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1948-05-26 第2回国会 参議院 本会議 第40号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年五月二十六日(水曜日) 午前十時二十一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第三十八号
昭和
二十三年五月二十六日 午前十時
開議
第一
引揚同胞対策
に関する
決議案
(
中平常太郎
君外二十二名
発議
)(
委員会審査省略要求事件
) 第二
海上保安廰
の
設置
に伴い
地方自治法
の一部を改正する等の
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)(
委員長報告
) ━━━━━━━━━━━━━
松平恒雄
1
○
議長
(
松平恒雄
君) 諸般の
報告
は御
異議
がなければ朗読を省略いたします。
—————
・
—————
松平恒雄
2
○
議長
(
松平恒雄
君) これより本日の
会議
を開きます。この際お諮りいたします。
椎井康雄
君より十六日間、
川上嘉
君、
西園寺公一
君より、十九日間、
病氣
のためそれぞれ請暇の申出がございました。いずれも許可をいたして御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松平恒雄
3
○
議長
(
松平恒雄
君) 御
異議
ないと認めます。
—————
・
—————
松平恒雄
4
○
議長
(
松平恒雄
君) 尚
遠山丙
市君より
外務委員
を、
奧主一郎
君より
司法委員
を、
川上嘉
君より
財政
及び
金融委員
を、
大島定吉
君より
予算委員
を、おのおの
理由
を附して辞任の申出がございました。許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松平恒雄
5
○
議長
(
松平恒雄
君) 御
異議
ないと認めます。つきましてはその補欠として
大野木秀次郎
君を
外務委員
に、
遠山丙
市君を
司法委員
に
栗山良夫
君を
財政
及び
金融委員
に、
油井賢太郎
君を
予算委員
に指名いたします。
—————
・
—————
松平恒雄
6
○
議長
(
松平恒雄
君)
日程
第一、
引揚同胞対策
に関する
決議案
(
中平常太郎
君外二十二名
発議
)、(
委員会審査省略要求事件
)。本件は
発議者
中平常太郎
君外二十二名の
要求
の
通り委員会
の
審査
を省略し、直ちに本案の
審議
に入ることに御
異議
はございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松平恒雄
7
○
議長
(
松平恒雄
君) 御
異議
ないと認めます。よ
つて
これより
発議者
に対し
趣旨説明
の
発言
を許します。
中平常太郎
君。 ———
—————
—————
〔
中平常太郎
君
登壇
、
拍手
〕
中平常太郎
8
○
中平常太郎
君 私はここに、
議員
多数の
発議
によりまして、
在外同胞帰還促進
並びに
定着
後の
厚生対策
につきまして、
決議案
を上程いたしまするにつきまして、
発議者
を代表して、ここに
提案
の
理由
を申述べたいと存じます。先ず
決議案
を朗読いたします。
引揚同胞対策
に関する
決議
数百万の
海外同胞
が本國に
帰還
し得たことは
連合國当局
の絶大なる同情によ
つた
ものであることを
日本國民
は深く感謝し、更に七十余万の
海外残留同胞
を本年
結氷期
までに是非とも
帰還
完了せしめられるよう
連合國当局
に
懇請
してやまないのである。しかしてこれら
引揚同胞
が速かに正常なる
國民生活
に復帰することは、國内の現状からして決して容易なことではない。彼等は家も
土地
も
職業
も失い、殊に多年
海外
にあ
つた
ために本國に
人的関係
少く
從つて信用
もまた薄いために、
就職
することも
企業
を起すことも容易なことではない。これを本國にいた
國民
と同じように
待遇
したならば、それは非常に大きな
差等
がつけられる結果になることは明らかである。
從つて
この
差等
を出來る限り少くし、速かに彼等を自立更正せしめることは絶対に必要であり、又
連合國
の好意に副う所以である。 よ
つて参議院
は
引揚同胞更正
のため次の如き
対策
を積極化すべきことを決意し、
政府
もまたこの
決議
に副い善処せられんことを要請してやまない。 一、
引揚同胞対策
を合理的に処理するために強力なる
審議機関
を
設置
すべきである。 二、今後の
引揚者復員者
に対しては
帰還
の日より一ケ年
間各種
の
税金
を免除すべきである。 三、
引揚者復員者
の智識と
技術
を活かし且つ彼等の
希望
を達せしめるために、
機会
を均等にし
門戸開放
の
政策
をとる必要がある。これがため
勤労希望者
には
職業
を、
事業経営希望者
には
資金資材
と
企業権
を、
就農希望者
には
土地資金
と
農具
を、計画的に配当する
措置
を講ずると共に、これら
引揚者復員者
に対する
社会保障制度
を設けるべきである。 四、
引揚者
の大
部分
は
住宅
を持たないから、これらに
住宅
を與うるために
余裕住宅
並びに
國有建物
の
解放等
の
処置
を講ずべきである。少くとも二十万戸の
住宅
を緊急に
建設
する必要がある。 五、
引揚者
が
海外
において喪失した
財産
については、
戰爭犠牲負担
を公平化する
原則
に基き、
國家
は出來る限りの方途を講ずべきである。 六、
遺家族
、
留守家族
に対してはその実状に即して、
援護
を積極的に行うべきである。 これが
決議案
でございます。
終戰後
ここに三年、
國民
の
虚脱状態
の中にも、
連合軍
の多大なる援助によりまして、今日までに既に六百万の多数の
同胞
は懐しの
祖國
に
帰還
いたしましたことにつきましては、私共
國民
は敗戦の
苦悩
の中にも誠に感謝に堪えない次第であります。ここに
マツカーサー司令官
始め、
連合軍当局
に対して深甚なる謝意を表するものでございます。而して今尚七十余万の未
帰還者
があることは、当人の苦痛はもとより
想像
に絶するものがございますが、
家郷
にあ
つて
一日千秋の
思い
で家の柱たる大切なる人の帰ることを待
つて
おられまする家庭におきましては、早く既に近所に誰彼となく沢山に
帰つて來
て、おのおの
各種
の
生産
のいそしみ、
苦悩
を回復して
一家團欒
の
樂しみ
に浸
つて
おる中で、
自分
の夫は、
自分
の子は、未だに
