○小林英三君 私は民主自由党を代表いたしまして、
芦田総理並びに
関係大臣に
質問を試みたいと思うのであります。
先程緑風会の田村君がその
質問の中に、岡田
運輸大臣並びに加藤
労働大臣に
質問したのであります。岡田
大臣も加藤
労働大臣も確かに見えておつたと思います。一國の
大臣が、而も
芦田内閣の第一回の
國会、
施政方針演説の
國会に姿を見せながら、
國会議員の
質問に対して逃げて行く。姿を消してしまう。誠に不謹慎であります。私はこの機会におきまして、参議院
議長からこの両
大臣に対しまして抗議を申込んで貰いたいと思
つております。(
拍手)
先ず私は行政整理と企業
整備の問題につきまして、
総理大臣に
質問を試みたいのであります。今日の我が國の
産業界における縮小再生産の原因はいろいろあると存じます。併しその主なる原因は、企業に対する
従業員の数が余りに過剰であ
つて、即ちこの過剰雇傭のために、生産にマツチしないところの莫大なる
賃金給與が支拂われておるということが大きなる原因であろうと
考えるのであります。又これと同様なことが
國家の
財政の面にもあるのでありまして、即ち
昭和二十二年度におきまする
一般会計は二千百三十四億円、これはこの間の追加予算を除きますが、特別会計共に予算総額は四千三百億円であります。これを
安本で調査いたしました
國民所得に比べますと、約その五割に相当しておるのであります。試みに
戦前の
昭和九年におきまして、
國民所得は当時百五十億円でありました。然るに
一般会計は十五億円、特別会計を加えまして予算純計は二十五億円でありました。即ち
國民所得に対しまする
國家財政の比率というものは、二十二年度におきます五割に対して、僅かに一割六分強であ
つたのであります。私は今日の
國家財政と
國民所得との比率というものが、
如何に昂進しているかということが相分るのであります。現在我が國の
政府職員は、
國民七人に対しまして一人の割合と言われておるのであります。而してこれらの給與
賃金が
國家財政の重要なる比率を占めているということは勿論でありまして、而も無謀なる戰爭の結果といたしまして、戰時中の職場の補充、或いは終戰後の復員によりまして、その数は非常に
増加いたしておりまして、鉄道職員の戰前におきます二十七万人が現在におきましては六十五万人というように相成
つておるのでありまして、各官廳を通じまして今日相当なる過剰人員のありますことは事実であります。この
政府職員の過剰雇傭に対しましては、
國家再建のために眞劍に
考えられなければならん問題でありまして、私はこの際失業問題、これは失業救済として別個に
考えまして、この際速かに企業
整備と行政整理とを断行いたしまして、行政の面におきましても、又企業の面におきましても、一時も早くノーマルな
状態、眞の
意味の健全な
状態に置き換えるということこそ、私は眞の
意味の健全
財政であり、眞の
意味の健全企業でありまして、(
拍手)このことは
経済の原則であると同時に、政局を担当せんとする者の最も重大なる責任であると
考えるのであります。(
拍手)而も
芦田首相の
施政方針演説には、この問題には言及しておりません。
芦田内閣の與党三派
政策協定にも、この問題については私は熱が足らんと思う。即ちこう
言つておるのであります。
政策協定には、「行政整理と企業
整備は民主化及び能率化を目標とし、機械的人員整理は行わない」と書いてあるのであります。私はこれは非常に上手な作文と思うのでありますが、これだけじや物足らない。このことは
國家の
経済を左右する重大なる問題でありまするが故に、今少し具体的に承わ
つて見たいと思うのであります。殊にこの問題につきましては、前片山
内閣も固く天下に公約しておりまするし、
芦田内閣といたしましても、眞の健全
財政を堅持するという建前の上からいたしまして、当然取上げざるを得ない問題であると同時に、又
芦田君自身といたしましても、この問題については、私は勿論一大決心と具体策を懐ろに入れて
総理指名に出陣せられたことと存じまするが故に、この二点につきましてははつきりと御
答弁願いたいのであります。(
拍手)
