多数決と認めて下さい」と呼び、その他発言する者多く議場騒然〕
  165. 小林英三

    ○小林英三君 本案の投票は記名投票によつて決せられんことの動議を提出いたします。
  166. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 記名投票によつて採決することに賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者……〕    〔「駄目々々」「決つた決まつた」、「否決だ否決だ」、「異議あり」、「少数否決」、「少数々々」と呼ぶ者あり〕
  167. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 五分の一以上を認めます。よつて記名投票になります。(拍手)    〔「議長公平」、「議事法に異議あり」その他発言者多く議場騒然〕
  168. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 暫時休憩いたします。(拍手)    午後九時三十二分休憩      ―――――・―――――    午後九時四十四分開議
  169. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) これより休憩前に引続き会議を開きます。経済査察廳案の採決をいたします。(「冷静にやれよ」と呼ぶ者あり)本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  170. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は委員長報告通り修正議決せられました。(「名議長」と呼ぶ者あり)      ―――――・―――――
  171. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、國会法の一部を改正する法律案、國会職員法の一部を改正する法律案議院事務局法の一部を改正する法律案議院法制局法案裁判官彈劾法の一部を改正する法律案、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、國会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律案、以上七案を一括して議題に供することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。まず委員長報告を求めます。議院運営委員長木内四郎君。    〔木内四郎君登壇〕「簡単にやれ」、    〔「簡単にやれ」、「講釈は要らん」と呼ぶ者あり、拍手〕
  173. 木内四郎

    ○木内四郎君 只今議題となりました國会法の一部を改正する法律案外六法律案に対する議院運営委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  先ず國会法の一部を改正する法律案について申上げます。この法律に盛られました主なる改正点は次の数点であります。第一は、常任委員会設置の基準を、事項別の現在の制度から各省別に変えようとするのであります。第二は、議案の審議を常任委員会のみに集中せず、本会議におきましても、議決前に必要な限度においてこれを取上げるようにしておることであります。更に第三は、各派交渉会に代えるに議院運営委員会が選任する小委員制度を設けようとすることであります。第四は、議員の議案審議を補助する機関、即ち法制部の機構と專門調査員制度の拡充を図つて法制局を設け、專門調査員制度の拡充を図ろうとしておることであります。その他後会不継続の原則に対する例外を明らかに規定し、会期中における議員の逮捕に関する手続を明確にし、両院法規委員会の委員長を両院交替制とし、又議員の兼職を許すものとして、官房長官及び次官を明記する等数点に及んでおるのであります。  本法案につきましては、参議院におきましても衆議院と並行いたしまして、三月以來檢討を加え、且つ立案過程におきまして、本院の意向を逐次中入れて参つたのであります。議院運営委員会は、会議を開くこと十四回に及びまして、十分に審議を盡しました末、本日討論、採決をいたしたのであります。討論に当りまして、天田委員より、常任委員会は現行の通りとし又委員の兼任を認めるところの委員会を限定しないという修正案を出されましたが、これは採決の結果否決せられました。又佐々木委員より、衆議院の常任委員会は衆議院提出の案によるけれども、参議院の常任委員会は現行通りとし、委員の兼任数についても現行通りとする。こういう修正案が提出されたのでありますけれども、これ亦否決せられました。即ち委員会におきましては常任委員会の設置基準に関する衆議院提出の改正案に対し、強硬な反対論があつたのでありますけれども、採決の結果、只今申上げましたように、修正案は否決されまして多数を以て衆議院提出の原案通り可決いたしたのであります。  次に、議院事務局法案議院法制局法案及び國会職員法の一部を改正する法律案は、いずれも國会法の一部改正と、先に公布されました國立國会図書館法の制定に附随する所要の改正を行うものでありまして、議院運営委員会におきましては、國会法改正案と同様、衆議院提出の原案通り、多数を以て可決することに決したのであります。  次に、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改定する法律案は、議長、副議長、議員の歳費及び通信費、祕書の給料等について、現下の経済事情に即應するよう必要な増額を行わんとするものであります。國会閉会中委員会が審査を行う場合の委員の手当に関する法律案は、閉会審査を継続する委員会に出席した委員に、その出席日数に應じて手当支給の途を開いたものであります。  次に、裁判官弾劾法の一部を改正する法律案は、訴追委員会と彈劾裁判所の活動の適正を図ることと、事務局機構の拡充を図ることとを目的として必要な改正を行わんとするものであります。  議院運営委員会におきましては、愼重審議の上、いずれも適切なものであると認めまして、衆議院の原案通り、多数を以て可決いたしました。以上を以て、各法案に関する報告を終ります。(拍手)
  174. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。七案全部を問題に供します。七案に賛成の諸君の起立を請います。(「議長異議あり」と呼ぶ者あり)    〔起立者多数〕
  175. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて七案は可決せられました。    〔「上出來」、「その調子」と呼ぶ者あり〕      ―――――・―――――
