○黒田英雄君
只今上程せられました三
法律案につきまして、委員会におきまする
審議の経過並びに結果について御
報告をいたします。先ず
食糧管理特別会計法の一部を
改正する
法律案について御
説明をいたします。この法案の提案の理由とその内容の大要を御
説明申上げますが、食糧
管理特別会計の運営の円滑を期しまするために、食糧証券及び一時借入金の限度額を
引上げる必要があるのと、その外買入代金の支拂方法、食糧配給公團との
関係につきまして、必要な
改正をするために提案をしたというのであります。
その内容は、食糧監理
特別会計の食糧証券及び一時借入金の限度を四百億円から七百億円にするのであります。本年度の食糧費買計画に基きまして、
所要資金を推算いたしますると、供出の最盛期と目せられます
昭和二十四年一月におきまして約六百億円と予想せられます。それに供出数量の
増加、供出期日の短縮、賣掛代金の回収までの期間に要しまする資金等の需要
増加を約八十億円と見まして、それに若干の余裕を見込んで七百億円の資金を必要とするというのであります。食糧買入代金は從來專ら農林中央金庫を通じまして、農業会系統で支拂をして來たのでありまするが、このたび、供出者の利便を考慮されて、農業協同組合系統の外に任意の市中銀行においても、これが支拂を受けることができることにいたしたのであります。次は食糧配給公團の人件費、事務費の公園に対しまする交付金と公園からの納付金が、從來
一般会計に属してお
つたのでありますが、これをこの会計の所属とするというのであります。
次に
質疑に入りまして、
政府現在の手持米はどれぐらいあるか。これを新米價による場合は、差益金は何らかの形で農村に還元するのであるかという御
質問に対しましては、六月一日では約七百万石あるのであるが、これを新米價が決ま
つて、それで消費者に配給すれば、差益金が相当奉るのであるが、千七百五十円で買つた米であるが、これに
所要の中間の経費を加算されるので同一價格とはならないけれども、殆んど同樣の價格を続けたいと
思つておるので、差益金はないと
思つておるという
答弁であ
つたのであります。次に公團の監督はどういうふうにしておるか。公園のマージンはどれぐらいかという
質問に対しまして、これは農林
大臣が監督しておるのであるが、公園の各支局については、監督権の必要な部分を都道府縣知事に委任することができる規定にな
つておるので、從來食糧営團に対して府縣知事が持
つておつた程度の監督権を、委任して監督しておる。公園のマージンは大消費府縣と生産縣とで違うのであるが、大体俵当り四十九円八十八銭にな
つているということであります。次に今面の
改正で、農林中央金庫、農業会の外に、新たに
日本銀行、普通銀行が介入するのは如何なる見地からであるが。供米の方面でも農業会、協同組合が一手に引受けておつたが、その中に一般商人も加わるようになるのであるかという御
質問に対しましては、今年の馬鈴著から新らしい集荷制度ができて、從來のような農業会、協同組合の一元的集荷制度を改めて、一定の資格條件を持
つておる者は、農業会、協同組合でありましても、その他一般の業者でもよろしいということに
なつた結果、
〔
議長退席、副
議長着席〕
一般業者が集荷する場合に農業会、協同組合から金融することができないので、一般金融機関から決済する外はない
関係でこういうふうにしたのである。併しこれは
政府からいずれにするようにというような指令をするのではなくして、全く農家の選択に任すもので、その他農業会系統の方が倉庫を持
つておる
関係でその方が有利ではないかと
思つておる。次に、今回の増額は三百億円であるが、新麦、新馬鈴薯の新價格を見込んであるか、又米價改訂後の処置はどうするのであるかという
質問に対しましては、麦、馬鈴著の暫定價格を見込んでおらない。新米價も同樣に見込んでないのである。近く麦、馬鈴薯の本格的決定をされると思うが、新米償も相当値上りを見ると思う。新米直は正式決定すれば幾らか違うと思うが、
予算には三千三百八十円という價格が出ておるのである。こういうことになりますというと、そうなれば
内閣は三百億円では足りないので、直ぐ追つ駈けて八百億円の増額、即ち限度千二百億円とする法案を
提出しようと
思つておるのであるというふうな
答弁であ
つたのであります。
かくて
質疑を終了いたしまして、討論に移
つたのでありまするが、
民主党の石川委員からいたしまして、本年度の食糧賣買計画に基いて
