○岡田宗司君 私は
日本社会党を代表いたしまして、次の諸点に対して
政府にお尋ねいたしたいと思うのであります。
北村
大蔵大臣は去る四日の
演説におきまして、
昭和二十二の均衡を保持し、
インフレの高進を抑止し、以て一應の中間安定を実現する途を開くことを強調されておるのであります。
予算書を拝見してみますと、確かに一般
会計におきましては
数字の上では收支の均衡が取れ、形式的には健全
財政主義が貫かれておるのであります。併しこれによ
つて大蔵大臣が目的とせられているような
インフレの抑止、或いは中間安定の招來ができるかどうかということにつきましては、私は非常に大きな疑問を持
つておるのであります。二十二年度の当初
予算においても、健全
財政主義から
編成され、その後の補正
予算の場合におきましても、悉くその
立場を取
つておるように言われておつたのでございます。併しながら実際におきましては
インフレの抑制は全然できておりません。
インフレはどんどんと進んで、今日の段階に來ておるのであります。二十二年度の総
予算は二千百四十二億でございましたが、本年度の
予算は約その倍に近い四千億にな
つております。更に特別
会計を見ますならば実に1兆二百二十七億円、昨年に比しまして六千億円も多いのでございます。かような
状態でございますが、而もこの特別
会計或いは地方
財政等を通じまして檢討いたして見ますと、約一千億円の公債が発行されることにな
つているのであります。かような
予算が実施いたされますならば、当然通貨が膨脹することは火を見るよりも明らかでございます。今日日銀券の発行高は約二千二百億台でありますけれども、恐らく新
予算が実施いたされまするならば、忽ちに
増加いたしまして三千億を超えるだろう、或いは三千五百億円になるだろうということは、これ亦火を見るより明かなことであります。かような通過の膨脹が、新
予算の実施に伴いまして急激に起るといたしますならば、
物價も亦全面的に騰貴いたしまして、
賃金や或いは俸給の騰貴も亦止むを得ないことになるのであります。
政府は、
予算面においては、
物價の約七割増を見込んでおるようでございます。併しながら一般の
物價高騰がこの
程度で收まるかどうか、そうして又中間安定が
物價の面において得られるかどうかということも、私共には疑問なのでございます。かように、本年度
予算は形式的には健全
財政主義に貫かれていると申しますけれども、実質的には
インフレーションを飛躍的に高進せしめるところの
インフレ予算に外ならないと思うのであります。
昨年の暮から通貨の発行量が大体に横這いにな
つているのでございますが、これは
インフレ抑止の
政策が成功しておるということを示すのではないのでありまして、ただ一月以降租税の徴収が急でありまして、
政府の資金徹布と吸收とが一時バランスの取れたに過ぎないのでありまして、新
予算が使い始められますと、必ずこのバランスは崩れると、こう考えられるのであります。そうして恐らくこの
予算が使われております中間の時期におきましては、莫大な大蔵省証券の発行をなさなければならなくなる、この点も火を見るよりも明らかと思うのでありますが、本年度の
予算におきましては、大蔵省証券発行の限度を六百億と抑えておるのでありますけれども、これが果して十分であるかどうか、私はこれも動かさざるを得ないのではないかと思うのであります。
そこで先ず第一に
大蔵大臣にお伺いしたいことは、新
予算が施工されましてから一二ヶ月の間におきまして、一体日銀発行高はどのくらいになるお見込みを持
つておるかどうかということでございます。
次にはこれに関連いたしまして、大体通貨の発行限度を幾らぐらいにお定めになるつもりであるか、この点につきましてお伺いしたいのであります。通貨の面に対する抜本的な方策が講ぜられてない以上、私は
インフレの悪化は免れないと思うのでございます。新
予算の実施後、恐らく数ヶ月にいたしまして、
物價賃金の著しい変動が起り、又もや厖大な追加
予算を組まざるを得なくなると考えるのであります。
大蔵大臣はこの新
予算の面に現されておりますところの
賃金、
物價の水準をずつと維持できるとお考えにな
つておるかどうか。そうして
予算を年度末までさしたる変更を加えずに維持して行くことができる自信をお持ちにな
つておるかどうか。その点について明確なる御答弁をお願いしたいのであります。
