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1948-03-23 第2回国会 参議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十三日(火曜日)    午前十時三十九分開議           —————  議事日程 第十九号   昭和二十三年三月二十三日    午前十時開議  第一 國務大臣演説に關する件(第三日)           —————
  2. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 諸般の報告は、御異議がなければ朗読を省略いたします。
  3. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、國務大臣演説に関する件(第三日)、昨日に引続き順次質疑を許します。田村文吉君。    〔田村文吉登壇拍手
  4. 田村文吉

    田村文吉君 今年一月一日我々の最も尊敬するマツカーサー元帥は年頭の辞において、「占領如何に慈悲深く有益なものであろうと、精神的高揚の代りを勤めることはできない。」と言われたのでありまするが、つらつら今日の世相を見ますると、未曾有の敗戦に引続く連合軍占領という、國民の曾て予期せざる精神的の衝撃によりまして、一時の放心虚脱状態は止むを得なかつたとは申せ、終戦後満三年を迎えんとする今日、而も連合軍最高司令部においてもあらゆる方面に亘り、自力更生による日本改造再建の設計と、これが実行に関する援助を與えられつつあるにも拘わらず、國民精神は以前として低調を免れず、すでに礼儀は失われ、法律は軽んぜられ朝には五十円を捨てて百万円の富籖を狙い、夕には官僚に賄して私利を希う等、ただ徒らに射倖心依頼心とのみ発達して、都会は勿論、由來堅実を誇る地方山村においてさえ、自立力行精神は滔々として地を拂つて、その影を失わんとしておるのであります。而して我等の將來を託すべき青年のあり余る元氣は、ややもすれば労働爭議のお先棒に使われたり、或いは刄傷を事とする誤れる町の英雄となつたりしておるのであります。以上果して誰の罪でありましようか。しかし私はここで過去の責任を問うの時間を持ちません。私は率直に日本最高指導者の地位にある芦田総理大臣に対して、八千万の民衆がおのおのその創意と工夫を出し、全智全能を盡して、もつと明朗に、もつと闊達に働けるような國民精神高揚を期することをお願いいたしたいのであります。併しかようなことは在來もしばしば言われたことでありまするが、徒にお題目を唱えて精神運動だけやつてみても無効であります。これを親しく政治の上に移すと共に、内閣諸公自身、或いはその背景たる政党自身、身を以てこれを実践して行くことでなければならんのであります。民主党総裁である芦田さんがこの度総理大臣お引受けになりました顛末につきましては、我々は言うべき多くの考えを持つておるのでありまするが、すでにお引受けなつた今日、この点には触れますまい。ただ今年一月二十六日本院の佐々木君の質問に答えて当時の芦田総理は、政権の盥廻しとは何事かと噛んで吐き出すようにこれを否認されておりまするが、私は今度の芦田総理の閣員の銓衡から見ましても、將又十五日に伺いました総理の御演説、引続く栗栖安本長官の御演説から判断いたしましても、全く旧態依然、何らの新鮮味も見当らない。又何らの民主党総裁としての主張もないのであります。今日の國民大衆は、よかれ悪かれ、もつと明朗に闊達に働くことによつて、自由と平和な國家再建することのできるような政府を望んでおるのでありまして、徒らに名を中庸にかり、或いは挙國協力に藉口して無篤無策、恰もそばの伸びたような政治は眞平御免なのであります。芦田総理はよかれ悪かれ、その掲ぐる民主党政策に対して、これを闡明し、これを主張し、これを実行し、若しそれ、これを妨ぐるものあれば、段々乎として信を國民に問うべきが新憲法精神であり、國民精神高揚は先ずこれを以て始まらなければならんと存ずるのであります。  次に栗栖安本長官にお尋ねいたしたい。総理及び長官は、去る十九日の施政方針演説において、経済的に今年を樂観し、連合國援助に格別の期待を持ち得るとか、或いは受ける態勢整備とか、繰返し繰返し述べておられるのであります。巷間にも外資導入とか輸入物資増加とか、誠に我が國に都合のよいお話を聞くのであります。話は誠に結構のようでありまするが、飜つて我々は冷静にこれを考えて見る必要があると思うのであります。私は我が國の現在の惨めさにおいて、連合軍から與えられる物心両面好意的援助は心から感謝するものであります。併し断じて好意的援助をのみ期待すべきものではありません。これはややもすれば國民をして徒らに安易を希い、自立力行精神を冒涜するものでありまして、日本再建を遅らすものであります。成る程國民生活は実に苦しい。併しこれは無謀な戰爭によつて蒙つた当然の天の処罰であります。我々は苦しくともこれを甘受し、又みずからの力を以て起ち上り、新日本建設すべきであります。荊棘の道は疾くに國民の覚悟であつた筈であります。幸いに我が祖國は、失われた家を建てるに十分な森林を持つております。着る衣服は桑園と森林とにより絹、人絹の十分な補給をいたし得るのみならず、余剰を外國に賣つて不足食糧を買入れる力を持つておるのであります。肝賢な食糧は、島國であるに拘わらず、僅かにその一割五分か二割を輸入すれば足りる程、恵まれた國であります。熱動力の源をなす水力電氣は、少く見ても一千五百万キロは未開発のまま残されております。であるからというて、勿論私は鎖國経済で行けるとか行くとか申すのではありません。ただ八千万國民自立力行、おのおのその分に應じて働きさえすれば、外國から物資も買えますし、外國の資本もあちらから進んで入つて参ります。それを恰も外國援助がなければ國の再建ができないような、或いは外國援助が近くあるような言葉國民精神を弛緩せしむるがごときは、國家百年の計を誤るものであつて、甚だ探らざるところであります。敢えて安本長官眞意をお伺いいたします。  第二に民生の安定に関し関係大臣にお尋ねいたします。先ず食糧問題に関して農林大臣に伺います。私は日本國の現在配給を受けておる一般人々が、麦、藷も米に換算いたしまして一日三合の飯を実際に食べておる。農林大臣もその御一人であると思いまするが、若し果して所見のようでありまするならば、私は配給を必ずしも現在の二合五勺を三合にお殖やしなさいと申さんのでありまするが、足らん五勺は、値段が高くても構わんから、公然と政府から平等に買つて貰いたいのであります。勿論これが実行には、連合國の御好意に俟つことは勿論でありますが、これによつて現下インフレ闇生活労働不安の大部分を退治することができるのでありますから、芦田内閣如何なる政策にも優先してこの問題を実現せらるべきであると思うのであります。  次は住宅問題について一松建設院総裁にお伺いいたします。大臣はその厚生大臣でおられました当時、引揚者戦災者の窮状に対し、特にその住むに家なき放浪生活に対し深い御同情と御理解をお持ちであり、大いに敬意を表して來たものでありまするが、誠に都合よくこの度建設院総裁お引受けになりましたので、我々は大いに意を強うしたのでありまするが、應急住宅三百万戸の建設はどうなされるお見込でありましようか。坊間傳うるところによりますると、今年は六十万戸建てる計画があるとかいうのでありますが、果してさような意図がおありでありまするかどうか。在來の当局は、その必要を認めるが不燃質のものを研究中だとか、或いは財政資材窮乏等に藉口して、さつぱり庶民住宅建設が進んでおらんのであります。成る程半年や一年は轉々として間借りや壕生活のような放浪生活もできましようが、一方では金の融通のできる人たちは続々家も建てられるが、引揚者給料生活者は未だに一人畳一枚、藁蓆一枚の生活を続けておるのでありますることは、大臣はよく承知しておられる筈であります。本問題は一日も忽がせにすべからざる緊急の問題であり、且つ國家財政を超越して解決せらるべき問題であると信ずるものであります。  次に商工大臣に被服の問題についてお尋ねいたします。今年配給の中学生の制服は一着千五百円、小学生のものは千百円であります。戦前値段に比べますると凡そ二百五十倍から三百倍になつております。これは公定であります。又赤ちやんが生れますると、少くも三十枚ぐらいのおむつが必要であります。雨や雪の多い裏日本や北海道のような所では五十枚ぐらいは必要であります。そうすると五反から八反の木綿を必要とするのであります。併しこれには配給がない。これが闇値段では晒が一反千円以上、模様物になりますと千五百円以上いたします。戦前値段に比べまするといずれも千倍以上になつております。子供が一人生れると、その必要なおむつだけで八千円から一万二千円を必要とするのであります。これが果して二千九百二十円ベースの人たちが堪え得る負担でありましようか。成る程日本人は世界稀に見る衣裳もちであつたのでありまするがために、過去十年間に亘る殆んど無配給に近い状態にあつたのにも拘わりませずどうやら堪え忍んで参つたのでありまするが、今日となつては全く箪笥の底をはたいたのでありまして、おむつに直すゆかたもなくなつたのであります。要は木綿類が非常の欠乏を來しておるために、その價格が他にその類を見ない程に高くなつておるのであります。まさか商工大臣義務教育の就学に御反対でもなかろうし、又商工大臣の手によつて産児制限をなさろうともお考えになつておるのではありますまい。而も至つて苦労人である商工大臣は、夙にこれに対する対策をお立てになつておることと存じまするが、いつから母親を泣かせないようになさるおつもりでありまするか、伺いたいのであります。  次に第三の問題として労働大臣に伺います。その第一は、官公吏基準賃金を二千九百二十円と定められたようでありまするが、果たして官吏はこれで食つて行けるとお考えでありましようか。それから一方には電産の五千三百五十八円というような、官吏に比べて倍額にも近い支給をお認めになつておるのであります、それで政治が治まるとお考えでありましようか。そこで政府官民共通最高最低賃金をお定めになるお考えはありませんか。  その第二にお伺いいたしたいのは、労働大臣自分の眼の黒い中は労働法規改惡は絶対にしないとの言葉を與えられておりまするのでありまするが、右は改惡だといい、改善といい、客観的に見て甚だ議論の生ずる余地を残しておるのでありますが、労働大臣はその就任中、労働に関する法規には絶対にお触れにならないというおつもりでありましようか、又國会がこれが改正を議決いたしました場合には職を去るという御意思でありましようか、お伺いいたしたいのであります。