帰つて來
ない。
生死
の程さへも判明しない。
毎日北
の空を眺めては焦燥の念に駆られ、悲歡の
余り自暴自棄
に陷る者さへ來しつつあるのでございます。幸いに漸く五月に入
つて帰還
が再開されましたが、五月に約四万一千程度の予定にしかな
つて
おりません。現在の
帰還数
の
状態
では、或いは一部は又冬を越しはしないかという懸念があるのであります。四回目の零下四十度、五十度のシベリアの寒空で、今尚軍服を着せられて、
家族
との通信の自由も、私権の行使も、亦個々の
能力
も停止せられて、ただひとえに
家郷
の空を偲びつつ、当もなき過激な労働に心身を消耗し、或いは又一部の
同胞
には遂に
祖國
を見ずして帰らぬ旅につく者があるかと思へば、我々
國民
は実にやる瀬ない、堪え難い断腸の
思い
がいたすのでございます。何とかして
結氷期
までに全部の
帰還
を完了せしめたい。そのためには
政府
はあらゆる方法を盡して
内外要路
に対して今一層の強力なる
方策
と
懇請
とを重ねなければなりません。幸いに先に対
日理事会
において
シーボルト議長
の表明されましたように一ケ月の
余裕
があれば月十六万人は輸送可能な準備ができる、こういうことでありますから、何とか
ソ連
との間に交渉ができるなれば、その上に
帰還者
の数を増すことを
政府
並びに
國会
といたしましても、世界の各
機関
を通じてでも
國民
共共にお願いしなければならないと
思い
、
特別委員会
におきましても、先般
スターリン首相
、
トルーマン大統領等
へも特に
参衆
両
議院
全
議員
の連名で
懇請書
を
提出
いたしましたような次第でございます。
内地
におきましても、
各地
で
帰還促進大会
が開催せられまして、全
國大会
も先日行われ、又各
團体
の
代表者
は
連合軍最高司令部
或いは
ソ連大使館
又は
議会方面
へも請願せられ、又この議事堂へは多数の
遺族家族
が
各地
より参られて、血の出るような
帰還促進
の陳情をなされつつあるのでございます。これを見ましても
政府
並びに
國民
を代表する
議会
の絶対的義務であり、又焦眉の急に迫
つて
いるところの問題なのでございます。又今後の
帰還者
を加えまして、六百数十万になりますが、このうち元
軍人應召者
の大
部分
はそれぞれ
帰還
の
定着地
を持
つて
おりますが、
引揚者
は永年彼の地にあ
つて生活
の環境を作
つて
おられた
関係
上、
内地
には
縁故者
も少く
信用
も薄い、又
資金
もありません。元來
政府
といたしましては、かかる多数の
在外者
に
帰還
の指令を発しました以上は、これら
帰還
せる
同胞
の
定着援護
の
方策
は、当然
十分政府
において大きな積極的な
具体的政策
を立てるために特別なる閣議を開き、
國民
の輿論に應え大幅の
予算
を計上すべきでありまするが、未だにさような樣子はない。そこで本
決議案
にはその
方策
として、
差当り
その重要なるものとして、第一番に
民間人
を加えた強力なる
審議機関
を
設置
し、
引揚者
の
定着
後の実態を科学的に調査分類し、特別に
資材資金
の枠を作りこれを指導し強力して、その機能を発揮せしめ、積極的に
引揚者
をして
生産方面
に直結せしめる
方策
を立てねばなりません。二には
内地戰災者
に特典を與えたように、
引揚者
にも一ケ年間は
各種
とも
免税
とすべきでありましよう。
戦災者
は
土地
の
信用
或いは
親族知人
或いは又疎開の
荷物等
もあ
つた者
もありまするが、そのために
種々更生
の資料もありまするけれども、それでも一年の
免税
があ
つた
のであります。
引揚者
には
知人
も少く
信用
も薄く氣息奄奄漸く業務を見つけて着手し、その成果も挙
つて
いないうちに直ちに
税金
に取上げられてしまうということは、これは誠に残酷である。これは少くとも着手一ケ年は全部
免税
とすべきであります。本
決議案
が御
賛成
を得た後には、直ちに單独法として立法の意思を有しておるのであります。次に
住宅対策
を積極的に実行すべき点でありますが、先ず先ず
住宅
を與えねければ
人間生活
というものは決して成立つものではありません。
引揚者
にはみずから建てる力はありません。闇屋が建てる大きな立派な家を見て如何に憤慨しておるか
想像
を絶するものがあるのであります。他人の家の座敷や縁の端の小部屋で多数の
家族
を擁しながら同居して日々立退きを強要せられつつも、行く先がなくて涙を呑んでいる
引揚者
が幾万ありますか。
政府
は今年度五十万戸を建築すると言いますが、別の
予算
が取れなければ、このうち二十万戸は
引揚者
に優先せしめる
考え
があるかどうか。
在外資産
の合理的処理問題、
軍事郵便貯金
の
沸出
の緩和、又
在外公館
への借
上金
の沸戻し
問題等
いつにな
つた
ら解決するか、
政府
は何かというと、
講和会議
まで
何事
もでき難いように言うておるけれども、最近のように
講和会議
が解決しなくとも、
民間貿易
さえ、又
民間人
の
海外渡航
さえできるようにな
つた
ではありませんか。できんというのは爲さないのではないか。できるように
本当
に熱のある
努力
を拂わないのではないか。
内地
にお
つた者
は個人の
財産
などは
没収
に遭わなか
つた
。併し
外地
にお
つた者
はあらゆる
財産
は
没収
に遭い、又掠奪、又は置去り、か弱い子供を殺し、散々な憂目を見て、命からがら還
つて來
て、
同胞
の懐に入
つた
かと思えば、その懐は極めて冷たく顧みる者もない、故に愬えてよろしいのでございましようか。ここに
國民
を代表する
議会
があるのではありませんか。戰爭は損なものとの結果を招來することは
民主主義
の徹底を促す上において
根本理念
でありましよう。併しながら
遺家族
、
留守家族
などが如何に忍び泣きに泣いておるか、誰がその涙を拭
つて
やるか、これを慰めてやるか、果してこれで宜しいのか、せめて食
つて
行けるだけには誰が何とい
つて
も絶対
政府
並びに我々の責任であると思うのであります。ただ
生活保護法
の金では食
つて
行けないのであります。然るにこの
方面
に対する
施策
は極めて消極的で、何ら見るべき
援護
の実が挙が
つて
いないのであります。のみならず彼等に生きて行くところの
方策
さえ與えずしておいて、
却つて
一面
内地
の一部の闇ぶくれの贅沢な
生活
を見せつけられて、
インフレ
の波にもまれて
生死
の境を彷徨し、中には思想上甚だ檢悪の度を増しつつあるのでございます。 又現在
國民
の大多数はみずからの
保身術
に憂身をやつしておりますので、他を顧りみない。如何に
引揚者
が
苦悩
に喘えいでおりましても、
