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1948-06-14 第2回国会 参議院 本会議 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十四日(月曜日)    午前十時十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十八号   昭和二十三年六月十四日    午前十時開議  第一 國務大臣演説に関する件(第六日)  第二 郵便為替法案内閣提出)(委員長報告)  第三 郵便為替貯金法案内閣提出)(委員長報告)  第四 特許法等の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第五 裁判官の報酬等に関する法律案内閣提出)(委員長報告)  第六 検察官の俸給等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 農藥取締法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 臨時通貨法の一部を改定する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 内閣総理大臣等俸給等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員会報告)  第一〇 長崎縣の鉱害に対する國庫補助に関する請願委員長報告)  第一一 常盤炭鉱地帯漏水防止工事施工に関する請願委員長報告)  第一二 八幡製鉄所薄板工場設備を室蘭市輸西製鉄所に移轉することに関する請願委員長報告)  第一三 農村企業工場原動力用石油代用燃料装置設置に関する請願委員長報告)  第一四 鉄銅届設置促進に関する請願委員長報告)  第十五 産業車りよう課設置に関する請願委員長報告)  第十六 配炭公團法の一部改正に関する請願委員長報告)  第一七 カーバイドの生産復興に関する請願委員長報告)  第一八 軽金属地金価格差補給金に関する請願(三件)(委員長報告)  第一九 硫化鉱増産施策に関する請願委員長報告)  第二〇 非鉄金属地金価格差補給金に関する請願委員長報告)  第二一 布はく製品生産計画に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二二 軽金属地金価格調整補給金に関する陳情委員長報告)     —————————————
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告はご異議がなければ朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一、國務大臣演説に関する件(第六日)、一昨日に引続き質疑を許します。左藤義詮君。
  4. 左藤義詮

    左藤義詮君 運輸大臣の出席を要求しておりますので…。
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 運輸大臣は直ぐ見えるそうであります。    〔左藤義詮登壇拍手
  6. 左藤義詮

    左藤義詮君 時間の関係上、同僚諸君から、すでに御質問のありました件を省き、これに対する政府の御答弁中、尚了承いたし兼ねる二三の点についてお伺いいたします。  先ず第一に、軍事公債利拂停止について、先日大蔵大臣は、高瀬議員から、その理論的根拠を問われたのに対して、軍事公債の元本打切り、或いは利拂停止というような過激な主張に対し、これで一応の終止符を打つたのだと、これで事済みにしたのだと、さも手柄顔のようにお答えなさいましたが、実に驚き入つたお言葉であります。譬えが悪いかも知れませんが、強盗をするというのを窃盗で止めさせたから、それでいいのだという理屈はありますまい。(「わけが違うよ」と呼ぶ者あり)予てからの総理大蔵大臣の御主張のように、何故最後まで堂々とその所信を貫かれないのか。修正資本主義ということは、政権のために、政略のために、その主張をすり替える、「ぬえ」のような、「こうもり」のようなものでありましようか。(「そんなことがあるか」と呼ぶ者あり)この利拂停止は、その及ぼすところ誠に廣範囲且つ深刻と存じますが、特に次の四つの点について、お尋ねして置きます。  大蔵大臣は、この利拂延期は今後1ケ年の利子だけで、それ以後はやらんと言明しておられますが、財政上の表面理由は、これで財源を捻出して、災害復旧とか、六・三制とか緊急の支出に当てると、こういうことでありましよう。(「そうだよ」と呼ぶものあり)敗戰以來の我が財政が、ここ二三年のうちには、樂になろうとは到底考えられません。さすれば、明年度以降の予算編成に際しても、右の表面理由が解消する見込はありませんから、再びこの問題が起こつて來るのは必然であります。(「毎年やつてもらいたいね」と呼ぶ者あり)本年度これを防ぎ得なかつた政府が、來年またこれを繰返さないと誰が保障し得ましようか、朝に左派斬るべしと言い、夕に歓呼してこれを数に加え、僅か九十二名の第三党を以つて首班を維持せんとする、無力にして不信用政府に対して、國民が、どうして來年の空手形を信頼し得ましようか。(「そうそう」と呼ぶものあり)料理飲食店営業禁止でも、大都市への輸入禁止でも、当初一年を限つて処置が、次々と延長されている。利拂延期も亦ずるずると堤防が崩れていくのではないか。遂には元本まで破棄されるのではないか。かような不安の暗雲が財政に低迷し、國民貯蓄心を傷つけていることは、想像以上に重大なことであります。(「そうだ」「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)  第二に、現在公社債の取引市場は再開されておりませんので正式の相場は立ちませんが、すでにこの問題がやかましくなつてから、軍事公債は六七円の値下がりを來しております。六七円でまだ済んでおるのは、国会健在なる限り、滅多にこんなものは通さない。現内閣の余命はもう且夕に迫つている。かように信じておるからでありまして、万が一にもこれが実行されるようなことがありましたら、更に大幅の値下がりを來し、延いては同じ國家債務証券たる一般公債にまで累を及ぼすこと、火を見るよりも明らかであります。(拍手)又國際的影響についても、先日同僚寺尾君の憂慮に対し芦田総理は、ロンドンでもニユーヨークでも我が國債値下りはないと軽くいなされましたが、それはポンド貨債ドル貨債のことであつて、それならばすでに敗戰の当時下がるだけ下げ盡くしておるので、一歩でも國連が立ち直ろうという今日、殊に連合軍の好意ある管理下に置かれておる限り、外貨債値下りのないのは当然であります。一体この問題が起りましてから、ニユーヨークロンドンで、どの銘柄にどれだけの取引があつて、どれ程の價格変動があつたか、総理から詳細にお示しを頂きたい。外貨導入を一板看板とする芦田首相が、二号八勺や綿布の配給はできないでも、外貨導入だけはし期待しておる芦田首相は、到底理由にならんことを挙げて、簡單に体をかわすがごとき御答弁は私共の了解し難いところであります。(拍手、「ヒヤヒヤ」と呼ぶものあり)私共の心配しておるのは、もつと広く、もつと深く、國家破れたりと雖も、独立国家信義信用そのものに対する精神的、物質的影響の重大さであります。終戰直後崩壊期ならばいざ知らず、一歩でも復興に向わんとする現在、国家による公約の一方的破棄という印象が、国内は勿論、國際的に如何に深刻なる影響を及ぼすか、もつと真剣に総理の御考慮を願いたいと思うのであります。  次に、利拂停止金融機関経理面に及ぼす影響について、蔵相は未收利息を資産に計上せしめると、こう言われますが、画に画いた餅は現実資金となりません。長きは十五年、軍公全部を平均して十一ケ年強、それだけ銀行資金操作が困難となることは言を俟ちません。日銀から当該利息額を見合として融資させると言いますが、一体それは政府責任で命令されるのか、日銀が自発的に政府処置の尻拭いをするのか、若しそれ公債値下り全体に対して日銀救済させるすれば、問題は更に重大であります。聞くところによると、一万田氏が中央銀行総裁として政治問題に介入することは遠慮しておるが、金融界の一員として、利拂停止に対する一万田総裁反対意見は少しも変わつておらんのであります。初めから納得できぬ政府の失政の後始末を、如何なる理由又は如何なる根拠を以て日本銀行に引受けさせられるか、大蔵大臣の御所信を伺つて置きます。(拍手)  第二にお尋ねしたいのは、運賃値上げについてであります。一般物價が百十倍に上るのに運賃昭和十一年の八十二倍に止めたと、予算書に止めたと、さも恩に着せたようなお話でありますか、実に以ての外であります。インフレ抑止の支柱として、今日まで必死になつて運賃値上げを抑えてきた。言うまでもなく、國民社会生活物債基準に重大な関係を持つ運賃、而もこれが固有事業であるというところに特殊の使命があるのであります。それを今いわゆる中間安定から本格的インフレ防止に向かわんとするそのスタートにおいて、この大事な時において一般物價が七割値上げであるの運賃は二十五割、通信料金は三十割も引上げようという、これで一体阻止ができると思つておられるのか、安本長官がどう思つておられるの。身の皮を剥がれ、肉を削られ、もう血さえ出んような國民生活の苦痛が、総理以下分つておられるのか、国鉄に赤字が出たからといつて、その穴埋めの大部分を直ぐ値上げにぶつ付ける、こういうような無策なことで、果して国民のために信念ある政治と言われるのでありましようか。(拍手政治哲学の貧困、百年の計は忘れて、イージーゴーイングの予算編成、私共は國民と共に断じて反対せざるを得ないのであります。これは、本予算全体に通ずる致命的欠陷でありますが、取敢えず私は運輸大臣が、こま予算を編成する当つて、次の八つの点について如何なる努力をいたされたか、詳細具体的に御答弁をお願いします。