所要の資金を推定すると、新米價によりますれば、供出の最盛期と目せられる來年の一月は約手億円程度が予想せられる。これに供出数量の
増加と供出期間の短縮による
所要金額等を見込みますというと、約千百五十億円の資金を要することになる。これに多少の余裕を見込んで千二百億円とすることが適当であると思うのである。
政府委員の
答弁もそういうふうであるから、この法案の第四條ノニ中「四百億円」を「七百億円」とするのを、この七百億円を千二百億円と
修正したいという
修正の
意見が出たのであります。
かくて採決に入りまして、石川委員の
提出の
修正案を採決いたしましたところ、全会一致で可決せられました。次に本案全部を議題に供しまして、全会一致を以て
修正をいたして可決すべきものなりと決定をいたしたのであります。
次に
貿易資金特別会計法の一部を
改正する
法律案について御
説明をいたします。
貿易資金特別会計の借入金又は融通証券の
発行限度は、現在百億円とな
つておるのでありまするが、現在その余裕額は二十四億円に過ぎない状況であるのであります。然るに本年度中におきまする輸出物資の買入等に要しまする資金の支出額は、約六百十四億余万円となるのに対しまして、輸入物資の賣拂代金等の資金受入額約五百四十二億余万円となりますので、今日の余裕金二十四億円を計算に入れましても、この年度中現金支拂上約四十八億余万円の資金不足となる計算であるのであります。これに多少の余裕金を見込んで、現行の百億円を百五十億円に
引上げようというのであります。
次に貿易会團の人件費事務費は、これを
一般会計から交付金として交付し、又面会團の剰余金は、これを
一般会計に受入れることにな
つているのでありまするが、これを
貿易資金特別会計の所属といたしまして、
経理を明確にすることが適当であると
考えて、必要な
改正を加えたというのであります。
次に
貿易資金運用の範囲の拡張でありまして、従来の輸出は
國営の方法によ
つておりまして、制限附民間貿易の場合におきましても、貿易廳が輸出業者からその輸出物資を買上げまして、貿易廳が
外國のバイヤーと契約をして、これを賣却する建前であるのでありますが、今回民間貿易の取引を円滑にしまするために、輸出業者が直接にバイヤーと契約をして、これを履行し得ることとして、その代金の請求は、輸出業者が
外國爲替手形の振出人となり、
日本側機関を通じて、
日本の
外國銀行にその手形の買取を依頼することに手続が改定になるに伴いまして、この民間業者の輸出に基く請求権を
政府で買取り、集中することが必要と思われまするので、この請求権についても、
貿易資金を運用し得る途を開こうとするのであります。
本法案は商業委員会と
関係が深いのでありまするので、連合委員会を開催いたしまして、数回に亙りこれを開きまして愼重
審議をいたしたのであります。各委員から熱心なる
質疑又
意見の開陳があ
つたのでありまするが、これは非常に長いのでありますから、速記銭に譲ることをお許しを願いまして、ただそのうちの二三を御紹介いたします。先ず今回民間貿易と
なつた場合の資金資材の面が、果して今まで
通り円滑に行くかどうか、非常に懸念であるという御
質問に対しましては、貿易廳長官は、今回輸出業者がみずから契約の当事者とな
つて、先方の業者と契約をするに要しまする申請を貿易廳に出し、貿易廳はこれを許可するという書類を出しますというと、その許可書によりまして、
日本銀行が貿易手形のスタンプを捺すことにな
つているから、從來と同樣に金融上の便宜が得られると思う。資材についても同樣である。変化はないと思うという
答弁であ
つたのであります。又最近物債の改訂が行われました場合において、輸出品の物價が上り、自然ドルの交換比率も変わると思うが、五十億円の増額でいいのであるかという御
質問に対しましては、これは現在の物價によ
つて算出しているものであるが、物價が改訂されますれば、輸出品の買入價額が上りまするが、同時に輸入品の賣渡價額も大体同じ足並で上るものと
考えられるので、大体五十億円でいいと思うという
答弁でありました。次に貿易
関係の
政府支拂が遅れるので、業者は非常に困
つているというような御
質問に対しては、誠に手不足であるけれども、併し十分に努力しているのであるが、例えば綿糸の世工作の決定が非常に遅れるので、こちらで拂いたくても拂えない場合もあるのである。併し業者の意欲を阻害するようなことがあ
つてはならんのでありますから、せいぜい迅速にやりたいと努力しているということでありました。又ドルに対しまする円の換算率の
関係からいたしまして、勢い企業経営の合理化を必要とするようにな
