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1948-05-31 第2回国会 参議院 本会議 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月三十一日(月曜日)    午後三時十三分開議     —————————————  議事日程 第四十号   昭和二十三年五月三十一日    午後一時開議  第一 農地開発営團の行う農地開発 事業政府において引き継いだ場合の 措置に関する法律の第一部を改正する 法律案内閣提出衆議院送付)(委 員長報告)  第二 行政官廰法等の一部を改正す る法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)     —————————————
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより会議を開きます。この際お諮りして決定いたしたいことがございます。司法委員長より裁判官の刑事事件不当処置有無実地調査のため静岡縣伊藤修君、鈴木安孝君、齋武雄君及び中村正雄君を五月三十日から二日間、水産委員長より水産物増産対策に関する調査のため漁網綱工場等実地調査のため石川縣青山正一君、松下松治郎君、江熊哲翁君及び小川久義君を、三重縣大阪府に門田定藏君、田中信義君、前之園喜一郎君及び岩男仁藏君を六月五日から九日までの五日間の各日程を以てそれぞれ派遣いたしたいとの要求がございました。これら十二名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないものと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。      ——————————
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第一、農地開発営團の行う農地開発事業政府において引き継いだ場合の措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず、委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。    〔楠見義男登壇拍手
  6. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題になりました法律案につきまして委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。農地開発営團の行う農地開発事業政府において引き継いだ場合の措置に関する法律は、去る第一回國会におきまして制定せられた法律でございまして、この法律は当時御報告申上げましたように、昨年九月農地開発営團閉鎖機関に指定せられましたために、それまで営團が行なつておりました農地開発或いは緊急開拓事業政府が引き継ぎ、政府みずからその実施に当ることとなり、これに伴う善後措置規定した法律でございます。  而して爾來政府は右の法律に基きまして、営團から引き継いだ事業実施に必要な資材の買收、或いは営團職員引き継ぎ等を行なつて参つたのであります。而してこの政府に引き継がれた職員約三千名は、本年の三月までは農林省の嘱託乃至雇傭人として、又四月以降は同じく臨時職員として事業に從事して参つたのでありますが、右の職員中その約三分の一に相当する者につきましては、或いは資金前渡官吏として、或いはその他の責任ある地位を負担せしむるととが事業遂行上是非共必要でありますので、今回法律改正し、これらの者を官吏となし得るための根拠規定を一ケ條新たに設けんとする次第であります。  本改正法律案内容は以上の通りでありまして、その趣旨とするところは妥当なるものと認められ、從つて委員会審議に当りましても、改正案自体につきましてはさして意見もなかつたのでありますが、ただ本件に関連いたしまして、開拓乃至開墾事業実施上重要なる質疑が行われましたので、それらの中一二をここに御報告申上げておきたいと存ずるのであります。  先ずその一つは、開拓林業及び畜産との調和関係についてでありますが、この問題は前國会におきましても極めて眞劔に論議された問拓でありまして、即ち開拓事業が若し適当に行われない場合におきましては、治山、治水に重大なる影響を及ぼし、或いは畜産に大きな障害を與え、或いは又地方的に無用摩擦混乱とを生ぜしむるわけでありますが、当時政府はこれらの関係産業綜合調整については十分善処することを強調せられたのでありますが、その後の実情に照して尚遺憾の点も少くなく、かたがた先般関係方面より開拓政策に対する批判的な声明等のあつた事情もありまして、これらを中心として再び熱心なる質疑が行われたのでありますが、これに対する政府答弁は、要約いたしまするに、開拓事業については、從來の実績に徴して、十分再檢討を加え、今後その万全を期したい。而して具体的には、從來入植者の生活安定と、引揚者で待機中の農業者を主たる対象とし、これに從として補助開墾等を附加して行きたい。又林業畜産等との調整上、開拓の行過ぎの弊を防止するためには、開拓適地調査は、これらの関係者との共同調査によつて行い、立地條件は勿論、その他社会的、経済的條件を綜合的に見るように、地方廰を十分指導監督する方針を立て、それぞれ通達しており、これでも尚今後の推移に鑑み、不十分の場合は將來法的措置をも考慮するの要あるべしとの趣旨答弁がございました。尚開拓地決定の不安定な状態から生ずる地方的の無用摩擦混乱を除虫するために、内地においては、本年中に開拓予定地決定する方針を明らかにせられました。次の問題は、開拓土地改良との比較考慮の問題でありまして、即ち、当面の食糧増産に対する緊急要請から、又限られた國家財政の下における予算の有効使用の観点から、政府開拓事業土地改良事業如何調整するか、言い換えれば、土地改良事業に、より多くの重点を指向すべきではないかとの質問に対しまして、政府当局は、両者それぞれの長所を有し、開拓も、海外からの引揚開拓民関係もあり、又長い目で見れば必要と思う。併しながら、具体的には食糧増産上、土地改良は早急に効果が挙るのであるから、この方は是非大規模にやつて行きたいとの趣旨答弁がございました。右の質疑の外、いろいろの重要な質疑応應が行われましたが、これらは遺憾ながら速記録に讓りたいと思います。  かくて質疑終了後、本改正法律案について討論に入りましたところ、別に御意見もなく、採決に当りましてほ、本案全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました次第でございます。  以上御報告申上げます。