(「はつきり答えよ」と呼ぶ者あり)  第一、人権の節約について、配置転換能率向上を中心とする行政整理現状、これがどれだけ予算に出ておるか、及び将來への見通し。第二、石炭カロリー向上による節約をどの程度まで本予算に織り込んでおるか、将來如何なる計画を持つておるか。第三、鉄道特別会計の盲腸と言われるいわゆる簿外財産、この処理につきまして、縄張りを固守する官僚の策謀を押し切つて運輸大臣は断行する勇氣があるかどうか。第四、その他の財産についても、もつとこれを節約すると共に、相当整理拂下げをなして、赤字補填の一助とする意図があるかどうか。第五、職場規律の確立と、勤労意欲向上により貨客増送の、從つてそれによる増收見込があるかどうか。第六、退役官僚の拠点と言われる鉄道弘済会にメスを入れて、その事業を大幅に直営に移して收入増加を図る意図があるかどうか。第七、無料パスにつきましては、一昨日油井議員への答弁に、職務遂行上の必要と仰せられましたが、それだけでありません。家族パス慰労パス退職者パス組合関係パス、その他各経由別に詳細なる数字を挙げて本予算内において、それがどれだけ整理をせられたか、どれだけの努力以つて整理をせられたか、又将來どけだけ整理するつまりか、はつきり示しを頂きたい。第八、戰時、主として軍事的理由から買上げられたものを初め、一部路線の拂下げを断行する意見があるかどうか。  右の八つの点において、運輸大臣努力せられました実際を、又将來覚悟を明白にお伺いしたいのであります。安本、文部、農林、商工その他お尋ねしたいことは沢山ありますが、時間が限られておりますので‥‥。  第三に確めて置きたいのは、本予算案に対する政府の決心、又は覚悟であります。基盤の異なつたところの二人三脚、否、三人四脚の上に立つて而もその與党内内紛混乱の相次いでおる現在、果して本月中に原案のまま無傷に通貨いたすかどうか、(「問題にしていないじやないか、民主党は」と呼ぶ者あり)社会党幹部出身閣僚を加えて、この予算案閣議で決定せられた。その出身閣僚を加えてです、運賃値上げ率修正取引高税の再検討、六・三制増額せずんば予算案返上を決議しておることも、大蔵大臣承知でありましよう。泣いても笑つても、本案大幅修正はもはや必至でありますが、かかる場合に、蔵相は如何なる刑事責任をとられるのか、與党の一部には、七月又々暫定予算の声がありますが、事実、その意図及びその用意があるかどうか、新聞やラジオによりますと、蔵相は、與党の出した閣僚が、閣議決定した予算案にその與党が反対するようなことは、絶対承服できん、若しさようなことがあれば進退を考慮すると述べておられたようでありますが、果して事実であるかどうか。国会の議決に挑戰するような態度は、結局全体主義に通ずるものだと思いますが、大蔵大臣の御所信を承わりたい。(拍手)  更に又本予算内容をなす運賃及び通信料金値上げは、両院審議現状から見て、六月十五日から実施のできんことは今や必至でありますが、そのために生ずる重大な予算変動、非常な欠陥が生ずる、その変動を如何に処理せられるか、組替予算を、いつ如何なる内容を以つて提出せられるのか。その技術的準備現状及び見通し、これは予備金計上が極めて少い本案において、誠に重要な問題と思いますので、我我が審議いたします参考に、一つ詳細なる御答弁を希望いたします。最後にこれ亦政局の将來從つて予算審議に非常な関係があると存じますので、お伺いして置きますが、最近検事総長から、西尾國務大臣起訴稟請があつたかどうか、これに対して総理は如何に処理せられたか、若し正式の稟請がないとすれば、念のために、かような稟請のあつた場合に、総理は如何に処理せられる御方針であるのか、これは新憲法の解釈上初めての実例で、非常に重要なことと思いますので、憲法改正特別委員長でありまして総理に、如何なる心構えを持つておられるか、この際明確にして責任のある御答弁をお願い申し上げます。(拍手)  以下の諸点について政府の御所見を伺つておきまして、私の質問を終ります。(拍手)    〔國務大臣芦田均登壇拍手
  7. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 佐藤君の熱烈なる御質問にお答えいたします。  軍公利拂の停止の問題については、寺尾君初め、すでにこの壇上より二三の質問が提起されまして、その都度政府においては、それぞれの答弁をいたしております。それ以上に特に附け加えて今お答えする問題は残つておらんようでありますが、ただ佐藤君の先程の質問の中に、外貨公債は、今回の利拂停止によつて下落していないというが、一体この問題が起つてからどういう銘柄について、どういうふうに変動があつたのであるか、それは間違いじやないかと、こういう御意見のようでありましたが、繰返して申上げます。ニューヨークにおいても、この問題が原因となつて下落したものは一つもありません。  次にこの予算案に対して政府は如何なる決意を以つて臨んでおるかという御質問でありました。政府としては全責任以つて予算案國会に提出いたしたのであります。國会國権最高機関であり、從つてこの予算案に対して如何なる修正をお加えになるかということは、國会多数の意思に基くことであります。政府國会多数の意思を尊重していないという間違つた考えは絶対に持つておりません。ご修正になるとは國会の権限であります。併しながら若し政府所信と甚だしく異なるごとき大きなる変更があつた場合には、政府としての責任をそのときに考えるべきだと承知いたしております。尚國会がご修正になるのでありまするから、無論歳出節減されるときには歳入にも変化がありましよう。歳入変化をお加えになるときは歳出にも変化を生ずるものでありましよう。その程度修正政府に対する不信任の考えを含むかどうかという場合に從つて政府責任は当然考えるべきだと思つておりますが、私共の現在の見通しにおいては、今日國民の大多数が一日も早く本予算案の通過されんことを待望しておるというふうに考えておりますので、願わくば、国会においても政府予算に対して協力をお願いいたしたい、かように切望いたしておる次第であります。  更に佐藤君の御質問の第三点にお答えいたします。西尾末廣君の問題について検察廰当局により私の手許には何らの書類も到着しておりません。これが到着した場合には、良心の命ずるところに從つて公正なる手段をいたしたいと考えております。(拍手)    〔國務大臣北村徳太郎登壇拍手
  8. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 佐藤議員にお答え申上げます。軍公問題につきましては只今総理から御答弁がございましたので、重ねて申上げることは避けたいと思うのでありますが、ただこれを未收利息として貸借対照表計上することは画に描いた餅ではないかというようなご指摘があつたのでありますけれども、これは凡そ会社並びに銀行等整理上、佐藤議員の御承知通り債権財産である。こういう考え方からその債権現実に現金にならければ画に描いた餅であるということになると、一般経理観念は全部崩れて参りますので、私共はさようには考えておりません。これは当然財源として、特に経過したものでありますが、既経過財源としてこれを財産勘定計上することは、一般経理観念として通念としてこれは当然であると、こういうふうに信じておるのであります。それから予算については、これは勿論責任を持つて提出いたしました財政責任者といたしまして、只今組替等は考えておりませんが、勿論総理より答弁がございましたように、國会審議権はどこまでも尊重いたしますことは当然でありまして、これについて國会の御意志で御修正になる場合には、勿論歳入歳出のバランスの取れる御修正があるものと期待しておるのであります。このことは当然のことであると存じております。  それから七月暫定予算を出すのではないかという御質問でありましたが、さようなことは全然考えておりませんのであります。私共といたしましては、予算が一日も早くご審議頂いて終了する事を心に願つておるだけであります。以上お答え申上げます。(拍手)    〔國務大臣岡田勢一君登壇
  9. 岡田勢一

    國務大臣岡田勢一君) 佐藤君の御質問のうち運輸省関係のことをお答え申上げます。  第一の御質問は、人件費節約に対して今回の予算編成に当つてどの程度努力したか、尚将來見通しはどうかという御質問でございます。先般來もお答え申上げております通りでありますが、二十三年度鉄道特別会計決定人員は約六十二万七千五百人と相成つておるのでありますが、このうちには特殊用具、即ちその内訳は、渉外関係、或いは新たに設けられます交通保安官関係補修復元関係、或いは労働基準法実施によります増員等が含まれておるのでございまして、基本人員といたしましては約五十四万人に相成つておりますのでございます。それは予算編成に当りまして、本年度の増送計画約二割、並びに労働基準法関係実施増員等相当に増加せられる数字しなつて参りますのでありますが、政府人員節減相当苦心努力をいたしまして、所要見込み人員から約六万人を節約いたしまして、努力をいたしましたわけでございます。それが今回の予算に現れております数字でございます。尚將來見通しといたしましては、鉄道施設切替などの完成、機械化、その他業務設備配置転換などによりまして、できるだけ尚今後とも節約をいたすつもりでございます。  第二にカロリー関係でありますが、石炭カロリー上昇したものを鉄道に供給を願うことになりますと、相当所要数量が減じて参ることは、佐藤さんの御指摘通りでございます。二十三年度におきましては五千四百カロリーを目標といたしまして算定をいたしておりますので、若しこれが五千八百カロリーにでもなりますことになりますと、約七十万トン余り節約ができることになるのでございます。できることなれば私共もそれを希望いたします次第でございますが、併しそれには採算的に申しますと、カロリー上昇は即ち炭價上昇を招くことにも相成りますので、それが全部費用の節減となることは当然できませんのでございます。