(拍手)  その第三といたしまして、少くもこのところ四五年間日本國民生産増強のため邁進すべきときでありまして、不祥なる労働爭議は絶対に避けなければならんと私は考え意味から、現在の労働委員会を拡充強化して、これに裁判所的の意義を持たせ、使用者たる者は、政府であつても、民間であつても、これが裁定に服従するがごとき制度をお考えになりませんか。以上労働大臣の御答弁をお願いいたします。  次に生産増強に関する問題に関し関係大臣にお尋ねいたします。最初に商工大臣に御質問いたします。新内閣は前内閣に引続いて傾斜生産の強化をお考えのようでありまするが、本件の根本理念において私は多大の疑いを有するものでありまするが、併し時間の関係上、これは他日の機会に譲ることといたしまして、傾斜生産産業従業員に対してのみ特別の物品の配給せらるるごときことは廃止せらるべきものではないかと存ずるのであります。例えば住宅建設主食、酒、煙草増配のごときことであります。勿論その勤労軽重に應じまして主食増配があるのは是認するものでありまするが、さようの場合は、ひとり重点産業のみに限るべきものではないのであります。主食増配のごときは、組織勤労者たると自由勤労者たることを問わず、その勤労時間、筋肉労働軽重従つてのみ適正に配給せらるべきものでありまして、現行のごときは明らかに新憲法精神に違反するものであると考えるのであります。商工大臣如何考えに相成つておりまするか。  次は電力の問題でありまするが、水力電氣開発が我が國焦眉の急務であることは総理大臣も十分お認めになつておるようでありまするが、これなくしては産業復興が不可能であることは自明の理であります。要は如何にして速かに一千五百万キロの未開発水力開発するかであります。これは治山治水、農耕、文化等の各般に関係を有する問題の性質上、又これが開発には莫大の費用を要する観点上、凡そ三千キロ内外の小発電所はむしろ地方公民の手に移し、五千キロ以上の大発電所既設新設共これを國有となし、従つてこれが配電事業は國又は地方公共團体に分割移譲すべきものであると考えるのでありまするが、政府はどう考えておらるるか。この種の問題は絶対にイデオロギーの上からかれこれ論ずべき問題ではないのでありまして、商工大臣は昨年の石炭管理問題の羮にお懲りになつて頗る慎重の態度のようでありまするが、それとこれとは全く性質を異にするもので、今更膾をお吹きにならなくとも早急國有方針を立てらるる意思ありや否や、お伺いいたします。  次に運輸大臣にお尋ねいたします。今日の生産増強の最大のネツクをなすものは輸送であります。前内閣当時安本で定められた鉱工業品増産四割、農産品一割、この農産品一割は全部鉄道輸送を要するから、輸送貨物としては三割の増加となるのでありまするのに対し、輸送力年間海陸を合せ一億四千四百万トンでありまして、昨年度の一割五分増しと承わつて來たのであります。運輸省ではこの計画で足りるのでありまするか。尚且つその少いと思う数字にしても実行可能の自信を有せらるるや否や、所信をお伺いいたしたいのであります。  最後にもう一つ安本長官にお尋ねいたしたい。それは料理飲食店業ストツプに関する政令の廃止に関することであります。この問題は税の問題として大藏省にも非常に関係があることでありますから、関係の点については大藏大臣から御答弁願わるれば尚好都合であります。本政令が発布になりまして以來、個人の邸宅、旅館、温泉、或いは貸席等が俄かに繁昌いたし、本來の料理店が急に旅館に轉換したり、昨今ではいわゆる裏口営業もかなり盛んとなつてつておるようでありまして、中には税金を取られたから今日から開業をいたしますという廣告を出したとか、笑えぬ皮肉の実例もあつたということであります。即ち昔は大体一区画に限られた必ずしも好ましからざるこの種の営業が四方八方に散乱いたしますることになりまするのでありまして、若しそれこの種の営業社会風教上好ましからざるものとするならば、以前より遥かに害毒を多く流すことに相成るのであります。私は全國の料理飲食店の数がどのくらいあるか存じません。併し今仮に相当の業者が五千戸あり、一戸平均一日一万円の売上げがあるといたしますると、五千万円であります。一ケ年百八十二億五千万円となるのであります。今仮にこれに三十割の課税をいたしますれば、五百四十七億五千万円となるのであります。大衆課税である映画でさえ十五割の税を拂うことを考えますれば、且つ又同じく大衆課税である煙草が五百割であることを考えますれば、負担能力のあるこの種の消費者に三十割の課税は決して過当どころではない。否、禁止までしている今日から考えれば、もつと高率でも差支ないと思うのであります。とにかく如何インフレ下であつても五百億は大金であります。或いは基礎数字の全國五千万戸は過大見積りしてあるかもしれませんが、一戸一日一万円も過少であるかも知れません。そこで私はこの際政府にお諮りいたしたいのは、今日の財政窮乏で、六・三制も完全に実施ができない、官公吏の増俸もできないからと言つて、やれ公債の利拂いを止めるの、財産調査税を取るのと、三十億か五十億をせびり出すようなことを考えないで、宜しく料理飲食店を以て政府代行者として、担税力のあるいわゆる浮動購買力を吸收するという、いわゆる政治政治らしい大乗的の施策考えられないものでありましようか。御承知のように幽玄和敬日本古來の茶道による塵一つ残さぬ茶室にも、生理的必要な雪隠はやはり必要なのであります。五十円で百万円の富籖を獎励して見たり、闇値段を公然と認めてこれに課税をして見たり、一円の煙草を五十円に賣つたりすることを考えますれば、少しも人道上非難すべきものではなく、而も古來何百年と営まれて参りました料理飲食店を復活せしめるということは、何ら論理的、道徳的に考え差支ないのみならず、これによつて國民大衆が救わるることになるのであります。勿論これが課税方法にもいろいろあります。或いは免許制による見立税を取ることも考えられると思うのであります。大藏安本両相のこれに関する御見解を承わりたい。  以上を以て私の質問を終りまするが、私は徒らに非難のための非難をしたりするものではなく、極めて建設的に意見の開陳をしたのであります。願くは各大臣共ややもすれば吏僚的な、官僚的な形式的の答弁でなく、率直明快なる御所信を承わらせて頂きたいと存ずるのであります。    〔國務大臣芦田均登壇拍手
  5. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします。只今國民精神の作興について極めて眞摯なる御意見を伺いました。敗戦以來我が國の道義頽廃につきましては、我々國民と共に深く遺憾としておるものでありまして、施政演説においてもこの点について申述べた通り、無論國民生活の窮乏したる今日、生活の困難よりする道義頽廃があり得ることは率直にこれを認めなければならないと思います。それと同時に、我が國民如何にして道義高揚するかということは、同時に教育の問題にかかるのでありまして、一面においては衣食に窮する者のないような社会政策的な方策を探ると動じに、他方面これらの道義高揚について、十分に政府教育の振興に力を盡して、一日も早く日本民族としての傳統を取り返したいと考えておる次第であります。  次に組閣の経過について御意見の御発表がありました。この内閣の成立は盥廻しの形に見えるという御意見でありましたが、申すまでもなく内閣総理大臣の任命は、憲法條章によつて國会の多数の指名を受けた者が組閣をすることが当然の結果でありまして、私が組閣をいたしましたのは一に國会多数の意思に基いて行なつたのでありまして、政党的な工作とか、或いは自分自身盥廻し運動とかいうことが私をして組閣せしめたものでないことは、深く信じておるのでありまして、この点においては、只今お話のような見解には不幸にして同意いたし兼ねます。それ故に、國会は何時でも國会の多数の意思に反する内閣をお取換になるだけの権限をお持ちになつておる。國会の多数の意思によつてその欲する内閣をお作りになることは、憲法認めるところである。その点はどうか誤解のないように御了承を願いたいと思います。    〔國務大臣栗栖赳夫登壇拍手
  6. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 田村議員のお尋ねの第一点は、外資導入に関する点であつたと思うのであります。先ずこれにお答えいたしたいと思います。戦爭中及び戦後の日本経済状態におきまして、物資が非常に少く相成つておるのでありまして、この際この日本経済‥‥國を再建するためには、外資導入ということは、これは必要で不可欠のものであると考えて、政府はその方面への施策をも強力に推進いたしたいと考えるのであります。併しながらすでに二十日の日にも申上げましたように、私は外資導入するにつきましては、やはり受入態勢國民が皆立ち上つて受入態勢整備するということが前提であると申したのであります。そこで國民が皆立ち上つて受入態勢整備するにつきましては、天はみずから助くる者を助くでありまして、日本國民がこれはすべての自立復興というところに立ち上り、この自立復興精神高揚して受入態勢整備し、國の力を結集して受入態勢を作り上げるということがあつて始めて外資導入ということが期待ができ、連合國好意ある援助期待ができる次第であります。こういう点においては田村議員の御意見は私も共鳴するものでありまして、私も常々同様に考えておるものでありまして、國民諸君はこの点に十分留意されて、先ず自立復興の念に燃え、その國の力のあらゆるところを結集し協力して、受入態勢整備の実を挙げるということでなければならんということを希望して止まない次第であります。  第二の点は、料理飲食店の問題であります。これにつきましては政府としても対策考えておる次第でございます。税その他の点については大藏大臣から御答弁がある筈でございますから、重ねて答弁をしないことにいたしたいと思います。(拍手)    〔國務大臣永江一夫登壇拍手
