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1948-03-24 第2回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十四日(水曜日)    午前十時三十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十号   昭和二十三年三月二十四日    午前十時開議  第一 國務大臣演説に関する件(第四日)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 諸般の報告御異議がなければ朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。日程第一、國務大臣演説に関する件(第四日)、昨日に引続き順次御質疑を許します。栗山良夫君。
  4. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は総理並びに大蔵大臣商工大臣文部大臣、更に安定本部長官、こういう方に是非共御出席願いたいと思うのであります。(拍手
  5. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 今出席していない大臣は、西尾大臣は病気のため欠席です。総理大臣は今関係筋に用があつて、そのために出席されていないのです。午前中は出席不可能だろうとのことであります。
  6. 栗山良夫

    栗山良夫君 全部都合を伺いたいです。
  7. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 先ず出席されておる大臣がおられますから、その方から、質問を始めて貰いたいと思います。    〔栗山良夫君登壇へ拍手
  8. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、政治信念及び施政方針に関して、芦田首相並びに関係大臣所信を承わりたいのであります。  民主党片山内閣において演ぜられた役割及び今回の組閣経過からいししまして、芦田内閣性格はすで明瞭であります。賢明なる國民は、片山内閣片山民主党内閣と批評いたしましたが、今こそ正眞正銘芦田民主党内閣が生れたものと國民は理解いたしております。芦田首相任務は、実に重大であります。前内閣はその失政により、國民大衆を耐久の嵐の中に置き、國民的憤懣の中で倒れたのであります。從つてその延長内閣として、芦田内閣任務こそ、若し政治信念があり、政治的責任感がありますならば、すでに国民大衆が批判し、指摘し、不満を爆発させた数々の失政を端的に直視し、採用し、以てこれを具体的に施政することでなければなりません。然るに芦田内閣施政方針は、実行性の乏しい抽象論國民の要望と隔たるところ実に遠いのでありますが故に、私の質問はこの観点からしていたすものであります。  質問の第一は、芦田首相政治信念でございます。芦田首相はその持論を今回の施政方針において明らかにして次の如く申されました。即ち今回の組閣に当つて國民総力結集を目標とし、各党の協力を求めた。又凡そ國家変動期に際しては、ややもすれば右か左かの極端に流れ勝ちであるが、これを排斥すると述べ、中道論主張されたのであります。このことは民主党性格天下にお示しになつた心組でありましようが、私はこの方針が今回の組閣工作を通じて一貫しておりませんことについて、甚だ不満を表する者であります。その第一は、民主自由党との連立工作は別といたしましても、國民総力結集を説かれた芦田政権こそ、少くとも與党三派の強固な團結を示し、以て國民に範を垂れるべきであつたと信ずるのであります。然るに三党首つて入閣せられたところの前内閣ですら内紛に終始し、弱体の譏りを免れなかつたのでありますが、片山、三木の二党首を迎え得られなかつたところの芦田内閣は、そのスタートにおいてその弱体天下に暴したのであります。如何なる理由によつて党首の入閣が実現しなかつたか、又総力の結集に失敗いたしました芦田首相は、何故に組閣を白紙に還さなかつたか、その点明らかにせられたいのであります。  第二は、右も左も極端を排するという首相の理念は、石炭國管に対する民主党主張より判断いたしまするならば、右は自由党、左は社会党左派より左を指摘されたものと思うのであります。昨日小林議員の、中道論主張する芦田首相が、時には左派粛清を、時にはその包容を唱えるのは、政治信念変節ではないかと追及いたしましたことに対して、芦田首相は、左派粛清を唱えたことはないと称しまして、左派を中道へ引連れて参られたのでございます。又社会党は現在右も中も左もない、強く團結しておると答えられました。この答弁から、私はますます政治信念変節の感を深くせざるを得ないのであります。即ち社会党團結しておるならば、入閣しなかつた片山党首及び入閣した加藤、野溝の左派幹部は、いずれも政治変節を敢えてしたことになるのであります。片山氏のことは措くも、鈴木氏は節を守つて入閣に應ぜず、加藤大臣は断乎労働階級のために闘うと言明されて入閣せられたのであります。故に芦田首相の言は、この御両人の政治信念に対する侮辱でさえあると思うのであります。政治家政治信念を変えるということは、政党堕落原因を作り、議会政治に悪影響を與え、延いては國民政治に対する信頼を失わせるものであります。政治信念こそ行動を以て國民に示すべき政治家の責務であると私は思うのであります。重ねて首相答弁をお願いし、國民の疑惑を一掃せられたいのであります。  質問の第二は、労働問題であります。只今労働問題の悪化は、国民各層重大関心の中に立つておるのであります。これは労働こそ日本再建決定的基盤であるからであります。然るにこの激化する労働問題に対し、封建的日本資本主義再建を夢みる人々は、その本質的、必然的な原因を科学的に日本民主化の線において判断し、解決する冷静さを失つておると思うのであります。恰も今日の労働攻勢が、日本再建妨害を策し、更には暴力革命手段として敢行せられておるやに宣傳し、長き封建生活に慣れた一般國民に呼びかけておる実情であります。良識ある労働階級が、どうしてこんな考え方で動き得るでありましようか。今日の労働攻勢は、決して企業利潤の分配に向けられておるのではない。ましてや政治革命手段対象など夢想だにしないところであります。このような労働不安の激発する根本原因は、利潤分配の線より遥かに低い、困窮し切つた労働階級の血の叫びであり、産業再建の担い手たる人夫を自覚する生産復興への雄叫びでもあるのであります。このことは中央労働委員会においても確認されておるごとく、その要求が科学的に理詰めになつておること、及びすべての要求が全部生産復興運動に集約されておることでも、その堅実性が窺えるのであります。このような極めて眞剣な且つ眞面目な生産復興に直結する労働運動が、支配階級人々によつて國民総耐乏の現在、不当な要求である。国民全部が困つており、國力限度を超えた要求であると非難を浴びせかけられておることに対しては、一大抗議をせざるを得ないのであります。環礁どん底にあるのは労働階級以下である。この事実を認めながら敢えてこれを主張せらるるゆえんは、大議場でも明らかになつたように、企業再建を、企業整理労働強化、低賃金の強化によつて企図せられておるからであります。政府及び資本家階級は、職數の四分の一乃至五分の一の実質賃金低下に喘ぐ労働階級のこの要求を抑えて、労働階級より何を求めんとするのでありますか、私はこの急迫した問題について、数点を質したいのであります。  その第一は、労組法改悪である。二十一日板谷議員資本家的立場よりする質問に対して、労働大臣答弁は、労働階級立場を明快に表明されたもので、深く敬意を表するものであります。現行法の下においてすら、労働階級はあの苦しい闘争を通じて、やつと今日の惨めな生活を與えられておるに過ぎないのであります。若し現行法に更に改悪の枠を嵌めるがごときことが強行せられまするならば、どれ程悲惨な境遇に追い込まれるか、肌に粟を覚えるのであります。幸いにこのような暴挙は行われないことが朗らかにせられたのでありまするので、労働階級は一應安心をいたしております。願わくばこの認識の下に更に新らしい労働行政の展開を望むや切であります。ところで労働大臣労組法改悪はしないが、改悪と同様のことはその運用でやつて行けると申されました。私の聽き誤りでありまするならば幸いであります。併し若し眞実にそう考えておられまするならば、問題は重大でありまするので、今一度所信を伺いたい。又私の聽き誤りであつたとするならば、その点を明らかにせられたいのであります。即ち現在全逓、國鉄、電産等には中央労働委員会を通じて国体協約案が提示せられ、クローズド・シヨツプ制の否定、企業運営、企画、予算は関與させない、非組合員範囲拡大組合専從者の減員、給料拂等労組法改悪企図がそのまま織り込まれておるのでありまするので、これを撤回する意思があるかどうか、これを伺いたいのであります。  その二は、資本家側組合法違反の問題であります。労働法規の権威は労資双方において嚴重にこれを守らなければなりません。そうして労働階級は今日まで忠実にこれを守つて來たのであります。然るに法の不備も若干認めまするが、意識的に労組法中最も重要な第十一條違反資本家の手によつて行われておることは注目すべきであります。第十一條の、「使用者労働者労働組合組合員たるの故を以てこれを解雇しその他これに対し不利益な取扱をなすことを得ず。使用者労働者組合に加入せざること又は組合より脱退することを雇傭條件となすことを得ず」なる條文こそは、自主的團結権を守るため設けられた強力なる規定であります。勞働委員会の議に上らない違反も多数ありましよう。東京都勞委における今日までの統計においては、実に六十七件に達しておるのであります。たとえ十一條の下で使用者行爲労働委員会違反なりと決定、処罰を行われることがありましてもう民事裁判によつて解雇の無効が確認されるまでは、労働者の地位と生活は極めて不安定であります。又生産管理に関しましても、労働階級生産の障害を避け、生産の増強を図りつつ爭議権を守りたいというこの行爲を曲解し、これを非合法呼ばわりし、最近新聞の報ずるところでは、最高検察廰においても、生産管理は原則として住居侵入及び業務妨害罪を構成すると声明せられております。この二つの問題は法の不備不備として、労働問題の処理上極めて重要なる根本問題でありまするが故に、是非共労働大臣及び法務総裁の善処を願わなければなりませんが、この機会所信を伺いたいのであります。  その三は、片山内閣賃金物價悪循環論を繰返し、経済政策決定の基本とせられました。然るに誰もが認めておりまするように、インフレーションの下におきましては、いつも賃金騰貴物價騰貴に遅れて進むものであります。それ故にインフォメーションは金融資本の不可欠な経済再建政策として意識的に強行せられて来たのであります。一般物價騰貴は不換紙幣の増発が原因であります。一般物價騰貴、或いは賃金騰貴が跛行的に上昇するのはその結果であります。労働階級終戰後、殊に片山内閣声明以來、その苦しい生活実態の中から身を以て体験し、この理論の正しさを把握しております。又この原因と結果を置き換え、一番遅れて上昇する賃金インフレ高進の元兇であるとする主張は、全面的に了解し得ないのであります。この誤れる考え方こそ当然資本主義再建の防波堤たることは、労働階級もよく知り抜いておりまするが、私は労働問題の靜穏を望まれるならば、この誤れる理論を放棄せられる以外に途のないことを政府に警告するのであります。