つて來るのではないかというふうな
質問に対しましては、それは誠にその
通り必要であるのであ
つて、例えば三百五十では損であるから、三百五十五にしなければいけないというようなものにつきましては、コストを下げて三百五十で我慢して貰うというような例もあるのであ
つて、十分に企業の合理化が必要にな
つて來ると思うということでありました。次に我々が日常國内で使う綿糸布類の原料はどうな
つているかということに対しましては、大体綿花を輸入しまして、加して輸出しますると、大体原料代の二倍くらいになるのでありますが、米国の商品金融会社との契約は大体六割は輸出する。四割は國内に残して需要に当てるという約束にな
つているのであります。実際は七割くらいを輸出しているということでありました。貿易手形の割合がなかなか円滑に行われないという御
質問に対しましては、貿易手形の割引が容易に行われないとの声も聞いているのであるが、これは
日本銀行でも必ず枠内に限るという意味でもないのであります。今日のインフレーシヨンの時期において、インフレーシヨンの促進にな
つては却
つて貿易を阻害することになるのであるから、大いに考慮を要することであるので、又一面業者の側のも罪があ
つて、貿易手形で得た資金を固定の設備等に使
つて、次の
貿易資金で当てるというようなことがあるので困るのである。併し十分円滑にするように努力するということでありました。次にいろいろな基金、ガリオア・フアンド、その他ののフアンドによ
つて得たところの円資金はこれを別会計として整理するのが当然ではないかというような御
質問であ
つたのでありまするが、これについては少数
意見として、後で中西委員が述べられると思いますから詳しく申上げませんが、私達といたしましては、理論上そうであるが、今のところ輸入の商品がどのフアンドに属しているか、一般資金の商品であるか、これは先方で処理せられることであ
つて、こちらでは分らないし、知らされていないので、判然と区別がつかないので、そういうことはちよつと困難であるというようなことであ
つたのであります。その他爲替レートの問題であるとか、輸出品に関しまする物價決定の問題とか、資材割当、入手に関する問題、輸出物資滞貨の問題、いろいろの点につきまして非常に熱心なる
質疑應答が交されたのでありますが、これは速記録に讓ることをお許しを願いたいと思います。
かくて採決の結果、本案は多数を以て、
原案通り可決すべきものなりと決定いたしたのであります。
次に
公認会計士法案について御
説明をいたします。企業の
経理が複雑とな
つて、財務書類が企業と投資者との間を結ぶ殆んど唯一の繋がりとな
つておりまする今日におきまして、企業の
経理を公正にして、財務書類の眞実性を確保しますることは、民主的且つ合理的な経済の基礎を確立するために欠くことのできないことであるのであります。殊に今後我が國が民間外資の導入を図りまする場合に、このことは必須の前提條件とな
つて参るのでありまして、この要請を満たすためには、米國とか英國に見られるような自由職業者として高い社会的信用を有する多数の会計士を必要とするのでありますが、我が國の現状におきましては、確率から計理士の制度はあるのでありますが、この要請に應じまするためには、遺憾ながら未だ不満足な状態にあるのであります。そこで
政府は公認会計士制度を設けまして、できるだけ速かに世界的水準に達する公認会計士を養成しまして、諸
外國の信頼に値する企業の財務書類の監査証明が行われまして、これによ
つて外資が安んじて我が民間企業に投資され得る態勢を、一日も速かに確立することが必要であると認めて、この法案を
提出したというのであります。
法案の内容について
簡單に申上げまするが、財務書類の先ず定義をいたしまして、財産目録、貸借対照表、損益決算書、その他の財務に関する書類といたしておるのであります。公認会計士は、他人の求めに感じまして、報酬を得て財産書類の監査又は証明をすることを業とする者を言うことにいたしておるのであります。又公認会計士となるに必要な技能を修習するために、会計士補というものを認めまして、公認会計士を
補助しますことができます。又会計士補の名前を以ちまして公認会計士と同じような業務を営むことができるようにいたしたのであります。次に公認会計士或いは公認会計士補となりますのには、立派な國家試験に合格して所定の登録をした者であることを要するのであります。試験は第一次試験、第二次試験、第三次試験を受けることにな