  7. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 只今の二合五勺の配給を更に五勺殖やして三合配給ができるのではないかという御意見でございました。勿論残念なことには現に闇の米が出ておるということは事実でございます。併しすでに御承知のように二合五勺を配給いたしまするにつきましても、國内の食糧は絶対量は不足をいたしておるのでありまして、本年も連合軍好意ある食糧放出につきましても、約百八十八万トンを予定しておるような次第でありまして、これ以上食糧放出許可を願うということは、現下の世界の食糧事情から申しまして非常に困難であろうと存じます。従つて政府といたしましては、連合軍好意ある食糧放出許可に頼らずして、自力によりまして尚多くの國内の食糧増産を目しまして、本年は事前割当を行なつたのであります。この事前割当につきましてもいろいろ御議論のあるところと思いまするが、できるだけ農民諸君の御協力を得まして、この事前割当によりまして、昨年度よりも本年百六十万石以上の事前割当をいたしておりまするから、これが完全に供出が行われまするように協力を求めておる次第であります。而して幸にいたしまして、この事前割当が完全に遂行されました場合におきましては、その割当以上に供給をされまする場合においては政府の特例を設けまして、この主要の食糧中におきまして、米麦については政府の買入基準價格の約三倍の値段政府は買入れる、切干甘藷についてはやはり三倍、生甘藷につきましては二・二五倍、馬鈴薯につきましては二・五倍の値段によつて買入れます。更に今日現在の國民経済の許す最大限の報獎物資もこの超過供出放出をいたするつもりでございまして、ただ口先だけでなくして、現実に農民諸君が積極的にこれに協力を頂くような施策考えておる次第であります。更にこれに加えまするのに、本年は一割増産國民運動を提唱いたしまして、農家に更に御協力願つて、できるだけ闇に廻りまする食糧をできるだけ正規のルートに吸收いたしまして、そうしてその結果において、この國内の増産されました食糧基準として、更に食糧配給の増大を期したい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔國務大臣一松定吉登壇拍手
  8. 一松定吉

    國務大臣一松定吉君) 田村議員の御質問中、私に関係のある部分をお答え申上げます。戦災者引揚者諸君のために最も必要でありまする住宅は、現在において尚四百万戸を必要と考えております。然るに今日まで建設されましたところの住宅は七十万戸に過ぎないのでございまして、その中でも一般住宅は僅かに十四万戸ぐらいにしか達成しておりません。こういうような状態では、これらの方々のために誠に同情に堪えません。田村議員の仰せになりましたように、これらの人々の本当に安定のために、生産増強のためには衣食住、なかんずくこの住宅を速かに建設供給しなければならんことは御趣旨の通りであります。この意味におきましてGHQの方から私の方に指示されておりまする目標数は二十三年度は六十万戸ということになつておりまするが、資材、資金の面におきまして必ずしもこれが完全に建設ができるかということを危ぶんでおりますが、私の只今計画いたしておりまするところは、二十三年度において九万九千戸、一般民間において一ケ月三万三千戸、一年間に四十万戸、政府の企図いたしておりまする十万戸を加えますると、二十三年度において五十万戸を予定いたしております。こういうような計画を遅滞なく完遂をいたしまして、これらの急に應じようといたしましても、四百万万戸に対して五十万戸完全にこの通り実行されるにしても、今後尚八ケ年を要する悲しむべきことでありまするが、併しながらこれも資材、資金のために止むを得ないといたしますならば、これらの点についても私自身の職責上できるだけ努力を拂いまして、國民諸君の御不自由を一刻も速かに解消いたしたいと考えております。(拍手)    〔國務大臣北村徳太郎君登壇拍手
  9. 北村徳太郎

    國務大臣(北村徳太郎君) 田村議員の御質問にお答えいたしたいと思うのでありますが、財政の極めて窮乏いたしております際に、税收入を増加するということは刻下の急務であることは田村議員の仰せの通りであります。ところがこれと同時に我々の國民経済生活において、極めて困難にして而も必要なことは、流通秩序を確立するという点でございます。これは誠に必要であつて、而も実際は困難な途でございますけれども、政府はこの困難な途を取らなければならない。なかんずく主要食糧において流通秩序の確立をするという点は、極めて重大であると考えておるのであります。従いまして只今田村議員の御計算によりますと、若し料理飲食店の開業を許すならば、五百億ぐらいの税收があるというようなお言葉でございまして、我々は今の窮乏の財政において、財政の面から申しますというと、これ亦極めて耳を傾けるべき点であると思うのでございますけれども、只今の段階においては何としても主要食糧の流通秩序を確保しなければならん、こういう観点からこれは残念ながら只今のところ料理飲食店の禁止を解く、そうして税收入を図るというような考えは、只今つておりませんことを残念ながら申上げたいと思うのであります。(拍手
  10. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 加藤労働大臣及び岡田運輸大臣は後で適当な機会に答弁せられるとのことでございます。竹中七郎君。    〔「商工大臣」と呼ぶ者あり〕
  11. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 先のは取消します。水谷商工大臣。    〔國務大臣水谷長三郎君登壇拍手
  12. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) 田村議員の私に対する御質問にお答え申上げます。  第一点は、民生の安定問題に関連いたしまして、綿、スフ、人絹等の増産増配に対する点を御質問されたようでございます。綿、人造繊維その他の線維製品は、輸出品の大半を占める、又一方におきましては、仰せの通り民生の安定、報獎物資としても極めて重要なものであるのでございまして、昭和二十三年度におきましては、特にその増産を図るため各般の努力を拂おうといたしておる次第であります。幸いにいたしまして繊維産業につきましては総司令部の厚い支援もあり、綿紡績、人造繊維、羊毛等の復元目標を許容せられ、目下その実現に努力中でありまするし、又原料輸入につきましても米綿、濠州羊毛等の相当量の輸入が逐次具体化しつつあるようでございます。かような情勢にありますので、輸出品にいたしましても、國内放出用の繊維品にいたしましても、來年度は本年度に比べまして事情の許す限りこれを増加することを目当といたしまして、目下経済安定本部を中心として具体案を練つておるような次第でございます。只今の段階におきましては、具体的に数字を申述べるまでに至つておりませんが、その点は御了承願いたいと思います。  更に第二点の質問に対しましては、生産増強といたしまして傾斜生産に関する御意見があつたのでございますが、我々といたしましては現在の段階においては或る程度の傾斜生産は止むなきものといたしまして、來年度におきましても、亦このたびの三党政策協定におきましても、石炭或いは電力、鉄鉱、肥料等を中心とした傾斜生産を断行いたしまして、又その裏附けといたしまして、海陸両面におけるところの輸送力の強化という点に主眼を置いておるようなわけでございます。傾斜生産が行われる限りにおきまして、或る程度の傾斜配給は止むなきものでございまして、我々といたしましてはこの傾斜配給と、國民一般の民生安定とを如何に調整するかということに関しまして、万遺憾なきを期したいと思つておる次第であります。  更に又電力の問題に関しての御質問でございますが、電源の開発の必要あることは、これは田村議員と私とは全く同意見でございます。政府といたしましては、水力につきましては既設発電所の維持向上、現在工事中、又は工事停頓中の発電所の竣工促進、更に貯水池の整備拡充というものに万全を期したいと思つておる次第であります。  最後に、田村議員は電力事業の経営形態に関しての御質問をされたのでございますが、御案内の通り、この度の三党政策協定におきましても、電力事業の一元化ということは謳つているのでございます。然らばその一元化は如何なる形態に結論付けるかということは、御案内のように過度の集中排除法或いは独占禁止法、又外資導入受入態勢というような見地から、慎重にこれを考慮して行きたい、このように考えている次第であります。(拍手
  13. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 竹中七郎君。    〔竹中七郎君登壇拍手
  14. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 芦田首相は施政演説におかれまして、先ず内外の重大なる情勢を説かれ、我が國再建の前途は幾多の難関が横たわつている。何とかしてこれを突破しなければ民族の前途は滅亡の外はない。我々國民は一体となり困難を克服するより外みずから救う途はない。そのために政治の休戦と、國内の総力を集めて、政局と民生の安定を図ることに努めると共に、政府みずからは謙虚な態度で民論に耳を傾けて、互讓の精神を以て進退する。そのために自分は肉体と魂のすべてを捧げてやるという決意を示されたのであります。私はこの決意がいつまでも続かれんことを切望すると共に、その他の数目に亘りまする演説におきまする批判が相当いろいろある。更新した政府政策が新鮮味がないとか、或いは抽象的であるとか、ポイントがぼけているというような批判はありますけれども、(「その通り」と呼ぶ者あり)私は首相の世界への宣言と言いますか、平和と自由と正義の三つを以て、(「自惚れるな」と呼ぶ者あり)世界の平和に貢献せんとするその率直なる精神がこの内政に浸潤することを特にお願いする次第であります。(「應援演説か」と呼ぶ者あり)  私は第一に、首相その他の方々にお伺い申上げます。第一に、首相は自分演説せられました政策のどこに重点を置いて、今後どれから手を著けて、そうしてどんなふうにやるか、このことにつきまして一つはつきりと御説明が願いたいと思います。  次に、各項を追いましてお伺ひ申上げます。我が國は敗戰というこの現実によりまして、四つの狭い島に限定されたのであります。ここに八千万の大衆がひしめき合つて住まつているのでありまして、満足な生活ができない。そのために犯罪は出る、闇はある、道義は地に落ちる。大衆はただ食うために全力を挙げなければならない。かような状態であるのであります。ためにこれをどうするか、この点はいろいろあるのでありまして、現政府におかせられましても、その対策をやつている。併し大体私が考えまして、正直に考えます時におきまして、一つは人が多過ぎるのじやないか、いわゆる政策として人口問題を取上げなければならないのじやないかということを私は考えるのであります。