  176. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、参議院事務局職員の定員に関する件及び参議院法制局職員の定員に関する件を議題に供したいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。議長は、参議院事務局職員定員規程改正案及び参議院法制局職員定員規程案を起草いたしまして、予め議院運営委員会に付議しましたところ、異議がない旨の決定がございました。これより改正案及び規程案を参事をして朗読いたさせます。    〔青木参事朗読〕   参議院事務局職員定員規程改正案  第一條 参議院事務局職員の定員は、事務総長を除いては左の通りとする。   一 参事  專任   六十三人   二 主事  專任 三百五十一人   三 常任委員会專門員  專任    四十人   四 常任委員会調査員  專任   三十六人   五 常任委員会調査主事  專任   三十六人  第二條 前條の職員の外、臨時営繕に関する事務に從事させるため参事專任三人及び主事專任八人を置く。     附則   この規程は、昭和二十三年  月議院事務局法の一部を改正する法律施行の日から、これを施行する。   参議院法制局職員定員規程案   参議院法制局職員の定員は、法制局長を除いては左の通とする。   一 参事   專任  一五名   二 主事   專任  一〇名     附則   この規程は、議院法制局法施行の日から、これを施行する。
  178. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 只今朗読いたしました参議院事務局職員定員規程改正案及び参議院法制局職員定員規程案の両案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  179. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  180. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、昭和二十一年度第一予備金支出総計算書、昭和二十一年度特別会計第一予備金支出総計算書、昭和二十一年度特別会計予備費支出総計算書、昭和二十一年度経済安定費支出総調書、承諾を求める件(内閣提出衆議院送付) これら四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。決算議員会理事太田敏兄君。    〔太田敏兄君登壇、拍手〕
  182. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今議題となりました四件、即ち昭和二十一年度一般会計の予備金支出、同年度の特別会計第一予備金の支出、同年度の特別会計予備費の支出並びに同年度の経済安定費の支出に関して事後承諾を求める件につきまして、決算委員会の審議の経過及び結果を御報告申上げます。  昭和二十一年度一般会計の改定予算における第一予備金の予算額は二億円でありますが、昭和二十一年勅令第四百四十号第一條の規定によりまして、これを以て補充した金額は合計一億七千八百余万円であります。次に同年度の特別会計の改定予算における第一予備金を見ますと、十七の特別会計を綜合いたしまして、その予算総額一億五千六百余万円、その中から、昭和二十一年勅令第四百四十号第一條の規定によりまして、これを以て補充した金額、合計五千八百余万円であります。尚、同年度の特別会計の改定予算における予備費の予算額は合計二億九千四百余万円でありまするが、その中から、これを以て補充した金額は帝國鉄道特別会計の七千九百余万円だけであります。最後に、同年度の改定予算における経済安定費の予算額は六十五億四千万円でありますが、昭和二十一年勅令第四百四十号第二條によりまして、これを以て補充しましたのは、経済安定に関する予算の不足を補つたものが五十八億九千九百余万円、予算外に生じた経済安定に関する費用に充てたものが六億二千余万円で、総計六十五億一千九百余万円であります。決算委員会におきましては、右四件を通じまして、愼重審議の結果、別段の異議もなく、承諾を與うべきものと決議いたしました。  序でに申添えますが、同年度一般会計及び特別会計における第二予備金、即ち予算外に生じた費用の支出に関しましては、昨年三月、即ち貴族院の最後の会期におきまして、すでに事後承諾が與えられておるのであります。右御報告を申上げます。(拍手)
  183. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言がなければ、これより採決をいたします。四件を問題に供します。四件に対し承諾を與えることに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  184. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。      ―――――・―――――
  185. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、教育委員会浩案(内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文教委員長田中耕太郎君。    〔田中耕太郎君登壇、拍手〕    〔「簡單々々」と呼ぶ者あり〕
  187. 田中耕太郎

    田中耕太郎君 本法案の精神を簡單に要約いたしますと、一般地方行政から或る程度独立した民衆の手による地方教育行政の運用ということに帰着いたすのでございます。  本法案の重要な諸点を簡單に申上げますと、教育委員会の設置せられまする区域は、一、都道府縣、二、特別区を含む市及び人口一万以上の町村並びに特別教育区でございます。教育委員会は大学及び私立学校を除きまして、從來都道府縣知事又は市町村長の権限に属しておりましたところの教育、学術及び文化に関する事務及び將來それらのものに属します権限を管理執行いたすのでございます。委員の員数は都道府縣の委員会につきましては七人、地方の委員会につきましては五人でございまして、そのうちの一人は当然に当該地方公共團体の議員の中から選ばれたものが当るのでございます。その他は一般の選挙によつて選出せられるのでございます。委員の選挙権、被選挙権は原則として無制限でございますが、政府原案によれば、現職の教員は被選挙権を與えられていないことになつております。その他の内容は省略いたします。  尚本法律案によりますと、特別教育区の設置は、昭和二十五年七月三十一日までに行いまして、人口一万以上の町村及び特別教育区に設置せられまする教育委員会の委員の最初の選挙は、昭和二十五年十月三日となつております。文教委員会並びに治安及び地方制度委員会との連合委員会におきまする質疑がありました主なる点を極く簡單に申上げますと、人口を基礎に委員会の設置区域、委員の定員数を区別した根拠はどうであるか、教育委員会法案と同時に私立学校法案を提出する意図ありや否や、本法案実施について地方財政の裏附けがなされておるかどうか、地方の負担を加重することにならんか、委員公選の場合には民主主義の成熟の程度において適当なる委員が選ばれるかどうか、現職の教員の立候補禁止の理由はどこにあるか、教育に関する権限のみを持ち、財政的権限を持つていない委員会と、財政に関する権限を持ち教育に関する権限を持つていない委員会との関係について、実際上運用について困難を生じはしないかというような、極めて重要な幾多の点につきまして適切なる質疑がなされました。