尚それよりも大事なことは、今日の石炭生産現状から見まして、平均五千四百カロリー以上のものを獲得するということは、事実上大変にございますので、それ以上を織り込むことは不正確なことになりますので、今年度はその程度に止めることにいたしましたのでございます。  次に簿外財産のことを御質問になりましたが、一般官廰所属簿外財産というものは存在する筈はないのでございますが、併し長期の間に予定工事変更とか、或いはそういうことによりまして、不用品が若干できておりますことは事実でございます。それらを十分調査をいたしまして、今回の予算には約五億円程度を売捌きいたします予定計上をいたしております。  尚佐藤さんの言われます簿外財産という意味の中には、軍等から委託或いは預かりました物等をもお指しになつておることと存じますが、これらの物件は売却処分をいたしましたならば、國庫に納めなければならんという関係方面からの通達も受けておりますし、それは只今詳しい細かい数字まではわかつておりませんが、只今残つており鉄道が預かつておりますものは、そう重大なものではないのでございます。これは只今折角調査中でございますので、数日の間に御報告ができることと存じます。併しこれによつて鉄道特別会計の大きな赤字を埋める財源にまではならないものと存ぜられます。全部の軍部品というものは相当あるかも知れませんが、鉄道がお預かりしておるものはさように大したものではございません。  次に倉庫整理等拂下によつて処分によつて赤字を補填することをやつておるかという御質問でございます。これは先程申上げましたいわゆる約数億を計上いたしまして、その売却処分によりまして赤字補填予算面に現わしておりますわけでございます。  次は職務紀律の励行、勤労意欲向上に対してどういう考えかという仰せでございます。只今社会情勢から申しまして、或る一部の組合員におきまして服務紀律を紊ります者も出て参りますことは、それを全部なりということは申されませんのでございます。それらに対しましては、政府といたしましても閣議のかねてからの予定に基きまして、厳粛に監督をいたしまして、そのような場合には適正な措置を講ずる考えでございます。尚將來勤労意欲向上につきましては、從業員の待遇を許されました範囲内においてできるだけ向上いたしますこと、或いは又作業用労需物質配給、その他適切なる指導の下に、できるだけ勤労意欲向上に努めたいと考えております。  次に弘済会関係でございますが、國鉄におきましては性質上危険な業務をしておりますので、殉職者相当数に上りますと共に、公傷者相当数に上つております。又年々退職者も沢山ございますので、これらの殉職者遺族等救済又は公傷退職者に対しましては、任事を與えて救済するような方法も考えなければなりませんので、而も今日の経済事情の下におきましては、これらの救済を渋滞せしめるわけには参りません。かかる事情から鉄道弘済会が設けられておりますのでございまして、往々弘済会に対しましては世間の一部に誤解を生じておるように考えられるのでございます。二十二年度末の現在の数字を調べて見ますと、公傷手当を三千百三十五人、殉職手当を七千八百四十八人、遺族手当を四千四百六十六人というふうに支出をいたしております。一ケ年の公傷者が約五百人、殉職者が約八百人と相成つておるのでございます。そうして予算は二十二年度收支予算は約二億四千二百万円と相成つておりますが、この收入予算支出の中には、約四千九百万円程度社会事業費といたしまして支出しておるのであります。尚先般も本議場におきまして御答弁申上げましたように、今回発足を予定いたしております国有鉄道審議会におきまして、更に弘済会のみならず、他の外郭団体も十分に調査検討を加えまして、不合理な点はどしどし是正して行くことに決めておる次第でございます。  次に無料パスの問題でございますが、鉄道は御承知通りに、六十万人の多数の從業員を持つておりまして、これらの関係から考えましても、年間に部内だけでも相当枚数が出るわけでございます、これに極く短期間の三日間でありますとか、五日間とかいうふうなものを加えまして計算いたしますと、一年間に延枚数は二百万枚余りに達しておるのでございますが、併し御指摘の、職員や或いは家族に対しまするものは、当節は非常に列車が不足の折柄でもございますしいたしますので、その使用に当りましては、十分に自粛自戒を要望いたしまして、節約を励行しつつあるのでございます。  尚、次に私鉄の拂下問題でございますが、戰時中、当時の必要によりまして、半強制的に買上げられました私鉄、これらにつきましては、ある線に対しては、あるいは拂下を考慮しなければならんものもあると思うのでございます。併しその後の評價の関係でございますとか、或いは又その地方における交通状況、経済状態その他をよく考えまして、今日以後におきまして、相当に考慮を拂いたいと考えております。併しこれらの決定に当りましては、世間の疑惑を招かないような機構組織を以てせなれければならんと存じますので、これも國有鉄道審議会の仕事の一つといたしまして、速やかにこれらの問題に検討を加えまして、公正なる方法を以てこれに対処いたしたいと存じております。以上お答え申上げます。(拍手)    〔左藤義詮君発言の許可を求む。〕
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 左藤君。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 政府答弁に対して再質問をいたしたいと思います。
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 質疑の時間が少しく残つておりますので、極めて簡単に願います。    〔左藤義詮登壇拍手
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君 時間がございませんので…。只今総理に、外貨債値下りしてないということを、私は具体的に御説明願つたのですが、大まかにおつしやいましたが、併し私の質問の要点はここにはないのでございまして、外貨債値下りしたかつたということでなくて、我々はかのごとき軍事公債利拂停止影響が、國内的にも、國外的にも非常に大きい。國内での公債一般にも影響して、財界が非常な混乱を生ずる、そのことが國際的の日本の立直りに非常に影響する、先日の米國の來朝せられた使節團でも、若しかくのごときことが行われるならば、日本の信用に非常に影響するだろうとはつきりつておられるのでありまして、わたしどもは寺尾君へのお答えが筋が違つておる、もつと本質的な問題を考えて頂きたい、かように申したのでありまして、これをすり換えずに、はつきり答弁を頂きたいと思います。  大蔵大臣は、絵に画いた餅という言葉が大変お気に障つたようですが、私も債権財産であるということは認めますけれども、絵に画いた餅がいけなければ、お預けになつた餅でもいい、平均十一ケ年間は現実資金にならない、そのことが金融機関に非常に影響を与える、それを日銀に引受けさせるとおつしやいますがそれは如何なる権力を以て、如何なる根拠によつてせられるのか。日銀総裁が賛成してないことを、どうしてさせられるおつもりであるか、その点をお伺いしたいのであります。運賃通信料金値上げが十五日から実施できない。そのために予算上に非常な変動が生ずる。それに対してどういうような、政府としては処置を準備しておられるのか、その点をお伺いしたのでありまして、尚詳細な点は、残念ながら時間がございませんから、予算委員会に譲りますが、この三つの点について総理並びに大蔵大臣はつきりした御答弁をお願いいたします。(拍手「もつと親切な答弁をしろ」と呼ぶ者あり)    〔國務大臣芦田均登壇拍手
  14. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします。政府が何か政策を取る場合に、大小の影響のあることは、これはまぬがれないのでありますが、今回の利拂停止の問題につきましても、右へ行くか左に行くかという際に、比較的書の少い、弊害の少い政策を取るという考え方で行つたのでありまして、ただその及ぼした波紋の大少については、左藤君のごとく非常に大きく解釈される方と、又政府のごとく比較的これを軽く見ているのど、意見の相違があるようであります。これはおのずから政府党と在野党との見解の相違でありまして、これ以上にどうも具体的にその影響を計る途はない。かように考えております。(拍手、「自由党何か言えよ」と呼ぶ者あり)    〔國務大臣北村徳太郎登壇拍手
  15. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 軍公利拂の問題に関しましては、この席から詳しく度々申述べた機会があつたのでございますが、只今のお話の中で、値下り値下り等の影響についてのお話がございました。軍功、いわゆる軍事公債に関しましては、御承知通り九六%乃至九七%ぐらいが、銀行等金融團の所有であります。これは実は市場性が全然ございませんものでございまして、御承知通り、登録公債でございまして、債権は発行されておりません。手許にございません。ただ日本銀行に、何銀行に幾らというように、取敢えず登録されておるわけでありまして、証券なき公債でございます。從つてこれが市場に転々するということは全然ございません。從つて軍事公債に関する限り、今回のことによつて、市場の價格がどうなる、現在市場は立つておりませんからも、正確なことは分りませんけれども、心理的な影響等は、或いはあるかも知れませんが、具体的にこれが影響するというふうなことには相成らん。こういう意味のことを申述べたのでございます。  それから次にこのことに関して十一ケ年云々というお言葉があつたのですが、これは正確にはどうなるか、まだ私は計算いたしておりませんけれども、とにかく元本の償還期まで延ばされる。一ケ年間に到來するものに限つて延ばされるということでありまして、從つて金融機関の所有のものが多少影響を被ることは勿論でありますけれども、経理的にはこれに対して一種の孫利息……という言葉は語弊がありますが、独立の孫利息がつくということでカバーされるわけでありまするし、金融的な問題については、これは何も権力関係政府が命令してどうというようなことでなくして、本來日本銀行は中央銀行として、全日本の金融機関に対して一つの大きな使命を持つている。中央銀行としての使命を持つているのでありまして、從つて金融操作上のことは日本銀行がやる。それでこのことについては、勿論日本銀行総裁との間にも十分了解がありまして、できるだけの便宜を図ると、但しこの前の機会にも申上げました通り金融機関なのでありますから、非常にこの多数の公債の中の軍事公債の中の1ケ年間の利物期日の変更によつて、金融的に非常に困るということは大体起らんと、起つた場合においては、日本銀行本來のビジネスとして処理することは可能であるということで、日本銀行総裁との間に十分な了解が成立つておるのであります。以上のように御了解願いたいと思います。