関係
のない者は誰も本氣で
援護
しない。
政府
亦消極的なる
生活保護法
一本で行かんとして、何ら
生産方面
に直結せしめる
積極方策
を採
つて
いない。かの
生活保護法
は大
部分
これは
生活
の
能力
のない、食えない者を救助する建前の
資金
であります。我々の要望するところは
生活
要
保護者
に轉落せしめることではない。私は
自分
のことを申上げると甚だ如何と
思い
ますが、私は
引揚者
ではないが、終列車などに駅頭で夜中迷
つて
おられる哀れな
引揚者
を見て、これではいかんと
思い
まして、
同胞愛
に駆られまして
愛媛縣
の宇和島市でありますが、一昨年
引揚者
の憩の家、
民生館
を建築して、
建設費
は約百万円余であります。二百二十坪、三十室、三十五
家族
、百十五人を無料で収容して住居の安定を與えております。一面
授産場
を併設いたしまして、副収入を得せしめるようにいたしております。
政府
もこの
非常時危機
を乗切るためには相当苦心して
努力
はしておられますが、ただ当面の問題に忙殺せられて荏苒今日に至
つて
おるが、昨今
企業整備
、統制の強化などのために
闇ブローカー
は締出しを食い、潜心してお
つた
ところの失業問題が漸く表面に本格化するに至りました。他面物資の不足と、
インフレ
の
昂進等
によ
つて引揚者
の困窮は一層目も当てられん悲惨な
状態
に陥
つて
おるのでございます。 若し
政府
の力が足らずしてかかる人人の特別な不公平なる犠牲においてのみ
新日本
を
建設
なさんとするなれば、それは新
憲法
のいわゆる
民主主義
の名に恥ずべき存在であると思うのでございます。(
拍手
)彼等はいわゆる
無能力者
ではない。知識もあります。
技術
もあります。貴い
経験
もある。
外地
においては盛んに活躍してお
つた
立派な
同胞
であります。かかる
同胞
の
就職希望
に対しましては特にその
技術
、
経験
を生かし、又
事業経営希望者
には
資金
、
資材
と
企業権
を、
就農希望者
には
土地
と
資金
と
農具
を計画的に配給する
措置
を講ずると共に、
内地失業者
に適用してあります
失業手当法
のごとき一時
的國家
の負担において支給し、その間は
簿給
又は無給で適当な
工場会社
に入社せしめてその
能力
を利用し、
生産
に協力せしめ、一面
就職
の
機会
を作らしめるような
処置
を取るなども考慮すべきであると思うのであります。この六百万の有爲な
同胞
を活用して、
再建日本
の
生産
に直結せしめる
方策
こそ、
政府
が執るべき
最大喫緊
の活きた
政治
であると思うのであります。(
拍手
)
引揚者
全
世帯
の数は約百三十万戸と称せられておりますが、その六〇%、いわゆる七十八万戸は、どうしてもみずから何かして食わねばならない仲間でございます。然るに過去において
生業資金
として貸付けられた金額は、二十一年度においては十億円、二十二年度におきましては六億六千六百万円で、この内には
内地戰災者
八万戸も含まれております。貸付を
希望
しておるところの者は、現在まだ三十六万
世帯
ある見込でありますが、ろくに貸して貰えないために、又なかなか手續が面倒だから、疲れ果てて申込まない者も沢山ございます。以前には一
世帯
四千円、現在では最近七千円でありますが、
政府
はこれを
生業資金
の全部ではない、著手金だと言うが、今日の
インフレ
では余りに僅少で効果がない。せめて
生業資金
は一口一万五千円ぐらいにすべきであるが、たとえ一万円といたしましても、今後まだ三十六億円を要します。然るに二十三年度の
暫定予算
ではあるが、僅かに一億円とな
つて
おります。
政府
は又
復金
の
融資
を活用する途を開いたが、尚微々たるもので、二十二年度において一億二千万円、二十三年度一四半期において一億円だけ見込まれております。これまでの
復金
の
融資方面
を見ますと、御承知の
通り
、一
会社
に数十億円を
融資
しております。この何百万の
引揚者
に僅か一億、二億の
融資
では、
本末顛倒
も甚だしいと言わねばなりません。(「その
通り
」と呼ぶ者あり)
政府
は今年度
予算
は三千九百余億円と言うております。その莫大なる
予算
の中に、
引揚者
の
更生
のために、その
生業資金
として三十億円ぐらいは最小限度計上すべきでありましよう。(
拍手
)、それさえ見積も
つて
ないならば、
政府
の
引揚対策
の
熱意
は、ただ口先ばかりで、
口頭禪
との非難を受けてもいたし方のないものと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これに対する
政府
の実際的な
方策
は如何。(「
厚生大臣
よく聽くべし」と呼ぶ者あり)又
苫米地官房長官
は、
軍公利拂一年停止
により浮き出る筈の二十余億の金を
引揚者
、
災害者
の
救助方面
に振向ける
考え
であると言明せられて、誠に近來にない
意義
のある賢明なる
処置
と共鳴を感ずる次第でありますが、(「その
通り
実行するか」と呼ぶ者あり)何程振向けられるか、未だ軍公問題が決定していないから、今日言明ができないのは尤もであるが、十分これらに振向けられんことを今から要望しておきます。
政府
は
引揚対策
について相当考慮しておるというように言われるが、実際檢討して見ると、その実際
的支出面
におきましては誠に消極的であ
つて
、只今申上げた
通り
でございます。ここに本院の
決議
を以て
政府
に要望する
ゆえん
であります。願わくば御
賛成
あらんことをお願いいたしまして、
提案
の
理由
といたします。(
拍手
)
松平恒雄
9
○
議長
(
松平恒雄
君) 討論の通告がございます、
発言
を許します。
村上義一
君。 〔
村上義一
君
登壇
、
拍手
〕
村上義一
10
○
村上義一
君 上程せられました
決議案
につきまして、
簡單
に
所信
を申述べたいと存じます。 我が國の
民主革命
は、新
憲法
の実施によりまして、その
基礎
が作られたのでありまするが、これを完成するにつきましては、
種々
の
條件
が充たされねばならんということは他言を要しないところであります。第一回の
國会
におきまして、只今上程せられておりまする本問につきまして、即ち
海外
より
引揚げ
て來る八百万
同胞
に関する問題について、特に
特別委員会
の
設置
があ
つた
次第でありまして、これは申上げるまでもなく、只今申しました
條件
の充たさなければならん
條件
中で、最も重要なるものの一つであるということを
意味
するのであると信ずるのであります。(
拍手
) で本問の処理に第一回
國会以來
この
委員会
は当
つて