これらに対する政府の答弁は速記録に譲ります。  尚文教委員会はその他の方面から、いろいろな方面から六名の学識経験者を証人として招致いたしまして、実情及び意見を聽取いたしました。衆議院は政府原案に対して重要なる数個の点について修正を加えました。その主なるものを申上げますと、設置の範囲といたしましては、政府原案に上りますれば、本法は都道府縣、五大都市及び市に関しては公布の日から施行することになつておりましたが、衆議院の修正案では市町村の財政の現状に鑑みて、これを都道府縣及び五大都市に止めまして、市につきましては町村と同じく昭和二十五年十一月一日までに施行すればよいことになりました。第二、教育委員会の費用が原案では地方負担になつておりますが、国庫からこれを補助することができるようになりました。第三としては、重要な点は現職教員の立候補の禁止に関する第九條の規定が削除せられました。四、政府原案では委員は無報酬でありまりたが、それに対して報酬を支給しなければならないことになりました。  この修正案を原案といたしまして討論に移りましたところ、民主党の高良委員から、第九條の削除について反対の意見がございました。採決に移りましたところ、多数を以て本案を可決すべきものと決定いたしました。右を以て御報告を終ります。(拍手)
  188. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕    〔「反対多数」「絶対だ」「問題にならん」と呼ぶ者あり〕
  189. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  190. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、競馬法案、馬匹組合の整理案等に関する法律案、國営競馬特別会計法案、(内閣提出衆議院送付)以上三案を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます、先ず委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。    〔楠見義男君登壇、拍手〕
  192. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました競馬法外二件の法律案につきまして、農林委員会における審議の状況を御報告申上げます。先ず競馬法及び國営競馬特別会計法案につきまして御報告申上げます。  現在競馬は日本競馬会の施行にかかるいわゆる公認競馬と、都道府縣馬匹組合又は同連合会の施行にかかる、いわゆる地方競馬との二つがございますが、今回これら競馬の経営主体たる日本競馬会及び馬匹組合、同連合会が私的独占禁止の建前上、速急に解散せざるを得ざる特別の状況になりましたので、急遽本法案を提案せらるるに至つたのであります。即ち從來の公認競馬はこれを國の直営とし、地方競馬は都道府縣の直営といたすことにしておるのでありますが、國営競馬におきましては競馬場の数、その他競馬施行の内容は大体從來の建前を踏襲しておりまして、唯馬券の拂戻金に対する從來の制限を撤廃し、その他罰則の強化を図つております。又從來の日本競馬会の資産及び負債につきましては、これを政府において承継することができることといたしておるのであります。  次に地方競馬につきましても、競馬施行の方法は概ね從來と同様でございますが、特に改変いたしました著しい点は、農林大臣の競馬施行の許可権を廃しました外、馬券税、入場税及び中央馬事会納付金等一切を挙げて都道府縣の收入といたしておるのであります。尚本法の実施に伴いまして、從來の馬匹組合連合会の所有しておりました競馬に必要な資産は都道府縣がこれを承継することができ、又爾余の資産及び負債も一應都道府縣が承継することができることといたしておりますが、この方は他に優先して農業協同組合、同連合会に資産を賣却できることとしておるのであります。最後にこの法案は一應有効期間を一年とし、その間において競馬施行について更に十分の檢討を加え、將來も本案のごとき方法で継続すべきや否やを決定せんとする態度を明らかにいたしております。競馬法案の趣旨及び内容の概略は以上の通りでございますが、衆議院におきましては、地方競馬の経営主体として、原案における都道府縣の外に、著しく災害を受けた市で、内閣総理大臣が指定するものを新たに加えることと、勝馬投票券を競馬場外においても発賣することができる趣旨の二つの修正点を以て関係條文をそれぞれ修正したる上、本院に回付して参つておるのであります。  次に国営競馬特別法案でございますが、これは只今申上げました競馬法の制定に伴いまして競馬に関する歳入歳出のうち勝馬投票券の発賣に関する歳入歳出は、性質上一般会計で経理することは不適当でありますので、今回新たに國営競馬特別会計を設置せんとするものであります。  以上二つの法案に関しましては、競馬それ自体について、例えば畜産振興との関連における問題、経営主体の問題、一般社会公共事業との関係、或いは風教問題との関係等々、幾多の根本的に研究を要する問題が少くないのでございますが、これらの問題は今後更に十分愼重に檢討を重ねることといたし、本案はいずれにいたしましても、既存経営主体が解散せざるを得ない特別の事情に基く臨時應急の措置として承認するの止むなきものと認めまして、委員会におきましては、全会一致を以て衆議院送付の修正案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に馬匹組合の整理等に関する法律案について御報告申上げます。馬匹組合はすでに御承知のように、從來の畜産組合及び同連合会が昭和十八年農業團体法制定の際、馬に関するものとその他のものとに分割せられ、馬に関するものにつきまして、畜産組合法を改正した馬匹組合法を根拠法として、馬事の改良発達を図る目的を以て設立されたものでございますが、新らしい農業協同組合法の制定に伴い、当然解体せらるべき運命にありましたが、今回たまたま競馬制度の改革問題等の関係もあり、この際馬匹組合の円満且つ速かな解体を行い、新たなる農業協同組合の健全なる発達を期するために必要な措置を講ぜんとするもので、本法案はその整理手続規定したものでございます。本法案の趣旨は右の通りでございますので、委員会におきましても一二解散手続上の点について質疑が行われました外は、さして問題もなく、これ又全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第でございます。  以上簡單に御報告申上げます。(拍手)
  193. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  194. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ―――――・―――――