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 一昨日の油井君及び栗山君の質疑に対し、答弁のため栗栖國務大臣より発言を求められました。栗栖國務大臣。    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇
  17. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 一昨日はよんどころないために時間を遅れまして、今日お許しを得て、油井議員及び栗山議員にお答えいたしたいと思います。  先ず油井議員の御質疑に対してお答えいたします。油井議員の御質疑は、物價補正がいつ頃完成するか、その他に関する問題が第一の点であります。この点について、先ずお答えいたしたいと思います。油井議員のお説の通り、物價の補正が遅れますと、生産の手控えとか、売惜しみとか、売溜め等が行われる傾向がございますので、その間経済の円満順調な運行に支障がございますので、物價の補正はでき得る限り早めに完了をいたしたいと思うのであります。諸般の事情、殊に準備等もありますので、今回の補正は概ね七月一ぱいくらいには完了いたしたいと考えておる次第でございます。物價の補正を行いますと、價格差益が出るのでありますが、これは国庫に收納いたしまして、一般國民の利益のために使用するのが適当と考えられますので、從來の方針により、これを國庫に徴收する予定でございます。價格差益金の徴收に当りましては、運転資金その他不足を生ずることはないかというお尋ねでありましたが、その点につきましては、十分考えまして運転資金の供給については、金融上別途に適当の措置を取りまして、不足を來たさないように、從つて生産その他に支障を來たさないように努めたいと思う次第でございます。  第二の点は、インフレーションの高進その他に対する問題であつたと思うのであります。今回の物價補正に当りましては、物價、賃金財政その他各方面の総合的見地に立ちまして、又財政赤字から生ずる通貨増発がインフレーションを高進させる重要な原因であることをも考慮いたしまして、国鉄、通信、煙草等の官業についても、値上げを行うことといたしました次第であります。これによりまして、國民経済全体として適当な均衡が回復され、その順調な運行が確保されるように努めるわけでありまして、そうなればインフレーションの進行は、この面において相当食い止められることと考えられると思います。  次に統制でありますが、統制は、かような過小生産のときに、生活に必要な或いは生産に必要な重要物資を公平に分配するという、需給を調整するということについては、必要やむを得ないことと思います。併しその統制は、正常なルート、公正な價格によりまして、取引が行われることを確保しようとするものでありますから、本來統制自体は、闇値を上昇させる作用を持つものではなしに、むしろこれを抑えるべき作用を持つのが理であるわけであります。併しながら実際の統制に当りましては、それが公正に行われないとか、或いは能率的に行われないとか、國民の全面的支持と協力を得られないというような場合には、種々の弊害を生ずることは申すまでもないのでありまして、この辺につきましては、統制の運営その他をも十分考えたい、又統制の範囲についても再検討し、國民の要望に副うようにもいたしたい、こう思ひますと同時に、今回経済査察の制度が設けられることになりましたので、これが本來の運用をも誤らんようにいたしまして、御指摘のような欠陥、弊害のないように努めたいと思う次第でございます。尚物債と賃金との惡循環をも、かようにして断ち切る一助ともいたしたいと思う次第でございます。  それから栗山議員の御質問でありますが、先ず第一は、物債の補正その他と赤字克服の問題について御質問があつたのであります。最近の企業の赤字の原因は、いろいろ考えられるのであります。冬季において電力の不足に基く操業度の低下が大きい原因でもありました。又この原因は、今日では解消いたしております。併し今日の企業赤字の最も大きい原因は、実際の支拂賃金の上昇であると思うのでありまして、この辺につきましては、政府は十分考えまして、実質賃金の充実、賃金と物価の惡循環を断ち切るということに、努めたいと思う次第でございます。それから尚公定価格の改訂は、それに対應して何らかの措置をも講じなければ実質賃金の切下げとなることは申すまでもないわけであります。そこで今回の公定価格の補正に当りましては現在の実質賃金の切下げを行わず、少くともこれを維持することを目途として努めておる次第であります。即ち新らしい賃金水準は、公定価格の改訂によるいわゆる撥ね返りを、勤労所得の大幅の軽減、或いは実質賃金の充実その他によりまして、吸收し得るよう措置をいたしたいと考えておる次第であります。  尚物価は七割引上げて止まるかどうかというお尋ねがあつたのであります。家計用品の公定価格の引上げ割合の平均は、即ち大体消費財の引上げは、七八割程度でございます。財政で所要する物質の値上げ割合の平均は、これと若干異なると思うのであります。物資の使用を効率化することをも併せ考慮いたしまするならば、財政のこれ以上の膨脹は防ぎ得ると、又防ぐことに努めたいと思う次第でございます。  その次に、中間安定問題について有益なる御質問がございましたのであります。これについてお答えいたしたいと思う次第でございます。中間安定の問題につきましては、先般來申上げましたように、目下研究作案中の段階でありますので、これをここで直ちに具体的に申上げるわけには参りませんけれども、併しお説のように、この外資のみを頼つて、そうしてこれに依存して中間安定を策そうとすることは、これは非常な期待外れということにもなるのでございまするので、その点は十分考えまして、しばしば申上げますように、勿論受入態勢の整備、ここに非常に力点を入れると同時に、國内増産とかその他にも努めることにいたしまして、そうして外貨のみに頼るというようなことをもいたさないつもりであります。即ち国内の態勢、海外の援助、これを併せ行いまして安定策を具体的に立てたいと、こう思う次第でございます。  それから尚又インフレーションの急激な進行その他についての御質問があつたと思うのでありますが、この中間安定の構想は、実はインフレーションの急激な進行を食い止めまして、真面目な勤労者の利益を擁護し、且つ企業の正常なる生産活動を促進回復することを目的とする次第でございます。尚この中には財政國民所得というものとが適應するという問題もありますし、先般申上げましたが、国民所得の内容自体というものは、この不安定な経済危機の下におきましては、十分安定した整備されたものでございませんので、その点についてはこの安定策のところで更に整備を目途とした政策等も加えなければいかん、こう考えている次第でございます。尚国民生活の安定殊に勤労者の生活の安定等につきましても、具体的の問題につきましては、この諸策を盛りまして改めてお諮りをいたしたい、こう思う次第でございます。
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて國務大臣演説に対する質疑の通告者は全部終了いたしました。      —————・—————
  19. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程第二、郵便爲替法案、日程第三、郵便振替貯金法案(内閣提出)、以上両案を一括して議題とすることにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。通信委員長深水六郎君。    〔深水六郎君壇上、拍手
  21. 深水六郎