その一つは、行政整理については新年度の予算編成の上にはつきりと計上されるかどうかということであります。その二つは、行政整理という事柄の中には配置轉換というようなことも
考えられるのでありますが、併し私は過剰人員整理によらざれば、この際
國家財政の建直しは決してできないという建前からいたしまして、過剰人員の首切りということを前提としなくちやならんと思う。果してその
通りであるかどうかということを承わりたいのであります。
次に、
政策協定の基本
方針の中に、「実質的な健全
財政主義を堅持する」とあるのでありまするが、私はこの基本
方針によ
つて果して健全
財政を堅持することができるかどうかということを、極めて疑うものでありまして、即ち一方におきまして
財政インフレ防止のために経費の節減ということを取上げながら、他方におきましては、次のような莫大な経費を消費せんとする
計画をしておるのであります。即ち電力を初めといたしまして、石油、鉄鋼、肥料等の重要
産業を國管に移さんとするこの莫大なる管理費、耕地の改良復旧その他
治山治水のための一大土木事業を行うところの経費、農林復金の創設、國費による庶民
住宅の大規模なる
建設、
住宅廳の設置、失業救済事業の確立と失業保險制度の拡充等の莫大なる経費の消費が
計画されておるのであります。謳われておるのであります。即ち事務官僚の推定によりましても、これだけでも優に一千億円を下らんと言われておるような非常に厖大なる経費を消費せられんとしておるのであります。私は
國家の健全なる
再建のためには、予算の許す限り必要なる事業を興すことは結構だと思う。むしろ六・三制でありまするとか或いは水害
対策とかのごとく、緊急にして必要なる事業につきましては、積極的にやらなければならんと
考えております。ただ要はこれらの協定に盛られておりまするところの厖大なる経費の見込財源でありまするし、又健全
財政に対しましてこれが
如何なる響きを與えるかということが重大なる問題であります。私は社会党の一部で言われておりますように、生産公債で二千億円からの金が民間で消化されるとは決して
考えておりません。恐らく今日の
経済情勢、特に納税成績等に見ましても、かかる莫大なる生産公債の消化ということは、これはなかなか容易ならざる問題でありまして、先ず不可能と私は
考えております。而も收入の面におきまして闇利得は徹底的に徴收せねばならんことでありまするが、前例に徴しましても、これが捕捉はなかなか困難であります。多くは私は
期待することはできないと思う。而も一方におきましては、以前から我々が
計画しておりましたところの
勤労所得税や法人税の軽減をやるのでありますから、國庫の増収の望み得るものは確実なるところ、社会党の唱えるところのいわゆる國富調査税ではないかと思うのであります。私はこれとても新聞に報ぜられているような
課税対象ということを勘案いたしますと、詳しくは分りませんが、僅々十億か二十億円の程度のものじやないかと思うのであります。ここにおきまして私は率直に申します。三派
政策協定がただ協定のための協定であ
つて、お題目を並べて見るだけであるというのならば、私は何を言わんやでありまして、(
拍手)これは
國民を騙したわけでありまするが、併し若しこの
芦田内閣の三派
政策協定というものが、
芦田内閣の眞の
政策のための
政策であるということでありますならば、私はここに
総理にお尋ねしたいのであります。即ち一方におきましては、経費の節減を唱えながら、厖大なる経費の消費を何によ
つて辻褄を合わさんとするものでありますかということにつきまして、
総理の明快なる御
答弁を願いたいと思います。(
拍手)
次に、
外資導入の問題であります。生産
復興と
國民生活安定のためには、
外資導入は最も緊要なる問題であることは申すまでもありません。而も民間
外資の
導入は、
國民のひとしく要望しておるところでありましよう。この民間
外資導入態勢の
整備につきましては、昨日波多野君でありましたが御
質問がありましたから、省略をいたしまして、私は独禁法と
外資の
関係につきましてお聽きしたいのであります。独占禁止法をそのまま
外資に適用するといたしますならば、この法律によりまして、私的独占とか、或いは不当な取引制限とか、不公正な競爭等が悉く禁止せられることに相成りまして、株式の保有その他に制限を受けることと相成りまして、折角投下をせられんとしておるところの