  7. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  8. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第二、行政官廰法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。決算委員長下條康麿君。    〔下條康麿登壇拍手
  10. 下條康麿

    下條康麿君 只今議題となりました行政官廳法等の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議状況を御報告申上げます。  この行政官廳等の一部を改正する法律案は、実は同じような題名の法律案が、先月三十日に決定になつておるのであります。その内容は、行政官廰法等施行が、或いは四月三十日、或いは五月二日という期限がありまして、これに代るべき法律の制定が時間がかかりますので、本月三十一日まで延期になつておつたわけであります。然るに、今の行政官廰法に代るべき國家行政組織法というものが、これは既に提案になつておりまして、國会提案になつておりまするけれども、この案につきましても、相当内容について議論がありますし、又この國家行政組織法に基きまして、各省設置法提案さるべき筈でありますが、今まで一つ提案されていない状況であります。從いまして、若し五月三十一日限りに、この行政官廰法等が、そのまま廃止になりますというと不都合を生じますので、取り敢えずもう一ケ月延しまして、その間に、國家行政組織法並びにそれに基く各省設置法審議すると、こういう段取にしたいというのが、この法律案要旨であります。かような簡單法案でありまするが故に、委員会におきましては、別段大した意見もなかつたのでありまするが、ただかようにだらだらと法案が延びまして、審議が延びまして、そうして一日も早く決定を要する事項が決まらないことにつきまして、これは政府責任じやないかというような質問がありましたに対しまして、政府も明かに、これは政府自体責任であるということを認めたのであります。  討論に入りましても、別段何らの意見もなく、本法律案は、原案通り可決すべきものと決定した次第であります。以上御報告を終ります。(拍手
  11. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  13. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加して、墓地埋葬等に関する法律案食肉輪移入取締規則廃止する法律案内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して、議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。    〔塚本重藏登壇拍手
  15. 塚本重藏

    塚本重藏君 只今上程せられました墓地埋葬等に関する法律案食肉輸移入取締規則廃止する法律案、両案につきまして、厚生委員会審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず墓地埋葬等に関する法律案につきまして御報告申上げます。本案に関しまする厚生委員会は、五月の二十五日、二十七日、二十九日及び三十一日の四回に亘つて開かれました。最初政府委員より、本法律案は、從來墓地納骨堂又は火葬場管理及び埋葬火葬等に関しましては、墓地及び埋葬取締規則明治十七年太政官布達第二十五号)、墓地及び埋葬取締規則に違反する者の処分方明治十七年太政官達第八十二号)、埋火葬認許等に関する件(昭和二十二年厚生省令第九号)によつて規整されて來たのでありますが、これらの規則昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令規定によりまして、法律に改められたものとされたのであります。併しながら同時にその効力は暫定的なものとして必要な改廃措置を取らなければならないことになつておりますので、その措置として前掲三つ規則を綜合した本法律案提出した旨の説明がありました。  本法案内容について、その概略を申しますと、本法律案は四章及び附則を加え全文二十八條よりなつておりまして、第一章総則において、墓地納骨堂又は火葬場管理及び埋葬が、國民宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的をする旨の規定、及び埋葬及び火葬改葬、墳墓、墓地納骨堂及び火葬場等の定義を明記し、第二章におきまして埋葬火葬及び改葬に関してその手続その他必要な規定をすると共に、第三章におきまして墓地納骨堂及び火葬場管理者の義務、その他管理に関する規定を設け、第四章におきまして罰則を規定いたしておるのであります。  本法案に対しまする質疑の主要なる要点を申上げますと、質問の第一、第二條の中の人の死体として取扱うものを「妊娠四箇月以上の死胎」となつているのを、四箇月未満のものも含めてはどうか。