  195. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、税務職員の待遇改善に関する陳情議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。労働委員長原虎一君。    〔原虎一君登壇、拍手〕
  197. 原虎一

    ○原虎一君 只今議題となりました陳情第二百八十号、税務職員の待遇改善に関する件につきまして、労働委員会におきます審議の経過並びに結果について御報告いたしたいと存じます。  本案の願意の大要は御承知の通り、税務職員は租税徴收のため種々危險や困難なる條件の下に執務しておるのでありまするが、一方待遇の劣惡なるために多くの欠員を生じ、労働はますます加重するが、能率は向上しないという実情にありますので、速かに待遇の改善を実情し、徴税能率の強化を図られたいとの要望であります。これに対しまして政府はすでに相当な考慮がなされつつありますが、尚願意の大要は妥当と認めまして、これを内閣に送付すべきものと決定いたした次第でございます。以上本陳情に関する審議の状況を御報告申上げます次第でございます。(拍手)
  198. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  199. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ―――――・―――――
  200. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、絹人絹織物の價格差益に関する請願議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。商業委員会理事鎌田逸郎君。    〔鎌田逸郎君登壇、拍手〕
  202. 鎌田逸郎

    ○鎌田逸郎君 只今議題となりました絹人絹織物の價格差益に関する請願に対する商業委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。請願の趣旨は、價格差益処理規則に基いて、新旧價格の五分の一を業者が保留することが認められておるが、この保留取得を許された分はいわゆる未確定利益であるから、これを未決算の仮受金として処理することを認め、五ケ年くらいに分割して利益に計上することを許すよう措置されたいというのであります。本件に関して本委員会では愼重に審議いたしましたが、絹については、價格差益金を二ケ年に分割して利益に計上することは極めて実情に即するものと認め、内閣において鋭意これが実現に努力されたい旨の意見書案を附して院議に付し、内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。右簡單に御報告申上げます。(「賛成」、「異議なし」と呼ぶ者あり)
  203. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本請願委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  204. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。暫時休憩いたします。    午後十時二十一分休憩      ―――――・―――――    午後十時四十一分開議
  205. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。参事をして報告いたさせます。     ―――――――――――――    〔青木参事朗読〕  本日衆議院から左の内閣提出案は同院において本院の修正に同意しないことに議決し、両院協議会を開く旨の請求書を受領した。   國家行政組織法案   刑事訴訟法を改正する法律案      ―――――・―――――
  206. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際國家行政組織法案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に関する両院協議会協議委員の選挙を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。協議委員の数は十人でございます。
  208. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今議題となりました両院協議委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、その指名を議長に一任するの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  209. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 岡田宗司君の動議に賛成いたします。
  210. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 只今の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。両院協議委員の氏名を参事をして朗読いたさせます。    〔青木参事朗読〕   国家行政組織法案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員    下條 康麿君  松井 道夫君    小野  哲君  鈴木 安孝君    岡田喜久治君  中井 光次君   前之園喜一郎君  太田 敏兄君    伊藤  修君  千田  正君
  212. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより直ちに両院協議委員の正副議長を選挙せられんことを願います。これにて暫く休憩いたします。    午後十時四十四分休憩      ―――――・―――――    午後十一時八分開議
  213. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。この際日程に追加して所得税法の一部を改正する法律案、取引高税法案、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案、(内閣提出衆議院送付、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事伊藤保平君。    〔伊藤保平君登壇、拍手〕