おられたのでありまするが、第二回の
國会
におきましても、本
委員会
は重ねて
設置
せられまして、その
努力
の結晶が今日の
決議案
として上程せらるに至りましたことは、誠に当然のことであると信ずるのであります。(
拍手
)
國家
の
最高機関
たる
國会
としましては、その権威を保持する
ゆえん
でもあり、又
國家
としましては、
民主革命
の
基礎條件
を満足せしむるものであると信ずるのであります。元來この
決議案
は、
戰爭犠牲
の
均分化
の
根本理念
に立
つて
おるものであると思うのであります。(
拍手
)
新日本
は
人民
の人権を保障する、その
平等無差別
の
待遇
をするということを
根本原則
としておりますることは、多くを申上げる必要がありませんが、この
原則
はもとより正しいものではありまするが、併し本國に何等の寄る辺もなく、又
基礎
も持たない
丸裸体
の
引揚同胞
に対しましては、結果から見まして、甚だ冷酷な
待遇
であると言い得るのでありまして、
平等無差別
の
待遇
は、
引揚同胞
に対しましては、
差別不平等待遇
を與えた結果になりざるを得ないのでありまして、國内の
人民
と
引揚同胞
とを比較して見ますると、全く比較にならない
ハンデイキヤツプ
がそこにあるのでありまして、この
ハンデイキヤツプ
を認めずして、形式的にすべてを同列に
待遇
して來たために、実は
引揚同胞
に対して、
國家
は実質的に著しい不
平等差別待遇
をして來たということが実情であり、
現実
であると思うのであります。(「その
通り
」と呼ぶ者あり)特殊の
施策
を絶対に必要とする
引揚同胞
に対しまして、何等特別の
施策
が講ぜられない、國内の
人民
と同樣の
待遇
しか與えられなか
つた
ために、無一物の
引揚同胞
の間には、限りなき
悲惨事
がそこに発生したのであります。又言うに忍びざる行動が行われつつあるのであります。 本
決議案
に列記せられてありまする各項目は、いずれも
戰後処理施策
の一環として、極めて適切緊要なる
措置
であるのであります。正に
民主新日本
の支柱たるべきものであると信ずるのであります。(
拍手
)私はここに本
決議案
の重大なる
意義
を確認して、本
決議案
が直ちに
最大
の
努力
を以て
現実
の
政治
の上に実現せらるべきことを強調して止まない者であります。(
拍手
) 最後に
芦田総理大臣
は特にその
施政演説
において言明せられました、この
引揚同胞
の
援護
につきまして、
政府
が如阿なる構想を以て実現せんとしておらるるかにつきまして、この際その
所信
を質したいと思うのであります。(「
芦田総理
はおらんじやないか」と呼ぶ者あり)同時に
内閣
が本
決議案
を重視して、
國会
と共に速かにこれが実現に邁進せられんことを要望してやまない次第であります。
緑風会
を代表しまして
簡單
に
所信
を述べて、本
決議
に
賛成
する次第であります。(
拍手
)
松平恒雄
11
○
議長
(
松平恒雄
君)
中西功
君。 〔
中西功
君
登壇
、
拍手
〕
中西功
12
○
中西功
君 私
たち共産党
は、本
決議案
に
賛意
を表したいと
思い
ます。この
海外同胞
或いは
軍人達
の
引揚促
進につきましては、本
議院
或いは
衆議院
におきましても度々
引揚促
進の
決議
はなされたわけでありますが、
引揚者
の
援護対策
について
決議
がなされましたのは、今度初めてだと私は記憶しております。そういう
意味
において特に私達は
賛意
を表したいと思うのであります。 從來から我々
共産党
は、軍に
引揚促
進だけではなくして、この
引揚者
の
援護対策
について非常に大きな関心を示し、積極的に働いて來ましたのでありますが、併し或る場合には、そういうふうに廣い
意味
の
受入態勢
ができていないということを我々が強調すると、あたかも
引揚促
進を希
つて
いないかのような言説がなされたのであります。併し実際にこの
引揚者
の
援護対策
がな
つて
いないということは、もうすでに皆樣のよく御存じのところであります。第一回
國会
において私達は前
一松厚生大臣
に対して、そういう
意味
の
受入態勢
ができていないということを追求したときに、
政府
は、できておりますと、
はつ
きりと我々にかみついたのでありますが、併し現にそういう
言葉
が嘘であ
つた
ということが、今日のこの
決議案
の
提出
によ
つて
はつ
きりしたと私は思うのであります。この内容につきましても、いろいろ私達は具体的に
要求
を持
つて
おります。時間がありませんので具体的には申しませんが、この
決議案
が出たことについては我々は勿論
賛成
であります。併し問題は、單にこれを
決議案
として終らしてはならないということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)先日來ここにおきましても、
政府
がこの問題についで
熱意
を欠くということについては、
議院諸公
の
賛意
を得ておるような
雰圍氣
でありますが、今日
日本
の
権力
、
何事
をもなす
権力
を持
つて
いるのはこの
國会
であります。若しこの
決議案
に対して、
各党
が
本当
に
賛意
を表されるならば、我々は即日にでもこれを
法律案
にして、そうして実際に
政府
をして施行させることができると思うのであります。(
拍手
) 若し眞に
各党
が
本当
に
熱意
を持
つて
いるならば、例えば
生業資金
を、七千円ではなくして五万円にしなければならない、こういう
本当
の氣持があるならば、私はこの
國会自身
がそれをなし得ると思うのであります。
政府
を責めるのではなく、
政府
にやらせることができると思うのであります。若し皆樣の
熱意
が
本当
ならば私はそうして頂きたい、こう思うのであります。 今一つの問題は、これは
引揚者
が特別に
差別待遇
を受けておるという問題がありましたが、勿論
引揚者自身
といたしましても、特別な地位を
要求
しておるわけでは全然ないと思うのであります。そうして又この
引揚者
の問題も全
國民
の問題、或いは全
勤労大衆
の問題と不可分でありまして、(「そうだ」と呼ぶ者あり)若し
日本
の
勤労大衆
の
生活
を健康にし、安定したものにし得ないようなことでは、どうしても
引揚者
の問題も
本当
には処理し得ないということを私達は
はつ
きりさしておく必要があると
思い
ます。決して
引揚者
の問題だけが特別ではない。又そういう見地から
考え
ましても
引揚者
の問題は、
引揚者
の人々もその他の
勤労大衆
と共に進んで
行つて
、初めてこの問題が円満に解決できると
思い