この点について政府所信をお伺いするのであります。人口問題と申しますならばいろいろありますけれども、第一に我が國は戦前におきまして多数の人々を移民させておつたのであります。然るに現在の日本は、この人口問題のために戰爭が起つたが、併し我が國はもはや戰爭を放棄して武器を持たない。侵略のための移民ではないのでありますから、私は連合軍の方におかれましても未開地の開墾その他のために我が日本人の移民をお許し願えますならば、これにおきまして現在の狭小なる國に入つておりまする大衆の、いろいろの犯罪或いはインフレその他のものが解消するのではないかと、かように考えるのでありますけれども、政府はこの点に対しまして何かお考えがあるかどうかお伺い申上げたい次第であります。  次に、厚生大臣にお伺い申上げます。疾病と困窮、この問題は戦前におきましても問題であつたのでありますが、現在の状態におきましてこの医療の問題を取上げてお伺いする次第であります。医療の問題は医療國策といたしまして政府が未だ取上げておられない。先般保健所法が制定されまして、ここにおいていろいろの予防医学或いはその他医師に対する諸方策その他をやりまして、相当整備はされておりますけれども、本当に今後我が國が公営治療で行くか、或いは開業医、いわゆる私立治療で行くか、いわゆる公医公営を開業医の並立で行くか、そうして又健康保險におきましても、普通健康保險は現在相当の成績を挙げておりますけれども、國民健康保險におきましては、いわゆる開店休業というような状態にあることが相当あるのであります。これは何によるか、こういうことを考えます時におきまして、現在のこの世相が相互扶助の精神に欠けている、金は掛けたくない、病氣の時には安い方がいい、こういうことは國民におきましても欠点がありますけれども、政府におきましてもこの國民健康保險を育成してやろうという熱意が足らないために起つて來るものではないかと思います。その間におきましてこの一点單價の問題があるのでありますが、現在医師会におきましては六円、單價算定委員会におきましては八円と言いまして、この二円の開きのために今昏迷の状態にありますが、こういう價格の点、補助の点に対しまして、政府如何なるお考えを持つていらつしやいますか、お伺い申上ぐる次第であります。  次に、貿易に関する問題であります。貿易に関する問題に対しましては、昨日波多野氏から諄々いろいろ御質問がありまして、政府からも御答弁があつたようでありますけれども、又観点を変えまして私はお伺い申上げたいと思います。過去の我が國の貿易は商社の努力も非常にありましたけれども、労働力の犠牲において安價な品を作つて輸出して、そうして隆盛を來したのでありますけれども、現在はこの労働者の犠牲というより労働力の犠牲によつて振興を図ることはできない。そのために二十日の首相の御演説によりまして、今後は日本の機械或いは技術の向上を図つて、そうしてこの貿易に対する競爭に打勝つようにしなければならない、いわゆる技術の向上を図らなければならないと申されましたが、併しどういうふうにいたしましてこの技術の向上を図るか、又現在この貿易が甚だ振興の状態になつていないのであります。現在の管理貿易におきましても、どうしても政府が力を入れなければ、これはならないのでありますけれども、現在どんな機構で、どんな人員配置をし、いろいろの方々の利用をしておられるか、これは國民の聽きたいところでありますので、御説明を願いたいと思う次第であります。  次に、農林関係につきましてお伺いいたします。三月一日政府食糧一割増産運動要綱を発表されまして展開されておるのでありますが、この問題に対しましても、河井氏から甘藷と米の問題に対していろいろ御質問があり、政府からも御答弁があつたのであります。併しこの一割増産ということは、私は一つの例を挙げまして皆様に申上げます。私のところは愛知縣でございますが、愛知縣に碧海郡という郡がある、これは山崎前貴族院議員がおられまして、日本デンマーク、こういう名を付けておられるのであります。この日本デンマークという名が付いたのは、非常に良田であつて米が沢山穫れる、非常に日本全國に宣傳された。併しこの元を尋ねて参りますというと、小松原であるのであります。それに矢作川の水を引きまして、明治用水というものを引きまして、この水によつて灌漑がされておるのであります。農民の方々の非常な努力によりまして、沢山の肥料をこれに與えまして良田にしたのであります。然るに戰爭この方肥料がないために、段々地方は減退する一方である。併しいろいろな或いは堆肥その他のものをやりまして、どうかこうか現在の收穫を得ておるのでありますが、未だに肥料は沢山來ない、かような状態におきまして、一割増産をせよということは、政府が相当なる……いや重大なる決意を以て進まなければできないことではないかと思う次第であります。特にこの我々の地方におきましても二毛作をやつておる、或いは三毛作をやつておる、こういうのでありますから、地方は減退する一方であります。この際この一割増産をやられますことは、御決意が相当なければならないと思うのであります。そのためには肥料の増配をする、肥料の確保をする、農家の必需物資の確保をする、この点につきまして、政府は御確信があるかどうか。  次に、この度の所得税の問題であります。この農家に対する所得税の問題でありまして、農家の方々におかれましては、大問題が起つておるのであります。然るにこの度一割増産運動を農村に持つておいでになりましては、必ずこの所得税の問題が起つてつておりますが、あれが的確なるものであるか、一反歩一万円乃至一万五千円の査定に相成つておるようでありますが、これが本当に適切のものであるか、皆闇で売つておるから、更にやるぞと、かようなふうに考えられますならば、農家の生産意欲は減退する一方であると考えますが、この点お伺い申上げる次第であります。  次に、開拓事業に対してお伺い申上げますが、食糧生産の一環といたしまして、増産と共に増反の問題があるのであります。それで開拓事業を一昨年からいろいろやつておられるのであります。然るになかなかこの成績が挙つて参らん。それは何によるかということでありますが、結論は、不毛の地でありまして、今まではできないところの地であつて、奥の地を食糧増産のためにやる、こういうわけでありますから、そこに無理がありますが、どうしてもこれはやらなければならないものである。そのためにはどうしたらいいかといいますと、やはり畜力なり堆肥を作らなければならない。然るに現在こういう畜産における施設が十分でないために、畜力を使用することができない、或いは豚を飼うことができないという状態になつておるのであります。私は政府におかれましても、現在種畜牧場が相当あるのでありますけれどもこれが名前だけの牧場であるようなところもあり、非常に廣いところに少しの畜類がおるというような状態にありますのでありますが、この点に対して政府はこの種畜牧場の改善をし、人員の増加をし、そうして農家に対し或いは開拓者に対しまして、畜類を増配と申しますか、する意思があるかどうかお伺いする次第であります。  次にインフレの克服のために政府は健全財政を堅持しておりまして、資金の放出を制限し、或いは復金の融資、市中銀行の貸出に対しましては、普通産業は閉出しを喰らつておるのであります。併しこの重要産業に優先的に資材或いは資金を貸出されるということは、これは仕方がないのでありますけれども、一つ炭鉱の例を取つて見ましても、その炭鉱から出る石炭は、ただ出て來るのじやなくて、人が要る、或いは資材が要る、或いは加工品が要る、或いは衣料が要る、或いは薬品その他のものが要るのでありまして、即ちあらゆるものの綜合体が結合いたしまして、石炭というものが出て來るのであります。然るに重要産業であるというので、重要産業の方にばかりお力を入れられたために、他の数十種の業態の機能が停止するということになりますならば、これは重要産業を殺すものである。かように考えるのであります。この点に対しましては板谷氏からも懇々と申されておりますが、私はやさしい方面から申しましても、この戰爭中におきましても、その重点、何々の重点というものに対して私は疑義があるのであります。その重点のために逆作用をなしまして、遂に金が足りないから闇金融が幅をきかせる、闇物價の温床になる経済界を混乱させておる、かように考えるのでありますが、政府はかような点に対しまして、産業用資金として、或いは金がないというそのときにおきましては、生産公債を出す、そうして健全なるところの産業はこれを助けてやる、かようなお考えがあるかどうか、お伺い申上ぐる次第であります。  次に我が國のインフレと東亞との関連についてお伺い申上げる次第であります。我が國のインフレはいろいろの点がありますけれども、このインフレと、或いは中國、朝鮮の政治との繋がりといふものがあると思います。中國のインフレ日本へどんな工合に進行して参つておるか。伺いますところによりますと、中國のインフレのために、或いは外國の商社が本國に引揚げる、或いは事によつて日本にこの資金を持つて來る、その態勢において政府がお考えになつておるというようなことを伺うのでありますが、この点について政府の御所見をお伺いいたす次第であります。  次にインフレと失業問題についてお伺いいたします。我が國の失業者の数は推定或いは五百万と言い、或いは六百万と申されておるのでありますが、併し実在の失業者というものは割にない。これは何によるかと申しますと、一つはインフレのお蔭で闇がある。即ち擔ぎ屋となり、闇屋となり、或いはちんぴらとなつて、そうして喰つておる。(笑声)かような状態になつておるのであります。その大半が青年男女であると考えますが、この点に対して政府如何なる考えを持つておるか。これは放つて置いてもよい、かように考えるのでありますか。このインフレが停止したときにおきまして、こういう連中が如何なるふうに相成つて参るか。そのときにおける失業者の続出、こういうことに対して政府は救済の方法を考えておられるかどうか。その点をお伺い申上げる次第であります。  次に労働問題についてお伺い申します。労働基準法は誠に立派なものであり、これは遵奉しなければならないのでありますが、我が國の現在の経済状態考えて見るときにおきまして、家内工業、いわゆる一人二人の人を使つておるもの、或いは家庭の使用人などについてこれを嚴格にやるときにおきまして、到底やつて行けない。かような状態に相成つておるのでありますが、これに対して或いは特例を設けるなり、或いは行政的措置の緩和をして頂く、こういう御意思があるかどうか、お伺いいたします。  次に、加藤労働大臣は組合運動の先覚者でありまして、非常な理解者である。又労働者にも非常に御信頼があると私は思うのであります。この方が大臣になられまして、日本産業再建日本の官公廳労組の健全なる発達のためによき相談役となられるということは、誠に慶賀に堪えない次第でありますけれども、実際加藤大臣大臣となられて、現在の政情におきましてこの労働組合を如何に御指導になり、御相談になるか。現在の我が國の現状を考えますと、このスト問題が一般國民への迷惑と國民生活の苦痛に大なる関係があるのであります。加藤大臣如何なる抱負を以てこのストに対しての施策を持つていらつしやるかどうか、この点をお伺いする次第であります。以上私の質問に対して御答弁が賜わりたいと思います。(拍手)    〔國務大臣芦田均登壇拍手