次にお伺いしたい点は、本年度
予算の計上の基礎となつた
物價と
賃金の関係でございます。
政府は
物價は七割増、
賃金は三千七百円
ベースとして
計算しておるようでありますが、まだ
物價につきましては、重要なる物品のそれぞれの
價格についての発表がございません。
賃金につきましても、それを
決定するに至りましたところの基礎の
数字が、全然私共に発表されておらないのであります。これらの二つに対しまして、ヴェールを被さしておきまして、國会に
予算を提出され、これを審議せよということは、甚だ無理があると考えるのであります。(
拍手)この点は
政府の
やり方が極めて不親切であると考えてございまして、速かにこの点に対しまして
政府は資料の提供をされんことを私は望むのであります。(「
米價も決ま
つてないぞ」と呼ぶ者あり)
それはさておきまして、果してこの三千七百円の新
賃金ベースで以て、勤労者の
生活が
赤字なしでや
つて行けるかどうか、竹の子
生活をしないでや
つて行けるかどうかということが甚だ疑問なのでございます。この点二十二年度の追加
予算の場合におきましては、一應
数字が出してありました。無論この
数字はその通りに進行しなかつたことが今日の状況を招いておるのでありますが、私共は今度の三千七百円
ベースで、果して勤労者の
生活が安定し得るかどうか。その点について
政府はどういう確信を持
つておるかお伺いしたいのであります。今度の
賃金ベースに対しましては、
物價の改訂による撥ね返りがどのくらい計上されておるか、或いは又所得税の減額等もこの中に考慮されておるようでありまして、
政府ではその点からして
只今加藤
大臣の言われましたように、大体十分であると言われておるようでありますが、
物價が
政府が考えておるような上り方で済むかどうかということ、これは非常な疑問であります。又通信料金であるとか、或いは通貨の値上げ、こういうものがやはり直接間接勤労者の
生活に非常な重大な影響を持
つて來るのでありまして、私共はこれらの値上げにつきましては、極めて妥当性を欠くものである、これは愼重なる檢討を要するものと考えておるのでありますが、更に酒、煙草の値上げとか、或いはその他の
物價の値上り、特にこれから端境期になりましての主食の闇値の騰貴から見まして、恐らく新
予算実施後の生計費の騰貴というものは、
政府が今予想しております以上に大きいものがあろうと、私共には推算されるのであります。こうな
つて参りますと、忽ちに又
賃金ベースを改訂いたしまして、延いては追加
予算を出さなければならんと、こういうような状況が必ず起ると私共には考えられるのであります。現在
官公廳労組におきましては五千二百円
ベース、而も手取りでございます、これを要求することに
決定しておるのでありますが、この要求額と
政府の言いますところの三千七百円
ベースとの開きは極めて大きいのであります。而も民間におきましては、電産を初め現在においてももつと高い
ベースの
賃金も拂われておるのでありまして、今後におきましても恐らく民間の
重要産業の
賃金は、この
ベースをどんどんと追い越して行くであろうと予想されるのであります。
政府は
予算の辻褄を合せるということを強行する余り、勤労者にこの三千七百円
ベースをそのまま押付けるつもりであるのかどうか。そうなるといたしますならば、労働組合との正面衝突はこの際免れないと私は考えるのであります。これは
日本の
経済再建にとりましても重大な影響を及ぼすものでありますが、
政府は労働
組合側との團体交渉によりまして合理的な
賃金を定め、以て労働争議が頻繁に繰返されることを避けねばならないと私は考えるのであります。本日の新聞紙を見ますというと、この三千七百円
ベースの問題につきましては、
政府の中におきましてもまだ最終
決定を見ておらん、幾らか
余裕のあるように拝見したのでございますが、果して
政府はこの
賃金水準につきまして尚改訂する
余裕を残しておられるのかどうか。その点についてお伺いしたいのであります。更にこの
政府の
賃金ベースを維持されるために、或いは民間
賃金に対しまして直接間接に統制を加えるお考えであるのかどうか。若しそうだといたしましたならば、その
方式はどういうものであるかということについて具体的なお答えをお願いしたいのであります。
第三にお伺いしたいことは、