    ○深水六郎君 只今議題となりました両法案の中、郵便爲替法案につきまして、委員長の審議の経過及び結果について御報告申上げます。  先ずその提案理由についてでございますが、現行郵便爲替法は、明治三十三年に制定されたものでありまして、その後約五十年間を経過いたしておりまするが、その間大正五年に郵便爲替証書の有効期間に関する規定が改正されました外、何らの改正もなく今日に及んでおります。從つて憲法公布後の今日の事態に即しない点が多々ありますので、この際根本的に再検討を加えまして、その結果その精神に則りましてこれを修正する必要が生じましたのでありまして、現行郵便爲替法を廃止して新らしい郵便爲替法を制定しようとするものであります。  次にその内容でありますが、業務の実態は大体において現行制度に大きな変更は加えてありませんが、改正の要点を申上げますと、第一にその用語体裁を平易且つ明確にいたしますと共に、事業運営の理由並びに運営の指針を明らかにして、又事業の管理者たる通信大臣の職を明定したことであります。  第二に事業の公共性に基く保護規定として認められておりました、一般私法に対する例外規定をできるだけ除いたことであります。即ち現行規定におきましては、郵便爲替の利用に関しまして、無能力者の行爲は能力者の行爲とみなしてこれを取消し得ないものとして、民法の規定を排除しているのでありますが、これは事務の取扱を簡易且つ敏速ならしめるための事業保護規定であつたのでありますが、国民の権利尊重の立場から無能力者保護の一般規定によることといたしまして、この特例的規定を削除することにしてあるのでありまして、その他これに類する規定があるのであります。  第三に爲替利用上の料金は現在すべて命令で定められておりますが、これを法律で定めましたこと、並びに業務内容、利用者の権利義務に関する規定等の実体的規定を、廣く明確に法律で定め、料金、業務の実質、取扱の内容事業主体のみの意思によつて決定変更されることのないように保障いたしていることであります。  この法案につきまして委員会では慎重審議を重ね、各委員から熱心な質疑がありましたが、その主なる点を申上げますと、先ず本事業における犯罪の状況はどうなつているかというような質問に対しましては、犯罪の状況は終戦後金額人員共激増いたしております。その原因が戦争中、並びに戦災による事務取扱の簡易化によつて、監査方法が制限されたこと、及び原簿の焼失、並びに從業員の素質の低下等が主なるものである。而して犯罪の防遏策といたしましては、先ず戰災原簿の復旧でありますが、これはもう大体峠を越している。次に事務取扱の簡易化も段々と元に復しておるということでありました。又從業員の訓練を強化いたしまして、他方監察制度の強化を図つておるという答弁がございました。次に組合運動によつて自然、官の規律が紊れ、それがために犯罪の発生が懸念されるようなことはないかという点に対しましては、組合運動によつて特別の影響は認められないが、併しこれによる事務上の間隙にに乗じた犯罪が考えられるので、その発生防止についてはできるだけの努力をいたしておるとの答弁がございました。又各條文につきましては、第十一條に「爲替金に関する受取人の権利は、銀行以外の者にこれを譲り渡すことができない」としてありますが、これを銀行に限つた理由如何との質問に対しましては、爲替は隔地者間の送金を目的としたものであつて、融通性があり、從つて不正手段による詐取の危険が多い、銀行ならば常に他人宛のものを取扱つており、間違いも少く、且つ信用も置けるからというわけであるとの答弁がございました。又第十六條に通常及び電信爲替の金額は五千円以下、小爲替は千円以下に制限してあるが、更に引上げる必要がないかとの質問に対しましては、この金額は、今後の通信料金値上げの際に、通常及び電信爲替は一万円以下、小爲替は二千円以下に引上げることにいたしたいと考えておるとの答弁でございました。尚詳細な質疑が重ねられたのでございますが、それは速記録によつて御了承願いたいと存じます。  かくて討論に入りましたが、格別の御発言もなく採決に移りましたところ、全員一致原案通り可決すべきものと認めた次第でございます。  次に郵便爲替貯金法案につきまして御報告申上げます。  先ずその提案理由でございますが、郵便振替貯金制度は明治三十八年以來送金及び債権、債務決済の手段として広く國民に利用されました郵便貯金法の中に、「振替計算のためにする預金については貯金総額を制限しない」旨の規定があるのみでございまして、制度の目的、内容、利用條件等すべて命令で規定されておるのであります。郵便貯金法は第一回国会で新らしい法律が制定されましたが、振替貯金も亦それと同様に新憲法に即して、利用者の権利義務に重大な影響を及ぼす事項等につきまして、すべてこれを法律で規定することといたしまして、利用関係の準拠法規を確立したいというのであります。  次にその内容を申上げます。大体において業務内容、利用條件、利用者の権利義務等につきましては、提案の制度を踏襲しておりますが、若干の点において改正が加えられておるのであります。即ち先ず第一に、事業の民主的運営を期する立場から法律の目的、国営の理由並びに事業運営の指針を明らかにいたしますと共に、事業管理の責任者としての通信大臣の職責を明定したのでございます。次に從來事業の公共性に基く特例として認められて参りましたところの、取扱の遅延による損害賠償の免責範囲を必要最小限度に止め、不可抗力、その他やむを得ない事由による場合を除いては、一般民法の規定によることといたし、又利用上の料金をすべて法律を以て定めたことであります。第三に、新たに小切手の制度を創設いたしまして必要な規定を設けたことであります。即ち從來の局待拂の制度は、振替貯金の加入者が金銭の支拂に代えて局待拂の拂出書を交付し、その交付を受けた者がこれを郵便局に呈示して現金の拂渡を受けるという制度でありまして、その内容、利用方法等は殆ど小切手制度と異なるところがないのでありますが、小切手法の適用を受けない別個の制度としておりましたために、決済の手段といたしまして小切手のように十分な機能を発揮し得ない憾みがありますので、この際これを小切手制度に統合せしめて経済取引の要請に應えようとするものであります。  以上法案の内容の大体でありますが、本委員会におきましては、慎重審議をいたしまして、各委員はいずれも熱心な質疑を行つたのでございますが、その主なる点を申上げますと、先ず本事業の運営状態についての質問に対しましては、二十二年度歳入約七千三百万円に対して歳出約二億六千万円で、差引約一億九千四百万円赤字である。從つて事業の合理化、料金の再検討によつて経営の健全化を図りたいと考えておるとの答弁がございました。又振替の到着が非常に遅く、或いは不着であつたりして、一時非常な事業の不信用の声があつたが、現在はどうなつておるのかとの質問に対しましては、戰災の整理が付かんために、一時利用者に非常な迷惑を掛けたことがあつたが、現在では大体旧に復して、長く局内に停滞しておるようなことはなくなつたとの答弁がありました。又現在農村では銀行機関が普及していないので、郵便局の利用が多いから、普通の郵便貯金に小切手制度を設けたら便利と思うが、その意はないかとの質問に対しましては、一応検討したことがあるが、事務的に非常にむずかしい点が多いので、そのままになつておるが、今後の問題といたしまして更に研究してみたいというような答弁がございました。又不渡小切手の発行を防止する措置はどうなつておるかとの質問に対しましては、利用者を大体二つに分けて、信用程度の不確実なものに対しては局待拂と同一利用條件、即ち記名式で且つ指図禁止の小切手の振出のものと、又信用の確実と認められる者には、一般銀行の小切手利用條件と同一のものとに分ちたいと考えておるとの答弁がございました。以上の外、貯金関係從業員の保健衛生関係その他、及び各條文についての詳細な質疑がございましたけれども、それは速記録によつて御了承願いたいと存じます。  かくして討論に入つたのでございますが、格別の御発言もなく、引続いて採決に入りましたところ、全員一般可決すべきものと認めた次第でございます。  以上簡單でございますが、両法案の委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。(拍手
  22. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  23. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第四、特許法等の一部を改正する法立案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君。    〔稻垣平太郎君登壇拍手
  25. 稻垣平太郎

    ○稻垣平太郎君 只今議題と相成りましたるところの特許法等の一部を改正する法律案につきまして、鉱工業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法律案改正は、新憲法の戰争放棄に関する規定並びに裁判制度の根本的改正に伴いまして、特許法、実用新案法、意匠法、商標法等の諸條項をこれに伴つて改正せんとするものであります。同時に経済上の今日の情勢下におきまして、発明奨励を阻害しない程度におきまして特許料或いは登録料を改正せんとするものであります。  その要点を項目別に申上げまするというと、第一には、戰争放棄の規定によりまして、軍事上の秘密を必要とするところの発明、又は軍事上必要とするところの発明に関するところの規定を廃止いたしまたところであります。第二には、裁判規定の根本的改正に伴いまして、違法な抗告審判の審決又は決定に対しては、その取消を三十日以内に東京高等裁判所に提起できることに関しまする法案の整備に関すること、第三には、この改正に伴いまして、判決を要しない事項に関する條文の整理、第四には経済上の諸情勢の変化に伴いまして、発明奨励を阻害しない程度で、登録料並びに特許料につきまして約五倍程度値上げをいたしたい、又超過料その他も他の法案と関連いたしまして、二倍程度に引上げをいたしたい、こういうことであります。この点につきましては、前國会においてもすでに特許料金並びに登録料の値上げ実施いたしたのでありまするが、その後のインフレの状況に伴つてこの程度に特許料を値上げしたい、こういうことであります。その他、他の法律條文等に関連いたしまして、多少の條文の調整又は修正をいたしておるのであります。  大体その五点が要点でありまするが、本委員会におきましては各逐條的にこの改正案について討議を重ねたのでありまするが、討論採決の結果、全会一致を以て本法案は可決すべきものと決定いたした次第であります。この点御報告申上げて置きます。