  15. 芦田均

    國務大臣芦田均君) 竹中君の御質疑の第一点は、施政演説の中にかずかずの政策が盛り込んであるけれども、先ず最初に力点を置いて実行せんとする政策は何であるかというお尋ねであつたと拝承します。現在講和会議を前にして連合諸國の輿論の趣向を考えて見ますと、何を差しおいても日本に対する連合國の信頼を回復するということでなければ、有利なる講和條約を得ることが相当困難であると考えます。又いろいろの方策を考えて見ても、この際連合國から精神的、物質的の援助を受けるということは、我が國経済再建の最も急速な振興を見るゆえんであるとも考えておるのであります。そういう意味において、政府としては、連合國の信用を回復するということを一つの目標として、諸般の政策実行して行きたい。  その次は、申すまでもなく民生の安定であります。民生の安定という言葉は非常に廣い意味を含むのでありまして、個々の具体的の政策においては、いろいろ行わなければならん問題があると思います。無論敗戦日本の今日は各方面とも行詰りの状況になつておりますが、つらつら諸外國の例を考えて見ると、ヨーロツパの敗戦國、或いはヨーロツパの戦勝國でさえも、國民生活の実情は必ずしも日本程に行つていない國も相当あるやに考えられるのでありまして、この長い戰爭の結果、疲労困憊したる日本の國力を回復するということには、そう簡單に解決のできる問題ばかりではないのであります。併しながら一つでも、二つでも、緩急に應じて、先ずその問題から解決をして行きたい。政策を徒らに羅列して実行の伴わないということよりも、ただ一つの問題だけでも急速にこれを解決して、何がしか國民生活の安定に寄與することのできるようにということを大体の目標として、施策を行う決心であります。さよう御了承願います。(拍手)    〔國務大臣竹田儀一君登壇拍手
  16. 竹田儀一

    國務大臣(竹田儀一君) 竹中議員の御質疑中、私に関連した問題をお答えいたします。政府といたしましては、医療國策の根本問題は、昭和二十二年三月六日医療制度審議会において決定になりました医療制度改正要綱に則つとりまして、医療行政の推進をいたしたいと考えております。この医療制度改正要綱を基礎といたしまして、目下医療制度審議会及び医藥制度調査会におきまして、医藥制度の今後の在り方について、斯界の権威者において十分審議を練つておるのであります。この御審議の結論が出ますれば、それに基きまして、適当なる処置を講じたいと考えておるのであります、ただ一言申上げて置きたいことは、公的医療機関と開業医とは、車の両輪として國民医療の完璧を期すべきものであると考えておるのであります。  尚國民健康保險組合の相当な数が、不振休業の状態になつておるがとの御激励の御質疑であつたのでありますが、これにつきましては、でき得る限り政府補助費の増額を図りますと共に、仰せの通り、相互扶助の精神と、衛生思想の普及とを図りまして、活溌なる活躍を期したいと念願いたしておるのであります。  尚社会保險診療報酬單價引上げの問題は、仰せの通り六円と八円の両論がありまして、誠に面倒な問題になつておるのでありますが、差当り社会保險診療報酬算定審議会におきまして、暫定的に六円に決まつておりますことは御承知通りであります。さりながら医師会等の意見もありますので、その意見を十分に参酌いたしまして、適当なる研究をいたしたいと考えておるのであります。(拍手)    〔國務大臣永江一夫登壇拍手
  17. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 只今の御質疑中、三点についてお答えをいたします。  第一点は、一割増産運動について、政府はどれだけの決意を持ち、又具体的な裏附けを持つてこの一割増産運動を推進するつもりかという御質問でございました。勿論この一割増産運動は一つの國民運動でありますが、單なる精神運動ではございません。従つて政府といたしましては、一割の増産期待いたしまするために、相当物質的にこの運動を推進する裏附けを考えておるのであります。お示しのように肥料につきましては、大体本年は一割増産運動のために、窒素質肥料百万トン、燐酸肥料四十万トンをこの運動のために用意いたすつもりであります。又農機具につきましても、大体鋼材一万八千トン、銑鉄九千トンをこのために用意いたしまして、これらのものは、昨年度に対しましては約二倍に当る数量でございます。  尚第二の点でありまする開拓について、いろいろ御発言がありましたが、お話通り、開拓を完全に推進して参りますためには、家畜の導入が必要であることは勿論でありますが、政府といたしましては、この開拓地の入植者に対しまして、特別の資金を融通いたしまして、入植者の家畜の購入或いは畜舎の設備に援助しておる次第であります。ただお示しのありましたように、これらに絶えず新らしい家畜を供給する点につきましては、只今のところ非常に困難が伴つておるのでありまするが、併しこれらの点につきましては、今後開拓基地農場におきまして十分にその需要を考えまして、そうしてこの家畜の供給につきましては、飼料その他の関係から困難の事情を克服いたしまして、十分ではありませんけれども、大体目下のところは小家畜を主として供給するつもりでございます。  第三の農村課税についてでございます。この点はいずれ後程大藏大臣からお答えがあると存じますが、私の立場から申しますると、農業の中におきましても、特殊のものを除きまして、一般のものは極めて收益の少い原始産業者でございまして、特に主食生産を中心といたしまする農家は、自家消費分以外は供出をいたしておりまする立場にございますから、これに対する課税というものは、日本の現在の食糧事情から十分に留意して行きたいと、かように考えておるのであります。    〔國務大臣北村徳太郎君登壇拍手
  18. 北村徳太郎

    國務大臣(北村徳太郎君) 竹中議員の私への御質問は、第一、農村課税の問題であつたと思います。これにつきましては、只今農林大臣より御答弁がございましたが、農村の実情、殊に主要食糧生産の重大な役割を担つて頂いております農村に対しまして、課税の公正につきましては、一段と努力をいたしまして、その公正を期したい。例えば農村精通者並びに農業團体等へも諮問などをいたしまして、この点について一層その負担の公正に努力をしたいと思います。尚この基礎控除の改正並びに扶養控除の改正、税率そのものの改正等をいたしまして、所得税としての相当の軽減を図ることについて只今檢討いたしておりますので、これはかなり大幅の軽減ができるであろうと、こういうふうに考えておるのであります。  それから次に金融の重点主義に関しての御質問であつたと思うのであります。これは御承知通り、重要産業に関しましては、多少の副作用がありましても、尚且つ傾斜生産方式さえも探らなければならんという現状でございますので、物の生産についてそうであるごとく、物の生産と伴いまする金融において重点主義を探りますることは、これは誠に止むを得ないのでございまするが、その重点政策を探ります蔭に、犠牲のあるものに対しては、できるだけその犠牲を少くするということが、又当然の配慮でなければならんと思います。左様な観点から尚金融全体につきまして今後一層注意をいたしまして、例えば農林中央金庫等に対する資金力を豊富にするというような点、その他、まあいろいろな点からこれは農村金融の改善については努力をいたしたいと存ずるのであります。只今金融機関全般に亘りまして一應の再檢討をいたしまして、或いは近く金融業法というようなものが國会に御審議を願う手筈になるかと思うのでありますが、さような点においても、尚金融には相当注意を拂うようにいたしておるのであります。  それから第三は、インフレと失業の関係であつたと思うのでありますが、これは、段々まあ今のような事情において、相当潜在並びに現実の失業者があると言われておるのでありますが、御承知のごとく、例えば求人登録等をいたして見まするというと、存外驚くべき少数しかいないというような現象を呈しておるのでありまして、これらにつきましては、一般の失業対策として考えなければならん点でございまするけれども、とにかく漸次労働の生産性も高調しなければならん時でございますので、そういう面については、関係各省と十分連絡をとりまして、失業者の労働生産性を確保するようにいたしたいと、かように考えております。  それから尚インフレ外國との関係についての御意見であつたと思うのでありますが、これは只今の段階では、例えば中國、朝鮮等のインフレーションが日本にどう影響するかというような点、或いは日本インフレーションが向うにどう影響するかというような点についての御質問であつたと思うのでありますが、これは今のような事情においては、将来は、これは勿論世界経済の一環としての日本の立場から考えなければならん点でありまするし、今から相当研究を要する点であろうと思うのでありますけれども、今の段階においては必ずしも取り上げて現実の問題とする程のことは、今のところではないのではないか、こういうふうに考えておるのであります。以上簡單でございますが、お答えを申上げる次第でございます。    〔國務大臣栗栖赳夫登壇拍手