大蔵大臣は先の
演説におきまして
外資導入について力説されておるのであります。又
芦田首相は組閣以來盛んに
外資導入を開道し、この内閣によりまして
外資導入が実現され、
外資による
日本経済の復興が急速に行われるかのごときの印象を
國民に與えておるのであります。戰争によりまして生産力をめちやめちやに破壊され、又重要資源の乏しい
日本の
経済力が、今日七千八百万人の
國民の最低
生活さえ維持できないことは改めて言うまでもないことであります。従いまして
日本経済は好むと好まざるとに拘わらず、
外資の援助なくしては復興どころか現状維持もできないような
状態であります。併しながら
外資の導入ということは、
芦田首相が説かれておる程そう
簡單に容易にあてにしていいものであるかどうか、これは甚だ一考を要する問題であると考えるのであります。現在
日本が最も恩恵を受けておりますところは
外資の形は、略称ガリオアと呼ばれるところの米國
政府の占領地域救済費であります。これは占領地域行政の円滑な施行を図るために、民生安定に必要な食糧、石油、肥料、医藥品の送付に当られ、従來我が國に輸入され放出された
物資の殆どすべてはこれによ
つて賄われておるのであります。昨年の夏、いわゆる民間貿易の再開と共に設定されましたところの輸出入回轉基金は、実際にはいろいろな障害がありまして、運用を開始し得ない
状態にあり、
日本の対外貿易の伸張につきまして当時非常に大きな期待を與えておりましただけ失望は深いのであります。かような
状態でございまして、又一九四八年九年度の連邦
政府の
予算に組まれておりました
日本、朝鮮等の復興援助費一億五千万ドルは下院におきまして最近否決されたのでございます。上院は対外援助費の復活に努力しつつあるというのでありますが、これ亦楽観的予想を許されないのであります。数日前に六千万ドルの綿花借款が成立いたしましたが、これとても純然たる民間
外資じやない、民間
外資の導入に至りましては、一部には何となく入
つて來るというような漠然たる幻想が生じておるのでありますが、爲替相場の決まらない、又外國への送金が許されない今日として入
つて参りますか。アメリカ側におきましては今日民間投資のごとき殆んど全く問題にしていない
状態なのであります。現状かくのごとくでございまして、
外資導入は必要である、我々も亦切望するところでございますが、一体
政府は如何なる種類の
外資導入に期待をかけておられるのでございますか。よもや
政府はただ漠然として希望的
見解を述べておるのではないと思うのであります。
政府は連合國に対しまして如何なる
外資の導入を懇請しておるのでありますか。その見通しはどうであるか、又その
外資を考慮に入れて、安本は
経済復興計画を立てられておるのであるかどうか。栗栖安本長官よりその輪郭を明確にして頂きたいと思うのであります。
次に
質問いたしたいことは、通貨改革に関する問題でございます。私は
大蔵大臣及び安本長官が、本年度の
予算の実施について大いに力説されておりますところの、いわゆる中間安定が実現されることは不可能ではないかと思うのであります。何となれば、基礎のない、全く不換紙幣であるところの円貨をこのままにして置きまして
インフレを抑止する、或いは收束するということは、実に馬鹿げきつたことであると思うのであります。
終戰後円の切換等をやりましたけれども、
インフレはいよいよ惡化して参
つております。今後その速度は加速度を加えるものと予想されるのでありますが、惡性
インフレが如何なる禍害を國家にもたらすものであるかということは私が詳しく申上げるまでもなく、もはや今日の段階におきましては、形式的な均衡
予算や僅かばかりの生産の
上昇や貿易の回復ぐらいで
インフレは終熄するものではないのでありまして、
インフレを終熄せしめます途は、金若しくは外國爲替を基礎とするところの健美なる通貨制度を作り出しまして、現在の貨幣制度を解消せしむる以外にはないと信ずるのであります。通貨改革を実現いたしますには、
予算の收支均衡、生産
上昇、或いは輸の
増加等、必要條件でございましよう。特に現在の
日本におきましては、これを実現するためには連合國、特にアメリカの資金援助を絶対に必要とするものでありますが、私共はすでに
日本におきましても通貨改革を行うべく準備をなす段階に來ておると信ずる者であります。今次の世界大戰におきましても、すでに欧州におきましては、悪性の