外資を拒否することに相成るのじやないかということを恐れるのであります。さりとて又、
外資を若し独占禁止法の対象から除外をいたしまするとしたならば、我が國の國内資本だけを束縛する結果となりまして、國内の
産業の活動を混乱させる虞れはないかというように
考えるのでありまするが、この点につきまして、
栗栖安本長官の御所見を承わりたいのであります。
次に、中小工業に対する問題につきましてお尋ねをいたします。これは
商工大臣にお尋ねをいたします。我が國中小工業の問題は終戰後急にクローズ・アツプいたされまして、今や官民共に重大なる関心を持つに至
つたのであります。殊に大規模な工場は、戰災や賠償の指定に遭いまして、更に終戰後財閥は解体いたされまして、独占禁止法であるとか、或いは過度の
経済力集中排除法の施行等、
経済の民主化によりまして、今日、中小工業の
國家の
経済の上に持
つておりますところの使命、責任というものは、なか尊重大なのであります。而も大工場が悉く健在でありましたいわゆる戰前におきましても、繊維工業を初めといたしまして、陶磁器、或いはガラス製品、自轉車、玩具、その他すべての貿易品の六割というものを中小工業が占めていた実績から
考えましても、今後中小工業は、我が
國民の
生活と
経済というものを双肩に担
つておると
言つても過言ではないと私は
考えておるのであります。(
拍手)而も、従來我が國におきまする歴代の
政府の
政策というものは、單なる処置であるとか、或いは救済であるとか、或いは育成であるとかいうような、極めて不徹底なる
政策に終始しておるのでありまして、従來
政府当事者の企業に対する
考え方というものは、設備、規模、資本金、こういうようなものの厖大な工業は、一概に優秀にして能率的なりというような、いわゆる事大主義的な、大工場を誤ま
つて信ずる、大工場過信主義が、今日まで先入的にな
つて來たと思うのであります。従いまして、金融の面におきましても、
資材の面におきましても、又指導の面におきましても、いわゆる大財閥傘下の大工場に優先的でありまして、実質的に第一線に役立
つて國家の
再建にきびきびと活動いたしておりまする中小工業は、いずれも資金、
資材の面におきまして非常なる困難をいたしておることは、今日の実情であります。試みに金融の面に見ましても、
復興金融公庫は、二十二年度の第一第二両四半期を通ずる貸出の総額二百九十億円の中、中小工業向け金融は僅かにこの中で二億五千万円でありまして、即ち一%にも満たないのであります。尚
資材の面につきましても同様なことが言えるのでありまして、資本の厖大な、規模の大きい、又特に役所との接触度の頻繁な大工場を、一概に能率的であり、又技術優秀であると先入的に判断をして、これらのもののみに優先的な取扱の傾向があ
つたのは事実であります。而も従來の重点主義というものは、最終製品即ち完成
産業についてのみ
考えられておつた。関連工場は、それ自体が
如何に重点的でありましても冷遇されていたのであります。これでは私はすべての中小工業をレベル・アツプすることはできないと思う。私は今後鉄鋼、石炭、或いは肥料等、この基礎的重点
産業以外の工業につきましては、資本規模にのみ囚われず、技術が優秀で、高能率で、信用のある工場に対しましては、宜しく機会均等主義を探るべきであると
考えるのであります。厖大なる資本主義國でありまするアメリカにおきましても、小規模の工業の方がより能率的で、より技術的であるというような業種が、現に五十業種あるのであります。勿論この外に最大企業單位によらなければ技術及び生産の能率の上らない業種も別に十八種類あるそうでありまして、即ち或る業種、例えば工作機械の組立工場でありますとか、あるいは鑄物荒城のごときは、或る程度、中規模の方がむしろ高能率で優秀なる製品が生れるのでありまして、又或る業種につきましては、できるだけ大規模であることが能率的で優秀なる製品ができるというように、業種によ
つておのずから限界が異な
つておるのであります。然るに我が國におきましては、業種の
如何を問わず、又能率及び技術の