  26. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  27. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  28. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程第五、裁判官の報酬等に関する法律案日程第六、検察官の俸給等に関する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。司法委員長伊藤修君。    〔伊藤修君登壇拍手
  30. 伊藤修

    ○伊藤修君 只今議題になりましたところの両案につきまして、委員会の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず政府の提案理由につきまして少しく詳細……政府の提案理由を簡單に申上げて置きたいと存じます。  裁判官の報酬につきましては、憲法及び裁判所法の規定に基き、昭和二十二年四月十七日、第九十二帝国議会におきまして、裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律が定められ、同年五月三日から施行せられたのでありますが、この法律はその名の示しておりますように、裁判官の報酬等につきまして、終戰後におきまする国内の不安定な経済情勢に鑑み、應急的措置として一應の定めをなしたものでありまして、本年一月一日からその効力を失うことになつておりましたのであります。併しながら経済情勢は、その後も依然として安定するに至らなかつたので、第一国会及び今国会におきまして、二回に亘りまして、この法律の有効期間が延長せられて参りましたが、去る五月二日を以て、この法律も満了することになりましたので、これに対し、何らかの立法的措置を講じなければならなくなつたのであります。然るに最近におきまして、外資の導入、賠償の見通し、その他等によりまして、我が国の産業、経済も漸く再建の曙光を見るに至り、一般政府職員の給與は、この程公布せられました政府職員の俸給等に関する法律によりまして、平均月收二千九百二十円の新基準で体系付けられることになりましたので、この際裁判官の報酬その他の給與につきましても、これに対応して、その職務の特殊性と重要性とに鑑み、職階制を加味した新基準による給與を定めることにいたした次第であります。  民主主義国家における司法の職責の重要なことにつきましては、今更申上げるところではありませんが、新憲法下におきましては、裁判所は旧憲法下の裁判所と異なりね広く一切の法律上の訴訟に関する裁判権を有するのみならず、法律、命令、規則又は処分憲法に適合するかしないかを決定し、又訴訟手続等に関する規則を制定する等の広汎且つ重要な権限を與えられておりますことは御承知通りでありまして、而も終戰後の社会的、経済的、混乱、動揺の中に処して、国家再建のために、法的秩序の確立を維持する司法の任務の至高にして且つ緊要なることについては、今更申上げるまでもないことでありまして、このことは、その任に当る裁判官に、人格識見共に高邁であつて、而も法律的素養豊な適材を得て、而もその人が何ら後顧の憂なく、その職務に精励することによつて、初めてこれを望み得るのであります。然るに飜つて我が國の現状を見ますると、現在裁判官は一般の日常生活は極めて困窮し、道義頽廃せる現下の社会環境の下において、窮乏に堪えつつ清廉よく身を持し、激増の一途を迫る諸案件を処理して、よくその任務を果しておるのでありますが、その職務の重大且つ高貴なるに反し、その報酬は余りにも乏しく、日々高騰する物價の波に押流されて、経済的最低生活を維持することすら困難な状態にありまして、或いは職に斃れ、或いは病床に臥して回復せず、或いは生活難のため心ならずも職を他に転ずる者等が相次ぎまして、昨年中のみにても退職者は百十三名を数え、現在における裁判官の欠員数は実に三百十名の多きに達しておるのであります。これは誠に憂慮いたすべきことでありまして、これは裁判官が高き職務を担いながら、而も余りに報酬が乏しく、絶えず経済的窮乏に煩されると共に、これを現状のまま放置するがごときことは、民主主義国家の国民として誠に恥ずべきことと存ずるのであります。新憲法が裁判官の報酬について特に規定を設けておりますことは、誠に意義深いことでありまして裁判官の担う重責と使命とを考えますならばその報酬が少くとも裁判官の威信を保持するにふさわしい生活を保証するに足るものであるように定めることは、国民の義務であると信ずるものであります。よつて裁判官が、一般官吏に比し高い報酬を受くべきは当然でありまして、最高裁判所の裁判官は国務大臣と同等の報酬を、又その他の裁判官はこれに準ずる報酬を受けるのが相当であると信ずるのであります。米国及び英国の裁判官が、他の官吏に比して特に高い待遇を受けておることは御承知通りであります。併しながら国家財政窮乏の現状におきましては、今日直ちに米国又は英国に比肩し得るような高い裁判官の報酬を定めることは不可能でありまして、又政府職員全般の給與体系との調和をも顧慮しなければなりませんので、この法案におきましては、これらの事情をも考慮して裁判官の報酬の額を一応別表の通り定めたのであります。この金額と雖も、物價指数及び生計費指数及び所得税率の変動等を勘考して、これを戰前の俸給と比較するときは、決して十分のものではなく、むしろ尚乏しいものであることは御了解を願えることと存ずるのであります。この法案は裁判官の報酬の額を定めた外、その支給方法や報酬意外の給與の規定などを定め、尚その施行に必要な経過規定を定めたものであります。  以上が裁判官の報酬等に関する法律案の提案の理由でありますが、検察官の俸給等に関する法律案の提案理由も略々右申上げました裁判官の報酬等に関する提案理由と大同小異でありまして、即ち、検察官は準司法官的性格を持つておりまして、その職務の重要性は裁判官の職務と劣らんものがある。かような見地からいたしまして、その他生活上の事情、いろいろな点は、只今申上げました裁判官の提案理由と大体において似ておるのでありまして、これは速記録に譲りまして、省略いたさせて頂きたいと存じます。かような政府の提案せられましたところの本法案の理由は、すでに当司法委員会におきましては、第一国会の半ばにおきまして、この提案理由と同様な趣旨の決議をなしておるのであります。即ち裁判官、検察官、裁判所職員、刑務官、これらの人が身を挺しまして国家再建のため、戰後におけるところの治安維持のために、日本の法治国家維持のために、民主主義国家再建のために努力しておられることは、他の一般行政官も同様でありましようけれども、取分けこの面におきますところの相当職員の努力というものは、日常現れるところの犯罪事実、係争関係從つて全刑務所におけるところの過剰拘禁等から察しましても、如何にこの仕事の増大しておるかということは、思い半ばに過ぎるものがあるのであります。かような見地からいたしまして、只今政府提案理由に申しておられるがごとき趣旨の決議をいたしまして、速かにこれらの司法官に対する、或いは検察官に対し待遇改善を図るべきことを決議いたしまして、以來当司法委員会におきましては、事あるごとにこれを強調いたしまして、政府を鞭撻して参つたのであります。然るに恰もこの委員会の決議に対しましての回答とも称すべき大法律案が提案されましたことに対しましては、当委員会におきまして、又参議院全体の空気からいたしまして、私は非常に満足するものであると存ずる次第であります。かような趣旨におきまして、司法官の待遇に対しましては、全幅的にこれに賛成の意を表しておる次第であります。  然るにたまたまこの多年希望して参りましたところの司法官の待遇が、一応解決したと安心する途端におきまして、全司法官、全検察官の二陣に分れまして、いわゆる司法官と検察官の待遇平等論というものが起つて参つたのでありまして、これに対しましては誠に司法委員会におきましても、非常に苦痛を感じまして、慎重審議を重ねた次第であります。即ち司法官は憲法上におきまして、その報酬は特別にこれを定められておる、相当なる報酬を受くべきところの趣旨を憲法の上に明文を以て定めておる。憲法は、司法官に対しましては、特別の地位を、高き地位を望んでおるということを主張し、故に司法官に対しましては格段の地位を與えなくてはならん。又職責上からいたしましても、從來は民事裁判、刑事裁判、さような司法事件にのみ限られておりました。ところが新憲法下におきましては、行政裁判は勿論、その他の事項に対しまして、非常なるところの廣汎な権限を與えられまして、凡そ法律上の争いというものは、すべて裁判所においてなされなくてはならんということになりました。殊に憲法及び憲法の解釈及び法律命令、その他処分に対しますところの最終的の憲法の解釈権というものが裁判所に與えられた。かような点に鑑みましても、その職責上の権限というものは、過去におけるところの裁判官に比べて著しく拡大されておるのでありますから、この点におきましても、検察官とは異なつて、裁判官は高き地位にこれを待遇しなくてはならんというのが第二点でありまして、第三点といたしましては、任用資格が、いわゆる裁判官は二年の修習を経まして、十年の職務の経験を経、然る後改めて判事として任官せられて参つて行くのであります。いわゆる判事となるのには、十二年間の職務の経験を要するということになる。この点におきまして二年の修習を経て、直ちに検事となるところの検察官との地位はおのずから異らなくてはならん、というのが、第三点であります。さような趣旨からいたしまして、その他の細かい理由もありますが、大体におきまして、さような趣旨から行きまして、いわゆる検察官と裁判官というものは、その待遇を異にしなくてはならんと、かような議論が非常に強く検察方面、裁判所方面、両方から出まして、検察官におきましては、いわゆる待遇は平等にしなければならんという強い主張が繰り返されて参つたのであります。裁判所の方におきましては、これは不平等にしなくてはならんと、こういう主張が強く主張せられて参つたのであります。