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岩間正男君 私はこの
義務教育費國庫負担法の第
二條の今度の
修正條項の中で、
日直及び
宿直の
手当の点でありますが、この点に対しまして
反対を表明したいと思うのであります。その
理由といたしますところは、
日直、
宿直というのは、これは元來何ら法的な
根拠を有しないところの、
教育の言わば
本務に属さないところの
勤務なのであります。そうしてこれはまだ今まで御
眞影がありましたときに、御
眞影を奉護するというような
立場から、
教員の負担的な
義務として、これは半ば強制的に行われてお
つたものであります。無論
教員の
義務におきまして、これを了解して行な
つて参つたのでありますけれども、併しすでに御
眞影の奉護というものが必要がなくな
つております今日におきまして、
日直と
宿直というような
制度はすでに古いところの
制度でありまして、そうして又これは習慣的に行われたに過ぎないところの
制度であります。こういうような現状におきまして、このような規定が堂々と
法案の中に明記されますことは、
日直及び
宿直というものが、ともするというと
義務付けられて、
教員の
本務を離れたところの
義務として今後行われるところと
根拠を作るというような点で、どうしてもこれを
法案に謳うべきものじやないと、こういうふうに考えられるのであります。当然これは
労働基準法の施行されました今日におきましては、このような
勤務は元來認められるべきものでなくて、これは
管理者側が当然そのような、守衛のようなものを雇いまして、学舎を管理して行くというようなことに任ずべきものでありまして、
教員が從來の習慣からや
つてお
つた故を以て、その
理由を以ちまして、そうしてこれがこのような措置を取られるということは、非常に現在の諸
情勢から考えまして、必ずしも妥当な方向とは考えられません。從いまして私としましては
日直及宿直という
條項が若しできますならば、これはこの
法案におきまして削除されて、その代りに
超過勤務手当というような、
基準法によ
つて認められておりますところのものを、はつきりとこれに謳うべきである、こういうような
意見を有する者であります。今までの
條來の例を見ますというと、隨分この
日直並びに
宿直を
義務的に行な
つて参りましたために、御
眞影奉護という
建前からしまして、相当な災害の場合、例えば火急の火事の場合なんかに、この御
眞影を相抱きまして、火中において何人かの人が犧牲にな
つて斃れたというような例も相当多いのであります。又大震災におきましても、そのような例が沢山あ
つたのでありまして、これは
教員の非常な
過重負担になるという点から、原則的にはすでに過去の一つの形体にしか属さないものであ
つて、私はこういうような反省からしまして、
教員の又裕りのある、そうして十分に準備された、そうして元気を取り戻した形におきまして
本務を十分にやるという
建前からしましても、このような
過重負担が
教育の実際
義務を、教職を完全に果すという
義務におきましても、非常にそういうような点から不完全なものがあるというふうに思われますので、そういうようないろいろな
情勢から考えまして、私はこの
法案に対しまして
反対の意思を表明する者であります。