ます。(「その
通り
」と呼ぶものあり)最近
引揚者團体
の一部の幹部についてとやかくの噂がありますが、私達は
引揚者
の諸君がこういう問題をも完全に拂拭して、
本当
にあらゆる点で明朗な
團体
とな
つて
十分にこの本來の
趣旨
を貫徹されるよう私達は望みたいのであります。 以上
簡單
ではありますが、いろいろ具体的について我々党は
はつきり要求
を持
つて
おりますが、時間がありませんのでそれは述べられませんが、以上を以て、私は我々
共産党
のこの
決議案
に
賛成
する
言葉
としたいと思うのであります。(
拍手
)
松平恒雄
13
○
議長
(
松平恒雄
君)
松野喜内
君。 〔
松野喜内
君
登壇
、
拍手
〕
松野喜内
14
○
松野喜内
君 私は
民主自由党
を代表して本
決議案
に
賛意
を表する者であります。 顧みまするに、
引揚同胞
に対しては、第一回の
國会
におきまして
特別委員会
が設けられ、又
議員
が醵金してまで
同胞
救護
議員
連盟を
設置
され、院の内外に呼び掛けられて、以て官民協力を得た次第であります。 想い起す昨年の八月十五日には、本議場におきまして感謝の
決議
と共に、残留
同胞
七十万の
引揚促
進を
懇請
いたしました次第でありました。特に
連合國
各位の絶大なる御同情御配意によりまして、引揚完了するまでは毎月十六万人を輸送し得る船腹を提供するの用意がある旨のニュースを聞くに及びまして、誰か感激感謝の意を表せずにおりましようか。すでに去る五日より続々
帰還者
を迎え、駅頭相抱いて泣く者、絶えて久しい親子が、夫婦が対面、ただ嬉し涙にむせぶの光景であります。 私は民生委員の一人といたしまして、
引揚者
に対するでき得る限りの救護を盡させて頂きましたが、帰國して失望落胆せる方を見るにつけても、太常洋の底に沈んで
引揚げ
ようもない者のあることまで、実は私の実子もその一人でありますが、ということなどを申して且つ励まし、且つ元氣を出して頂くべく
更生
の途の御相談に應じたことでありました。多数の
帰還者
の
受入態勢
の用意はなかなか意のごとくならず、容易ならんものがあるのでありますことを常に痛感しておる者でありまするが、この点は
國会
も
政府
も更に一段の
努力
を必要と信ずるものであります。
各地
引揚者
大会におきまして涙なくしては聞けない場面、夫よ、父よ、との待つ身の心境を語る
言葉
、切実な文句、幾度かハンカチを目に当てたことでありました。恐らく全
議員
同僚各位におかれましても、私以上のお感じであ
つた
ことでありましよう。
各地
引揚の部落を訪れて見るごとに、中には自立独行、けなげな働きを見せて下さ
つて
いる場面があるかと見れば、借入れた
生業資金
を似て共同出資とし、共同の工場を設け、共同の炊事場や、風呂場や、学校までも設け、公選による役員選挙、自制による製品の檢査、
生産
高拂いによる見上げた好成績の経営振りを出しておる所もある次第であります。私共は
生産
に、
企業
に勇氣ずけるだけの
努力
を一段と拂わねばならんと感じておる者であります。 かかる情勢下におきまして、本参
議院
が更に今回の積極的の
対策
に係わる六項目、
引揚同胞対策
審
議会
の
設置
と言い、
引揚者
の一ケ年
免税
と言い、
住宅
の心配、留守
遺家族
に対する援助、特に
企業
に対する助力
更生
対策
、在外
資金
の喪失、幾年
努力
の結晶たる資産をなくした、こういうことに
思い
をいたしての
対策
、
生産
資金
を格別に重要なる
政策
とせねばならんとい
つた
氣持、かかる折柄、私はここに最後に強く申して見たいのは、過ぐる二十一年一月二十二日に、時しも吉田
内閣
、石橋藏相の
提案
による閣議の決定を見たあの
引揚者
に対する貸出
予算
は、実に百五十億円であ
つた
と記憶しております。(
拍手
)翌二十二年一月には、それが百億円に減ぜられ、その実施を見ない中に総選挙となり、片山
内閣
に移り、現芦田
内閣
へ移
つた
次第でありまするが、この両
内閣
におきましては、十九億円を貸出されたのみだと聽いております。而して今後貸出
予算
は、僅かに五億円を計上せられるのを見ては、そも何たることであるか、遺憾千万、かくては
引揚者
は到底立上ることができない。こうい
つた
残念さを強く痛感するものであります。(
拍手
)我々は
生産
資金
の貸出において、できるだけの
努力
、万全の策を講ぜねばならんということを強調いたし、これに対して
政府
は如何に
考え
ておるかということを質したいのであります。我々は
國会
の使命として、
政府
を鞭撻激励し、
同胞
心を一にして助け合わねばならん、
更生
の実を挙げねばならん。人類愛の精神を以て、この
決議案
に対し、私は満腔の
賛意
を表する者であります。(
拍手
)
松平恒雄
15
○
議長
(
松平恒雄
君) 紅露みつ君。 〔紅露みつ君
登壇
、
拍手
〕
紅露みつ
16
○紅露みつ君 私は只今上程されました
決議案
に対して、民主党を代表いたしまして
賛成
の意を表する者であります。
終戰後
四ケ年、
戰爭犠牲
者に対する社会の関心は漸く簿らごうといたしております時、去る五月六日に、
ソ連
地区から本年度引揚の第一船を迎えまして以來、引続いて引揚は継続され、埠頭に、駅頭に、夢寝にも忘れ得なか
つた
夫婦、親子、兄弟が、
帰還
の喜びに相擁して嬉し涙に咽び合う劇的な情景を展開いたしまして、今更のごとく世人に深い感動を與えております。 終戦似來、今日までに
引揚げ
ました者五百八十余万、それに現在の未
帰還者
を加えまして、実に六百五十余万に及ぶ
同胞
を全部本年中に引揚する予定でございます。從いまして、これが
対策
も極めて大規模にして、廣範囲なものが用意されなければならない筈であります。(
拍手
)もとより
政府
におかれましても、各般に亘りこれが
対策
を講ぜられつつありまするが、併し今日に及んで本
決議案
が
提出
されなければならないと言いますがごときは、この間の消息を物語るものとして聊か遺憾に存ずる次第であります。(
拍手
) 結論といたしまして、戰爭による犠牲は
國民
全体がこれを公平に負うべきものであると信じます。(
拍手
)この
意味
におきまして、私共
國民
は朝野を問わず、一致協力いたしまして、
引揚者
並びに
遺家族
、
留守家族
の人々を擁護して上げなければならない
國民
的義務があると
考え
るものであります。 私は婦人面よりいたしまして、
遺家族
、
留守家族
につきましては、或る程度材料を以て皆様にお訴え申上げたいと存じてお
つた
のでございますが、非常に時間が短縮されまして、意を盡せないのを遺憾と存じまするが、私は左の要望を
政府