答、四ケ月未満の者は医学的根拠から見てもその判定が困難でありまして、從來もこれと同一の方法を以て行なつてきて支障はなかつたとの答弁であります。質問の第二、寺院内に宗教儀式として燒骨を一時的に保管しておるものは、納骨堂として取扱うのか。答、納骨堂としては取扱わないが、実際問題として多くの寺院は、期限附のものと一緒に無期限のものも保管しておる実状であるから、この面から本法が適用される。質問の第三、第十三條の正当の理由を似てこれらの埋葬又は納骨堂を拒み得る規定がありまするが、その拒み得る正当な理由とは如何なる場合であるか。答、例を挙げて申上げますと、死体が多いために火葬場において処理が困難であるというような場合がある。又宗旨の異なる場合のごときは、從來内務省令の細目にも宗教的習慣を尊重するよう規定しており、正当な理由一つと認められる。質問の第四、分骨の場合はどういう取扱をするのであるか。答、一旦收藏しました遺骨の場合は、その施設が許可を得て收藏し、これを分骨するものであるという証明書を発行し、これを行うことができる。質問の第五、第十八條当該吏員立入檢査の場合は、関係者要求があつた場合にその身分証明書を呈示するのではなくて、立入りの際要求有無に拘わらずこれを呈示するように規定した方が宜いと思うが、如何。答え、從來の法規では身分証明書を携行するだけで呈示する必要がなかつたが、今後は要求があつた合には呈示しなければならないように規定したもので、運用を誤らないように十分なる処置をいたすつもりである。又質問の第六に、從來陸軍墓地管理はその後変遷されているようであるが、その取扱はどうか、尚厚生省一つ所管に移すべきではないか。これに対する答、旧陸軍墓地については國有財産として大藏省所管しており、実情市等公共團体に委託して管理せしめておるということになつておる。これらを厚生省所管として一つ管理するには、國有財産としての処理上、全般的の関係もあるので、大藏省方面或いは建設院方面とも連絡し、研究して善処する考えである。質問の第七、第七條に「船舶の中で死亡又は死産があつたときは、その死体埋葬又は火葬しようとする者は、」とあつて水葬の場合の規定がないが、水葬の際の処置如何ようにするのか。答、水葬の場合は船員法の第十五條の規定に指示してあるので、これによつて処置するのである。質問の第八、納骨堂とは他人の委託を受けて燒骨を收藏する所とあるが、古い墓地改葬の場合の古骨を納骨堂に收藏するときは、燒骨にする必要があるのか。答、古い骨は廣く解釈して枯骨と化しておるから、そのままにて礼を失わんように收藏することを認め、未だ枯骨と化していない新しいものについては、火葬に付するように省令にて規定して行くつもりである。質問の第九、燒骨埋葬したものを改葬する場合に、改めて許可を要するか。答、許可手続は極めて簡單であるから、是非実行いたすようにしたい。  以上のような質疑應答がありまして、本日厚生委員会において討論に入りましたところ、一委員より、第七條に「船舶の中で死亡又は死産があつたときは、その死体埋葬又は火葬しようとする者は、その船舶最初に入港した地の市町村長許可を受けなければならない。」とあるが、これは実際問題として「最初に入港した地」と限られてあることは不便であるから、「最初に入港した地」の次に、「若くはその上陸地」と挿入するよう、修正意見提出せられたのでありますが、これに対しまして政府委員説明を聽取いたしましたところ、第七條規定死亡又は死産届出と埋火葬許可と一致させるものであつて、これを直ちに修正する場合は、戸籍法特例死産届出に関しまする規定との調整を必要といたしまするので、これのみの修正では取扱上困難な場合もあるので、將來愼重に研究して行きたいとの答弁がありましたので、修正案提出者から、当局規定の欠陥を認められておるし、各種の法令に対しては相互調整する必要があるから、今後更にこの点を研究し改正を図るように強く要望して、先ず修正案を撤回せられたのであります。更に一委員より、本法案賛成であるが、第一條國民宗教的感情に適合するように目的規定せられてあるが、法案内容が全般に亘つて事務的な手続上の取扱いが多いから、故人の霊を取扱う場合、第一條趣旨を運営の面において、宗教上、又人道上道徳上にも十二分に礼儀を失わないように取扱つて貰いたいということの希望意見が述べられました。  以上を以て討論を終りまして採決に入りましたところ、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に食肉輸移入取締規則廃止する法律案につきまして、その審議経過並びに結果について簡單に御報告申します。  本案に関しまする厚生委員会は、五月六日予備審査付託となりまして、五月二十五日、二十七日、二十九日及び三十一日の四回に亘つて開会いたしました。  先ず本法律案提案理由要旨を申上げますると、[食肉輸移入取締規則は、輸移入食肉衛生上の取締りを徹底するため、昭和二年内務省令第四号を以て制定したものでありますが、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令規定効力等に関する法律一條の四の規定によりまして、必要な改廃措置を取らなければならないことになつております。併しながら未だ食肉輸移入が行われるに至つておりませんので、一應これが廃止措置を取ることとして提案されたのであります。  尚政府委員より、從來輸移入食肉衛生取締りは、專ら食肉輸移入取締規則によつて行われて來たのでありますが、この規則取締り対象となりまするものは、食肉に供する件、緬羊、山羊、豚及び馬の生肉販賣の用に供するものでありまして、これには輸出又は移出國の官憲の屠畜檢査を経た上、特に指定した海港、例えば大阪、横浜、神戸、長崎、嚴原、敦賀、下関、門司、宇品において、都道府縣知事の檢査を受けて輸移入されることとなつてつたのであります。終戰以後これら肉類輸移入が中止せられましたため、事実上は殆んど実施されておらない現状であります。  この規則廃止伴つて國内におけるこれら肉類衛生取締りにつきましては、食品衛生法により万全を期することになつておるとの説明がありました。  五月二十九日本審査付託となり三十一日の委員会におきましては、本案は、内容も極めて簡明なものでありまするので、討論もなく、当然の立法措置と認めまして、全会一致を以て討論を省略しまして採決、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上簡單でありますが、二法案委員会におきまする経過並びに結果を御報告申上げた次第であります。(拍手