我々といたしましては新憲法下におけるところの、この司法の運用の上におきまして、憲法が少くとも裁判所というものを高く引上げたいと、高くこれを待遇したいということの理念に立つておるということは、十分了承できると思うのです。又その他の理由から考えましても、今後におけるところの我が司法権の在り方といたしましては、検察官より一段高くこれを待遇しなくてはならん、さような機構に持つて行くことを理想としなくてはならん。かような見地からいたしまして、原則といたしましては、検察官と、いわゆる司法官との差を何がしかここに認めまして、そうしてその機構の今後の在り方の理想を現実はつきりとここに確定する必要を認めておつたのであります。たまたま衆議院司法委員会におきましては、さような見解の下におきまして、政府原案は平等に提案せられて参つたのでありますが、それを千円の差を付けまして、即ち東京及び大阪の裁判所長官は一万九千円というふうに差を付けまして、その他の長官については一万八千円というふうに千円の差をつけまして、その間におけるところの、いわゆる検察官とは異なるものだということをはつきりと、この別表の上において確立せしめたのであります。さような修正案を受取つたところの当参議院の司法委員会におきましては、只今申上げましたような見地からいたしまして、この衆議院の修正に対しましては賛成の意を表した次第であります。  併しながらここに一つ問題として残されるものは、然らば現在の司法官としての在り方はどうか、これは御承知通り、学校を出まして、そうして司法修習を経、齊しく検察官といい、裁判官といい同じ道を辿つて参りまして、今日までの司法の運営に、表裏相俟つて日本の法律を維持して参つて來たところの重大なる職務を果して参つたのであります。これらの人が、從來は裁判官、検察官の人事の交流もせられておつたのです。或いは弁護士もこの交流の中に含まれまして、いわゆる司法一元化ということが、今日までは一般原則的に常識的に申されておつたのでありますが、くだいて申しますれば、從來は判事という言葉によりまして、常識的に同様にこれを考えておつた、これは國民の常識であつたのでありますが、かような次第でありますから、今日まで共に同様にその職務に当つて参つたところの判事及び検事が、ここに格段に差を設けられるということは、その情において忍び難いと共に、日本の全検察官の著しく士気を阻害するということは、これは想像できるのでありますが、殊に有能な人でありまして、相当な待遇をしなくてはならん、長官よりより以上の待遇をしなくてはならんというような人々が沢山あり得ると思うし、これらに対しまして、この人々を少くとも來月から格段の差を設けて、下に待遇するということは、これ亦検察陣営運営の上におきまして、大きな支障をもたらすことは、申すまでもないことでありますが、又先程申上しましたところの任用資格はアメリカ、英國のごとく弁護士を十年やり、検事を十年やつたその者から裁判官を任用するというならばいざ知らず、今日におきましては共に歩いて参つた者が、ここにおいてその人物に差を付けるということは、これ亦任用の現実論には合わないということになるのであります。如何にしてこの現実と我々の考えておるところの理想をマツチせしめるか、この点に対しましては委員会におきましては、皆様と共に十分に研究いたしました結果、我々は飽くまで今後におけるところの司法官の在り方というものは、前言申上げましたごとく、理想的にこれを確立せしめ、而してこの現実をよくこれにマツチせしむるために、本件案の、いわゆる検察官の俸給等に関する法律案の附則第九條におきまして、「当分の間」という枠を設けまして、而して「特別のものに限り」と、この二つの枠を置きまして、そうしてこれらの人々に対しましては、一万四千円まで支給し得ることを附則として定めた次第でありますが、この附則で定めましたところの気持は、そのときにおきまして修正の提案理由として申述べられたところの趣旨といたしましては、八高等検察廰管内、元の八つの控訴院所在地及び横浜、京都、神戸、この十一ケ所の所在地の検察官で、特に優秀な人を職務上どうしても待遇しなくちやならん、而して勤続年限その他の点を十分勘案いたしまして、どうしても一万四千円を以て待遇しなくてはならんという人々を、この特別規定で以て救済し得るという條項をここに挿入いたした次第であります。かようにいたしまして、理想と現実とを調和いたしましても今日の過渡期におけるところの司法運営の全きを期しようとした次第であります。  尚検察官の俸給等に関する法律案の第一條ですが、第一條に「國務大臣の例により」、という字があります。又裁判官の報酬等に関する法律案中に、第九條中「國務大臣の例に準じ」、とこうあるのでありますが、これはいわゆる高等裁判所長官及び高等検察廰の検事長、これ等を「國務大臣の例により」、と、こういうふうな表現の仕方でありまして、これは政府におきましても、当時いわゆる認証官の俸給等に関する法律案というものが提案される運びになつておりましたけれども、未だそれが具体的に議会に提案するに至らなかつたのでありますから、表現方法としては非常にまずいのでありまするけれども、「國務大臣の例により」、という文字で以つてその法律を表示しようとしておつたのであります。併しながら今日におきましてはいわゆる認証官の俸給等に関する法律案が、内閣総理大臣等の俸給に関する法律案として当院に回付されて参つた次第でありますから、今日におきましては、このまずい表現を改めまして「内閣総理大臣等俸給等に関する法律の例により」、とかように改めた次第であります。かようなことは法文の文句上、恰も國務大臣と同等に待遇するというような誤解をも防ぐ意味におきまして、かようにその指定する法文を明確にいたした次第であります。  又裁判官の報酬等に関する法律案中第十條の修正でありますが、これは法文自体によりますと、最高裁判所は将來経済上の変動によりまして、それがスライドして、最高裁判所が勝手に、任意に、自由に、司法官の俸給を上げることができるという規定であるのであります。かような規定ができたゆえんのものは、当時大蔵省におきまして、一般官吏に対しましていわゆるスライド制を採るというような腹案があつたのでありまして、その腹案が成立するものということを基礎にいたしまして、この十條というものが設けられたのです。若しかような政府の方針が、いわゆる今後におけるところの俸給に対しましては、すべてスライド制を採るというならばいざ知らず、然らざる場合におきまして、ひとり最高裁判所のみに対しましてこのスライド制を許すということは、日本の予算すべての点に対しまして一大変革を來すゆえんのものでありますから、事小なりと雖もこの法案中この原則をここに表現することは、我々今日の情勢下におきましては拒否しなくてはならん。かような観点からいたしまして、この十條中の「裁判所は」ということを改めまして、別に法律で定めると、いわゆる俸給を上げんとする場合におきましては國会の同意を取れ、而して支給する。こういうふうに改めた次第であります。  以上四点の修正案は、当委員会におきましては各派協同提案によりまして、満場一致以て修正通り可決いたした次第であります。修正案を除くところの原案に対しましては、勿論原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上簡單ながら委員会の経過を御報告申上げます。(拍手
  31. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案とも委員長の報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  32. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は委員会修正通り全会一致を以て議決せられました。      —————・—————
  33. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第七、農薬取締法案(内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。    〔楠見義男君登壇拍手
  34. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました農薬取締法案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法律案提案の趣旨は、御承知のように農業薬剤の重要性、特に例えば本年の食糧一割増産の中心が、病虫害の予防駆除にある現状から見ましても、農薬が農業生産に至大の関係を有することは明らかであります。然るに最近における農薬事情は、その供給不足と相俟つて、不正粗惡なる農薬の横行により、農家の蒙る損害が決して少なくないばかりでなく、延いて病虫害防除の意欲を減退せしめ、農業生産に惡影響を與えておる実情は、到底これを放任し得ないのでありまして、從つてこの観点から、農家及び農業指導者多年の要望に慶えて、今回新らたに農薬取締法を制定いたしまして、不正粗惡なる農薬を取締ると共に、農薬の品質向上を図り、以て農作物病虫害防除の普及促進、農業増産に裨益せんとするものでございます。  而してその内容とするところは、各種の農薬の中で特に供給不足且つ重要なる農薬を対象といたしまして、先ず第一に、販賣せられるべき農薬は、事前にその品質、内容等を見本を添えて登録の申請をなさしめ、又その販賣に当りましては、実態に合致する正確なる表示をなさしめ、その流通については、随時検査を行い、常に正しい良き農薬が販賣せられることを確保いたしますと共に、これに伴う必要な取締規定を設け、同時に多面におきましては、販賣業者、製造業者等の利益擁護不正なる損害防止の意味からいたしまして、行政処分に対する異議申立等の救済規定を設けておるのであります。尚本法案実施に伴つて必要といたしますところの、農薬検査所、農薬審議会等の機能を法律に規定いたしておるのであります。  本法案の趣旨及び内容の大体は以上の通りでございますが、委員会におきましては、前後四回に亘り、それぞれ技術的立場において、或いは逐條的に亘り、本法実施上の細目について極めて熱心なる質疑が行われたのでありますが、専門的且つ技術的のことが多うございましたので、ここでは一々御報告申上げることは省略いたしまして、すべて速記録によつて承知を願いたいと存じます。  質疑終了後討論に入りましたところ、羽生委員から、本法案は農薬生産確保のために、信用ある良き農薬の増産普及を企図せんとするもので、この趣旨には賛成である。併しながら農薬については、農家は從來自己の危険負担において、從つて又それだけに、細心の注意を以て優良農薬の獲得に努力して來たが、本法案実施による安心感により、却つて從來の努力が減退することがあつてはならない。又法律施行そのよろしきを得ざれば、製造業者、販賣業者等の不測損失も予想せられるのであるから、政府は本法律運営に当つては万全の注意と努力とを拂い、特に優良農薬の普及増産、農家知識の向上等に努力すべきであるとの趣旨の意見を附して、本案に賛成の旨を明らかにして、その他には別に御発言もなく、採決しましたるところ、全会一致を以て本法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上簡單に御報告をいたします。(拍手