にいたしたいと存ずるものでございます。 先ず第一に母子寮、育児院等の社会施設を拡大強化すること、尚未復員給與法を、これを現地において主人が徴用せられました
留守家族
に対しましても適用さるべきこと、(「
賛成
」と呼ぶ者あり、
拍手
)もう一点は弔慰金の問題でございますが、
終戰後
貨幣價値の低下いたしておりますことはここに喋々する必要のないところでございますがやはりこれは戰時中と同じ額の五百八十円が支給されているのでございまして、これは余りにも非常識の感なきを得ないと存じまして(
拍手
)よ
つて
これを増額するという
希望
でございます。 大体以上でございますが、併しながらわが國経済の現状におきまして、いずれも
予算
を伴いまするこれらの問題が、その実現に困難を伴いますることは十分察知し得るところでございますが、何とぞ
政府
におかれましても、特に一層の
熱意
を傾けられ、又
議員
各位におかれましても、
國民
代表の名において是非とも積極的な御協力を賜わり、これらの
施策
が速かに実現されまして、
引揚者
並びに
遺家族
、
留守家族
の方々が、一日も早く再起
更生
せられんことを心から祈念いたしまして、私の
賛成
意見を結びます。(
拍手
)
松平恒雄
17
○
議長
(
松平恒雄
君) 木下源吾君。 〔木下源吾君
登壇
、
拍手
〕
木下源吾
18
○木下源吾君 私は(「野党頑張れよ」と呼ぶ者あり)
日本
社会党を代表いたしまして、上程されておる
決議案
に
賛成
をいたすものであります。併しながらこれが單なる
決議
として終るのでなく、直ちにこれが成果を結ぶ上において、短時間でありますが、
政府
に
所信
を質し、且つ要望したい数点を申上げたいと思うのであります。 それは、当面の引揚に対する無
縁故者
に関する問題でありますが、この無
縁故者
は、一昨年は、全部北海道にこれを収容しておりました。昨年度は、北海道に七割、東北に三割の割合を以て収容してお
つた
のでありまして、その数が、北海道は三万九百余人、東北は一万一千五百名という割合にな
つて
お
つた
のであります。で今年度、然らば収容の余力はいくらあ
つて
、どういうように收容人員を割当ておるかと申しますれば、実に二十万の樺太
方面
の引揚に対する五三%が無縁故であると推定せられるのでありまして、その数は概算十万六千名であります。これを今年度、北海道に七〇、東北三〇%の割合で収容するとするならば、北海道は七万四千二百、東北各縣は四万八千となるのでありまするが、これの収容余力は現在東北は八千六百六十六人、北海道は二千八百四十八人分よりの収容余力しかないのでございます。而も
引揚者
は着々と上陸をして、今正に收容の最中であります。ここで申上げるまでもなく、これら無
縁故者
の収容の
住宅
というものが、緊急な問題に上程されなければならない。この点について北海道で、今全額國庫負担で二万四百戸の建築を要望しておるのでありますけれども、これは
政府
はこの要望に対して應えることができるかどうか。この要望が應えられないとするならば、北海道はこの無
縁故者
を収容することができない。
從つて
惨憺たる状況を呈することは火を見るより明らかであります。現に北海道においては、
外地
の
引揚者
は三十七万、戸数にして九万戸を現在擁しておるのでありまするけれども、殆んど縁故先や
知人
の許にお
つて
も、その三割、三分の一の三万戸ぐらいは、早急に
住宅
を求めなければならない実情である。北海道としては、これ以上の者を入れる余地は絶対にない。かように申しておるのであります。 次に、この
住宅
を
建設
するに当
つて
もです。北海道の地域的特殊性に鑑みまして、一人当り二坪は絶対に必要であるということ、尚又これが建築をなすという場合においても、補助金、建築
資材
は、必ず六月の十五日、來る六月十五日限り、現金と現物が交付される
措置
を講じなか
つた
ならば、本年度の建築に間に合わないということを明記して頂きたい。(
拍手
) 又食糧と燃料の点でありまするが、北海道の遅配、欠配は昨年度において、有名なものでありまして、今年度といえども、諸種の事情で、決して樂観を許さないのでありまして、この時に当
つて
、多数の
引揚者
が、今殺到して参りまするが、これらの
引揚者
に、食糧を事欠かさないために、直ちに
政府
は、その枠を決定して、万全の
処置
を講ずべきであると
考え
るのであります。(
拍手
)又北海道においては、一冬を越すのには、どうしても石炭が一戸当り二トン半が要ります。現在その一トン千五百円といたしましても、これが相当の金額に上るのでありまするが、炭價の大幅引上げが目睫の間に迫
つて
いる今日、どうして一体
引揚者
がこの金を賄うことができましようか。夏のうちにこれら石炭を用意しなければならない。而も金がなし。これは到底これら
引揚者
を救う
ゆえん
のものではない。よろしく國庫の負担において、これら燃料を支弁する覚悟があるかどうかを、私は
政府
に要望したいのであります。(
拍手
) 又昨年我々が同僚と共に、北海道の引揚状況を見ましたが、板敷の上に、あの寒空に蒲團もなく破れストーブを抱いて住ま
つて
いる。あの実情から見まして、今度こそはです、どうあ
つて
も一人前に疊の二疊ぐらいは、蒲團の一枚ぐらいは、ストーブ等の用意もしなければならないと
考え
ますが、瑣末なことでありまするけれども、
政府
において、この用意を直ちに行なうといい御意思があるかどうか。 その他、地方公共
團体
における
財政
上の負担に対する
措置
、並びに現在就農を
希望
しておる多数の者が待機中であり、更に今後の
引揚者
が、何をなさなければならないか等々の問題については、
政府
の無策を極端に暴露しておることを我々はこの
決議案
を生かすために、
政府
の御自身の渾身の
努力
を以て、これが実現を望む者であります。 以上
簡單
でありまするが、これに
賛意
を表する者であります。(
拍手
)
松平恒雄
19
○
議長
(
松平恒雄
君) 池田恒雄君。 〔池田恒雄君
登壇
、
拍手
〕
池田恒雄
20
○池田恒雄君 私、無所属懇談会を代表いたしまして、この
決議案
に対して、
賛成
の意を表します。 戰爭はすべての
國民
にと
つて
悲劇であ
つた
ことは言うまでもありませんが、在外
同胞
引揚者
は、更に深刻なる悲劇の中の人々であると思うのであります。すべての
國民
、又
政府
もこの悲劇の中の人々に、同情を寄せているということも事実でありますが、私はこの
意義
ある
決議案
を議決するに当りまして、
國民
も、
國会
も、
政府
も、同情を乗越えた積極的な態度を以て、(「そうだ」と呼ぶ者あり)
引揚同胞
に
対策
をしなければならないと、こう