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  17. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。  これにて本日の議事日程は全部議了いたしたのでありますが、尚すでに委員会審議を終え、報告書提出されている議案がございますから、その審議のためこの際暫時休憩いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。暫時休憩いたします。    午後三時四十五分休憩      ——————————    午後四時四十四分開議
  19. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 参事をして報告をいたさせます。    〔根本参事朗読〕 本日委員長から左の報告書提出した。  政府職員の新給與実施に関する法律案可決報告書同日財政及び金融委員栗山良夫君及び中西功君より各々より左の報告書提出した。  政府職員の新給與実施に関する法律案に対する少数意見報告書      ——————————
  20. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。この際日程に追加して、昭和二十三年の所得税予定申告書提出及び納期特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。     —————————————    〔黒田英雄登壇拍手
  22. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今議題と相成りました昭和二十三年の所得税予定申告書提出及び納期特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告をいたします。  この法律案は前に、本年に限りまして所得税の四月予定申告書提出期間を延ばすことにつきまして、すでに二回御報告申上げておるのと、それは全く同じ理由に基いておるのであります。第一回は四月のを五月にし、更に又五月のを六月にいたしたのでありますが、今回はやはり税法の改正がまだ國会承認を得ませんので、更にこれを七月に延期しました。從いまして七月の予定申告はこれは取止めることにして、そうして本年に限つて三回の申告になります。これに伴いまして納期も又七月、十月、一月という三回になります。三分の一ずつを納めるということにいたさんとするのであります。これに伴いましていろいろな規定を設けておるのでありまして、委員会におきまして討論に入りましたが、別に御発言もなく、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものなりと議決いたした次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手
  23. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔総員起立
  24. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  25. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) この際日程に追加し、政府職員の新給與実施に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚本案については少数意見報告書提出されております。先ず委員長報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。    〔黒田英雄登壇拍手
  27. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今上程されました政府職員の新給與実施に関する法律案につきまして委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告をいたします。  委員会はこの法案労働委員会関係が深いと考えまして、連合委員会を開きますことが、四回、更に財政及び金融委員会を二回、午前午後に亘つて開きまして極めて愼重に審議をいたしたのであります。  本法案は、先般國会の議決を経て、法律第十二号として公布されました政府職員俸給等に関する法律、即ち給與水準を二千九百二十円に引上げ、取り敢えず二千五百円水準暫定給與の内拂いをするというのであつたのでありまするが、爾來一部の組合を除きまして、組合側承認が得られなかつたのであるが、漸く四月の十六日に覚書に調印して爭議は解決したのであります。その覚書に基きまして一切の政府職員組合の参加を得まして、新給與整備委員会が設けられ、二千九百二十円水準給與配分方法、特に職階制給與の線に沿う新給與体系具体的方針協議立案に当つたのであります。四月二十七日意見が一致して、成案を得て、政府はその成案従つて、この法律案を作成したというのであります。  この法案内容について簡單に申上げますが、この法律案は、法律第十二号の本則の第三項の規定に基いてできた法律案であるのであります。先ず給與の種類は、俸給扶養手当勤務地手当及び特殊勤務手当の四種といたしているのであります。