如何を論ぜず、大企業の過信主義、偏重主義であつたことは、誠に遺憾とするところであります。私は、この点につきましては、根本的に官廳の認識を一新し、頭を百八十度切換えなければ相成らんと
考えております。(
拍手)尚中小企業廳法案がこの第二
國会に提出されておりまするが、この
國会を通過の曉におきましては、
長官以下能う限り民間人を採用いたしまして、民主的にこれを運営して、中小工業のレベル・アツプのために盡させなければならんと
考えておりまするが、以上私が申上げましたことにつきまする
商工大臣の本当に眞面目なる御
意見を承わりたいのであります。
更に私は、重要なる問題でありまするから
総理にお伺いしたいことは、
芦田内閣の社会主義
政策と
政治道徳に関する問題であります。新聞のかねて報じたところによりますと、
芦田君は昨年の十二月の十三日頃、
民主党の
総裁といたされまして九州遊説の際に、三党連立
内閣の性格を表現した
演説をなさ
つておられます。而も非常なる喝采を得られたそうであります。即ちこういうことを
言つておられるのであります。現在の
日本の現状では、社会党を野党に廻した
内閣では時局を担当することはできない。ここ当分、二三年の間は、社会党を加えた連立
内閣で行かねばならんということを
言つておられる。勿論
芦田君のこの
言葉は、社会党首班
内閣であるから
労働攻勢もこの程度で喰い止められたのだという表現であると思
つたのでありますが、その次にこういうことを
言つておられたのであります。併し我々は、我々はというのは多分
民主党のことでありましよう。併し我々は、社会党に社会主義政権を決して行わせるものではない。飽くまでも
民主党の
政策に従わせるのである。今後と雖も、第三次農地改革、第二次財産税、公債利子の棚上げ等は決して行わせないという
演説をせられまして、相当到る処で
拍手を得られておるのであります。而も與党三派の間の
政策協定というものは、確か二月の二十五日頃から五回に亘る協定の結果、三月の三日に至りまして、三派の間で漸く取り交わされた証文であります。
芦田内閣がかくかくの協定の下に
政策を
実行して、こうして行くのだということを、
國民の前に示されたのがこの三派
政策協定であろうと思うのであります。そこで私は
芦田総理に承わりたいと思うことは、昨年の十二月頃におきまして、社会主義
政策は決して片山
内閣では行わせないと各地で主張せられました
芦田君が、今後は
自分みずからが
総理大臣であります。この
芦田君が
政策協定の中では明らかに軍事公債利拂停止的措置としてありまするが、利拂停止とか、金融機関の
國家管理とか、或いは石油、肥料、鉄鋼等の重要
産業の國管とか、社会主義
政策の
実行を
認めておられるというのは、
如何なるわけであるか、政権を取るためには主張は曲げても構わんというのであるか、(
拍手)この点は
芦田内閣今後の性格判断の上におきまして
國民の齊しく知らんとするところであると存じますので、明確なる御
答弁をお願いいたしたいのであります。
次に私がお願いいたしたいことは、
政治家の節操に関する問題であります。前片山
内閣総辞職の二月の十日直前におきましては、
芦田総理を
総裁と仰ぐところの
民主党におきましては、御
承知のごとく、社会党に対し強硬に左派を切れ、左派を切れと、あれ程わめいたことは、我々の記憶になお新たなるところであります。然るに誠に不思議なことには、
総理大臣の工作を境といたしまして、逆に、而も非常に急激に左派抱擁論に切換えられたのであります。左派切るべしから、左派信頼へと急に切換えられたのであります。即ち
芦田君は首班選挙を行われる前、すでに
民主党の某要人を鈴木茂三郎君に遣わしまして
安本入りを懇請しておるのであります。而も首相指名の落着後におきましても、私は敢えて落着と言います。落着後におきましても鈴木茂三郎君、加藤勘十君の入閣懇請に相当に努力を拂われたことは、天下周知の事実であります。
芦田内閣組閣の結果は、鈴木茂三郎君は周到なる慮りあ
つてか最後まで入閣には應じません。
只今見えておりませんが、加藤勘十君と野溝勝君とが左派から今を時めく
大臣として雛壇の上に仲良く並んでおられるわけであります。私がお尋ねいたしたいのは、最近まで左派切るべしの心境を、而も僅かの期間に左派抱擁論に轉じ、而もその頭目の