(拍手)この理論を放棄する意思があるか、賃金スライド制即時断行する用意があるか、又直接この問題に関して紛爭の頂点にある全官労及び電産問題の眞相安本長官及び労働大臣に伺いたいのであります。  質問の第三は、文教政策に関連する問題であります。六・三制豫算残額予算に関しましては、一昨日の波多野議員質問に対する北村藏相答弁によつて大体の経過を知ることを得ましたが、問題は政治責任に関することであり、文教政策に対する政府熱意のバロメターでもあります。我々の聽きたいのは、文教を尊重するとか、重視するとか単なる掛け声でなく、その裏附けとして予算に対し政府がどれ程の実行力を以て答えておられるかということであります。(拍手)これは昨年春以來全國民注視の的であります。この点に関しまして、万難を排して優先措置をする意ありや否や、北村蔵相責任ある答弁を重ねてお願いいたします。  次に、一昨日北村藏相は片山内閣以來方針を堅持し、明年以降必要なる予算を組むと言われましたが、六・三制全般の今後の予算について具体的にどの程度に考えておられるか、前年度の本予算八億、それに追加予算十五億、更に未確定の地方起債十七億を仮に加えても三十二億に過ぎません。六・三制完全実施の全必要額の十分の一にも足りないのであります。六・三制は連合軍の要請でもあり、又世界に対する公約でもあります。この未曾有の重要な教育改革に際し、その予算が全体の一・五%にも足りない現状では、政府認識程度を疑わざるを得ません。(拍手予算不足前代未聞教育不安を醸成しております。即ち新制中学不足教室五万、小学校において二万一千、教員不足新制中学七万、小学校十七万を数えております。更に校具、教具、教科書の不足が加重せられ、現在六・三制は名ばかりであります。二部教授、三部教授実施はますます教育質的低下を招いております。一方教員生活不安のため現職を離れつりあり、この傾向師範学校應募の上にも現われております。更に最近ますます増加の傾向にある青少年の不良化も、結局その大きな原因一つは六・三制不完全実施にあります。又國家予算不足は必然的に國民大衆に轉嫁されております。自由募集私立学校は高額の寄附金支度金によつて無産勤労大衆の子弟には、その門が固く閉ざされておるのであります。このように六・三制問題は単なる教育問題から大きく社会問題、経済問題にまで発展しおり、このため国民が強力な国家予算の確立を絶叫しておるのも当然であります。日本民族の光であり、文化國家建設の基盤である六・三制完全実施予算を、当局は來年度において最低限如何なる額を計上せんとするか、この点藏相及び文相の所信を伺いたいのであります。(拍手)  その二は、恩給の問題であります。これは教員だけの問題でもなく、又直接文教政策にも関係が薄いかも知れませんが、この機会大藏大臣及び文部大臣にその所信を伺いたいのであります。現在の恩給受給者は大部分が二十年、三十年の長きに亘つて、薄給に甘んじ、辛くも最低生活を支え、職責を果し、職を退いては僅かな恩給を以て生活の頼りとしておつた人々であります。恩給受給者は以上のごとき理由で、恒産により余生を送る余裕はなく、又その子弟も現下の生活難の下では、これを扶養する力を欠き、勢い悲惨なる生活に喘いでおるのであります。一般俸給生活者給料は約三十倍になつておるのに、恩給受給額は据置きのままであり、インフレ高進前の退職者には甚だしく不公平であります。政府はこの恩給受給者生活困窮を認められるか、又恩給額について基本増額臨時措置即時断行する用意を有するや否やを大藏大臣に伺いたいのであります。  質問の第四は電力問題であります。電力復興日本再建の原動力として石炭と共に喫緊の要事であることは言うまでもありません。昨年秋の電力危機國民に與えた堪え得ざる苦難は、このことを事実を似て証明したのであります。今や國民はこの体験を基とし、來るべき二十三年度の電力危機にその関心を集中いたしております。然るに政府は、この深刻なる國民不安除去方針を明示せず、速急には成果の得られない水力電氣開発の点に上滑りをしておられます。私はこの政治的センスの欠如が、電力危機根本的回避の行われない原因であると思う。そこで電力復興の基本問題に関して二三の点を質したいのであります。  第一は、二十三年度の電力危機対策であります。その採るべき方策は、昨年の経験で今ここに再言をすることを認めません。私が伺いたいのは電力規正対策ではなく、應急電力増強の方向において、綜合燃料対策火力用炭対策既設設備補修拡充対策、未完成設備緊急竣功対策に対して、今直ちに実行に移るということを、経済安定本部長官商工大臣農林大臣運輸大臣より本議場を通じて国民に公約して頂きたいのであります。(拍手)  第二は、電力企業再建整備の問題であります。水谷商工大臣は、電気事業企業形態民主的改変のために、電力民主化委員会を設けてその具体化を急ぐと言われております。が、経済力集中排除法の第二次指定により、いよいよ期限附きを以て断行せねばならないことになりました。当面する電力復興の重要問題であります。電力危機打開の根本問題であります。電力事業が今日のごとき不活發なる運営下にある根本原因は、安本を主とし、商工省を從とした強度の官僚統制下にあり、而もこのため電氣事業経営者は全く去勢され、その主体性、自主性を失つておることであります。而して電氣事業者はこの官僚統制の枠内で徒らに電力の割当、配分及び収支のプール計算において、日発及び九配電会社自己企業利益追求に汲々として日も尚足りない有様であるからであります。私は電力事業再建の絶好のチヤンスを捕えて、從來の官僚統制國家統制即ち國民統制へ、ブロツク対立企業形態を全國一元化の方向へ再編する必要があると確信するのであります。電力は技術的に見れば生産即消費の特殊生産物であり、而もこれを本州中部に集中する電源地帯より全國に能率配分しなければならないし、経済的に見れば、今後の電源開発には厖大なる資金資材を要します。需要の立場より見まするならば、生活必需品として全國均一料金でなければならないことを理由といたしましても、全國一元化でなければならないのであります。文化国家に奉仕せしめる電氣事業企業形態及びその規模は、従來のあらゆる因縁を排除して、この際完全理想の形態に再編すべきであると考えます。この観点よりして、私は電氣事業民主化委員会の構想より前進した具体的政府所信商工大臣に伺いたいのであります。  三は、電力料金の問題であります。今日電力事業が金融に行詰まり、資材の購入、設備の拡充及び從業員の生活保障等につき、重大なる難関に逢着しておる最大原因一つは、電気料金の不当なる低位にあると存ずるのであります。即ち電氣事業をして自立産業として運営せしめるならば、再生産能力をみずから回復し得るまで、当然に電氣料金の引上を即時断行すべきであります。若し犠牲産業として運営せしめるならば、再生産能力確保のために、政府即時補給金を支給すべきであります。とにかく事業運営に関し、この性格を明らかにした上で緊急の措置をしなければならない問題でありますが、この点について、安本長官具体的答弁をお願いいたしたいのであります。  質問の第五は税金に関する問題であります。忍び得ざる限度を超えた大衆課税に対する國民大衆の憤激は、遂にその爆発点に達しております。この声に應えてか、首相は、勤労所得税大幅引下を明らかにせられたのでありまするが、同時に資本蓄積のためには、法人税の引下げをも発表されました。併しこの企図を以て健全財政により國家予算を賄うには、インフレ及び闇利得徹底的捕捉と、高度累進税率の適用と、税の嚴格公平なる査定の裏附けがなければなりません。インフレ闇利得徹底的捕捉は、歴代内閣が題目的に唱え、而もその実行を責められるや、捕捉困難を理由として逃げて参りましたが、今や税に関する國民的関心は、この一点に集中しておるわけであります。又中小企業に対する税査定の不公平、農家に対する無差別反当所得の推定などは、税に対する大なる國民的不満であります。若しインフレ闇利得徹底的捕捉ができなければ、國家財政は極端なる赤字財政となるか、又は間接税を中心として大幅の引上げによる國民生活の極端なる圧迫以外に、その途はないでありましよう。そこでインフレ闇利得の把握という空念佛ではなく、國民要求しておる実行案をお示し願いたいのであります。若し本年度のごとき税制の延長によつて生活が圧迫せられまするならば、勤労者ばかりでなく、中小企業者も亦農民も、これに一大反撃を加えられるであろうことを恐れる故に、即時断行の確乎たる意思の表明及び具体的措置を、大藏大臣にお伺いいたしたいのであります。  質問の第六は、海外引揚促進の問題であります。七十万の未引揚者引揚促進の問題は、如何に國民的輿論として政府に要望せられたか、前内閣における外務大臣として芦田首相も最もよく承知しておられる筈であります。更に四囲の情勢上止むを得んとは言いながら、故國の空を夢みながら越冬に泣いておるのであります。関係留守家族人々は、首相の誠意ある言を信じて、鶴首して肉身相見える日を待ちあぐんでおります。然るに首相引揚者、戰災者の救済につき、その熱意は示されましたが、この最も重大なる且つ責任を負われる未引揚者の問題について言及せられなかつたことは、誠に遺憾であります。恐らく留守家族人々は失望に代えるに憤激すら覚えると共に、二十三年冬季前までには全員の引揚を熱望しておると思うのであります。この問題に関する外務大臣答弁を、全留守家族の名において伺いたいのであります。  質問の第七は、農村工業振興の問題であります。日本零細農業の安定及び将来の農業恐慌に備えるためには、多角的経営による農村工業の振興を図らねばなりません。郷市より眺めた農村のインフレ景氣は、その観測と異り、現在においては殆んど都市へ還元され、資金資材枯渇状況は誠にひどいものがあります。從つてこの状況下において、厖大なる資金を要する農村工業を進めるには、国家的資金資材措置を講じなければなりません。政府はこれに対し、如何なる抱負と施策を有せらるるや、農林大臣に伺いたいのであります。  質問の第八は、住宅関係であります。政府住宅復興を急ぐと申されまして、前内閣も同様の方針を以てその実現に努力せられました。けれども今日住宅難はますます深刻であります。政府はこの際住宅建設復興障害を大胆に除去する意思はないか。即ち建築統制を緩和し、自立建築を推進せしめる方策自立建築助成方策如何。更に今日、宅地所有地主は採算上賃貸家屋の建築不可能なるに拘わらず、宅地の借入、譲渡しに対しては、困難な條件を附して、国民自立建築を妨げておる実情であります。この際農地改革と相並んで、封建的宅地解放のために宅地改革法制定用意はないかどうか。建設院総裁に伺いたいのであります。  質問の第九は治安問題であります。國内治安の紊乱今日より甚だしきはないのであります。犯罪が獰猛化し、且つ時と所と手段を選ばず敢行されておりまする今日、國民は枕を高くして寝むることを得ないのであります。全く恐怖地獄道であります。従つて罪を憎んで人を憎まずの精神を以ちまして、犯罪者に対しては峻嚴を持さねばなりません。この点に関しまして、天下を衝動して全國民恐怖の坩堝に陥れた帝銀事件犯人は一体どうなつたか。すでに発生後二ケ月余を経過しております。この間、前代未聞犯人への自首報償金の新聞廣告までが、恐怖におののく一市民から提供せられております。犯人は恐らく警察の無力を冷笑しておると思います。國民の名において即時檢挙要求すると共に、左の点を明らかにせられたいのであります。犯人はどうして挙げられないのか、檢索方法にどういう欠陥があるのか、將來の見通しはどうかということであります。  更にすでに提出済みになつておりまする軽犯罪法についてであります。本法案の前身である警察犯処罰令に対する國民的批判ですでに結論済みのごとく、國民の常識と道徳心によつて十分に防ぎ得るがごとき日常茶飯事の問題を。敢て犯罪として法律化することの愚、及び官憲の悪用によつて善良なる國民無意識的行爲にすら加えらるる虞れがあること等によりまして、かくのごとき法の制定は徒らに再編成を急ぐ警察行政の混乱を深めるものと信ずるのでありまするが、法務総裁の所見を伺いたいのであります。(拍手)  私は以上九点を以て質問を終りまするが、実質的に片山延長内閣である芦田政府に対し特にお願い申上げます。私の質問の要点は、片山内閣十ケ月の失政に対する無産大衆の批判と憤滿を如何に受け入れる用意ありや否やを伺いたいのであります。無産大衆は全國民の過半数に及ぶことを銘記せられて、率直に且つ詳細なる答弁を特にお願い申上げる次第であります。(拍手)    〔国務大臣加藤勘十君登壇、拍手