  19. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 竹中議員の貿易の振興についての点について私からお答え申上げたいと思います。  竹中議員のお説の通りに、貿易振興がこの際日本経済再建上必要なること、又将来日本経済を維持発展する上において貿易振興の必要な点におきましては、全く同感であります。政府といたしましては、この線に沿いまして貿易の振興を図りたいと思つて、着着各種の施策を講じつつあるのであります。その大体の所を申上げますことにいたします。  先ずこの回轉基金その他の点において原綿が入つて参ります。或いは羊毛その他の関係から、繊維工業が一番早く浮んで來ておるわけであります。この繊維工業の振興という上に十分の力を注ぎたいと思うのであります。そうして更にその外或いは陶器であるとか、その他輸出向の品物を生産しますところの工業、そういうものの多くは中小工業の形を採つておるものであります。これを十分振興さして行きたい。こう思つておる次第であります。それからその輸出向の生産をいたしますにつきましても、資材の点がいろいろ問題になるのでありまして、資材につきましては、内地で資材のあるものについては、それに重点を置いて割当てる。それから海外から、例えば原毛とか、或いは原綿のような、外國から資材を入れるものにつきましては、政府政府、或いは民間の間において極力輸入の促進をいたしたいと思うのであります。それから設備の改善復旧でありますが、この点につきましても、これはすでに前内閣以來の政策を踏襲し、更にその力をこれに注ぎたいと思つております。そうして資金その他についても、必要がありますならば、單に貿易手形とか、そういうようなものでなしに、その繋ぎの資金というようなものでなしに、設備の改善復旧の資金をも疏通をいたしたいと考えておる次第であります。  それから技術の導入であります。技術の点におきましても、日本は戰爭中十年の鎖國経済の中にあつたのでありまして、大変に技術が遅れておるのであります。或る技術のごときものも、我々は最新式の技術と心得ておつたのでありますが、最近におきまして連合軍の方で調べて見ますと、非常に十年も劣つておるというようなことがあるのでありますので、この技術の導入刷新ということについても十分力を注ぎたいと考える次第であります。  それから尚為替の問題、外貨との換算率の問題、それから更に外貨の種類によつて決済その他に円滑を欠く点があるのであります。これは好意ある連合軍援助と相成俟ちまして、なるべく早く解決しまして、貿易振興を促進いたしたいと考える次第であります。簡單でありますが‥‥(拍手
  20. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 加藤労働大臣答弁は後で適当な機会にいたしたいとのことでございます。小林英三君。    〔小林英三君登壇拍手
  21. 小林英三

    ○小林英三君 私は民主自由党を代表いたしまして、芦田総理並びに関係大臣質問を試みたいと思うのであります。  先程緑風会の田村君がその質問の中に、岡田運輸大臣並びに加藤労働大臣質問したのであります。岡田大臣も加藤労働大臣も確かに見えておつたと思います。一國の大臣が、而も芦田内閣の第一回の國会施政方針演説國会に姿を見せながら、國会議員の質問に対して逃げて行く。姿を消してしまう。誠に不謹慎であります。私はこの機会におきまして、参議院議長からこの両大臣に対しまして抗議を申込んで貰いたいと思つております。(拍手)  先ず私は行政整理と企業整備の問題につきまして、総理大臣質問を試みたいのであります。今日の我が國の産業界における縮小再生産の原因はいろいろあると存じます。併しその主なる原因は、企業に対する従業員の数が余りに過剰であつて、即ちこの過剰雇傭のために、生産にマツチしないところの莫大なる賃金給與が支拂われておるということが大きなる原因であろうと考えるのであります。又これと同様なことが國家財政の面にもあるのでありまして、即ち昭和二十二年度におきまする一般会計は二千百三十四億円、これはこの間の追加予算を除きますが、特別会計共に予算総額は四千三百億円であります。これを安本で調査いたしました國民所得に比べますと、約その五割に相当しておるのであります。試みに戦前昭和九年におきまして、國民所得は当時百五十億円でありました。然るに一般会計は十五億円、特別会計を加えまして予算純計は二十五億円でありました。即ち國民所得に対しまする國家財政の比率というものは、二十二年度におきます五割に対して、僅かに一割六分強であつたのであります。私は今日の國家財政國民所得との比率というものが、如何に昂進しているかということが相分るのであります。現在我が國の政府職員は、國民七人に対しまして一人の割合と言われておるのであります。而してこれらの給與賃金國家財政の重要なる比率を占めているということは勿論でありまして、而も無謀なる戰爭の結果といたしまして、戰時中の職場の補充、或いは終戰後の復員によりまして、その数は非常に増加いたしておりまして、鉄道職員の戰前におきます二十七万人が現在におきましては六十五万人というように相成つておるのでありまして、各官廳を通じまして今日相当なる過剰人員のありますことは事実であります。この政府職員の過剰雇傭に対しましては、國家再建のために眞劍に考えられなければならん問題でありまして、私はこの際失業問題、これは失業救済として別個に考えまして、この際速かに企業整備と行政整理とを断行いたしまして、行政の面におきましても、又企業の面におきましても、一時も早くノーマルな状態、眞の意味の健全な状態に置き換えるということこそ、私は眞の意味の健全財政であり、眞の意味の健全企業でありまして、(拍手)このことは経済の原則であると同時に、政局を担当せんとする者の最も重大なる責任であると考えるのであります。(拍手)而も芦田首相の施政方針演説には、この問題には言及しておりません。芦田内閣の與党三派政策協定にも、この問題については私は熱が足らんと思う。即ちこう言つておるのであります。政策協定には、「行政整理と企業整備は民主化及び能率化を目標とし、機械的人員整理は行わない」と書いてあるのであります。私はこれは非常に上手な作文と思うのでありますが、これだけじや物足らない。このことは國家経済を左右する重大なる問題でありまするが故に、今少し具体的に承わつて見たいと思うのであります。殊にこの問題につきましては、前片山内閣も固く天下に公約しておりまするし、芦田内閣といたしましても、眞の健全財政を堅持するという建前の上からいたしまして、当然取上げざるを得ない問題であると同時に、又芦田君自身といたしましても、この問題については、私は勿論一大決心と具体策を懐ろに入れて総理指名に出陣せられたことと存じまするが故に、この二点につきましてははつきりと御答弁願いたいのであります。(拍手)  その一つは、行政整理については新年度の予算編成の上にはつきりと計上されるかどうかということであります。その二つは、行政整理という事柄の中には配置轉換というようなことも考えられるのでありますが、併し私は過剰人員整理によらざれば、この際國家財政の建直しは決してできないという建前からいたしまして、過剰人員の首切りということを前提としなくちやならんと思う。果してその通りであるかどうかということを承わりたいのであります。  次に、政策協定の基本方針の中に、「実質的な健全財政主義を堅持する」とあるのでありまするが、私はこの基本方針によつて果して健全財政を堅持することができるかどうかということを、極めて疑うものでありまして、即ち一方におきまして財政インフレ防止のために経費の節減ということを取上げながら、他方におきましては、次のような莫大な経費を消費せんとする計画をしておるのであります。即ち電力を初めといたしまして、石油、鉄鋼、肥料等の重要産業を國管に移さんとするこの莫大なる管理費、耕地の改良復旧その他治山治水のための一大土木事業を行うところの経費、農林復金の創設、國費による庶民住宅の大規模なる建設住宅廳の設置、失業救済事業の確立と失業保險制度の拡充等の莫大なる経費の消費が計画されておるのであります。謳われておるのであります。即ち事務官僚の推定によりましても、これだけでも優に一千億円を下らんと言われておるような非常に厖大なる経費を消費せられんとしておるのであります。私は國家の健全なる再建のためには、予算の許す限り必要なる事業を興すことは結構だと思う。むしろ六・三制でありまするとか或いは水害対策とかのごとく、緊急にして必要なる事業につきましては、積極的にやらなければならんと考えております。ただ要はこれらの協定に盛られておりまするところの厖大なる経費の見込財源でありまするし、又健全財政に対しましてこれが如何なる響きを與えるかということが重大なる問題であります。私は社会党の一部で言われておりますように、生産公債で二千億円からの金が民間で消化されるとは決して考えておりません。恐らく今日の経済情勢、特に納税成績等に見ましても、かかる莫大なる生産公債の消化ということは、これはなかなか容易ならざる問題でありまして、先ず不可能と私は考えております。而も收入の面におきまして闇利得は徹底的に徴收せねばならんことでありまするが、前例に徴しましても、これが捕捉はなかなか困難であります。多くは私は期待することはできないと思う。而も一方におきましては、以前から我々が計画しておりましたところの勤労所得税や法人税の軽減をやるのでありますから、國庫の増収の望み得るものは確実なるところ、社会党の唱えるところのいわゆる國富調査税ではないかと思うのであります。私はこれとても新聞に報ぜられているような課税対象ということを勘案いたしますと、詳しくは分りませんが、僅々十億か二十億円の程度のものじやないかと思うのであります。ここにおきまして私は率直に申します。三派政策協定がただ協定のための協定であつて、お題目を並べて見るだけであるというのならば、私は何を言わんやでありまして、(拍手)これは國民を騙したわけでありまするが、併し若しこの芦田内閣の三派政策協定というものが、芦田内閣の眞の政策のための政策であるということでありますならば、私はここに総理にお尋ねしたいのであります。即ち一方におきましては、経費の節減を唱えながら、厖大なる経費の消費を何によつて辻褄を合わさんとするものでありますかということにつきまして、総理の明快なる御答弁を願いたいと思います。(拍手)  次に、外資導入の問題であります。生産復興國民生活安定のためには、外資導入は最も緊要なる問題であることは申すまでもありません。而も民間外資導入は、國民のひとしく要望しておるところでありましよう。この民間外資導入態勢整備につきましては、昨日波多野君でありましたが御質問がありましたから、省略をいたしまして、私は独禁法と外資関係につきましてお聽きしたいのであります。独占禁止法をそのまま外資に適用するといたしますならば、この法律によりまして、私的独占とか、或いは不当な取引制限とか、不公正な競爭等が悉く禁止せられることに相成りまして、株式の保有その他に制限を受けることと相成りまして、折角投下をせられんとしておるところの外資を拒否することに相成るのじやないかということを恐れるのであります。