インフレーシヨンの最もひどかつたハンガリーやルーマニアにおきまして、その他の諸國において通貨改革が行われ、ソ連におきましても通貨改革が断行されたのであります。又現在では
日本と同じように連合國軍の占領下にありまして、西ドイツにおきましても連合國の手によりまして通貨改革の準備が進められておるのであります。一九二三年の冬にドイツに現われましたレンテンマルクの奇蹟が、今日の
日本に再び現われるとは私は考えておりませんが、少くともあの時の通貨改革も、亦我々が研究の対象といたしまして、そのうちからいたしまして偉大なる教訓を汲み取らなければならんものであると信ずるのであります。
政府は通貨改革を
インフレーシヨンを終熄するところの最も根本的な
方法であると考えられておられるかどうか、この点についてお伺いしたいのであります。又
政府は通貨改革のために具体的なる調査を開始し、そのための準備を進められつつあるかどうか、その点についてもお伺いしたいのであります。
次に農村の問題につきまして二つの点をお伺いしたいのでありますが、現在
インフレーシヨンの高進の過程におきまして、農村はすでに一種の金融恐慌が始まりつつあるのであります。昨年の秋の
米價は他の
物價に比して安かつたのでありますが、その上に持
つて來まして農民の必要といたします諸
物資の
價格は、その後も引続き騰貴いたしまして、加うるに本年春農民にぶつけられて参りましたところの税金が非常に重かつたために、農民は一昨年或いは昨年に見ないような窮状に当面しておるのであります。すでに税金を拂うために家財道具や牛馬までも賣る農民が出て來ておるという、或いは又税金を拂つたあとで、もう田植を前にいたしまして、配給の肥料さえ買えない農民が続出しておるような
状態であります。これでは農民は安心して食糧増産をやるどころではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)農業会の預金は、税金や肥料代金の
支拂のためにどんどんと引出されまして、農村におけるところの枯渇は非常に甚だしい
状態にな
つております。
政府はすでに農業手形制度を設けまして、当面の肥料、農機具、農藥等の資金を心配することになつたのでありますが、このくらいでは農村におけるところの資金枯渇に一時的な應急的措置を実施したに過ぎないのであります。農村におけるかのような金融の梗塞は、
日本農業の復興と発展を著しく妨げるに至
つておるのであります。農業協同組合が法律の施行によりまして華々しく発足したのでありますが、組合
一つ一つの自己資金というものは極めて小さい、満足の仕事をすることができないのであります。資金を外から借りようと思いましたも、貸すところがないという現状でございます。かような
状態に至りまして、農業協同組合は初めから足踏みをしなければならん
状態にな
つております。農村工業も、水利事業も、耕地整理も、土地改良も、災害復旧も、当面農業に対するところの長期金融の道は殆んど塞がれておると言
つていいのでありまして、そのために農村のすべての復興事業が甚だしく行詰
つておる
状態にあります。このままに放置して置きますれば、農業
経済及び農民
生活というものは急速に悪化いたしまして、再び不安定な
状態に陥りまして、
日本の
経済復興に対するところの大きな妨げとなることは必至なのであります。
日本農業を新らしい基礎の上に発展さすためには、いろいろな根本施策が必要なのでございますが、だが、当面の農業金融の行詰りを打開することがその中で急務なのであります。私はこのために長期金融を主といたしますところの農林復興金庫を設置いたしますことが焦眉の急であると考える者であります。復興金融金庫に対しましては、すでに
政府は数回に亘りまして莫大な出資をしております。復金がその運営上におきましていろいろな問題を起し、又非難すべき点も多いのでございますが、確かに今のめちやめちやに破壊されました工業を復活させるために大きな役割を演じておるのであります。
政府は、農業方面におきましても、復金と同じような機能を持つところの、
政府出資による農業復興金庫を設ける計画を持
つておいでになるかどうか。
大蔵大臣及び農林
大臣にお伺いしたいのであります。
次にお伺いしたい点は、
中西君も言われた