  215. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 只今上程に相成りました所得税法の一部を改正する法律案、取引高税法案、印紙をもってする歳入金納付に関する法律案につきまして委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。委員会は両案につきまして、先に公聴会を開きまして、廣く学識経験者の意見を徴したのであります。口述人の陳されました意見につきましては、委員会におきましてもこれ又同様にいろいろの質疑應答が行われたのであります。  先ず所得税法の一部を改正する法律案につきまして提案の内容と理由を簡單に御説明申上げます。政府は今回の税制改正に当りまして、租税の中枢たる所得税につきましては、賃金、物價等の変動に伴う所得の状況の推移、課税の実情に照し、財政事情の許す限り負担軽減せしめ、或いは基礎控除、扶養控除及び勤務控除を相当程度引上げると共に、勤労所得等の負担をこれによって軽減せんとすることとしたのであります。法人税につきましても、産業の振興、外資導入、株式の大衆化等に資しまする見地から、法人税についても所要の改正を行うこととしたのであります。  次に物價の変動に即應いたしまして、間接税中、従量課税の酒税、清涼飲料水税、砂糖消費税、マッチ、飴類に対しまする物品税並びに定額税率によりまする登録税、印紙税等についても、相当の增徴を行うこととなっております。半面、物品税を課せられます物品中、負担過重と認められまする特定の物品についての、税率の調整等をも、併せて行うこととなっております。尚徴税の最近の実情に顧みまして、加算税、追徴税罰則等に関する規定を整備強化し、直接國税に関する調査権限の拡充を行うことといたしております。以上が本改正案の内容であります。  次に委員会におきまする質疑應答の内容を申上げたいのでありまするが、これは速記録に譲ることにして省略いたすことを、ここに御了承をお願いいたします。  ついで討論に入りましたが、別に発言なく、採決に入りましたところ、多数を以て、衆議院修正通り可決すべきものと決定いたしたのであります。  次に取引高税法について申上げますると、本税はこの法律の施行において、営業として行う取引に対し課税するのでありまして、その営業の範囲は物品販売業、製造業、銀行業等、概ね従来の営業税を課せられておりました四十種目であります。又営業を目的としない法人が、右に述べました営業と同種の事業を行う場合におきましても、取引高税を課税するのであります。非課税の範囲は主要食糧の製造販売、小学校、中学校の教科用図書の発行又は販売、國が價格調整補給金を交付する重要物資の取引、自己の収穫した農産物、林産物、水産物の販売又はこれを原料として製造しております物の販売、輸出取引等であります。取引高税の納税義務者は、取引の対價として取引金額を領収する営業者でありまして、その課税標準は取引の対價として領収する金額、即ち物品販売業にあつては売上金額であり、問屋業代理業等にありましては、手数料又は報酬金額といたしております。又銀行業にありましては、貸付金利息、手形割引料、手数料等であり、保険業にあつては拂込保険料額のうち、生命保険の場合においては百分の七十五に相当する金額を、その他の保険の場合においては百分の三十に相当する金額を控除することになつております。尚その他の営業にあつては、その取引から生ずる収入金額を課税標準といたしております。本税は以上申述べた金額に対し、百分の一の税率により課税することになつておるのであります。  委員会におきましては委員会を開きます外、廣く公聴会を開き学識経験者の方々より意見を徴したのであります。又商業、鉱工業委員会との連合委員会を二回に亘つて開いて、慎重に審議したのであります。委員会におきまする審議の経過につきましては、速記録よることをお許し願いたいのであります。  かくて討論に入りましたが別に発言なく、採決に入りましたところ、多数を以て衆議院修正の通り可決することに決定いたしたのであります。  次に印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案について申上げます。  取引高税法案によりますと、取引高税の納税義務者は、その取引高税を取引高税印紙を以て納付しなければならないことになつております。その取引高税印紙は別に定めることになつております。印紙を以て國の歳入金を納付することに関しましては、大正九年の勅令第百九十号がありまするが、今日取引高税を取引高税印紙を以て納付することになりましたので、勅令を廃止いたしまして、本法律案を提出したとの理由であります。  委員会におきまする質疑応答は、速記録に譲ることを御了承願います。  かくて討論に入りましたが、採決の結果、多数を付て本案を可決すべきものと認めたのであります。以上簡單でありまするが、委員会の御報告を申上げます。
  216. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず所得税法の一部を改正する等の法律案、印紙をもつて歳入金納付に関する法律案の両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。   〔総員起立〕
  217. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決されました。    ――――◇―――――
  218. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に取引高税法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。   〔起立者……〕   〔「反対々々」「投票々々」「過半数だよ」「起立多数」「記名投票」「投票しなければ分らんぞ」「多数々々」「分らん」「記名投票」「時間がない、時間がない」「多数々々」「分らん、分らん」「早く片付けよ」「記名投票」「早く決めろ」と呼ぶ者あり。その他発言する者多し〕
  219. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 賛成者七十三、反対四十一であります。〔拍手〕過半数の起立者と認めます。よつて可決せられました。(拍手)    ――――◇―――――
  220. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、地方財政確立に関する陳情國家地方警察拡充強化に関する陳情、地方自治法中一部改正等に関する陳情、社会教育主事の市町村駐在に関する請願、石炭税分與に関する陳情を一括して議題とするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ表あり〕
  221. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。治安及び地方制度委員会理事鈴木直人君。     ―――――――――――――   〔審査報告書は都合により本号附録に掲載〕     ―――――――――――――   〔鈴木直人君登壇、拍手〕