さりとて又、外資を若し独占禁止法の対象から除外をいたしまするとしたならば、我が國の國内資本だけを束縛する結果となりまして、國内の産業の活動を混乱させる虞れはないかというように考えるのでありまするが、この点につきまして、栗栖安本長官の御所見を承わりたいのであります。  次に、中小工業に対する問題につきましてお尋ねをいたします。これは商工大臣にお尋ねをいたします。我が國中小工業の問題は終戰後急にクローズ・アツプいたされまして、今や官民共に重大なる関心を持つに至つたのであります。殊に大規模な工場は、戰災や賠償の指定に遭いまして、更に終戰後財閥は解体いたされまして、独占禁止法であるとか、或いは過度の経済力集中排除法の施行等、経済の民主化によりまして、今日、中小工業の國家経済の上に持つておりますところの使命、責任というものは、なか尊重大なのであります。而も大工場が悉く健在でありましたいわゆる戰前におきましても、繊維工業を初めといたしまして、陶磁器、或いはガラス製品、自轉車、玩具、その他すべての貿易品の六割というものを中小工業が占めていた実績から考えましても、今後中小工業は、我が國民生活経済というものを双肩に担つておると言つても過言ではないと私は考えておるのであります。(拍手)而も、従來我が國におきまする歴代の政府政策というものは、單なる処置であるとか、或いは救済であるとか、或いは育成であるとかいうような、極めて不徹底なる政策に終始しておるのでありまして、従來政府当事者の企業に対する考え方というものは、設備、規模、資本金、こういうようなものの厖大な工業は、一概に優秀にして能率的なりというような、いわゆる事大主義的な、大工場を誤まつて信ずる、大工場過信主義が、今日まで先入的になつて來たと思うのであります。従いまして、金融の面におきましても、資材の面におきましても、又指導の面におきましても、いわゆる大財閥傘下の大工場に優先的でありまして、実質的に第一線に役立つて國家再建にきびきびと活動いたしておりまする中小工業は、いずれも資金、資材の面におきまして非常なる困難をいたしておることは、今日の実情であります。試みに金融の面に見ましても、復興金融公庫は、二十二年度の第一第二両四半期を通ずる貸出の総額二百九十億円の中、中小工業向け金融は僅かにこの中で二億五千万円でありまして、即ち一%にも満たないのであります。尚資材の面につきましても同様なことが言えるのでありまして、資本の厖大な、規模の大きい、又特に役所との接触度の頻繁な大工場を、一概に能率的であり、又技術優秀であると先入的に判断をして、これらのもののみに優先的な取扱の傾向があつたのは事実であります。而も従來の重点主義というものは、最終製品即ち完成産業についてのみ考えられておつた。関連工場は、それ自体が如何に重点的でありましても冷遇されていたのであります。これでは私はすべての中小工業をレベル・アツプすることはできないと思う。私は今後鉄鋼、石炭、或いは肥料等、この基礎的重点産業以外の工業につきましては、資本規模にのみ囚われず、技術が優秀で、高能率で、信用のある工場に対しましては、宜しく機会均等主義を探るべきであると考えるのであります。厖大なる資本主義國でありまするアメリカにおきましても、小規模の工業の方がより能率的で、より技術的であるというような業種が、現に五十業種あるのであります。勿論この外に最大企業單位によらなければ技術及び生産の能率の上らない業種も別に十八種類あるそうでありまして、即ち或る業種、例えば工作機械の組立工場でありますとか、あるいは鑄物荒城のごときは、或る程度、中規模の方がむしろ高能率で優秀なる製品が生れるのでありまして、又或る業種につきましては、できるだけ大規模であることが能率的で優秀なる製品ができるというように、業種によつておのずから限界が異なつておるのであります。然るに我が國におきましては、業種の如何を問わず、又能率及び技術の如何を論ぜず、大企業の過信主義、偏重主義であつたことは、誠に遺憾とするところであります。私は、この点につきましては、根本的に官廳の認識を一新し、頭を百八十度切換えなければ相成らんと考えております。(拍手)尚中小企業廳法案がこの第二國会に提出されておりまするが、この國会を通過の曉におきましては、長官以下能う限り民間人を採用いたしまして、民主的にこれを運営して、中小工業のレベル・アツプのために盡させなければならんと考えておりまするが、以上私が申上げましたことにつきまする商工大臣の本当に眞面目なる御意見を承わりたいのであります。  更に私は、重要なる問題でありまするから総理にお伺いしたいことは、芦田内閣の社会主義政策政治道徳に関する問題であります。新聞のかねて報じたところによりますと、芦田君は昨年の十二月の十三日頃、民主党総裁といたされまして九州遊説の際に、三党連立内閣の性格を表現した演説をなさつておられます。而も非常なる喝采を得られたそうであります。即ちこういうことを言つておられるのであります。現在の日本の現状では、社会党を野党に廻した内閣では時局を担当することはできない。ここ当分、二三年の間は、社会党を加えた連立内閣で行かねばならんということを言つておられる。勿論芦田君のこの言葉は、社会党首班内閣であるから労働攻勢もこの程度で喰い止められたのだという表現であると思つたのでありますが、その次にこういうことを言つておられたのであります。併し我々は、我々はというのは多分民主党のことでありましよう。併し我々は、社会党に社会主義政権を決して行わせるものではない。飽くまでも民主党政策に従わせるのである。今後と雖も、第三次農地改革、第二次財産税、公債利子の棚上げ等は決して行わせないという演説をせられまして、相当到る処で拍手を得られておるのであります。而も與党三派の間の政策協定というものは、確か二月の二十五日頃から五回に亘る協定の結果、三月の三日に至りまして、三派の間で漸く取り交わされた証文であります。芦田内閣がかくかくの協定の下に政策実行して、こうして行くのだということを、國民の前に示されたのがこの三派政策協定であろうと思うのであります。そこで私は芦田総理に承わりたいと思うことは、昨年の十二月頃におきまして、社会主義政策は決して片山内閣では行わせないと各地で主張せられました芦田君が、今後は自分みずからが総理大臣であります。この芦田君が政策協定の中では明らかに軍事公債利拂停止的措置としてありまするが、利拂停止とか、金融機関の國家管理とか、或いは石油、肥料、鉄鋼等の重要産業の國管とか、社会主義政策実行認めておられるというのは、如何なるわけであるか、政権を取るためには主張は曲げても構わんというのであるか、(拍手)この点は芦田内閣今後の性格判断の上におきまして國民の齊しく知らんとするところであると存じますので、明確なる御答弁をお願いいたしたいのであります。  次に私がお願いいたしたいことは、政治家の節操に関する問題であります。前片山内閣総辞職の二月の十日直前におきましては、芦田総理総裁と仰ぐところの民主党におきましては、御承知のごとく、社会党に対し強硬に左派を切れ、左派を切れと、あれ程わめいたことは、我々の記憶になお新たなるところであります。然るに誠に不思議なことには、総理大臣の工作を境といたしまして、逆に、而も非常に急激に左派抱擁論に切換えられたのであります。左派切るべしから、左派信頼へと急に切換えられたのであります。即ち芦田君は首班選挙を行われる前、すでに民主党の某要人を鈴木茂三郎君に遣わしまして安本入りを懇請しておるのであります。而も首相指名の落着後におきましても、私は敢えて落着と言います。落着後におきましても鈴木茂三郎君、加藤勘十君の入閣懇請に相当に努力を拂われたことは、天下周知の事実であります。芦田内閣組閣の結果は、鈴木茂三郎君は周到なる慮りあつてか最後まで入閣には應じません。只今見えておりませんが、加藤勘十君と野溝勝君とが左派から今を時めく大臣として雛壇の上に仲良く並んでおられるわけであります。私がお尋ねいたしたいのは、最近まで左派切るべしの心境を、而も僅かの期間に左派抱擁論に轉じ、而もその頭目の人々を懇請してまでも大臣になつて貰わねばならんという、この政治家としての百八十度の轉回に対しまして、國民の肯けるような率直なる御答弁をお願いいたしたいのであります。(拍手)  次にお伺いいたしたいのは、政治道徳に関する問題であります。私は先般の首班指名の件につきましては、今更ここで憲政常道論という言葉を云々せんとする者ではありません。芦田総理の首班指名は新憲法及び國会法に明記してあるがごとくに、議員多数の投票によつて決せられたのでありまするから、その結果手続等につきましては、新憲法の規定の上からいたしまして正に正しいのでありましよう。芦田総理は一昨日施政方針演説の中に國民道義高揚を説かれております。又新内閣の最高目標として、平和と自由と正義との支配する世界の建設を叫ばれておるのであります。私もその趣旨に全く同感であります。併し同時に私は政治にこそ先ず道義が必要と考える、政治國民の上にあるからであります。同時に又私は政治にこそ眞の平和と自由と正義が必要であると思う。政治はその基礎の上に立つからであります。諸君、片山内閣が当面の総辞職の直接の理由は、党内不一致であつたのでありますが、併し眞の原因は政策の行詰りであることは疑いない事実であります。新憲法六十五條には、「行政権は、内閣に属する。」とあります。又六十六條の第三項には、「内閣は、行政権の行使について、國会に対し連帯して責任を負う。」としてあるのであります。従いまして片山内閣の先般の総辞職は、追加予算の問題について、行政権の行使が不可能に陥つたのであるから、國会に対して当然連帯をして責任を負つたということに相成ると信ずるのであります。(拍手)即ち片山内閣が総辞職いたしました以上は、これに連なる與党三派は全部退くべきが当然の責任であり、私はこれが政治道徳なりと信ずるのであります。片山内閣総辞職以來、芦田君の首班選挙前後に取られたる行動は、これは果して道義の上におきまして國民を納得せしめ得たでありましようか。少くとも憲政の上におきまして、後世に政治の正道を残し得たでありましようか。昨日この問題に関しまして我が党の板谷君が質問いたしました。総理答弁は、私は余りにも憲法の條項にのみ拘泥いたしまして、憲政の運用或いは道義というものをどこかに置き忘れたのではないかという氣がいたすのであります。私が追究せんとしておりますのは、首班選挙に対する芦田君及びその一党の取られた態度であります。