考え
るのであります。(
拍手
) 終戰以来ここに三年、
連合軍当局
の絶大なる同情によ
つて
、在
外地
域より一百万の
同胞
が
引揚げ
て來ております。又
引揚げ
つつあります。そのことは、我ら齊しく感謝するところでありますが、然るにも拘わらず、今日雀躍として祖国の土を踏み、引揚の日を喜んだ人々が、その
生活
の不幸なるが故に、失業と
インフレ
ーションの渦巻く苛烈な社会の、より不健全なる側面より不健全なる側面へと追い込まれつつあるという傾向を見なければならないのであります。 今日多くの
引揚者
が、
希望
の薄い運命に追われつつあるということは、ただひとり
引揚者
諸君の不幸であるというだけでなく、我々
日本
国民の不幸ではないかと私は
考え
ておるのであります。(「そうだ」と呼ぶものあり)我々は今靜かに内省して見まして氣の付くことは、我々
日本
人は國際的体験に乏しいということであります。國際教養に欠けておるということであります。これに対しまして、私は
海外
から
引揚げ
て來るところの
同胞
の諸君は、そういう我々の欠けたものを身に著けておるということは事実であります。(「その
通り
」と呼ぶ者あり)私は利根川と鬼怒川の交流点を、遊水地帯を開墾しておるところの滿州
引揚者
の開拓組合を知
つて
おるのであります。この組合の人々は、勿論衣類はいわゆる着たきり雀であります。住居は藁小屋の中に毛布一枚の
生活
であります。「いも」や、雑穀や、野菜を塩と一緒に食べております。見るからに苦しい欠乏
生活
でありますが、それにも拘わらず、この人々の部落組織の礎には、近代的な設計が見られております。開拓の方法、耕種の
技術
という点においても、極めて嶄進的な方法が取られております。足袋を履いておらないところのこの開拓者の人々は、
自分
が足袋を覆いていなくとも、プラウとか、カルチベエイターとい
つた
ような近代的な
農具
を数台用意しております。又藁の中にもぐ
つて
豚同然の
生活
をしておる人々でありますけれども、数頭の牛、数頭の馬を用意しておる。而もこの馬のために聽診器、その他の医療器具を用意し、且つ薬剤を用意しておるのであります。而もこの組合に属する四十戸、百数十名の人々は、困苦欠乏の中にありながら、近代的農場
建設
のために極めて逞しいところの労働をしておるのであります。(
拍手
)私は國際的な
日本
建設
のために、
引揚者
によるところの多種多樣の國際的教養や、國際的体驗というものは、尊いものであると
考え
るのであります。ここに私は
引揚者
諸君に対するところの積極的なる期待と
希望
とを持
つて
おるのであります。
引揚者
に関する
対策
というものは、
引揚者
を場末の方へ、場末の方へと追いやることではないと
考え
ます。そしてその場末において苦悶をしておるその姿に対して、同情を寄せ、山の手の
方面
から救援の手を差延べるということではないと
考え
るのであります。(「その
通り
」「そうだ」と呼ぶ者あり、
拍手
)私はそのようなことが
引揚者
に対する
対策
であるとするならば、そのことは
連合軍当局
の折角の好意というものに対して報いるところの途でもないと
考え
るのであります。(
拍手
)私はこの
決議案
に
賛成
をいたします。更にこの
決議案
を有
意義
ならしめるために、特に
政府
に対して積極的なる
対策
を要望いたしたいのであります。 それは
引揚者
に対して文明史的役割を自覚させること、國際
日本
建設
の先駆的な使命と
希望
を與えること、
政治
とか、産業とか、農業文化とい
つた
ところの、
國家
再建のための重要な部門の総ての門戸を開放するということ、そうしてこの
引揚者
諸君が、その持
つて
おるところの國際的体驗、國際的教養というものを歪めることなく、ポツダム宣言履行の大道を堂々と堅実に進み得るようにするということであります。このような
引揚者
のための環境が、
政府
自身の力によ
つて
與えられなければならないと、こう
考え
るのであります。私の言うことは極めて抽象的に終るのでありますが、私はこの
決議案
が、
政府
自身の力によ
つて
、
引揚者
諸君に対し、このような環境を強く推進されるということによ
つて
、初めて有
意義
になるものであると思うのであります。 而も私は今までの
政府
のいろいろなやり方を見まして、この際強く意思を表明して置きたいことがあるのであります。私は沢山の
引揚者
を
家族
に持
つて
おるところの農民の代表といたしまして、特に言いたいことは、
引揚者
というものは断じて乞食ではないということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
引揚者
というものは敗残者ではないということであります。(「乞食じやないぞ」と呼ぶ者あり)
引揚者
というものは、戰爭の犠牲者であ
つて
も、断じて敗残者ではない。敗残者とは
日本
の軍國主義者であるということであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
引揚者
に対するところの
対策
は、この基点より出発しなければならないと思うのであります。(
拍手
)
松平恒雄
21
○
議長
(
松平恒雄
君) これにて討論の通告者を終りました。討論は終局したものと認めます。 これより本案の採決をいたします。 〔
中平常太郎
君「大臣のこれに対する答弁、
施策
の点を願います」と呼ぶ〕
松平恒雄
22
○
議長
(
松平恒雄
君) もう少しお待ちを願います。 これより本案の採決をいたします。本
決議案
に
賛成
の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
松平恒雄
23
○
議長
(
松平恒雄
君) 総員起立と認めます。(
拍手
)よ
つて
本案は全会一致を以て可決せられました。 只今の
決議
に対し、
内閣
総理大臣、
厚生大臣
より
発言
を求められました。竹田
厚生大臣
。 〔國務大臣竹田儀一君、
登壇
、
拍手
〕 〔「総理大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
松平恒雄
24
○
議長
(
松平恒雄
君) 後から……。 〔「三千万おる。引揚
関係
者三千万」と呼ぶ者あり〕
竹田儀一
25
○國務大臣(竹田儀一君) 只今の御
決議
の御
趣旨
には、誠に同感を禁じ得んものがございます。申すまでもなく、終戰当時約六百六十万を超えました
外地
在留邦人の引揚帰國は、我が國の直面いたしました一大課題でありまして、これが一日も早く速かに完了いたしますことは、全
國民
の挙
つて
