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河野正夫君 私は
内閣提出、
衆議院修正送付せられました本案に
賛成する者であります。各位におきましては、第九條の
削除を問題とせられますが、全体としてやはり
賛成の趣旨を申上げて置く必要があるかと思います。この
教育委員会法は、
教育權の
一般行政權からの独立及び
教育の中央集權の打破
地方分權の確立という方向において、
教育の御主化のため極めて妥当な
法案であると思うのであります。
内閣の提出された
法案につきましては、遺憾ながら
現実の
日本の状態にふさわしくないと言いまするか、やはり行き過ぎの感があ
つたのでありまするが、
衆議院の
修正案におきましては、市町村は二ケ年実施を延期する。而も五大都市は都道府縣と同様に本
年度から施行する。更に
教育委員が無報酬で
教育のために盡瘁するということが、今日の
日本の國情から申しますると、
地方で閑があ
つて金のある人というものは、或る特定の人々のみに偏よ
つて來る。そういう
意味でこの條文を何んとかしなければならんと思
つたところが、それも訂正をされました。一方において人事や給與の面におきましても、現段階においては、將來二ケ年後に、たとえ
一般市町村に
教育委員会が設置せられる場合におきましても、これを單純に各市町村の
教育委員会が決定するということは、如何かと案じておりましたところが、それも人事、給與に関して
連絡協議する協議会という
ようなものの設定が認められるという
修正は、甚だ妥当なものだと思うのであります。更に
教育長が
教育委員会の
運営において、必ず助言と
推薦とを行う権利があるかのごとき
原案に対しまして、これは助言と
推薦を
教育委員会が必要と認めるときには、助言と
推薦を求めることができるという方向に変りまして、先程來
質問の際にもありました
教育委員が、素人で占められたときには、專門家の
教育長が非常な独断專行をし得るやの疑いもあ
つたところを訂正されて、甚だ結構だと思うのであります。更に第九條の問題でありまするが、これを
削除いたしまして、
現職教員を
一般公務員と同様、被
選挙權が認められるということになりましたのは、事実上は私は、
現職教員のこの
方面に関する立
候補者が多いとは認めませんけれども、そういう途を開くということは、
一般公務員と平等の待遇をするものでありまして、
教員の生活の上に明るい
一つの光を與えるものだと思うのであります。
現職の
教員は、
教育に関するこれらのことについて、選挙権を持たない方がよい、被選挙権を持たない方がよいという考え方は、恰も曽て旧憲法時代に、軍人が選挙権、被選挙権を持たない方がよいという理論があ
つたのであります。これについては皆さんにも御
意見がありまし
ようけれども、今日においては諸外国においても、軍人と雖も
選挙權、被挙権が認められている。その方がより平和的な、より文化的な國政の運用ができるという現状を見ましても、
教育の面において
現職教員が被選挙権を持つことが、それ程
教育委員会の
運営に対して弊害を與えるということは考えられないのであります。特に以上の
ような
意味のみならず、この際
衆議院から送付せられました案が、若しも多少の
修正を、或いは大なる
修正でもよろしうございますが、行うという場合には、先程
委員長から特に御報告がありました
ように、これは関係筋との
連絡を必要といたします。然るに本日その
連絡は可能なりや否や疑わしい。その上に時間が迫
つておりまして、これが本会議で、若しここで
修正意見が通
つて、本会議でそれが可決されだ場合には、
衆議院に再び送付せられなければならん。そうしてその時間がなくて遂にこの
法案が、時間がなくて
法案が成立しないということになりますると、如何でございまし
よう。内容において好ましくはないというならば、それはもとより当然でありまし
ようけれども、私以上述べました
ように、この
法案というものは、
日本教育の
民主化のために極めて重要な
法案であり、しかのみならず、これは遠く米國のみならず、連合諸國において、この
法案がどうなるかということを見守
つておるのであります。これを通さないくらいの
日本にまだ
教育の統制、中央集権的な氣分が殘
つておるんではないかという
ようなことを常に案ぜられておるのであります。そういう
ような
意味において、悪い
法案であるならば、如何なる場合においてもチエツクしてよろしいでありまし
ようけれども、とにかく先程申上げました
ように、すでに
財政措置も相当講ぜられるということが確言せられ、その上にこの内容も尤もであるとするならば、多少の瑕疵がありまし
ようとも、これは実施後において
修正も可能でありまするが故に、この際は滿場一致御
賛成あらんことをお願いする次第であります。以上、
賛成討論を終ります。