私はこの点につきましては片山君の態度は立派であつたと思う。即ち総辞職が決定的となりましたるところの二月四五日頃であります。朝日新聞その他の報道陣に対しまして、自分の心境をはつきりと述べておるのであります。このことは当時朝日新聞その他の新聞を通しまして、全國の國民は片山君の態度に対して敬意を表したのであります。即ち片山君はこういう心境を漏らしておるのであります。総辞職後の政局の収拾は政権を盥廻しにするようなことにしないで、第一野党たる自由党に委すのが順当である。こういう心境を発表いたしておるのであります。(拍手)これが私は片山君の当時の心境であつたと思う。同時に又当時の國民全体の常識であり、輿論であつた筈であります。(拍手)これが次第に曲げられて來たのでありまして、最後に私は芦田総理に対して、政治道徳の問題に対して左の二点をお尋ねして置きたいと思うのであります。  あなたの首班指名選挙を廻つてお取りになりました行動は、果して政治道義に欠くるところはないかどうかということであります。もう一つは、盥廻しの問題につきまして先程田村君の御質問に対しまして、盥廻し云々について大変おいやなような御答弁でありました。私は片山内閣が倒れまして現在の内閣の出現のこの事実というものは、明らかに政権盥廻しだろうと思うのであります。盥廻しという言葉がおいやでありましたならば、ウイスキーの瓶の中身を同じにしてレツテルを貼り変えたのではないかということを伺いたいのであります。(拍手)以上私の質疑を申したのでありますが、これに対しまして誠意のある極めて率直なる御答弁を願いいたしたいと思うのであります。(拍手
  22. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) この際暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      —————・—————    午後零時四十七分開議
  23. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。芦田内閣総理大臣。    〔國務大臣芦田均登壇拍手
  24. 芦田均

    國務大臣芦田均君) お答えいたします。私に対する質疑の第一点は、行政整理及び企業整備の問題であります。今日我が國の行政組織に対する國民の最も峻嚴なる批判は、極めて非能率的であるという点であることは御承知通りであります。我々も率直に或る程度までこれを承認しなければならないと考えておるのでありますから、この際政府は行政の能率化のためにも思い切つて行政整理を行う必要があると考えております。現に出先官憲の問題、或いは又各省間に跨がる重複したる機構の問題、その他各般の状況に鑑みまして、すでに片山内閣以來行政調査部において、行政整理に関する一定の案を建てておつたのであります。ただ問題となつた点は、その行政調査部の立てた行政整理案は各省一律に人員の二割五分を天引して整理するという点について種々の問題が考えられていたことであつて、かような機械的な標準によつて行政整理を行うことは甚だ條理徹底しないではないかという議論がありました。この点については新内閣においても十分に考慮する必要があると考えております。併しながら行政整理は必ず行うのでありまして、これを有耶無耶に葬むるようなことはいたしません。尚企業整備の問題は、只今お話通り、我が國の産業が現状のごとく過剰労力を擁しておつては、到底眞の意味産業再建が困難である。この点は安定本部その他においていろいろ調査をした材料もありますから、必要に應じて政府はこれらの企業に対して或る程度の勧告を加える場合も起り得ると思いますが、政府自身の活動として、私企業に対して一々過剰労力の問題について干渉するというごとき態度を取ることは困難な事情もあると思います。  次に、私が九州の演説会等において述べた議論を御引証になりました。中には私の述べた通りの事実もあります。又私の言わなかつたことも御引用になつておると思いますが、あの演説は速記を取りまして、すでに印刷にしたものができておりますから、若し御要求があればいつでもあの演説の速記をお目にかけることができます。その中で違つておるという点は、こういうことです。私が九州において述べた演説においては、現在の社会党内閣と雖も、急激なる社会主義政策を採用するという意向は持つておらん。我々も亦急激なる変革、急激なる社会主義の断行は考えておらん。けれども今日の時勢において或る程度の社会主義政策を採用し、又革新政策を採用することは時代の要求であるということをはつきり申述べておるのでありまして、その点は演説の速記を印刷したものを御覧下さればはつきりお分りになると思います。  又左派切るべしと民主党は言つたが、それはどうなつたかという御質問であります。成る程民主党議員の中で、当時社会党の中に別派的な行動を取る人々があるということに刺激された結果でありましよう。左派切るべしという意見を述べた者のあつたことは間違いありません。併しながら民主党の党議として左派切るべしという決議をしたこともなければ、況や私みずから左派切るべしというごときことを申したことは一度もありません。殊に今日の社会党は左派といい、右派といい、中間派といい、悉く一体となつて纏まつておるのであります。従つてこの内閣において閣僚を銓衡する時に、左派であるとか、中間派であるとか、右派であるとかいう区別をなす必要はない。社会党一体としてこの内閣協力するという意向である限り、何らその間に区別を設けるべき必要はなかつたと私は考えております。  最後に、今回の組閣に対する政治道徳論については、昨日板谷君にお答えした点を以て盡きておると思いますが、尚一言これに附加して申上げたいと思います。  この内閣の首班選定は國民の意向に反し、政治道徳に反するやり方である、こういう御意見のように思いました。私共としては、國民の意向を代表して日本政治に参與するものは、直接の最高の機関は國会である。國会の意向を離れて國民の意向を判断する材料は差当りはないのであります。この國会の多数が、我々の意思ここにありと言つて首班を選挙したものが國民の意向に反するという理由は容易に納得することができないのであります。無論議会が國民の意向を反映しないような場合が起り得ます。社会情勢の変化、時代の変化に伴つて國会の現有勢力が必ずしも國民多数の意向を反映しないという場合も起り得ます。総選挙の時に問題にならなかつたような政治問題について、新らしく國民の意向を承知するために解散を行うということも立憲政治の常道であります。そういう現象の現れた場合には、國会政府も議会を解散して、新たに民意を問う。これが立憲政治の当然の行き方だと思う。併しながら当時一二の新聞が書いた、或いは新聞社の調査がこういうことであつたということが、絶対に國民の意向であつて、議会は全然國民の意向を反映していないのだという結論には、私共としては承服することができぬ。こういうことを昨日お答えしたのであります。私の説明が足りなかつたために、本日再びかような御質問を受けたことと思いますが、どうか板谷議員への答弁と合せて御了承をお願いいたします。(拍手)    〔國務大臣栗栖赳夫登壇拍手
  25. 栗栖赳夫

    國務大臣栗栖赳夫君) 小林議員のお尋ね中、外資導入と独占禁止法の関係についての点があつたと思います。簡單にお答えいたしたいと思うのであります。外資導入と申しましても、政府政府との間の外資導入は別といたします。民間外資導入について、而もそれが投資の形の形式を取る場合に、この問題を御提起になつたと思うのでありますが、この点につきましては独占禁止の目的のあるところと、それから外資導入の又緊要必要な点というものとを、両方睨み合せて十分調和が取れると考えると信じておるのでありまして、すでにそういう点もあろうかと存じまして、独占禁止の方の関係を処理しておりますところの公正取引委員会と密接な関係を取り、又経済安定本部内に設けております貿易外資の委員会の中の民間外資部会においてこれを取上げて、只今研究をいたしておるような次第でございます。簡單でございますが‥‥(拍手)    〔國務大臣水谷長三郎君登壇拍手
  26. 水谷長三郎

    國務大臣(水谷長三郎君) 小林議員の中小工業に対する誤つた認識の是正に関する御質問に関して御答弁申上げます。  小林議員の申されました通りに、今後の國民経済は、独占禁止法の精神の下に自由公正なる競爭を活溌に展開することをその基本原則とするのでございますが、この場合大企業と中小企業との間に不公平な取扱いがあつてはならないことは勿論でございます。然るに従來ともすれば大企業は大企業たるの故を以て有利な取扱いを受け、中小企業はただ小さいという故に、実力を有しながらも不利益を蒙つて來た場合がないではなかつたということは、誠に遺憾でございます。御意見のように、企業の中には中小企業形態でなければできないもの、又は中小企業の方が却つて能率的であるものが少くないのであります。要は規模の大小が問題ではなく、その製品の重要性と、企業としての生産性乃至経営能率が問題であると存ずる次第でございます。政府といたしましては、今後企業規模の大小に拘わらず、企業の実質的優劣に着目いたしまして、資材資金等の配分を適正に行なつて参りたいと考えて行く所存でございます。この度商工省の外局といたしまして、中小企業廳を設置いたしまして、中小企業の正当なる利益と立場を擁護強調いたしますと共に、中小企業の技術及び経営の改善合理化を推進して参ろうといたしますのも、一にかかる考に基く次第でございます。  最後に、中小企業廳にはできるだけ民間人を採用せよとの御意見でございますが、その御意見も極めて御尤もでございまして、政府といたしましてはその長官及び二つの局の中の一局長は、できるだけ民間人を採用したいと思つて、今その人選に掛かつておるような次第でございます。(拍手
  27. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) この際御報告をいたして置きます。加藤、岡田両大臣は先程答弁を後に保留したい旨を申出されましたのは、関係方面と打合のために、止むを得ない公務のために、退席されたとのことでございます。本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松本治一郎

    ○副議長松本治一郎君) 異議なしと認めます。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会