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1948-02-03 第2回国会 参議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月三日(火曜日)午前十時四十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第八号   昭和二十三年二月三日    午前十時開議  第一 自由討議     —————————————   一、所見開陳範囲   インフレ対策   二、発言者の数及び発言時間    1各派発言割当時間 緑風会五十分、民主党、社会党、自由党各二十分、無所属懇談会、共産党各十分    2各派に、右割当時間の範囲内において、発言者の数を決定すること。     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りして決定いたしたいことがございます。労働委員長より、労働基準法失業保險法並びに一般労働行政運営状況実地調査のため、北海道に原虎一君、堀末治君、栗山良夫君、山田節夫君、深川タマヱ君、松井道夫君及び千葉信君を來る十一日より二十七日まで十七日間、又司法委員長より行刑並びに刑事訴訟法運用状況実地調査のため、山口縣福岡縣長崎縣鹿兒島縣宮崎縣大分縣鈴木安孝君、岡部常君、齋武雄君、宮城タミヨ君、水久保甚作君前之園喜一郎君、來馬琢道君、小川友三君及び宇都宮登君を二月二十四日より三月六日まで十二日間、大阪府、京都府、兵庫縣和歌山縣奈良縣伊藤修君、鬼丸義齊君、中村正雄君、大野幸一君、奧主一郎君及び池田七郎兵衞君を二月中九日間、治安及び地方制度委員長より、警察行政並びに地方自治制度状況実地調査のため、來る五日より二十九日の間において、大阪府、京都府、島根縣岡田喜久治君、小野哲君、黒川武雄君、大隅憲二君、村尾重雄君及び青山正一君を十日間、愛知縣長野縣岐阜縣に羽生三七君及び鬼丸義齊君を十日間、廣島縣、愛媛縣高知縣吉川末次郎君、中井光次君、岡本愛祐君、奧主一郎君及び駒井藤平君を十二日間、山口縣福岡縣長崎縣草葉隆圓君、鈴木直人君、岡元義人君及び濱田寅藏君を十四日間の各日程を以て、それぞれ派遣したいとの要求がございました。これら三十九名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 過日の岡元君の緊急質問に対し木村國務大臣より発言を求められました。この際許可いたします。    〔國務大臣木村左衞門登壇拍手
  6. 木村小左衞門

    國務大臣木村左衞門君) 去る三十日の本会議におきまして、岡元君からの引揚者の受入れ及び厚生対策に関する緊急御質問に関しまして、私の所管に属しまする問題につきまして御答弁を申上げたいと思います。  引揚者に対する住宅許可抽籤ごと住宅建設戸数を予め割当てては如何という御質問がありましたようであります。今日の住宅不足、特に引揚者住宅難につきましては、常に政府といたしましては深い関心と多大なる御同情を持つておるのでありまするが、資材資金等関係からいたしまして、十分にこれを建設し得ないことは極めて遺憾と思うておりまするところでございます。來年度におきましては、これらの住宅確保にできるだけの努力をいたしたいと只今画策をいたしておりまする次第であります。建築許可抽籤に当りましては、引揚者については特に有利に取扱うようにしておりまするが、何分資材不足と、申込者の殺到と、この数の多い関係からいたしまして、当籤者の少いのは今日の場合止むを得ない実情でございまして、又抽籤に当りましては最も公正を期しておりまするつもりでございますけれども、お言葉の中にありましたように、多数の係官の中にはややもすると或いは中に不正をいたした者があるかも保しがたいのでありまして、この点につきましては將來特に綱紀を粛正いたしまして、こういうことのないように粛正いたしたいと考えておるのであります。尚縣ごと住宅建設戸数を予め割当てますることは大体御趣旨通り従來からこれを実施いたしております。尚一般許可住宅については、この割当以外に手持資材による許可が加わりまするわけであります。新たに来年度におきましては、長期の五ヶ年計画の第一年といたしまして、これらのことには十分新味を盛りましたるところの構想を只今立てておりまして、できるだけの御便宜を図りまするつもりでいたしております。簡単でございますがどうぞ‥‥(拍手)    〔國務大臣米窪滿亮登壇拍手
  7. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 先日の本会議岡元さんからの御質問があつた当時、緊急止むを得ざる用務のため院外に居つたので、御答弁申上げる機会を失いましたので、本日お答えいたします。  引揚者就職に関しては國家として特別な配慮をすべきことは仰せの通りでございます。これについては、その衝に当つておる私としても、何とかこれに対して政策の上において特別の方法を考えたいと苦慮しておるのでございますが、昭和二十一年‥‥甚だ数字が古いのでございますが、昭和二十一年の統計によりますると、就職成立者が百三十万人、そのうち復員並びに引揚者就職率が三十一万人でございまして、割合に成績は惡いとは思わないのでございますが、更に一層政府引揚者就職については努力したいと思うております。ただ現行の失業手当法失業保險法については、御案内通りに、内地の、即ち本國の事業所に過去一ヶ年の間に六ヶ月の雇傭関係があつたということが前提になるのでございまして、この手当金保險金を受ける資格が大体そういうことになつてつて引揚者に対して特に特別な措置をこの二つの法案の中に除外例を設けるということについては、相当私も研究しましたのですが、関係方面その他の事情もありまして、未だ成案を得るのに至らないのです。従つて引揚者就職に関しましては、公共職業安定所効率的運営職業補導施設拡充強化ということに全力を注ぐことにおいて、引揚者の方の事情を特に考慮の中に入れて、就職機会を拡大して、特に引揚者のために便宜を図りたいと思うのでございますが、その他の点についても尚目下鋭意研究して、引揚者の方の要望に副いたいと考えておる次第でございます。    〔淺岡信夫君「しつかりやつてください」と述ぶ〕    〔國務大臣波多野鼎登壇拍手
  8. 波多野鼎

    國務大臣波多野鼎君) 三十日の本会議における岡元さんの御質問に対して、農林関係の問題についての御答弁を申上げます。  岡元さんの御質問は、農地改革関係法律によつて引揚者不在地主として土地を買収されるが、引揚者に対してはその要求通り小作地の引上げを認めるよう法律を改正する意思はないかという趣旨の御質問でございました。御承知のように、農地調整法によりまして、不在地主土地政府がこれを買上げて、これを耕作者に賣渡すことになつておりますが、その際不在地主であるか、在村地主であるかということの判定につきましては、これは農地法の精神上厳格に解釈しなければならないと考えております。即ち應召とか應徴、その他眞に止むを得ない強制されて離村した者につきましては、これは在村地主として取扱うというのが当然であろうと考えております。併し当初から自己意思に基いて海外に職を求めて渡られた方は、これを他の不在地主、例えば離村して都会で職を求めておいでなつた方と同じように取扱うのが、これまた当然ではなかろうかと思つております。が、とにかく強制されて離村しておいでなつた方は、これを在村地主として認める点につきまして一つ救済方法を認めておるわけでございますが、更にもう一つ救済方法も認めております。それは他に職業がなくて、その日の生活に困つておられるような眞の困窮地主につきましては、特に考慮を拂うようにしておるのでありまして、引揚者の中でもこれに該当される方については、現在の耕作者状態等も睨み合わせた上で、土地の返還を許可することができるようになつておるのであります。ところが右二つ救済方法につきまして、この趣旨農地調整委員の方にまだ徹底しておらない向きもあるやに聞きますので、農林当局としましては、この二つ救済手段を本当に活用するように、農地委員の方にその趣旨の徹底を極力図るつもりでおります。右御了承お願いいたします。(拍手)      ——————————
  9. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 日程第一、自由討議、本日の自由討議は本院規則第百四十七條によるものとし、所見開陳範囲インフレーシヨン対策といたします。会議時間は二時間三十分でございます。各発言者はそれぞれ発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。    〔青山正一発言者指名許可を求む〕
  10. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 青山正一君。
  11. 青山正一

    青山正一君 緑風会三好始君を指名いたします。
  12. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 三好始君に発言を許します。    〔三好始登壇拍手
  13. 三好始