  222. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今議題となりました請願陳情について、本委員会の審議経過を御報告申上げます。  先ず請願第千百五十七号は社会教育主事の市町村駐在に関するものでありまして、國民道徳の頽廃しておる世相を回復するため、社会教育主事を各市町村に駐在せしめられたい、尚その経費は國又は縣にて負担せられたいとの願意のものであります。  請願第四百六号は、自治体警察設置の基準に達していない町村は、國家地方警察の管轄下に置かれておるが、警察官の定数が少いため、一村に配置される人員は僅かに一、二名に過ぎないので、犯罪の増加を來して治安上懸念に堪えないから、定員を相当増加されたいとの趣旨のものであります。  陳情第四百六十二号は地方財政確立に関するもので、人件費、道路整備費等に対する國庫の最高の補助、起債、税制等に関し、根本的な特別の措置を望むとの趣旨であります。  陳情第五百十四号は石炭税分與に関する陳情で、福岡縣田川郡大任村長池本甚平外一名提出のもので、同村の地底陥落は増大し、これに関連する被害の復旧に多大の村費を費しておるが、各種の例から見て、鉱区所在町村に対する分割ほ極めて少いものであるから、石炭生産の蔭に犠を拂つている村のあることを認められ、本税の分與に対し特に考慮せられたいとの願意であります。  最後に陳情第五百八十一号は地方自治法中一部改正等に関するものでありまして、熊本縣監査委員尾池秀雄君外三名提出のものであつて、監査制度は飽くまで行政の民主化と刷新向上にあるのであるから、監査委員は地方公共團体の長に対し、「監査の結果の報告に対し措置されたる事項につき報告を求めることができる」との一項を地方自治法中に規定せられたい、又監査委員の行う監査を嚴正且つ効率的にするため、補助職員の整備強化を図られたいとの趣旨のものであります。  以上の請願及び陳情について本委員会は慎重審議を重ねました。いずれも願意は了解し得ますので、全会一致を以てこれを採択し、内閣に送付することを要するものと決定いたしました次第であります。以上御報告いたします。(拍手)
  223. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳惰は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。   〔総員起立〕
  224. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    ――――◇―――――
  225. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣提出、衆護院送付)、本案を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異疑ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事伊藤保平君。     ―――――――――――――   〔審査報告書は都合により本号附録に掲載〕     ―――――――――――――   〔伊藤保平ら君登壇、拍手〕
  227. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 只今上程されました復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の内容及び委員会におきましての審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  復興金融金庫法の改正につきましては、すでに数次に亘つて議会の審議を経たのでありますが、最近では、去る四月に九百億円に増資したのであります。今回の改正におきましては、七月から本年十二月末までの所要産業資金を四百五十億と見込みまして、資本金を千三百五十億に増加しようというのであります。  委員会におきましては、赤字融資の問題、インフレーシヨンとの関係、復興金融金庫の業務内容その他につき、質疑應答が熱心に行われたのでありましたが、その詳細は速記録に譲ることを御了承願いたいと存じます。  討論に入り、採決の結果、多数を以て本案を可決すべきものと決定いたしましたのであります。右御報告申上げます。(拍手)
  228. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これより本案全部を問題に供します。本案に賛威の諸君の起立を請います。   〔起立者多数〕
  229. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。    ――――◇―――――
  230. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して、地方税審議会の委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。昨四日、内閣総理大臣から、地方税法第百二十二條の規定に基き、荒井誠一郎君、井藤半彌君、木村清司君、汐見三郎君、鈴木武雄君を地方税審議会の委員に任命することについて、本院に同意を求められて参つたのであります。本件につきましては、議長は予め議院運営委員会に諮りましたところ、同委員会は五名の委員を任命することに異議がない旨の決定がございました。本件に関し同意を與えることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。よつて五名の委員の任命に同意することに決定いたしました。暫時休憩いたします。    午後十一時二十七分休憩    ――――◇―――――    午後十一時三十七分開議
  233. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。この際日程に追加して、消費生活協同組合法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あリ〕
  234. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。     ――――――――――――― 〔塚本重藏君登壇、拍手〕 〔「しつかり頼むぞ」と呼ぶ者あり〕
  235. 塚本重藏

    ○塚本重藏君 只今上程せられました政府提出にかかりまする消費生活協同組合法案の、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  本法案は七月四日、昨日予備審査に付託され、本日衆議院より修正送付いたされたものであります。本委員会にはかねて本院議員提出にかかりまする生活協同組合法案が付託されており、且つ両法案共極めて類似案でありまするので、この両案を同時に併合審査いたすことになつたのであります。その際両法案に関しまして、労働及び商業の両委員会より、本委員会に対し連合審査方を申越されましたので、これを承諾し、本日午前より引続きその審査を続行して参つたのであります。而して本日午後の十一時、衆議院より政府提出案が回付されて本付託となつたのであります。(「早口に喋べれ」と呼ぶ者あり)本委員会は協議の結果、衆議院送付案を先議することといたしまして、只今までその審議を続けて参つた次第であります。