  9. 加藤勘十

    國務大臣加藤勘十君) 只今の栗山官の御質問に対してお答え申し上げます。  最初に、先回私の御答弁申上げました場合に、労働組合関係法規の改正は、又改悪は行わないと言うたことに対して、改悪は行わないが、改悪と同様の事柄を運用によつてやるのでないかという意味のことを聞いたが、それは自分の誤解かどうか、こういう点でありましたが、これは明らかに栗山君のお聽き違いであるということをはつきり申上げて置きます。  只今御質問の趣旨は、お聽き違いになりました点は暫らく別として、労働組合関係の法規の改悪は行わないが、それの改悪と思われるようなものが、勞働協約という面に現われ、又現われんとしておる、これらの点に対してどのような考えを持つておるかと、こういうお尋ねであつたと存じます。この点につきまして、具体的にどういう團体協約が、どこの企業若しくは事業場において行われておるか、一々のことを存じませんが、政府の各関係官廰における團体協約の改訂に当りまして、純理的に見て考慮を要するものは当然考慮されることと思います。又純理的にどうあろうとも、現実の日本の労働組合運動の発達の過程における必要と思われる現実面についても亦考慮されなければならぬ点がありまするので、それらの点は一々具体的な問題の場合に論議されることと存じまして、現実的には、労働者の権利を擁護する建前に立ち、義務を規定する建前に立つておる労働組合法なり、或いは労働関係調整法なり、労働基準法なり、そうした精神に相反するがごときものは、これは絶対にどういう力であろうとも、受け入れらるべきものでないこと、栗山君御承知の通りであります。従つてそれらの点については、具体的の場合に、具体的の事実に基いて、話合つた方が宜しくないかと思います。(「その点差別してやつておるではないか」と呼ぶ者あり)  第二の点におきましては、労働組合法第十一條の事業主による違反が非常に多くなつておる、この点に対する政府所信はどうかと、こういう御質問のようにお伺いいたしましたが、その点は御指摘の通り、昭和二十一年度におきまして労組法第十一條違反が九十三件でありましたものが、昭和二十一年におきましては遺憾ながら百七十八件に増加いたしております。これは一面労働組合関係からの摘発もあり、又他の方法によるこうした労働者基本的な権利を守る労組法違反に対しては、社会的にも許されない点でありまするから、こうした事実については、はつきりした態度を以て臨むべきであると、こういうように考えております。併し根本的には、ただ一片の法律に訴えるのでなく、労働組合がいよいよ自主的に堅実なる発達を遂げまして、労働組合自身の手により、こうした違反が犯されないように監視すると共に、又事業家をしてこういう法律の違反を犯さしめないような反省を求むる措置政府としては講ずることが妥当であると、こういうように考えております。  又現在問題となつておりまする官公職員の爭議の問題につきまして、どうしてこれらの問題が起つたか、その中労委の裁定の経過を明らかにせよという御指示があつたように存じまするが、この点は御承知の通り初めて要求の形で提示されましたのが昨年の九月でありました。爾来幾多の交渉が行われまして、遂に中労委の裁定に委され、中労委に提訴されましたのは、御承知の通り各省別の組合が別々に、官労連一本として裁定が提訴されたのではなくして、各省別々に提訴されたのであります。そうした提訴に基きまして中労委としては裁定を下しました。その裁定の政府並びに組合に対する勧告と申しまするか、提示に基いて、臨時給與委員会というものが設置されるに至つたのであります。この臨時給與委員会御承知の通り、結果においては國鉄組合の代表者のみが組合側からは参加されたのでありまするが、最初から國鉄組合だけの代表に呼びかけたのでは断じてないのでありまして、全部の提訴された組合の代表者に参加を求めたのであります。ところが私の聞き及びますところによりますれば、他の各組合は、自分たちの要求である最低賃金制度の問題について論議することができないというのでは参加しても意義をなさんということから、参加を拒否されたと聞いております。若しこの点間違つておれば後に訂正いたしますが、私の聞いておるところはそのようであります。從つて中労委の勧告の中にも、現在の段階において最低賃金制度を採用正するということは殆んど不可能であろうという点から、そういう点が除外されておりまするので、この臨時給與委員会においても最低賃金制の問題には触れないという建前から、結局遺憾ながらこれらの多くの組合の代表者の参加を求めることができず、遂に國鉄の代表者だけが参加されて、御承知のような裁定案がこの臨時給與委員会において決定し、それを政府に報告されましたので、政府はその報告を承認して、ここに二千九百二十円ベースというものが一應決まつたわけであります。こういう経過を辿つておりまする関係と、更にこの二千九百二十円が、民間の同種職業との均衡を保つことも十分考慮されております。ただ問題は、先日もこの議場においても申上げましたかと存じまするが、衆議院の質問においても答えました通り、二千九百二十円だけの問題を出して、これで食えるか食えないかという、こういう御質問であるならば、これは食えないというが一般的な見解であり、私もそう信じておる。併しながらそれにも拘わらず、これを一應組合側の了承を得たいということは、今日の日本の置かれたる内外諸般の情勢は、どうしてもこれを一應御了承願わなければならない事情に当面しておりますことから、困難であり、無理とは知りつつも、一應これを組合側に御了承を願いたい、こういう点に政府としても極力組合側の御了解を、得るように努めておる次第でありますが、残念ながら今日までのところ、まだ多くの組合の御了承を得ることができない状態にありますけれども、どうしてもこの点は組合側において御了承を願うように極力努力をいたしたいと存じております。  電算の問題につきましては後に所管大臣から御答弁があることと存じまするので、これを以て私の栗山君の御質疑に対するお答えといたしたいと存じます。(拍手)  昨日余儀ない用件のために議場に出席することができませんで、親しく御質問の趣旨をお伺いすることのできなかつたのは甚だ残念でございまするが、御質問の要点は書取つてありましたので、その要点に基いてお答えいたしたいと存じます。  第一に田村文吉君の御質問にお答えいたしたいと存じます。  御質問の第一の要旨は、官公吏と民間の給與水準は均衡を保たしめる必要があると思うが、新給與二千九百二十円では、この物價高の時代に官吏は生活して行けると思うか、民間と官吏の賃金の差を是正し、官吏の賃金に最高及び最低賃金を定めて適正を期すべきであると思うがどうかと、こういう御趣旨であつたように聞いております。  この点に対しましてのお答えとしては、御承知のように過去の実際を見ますると、仕事の性質なども手傳つたかも存じませんが、一般に官吏の給與は民間に比して低いと言われて來たのが常識でありまして、この点は今日に至つてもまた根本的には改められておるとは思われないのでありますが、この度の二千九百二十円の新水準を臨時給與委員会が決めまするについては、今申しまする通り、民間の同種職業との間のできるだけ均衡を保つということに苦心が拂われておりまして、それはこの臨時給與委員会の報告書が第一回、第二回と出されておりまするものを御覧願いますれば、この点に対していかに苦心をしておるか、そうして又できるだけ許される資料を時間の限りにおいて合理的な算出をするに苦心をしたかという点が、報告書の中に現われておるわけであります。こういう点から見まして、二千九百二十円というものが生れて來たわけでありますが、二千九百二十円で生活ができるかできんかということでありますれば、今申します通り、私はそれだけでは非常にむずかしいということは、御指摘の通り(「食えなくちや困る」と呼ぶ者あり)、又私もそのように考えております。(「食えるようにするのが政府だぞ、責任を持て」と呼ぶ者あり)、それにも拘わらず、今日それをなし得ないということに、日本の現在の状態、もつと言葉を詰めて申しますれば、敗戰によつて日本経済は根本的に破壞をせられ、尚今日占領軍の占領政策の下に支配されておる我々の立場を考えて見なければならん必要があります。(「政府責任じやないか」「政治の貧困じやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そういうような事情で、最低並びに最高の賃金決定するということは不可能であると存じます。仮に一部に唱えられておりまするような最低賃金制の問題は、私は今日の段階において、私個人の見解としては反対であります。その反対の理由は詳しく申し上げれば限りがございませんが、今日のような物資の不足しておるとき、インフレによつて物價の安定を欠いておるときに、最低賃金制を定めるということにならざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)名目賃金を定めるということはインフレーションを昂進する以外の何ものでもありません。(「米窪と同じだ」と呼ぶ者あり)從つて私共は、そうしたインフレーシヨンを昂進せしむるがごとき名目上の最低賃金制を定めることは、結局その最低賃金が最高のものになつて労働者にとつても断じて芳ばしいものであるとは言われない。それよりは実質賃金の向上を目指すところの物資の裏附けによる……。(「それが最低賃金だ」と呼ぶ者あり)而も現実の生活の安定を図ることこそが望ましいことではないか、そのように考えております。(「詭弁を言うな」「労働者を救え」と呼ぶ者あり)  御質問の第二は、労働法規を改正しないと言つておるが、若し國会がその改正の必要を認めて改正する場合に、大臣は辞職をするか、こういう質問であつたと存じます。この点についてはしばしば申上げておりまする通り、私は若し國会が、國会の意思によつてこうした改正案を出される場合に、極力現下の諸情勢を御説明申上げて御了解に努め、そうしたことの今日如何に不必要であるかということを力説いたしまして、尚且つそれが容れられないで、國会においてこれが行われるということになるならば、私は当然辞めます。(「偉いぞ」と呼ぶ者あり)(拍手)  第三の御質問は、労働委員会の構成及び権限を拡大強化する意思がありや否や、こういう御質問であつたと存じまするが、労働委員会は御承知の通り労働組合法なり労働関係調整法なりに基いて作られておるものでありまして、若し労働委員会の権限の拡大強化を法律の規定によつて変えようといたしますれば、勢いこの労働委員会を生み出した今申しまする二つの法律の改正なり改悪なりをやらなければならんことになります。