    三好始君 本日の討議題目になりましたインフレ対策は、研究問題としてありふれた新鮮味のない問題のようであつて、実は我が國政治経済の現段階において極めて重要性を有すると思うのであります。それはただ國民がいよいよ高進するインフレの重圧に喘いでおるという現実からのみ言えるのではなくて、計画統制経済の下におけるインフレ特殊性をはつきり認識しなければならん段階に到達し、國民がこれを意識しつつあることの意味においてであります。  私は第一回國会自由討議で、供出完了後の主食自由処分の可否を取上げたことを素人考えだと酷評いたしましたが、今回の討議題目を決定されたことについては、その慧眼に敬意を表する者であります。統制経済下インフレ自由経済下のそれとは異なり、物價を公定し、過少なる物資計画配給し、自由競争から起るインフレの激化を抑圧し、少くともその高進のテンポを緩慢にし得ると従來考えられて來ました。何人も一應はこれを認めざるを得ないと思うのであります。併しながら他面において計画統制経済の持つ本質的困難性と、統制施策の拙劣さが、合理的経済秩序に逆行し、ために流通秩序の混乱と再生産阻害をなし、インフレを助長する一面のあることも亦否定し得ないと思うのであります。我々は計画統制経済の持つかかる二面性をはつきり認識しなければなりません。私はインフレ対策の現段階は、正にこの二面性の認識と、それを止揚する強力果敢な施策を行うべきところにあると信ずるのであります。殊に現下統制経済欠陷インフレを助長しておる点につき、深き省察を必要とすると考えるのであります。傳えられるごとく現内閣の不評判や、それを具体的に示す世論調査の結果は、経済的観点に立つて考察する限り、インフレに対する私の観察を裏書するものと言えるのであります。私が冒頭において、インフレ対策の問題が我が國政治経済の現段階において極めて重要性を有すると指摘したのも、これを意味するものであります。  統制経済下インフレ対策を展開する上に、もう一つの重要なる前提的立場を述べるならば、それは戰時統制経済と今日の統制経済の間に存するインフレ進行に関しての相違の問題であります。このいずれの場合にも統制経済價格機構否定ではなく、むしろその合理化を目指さねばならんという本質的の点においては同一であります。ところが戰時統制経済にあつては、究極の目的戰争目的達成という経済外のところに置き、そこから生れた心理的特異性と、それに加えて短期間が予想されるため、統制の不合理従つて價格機構に歪曲があつても、それが再生産への障害或いはインフレ進行を抑圧する傾向があります。これに対し今日の統制経済は、経済の復興それ自身が目的であり、不合理統制生産への障害経済秩序の破壊を伴わずしては存在し得ないことを知らねばなりません。即ち今日においては不合理統制は、統制目的をみずから否定する結果に陷ることを銘記しなければならないのであります。現下インフレ現象の中にかかる危險信号が揚つていることは、後に私が具体的な根拠を以て示す通りであります。  以上の認識に出発するとき、現下インフレ対策の第一の問題は、統制経済欠陷是正に向けられねばならんことは明らかであります。統制経済下インフレの特質が、一般的には待機貨幣累積に示されることは中山伊知郎教授の示される通りでありますが、今日においては國民所得は殆んど待機することなく、非合法的な手段を以て現実購買力として流通過程に投入されております。いわゆる闇取引がこれであります。かくして今日のインフレはむしろ闇價格特色付けられ、統制價格闇價格の圧迫で押し上げられている形であります。而して闇取引日常茶飯事のごとき風なす根本の原因は、國民道義の問題にあるのでなくて、実に統制欠陷そのものに胚胎するのであります。(拍手)今日までの統制経済が如何に闇取引を助長し、闇價格によるインフレを激化せしめたかを、食糧統制に例を取つて檢討して見たいと思います。  御承知通り昭和二十一年産の米價は、バリテイ計算により農家購入品公定價格均衡を保たしめるごとく、一石五百五十円に決定されたのでありますが、この代金農家受取つたか受取らないかの二十二年一月においてバリテイ計算すれば、すでに米價は六百四十一円三十七銭でなければならないという数字が示されるのであります。これが五月の計算では七百二十五円十銭、九月の計算では遂に千三百八十八円六十八銭となつております。然るに農家は五百五十円計算受取つた供出代金で、かくのごとく高騰しつつある日用品及び生産資材を購入せねばならなかつたのは勿論であります。かかる均衡破綻現実に対し、僅かに報奬金を以て糊塗し、統制取締りを強化して來た政府態度は、誠に見上げた蛮勇であり、羨ましい心臟であると言わねばならないのであります。(拍手)併しながらかかる蛮勇を以てしても、経済の鉄則を曲げることは不可能であり、闇價格による横流しを以て歪められた秩序を修正せざるを得ないのであります。ここに食糧闇取引経済理論的な根拠があります。勿論闇價格消費者が支拂い得るためには、それだけ國民経済購入余力がなければなりません。かかる購入余力厖大化根源財政資金の撒布であり、赤字財政の連続である以上、財政健全化による通貨膨張の抑制が、インフレ根源を断ち切る最も重要なる條件でありますことは後に述べる通りであります。ただ購入余力の発動としての闇取引は、赤字財政による通貨増発の單なる結果ではなくて、闇の一般化生活費を引き上げ、それが更に賃金給與の引上を通じて財政に影響し、それがまた購入余力を作るという循環関係が考えられねばならないのであります。とにかく供出価格欠陥に見られるごとき現象は、多かれ少なかれ殆んどあらゆる統制の部面に未解決のまま残されております。これを是正せずしては、闇インフレに転化している統制下インフレは絶対に阻止し得ないのであります。待機貨幣累積という統制下本来のインフレ形態闇インフレに転化しておりますことは、むしろ統制自己否定であり、不健全極まる自由経済化に外ならないのであります。これは本来の意味自由経済必然性が今日の客観情勢の中に存在するからではありません。それは統制施策の拙劣さに直接の原因を持つものでありますから、統制合理化への諸條件を検討し、速やかに統制是正合理化を図らねばならないのであります。これができなければ闇取引撲滅理論的根拠は生れず、従つて闇インフレ特色ずけられる今日のインフレを阻止することは不可能であります。  インフレ対策の第二問題として申上げたいのは、統制経済の限界をどこに置くかの点に関してであり、結論的に言つて私は統制機構縮小を提言いたしたいのであります。(拍手)過少なる物資の偏在を防止し、公平なる配給と有効なる利用を図るために統制が必要なることは、何人も否定し得ないところでありますが、あらゆる物資について形式的に原則論を適用することは、如何に経済秩序に逆行する結果を招来するかについても、亦反省されねばならないのであります。  ここに私は統制機構縮小の問題を生鮮食料品統制問題に代表させて論じて見たいと存じます。この問題に関連して、私は先日の水産委員会において波多野農相質問をいたし、経済学者としての農相の説明を期待いたしたのでありますが、物資が少いから統制が必要だとの形式的原則論以上のものは聞けなかつたのであります。私はここで生鮮食料品商品としての特殊性統制を困難ならしめるという本質的問題については省略し、ただ生鮮食料品統制撤廃経済的意義松村農相時代と今日とでは著しく異なることを指摘したのであります。私は松村農相時代統制撤廃に反対の立場を取り、今日の統制撤廃乃至緩和を主張する立場を取るのはなぜであるかを申上げて見たいのであります。前の場合には流通を抑制された待機貨幣が存在し、潜在物価の形を取つていたのでありますが、生鮮食料品統制撤廃はかかる潜在物価の顕現とその局部的集中をもたらし、この一角からインフレ拍車をかける結果とならざるを得なかつたのであります。私が統制方式の改善を主張して撤廃に反対したのはこのためであり、当時の経済段階前提とする限り、生鮮食料品統制撤廃インフレを促進するという高田保馬博士理論的分析同一立場を取ると思うのであります。併しながら今日においては高田博士分析は変更を必要とすると思うのであります。即ち現在は自由商品増加闇取引一般化により待機貨幣は殆んど存在しない。従つて潜在物価の実質は今日においては余程変化していることを認めねばならないのであります。即ち統制撤廃によつて起る価格騰貴の問題は、前の場合とは著しく客観情勢を異にするのであります。従らに原則論を固執して客観情勢の変化を洞察しないことは、ひとり学者として取るべからざる態度であるだけでなく、政治家的能力の貧困を示すことになることを恐れるのであります。生産阻害性を有する統制機構縮小は、少くとも主食などを除く消費物資に関する限り一般的に検討を要すると思うのであります。これはひとり生産阻害性を除去し、進んで生産を助長することにより経済回復の端緒を掴むという意味だけから主張されるものではありません。統制経済行政の不必要なる部分を整理することによりインフレの有力な根源を断つところに、大きな意義を有するものであります。現下インフレが不健全な赤字財政最大原因をもつことは一般の常識となつておりますが、財政赤字人件費増加による、いわば給与予算的性格特色ずけられていることも周知の事実であります。そこで行政整理による歳出の縮減インフレ対策として大きく取り上げられるのも当然のことであります。併しながら官僚による統制機構そのもの縮減のメスを加えずして、それをいよいよ複雑強化しつつ行政整理を断行されるというのでは、著しい矛盾であり、空念仏に終わることは火を見るよりも明らかであります。  以上私は主として統制経済インフレに関して有する二面性に出発して、インフレ対策の根本問題を述べたのでありますが、一つ統制経済欠陥是正、即ち正しい意味統制補強工作であり、今一つ統制機構縮小の問題であります。約言すれば統制合理的重点化であります。  ここで特に申し上げたいのは、統制機構縮小が直ちに個人主義的自由経済への逆転であつてはならないということであります。過剰人口過少物資従つて経営の過小規模に特に徴ずけられる日本経済現実は、個人自主性と創意を発揮せしめつつ社会的経済秩序を維持することの必要を感じせしめるものがあります。そこで官僚統制方式に代るものとして、生産者消費者、その他国民生活の各分野に亘る協同組合方式必然性を認めざるを得ないのであります。  最後に私は、破局的インフレから我々国民を守るためには、我々国民の心の中でインフレへの防衛が建設されねばならない。それは独占と対立と闘争とを克服した協同理念の中において見出されるであろうということを申上げて、発言を終わりたいと思います。(拍手)    〔小林勝馬発言者指名許可を求む〕
  14. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 小林勝馬君。
  15. 小林勝馬