本案の内容について簡單に申上げたいと存ずるのでありますが、(「詳しく頼む」と呼ぶ者あり)この点も法案によつて皆様が御承知賜わることと存ずるのであります。(「承知せんぞ」と呼ぶ者あり)この消費生活協同組合は、勤労大衆が待望しておる一つの重大なる法案なのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手)インフレによりますところの物價の騰貴によりまして、生活がいやが上にも窮迫して参つております。お互の生活は、皆様御存じのように、その七割五分は闇生活、闇物資によつて生活を営んでおるのであります。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)かような場合においてこそ、物資の裏附けがなくして國民生活の安定はあり得ないのであります。この点において、この消費生活協同組合の重要さがますます加わつておる次第であります(「その通り」と呼ぶ者あり)私は内容ここに省略いたしまするけれども、このことは賢明なる議員各位の具さに御了承を賜わつておるところであります。(「うまいぞ」と呼ぶ者あり)委員会におきましては、第一國会以來この法案を通過せしむべく、各政党間において寄り寄り協議が進められ、その準備が着々として進められておつたのであります。遺憾なことに、第一國会においてこれを成立させることができなかつたのでありますが、第二國会におきましてほ、三党協定に基く法案を基礎といたしまして、更に厚生省において(「簡単」と呼ぶ者あり)各般の準備をいたしまして、ここに上程をいたされたのであります。審議の期間は極めて短時間でありましたけれども、我々厚生委員会といたしましては、十分なる研究を以前から重ねておりました関係上、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)その質疑應答も極めて簡單でありましたが、極めて要を盡したところの質疑應答が交されました。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手)その質疑應答も亦大半は速記録に載っておりまするので、速記録によつて御了承を賜わることをお願いいたします。(「その通り」と呼ぶ者あり)これには衆議院から一つの修正が提出せられております。この修正も文書によつて御了承をお願いいたします。(「オーケー」と呼ぶ者あり)かようにいたしまして、委員会ほ衆議院の修正通り全会一致を以て可決いたしたのであります。ここに私は多年待望の、動労大衆待望の、この法案が(「そうだ」と呼ぶ者あり)全会一致を以て通過したことを、非常なる喜びを以てこの報告を終る次第であります。(拍手)
  236. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。   〔起立者多数〕
  237. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)    ――――◇―――――
  238. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、昭和二十三年六月以降の政府職員の俸給等に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員会理事伊藤保平君。    ――――◇―――――   〔伊藤保平君登壇、拍手〕   〔「賛成だ」、「簡單に願います」、「一分でいいよ」と呼ぶ者あり〕
  240. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 只今上程されました昭和二十三年六月以降の政府職員の俸給等に関する法律案につき御報告申上げます。  本法案の内容は、政府は、最近の経済情勢により政府職員の俸給を、平均三千七百九十一円の水準に決定することに決定いたしまして、(「安いぞ」と呼ぶ者あり)六月二十一日以来官公廳労働組合と團体交渉を行い來つたのでありますが、未だ交渉は妥結いたしておりませんが、國会の会期が切迫しておるから本法案を提出したとのことであります。この法律案の詳細のことは速記録に譲ることにいたします。本法案につきましては、種々質疑應答があつたのでありますが、詳細は全部速記録に譲ることを御了承願います。(「賛成」と呼ぶ者あり)かくて採決の結果、多数を以て本法案を可決すべきものと決定いたしました。以上を以て報告といたします。
  241. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。   〔起立者多数〕
  242. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。    ――――◇―――――
  243. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、経済査察廳法第十三條第一項の規定による地方経済査察廳の設置に関し承認を求めるの件、委員長報告を求めます。治安及び地方制度委員会理事鈴木直人君。     ―――――――――――――   〔鈴木直人君登壇、拍手〕   〔「簡單々々」「頼むぜ」と呼ぶ者あり〕
  244. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今議題となりました件については、全会一致本件の承認を可決せられました次第であります。以上御報告いたします。(拍手)
  245. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 本件は委員長報告通り、承認を與うることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。よつで本件は承認を與うることに決定いたしました。    ――――◇―――――
  247. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際日程に追加して、放送法案審査閉会中も継続するの件(通信委員長提出)、教育公務員の任免等に関する法律案審査閉会中も継続するの件(文教委員長提出)右二件の審査及び調査閉会中も尚継続するの件は、委員長要求通りこれを委任することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承認するとに決しました。    ――――◇―――――
  249. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際議事日程に追加して、國家行政組織法案、刑事訴訟法を改正する法律案の両院協議会の成案を議題とすることに御異議ございませんか。   〔異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず協議委員議長報告を求めます。伊藤協議委員議長。     ―――――――――――――   〔伊藤修君登壇、拍手〕
  251. 伊藤修