米價の差額金の返還の問題であります。
政府は二十三年度
予算の実施に伴う
物價改訂において、米の消費
價格を改訂する計画をお持ちのようでありますが、これは近く、できるだけ早く、少なくとも
予算の実施と同時になさなければならないと思うのであります。この場合
政府は差額金を農民に現金で返還する意思があるかどうかをお伺いしたいのであります。これは現金で返還するという
方式を取らなければ、この差額金の返還という点につきましては、私は意味をなさんものであると、こういうふうに考えるのであります。この問題につきまして、すでに買上げたものにバツクパイすることはいけないという意見もあるのでありますが、供出制度の下におきまするところの米というものは普通の
商品ではないのであります。又
政府は昨年秋
米價を
決定する際に、農業生産及び農民
生活に必要なる
物資を公正なる
價格によ
つて、適期に配給する
約束をしておるのでありますが、かような点から考え、又バツクペイというものは、
政府は
官公廳の職員等の
賃金、俸給につきましては常に行
つておるのであります。農民は、
政府が米価の改訂並びに差益金の返還につきまして公正なる措置を講ずるであろうと期待しておるのであります。若しこれが裏切られるといたしますならば、農家は物価改訂に伴う農家必需品の価格の高騰によ
つて一方では苦しめられることになる。そのために農民の生産意欲が低下いたしまして、麦、馬鈴薯の供出、更に本年の秋の米の供出に甚だ大きな影響を生ずるものと私どもは考えるのであります。そうして
政府が農民より怨嗟的にならうとも考えられるのであります。
政府は物価改訂に伴う米の価格を幾らぐらいにされるのか、この点についてお伺いしたいし、又現金で変換されるかどうか、その点も農林
大臣の伺いしたいのであります。
次に
質問いたします点は、地方
財政に関する点でございます。戦争中、戦時
経済を賄うために、一切の
経済力を挙げまして國家に集中しなければならなかつたのであります。地方
財政の財源も亦目ぼしいものは、殆どすべて國家の手に移されたのであります。かようにいたしまして、今日地方自治体は、
財政的なる独立を全く失
つてしまい、中央
政府の下に従属しなければならない状況にな
つておるのであります。戦後民主化の線に沿いまして、地方自治の確立のために、いろいろ制度上の改革が行われましたにも拘わらず、実際にはその実が挙が
つておらない、その最大の
原因は何かというと、実に地方自治体が財源がない、中央
政府より
財政的に独立しておらないという点にあるのであります。而も
インフレーションの高進によりまして、地方
財政も亦
物件費も
人件費も著しく膨張いたし、又地方自治法の制定によ
つて、いろいろなる所要経費が急増いたしまして、地方
財政は極度に窮迫しておる現状にあるのであります。然るに、
國民の大
部分は、國税だけさえ今日の段階におきましてはなかなか背負いきれない
状態にな
つておりまして、地方
財政の新規財源を求めることは容易ではないのであります。このままで放置しておきますならば、地方
財政は、都道府県も市町村も共に破綻に瀕します。地方自治の確立のごときは全く空文となりまして、
日本の民主化は末端から崩壊するに至るのであります。本年度の
予算におきましては、地方
財政の面においては、事業税を創設いたしましたり、或いは地租、家屋税、住民税等の税率の変更、そういうものによりまして地方民の
負担は相当増大することにな
つておるのでありますが、かかる地方税にも拘わりませず、まだ地方
財政を確立するところの騒ぎではないのであります。四百五十何億円の地方分興税分担金を國家より受けておりますが、それでも足りませんで、二百余億円の地方債を起債しなければならないような現状にな
つておるのであります。現在
國民の租税
負担がすでに限度を超えておると思われるときに、地方
財政の完全なる確立を今直ちに実現することは困難ではありましようが、併し
政府はできるだけ速かに地方
財政の確立を図るべく諸般の措置を講じなければならんと私は思うのであります。この点に関しまして、
政府は地方
財政の確立のために、單なる緊急対策ではなく、如何なる根本
方針を持
つておるか、この点野溝地方
財政委員長にお伺いしたいのであります。以上を以ちまして私の
質問を終わることといたします。(
拍手)
〔
國務大臣北村徳太郎君
登壇〕