    小林勝馬君 民主党岩木哲夫君を指名いたします。
  16. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 岩木哲夫君。    〔岩木哲夫登壇拍手
  17. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 現下インフレ原因は、固より敗戦下の被占領経済下といたしまして、或いは止むを得ないものがあるかも存じませんが、併し一面これまでの政府の取り来つて参りました経済政策が、ややもいたしますれば分配政策にのみ重点が置かれておつたやの傾きがありまして、真の生産増強の一貫した総合政策に欠けていた点が多多あつたからであると信ずるのであります。即ち政府は、今日まで予算その他各般の財政政策を実行するにいたしましても、ただ刹那々々の追い打ち、彌縫政策的な処置のみによりまして、その場限りの積り積つた悪結果が、今日及び将来捲き起らんとする恐るべきインフレ惨禍最大原因を成しておる素地であろうと信ずるのであります。特にその失政の顕著なるものといたしましては、第一に、生きた経済、動く経済、流れる経済、脈を打つておる経済を死物化し、固定化し、或いは不動観念によつて、而も理外の理を行きまする経済修錬に乏しい法律万能官僚が、非現実的な机上計画による主観統制を頑迷にも強行し、而もその経済の質と量とその動的本能を見極めずいたしまして、一方的なただ何でも価格は抑えればいいといつたような単純な価格統制を強行した悪結果が、即ちその最大原因と信ずるのであります。更にこうした結果、再生産は振いませず、生産経済本質本能は破壊蹂躙されました。そうして今日のこのインフレを余儀ない以上に拍車をかけたと思うのであります。  その第二の問題といたしましては、更にこうした処置に対しまして、成行き的な金融政策の失敗が又非常な暗影を投じ、拍車拍車をかけて来たことと存ずるのであります。要は資本を保護いたしませず、資本を保障せず、正当な利潤と、そうして正当な労銀を無視いたしまして、而してその生産されました物の質と本能とを無視いたしまして、価格統制政策机上計画で取つたことによりまして、再生産は進みませず、振いませず、資本経営労働意欲はますます遊離減退いたしまして、産業自体が崩れて来るといつたようなことから、統制と出荷がこれらに伴いませず、物資はますます欠乏して来る一方でありまするのみならず、更に秩序はこれ又非常な非現実的な、非能率的な机上統制計画に終始いたしましたことの結果から、物が流れて来ない。配給がないところに、さなきだに少い物資の横流れや闇価格とこうした結果になつて物価は段々上つて来る、物価は隠れる一方、こうしたような状態で、物価が上りましても正しい生産は一向振わない。所要の産業資金は枯渇する一方、生活マル公では生活は到底できない。従つて賃金は上る、予算は膨れる、この悪結果が余儀なく紙幣増発となりまして、インフレの悪化は増進の一途を辿つて来たのが今日の現状だと思うのであります。  こうした闇物価高、或いは通貨膨張が悪循環いたしまして、真面目な国家計画生産は振わないのでありまして、この事態は決して一部の人がよく言つておりまする紙幣増発したからインフレ物価高が招来したのであるというようなことではないのでありまして、紙幣増発を余儀なくいたさせました政府物価統制、この物資不足生産不振が、この最大原因であると信ずるのであります。(拍手)ここに私たちが先ず第一に生産第一主義を掲げまして、国家総力を結集いたしまして、この恐るべきインフレ惨禍を緊急に救うべき重大対策を、且つ従来も取り来つておりました統制政策を変転修正するの必要を強調する所以であります。  然るに現在の実情はご案内通り四つの島に犇めき合う生活を賄うあらゆる重要産業鉱工業品はまだ戦前の四〇%より生産いたしておりませず、食糧亦八五%に達するや否やの状態であります。この消費経済の充足は到底この敗戦下管理を受けております日本だけの力と、物と、金だけでは救われないのであります。ここに先ず国内産業体制の確立に先行いたしまして、或いはそれに伴つて外資導入並びに重要物資の輸入懇請と、こうした措置が緊急絶対必要となつておることは勿論であります。然らばこのインフレ対策に重要なる課題であります外資導入並びに重要物資資源の輸入によつて、基本的な貿易再開上に対処いたすべき財政経済の準備と建直しが、果して政府或いは官民共に真実を穿つて充実いたしておりまするかどうかは、我々非常に危ぶむのでありますが、特に経済力集中排除の施行後、或いは独禁法施行後におきまする産業再建の具体化の明示が、当面する経済不安に莫大なる問題を、甚大なる問題を投じておる。この実情に照らしまして、この集中力排除法が、或いは独禁法に対しまする、問題に対しまする政府は重大なる措置が又要請されると信ずるのであります。要は再生日本の経済建直しは先ずこの国際貿易経済の一環整備に全力を集中すべきであると存じますると共に、又これに伴いまする国際信用を得る政治経済の新システムの創造、及至は改善によりまして、緊急善処すべき諸点が沢山あるのであります。こうしてこの取敢えず資源の不足いたしておりまして自立自営できない日本の産業に必要なる海外所要資源の輸入を懇請いたしますると共に、これらの資源輸入に対処いたすべき受入体制の企業整備が、企業施設の拡充が、是又非常に重要なる問題でありまして、我が日本といたしましては、これらの外国資源を輸入いたしまして、優秀なる加工技術と真正なる労働力を輸出する考え、加工技術と労働力を輸出する熱意を以てこの国際信用対外貿易経済一環の中軸とせなければ、到底日本の再建は困難であろうと思うのであります、こうした必要政策を敢行いたしまして、併せて当面いたしまする貿易為替のドル対円の減価率を少なくすること、ドルに対しまする減価率を少くすることが、これ又日本のインフレ防遏下に重大なる要素であり、且つ絶対必要なるものといたされるのでありまして、この円価維持によりまして、将来発展すべき国際貿易経済化の一環といたしまして、将来日本の生産増強の又大きなる根幹といたすべきであろうと存ずるのであります。私はこの見解に基きまして、当面するインフレ対策の要諦は大体次のようなものにあるのではないかと信じておるのであります。  その第一は生産第一主義と融資政策に対しまする処際、第二は物価体系の根本的改革、第三は金融並びに税制の改革、第四は食糧問題の解決、第五は官僚的な統制経済の大修正、この五つの点が当面するインフレ対策の根本であらねばならんと確信いたしておるのであります。  その生産第一主義の融資政策は、然らばどういう点にその重点を置くかという問題でありますが、これは私が只今申上げましたる通り、我が国産業の基本的要素でありまするが、外資導入と且つ外国重要資源の輸入に対処いたしまする、国際貿易産業に対処いたしまする国際経済体制の確立と、国内需要産業のこの経済体制の確立と、二つに分けて国家の産業形態を処理いたしていかなければならんと思うのであります。これにつきましては、特に外資導入及び外国資源の輸入に処しまする国際貿易産業の企業拡充につきましては、特に集中排除、独禁法に対しまする特別の措置を以ちまして、徒らに拘束することなく、真の我が国際経済、貿易再建、国家再建の真実を…国際信用を得られるようにすると共に、これらに対しまする特別の措置が是非必要と信ずるのでありまして、更にこうした外国資源の輸入と生産と、融資とのリンク制を図らなければならないのであります。ただ外国資源を入れて、それを所定の産業体に加工委託して、それを輸出して為替管理をするというだけでは、なかなかこの困難なる産業は発展されない。飽くまでもこれらの融資は生産と外国資源とのリンク密着性を取るべき措置が是非必要であると思うのであります。更に経済システムの変更でありますが、これは先程申上げましたる通り資本と利潤を否定し、正しい労銀を否定するような、各種各様の、資本家は資本家、経営者は経営者、労働者は労働者のみの立場にて、誤まてる民主、自主的な考えを是正いたしまして、資本家も、経営者も、労務者も併せて、挙つてこの経済困難に対処いたしまする新らしい日本の経済システムを設定いたしまして、外資導入、外国資源輸入に対しまする企業再建の発展に協力一致いたすべき経済システムの構想が是非必要と存ずるのであります。こうしたことによつて、正しい資本、正しい利潤、正しい賃金に対しまする生活保障の三位一体の実を挙げまして、この生産増強の根幹とせねばならないのでありますると共に、更にこれらのおのおのの物資別に特定の組織を結成いたしまして、その生産から融資、配給から供出、あらゆる各般に至りまする責任体制の確立を以ちまして、殊に価格面、生産資格、或いは賃金、或いは配給消費のおのおの価格面にも、これらの産業別の組織体が相当需要なる役割を持つて、官民一致の価格統制価格構成の中核となすべきことが、生産増強の上に最も欠くべからざる要素と思うのでありまして、殊に国内産業に対しまする生産増強をいたしまするには、特定の公債をこれらに連結いたしまする処置も取り、あらゆる産業保護政策を強行しなければならんと思うのであります。第二に物価体系の抜本的改革は、現行の価格体系の理念、即ち基準年次の六十五倍とか、賃金の二十七八倍といつたような、刹那漠然たる価格形成の措置でありませず、飽くまでも再生産経済と、通貨と、消費経済とをコントロールいたしましたる新らしい角度によつて物価体系を築きまして、この結果によりましての賃金の最低を設けるというような、而もこれらの配給秩序に関連せる、新らしい角度の物価体系の根本的改革が必要であるわけであります。  第三は金融並びに税制の改革でありますが、現在の政府金融政策は徒らな彌縫策、追打ち政策のみでありまして、この沢山な闇金融を排して、統制ある預金吸収政策としての措置を取るべきことが絶対必要でありまして、預金を特に優遇する制度、預金者に対して特別の条件保護を与え、或いは金利を大幅に上げまするとか、或いは小切手とか手形取引を重点的に経済取引の中核にいたしまするとか、税金も預金より徴収するの制度を新らたに設けまするとか、或いは一年、二年、三年の定期預金に対しましての徴税の割戻しの歩合を設定いたしますとかいつたような工合の、特に金融集中政策に対しまする特別措置が絶対必要であります。殊に物資の移動につきましては税務署の査定する移動証明による課税の制度を取りまするとか、指定産業以外に対しまする特別課税をいたしまするといつたような、税制と金融との関連性を築くことが絶対必要であります。  第四は食糧問題の解決であります。私は今日のインフレ最大原因食糧問題にあると思う。ただ僅かの五勺の米、一匹の「いわし」、一片の菜つ葉の不足するため、如何に国民食糧事情食糧問題に喘いでおるか。我々の生活費の七〇%は食糧に費しておる。而もこれが大部分闇購入の根源となつておる事態から見まして、若し我々にもう五勺の増配、一匹の「いわし」、一片の菜つ葉を増配することができまする措置を取りますれば、恐らくは二千二三百億以上の、こうした闇流れの食糧購買の金融が停止いたしますることと確信いたしておるのであります。現に日本は主食にいたしましても、副食にいたしましても、その他の生鮮食料品にいたしましても十分あるのであります。ただ統制経済価格措置の誤まてる結果から、この闇流れ、横流れとなつて、米の僅かの足らないことが、すべての闇物資インフレ根源となつておる事実に鑑みまして、当然食糧問題の積極的なる改革が必要であると確信するのであります。  最後に私は、官僚統制経済撤廃とは申しませんが、大修正が必要であると思うのであります。