次になかんずぐこの俸給につきまして、從來我が國の因習的な俸給制度を一擲して、新憲法の下に民主的行政機構にふさわしい給與制度への画期的轉換を行うことを目標といたしておるのでありまして、從來單に学歴、資格、勤続年数等に應じて、その人の従事している職務必らずしも合理的の関係がないのであつたのでありますが、今回職階給與制度を原則といたしまして、新しい給與体系を採りまして、各職員職務内容責任の軽重、勤労の強度、勤務聴聞勤労環境その他勤労に関する條件に應じて定めることにいたしておるのであります。而してこれらの條件に應じまして、これを十五級に分類し、各級に一定の俸給の幅を設けておるのであります。そしてこれは事務官廰について規定しておるものでありまして、現業官廰その他のものについては、これに準じて決めることになるというのであります。この給與制度はいわゆる完全な職階制度とも言えないのでありまするが、職階給與制度の実現に一歩を踏み出したものでありまして、從來の我が國の給與制度に対しては根本的に変革を來たすものであるのでありますから、その目的を完全に達成するために、内閣総理大臣所管の下に、新給與実施本部、地域給審議会、新給與苦情処理委員会の三機関を置くことにいたしておるのであります。そのうち新給與苦情処理委員会というのは、新らしい給與に当嵌めました場合におきまして、各個人に苦情、異議があつたような場合において、これを最終的に決定する機関といたしてあります。  かくて質疑に入つたのでありまするが、各委員から極めて熱心な論議が交されたのであります。或いは特に大藏、労働の両大臣、西尾、苫米地両國務大臣も列席して貰つて質問をするということもあつたのでありまするが、政府の都合によつて全部一緒にはなりませんでしたが、大体出席を得たのであります。これを一々質疑を御紹介するのは長時間を要するのでありまするから、速記録に譲ることをお許しを願いたいと考えるのでありまするが、極めて若干の点について簡單に御紹介をいたします。先ず法案は、政府はその内容について、すでに組合側意見の一致を見ておるというが、組合側においては、今日尚異議を唱えておるようであるが、どうであるかということに対しましては、政府委員より、その点は第一條に二項、三項が加わつたのであるが、これは交渉の際なかつた條項であるのである。これは國家公務員法に関する規定でありまして、公務員法を施行させるについては、当然の関係があるので適当と認めたのであるということであつたのであります。尚二十條の欠勤の場合の月給の引き方とか、或いはその他二三の点があるのでありまするが、これは政府の見るところでは、組合側の誤解を招いておることは誠に遺憾である、というような答弁であつたのであります。これについては懇談会に移つて組合側の代表の申し分も聽取いたしたのであります。これらの喰違いの問題につきましては、いろいろ論議が長い間交されたのでありまするが、これも速記録で御覧を願いたいと存ずるのであります。この法律案の二千九百二十円水準は、一月から三月までのものではないかという問に対しましては、二千九百二十円の水準は、新しい給與水準が決まり、新給與が決まるまでのものであると解釈しておるという答弁であつたのであります。又法第十二号を審議した際に、政府は二千九百二十円水準は、一月から三月までのものであつて、四月から更に新給與水準を定めるというような答弁があつたかどうかということに対しましては、加藤労働大臣は、私が言つたのは、四月になつたら直ちに改訂するという意味ではないのであつて物價の改訂とか、その他重要な問題が起つた時には、改めて論議すべきものであつて、その当時は四月末か、五月初め頃には物價の改訂が行わるるであろうと考えておつたので、そのことを述べたのである。新しい給與水準が決まるまで、これは適用されるものであるという答弁であつたのであります。然らばいつ頃物價の改訂が行われて、給與水準が改められる見込であるかということの問に対しましては、    〔議長退席、副議長着席〕  加藤労働大臣は、今の予定では大体六月十五日頃には物價の改訂か、補正が行われる。從つて給與問題も、六月初め頃から変更される段取りになるであろうというような答弁があつたのであります。新しい給與水準が決まれば、更に新しい給與に関する法律を作るかということの質疑に対しましては、この場合には改めていろいろの角度から研究して法律を作らなければならんと考えておる。而してこの法案にある規定で尚残さなければならんものは、その法律に取り入れられて適当に規定されるものと思うというような答弁があつたのであります。それから尚法案の中の第一條に、「人事及び給與に関する方針の統一をはかるため、」とありますが、「人事」は組合の折衝の際になかつたのが、何故こういう規定を置く必要があるかということにつきましては、職階が決ますますと、どういつた程度の人を係長にするか、どういつた資格、経験の人を課長にするかということは、おのずから決まつて來るのであつて、それが人事に関する方針の統一になる意味で用いたのであるという答弁であつたのであります。尚公務員法の給與準則としては、給與を成るべく簡素化する方針と承知しておるが、扶養手当は尚残つておるが、これは公務員法施行の七月一日からなくなるものかという質問に対しましては、公務員法の本来の狙いはそうでありますが、職階制の意味から見れば、どうもこの扶養手当などはそぐはないことは認めるのである。家族手当、扶養手当が全体の給與の中で占める比率は段段減らして行かなければならんと考えておるのでありますが、七月一日から直ぐになくなるとは言えないのである。現実の実態、経済の安定等と睨み合せて、段々比率を少くして遂になくする措置を取ることになるものと思うというような答弁でありました。時間外給與規定がこの法律にはないが、又時間外の支拂いが非常に高額に上ぼつて曲ると聞くが、重大な問題ではないか、特に日本タイムズに出ておつたのを引かれての御質問もありました。