念願とするところでありました。又念願であります。昨年末におきまして、ともかくも
ソ連
地区を除く他地域の引揚は一應の完了運びに至
つて
おるのであります。引揚がこれまで進捗いたしましたことは、ひとえに
連合國当局
の絶大なる御支援の賜と、深く感謝いたしておるところであります。併しながら
終戰後
三年になんなんとして、尚六十五万を超える多数
同胞
が
海外
に残留いたしておりますことは、諸君の述べられたごとく、甚だ遺憾に存ずるところであります。留守宅
家族
の方々の御心痛を
思い
ますとき、誠に心からなる御同情に堪えません。
政府
におきましては、是が非でも引揚全般を今年一ぱいに完了せしめたいと、固く決意をいたしおります。今後とも
引揚促
進につきましては、
関係
方面
とも密接な連絡を保ち、全力を傾倒いたして参るつもりでおります。
引揚同胞
の國内
定着
後の
更生
補導は、
政府
の絶えぎる関心事でございます。從來とも
引揚者
の
更生
援護
を図るために、
関係
各省と協力をいたしまして、
就職
の優先的斡旋、歸農入植の便宜供與、
住宅
の供給、
生業資金
の貸金の貸付、その他の
融資
による生業の確保、應急家財等の
生活
必需物資の特配、
生活保護法
の積極的活用による困窮者の保護等、各般の
対策
を講じて來たつもりであります。今後も
引揚者
の特殊事情を十分考慮いたし、只今の御
決議
に盛られました要望に應えて、万全の
措置
を講ずる所存でございます。尚中平、木下、御両君のお話のありましたごとく、樺太
引揚者
の中には無
縁故者
が予想以上に多きに上
つて
おりますので、これが受入保護に遺憾のないように、急速に
対策
を講じたいと思
つて
おります。ただ急速に具現いたしますためには、
財政
、物資、その他の上にいろいろ障害となることが
考え
られまして、なかなか容易ならざることでありますけれども、御説の
通り
、この問題は我が國といたしましては、是非とも万難を排して実現して行かなければならん事柄であると
思い
ます。私といたしましては、総理を初め
関係
閣僚の御協力を得て、是非ともこれが実現に邁進いたしたいと思
つて
おります。 尚
政府
といたしましては、以上申述べました
通り
、
決議
の御
趣旨
を十分に尊重いたしまして、
引揚者
につき万全を期する所存であります。同時に
國民
諸君におかれましても温かい
同胞愛
を以て、
引揚者
の更正を積極的に御援助下さるよう、切にお願いいたしたいと
思い
ます。 以上御
決議
に應えまして、聊か
所信
を披瀝いたした次第であります。(
拍手
)
松平恒雄
26
○
議長
(
松平恒雄
君) 芦田
内閣
総理大臣。 〔國務大臣芦田均君
登壇
、
拍手
〕
芦田均
27
○國務大臣(芦田均君) 只今
引揚同胞対策
の
決議案
を拜承いたしまして、参
議院
のこの問題に対する御意見の存するところ、その
熱意
の程は篤と拜承いたしまた。
政府
は全力を挙げてこの
決議
の
趣旨
に副うごとく
努力
いたす決心であります。(「今まではや
つて
おらんぞ」と呼ぶ者あり) 私は
引揚同胞
の問題が始ま
つた
当時から、責任ある國務大臣としてこの問題を取扱
つて來
た体験を持
つて
おるのでありまして、これが
対策
に対する困難がどこにあるかということも、多少
自分
の体験より承知いたしておるつもりであります。
從つて
この
内閣
においても、極力これらの難関を克服することに
努力
いたしたいと
思い
ます。
政府
の意のあるところを申述べて、今後の
施策
に全力を挙げることをここに声明いたす次第であります。(
拍手
)
—————
・
—————
松平恒雄
28
○
議長
(
松平恒雄
君)
日程
第二、
海上保安廰
の
設置
に伴い
地方自治法
の一部を改正する等の
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)を議題といたします。先ず委員長の
報告
を求めます。治安及び地方制度委員長、吉川末次郎君。 〔吉川末次郎君
登壇
、拍車〕
吉川末次郎
29
○吉川末次郎君 只今議題となりました
海上保安廰
の
設置
に伴い
地方自治法
の一部を改正する等の
法律案
にきまして、本
委員会
の
審議
経過並びに結果について御
報告
申上げたいと存じます。 先ずこの
法律案
の内容といたしますところは、第一点は
地方自治法
第百五十六條第六項に規定せられておりまする、いわゆる地方出先
機関
設置
に関しまして、
國会
の承認を要しないところの業務の項目というものを挙げておるのでありますが、その項目を更に追加せんとするものでございます。即ち先に成立いたしました
海上保安廰
法によりまして、
海上保安廰
は航路標識及び水路官署を統合することとなりまして、且つ巡視船の整備補給等の基地施設並びに通信施設を有することとなりましたので、この際本規定の整理の
意味
合いをも兼ねまして、改正せんとするものでありまして、次に その第二点といたしますところは、掃海及び旧海軍の艦船の保管に関するところの事務につきましては、先に
連合國
最高指令部覚書に基きますところの第二復員局の解体に伴いまして、いわゆるポツダム政令第三百二十五号により、運輸大臣の管理の下に運輸省の海運総局及び海運局の所管に属してお
つた
のでございますが、今回
海上保安廰
法によりまして、これらの事務というものは
海上保安廰
の所管となりましたので、ここに両者の聞の法律的調整の必要を生ずるに至
つた
のでございます。 以上が本
法律案
の
趣旨
内容でありまして、治安及び地方制度の常任
委員会
は、これが付託を受けましてより、愼重
審議
をいたしました結果、大体これを了承するところがあ
つた
のでございます。更に討論採決いたしましたところ、全会一致本
法律案
は、これを可決すべきものと決定いたしました次第であります。 以上
委員会
における
審議
の経過及び結果を御
報告
申上げました次第でございます。(
拍手
)
松平恒雄
30
○
議長
(
松平恒雄
君) 別に御
発言
もなければ、これより本案の裁決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に
賛成
の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
松平恒雄
31
○
議長
(
松平恒雄
君) 総員起立と認めます。よ
つて
本案は全会一致を以て可決せられました。 これにて本日の
議事日程
は終了いたしました。次会の
議事日程
は、決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十九分散会