特に価格統制の誤まてる先程申上げましたる措置によりまして、この生産本能を没却して、生産意欲を粉砕し、物の性質と物の動きというものを破壊し、而も非能率、非現実、機動性のないこの価格政策ということによつて、物は全部死んでしまう。物と価格のギヤツプが闇取引闇価格となつて、あらゆる燎原の火のごとく悪化増進いたしておる実態から見まして、物価本質本能を見究め、機動性のある価格の大修正が必要であると共に、物にこの民主主義思想と統制経済との食い違い、履き違いというものに対しまして、政治面、経済面、社会道義面に対しまする重大なる措置を必要とするものであります。現在各官公署の購買消費組合が如何に多くの物資を闇流しして私物化しているかという事態が、官僚的な物価統制の、或いは官僚主義的な統制経済の最も悪標本でありまして、私はもし今日のこの誤まてる価格統制を大修正し、官僚統制の頑迷なる措置を修正することができますれば、生産は恐らく二割は増産するでありましようし、或いは価格は二割も下がるでありましようし、犯罪は五割も減るでありましようし、闇金利は五割も下つてインフレ悪化は停止いたすやの考えすらも有しておるのでありまして、今日この生きた経済机上計画、而も修錬のない法律万能主義官僚主義的な価格統制主義を以て、このあらゆる少い物資を円滑に属転いたし、而も喘いでいる国民生活の中核といたしましての経済体制を握る官僚の、こうした処置に対しまする一大修正が絶対必要であろうと思うのであります。以上の諸点を総合化し徹底化することによりまして、初めて当面するインフレ対策、将来恐るべきインフレ惨禍を救うことのできる諸点と確信して疑いません。以上を以ちまして私の見解といたします。(拍手)    〔丹羽五郎君発言者指名許可を求む〕
  18. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 丹羽五郎君
  19. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 我が社会党は中平常太郎君を指名いたします。    〔中平常太郎君登壇拍手
  20. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 本日の課題であるインフレ対策は誠に問題が大きうございまして、到底これは僅か十分の時間で以て要領を得ることができにくいことは当然でありますし、又話すものが話しましても、聴く者が聴きましても、実際要領を得ることは甚だ困難と私は思うのであります。それ程簡単な問題であるなれば、今日まで政府が当然どしどしその手は打つておる筈であり、勿論国民もかくまで苦しまなくても済む相当な手が打たれる筈であります。而もそれが打ち得られずして、今日まで次第々々に深刻の度を増しておるという点につきまして、如何に至難な問題であるかということを感得せざるを得んのであります。それは誰がさてこれを直すか、救済するか、是正するか、これは政府のみの仕事では有りません。国民も一半の責任を持たなければなりません。併しインフレ対策といたしまして、財政面に重大なる責任を持つているところの政府が取るべきその対策施策につきましては、これは誠に重大なる結果を国民に招来するものである以上、政府の責任の重大なることは、これは実に申すまでも有りません。私は今日までになつたことを一つも申上げません。又漸次立たれるところの方々、今までお立ちになつた議員の方々のお話の如く、詳しい内容を私は今日は申上げません。私はその根本の政府の取るべき施策について極めて簡単に申上げてみたいと思うのであります。  私は直ちにこの救済策を申上げたいと思うのでありますが、政府は今後、現在決定しておる予算の再検討をして、一割天引実行せよという問題であります。大体予算というものは各省が分捕り運動をするものでありまして、それぞれ各省が自分の省の方へ十分な仕事のできるよう、予算の獲得のためには非常な努力を拂うものであります。積り積つて大蔵大臣は大変苦労なさるのでありますが、そうして決定しておりますることも即ち議会の協賛を得て確定するのでありますが、これを今一度行政面におきましては、圧縮して一割天引程度の覚悟を持てという考えを持つておるのであります。その次に無理な財源をほじくり出して追加予算をしないこと、この度のように、鉄道、通信料を俄かに値上げをして、そういう大衆課税をして置いて、〇・八を賄おうとする、そういうふうに壁に馬を乗上げたようなことをしないように、無理な財源を捉えて追加予算を出さないようにすること、次に第三といたしましては、通貨の増発を絶対禁止、印刷をさせん、通貨の増発を絶対禁止することであります。どういう場合があつて通貨増発はしないという方針を定める。次に、財政不足面は市場以外の公債の発行をしない、いわゆる国民に流れておるところの市場の資金以外には公債を発行しない。日本銀行が肩替りするようなことはしない。是非共要るなれば公募せよ、国民の懐ろから取れ、これであります。市場以外はこの公債発行を絶対行わんこと。それから第五には、月越の借入金をしないこと、政府はややもするというと、一四半期、二四半期、三四半期、四四半期となつておりますが、先ず一四半期三ケ月ぐらいのところは、融通は割合やつておるようでありますが、納税のずれの関係がありまして、随分困難であろうけれどもが、月越の借入金を各方面からしないこと、支拂のために臨時借をしないこと。第六は、政府は放出するところの歳出の限度を絶対に歳入の限度に止めること、みずから政府が掴んだ金の中で出すものを賄うこと、予想でない、予算でない、入るであろうことを当てにしない、入つたものによつて拂いをせよ、放出の限度を歳入の限度に止めること、これは大変難しいことであります。それ程厳重なことを申上げましては、石で手を詰めたようなことになつておりますから、それの一つの安全弁をここに我々は持つべきであると思います。その安全弁をこれから申上げましよう。  これは積極的な安全弁でありますが、それは日本再建のために建設公債を発行する、救國公債でもよろしい。この建設公債を発行する私案を私は持つておるのであります。社会党を代表してここに出ておりますけれども、社会党がこの案を決めてしまつてここで申上げるのではありません。私の私案であります。その額は大体紙幣発行高の四分の一を毎年一回公募する。その四分の一という根拠は、大体民間でだぶつくという金は四分の一程度であろうと思うのであります。その根拠は、国民生活の向上から申しまして通貨の四分の一程度は自然に必要であります。又四分の一程度は金融機関が持つておる。それから又四分の一程度は国民が懐にそれぞれ持つておる質建のものであります。だぶつくというべきものは先ず四分の一、この四分の一を吸収するために建設公債を発行してこれを吸収する。それは金利を高くする。五朱以上にする。そうして支拂の金利は預金通帳を以て拂う。こういう方法。小売はいかんという人があるかも知れませんが、現在民間におきましては、闇取引に使う金であつたならば月一割と申しております。その他闇取引でなくても金利は非常に高くなつております。今頃金利の二分や三分を問題として融資する者はありません。この建設公債の募集に應じた者に対しては、一定の金額以上の者に対しては国が表彰状を出す。但しこの表彰状は紙一枚ではいけない。それに添付いたしまして報奨の物資、極めて必要なる砂糖とか或いはサツカリンとか、その他衣料などの‥‥現物でなくして、今度はそれには公定価格で買い得るところのチケツトを添付する。そういうような報奨物資を附けて表彰する。国民は多大なる協力を要するのでありますが、政府が腹をぶち割つて国民に訴える政策として、先に申したようなふうに極端に通貨の発行を制限するということを表明したなれば、国民は必ず随いて来てこれを理解するであろうと私は思います。この公債の募集は主として割当制といたします。各府縣に割当てます。その割当方は、その各府縣の生産力、所得力、そういうものを概括いたしまして、各府縣に大まかに割当てるのであります。そうしてこれは第一回、第二回と続けてやるのでありますが、年に一回を以て原則として、だぶつく金を、つまり通貨の四分の一程度だけを回収する。政府はその金をどう使うかといつたならば、これを納税遅延のずれに使い、尚且つ必要な産業方面に向つて重点的に融資する。こういうのであります。これ以外の金融の途を図らない。政府不足の金は建設公債一本に絞る。他の方面には絞らない。足りなければ何回でも建設公債を以て賄うという一本で行く。決して無理な課税をして国民の怨みを買わないように、取れもしない課税をして、そうして一々破産をさすことがないように、相当の限度の納税のレベルに達している以上は、余りに国民に重い課税ををかけないようにして、足りなければ市場にだぶつく金を建設公債として募集して、その金を使うということでやつて行くならば、国民も安心して商売ができる。余れば建設公債として應募する。まことに明朗になるではありませんか。インフレの防止は通貨の収縮と生産の増強ということが極めて必要でございます。この二つ以外には出ません。これを要するに政府は歳入の限度を必ず歳出で補うことと、万一やむをえないときには建設公債の公募一本に絞るということ、それからこの金利は高くして国民の安全なる資産的性格を帯ばしめる。そうして法律をもつてこの建設公債だけは財産税の課税対象としないというところまで優待を与える。そうして安心したいわゆる資産的公債とするのであります。それで、金利が高いということを日銀でも政府でも申しますが、金利は高くとも、現在を救うためには、かくして資金を集めねばなりません。高い金利の支拂は将来に残る問題でありまして、支拂については適当な方法があります。だから金利に関係なくして高利を以て入手すべきであると思うのであります。  もう時間が参りましたからいけませんが、中小商工業の輸出方面の転換振興について一言申上げたいと思うのでありますが、どうしても政府は各国から中小商工業者のなすべき将来の輸出商品のサンプルを取寄せまして、各府縣に模範の工場を作る。旧工場を利用してもよろしい。模範工場の施設をいたしまして、各府縣に十分な刺戟を与える。これに向つて重点的融資を図つて、輸出の奨励を図るということなどは極めてなさねばならん問題であります。只今民主党のほうも大分外資輸入、貿易等のことなどおつしやいましたから、その辺のことは時間がありませんから、もはや申しませんが、大変よいお話をなさつたのであります。そういうようでありまして、中小商工業者を助けて、そうして輸出方面に振向けるということが、我々は絶対に必要なことであると思うのであります。  その外国民道義の高揚、或るいはまた納税思想の効用という問題もありますが、時間がございませんから、この点は割愛いたしまして、他の方から多分おつしやることと存じますから申しません。かくして政府国民も本腰を入れてやるならば、実際インフレ対策は確かに目的を達するものであると思います。但し政府がずるずる引張つて借銭ばかりの政策を取つて、そうしてまた歳入に会わない歳出をする間はインフレはやみません。紙幣を造幣局へ持つてつてお頼みする間はインフレはや止みません。紙幣の発行を絶対に止めるというところから出発するところにインフレ停止の原因を作つてまいります。この点を私は強調する次第であります。これを以て私の所感を終ります。    〔丹羽五郎君発言者指名許可を求む〕
  21. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 丹羽五郎君。
  22. 丹羽五郎

