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高良とみ君 本日は
皆さんのお許しを得まして、(「笑わんでやれ」と呼ぶ者あり)少しく
自己反省をさぜて頂きたい。殊に
議員の
勉強についてということについて反省して見たいと思うのであります。(笑声、
拍手)
私共凡そ一年間、初めての
参議院議員といたしまして、
責任を以て
國民に良き
政治を誓
つて参りたのでありますが、果していつになりましたならば
議員みずから、又
参議院独得の
立場から議案を提出するようなことになるであろうかということが、予ねて私共の心に往來してお
つたことであります。勿論各自が
勉強をして、又十分な
政策を立て、
各党各派においてそれぞれ御
研究であることには敬意を表するものでありまするが、もつと高度の
国民輿論が結集されることが非常な
必要事にあるのではないかということを秘かに憂うるものであります。
その
理由の
一つといたしましては、最近の
ドレーパー使節その他の
意見によりますと、
日本はすでに
講和條約を経てお
つた筈であるというような言葉までありますので、若しも今日のような状態が
講和條約を経て後の
日本の
政治の、
上院の姿であるといたしましたならば、或いは
立法府全体の姿であるといたしましたならば、私共はこの多大な犠牲を拂いました
國民に対し、又世界の平和を愛好する
人たちに対して、これで
日本が更生したどいうことがいえるかどうかということをみずから顧みて誠に忸怩たるものを感ずるのであります。幸いに若し御同感下さる方がございまするならば、お互い何とかして、もつと
活發なる又
自発性に富み、
計画を持
つたところの、
立法府の
権威を高めるために協力したいものだと思うのが私の念願でございます。
平和国家、
文化國家というように申しましても、高度の
輿論が集結し、又
國民の学界、
産業界、或いはその他の各
部面の
権威がお集りにな
つておられる
立法府でございまするが故に、それらの
部面が多少沈滞いたしましても、
國会こそは
意見の集結した所であわ、そこから行
政府に対しましてもはつきりして立案ができるのが本当の姿であろうと秘かに
考える者でございます。お互いがいろいろな
勉強をいてこの
議会に
出席を差しますけれども、秘かに私の観察いたしますところによれば、ただ身体を朝晩ここに運んで來、そうしてそこに高度の
意見が纏らないといたしますと、
皆さんの鬱憤は、私共の観察によれば、熱心な囲碁の盤上に、或いは各
控室におけるところのいろいろな
少数の
方々の御
意見の中にある。そうしてその
意見は各
控室よりは出ないということを
考えますると、もつと
控室を超越したところのいわゆる
ロビングと申しまするか、廊下における、
各党問における
意見が盛んに行われて
一つの
意見を形成し、こういう
法案を、ああいう
政策をというような盛り上
つて來るものも生じて來ていい時期ではないかと思うのであります。
勿論
ロビングに対しましてはいろいろな欠点もありましようけれども、その点につきまして私の
一つ提案いたしたいことは、
國策、敢えて
政策と申しませんが、
國策の樹立に対しまして
専門の
方々の御
意見を御
発表になる
機関を、各
常任委員会及びその他の
機会においてお持ち頂くように、
運営委員等で御
計画願いたいということであります。これにつきましては過日或る
常任委員会におきまして労働問題の
権威を招いて大層丁寧な
臨時研究会があ
つたのでありまするが、
出席された
議員は極く
少数でありまして、
議員外の方方の御
出席の方が遥かに多く、この御
意見は非常に参考になり、而も
委員長の御鄭重なもてなしもあ
つたのでありまするが、かかる労働問題、国際上における労働問題のごときものは、多くの
議員の方が御希望にな
つたと思いまするにつけましても、その
発表が極く小範囲であ
つたことを遺憾に
思つた次第であります。水産、農林或いは
國土、人口、
経済、各
方面におきまして、それぞれの
専門家であらせられまするところの諸兄氏が、願く
ぱその薀畜を傾けられまして、私共に御教示を願う
機会をもつと多くお與え下さいまするならば、そうしてこれを
公報において御
発表になり、今日は何々
議員の何々の御
調査研究があるということならば、私共は勇んで参加し、これに
質問もし、又そこにおいて
意見が、或いは高度の
輿論が形成されるのではないかということを
考えるものであります。幸いにそういう
機関が
予算委員室において、或いは
議長の應接室において、或いは各
控室同志の社交においてできまするならば、ここに
立法の府とし、特に
上院の特色を持
つた一つの
輿論の集成となりまして、党派を超越し、
国民に應うるに、もつと血の
通つた、もつと生きた
意見が生れると信じまして、
皆さんの御
賛同を得て、そういう日が一日も早く参りましたならば、私共三年或いは六年の任期を以ちまして、ここに参加いたしまする者が
勉強さして頂き、又
國民に新らしい見解を披擁して應えることができるのではないかということを思うものであります。私の
自由意見といたしまして御
賛同を得たいと思います。(
拍手)