人々を懇請してまでも
大臣にな
つて貰わねばならんという、この
政治家としての百八十度の轉回に対しまして、
國民の肯けるような率直なる御
答弁をお願いいたしたいのであります。(
拍手)
次にお伺いいたしたいのは、
政治道徳に関する問題であります。私は先般の首班指名の件につきましては、今更ここで憲政常道論という
言葉を云々せんとする者ではありません。
芦田総理の首班指名は新
憲法及び
國会法に明記してあるがごとくに、議員多数の投票によ
つて決せられたのでありまするから、その結果手続等につきましては、新
憲法の規定の上からいたしまして正に正しいのでありましよう。
芦田総理は一昨日
施政方針演説の中に
國民道義の
高揚を説かれております。又新
内閣の最高目標として、平和と自由と正義との支配する世界の
建設を叫ばれておるのであります。私もその趣旨に全く同感であります。併し同時に私は
政治にこそ先ず
道義が必要と
考える、
政治は
國民の上にあるからであります。同時に又私は
政治にこそ眞の平和と自由と正義が必要であると思う。
政治はその基礎の上に立つからであります。諸君、片山
内閣が当面の総辞職の直接の理由は、党内不一致であ
つたのでありますが、併し眞の原因は
政策の行詰りであることは疑いない事実であります。新
憲法六十五條には、「行政権は、
内閣に属する。」とあります。又六十六條の第三項には、「
内閣は、行政権の行使について、
國会に対し連帯して責任を負う。」としてあるのであります。従いまして片山
内閣の先般の総辞職は、追加予算の問題について、行政権の行使が不可能に陥
つたのであるから、
國会に対して当然連帯をして責任を負つたということに相成ると信ずるのであります。(
拍手)即ち片山
内閣が総辞職いたしました以上は、これに連なる與党三派は全部退くべきが当然の責任であり、私はこれが
政治道徳なりと信ずるのであります。片山
内閣総辞職以來、
芦田君の首班選挙前後に取られたる行動は、これは果して
道義の上におきまして
國民を納得せしめ得たでありましようか。少くとも憲政の上におきまして、後世に
政治の正道を残し得たでありましようか。昨日この問題に関しまして我が党の板谷君が
質問いたしました。
総理の
答弁は、私は余りにも
憲法の條項にのみ拘泥いたしまして、憲政の運用或いは
道義というものをどこかに置き忘れたのではないかという氣がいたすのであります。私が追究せんとしておりますのは、首班選挙に対する
芦田君及びその一党の取られた態度であります。私はこの点につきましては片山君の態度は立派であつたと思う。即ち総辞職が決定的となりましたるところの二月四五日頃であります。朝日新聞その他の報道陣に対しまして、
自分の心境をはつきりと述べておるのであります。このことは当時朝日新聞その他の新聞を通しまして、全國の
國民は片山君の態度に対して敬意を表したのであります。即ち片山君はこういう心境を漏らしておるのであります。総辞職後の政局の収拾は政権を
盥廻しにするようなことにしないで、第一野党たる自由党に委すのが順当である。こういう心境を発表いたしておるのであります。(
拍手)これが私は片山君の当時の心境であつたと思う。同時に又当時の
國民全体の常識であり、輿論であつた筈であります。(
拍手)これが次第に曲げられて來たのでありまして、最後に私は
芦田総理に対して、
政治道徳の問題に対して左の二点をお尋ねして置きたいと思うのであります。
あなたの首班指名選挙を廻
つてお取りになりました行動は、果して
政治道義に欠くるところはないかどうかということであります。もう一つは、
盥廻しの問題につきまして先程田村君の御
質問に対しまして、
盥廻し云々について大変おいやなような御
答弁でありました。私は片山
内閣が倒れまして現在の
内閣の出現のこの事実というものは、明らかに政権
盥廻しだろうと思うのであります。
盥廻しという
言葉がおいやでありましたならば、ウイスキーの瓶の中身を同じにしてレツテルを貼り変えたのではないかということを伺いたいのであります。(
拍手)以上私の質疑を申したのでありますが、これに対しまして誠意のある極めて率直なる御
答弁を願いいたしたいと思うのであります。(
拍手)