    ○丹羽五郎君 社会党は田中利勝君を指名いたします。
  23. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) 田中利勝君の発言を許します。    〔田中利勝君登壇拍手
  24. 田中利勝

    ○田中利勝君 只今議題になりましたインフレ対策について所感を開陳いたしたいと思うのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  終戦以来今日まで我が国の経済の復興は、大きくこれをプラスすることがなくして、逆にストック資材の食い潰し、加えて資本の乱暴な食い潰し、こういう状態の下におきまして、日本の拡大生産というものが行われない、単純生産も行われないという極めてマイナス的な状態において、今日の我々の悲しむべき事態を見るのであります。この状態を考えまして、飽くまでもこの日本の当面しておるところのインフレの深刻化、或いは更に生産の停滞、延いては政情の昏迷から来るところの社会不安に拍車をかけるということ、全くこの事態をこのまま放置するならば、当然日本は破局の関頭に立つて日本民族の危機を我々は叫ばなくてはならないのであります。私は今日の段階におきまして、日本の民族の立つて行くところの経済再建のためには、飽くまでも政府の統一あるところの施策国民の協力を求めていかなければならないのであります。国民の真の生産的協力をかき立てて、そうして日本の経済的再建、インフレの防止克服に邁進して行かなければならないのであります。  先ず我々の揚げるところの当面の問題は、対策として三つあると思うのであります。即ち財政、金融の確立であります。今日の財政金融の面から見まして、我々は今日のインフレ進行というものが全く政府の放漫なる国家財政の支出によることは常識化されておるのであります。この国家財政の面におきましてこれを合理的にするということが緊急な問題であります。そのためには金の予算とともに物の予算の編成をしなければならないのであります。この金と物との予算の編成によつて、進駐軍費或いは終戦処理費の、この一般予算の物の裏附けを厳重にして行かなければならないと思うのであります。  かように考えまして、昨年度の日本銀行券二千二百億の突破、この直接のインフレ高進の原因なつたところ復興金融金庫の三百七十億、而もこの八九%というものは日本銀行によつて引受けられ、これが紙幣増発となつてインフレを促進したのも一つ原因であります。かように考えまして、今後の日本経済の再建のためには、国家財政と切離したところのいわゆる建設公債というものを我々は一般から公募しなければならないと思うのであります。この建設公債を以ていわゆる社会的生産力の拡大再生産を図るところの経営者、労働組合に対する貸付の対象として、健全なる産業の育成を図つていかなければならないと思うのであります。(拍手)  更に外資の導入を我々は今日緊急に手を打たなければならないと思うのであります。日本の経済を再建せしめるためには外資の導入緊急に手を打たなければならないのであります。昭和八年から昭和十一年間における日本産業の平均水準の六〇%までに日本の産業を復原せしめなければならないのであります。このために外資の導入となるものは日本再建の資材を輸入しなければならないのであります。現在の日本の工業生産は四〇%僅か上廻つておる。これを六〇%に復原するためには、外資導入の形において、日本の基礎資材となるべき輸入を懇請しなければならないと思うのであります。いわゆる外資導入として、日本再建の基礎材として我々が取上げるべき問題は、普通鋼鋼材五十万トン、強粘結炭四十万トン、銑鉄四十万トン、重油百キロトン、工業綿花三十万俵、マニラ麻五千トン、工業用生ゴム三万トン、工業塩五十万トン、木材三百万石、皮革五千トン、その他機械類を含め、これらが外資導入の、いわゆる日本経済再建の資材として輸入を図らなければならないのであります。而も今日までの物の生産は単に消費財生産の姿であつたのでありますが、今後これらの外資導入によつて我々の考える点は、国際的需要を中心とするところの生産増強の方式に切替えて行くということが緊急な問題だと思うのであります(拍手)  更にインフレ防止に対して生産の増強は根本的な問題であります。この生産の増強、さらに労働対策も問題になるのであります。私は今日この日本の置かれた客観的政治情勢の下におきまして、真に日本がこの民族的危機を突破しようとするならば、労働者と経営者というものが労資休戦の姿を政府の責任において具現するということが望ましいと思うのであります。先ず今日政府は労資休戦のこの望ましい点を政府の責任において具現してもらいたいと思うのであります。(拍手)甚だ簡単でありますが私の所感を申上げた次第であります。    〔板野勝次君発言者指名許可を求む〕
  25. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 板野勝次君。
  26. 板野勝次

    ○板野勝次君 共産党は中西功君を指名いたします。
  27. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 中西功君に発言を許します。    〔中西功君登壇拍手
  28. 中西功

    ○中西功君 片山内閣成立当時におきましては、インフレの克服につきましてかなり多くの期待が持たれ、また種々の手が打たれたわけでありますが、それが今日になりまして、結局インフレを克服できなかつたということは、現実の事実として現われたわけであります。この結果、インフレとは何か、この根本問題をはつきり考えて、根本的な対策を立てなければならないというふうな状態に来ておると思います。例えば片山首相は、第一回国会の施政演説におきましては、「政府は現在インフレ進行の主要原因政府支出の増大にあることを率直に認め」云々、こういうような考え方を持つております。併し現実にこの施策が破綻した今日においてはどういう事を言つておるか。「政府生産増強、復興再建こそ、このインフレを抑止する防波堤であることを確信し、二十三年度の政策生産増強に集中して、積極的に増産に邁進する決意であります。」即ちインフレ克服問題から今度は生産増強問題に移つておるというのが、これが片山首相の変化であります。またこういうことからこの度の施政方針に対する質問におきましても、真にインフレを克服したいと考えてる人々は、この首相の危機に対する認識如何、或るいはインフレを克服するために断乎たる金融、財政、通貨政策が必要なのか、それとも生産増強が必要なのか、どれを第一にするかというような問題が提出されたのであります。こういう問題が提出されたのは決して偶然ではないと思うのであります。私はこの根本問題について皆様と一緒に討議したいと思うのでありますが、何せ時間が非常に少いために、極めて簡単に、私の結論だけを述べさせていただきたいと思います。  一体インフレとは何か、これが非常な問題だと思うのでありますが、インフレとは金融及び通過信用操作を通じて、所得の極端な不均衡経済的な混乱、生産破壊を起こすところの現象だと思うのであります。而してインフレは自然に起こるものでは決してなく、また単に物が少ないから、あるいはまた統制があるから起こるのではない。インフレ資本主義が正常な方法では搾取し得なくなつた場合において採用するところの一つ方法であります。これは直接には資本家的な政府が系統的に行つておりますところのインフレ政策の結果なのであります。この点は先だつての本議場におきましても、木村議員がするどく衝かれた点であります。若しインフレが単に物資不足で起るのでありましたならば、又そういう結果から、そういう考えを持つ人が生産増強第一主義と称するのでありますが、併し若しそうでありましたならば、過剰生産恐慌に直面しておる現在のアメリカにおいてなぜインフレ問題があるかということはわれわれは理解できないわけであります。更に零を二十九も附けたハンガリーのインフレが一瞬にして克服されたということは、われわれは実際そういう面から見れば了解できないわけであります。このインフレ問題につきましては、私は日本のインフレは今日の段階においては、すでに資本主義的な、資本家的な方法では克服されない段階にある、このことをはつきりさせることは非常に必要であると思います。実はこういうことは資本家陣営或るいは保守政党の人々は、自分自身ではつきり暴露しておると思うのであります。それはどの点であるかと申しますれば、即ち日本のインフレ或るいは経済的危機は、日本独自の力によつては克服されない、クレジツトや、あるいは外資導入やあるいは世界経済の一環や、いろいろな行き方によつて外国に依存しなければならないということをはつきり申しておる。ここにおいて沢山申されたと思うのであります。そういうこと自身が、資本主義的な方法資本家的な方法ではもう解決できないのだということをはつきりと暴露しておるわけであります。併し、若し我々日本人が自分自身の力でこのインフレを克服し、日本を再建の軌道に乗せ得ないとするならば、私はこの問題を侃々と諤々と語ることは無意味であります。むしろそれよりも晝寝してぼた餅の落ちてくるのを待つたほうが遥かに有利であります。遥かに得なんであります。併し幸いなことには、私達はそうは思わない。やはり日本人自身の力でこれを克服する方策も能力もあると思いますが故に、私はここで非常に張り切つて申上げるのであります。  御存知のように吉田内閣は生産増強第一主義であのインフレを煽りました。先に岩木議員が従来の政府が分配主義でやつたと言つておりますが、それは絶対嘘であります。あの吉田首相の施政方針をよく見ればはつきりしております。生産増強第一主義でそうしてあの石橋のインフレは降つたのであります。問題は当時とは多少違つております。今日のインフレには今日の特徴があると思いますが、この片山内閣のインフレの特徴はどこにあるか。これは木村議員がいみじくもここで指摘された通り、片山内閣は実質上民主党内閣である。即ち民主党政策を実行しておるわけであります。この民主党のやり方は自由党とは多少異なつております。と申しますのは、表面はともかくもインフレを克服するということを言つておるわけでありますが、併しその特色に実質上はインフレをどんどんやつて置いて、インフレ政策をやつて置いて、そうしてその負担をすべて大衆に負わせ、大衆の犠牲においてインフレを克服しようとするのであります。こういう顕著な事実を我々はすでに二回知つております。なぜならばあのマル公改訂の時におきまして、大幅にマル公を三倍に引き上げた。これこそ立派なインフレ的因子であります。而もこれを今度守る時には千八百円ベースだとかいろいろなことによつて、大衆にとにかく責任を持たせる。それが駄目ならば結局インフレだ。これが民主党のやり方であります。更にもう一つはこの度の追加予算におきましてもそうであります。ありもしない収入を見込んで健全予算である、均衡的な予算であると言つて置いて、そうして十二月の歳末支拂、未曾有の、日本歴史始まつて以来の支拂をやつて、どんどんインフレを煽つて行く。而もインフレを作つておいて、後は千億の財政収入がなければいけない、税を出さなければいけない、こういうように押し付けて、大衆の犠牲においてやつて行く。これが片山内閣、今の実質的な民主党内閣のやり方であります。これを若し中国的な言葉で表現すれば、一面インフレ、一面抑圧であります。而も抑圧はインフレの抑圧でなくして、大衆の抑圧であります。この場合の生産増強主義は一体どういうことを意味するか。決してこれはインフレ克服という積極的な意味を持つのではなくて、これは実は民主党或るいは片山内閣に取りましては一石二鳥を狙つております。その一つ生産増強の名を以て予算面に組んであるような莫大な資本家への補助、そういう物をどんどん生産増強の名で組んで、あるいは復金の放漫な融資を生産増強の名前によつてつていく。さらに他方におきましては同時に生産増強の名前によつて労働強化をどんどんやつていく。現に石炭に行われる通りであります。こういうのがいわゆる生産第一主義、増産主義の実態であります。  さて、ここで私は社会党の人に少し苦言を呈したいと思うのであります。社会党はこの度の大会におきましてインフレの管理ということを決議されたということを聞いております。一体インフレの管理とはどういうことであるか。我々に取つて必要なのはインフレの克服であつて、管理して取つておいてもらつちや困るのであります。(「ノーノー違う、それは誤解だ」と呼ぶ者あり)若しそれが誤解なら非常にいいと思うのであります。こういう事が若しありとするならば、これはまつたく民主党との提携の一つの理論的基礎になる。これは社会党にとつて非常な汚点だと思うのであります。(「然り」と呼ぶ者あり)  最後に私は結論を申上げます。私はこのインフレを克服するのは勤労大衆の力である。勤労大衆こそが本当のインフレの即時克服を要求しておる。併しこれらの克服政策は何よりも先に、断固として金融部面、通貨信用部面、そういう物に対する断乎たる措置を必要といたしますが、併しこれは孤立的な政策でなくして、勤労大衆の生活安定を第一に置く。即ち勤労大衆の抑圧ではなく、勤労大衆の生活安定を第一に置く。労働問題で言えば平均賃金ではなく、最低賃金制を確立する。いろいろありますが、租税については大衆課税ではなくして大口所得者に負担を転嫁する。こういうような方法で、すなわち勤労大衆を基盤として初めてこれが成立すると思うのであります。(「同感同感」と呼ぶものあり)同時に政治的にも勤労大衆を基盤とした社共の民主人民戦線によつてのみ、初めてこれは裏附けられると思うのであります。この意味で私たちは今回社会党の人々がこういう基本問題について堂々と議論されたことに対して、非常な敬意と又同感を表しておるわけであります。どうか今後社会党の方々のご健闘をお祈りしてやまないのであります。(拍手)時間が参りましたので、これで終ります。問題は今では姑息的な手段では絶対にインフレは克服されない根本問題に突き当たつておるということを申上げるのが私の趣旨であります。(「賛成」と呼ぶものあり)(拍手)    〔青山正一発言者指名許可を求む〕
  29. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 青山正一
  30. 青山正一