その答えは、昨年九月労働基凖施行に伴つて、一般官吏もこれに倣うようになつたので、実働労働の八時間以上でないと割増しは附けないが、それによつて支給するので、法律には規定しなかつたということであるのであります。実績は報告が十分集まつておりませんが、一部の事務官廰の平均は三十分くらいの程度である。又これは誰でも残つておれば支給をするものではなくして、上司が必要と認めて積極的に居残りを命じた場合に限つて支給する建前であるという答弁であつたのであります。その他後に申しますが、修正案に出まするような一條の第二項中に期限を附した点とか、三機関の存続の問題とか、爭議中の給料の問題であるとか、或いは苦情処理委員会がいわゆる紛爭処理委員会とどういう点が異なるかということにつきまして、又他の種々の点について御論議がありましたが、すべて速記録に讓ることをお許し願いたいと思うのであります。かくて質疑を終了いたしまして討論に入りましたが、無所属懇談会の栗山委員からいたしまして、修正案提出があつたのであります。それは第一條第一項中、「人事及び」を削る。第一條第二項中、「この法律のすベての規定は、昭和二十三年十二月三十一日(法律をもつてそれ以前の期日を定めたときは、その期日)限り、その効力を失うものとする。」を削る。第一條第三項削除ということであつたのであります。これらについては、理由は後に栗山委員少数意見を述べられると聞いておりますから、省略をいたします。これについて、日本社会党の木村委員から修正案賛成をするという賛成意見があつたのであります。更に共産党の中西委員から、共産党として栗山委員修正には賛成であるが更にこれに追加するということでありまして、第一條第一項中に、「この法律は、」の次に「二千九百二十円を一月一日に遡つて支給するための法律である。」ということを入れる、同條第一項中の「政府職員の人事及び給與」の「人事及び」を削除する。これは栗山委員と同じであります。同條第三項を全部削除、二十一條全部削除、二十二條中、「又はこれらの者に対しその決定を更正すべき旨を命ずることができる。」を「又は相互の協議により決定することができる。」と改める。第二十九條第一項中、「財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律による手当その他この法律による給與に相当する給與は、」を削るという修正案提出されたりであります。これも中西委員が後で少数意見を述べられるだろうと思いますから、その理由は省略いたします。そうして民主党の木内委員からは、原案に賛成する。かかる修正を加えなくても目的は達し得ると思うから、原案に賛成するという御意見の発表があつたのであります。  かくて討論を終りまして採決に入りまして、先ず栗山委員修正案議題にいたしまして諮りましたところ、賛成者少数でありまして、否決と相成つたのであります。次に中西委員修正案議題として、中西委員修正案中、栗山委員修正案と同じ修項を除きまして、その他について採決をいたしましたところ、これも少数で否決と相成つたのであります。かくて政府提出原案について採決をいたしましたところ多数を以て原案通り可決すべきものなりと決定いたしました次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手
  28. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 少数意見者から報告することを求められております。これを順次許します。報告時間は十分間に制限いたします。栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇拍手
  29. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は只今上程せられましたる政府職員の新給與実施に関する法律案に対しまして、政治の信用並びに労働平和、こういう観点からいたしまして、残念ながら反対せざるを得ないのであります。只今我が國を蔽つておりまするところの各方面の危機、即ち不安を一掃することが一日も早からんことを國民は待ち焦がれております。政府責任ある強力政治によりまして、この危機が終熄せしめられることを要請しております。然るに政府の樂観的な見通しにも拘わらず、ますます深刻化する國民大衆への現実的不安の圧迫は、各方面に好ましからざる紛議を釀成いたしております。これは政府の政策の貧困と弱体からする当然の結果でありましようが、分けても國民の政治に対する信頼の途を塞いでおりますることは極めて遺憾でありまして、これは政府國民に対する約束の不履行が最も大きな原因であると指摘せざるを得ないのであります。物量の裏附による実質賃金の保障然り、健全予算によるインフレ克服然り、昨年十一月黒字説然り、インフレ及び闇利得の徹底的課税然り、六・三制の予算然り、挙げれば枚挙に遑なしであります。すべて國民に対する政府の約束不履行が、國民の政治に対する信頼を振り捨てざるを得ないようにし向けておると断ぜざるを得ないのであります。このような状態におきまして、國民の総力を日本再建のために動員することなくして到底望むべくもないことであると信じます。刻下の労働不安も、結局政府の約束不履行により実質賃金の切下げに基く労働階級の生活苦の激化より出ておるのであります。私共が今春の政府対全官公労組の爭議に重大な関心を寄せましたのもこのためでございます。申すまでもなく、私は官僚の民主化のためにも、亦統制経済機構下におきまする官吏として、國民の公僕の線におきましてその職責を果させるためにも、全官公労組の健在を祈つて止まないものでもあります。全官公労組の諸君は、極めて不満足ながら今春の爭議を打切らざるを得なかつたのでありまするが故に、只今上程せられましたるところの法律案は、過般の大爭議の実質的解決を図るものといたしまして完全を期さなければならんと思うのであります。