私は今日の法規の範囲において、十分運用によつて労働委員会の機能を、この労働委員会の與えられたる使命を果す上に差支ない運用ができるものであると、かく信じておりまするから、從つてこの権限を強化するということのために法規をいじる必要はないと、かく考えております。  大体右の三点のようにお伺いいたしましたので、右三点をお答えいたします。(「八十五点」と呼ぶ者あり)  次には竹中七郎氏の御質問でありまするが、御質問の要旨は、第一に私が労働組合大臣としてどういう理念を以て当るか、その理念抱負を聽きたい、こういう御趣旨のように承わつておりまするが、労働組合は申上げるまでもなく、飽くまでも労働者の自主的な運営によりその発達を期すべきものでありまして、政府がこれを指導したり、或いは援助したりするべき性質のむのではないのであります。(拍手労働組合の健全なる発展のために障害となる社会的諸般の要素を除却することに努めるということは、政府の採らなければならん義務であると存じますが、直接労働組合を指導するという考え方は採るべきではないと、かく私は考えております。  御質問の第二は、労働基準法の運用に当つて中小企業に対して何らかの特例を設けて小さい企業を保護する意思がないかどうか、こういう御質問のようでありましたが、御承知の通り、労働基準法は労働者の過去の封建的な制約による一切の風習を打破し、労働者基本的な勤労に伴う権利を主張し、そしてその生活を保護する規定であります。從つて原則としては、どんな小さな場に働く労働者と雖も、当然この基本的な基準法の適用を受けるのは当然であります。従つてこの点に対しては、別に特例を設けるというわけには参りませんが、日本の産業構成の特殊性、即ち日本経済の上に占むる中小企業の重要性に鑑みまして、これらの点を如何に助長して行くかということが当然考えられなければなりません。從つて、この中小企業の、それこそ抑制と申しますか、助長と申しますか、こうした面に対しては、労働基準法の運営による特例を設けるということよりは、別な施策として当然その方策が探られなければならないと存じております。勿論基準法の運用に当りましても、若干の例外規定のあることは御承知の通りであります。こうした例外規定は飽くまでも例外規定でありまして、本質的なものではないということを御了承願いたいと存じます。  質問の第三は、我が國における失業者の問題に対し、現在の失業保険法であるとか、或いは失業手当法とかというものだけでは不十分ではないか、こういう御趣旨のように承わりましたが御説の通り、失業問題は現下の社会問題として最も重要なる問題の一つであるのであります。現を我が國には、正規の純粋失業者の数がどれだけ、潜在失業者の数がどれだけという正確な統計が残念ながらありません。(「政府の怠慢だ」と呼ぶ者あり)当然これらのものに対する正確な統計が作成されなければならんと存じまするが、大体今日まで推定し得る諸般の統計料に基きますれば、潜在、顯在合せた失業者の数が数百万に達しておる。この数多き失業者に対しで、如何にしてこれらの正しい意味における職業に就く機会を與えるかということが、第一に考えられなければならんのであります。失業保險法であるとか失業手当法のごときものは、生産面に吸収することのできない失業者を止むを得ず國家の費用においてその生活を保障するという消極的な施策でありまして、失業問題の積極的な施策としては、第一に、できるだけ残らず失業者を生産面に吸収することが考えられなければならんと存じます。併し如何にしてこれらの失業者を吸収するかということになれば、これ亦非常に問題があるのでありまして、実際には非常にむずかしい。ただ政府としては、でき得る限り現在の日本経済の許す事情の下に、輸出産業を中軸とする諸般の産業に興隆を図ることに努力し、ここに計画的にどれだけの失業者を吸収することができるか、更に又いわゆる公共事業にどれだけの失業者を吸収することができるかというような労働力の按分の上に計画性が立てられて、その計画の上にこれを吸収すること、若しそれでもどうしても職を得る機会の乏しい人に対しては、失業保険法によつてその最低生活の保障に努める。こういうようにいたしたいと存じております。(「簡單」、「ゆつくりやれ、落着いて」と呼ぶ者あり)大体御質問の要旨は以上の点にあつたと存じまするので、右を以ちまして竹中君の御質問に対するお答えとすることにいたしたいと存じます。(「ようし」と呼ぶ者あり)(拍手)    〔國務大臣鈴木義男君登壇、拍手
  10. 鈴木義男

    國務大臣(鈴木義男君) 私に対する御質問は、労働組合法第十一條違反をどういうふうに取扱つておるかという点が第一点であります。労働組合法第十一條違反することは重大な犯罪でありまして、そういうことが現実にありますならば、労働委員会に提訴し、労働委員会がこれを請求いたしまするならば、余程の事情がない限り全部これを起訴いたしているのであります。すでに刑事局長から常に起訴方針を指示して起訴すべき旨の依命通牒を全國の檢事局に発している次第でありまして、起訴することが適当でないと信ぜられる理由があります場合に限つて、中央に稟請をさせることにいたしているのであります。不起訴になりました場合はそれぞれ理由があるのでありまして、御要求があるならば立派に御説明申上げるつもりであります。その他は起訴するごとに決しておると御了承願いたいのであります。  第二点は、生産管理を如何に扱こうかという問題でありますが、生産管理と通常言われまするものは、いろいろな内容形態がありまして、一概に論ずることはできないのであります。民法上の事務管理に類するか、或いは経営の委託と見ることができるようなものにつきましては問題はないのでありまするが、本来の生産管理と言われまするものは、一段的に違法行爲を随伴いたすものでありまして、これを合法と申すことはできないのであります。従つて検察当局といたしましては、問題となりました場合には愼重にこれを処理して行く方針であります。併しその処理に当りましては、もとより資本家の不当なる主張等は毫も顧慮するものではないのでありまして、労働組合法或いは労働関係調整法等との調和において処理することは勿論であります。  第三点は、治安維持の方法の問題でありまするが、これは誠に仰せの通り、常に治安が危険に瀕している。あらゆる意味においてこの治安維持の方策を確立しなければならないということは、政府といたしましても苦心いたしているところでありまして、それぞれ関係方面等とも協議いたしまして、新たなる方策の樹立に努力をいたしている次第であります。お示しの帝銀事件犯人を檢挙することができないことは誠に遺憾であり、汗顔の至りであります。只今全國的な規模において基礎捜査を実施いたしているのでありまして、東京地方檢察廰の指揮の下に、東京都警視廰刑事部長がその先頭に立ちまして、國家地方警察の協力の下にやつているのであります。予定の約三分の一の捜査を完了いたしたのでありまして、この方針で行くならば、必ず檢挙して見せるという自信を持つておるのでありまして、この方針を続行中であります。多少の時間が掛かりますけれども、必ず檢挙して御覧に入れるという信念を持つていることを申上げて置きます。最初失敗いたしましたのは、当時直ちに檢挙できると考えまして、捜査が上滑りであつたということでありまして、只今の方針は、遅いのでありますが確実なものでありまして、御信頼を願いたいのであります。  第四点は、軽犯罪法の不必要ということでありますが、成る程無理に面会を強要する、寄附金を強請するとか、行列の順番を紊すとかいうようなことは、若し文化の程度が高く、国民の道義心が強ければ、法律を俟たずして自粛自戒されて行くことなんでありますが、遺憾ながら我が國の現状において、この程度のことも法の制裁を以て取締らなければ行われない状態にあるのであります。ひとり我が國だけでなく、この種の軽易なる警察犯は、各文明國におきましても、やはり法律を以て取締ることが必要であるということになつておりまして、こういう軽犯罪法の類似の法律のない國を探すことがむしろ困難であるのでありますから、私は我が國においてもどうしても必要であると信ずるのであります。但し労働運動等は決してこの法律の対象としているところではないのでありまして、若しそういう点までこの法律が累を及ぼすということを御懸念されまするならば、そういう憂いのないような保障規定を設けることにつきましては、政府として少しも吝かでないのであります。(拍手)    〔國務大臣栗栖赳夫君登壇、拍手
  11. 栗栖赳夫

    國務大臣(栗栖赳夫君) 栗山議員の御質問中、私に関する二点をお答えいたしたいと思うのであります。第一は前國会において、本院において総合燃料及び電力危機の突破に関する御決議があつたのであります。前内閣におきましてはその趣意に副いまして動力の危機に対処し、将来の燃料動力問題を解決するために、安本の中に綜合燃料動力委員会を設けたのであります。新しい内閣におきましても勿論この趣旨に副いまして、この綜合的な動力の増強その他について作案を急ぎその立てました案を実施いたしたいと考えている次第であります。  今一つの点は、電力料金に関する問題であつたと思うのであります。新内閣におきましては、近く物價の補正的な改訂を行いたいと思うのでありまして、その際に電力料金の問題も十分檢討を加え、適当なる処置をいたしたいと考える次第でございます。(「賃金物價の悪循環については……」と呼ぶ者あり)それは大藏大臣答弁します。    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
  12. 北村徳太郎

    ○国務大臣(北村徳太郎君) 栗山議員の私への御質問の第一点は、本年度六・三制残額予算の確立に万難を排してやる氣があるかどうかということであつたと思うのでありますが、これは万難を排して予算化するために、只今懸命の努力中でございます。  第二点は、昭和二十三年度において六・三制予算の額はどのくらいであるかというお尋ねであつたと思うのでありますが、只今政府におきましては。二十三年度全体の予算につきまして、物と金との関係物價との関連等につきまして、調査研究を進めておりますので、この予算編成を急ぎつつありますから。余り遠からざる中に御審議を願うことができると思いますけれども、只今具体的な数字を申上げる段階には未だ達しておりませんのでございます。  第三点は、インフレの起る前に退職された恩給受給瀞の恩給を即時引上げる用意があるかどうか、こういう御趣旨であつたど思うのであります。これは現在のインフレ進行下におきまして、恩給生活者の方々が誠にお氣の毒な状態にある、そういう方々が甚だ少くないことは、十分承知をいたしておるのでありまして、恩給の増額について、実は毎日のように多数の陳情書が大藏省に参つております。政府といたしましては、何らかの方法によつてこれが救済策を講じなければならないものと考えておるのでございますが、併し御承知のように、軍人の恩給は全面的に停止され、或いは戰時公債の補償打切等が行われまして、終戰に伴います各種の政策の犠牲者も数多くあることでございますので、目下生活保護法の運用等によりまして当面の應急の救済をいたしておりますが、恒久的には、これら犠牲者の方々を一括いたしまして、以前の立場或いは以前の資格等に関係なく、むしろ無差別的に、眞に救済を要する方法に対して、社会保障的な制度において、國家財政の許す範囲において、これを睨み合せて綜合的なる救済策を講じて参りたいと、かように考えておる次第でありまして、恩給受給者だけについて即時そり救済を断行するということは、残念ながら現下の段階においては困難であることを御了承を願いたいと思うのであります。  御質問の第四点は、インフレ利得と闇利得の徹底的な捕捉を確実に実行するかどうか、こういう点であつたと思うのであります。インフレ及び闇利得の捕捉は、実際問題といたしまして極めて困難でありますが、政府は税務機構の拡充、或いは刷新等を進めております。又、脱税の摘発、罰則の適用、或いは第三者の通報制の活用等によりまして、課税の実行充実に努めておる次第であります。又他面には、民間事情精通者或いは経済團体等に諮問をいたしまして、民間の協力をも願いたい、かように考えでおるのでありまして、各あらゆる方法を以てそれらの捕捉に努めたい。又現にその捕捉に努力をいたしておるのであります。併しながら何分にも闇利得というものは、実態を掴むことが極めて複雑でありまして、困難な点がございますので、この点につきましては、政府も最善を盡す覚悟でありますが、各位におかれましても、御協力を願いたいと、かように存ずる次第であります。(拍手)    〔國務大臣森戸辰男君登壇、拍手