    青山正一君 緑風会は市來乙彦君を指名いたします。
  31. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 市來乙彦君の発言を許します。    〔市來乙彦君登壇拍手
  32. 市來乙彦

    ○市來乙彦君 国民インフレーシヨンに苦しんでおりまする今日の場合、政府政策はその多くが物価を釣上げる方に進むのであります。それは却て「インフレーシヨン」を激成するものであります。将来もさような方針が進みそうに想像されまするので、前途憂うべしであると考えます。私は特に遺憾の意を表したいのであります。私がここに提唱するところのインフレーシヨン対策は、主として物価関係から見たのであります。従つて範囲が頗る狭いのであるということを私はお断り申し上げておきます。  その第一の点は、食生活の安定であります。先に政府は公定価格を大幅の引き上げを実行いたしまして、新物価体系を編み出しました。これはインフレーシヨンに対するブレーキである。これは物価を安定せしめる背水の陣であると宣言されました。然るに一般物価はそれで維持されるのではなくて、むしろ大いに暴騰したのであります。即ちブレーキは壊れてしまい、背水の陣は全滅であります。供出に対する公定価格は、私が野菜並びに魚介類について考えますならば、生産者並びに生産組合の方面と連絡を取りまして、彼らをして納得せしめる、彼らが納得して供出を責任を以て行うという程度に決定すべきであると考えます。これがすなわち民主主義的の決め方であり、又需要者と供給者との意見を突き合わせて決めるものでありまするから、極めて経済法理に合うものであります。これを他の例を以て説明しますれば、敵の城を攻めまする場合に、四面を囲んで猛烈に攻撃しても落城はなかなかむずかしいのであります。その一面を開放いたしまして逃げ道を拵えて置いて、三面を猛烈に攻撃すれば、落城は比較的たやすいのであります。それと同じ道理でありまして、供出価格について生産者の方面において、すでに納得しておるとすれば、これに違反のある恐れがあるために取り締まりをするとすれば、流れる口はすでに納得をしてしまつておる公定価格の方面であります。したがつてこの建前であれば供出が十分に豊富に出てくるのでありまして、したがつて配給も相当楽にできるのであります。然るに政府官僚はかような民主主義の建前を背んじないのであります。生産者が納得をしたでもなく、ある場合には生産者が損失をせねばならんような程度の価格を決めておいて、警察力を以てこれを強制しようといたすのであります。それでは到底供出が豊富に出る見込はありません。これが今日までの実例であります。そうしてこれが今日まで食生活の安定していない主なる原因であります。私は政府当局者がなぜさような独善的の仕事をして顧みることがないかということを如何にも遺憾に考えまするので、特に当局者の反省を促すのであります。又市場の店頭に累々として山を築いております果物、これは自由販売であるために価格が安定しておるという見方があります。併しながらその価格なるものは、生産者、販売者が利欲的の考えを以て任意に定めたものであります。需要供給の関係から出たところの価格ではありません。(拍手)殊にこの価格なるものは、例えば「りんご」一個二十五円、それはすでに天井を突いたものであります。普通の購買力を以てしては到底手の届かない程度の高いものであります。それをもし価格は安定したと言うならば、煙草十本五十円、清酒一升五百五十円、これも安定しておると言われるでありましよう。又甘藷一貫目百円乃至百二十円でありましたならば、これも安定するでありましよう。われわれの安定を望むのは、さような意味ではありません。普通の購買力を以て手に入れることのできる程度の安定を希望するのであります。この点は私は国民大衆の考慮を促したいと思うのであります。(拍手)  インフレ対策の第二の点は、国費の緊縮、行政の整理であります。これは私はこの演壇においてすでに先回二度ほど論じた点でありまするから、今日は極めて簡単に申述べます。今日の情勢に照らせば、徹底的の整理をすることがやむを得ざる必要であります。およそ現在の官吏員数に対して四割の削減をする。今日まで十人で負担しておりまするものを六人で努力してやつてもらう。四人に対する人件費その他すべての経費を削減する。その他人件費に関係しない独立の経費も大幅に削減する。尚進んで消費税ならびに所得税について適当の制裁を加える。尚進んで鉄道賃金、郵便電信料金、酒並びに煙草の値下げを断行する。これを模範として一般物価を軽減させる。その結果として通貨の増発を食い止める。インフレーションの高進を抑制する。これによつて物価を低物価に転換させるのであります。低物価の方針を確立いたしますれば、生産コストが安くなつて参ります。生産コストが安くなつて初めて物資の増産が滑らかに行くのであります。又輸出品の価格が低下いたしまするために、輸出貿易が発達するのであります。政府は増産によつてインフレーションを克服するということを常に宣告されております、併しながら今日の物価高、すなわち生産コストが高い時代においては、増産は遅々として進行しないのであります。却つてインフレーシヨンの進行が足が早いのでありまして増産はなかなか追いつかないのであります。その点から考えましても、物価の低下を実行いたしまして生産コストを下げるということが、最も必要であつて絶対的であるということはきわめて明瞭であります。 以上の整理を終りまして、更に今一つ大いな整理の問題があります。政府の実行しておりまする官業をすべて民業に移すべきであります。独占的事業は、政府と雖もこれは開放すべきであります。殊は官僚の手では事業の経営、商業の取り引きなどというものは到底能率を上げることはできないのであります。従つて復興の事業も、官吏の手よりも民業の手でやりまする方が早く出来上がるのであります。尚将来外国資本を誘導するにつきましては、これの担保となるべき事業関係をも考えておくべきであります。  更に第三の点といたしましては、氾濫しておる新円の処分であります。政府当局者は、新円の封鎖をいたさない、それは紙幣の信用を維持するためであるということを宣言せられております。これは大いなる錯覚であります。元来いわゆる新円は、新円稼ぎと申す好ましからざる働きによつて集中されて、それが氾濫しておるものであります。その以外に新円には種々の惡徳が付き纒つております。いわゆる新円所持者というものはきわめて贅沢なる生活をしておりまして、国民と共に貧乏生活は努めていないのであります。料理店の裏口営業を奨励しております。甚しきは賭博を奨励しております。物価を吊り上げております。殊に最近は株式の業界までも混乱させておるのであります。さような状態でありまするから、これは相当の適当なる処分をするのが当然のことであります。処分の方法といたしましては、第三封鎖を拵えまして、新円をその枠の中に入れるのであります。次に第三封鎖税を設定いたしまして、その必要なる程度を以て収納をいたして国庫に帰属いたしまして、これによつて初めて新円の氾濫を防いで、それに付随しておるところの賭博の悪徳を除くことができて、初めて紙幣の信用が回復されるのであります。さような方法によりまして氾濫しておる新円の浄化を行うことが、今日においては最も必要であります。殊にインフレーションの克服をいたしまする関係において、この方法は最も有力なる側面的の働きであります。さらに一年又は一年半を経過いたしまして、更に新円稼ぎによつて新円が集中して氾濫するようなことに相成りまするならば、更に第四封鎖を拵えまして、同じ手続きによつて、これを国庫に収納すべきであります。かくのごとくにして新円をきれいに浄化することが、これまた一つの今日の急務であります。  以上概略申しましたような処置によりましてインフレーションの進行を制御して置きまする間に、おのずから生産の方面において増産が進んで参るのであります。この増産の進展いたしまする関係と、インフレーションを今申しましたような方法によつて抑えて置きまするのと相俟つて、初めてここに経済の復興が現われて来るのであります。若しこの事柄を断行しなかつたといたしましたらば、インフレーションは、遂に最後の段階に突入するのでありましよう。それを整理いたしまするには、他には方法はほとんどありません。いわゆる円価の切下をせねばなりません。これは非常な大問題であります。簡単に考えましても、十分の一の切下をいたしまするならば、国民のすべての生産は十分の一に減縮するのであります。これに反して、食糧はますます暴騰するのであります。今日でさえも、すでに集団強盗などというものが行われています。若し円価の切下をするような事態が参りましたならば、集団強盗が白昼に現われて、略奪を行うでありましよう。暴動も起るでありましよう。社会の秩序が撹乱いたしまして。惨憺たる世相を現すであろうと考えます。私はそういう事態まで行かない間に、今申上げましたような手段によりましてこのインフレーションを克服することを切に希望しておるのであります。(拍手)    〔川上嘉君発言者指名許可を求む〕
  33. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 川上嘉君。
  34. 川上嘉