    ○伊藤修君 只今議題となりましたところの両院協議会の結果を御報告申上げます。  先ず参議院におけるところの議長指名にかかるところの協議委員は互選の結果、私と下條さんの二人において抽籤の結果、私が議長の席を汚すこととなり、下條君が副議長になりました。衆議院におきましては、米窪君が議長であり、高橋君が副議長で、両院協議会を開催いたしました次第であります。  先ず行政組織法案についていろいろ説明があり、且つ又討論があつたのであります。その結果、両院におきまして得たところの成案は次の通りであります。  第十七條第二項を次のように改める。「次官は、大臣を助け、政策及び企画に参画し、省務を整理し、大臣不在の場合その職務を代行する。」第二、その他は参議院議決案の通りとする。かような成案を得まして、全会一致を以ちましてこれを決定いたしました次第であります。(拍手)  次に刑事訴訟法を改正する法律案につきまして両院協議会を開催いたしましたところ、衆議院におきましては、第六十條及び第三百九十三條の参議院修正案は承認するが、その余の点に対しましては、内容といたしまして誠に傾聴すべきものはあるといたしましても、時間が切迫しておる際におきまして、これを愼重に討議して來る暇がないから、是非臨時國会若しくは第三國会におきまして、これは改めて審議したいから、今日の程度におきましては右二ヶ條に同意することに賛成して貰いたい、こういうような主張がありました。参議院側といたしましては、参議院が確信を以ちまして、先に御報告申上げましたところの十六ヶ條の修正個所を発表して決議しておる次第であります。この点を極力主張いたしましたが、参議院の主張を飽くまで貫徹せんといたしますれば、この刑事訴訟法を改正する法律案は遂に議決するに至らざる結果を招來いたします。かくては現下の日本の情勢下におきまして誠に憂うべき結果を招來いたすことを鑑みまして、司法委員会の同志は勿論、協議会の各協議委員の人は、いずれも涙を呑んで、衆議院のこの主張を呑まざるを得ないという結果になつた次第であります。かくてその成案は次の通りであります。  第六十條及び第三百九十三條は参議院議決案の通りとする。その他は衆議院議決案の通りとする。右の結果を得まして、これ亦過半数を以て決定いたした次第であります。以上両院協議会の結果を御報告申上げます。(拍手)
  252. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) お諮りいたします。先ず國家行政組織法の両院協議会成案に賛成の諸君に起立を請います。   〔総員起立〕
  253. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて全会一致を以て成案は可決せられました。    ――――◇―――――
  254. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 次に刑事訴訟法を改正する法律案の両院協議会成案に賛成の諸君の起立を請います。   〔総員起立〕
  255. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて成案は全会一致を以て可決されました。
  256. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際、日程に追加して、檢察審査法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。司法委員会理事岡部常君。    〔岡部常君登壇、拍手〕
  258. 岡部常

    ○岡部常君 只今上程になりました檢察審査法案の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正を図るという趣旨から、檢察官の、不起訴処分の当否の審査並びに檢察事務の改善に関する建議又は勧告を掌る檢察審査会制度を設けるのが、この法案の内容であります。  檢察審査会はその数二百を下らず、審査員は十一人、管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者であつて、一定の欠格事由のないものの中から「くじ」で選定し、別に同数の補充員があり、衆議院議員選挙人名簿に登載された者の中から「くじ」で選ぶことになつております。任期は六ケ月で、内大人の任期は三ケ月、五人の任期は六ケ月と定め、爾後三ケ月ごとに六人又は五人を新たに選定補充し、いわゆる半数交替制を採つて檢察審査会の機能の低下を防止する方策を講じてあります。檢察審査会は、告訴若しくは告発した者、請求を待つて受理すべき事件について請求をした者、又は被害者の申立があるときは、必ず不起訴処分の当否の審査を行わなければならず、又檢察審査会の過半数による議決があるときは、職権で不起訴処分の当否の審査を行うことができることとなつております。檢察審査会はその職権を行うに当り、何人の指揮監督も受けず、全く独立してその職権を行うものであります。審査手続につきましては、檢察官に対し審査に必要な資料の提出及び意見の開陳を要求し、審査申立人及び証人を呼び出してこれを尋問し、又は相当と認める者の出頭を求めて、法律その他の事項に関し專門的助言を徴することができることになつております。  審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該檢察官を指揮監督する檢事正及び檢察官適格審査委員会の送付し、且つ議決の要旨を七日間掲示することにいたしてあります。檢事正は、檢察審査会の議決を参考にし、公訴を提起すべきものと思料するときは、起訴の手続をしなければならないのであります。尚審査員の不正等に対しては罰則も定められております。衆議院では檢察審査員の選任手続等について若干の修正をしました。以上が本法案の内容のあらましであります。  本委員会では愼重なる審議をいたし、各委員より熱心な質疑が行われたのでありますが、その應答の詳細は速記録によつて御覧願うことにいたしまして、ここに申述べますことを、省略させて頂きたいと存じます。  かくて討論に入り、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定された次第であります。以上を以ちまして報告を終ります。
  259. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を議題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕
  260. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  261. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) この際お諮りすることがございます。議長は参議院法制局長として、参議院事務総長小林次郎君をして、兼任いたさせたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。(「会期延長」、「時間がないぞ」と呼ぶ者あり)十二時になりましたから散会いたします。    午後十二時散会