  13. 森戸辰男

    國務大臣(森戸辰男君) 栗山君の御質問に御答えいたします。  六・三制の予算につきましては、大藏大臣のお答えになつたところで大筋はお呑込みと存じまするが、六・三制の問題は、御承知のように日本の教育刷新の、私共の言葉で言えば急所でありまして、あらゆる困難を排してこれが実行を期して行きたいと存じておるのであります。六・三制の実行は、芦田内閣のみならず、吉田内閣以來、日本の政府國民にも連合國にも公約した制度でありますので、私共はあらゆる困難を排してもこの実現に努めたいと存じておるのでありまして、三党協定も六・三制の完全実施ということを掲げており、現内閣も閣議においてこれを確認いたしたのであります。而もこれは政府だけでなく、國民の輿望でありますることは、第一國会の当院における請願に百万に近い署名者のあつたことは、皆さんの十分に御存じの通りでありますし、両院の文教委員も強く主張をなされておるところでありまするし、第一國会で、衆議院では六・三制完全実施の決議がなされたのであります。かような国民的の背景の下に、私共は万難を排して実現を期したいと思つておるのでありまするけれども、他面非常に困難な財政的の面の存在することも、亦資材における多くの困難の存在しておることも、皆さんの御承知の通りでございまして、昨年三十一億の予算が内定されまして、その内十四億の國庫支弁が、七億が昨年末の追加予算で認められまして、残りの六億余が今日まで残額として残つておる事態は、私共返す返すも遺憾に存じておるのであります。大藏大臣の言われたように、政府といたしましても全力を挙げてこれを追加予算に組むように努めまして、只今二十三年度の当初の暫定予算に組むように最善の努力をいたしておる次第であります。尚二十三年度の六・三制の予算はどのくらいになるかという、責任の持てる額はどのくらいの額になるかということでありますが、これは大蔵大臣のお答えにあつたように、只今具体的のことを申上げることはできないのであります。併し二十三年度の予算には二十四年度の設備の費用が盛られるのでありますが、二十三年度におきまして、約七十万の自然増加の子供のための費用が三十億でありますが、二十四年度には約百万余の自然増加の生徒があるのであります。そこで三十億の約三分の一多いのは、元の物價でもそうでありまして、物價が二倍、三倍と計算すれば、それに應じた数が最少の数と出るということは、御想像が付くところであろう存ずるのでありまして、私共は、こういう方向に大蔵当局並びに安定本部との事務的の交渉等によりまして、最少限度は少くとも確保いたしだいというふうに努力いたしておる次第であります。  尚恩給の問題につきましては、殊に学校の先生方で、年寄つた先生方が誠にお氣の毒な状態にあつて、長い間教育のために盡瘁されて、自分の子供の教育もできない境遇におられることは、單に先生のみならず、一般の恩給者の老齢の方々に対すると同様に、私共深く遺憾に存ずるのでありますが、遺憾ながら、直ちに、即時にこれを適当に処理するということができないような事態にあることは、大蔵大臣のお答えいたした通りでありまして、私共極めて遺憾でありまするけれども、併し最善の努力をこの方向にいたしたいと存じておる次第であります。(拍手)    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
  14. 永江一夫

    國務大臣(永江一夫君) 只今の栗山君の御質問は、農業恐慌に備えまして農村の工業化を急がなければならんが、その資金資材の面において政府用意はあるかという御質問でありました。農村工業振興を図りますことは、御説の通り極めて重要なことでありますが、政府としてもこれが振興に努力をいたしておるのであります。ただ現在の資金及び資材の極めて窮屈な状態にありまする現状から申しまして、急速にこれに十分な資金資材を充てるということは困難でございます。将來何らかの形におきまして、國家資金を農業方面に融通する態勢を確立したいと考えまして、その具体化を急いでおりますから、その場合においては農村工業も亦その一部門としてこれが対象として考えて参りたい。かように考えておるわけであります。    〔國務大臣岡田勢一君登壇、拍手
  15. 岡田勢一

    國務大臣(岡田勢一君) 栗山君の御指摘になりました電力の危機の打開は、当面最大の重要問題であるという御意見に対しましては、全く同感であります。電力の増発のために石炭その他必要の資材の輸送を完遂いたしますということは、この際最も重要であることを私も痛感いたしております次第であります。つきましては、それらの資材の輸送に努力いたしますことは勿論でありますが、特に石炭の輸送につきましては常に最重点を置いて当りますと共に、將來におきましても、事態によりましては緊急或いは特殊の輸送を行いまして、発電計画に齟齬を來さしめないように十分努力を拂いたいと考えております。又一面、國有鉄道の自家発電といたしましては、従來信濃川発電所の整備並びに一部火力発電所の戦災復旧等に努力をして参りましたのでありますが、近い将来におきまして幹線の電化計画を促進いたさなければならんと考えておりますので、これと対應いたしまして新たな電源の開発をも考慮しておる次第でありまして、極力これらの自家用発電を整備いたしますことによりまして、一般用の電力事情の緩和に努力をいたしたいと考えております。  次に昨日の本会議における田村文吉君の、生産増強のための鉄道輸送力増強方策如何という御質問に対しましてお答えを申上げます。  御承知の通り國有鉄道は、戰時中の酷使によりまして衰耗荒廃いたしておりますので、本年度非常な努力をいたしましたにも拘わらず、貨物輸送の面では一億一千百万トン程度の実績に終らんとしております。これは当初の目標に対して九四%の成績しか挙つておりません。月々千五百万トン程度の輸送要請がありまして、毎日の滞貨は三百万トンを越しておるという始末であります。この程度の輸送では、到底現在の生産物資需給に対應いたしかねるものと考えております。昭和二十三年度といたしましては、すでに経済安定本部等と年度計画を策定いたしておりますが、これによりますると、田村君の御指摘のごとく、少くとも海陸で一億四千百万トン余の輸送をいたさねばならんのであります。勿論石炭を初め鉱工業四割、農産一割の画期的増産に対應するものでありますが、今後如何に海運への轉移を計画いたしますにいたしましても、この輸送力では辛うじて重要物資の輸送ができます程度で、國民経済及び國民生活の全般の要請に應えるには、これでは甚だ不十分ではないかと考えておるのであります。而してこの海陸で一億四千四百万トンの輸送は、現状を以ていたしまするならば実に困難なことであり、若し現在のままで推移するといたしまするならば、鉄道一億千万トン、海運一千四百万トン程度が漸くではないかと思われるのであります。従いましてこの二割以上増強につきましては根本的対策を必要とする考えまして、近く閣議にも諮り、各位の絶大な御支援をも得まして、國を挙げてこの輸送力の確保に当たらねばならんと決意をいたしております次第であります。根本的対の一つは鉄道用資材の確保であります。その第二は車輌の増備と修理の徹底であります。その第三は労働関係の調整でありまして、この労働問題に対しましては特に輸送力増強如何の鍵となつておると信じておりますので、従業員の生活の安定と労働重要物資の確保、作業環境の改善等に思い切つた措置をとらねばならんと考えておるのであります。尚一般物資の輸送力増業には勿論努力をいたしますのでありますが、特に石炭、食糧その他の重要物資の輸送に対しましては絶対に確保する決心を以ちまして、万全を期したいと覚悟をいたしております次第であります。以上お答えいたします。    〔國務大臣一松定吉君登壇、拍手
  16. 一松定吉

    國務大臣(一松定吉君) 栗山議員の御質問は主として住宅問題に関係をいたしておりまするので、私は今日この戰災者並びに引揚者等の諸君が住宅問題のために非常に困窮せられており、それがために生活の安定を障害し、生産増強にいろいろ支障を來しておるという点につきましては、本当に何とか急速にこれを解決しなければならん、これを考えます時には、自分ながら胸が張り裂けるような思いもいたしておるのでありまして、あなたが非常に御熱心にこれをお説きになりましたことについては、私は全く同感であります。(「頼む頼む」と呼ぶ者あり)この点に対しまして、先ず住宅建設に対する助成実施の状況はどうであるかという御質問からお答えいたしたいと思いますが、成るたけ自分で建てることのできないような人々のためには、地方の公共團體等をしてこれが建設に当ることを頼んでおります。そうして國家はこれに対して二分の一の補助をして、そうして建設のできたものをそれらの人に貸し與える。而も最も安い家賃で貸し與えるというような方法をとつておることは、これはあなたも御承知の通りであろうと思います。又既存の建物に対しまして、これにいろいろな間仕切りをしたり、或いは便所を拵えたり、台所を附設したりして、そうして住宅としてこれに住むようにして頂いておるようなことも御承知の通りでありまして、又余裕住宅を開放いたしまして、そういう方面にもこれらの人を収容することに努めておりますが、何分四百万戸程の住宅が不足しでおる今日でありまするが故に、なかなか思うように捗りません。けれども政府といたしましては、できる限り資材の割当、資金の融通ということに力を盡しておりまして、これらの建設に努力をいたしておりますことについて御了承を賜わりたいのであります。又材料料の入手の非常に御困難な方に対しましては、政府といたしまして現物を調達いたしまして、それらの事業主体にこれを交付しておる、こういうような状況でございます。過般もこの席から申上げましたように、二十三年度におきましては九万九千戸、國庫の費用によつてこれを建て、一般民間の方からは一ケ月に三万三千戸、合計一年に対しまして四十万戸、國庫の金で建てます十万戸と合計いたして五十万戸の建設をいたしたいと、こういうように努力をいたしておりますが、今日まで竣工いたしました戸数を分類してお答えを申上げまするならば、新築いたしまして、そうして極く低い家賃でこれらの人々に貸しておりまする家が七万九千百二十五戸であります。この間私がこの席から七万と申上げたのは、これは間違いでありまして、精査の結果七万九千百二十五戸であります。又既設の建物を住宅化いたしましたものが六万二九〇六戸であります。