    ○川上嘉君 無所属懇談会は星野芳樹君を指名いたします。
  35. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 星野芳樹君の発言を許します。    〔星野芳樹君登壇拍手
  36. 星野芳樹

    ○星野芳樹君 私はインフレーシヨンに対する抜本的な製作をして頂く決意を促すために、暫くインフレーシヨンの惨禍を紹介いたします。私は上海に六年間おりましたが、その間に物価が実に百万倍になりました。それでその惨禍をまざまざと見せ付けられたのでありますが、これは経済官僚が、物価が安定しておるというような瞑想的な考えを持つて経済の動的に解しないために、惨禍はますますひどくなるのであります。私は上海で食パン製造をやつておりましたが、上海の経済官僚は、物価が安定しておるという空想に立つた机上プランを以て、原価計算を一銭一厘細かく計算いたしまして、そうして例えば生産のために、原料、労賃のために十万円掛かるとし、利益が一万円上るから十一万円入るように販売価格を決定すると、こういうふうに認可します。ところが実際には、原料は先に買つて、一月掛かつて製品を買つた金が集まるときには、翌月の原料を買うためには二十万円、こういうために正規な商売はどうしても成立たず、そのために業者は原料を残して、それを闇に流して、そうして歩留りと称してこれで生きて行く、こういうようになり、延いてはそんな生産なんかは馬鹿馬鹿しいから、いわゆるとん積と称して、物を買つて置いて値上りを待つ、そういうことが一般の状況となつた。更に思わないところまで禍害はあるもので、インフレがどんどん進行すると、学校が一学期の月謝を取る。取つておる間に貨幣価値がどんどん落ちてしまう。それで学校の方では一日も早く月謝を取ろうとし、生徒の方では一日も遅く出そうとする。そこで最も美わしかかるべき先生と生徒の間に、複雑な経済闘争が展開されるというようなところにまで行くのであります。そうして借金をしても一週間程居留守を使つて返却を延ばさせ、半分程負担が減ると、こういうふうに誠に簡単に道徳的な罪悪を犯すことができる。それで貯蓄などということはこういう時には言つても全く無駄であります。そうして私が中国の子供に「貯蓄はどうだ」と聴きましたところが、中国の子供は、「貯蓄はいいことですが、今はよくありません」と、こう答えました。こういうふうな状況でありますが、日本の現下インフレの高進していく有様を見ますと、つくづくこの上海の後を追つていくように思われるのであります。丁度同じように公定価格と闇値がシーソーゲームを段々と上がつて行く。抜本的手段を行わなければ飛んだ結果になることは、火を見るより明らかであると思うのであります。これに対して先程岩木先生だか述べられましたが、結局生産を増強しなければならん。そうして非常に偉大なる策を展開されましたが、インフレ対策はそんな遠大な悠久な策ではなく、現下差通つて解決しなければならない問題だと思うのであります。そうして生産を増強してからというのでは、結局抜本的対策が増強いたしませんから、いわゆる十年河清を待つという愚を続けるものだと思うのであります。ですからこれを根本的に解決するには、どうしても金融の面から大きな手を打つより外ないと考えるのであります。然るに大蔵大臣は通貨の信用が大事だと言つて、そういう口実の下に再封鎖を行わないという宣言を行いましたが、これは闇利得者に安心感を与え、闇的殖財を増長させる結果になる。むしろ悪徳分子が闇行為を続けるならば、新円封鎖も止むなきに至るであろうと宣言する方が策ではなかつたかと思うのであります。そうして更にこれは適当な時期に断乎として断行することが必要なんでありますが、そうすると経済上の悪現象を一部には生ずると思いますが、こういうインフレを根絶するという大事業をするためには、どこにも差障りのないということは、そういうことは絶対にあり得ないので、結局再封鎖をしても、結局苦しむ者は持てる者だという点から考えてこれを断行すべきだと私は考えるのであります。併しこれは疾風迅雷的に行わないと、種々思惑投機が生じて経済的混乱を起させるということになりますので、これに強力な、民衆と直結した政府が必要だと思います。併しこれを今のこの弱体政府に期待するのは到底不可能だと思いますので、私は第二段の解決策として一つの案を提出いたします。それは金融税というのであります。分かりやすく申しますと、小切手の発行に対して税金を課するのであります。インフレの高進はこの通貨が非常に膨張したということが目につきますが、更にそれを日銀券を基盤として小切手の流通が思惑敵に多くなる。これが最大要因であります。今確実な査料がないのでありますが、昭和二十二年度の十二月三十日に東京手形交換所における交換高が四十六億円を算しております。これが全国で今仮に十倍と考える、そうすると四百六十億円。更にこれを交換に至らざる小切手の流通まで考えたら相当甚大な額になる。これに対し例えば千分の二というような課税をしたならば、相当な額の課税ができ、問題が根本的に解決できるものと思います。そうしてこれは結局これによつて生産に行く金融も増強はされるかとも思いますが、主にその闇投機に行く金融を抑えるのであつて、その結果生産が増強するのでありますから、結果において生産に何ら禍害がない。結局一億金融税を発行する人々は、千分の二程度の担税能力があるものと断定するのが妥当ではないのかと思うのであります。而もこの方法によりまするならば、率が全くはつきり千分の二なら千分の二と決めておるので、非常に明瞭であります。更に納付が便利であります。これに対して小切手を発行するときには必ず印紙を貼るということにすれば、徴税が甚だ便利であります。こういうような抜本的政策もあると思うのです。これは一つの例でありますが、こうした抜本的政策を断行すればインフレは解決し得るに拘わらず、政府は根本的な方策を取らないで、反対鉄道運賃の値上げをしたり、郵便料金の値上げをしたりして、而もその利益が再生産に向かつて行くならばそれはよいのでありますが、現下の情勢では全く労賃増加に追われておるという状況であります。かくては物価と労賃の悪循環というのを起す。実はそれは自己の無能に基くのでありますが、これを押し隠して、恰もその原因が勤労者の労賃値上げ欲求にあるがごとく見せんとする実に卑劣な態度であると思うのです。社会党が党大会の決定に基づいて、断乎として四党協定の破棄を断行して行つたならば、必然的に私の言つたような提案も実行されて、抜本的な政策も取り上げられると思うのですが、これをもし得ないならば、あの社会党の大会の決議も、これは勤労者の人気を繋がんとするヂエスチユアに過ぎないものであると思われるのであります。かかる不誠実な態度で政局を担当しておるのは誠に思わしくないので、今日は大臣も一人でおいでにならないので言うのはどうかと思いますが、誠実がないようでしたならば、潔く退陣なされるのが本当ではないかと思うのでございます。これを以て終わります。(拍手)    〔青山正一発言者指名許可を求む〕
  37. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 青山正一君。
  38. 青山正一