本法案は法第十二号「政府職員俸給等に関する法律」本則におきまして、臨時給與委員会報告書に基き二千九百二十円の新給與水準及び職階制の精神に副う給與体系を一月一日に遡及して実施することとし、其の具体的事項は別に法律を以て定めると明記いたしておりまする通りに、飽くまでも二千九百二十円べースの暫定給與に関する具体化のみを織り込むべきものでありまして、特に爭議解決の場合に当事者の間において確認せられました政府職員の新給與実施に関する法律案要綱、並びに西尾、加藤両大臣了解事項の双方が嚴重に尊重せられなければならないのであります。又これ以上の性格を持たせるべきものでは断じてないのであります。然るに政府は、後段で述べまする通りの性格の枠を超えましたる條項を全官公労組との協定了解なくして突如として挿入されたのであります。若しこのままで本法案が可決実施せられまするならば、恐らく再び全官公労組と政府との間に物議を釀すことは必定でありまするが故に、私は反対せざるを得ないのであります。反対理由は三点でございます。  先ずその第一は、この法律が規正すべき枠を超えまして、人事の問題及び当然二千九百二十円べースの暫定措置打切と共に消滅すべき法律に対しまして、例えば職階制のごとくその將來を拘束する恒久的性格の條項を挿入せんとしたことであります。爭議の平和解決は、形式的には協定書調印を以て終るのでありまするけれども、実質的解決は、更に協定事項の完全なる且つ誠意ある実施を見なければなりません。これなくしては爭議の完全解決解決とは言い得ないのであります。  更に第二の理由は、本法案は過日の爭議中における團体交渉におきましても、一月乃至三月即ち二十二会計年度限りの暫定措置と我々は了解いたしておつたのであります。この点は組合政府との重大な喰い違いの点でございますが、若し政府の言うがごとくこれが新給與実施期まで、或いは新物價改訂期日までに延引されるものといたしまするならば、西尾、加藤両大臣の了解事項にも、当然その間の事情を知り盡しておる政府側より提案明示せらるべきであつたと存ずるのであります。これに何ら言及されなかつたことは、当然三月までと当事者が了解しておつた証拠でありまして、これ程一方的に團体交渉を曲げるものはないと思うのであります。  第三の理由は、紛爭の処理に関しましては当事者が相互に信義を重んずることが最も緊要であります。若し信義を破るがごとき行爲の例を作りまするならば、今後発生すべき爭議解決の場合、政府への信頼は失せ、疑心暗鬼の結果、円満に且つ迅速に解決すべき爭議すら徒らに紛糾を重ね、時日の遷延に追込むことに相成るわけであります。本法案は協定不履行というよりは、しろ協定外の大きな基本問題を全官公労組との了解なくこれを法律化し、國会の力を借りまして、國民の名においてこれを全官労組に押付けんとするものであります。これ程團体交渉を冒讀し、信義を犯し、將來に悪影響を與えるものはないと信ずるのであります。  私は以上三点の理由を以ちまして、財政金融委員会に対し、他にも多数の意見を持つてつたのでありますが、特に基本的な三点に亘りまして先程委員長から報告がございました通りに修正案提出いたしたのでありますけれども、残念ながら否決せられたのであります。私は修正案の採否は問題といたしませんが、このことが労組から政府に対する信頼を奪い、且つ労組のあの苦しい爭議の唯一の結論である協定を歪曲する、信義を破る行爲が、將來の爭議の平和解決に及ぼす悪影響を重大視せずにはおられないのであります。以上の見地からいたしまして、政治の信頼を高め、國民の関心を政治に集め、労働平和を望み、困難なる時局を打開いたしまして、我が國の迅速なる復興を願つて止まない私は、遂に黙することができず、ここに反対意見を申述べた次第であります。労働平和確立のため、私は賢明なる議員諸君の良心に訴えまして御賛成あらんことをお願いいたしまして、小数意見の発表といたす次第であります。(拍手
  30. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 中西功君。    〔中西功登壇拍手
  31. 中西功

    中西功君 私も栗山氏に引続きまして、この法案に反対せざるを得ない理由を御説明申上げたいと思います。  政府如何に協定違反をしておるかという内容につきましては、すでに栗山議員から詳細にここに報告されております。從つて私はその点を成るたけ省略いたしたいと思うのでありますが、ただ一言申しますれば、曾つて四月の暫定予算がここに上程されましたときに、私はやはりここから当時の全官公の爭議に対して、如何政府が無誠意のことをしておるか、團体交渉権を無理に無視するようなことをして、それが却つて組合側の感情を刺戟し、爭議を不必要に激化さしておるという事情を指摘したと思うのでありますが、その大爭議が漸くにして片づき、そして政府側との間にともかく協定ができたのにも拘わらず、その協定を一方的に違反して、法案化したのであります。而もこの種々の事情によつて、それが止むを得なかつた理由をはつきりして我々の了解を得るならば、或いは恕せられると思いまするが、今日西尾國務大臣は決して協定違反ではない。こういうような、高飛車な態度を取つておるのであります。私はこういうふうな、全く我々を無視した、子供でも分かるような協定違反を、協定違反じやないと言つておる。こういうふうにして組合を瞞し、國会を瞞して事が済むと考えておる。私はこれを極めて遺憾に思うのであります。而もこの全官公廰の爭議、或いは又この度の協定、いろいろな問題を通じまして、政府は非常に狡い手を考えておるということを私ははつきり申上げたいのは、現に今日行われておる事態にその証拠がある。それは協定によりまして、急速に発足することを約束しておりますところの新給與委員会は、政府が極めて些細なことに託しまして、未だに開かれていないという実情であります。