余裕住宅を改造いたしましたものが六百一戸であります。分讓住宅が二千四百四十七戸であります。又業種別の中でも、石炭労働者人々のために建てましたのが一万八千四百六十八戸ということになつております。こういうような遅々として進まないことに対しましては、私非常に責任を感じておりますが、でき得る限りの努力を一ついたしたい、かように考えております。これに牽連いたしまして、あなたの御質問の、宅地の開放のために宅地改革法を制定する意思ありやというこのことも、非常に私は適切な御質問であると考えております。今日戰戦災土地、遊休の土地、これらの土地に家を建てようとしても、所有者が十分にこれを貸してくれない、或いは貸してくれるときには非常に高價な代償を要求し、或いは権利金その他の名目のために容易に貸してくれません。こういうようなことがあるばかりでなく、政府の施策の中でも換地事業が遅れて見たり、或いは公有土地の確保というものが十分に進捗していないということのためにも、この家屋の建築を遅らしておるということは甚だ遺憾に思いますが、政府のことのために遅れておるというようなことは、それらの困難を急速にこれを取除くことに努力いたしまして、一面には土地の所有者に対しましても経済上の事情もございましよう、或いは複雑な権利関係もございましようが、成るたけこれらのもの一般民衆の困つておる人のために、自己の権利を犠牲にしても提供して貰いたいというような処置を一つ努力して見たいと思いますが、これらの意味におきして改革法というものを制定するということが、これは余程必要なことであろうと思いますが、十分に研究調査の上で成るたけそういうような方法によつて、これらの家屋の建築を増設すべく努力いたしたいと、かように考えております。  それから建築統制の緩和はどうだという問題は、これは私は御尤だと思う。今日統制というものがあるがために、思うように家が建たない。統制を撤回してしまつたら十分に家の建築ができやしないかというようなことも一應考えられますが、これらの点に対しましては、やはり関係方面との折衝もございますし、又一面には重要工業に從事しておられます勤労者の諸君や、炭鉱労務者その他庶民住宅等の今日非常に欠乏しておりまする住宅を建てまするには、やはり政府の力によつてこれらの資材を確保して、そういう方面に重点的に配給して、これを建設せしむるということが必要でありまするから、今のところで統制を解いて、誰でも勝手にということについては少して難色を持つております。但しダンスホールだとか、或いは料理店だとか、旅館だとかいうような、國民生活に直ぐ目の前に必要であるというようなことのないようなものに対しましては、相変らず制限を強化いたしまして、そういう方面に使う、資材は一般性宅の方面に使う、こういうように私は考えておるのであります。こういうようにいたしまして、住宅難を緩和したいと思いまするが、昨日のラジオでありましたか、私の所管の品川に建てました不燃建築物の僅か四十世帯より入れられん所に、三万という人が行列をしてこの籤を抽くべく並んだということを聽かされました時に、本当に私の心は暗くなりました。私自身がすでに建設院総裁でありながら、今入る家がないのであります。こういうように困つておるわけでありまするから、これは本当に政府としては十分にこの方面に力を入れまして、一つこれらの人々のために安心して生活ができ、安心して日本再建のために働くことができるように、最善の努力をしたいということをお誓いを申上げます。(拍手)    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
  17. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) 栗山議員の御質問ですが、止むなき要件のためにこの場におりませんので、或いはお答え漏れの点があるか知れませんが、予め御了承願いたいと思います。  質問第一点は、二十三年度の電力危機突破対策に遺憾なきや、現在豊水期に向う四月頃、冬期渇水対策を樹立して、国民に安心できるような実行策があるかないかというような意味の御質問であるように聽きました。これに対する答弁といたしましては、昭和二十三年度の発電量は一應年間約三百十六億キロワット時と予定いたしまして、これを確保するためには、水力及び火力発電設備を整備いたしまして、約二十万乃至三十万キロワットの増強をはかる考えであります。更に又年間約三百七十万トンの火力発電用石炭を確保いたしまして、年間を通じて発電量の変動を防止いたしまして、渇水時におきましても、少くとも百万キロワツト以上の発電を行う考えであります。更に又自家用火力発地を動員いたしまして本年度に比し約二億キロワット時を増加する考えであります。更に又送電及び配電損失の減少、送電線の増強による地域間融通電力を増加する方針であります。  次に、電力の配分を合理化いたしまして、産業の再建、民生安定に照應せしめますために、余剰電力の活用、壇用電力の減少、綜合燃料対策の推進、電力使用の合理化運動を展開いたしますと共に、現在の割当制度を続行いたしまして、遺憾なきを期する方針でございます。  以上によりまして二十三年度は本年度に比べて好轉いたしまして、極度の異常渇水のない限り混乱を防止することができるものと考えております。これらの施策につきましては、更に具体的に檢討を進めておるのでございますが、速かに確定の上、國民諸君の理解と協力を得るよう適切な措置を講ずることにいたしたいと考えておる次第でございます。  更に第二の質問は、電氣事業再建整備に関して商工大臣は一元化を考慮する旨答弁しておるが、全図的に一元化し、官僚的でない國民管理を希望するが如何というような御質問であつたと思うのでございます。仰せの通り電力事業の一元化という問題は、この度の三党政策協定にも謳われておる点でございまして、この一元化を如何なる形においてやつて行くかということは、集中排除、或いは独占禁止法、更に又外資導入受入態勢等々の立場から十分に檢討して見たいと思いまする。商工大臣といたしましては、目下懸案中の電算スト解決直後に直ちに発足できるように、國会の電氣委員長を初めといたしまして、電氣事業の経営者、労働組合の代表者、更に又需要者代表、更に又学識経験者等の極めて民主的な委員会を作りまして、商工大臣の委嘱によりまして、独自の立場からこの問題をば十分に檢討いたしまして、できるだけ早く結論を付けまして、この一元化問題をば解決したいという考えでございます。
  18. 松本治一郎

    ○副講長(松本治一郎君) 総理大臣は後で答弁せられることと存じます。島村軍次君。    〔島村軍次君登壇、拍手
  19. 島村軍次

    ○島村軍次君 時局極めて重大なる折柄、この難局打開のために芦田首班がこれを担当されましたことに対しましては、一應諒といたすところであります。併しながら先般行われました施政演説を拜聽し、且つその後の答弁を拝聴いたしますと、必ずしも我々はこれに全面的の賛意を表することのできないことを誠に遺憾とするところであります。我々は参議院の性格立場からも、亦國民大衆が今聽かんとしておるその点から考えましても、ここに重要なる点に対して私は極めて率直なる総理大臣答弁を得たいと思うのであります。要は政策本位に、政策の実現を如何に期するかということにかかるのでありまして、これに対しましては、少くとも大なる氣魄と勇猛心を以て果敢に実行に移されんことを希望いたすのであります。その見地に立ちまするときに、民主党の首班であります芦田首相は、今回の施政方針演説において、最高目標として、中道の途を歩み、且つ社会連帯、國民協同の理念というような問題をお話になつておりまするが、皆さんの御承知の通りに一面には保守の大同團結が唱えられ、一面には社会主義的な政党との間におきまして修正資本主義を唱えられましたる民主党首班は、果してこの修正資本主義の理念を如何に考えておられまするか。又中道であり或いは社会連帯であるという、こういう問題に対するはつきりした首相のお考え振りを國民大衆に周知せしめることは、現内閣が当然なさねばならん責務であると共に、又現在の政局から考えましても、私はこれを大胆率直に、而も実践方策に対して確乎たる御答弁を得たいと思うのであります。かかる副長の下に、私は今日まで首相に対しまする質問のなかつた点を主体とし、且つ農村問題を中心といたしまして、関係大臣の所見を伺いたいと思うのであります。  先ず第一に、農村金融に関する問題からお尋ねを申上げたいと思うのでありまするが、インフレの克服といい、又資本の蓄積といい、これは今日の時局から言えば、当然我々が大いに主張し、且つその具体的の対策が直ちに実行に移されなければならんことは、当然と言わねばなりません。ところが本年の初頭にマツカーサー元帥の発表されました通りに、日本の民主的基礎は設計はでき上つた。併しこれを本当に基礎工事を行い、住宅を建てて、そうして我々の住み好い再建日本を形造るためには相当の努力を要することは、これ亦当然と言わねばなりません。こういう見地に立ちますと、我々は今芽生えんとしその設計をまさに基礎工事に移さんとするその矢先におきまして、農村はその芽生えを刈り取られるような現状にあることは我々は深く認識し、そうしてその実態を把握せなければ、今日の政治の明朗を期し、且つその政治を推進して行くことは、決してできないことであることを痛感するのであります。即ち農村には一時非常な資金が擁され、新円の六割は農村にあつた時代は昔の夢でありまして、今日所得税の計算の基点から考えましても、所得総額の僅かに一割六分が農村に課せられております。私はむしろ現在の新円の大部分は農村の箪笥の底から出まして、そうしていわゆる闇ブローカー、或いは中小都市、又は第三國人等の方々に多数が保有されているということを考えざるを得ないと思うのであります。私の郷里の某村の一例以て考えて見ましても、或いは藺草を作り、或いは果樹を作り、或いは菜を作る特定の土地を除きましては、農村の金は今回の所得税の更正決定によつて殆んど吸収されてしまつたのであります。一月早々申告によつて納められましたる農村所得税納税者は、三月の更正決定に戰つておりまして、これがために新聞紙上の報ずるところを御覧の通りに、現に税務署にはこれからの更正決定、或いは減額の申請その他悲痛なる態度を以て続々と陳情をし、場合によつては腕力沙汰にも及ばんとする傾向のあることは、疾くに大藏大臣の御承知の通りであります。これは一体何を意味するか、又一つの例を取つて申上げて見ますれば、某村におきましては、この負担に堪え得る者は全農村の中の三分の一であつて、後の三分の二の者は勿論現金を、あらゆる現金の引出しを行い、且つ多年農村團体であつた農業会、これらに貯金をしておりまする数十万円の貯金は、一度に支拂われたばかりでなく、牛を賣り、家具を賣り……数万円を一時に取上げたという喜びは途端の間であつて、そうして再び牛を賣らなければならんという悲惨な状態にあるところが少くないと思うのであります。この原因は第三者から見まするというと、農村は食えるのであるから、それで良い、こういう感じをお持ちになつているかも知れません。併し事実芽生えんとするこの農村が、正にその芽生えを切り取られるということは、この一例を以ても証明できることを篤と当局者は認識せなければならんと思うのであります。即ち農村資金は、ここに生産増強を唱え、或いは農村工業を唱えられる先輩各位の各種の御議論に対して、いろいろ答弁はありましたけれども、先ず農村資金問題より解決せんければ、到底その目的を達成することができないことをここに断ぜざるを得ないのであります。