  35. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君起立を請います。    〔総員起立〕
  36. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  37. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際、日程第八、臨時通貨法の一部を改正する法律案日程第九、内閣総理大臣等俸給等に関する法律案内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。    〔黒田英雄君登壇拍手
  39. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 只今上程されました両案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告いたします。  先ず臨時通貨法の一部を改正する法律案でありまするが、その政府が提案をいたしました理由、並びに内容について申上げますが、臨時通貨法は臨時補助貨幣として五十銭、十銭、五銭、一銭の四種を只今規定しておるのであります。その中で現在は只五十銭の黄銅貨だけを製造しておるのでありますが、最近の物價の高騰によりまする取引の状況から見まして、尚高額面の補助貨、即ち五円及び一円の補助貨幣を加えて製造しようというのでありまして、つまり四種を六種に改めるというのが内容であります。又五十銭の黄銅貨は、近く物價改訂に伴つて人件費、物件費等の上昇が起りますというと、一枚の製造費が五十銭を越すというようなことが想像されますので、これは新らしい五十銭の兌換券の方に譲つて、今後は専ら五円と一円の硬貨を製造しようというのであります。  質疑應答に移りまして、その中の一二を御紹介しまするが、これらの硬貨の製造の経費はどのくらい要するかということにつきましては、現在の賃金ベースでありますというと、五十銭は四五銭ぐらいでありまするが、千八百円ベースになりますというと、六十五銭を要するのであります。五十銭を越すということになるのであります。一円は新賃金ベースで以て六十九銭、五円は七十二戰かかるということでありました。次にこれらの硬貨はどれくらい製造する見込であるかということにつきましては、まあ取引の状況によつてつて行くのでありまするが、現在のところでは技術上の関係から、一円は十一月頃から、五円は十月頃から製造するそうであります。大阪造幣局は五円を一億二千八百万枚、金額にして六億四千万円、一円は東京と廣島の支局で以て8千四百万枚を造る見込である。そうしてその採算の上から見ますというと、三億円以上利益があるということであります。  かくて質疑を終りまして、討論に入りまして、採決をいたしたいのでありますが、全会一致を以つて原案通り可決すべきものなりと決定をいたしたのであります。  次に内閣総理大臣等俸給等に関する法律案について御説明をいたします。  先ず法案の内容政府が提案いたしました理由について申上げますが、内閣総理大臣等と申しますのは、内閣総理大臣も、國務大臣、検察官、人事委員長及び人事委員、特命全権大使、宮内府長官、侍從長、特命全権公使、これらの者に対しまする俸給給料をこの法律で定めようというのであります。そうして内閣総理大臣の俸給は月額二万五千円、國務大臣、検査官等は、二万円、その外一万八千円、一万五千円というような階級であるのであります。そうしてその外支給の期日を一定して毎月二十一日にするとか、或いは支給を終るとき等にいろいろ規定を設けているのであります。そうして俸給の外に新たに勤務地手当を加えまして、俸給の補充作用をなさしめようといたしているのであります。又これは本年一月一日に遡つて支給をいたしまして、すでに支拂われております給與は、この法律によりまして給與の内拂と見ることにいたしているのは、先きに議決になりました一般官吏の場合と同様であるのであります。從來内閣総理大臣、國務大臣等は、しばしば一般官吏の給與がいろいろな形で増加されましたに拘わらず、扶養家族手当とか勤務手当はなくして、俸給一本で以て、且つその金額も極めて少かつたのであります。今回政府職員の新給與実施に関する法律が制定されまして、給與制度に大きな改正が加えられるに伴いまして、この内閣総理大臣、國務大臣等の職務の内容責任は特に重大なるものがあるのでありまして、給與の額を相当引上げますと同時に、從來の法律の形式を改めまして、一般官吏とは別個の法律にしたいというのであります。  この法案の質疑に移つたのでありますが、その一二を申上げます。総理大臣の俸給の額はこれでも尚低きに過ぎはしないかというような御質問に対しましては、これはいろいろ前から論議があつたのでありますが、公的生活は極力國費で以てこれを持つことにし、私的生活につきましては、現在の我が國の國情からいたしまして、できるだけ一般國民との開きをないようにして行きたいという閣僚意見もあつたのでありまするが、併し現在の給與は余りにも少いのであります。併し又これを余り多くするということは、國民に対しても言いにくいというようなところから、本法案のようになつたという説明でありました。又一方には裁判官との関係も考慮しておるということであつたのであります。尚他の御質問は、これは二千九百二十円ベースに準じたものであろうと思うが、三千八百円になるとするならば、これも引上げるようになるのかという御質問に対しましては、政府委員から、事務的に言えば、まあそういうふうな関係になるんでありますが、併し前に申したようないろいろな関係もあるので、かならずしもそうなるかどうかということは、まだ決まつて‥‥はつきりと申上げることはできないというような答弁であつたのであります。その他の質疑應答は、速記録に讓ることをお許しを願いまして、かくて討論採決に移りまして、全会一致を以て政府原案通り可決すべきものなりと決定いたした次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手
  40. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  41. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決けられました。      —————・—————
  42. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程第十より第二十までの請願及び第二十二の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君    〔稻垣平太郎君登壇拍手
  44. 稻垣平太郎

    ○稻垣平太郎君 只今議題と相成りましたる請願並びに陳情の審査の結果を御報告申上げます。  請願第六十七号は、八幡製鉄所薄板工場設備を室蘭市輪西製鉄所に移転することに関する請願、同第百八十六号、農村企業工場原動力用石油代用燃料装置設置に関する請願、同二百二十一号、鉄鋼局設置促進に関する請願、同二百二十七号、長崎縣の鉱害に対する國庫補助に関する請願、第三百十一号、常盤炭鉱地帯漏水防止工事施工に関する請願、同第三百十五号、産業者車りよう課設置に関する請願、同第三百六十三号、配炭公團法の一部改正に関する請願、第四百三十五号、カーバイトの生産振興に関する請願請願第五百二十一号、五百八十号、六百八十三号、これは皆、軽金属地金價格差補給金に関する請願であります。尚五百八十一号、硫化鉱増産施策に関する請願、同六百四十五号非鉄金属地金價格差補給金に関する請願、以上が請願であります。陳情は、二百二十一号並びに二百四十四号、布はく製品生産計画に関する陳情陳情二百八十九号、軽金属地金價格調整補給金に関する陳情、右各件は、それぞれ関係の小委員会にこれを付託いたしまして、審議いたしたのでありまするが、その結果いずれも願意が甚だ妥当なるものであると認めまして、これを採決し、議院の会議に付するを要するものであつて内閣に送付を要するものと決定いたした次第であります。以上御報告を申上げて置きます。(拍手
  45. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕
  46. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会