つておるのであります。第一次試験は第二次試験を受けるに相当な学力があるかどうかを判定するものでありますが、第二次試験は会計士補となるに必要な専門的學識を有するかどうかを判定するのが目的であります。第三次試験は、公認会計士となるに必要な高等の専門的應用能力を有するかどうかを判定することを目的といたしまして、実務について行うことにな
つておるのであります。第一次、第二次試験を受けることを免除される一定の資格を規定しておるのであります。そうして会計士試験は毎年一回以上行うことにな
つておるのであります。次に公認会計士又は会計士補の欠格の規定を置いております。次に公認会計士は会計に関する監査、証明をすることについて独占権を與えられておるのでありまするから、高い品位と技能を常に保持することを
要求せられまして、公認会計士及び会計士補の義務、
責任に関する詳細なる規定を設けて、義務に出違反したときには嚴格な懲戒処分をすることにな
つておるのでありまするこれに関する詳細なる規定を設けておるのであります。次に公認会計士の監督は、一般の行政官廳をしてなきしめることは不適当であるというので、大蔵
大臣管理の下に会計士
管理委員会を設けて、試験の施行、登録、懲戒等の事務を掌ることにいたしておるのであります。会計士
管理委委員会は委員五名で組織して、年齢三十五年以上の公認会計士の車から大蔵
大臣が任命して、身分保障、報酬等の規定を設けておるのであります。旧計理士法はこれを廃止しまして、現在の計理士等は公認会計士となる特別の途を開きまするために、特別試験の制度が設けられまして、又現在計理士の業務を営んでおりまする者は、本法施行後三年間その業務を行うことを認める等、
所要の経過規定を設けておるのであります。この
法律制定に伴いまして、大蔵省官制、証券取引法、登録税法、現務代理士法、弁護士法及び弁理士法等に必要な
改正を行うこととしておるのであります。
本案につきましては、
衆議院において
修正があ
つたのであります。その
修正は、第一に、二十五條に会計士が証明書の範囲等の規定があるのでありまするが、これがまだ不十分であるというので、これを
修正した点と、第二には、三十二條の第四項で懲戒の手続のことを規定しておるのでありますが、懲戒の対象となる公認会計士の弁護権を尊重する趣旨の
修正があるのであります。第三点は、懲戒手続の調書の閲覧のことでありますが、これに必要な
修正をいたしたのであります。
原案の第五十七條に規定する特別公認会計士試験の施行の期間を、
原案では二年とあ
つて、二年で打切ることにな
つておりますが、これは短きに過ぎるというので、これを三年に
修正をし、又計理士補の特別試驗を受けまするのに、計理士等の地位に五年以上あつた者でなければ特別試驗を受けられないことにな
つておりますが、少し嚴格であるというので、これを三年に
修正をしておるのであります。第五に、本法施行の際に計理士の業務を営んでおる者の地位を尊重するという趣旨からいたしまして、これらの者が計理士の名称を用いて業務を行える期間を、
原案は第六十三條におきまして施行後二年間ということにな
つておりましたのを、これを一年延長しまして、
昭和二十六年の七月三十一日までというふうに修定があ
つたのであります。
かくて
質疑に入りまして、諸外国におきまする会計士制度の実情はどうかという
質問に対しましては、自由職業者としてこの会計士が景も早く発達したのはイギリスでありまして、十九世紀の中頃から企業の財務の監査及び証明を業とする会計士ができて、彼等は自己の信用と名声を維持するために、自治的に
議会を組織して、嚴重な入会資格を設け、一定の試驗と見習期間を経た者のみを入会させて、又会員には自治的の規律を設けまして、懲戒処分等を
行つている。その最も有名な協会はチヤータード・アカウンタント協会で、社会的信用を有しておるということであります。アメリカにおきましては、英國に遅れたのでありますが、今日その発達は英國に匹敵する状況でありまして、法制としてはニユーヨーク州その他の州法で一定の試験と見習期間を経た者にCPAという称号を與えまして、若干の義務規定と罰則を設けておるのであります。この外にCPA有資格者と無資格者が集ま
つて、イギリスと同樣の協会を結成して、自治的規律に服しておる状況であるということでありました。
かくて
質疑を終りまして討論に入り、裁決をいたしましたところ、全会一致を以て本案は
衆議院修正案通り可決すべきものなりと、決定をいたした次第であります。これを以て
報告を終ります。(
拍手)