殊に先頃から計画されましたるいわゆる責任生産責任供出の制度は一〇〇%の供出に対して世間は、今年はよく農村が應じたものである。又総理大臣は先般の演説において、農村に非常に感謝をされております。併しその裏は決してさような甘い考えではないのであつて、自分の耕作したすべての米を供出し、僅かに数日若しくは数十日の間食う米しかないというような農家も中にはあるのであります。勿論これはこの割当の不公平その他もあると思うのでありまするが、日々粒々辛苦の上で作り上げましたるこの米を、供出後におきましては直ちに還元米を高い銭を出して買わなければならんという悲惨の状態も少くないことを篤と御了解の上で、私は農村政策に対してまして……その実態は私の説明を待つまでもなく、生産それ自身は分散されて生産しております。田と田の一々は隣の田であつても土質は違うのである。同じ田の中でも、高い所と低い所とでは余程その土質を異にしておる。こういうふうな状態でいわゆる千差万別の中にある。この実態を把握せなければ、決して机上の空論を以ては農村政策は論ずることはでき  ないことを重ねて申上げたいと思うのであります。  先ずかような見地から考えまして、農村金融問題は正に八方塞がりの感じのあることを、大藏大臣或いは安本長官農林大臣は篤と銘記されまして、そうしてこれに対する積極果敢なる政策をこの際是非共実現されなければならんと思うのであります。こういう見地から先ず私は農村金融に対しまして、いわゆる資金の裏附けを如何に考えておられますか。具体的の建設意見を申上げますというと、今日は復興金庫がありまして、重要なる産業の設備には資金をお出しになつております。併し農村工業設備をしより、或いは又農具の設備をしようといたしましても、決してそれに対する資金は供給されておりません。而して多年農村金融に力を注ぎましたこの農業会は、協同組合への轉換のために資金は枯渇して、各地方の農業会は非常に資金難に陷つておるこの際であります。その場合には復金の機能を十分に発揮するということでなくして、農村実情に應じたるいわゆる農業復共金庫のごとき制度を設けることが私は当然でなければならんと思うのでありまするが、而もそれは設備でなくして、以上のような現在再生産に必要なる即ち一割増産なら一割増産に対するその裏附けをすべき資材に対して、直ちにそれが回轉し得るような施策がなければならんと思うのであります。昨日農林大臣は、一割増産のために鉄材一万八千トン、その他前年の二倍の資材を提供するということを発表されております。併しながらそれに対して農具は御承知の通りに、戦前においては六万トンを要しており、現に昨年は僅かに八千トンの割当であつたものが、三四千トンばかりの配給しかないのであります。数量それ自身が非常に少いばかりでなく、この農具生産のためには百五十億円の資金を要するのであります。その資金は勿論業者自身の持つところも相当あると思うのでありまするが、一割増産の立場から、果してこの裏附けである資金を如何にして調達するかということに対しては、これは大藏大臣或いは安本乃至は農林大臣が非常な熱意と、一つの建設的な施策を用いなければ、到底それが一割増産はおろか、決してその目的を達成することはできないことを特に申上げまして、農業金融に対し、この際政府の所見が奈辺にあるかということに対する御答弁を煩わしたいと思うのであります。  第二には、金融問題に関連を持ちまして、先に行われましたる農業協同組合法施行に伴う農業團体の整理に伴いまして、本年の三月限りにいわゆる新旧勘定を合併するの方策を大蔵省は立てられ、且つ最終処理の方策としまして、從來の市町村農業会の持つておりました金融債券、即ち興業銀行債券或いは北海道拓殖債券その他の金融債券は、政府の指示によつて、地方長官の認可を経て、金融機関の再建整備法による最終処理場を完了しておるのであります。又只今申上げました整備に関する法律によつて、すでに二月の十四日までにそれぞれ農業会は解散準備総会をいたしまして、それに会員三分の二以上の出席を求めまして、そうして明らかにこれを発表いたしておるのであります。即ち資産の状況、その他事業報告を示して、金融債券は旧勘定でなくして新勘定としての措置を講じておつたのであります。問題はこれらの善悪の問題よりは、即ち政府がかくのごとき措置を採らして置いて、而して最近になりまして、金融債券の旧勘定移換は止むを得ないことであるというような態度をお探りになつておりますために、農村は、農業会自身の資産に影響があるということは勿論でありまするが、農村資金は、御案内の通りに、季節的収入が多くありまして、米の収入のあつた時にいわゆる振替貯金によつてそれを集め、木炭の生産をした時に振替によつて貯金をし、その零細なる資金が集まつて僅かな余裕金を集めたものが、ここに全額にいたしましては僅かでありまするが、極めて零細なる資金の集まりであるという関係から、即ちこれを若し政府責任でないといたしまするならば、これは由々しき問題が起ることを……農民自身が今日ではすでに各地の農業会へ参ります。とか、或いは縣廳へ押しかけておる現状を御覧になりまするときに、果して政府がこれに対して如何なる措置を講ぜらるる用意がありまするか。聞くところによりますと、市街地信用組合等におきましては、これを適当なる措置を講ぜられることが行われておりますし、又銀行その他におきましては、農業会と違いまして、まだいわゆる最終処理決定が未完了であるし、且つ又團体整備による財産目録に事業報告書を提出して承認を経たという一面におきましては、農民に公約をいたしておるということがない場合におきましては、これは又おのずから情勢が異なるのでありまするが、この際全國農民の立場におきまして、これらの点を政府自身は熱意を以て行わなければ、私はこの際申上げたいことでありまするが、やがて芽生えんとする農村の現状が非常に憂慮すべき状況であるということを前提に置きまするならば、この問題は金額にいたしましても、事件そのものは軽微のようであつて極めて重大な問題であるということをこの際申上げ、國民の前にはつきりした当局の御答弁を得たいと思うのであります。  農村課税に関する問題は、先程金融の際に申上げたのでありまするが、この際、課税問題に関しまして次の諸点に対する大藏大臣の御所見を伺つて見たいと思うのであります。第一は、欠点とされておりまする画一反別所得ということを改められる御意思があるかどうか。第二は、課税標準を決めるに当りまして、農業の特質であるところの自家消費部分を除くことが適当と思うが、これに対する所見がどうであるか。第三は今回農村は一齊に協同組合ができることになつておりまするが、協同組合において計算をいたしまして、自発的に振替制度を採用することが、徴税の点から行きましても、亦資金の流通面から行きましても、動かすことなくして直ちに行うことができるのでありまして、これは極めて適切なる制度と思うのでありまするが、それに対する所見はどうであるか。又第四には、販賣収入が御承知のように非常に分れておるのでありますから、季節的に來るのでありますから、分納制度を認めまして、農産物の販賣収入の翌月くらいに納付する分納制度に対する所見如何。第五には、委員会の制度を昨日御答弁なつたのでおりまするが、諮問機関だと称せられております。私は最後の決定を税務署長がやることに対する異議を申上げるのではないのでありまするが、少くともこの委員会制度は、従來のごときお坐なりのものでなくして、今少し民主的に、権威のある、即ち一町村少くとも一人以上の委員を選んで、そうして政府への申告と同時に審査をし、更にこれに対する税務当局の意見を加えたものを委員会に移して、決定前において委員会の審議を経て決定する、こういう制度に改めることが当然でなければならんと思うのであります。昨日は極めて簡明に諮問機関を置くという答弁がありましたけれども、以上の五点に対しまして御答弁を得たいと思います。尚、土地利用税、又は農業税創設が新聞紙上に現われておりまするが、これに対する御所見知何。  最後に数項ありますけれども、協同組合に対する育成方針について伺つて見たいと思います。今後の農村のために作られましたる協同組合は、もはや理屈を以てこれを彼これ論ずるところでなくして、如何にして我が國の再建に役立たしめるかということが確乎たる方針でなければならんと思うのであります。元來が農業協同組合は自由の原則を建前といたしておるのでありまするから、今日の統制経済の鉄則の点とは相一致しない点もあると思うのであります。そこで生産の協同組合だと称せられる農業協同組合が、今後積極的にこれを活躍……いわゆる農村の恐慌に今から備えるためには、相当の協同組合に対する育成が十分でなければならんと思うのであります。農林省の既往における予算面は、明治時代からの保護政策によつてのいわゆる補助金、奨励金は、相当大幅に削除されております。併し少くとも協同組合法を農村振興の機関とするならば、これに対して大幅な予算を計上し、且つその具体的問題をはつきりと示さなければならんことを痛感いたすのであります。これに対する農林大臣の所見如何。同時に農業協同組合の技術の在り方に対しましては、民間技術を採用し、從來の官廰技術を脱却して、いわゆるサービス・ステーシヨンとしての目的を十分に達成するような技術水準を作らなければならんと思うのでありまするが、これに対して農林省の農業技術の在り方、及び水準向上に対する具体的方針を承わりたいと思うのであります。更にこれに関連をいたしまして、農村の協同組合は将来農村における配給機構といたしまして、必需物資に対しては是非共これを協同組合をして行わせることが、農村実情に適すると深く確信いたすのであります。政府生活協同組合との関連を如何に考えておりまするか。まだ生活協同組合法は制定されておりません。併し先の農林大臣平野氏は、農村においては生活協同組合即農業協同組合だという答弁を明らかにされております。恐らくこの点に対しては商工大臣は御同感であろうと思うのでありまするが、これに対する所見と、及び農具、石油、その他に対する配給機構を農業協同組合に行わせることに対する政府の所見を質したいと思うのであります。以上時間が参りましたので私の質問を終ることにいたします。(拍手)    〔國務大臣北村徳太郎君登壇〕
  20. 北村徳太郎