これは極めて簡單なる事実、即ち問題になつておりますところの調停委員会、この調停委員会が紛爭処理機関ではないということを政府自身が申して置きながら、それならば、それを文書にして書けと言えば、それを拒否する。自分もはつきりそう申して置きながら、文書に書けない。こういうような態度で新給與委員会が延びておる。こういう事実を見ましても、政府はいろいろに我々に答弁しておりますが、実際は現にこの法律が二千九百二十円の法律である。こう言つていろいろ弁解しておりますけれども、実際はその給與体系も、更に給與水準もできる限り後に延ばそう、延ばそう。そうして物價改訂が行われるまで、ともかく延ばして、それで物價改訂も又國会承認されるだろうから、それを又一方的に押つけよう、こういう態度を取つておるのであります。これは極めて明瞭であります、こういう点を我々が見ましても、政府が今日如何に我々に答弁しておつても、そういうものは無意味であると私はそう思うのであります。更に我々共産党といたしましては、苦情処理委員会というもの自体に対しましても実は反対であります。これは今政府が取つておる態度から見ましても、如何にこれにうまく答弁いたしましても、これは結局において、いわゆる紛爭処理機関の申し子であると我々は考えるのであります。更に職階制の問題について申しますれば、我々は面しい職階制に反対しようとは思わないのであります。時に能率給を考えるという問題も、我々は勿論非常によいと考えるのであります。本当に沢山働いた者が沢山給料を貰うということは、これは当然なことであります。併し今日の日本の実情で、若しそういう観点から、その能率給的なものを強行するならば、現に日本の労働者階級は実際に最低の生活さえ保障されていない。そこえ持つて來てそういうものを押しつけるとするならば、これは八割のものが実際には食えない。食えないということを押しつけられてしまう。即ち実質的に大きな賃金の切下げであるということは、これは極めて明瞭であります。だからこういう機械的な押しつけ、それは絶対反対であります。更に又これは特殊的に官廰機構の民主化という観点に立ちましても、少くとも上級官吏と下級の官吏との間にそれぞれ大きな給與の開きがない。このことがいわゆる民主的な官廰制度の実質であります。戰前におきましては最低二百四十円の一年間の收入、それに対して最高は一万五千六百五十円である。こういうふうな大きな開きが、いわゆる戰前の全体主義的ら官僚機構の物的基礎であります。ところが終戰後、これを組合側は自分の力によつて直した。それがいわゆる七月案というものであります。勿論この七月案も組合側から見て、或いは我々から見ますれば不満足であります。併しともかくも相当大幅に修正したのでありますが、これをこの度の職階制的運用においては又逆戻りさせておる。明らかにここに日本の民主化の逆戻りがあります。これをいろいろ口実を設けて政府は言つておりますが、実際において甚だしい逆戻りです。我々はこういう逆戻り、これを反動と称します。こういう反動に対しては反対であります。  その他私達がこの法案に対して修正したい点は沢山あります。それは委員会においても申述べた通りであります。例えば二十一條の全文は是非削除して貰わなければならないし、二十二條のこの問題もこれを強制的なものにせず、協議的な意味に我々は書き換えたいと思う。それが民主主義であるゆえんだと思うのであります。更に二十九條のこの税務官吏の危険手当の問題も、これは我々の理解では、この法案が通りますと、折角第一回國会において、我々が徴税の公正な徴收のために、小委員会まで設けて決定いたしましたところの危険手当、或いは調査手当というものが実際は、特に危険手当については廃止されてしまう。我々が第一回國会でいろいろ協議し、作り上げた精神から言いまして、是非こういうものは残して置かなければならん。これについては私は当然多くの人々が賛成されると思うのであります。いろいろそういう点について我々は修正したいし、或いは反対をしたいと考えて、委員会においてそういう提案をしたのでありますが、  最後に私はこの問題について一言申しますれば、この我々が申したような修正、特に栗山議員提出されましたような修正は、社会党におきましても、我々の聞くところでは、中央執行委員会において一應修正は妥当であるというふうに認められておると聞いております。そういう意味から言つても、我々の見解は決して一部の少数の身解ではないと思うのであります。更に私は民主自由党の方々が、よくこの今日の芦田政府の不明朗な、不誠意な態度を指摘されますが、この不信で、不誠意で、不明朗な政治の本当の特質、或いは証拠はこの法案に現われておると思うのであります。この法案こそ、全く現在の政府の不誠意の何よりの証証拠だと思うのであります。で、もし民主自由党の方が、本気になつてこの政治、政局の不明朗に反対するならば、このような矛盾極わまる、何かさつぱり分らん見たような法案に反対されて、初めてその誠意が窺えると思うのであります。(「あわてるな」と呼ぶ者あり)從つて私はそういう観点から見ましても、若し皆さんに誠意があるならば、当然我々の言説に対して賛成されるものと期待するのであります。我々日本共産党は、以上のような理由によつて修正案提出いたしましたが、不幸にして破れましたために、本法案対しては反対せざるを得ないのであります。これを以て私の少数意見報告といたします(拍手
  32. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 少数意見報告は終りました。これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を請います。    〔起立者多数〕
  33. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)これにて本日の議事日程は終了いたしました。次回の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会