    青山正一君 緑風会は小杉イ子君を指名します。
  39. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 小杉イ子君の発言を許します。    〔小杉イ子君登壇拍手
  40. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 今朝登壇することを知りまして聊か慌てております。  誰もが予想していたインフレーシヨンが廻つて来ました。その対策を申上げる前に、最も初めに私のこの防止思想を申上げますと、私は十七八年前に、日米若し戦わば食糧はどうするか、破壊は早い、建設は長いと申し、この戦わばの声の消え去らんことを希望した者であります。それにその甲斐もなく、イタリー対エチオピヤ式の戦いとなりました。私は最も天皇擁護崇拝者でありながら、断じて國防婦人会にも愛國婦人会に入会いたしませんでした。田舎で竹槍を持つた婦人たちを見て笑いました時、スパイだと申し追出されました。それに某飛行場の約一千名の工員の教育係を寮母を一人で引受けました。これはかねてから工員、労働者の心理を掴みたかつたからでございます。今更ながらここにも大いにインフレーシヨンの原因のあることが分ります。工員の中にも亦社員の中にも、怠慢、盗み、人の物と思い物資を粗末にすることの甚だしさ、私はかねてから先ず労働者よりも資本家を擁護すべきだ、それはよく儲けて貰い、よく納税して貰い、多くの人員を使用して貰うことだ、ただ要点は脱税の点だと政見発表も致しております。これらの工員、社員を思い、資本家は本当にやり切れないと同情しております。商工大臣は大小に拘わらずこの資本家を大いに擁護しなければならんと思います。又使用人の中には特配特配と、可愛いがれば可愛いがる程要求は増し、丁度子沢山の無智な母親が礼儀も規律も責任観念も教え込まず、将来に思い計らぬために、庭一つ掃こうとも、戸締り一つしようともせず、却つて親を馬鹿にして感謝の念もない者にしてしまつたと同じで、こんな國民が即ちインフレを増長さすのだと思いました。この反対に、正直によく働き諸物資を増産超過させてくれますなら、必ず諸物価は安くなる。安くなれば賃金値上も要求しません。資本家は儲けて薄く廣く納税できます。政府は安く廣く徴税、徴収できます。原料所は止むなく原価を自然に下げる。何と申しましても物を粗末にせず、國民のすべてが正直に増産超過させることによつてインフレ消滅の根源対策であると思いまして、これを対策の第一といたします。  第二は、私は先ず政府は増産者のみに増配せず、國民全部に口数によつて増配すべきだと政見発表をいたしております。これもインフレの対策であります。私は放出食糧をそのまま見積り置くとして、終戦直後から食糧不足ということを思いません。食糧がないのではなく、配給技能、技巧がないのだと思つております。現に働けるだけを食し、幾らでも買えます。売りに参ります。それがある証拠であります。政府がこの配給技巧を発揮しまするならば、公定食糧生活ができますならば、自然とインフレは消滅するのであります。  三、食糧生産超過地帯から、私が建築法の異例を要求した通り、鉄道運輸法異例を出して、たとえ近郷近在だけにでも廻送することであります。或る農産地では一昨々年は、芋は生産超過で闇値に売るつもりで囲つておりましたが、村全体が種芋がなくなつた程腐らしました。これを政府が加工せぬ中に配給する技能を発揮するならば自然とインフレは消えます。  四、重税、加税、特に乗車賃金値上げはインフレをお上から増長さすることになります。これは廃止して、先ず種々の密造の中特に今氾濫しておりますところの焼酎密造者、これから罰金を高率に徴収することであります。(拍手)ここで政府にお知らせすることは、この密造家を見出すには、警察、交番所巡査、町会、農会に頼つては全然無駄でございます。これだけは童顔の栗栖大蔵大臣か又は正直そのもののような波多野農林大臣が水戸黄門公となつて、鉄道大臣、運輸大臣が格さん助さんに代つて視察なさることであります。そうしてこれは夜であることを申上げて置きます。密造家はこれは今夜飲む分だ、これは交番所に届けてくれと申しております。思い切つた面白い話は、十貫以上の豚を眞二つに切つた分をたらふく食べております。そうしてたらふく飲んで居ります。そうして帰つて来れば、家族が腹を立てて、父親に蒲団をかぶせて、息切れよとばかり踏みしきるのであります。こんな人の始末はどうしても司法大臣によらなければ、インフレを押えることはできません。  それから五は蓄妾者に高率税を課することであります。生理的必要者以外の者には、蓄妾税は名称は止して、第一住宅税、第二住宅税、第三住宅税として徴収することで、これも前記の役員に頼る調べ方は無益でございます。このごろ姦通兼妾が沢山おります。私は、低脳者、禁治産者社会と、最高人格者社会國家には法律も厳罰も要らないと思います。その中間社会國家には法律、諸罰も必要とします。その意味から姦通者に処罰せずということは、反対に犬猫同様の見方で、一種のこれは中間人間侮辱だと思つております。罰金制度は政治法の拙なさを意味しますが、あれも罰金、これも罰金で、強制的に悪習慣を縛め、一等の道徳國となつておる例もあります。  六、罪人特に盗癖のある者は、七十歳になつても八十歳になつても直らぬと西洋の学者が申しておりますが、そんな者や悪性は拷問的な無理をせんでも、社会に出さぬこと、それには監獄内に慰安所を設置して、映画とか漫才、或いは芝居などを絶えず見せること、そうして入浴をよくさせて貰いたい。そうして増産方法を奨励することであります。いよいよ狭くなれば、逃げぬ方法は幾らでもあると思いますから、バラツク建でもいいと思います。政府はこれらによつて増収することが、税を軽減してインフレ消滅の原因となるのであります。  政府は競馬のごときを興味、娯楽、慰安と申しておりますが、あの多数の人員時間は増産減退、最も甚だしいものであります。そうして投機的賭博思想を増すこと、そうしてそれに徴税することは、大きな一つの罪悪であると思います。その代わりの徴税方法としまして、市場、料理屋の残物を利用して、養豚を大規模にすること、これに当る労働者は使用者のないところの低脳者でよろしいのであります。これにて大収穫を得るのであります。又墓の近くに入浴場を設置して、そうして燃料には市内墓場又は鉄道の塵芥などを集めて燃料といたします。そうして入浴緩和を図りまして、政府の増税となり、インフレの消滅となります。  私の見る政府政策は、防止方法も勿論でありますが、余りに予防政策の少ないことであります。特に火災防止法なども、これでは國民負担が重くなるばかりであります。又人員整理どころか、ますます増員せねばならんことは嘆かわしいことであります。人員整理法、交通緩和法などについても、もつともつと親切な用意周到な研究をするならば、自然インフレは消えてしまいます。私の申すことは、ただ政府の徴税方法ばかりを述べたようでありますが、國民に重税を課することが、即ち税金に堪えず、商品を、素材を、食糧を、不動産を高値にせねばならんからで、物が高くなることが即ちインフレの実態だ信じておるからでございます。これを以つて終ります。(拍手)    〔山田佐一君発言者指名許可を求む〕
  41. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 山田佐一君。
  42. 山田佐一

    ○山田佐一君 日本自由党は水久保甚作君を指名いたします。
  43. 松本治一郎

    ○副議長(松本治一郎君) 水久保甚作君発言を許します。    〔水久保甚作君登壇拍手
  44. 水久保甚作

    水久保甚作君 政府インフレ対策がしばしば発表されているにも拘わらず悪性インフレ現実において日に日に深刻化し、そのため国民生活を脅威し、国民大衆を不安と同様の中に突き落としまして、今や破局的危機を招来しつつあることは、国民の斎しく認める現状であります。悪性インフレ進行は、国民経済生活を圧迫すると同時に社会生活と又精神生活をも根本的に動揺せしめておるのであります。この悪性インフレを克服しなければ、日本の民主化も、日本の再建も到底望み得ないことは、今日国民の各層を通じて了知の事実であります。然らばなぜかかる悪性インフレが生じたかと申しますと、それはとりも直さず生産が通貨の増発と平行しなかつたためであります。平行しなかつたというよりもむしろはるかに立ち後れたからであります。    〔副議長退席、議長着席〕  若し通貨の増発生産を振興し、生産と平行して行われるならば、通貨の増発は必ずしも恐るるに足らないのであります。何となれば生産が増強し、物資が豊かになれば、国民生活はおのずから安定することは申すまでもありません。例えば通貨が今日の二倍になつても、生産が今日の三倍になれば、これも悪性インフレとは申さないからであります。生産の裏打ち伴わずして通貨を増発したのが現在の悪性インフレであり、而して片山内閣のインフレ対策であつたのであります。この点が我々と現内閣との通貨増発に対する見解の相違であつたのであります。言葉を換えて申しますれば、片山内閣は組閣以来通貨の面のみにとらわれて、日本再建の最も重要なる鍵とも言うべき生産増強を忘れていたと言わなければなりません。(拍手)  過ぐる一月二十二日の施政方針演説中で片山首相は、インフレ進行の直接原因は通貨の増発である。通貨の増発を押さえるためには、政府財政支出も節約し、産業に対する赤字的融資を制御すると共に、租税の徴収を促進し、預金の増加を図らなければならないと申されております。これが現内閣の根本方針であります。然るにその末尾には、殆ど申訳的に産業資金も度を越して抑制すれば却て生産を低下せしめる恐れがあるとの申訳的な但し書きが附いておることを我々は見逃してはなりません。これは片山内閣が組閣以来八ケ月目に漸く気付いたことを裏書きするものであります。時局の要請とは言え、又國民大衆の要望とは申すも、いずれにせよ現内閣がインフレ克服にいかに生産が重要な役割を持つているかを認識し始めた現在の傾向は、我々の斎しく喜びとするところであります。私は片山首相の施政方針演説の中に現われたすなわち財政の規模を国民経済力に合致させるという新らしき現象を、現内閣の政策の転換であり先に我が党内閣の石橋財政に対する降伏であるというがごとき党派的表現を用いるものではありません。まことにインフレのため、衷心より喜ぶものであります。しかしながら、要はいかにしてこれを具体化するかその実行方法であります。この点につきましては、社会党の衆議院鈴木政務調査会長でさえ、片山首相は歳出の節約、納税の促進、生産増加などいろいろ述べておるが、いずれも抽象論でインフレ対策はまことに心細い感があると述べております。(拍手)我々は鈴木氏と立場を異にする者でありまするが、現内閣がインフレ克服に具体案を持つていないという見解にはまつたく同感でありまして、甚だ遺憾とするところであります。(拍手)  然らばその対策如何というに、その大綱を申せば、第一に行政機構の改革を含む徹底的行政整理の断行と、租税政策において直接税、間接税及び法人税等各般に亘り税制全体の改廃を目途とする財政整理を断行、速かに実施し、以て財政収支のバランスを取り、敗戦日本の現状に即応するよう節約の計画を立つることであります。  第二には、国家の爲政者たる者、労働者の生活安定を図り、勤労意欲の向上に努め、而して一面勤労者を国家再建のため全精力をあげて八時間勤務に寸時なく精勤力行、以て生産増強の美風を涵養することであります。(拍手)  第三にはアメリカ合衆国の厚意により成立の貿易回転資金の高度活用による特殊必要原料の輸入、更に外国資金の導入を懇請することであります。最後に私は、日本の興亡を決するがごとき、かかる重大なるインフレ対策を、現片山内閣のような貧弱なる寄合世帯に委せることは、恰も子供の火遊びのごとく、誠に危機極まりないものでありますがゆえに、よろしく国会にインフレ対策特別委員会を設置し、これによつて具体案を作成、行政機関をして、これを実行せしめ、以て今日の危機を打倒し、日本再建の基礎を築くべきであると硬く提唱するものであります。(拍手
  45. 松平恒雄

    議長松平恒雄君) これにて本日の自由討議は終了いたしました。次回の議事日程は決定次第広報を以て御通知致します。本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会