    國務大臣(北村徳太郎君) 島村議員の御質問は、農村の課税と、それから農村金融並びに金融債券の処理についてであつたと思うのでありますが、以下それらについてお答えを申上げたいと存じます。  先ず税体系の根幹をなしますところの所得税につきましては、最近これに相当大幅の改正を加えたいと存じまして、只今檢討中でございまするが、これは國民経済の状況等に鑑みまして、税負担を軽減するという観点から、基礎控除、扶養控除、並びに税率そのものの改正を行うことにいたしまして、只今相当にこれが進行を見つつある次第でございます。実際の課税に当りましては、先程もお話がございましたが、御承知の通り申告制度を探りましたので、從來の調査委員会制度というものは廃止されたのでございますが、これに代えてできるだけ農村等の実情を把握するために必要な処置を講じたい。從つてこれが事を決定する機関と相成りますると、少し弊害もございますと存じますので、諮問の程度でございますけれども、できるだけ廣く農村実情について誤まりなきことを期したい、かように考えておる次第でございます。  尚、更正決定等につきましての御意見もございましたが、これは御尤もでございまして、私共緊急に全國の財務局長を招集いたしまして、税行政の刷新についていろいろ指示をいたしたのであります。只今到る処で相当にトラブルがあるように聞いておりますし、又これは従來所得税納税者の数が百万人であつたものが、漸次殖えまして、只今源泉課税等で差引かれる多数の人を除いて、尚七百万になつておるのであります。これに対処すべき税務機構というものは極めて貧弱でございまして、これでは相済まん。又税行政の円滑を期することもできませんので、差当り緊急に財務局長を呼んで今後の税行政の刷新について、昨夜なども遅くまで打合をいたした次第でございます。かような観点から、必ずもう少し御満足の行くような方法で、人員を強化し、税務署の数を殖やし、監督も嚴重にいたしまして、今よりは御満足の行くようにいたしたいと、かように存じておる次第でございます。  尚、画一反別課税標準のこと、販賣収入に伴うところの分納制度等について御意見がございました。御尤もの御意見と存じまするが、只今税全体について改正を準備いたしておりますので、御指摘の点はそれらに十分勘案をいたしたいと思うのでございます。  尚振替制度についての御意見もございましたが、これは私は成るべくこれを採用するようにいたしたいという私一個の今私見を持つております。研究中でございまするか、戰爭が起りまして以来、日本において最も振替制度というものが退歩した。いわゆる預金通貨或いは振替による簡便な支拂用具という制度、これが非常に引込んでしまつたために、通貨に代用すべき、経済界において極めて有効な制度であるところの振替制度が非常に退歩したということは残念でございますので、元のようにいわゆる預金通貨の制度、振替の制度、通貨の授受に代えて、通貨に代用して行われるそういう制度については、税の両においても十分勘案いたしたい、かように存じておる次第であります。  それから次に農村金融についてでございまするが、これは我が國経済復興のためには、その重要な一翼として農村経済の復興を図る必要のあることは、只今島村さんの御指摘の通りでございます。これがために農村金融の円滑化を図るということが又極めて重要であることは勿論でございます。政府といたしましてはこの事態に即應いたしまして金融制度の再編成をいたしたい。金融制度全般に亘る再編成をいたしたい。只今鋭意これを進めておる次第でございます。現在の農林中央金庫の強化拡充ということもいたしたい。できれば農業部面において復興金融金庫の持つておる仕事を一部農林中央金庫に委ねるか、代理をさせるか、或いは復興金庫より農村金融のために資金を流すというようなことも併せて考えておるのでございます。それで金融機関といたしましては、協同組合、或いは地方銀行、並びに地方銀行における農村の支店、農林中央金庫、そういうものを綜合的に利用するということによつて農村金融の円滑を期したいと考えておるのでございまするが、只今申上げましたような意味においても、農林中央金庫の拡充等によりまして、資金の流れ方に対して一層留意をいたしたい、かように存じておる次第でございます。  今日の段階におきまして、インフレーシヨンを克服するということが経済安定の先決問題でございまするから從つて農村においても、この蓄積を吸収すること、資金を吸収するという面、並びに吸収されたものが農村に環流いたしまして、農村の工業化、或いは農村の農業改善等に円滑な金融として動くようにしなければならんことは勿論である。これは只今申上げました通りでございます。ただこの場合に、若し万一にも過剰資金農村に放出せられることによつてインフレを促進するということがあつてはならない。その点については留意しながら、以上申上げましたような意味において農村金融の円滑を期したい、かように考えておる次第でございます。  それから金融債券が旧勘定移換に伴う善後措置如何というお尋ねであつたと思うのであります。これは誠に政府といたしましては遺憾の点でございままして、一昨年八月に制定されました金融機関経理應急措置法におきましては、金融債券で而も金融機関が所有しておるものは新勘定に所属せしめるということになつておつたのでございます。ところが金融債券が、その所有者が法人であると、個人であると、或いはその所有者が金融機関であると然らざるとによつて差別を設ける。経済的の利益に差別を生ずるようなことは、これはどうも憲法上重大な疑義があるというようなことが段々問題と相成りまして、それがために愼重研究を重ねました結果、関係方面等の意向もございまして、金融債券というものか所有者によつて金融機関が所有しておると然らざるとによつて差別待遇をするということはどうも無理である。一昨年制定された時には実はそこまで考えなかつたのではないかと思うのでありますが、從つてこれは個人であろうと、或いは所有者が金融機関であろうと、盡く旧勘定に移すべきものであるというふうに決定いたしました次第でございます。それで、このことを政府から発表いたしましたのでございますが、これは金融機関の中ではすでに最終処理まで終つて、そうして完全に或いは増資するもの増資をやつておる、その増資の途中においてこういうことが起つたのでありますから、誠に甚大な御迷惑をかけました。これは政府としては何とも申訳ない感に打たれておるのであります。けれども事情は今申上げましたような通りで、金融債券の取扱が当初において差別待遇をしておつたということに氣付きまして、それが問題化して、結局かように修正しなければならん羽目に相成りました次第でございまして、誠にこの点は遺憾でございます。金融機関においては非常に御迷惑になつておる所も少くないのでございます。ただこれをどうするか。御迷惑だけでは相済まん。それで農業会から農業協同組合に移換いたしまする場合に、このことによつて生じた赤字をそのままに新たに発足いたします協同組合の負担とすることは、如何にも無理である。従つてこの点に関しては政府において補償することにいたしたい、かように考えておる次第でございます。以上簡単でございまするが、島村議員の御質問に対してお答え申上げる次第であります。    〔國務大臣永江一夫君登壇〕
  21. 永江一夫

    國務大臣(永江一夫君) 只今の島村氏の質問中、私の所管に関しまする事項は極めて廣範囲でありますし、且つ御熱心に御質問がございましたが、各項目についてはできるだけ簡明にお答えをいたします。  第一農村金融の点につきましては、只今大藏大臣から、お答えをせられたのでありまして、多少重複する所があるかも分りませんが、重要なことでありますので、私の考え方もこの際併せて申上げて置きたいと思うのであります。農村におきまする農業復興に関しまする資金が相当巨額に上り、且つ性質の上から申しましても長期資金たることを要しまする点等を考えまして、到底これはお説のように、民間の資金の運用のみによつては十分その所期の目的を達することができないのでありますから、何らかの形によつて現在鉱工業方面におきまする産業復興金庫の資金のごとき國家資金をこれに充てる必要があるという点を考えまして、今大藏大臣がお答えになりましたような方針に基いて、できるだけ近い機会にこれを具体化いたして参与したい、かように考えておる次第であります。  第二の農村の課税の問題でありますが、これは昨日も私はこの席上からお答えを申上げて置いたのでありまして、今大藏大臣からも縷々お話がございましたが、昨日も申上げましたように、農家はやはり原始産業が中心でございまして、いろいろ所得の面から全面的に課税を行いまする際に、今日の我が國の食糧事情から申しまして、農家が進んで増産に当る意欲を阻害するがごとき課税の方法というものは、十分に考慮いたしまして、食糧増産に障害のない方法を考えねばならん。かような点におきまして、私共はこの問題について善処をいたし、研究を進めておる次第であります。  尚第三の点は、農業協同組合の育成方針についてお尋ねがございました。農業協同組合法の建前上、この組合の設立及び事業の発展は、組合員たる農民の自主的な意志及び努力によるものでございまして、政府として不必要な干渉を加えるというようなことは、嚴として愼しまねばならんと存じます。併しながらこれは農民の團結の力により農業経営の安定、農業の振興を図る最も重要な團体であることは御承知の通りでございますので、これが発展については政府としては極力援助をして参ります。今お尋ねの中にありましいろいろな点がございますが、例えば農業用資材の配給、農産物の集荷等についても、でき得る限りこの協同組合をして当らしめるように指導いたしたいと考えておるのであります。ただお尋ねの中にありましたように、この組合に補助金を與えるというようなことについては、目下のところこれは非常に困難であるということを御了承願いたいと思います。尚農村におきまする技術の振興等に関連いたしまして、この組合を利用することについていろいろ御意見がございました。私共もできるだけこの技術振興のためにこの組合の活動を期待しておる次第であります。ただ生活協同組合とこの農村の農業協同組合との関連性についてお尋ねがございましたが、私も理念といたしましては、この農業協同組合もやはり生活協同組合と合致さるべき性格を持つておるということは認めるのであります。從いまして生活協同組合の内容がまだ、将來決定されると思いますが、今決定をされておらないこの際に、その生活協同組合と農業協同組合の関連についてここで明らかにいたすことは、具体的には困難でありますけれども、今申上げましたように、諸種の農業用の資材の配給、農産物の集荷等に関しましても、この農業協同組合が当然生活協同組合が行うような面を分担して参りますることによつて、段段実質的には両者の組合の、理念上も同じであるということが明らかになつて参ると、かように考えておる次第であります。尚金融再建の問題につきましては、今大蔵大臣からお答えがございましたので、私はこれは省略さして頂きます。(拍手
  22. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 総理大臣は後で答弁されることと存じます。本日はこれにて延会いたしたいと存じます。
  23. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 議場の秩序について一言申したい。お許しを願います。
  24. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 何ですか。
  25. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今大臣席へ衆議院議員が侵入して大藏大臣と打合せをいたしておりました。かようなことは当議場の秩序において非常によろしくない先例であろうと考えます。議長はこれに対して適当な処置をお取りにならんことを要求いたします。
  26. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 今後注意をいたさせます。
  27. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 單に注意ではいけません。これに対してどういう方法を取られるか、後で各派交渉会もございまするから、当議場の神聖を保持するために、一言私の所見を申上げて置く次第であります。
  28. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 聽いて置きます。本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 御異議ないと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会